運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-07-11 第13回国会 参議院 労働委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年七月十一日(金曜日)    午前十一時四十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中村 正雄君    理事            安井  謙君            波多野林一君            村尾 重雄君    委員            石川 榮一君            上原 正吉君            九鬼紋十郎君            一松 政二君            小林 政夫君            早川 愼一君            菊川 孝夫君            重盛 壽治君            櫻内 辰郎君            堀木 鎌三君            堀  眞琴君   国務大臣    労 働 大 臣    厚 生 大 臣 吉武 惠市君   政府委員    労働省労政局長 賀来才二郎君    労働省労働基準    局長      亀井  光君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巖君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   —————————————   本日の会議に付した事件労働行政の実情に関する調査の件  (神奈川カーボン会社ストに関す  る件)  (花王石けん会社ストに関する  件)  (奈良郡山井上繊維産業株式会  社の不当労働行為の問題に関する  件) ○労働関係調整法等の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○地方公営企業労働関係法案内閣提  出、衆議院送付) ○労働基準法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 只今より開会いたします。議題に入ります前に、重盛君と菊川君から発言の通知がございますので、許可いたします。
  3. 重盛壽治

    重盛壽治君 労政局長でいいと思うのですが、神奈川県に神奈川カーボンという工場があつて、それがストに入つております、そのストに対して、資本家側は、いわゆるスト破りをさせるために暴力団々雇つて暴力行為によつてスト破りをやつておるということでありますので、これをこの労働委員会で取上げて、調査してもらいたいという要請があつたのですが、私が期間がなくて、正式に委員長のほうに通告しておかなかつたのですが、そういう問題があるので、その点に対してどういうことになつておるか、御存じなら教えてもらいたい。又わかつていないならば、至急に機関を通じて調査し、できるだけの善処方をお願いしたいと思います。  それからもう一点、東京の墨田区の花王石鹸ストをやつて、その結果不当馘首、百何名の不当馘首をやつて労働委員会に提訴し、労働省にも口頭でこれは善処方を要望しておつたのでありますが、それの結果がどうなつておるか、御存じならば御答弁願いたい。この二点を伺いたい。
  4. 賀来才二郎

    政府委員賀来才二郎君) 二つの事件につきましては、先ず神奈川県のカーボン会社のことにつきましては、まだ報告を受けていないのでありますが、若し事実といたしますれば、甚だ遺憾でありますので、神奈川県をして至急調査報告をいたさせまして、善処いたしたいと考えております。  花王石鹸の問題は、御指摘のように、当時注意がありまして、我々といたしましても、東京都の協力を求めまして、これが処置について善処方を要望しておきましたのです。その後東京都からは、更にもめているような報告もございませんので、労働省といたしましては、一応かたがついたと、かように考えておりますが、なおその後の状況につきましては、調べまして御報告を申上げたいと思つております。
  5. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 簡単に労働大臣一つ御質問申上げたいのですが、これは、私かねて労政局長まで参考の資料を提出いたしまして、調査並びに解決につき努力方を申出ておつたのでありますが、それは奈良県の生地の郡山町の井上繊維産業株式会社、ここの工場におきまして労働組合を結成いたしましたら、翌日組合長以下全員に解雇の通告があつて、そうしてこれが不当労働行為であるというので、裁判沙汰にもなり、一方においては、労働委員会にも提訴されておるが、未だに解決がつかない、而もこの井上繊維産業責任者は、聞くところによりますると、まあ政党的な立場から行きますると、今の労働大臣ともお心やすいようなことも聞いております。従いまして、勿論この会社は一方におきましては繊維産業の今の不振ということも一つの原因になつておる模様でありまするけれども、何と申しましても、ああいう地方におきまして、小さい町で労働者が解雇されるということになりますると、失業問題がすぐ起つて参りまして、これが延いては社会不安ということにまで発展いたしますので、こうした小さいところこそ何とか解決するように一つ努力政府のほうでも一つ親身になつて努力願うようにしなければならんと思いますので、幸いこれが解決できたならば、今の労働委員会に提訴しておるのも双方から取下げをして、円満解決をするということになつたら、誠に仕合せだと思いますので、幸い労働大臣がこの責任者と、どうも聞くところによりますると、政党的に考えても、どうもお心やすいようでございますので、一つそういつた意味解決をやる御意思があるかどうか。この書類はすでに労政局長まで出しまして、その調査方についてもお申出でがありますので、これについて労働大臣として御答弁願います。
  6. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 御指摘井上産業についての不当労働行為の問題は、すでに労働委員会においても取上げて、さように決定なつたように聞いております。なお従つて裁判の判決もあつたかに存じておりますから、それぞれ適当な措置が行われると思いますが、お話のような善後措置につきましては、私は井上さんを知つておりますから、御趣旨に副つて善処いたしたいと、かように考えます。   —————————————
  7. 中村正雄

    委員長中村正雄君) それでは労働関係調整法等の一部を改正する法律案地方公営企業労働関係法案労働基準法の一部を改正する法律案、以上三案を議題といたします。以上三案に対しまする質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。労働関係調整法等の一部を改正する法律案労働基準法の一部を改正する法律案及び地方公営労働関係法案についての各派共同修正案委員長の手許に提出されておりますので、この際專門員に朗読させます。    〔磯部專門員朗読〕    労働関係調整法等の一部を改正する法律案に対する委員会修正案   労働関係調整法等の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  (一) 第一条の一部を次のように修正する。  第八条の次に一条を加える改正規定中の第八条の二第一項中「特別調整委員を置く。」を「中央労働委員会にあつて労働大臣が、地方労働委員会にあつて都道府県知事がそれぞれ特別調整委員を置くことができる。」に改める。  第十八条第五号を改め同条に二項を加える改正規定を次のように改める。  第十八条第五号中「運輸大臣」を「運輸大臣。以下同じ。」に改める。  第三十一条の次に四条を加える改正規定中の第三十一条の五の次に次の改正規定を加える。  第三十二条中「労働委員会」を「仲裁委員会」に改める。  第四章の次に一章を加える改正規定中の第三十五条の二を次のように改める。第三十五条の二 内閣総理大臣は、事件公益事業に関するものであるため、又はその規模が大きいため若しくは特別の性質の事業に関するものであるために、争議行為により当該業務が停止されるときは国民経済の運行を著しく阻害し、又は国民日常生活を著しく危くする虞があると認める事件について、その虞が現実に存するときに限り、緊急調整決定をすることができる。   内閣総理大臣は、前項決定をしようとするときは、あらかじめ中央労働委員会船員法適用を受ける船員に関しては、船員中央労働委員会。以下同じ。)の同意を得なければならない。   中央労働委員会は、前項規定により同意を求められたときは、その同意をするかしないかを遅滞なく決しなければならない。   第二項の中央労働委員会同意は、これを支持する公益委員が五人以上ある場合でなければこれを決することができない。   内閣総理大臣は、緊急調整決定をしたときは、直ちに、理由を附してその旨を公表するとともに、中央労働委員会及び関係当事者通知しなければならない。  第四章の次に一章を加える改正規定中の第三十五条の三第一項中「第二項」を「第五項」に改める。  第三十七条の改正規定を次のように改める。  第三十七条を次のように改める。 第三十七条 公益事業に関する事件につき関係当事者争議行為をするには、その争議行為をしようとする日の少くとも十日前までに、労働委員会及び労働大臣又は都道府県知事にその旨を通知しなければならない。   緊急調整決定があつた公益事業に関する事件については、前項規定による通知は、第三十八条に規定する期間を経過した後でなければこれをすることができない。  第三十九条から第四十一条までの改正規定を次のように改める。  第四十条及び第四十一条を次のように改める。  第四十条 第三十八条の規定違反があつた場合においては、その違反行為について責任のある使用者若しくはその団体労働者団体又はその他の者若しくはその団体は、これを二十万円以下の罰金に処する。   前条第二項から第四項までの規定は、前項の場合に準用する。この場合において同条第三項中「十万円」とあるのは、「二十万円」と読み替えるものとする。  第四十一条 削除(二) 第二条の一部を次のように修正する。   第二条の改正規定中の第二条第一項第二号イ中「郵便年金事業」の下に「(これらの事業を行う官署が行う、日本電信電話公社国際電信電話株式会社及び日本放送協会から委託された業務、印紙の売りさばきに関する業務並びに年金及び恩給の支給その他国庫金受入払渡に関する業務を含む。)」を加える。   第十六条及び第十七条の改正規定を次のように改める。   第十六条中「公共企業体」を「公共企業体等」に改め、同条に次の一項を加える。  3 前項規定により国会に付議する場合には、政府は、国会承認が得られるように、でき得る限りの措置を講ずることに努めなければならない。   第十七条中「公共企業体」を「公共企業体等」に改める。   第三十八条の次に三条を加える改正規定中の第四十条を次のように改める。   (他の法律適用除外)  第四十条 一般職に属する国家公務員労働関係その他身分取扱に関する他の法律規定で、第八条の規定による団体交渉又は労働協約に対する制限となるような規定は、第二条第二項第二号の職員(第四条第一項但書規定する者を除く。)についてはこれを適用しない。 (三) 第三条の一部を次のように修正する。   第二十七条第一項の次に二項を加える改正規定中の第三項中「必要があると認めたときは」を「、又は職権で」に改める。 (四) 附則の一部を次のように修正する。  附則第一項中「昭和二十七年七月一日」を「公布の日から起算して一箇月をこえない期間内において、政令で定める日」に改める。  附則第八項から第十項までの規定中「昭和二十七年八月三十一日」を「この法律施行の日から起算して六十日を経過する日」に改める。  附則第十二項中「七月三十一日」を「この法律施行の日から起算して三十日を経過する日」に改める。  附則第十三項中「八月二十日」を「この法律施行の日から起算して五十日を経過する日」に改める。  附則第十六項中『「附則第一項但書の日」』を『「附則第一項但書の日の経過した際」』に、「昭和二十七年八月三十一日」を「この法律施行の日から起算して六十日を経過する日」に、「七月三十一日」を「この法律施行の旧から起算して三十日を経過する日」に、「八月二十日」を「この法律施行の日から起算して五十日を経過する日」に改める。  附則中第二十五項、第二十六項、第三十項及び第三十一項並びに第三十二項中第四条第十五号の次に一号を加える改正規定を削り、第二十七項を第二十五項とし、第二十八項を第二十六項とし、第二十九項を第二十七項とし、第三十二項を第二十八項とし、第三十三項を第二十九項とする。   —————————————   地方公営企業労働関係法案に対   する委員会修正案  地方公営企業労働関係法案の一部を次のように修正する。  第一条を次のように改める。  (目的)第一条 この法律は、地方公共団体の経営する企業の正常な運営を最大限に確保し、もつて住民の福祉の増進に資するため、地方公共団体の経営する企業とこれに従事する職員との間の平和的な労働関係の確立を図ることを目的とする。  第二条中「地方公共団体の経営する企業における労働関係に関与する関係者」を「この法律に定める手続に関与する関係者」に改める。  第三条第一項に次の一号を加える。  七 前各号の事業の外、地方公営企業法昭和二十七年法律第号)第二条第二項の規定に基く条例の定めるところにより同法第四章の規定適用される企業  第七条第二項中「組合」を「労働組合」に改める。  第八条第一項中「これを当該地方公共団体議会に付議して、その承認」を「その協定が条例にてい触しなくなるために必要な条例改正又は廃止に係る議案を当該地方公共団体議会に付議して、その議決」に、「締結の日から十日」を「締結の日から起算して十日」に改め、同条第二項を削り、同条第三項中「第一項」を「前項」に改め、同項を第二項とする。  第九条第二項を削る。第十条第二項中「締結の日から十日」を「締結の日から起算して十日」に改め、同条に次の一項を加える。 4 第二項の規定により地方公共団体議会に付議する場合には、当該地方公共団体の長は、議会承認が得られるように、でき得る限りの措置を講ずることに努めなければならない。  第十一条第一項中「また、職員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、又はあおつてはならない。」を削る。  第十二条第一項中「、直ちに」を削る。  附則第六項を次のように改める。 7 公職選挙法昭和二十五年法律第百号)の一部を次のように改正する。   第八十九条第一項第五号を次のように改める。   五 地方公営企業労働関係法     (昭和二十七年法律第 号)    第三条第二項に規定する職員で、政令で指定するもの 8 地方公務員法の一部を次のように改正する。   附則第七項中「第二十項及び第二十一項に規定する職員を除き、」を削る。   附則第二十項及び第二十一項を削る。  附則第五項中の第四条の改正規定中「地方公営企業労働関係」を「地方公営企業労働関係法昭和二十七年法律第 号)に規定する労働関係」に改め、第七条の改正規定中「(昭和二十七年法律第 号)」を削り、同項を第六項とし、附則第四項を第五項とし、附則第三項の次に次の一項を加える。4 地方公務員法昭和二十五年法律第二百六十一号)第五十七条に規定する単純な労務に雇用される一般職に属する地方公務員であつて、第三条第二項の職員以外のものに係る労働関係その他身分取扱については、その労働関係その他身分取扱に関し特別の法律が制定施行されるまでの間は、この法律を準用する。この場合において、第六条、第七条、第十条、第十三条及び第十六条中「地方公営企業」とあるのは「地方公共団体」と、第十四条及び第十五条中「地方公営企業労働関係」とあるのは「附則第四項に規定する地方公務員労働関係」とそれぞれ読み替えるものとする。   ————————————— 労働基準法の一部を改正する法律案に対する委員会修正案  労働基準法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  第七十条第二項の改正規定の次に次の改正規定を加える。  第七十六条第一項の次に次の二項を加える。   使用者は、前項規定により休業補償を行つている労働者同一事業場における同種労働者に対して所定労働時間労働した場合に支払われる通常賃金の、一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの各区分による期間(以下四半期という。)ごとの一箇月一人当り平均額(常時百人未満労働者を使用する事業場については、労働省において作成する毎月勤労統計における当該事業場の属する産業に係る毎月きまつて支給する給与の各四半期労働者一人当りの一箇月平均額。以下平均額給与という。)が、当該労働者業務上負傷し、又は疾病にかかつた日の属する四半期における平均給与額の百分の百二十をこえ、又は百分の八十を下るに至つた場合においては、使用者は、その上昇し又は低下した比率に応じて、その上昇し又は低下するに至つた四半期の次の次の四半期において、前項規定により当該労働者に対して行つている休業補償の額を改訂し、その改訂をした四半期に属する最初の月から改訂された額により休業補償を行わなければならない。改訂後の休業補償の額の改訂についてもこれに準ずる。   前項規定により難い場合における改訂の方法その他同項の規定による改訂について必要な事項は、命令で定める。  第七十一条第一項の改正規定、同条第三項の改正規定、第七十三条の改正規定及び第百十九条第四号の改正規定を削る。  附則第一項中「八月一日」を「九月一日」に改める。  附則中第五項を第七項とし、第四項を次のように改める。 4 改正後の労働基準法第七十六条第二項及び第三項の規定は、この法律施行の際同条第一項の規定による休業補償を受けている労働者についても適用あるものとし、且つ、その労働者につき左の各号の一に該当する事由があるときは、使用者は、左の各号の区分によつて当該各号に定める比率に応じて休業補償改訂し、昭和二十八年一月から、改訂された額により休業補償を行わなければならない。  一 常時百人以上の労働者を使用する事業場において昭和二十二年九月一日から昭和二十六年三月三十一日までの間に業務上負傷し、又は疾病にかかつた者については、昭和二十七年一月から三月までの平均給与額が、その負傷し又は疾病にかかつた日の属する会計年度において当該労働者同一事業場同種労働者に対して所定労働時間労働した場合に支払われた通常賃金の一箇月一人当り平均額(以下本項において会計年度における平均給与額という。)の百分の百二十をこえる場合は、その比率二 常時百人以上の労働者を使用する事業場において昭和二十二年九月一日から昭和二十六年三月三十一日までの間において業務上負傷し、又は疾病にかかつた者で前号の場合に該当しないものについては、昭和二十七年七月から九月までの平均給与額が、会計年度における平均給与額の百分の百二十をこえる場合は、その比率三 常時百人以上の労働者を使用する事業場において昭和二十六年四月以後において業務上負傷し、又は疾病にかかつた者については、昭和二十七年七月から九月までの平均給与額が、当該労働者の負傷し、又は疾病にかかつた日の属する四半期平均給与額の百一分の百二十をこえる場合は、その比率四 常時百人未満労働者を使用する事業場において業務上負傷し、又は疾病にかかつた者が、前各号に該当する場合においては、命令で定める比率  五 日々雇い入れられる者については、命令で定める比率 5 労働者災害補償保險法昭和二十二年法律第五十号)の一部を次のように改正する。   第十二条第三項の次に次の一項を加える。   第一項第一号の規定による災害補償については、政府は、労働基準法第七十六条第三項又は第三項に該当する事由がある場合には、同条第二項及び第三項の例により、その休業補償費の額を改訂して支給する。 6 改正後の労働者災害補償保險法第十二条第四項の規定は、この法律施行の際同条第一項第二号の規定による休業補償費を受けている労働者についても適用あるものとし、且つ、その労働者につき、この附則第四項各号の一に該当する事由があるときは、政府は、同項の例により、その休業補償費の額を改訂して支給する。
  9. 中村正雄

    委員長中村正雄君) それではこれより以上三法案につきまして、御意見のおありのかたは修正案をも含めて賛否を明らかにして、順次討論を願います。
  10. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私は社会党の第四控室を代表しまして、労調法等の一部を改正する法律案、それから地方公営企業労働関係法案並びに労働基準法の一部を改正する法律案に対しまして、委員会修正案及び修正部分を除いた原案に賛成いたします。簡単に賛成の意見を申述べたいと存じます。  私が賛成すると申しましても、実は原則的にはやはり労調法労働組合法労働基準法等のいわゆる労働三法は今直ちにこれは改正するべきでないし、又改正する必要を認めないのであります。と申しますのは、何と言つても、この三法は、これはまあ慣習法で、長い間の労使の経験を生かして逐次こう、その経験法律化せられて行く、こういうコースを辿らなければならんと思うのであります。それから現在の三法は、これは占領軍の指導に何と言つても私は負うところが多いと思います。これを独立日本人みずからの手で一つ、みずから運用してみた上で、欠陥があつたならば逐次改正して行く、こういう方向をとつて行かなければならないのにかかわらず、独立後直ちにこれらの法律改正するということは少し早計に過ぎるのではないか、かように私考えるわけであります。で、今次の改正の焦点は、何と申しましてもあの二・二ゼネストの際に発せられましたマツカーサー命令に代るものを何らかこれは用意しておかなければならん。少し争議が大きくなりますると、従来はこのマツカーサー元帥命令を援用して、或いはマーカツトの声明といつたようなものから争議解決という端緒を見出すことが、占領下における一つのまあ慣例のようなことになつてしまつておる。これでは困る。確かに自主的にこれは解決するようにしなければならん。併しそれはいろいろのケースが一つの慣行となつて、こういう解決が最もいいのだというところから私は立法されて行くべきであるし、現在あの二・一ゼネスト当時のようなストライキが起り得るという、今直ちに起るというような情勢にもないし、だからと言つて労働大臣が言うように、必ず絶対に起らんという保証も勿論ありませんけれども、これは常識判断から考えても、そんなものはないと思います。併し急いでそれに対する対抗策としてこの緊急調整というものを企図されたのは、明らかにこれはマツカーサー元帥命令に代る何らかの強権処置政府としては必要とした、こういう意図の下に私は出されたと言つて過言ではないと思うのですが、今そういう情勢がない。先ほど申上げましたように……。従つてこれを急いで、こういう緊急調整というようなものを設けることは、徒らに私は労働組合側を刺激いたしまして、むしろ平地に波瀾を起すという結果になるのではないかということを最も恐れるのであります。率直に申しましてストライキもやれないような労働組合なら、これはあつてもなくてもいいんだというまで私は極言しても差支えない。ストライキというものは、これは労働組合がある以上は、いつかはこれはストライキが起るのでありまして、むしろアメリカのほうにおきましては、官公のストライキにいたしましも、或いは今行われておりました鉄鋼のストライキにいたしましても、日本労働組合ストライキと比べました場合に、その規模におきましても、到底比較にならないのであります。而もアメリカにおいて行われた大規模ストライキが、長期に亙つて行われましても、決してアメリカ民主主義が後退するどころか、前進しての一歩々々を辿りつつあると言つて過言ではないと思うのであります。にもかかわらず、日本においてあれに比較するような大きなストライキは今までにあつただろうか。成るほど新聞にはそれぞれストライキを伝えられまして、記事を賑わしたようなことがございますが、実質的にあのような大きなストライキがあつただろうか。又現在起り得るだろうか。而も今日本労働組合の主流は、殆んど民主主義の上にこれを理解して、成るべく民主主義を前進しようということに努力をいたしております。日本の現在において、ああいう大きなストライキをやつた場合に、国民生活に重大な脅威を与えるということは、労働者みずからも知つております。従いましてその限界をよくわきまえた上で、争議行為もなされておる。従いまして極めて常識の上に立つた私は労働争議日本においては行われておる。これは勿論一部には当然共産党の労働争議を利用しての暴力革命を前進しようという動きは全然ないということを否定するものでありますが、それに左右されないまでに、日本労働組合はすでに成長しておるということを申上げても過言でないと思います。又申上げ得ると思うのであります。一部においては、最も好ましくない事件も極く少し起り得るか知れませんが、それは問題にならないと思うのであります。従つてこの際に刺激を与えて、むしろ平地に波乱を起すようなこの緊急調整という条項は暫く出すべきではなかつたと思うのでありますが、政府のほうでは、どちらかというと、幻影におびえたというような恰好からお出しになつたと思うのでありますけれども、従つてこの点が我々としてはどうしても承服できないものでありまして、併しながら当委員会におきまして、各委員かこの問題については真剣に論議し、且つ又検討し、今の国内情勢に合致するような修正案を作成いたしまして、全員の一致の結論を得ました。これは我々としては必ずしも満足すべきものではなしに、むしろ不満足であつて、不要だとは思いますが、併し政府の原案よりもたしかに現在の情勢に適するものである。かような見解の上に立ちまして、この点について賛成する次第なのであります。  なお又公共企業体労働関係法並びに地方公営企業労働関係法案、この二つの法律に律せられるところの労働組合をもこれは含めまして、労働三法の適用を受けるようにするのが常道ではなかろうか。この公共企業体労働関係法はそもそも占領下の落し子でありまして、どうせ労働組合として承認する、認める以上は、これは労働三法を適用するのが常道であろうと思います。確かにこの占領下の落し子をそのまま残して行くというよりも、速かなる機会におきまして、労働三法の適用をするという方向に私は向うべきであると考えます。と申しますのは、労働委員会でその調整を行う一方、労働三法の適用を受ける組合労働委員会において争議の起つた場合の調整を行う。ところがこの公共企業体労働関係法においては特殊な仲裁委員会並びに調停委員会等を持ちますが、それは徒らに複雑にするだけではなかろうかと思います。従つて公営企業並びに公共企業におきましては、その公益性を確保するというところにおいて、或る程度の除外例を三法の中に設けまして、そしてその他はすべてこの三法を適用するとこういうふうにして、而もその調整は、争議関係の調整等はすべて労働委員会において一本に調整するようにしたほうが正しいのではなかろうか。特に今回政府は、この法律案をお出しになる際も、労働関係調整法、それから公共企業体労働関係法、労働組合法、この三つを一つ法律案として労働関係調整法等の一部を改正する法律案としてお出しになつたのは、これは一貫した労働関係の調整を明らかに、そういう関連を明らかにする意味においてお出しになつたと言われておつたことから見ましても、この三法を適用するというのはやはり正しい、そうすべきであるというふうな考え方もあつてのことだと私は思うのでありますが、この三法を一つにまとめて、等の一部を改正するとお出しになつたことを裏から見ますならば、これは又見方もございましようけれども、これは、私はこの際にはもうそのことを申上げなくて、むしろこれは調整はすべて一貫した関連の下においてやろうという意図があるのだということをこの際は申上げまして、公共企業体労働関係法、並びに地方公労法等の適用を受ける労働組合は、速かなる機会に、労働三法の適用を受けるように、而も公益性はその特別の条項を一項設けまして、そうして公益を守るという方向に進めるように、将来これは速かに検討に入られるように要望して、そうしてこの公共企業体労働関係法の一部を改正する法律案に賛成するものでありますが、特にこの際申上げておきたいのは、公共企業体労働関係法の十六条の規定でございますが、これは公共企業体労働関係法が施行されましてから、特に仲裁委員会の裁定が下されました際に、いつも仲裁裁定の効力、それから国会の権限、これらについて学者の間に、或いは労働組合運動の実際家の上にも意見が対立いたしまして、未だに統一した意見というものが見出だされておらない。勿論政府には政府の見解がございましよう。併しながら必ずしも学者の間に本当にまあこう行くべきであるというような意見にはなつておらず、むしろ政府の見解に対して反対の解釈をする。別にこれは左傾の、いわゆる共産党の学者というような意味ではなしに、むしろ本当に中立的な、穏健な学者でも、政府の見解に反対の意向を表明しておる人は多いのであります。従つて、今回の改正を行うに当りましては、この点に対して明確なる、いわゆる法律上の異議が将来に起らないように私は改正すべきであろうということを委員会においても質問も申上げ、且つ主張をいたしたのであります。併しながらこの点において政府の見解と多少対立いたしまするし、今の国会の勢力分野、参議院の政治的立場を異にする会派の勢力分野から考えまして、我々の主張をそのまま入れることができなかつたことは極めて遺憾でありますが、少くとも現行法よりも一歩前進したところの修正案が当委員会において一応きまり、全員一致ででき上りましたので、この意味におきまして、現行法より一歩前進であるという意味におきまして、私は賛成をいたしたいと思うのであります。速かなる機会において、我々労働委員会といたしましても、これらの特別立法によつて律せられる労働組合に対して、三法適用のために今後とも研究し、努力を重ねたい。かように考える次第であります。  地方公営企業労働関係法につきましては、残されました、この適用を受けない単純労務者につきましても、労働省としては、あとで速かに単純労務者については何らかの立法処置を講ずるのだという労働大臣の言明もございましたけれども、併し当面空白のような状態になつております。従いましてこの点を何らか解決しなければならんというのは、当委員会の大多数の委員諸君の一致した見解でありまして、幸いにいたしまして、今回修正案を作るに当りまして、これら単純労務者に対しましても、当面地方公営企業労働関係法適用するという修正案ができましたので、この点からも一応満足いたしまして、この点については、一応政府原案よりもいいという意味におきまして、この修正案に賛成する次第であります。  次に労働基準法の一部を改正する法律案につきして、これは中央労働基準審議会の議を経て労働省において立案されたものであると聞きますので、まあ我々も異議なく賛成いたしたいのでありますが、そのうちでも申上げたいのは、この年少者を坑内労働に従事させる場合に、技能養成者として従事させるのに、今まで十八歳未満の者はさせることはできなかつたのでありますが、今度の改正で、これを十六歳まで年令を引下げるという改正案につきましては、将来これが惡用される危新があります。勿論一流の炭坑、或いは金属鉱山等におきましては、これら十六歳以上の技能養成者を坑内において労働させる場合には、決してその本当の意味の坑内夫として養成するよりも、坑内夫の指導者、或いは技術要員を養成するという意味において、私はこれらの人たちを見習者として坑内に入れてやらせましよう。併しながら、中小炭坑や、或いは中小鉱山へ参りますると、必ずしもこの法律の意図するような運用がされないのではなかろうか。現に隠れて、基準監督署の監督の目を逃れて、こうした年少者を本当の一人前の坑内夫と同様な労働をさせているということが、こういう中小鉱山がなきにしもあらずだと思います。従いまして、これがルーズになりました場合には、非常に年少者の坑内労働、それから世界の水準等から考えまして、又日本のチープ・レーバーということが大きな世界的な問題にまで発展する危新があると思います。で、将来この運用につきましては、基準監督局は申すに及ばず、労働省全般としても十分な監督の目を光らせて頂きたい。又我々委員会といたしましても、機会あるたびにこれらの運用がうまく行つているかどうかということは調査しまして、そうして労働省に対してはどしどし意見を申述べて、その運用の正確適正を図りたい。かように存じておる次第でありますが、この点を特に強調いたしまして、労働基準法の一部を改正する法律案、この法律案に対する委員会修正案、並びに修正部分を除く原案に賛成する次第でございます。  甚だ簡単でございますが、幸いにいたしまして、当委員会におきまして、全会一致で以て委員会修正案がまとまりましたので、言うべきことを成るべくこの際は差控えまして、幸いにして全会一致の修正案がまとまつた以上、ただ特に申上げなければならない点だけをかいつまんで申上げ、そうして賛成の討論といたす次第でございます。
  11. 早川愼一

    ○早川愼一君 私も緑風会の労働委員といたしまして、修正案、並びに修正部分を除く原案に対しまして賛成をいたします。  現在の労働界の情勢を見まして、その基本的態度につきましては、それぞれ若干の立場が違う意味におきまして、異なつた見解を持つております。と申しますのは、いわゆる日本独立しまして、これからいよいよ従来のような占領軍の指導とか援助がなくなつた場合、従来の労働政策が或いは二・一ストの時に発せられましたマツカーサー書簡とか、或いは又政令の三百五号とか、いろいろの占領軍の指示、指導によりまして労働界が発達をして参りまして、さて独立をいたしました場合に、果してこのままの現状でよろしいかどうかということを静かに考えますと、先ず第一に、マツカーサー書簡の企図しているもの、或いは又政令三百五号というようなものが、すべて占領政策上の必要によつて制限せられたものであるとは私どもは考えない。従つてそれらに対する補完、補充的な法律改正はそれを認めざるを得ないという立場に立つておるのであります。問題になります緊急調整のごときは、本来言いますというと、我々はこれを以て果して独立後の労働界の全般を規制することに十分であるかどうか。これはいろいろ労働法自体の範疇内で規定するかどうかということは議論がありますが、いわゆるゼネスト禁止というような問題についても、我々としては、今後の労働情勢について、これを安心できるというような点は何も認められないのであります。そういうような観点から言いますというと、問題になつている緊急調整すら、すでに我我としては相当の議論を持つておるのであります。  それからなお第二には、公務員の一部に、いわゆる現業職員に対しまして公労法並みの扱いをする、或いは地方公務員に対して公務員並みの、いわゆる地方公労法によりまして団体交渉権を与えるというような問題になりますというと、これは先ほどのお話にありました、原則として労働三権があるかどうかということになりますと、我々は必ずしもそれに賛成はできないのであります。そもそも国家公務員法という規定ができまして、一般職、特別職と区別して、およそ国家に奉仕し、又国家がその給与を支払つておる職員というものは、すべて地方公務員もその範疇に属して、それらの身分保障或いは福祉の増進というものは、一切この国家公務員法並びに地方公務員法によつて保障されておるのであります。従いましてこれは理論的に申しますれば、公務員という特殊な立場、即ち国家なり地方公共団体に奉仕しているという立場を考えますというと、完全なる労働三権があるかというような議論はおよそ成り立たないんではないかと思います。併し政府はこの点について一歩前進をされました。従つてこの点については、私ども必ずしも、基本的には、これは公共企業体というようなものになりました場合のことは従来の扱い通りでよろしうございますが、国家公務員という身分をそのまま置きまして、労働関係を規制して行くということは、両方に跨つていろいろ紛更を生ずると思うのであります。この点は必ずしも賛成できないのであります。併しながら一歩退きまして、今回労働委員会におきまして、各派がおのおのの立場を捨てて、共同の修正ができ上つたというようなことは、これは非常な大きな特筆すべき問題でありまして、特に破防法のあとに、こういうようなことが起きるということは、私どもも誠に今後の労働政策の上に、必ずやいい、理論上の問題を超越して、実際上の非常な獲物があつたと信ずるのであります。特にこの各条につきましては、もうこれを触れることを避けまして、緊急調整の問題につきまして、我々のまだ依然として心配に堪えませんことは、今回の修正案によりまして、総理大臣の申請によりまして、総理大臣の要求によりまして中央労働委員会において同意を与える。この点につきましては、中央労働委員会の構成そのものから判断いたしまして、緊急の場合の機動的な運営が果して可能なりや否やということに一抹の不安を持つておるのであります。勿論この第二項でありましたか、三項でありましたか、前項同意を求められたときは、遅滞なくその返答をするということを、この字句を加えられましたので、多分これも機動的に運用されるものとの前提に立ちまして、この緊急調整には我々は賛成しておるわけであります。従いまして今後の労働情勢の如何によりましては、この問題が再び問題になることがないように、私どもはそれをひたすら心配をいたしておるようなわけでありまして、相成るべくはこの緊急調整というようなことが発令されずに過こされるような事態の労働界に再現することを期待して、本案に賛成するわけであります。その他の点は、大体修正案が原案よりよくなつたという確信を持つておりますから、賛成をいたしたいと思います。
  12. 安井謙

    ○安井謙君 本員も自由党を代表いたしまして、今度提出されました共同修正案のそれぞれの点に賛成いたしますと共に、修正点を除きました原案に賛意を表するものであります。極く簡単に理由を述べますと、まあ本案の修正案につきましては、ありのままに申上げますと、恐らく政府当局にも若干の御不満があつたであろうということを我々は察知いたしておるのであります。併し修正の全体の点につきましては、殆んどが技術面、いわゆる運用面において、実際上の手続その他で修正を加えられましたものでありまして、本法提案の本来の精神を曲げていないという点から、我々は小異を捨てて大同につくという観点から賛成するものであります。  なお只今早川委員からも問題になりました緊急調整の発動の手続の問題につきましては、若干の懸念なしといたしませんが、これは中央労働委員会の良識と、社会の与論の嚴正な批判というものに我々は信頼をいたすものであります。  なお本法の本来の内容につきまして一言申しますならば、今日の総合的な社会経済情勢から申しまして、ゼネストを禁止するという端的な措置が必要であるかないかという点に相当考慮の余地があると存じますが、これは労働三法自体の立場からでなくて、総合的な社会的公安、秩序の維持という観点から、この社会の情勢、進展に応じまして、今後別個の措置がとられる必要があるかも知れないという期待をこれもいたしまして、本案全体に賛成する次第であります。なお本案の審査につきましては、地方公労法とか、或いは公労法等で、いわば勤労公務員に有利な法案の盛られておることは事実でありますが、その理由は、賛成であるなしは別にいたしまして、野党の皆さんがいわゆる党利党略という立場でなぐて、参議院本来の審議に立脚せられまして、非常に真剣に、而もおだやかに審議を進められましたことに敬意を表する次第であります。
  13. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 私は、日本社会党第二控室を代表いたしまして、只今問題となつております労働関係諸法規の一部改正法案並びに地方公営企業関係労働法に対しまして、当参議院の一部の会派を除いた全会一致の共同修正になるところの修正案に対して心から賛意を表しますと共に、この修正点を除いた原案に対して又賛成の意思を表するものであります。このたびの労働法規が国会に上程され、この審議に当りますに当つて、我々は多くの疑点を、又不満を持つてつたのであります。  総括的に極く簡単に私が五つに要約して申上げますと、今日労働力を売る以外に生活手段を持たない近代労働者が、その生活を今日の経済組織の下において守るためには、争議手段というものを除去して何ら頼るところはないのであります。こういう立場から、憲法においても、財産権の保障と共に、労働者の労働基本権というものが深く保障されておるのであります。そういう点が最初与えられておつたにかかわりませず、先ほど菊川君から占領の落し子だというお話がありましたが、占領政策の一環として、政令二百一号、三百二十五号等において、これらが剥奪を受けたのであります。今日占領政策が漸く我々の、国民の協力によつて解除をみたのでありまするからして、この解除を機会に、この争議権というものは相当考慮を払われるべきであるにかからわず、これが何らの考慮が払われていないという点に先ず我々は大きな不満を持つたのであります。  二つは、労働法規の取扱いが当を得ていないということなのであります。即ち政府は長い会期の間に提出せず、遂に会期が一カ月延長されまして、たまたまそこにメーデーの一部極左分子による皇居前広場におけるあの暴動事が起つた。その騒擾事件を便宜上利用して、国の、現政府の治安対策であるところの例えば警察法改正であるとか、或いは秩序維持の法律であるとか、自治法の改正であるとか、又破壊活動防止の法律であるとか、こうした治安対策の一連の一環として労働法をば国会に上程、審議をしたということに対して、我々はどうしてもうなずくことができないのであります。  三つは、労働大臣がこの法を提出するに際して、労働法規審議会の大体答申案を中心とした。而も答申にならなかつた点においては、公益委員意見というものを尊重したと、こう言明されておるのでありまするが、併し最もこの改正案の重点であるべきところの緊急調整において、決して公益委案、公益委員意見というものが尊重をされておらないのであります。これは地方公聽会において、例えば大阪において、公益委員であつた色川幸太郎君の、非常にこの政府の言明は我々公益委員としては迷惑至極だという悲憤をこめた言葉にも盛られております。又我妻さんのいろいろなる機会における声明にも、この意見というものは盛られておるのであります。先ずこういう点に私はやはり一つの不満を持つのであります。  第四は、政府はこの法律が非常に進歩的なものだと言う。成るほど一部、只今安井さんからお話がありましたように、国家並びに地方公務員の団交権の復活等、その他条文の整理等において、或いは改良的な部分も見出せないとは申しませんが、一方にそうしながら、労相が常に口にし、又現政府が常に臨もうとするところのいわゆる争議権の抑圧への道を講じようとした。この点に対して、我々はなお一層のやはり割切れない感を持たざるを得ないのであります。  最後に、いわゆる又安井さんから話をされましたゼネストの問題でありますが、当初から木村法相、吉田総理大臣並びに労働大臣等を通じて、政府の閣僚諸君からゼネスト法案の用意がある、大きな含みを持つて今後の労働運動をこれと照し合して我々は考えるのだ、又言い換えれば、言葉に出しませんが、衆議院、参議院におけるこの労働法規の審議如何によつて、やはり我我はゼネスト法をば用意しているのだという含みを常に持つておられたということは、何と申しましても、これは我々勝手な物の見方かも知れませんが、私は遺憾でならないのであります。  大体五つの総括的な、我々の立場から簡単に、最初は非常な不満又は不満足な点を持つてつたのでありますが、それは、この政府原案に対する細かい点については本会議に譲ることにいたしまして、我々は多くの反対意見をなお持つております。その反対意見というものは、即ち今日修正案として我々が考えておつた点であります。その点が、我々の修正案の大部分、いわゆる反対意見の大部分といものが、参議院における各会派の諸君において今日修正案として提出されましたことに対して、我々は心から敬意を払つているものであります。  そこで修正案に対してでありますが、考えまするに、占領政策解除後における日本の今日の労働法規のあり方というものがこれでいいのか。又過去五年間の経験、運営を通じて、日本の労働諸法令というものがこのままでいいのかという点については、我々は多く改正を要する点を持つものであります。それらの点から、例えば合同委員会制度、不当労働行為争議の斡旋、調停等々、並びに団体交渉及び労働協約というような重要な五つの問題とか、並びに地方公務員の、又公営企業体の職員労働関係の諸法規の問題、こういう点を考えますと、又こういう点を今日出された政府の労働法改正案を照し合してみますと、私は深い重要な関連があると思うのであります。そこで簡単にこの法案は反対だと言つて、我々は反対し切るのはやはり惜しい点も随処に見受ける次第であります。そういうような点から、今日ここに一つ修正案が生まれた結果になつたのでありまするが、この修正案については、すでに各委員から話がありましたので、ただ我々会派といたしましては、最も重要であつた緊急調整の問題について、緊急調整そのものが必要でない。ああした措置が必要でないという考え方を持つ我々の立場から言つて、実は満足するものではありませんが、併し公益委案を取上げたのだという、この改正案を取上げたという点に、我々は心から会を挙げて賛成の立場に立つたのであります。なおいま一つは公労法これも菊川氏から話がありましたから省略いたしますが、今まで問題となつておりましたいわゆる十六条の予算上並びに資金上の問題でありまするが、従来仲裁裁定が行われて線が出た。仲裁裁定が出たので、大体それぞれの関係の争議が終るべきはずなのに、仲裁裁定が終つたから、ここにこれから一戦だ。これから政府に向つてどう行かなければならない、これをどう生かさなければならないといつて、それに当事者の労組がやはり決意しなければならない状態というものは、何と申してもこれを除けなければならぬと我々は願つてつたのでありますが、今回それが十分になし得ず、ただ第三項に二項を加えて、政府は相当積極的にこれに努めなければならないという、まあこれはいろいろな事情において苦しい修正となつたのでありますが、この大体二つの点を除きまして、他の、公労法において、又地方公営企業労働関係法において、又労働基準法においての修正点というものは、我々心から喜んでこの修正を迎えるものであります。  こういうような立場から、非常に簡単でありましたが、今回の修正案並びに修正点を除いた政府原案に対して社会党第二控室は心から賛成の意思を表示するものであります。
  14. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 簡単に、只今議題になつております労働関係諸法令の共同の修正案委員会の共同の修正案及びその他の部分につきましての政府原案に対する賛成の意見を申上げます。  実は世間的に、一般に今度の労働法の改正は改惡だけの一本の宣伝があるわけでありますが、必ずしもそうでない。私は実はその点を非常に心配しておつたのであります。吉田内閣がこの占領から独立しますときに、一番考えられることは、従来の進駐軍の、占領軍の権威というものがなくなつたときに、政府当局者として、そういう背景で政治をしておつた人がなくなると、何らか権力を持もたいという考え方が強くなつて参る。これは私は一つの注意すべき政治現象だと思います。で、労働法の関係においても、そういう点だけが強く現われたのかという心配はあつたのでありますが、実際問題としては、吉武労働大臣としては、ともかくも一つの進歩を労働法の関係においてイヤマークしようという考え方があつたことは、これは否むことができない。無論非常に不十分でありますが、国の経営いたします企業につきまして、新らしく国家公務員団体交渉権を認める。又地方公務員に対しましても、地方の公営事業及びこれに準ずる事業につきまして団体交渉権を認める。団体交渉権を認めるということは何でもないようでありますが、実は労働問題の私は基本的なものである。で、従来この労働団体交渉権が国家公務員及び地方公務員から奪われておりましたのが、ともかくも一部にしろ、認められたということは、確かに単純に今度の労働関係法が改惡であり、反民主的だとのみ断定することができない。その点につきましては、私は、現在の労働者諸君も認めておる点であるという点が賛成の第一点であります。  第二点は、政府原案におきまして今申上げましたように、吉武君としては努力をなすつたろうが、やはり自由党の政府の限界といたしまして、なかなか私どもと意見の一致の見ない分が現われておるわけであります。併しともかくも各党に属する委員が共同いたしまして、申請の却下の問題、調停申請の却下の問題でありますとか、或いは冷却期間を予告期間に直しまして十日の予告期間をつけましたとか、或いは従来団体罰でありましたのが今度個人罰になりましたのを、更に団体罰にいたしますとか、問題の緊急調整にいたしましても、実は私は一番問題になるのは、やはり労働大臣が権力官庁として直接に活動なさるというふうなことはお避けになるべきだ、実は労働者に政治ストはやつちやいけないとおつしやるところの政府は、みずから権力を以てそういう労働問題に直接介入される途を開くことは、却つて労働者を政治的な運動に、反抗に、権力闘争に向けるものだというふうな観点から、実は中央労働委員会同意を得て発動なさるということが必要であるというふうに考えておりました。緊急調整の点、そのほかの点につきましては、労働大臣から総理大臣にいたしますとか、或いは発動の要件として、現実の危險というふうなものを加えましたとか、いろいろな点がありますが、ともかくも私は権力官庁が直接に労働問題に介入されることは、今後の問題としても、特に慎重であらねばならない。殊にそれが労働法の関係におきますだけに、労使双方が自主的に解決し得る努力をさせなければならない。それが民主主義のルールであると考えておる点から言いまして、その点は避けるべきであるというふうに考えておりましたが、各委員のかたがたも同じようなお考えの下に、かかる修正ができましたということを以て、私はこの点につきましては、政府のほうも御不満なようでありますが、特に今のようなことをお考えになつて、欣然御賛成願いたいと思つておるのであります。  その他公労法につきまして、委託業務を加えますとか、或いは十六条の予算上、資金上不可能な協定につきましても、何と申しますか、第三項でございましたか、それが附きましたとか、或いは国家公務員団体交渉の範囲につきまして、公務員法との調整規定を四十条に設けますとか、或いは地労法におきまして、地方公営企業労働関係法等におきまして、今後地方公営企業法で新たに追加されるところのものが更にこの労働関係に入つて参りますとか、或いは単純な労務に雇用されるものであつて地方公務員であるものの準用規定附則に設けましたとか、その他教え挙げればいろいろございますが、今挙げましたような幾多の点は確かに私は政府原案に勝ること数段で、いわゆる世の中で心配しております反民主的な傾向というものが是正されたのでなかろうかということで、本案に賛成する第二点といたします。  第三点は、先ほども早川委員から言われましたのでありますが、私どものように、労働関係に長くタツチいたしておるものから見まするというと、実は労働関係法律こそ、労使双方の納得と積極的な協力が先ず第一に必要である。法律そのものを如何に時の権力で以ちましてお作りになろうと、実際労働問題が円満に運用、その法律が円満に運用されるかどうかということは必ず労使双方の納得と協力というものが必要であることにお考え願いたい。これは労働法の関係は、他の法律ならばそのまま権力を背景にして動かして行くことができるわけであります。併し実際に労働問題としては、動かすのは中央労働委員会地方労働委員会或いは公共企業体の調停委員仲裁委員会等が実際の法律の運用に当るわけであります。而もこれらは、仲裁委員会を除きましては、労使双方が公益と併せて三者構成で動かして参る。で、これ自身が権威を保持し、これ自身が信頼されるということが労働法の根本的な眼目でなくてはならない。これを労使双方が信頼しない、政府もこれを軽んずるということになりましては労働問題というものは、全然私は解決の途がなくなつて行く。法律だけが如何に立派でありましても、実際は到底守れないものになつて参るというふうに考えておるのでありますが、今申しましたような見地から見ますると、確かに先ほど早川委員から言われましたように、この修正案が全会一致でできたということは、今後の労働関係法の運用に当つては、非常な大きな收穫でなかろうか。又今申上げましたような観点に立ちますればこそ、お互いの小異が捨てられ、大同につき得たのではなかろうか、こういうふうに私は考えるのであります。これが私が本案に賛成いたします第三点でございます。  併しながら実はこの労働関係法の諸法規の審議に当りまして、不幸にいたしまして私どもの考え方と政府の考え方に、根本的にも、又具体的な諸問題についても、相当食い違いがあることを発見いたしました。これを今更ここで繰返すことはいたしません。併しながらお互いの努力、お互いの日々の努力によりまして、相互の努力によつて民主主義が完成するものであるという観点に立ちますと、民主主義なるものが、ただ理想的な終局を目標にしてそれが一挙に到達できるものではない。これは労働問題に関係するものは、政府にあると野にありましようとも、或いはどの産業に属しましようと、経営者でありましようと、労働者でありましようと、お互いに我々に課せられた、国際的にも課せられている民主主義の樹立、民主主義社会の完成にお互いが努力して行かなければならない。そしてそういうものは与えられたるものによつて完成するものでもなければ、又実態がそれにそぐわなくて、一挙に理想だけをとろうとしてもできるものでなし、又仮に、得たとしても、私は真の民主主義は確立されないだろうというふうな観点に立つておりますから、現段階においては、先ずこれを以つて我々としては満足すべきではなかろうか。こういう観点に立ちまして、本案に賛成するゆえんであります。いろいろ希望的な事柄はこの際申上げたいと思いますが、時間の関係上、それらは一切委員会の質疑に譲りまして、以上四点を挙げて賛成の理由といたします。
  15. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 私は、労農党を代表いたしまして各会派共同の修正案に対しまして賛成をいたします。なおその修正部分を除いた原案に対しましても賛成をいたすものであります。併しながら私どもの立場は、この共同修正案を以て満足なものと考えるわけではありません。我々としては、当初から労働法規の改正案に対しましては、次のような態度をとつてつたのであります。先ず第一に、憲法上に保障された労働権は飽くまでも尊重されなければならんということであります。従つてそれが公務員であろうと、或いは民間の労働者であろうと、何ら問うところはあるべきではない。このように考えているわけであります。勿論その労働権の行使につきましては、例えば公務員の場合について申しまするならば、或る程度の制限は止むを得ないでありましよう。なぜなら、公務員は、国家乃至は地方団体のそれぞれの税金の中からその生活を支えられているという点と、もう一つは、それらの公務員が多かれ少なかれ権力につながつておるという、この二つの点からして、公務員の場合については、労働権の行使について或る程度の制限も止むを得ないと思います。併しその他の公務員、特に公労法において規定されておる公務員であるとか、或いは地方公営企業法によつて規制されるところの公務員であるとか、これらの職員につきましては、私は民間労働者と何ら異なる性質のものではないと思います。従つてそれらの労働者も、基本的には憲法上の労働権を享受し、従つて団体交渉権ばかりでなく、ストライキの権限も持つのが本旨だろうと思うのであります。ところが今度の修正案につきましては、公営企業労働関係法規におきましても、或いは地方公営企業労働関係法におきましても、団体交渉権は認められておるのでありますが、併しストライキの権利については依然として認められておらない。この点に私どもは不満を持つのであります。  第二の点は、労働問題の解決当りまして、労使双方の自主的な解決というものが一番基本的なものでなければならん。ところが政治的な権力がいわゆるこれに関与するということがあつたならば、これは労使双方の自主的解決を歪めるばかりでなく、日本の労働運動を歪曲するものであると申さなければならんと思うのであります。勿論従前は占領下にありましたので、特殊事情からして、例えば政令二百一号、或いは三百二十五号というようなものが存在いたしまして、労働者の運動に対しまして或る程度の政治的な関与が行われたのであります。併し今は独立したと言われておりますのでありますから、そういうような労働運動を歪曲する政治的な権力の関与は飽くまでも避けるのは当然ではないか。緊急調整の問題は、いわば政治的な関与をもくろんだものと申しても差支えないと思うのでありますが、幸いにしてこれに対しまして修正が行われ、総理大臣の緊急調整規定について条件が附せられたことは、ともかくも一つの進歩とは申すことができるのでありますが、併し依然として政治権力の関与ということがなおこの中に含まれておるということに対しましては、我々は次の機会に、更にこれを修正する必要があるのではないかと考えるのであります。  それから第三の点といたしましては、労働問題の改正に当つて中央労働委員会とか、地方労働委員会、或いは仲裁委員会、或いは調停委員会、それぞれの委員会決定を強化しなければならんということであります。例えば公労法や或いは地方公労法等に規定されておりますところの仲裁裁定に関する問題でありますが、この仲裁裁定の政府に対する或いは地方団体に対する拘束力というものが極めて曖昧であります。その結果は、仲裁裁定が出ましても、これをともすれば政府の側においては重要視しないというような態度も出て参るのでありまして、この点から申しますると、仲裁裁定の拘束力を強めるということは、労働問題の解決に資するものではないかと思うのであります。  それから第四番目に、私どもは公営企業労働者であろうと、或いは公共企業労働者であろうとも、労働者であるという立場から申しますと、特別にこれらの労働者に対するところの労働関係、身分関係を規定するところの法律を必要としない。労働三法を更に拡充いたしまして、これらの労働者もこの労働法によつて規制をできるようにするということが本来の労働法規の行き方ではないかど、こう考えるわけであります。その意味におきまして私どもは、今度の公労法或いは地方公労法等が何らその点に触れなかつたということにつきまして、私どもとしては遺憾の意を表せざるを得ないのであります。  なお修正された部分を除いた原案につきましても、私どもとしては多くの修正すべき点を見出すのであります。それ等の点につきましては、私どもはこの労働委員会におきまして、今後私どもの意見を申述べまして、その方向に私どもとしては努力いたしたい。こういう工合に考えておるわけであります。  以上の根本的な態度を持ち、この労働法規の改正案に対して臨んだのでありまするが、このたび各派の共同修正案が成立いたしまして、私どもはこれに対しまして賛成をいたし、なお修正すべき点を含む原案についても、只今は一応賛成をいたしておきます。
  16. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 他に御意見がなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 御異議ないものと認めます。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  18. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 速記を始めて。  それではこれより労働関係調整法等の一部を改正する法律案労働基準法の一部を改正する法律案及び地方公営企業労働関係法案の採決に入ります。右三案を一括して議題といたします。  先ず討論中にありました各派共同提出にかかる修正案議題に供します。本修正案に賛成のかたは挙手願います。    〔賛成者挙手〕
  19. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 全会一致でございます。よつて各派共同提出にかかる修正案は可決されました。  次に只今採決されました各派共同修正にかかる部分を除き、内閣提出にかかる労働関係調整法等の一部を改正する法律案労働基準法の一部を改正する法律案及び地方公営企業労働関係法案について、三案を一括して問題に供します。修正部分を除いた原案、衆議院送付案に賛成のかたは挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  20. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 全会一致でございます。よつて以上三法案は修正議決されました。なお本会議における委員長の口頭報告の内容等、爾余の諸手続につきましては、すべて慣例に従つて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 御異議ないものと認めます。  次に本案を可とされましたかたは、例により順次御署名を願います。   多数意見者署名     小林 政夫  一松 政二     波多野林一  堀木 鎌三     早川 愼一  堀  眞琴     安井  謙  村尾 重雄     九鬼紋十郎  重盛 壽治     上原 正吉  菊川 孝夫     石川 榮一  櫻内 辰郎
  22. 中村正雄

    委員長中村正雄君) ちよつと速記を中止して下さい。    〔速記中止〕
  23. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 速記を始めて下さい。
  24. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私はこの際少し時間をお借りして、労働大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、それは、過般私は本会議におきましても、国際自由労連の書記長のオーデンブルツク氏から、日本の労働政策に対し、抗議的な書簡が吉田総理大臣に寄せられた。これに対して政府は最初には返事は出さなかつた。そして更に督促的な書面が来ましたときに、六月の四日から開かれるILOの総会に、日本政府の代表も出席するので、返事を持たして現地において会見をすることにさした。こういう意味の労働大臣の御答弁がございました。而も附け加えられて、よく話をすれば国際自由労連でも納得をしてくれるであろう、こういう御見解でございました。その後労働省の橘渉外課長が現地においてオーデンブルツク氏と会見して、そうしてオーデンブルツク氏から、現在政府が出しておるところの労働関係調整法以下の諸法令並びに諸法律改正案並びに破壊活動防止法案等について、国際自由労連書記長オーデンブルツク氏の了解を得たという意味の報告が寄せられたということが新聞に報ぜられました。又一方日本の労働結合を代表して出席した岡三郎君等も別途オーデンブルツク氏に会見して、破壊活動防止法案並びに労働関係調整法等の一部を改正する法律案等の、政府が労働運動を弾圧する、而もこれを惡用して弾圧する危険があるような法案並びに改正に対しては、日本労働組合は一致して反対をしておる。そうして国際自由労連もこれに積極的な応援協力を願いたいという申出したところ、オーデンブルツク氏から、機関の決定を経て、これに対して支援を与えるという決定をしたという報告を総評議会のほうへ寄せられました。ところがあとでその橘君の報告と岡君の報告との間に食い違いがあつた。その後新聞の報ずるところによりますると、橘君の報告が実はオーデンブルツク氏の本当の意図を正しく伝えたのではないというので、オーデンブルツク氏が非常に憤慨しておると、こういう意味の新聞報道が伝えられました。これに対しまして、果して橘君から労働大臣に対して、オーデンブルツク氏との会見の模様を、オーデンブルツク氏が了解したといつて報告を正式に寄せたものであるか。或いは橘君が何らかの意図の下で、現地の外人記者に話したことが、何らかの意図を以てそういうオーデンブルツク氏が言わないことを話したのであるか。又言語の十分な疎通ができないために、意思の疎通を欠いたために、誤つてこれが伝えられたものであるかどうか。この点につきまして、労働大臣から、簡単で結構でございますが、明快に、どういういきさつでああいうことがなされたか、その後国際自由労連の本当の決議というものはどうなつておるか、労働省で調べたかどうか、この点につきまして、簡単で結構ですが、明快に一つ御答弁をお願いいたしたいと思います。
  25. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 只今御指摘になりました点は、一昨日か、私のほうの労働次官が政府代表として出席をいたしまして、国際自由労連の書記長のオーデンブルツク氏とも直接に会いまして、その報告を承わつております。時間がございませんから、詳細は又後の機会に申上げますが、最初会いましたときに、オーデンブルツク氏と、もう一人英国の代表のロバート氏ですか、二人と会見いたしまして、相当今度の破防法及び労働法について誤解と申しますか、違つた感じを持つておられたように見受けられたということでしたので、そこでだんだんと日本の今回提案した破防法というものはどういう趣旨のものであるか、それから今回提案をしておる労働三法の内容というものはこういうものであるということを、資料を以ちまして一々詳細に説明したのであります。そうしますというと、最初は非常に誤解されていたが、君の言うことは非常にビユーテイフルだという言葉を使つておりましたが、だんだん説明を聞くにつれて静に聞くようになつた。そうして最後に、そうかということであつたから、寺本労働次官から、若し御了解になつたならば、それならば、自分たちは了承したという返事を日本政府に与えてもらえないかということを懇請したのであります。そうしますというと、オーデンブルツク氏は、それは、自分たちは了解したという返事は出せないということを言つたのが真相であるようであります。併しその会見の模様は、最初は非常に誤解されていたけれども、真実を具体的に法文につきとつておる処置について説明するにつれて、だんだんと理解をされて来たという点を、橘氏がたしかUPでございましたか、の人に話したのが、満足であると言つたというふうに伝わつて、その点が間違つておることは事実でございます。細かい点はいずれ又本人からも説明させまするが、概略はさような点でございます。
  26. 中村正雄

    委員長中村正雄君) では本日はこれにて散会いたします。どうも有難うございました。    午後一時一分散会