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政府委員(
賀來才二郎君) 実はこの労働
委員会制度も我々いろいろ研究いたしてみたのでありますが、元来、労働
委員会制度、元来と申しますか最近の事情から見ますると、
二つの機構が
考えられるようであります。
一つは労働
委員会の総会といたしまして、全体の
会議体といたしまして、
労使関係の
調整を
図つて行こうとする行き方、
一つは、そのうちから特別の事案について特別の調停
委員会を作りまして、それが
一つ一つまとめて行こうとする傾向、こういうふうに現われて来ておるようであります。さような意味におきまして、労働
委員会は行政機構の整理に伴いまして五人を三人にすることも反対だということを言われておるようでありまするし、又特別
調整委員制度というふうなものは不要であ
つて、やはり従来のように斡旋
委員或いは臨時
委員のような形でいいではないか、こういうような
意見が出て来ておるようであります。これは一応尤ものようでありますが、我々といたしましては、現に僅かに一カ年間に二件か三件の取扱いしかない、こういうふうな県にまで一律に労働
委員会がありまして、毎月一回乃至二回の
委員会を開いて、そうして大体十五名乃至二十名の事務局
職員を擁しておるのであります。事務局
職員みずから、もうすでにここ三年に亘
つて事案もないというふうな状況の所があるわけであります。これらの点につきましては、
会議体としてのいろいろの御
意見をまとめることはこれは一応御尤もでありますけれ
ども、再考の
余地があるのではないか。もう
一つの面からいたしますならば、中労委に対しまして、どうしても中労委に提訴の気がしないというふうな大きな業種別の
団体乃至
労働組合というものが存在をいたしておるのであります。これは遺憾でありまするが、事案存在をいたしておるのであります。今度の金属鉱山の争議にいたしましても、古河工業の足尾のごときは十日間に亘ってストライキをや
つておる。もうすでにストライキは、
あとやる気持もなくな
つておる状況下で、どうしても無期限のストライキに入らざるを得ない。かような状況下にありまするときに、中労委ではこれに対して斡旋の態度をとろうといたしましたのでありますが、
使用者側はどうしても斡旋に応じないというふうな状況が出ております。これはいろいろ原因もありまするがやはり労働
委員会の総体としての機能は認めるが、専門的な問題についての機能につきましては、ややどうも信頼いたしかねるという事案も我々経験をいたしたのであります。さような意味におきまして、この
両者の状態を如何にすれば
調整ができるかというふうな
立場からいたしまして、今度のような案を
作つて参
つたのであります。従いまして、その行き方と、
地方公労法の
立場とを以て行きますると、御指摘のように、どことなくすつきりとしない点が出るというふうに、御指摘の点は御尤もと
考えるのでありますが、併し我々といたしましては、先ほど来申しましたように、
原則といたしましては、仲裁のやり方と調停のやり方とは、これは同一の八が別の
立場とは申しましても非常にやりにくいのではなかろうか。そこで、かような制度を設けることによ
つて実際の運用面につきましては十分この点については注意をして行かなければならないと
考えておるのであります。これをなお
基本的に申しますと、労働
委員会制度それ
自体につきましては、なお、かような制度を設けて見ました上でここ数年の屡情を見て再考をしなければならないものかとも
考えるのであります。
大臣からたびたび申しますように、
原則といたしましては労働
委員会制度をこれに当てるべきでない、やはりだんだん欠点はある、いろいろな又或いは不備な点もあるかも知れないけれ
ども、併し年数を経て苔が生えてみなければわからんではないか。又、苔を生やすようにすべきではないかという
基本の線と併せましてなお欠点と思われる点を
調整し、更に
地方公労法におきましても、行政機構整備という線も併せ
考えました上で様子を見て行きたいという気持も流れておるということを、御
承知願いたいと思うのであります。