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1952-06-27 第13回国会 参議院 労働委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月二十七日(金曜日)    午前十一時九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中村 正雄君    理事      波多野林一君            村尾 重雄君    委員      九鬼紋十郎君            一松 政二君            小林 政夫君            早川 愼一君            堀木 鎌三君   国務大臣    労 働 大 臣    厚 正 大 臣 吉武 惠市君   政府委員    地方自治庁公務    員課長     佐久間 彊君    労働省労政局長 賀來才二郎君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巖君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   説明員    労働省労政局労    働法規課長   大島  靖君   —————————————   本日の会議に付した事件地方公営企業労働関係法案内閣提  出、衆議院送付)   —————————————
  2. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 只今から会議を開きます。地方公営企業労働関係法案を議題といたしまして質疑を続行いたします。
  3. 村尾重雄

    村尾重雄君 この前重盛君から或る程度の質問がありました第一条、第二条の目的と、それから責務ですが、この点で第二条の問題は先ず問題外として、第一条のこの目的についての議論を承わつておりましたが、それについて私がもう一つお尋ねしたいのは、地方公営企業体企業目的なんであります。これは明らかに事業収益と言いますか、これを図ることがこの企業体としてやはり一番の重要な目的だと思います。もとよりあなたの御意見から言うと、地方住民福祉を図る目的を以て起案されたものだと、こういう御意見を第一にお立てになるのでありますが、その企業体そのもの実態というものは、やはり収益というものから離れてあり得ないのであります。それともう一つは、地方自治体の存続のために、やはりその経営する事業収益ということが非常に重要な問題と関連があるわけでございます。そういうような点からこの公社経営する公共企業体、又は国の経営する公共企業体、これと同性質以外に、より以上のやはり収益関係及び地方自治体のための、どういうのですか財政上の関係を持つた企業体と我々見ておるわけなのですが、その点公社における企業体及び国の経営する企業体と同一に考えるばかりが能ではなくて、やはりこれと違つた収益並びに地方自治体のための財政上の関係においてこれが経営されるのだと、こういう見方が成り立つと思うが、如何ですか。
  4. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) この前もそういうお話がございましたが、私は国家でありましても地方公共団体でありましても、この公営企業性質は同じではないかと思います。それは個々の企業について多少収益のいいところもありましようし、又非常に悪いところもございますが、やはり本質的にはその地方公共福祉と言いますか、便宜のために公共団体経営したほうがいいというものを経営をしておるのであつて、その地方財源を得るためにということは、私は殆んどないのじやないか、こう思います。若し収益があつて儲かるということであれば、むしろ料金を下げて住民便益を図るべきで、これでもつて金儲けをするという性質のものではないし、又現に行われておるものも私は大体そういうふうに見ている。むしろどちらかと言うと、建設費その他等において困る場合に一般会計から或いは貸付けるとかなんとかいう、むしろ便益を与えておるくらいであつて収益或いは財源というために地方公営企業は行われ、国のほうはそうでないというふうな私は区別というものは先ずないと思つております。併し公営企業ではあるとは申しましても、一般財源からどんどん繰入れて行くということでは困りまするので、大体は独立採算と申しますか、収支の償うような経営というものが、これは国でもやつておりまするし、地方でもやつております。ただ事業性質が国は国に適合したような事業を行いますし、地方地方公共団体にふさわしい事業をやる、例えば市電のようなもの或いは水道のようなものというのは、やはり地方公共団体に適合した公営企業国鉄はまあ公社になりましたが、そういうものとか郵政事業というふうな国全般的なものは国がやるという分れ目があるだけでありまして、本質的なものは同じじやないかと思つております。
  5. 村尾重雄

    村尾重雄君 その議論は明白にわかつておるわけなのですが、私は労働関係立場から考えた場合に、やはり今日の地方公営企業体自身あり方というものは、何と言つて現実においてやはり経営ということが非常に重要視されておる。そこにあつてやはりその経営能率を上げるという点において、労働関係というのは最も重要な立場に立つのであつて、その労働関係の今後の能率及びその重要さにおいて、その企業体経営というものがうまく行くか行かないかは明白になつていないのであります。そういうような関係から行きますときに、どうしても労働関係というものは、やはり相当重要な他の企業と変らない立場において事務能率及び従業員厚生等においてやはり経営自身能率を上げるために十分な考慮を払わなければならぬと思う。その点から考えまして、この第一条を見ますると、「住民福祉の増進に資することを目的とする」、経営に即した正常な運営を最大限に確保して行こうということに重点が非常に置かれておつて労働関係法案であるにかかわらず、労働関係をその住民福祉ということで大幅に制約していることが、最初に謳われている感を深く持つのですが、この点は今日の平和な労働関係を維持するという言葉が正しいか正しくないかは別としまして、正常な労働関係を維持する必要があり、その正常な労働関係を維持するためにも、こうした目的にかなり過重な他の目的を謳うているということは、それはこの法案経営者といいますか、企業といいますか、一つ目的に偏重し過ぎている嫌いがあるのじやないか、こう思うのです。これはやはりその企業体の本当の能率を上げるためには、労働関係というものが主に置かれなければならぬと、こう思うのですが、非常にこのような経営体の安全といいますか、住民福祉の点に重点を置かれた嫌いが窺われ過ぎている感を深くするのでありますが、如何ですか。
  6. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 多少私感違いをした点もございましたが、村尾さんのお示しの点は私もわからんわけではございませんが、実はその点を考慮に入れて今度この地方企業につきましても、又国の企業につきましても、団体交渉権認めるのが適当ではないだろうか。ということに踏み切つたわけであります。村尾さんのほうのお考えから言うと、それは踏み切り方が足りないのだということだと思うのですが、実は政府がこれを踏み切りましたのは、そういう観点を、つまり国の行なつている或いは地方公共団体の行なつている事業ではあるけれども、その事業一つ経営体であり、能率を上げるように努力すれば、その努力によつて収益が増して来るという企業体である。それを一般公務員と同じように考え、同じ待遇というような考え方で行くことは、むしろこれは面白くない。やはり努力すれば努力するだけ、それが働き甲斐のあるものたらしむべきである。従つてそうするには、やはり努力をすると同時に、条件については団体交渉によつて決定して行くということが望ましいということで、実はやつたわけでありますが、まあ恐らくそれが足りないぞというお考えであろうと思いますが、考え方におきましては私は了承するわけであります。
  7. 村尾重雄

    村尾重雄君 私は表現が非常に下手なものですから、同じようなことを繰返すようでありますが、これは非常に重要だと思います。というのはこれと少し離れますが、御承知のように最初は野放し的な労働法適用であつた、これは労組行動にも責任があつたでありましようが、当時の日本の経済の事情等において、占領軍から例えば三百二十五号並びに政令二百一号等において罷業権が抑圧されたばかりでなくして、他の行動においても抑圧されたと思います。ところがその後におけるところの二百一号の政令適用されている地方公務員なり地方公共企業体現業ですね。地方における公務員及びその吏員の現業非現業の人達に対して、その占領が解かれて、その後における労働関係をどう律するかということにおいて今非常に重要な時期だと思います。その時期に当つて政令が出された当時の事情というものは我々は十分了解もし、又我々はあえてそれを非難するものではないのでありますが、今日において国家公務員においてやはり現業非現業ばかりではなく、特に地方における地方公務員現業非現業とのやはり取扱いにおいて、労働関係において相当踏み切つた態度があるべきだと思うのです。この時期を外して私は将来憲法によるところの、又憲法によつてのみ謳われた我々の労働基本権だという立場を主張するのではなくして、今日労働者生活立場から言つても、罷業権のない今日の労働者というものは自分の生活を守るのには非常に困難だと思います。その他一方においてよく政府なりあなたが今度は団交権を与えられるのだと言われますが、団体交渉というものは何が基礎にならなければならないかというと、労組側罷業権なくして、争議権なくして団体交渉というものが如何に無価値なものであるかということはやはり考えて頂かなければならない、こう思うのです。その点で国家公務員においての現業非現業においても勿論差別はないと思いますが、特に地方公務員現業非現業においては、これは国家公務員と又少し段階があると思います。こういうような点から国家公務員現業非現業もそうだろうと思いますが、特に地方公務員現業非現業においては、その基本権であるところのやはり罷業権争議権というものは当然認めるところまで私は行かれるべきである、こう思うのですが、その点なぜそこまで踏み切りがつかなかつたかということについて、再度あなたの御意見をお伺いしたいのです。
  8. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) お話のごとく経過につきましては御尤もな点があると思います。一度我々の立案いたしました労働組合法におきましては権利を獲得しておる。それが一時のいろいろな問題から遂に今日のような事態になつたのでありまして、その点を私共考えまするが故に今回この団体交渉権の復活も余り放置すべきでないというところから、独立最初に取上げたわけでありますが、さて争議権まで持つという問題になりますと、私はやはり公務員という性質に鑑みまして賛成しかねるのであります。それでお話のように争議権がない団体交渉というのは無力だという御意見でございますがた成るほど力がないように見えますけれども、併しやはり世間というものは公正でありまして、特に調停機関或いは仲裁機関にかけますれば、私は争議をやつて妥結するとか獲得するところの条件と、仲裁によつて得たところの条件とが必ずしも私は変らない、如何にも争議をやつて獲得したほうが力強く獲得したように見えましても、なかなかやはり限界がある問題でありまして、そういう点から考えますれば私は平和的な解決によつて条件が向上するということは長い目で見れば決して私は間違いはない、こういう感じを持つております。
  9. 村尾重雄

    村尾重雄君 私は罷業権というものが行使される、されないということの問題を提供しておるわけじやないのです。罷業権を奪う、奪わないの問題なんです。罷業権を与える与えないの問題を提供しておるのですが、罷業権そのもの現実どう取扱われておるかということをば、過去四、五年前のいわゆる労組あり方なら結構でありますが、趣く最近の事例から見て向上したものをば、一つの抑圧的なものをなお残さなければならんという今日の実態ではないと、こう思つております。そこで憲法立場からばかりでなくして、だからといつて罷業権があるのとないのとは、そこにおいて許されておる団交においても相当のやはりそこに圧力になることは間違いないと思います。そういうような点からやはりこういうものを抑圧するということは、一つの制限を加えるという行き方は、この際思い切つて私は当然労働三法まで及ぼすべきだという考え方を放せないわけなんであります。これは非常に今後とも重要でありますので、真剣にこの問題をやはり考えて頂きたいと思います。地方公務員現業非現業というものは例えば第一条のときもお話があつたように、今日の地方企業実態を御覧になつた場合に、これはそうした一つ制約をされるべき性質のものではどこから考えても考え得られないのです。その点は深く今後のことにおいても、いつまでもこの法案というものを律して行こうということでなくして、恐らくこの法案は一応こういう建前を取つたという考え方だと思うのですが、それに対する大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  10. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 先ほど来申上げますように、過去の経過から見ますると御尤もの点もございますが、従つてども公務員という性質につきましては、私限界があると思つております。併し団体交渉まではこれはやはり認めなければならない。で、現在禁止されておるからと言つて、これを放置することは私はいけない、こう思つて立案したわけであります。それ以上の問題というのは今後いろいろ御審議を重ねて行かれるでありましようが、私はその際においても公務員であるという限界というものは常に残つておるという感じを私は持つております。
  11. 村尾重雄

    村尾重雄君 もう一点承わりたいと思います。国家公務員現業、罷現業とそれから地方公務員現業、罷現業というものは一つの差があると、こういうことはどう考えられますか。同じだとお考えになりますか。
  12. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) その点は同じだと思つております。
  13. 村尾重雄

    村尾重雄君 そこで例えば公共企業体関係の今日までの国鉄及び専売労組あり方においてもそうでありまするが、地方自治体における各労組の当事者との間にいろいろ交渉現実において爾来持たれておつたと思います。労働条件並びに給与の面において。それがたまたま話が妥結点を見ないときにおいて、例えば賜暇休暇定時退出であるとか、それから坐り込みであるとか、御承知のようないろいろなる戦術が行われて紛糾が起つておるわけでありますが、これはお認めになると思います。そうした坐り込みであるとか、又それと同じようないろいろな、私から言うとそれはやはり一つ争議だと見るのですが、こういう行われておる実態をあなたは十分お認めになつておるのですか。現在行われておるそうしたいろいろな紛糾の処理について、労組側が行なつているところの現実戦術というものをお認めになつておるかどうか。
  14. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私は認めております。それから又つまり許された範囲においての行動というものは、これは私は自由であるべきだと思います。従つて先般来いろいろ破防法その他について労働団体からいろいろな行動をとられておるのでありますが、その際も私が申上げておりますように違法の行為一つ慎重にやつて欲しい、許された行為まで一切いけないといつているのじやないのです。政治について意見を出されることも同様でありまして、又こういうふうな労働条件につきましては、これはもう直接職員関係でありまするから、私はそれが意思表示されることは当然だと思います。ですからそれを許された方法でやられるということが望ましい、かように感じております。
  15. 村尾重雄

    村尾重雄君 許された範囲内かどうかという、又合法か非合法かということが、我々すら踏み切りがつかないような争議行為というものが現実に行われていることは事実なんです。これはお認めになつておると思います。そこで私は一つ制約というものは必要がないのじやないか、現に行われておるから必要ないのじやないか、こういう点を私は申上げておるのであります。そこで現実にすでに行われておる争議行為というものが、これは許された範囲でないかということを、許された範囲外だとおつしやるのは、それはあなたの主観的な見方だと思います。あなたの主観的な考え方だと思うのです。条例なり又一つ地方においてこういうことをやつてもらつては困るという、いろいろな規則を犯して現実争議というもの、争議手段というものが行われているのですから、これは恐らく全国においてこの行動に出ておらない各自治体の労組というものはないと見ていいと思います。こういうふうな、すでに問題を解決するために或る程度争議行為というものが現実に行われておるのでありまして、私は罷業権も、例えばその他の争議実態、これは団交以外に当然認むべきときまでやはり行かなくては、現実を離れた実体になるのではないかと思うのですが、重ねて伺いたい。
  16. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私は現在行われているものが全部許されたものであるとは思つておりません。併し現在争議行為を禁止されておる職員組合におきましては大体私は守られておると思つております。国鉄におきましても一時山猫争議のようなものがございましたけれども、全般的にはそういう行為はございませんでしたし、又地方公共団体でも市電等におきましては、或る都市の市電には違反行為があつて処分された例もございますが、その他につきましては大体私は間違つていないのじやないかと思います。それから又その意思表示といたしましてストライキをやるのが一番効き目がいいということになるかも知れませんが、これは私いろいろな方法意思表示はできると思います。むしろこれは多少私の言を弁護するために言つていると言われればそれきりでありますが、余りあくどいことをやられればむしろ反感を買つて、そうでない合法的な方法を取られればむしろそれに対して責任を感ずるということも私はあり得ると思うのです。これは私ども公労法で裁定が下された際に政府がなかなか呑めないと言つたときに、議会でこれをどう取扱うかという場合に、国鉄職員あたりが随分自由党にも来られまして、いろいろ実情を訴えられた、そうするとやはりそのほうに同情的な人がたくさん出て参ります。そのときに非合法だけれどもやつてしまえということになると、むしろ意地ずくになるということもあるわけでありまして、必ずしもそうも行きませんが、方法というものは私は考えればあるのではないか、こう思つております。
  17. 村尾重雄

    村尾重雄君 その点一面の考え方は、罷業権がないから却つてそうしたいろいろな紛糾が連続して行われて、その解決が非常に長引いているのだという考え方一つあると思うのですが、これは非常に大臣は一貫した御意見を持つておられるので、これは又後日に譲ることにいたします。  そこで今後は第五条の、この前からたびたび問題となつております職員団結権のことでありますが、これは私は多く申上げませんが、問題はこれの第二項です。この第二項というものは、これはもう削除されてもこの目的は十分に、例えば労組法第二条に明白にやはり謳われている問題ですからして、わざわざここでこう挙げなくてもいいのじやないでしようか。労組法に謳われているからこれが適用されるというのじやなく、もうすでに労組法において明白にこの点は一般人にも滲透した問題だと思うのです。ですからこの第二項でわざわざこういうものを謳う必要がないと思いますが、これはどうお考えですか。
  18. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) この項を置きました理由は、先ほど大臣からも申上げましたように、この法案全体を流れておりまする一つの方針といたしまして、地方公営企業に従事する職員地方公務員であるという立場をとつておるわけであります。従いまして公務員でありまする以上、或る限度におきまして地方公務員法適用はあるわけであります。さような意味からいたしますと、御指摘のように成るほど労組法におきましてはすでにこの範囲の問題は大体法律にも、いわゆる利益を代表するもの、或いは管理の任にあるものは入つてはいかんということがあるわけでありますから、大体の基準はそれで定まるわけでもありまするし、又この法律が将来政令で定める基準というものも、この労組法趣旨従つて定めらるべきものでありまするが、ただ公務員法適用するという立場からいたしますると、或る市ではこの辺まで適用になる、或る市ではこの範囲適用なつたというふうにいろいろな差違ができますこと自体が、公務員法という立場から見て非常に困る、かようなことからいたしまして、或る範囲、或る基準というものを作りまして、その基準範囲内においては地方公務員法適用になります。そうでないものについてはこういうふうな範囲適用になるということを定める必要があるわけでありまして、さような意味合いからいたしまして、この二項を設けた次第であります。ただ実際のやり方といたしましては、一方的にかような基準を設けますこと自体、特に地方公営企業になりますると、それぞれの市におきまして又それぞれの業態において非常に複雑な面もございますので、十分組合意向も聞いて、そうして又経営者側のといいますか、企業者側意向も聞いて定めなければならない。更に地方条例で定めます場合においては、実際の取扱い方といたしましては、組合意向を十分聞きまして定めるような取扱いになるだろう、又さようにすべきであるという考え方を持つておるのでありまして、現在公労法におきましても国鉄専売等につきましては、さような事実上の取扱いをしておる次第であります。
  19. 村尾重雄

    村尾重雄君 私はこの条項は労組法第五条第二項が拵えられた当時においてはやはり非常に教育的な意味があつたと思います。こういう点ではうなずけるのですが、今はこういう項については必要ないと思うのですが、例えば今賀來さんからいろいろ話があつたように、それぞれの業態において、特に地方企業体においては非常な特殊な事件があるので、やはりこの項が必要だという御意見ですが、今あなたの御意見伺つてつても、これは条例できめるとまで行かなくても、やはり双方協議できめるという行き方労働関係においても私は正しいあり方じやないか、民主的なあり方じやないかと思うのですが、条例にきめるというやつを、例えば当事者双方協議してきめるというような方法……、あなたの今の御説明従つて行く場合において、条例できめるというよりか双方協議できめるという行き方が正しい行き方ではないか、民主的な方法でないか、こう考えまするが、なぜ条例にした考え方ですか、これは双方協議するというような方法にしたほうがいいのじやないですか。
  20. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 一応御尤もの御意見でありまするが、先ほど申しましたように、法律適用範囲がこれによつて限界が定められて参るわけでありますので、従つてこれは政令基準を設け、更に条例で明確に定めることが必要である、かように考えておるわけでございます。併しながら労組法適用にもなつておることでもございまするし、又実際面におきましては先ほど申上げましたような趣旨もございますので、事実上の取扱いといたしましては十分協議の上定めるようにいたしたい、かように考えておる次第であります。
  21. 村尾重雄

    村尾重雄君 次に第六条の専従者の問題ですが、これは団体交渉範囲の項でお聞きしたいと思います。  次に第七条の団体交渉範囲についてお尋ねいたしたいと思います。そこで先ずお尋ねしたいのは、この前にいろいろとこれについての審議伺つてつたのでありまするが、この際いま一度明確にして頂きたい点は、四号に掲げられた労働条件に関する事項に含むところを一つお尋ねしたいと思うのです。第七条の二項の四、労働条件に関する事項ということに含むことについてお考えを伺いたいと思います。
  22. 大島靖

    説明員大島靖君) 第七条第二項の四号「前各号に掲げるものの外、労働条件に関する事項」、こういう規定になつておりますが、一号から三号に掲げておりますものも大体賃金その他の労働条件なんですが、ただ一号から三号まで掲げておる以外でありまして、例えば労働環境でありまして、衛生或いは安全という見地からだけじやなしに、その他の労働環境の問題もありましようし、或いは福利施設等におきましても、労働条件と言えないような福利施設もございましようが、労働条件に該当するような福利施設、こういうふうな前三項に含まれている以外の労働条件、こういうものを予定してここにその他の労働条件、こういうふうにいたしたわけでございます。
  23. 村尾重雄

    村尾重雄君 私がそれでは簡潔にお尋ねしたいのは、例えば職員の任命及びその採用の基準に関する事項という問題がこれは含まれておるかどうかということです。というのは御承知のように、団交特に地方公共企業体労働関係においては職員の任命、採用というようなことが非常に重要な問題になつておるのです。これはもうすでに今までの許された範囲内の期間における交渉の題目となつて論議されておることは御承知になつておることだと思うのです。今後においてもこれは非常に重要なんで、これが例えばこの一号乃至五号の範囲内までいわゆる団体交渉範囲内として認められるととつていいのではないか。これに対する御意見をちよつとお伺いしたいのです。
  24. 大島靖

    説明員大島靖君) 任命につきましては先ほど来御説明申上げておりますように、この法律に規定いたしまする職員公務員であるという建前からいたしまして、公務員の入つて来る、任命のことにつきましてはやはり地方公務員法に定めるところによるべきであつて団体交渉範囲には入れてないわけであります。
  25. 村尾重雄

    村尾重雄君 私の言うのは、例えば任命採用の基準なんです。これは非常に重要な関係があるのです。例えば現在就職しており働いておる人たちにとつても、又今後の自分たちの給与の問題に関連しておるこの任命、採用という問題の基準というものは重要な関連があるので、これはすでに地方においていろいろな争議が取られておると同じように、由来の交渉範囲に入つて、現在においても行われておる問題であります。又これを離れて私は団体交渉というものは相当無意味になる面があるのじやないかと思うので、単に任命とか採用とかいうことが地方公務員内の問題であつたとしても、そのこと自体が問題の対象になることは差支えないと思うが、それがこの団交条件の中に含まれておるものという解釈が成立つか成立たんかということなんです。
  26. 大島靖

    説明員大島靖君) 任命の基準につきましてもやはり今申上げましたような理由からいたしまして、団体交渉の対象にはならないわけなんでございます。ただ任命されまして公営企業職員となりました者が、例えば転職いたしますとか昇降職いたしますとか、或いは免職、休職になる、こういうふうな場合につきましては、団体交渉事項として十分なる協議の結果によらしむべきである、こういうふうな考え方であります。
  27. 村尾重雄

    村尾重雄君 任命の基準言つても、例えば試験方法とかいろいろなこともありましようが、それ以上に例えば初任給をどの程度出すとか、こういうようなことがやはり任命の一つ基準というものに関連して来ると思うのです。関連しないとお考えになるなら結構ですが、例えばいろいろな労働条件に加味された問題というものがこの基準には非常に入つて来る。ただ法的にこういうものはこういう試験をするとか、こういう能力とか、こういう学校を出たとかいうこと以外に、例えば広く採用及び任命について考慮して考えて、広く考え労働条件範囲内に入つてすでに行われておる問題なんですからして、これに含むものという考え方を持つていいかどうかということなんです。
  28. 大島靖

    説明員大島靖君) 只今のお尋ねのような問題につきましては、この第一号の「賃金その他の給与」と、こういう問題に関連して来ると思いますので、この点につきましては団体交渉の対象となり得ると考えております。
  29. 村尾重雄

    村尾重雄君 言葉が足りないか知れませんが、私の考えておるような例えば任命の基準というものは含まれておると、こう解釈していいわけですね。
  30. 大島靖

    説明員大島靖君) この任命そのもの、或いは任用の基準につきましては、先ほど御説明したようなことなのでありまするが、それと関連いたしまして、今お尋ねのような問題につきましてはその団体交渉の対象になつておりますので、そういう関係におきましては交渉事項として入つて来ると、かようになつております。
  31. 村尾重雄

    村尾重雄君 それから、ここに挙げられていないのですが、就業規則に関してはどうなんです。これは対象になるのですか、ならないのですか。
  32. 大島靖

    説明員大島靖君) 就業規則そのものにつきましては団体交渉の対象にはならないのでありますが、ただその就業規則の内容をなしまする、ここに掲げておりますような賃金その他の労働条件、こういうものについては団体交渉の対象になるわけであります。
  33. 村尾重雄

    村尾重雄君 就業規則は御承知のように、これは重要な関係があるので、これは当然私はこの内部の労働条件に加味されるものだと、まあ人が言うのは知らないが、こう取つておるわけです。就業規則がこれがはずされるというような理由はどこにも見出せないのです。
  34. 大島靖

    説明員大島靖君) 今お話の点につきましては、恐らく就業規則の内容についてのお話だろうと思うのでありますが、その点につきましては、今申しましたように、こういうふうな賃金その他の労働条件というものとして、団体交渉の対象に相成るわけであります。
  35. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 一松君、関連質問ありますか。
  36. 一松政二

    ○一松政二君 只今村尾さんのいろいろ御質問の、この第七条の四号ですが、これを設けた理由を承わりたい。
  37. 大島靖

    説明員大島靖君) 大体賃金その他の勤務条件につきまして、一号から三号で大体主なるものにつきましては規定いたしたつもりでありますが、その三号までで含まれないもので、先ほど申しましたような問題もあり得ると思いますので、そういうものをその他の労働条件と、こういうことで行く、こういうことにいたしたのであります。
  38. 一松政二

    ○一松政二君 この書き方は、会社の定款か何かに書いてあるものと非常によく似た書き方なんです。それは会社が営業するとか何とかいうときには、成るべく範囲をそれに関連する事項で広く掲げているほうが将来のために、何かと定款で問題の起らないようにするためなんですが、いやしくも団体交渉範囲なんというものは、これは明白に限定して私は規定を設くべきものであつて、掲げたけれどもその以外に何か洩れているかも知れんというような考え方で私は設くべきものではない。それを今村尾さんから話があつたのを聞いても、必ずこいつは将来紛争の種になる。入つている、入つていない、入つている、入つていないということで紛争の種になるのです。日本の法律に、まあこれはちよつと余談になるかも知れませんが、司令部でいつでもエトセトラという言葉を使う、何々等という言葉を使う、等というような言葉は何だ、そんな法律があるかということを常に私はこれまで聞いておる。ところがこの第四号のごときは、著るしいその「等」の、エトセトラのもう尤なるものである。将来の紛争の種を蒔く問題であると思うから、私はこれは削除すべきものであると考えますが、その点についての御説明を願います。
  39. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 御尤もな御意見でありまして、事実公労法でこういう規定を入れておりまして、特にこの第一項でありますか、この団体交渉は、その管理運営についてはやつていかんと、労働条件についてはやるのだと書いてありまして、そうしてそれを限定列挙したのであります。制限列挙されたのであります。この過去三カ年間におきまする公労法の運営の結果から言いますと、御指摘のように、このその他というところに、特にその他のうちでも管理に入るのか、労働条件に入るのかという点でいろいろ問題が起きた。殊に一番問題がありましたのは、福利施設、これは国鉄から言いますと、官舎であります。これは一体福利施設なのか、或いは業務上の施設であるかという点が問題になつたのであります。でこれは更にそれが問題になつた理由の一つといたしまして、曾つて三、四年前国鉄で非常に極左の諸君に支配されておりましたときに、官舎というものは、これは福利施設だ、従つて労働条件関係するものであるというふうな意味からいたしまして、官舎に入る順番は労働組合に協議すべきであるというふうなことを言い張りまして、非常に国鉄側は困つた例があるのであります。そこで官舎というものは、結果においては福利施設に違いないけれども、併し設置の趣旨は、これは業務上の機関であるということで、これを国鉄組合が健全化いたしましてから、この問題は福利施設外にしたというようなことがあります。さような意味で、いろいろこういう書方をいたしますと問題になると思いますけれども、併し、今日まで過去六カ年間におきまする労働組合の団体協約等の状況及び団体交渉経過から見まして、ほぼもう慣行が確立して参つて来たようであります。で基本的にはもう余り問題はないのでありますが、小さい、小さいと申しますか、やはりその都度出て来ます問題につきましては、これはいろいろ問題が起るかも知れませんが、殆んど慣行もできておりますので、こういう表現でよろしいと考えるのみならず、逆に考えまして、これを又更に削りましたり、或いはこれを詳しく書いたりいたしますと、今度はそのこと自体からそれじやこれは何だというふうなことで、はつきりきめること自体からも又紛争の起る虞れもございますので、大体この程度に記載をして置くべきものだと、かように考えた次第でございます。
  40. 一松政二

    ○一松政二君 今労政局長のお話を聞きますと、もうすでに慣行もできておると、今までいろいろ経験もあると、こういうお話でございますが、村尾委員も專門家なんです。こういう権威のあるかたがすでにそういう質問を投げかけるということは、やはり私は紛争の種になると思う。若しこれがなかつた場合でも私は同じだと思うのです。実際問題といたしました場合には(村尾重雄君「俺のはしまいまで聞けばわかる、何で質問いるか……」と述ぶ)実際問題を取扱う場合には、むしろそういう問題を、特殊な例を一つ挙げて、これはこれに入るのだとか、入らんのだというので議論しないで、実際問題が起つたときにその問題を処理すればいいのであつて、私は紛争の種になるような規定はないほうがよかろうと思います。これは意見になりますから、一応これで打切ります。
  41. 村尾重雄

    村尾重雄君 只今の話の就業規則の問題ですね。これだけでなくして、今賀來さんからもお話があり、先ほど大島さんからもお話があつたように、福利施設をやはり含んでいるという御意見があつたのですが、私はそれ以上に、例えば共済の問題ですね。こういうふうな点から考えて、共済にしても、例えば福利施設にいたしましても、特に就業規則等においてはやはり労使共に納得の行つた線を出さなければならん。又納得の行つたものでなければならんと思うのです。こういう点から当然この団交範囲に入るべきものだとこう考えるのですが、どうですか。含まれたものと見てよろしいのですね。
  42. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) その就業規則自体は納得ずくできめるべきものであるという御意見は、これは了解できます。従いまして大島課長から申上げましたように、就業規則のうちで労働条件に関しますものは全部団体交渉で行くべきものとかように考えておるのであります。御承知かと思いまするが、実はこの公労法の改正前の公労法には、ここに制限列挙いたしました中に就業規則を入れておつたのです。ところが大島君から申上げましたように、この就業規則自体団体交渉の対象にするような書き方は、これはどうも書き方としては正しい書き方ではない。これはもうそれよりもやはり就業規則の内容につきましてここに列挙するほうが適当であるというふうな意味からかような書き方をいたしておるのでありまして、御意見の通りに、就業規則自体はこれは基準法の規定から申しましても、内容は納得ずくできめるべきものと、かように考えておりますので、どうもここに書かなかつたということになりますと、如何にも就業規則は団体交渉の対象にならないかというふうな御疑問をお持ちになつているようでありますが、これはさような意味ではございませんので、やはりその趣旨は御意見の通りに考えておる次第でございます。
  43. 村尾重雄

    村尾重雄君 大体まあ公労法において八項目ですか七項目あつたやつが今日搾られて五項目になつたという建前からのお話が今あつたわけなんですが、この地方公労法においても大体公労法に掲げられてあつた制限列挙の八項目が五つに搾られ、而もこの四号の「前各号に掲げるものの外、労働条件に関する事項」という事項に大体包含されておる。なお、私が今いろいろとお尋ね申上げた職員の任免、採用の基準であるとか、共済及び福利厚生に関する事項であるとか、或いは就業規則の問題であるとかいうようなことは大体含まれて、その他の労働条件のうちに包含されているものだという解釈は大体成り立つと思うのですが、そう思つていいですか。
  44. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) この前のやつを整理いたしましてこういうふうにまあ書き直しましたのは、別に実害があつたわけではないのでありまするが、折角法文を改めます際には、我我が、まあ日本的と申しますか、御承知のように前の法律は強力なる占領軍の支持によつて余りにも何と申しますか匂いが違いますので整理したというふうな経過を辿つたものでありますから、趣旨といたしましては変りはないのであります。従つて今の御質問のように、労働条件に関するものは前の規定にありましたような趣旨で全部入つておるとかように御解釈願つて結構でございます。
  45. 村尾重雄

    村尾重雄君 次にこの第六条の専従職員の数の問題なんですが、専従職員の問題はやはり六条においてこうした条項を設けて地方公営企業体の許可というのですか、六条の項を設けて、この六条の規定を行うよりも団交範囲内に入れて、当然今日の労働組合あり方というものが、前の六条の法を適用させなきやならんような事態とは大分変つているのですよ。又非常にこの今日のあり方というものは、組合のそれ自体を御信用なすつてもいいような事態になつているのです。そういうような点からその専従職員組合活動というのは、従業員の……企業体職員組合運動の範囲内とかそういうようなもの等を含めて、この団交の中に入れられて僕は然るべきだと思うのですが、こういうようなものはやはりこの第六条において一つの専従職員の項を設け、団交範囲内に入れられるべきでないというお考えらしいですが、これについての説明を少し伺いたいと思うのですが……。
  46. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 組合ももう経験も経て参りましたし、大体専従者というのは結局組合が経費を持つわけであります。従いましてこれはもう組合責任においてやるべきであろう……、これは以前の、改正前の法律のように使用者側が給料を持つような場合でありましたならば、これはまあ使用者側がこれに関与することは必要であろうけれども、組合自身もおのずから限度があるから、任しても……団体交渉の対象にしてそしていいじやないかと……、殊にこの地方公営企業組合というのは又非常に健全な組合でもございますから、更にそうしていいじやないかという御意見は、組合からも又方々からも聞いておるのであります。一応御尤もと考えております。ただ、我々はこの条文を置きましたのは、組合を信用しないとか或いは又組合の専従職員の数に干渉させようとかいう意味ではないのであります。御承知のようにやはりこの基礎に流れておりまするものは、地方公務員であるという性格を持つておりまするその線に沿うておるのでありまして、地方公務員法の三十条、三十五条では、職員というものはその事務に専念する義務を課せられておるわけであります。で、この専念の義務を持つておりまする地方公務員たる性格を持つておりますところの公営企業職員の何人かを、この専念の義務から外すことになるわけでありますから、自然法律でもつてきめますと共に、やはり管理者の責任においてこういう手続を取る必要があるという意味合におきましてこの条文を置いたわけであります。勿論実際に何人にするか、どうするかということにつきましては、団体交渉の対象になる事項として挙げてはおりませんけれども、十分に組合意向を聞きまして、そうして双方納得して処置をするという慣行が現に国鉄等においてもできておるようでありまして、今後の取扱い方につきましてはさような方針にいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  47. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時八分休憩    —————・—————    午後四時二十九分開会
  48. 中村正雄

    委員長中村正雄君) それでは委員会を再開いたします。本日はこれで散会いたします。    午後四時三十分散会