運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-12-02 第15回国会 衆議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月二日(火曜日)     午後一時四十五分開議  出席委員    委員長 逢澤  寛君    理事 尾崎 末吉君 理事 關谷 勝利君    理事 佐伯 宗義君 理事 田原 春次君    理事 正木  清君       岡田 五郎君    玉置 信一君       徳安 實藏君    永田 良吉君       松岡 俊三君    山崎 岩男君       山田 彌一君    臼井 莊一君       河本 敏夫君    吉川 大介君       熊本 虎三君    楯 兼次郎君       武知 勇記君  出席政府委員         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運輸事務官         (船員局長)  武田  元君         海上保安庁長官 柳澤 米吉君         運 輸 技 官         (船舶局長)  甘利 昴一君         運 輸 技 官         (港湾局長)  黒田 靜夫君  委員外出席者         海上保安庁次長 山口  傳君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 十二月一日  直江津、越後湯沢間鉄道敷設請願渡邊良夫  君紹介)(第二九八号)  国有鉄道新路線の敷設に関する請願大西禎夫  君紹介)(第二九九号)  道路運送法による指定市に北九州五市を追加の  請願平井義一紹介)(第三〇〇号)  道路運送法による免許種別の撤廃並びに免許手  続の簡素化等に関する請願河野密紹介)(  第三二四号)  同(河野密紹介)(第三四四号)  串木野駅に急行列車停車に関する請願床次徳  二君紹介)(第三六八号)  串木野駅プラツトホームの延長等に関する請願  (床次徳二紹介)(第三六九号)  串木野駅改築に関する請願床次徳二紹介)  (第三七〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  運輸行政に関する件     —————————————
  2. 逢澤寛

    逢澤委員長 これより開会いたします。  本日は先般聴取いたしました運輸行政中、海運関係、すなわち海運局港湾局船員局船舶局海上保安庁関係につきまして質疑を行います。質疑の通告があります。順次これを許します。正木委員
  3. 正木清

    正木委員 私は私の要求いたしました各省国務大臣が、本日種々の事情で当委員会に出席されませんので、この席上から、明日の当委員会には必ず出席するように委員長要求をしておきまして、しかも大臣に対する質問は留保いたしまして、ただいまから関係局長に、簡潔に局長所管事項についてお尋ねしたいと思うのでございます。  私のお伺いせんといたしますことは、現内閣がその成立の当初にわたりまして、今後の国策の樹立の方向といたしまして、経済自立重点施策として取上げ、しかもその経済自立の大なる一環としてこの外航船舶増強等のことが取上げられ、しかもこのことが具体的に進められつつあるように感ぜられるのであります。そこで当該局長からの昨日の御説明にもございましたが、日本経済自立の面から見て、従来とも重大な役割を果して参りました今後の日本造船を通ずる船舶輸出市場等に対する見通と等について、具体的に私は御説明を願いたい。これが一点でございます。  さらにこの船舶輸出関連いたしまして、私は日本造船という大きな問題を勘案いたしますときに、諸外国日本との間における船価の問題が非常に重大な降路になつておりますことは、きのうも御説明賜つたのでございますが、これらに対してどの程度まで当局としては具体的に国際価格と対処し得る具体案を持つておられるか。昨日の説明によつてほぼ了解いたしたのでありまするが、この点等についても具体的に御説明願いたい。以上二点をまず御質問申し上げます。
  4. 甘利昂一

    甘利政府委員 輸出船現状でありますが、昨日もお話申し上げましたように、昨年度金額にして約七千万ドル、全体の機械輸出の約四割、プラント輸出の約七割を占めておりましたが、本年度に入りましては昨年度に比べまして非常に少くなつております。その理由といたしまして、一般海運市況が悪くなつて来たために、前年度に契約できた船価よりはるかに低い船価でなければ契約ができないというふうな事情にあるのがおもなる理由であります。大体現在におきまして欧州の船価日本船価を比べてみますと、油槽船で約一割、貨物船で約二割の差があります。この差の起つて来るおもなる理由は、鋼材を初めとした主要材料一般に高いためでありまして、今どういう措置を講じたらこの船価の差を縮め得るかという御質問でございましたが、それに対しましては、少くとも船価のうちの主要部分を占めておりますところの鋼材価格が、イギリスの八十三ドルに比べまして日本が百三十九ドル、約五十六ドルの開きがあります。邦貨に換算いたしまして約二万円と思いますが、この差額さえなければ、油槽船については十分競争できると信じます。また貨物船については、鉄鋼差額をなくするだけではまだ幾分不十分でもありますが、しかし鉄鋼価格が下ることによつて一般鉄鋼を主体にするところの機械類価格も幾分下つて来ますので、この鉄鋼差額がなくなれば、おそらく貨物船においてもある程度追従し得るのじやないか、こういうふうに考えております。
  5. 正木清

    正木委員 そこで私重ねてお尋ねしたいと思うのでございます。昨日の説明でほぼ明瞭になつたのでございますが、この原価引下げの具体的な案の一環といたしまして、非常に高額な利子に苦しむ、この処置に対して利子補給金が、本補正予算によつて認められたというところの御説明があつたのでございまするが、同時にこの金融処置として損失補償の問題は認めてもらうわけには行かなかつた、こういうような御説明であつたと思うのです。しかし現在の段階のもとにおいて、この損失補償事務当局としては一体どの程度まで具体的に関係各省との間に話が進められておるのか、このことは単なる説明だけではなく、私は与える影響というものは、各般の点から見て非常に大きな問題だと思うのです。従つて事務当局としていやしくも当委員会において御発表なつた限りにおいては、私は相当話は進捗しているのではないか、こういうように察せられますので、この点具体的にひとつ御説明を願いた。  さらに昨日の御説明によりますと、利子補給とあわせて、損失補償に関する法律案等についても準備をされておる、準備をされておる限りにおいては、これは運輸当局としては省議決定を見、少くとも大臣を通じて新内閣に対して相当話が進捗しておるものである。こういう点について大臣及び大蔵当局にも伺いたいのですが、出席されておりませんので留保したわけですが、この点に対して関係局長から詳細なる御説明を願いたい。
  6. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 船舶建造に対する市中金融機関からの融資に対しまして、もし市中金融機関損失をこうむつた場合、政府がそれに対してある程度補償をする、こういう措置は今後の船舶建造を進めて行きます上において、ぜひとも成立させたい制度であるというので、運輸省といたしましては省議として決定して、目下大蔵省折衝中でございます。ところがこの損失補償制度につきましては、大蔵省としては大蔵省としての考え方がございまして、現在の段階ではまだ話合いが成立いたしておりません。目下大臣の間でお話合いを願つているような次第でございます。従いまして運輸省としては今回の補正予算要求されておりまする利子補給とあわせて、損失補償法律を提出いたしたいというので、準備をいたしておるのでございますが、大蔵省との話合いがつきません以上、その法律は出せないわけでございます。目下鋭意大蔵省との話合いを、結着をつけるべく進めておるような次第でございます。運輸大臣といたしましては、この事柄の必要性から非常なる努力をされておる次第でございます。
  7. 正木清

    正木委員 重ねて局長にお伺いいたしますが、局長としての大蔵当局との事務折衝等に対する見通しを、ちよつとお伺いしておきたいと思います。
  8. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 この損失補償制度につきましては、前に離島航路整備法が提出されましたとき以来、この制度の確立について折衝をしておるのでございます。大蔵事務当局としては一貫した態度で、この制度反対であるという強い反対意見を示しておるのでございます。しかし離島行きのような小さい船はともかくといたしまして、この外航船建造に対する損失補償制度は、戦前にも実施されておりまする制度でももありますし、また諸外国でも同様の制度をもつて船舶建造を推進しておるということを考えあわせまして、運輸省としてはぜひとも実現したいというので折衝いたしておりますが、事務局ではまつたく話が行き詰まつておるというのが現状でございます。
  9. 正木清

    正木委員 船舶局長ちよつとお尋ねしたいのですが、昨日の資料に基く御説明の中で、船価の低減をはかる一方法として、補正予算の中で十三億承認を受けた、来年度概算要求についしては五十億を要求しているのだ、当然これは事務当局としての折衝であろうかとは存じまするが、この五十億というものの内容は、当然この利子に対する補給金であろうと存じますが、この五十億の利子補給金内容でございますが、一万円を基礎としての五十億なのか、二万円を基礎にしての五十億なのか、その点をひとつ御説明を願いたいと思います。
  10. 甘利昂一

    甘利政府委員 五十億の内容は、内地の外航船建造量三十万トン輸出船十万トン、合計四十万トンに対して、鉄鋼トン当り二万円の助成をした場合の金額であります。昨日御説明申し上げましたのは、トン当り二万円の差額助成してもらいたいのだが、しかし一般にもし鉄鋼が運賃あるいは原料の関係で今後下つて来るようなことがあつた場合には、ある程度現行の五万円の鉄鋼価格が下るだろうとは思いますが、しかし割増寸法とかあるいは品質に対する割増料は、それらのものによつてとうてい下るとは考えられない、その場合には少くともその割増料相当する一万円だけはぜひ助成してもらいたい、こういう趣旨でお話申し上げたのであります。従つて五十億は二万円を助成した場合の予算であります。
  11. 正木清

    正木委員 船舶局長に重ねてお尋ねしたいと思います。私は事造船に関する限り、まつたくしろうとではございますが、常識から申し上げまして、非常に関連産業が複雑にして多岐な関係を有するということだけは、想像がつくわけでございます。そこで昨日の御説明の中にもございましたが、関連産業合理化ということが、国際価格にさや寄せする日本船価引下げのうちで重大なる役割を果すということも、常識的にうなずけるのであります。さてそこでこの関連産業合理化具体案として、たとえば生産方式近代化であるとか、製品の規格統一であるとか、所要資金融資あつせん等々が当然審議会から答申されて、その答申に基いてわれわれ委員会で御説明があつたと思うのでございます。この関連産業の問題は、日本の一切の中小企業と当然関連を持つものであつて、単に審議会が羅列的に項目を掲げたというだけでは、問題は片づかないのではないか。少くとも事務当局としては、諮問委員会からの答申がかようであつたという形だけで、当委員会文書をもつて発表して御説明なさるということではないのではないか。少くとも国家的に見て重大なこの問題を担当される局長としては、関連産業合理化等の問題について相当深くお考えになられ、関係各省相当折衝の上で、相当具体案をお持ちになつた上での御説明だと考えるのですが、これに対する一つの具体的な方針、及び現在どの程度までこれらの問題について話合いが進んでおられるか、その点の御説明を願います。
  12. 甘利昂一

    甘利政府委員 造船関連産業合理化の問題については、単に海運造船合理化審議会において答申があつたから、ここで御報告したのではなくて、あの答申案についてはわれわれも平素考えており、一部実行している点とまつたく同一でありましたので、先般御報告したのでありますが、具体的には、たとえば注文品規格統一というごときものは、すでにわれわれとしてもある程度実行し、さらにこの範囲を拡大するように努めております。なおまた関連産業金融問題につきましては、個々のメーカーとしては非常に弱体メーカーが多いのでありますから、なかなか金融めんどうも見がたいのでありますが、しかしこれらの業者業種別に、あるいは地区別に組合のようなものをつくりまして、共同施設を持つとか、あるいは共同の発注を受けるというような制度をとりましたならば、金融めんどうをみることも幾分楽になりはしないか考えますので、そういう点についてもいろいろ具体策を練り、関係業者ともいろいろ相談いたしまして、すでに一部成案を得ておるものもありますので、業界全般としての合理化については、日本産業合理化の時期まで待つよりほかにしかたありませんが、少くとも造船関係関連産業については、今申し上げましたような方法で、一部はすでに具体策を講じており、具体的に実行しておるのであります。
  13. 正木清

    正木委員 この関連工業合理化具体化等については、局長にこれ以上御質問申し上げませんが、文書をもつて、現にあなたのところで具体的に実施しておりますものをひとつ御配付願いたいと思います。  さらに続いて御質問したいと思いますことは、この特別国会にかかつております利子補給金の十三億でございますが、これは鉄鋼メーカー助成をするのか、それとも造船業者助成をするのか、この点のお答えを願います。
  14. 甘利昂一

    甘利政府委員 今のは利子補給ではなくて、鉄鋼価格助成の問題だと思いますが、今われわれの考えておりますのは、造船業者にこれを交付するつもりでおります。
  15. 正木清

    正木委員 重ねてお尋ねいたしますが、二十八年度からの造船計画を、昨日の説明によつて数字的に、しかも計画的に御発表になられたわけですが、昨日書類を通じて御説明になられました二十八年度以降四箇年計画というものは、単なる事務当局の案なのか、それとも運輸省を経て現内閣閣議決定のもとに、すでに財政資金等も十分配慮された上での、国策としての方針をこの委員会発表なつたのか、その点をまずお尋ねいたします。
  16. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 二十八年度以降四箇年間の船腹拡充計画は、運輸省としての案でございまして、政府として閣議決定を経たものではございません。ただ政府としては、新内閣政策として外航船腹拡充という方策考えております。政府としてその計画決定いたしますには、御説の通り財政資金の裏づけがなければなりません。ところが二十八年度において、船舶に対していかほどの財政資金をまわすか、これは来年度一般予算並びに財政投資に対するいかなる方策政府がとるかという、その方策にもかかつておる問題でございまして、現在まだそのような段階に立ち至つてない、かように考えておる次第であります。
  17. 正木清

    正木委員 そこで局長に重ねてお尋ねしますが、この事務当局案に基いて、関係当局との間に相当事務的には話合いが進んでいると思いますが、その話合い進捗状況、それからこの事務当局案見通し等について答弁を願います。
  18. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 この案につきましては、経済審議庁並び大蔵省とも連絡いたしまして、運輸省の案の実現方折衝中でございます。しかしただいま申しましたように、財政投資に対する財源いかほどになるかという根本の問題がはつきりいたしませんので、大蔵省といたしましても、この案をどの程度にのむかという意向がまだ伺えないような次第でございます。私どもとしては、ぜひともこの運輸省の原案を実現したいというので、目下極力推進をいたしております。
  19. 正木清

    正木委員 私は当該局長を激励鞭撻するというわけではありませんが、外航船舶拡充ということは当然政府重点施策一環として取上げられた問題でありまするし、事務当局としてかように御計画をされることは当然であるが、御計画を立てられて対社会的にもこれが発表され、しかも当委員会等において正式にこのことを御説明にねり、これにあげて国民が重大なる関心を持つておる限りにおきまして、私は局長たるもの腹をきめて大臣を激励鞭撻し、政府を激励鞭撻して、これの実現方一段努力をされんごとを切に望んでやまない次第です。  さらにお尋ねしたいと思いますことは、二十七年度のこの貨物建造計画中、現在残つておりますのが五万総トンある、こういうような御説明でございましたが、この五万総トンはいつから一体建造に着手するのか、私の心配いたします点はどこにあるかと申し上げますと、往々にして一口にいう役所の仕事とでも申しましようか、今日の造船業界というものは、なまやさしい事情に置かれているのではないのではないか、非常に困難なる情勢のもとに置かれておるのではないか考えるのです。私ども陳情を受けます範囲内におきましては、この五万トン建造をすみやかに着手しない限り、これは重大な影響造船界に与える、かような陳情を受けておるのですが、局長のこれに対するひとつ忌憚のない御答弁を願います。
  20. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 お説の通り来年の一月以降になりますると、造船所仕事相当手あきになります。造船能力にアイドルができる。これは国民経済上からいいましても、ゆるがせにできない問題でございますので、その残つております五万トンを、一月あるいは二月の間にぜひとも着工できるような運びに持つて行きたい、かように考えております。これをいたしますがために、昨日も御説明申し上げましたが、約二十八億の財政資金を必要といたします。これは実は当初の船舶に対する財政資金計画の中に入つてなかつた財政資金でございます。と申しますのは、当初の見返り資金ではこの分まで見るだけの余裕がなかつたわけです。しかし幸いにして船舶に対する見返り資金が、この十月半ぱ以降開発銀行に引き継がれました。従つて開発銀行資金運用上の余裕をねらいまして、この二十八億をぜひとも捻出するようにしてもらいたいというので、目下大蔵省開発銀行折衝をしております。大体この二十八億ならば、私どもこれを確保し得る自信があるわけでございまするが、実はこの新規建造をいたしまするための財源のみならず、今後新規建造を進めまする前に、現在の海運会社一般市中銀行から借りておりまする債務を、一部開発銀行肩がわりするということをぜひとも実現しなければ、今後の新造に対する市中金融機関からの資金調達が円滑に行かないという事情がございます。従いましてわれわれといたしましては、その既往の市中金融機関からの海運会社の借入れを一部開銀肩がわりするということとあわせて、この二十八億の、新造船に振り向けるべき新規のものの確保、こういうことをいたしたいというので、目下鋭意折衝中でございます。おそくとも今月中には何らかの目鼻をつけるようにいたしたい、かように考えております。
  21. 正木清

    正木委員 この五万総トン資金手当につきましては、今局長から非常に御自信のある御答弁をいただいたのでありまするが、このことを重ねて御質問を申し上げるということはいかがかと存じますが、このことがあなたが今自信ある御答弁をされたことと食い違いますと、非常に造船業界に大きな不安をかもす。このことだけは局長当該局長として十分おわかりになつておられると思うのですが、御承知のように船台に乗つております今の状況等から見ましても、十二月を基点といたしまして、まことに造船業界は火の消えたような状態になるばかりでなく、そこで働いておりまする直接十一万の従業員と、これに関連を持ちまする関連産業従業員約三十万人というものの生活不安、従つてこれから来る社会問題として、大きな問題がこの面からもかもし出されるであろうということだけは、常識上判断できることであろうと思うのです。従つて私はあなたから実に自信のある御答弁をいただいたので、安心をいたしましたが、何か私の聞くところでは、すでに開銀としては歳末資金の割当と申しましようか、配置計画がすでにできておつて、今のあなたの言われる造船関係賃金等は、その計画のわくの外にあるというようなことすら聞かされておるわけです。さような点は万々なかろうと思いまするが、重ねてその点をひとつ御答弁を願いたいと思います。
  22. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私ども大蔵省並び開銀とも始終接触、折衡しておるのでございまするが、この計画開発銀行の本年度内の資金運用計画の外にあるということは聞き及んではいないのでございます。私どもとしては、開銀はこれからそういう計画を立てるものというふうに考え従つてその計画の中にぜひともこの肩がわり新造に要する金、両方を入れるようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  23. 正木清

    正木委員 最後に二点だけお尋ねして置きますが、今までの関係局長との間の質疑の中でだんだん明瞭になつて参りましたことは、二十八年度以降四箇年計画というこの案というものは、運輸省からの案であつて、いまだ具体的な政府としての方針はきまつていないのだという点が明瞭になつたと思います。ただ明瞭になつただけでは、これは日本造船業界としては、一口にいうまつたくお先まつくらである、こういうことが言われるので、この点先ほど私強く要望したように、この案の実現のために一段の御努力を願いたいと思います。  そこで私最後にお尋ねしたいと思いますことは、価格補給にしても何にしても、国策として補助政策をとらるるということには結論は間違いないのでございますが、今後この海運に関することが国策として進展を見れば見るほど重要なことになつて参りますことは、火を見るよりも明らかであります。そういたしますと、私はやはり今の新しい言葉でいう民主的な監査委員会とでも申しましようか、ただ単に助成金を出しておけばそれでよろしいのだということではなくて、監査委員会式な何らかのものが必要になつて来るのではないかおぼろげながらこういうように考えられる。単に野放しに助成して行けばいいのだということではいけないのではないか、そういうような感じ方をいたすのでありますが、ここまで具体的に案を進めて努力をされて来た事務当局としては、こういう考え方について何か具体的にお考えなつたことがあるかどうか、あるとすればその具体案の片鱗でもひとつここで御発表願いたい、こう思います。
  24. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 お説もつともと存じます。私どもといたしましても、海運会社経理状況については十分目を光らせておりますが、一面において財政資金融資されているということからいたしまして、その財政資金の償還を確保するということから、当然会社経理に対して器重なる監査をいたす必要があるわけであります。これは今後開銀に引継がれますと、開発銀行でそういう方面を十分やつてくれると思います。なお相当利子補給をいたします場合、利子補給等の恩典を受けておる限り、その海運会社に対して相当厳重なる経理監査といいますか、経理のやり方について政府として目を光らす必要がある、こう考えておるわけであります。
  25. 正木清

    正木委員 本日の私の質問はこれで打切ります。残余は留保しておきます。
  26. 甘利昂一

    甘利政府委員 先ほど正木委員から、鋼材補給金として十三億が本年度補正予算通つたというふうに御質問なつたと思いますが、それは誤りで、通つておりません。その点訂正いたします。
  27. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に永田良吉君、
  28. 永田良吉

    永田(良)委員 私は抽象論をおきまして、具体的に一、二お尋ねしたいと思います。まず第一に、地方出先機関の点でありますが、管区海上保安本部日本の国において今九管区になつておる。これについては政府当局は現在の通りでやはりお進みになるつもりか、何かまたこれについて考慮しておられるか、これが第一問。
  29. 山口傳

    山口説明員 お答え申し上げます。ただいまお話の通り、現在のところは日本全国を九つのブロツクにわけてございます。それでこれは御案内と思いますけれども海運行政の海運局のブロックは現在のところ十になつております。私どもがそれと合わないのは、主として仕事の性質から海岸線を中心といたしましてわけたために、かようなことになつております。これに対して将来どういう案があるかというお話でございますが、いろいろ考究は行政機構改革のたびにいたしておりますけれども、現在はこれに対して代案は持つておりません。ただいまの九つのわけ方をもつて一応妥当だと考えております。
  30. 永田良吉

    永田(良)委員 私は現在の九つにおいては無理があると思うのであります。この表でごらんの通り、何ゆえに皆様方は九州を第七管区として、九州の北端の門司に本部を置いておるか、私は九州のごときは南端にも一つくらいは置いてしかるべきものと思う。その理由は第一に、戦争の結果台湾並びに沖縄、鹿児島の奄美大島地方、こういう従来の所管地区を奪われた戦後の海運界においては、皆様御承知の通り鹿児島の辺においては、この間も漁船が遭難をいたしておる。四十八名かのうち、二十名が生き残つて二十八名は行方不明という状態、これらの捜索船のごときは、あの鹿児島県の貧弱なる捜索船でやつておるというようなことが多い。門司から来たつて間に合わない。日本の政治は、この間松岡さんからもお話がありましたが、愛の政治でなければならぬ。いやしくも日本再建の見地から、日本の国は北は北海道のすみから南は鹿児島県の二十九度線、すなわち大隅と奄美大島の間が大事な南端になつておる。政府はあらゆる行政の面から、われわれの勇に対する研究が足りないと思う。九州は現在人員においてもあなた方はむちやなことをしておられる。小樽が千百七十六、塩釜が八百九十三、横浜が八百十八、名古屋が四百二十六、神戸が八百七十七、広島が八百五十六、しかるに門司は驚くなかれ二千百二十八名、舞鶴は六百九十七、新潟は五百九、こういうことで従業員の数から見ても、九州のみを北端に二千百二十八名も置かなくても、これる二つの管区にわけて指導監督されましたならば、指導監督の面においても親切丁寧になるのではないか日本の現在の政治では、あまりに中央集権的である。何でもかんでも東京のまん中ばかりに官庁をこしらえられて、いなかのすみずみには工場の分布もやらない。今後日本のあらゆる階層の人民の振興を思うならば、あらゆる面において津々浦々、不平の種のないようにしてもらわなければならぬと思います。私はこういう意味から、何らかの考察がないというのはいかにも不親切なる態度ではないかと思う。私の今申し上げることは誤つておるか、もしこれに多少の真理があると思うならば、これについて研究してもらいたい。海運局は十である。この九つという数字は奇数じやないですか、これについて明答をお願いします。
  31. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 お説ごもつともと思います。海上保安庁といたしましては、全国を海岸線によつてわけまして管区本部を設けてございます。九州におきましては、お説の通り門司に管区本部を設けておるわけです。海上保安庁の船艇その他の配備は、その業務の性質上、各船艇を保安部ないし救難部という出先に張りつけておるわけです。あるいはお説のように船艇その他を全部管区本部の所在地門司に置くということはございません。鹿児島にも張りつけでございますし、串木野、三焦、長崎あるいは福岡その他各地方におきまして、その出先に張りつけておるわけです。しかも新造のいわゆる大型と称する船艇は、海難が起き、その他海洋において事故の起きたときの救難に便宜の態勢を整えるために、でき得る限り出先の方にまわしておるわけであります。従いましてわれわれの方といたしましては、管区本部が、九州の管区本部としましては門司にございまするが、船艇その他の配備は各地にわけておるつもりであります。  なおこれらの点につきまして、巡視船にいたしましても、その優秀なものの三分の一は九州にわけてある、ということは、九州方面が北海道方面及び日本海方面と相携えて非常に問題が多いために、九州方面にも船艇を相当わけておるわけです。そのために人数その他も多くなつて来ておる状態でございます一義の通りわれわれといたしましては、九州は非常に大きい管区である、従つてこの管区を南北にわけるということも、事務当局としてはそういうことができれば非常にけつこうだと考えておりますが、現在の段階におきましては、管区本部を置くためには庁舎あるいは管区本部の職員等々、陸上の人間が非常に多くなり、実際に第一線に働く船員あるいは燈台の人々というものが比率上減らされるというような結果にも相なり、また建物の関係、住層の関係等におきまして、なかなか実現困難な状態にあるわけであります。この点御了承願いたい、かように考える次第であります。
  32. 永田良吉

    永田(良)委員 私は現在のその数が多いとしてお小言申し上げるわけじやない。しかも地方に置かれるには他の地方には何箇所もあるのに、九州はああいう複雑な地形のところだから、これを二つにおわけになつて——それもまつ二つにわけろというのじやない。むろん南九州のごときは四、五百人でもいい。とにかく皆様方とされては、このままにほつちやらかされてはならぬ問題である。もしも私の申し上げることに若干の真理があるならば、これを二つに割つて、そうしてほんとうの行政上の成果を上げようということを考慮していただきたい。私はいなか人だから声が大きくて失礼だけれども皆さん、政治はさき申し上げました通り、われわれ代議士も政府当局も常に民衆の憂いを早く察して、そうして善処するということであります。皆さんはわれわれいなか君たちが陳情して初めて立案する。そういう日本の行政官ではだめです。民の憂いを先に察知して、進んで指導をせられるどころに、大日本の再建があるのであります。私はそう解釈しておるのですがいかがですか。そういう逃げ言葉をおつしやらないで、われわれがこういう質問をした場合には、将来考慮して善処するくらいの御答弁はあつてしかるべきだと思うがいかがですか。
  33. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 おしかりをいただきましてまことに恐縮いたします。しかしながら、われわれといえども国民の公僕といたしまして、国民の使用人の一人といたしまして、常にその心がけを十分持つておるつもりであります。しかしながら使用人もしかられ、またほめられ、それによつて初めて国民の皆様と一体となつてつて行けると思うのであります。この気持ちはわれわれ海上保安庁の職員は徹底して持つておると考える次第であります。おしかりはまことにありがとうございまするが、そのおしかりによりましてますます気をつけてやつて行きたいと考えております。  なお今の九州を二つにわけるかどうかということにつきましては、先ほど御答話し上げました通り、われわれとしてはでき得ればそういうことをしたいと考えておるわけであります。しかしながら庁舎の関係、宿舎の関係、その他において実現がまだはつきりできないというところにあるわけであります。御了承願います。
  34. 永田良吉

    永田(良)委員 むろん政府仕事としては予算関係もあります。しかし庁軍いろいろなことをおつしやるけれども、そんなことは問題ではないのじやありませんか。真に自分の仕事を忠実にやろうと思うならば、そういう計画は、大蔵省が何と言つても、五年でも十年でも突き出して行つて、そういう目標を貫徹するような意気をもつてつていただきたい。乱暴な声でありますが、これは広言ではありません。私どももこう申し上げておつて大蔵省にも運動に行つています。悪く解釈してくださるな。声は悪いけれども心はいいのです。どうぞお願いします。
  35. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 お説はよくわかりました。いろいろこれからもご指導を得まして努力して行きたいと考えております。
  36. 永田良吉

    永田(良)委員 これは大事な問題ですが、月島のあそこは元の商船学校のあつた場所です。あそこを、近ごろの新聞で見ると、盛んに返せというような問題が今起つておる。これは私は当然じやないかと思う。大事な海員の養成をなさるのに、清水の方はバラックで困つておる。こういうのはいかがになさるおつもりですか、これもこの際ひとつ御答弁をお願いします。
  37. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 ただいまの月島のお話でございますが、これは多分内閣の保安庁のお話だと思います。私の方は海上保安庁でございまして、ちよつと違いますから御了承願います。
  38. 逢澤寛

    逢澤委員長 熊本君。
  39. 熊本虎三

    ○熊本委員 先ほど正木君からいろいろ御質問がございまして、これに関連する問題でございますが、大体昨日の政府の報告の中にもありましたように、戦後の日本船舶はまことに微弱なるものであつて、それが日本経済再建へどれだけの不利を来しておるかということは、政府みずから認めて説明をされました。これに対して正木君から、第八次造船計画実施について質問をいたしたわけでございますが、これに対して政府はまだ大蔵省との資金関係に基いて、一月か二月というようなことを言つておりますが、なるほど財政逼迫の折からでございますから、いろいろの隘路や困難もあろうかと存じますが、私どもはこういうものはもうすでに今日実施に入つておらなければならないときであると考えておる。従つてそれが今日まで延びておるということは、そのこと自体が政府の怠慢であると考えておるのでありますが、しかしそれはいまさら言つてもしかたがありません。現在資金繰りの関係で問題になつておるというのでありますけれども、それは政府予算の中から——たとえば国鉄裁定の実施についても私は同様意見を述べたのでありますが、一体日本の再建のためにどれが緊要であり、どれが重要であるかというこれらの度合いの比較関係が、資金繰りを左右すると考えております。この意味において先ほどの答弁が、一月ないし二月というような漠然たる答弁でございまして、これははなはだ遺憾と存じておるのでありますが、これはさつそく具体的な方針によつて、いつごろから着手、実行できるという確固たる御答弁が願いたい。それがもしいろいろの事情によつて——不幸何かの支障があるということは別といたしましても、少くともその当局にある者は、かくしていつごろからこうするのだというような答弁はこの機会に願つておきたい、私はさように考えますが、その御答弁ができるかどうかということをお願いいたしたいと思います。  なおもう一点は、米英に比べて非常に材料が高い。従つてそのことのために国際競争ができないということを何回も聞いておりますが、これに対する政府補償制度といいますか、補助政策といいますか、そのことが立案中のようでございますが、いまだ具現の確実性がない。私ども聞くところによりますと、朝鮮動乱の発展に伴つて、アメリカを嚆矢とする軍拡運動がはなばなしく展開された。それが盛んになりまして予算化されるときには、すでにそうしたような見通しの上に立つて、アメリカのごときは資材購入を終つてしまつておる。そのあとから何かたいへんなことになるというので、日本関係者はあわてて材料の契約をする、こういう国際経済の変動に伴うことについてまつたくの無能といいますか、あるいはその判定の誤りといいますか知りませんが、そういうことのためから来る多くの資材価格についての損失があるということを聞いておるのでありますが、はたしてそういうような関連性があるかどうか。そうして今一日わが国の船舶資材が、トン当り邦貨にして二万円からの高価なものを使用しなければならないという、その理由が那辺にあるかを御説明願いたい、かように考えます。
  40. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 御質問の第一の点、私からお答え申し上げます。先ほど私が御答弁申し上げましたのは、今年度造船計画として残つておる五万トン建造を一月ないし二月に実施したいこういうことでございまして、二十七度の計画といたしましては、私どもとして貨物船二十五万総トン、タンカーを十万総トン、こういう計画を立てております。そのうち貨物船の二十万総トンは六月ごろに決定いたしまして、今建造中でございます。タンカーにつきましても六月ごろに三隻を決定して、同時に外資の導入によつて一隻つくりまして、あと四隻残つておりましたのをこの十月に決定をいたしたわけであります。従いまして当初の三十五万トン計画に対してすでに三十万トン建造に着手いたしておるのでございます。あと五万トンにつきましては、その建造すべき時期になつて財政資金のやりくりをしよう、こういう見通しのもとに今日まで来たのであります。その財政資金のやりくりは先ほど申しましたように、十月中旬以降開発銀行に移りましたので、開発銀行の運用資金の中からやりくりして捻出してもらおうというので目下交渉しておりまして、今月中にははつきり見通しをつけて、一月ないし二月には着工できるような運びに持つて行きたい。何分にも大蔵省開発銀行という相手があるものでございますので、その方の算段もございますから、その算段を確かめておる途中であります。来年度計画は先ほども申しましたように、来年度一般予算等にも関連いたしますので、それが確定いたしませんと、私どもの方の計画だけを先にきめるというわけにも行かないのであります。
  41. 甘利昂一

    甘利政府委員 先ほど造船用の鋼材価格が欧州に比べて高いが、どういう理由かというような御質問がございましたが、もちろん一般用の鉄鋼が高い上に、さらに造船用の規格が高いということが原因であります。一般鋼材が高い理由といたしましては、やはり原料であるところの粘結炭、あるいは鉄鉱石の原価が高いということ、あるいは遠距離輸送するために運賃が段高いというような理由もありますが、さらに内地の製鉄設備及び技術の後進性に基くものとわれわれは考えております。
  42. 熊本虎三

    ○熊本委員 第一の質問に対しましての御答弁でございますが、なるほど大蔵省が総合的に予算繰りしておるのでありますから、なかなか運輸省だけの関係でものがきまるとは存じません。しかしながら、先ほど正木君から強く要望されておりますので、重ねて多くは申し上げませんが、われわれから考えますならば、いろいろ日本経済開発の方途に緊要なものがたくさんあるのでありますけれども、その最も重大影響のあることはやはり船腹不足にあるということと、外船受注の関係等と相関連して、日本経済への影響はまことに重大だと考えております。従つてこの問題は一月ないし二月というようなお言葉でございますけれども、先ほどのお言葉にもありましたように、とにかく今年中には具体的な方針が確立いたしまして、ただちに明年早々から着工できるように御努力を願いたい。そうして今造船界におきますところの、ようやくにして緒につき出した企業が、こういうような手違いから、あるいは遅滞から来る混乱を避けるようにしていただきまして、基本的な日本経済の再建への基盤を確立していただきたい、かようなことを希望申し上げておきたいと存じます。  なお船舶用特殊材料の高価な点につきましては、おざなり的な答弁があつたわけでございますが、私の聞き及ぶところによりますと、こういう特殊鋼板のみならず、日本鉄鋼材のはなはだしき価格の相違は、一つの政府の輸入その他の計画方針並びに朝鮮動乱を契機とする国際経済見通しの誤りからいたしまして、そうして一つのその誤りが今日鉄鋼界に重大なる価格差の混乱を呼び起しておる、こういうことを聞き及んでおるわけであります。ここに今資料を持つてつておりませんで、二、三日前にその資料をもらうことになつておりましたが、間に合つておりません、従つてここでお尋ねをいたしておきますことは、そういうような政府の施策——国際経済動向に関する見誤り等があつて、こういうことの現状を呈しておるということではなしに、やむを得ざる現象である、こういうことにはつきりしたお答えが願えるかどうか、その点だけもう一度お伺いしておきたいと思います。
  43. 甘利昂一

    甘利政府委員 先ほどの御質問のうち、日本政府の世界の経済情勢に対処する処置が誤つておつたために、高い材料を買つておるのじやないかというような御質問でございましたが、これはおそらくそうではないと思います。戦後の日本の立地条件と思しますか、そういう点から従来近くから鉱石なり鉄鉱石を運んでおつたのが、戦後遠くから運ばなければならなくなつたという情勢に基くものと考えております。
  44. 熊本虎三

    ○熊本委員 はつきりお答えございましたので、私資料を提出してくれるというものがありましたけれども、遂に間に今わなかつたのでありますから、本日のところは御答弁をそのまま受取ります。但し私にもし入手さるべき資料の中で、ただいまの答弁に間違いがあるといたしますれば、次の機会に十分なる責任をとつていただくように今からお願いをしておきたいと存じます。  なお先ほどの説明のございましたこれらの差額金に対する当局の特別処置、たとえて言いますれば、資材の米英との比率の差額金に対する補償の問題、さらに金融処置に関する金利の差額の問題、これらの二つの問題は、われわれまだ研究の足りないところもございまするが、はたして政府説明のごとき状態にあるならば、これはあえて先ほどから言われておりますような処置も、緊急にあわせ含めて二十八年度計画は確立されて行かなければならない、かように考えておりますので、たとえば差額金の問題については、いささか見通しがあるようであるが、利子差額についてはまだ何かはつきりしたことがないというような正木君への答弁のように考えましたが、この点についてもう一度御答弁を願い、さらに一、二のことを承つておきたい、かように存じます。
  45. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 外国海運と比較いたしました場合、日本海運の不利な点といたしまして船価が高い、それから金利が高い、これが二つの大きなポイントでございます。それで船価が高い主要な原因は、先ほど船舶局長から話がありましたように、鋼材価格が高い。この鋼材価格の高いことにつきましては、運輸省としては英国あたりと比較しての鋼材価格差額を補給したいというのでございますが、これはまだ成立はしていない。それから金利の点につきましては、御承知と思いますが大体日本の船会社が市中の金融機関から借ります場合に、一割一分以上である。それから財政資金が七分五厘である。大体平均いたしますと一割近くなる。英国あたりではこれが二分五厘ぐらい、しかも英国の船主は非常に蓄積資本を持つておりまして、大部分が自分の金でこしらえて、他から借りる金というのはごくわずかです。従つて造船ではその競争力を比較いたします場合に、その金利の点における競争力というものは比べものにならないほど日本が悪い。たとえば今新造いたしまして、その船を北米と日本の小麦輸送に配船するといたしますと、日本の船の運賃の原価に相当するもの、これが大体十二ドル七十セント、ところが英国船の場合は全部二分五厘の金を借りてつくつたといたしましても、九ドル二十八セントぐらいで、非常な差がある。その金利がどのくらいの負担になるかと申しますと、日本船は金利だけで四ドル二十セントからの負担になる。英国船ですとこれが一ドル二十セント、この金利だけで運賃原価が三ドル、日本の金にしまして千円違うわけで、非常に大きな不利になります。これを少しでもカバーしたいので、今後の新造船につきましては、財政資金を従来四割程度融資率でございましたのを七割に上げる。七割に上げますと、財政資金の利率が七部五厘でありますから、その面だけ助かる。それから市中から借ります金利も、船会社の負担が七分五厘になるように、市中金利とその七分五厘の差額の三分八厘くらいを政府が補給する、こういうことであります。今度の補正予算では、その利子補給の点を大蔵省話合いがついて、目下国会の承認を求めているような次第でございます。そういたしますと、今後の新造船は金利が七分五厘になりまして、従来よりも大分軽くなりますが、これだけでもまだ英国あたりに及ばぬ。従つてもつともつとその政策を強化しなければならぬという声が非常に強いのでございますが、一面において日本の国家財政の現情からいつてそう一度に無理なことは言えない。運輸省としては第一段階として、一応その程度政策で満足せざるを得ない。なおその上世界海運の推移を見て、この海運政策を強化するようにしたい、かように考えております。
  46. 熊本虎三

    ○熊本委員 大体御答弁の趣旨はわかります。ただ、こういうところで申し上げてもしかたがありませんが、私も大蔵省の金利調整委員を三年もやつて日本の市中銀行がいかに横暴であり、私利本位であるかということについては、まことに憤慨にたえないことがありまして、ずいぶん私もどなり散らしたこともありますが、そういう関係から行きますと、彼らの暴利の前に国家補償をして、金利の差額補償するということは、根本的には賛成ができませんが、しかしながら造船計画の円滑なる進捗のためには、さような措置もまたこの際やむを得ないか考えております。従つてそれらの措置に対して当局が大いにお骨折りを願つているということは、さしあたりの問題といたしまして、感謝にたえないと考えます。従つて価格の点につきましても、もしそれが私の聞いているような形における材料価格の差違があるとしまするならば、当然政府はこれが責任を負うべしと、こう言いたいのでありますが、そうじやないとのお答えでありますから、きようのところは、当局のお骨折りによりまして、五万トン計画の本年度内の建造につきましても、さらに二十八年度計画に現われておりまする造船計画につきましても、円滑なるこれの進捗のために、最大なる御奮闘を願いたいということで、私のきようの質問は終りたいと存じます。一般海運問題につきまする大臣への総合的な質問は保留いたしておきますから、その機会にはまた発言をさせていただきまするよう、お願いをいたしておきます。
  47. 田原春次

    ○田原委員 漁船の規格統一の問題では、運輸省力と水産庁方と、馬力、トン数等でわかれておるのでありますが、実際持つているものから行きますと、地方において、修理その他の上において、規格統一がないためにかえつて不便をしておる、これを統一すべきだと思いますが、運輸省あたりはどういう考えを持つておりますか、一応承つておきたい。
  48. 甘利昂一

    甘利政府委員 ただいまの御質問は、漁船の規格統一運輸省規格統一が違つてつて、非常に不便だ、こういうふうな御質問だと思いますが、運輸省としましては、別段漁船について規格統一はいたしておりません。これは水産庁の関係だと思いますので、それだけお答えいたしておきます。
  49. 田原春次

    ○田原委員 いや、それは、水産庁の方は漁船の二十トン以下でしたか、二十トン以上は運輸省船舶局でやつておつたと思いますが、そうでなかつたのですか。
  50. 甘利昂一

    甘利政府委員 規格統一はいたしておりません。
  51. 田原春次

    ○田原委員 それではそれはまたあとにしておきまして、次は南方における沈船の引揚げ交渉はどういうふうになつておるのですか。この点をひとつ伺います。
  52. 甘利昂一

    甘利政府委員 南方の委任統治領における沈船の引揚げに関しましては、これらの沈船が大部分外国の領域内にありますので、現在においてはわが国の所有とはなつておりません。この問題につきましては、ことしの春ごろ、これらの沈船の引揚げに関しまして国際入札があつたのでありますが、その当時わが国の有力なるサルベージ会社七社がこれに参加いたしまして一応入札はいたしたのでありますが、その後落札者の決定もなくそのままに放置してあります。いろいろ連絡いたし結果によりますと、入札の問題についていろいろ難がありましたので、さらにあらためて近々再入札をするというふうな報告が先般外務省を通じて米国の方からございました。
  53. 田原春次

    ○田原委員 モーターボート・レースの競争会が地方にだんだんできておるのでありますが、政府の報告によりますと、収入金を上げておるようでありますが、その使途は何に使つているのか、明示してもらいたい。
  54. 甘利昂一

    甘利政府委員 それはモーターボートの法律に規定してありますように、売上高のたしか七五%が返却の金でありまして、残りの二五%のうち、たしか三%が国庫に納める金であり、あと残りの一七%が地方の施行者に納め、五%が競争会に納めるようになつていると記憶いたしております。詳しいことは後ほどまたもう一ぺん調べて申し上げます。
  55. 田原春次

    ○田原委員 そのパーセンテージの表は、私は拝見したのでありますが、私のお尋ねしたのは、国庫に繰入れたものはどういうふうに使つておるのか、目的を指定しておるのかどうか。
  56. 甘利昂一

    甘利政府委員 別段目的を指定して使つておりません。一般会計に繰入れておるわけであります。
  57. 田原春次

    ○田原委員 この種の収入というものは、やはり目的を指定して使うべきものだと私は考えるのであります。たとえば海上勤務者の遺家族の援護、あるいは老齢退職海上勤務者の養老資金というようなものに充つべきものである。たとえば競輪、競馬等の上納金の用途を見ましても、主催地の市役所等において特定の目的に使つておるのであります。漠然と国庫に納入するというようなことにしたのは手抜かりではないか、こういうように海上関係の厚生資金に充つべきものであると思うが、それに対する御意思があるかどうかということを伺いたい。
  58. 甘利昂一

    甘利政府委員 地方の競走会あるいは地方の施行者に入る金は、これら地方の公共団体のいろいろな学校の校舎の建築あるいはその他の土建作業等の公共の目的に使われておりますが、国庫に入る金は、先ほど申し上げましたように、別段ひもつきになつて、その用途を指定いたしておりません。ただわれわれといたしましてはモーターボート競走はわが国における小型船舶ないし小型舶用機関の技術の向上に資するという趣旨の目的が書いてありますので、別途予算措置としてこれらの技術向上に役立つような、あるいは技術奨励金であるとか、あるいは助成金であるとか、そういうもので、別途予算をとるべきものであると考えてあります。
  59. 田原春次

    ○田原委員 この政府から出ましたいろいろな説明案見ますと、商船高等学校は全国でわずかに六校でありますが、何ゆえにこれを北海道、九州、三陸方面につくつていないのか。それから将来つくる計画があるのか。できないのはどういうところに理由があるのか。卒業生の就職の問題であるとか、船舶建造の問題であるとか、いずれにいたしましても日本の将来といたしましては、相当これはふやすべきものと思うのでありますが、今日そこまで至つていないのはどういう理由であるか、お尋ねしたい。
  60. 武田元

    ○武田政府委員 商船高等学校は現在文部省の所管となつておりますので、その問題につきましては文部省において検討されておることと存じます。今までわれわれの聞いておりますところでは、従来の歴史を重んじて、現状のようになつておるそうでありますが、なおその問題につきましては、文部省においていろいろ考えておられるように伺つてあります。
  61. 逢澤寛

    逢澤委員長 ただいまの田原委員の御質問関連したことにつきまして、委員長から武田政府委員に尋ねたいことがあるのです。船員学校のことは文部省へ移管したから、文部省で所管しておりますから、運輸省政府委員としては所管外であるからわからないというような言葉のように聞えたのですが、これはもともと運輸省が所管ておつたもののように私は記憶しておるのだが、当然将来卒業した学生は、運輸省の職員として活動せなければならぬものだと思う。従つて先ほど来委員諸君からもしばしばお話がありましたように、熱意のある方法をとらねばならぬ立場にあるように考えるのです。現在所管が違うから、そこまで手が届かぬと言われればそれまでのようにも考えられるが、出た学生を受ける立場におる局長としては、もう少ししつかりした要望がなくてはならぬと思うのです。それに対して関心を持つておられることがあれば、ひとつこの機会に説明していただきたいと思います。
  62. 武田元

    ○武田政府委員 お答えをいたします。ただいまの委員長のお言葉はごもつともでございます。商船高等学校あるいは商船大学は昨年文部省へ移管と相なりましたけれども、それらの卒業生につきましては、卒業後はその大部分は商船に乗船をいたすわけでございますので、運輸省の船員行政とはきわめて密接なる関係を持つておる。それで実は運輸省内に教育審議会というものを設置いたしまして、その審議会におきまして船員の教育一般につきまして運輸大臣が諮問いたしまして、いろいろ船員の教育の重要事項について審議をいたす、また必要な場合には建議をいたして参る、こういう機構もございます。その船員教育審議会委員の中には、文部省の学術局、中等教育局長委員として参加を願つておりまして、その審議会におきまして大学、商船高等学校、それから普通海員学校、あるいは船員の再教育機関でありまする海務学院等、船員教育全般につきまして、重要事項につきまして審議を願うようなことに相なつております。その機関を活用いたしまして船員教育全般につきまして、運輸省といたしましていろいろと研究をいたしたいと存じております。
  63. 田原春次

    ○田原委員 その場合でも私の特に尋ねたいのは、九州に学校がないのはともかく、四国にもない、北海道にもないのはどういうわけかということです。文部省にまかしてしまえば、あとはそれでよいという意味ですか。将来こういうところにつくつて、その地方々々に長年歴史を持つた般乗りがおるのでありますから、その子弟を海上生活者とし、それに相当の教育を授けるのは当然と思いますが、どういうお考えですか。
  64. 武田元

    ○武田政府委員 運輸省所管の学校といたしましては、九州には唐津海員学校、それから門司の海員学校を持つております。それから四国には香川県に粟島の海員学校を設けております。なお九州には、運輸省といたしては、来年度におきまして口之津に一校を増設いたすべく計画をいたしております。
  65. 田原春次

    ○田原委員 明神礁の胎動爆発で調査に行きました乗組員、田山博士以下のその後の遺族に対する処置等はどういうふうになつておりますか、お伺いいたします。あれはたしか気象観測船かなんかだつたと思いますが……。
  66. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 明神礁におきましてなくなられました田山博士ほか三十二柱につきまして、その後政府といたしましてはできる限りの処置をとつております。たとえば昇給その他につきましてもできる限りの昇給をいたしますし、なお雇員等でおられました人々は、これを任官をさせるというような手段を講じまして、できるだけ有利に処置するように進めておるわけでございます。しかし現在におきましては、これらの人々の死亡の認定ということが、大体三箇月後でないとはつきり死亡と認定できない事情にありますので、本月の二十四日が参りますと満三箇月と相なります。それによつて死亡認定が可能な状態になる。このときにおきまして退職資金その他を公傷として高い率をもつて支給をいたすというふうに考えております。しかしながらこれらの人々の中には、退職資金だけで生活が可能でない方々もおられるので、これらの人々に対しましては、海上保安庁としてはでき得る限りの就職のあつせん、あるいは遺家族の人で働ける方々があれば、その方々に働いていただくというような処置をとり、民間の人々の御協力を得まして、会社その他でその御遺族が働き得る場所を選定いたしまして、それらによつて将来小さな子供が大きくなるまでの間暮して行けるという方途が、大体目安がついた状態になつて来ております。
  67. 田原春次

    ○田原委員 大体そういう方針で行くことを望みますが、遺族にとつてはおそらく金銭にかえがたき悲しみ事でありますが、せめて先般もくせい号遭難によつてなくなつた乗客に対しては、最低百三十万円ずつかの弔慰金があつたと思いますし、それからまた今後日本海運立国、水産立国といつたような見地から見まして、田山博士のようなかえがたき学者を失つたことは確かに不用意でありまして、少くともああいう場合には、二班以上が集まつて行くべきであつたと思います。今これを言つても間に合いませんが、願わくは死亡認定がありました後に、少くとも民間会社の航空会社で弔慰金を贈つた以上のことを考慮する、並びに今おつしやつたように、遺家族の将来に対しましても、十分就職その他の世話をすることは、今後においてもやはり海上勤務者にとつて必要なことであります。この点を希望してこの問題は打切ります。  次にお尋ねしたいことはシー・スカウト、海上少年団あるいは海洋少年団、陸上のボーイ・スカウトにつきましては、だんだん各地にできております。海洋少年団のうわさはちらほら聞くだけでありまして、まだ全国的になつておりませんが、私は特に海浜に住でんおる子供たちには、海洋思想の普及のために、このシー・スカウトの急速なる発達は望ましいと思う。これは政府でやるべきものではなく、民間で自発的に起るべきものでありまするが、なおしかしながら政府としてはどういう考えを持つておられるかということ、並びに戦前にありました海洋少年団のような、必ずしも侵略主義、軍国主義一点張りのものではなくて、海上生活者の子弟を海に親しませるという意味でいいと思う。これに対して何か考えがあるかどうか、この際承りたいと思う。
  68. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 海洋少年団につきましては、われわれ政府といたしましては、これに直接何らタッチしておりません、しかしながらわれわれといたしましては、やはり海に関係ある人間といたしまして、国民特に少年の方々が海を知り、海を愛するようにという平和的の意図を持つておられることは、御説の通り最も正しい考えであるという考えを持つております。現在保安庁といたしましては、この海洋少年団のシステムというものをよく研究して見ておりますが、現在は金森先生がその会長をやつておると聞いております。従つてこれらの人々の指導精神を伺つておりますると、従前の海洋少年団の行き方とは違い、非常に平和的な行き方をとつておられるように見受けておる次第であります。そこで海上保安庁といたしましては、運輸本省と協力いたしまして、これらの人々が海に親しむ機会を得るために、ヨットその他を使うこともありますが、巡視船その他を見学したいというような場合には、その時日を打合せて便宜をはかるという程度のことをやり、また講演その他を頼まれた場合には海の知識の徹底及び海上保安庁及び運輸省における業務の内容の理解に努めるというような意味を持つて説明を職員にさせるというようなことをやつており、これが助長に対しまして、われわれとしても一役を買つておるという状態になつておる次第でございます。
  69. 田原春次

    ○田原委員 次は南方遺骨引取りの問題に関連してのことでありますが、先般来海外戦没者慰霊委員会といつたようなものができまして、南方各地——北方も入りますが、キスカ、アツツ島を含めて、ラバウルからサイパン、テニヤン、グアム、上西ニューギニヤ沿岸ヤップ島その他各地に、推定十五万柱くらいの戦没者の遺骨がそのままになつておるのでありまして、これは遺族にとりましても、まことに身を切られる思いがし、またわれわれ友人、知人等の中にも非常にこれを引取りたいという希望があるのであります。民間ではようやくそういう団体ができたのでありますが、結局はこれは船の問題と、外交的折衝によりまして、それらの外地に立ち入ることが許されなければならぬ、両方兼ねて行かなければならぬと思うのでありますが、遺骨引取りのために船を提供するようなことができぬものであるかどうか、お尋ねしたいと思います。但し規模は、これはところによりまするし、太平洋を越すのでありますが、到着地における接岸設備がないために、むしろ機帆船等でよろしくはないかという話もあります。近くそういう問題が具体化して来るのでありますから、そうなつた場合の運輸省側としての態度を伺つておきたいと思います。
  70. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいまの御質問につきましては、運輸省といたしまして十分厚生省と連絡をとりまして、船の点について遺憾のないようにいたしたいというので、随時連絡をとつておるような次第であります。できるだけのことはいたしたいと思つております。
  71. 田原春次

    ○田原委員 実際問題といたしましては、運輸省の所有船なり、あるいは各商船学校の練習船等いろいろ考えられると思いますが、できるだけ御便宜を願いたいと思います。  次は運輸省に働いております職員の待遇の問題であります。たとえば国鉄の問題は、いずれ国鉄裁定の実施等によつて、他の委員会の機会もありますのでこれをのけまして、全海事職員組合協議会、全国でわずか二千数百名の職員で、しかも各地に分散して勤務しておるような人で目立つておりませんが、同じくこれは運輸省内の職員であり、またそれぞれ重要な仕事をやつておる人たちである。それにもかかわらず生活は御承知のように待遇がよくないので、現在要求を進めておるのでありますが、官庁の職員であります関係上、ストライキその他の手段ができないのであります。どうしてもその衝に当るものが、下級職員の生活のことを本人以上に考えてやらないとできないことでありますから、最近要望されております待遇の問題について、どういう程度まで進んでおるのか。また実際予算の獲得等どの程度できておるのか。見通しを聞かしていただきたいと思います。それに含めて地方の正式の名前を今ちよつと記憶いたしませんが、運輸省の第何々港湾作業部と申しますか、門司その他の港湾でやつております職員の人の待遇、あわせて方針を聞かしていただきたいと思います。もしきようでなければ、明日でもよろしゆうございます。
  72. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいまの問題につきましては、運輸次官並びに運輸省の官房で取扱つておりまして、ここにおります私どもといたしましてお答えする責任者でございませんので、それらの責任者が出ました折に御答弁させていただきたいと思います。
  73. 田原春次

    ○田原委員 ではこれはそういう関係で責任者が出席したときに譲りまして、一応私の質問を打切ります。
  74. 逢澤寛

    逢澤委員長 次は吉川君に発言を許します。
  75. 吉川大介

    ○吉川(大)委員 この機会にごく簡単に一、二質問いたしたいと思います。  日本経済自立は、貿易の振興にまたなければならぬことはいまさら申すまでもありませんが、それについては港湾の整備強化が必要であることもまた言をまたないのであります。しかるに今日までの政府のやり方を見ますと、港湾に対する関心がはなはだ少いように考えられるのであります。今後この港湾の整備強化について、当局は何か新たなる計画等をお持ちでありますかどうか。また今後やられる方法等につきまして、具体的な案がありましたらお聞かせを願いたいと思います。
  76. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 お答えいたします。港湾の公共事業の整備につきましては、従来他の一般公共事業に比しましてその重要性にもかかわりませずに、いろいろな事情でわくが非常に少かつたのでございますが、来年度予算におきましては、この公共事業費のわくを増大することを関係方面に折衝をいたしておりまする一面におきまして、港湾施設でありながら、埋立地とか、上るいは荷役機械、上屋のような荷さばき施設はでき上つた後の収益があるために、公共事業費の国の補助の対象になつておらないのであります。これらの港湾の施設につきましては特別措置考えまして、目下港湾整備特別措置法案というものを関係方面と折衝を続けております。これは今申しましたように、港湾の施設であつて国の補助の対象になつていない。しかもでき上つた後には三年なりあるいは十年の期間に償還ができて、相当港湾の近代化なり合理化に役立つ施設でありますので、政府財政資金をこれに導入いたして、いわば特別会計をつくりまして、その特別会計によつてこれらの港湾の施設を整備して、経済の発展をはかつて行きたい。このために来年度におきましては三十一億、それから二十九年、三十年におおむね二十九億の予算を計上いたしまして、三箇年の合計九十一億を港湾整備特別措置といたしまして、現在法の準備を進めております。と同時に政府財政資金の特別の措置を、関係方面に折衝いたしておりますような現状でございます。
  77. 吉川大介

    ○吉川(大)委員 終戦以来日本海に投下された機雷等のために非常なる危険があつて、航海にも不安を感じておる。これに対して掃海されて、先般も安全宣言等を発せられてやや安心の体でありますが、しかしながら冬期に入りますると、浮遊機雷等がしばしば流れ、あるいは沿岩に流れ着くような危険があるのであります。聞くがごとくんば、政府においてはこの警戒のために、日本海方面にヘリコプターを配置されるようなことを聞いておりましたが、これもどうやらさたやみになつたとのうわさがあるのでありますが、われわれの考えをもつていたしますれば、特にこの日本海の危険を防ぐために、そういう設備あるいは警戒が必要だと思うのでありますが、これについてどういうことになつておりますか、この点をお伺いしたい。
  78. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 日本海の浮遊機雷についてでございますが、お説の通り冬期に入りますと日本海には、北鮮なりその他の方面から浮遊機雷が流れて来るわけであります。この浮遊機雷は、大体におきまして繋留機雷が流れる。繋留索が切れましたときには安全装置で安全になるわけであります。しかしながらなかなか安全装置がきかないというものもございます。従つて危険性のあるものが相当流れるというふうに考えられるわけであります。これに対しまして海上保安庁といたしましては、冬期に入ります以前、毎年対策委員会を設置いたしまして、それによつて日本海方面の船艇の配置をかえて増強いたしまして、それによつて安全を期しておるわけであります。一昨年は相当機雷が流れましたが、幸いにして昨年は非常に減つて来たので、今年も今の状態では昨年くらいではないかというふうに考えられる状態でございます。しかしこれは今後のいかんによつてふえるかもしれないということで、十分な警戒をしておる状態であります。これらの警戒につきまして、昨年は海上保安庁に航路啓開部というものがございまして、機雷の処理をやつておつたのでありますが、この一部が内閣の保安庁の第二幕僚監部に入つた。従つて現在海上保安庁といたしましては、漂着しました機雷の処置内閣の第二幕僚監部の方で処理するわけでありますが、海上に浮遊しておるものを発見し爆破するのは、海上保安庁でやることになつております。しかし第二幕僚監部の方も船艇を持つておりますので、これらと協力してやるという状態になつておるわけであります。これらは各地におきまして連絡して、昨年同等あるいは昨年より以上の警戒網を張つておる状態でございます。  なお御質問のヘリコプターでございますが、ヘリコプターにつきましてはぜひこれは必要なものというふうに考えまして、相当の時間がかかりましたが、今回提出して御審議を願つております補正予算には、これを計上してございます。この補正予算通りましたならば、ただちに購入できる態勢を今整えておる状態であります。
  79. 吉川大介

    ○吉川(大)委員 日本海方面にも最近とみに外国船が来ることが多いのでありますが、しかるところ新潟港にいたしましてもあるいは伏木にいたしましても、検疫所がないために、新潟もしくは伏木その他に入る外国船が一たんこの検疫を受けるために、遠く六連あるいは函館に寄らなければならないというような現情でありますが、こういうことは非常に不便を感じ、また費用等においてもかさんで、貿易の進展を阻害する一つになると思いますが、少くとも日本海に一箇所くらいはごの検疫所を設けるべきだと思いますが、はたしていかがでありますか。またこれはあるいは予算等の問題でなかなか容易でないという話も聞きますが、それはたとえば新潟には大学もあり、あるいは大きな病院の設備もありますから、こういうものを利用して検疫をただちにやるような方法はありませんか、また考え等をお伺いいたしたいと思います。
  80. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 検疫所は厚生省の所管でございまして、私どもなぜ裏日本に検疫所が現在設置されてないか、詳しいいきさつは知りませんが、私ども海運所管の官庁といたしましては、十分関心がございますので、厚生省によく連絡いたしまして、その設置方を促進するように努力いたしたいと、かように思つております。
  81. 吉川大介

    ○吉川(大)委員 先ほど海上保安庁の庁の数の問題でありますが、海運局は現在十箇所あるようでありますが、私ども見るところによりますと、その配置所管の区域等において、非常に不合理の点があると考えられるのでありますが、当局ははたして現在で御満足なさるつもりでありますか、また将来に対する御意見等を伺いたいと思います。
  82. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 海運局の現在の配置につきましては、いろいろの沿革理由がございまして、現在のようなところにおちついておるのでございます。必ずしも合理的と思われない節もございますが、なかなかこれが変更はいろいろな事情で容易ならざる点があるのでございます。私ども機会あるごとにその合理的配置を考えておりますが、目下のところこれをどうするか、どう変更するかという具体的な考えは持つておりません。もう少し事態の推移その他を十分考えました上で、適当な機会に処理すべきものは処理したい、かように考えます。
  83. 吉川大介

    ○吉川(大)委員 この港湾の整備強化という問題と関連するのでありますが、今日特定重要港の指定等がありますが、日本海においては一つもこの特定重要港の指定がない。しかるに現在新潟港のごときは、最近とみに貿易が盛んになりまして、現在特定重要港の指定を受けておる清水あるいは四日市と比較して、本年度の成績あるいはより以上に出ておるのじやないか考えられます。なお近き将来に開かるべく予想される中共貿易その他の関係から見まして、今日日本海において特にその新潟港のごときは、特定重要港とさるべき最も有力なる一つだと考えておるのでありますが、これについてのお考えいかがでありましようか。
  84. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 ただいまお話のように新潟の港が最近港湾の施設、特に浚渫の強化をいたしまして、最近油船あるいは鉱石船の一万トン級の入港を見るようになりましたことは、まことに私ども港湾に関係しておる者といたしましてうれしく存じておる次第でございます。日本の特定重要港湾といたしましては、港湾法によりまして京浜港——これは東京、横浜、川崎をくるめた京浜港と、それから清水と名古屋と四日市、それから大阪、神戸、関門——関門は若松を含めております。おおむね港の数にいたしますと八つになるのでございますが、この特定重要港湾は、戦前に申しておりました第一種重要港湾にも匹敵するものでございまして、戦前の第一種重要港湾は横浜市、神戸、関門、敦賀であつたのでございます。特定軍要港湾といたしましては、この日本産業なり貿易に非常に経済上重要な地位を占めますと同時に、国際航路の要衝に当つておるというようなことが、一応考えられなければならないかと思います。また接岩の施設にいたしましても、一万トン級の航洋船の接岸延長が一千メートルぐらいどこの港でもあるのでございます。清水にいたしましても、四日市にいたしましても、おおむね一万トン級の船が六隻以上の接岸が可能なのでございます。そのほか貿易量におきましては、新潟は最近相当進展いたして来ておりますけれども、これらの港に比べますとなお多少の懸隔があるのではないかと思います。貿易量等におきましては、一例を申しますと、和歌山県の下津等は油船が入ります関係で、年間二百数十万トンの貿易量があるのでございますが、これらも国際航路の要衝に当つておらないために、特定重要港湾にはなつておらないのでございます。しかしながら日本海の港も将来港勢が発展いたしまして、相当な貿易額があり、また日本海における各国との貿易が盛んになりました場合には、それらの事情考えまして特定重要港湾に指定することも可能であろうかと存じます。
  85. 玉置信一

    ○玉置委員 先ほど吉川委員から御質問になりましたことに関連して、黒田港湾局長ちよつとお聞きしておきたいと思います。港湾と鉄道はわが国の産業資源の開発、産業進展の基礎的大きな役割を果しておることは言うまでもないので、従つて政府におかれましても今日非常な努力をされておることは、特に所管省の担当者でありまする黒田局長が、来年度予算編成期にあたりまして苦心、努力されてあることは、私どももよく了承いたしておるのでありますが、国家財政の都合もありましようが、年度計画より、どうしても予算が極端に削減されておるという実情を見まして、来年度予算決定までの過程においても相当紆余曲折があるのじやないか相当努力を必要とすることはもちろん、この点はもつとも政府当局ばかりでなく、私ども委員の側においても努力しなければならぬことはわかりますが、そこでお伺いいたしたいことは、二十五年度、二十六年度予算要求に対して大蔵省から削減された率、それによつて計画の面に支障があつたとするならば、どういうことが一番大きかつたか。港湾の数においてどれだけ当初の計画よりはずれたかということ、重要港湾あるいは港湾等におきましての継続予算の面に関するものは、もちろんオミットされることはなかつたでありましようが、新規計画をもつて予算要求する場合に、相当その面からオミツトされたものがあろうと思うのです。こういう事情をこの機会にお伺いしておきまして、明二十八年度予算計上の面において、私は相当考慮もし、お手伝いもしなければならぬのじやないか、こういうような考えを持つておるのでありますが、この場合忌憚のない御意見を伺つておきたいと思います。
  86. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 港湾予算のことにつきましては、いろいろと御鞭撻を賜わりましてまことにありがたく存じております。港湾の公共事業費といたしましては、各年度おおむねきまつた額の四倍くらいを要求いたしておるのでございます。来年度予算を例にとつて申し上げますと、ことしは七十二億の港湾公共事業費の予算を実施いたしておるのでございます。これに対しまして二百六十二億の予算要求いたしておるのでございます。この今年度予算の七十二億のうち、災害復旧費が二十八億でおおむね四割程度、残りの六割が港湾の施設の改良なり、あるいは増築という方面に振り向けられておるのでございまして、私ども常にこの予算の獲得にはあらゆる努力を傾注し、また関係方面に要請をいたしておるのでございますが、いろいろな都合で毎年要求額のおおむむ四分の一程度で、各地方のご熱意を満たし得ない現状でございます。地方港湾について一例を申し上げますと、地方港湾と申しますのは、日本の港湾が三千ほどございまして、そのうち六百程度運輸大臣が指定いたしまして、指定港湾としてありますが、これらを地方港湾と言つております。なおそのほかに六十数港の重要港湾があるのでございますがこれらおよそ六百の地方港湾のうち、現在実施しております港湾は百九十近くございます。毎年新規に港湾の施設を要望されて来る港が百前後あるのでございますが、毎年そのうち実現を見まするのは十数港でございまして、各地方の熱望があらゆる方面から出ておるのにもかかわりませずに、その率は一割五分ないし二割という程度実現しか見ておらないのでございます。この点私ども今後地方の発展のために、あるいは離島の連絡なり、あるいは小型船の避難、稼行率の向上のために、地方の港湾を整備して行くことに、今後一層努力を続けたいと思つておるのでございます。重要港湾につきましても、その事業量はおおむね要求量の四分の一程度で実施しておるのでございまして、これらにつきましても、現在実施しております額の三倍ないし四倍程度があれば、ある程度やはり日本経済の発展上、その必要性が満たされるのではないか、かように考えておる次第でございます。
  87. 玉置信一

    ○玉置委員 これは昨日御説明なつたこと以外のことでありますけれども、きわめて重要なことでありますので、この機会にお伺いしておきたいのですが、御承知のように今日なお北方におきましてもまたは朝鮮近海におきましても、ソ連ないし朝鮮に拿捕される船が頻発しておるようでありますが、北方のマ・ラインがとれました今日において、拿捕されておるこの実情は一体どこにあるのか。かつてのマ・ラインをソ連側がなお固持して、その線を越えたという見解のもとにやつておるのであるかどうか、また朝鮮は御承知のように李承晩ラインといつて、かつてに向うさんだけできめたので、私はあれは国際法上有効のものでないという考え方を持つておるのですが、この方面において拿捕されておる実情はどうであるか。それからこれは農林省所管になりまするが、今日までトロール船等の拿捕によつて、乗組員である従業員がソ連地区に抑留されておる間の給与等は、船主が出せないために、非常に困つておられる。これを先般立法措置をもつて、保険に準じまして、給料にややひとしいものを出して、生活の保障をいたすようになつたわけでありますが、とられた船の損害補償というようなものは一体どうなつておるか、これはおそらく農林省所管であろうと思いますが、関係官庁としての横の連絡がなくてはならぬと思うのでありますが、その連絡の上に立つて、どういうことをお聞きになつておりますか、また漁船以外の拿捕されておる船が今日まであつたかどうか、将来これらの取締りに対しての方針いかんということにつきまして御答弁を得たいと思います。
  88. 山口傳

    山口説明員 まず御質問の北方における拿捕の状況でございますが、終戦後ひんぴんとして拿捕事件が起つたのでございますが、その後本年の平和条約発効後、なおかつその問題が継続いたしておりました。それでこの問題に対して去る五月の閣議で、これが対策といたしまして、北方水域に対しましても海上保安庁の巡視艇を特別に哨戒させることに相なりまして、現在のところ常時あの水域に二はい程度巡視を実施いたすように手配をいたしております。このようにして巡視艇が出ましてから後は比較的拿捕が少くなつております。これは北方における特有の現象でございます。いかなる意図に基いて減少したか、的確に判断はつかないのでありますけれども、幸い今年に入りまして、ことにこの巡視艇が出るようになりましてから、比較的北方の拿捕は減つておるわけでございます。いろいろの情報よりますと、こちらの巡視艇は御承知の通り現在のところ火器は持つておりません。海上保安庁という行政機関として、平和的に日本の漁船が操業の統制を守るように監視かたがた行つて、何か事故がありましたときにはそれが保護に立つというような建前で行つておりますので、その辺のことが相手のソ連側にわかつたのかしれませんが、比較的向うの監視艇と接触する場合もございますが、それが巡視艇との間にトラブルを起さずにわかれておるような状況でございます。事件がごく最近あつたようでございますが、約半年間というものはほとんど拿捕事件がなかつたというのが北方の実情でございます。ところがわれわれの方の巡視艇はそういう方面に出て行きました場合には、実力としては持つておりませんので、拿捕された場合には、なるべく事前に拿捕にならないように、向うの領海を侵すようなことがないようにという点を指導しまして、万一拿捕事件でも起りもしたら、なるべく円満に行きますように、どういう地点で、どういう内容であつたかということを復命することに今日では努めておるほかはないのでございます。  次に朝鮮海域の問題でございますが、この方面も先ほど申し上げた閣議決定の場合に、朝鮮水域に対しましても二隻ないし一隻、常時巡視艇も哨戒できるように手配をいたしました。むろん水産庁はこの朝鮮海峡の方に監視船を重点的に配置しておりますから、あちらの方では三隻ないし四隻くらい出ておると思いますが、ただいまのところ巡視艇としては東支那海へ特別哨戒に出る二隻が往復ともに朝鮮海峡の哨戒をし、それから現在ではさらは舞鶴方面から特別にこのために朝鮮海峡の方へ哨戒に出るようにいたしております。それで朝鮮海峡の方におきましては、最近非常に重大な問題が起つておるわけであります。お話の李承晩ラインというものは、御説の通り国際法上から見ては何ら根拠がないと日本政府としては認めまして、これは私どもとしても問題にいたしておりませんが、その後お話の防衛水域の問題が現在では非常に深刻な問題になつて来まして、日本の漁船としましては済州島の周辺あるいは朝鮮の南方の東海岸、この方面に非常に魚がおるわけでございまして、どうしてもそこへ行きたいということでございましたが、この防衛水域が設定されましてから、この防衛水域の性質と申しますか、あるいはこれによつて受ける打撃がどういうふうになるか、取締りをどうされるのかという点につきまして、宣言そのものでははつきりわかりませんので、いろいろその後アメリカ大使館を通じまして、国連軍側にも、これの性質あるいはまたこれが日本の漁船にとつては致命的な打撃で、もしも日本の漁船の当該海域に入ることを禁止するということであれば、きわめて重大な影響がございますので、その間非常にデリケートでございますが、向うの宣言では国連軍の作戦行動の遂行に阻害を与えない限り入り得るのだ、また各国の漁船もしくはその他の船舶の航舶の航行とうものは、ただいまの作戦行動の遂行に阻害がない限り許されるのだ。それは公平に取扱うのだというお話でございますけれども、事実におきましては、今どういういきさつか知りませんが、国連軍の船もしくは韓国の艦艇と思われるものから立ちのきを命ぜられたり、翼撃を受けたりして困つておりますので、これらが防止につきまして、せつかくただいま外務省が非常に苦心して交渉いたしておるわけであります。保安庁の巡視艇が出ておりますが、これらの仕事の執行の仕方はただいまここで申したと同じことでありまして、実力をもつて防止するというようなこともできませんので、随時日本の漁船が拿捕されるような、いわば向うの本来の領海に入るようなことがないように、またいろいろと無電による連絡等によりまして、極力事実上の不当行為にあわないように指導をするよりほかやむを得ない状態でございます。それから不幸にして拿捕された場合に、その損害についてどうするかということでございますが、お話の通りこれは水産庁の方でやるわけでございますけれども、先般、拿捕事件がふえましたので、過去三年くらいの実績を前提として一種の保険ができておることは御承知のことだと思いますが、あれは相互保険式になつておりますが、これらについてもつと国として、何らかそれに幾らか金を援助したらどうかという御意見もむしろ出ておりまして、目下水産委員会でもこの問題が議論されておるようでございます。私どもも水産委員会の方へは、この防衛水域に関する問題につきましてはその都度列席させられまして、いろいろと聴取しておる次第であります。
  89. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 これはあるいは総合的に研究すべき問題かと思うのですが、海技専門学院が、終戦後ただちに神戸商船学校の施設を継承してできたのですが、その後になつて神戸商船大学ができ、大学というものが海員養成の上に十分な権威を持つものだと一般は思うであろうと思うのでありますけれども、それに航海訓練所が必要だということは別としまして、海技専門学院というものがどうしても必要なのかどうか。一方では十分に設備すべきものもできない。ちようど帯に短かし、たすきにどうというようなぐあいで、両方はんぱなものにできるようになつてもいけない。ほんとうに運輸省として、海員を養成する上についての欠陥を指摘して、こうせねばならぬという信念があるだろうと思う。戦前においては、陸軍の幼年学校の問題で文部省とあれだけ問題を起したり何かしておつた。それと類似のようなぐあいに、海技専門学院を出た者が何か特別に重用されるというような考えを持たせてもいけないと思うのであります。運輸省方面に関係の学校だからというぐあいに、人情としてちよつと思います。就職の上その他について、親の方から言うたならば、あつちの学校にどうだというようなことは、どうしても人情として起り得ることなんです。文部省の方だからどうだと、今委員長が指摘されたようでありますが、これについての信念をお聞きしたい。海員養成の上について、海国日本としてほんとうに必要である。けれども文部省に預けておいたのではこれはだめだ、あれだけのものではいけないというのか。もつともここに通信教育部というものが一つありますけれども、その他については、こういうことは商船大学の方でできないのかどうか。二つあるのを一つにして経費を十分にする方が、完全な教育ができはせぬかというようなことも考えなければならぬことだ。これはもつと文部省当局も総合的に大きく考える必要もあろうと思う。海国日本としての将来の海員養成の上についての信念をお聞きしたい。
  90. 武田元

    ○武田政府委員 海技専門学院は船員の再教育機関でありまして、これは現在船会社に勤務中の船員の全般の技術の向上と、上級免状取得のため必要な再教育、それから通信教育を行つております。昨日も御説明申し上げましたように、現在わが国の第一線に立つております船員は、戦時中に急速に養成されました船員、あるいは終戦後におきまして不十分な教育を受けましたものが非常に多くを占めておる。これらの船員の再教育をいたしまして船員の素質の向上をはかり、そうして船舶の事故の軽減をはかり、運航技能の向上をはかるということは、わが日本海運現状にかんがみまして最も緊急を要する措置であると考えておるのであります。運輸省の所管しております船員行政といたしまして、わが国の状況ににらみ合せまして船員の需給の調節をはかるということが、船員行政の一つの大きな使命でございます。絶えず船員の需給の状況をにらみ合せまして、新たに船員を養成することに併行いたしまして、既成船員の再教育に力を入れたい。船員の養成というものは非常に長期の時日を要するものでございまして、船腹がふえるに従つてただちに短期に船員を養成してこれを乗船せしむるということは不可能でございます。新たに船員を養成するためには、ことに高級船員につきましては非常に長期の時日を要するのでございますが、船腹の増加に対応し得ないというような場合には、この再教育機関の円滑な活用によりまして、既成船員の再教育をいたしました者を、船腹の増加に応じて供給するという再教育の仕事は、きわめて重要なことであり、また海運行政と船員行政をあわせ主管しております運輸省において施策を行うことが、最も必要のことと考えておるのであります。これを要しまするに運輸省といたしましては、船員の再教育機関は運輸省で行うべきものであり、またこれはきわめて重要なことであると考えております。従いましてこの神戸の海技専門学院につきましても、現在お話のように商船大学と同じ場所に併置されております。そうしてその点に非常な不便があり、また十分教育の目的を達しがたい点が種々あるように認めておりますので、将来におきまして何とかこの点は解決をはかりたい。それについて目下具体的に施行すべき具体案を研究しておるところであります。
  91. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 しかし運輸省としては、文部省の問題に立ち入ることは、御説明されぬのがほんとうでありましようけれども、われわれとしては、両方をしつかり聞いてからでないとできないわけでございますから、運輸省で育てる者は運輸省で使うのだというような考えになつていかぬと私は思う。運輸省で育てるものじやなくて、大きく海国日本の将来の第一線に立つ者を養成するのだという見地に立つて私らは見なければならぬ。政治家として見れば一ぺんきめたものだから両方が放したくないということは——これは少し過ぎた言葉かもしれませんが、そういうことがあり得るのだ。ことにこれは二十年四月に神戸高等商船学校を継承したものである。商船大学やなんかは文部省に移管した。けれども、文部省の商船大学やその他の施設でほんとうの海員を養成するに足らないという批評はできますが、それならば文部省の商船大学というのは何か、最高学府だなんて言つたつてつまらぬものだということにもなるだろうと思う。これは相当研究の価値ある問題だと思いますから、特に委員長はこの点に御留意くださつて、もう少し徹底した海国日本の第一線に立つ海員養成の信念に立つて教育せんければならぬと思いますから、御答弁はこれでよろしゆうございますが、あとは委員長におまかせをしたい。われわれ政治家として、海国日本の上からもう少し考えなければならぬのじやないか、これだけを申し上げておきます。
  92. 逢澤寛

    逢澤委員長 御意見は私も同感であります。ひとつこれから皆様方のお知恵を拝承いたしまして、根本的に研究を遂げたいと思います。  ほかに御質疑の方はございませんか。——なければ、本日はこの程度といたしまして、明日は午前十時に開会することにいたし、これにて散会いたします。     午後四時十二分散会