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1952-07-07 第13回国会 参議院 労働委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年七月七日(月曜日)    午前十時五十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中村 正雄君    理事            安井  謙君            波多野林一君            村尾 重雄君    委員            石川 榮一君            上原 正吉君            一松 政二君            小林 政夫君            早川 愼一君            重盛 壽治君            堀木 鎌三君            堀  眞琴君   国務大臣    労働大臣厚生大    臣       吉武 惠市君   政府委員    地方自治庁公務    員課長     佐久間 彊君    労働省労政局長 賀來才二郎君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巖君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方公営企業労働閣係法案内閣提  出、衆議院送付)   —————————————
  2. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 只今より会議を開きます。地方公営企業労働関係法案を議題として質疑を続行いたします。
  3. 重盛壽治

    重盛壽治君 それではお伺いいたしますが、第一條ですね、この法律で行きますると、「地方公共団体の経営する企業とこれに従事する職員との間の平和的な労働関係確立を図ることによつて地方公共団体の経営する企業の正常な運営を最大限に確保し、もつて住民福祉増進に資することを目的とする。」とあります。こういうふうに書いてありまするが、これは「図ることによつて」ということでなくて「図ることを目的とする。」というふうにすれば、それだけでいいのじやないか。あと地方公共団体」以下は、率直に言えば要らんのじやないか。私共の考え方から行くと、「地方公共団体の経営する」云々というようなところへ行くと、何か経営権に偏重するようなふうに考えられるし、使用者側専断をほしいままにさせるというような結果になつて、そういう結果から行くと、いわゆる労使対等原則に背くということになつて労働法規としての意義を失つて来るのではないか。そういうような考え方から、私共は、今言うように、もう「地方公共団体」という、しまいのほうは要らんことで、「職員との間の平和的な労働関係確立を図ることを目的とする。」これだけ書けばよかつたのじやないかしらんと思うのですが、このあとのはうでいろいろお書きになつた住民福祉増進云々というようなことは、労働組合法から考えると余分な字句ではないか。今、私の申上げたようなふうに考えられるのですが、どういうふうなお考えですか、一つ……。
  4. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 勿論労働関係としては、企業職員との間の平和的な関係確立することではございまするが、そういうことによつて住民福祉増進をする、そういう平和関係確立することこそ、私は住民福祉増進するゆえんであると、かように存じまして、こういうふうに書いておるのであります。平和関係確立しなければ、勢いそのことは正常な運営もできませんし、又住民としても非常に迷惑を蒙むることでありまするから、そういう平和関係確立するそのことが住民福祉増進になるということを謳つてるわけでありまして、これは両々相俟つことであると思います。住民福祉はどうなつてもよろしい、ただ平和関係さえ確立すればいいというものではないのでありまするから、この両者はやはり両々相俟つことで、平和関係確立しなければ福祉増進できない、福祉増進することを考えなければ平和は確立されない、このことは公労法にも謳つておる原則でございまして、そうこれの字句を気になさる必要は毫もないと私は信じております。
  5. 重盛壽治

    重盛壽治君 公労法に謳つておるという言葉が出れば、非常にそのこと自体が、どなたかも前に言われたと思うのですが、無理があるのですね。公労法は御承知のように、いわゆる占領下において一つ規制法組合法として作られたものです。一般に政令二百一号をやる、そうしてあれで一般労働組合は取締つて行く、それで官公庁の企業体には公、労法をあてはめるというような、変則的な形からやむを得ず作つたという、あの公労法は好んで作つた法律でない。それを中心にして来たという原則ですね、原則がすでに私は誤つておるのじやないかと思いますが、その議論になつて行くと相当長引く。このことだけでも一日も議論しなければならんだろうから、省略します。公労法から来たといつても、公労法は今言つたよう建前からできておるし、この地方公企労法は、堀木さん等からも申上げておると思うのだが、終戦後いわゆる講和になつて講和後初めて労働組合法として新しく作つて行く法律であるならば、そういう場合に、私は考え方自体をもう一歩変えて行かなければいかんのじやないか。公労法を基準にして作るのでなくて、一般労働組合法から行く。言い換えれば、私は常に申上げますように、講和第一回の労働法規を作るのだから、全般的に労働三法を適用する。この建前から行くんだけれども公共福祉というような意味合い、あなたの言う住民に雇われておるのだからという意味合いから、若干の規制をしなければならんという行き方から行けば、これはもうあなたの心配するように各労使関係確立を図れば、それでもう住民福祉は当然増進できるわけですね。各都市のいわゆる地方公務員なるものは、それの任務は何だというときに、住民福祉増進を図るということがその中に謳われてあるわけですね。そうだとすれば、労働組合法の中に何か一々押しつけがましく謳つて行かなくても、もう少し労働組合法らしくすつきり引き抜いて行つても、目的というものはいいのじやないか。労働組合法というやつは、労使関係がうまく行つて行きさえすれば、その中から自然、当然に住民福祉増進というものは生れて来ることだし、これはもう地方公務員の本来の任務である。本来の任務労働組合法にまで謳わなくてもいいのではないかというように私は解釈するのですがね。この点どうなんですか。
  6. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 今重盛さんのお言葉にありましたようなことが文字に現われておるのでありまして、おつしやつたよう労働関係の平和的な確立があるということは、すなわち住民福祉になる。組合としては当然そんなことは、考えておるのだ、わざわぎ謳わなくてもいいのじやないか、こうおつしやつたことをわざわざ謳つたわけでありまして、私も今日の組合というものが公共福祉というものはどうなつてもいいのだということを考えられておるとは思つておりません。それはもう私も十分了承して、要らんことかも知れませんが、併し特にこの公営企業というものは住民福祉関係の深いものでありまするから、この法律というものは、平和的な関係確立して住民福祉増進するのだぞということのほうが、素直な当り前のことを当り前に書いただけのことでありますから、これが書いてあるからといつて組合を余計に制限しようとかいう意図ではございませんので、一つ余り文事の御穿さくに気をおとりにならないで頂いたらどうだろうか。かように存じます。
  7. 重盛壽治

    重盛壽治君 しつこいようだがね。これはやはり一條目的が一番大切で、この労働組合法を作るという目的地方公共団体管理者労働組合との緊密な連繋を保たせるということにかかるわけでしよう。そういうことであるならば、私はこの労働組合法を、法律の作り方は私はよく知りませんけれども、「地方《共団体の経営する企業とこれに従事する職員との間の平和的な労働関係確立を図ることを目的とする。」或いは「図ることをもつて目的とする。」、こうやつておけば一番すつきりして行く。どこにも関係がなくて、或いはあなたの言われたような公労法から持つて来たのだというような匂いもなくて、非常にすつきりするように思うのだが、仮りにあとのほうの字句を使うとしても、こういう「立和的な労働関係確立を図ることによつて」でなくて「図ることを目的とする。」その点は、きめつけないでもいいですね。「労働関係確立を図ることを目的とする。」ということは入れても差支ないわけですね。
  8. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) これは、私たびたび申上げまするように、狙いは勿論、こういう公営企業における企業とそれに従事される職員との間の平和を確立するということであります。併しその平和を確立することは、すなわちそれが住民福祉になることであるぞということを謳つておるわけでありまするから、それにしよつてこの内容が変るわけでもございませんので、私はそりこの原案をそのままお認めになつて内容的に規制を受けるものはないのじやないかと思う。重盛さんのお言葉を借りましても、我々は平和的な労働関係確立をすることが即ち住民福祉増進考えておるのだぞというお言葉もあつたわけでありますし、そのことを謳つただけでございます。何か、これがあるというと、そのために非常に内容において制限を受けるようにお感じになるかも知れませんが、私どもそういう他意はございません。素直にそのまま謳つておるわけであります。
  9. 重盛壽治

    重盛壽治君 それはどの場合でも言われる。破防法を作る時に、木村法務総裁が大変結構なやつぱり説明をしておるんだが、いつまでも今の法務総裁総裁でいられるならいいが、いつまでも労働大臣労働大臣でいられるならいいが、これはまあ五大都市ぐらいはあなたの言われる考え方に大体立つて労使関係調整されて行くと思うのです。ところが、小さな都市に行きますと、法文中心にしたとこちのやつぱりその議論が出て参りますね。特にこういうようなこの法律を作るということは、労使関係調整を図るということによつて、図ることによつて住民福祉増進に資することが目的であつて労使関係は別にどうでもいいんだ、極端に言えばそういう逆な解釈がされる危険があるのだから、あなたが言われるように、どうしても入れることができなければ、「図ることを目的とする」ということにしなければ、私は平等な立場から見た法律にならんと思うのです。その辺は軽いものじやなくて重要な問題になつて来ると思うのです。
  10. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 実は私が先ほど申上げましたように、二つの要素があるんです。つまり平和的労働関係確立するそのことがつまり公共福祉になるゆえんであるぞ、平和を確立しなければ、いくら何かかんか言つてみたつて公共福祉にならないぞということの裏腹になるわけでありまして、労働関係だから労働関係だけ謳えばいいのじやないかとりおつしやつても。それも、私、強いていかんとも言いませんけれども、その両々相俟つということがこの労働関係平和的確立を必要とするぞということを強調するゆえんだ。現に労働関係調整法、つまり労調法を御覧になりましても、労調法にもやはりそういうことを謳つております。「労働関係の公正な調整図つて、そうして経済興隆に寄与することを目的とする」、こういうふうに、その労働関係の平和の確立なくしては本当経済興隆というものはないのだ、労働問題を軽視してはいかん、大事だぞということがまあ出ておるわけでありまして、そう、あなたのおつしやつたように書いたからといつて内容がそう変るとは思いませんけれども、やはり労働関係というものは、労使間の問題であると同時に、それが公共にも大事なものであるぞという点を示しておるのでありまするから。何べん申上げても同じことを申上げて相済みませんけれども……。
  11. 重盛壽治

    重盛壽治君 私も何度も言うても同じことになるんだが、これはまあ留保しますが、これは終つたことにはならん。この問題だけでも議論することはまだ相当議論余地がありまね。それは、何と言つて地方の田舎の都市なんかに行きますと、あなたも御承知のように、この法律を全都市に当てはめるわけではなしに、いわゆる市電と名の付く、市電とか都電とか名の付くものに当てはめるし、同じ事業であつてもそれが私的ないわゆる私営業のものには当てはめないというような変則の法律なんです。これは、はつきり申上げますと、そうだということになると、いつも例に引くけれども、呉と広島の例なんかは、呉なんかはやつぱりこういう形から行きますと、こういう法文を楯にして一切を処理して行くんです。そういうところにいわゆる経営権使用者側専断ができるというように心配するんです。あなたのような場合は、私が説明しなくとも、いわゆる都市交通と称しておるところのこの法律を当てはめる対象の労働組合が、大体どういう性格を持ち、どういう動きをしておるかということは、よくわかつておるわけなんで、ただ一部に若干遺憾とする企業もありますけれども、そういうようなことを考えるなら、もう少し何らか大らかな法文に一部修正をして行かなくちやならんのじやないか。このことは、あなたには今修正しろとも何とも申上げても仕方がないが、私の意見としてはそういうふうに考えます。  二條の問題ですが、これも留保しておきます。三条の事業の種目の中に、これも私お聞きしたいのですが、川崎とか東京にある無軌道電車トロリーバス、これはどこに入るのですか。
  12. 賀來才二郎

  13. 重盛壽治

    重盛壽治君 軌道事業というものにはつきり謳つてありますね。トロリーバスが入るということは……。
  14. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) はあ。
  15. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうすると、この問題の五條へ行くんだが、これも大分この前労働大臣労政局長からいろいろ御意見をお伺いしたのですけれども、この字句は、やつぱり公労法なんかに或いは起つた問題だが、私はやつぱり納得が行かない。それから労働省は出発当時労働組合育成を助長して行くと言われた考え方と大分違つて来たように思うのですがね。ということは、あの当時は労働組合を、クローズド・シヨツプ制とまで行かなくともユニオン・ショップ制ぐらいまでは考えておつたように思うのだが、この字句で行くと、労働組合は、極端に言うとばらばらになつて差支えないというように見える。五條、四條、余りいい言い方じやない。「職員は、労働組合を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる。」どうも私は、日本語は少しむづかしい点がここにあるのじやないかと思うのだが、「職員労働組合を結成することができる」と、例えばこれは但書にも……。これは別な労働組合法の第伺候かにあつたことを記憶しておるが、これも要らないのじやないかというので、五條はそれだけでもいいと想うんだが、「若しくは結成せず」「若しくは加入しないことができる。」こういう字句を使つたこと、本当考えはどういうことなんですか、それだけ一つ教えて貰いたいと思います。
  16. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) これは大体五條のみならず、全般に通じましてこの法律が基礎といたしておりますのは、公務員という性格をもつておるという点であります。従いまして、第五條におきましても、公務員という本質を持つておる関係からいたしましてユにオン・ショップ制によりまして組合員以外にいたしましたときに、それが自然公務員でなくなるというふうな扱い方になりますことにつきましては、民間の企業扱い方とはおのずからそこに違いが出て来なければならない。で、労働組合の或いは労働組合法上の労働者でありますと共に、同時に地方公務員法の適用を受けているわけであります。さような意味から、この五条は全部そこから来ているのでありまして、労働省といたしまして、基本的に、労働組合扱い方につきまして、成るべく労働組合団結確立するようにするという方針においては変りはないわけでありまするが、その方針のうちから、そのうちでも、やはり公務員という制限を受けている者につきましては、それだけ、その団結の仕方につきましても、取扱につきましても、やや違つたところが出て来る。こういうところから出ているのであります。
  17. 重盛壽治

    重盛壽治君 これは、この法律作つた根本的な考え方労働省と私どもと非常に変つているからむずかしいと思いますが、やはりこういう点をお聞きいたしておきたいのだが、今当面こういう公企労法から持つて来て、地方必共団体という一つの型があつた。幸いにあれに準拠したように言われているようであれますが、あなた方の実際の……私の考え方は、そうではなくてもよかつたのじやないかと思うのですが、いわゆる労働三法と、そうして公企法との中間を行くというのは、むしろどちらを取るかということになると、むしろ一般電車バス、それからそういう一般労働組合法から若干……、私がさつき言うように規制をいたさなければならないということは、これは私も差支えない。それならば止むを得ぬと思いますが、公企労法といい、それから今も労政局長が言われた、又労働大臣のおつしやられた、公務員なるがゆえに公企労法で縛るということになると、私は根本的にこの点が間違つている。こういう字句を使おうと、何と言おうと、団結権侵害であるということは、はつきりしているのですが、この点はもう少し考え直す必要があるのじやないかと思うのであります。今直ぐでなくてもいいが、あなた方の言われるように公企労法を設定するということならば、こういう法律全般を通じて、五條ばかりでなく又次々と出て来ると思いますが、こういう点から言つて、これが全部完全なものだというお考え方はまさかお持ちになつておらんと思いますが、その関係はどうですか。例えば公企労法から来たことが正しかつた、それとも我々の言うように労働三法から来ることがよかつたということか。一応サンプルがあつたから、そのほうから来たのだということは、これはどういうふうにお考えになつておりますか。大臣でも局長からでも結構ですが伺いたい。
  18. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) これは、この前にも申上げましたよに、本質的なものは公務員であつて、この本質的なものから出発しておりますので、遺憾ながら重盛さんの御見解と違うところが出て来るのであります。本質公務員である。公務員である以上はホワイトカラーでありまして、そうでなくても、一応このバスだとか、今現業に従事している者は、昔から組合を持つており、又労働條件にしても、企業については、働けば働くだけの効能があつて然るべきじやないか。現に国鉄等においてはそういう例もあるのだから、できるだけ団結権交渉権というものは尊重して行かなければならないというところから外して行くわけでありますから、この公務員というものの性質というものをネグレクトすると、あなたの言うような自由である。組合企業との間でクローズド・ショップを結ぼうとユニオン・シヨツプを結ぼうと自由でありますが、併し公務員であるということを考えますと、組合と話を付けなければ参加もできなくなり、又組合で外して行くと当然公務員の資格を失うということは、これは当然公務員法にもとる。だからその点はお互いに切り離して、組合というものが、組合を作りたければ作つてもいい、作りたくなければ作らなくてもいい、入る入らぬは自由であるし、こうしたからと言つて職員から見れば団結することによつて利益を受けることは大いに結構であるから、だから私は実際上の問題においては欠けるところがないと思います。それなら俺のところは組合は作らないということも出て来ると思いますが、そういう点の心配はないと思います。
  19. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうすると、やはり私は、考え方が違うのだということでももう片付けてしまえば、何も議論余地がなくなるのですが、極端な例を挙げると、そういうことになれば、それじや我々は労働組合を作らなくてもいいのだ。併し団体交渉する権利はあるのだ。ばらばらで、例えば東京でも大阪でも結構ですが、一つ都電なら都電市電なら市電の中に五つも六つも組合ができて、そうしてばらばらに交渉されたらどういう結果になるか。そこへあなたのほうで拘束をする、骨抜きにするような考え方が明白に出ていると考えられると思うのですが、組合のほうは今度そこを惡く運用して行くということも考えるのですが、そうすると、軌道労働組合或いは電車労働組合自動車労働組合トレーラーバス労働組合、もうあらゆるものを作つて病院労働組合、あらゆるものを作つて別々に自分のものを主張して行くことも、組合を作ることもできるわけですね。自由なんですね、それは……。そうするといわゆる組合運動の、そんな非常識なことはしません。しませんけれども、やろうと思えばできるようなことを逆に考え労働組合作つたという、経営者、いわゆる管理者に有利なような考え方で運用されるということすら考えられるのですが、そういう点はどういうふうにお考えになりますか。
  20. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) そういう心配はない。例をいうと、現に国鉄でも二つ組合ができておりますが、併し組合というものは、組合活動をおやりになつたあなた方に申上げるのはおこがましい話ですが、分れるよりは一本のほうが力強いことはきまつた話でありますから、組合本質として私は一本化が望ましい。ただその一本化が中において非常な無理があるというと、分裂なり破壊をやりますけれども、そこは運営の面において、私は一本がいいか、二つ三つと数個に分れるかいいかといわれますが、組合自体一つに大きく団結するはうが力強いということは勿論でありますから、そう心配したものじやないだろう。かように存じます。
  21. 重盛壽治

    重盛壽治君 私は、五條はこの前も大分議論したのですが、この辺で止めますけれども、何かどうも説明の中には、何度も僕が言うことだが、労働省設置当時の、労働省だけはできるだけ政府のいわゆる直属省という形で、政府方針に準じて一貫して行くということではなく、労働者にサービスする、そうして労働組合の、日本労働者の、端的に言うと又組織的な考え方労働組合運動仕方等も、両者の面を労働省が育成助長して、そうして勤労大衆日本の産業の振興に寄与せしめるという方向労働省が進めて行きたいのだ。こういうことを私は二度も三度も拝聴しているのでありますが、そういう点のお考え大臣のなされた御答弁とは大分違うように思うのであります。ここで議論をしておつても仕方がありませんから、この五條等に対しては、やはり私はもう少し労働者を信頼して、ややともすれば労働組合団結権侵害になるような字句をお使いになるような点は、できれば今でも直してもらいたいのだが、将来考えて行くという方向に変つて頂きたいと思うのですが、その点どうなんですか。
  22. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私どもは飽くまでも労働省というものは労働者に対するサーヴイスである、こういうことが将来の日本における労働組合の永遠に発達するゆえんであると存じてやつておりますか、現在が永久にそれでは変らないものであるという感じは持つておりません。これはますます発展し、又改善されるべきものであることは十分了承しております。
  23. 重盛壽治

    重盛壽治君 それから、この点もこの間いろいろ労政局長から教えもらつたのだが、3の「職員でなければ、職員労働組合組合員又は役員となることができない。」これはこの間教えてもらつたように思うのだが、この字句を入れた理由ですね、これは一体どういうことなのですか。
  24. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) これも先ほど申上げたように、基本の線といたしまして公務員であるということが、この公営企業に従事いたしておりまする労働者一つ性格であるわけであります。従いまして地方公務員法相当程度かぶつておるわけでありますし、又その規制も受けておるわけであります。さような関係からいたしまして、やはりその基本といたしまする立場から、労働関係というものが生じておりまする労働組合におきましては、やはりかような制限と申しますか、條件が附くということは止むを得ないことである、かように考えておる次第であります。
  25. 重盛壽治

    重盛壽治君 非常に霞のような答弁で、公務員なるが故に、というところへ皆結び付けちやうと、州でも公務員規制して行かなければならん、この原則が一貫しておるのだから、労働組合法の新らしい……、地方公企労法というものの新設というものから、新らしい角度からちよつと抜け切つちやつて、何でも公務員については公企労決を大体当ではめるべきであるけれども地方との違いがあるから少し字句を変えてやるというふうに御説明になつておるものだから、非常に矛盾があるのです。これは私は何度も申上げたから、くどく言いたくないが、こういう字句の必要の場合も、ざつくばらんに申上げると、あるのですが、こういうことで縛つてしまうと、組合を育成、助長せしめて行くという考え方が、やつぱりまだ微かに残つているとすれば、本当組合を助長して行くという建前から、私何度も申上げますように、組合の功労者であるとか、それからもう一つはこういう場合があるのですよ、本当に、ためにせんがために労働組合沖の違反をやつたという場合は別でありますけれども、知らず識らずして本当労働者のために闘い抜いた、闘つてつた、その過程において、いささかその労働組合法から若干外れたことのために、やめさせられなければならんというような事態が生ずる場合、労働組合側から見れば非常に遺憾なことであつて、そういう場合には特別待遇をするというようなことを考えることができるのじやないか。それができるかできないか。もう一つは、これは「労働組合組合員又は役員となることができない。」この役員という問題なんですが、これも相当申上げたのだが、劫労者などを特別役員に置くとか、顧問に置くとかいうようなことは、ここでできなくなつてしまう。職員でなければ労働組合組合員となることができない、例えばですね、そういうふうに仮に直したと仮定すれば、まあ参与とか顧問とか特別執行員くらいにはなれるのですがね。そういう点どうなんですか。
  26. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 重盛委員の申されるお気持は十分了解はできるのでありまして、実は公労法地方公労法とには、やはり同じように、公務員又は公社の職員という特別な資格が、條件が付いておるとは申しながら、その実情におきましては、やや異なつた点もあるということは考えておるのであります。従いまして地方公労法におきましては、組合法第六條の適用を排除いたしておらんのであります。と申しますのは、公労法によりまする組合は、全国的な相当大きい組合でもありまするし、組合の役員以外の人に特に交渉を頼まなければならないという事情は考えられないのでありまするが、地方公労法によりますると、組合を組織いたしますも数の単位も、小さいのもできて参るだろうと思います。都市交通のごとき大きなものになりまずならば、これは東京都の組合にいたしましてもさような心配はありませんが、地方の小さい市におきましては、やはり交渉等におきまして十分の力がない場合もあろうということも考えましたがために、第六條の適用、即ち組合の適当な八に交渉を委任いたしまして、交渉ができ得るという余地は残してあるわけであります。もう一つは、今の御質問の功学者等をどういうふうに扱うか、我々といたしましては、名誉顧問でありますとか、或いは名誉組合員というふうな立場組合がこれを処遇すること自体を禁止はいたしておりませんが、組合員といたしましての権利並びに義務を明確に持つておりまする組合員並びに役員にはなれないということを千誓いてあるわけでありまして、例えば非常に功労のあつた人を、名誉役員と申しますか、戒いは顧問というふうな扱いにすること自体につきましては差支えないと考えております。併しこの場合におきましても、その人がさような立場におきまして権利義務を他の役員又は組合員と同じように持つておるものではない。かように考えておるのであります。
  27. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうすると、まあ権利義務の義務は持たないが、或る程度の権利はあるというのだな。今のような顧問とか識別執行委員というような名前は……。置けば、若干権利があるのだな。程度の差こそあれ……。現業の執行部とそれから特別執行部との権利は平等であるかどうかはちよつと……これはもう特別執行員というのは、言わば顧問に近いものですから、僅かなものでありまするが、非常に組合が紛糾したとか何とか言う場合には、出て行つて発言する程度の権利はあるのですね。こういうことは、まあ差支えないというか、地方公企労法の面では問題にしたくでつもいいということですね。
  28. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) たびたび申上げて恐縮なんでありますが、この法律自体が、第一條以下、公企労法として、地方公務員法の適用を受けてわりまする地方公務員規制する特性を持つておる。又さような意味において相互の正常な関係確立して行こうという立場から出ておるわけであります。さような範囲におきまして組合が適切なる考慮をして頂きたい。かように考えておる次第であります。
  29. 重盛壽治

    重盛壽治君 今御意見がありましたが、私の質問も非常にまだありますけれども、まだ今日で審議が終るというわけでもありませんから、あとでゆつくり審議するとして、一応これで保留しておきます。
  30. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 一つお聞きしておきたいことは、地方公労法の場合に、仲裁の場合なんですが、十五條、十六條というものに仲裁との関係を規定されておる。そうして。あとは大体労働関係調整法にお任せになつている建前になつておるわけですが、併し地方公営企業労働関係に関しては、一応強制仲裁という規定がこの十五條で、丁度公労法関係と同じような関係において強制仲裁ができるとうになつておる。その場合にですね、大体手続その他は一切この労調法の第四章の二十九條以下二十五感までの規定の適用があるわけであります。こういうふうになつておるが、問題は仲裁に関してですね、一般労調法関係にお入れになると、二十一條の「労働委員会による労働争議の仲裁は、特別の委員会を設けることなくこれを行う。」こういうのが建前でありますが、公労法関係は、仲裁に関しては特別の委員会が設けられる、こういうふうになつておる。本来、地方公営企業労働関係法について、大体公共企業体に倣つた体裁にされるとすれば、強制仲裁、つまり労調法関係のように任意仲裁だけの場合と違つて、強制仲裁の規定が入つて来た以上、特別のことをお考えにならないのかどうか。そのお考えにならない理由はどこにあるのか。こういう点をお聞きしておきたい。
  31. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 御質問の趣旨は、現行労調法三十一條には、そういう「特別の委員会を設けることなく」とある。で、こちらのはうは、どういうふうにするつもりかということですが、これは今度の労調法の改正案におきましてこの主十一條を改正いたしまして、そうして特別仲裁委員会を設けるようにいたしました。これがこちらに適用になる予定にいたしておるのであります。
  32. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) ちよつと今労政局長の申しましたのでは誤解があつていかんと思いますが、堀木さんのお話の点は私御尤もな点があると思うのですが、巽は今回のこの行政機構の改革に伴つて、できるだけたくさんの委員会というものを整理する場合、それで中央における公労法関係も、中央労働委員会でやつたらどうかということも一応は考えてみたのですが、実は中央労働委員会に持つて行きますると、争議のある際に、民間と、それから官庁と、大体同じ時期にあることが多い。まあ物価その他の関係で……。そうすると、一遍に全部持ち込む。すると、それは大変だろうという意見で、中央においては一般の民間企業は中労委でやつて行く。それから官庁関係公労法等は別に行こう。併しそれはやはり今までのようにそれぞれ別々に作らないで、公労法は一本でやつて行くということで、調停も仲裁も一本で行つたわけであります。従つて地方のほうでは、今度の地方公労法が出たとき、それをどうするかという場合に、民間のほうは地方の労働委員会がやつて地方公労法は別のものを作るという一つ考えであつたのですが、実際地方の労働委員会で見るならば、そうたくさんの争議もございませんし、又労働委員会は、例えば大阪でも統計を取つてみると、大阪で電車で争議のあるのと、それから民間で争議のあるのと、やはり事情はやや似た点が多いのですから、そう二つに分けんでも、一つでいいのじやないかということで、多少簡素化の意味もございますし、それからまあ労働委員会というものがだんだん発展をいたしまして、できれば一元化いたして行くがいいという狙いからやつたのであります。今、局長が申しましたのは、この労調法を準用しておりますが、労調法も昔のままの二十一が全部がそのまま仲裁に入るというのじやなくして、その中に特別の仲裁委員というものを設けて、それがやつて行く。従つてそれが準用されるのでございますから、地方においても地方労働委員会が即仲裁にかかるのでなくして、その中に仲裁委員を置いてやつて行くという、まあ恰好になるわけであります。
  33. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 その関係はよくわかつたのですが、そのときに仲裁委員が三人で仲裁委員会を構成するのですが、誰を指名するかは会長に一任している。すると、従来の性格は、調停に当つた人は……、大体当つた人と仲裁の人とは当事者が違うわけですが、すると今度の場合には調停に当つた公益委員のうちから選んでも一向差支えない。まあこういうふうになつているところに性格の差ができて来る。で、そういうものは一切会長に任せて何等制限しない、こういうお考えなのかどうだろうか。その点をお聞きしておきたいのです。
  34. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) この点は非常に研究をいたしました点でありまして、一応我々の案といたしましては、調停に当つた人が又再び仲裁に当るというようなことは適当でないという……中央と申しますか、公労法立場はやはり原則として外したくないという立場はとつてみたのでありますけれども、併し地方労働委員会の場合、先ほど大臣が御説明申上げました、全体としての行政機構の整理というふうな立場も併せて考えてみますると、翼際さような規定を設けましても運用は困難ではないかというふうなことが先ず考えられたのであります。と申しますのは、別に仲裁委員制度を設ける。五人乃至七人の地労委の委員のほかに、仲裁委員会制度を設けるには、これは地方におきまする事件の関係、特にまあ重盛委員がたびたび御指摘になりますように、この地方公電企業の主力は都市交通が多いのでありまして、都市交通と申しますのは、御承知のように多年の歴史を持つておりまして、なかなか事件がうまく片付いておるのでありまして、さように今後事件は起るものでもあるまい。で、さような意味からいたしまして、別に仲裁委員会制度というものは設けないという立場をとつたのでありますが、さて、そうなりますと、地労委の公益委員の中からこれができるというわけになるのであります。そのときに、兼ねてはならないという法的制限をいたしますると、実際運用上困難ではなかろうか。まあ他面考えてみますのに、特別調整委員制度というふうなものも加えておりますからして、大体その趣旨におきましては、中央における趣旨と同じように、兼ねるというふうなことには扱わないであろうけれども、これを法律上さようにすること自体について如何かと、かように考えましたので、取扱といたしましては、調停委員即仲裁委員或いはそのうちの一部が兼ねるというふうな扱いはして頂きたくないつもりでおりまするが、併しながら規定といたしましてはかような形をとつたのでございます。
  35. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 地労の関係だと、大体公益委員は三人、五八、七人ですか渣、そうすると、そのうちから選ばなければならないわけなのです。そうすると三人の地労委のところは、ともかくも、もうそれつきりになつてしまうのですね。それで、この特別調整委員というものを一つ考えになつたのだろうという気はするのです。そうすると、特別調整委員は何かと言うと、実は私も公益関係からの特別調整委員じやない。そういう点から言うと、この特別調整委員の選定についてどういうふうに特別調整委員考えるか。特別調整委員というものは使用者を代表する者もあり、労働者を代表する者もある、公益を代表する者もある。こういうふうな関係になつて来るのですが、そういう関係について仲裁と特に結び付けてお考えになつたことがないように、私は特別にない筈だとこうまあ考える。むしろ特別調整委員は、沿革的には産業別にいろいろ考えようかというところから発展して来て出て来ているものだと思うのですが、そういうふうに考えると、仲裁は調停に当つた公益委員が大体原則的になるのだと考えるほうが、実際の地労委の公益委員の構成数から見ると考えられるというふうに、事実上そうなつている。又そうなることを考えつつ、こういうふうにお考えになつているのだろうと、むしろ原則は調停に当つた人が仲裁にも当る。こういう原則のように私は思われるのですが、その点については法文上には制限がないから何とでもおつしやれるでしようが、実際の構成内容を見ると、そういうふうになつて来るほうが通常であり原則であるというふうにお考えになつたのじやないかと思いますが、どうでしようか。
  36. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) この点につきましては、先ほど申しましたように、我々の基本的な考え方といたしましては、調停に当つた人が重ねて仲裁に当ることは適当ではない。従いまして行政機構の整備の案が出ましたときにも、中央におきましては、中央労働委員会に公労法のものを持つて行くという考え方をとらずに、やはりこれは公務員に或いは公共企業体という特別な性格があるという建前もありましたけれども、やはり一応さような考え方からいたしまして、中央には仲裁委員会とそれから統合いたしました調停委員会と、こういう基本考え方では変りはないのであります。ただ地方の場合におきましては、先ほど申しましたように、行政機構の整備という一つ考え方と、もう一つは、この地方労法におきまする特殊性というものを合せて扱いましたがために、かようなことになつたのでありまして、御指摘のように、特別調整委員制度それ自体の出発点は、やはり業種別の専門家を予定して置きたいというのが基本の出発点でありますけれども、併しこの選任に当りましては、必ずしも労使公益同数ということを考えていないのでありまして、その地方々々の委員会の実情に即しまして、その特別調整委員の置き方を考えて頂くという建前をとつておるわけであります。さような立場から、二次的と申しますか、考えられましたものが、この三十一條の二にありますように、うまく行きませんときには特別調整委員の中から指名することができるということにいたしました。これを裏から考えて行きますると、普通の委員会といたしましては、大体三人というふうな地方におきましては、これは特に地方公営企業関係者を選任する余地はないというふうな場合、具体的な例をとりますと、熊本県のような場合におきまして、熊本市電の調停、仲裁という建前からいたしますならば、これは一般産業から言いますと、熊本市電というのは非常に部分が小さい部分になるわけでありますから、これが三人乃至五人の委員を選びたいときには、市電関係者は出なくてもいたし方ありませんが、併しながら熊本市電というものを考えましたときには、この熊本市電に関連いたしましての特別調整委員制度の運用というものを考えてもらいたい。かような予定をいたしておるのであります。従いまして、これが若しこの法案がきまりますならば、実施に当りましては、御指摘のような点につきましては、特別に地方に趣旨の徹底をいたしますように、取扱い方間違いを起さないように注意をいたしたい。かように考えておる次第でございます。
  37. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 今熊本市電に争議があつた場合のことを想定して、仮定して、特別調査委員を置かれるようになるのですが、そうすると、公益を代表する必要があつた場合には公益を代表するところの特別調整委員だけを選んで、労使双方のを選ばないときもあり得ると、こういうお考えでしようか。
  38. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) この特別調整委員の数につきましては、その県県の事情によつてつて頂くわけでありまするから、或いは公益は特別調整委員から出ましても、その他の委員は普通の委員から出るというふうな調停委員会も考え得るわけでございます。
  39. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 どうもその点はつきりしないのですが、あなたのほうの案によると、特別調整委員を置くのが少くとも三者から特別調整委員が出る。それで丁度いいのだと考えているように思われるので、あなたの政府原案によれば必ず置くことになつておりますから、それでいいのですが、今のような場合だと、どうも熊本市電の争議があつた場合には、労使双方の特別調整委員考えてない、併しその公益を代表するものだけでは三人しかいないから、調停の別個の委員を選ぶ必要がある場合には、そうすると公益だけの特別調整委員を選べるというようなことが起り得るようにも考えられるのですが、やはり特別調整委員を置く以上は一定の手続があるのですから、その手続に基いて普段から選びたいとこういうふうに考えておられろようになつて、そうすると、どんなところでも特別調整委員を置いて置かなくては今言つた場合には対応できない。こういうふうになるような気がするのですがどうですか。
  40. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 我々の案といたしましては、必ず調整委員を置くということを書いてあるのでありまして、その考え方といたしましては、行政機構の整備及び労働委員会の機能の拡大強化という意味からいたしましての業種別的な専門委員の参与を得るためという目的に出ておるのであります。併しながら運用全体といたしましては、特に特別調整委員一つの集団があり、又別に労働委員会という集団があるのではないのでありまして、労働委員会と併せまして全体として考慮を払つて行くべき立場をとつておるわけであります。従いまして、それぞれ知事は地方の労働委員会長とも十分相談をいたしまして、それらの扱いについては適当な、趣旨に合うような措置をとるものという期待を持つておる次第でございます。
  41. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 要するに、その行政整理の点もあるからと言われるわけで、いろいろな実際上の運用としての鉄壁が期し得ないというような問題が起ることも想像できるのですが、仲裁というものは、今政府もお認めになつているように、調停に関与した人が、更に仲裁をするというよりも、調停にかかつて、そこで円満に解決ができないので、更に別個の観点に立つてもう一つ仲裁なるものを考えろ。労働委員会としては、労調法による労働委員会としては、それだから、今まで調停にかかつていた人よりも、一応全員で見直そうじやないかという一つの別個の観点に立つて見るという考え方も、この今までの考え方、今までの三十一條の、政府原案でない現行法の三十一條考え方もそうなつている。だからどうしても、大体私は、仲裁は、だから調停をやつた人が入つたにしても、別個の観点からもう一遍人が入るということが本旨で、そこに仲裁の効力について労働協約と同一の効力を発生して、争議に最終的決定を与えるような権能を付与することができて来るものと、こういうふうに考えるものですから、しつこくお聞きしたのですが、ところがまあ実際問題としては、更に掘り下げて言いますると、今のところ労働委員会としては、労働委員会独自の自主的な立場では特別調整委員は要らない。だから大体特別調整委員のごときは置かないで、現行でやつて行こうという考え方が強いことは、労働省も御承知の通り。そうなると、実は法規の建前と、それからそういうような考え方、もつと政府の何と言いますか、人間を殖やさないという観点から行けば、恐らく労働委員会の考え方が一番強く、その人間を殖やさないという観点から行けば、便宜主義から行けば、そつちのほうが行政簡素化の趣旨にも副う、徹底した考えだろう。こういうふうにも考えられる。ところが、あなたのはうは中途半端、実際の構成から見ると……。で、政府の御説明は、我々のように仲裁と調停は全然人を切り離すのが理想だという考え方から行けば中途半端だ。こういうふうに考えられるので、実際においてどうも御説明はいろいろあるが、実際の運用では、どうも我々は労働委員会が公益委員三人から成る仲裁委員を持つということになると、どうも調停も仲裁も同一人でやつていいのだ、ただ手続を二回重ねて最終的拘束力を付与するのだ、こういうふうにお考えになつて行くほうが事案には即しておる。そうすると、理論的には相当仲裁について考え方をお変えになつていないのです。表向きはお変えになつておるが、裏から言えば、裏というか実際の構成から言えばお変えになつておらぬ、こう見ざるを得ない。それではつきりした御方針があるのかどうか、あり得ない。まあ調停仲裁の制度、特別調査の制度があるから、それで以て適当に運用しろ、適当に運用しろといいながら、どこを行つていいのかわからない。適当に運用しろとおつしやるのでしたら、大体今の労働委員会は、こんな特別調整委員は大体置かなくていいのだという考え方になるから、この仲裁と調停は大体同一人になつて行くのじやないか。それを認めて行くことに事案主なつて行くのじやないか。こういうふうに考えますが、どうですか。
  42. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 実はこの労働委員会制度も我々いろいろ研究いたしてみたのでありますが、元来、労働委員会制度、元来と申しますか最近の事情から見ますると、二つの機構が考えられるようであります。一つは労働委員会の総会といたしまして、全体の会議体といたしまして、労使関係調整図つて行こうとする行き方、一つは、そのうちから特別の事案について特別の調停委員会を作りまして、それが一つ一つまとめて行こうとする傾向、こういうふうに現われて来ておるようであります。さような意味におきまして、労働委員会は行政機構の整理に伴いまして五人を三人にすることも反対だということを言われておるようでありまするし、又特別調整委員制度というふうなものは不要であつて、やはり従来のように斡旋委員或いは臨時委員のような形でいいではないか、こういうような意見が出て来ておるようであります。これは一応尤ものようでありますが、我々といたしましては、現に僅かに一カ年間に二件か三件の取扱いしかない、こういうふうな県にまで一律に労働委員会がありまして、毎月一回乃至二回の委員会を開いて、そうして大体十五名乃至二十名の事務局職員を擁しておるのであります。事務局職員みずから、もうすでにここ三年に亘つて事案もないというふうな状況の所があるわけであります。これらの点につきましては、会議体としてのいろいろの御意見をまとめることはこれは一応御尤もでありますけれども、再考の余地があるのではないか。もう一つの面からいたしますならば、中労委に対しまして、どうしても中労委に提訴の気がしないというふうな大きな業種別の団体乃至労働組合というものが存在をいたしておるのであります。これは遺憾でありまするが、事案存在をいたしておるのであります。今度の金属鉱山の争議にいたしましても、古河工業の足尾のごときは十日間に亘ってストライキをやつておる。もうすでにストライキは、あとやる気持もなくなつておる状況下で、どうしても無期限のストライキに入らざるを得ない。かような状況下にありまするときに、中労委ではこれに対して斡旋の態度をとろうといたしましたのでありますが、使用者側はどうしても斡旋に応じないというふうな状況が出ております。これはいろいろ原因もありまするがやはり労働委員会の総体としての機能は認めるが、専門的な問題についての機能につきましては、ややどうも信頼いたしかねるという事案も我々経験をいたしたのであります。さような意味におきまして、この両者の状態を如何にすれば調整ができるかというふうな立場からいたしまして、今度のような案を作つてつたのであります。従いまして、その行き方と、地方公労法立場とを以て行きますると、御指摘のように、どことなくすつきりとしない点が出るというふうに、御指摘の点は御尤もと考えるのでありますが、併し我々といたしましては、先ほど来申しましたように、原則といたしましては、仲裁のやり方と調停のやり方とは、これは同一の八が別の立場とは申しましても非常にやりにくいのではなかろうか。そこで、かような制度を設けることによつて実際の運用面につきましては十分この点については注意をして行かなければならないと考えておるのであります。これをなお基本的に申しますと、労働委員会制度それ自体につきましては、なお、かような制度を設けて見ました上でここ数年の屡情を見て再考をしなければならないものかとも考えるのであります。大臣からたびたび申しますように、原則といたしましては労働委員会制度をこれに当てるべきでない、やはりだんだん欠点はある、いろいろな又或いは不備な点もあるかも知れないけれども、併し年数を経て苔が生えてみなければわからんではないか。又、苔を生やすようにすべきではないかという基本の線と併せましてなお欠点と思われる点を調整し、更に地方公労法におきましても、行政機構整備という線も併せ考えました上で様子を見て行きたいという気持も流れておるということを、御承知願いたいと思うのであります。
  43. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 くどいようですが、特別調整委員制度は、産業別に専門の知識をもつて労働争議に当り得るような考え方というものも一つあるが、仲裁制度について調停委員より別個の委員を選ぶという理由もあるんだ、こういうふうに、はつきりしてようございますね。
  44. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) その通りでございます。
  45. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 その点はその程度にいたしておきますが、もう一つ、十一條、十二條に関してお聞きするのですが、十一條に「職員及び職員労働組合は、同盟罷業、怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。また、職員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、又あおつてはならない。」、これは公労法の規定をそのままたしか持つて来たと思つているのですが、公労法の場合には、あれはそういつちや惡いんですが、占領下で、殆んど原文は英文だつたということは隠れもない事案です。それを翻訳なさつたのですが、この怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができないという規定がある以上は、そそのかし、あおつてはならないということを特別に挙げられる理由がどこにあるか。いずれも業務の正常な運用を阻害するような行為である。そういうふうに一切の行為の中に入るのではないか。そういうふうに考えますが、何のためにこういうことを……。公労法の場合にもこれは要らないのだと思うのですが、その点についてどういうふうにお考えになつておるか。お聞きしたいと思います。
  46. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) この点につきましては、公労法をただ単にまねたというだけではないのでありまして、やはり地方公営企業が持つております公益性という性格から、単にこういつた者でなくして、それをそそのかし、あおつた者も処置できるということにいたした次第でございます。
  47. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 それはわかるんですが、運営を阻害する一切の行為にみんな入つてしまうんじやないですか。
  48. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 案はこれは公労法の場合にも実際に施行に当つて非常に問題になつたのでありまして、御承知のように国鉄の場合でありましたが、あのときには、国鉄といたしましては、結局そそのかし、あおつた諸君がありましたけれども、事案一部は入りましたが、全体としての組合は争議行為に入らなかつたのであります。そのときにこれを処分するかどうかという問題がありまして、これは当時処分をされておるのでありまして、さような意味合からいたしまして、組合全体としては如何にそそのかされても入らない、併しながら、それをそそのかし、あおつたがために山猫的に入る者もできましたり、いろいろな事故も起ることもあり得ると思うのでありまして、かれこれ考えまして、やはり我々といたしましては、ここ当分の状況下におきましては、このような規定は必要であると、かように考えた次第であります。
  49. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 そそのかし、あおるということは、どうもこの頃、政府が破防法を初め非常に得意なんで、何のために「そそのかし、あおつた者」を入れるか。殊に刑法上の問題その他の場合には相当法律的に論議がある。その点はいろいろ考えられるのですが、いつでも問題になつて来るように、労働組合の運動に、率直に言えば成る程度のそそのかし、あおるということを、言えば言い得石程度のことは、常に付きものなんです。大衆の組織を一つの線にまとめて行くというときに、厳絡にはそんなものはみんな起つて来る。たとえ争議権自身を奪つたにしても、大衆の組織が一つの行動としてやつて行く場合には起り得る。だから正常なる労働組合運動の「正常」というのは、末弘さんも枕言葉だと言われておる。文事実如何なる労働組合でも労働組合の運動でも、その程度のことは当然だと思い、認めておるのです。又自然の組合の動きとして、そういうふうに、こういうものが厳格に解釈されるような考え方制限されたことはないのですよ。行為として非常に破壊的な状態が起れば別です。だから、実際問題として、労働組合の動きの中では、刑罰規定を伴うようなそういうやかましい問題として法律的に解釈されておるよりも、もつと常識的に、運動の性質上考えられ、而も業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができないとなつていれば、当然だと、私はそれ以上に書く必要がどこにあるかということが考えられるのですね。それを又念のためにここに持つて来ておる。それはまあ率直に言つて、実は正常なる運営を阻害しておるかと思われることだつて、成る程度運動の落ちつく過渡的の間には誰もこの規定を適用したことがない。経営者自身だつて、この規定をびしびし適用して行つたら、必ずもつと労使関係が正常な状態に行かないということくらいの賢明な常識は持つて刈る。その賢明な常識が欠如しておるのは、僕はこの法律を作る人のほうがどうかと思う。だから、そういう点でみると、強いてこれをお書きにならなくたつていいんじやないか。殊にさつき重盛さんも言つたように、従来労働省のお役人は、翻訳させられたから、しようがないから、この文句を入れたのだが、今度は自分でお作りになる法律にまでそれをお入れになると、労働省のお考えになつておる労働運動というものはどういうことを考えておるかというふうなことすら考えられる。だから、そういう点、それは如何にも労働者に対して理解あるがごとき労働大臣も、実は今の内閣に列せられると違つて来る。労働省のお役人もこれを又作るとなると、どうも思想的な分析まで入らないと、どうもこれは困つたもんだ。いわんや十一條に又現実に反してこれを直ちに馘首の條件とする。直ちにですよ。これは又今まで公労法に直ちにというのはないのです。これを入れて来るならば、それはいよいよそそのかし、あおつて直ちに首切る方向労働省の欲する思想は行つているのだなというふうに二段に考えられる。そういう点について、もう少しはつきりした御説明を願いたい。
  50. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) いろいろ御注意を承りまして大いに気を付けては参りますが、第十一條はそういう意味で書いておりませんで、御承知のように、公共の、公益性の強い企業でござおますので、今までもサポタージユを禁止され、今度は団交権は復活しましたが、争議行為は禁止している。そこで條文にありまする前段はストライキとかサボタージュとかいう行為を禁止いたしますことは当然のことでありますが、同時に、そういうことを共謀し或いは指導する者があるのであります。労働運動としては、併しそういう者は往々そういう行為の表には出ない。しかも大衆はその指令に従つて行動して処分を受ける。そうしてそういう共謀したりあおつたりする指導者は、現実にはストライキには参加しないということは往々あることで、むしろどちらふというと、責任は、そういうことを共謀し、そういうことを指導する者がむしろ責任を負うべき立場にありながら、若し後段を拔きますというと、そういうことになりますと、堀木さんの御説明では、いや、そういうことも一切の行為だから入るのだというふうに広義に御解釈になれんこともないのですが、併し法律解釈は、こういう制限的な規定を厳格に解釈するというのがこれは普通でございまして、でございませんというと、事実は俺はストには参加していない、共謀には参加したけれどもストには俺は参加しなかつたということになつても困るのであります。従つて、念を入れまして、ストライキや怠業もしてならないし、同時にストライキ或いは怠業に参加しなくても、そういうことを共謀しあおつたりしてはならない、こういうことを書いているのでありまして、別に他意があるわけじやございません。なお十二條に直ちに解雇することができるとありますが、「直ちに」が入りましても入つてなくても、これは当然のことでありまして、「直ちに」がなかつたから何年も放つておかなければならんというわけじやありませんので、直ちに解雇することができる。「直ちに」とありますからといつて、その日にでなければ直ちにとはいえないというわけではございませんので、そういう点はそう他意があつて置いたわけではございませんから、一つ御了承願いたいと思います。
  51. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 実は私は同盟罷業、怠業というのは大してなにをしていないが、「業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。」と書いてある。それで破防法の場合と違つて参りますよ。これはむしろ破防法とかこういうものを直ぐ引用して来るけれども、これはほかの法律にもある。併し刑罰規定は伴つていないのです、実際を言うと……。そのうちの「正常な運営を阻害する一切の行為」というのは随分広汎なものになる。こう私は考える。で、破防法の教唆、煽動、あれを引張つて来るのは、私は必ずしも当らないというふうに考えておるが、今ここで角張つて言えば、労働大臣はそうおつしやるけれども、場合によれば、業務の正常な運営の解釈によつては、相当限られた場合であつても、誰もこれについて、組合としても破壊活動を目標としている組合はない。組合は、破防法の場合でも、木村さんが承知しておるように、労働組合というものにおいてはそういう目的を持つているものはない。だから労働組合には影響はないと、これまで言つておられる。そういう組合なんです。だから、そういうことから考えれば、事実は労働組合が大衆運動として或る程度の事柄はあなた方としてはお認めになつておる。事案はもつと少い。この、そそのかし、あおるよりは、巽際に業務の運営が或る程度一時阻害されようとして組合運動のなにとして現われるということすら考えられて従来来ておる問題であるから、この際に御自身の意思でお作りになる法律には、この点については固執されないでいいのじやないか。こう私は考えます。で、こういうと意見になりますが、事実その程度の御理解は、私は過去の労働省の労働行政、労働運動については、労働行政の面からも又経営者、資本家も、その程度の常識は持つている。その常識を欠いたときには組合運動というものは逆に変なものになつて来るということは事実であつて、却つて惡化する、惡いほうに行くということは事実です。その程健の常識は持つている。だから、その常識に従つて、ものをやられてもいいのじやないのか。こういうふうに考えますが、更にこれを追究して行けば、敷き与されただけの文句にしでも固執されるだろうと思うのでこれ以上は追究しないことにして……。(笑声)まだもう一点ありますがあとにいたします。
  52. 中村正雄

    委員長中村正雄君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  53. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 速記を始めて下さい。  本日はこれにて散会いたします。    午後零日時二十八分散会