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1952-06-18 第13回国会 参議院 労働委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十八日(水曜日)    午前十一時十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中村 正雄君    理事            安井  謙君            波多野林一君    委員      村尾 重雄君            上原 正吉君            木村 守江君            九鬼紋十郎君            一松 政二君            小林 政夫君            早川 愼一君            菊川 孝夫君            重盛 壽治君            堀木 鎌三君            堀  眞琴君   国務大臣    労 働 大 臣    厚 生 大 臣 吉武 惠市君   政府委員    地方自治庁公務    員課長     佐久間 彊君    労働政務次官  溝口 三郎君    労働省労政局長 賀來才二郎君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巖君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   説明員    労働省労政局労    働法規課長   大島  靖君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方公営企業労働関係法案内閣提  出、衆議院送付)   —————————————
  2. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 只今より会議を開きます。  昨日法務総裁が本委員会に本日出席いたしまして答弁する予定になつておりましたが、破防法の関係法務委員会に出席いたしておりますので答弁は次回に讓ります。地方公営企業労働関係法案を議題といたします。先ず重盛君に質問発言を許します。
  3. 重盛壽治

    重盛壽治君 坐つたまま発言をさせて頂きたいと思います。  地方公営企業労働法案の逐條的な審議に入る前に労働大臣にお聞きしたいことが一つあるのですが、これは今まで私が二度、三度伺つたことでありますので、御承知のように講和條約が締結せられて政令二百一号は外された、この場合に私はやはり一応は日本労働組合、いわゆる官公労を問わず労働三法を実施するという建前をとるのが講和後の正しい新らしい観点に立つ労働行政ではなかろうか、こういう考え方を私は持つておるのであります。これを労働大臣にも或いは首相にも伺つたのでありまするが、ややそれに近いような答弁がなされたが明確な返答がなされておらん。その点が一つと、従つて労働組合資本家との比率というかウエイトは一体どこにおくか、やはり労働組合法を制定した当時の労使平等な立場におかしめて労働協約であろうとすべての労働問題を相談さして行く、こういう建前変りはないのであるか、その点を一つ先労働大臣から聞かしてもらいたい。
  4. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 基本的なお尋ねでございますが、先般も申上げましたごとく、公務員立場にありまするかたがたは国家でありましようと公共団体でありましようと、やはりこの一般労務者と同じような考え方ではいけないのじやないかと私はかように見ておるのであります。それはほかの民間企業等におきましては相手が事業主でございまして、それに雇われる者と雇う者との間の関係というものは対等に行くでありましようが、公務員国家全体又は公共団体全体に奉仕する立場におかれるものであります。だからその本質におきましては、仮に机の上で仕事をいたされまする各般の行政事務をとる公務員でありましようと、或いは現業を掌る公務員でありましようとその本質には変りはない。ただ併しこの基本的な権利というものはできるだけ尊重して行くべき建前をとるべきことは当然でございまするから、今回地方公共団体におきましても国鉄専売等と同じようなもつぱら仕事内容現業的なものにつきましては同じような団体交渉を認めて、給與その他の労働條件について団体交渉の結果決定をして行くというあり方がよくはないかということで、その面についてだけ認めることにしたわけであります。でありますから、これは考え方によりまして、重盛さんのように、昨日も掘木さんからも御意見がございました役人といえども労働者だから同じじやないかという御意見もあるでありましようけれども、私ども考え方公務員というものは国家及び公共団体全体に奉仕する立場におかれるものであるから、対等立場であらゆる交渉をし、又権利を持つということは如何なものであろうかというような考えを持つております。
  5. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうするとなんですね、本来の建前としては平等にするほうが正しいと考える、だが国家仕事に従事しておるものに対しては同じ正しい権利はあつても、今の日本の現状からいうとはつきりとその権利を皆與えてしまうということでは困るのじやないかと、こういうようなふうにとれるのですが、そういうことでいいのですか。
  6. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 大体それでいいと思いますが、原則的には昨日もお話しましたように憲法二十八條はやはりすべての労務者に保障したところの基本的なものであります。と同時に片一方に憲法十二條においては公共福祉というものもございまして、その面から公務員というものはつまり国家公共全体に奉仕する立場におかれるから、その面において二十八條権利制限されることは止むを得ない、こういう基本線から申上げておるわけでございます。
  7. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうすると私企業労働者は或る程度平等な立場においてもいいが、国や或いは公共団体地方公共団体等関係している労働組合基本的人権はそういうところへ立場をおいたことのために完全には守られて行かない、もつとせんじつめれば若干隷属的な立場におかれざるを得ないのが実情だ、そうしてこうすることがよろしいのだという考え方なんですね。
  8. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私は隷属的だという言葉はちよつとそのまま受取れにくいのですが、国家及び公共団体全体に奉仕する立場にある、従つてそれらの身分関係というものは、私は残すべきものだ、かように考えております。
  9. 堀眞琴

    堀眞琴君 ちよつとその問題に関連して、只今労働大臣から労働基本権はできるだけ尊重するという御発言があつたのですが、一体公務員と、それからここで問題になつている地方公営企業に携わつているところの従業員と、それから私企業従業員との間の区別労働大臣はどのように考えられているか、それを先ず伺つておきたいと思います。
  10. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私は先ほども申しましたように、私企業は雇う者と雇われる者というものが対等立場におかれていると思う。従つてその間に意見の対立があり争いということもあり得る。併しながら公務員国家及び公共団体全体に奉仕する立場にありまするから、それを相手方にとつて争い得る立場におかれるものではないのであります。それは国家全体の意思決定に基いて、それに従つて行動仕事を行うべき立場にあります。地方においても同様であるのであります。その国家及び公共団体仕事を執行する立場におかれた者が、その国家及び公共団体に対して対等立場で争い得るということは、私はそれ自体本質的に無理である、かように考えます。
  11. 堀眞琴

    堀眞琴君 只今お話ですと、とにかく公務員というのは国家全体に奉仕するという建前をとるべきだ、そこに私は問題があると思うのですが、何もそれを否定するという意味じやないのです。私がお尋ねしたいのは、国家全体に奉仕するというその形の出て来る根拠ですね。どういうところに基いているか、それは要するにその給料税金の中から拂われるという事実と、それから公務員仕事の性質からいつて、それが政治権力に連なつているということの二つ理由から私は来ていると思うのです。特にそこで全体のために奉仕しなければならぬし、政治的には中立性を維持しなければならぬという要請が公務員に対しては出て来ると思うのです。併し公務員の今度は身分上の立場からいいますと若干考え方違つて来るのじやないかと思うのです。公務員といえどもやはり給料生活者であり、或いは賃金生活者であるということになりますと、俸給生活者乃至は賃金生活者としての建前から、労働上の権利が保障されるのは当然ではないかという考え方も出て来るわけなんです。そういうことに対しまして労働大臣のもう一度御答弁を願いたいし、それからこの場合主として問題になつている地方公営企業従業員私企業従業員との区別はどこにあるか。あなたの言葉でいうと、公営企業の場合にもやはり地方公共団体公務員と同じように、それは全体に奉仕するのだ、こうおつしやいますが、企業そのものは或る場合には地方公共団体経営している場合もある。併し場合によつてはそうではない、私企業で以て実は公益性立場に立つて企業経営する、例えば東京で例をいうならば都電やバス公共団体経営しているわけである、ところがバス会社はほかにもありまして、都営のバスといわば併せて同じような立場において経営しているわけである。ところが私企業としてのバス従業員労働上の権利が保障されて、同じような交通に携わつている地方公共団体企業においてはそれがない、ということになりますとかなりそこに問題が起つてくると思う。その二つの点を労働大臣どのようにお考えになるかお尋ねしたいと思います。
  12. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) この点も私今までに触れて申上げたつもりでございますが、公務員といえども俸給生活者であるから、その労働條件について正当なものを要求すべきであるということはこれは当然のことであります。併しながら公務員という本質は先ほど申しましたように、私企業のように事業主とそれに雇われる労働者という立場でなくして、国家全体に奉仕し、国家及び公共団体決定したところの意思に基いてこれを執行する義務を負うているのであります。この者がその国家及び公共団体の全体に対して対等立場交渉し争い得るという本質を私は持つていない、従つて私企業違つて公務員においては国家公共性から制限を受けることは止むを得ない、こういう考えであります。そうならば公務員といえども俵給生活者であるから、その生活についての妥当性を要求する必要があるということは御尤もでありますから、その点につきましては、国会及び公共団体のいわゆる議会というようなものがその点を十分考えまして決定しなければならぬと私は思うのであります。又私企業営利事業でございますから、利害関係が相反する、従つて余給料を拂うと自分は儲けが少いからという立場におかれますから、対等争つてそこに両方で話がついたところできめて行くというのが公正な労働問題の解決方法だと思います。併し国家公共団体は何も営利目的としているわけじやございませんから、一般労働事情と睨み合せまして、予算決定する際に必要な予算決定すればいいわけでありまするから、私はそういうことにおいて幾ら公務員労働條件確保の途はある、かように存じております。  なお私企業とそれから公営企業との差についてのお尋ねでございますが、これも昨日堀越さんにも申上げましたごとく、自動車が走つているということそれ自体を御覧になりますと成るほど同じであります。併しながらその事業を誰がやつてどこがやるかというところに大きな問題があるのでありまして、私企業営利目的としているのでありますが、公営企業になりますると営利目的としない国家公共のために動かす。従つてそれに従事しておりまする職員公務員であるわけであります。公務員であるという本質につきましては、机の上で事務をとるからそれは団体交渉なり団結権なり或いは争議権がないのだ、併し外で働く者はあるのだというので本質的な違いがあるわけではない、如何なる仕事に従事しようと公務員という本質においては同じである。併しそうは言つても今日国鉄及び専売公社において団体交渉権だけは認めているのでありまするから、市電等においてはそれに類似しているのでせめて団体交渉権だけは認めて行くべきではないかということで今回提案した次第であります。
  13. 堀眞琴

    堀眞琴君 もう一点お尋ねしたいのですが、国家なり地方公共団体企業を営むようになつた発生的な意義は、御承知のように財政的なものが主たるものになつていると思うのです。勿論そのほかにも公益性ということが主張されてはおります。例えば日本国有鉄道が成立した日露戰争後、あの財政逼迫の状態にあつて国有鉄道にすることによつて財政上の逼迫を切り抜けようというのが主たる理由になつているわけであります。地方公共団体の場合でもやはり財政上の考慮と並びに公益性ということが中心になつて企業が営まれるようになつたと思うのです。従つてあなたのお話地方公共団体経営するところの企業私企業との間には格段の相違があるというお話は納得できないわけなんす。ただ若し納得し得るとするならば、その経営するところの企業について住民の意思決定なり国民意思決定なりがそれに加わつているということが、いわば全体の奉仕ということを導き出す根拠になると思います。併しそうかといつて例えば公営企業法案が今度出ましてそれを見ますると、経営性というものが強力に主張されている。従つて国企業地方団体企業赤字を出してまで公共奉仕するというようなことは殆んど考えられない。若し又そういうような赤字を出すような企業であつたならば、恐らくは当事者はそれに対してやはり赤字を出さぬような方法を講ずるようになると思うのです。そういう意味では私企業地方公共団体経営する企業との間には殆んど区別はないのではないかという工合考えられる。  それから労働者の場合について言いますと、その間にあなたも認められておるように殆んど差別がないということになりますれば、何らかの意味において労働基本権というものがそこでもつて十分保障されるような方法を講じなければならぬと思う。あなたのお話でもできるだけ尊重するということなのです。できるだけ尊重するというような意味では憲法の規定は守れないと思う。この憲法に保障する基本的権利というものは永久の不可侵の権利だと、こういう工合に規定してあり、更に国民の不断の努力によつてこれを守らなければならぬものだと規定してある。それとあなたのおつしやるできるだけ尊重するということとはかなりそこに違いが出て来ると思うのですが、この点に関しましても併せて御答弁を願いたいと思います。
  14. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私は国家及び公共団体が行なつておりまするいわゆる企業財政的の目的だとは思つておりません。これはもつぱら公共福祉のために行なつておるものと私は考えております。従つて私企業と非常に違いがある。私企業というものは儲からぬものもあるでありましようが営利目的、儲けるためにやつておる。成るほどその事業自体は公益事業的なものであるということはあるでありましようが、併し私企業というものは本質はどこにあるかと言えば営利目的である。ところが公企業財政的な目的ではない、若し儲けるために国家公共団体仕事をやつておるとすればそれは本質に反する。やはりそれ自体国家及び公共団体のために民間会社にやらしておつたのではできない或いは困るという場合に、国家及び公共団体が初めて公共福祉のために行なつておる企業でありまするから、私は本質的に違いがある、かように存じます。
  15. 中村正雄

    委員長中村正雄君) あと幾らでも発言機会がありますから一つ……。
  16. 重盛壽治

    重盛壽治君 今の堀さんの質問に関連してですが、堀さんに答弁するところを聞いておるとこういうふうに感ずる。こういうことでは困ると私は思うのだが、労働大臣考えておるのは、労働大臣が言われるように国家公務員というようなものは少し別の程度から行かなければならぬということが考えられると仮定しても、それならば筋肉労働をやるようなそういう労働実体労働法規を当てはめるのかどうかということになると、そうではなくて経営実体、ここに労働法規を当てはめる基準がおかれておるように聞える。これでは労働組合法解釈上非常にまずくなりはしないか。違つて来はしないか。労働実体が縱割もなければ横割もなければ、ただそれを誰が経営しておるか、どれだけ儲かつておるか、こういうものと見合わして労働者賃金とそれの給與の問題だけを区切りずけたような形で盛んに説明しておるが、それは私は違いはせぬか。  それからもう一つ公共福祉ということでは例えば専売のような場合を考えてみまして、成るほど公共福祉には違いないかも知れんが、私はただこの嫌いな関係もあるか知らんがそうこれはえらい公共福祉に重点をおいたものではないと思うし、むしろこれなどは政府唯一ドル箱として財政的な立場からこれを守つて、ここでストライキを起すと専売利益金が少くなるから困るというようなところから考えられるように感ずるのですが、私の感じ方が惡いかも知れませんが、そういう点から行くと労働大臣のいま堀さんに説明した御趣旨では趣旨が一貫しないように思うが、その点いま少しはつきり聞かしてもらいたい。
  17. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 経営実体お話になりますが、経営実体も勿論考えなければなりませんが、一番大事なことは公務員たる本質でございます。公務員たる本質私企業と違うところがあるということは大事なところであります。この公務員の中のいわゆる仕事実体というものは、それは成るほど筋肉労働とそうでない労働とはあるでありましよう。従つてその点は若干考慮を拂わなければならんところでありますが、併し公務員たる本質においては机の上で仕事をしようと野原で仕事をしようと、私は本質的なものというものは変らないものであろうとかように存じております。それで本質が同じだから仕事内容がどうあつても全く同じでいいかというと、それはお話のように実体考えなければなりませんので、今回提案をいたしましたように国鉄専売のように現業、肉体的な労働のものについては、その労働條件団体交渉方法を講じて解決をする、こうしたわけであります。
  18. 重盛壽治

    重盛壽治君 それでは大分苦しい御答弁一貫性がないと思うのだが、今全般的な問題になるからこの程度にして別な機会に又よくお聞きしたいと思うのだが、地方公営企業労働組合法案に対する関係政府がこういうことを言つておるのだが、地方公営企業に従事する職員地方公務員相違なく往民全体奉仕者たる地位にあるのであるから、本質的に団結権団体交渉権罷業権はあり得ない、こういうことを衆議院説明しておる。それから地方公営企業職員の従事しておる交通とか水道とかの業務の性格及び実体行政権限とは一応切り離れておる。国における公共企業体に近いものであるからそれに従事する職員一般地方公務員とは或る程度取扱を異にしておる。だから例外として団結権団交権を與える。併し地方企営企業は本来公共福祉を増進するというのがその性格なんだから、例外的に與える団結権団交権公共福祉と対立してはならない。故に団交権団結権公共福祉の調和を求めたい、こういうのがこの法律だと思う。みんな與える與える、ことさらこういう字句使つて例外として団結権団交権を與えるということはどういう意味か。今までの説明のうちではわからんが、政府が恩典的にこの団交権団結権を與えるということなのか、一体どういうことなのか一この点少し明確に御答弁をして頂きたい。
  19. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私どもは決して恩惠として與えるつもりはございません。先ほどお読み上げになりました点は、先ほど私が申上げたことをそのまま言つているのじやないかと思います。その点はどういう点であるかというと、いわゆる公務員たる本質という点を重視しなければならないということが第一点、そうして併しながらその仕事内容というものも考慮に入れなければならぬという点が一点、この二点のかね合せが問題になるのであります。そのかね合せの結果出てきたものが今回の地方公営企業労働関係法案でございます。決して恩典でやるとか何とかということではなくその二点の考慮の上から出て来た結論であります。
  20. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうすると、例外として団結権団交権を與えるという字句がまだ明確でないが、與えるという点をもう少し明確に説明して下さい。もつ突込んで言うならば公営企業職員労働基準基本権本質的に、憲法的に持つているのかいないのか。こういうことになつて来はしないかと思うが、これに対していろいろ説明もされておるが、基本的に本当にあり得ないというのかどうか。全体の奉仕者であるから、これはもう東京都でいうならば、都民の奉仕者だからこれはもう憲法二十八條労働基本権はないというのか、あるというのか、あるけれども公共福祉のために制限している、こういうのか。いろいろ説明されているがどうも私の頭が惡いのか何だかはつきりして来ないのだが。
  21. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) その点はおよそ労務者憲法二十八條においては基本的な権利を持つ、ただそれが公務員であるために国家公務員たるところの本質に基いて制限を受ける、こういうように御解釈を願いたいと思います。
  22. 重盛壽治

    重盛壽治君 どうも公務員だからと言つて……。今度は地方公務員でございますか、地方公務員でも公務員と同じに実際の憲法二十八條団結権罷業権も皆あるのだけれども地方公務員ということのためにないのだ、與えられないのだ、憲法的にはあるのだとこう解釈する必要がありますね。
  23. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) その点は国家でありましようと公共団体であろうと同じであります。国家及び公共団体全体に奉仕する立場におかれているというのがいわゆる公務員であります。
  24. 重盛壽治

    重盛壽治君 議論になるから余り言いたくないが、そういうことになると国のあらゆる産業に従事しておる者は日本国家という建前から行けば、これは私企業であろうと公共企業であろうと一つ変りはないはずである。労働大臣はどういう見解の筋をお引きになるか知りませんが、例えば講和後の日本を再建しようという場合に、公共企業とそうして公務員だけが一丸となつて日本産業の振興を図ろうといつてもこれはでき得ないことである、むしろ国全体のあらゆる産業が一しよになつてやるということで、そのほうにこそ十分労働法規を適切にあてはめてやつて行くということでなければ国の再建ということはできないというふうに考えるが、そういう点はどうなんですか。私利私慾のためにやつているのだからあいつらはいいだろうと、こういう考え方ですか。
  25. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 勿論国家のあらゆる産業私利私慾でなしに国家興隆のためにやつておられるでありましよう。併しながら私企業というものはやはり企業本質として営利目的としないでは成立たんのであります。ですから勿論国家のために大きい目的でやつておられましようが、会社自体というものが採算のとれるように営利というものが出て来る、そこに本質国家と違う点があるわけであります。
  26. 重盛壽治

    重盛壽治君 そう意地惡く言うわけじやないのですが、そういうことになるとさつきの専売の話をよくしてくれなかつたが、専売の場合あなたのお考えはどういうふうに考えますか。私は当然国家自体財政的に唯一財源としてやつておられるように考えておるのですが、この点はどうですか。
  27. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 専売営利目的としてやつているのではなくして税金確保のためにいわゆるたばこ専売という方法をとつている。ですからたばこ一つ会社営利目的でやればこれは一つ私企業として成立つのであります。
  28. 重盛壽治

    重盛壽治君 余り専売のことは申上げたくないが、営利税金とどういうふうに違いますか。一言でいいのです。税金で回收して行くのか、政府自体税金財源にして行くためには大きく言えば国家としての営利をやはり目的としている。もつ突込んで言うと成るほど日本の国にたばこはなくてはならんものではあるけれども、国がどうしても作つてこれをやつて行かなければならんというほどのものではないと私は考えます。
  29. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私は、でありますからたばこの製造というものは国家本質的にやらなければならないということを言つておるのでありません。ですから私企業でやればやる方法もあろう、たばこというものは必ず国家がこれをやらなければならんという本質言つているわけではありません。現在やつているのは税金確保のために私企業にやらせずして国家がこれをやつておるのであります。
  30. 重盛壽治

    重盛壽治君 まあいいでしよう。別なところに行きます。  国家公務員法附則の十六條で一般職の職員労働組合法、労調法を適用しないとこう言つているのですね。地方公務員法第五十八條にも同一趣旨を規定しているが、これは公務員の基本的な権利である労働基本権を制約又は禁止するように考えられるが、禁止するものであるのかないのか。それとも全体の奉仕者の基本的な性格からこれはあり得ないとはつきり規定したものであるかどうか。この條文の解釈というものを聞いておきたいと思います。
  31. 大島靖

    説明員(大島靖君) 地方公務員法のほうは労働組合法労働関係調整法或いは基準法等について、第一項におきまして組合法と労働関係調整法は職員に関しては適用しない、適用除外を規定しております。
  32. 重盛壽治

    重盛壽治君 憲法二十八條は今さら言う必要はないからやめるが、公営企業職員憲法二十八條でいう勤労者であるかどうかという点は、どうも今までの説明ではあるようでもあるし、ないようでもあるが、一つ参考になるかどうか知らんが、美濃部博士の日本憲法の見解という、基本的の権利としての自由権の解説というのがあります、これは御承知と思いますがこれを読むと、労働者事業主との関係において、勤労者利益の擁護のためには労働者が協同して団体を結成し、団体の協同の力を以て事業主に対することが必要であつて、本條はこれを公認しておる。これは権利という言葉が用いられておるが、ひとしく自由の一種であり、結社の自由を特殊の公務員に認める現われにほかならない。団結する権利にはいわゆる労働組合結成の自由を意味する、これは今さら言う必要はない、当然のことであります。団体の交渉労働組合事業主交渉することも当然であります。必要により団体協約をなすことの自由を意味する。これは団体交渉の段階に入る。その他の団体交渉というものは主として同盟罷業をなすことの自由を意味するものと解釈するが、その具体的の條件は労働組合法その他の法律によつて定められるべきであると思うのですけれども、法律を以ても全然これらの行為を禁止することは許されない、こういうふうに解釈されておるかどうか。今までのあなたのお話で、地方公営企業のようなものは、先ほど堀さんも例を挙げましたし、私が今更いろいろな私鉄との関係或いは地下鉄との関係などの例を挙げないでも十分おわかりだろうと思うのですが、地方公営企業職員というものは、やはりどうしても別な形で本当に地方交通、例えば交通一つをとつて見ましても交通事業の上に、あなたがたのほうで使つておる回復のできないような一大損害を與えるとか、或いは都民に徹底的な損害を與えるというようなことができた場合には、それこそ別な方法で逆にストライキならストライキを停止することがあるとしても、当面は当然の権利として私はこれらの考え方から来ても地方公共企業体労働組合全体に対しては、特に交通、水道というようなこういう現業に対しては当然これは與えるべきじやないか、こういうふうに考えるのですが、その点もう一度お答え願います。
  33. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 只今の御意見一般的な考え方としては私はその通りだと思います。併しながら先ほど来申上げまするように憲法二十八條に対しては、一方公共福祉という点も考えなければならんことは憲法が同時に規定しておるわけであります。従つて公務員というものは一般国家及び公共団体全体に奉仕する立場に置かれまするから、その基本権制限を受けるということを申上げておるのであります。
  34. 重盛壽治

    重盛壽治君 労働組合法三條には「労働者とは、職業の種類を問わず、賃金給料その他これに準ずる收入によつて生活する者をいう」とあるのだが、そうすると地方公企労法案での第四條の労働組合法を適用しない限り本質的な労働者ではないということになるのか、労働者であり得るのか。
  35. 大島靖

    説明員(大島靖君) 労働者でありますが、公務員たる身分に基いてそういう点が制限されるわけであります。
  36. 重盛壽治

    重盛壽治君 ちよつと今の大島君にお聞きをするのですが、それは法律で労働者たり得るのだけれども公務員たるが故に適用されないというのは、あなたの解釈はどういう解釈ですか、労働大臣と同じですか。
  37. 大島靖

    説明員(大島靖君) 同じであります。
  38. 重盛壽治

    重盛壽治君 どうも本質的に持つておる労働者全体の基本権というものを、公共ということ或いは公務員なるが故ということに無理やりに結び付けて、だから罷業権はやらないのだという解釈は、突込んで言うとこれは理屈ではなくて吉武さんの感覚というか、もつと率直に言うと自由党の政策ということになろうかと思いますので私はこれ以上議論することはやめましよう。やめるがそういう感覚が法律の上にまで打ち出されているということは、よほど考えなければ私は総理大臣に言うたように今度の労働法規を作り破防法を作るということは、ただ労働法規を作つて労働者を締め付け破防法を作つて日本国民を拘束して行くということだけでなく、これができたということによつて日本の将来の国民全般のすべての思想の上に変革を来すような重要な問題であると思う。それであるからこそせめてサービス省として生まれた労働省、労働者を育成助長しなければならんという建前でできた労働省の労働大臣であり、而も自由党の中の労働問題のエキスパートである吉武氏が労働大臣になつたのだから、ここらで一つ本来の姿に復元せしめる私は考え方を持つて頂かなければこれからの議論は幾らつても空廻りになるのだろうと思います。この点の決意を一つ、私が惡口を申上げるほどではなかろうと思うのですが、いま一遍労働大臣から聞いておきたいのです。
  39. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 原則的にはお話の通り労働者の基本的な権利は尊重すべき点は御尤もであり私といえども注意いたしております。併しながら公務員たる本質ということは、これはよほど重要にお考えになりませんと、單なる労働者としてお考えになると間違いを起すと私はさように考えます。
  40. 重盛壽治

    重盛壽治君 それは今の労働大臣の後段の言葉ですが、公務員本質であるからこそ、もう少し政府はやはり私は国民全体を政府がなぜもつと信頼せんかということを言うておるのだけれども、せめて労働大臣はなぜ公務員もつと信頼しないのか、そして公務員を本当に信頼して、国家の再建というような重大な段階に来ておるから、せめて公務員たるものは労働組合法の基本的な権限は持つておるけれども、若干制約されても一つ御協力願いたい、こういう態勢に出るならば、今日本のあらゆる労働組合が立ち上つてこの法律の制定に反対しようとしておる空気も緩和され、そして国内の産業の進歩、あなた自体労働組合法の改正に当つて国家産業の戰後の発展のためにということが基本條件である以上、戰後の産業の発展が基本條件であるとすれば、より労働者を信頼すること、而も公共企業体に従事する労働者がむちやな水道をとめたり電車をとめたりして、本当に都民や市民に迷惑をかけた例があるか、ないのです。いわんや日本を再建して行こうという段階に一つ政府を信頼してそして協力してくれという要請をしますならば一労働組合法を改正するよりもより効果があるというふうに私ども考える。これはあなた自身は十分知つておることだと考えるのですが、どうしてもやはり法律で縛らんと、あなたの今あとで言われたように労働者を野放しにすると心配だというようなことがあるのですか。この点私は随分古くからあなたともお付き合いをしておるのだが、大分何年かたつうちに感覚が変つて来たように思うのですが、この点一つもう一度お答え願いたいと思います。
  41. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私は公務員を信頼しないという意味ではございません、信頼はいたしておりますが、この公務員たる本質というものはよほどお考えを頂きたいことは……
  42. 重盛壽治

    重盛壽治君 十分考えております。
  43. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 公務員というものは国家全体及び地方公共団体の県民全体に奉仕しておる立場でございます。その者がその国家及びその公共団体対等立場で主張し合うということ自体が私本質的に無理ですということを申上げておるのであります。ですからその国家及び公共団体というものは即ちその意思決定する国会及び県会はそういう立場に置かれる公務員についての待遇というものについては、それをよく気を付けて頂かなければならんと思う。だけれどもそれが同じ企業私企業の場合のように対等立場交渉をし、そうして意見の対立を見るということ自体本質的に無理です。従つて公務員については基本條件に制限を受ける、かように考えております。(「意見相違だね」と呼ぶ者あり)
  44. 重盛壽治

    重盛壽治君 委員長、木村君に注意して下さい。
  45. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 木村君に申上げますが、私語は慎んで頂きたいと思います。
  46. 重盛壽治

    重盛壽治君 今の吉武さんの説明は余りにも戰後の労働組合のあり方を実にあなたにも似合わない、つかんでおらんのじやないか。例えばここに現われた地方公営企業労働組合法案の中に含まれる一番大きなものであろうと考え交通事業のようなものを見ます場合に、私自身がその交渉の任に当つて来たが平等な立場に立つて話合つて来たからこそ今までうまく運営されて来ておる。これが平等な立場におくことができないというような考え方でそうしてものを運営しますと、これは何と言おうと昔の役人根性というかそういう惡い姿が現われて来て、ただ労使間の対立というばかりじやなくて、さつき僕の言うような思想全般の上にまで上に立つた者が命令権を持つて強い権限で抑えて行くというような形が現われて来て、日本の民主化というものを破壞して行く非常な大きな障害になつて行くのじやないか。国家全体の障害になつて行くのじやないか。私は今更説明するまでもなく、これはまさしく労働大臣も同じだと思うのですが、日本の民主化の根幹になつて行くというものは何がなつて行くかというと、正しい労働組合運動をして行くものが一番その基本になつて行くと思うのであります。これは私は国民全般も認めておるだろうし、あなた自身も認めておると思うのですが、それで或いは唯一の六大都市等を中心にした交通とか水道とかいうようなものを法律で拘束して行くというような、何か卑屈なものに追い込んで行くというような法律を作るということは、今言つたような大きな意味からただ労働者だから労働組合法だけを作ればいいというようなことならいいかも知れませんけれども、そういう全般的なことを考えると、もつと野放しにしてそうして半年でも一年でも政令二百一号前の姿に返してやらしてみたらいい、やつてみてそれであなたの心配されるように労働者なんというものは野放しにできないという姿が現われたら、そのときどのような法律を作ろうとこれはみずから労働者自身がいわゆる墓穴を掘つて行くことになるのだから、これには我々も議論はない。それまではさつき言うように信頼して野放しにして、野放しという言葉はいけんかも知れませんけれども、そういう協力態勢を打立ててやつて行くというこの考え方になられないでしようか、どうですか。
  47. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 折角の御希望でございますが、私は私企業における労働者としてはお話のごとくこれは憲法も保障するところであり、純粋に対等立場において交渉して條件というものは決定されるべきものである、かように存じます。併しながらいわゆる国家公共団体の全体に奉仕する立場にある公務員につきましては、私は立場を異にしております。
  48. 重盛壽治

    重盛壽君 まあいろいろ基本的な意見はあるけれども、それでは一つ地方公営企業労働関係法案について逐條を通じて意見をお聞きしたいと思います。
  49. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 速記とめて下さい。    〔速記中止〕
  50. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 速記始めて下さい。午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩    —————・—————    午後一時五十九分開会
  51. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 午前に引続きまして会議を開きます。重盛君の発言を許します。
  52. 重盛壽治

    重盛壽治君 午前中の質問が、まだいろいろお聞きしなければならんことがあるがそれは一応保留しておいて條文に入つて少し聞きたいのだが、第一條のしまいのほうに「地方公共団体経営する企業の正常な運営を最大限に確保し、もつて住民の福祉の増進に資することを目的とする」と書いてある、いわゆる住民の福祉ということはどういう意味であるのか。例えば国有鉄道法の第一條でも「もつて公共福祉を増進することを目的として、ここに日本国有鉄道を設立する」或いは公共企業体労働関係法のほうでも「公共企業体の正常な運営を最大限に確保し、もつて公共福祉を増進し、擁護することを目的とする」としてある。地方公共企業法案の中では「この法律は、地方公共団体経営する企業の組織、財務及びこれに従事する職員身分取扱その他企業経営の根本基準を定め、地方自治の発達に資することを目的とする。」経営の基本原則の三條の「地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共福祉の増進するように運営されなければならない」、或いは地方公労法案でいつてもそうでありますが、これらは皆いわゆる公共福祉という言葉使つておるのに、公営企業労働関係法案の第一條だけに「正常な運営を最大限に確保し、もつて住民の福祉の増進に資することを目的とする」、この住民という言葉をことさらここに使つたのはどういう意味であるか、一つ
  53. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 只今御例示されましたように公共福祉とか住民の福祉と書いてあります。いずれも同じ意味であります。
  54. 重盛壽治

    重盛壽治君 同じ意味合いならなぜここも公共福祉という字にしないのか。ことさら字句を変えたその理由を聞きたい。意味は勿論同じだと思うが。
  55. 大島靖

    説明員(大島靖君) 地方公営全業法案の第三條の公共福祉、或いは公共企業体労働関係法案の第一條の公共福祉、大体同じ意味でございますが、地方公営企業は直接には公営事業を営みまする地方公共団体の住民の福祉の増進、こういうことをまあ直接の目的としておるのでございます。そういう関係公営企業を利用いたしまする関係の人々、こういう関係公共福祉も勿論ありますが、と同時にその企業を営みまする公共団体を構成する住民全般の福祉を図る、こういう意味合いで、第一條には「住民の福祉の増進」こういうふうに書いたわけであります。大体におきましては同じような意味合いでございます。
  56. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうすると、例えば公共福祉という字に変えても差支えないというふうに解釈していいですか。
  57. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 特に住民と書いたのは意味を持つておるわけではございません。この趣旨がよくわかれば御理解願えると思います。
  58. 重盛壽治

    重盛壽治君 それじや少し飛ぶがこれは小さな問題ですが、三條、軌道事業、この中へ例えば東京都とか或いは大阪、川崎にあるところのトロリー・バスというものは軌道事業の中に入つておるかどうか。
  59. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 含んでおります。
  60. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうすると、五條についてお伺いいたしますけれども公営企業職員団結権は、労働者としては権衡的に基本的には認める、大体先ほどからも何度も御説明があつたのだが、そういうことになりますと、五條のような場合は労働組合法にあるのでここにことさら規定しなくてもいいのではないか。団結権が與えられないわけじやないではないか。現に政令二百一号は団体交渉権の否認と争議行為の禁止を規定しておつたのだが、団結権については労働組合法によつて団結権を認めておる。政令二百一号公布後も公営企業職員の組合は労働組合として結成されて来ておる。又政令二百一号以前は勿論何らの不審もなく労働組合法が適用され自明の理として団体権が認められて来ておる。こういう考え方から行くならばこの五條の「職員は、労働組合を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる」、いわゆるオープン・シヨツプ制で労働組合というものは作つてもいいし作らないでもいいというようなことをことさらここにきめておく必要がないのじやないか。言い換れば五條はみんな要らないのじやないか。こういうふうに考えられるのだが、この五條は私どもは今言うような労働組合法関係、その他からことさらここに載せないでも当然の問題として必要のないことである。但書の管理、監督の地位にある者云々というようなことも労働組合法第二條が規定している、ここで再び規定する必要はないように考えられる。従いましてここに規定する必要はないように考えられる。労働組合法第二條第一項に該当するものの範囲は、というように若し書こうとするなら書き方をしておけばよいのであつて、第一項も特に必要ではないのではないか。従つて第五條の本文と二項、こういうものは必要がないように思うがこの点どういうわけですか。
  61. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) この條文に書いてありますようなことは、公労法においても国鉄専売の組合員に対しましてやはり、同じようなことを書いてあるわけであります。この意味合は地方公務員たるものの性格から見まして、クローズド・シヨツプ制或いはユニオン・シヨツプ制をとるということは適当でありませんのでオープン・シヨップ制で行くのだということを現わす必要がありますから、ここにかような條文を特に設けておるわけであります。
  62. 重盛壽治

    重盛壽治君 妙なことですが、ユニオン・シヨツプ、クローズド・シヨツプを入れないということは大体労働組合を育成、助長して行く基本からもうすでにずれて行くことなのであつてクローズド・シヨツプということは困難であるかもわからんけれどもユニオン・シヨツプは当然認めて行かねばならぬのが建前であつて、臨機な処置として別なところで別な処置を考えるというのは、先ほどから言う公共福祉或いは公務員なるが故に、こういうような意味から来るならば、別にそれだからこそ別なことを考えているというのであるか。当然與られるのならどこでも與えて行くという体制をとつて、別な面で又別な例を作つて行くということにしなければならないのじやないか。一つ意見として申上げれば、都市交通というような場合は実際私鉄と何ら変つてない、全体の奉仕者だからというこの意見だけでは納得ができないのじやないか。地方公務員においては人事院の任採用に関する対象から外されておるし、職場の実態から行きますならばユニオン・シヨップを認めることによつて本当に事業の協力的な本制が推進せられて、労働組合公営企業の発展のために持つ真価を十分認めて行くならば、これは当然ユニオン・シヨツプにしなければならん。これをオープン・シヨツプにするというようなことは、労働自体労働組合法労働省が設置される当時は非常に嫌つておつたように記憶しておるのですが、そういうことであつたならば労働組合を育成助長するということになれば、おれは労働組合に入らなくてもやれるのだ、おれは局長の世話で入つて来ておるものだから君らと労働運動なんかせんでもいいのだというふうなことになつて来て、労働組合の内部情勢が惡くなつて来る。言換えるならば脱退分裂することも自由だ、そういうような形に肯かれるようなことをここに載せておくということは非常に私は法文の上からいつてもいかんじやないか。これはやはり五條の前文は先ほど言つたように、何か国鉄専売とそれから国鉄に当てはまる公企労法のほうにした文句があるのだから、やはり地方公企労法案のほうも当てはめなくては恰好が付かないというふうに考えていらつしやるがそういう必要がない。新しい法律を作るのだ、新しい角度に立つて而も公企労法に適合するものを作つて行くのが法律の作り方の新しいやり方だと私は考えるわけであります。そういう意味から言つてこれは飽くまで削つて行くという建前をとらなくちやならんと思うのですが、その建前に対してどう考えておられるか一つ
  63. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 現在の都市交通の状況等から考えますとお説御尤もな点もあるわけでありますけれども建前といたしましてこの地方公労法案の対象は公務員たるの本質を持つておるわけであります。従いましてこれら公務員たる本質から見まして、これに対しましてユニオン・シヨツプ制をとるというふうなことは適当でないと考えまして、やはりこの程度制限と申しますか、重盛先生のようなお話の上から言えば制限みたいになるわけでありますが、我々といたしましてはその本質から見ましてこの規定は必要だと、かように考えておる次第でございます。
  64. 重盛壽治

    重盛壽治君 どうも公共企業交通事業の実態を忘れてしまつたのじやないか。そういうふうに思うのだが、例えば東京の都電のような場合、或いは水道のような場合を考えてもあの中が組合に入つておるものも入つていないものもばらばらの姿で東京都電がうまく運営されておる、東京バスが動いて行くということは誰が考えつて考えられないことであつて、こういうあなた方の言うような公共全業体のほうに使つたもの、そこから引つ張り出して使つたという形式的なその場当り的な條文を並べることはやはりいかんのじやないか。公企労法とは関係なく一つの例とすることはいいかも知れませんけれども、その中には盛込まない、親法と子法のような考え方を持つて行くということは、先ほどから労働大臣はその仕事の実態そうして経営性というようなことから法律を作つて行くのだということを盛に言われておるのですが、そうだとすると地方の実態を見極めて、そうして本当に地方の知事なり市長なり或いは管理者がやりいいような労働組合法を作つてやることのほうが、あなたがたの立場じやなかろうかというふうに考えるのですが、一つ労働大臣か労政局長にお伺いしたいと思います。
  65. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 民間の組合でございますればクローズであろうとユニオンであろうと、それは組合自体決定されるものでございます。併しながら今朝ほども申上げましたごとく公務員であるという本質から考えまするならば、そういう組合を認めるのでなくて、組合に入ろうと入るまいと公務員たる性格から見たならば自由であるべきだと思います。公務員になるためには組合に入らなくちやならない、公務員になつても組合を出ればその資格を失うのだという拘束を受くべきではない、私はかように存じております。
  66. 重盛壽治

    重盛壽治君 そういう機械的にお答えになると、それじや何で軌道の工夫を公務員にしたり自動車の修理工を公務員にしたりするか、そういう理窟が生れて来はせんか。現実の問題として。だから現実にやはり即した方法でやつて行く、そうすることのほうが大体公共福祉を増進さす、そして皆のための奉仕者だ、それによりよき奉仕をするような方法をとることがいいのだから、それでよりよき奉仕をするということのためにはまとまつて協力さすということのほうがいいのだ、よくあなたがたが民間ならばと言うけれども、民間ならば逆に御用組合を作つてみたりいろいろなものがあるのだが、まあそんなものは問題にしていないようだけれども、そういうことのために内部紛争が起きて来たり二つに割れてしまつている、それも体験されていると思う。せめて地方公共企業体くらいはクローズド・シヨツプなりユニオン・シヨツプに当然して行くという考え方でなければならんし、若しそれがそこまでできないということならば、先ほど申上げましたように五條でことさらこんなことを載せなくても労働組合法との睨み合せによつて運営は十分できるのだから、そういう考え方に立つことのほうがいいのじやないか、こういうことなんです。
  67. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 何度申上げましても同じことでありまして、公務員たる資格が多数の意思に基いて強制されるということはこれは好ましくないと思います。
  68. 重盛壽治

    重盛壽治君 それじやまあこの程度で留保しておきます。まだ私は納得したわけじやないが留保しておきます。職員でなければ組合員となれないという規定は、これもやはり組織を拘束するのじやないか。労働組合法では第六條において委任による代理人の交渉権限を認めておる。然るにこれは当局と第三者とが団体交渉をすることは、地方公営企業性格上妥当でなく、且つ平和的、友好的な労働関係の確立に資するゆえんではない、こういうようなことを言つておりますけれども、私はやはり全国的な一つの組織を持ち繋がりを持つ組合が、職員でなければ職員労働組合の組合員又は役員となることができないという決定的なきめ付け方は、少し行過ぎではないか。その都市交通の例で、或いはその他のあらゆる例を引いてもわかりますけれども、函館の交通がストライキを起した、その場合に函館の支部だけではうまく円満な解決が付かないから本部から行つて納得の行くようなきまりを付けて来ている。或いは九州において或いは呉においてとかいろいろなことがあつてもつと身近なことを言いまするならば私どもが例えば東京都の職員関係の都労連というようなものの紛争議が起つて解決がなかなかつかんというようなときには、組合員という資格でなく交渉する資格だけを與えて頂いておいて交渉して行くことが比較的円満に解決する。つまりこういう実情はやはり無視されているように考えるのだが、そういう点ではやはりこれも公企労法にあるのだからそこにのつけたのだということであるのか、私は間違つてのつけたのじやなかろうかと思うのだが、それとも飽くまでこういう方針にしなければならんというのか。若しこの方針にしなければならんということなら続けて申上げますならば、代理交渉制度を一方の公共企業のほうでは認めておいて、そしてここでは職員以外の者が役員となることを認めないということは矛盾であることは当然であるが、こういうふうに作つておくと先ほど労働大臣が言つた労使双方の立場は大体互角な立場でものをやつて行くという観点から来ると少し危險がありはせんか。言い換えれば理事者のほうに運用される危險が強くなつて来やしないか。例えば首切りをした場合、管理監督の地位に昇格せしめた場合代理者でなくなるが、法律上の法人としては労働組合のれつきとした者になる、それが交渉権限がないということになつて拒否されるということは実情にそぐわない。こういうような点から私は考えて行くと、この法律の第五條は前文を削ることが当然でありますけれども、これをどうしても置かなければならんと仮に仮定するならば、この二條、三條というようなものは当然これは要らないのじやないかというように考えるのだが、どうしても固執するならそのゆえんを明快に一つ答えて頂きたい。
  69. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 基本的にこの法律自体は、大臣からもお話を申上げましたように、公務員たるの本質というものが流れておるわけでありまして、従いましてこの組合員の中に職員以外の何ら関係のない第三者が組合に加入したり又は役員となるということになりますると、やはり本質的な考え方から考えれば適当ではないとかように我々は考えておるのであります。ただこの際に申上げておきたいと思いますことは、公労法におきましては御承知のように交渉委員だけが交渉権限を有するということになつておりまして、組合法六條の交渉の委任は認めておりません。地方公労法案におきましては地方の自治団体、公共団体等の実情から見まして、やはり小さい組合がありましたり、或いは交渉というふうなことにつきまして不得手な職員だけで組織されるというふうなこともあろうかとかように考えますので、この地方公労法案におきましては組合法六條は適用になつて削除になつておりませんから御了承願います。
  70. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうすると団体としての例えば本部から行つて交渉すると、このことはいい、併し個人としての交渉に委ねることはできないと、こういう解釈ですか。
  71. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 例えば姫路市の水道の職員は僅か四、五十名しかいない。どうも市と交渉いたしますのに弱体であるというふうなことからいたしまして、市全体の組合の組合長に個人的にと申しますか委任をして交渉をやつてもらうということは認めておるわけであります。
  72. 重盛壽治

    重盛壽治君 更に進んで、これはまあ私は飽くまでそういう意味合で削らなけばならんと思うが、仮にそういうことを是認したと仮定してもこういう場合におきますように、実際問題として労働組合の中では非常に行き過ぎた運動をして、資本家側も組合側も納得して首になつて行く、これは止むを得ない場合があるかも知れない。そういう者がこの組合の役員になつておるというようなことは、この字句で或る程度考えられないこともない。逆に組合のために非常な功労者でそうしてどうしても組合の中に置かなければならん人であるけれども、公職選挙か何かで例えば都会議員になつたと或いは区会議員になつたと、代議士でも結構ですが、そういう場合に組合が大会の決議によつてあの功労者を今組合から締め出すことは気の毒だ、あれは一つ大会の決定つて特別組合員にしておこうじやないか、或いは顧問にしておこうじやないかというようなことは、これはもう風習として又当然な結果として現われて来るのですが、こういう人たちをおくことも惡いとこう解釈を持つのですかどうですか。その点一つ
  73. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 組合の多年の功労者であるという場合等を御指摘のようでございまするが、御意見は御尤もな点があると我々も了解できるのであります。併しながら先ほど申しましたように、この法律全体を流れておりまする一つ本質といたしまして、はつきりと公務員たるものが組織するというふうなことをきめることが必要であると考えまので、その場合の扱いにおきましても組合員という形でなくて何らかの考慮を組合は考えてもらつてもいいんじやないかと、かように考えておるのであります。但し先ほども申しましたようにそういう功労者がやはり組合の委任を受けまして、そうしてその交渉にも当つてやるということは認めておるわけであります。
  74. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうすれば実際には労政局長の言うのは今のような場合の人は認めていると、こういうふうに解釈できるわけなんですが、そうだとすれば例えばここのところで大会或いは組合の議決機関で推薦した者が組合員となることを、あなた方のその考え方にすると妨げるものではないということになろうと思うのだが、そういうことを織り込むことには別に異存はないというわけですね。
  75. 大島靖

    説明員(大島靖君) 只今労政局長から御説明申上げました通り、やはり職員でない限り労働組合の組合員、或いは役員となることはできない。その点はやはりこの第五條第三項の趣旨で運営いたしたいと、かように思つております。
  76. 重盛壽治

    重盛壽治君 僕の言うのは、大会で推薦した来た、或いはして来てもこの法律一本建てで、臨機の処置は認めて行かない、
  77. 大島靖

    説明員(大島靖君) ちよつと困難だと思う、
  78. 重盛壽治

    重盛壽治君 困難だと、
  79. 大島靖

    説明員(大島靖君) さようでございます。
  80. 重盛壽治

    重盛壽治君 できればやつてもいい……。
  81. 大島靖

    説明員(大島靖君) やはり第五條第三項の労働組合の組合員、役員となるには、やはりその公営企業職員でなければならないと、こういうことになるわけであります。
  82. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうするとどうも又元へ戻つて労働大臣のほうへ行かざるを得ないのだが、法律によつて地方公務員或いは地方公共企業体労働組合を拘束してやつて行くというような行き方は好ましくない。それだからもう少し協力をしてもらつて行くと、又地方公務員の諸君といえども大きな組織小さい組織種々雑多な組織があつて全部完成された組織とは言えないのであつて、その半面にはやはり労働組合の育成助長という労働省本来の使命が当然織込まれて行かなければならんのであります。こういう法律、先ほど言うように、私を例にとつて言うのでないが私は立派な指導者とは考えないけれども組合の育成助長に努めているということは、單なる組合運動だけでなく国の経済の実態或いは労働組合日本の現実に即した行き方というものはどうあるべきかというようなことをやはり指導して行くと申しますか、そういうような場合にも特別な執行部であるとか、特別組合員であるとか、名誉会員であるというようなことができないということは、組合を育成助長して行くという面からは全く逸脱しているのではないかというふうに考えるのですね。法文的にはそうかも知れんが、僕の今申上げたようなことは運用できるというような考え方を私はお持ちになつていいのじやないかと思うし、一旦出したからにはこれを突つぱれというのか、もう一遍。
  83. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 重盛さんの労働者という点だけを重視されましてのお話ならば御尤もな点もございますが、しばしば申上げまするごとく私ども公務員であるという本質を重視しておるわけであります。従いまして公務員国家なり或いは公共団体全体に奉仕する立場におかれておる、それがそういう関係の全然ない第三者のものが入つて来て、そうして団体交渉をするということはこれは許されない。従つて組合員は公務員に限るという建前をとつておるのであります。重盛さんの言われるように長年の労働組合の御指導に当られたかたでありますれば、これは実際に御指導になることは御自由であります。これはあらゆる組合の現に御指導になつているように、我々はそれまで拒否するというつもりはございませんが、組合員はやはり公務員に限られている、かように思うわけであります。
  84. 重盛壽治

    重盛壽治君 まあ大体わかつたが、納得したわけじやないですがね。そこで問題は、まあその特別組合の又特別職というようなものを作る場合がこれは考えられるということだね、どうだね、賀來さん。
  85. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 組合員にはなれません。
  86. 重盛壽治

    重盛壽治君 組合員にはなれませんか。
  87. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 御指導は御自由でございます。
  88. 重盛壽治

    重盛壽治君 その点はまあ……。  次に三條に職種のみをここに謳つておるが、問題はやはり三條に羅列した職種だけではこの法文を当てはめるのには少し狹くなりはしないかということ。御承知のようにこれはまあ主として企業経営の成り立つ收支償う企業に従事する者と労働者立場というものよりは、むしろ利潤の上つて来るところだけを当てはめた、こういう形ですね。だからこれはこれで一応いいと仮定しても、これと全く同じような仕事をしておるが財源が違うのだ、いわゆる都や市の税金給與を賄つているのだというような人たちがたくさんあるわけですね。單純労働者としてのそういう人たち、それと又似たような人たち、いろんなものがありますね。こういう人たちの立場をこの五條のほうへ一つ謳い込んでもう少し特別立法をいつ幾日までにするということが明確になつておればいいが、そうでない限り暫定処置というものがこの五條程度考えられるかどうか。又私は考えるべきではないか、ということは組合の実情で推して今のなりでこれだけ一部のものを作つてしまつておりますると、非常に組合内部にも混乱が起きて参りまするし、そして当然他のどれかの法律を当てはめて行かなければならん立場の人たちがたくさん出て来るわけでありますが、水道のような場合にも上下水道、労働組合という面では一つの水道局というものにおつて全く同じなんですね。ただ下水のほうは給與の裏付けがないものだからこれははじき出そうとそういうような一つの例になつている。そういうものはこの際吸收して水道局という形で労働組合を作ることはこれは差支えないことだ。ただその場合の予算の面で一部の人たちが都の税金のほうから流れて来るもので賄われて行くと大体そういうふうにせんと、企業の実態からやはり考えて行かなきやならんむずかしさがあると思うのですが、そういう点どういうふうに考えていられますか。
  89. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) これは一度お話を申上げたと思いますが、御指摘になりましたような土木建築であるとか下水であるとか、つまり国なり或いは公共団体予算で執行する事業に従事するところの現業職員というものに対しても、公務員たる本質はこれは変えるわけに行きませんが、この労働條件について団体交渉を持つという行き方はこれは将来とるべきであると私は考えております。ただ、今個々に指摘しておりまする企業というものは、收益を目的とはいたしませんが特別会計において独立採算を建前にしておるものであります。それを一括いたしまして取上げておるのでありまするから多少違う。それを同じ法律の規制の中に入れてやろうといたしましても、これはちよつとむずかしいと思うのであります。でありまするから、我々はどこまでも国家なり公共団体の行いまする企業的なものにつきましては、若し落ちておるものがあれば拾います。併しながら今申しました国の予算で執行する事業につきましては、それは縦割現業であるものと單純な労務であるものとがあると思いますが、これは別個の法律体制において考えて行く、かように存じて今回は入れなかつたのであります。
  90. 重盛壽治

    重盛壽治君 それは非常にむずかしいお話で、別個なことというのなら別個に……。あの政令二百一号の、六カ月以内に作るとこういうお考えかも知れませんけれども、現実の問題としてどういうふうにお考えになるものがあろうかと思うのでありますが、一つの例をとれば下水といいますか下水と一口に言つている東京都の下水、いわゆる水洗便所のようなものがありこの面の收入が相当ある。併し全部賄つて行けるわけではない。これは收入はあるけれどもまだ儲かる段階ではないから一つこのほうは別にして、儲かるようになつたらやろうとこういうような感じがするのですが、それは又併し一本にやろうという考え方なら別ですが、その点どういうふうにお考えになつているのですか。やはりあとに廻そうというお考えなんですか。
  91. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) これは大臣から申上げましたが、今度この六種類だけ挙げましたときの考え方といたしましては、四つの特徴を持つておるものという建前をとつたのであります。第一は行政事務に携つておる者ではない、第二は、肉体的、技能的な務働に従事しておる者である、第三は営利ではありませんが経済性を持つておる、或いは企業性を持つておる、或いは企業性を持つておる、第四はその企業の一体性、これにはやはり特別会計的趣旨も入りまするが企業の一体性を持つておるもの、この四つでありますならば、この法案の全体の適用によつてスムースに団体交渉も行える、こういう立場をとつたのであります。ところがこの四つの條件を備えていないものになりますると、この法律自体の適用を図りましても円滑な運営ができそうにない。かような意味におきまして政令二百一号でそのまま置こうという意味ではなしに、できるだけ早くそれらの人々も団体交渉権、協約権も持つように考えたいが、この地方公労法自体の適用というものについては適当でない、かように考えておるわけであります。
  92. 重盛壽治

    重盛壽治君 それは相当矛盾した勝手な御意見でありますけれども、これは又私は意見として別な部面でそれじや申上げます。次に七條の……
  93. 中村正雄

    委員長中村正雄君) ちよつと重盛君、七條に入る前に今重盛君が質問なさいました第五條関係でちよつと確認しておきたい点がありますから、ちよつとお讓りを願いたいと思います。  労政局長は、第五條の職員でなければ組合員及び役員になれない、併しながら組合法の第六條は適用になつておる、従つて職員以外のものは組合員及び役員にはなれないけれども、その組合の委任を受けた交渉委員になることができるという、こういうふうにおつしやつたと思うのですが、その通り解釈していいのですか。
  94. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) その通りであります。
  95. 中村正雄

    委員長中村正雄君) もう一つそれに関連して、そういたしますと現在と違うような法体系になるわけなんですか。地方公務員法の適用を受ける職員団体とこの法律が通りましたらこの地方公労法の適用を受ける職員一つ労働組合を作りまして、と申しますのは、地方によつては非常に職員が大部分であるけれどもこれに従事する人は僅かしかいない、先ほど御説明のような場合が相当あると思うのですね。従つて一つ労働組合を作つてやはり実勢力を持つておる地方公務員法の適用を受ける代表者をこの団体交渉の代表者に選ぶということは不可能になるように思えるわけですが、この点如何でしよう。
  96. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) この地方公務員法の団体の性格規定のことから考えまして一つの組合は作れない。併し事実上連合体という形においての組合運動は認められる、かように考えております。
  97. 中村正雄

    委員長中村正雄君) そうしますと別な労働組合をこさえれば、いわゆる地方公務員職員組合の代表者に対して、この地方公労法の適用を受ける者の交渉権を委任してやらしても組合法の六條があるからいいと、こういう結論になるのでございますか。
  98. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) その通りでございます。
  99. 重盛壽治

    重盛壽治君 今大体中村委員長の言われたことに盡きるのだが、そうすると仮に本来直ちに一般のこの事業採算のとれない、あなたの言う四つの條件に当てはまらない人たちが、どういう扱いをするつもりか知りませんけれども労働組合を作つてそしてこの公営企業労働組合と一緒に交渉して行くと、こういう形は差支えないという解釈なんですね。
  100. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) その点につきましては只今中村委員長の御質問に対して私からお答えした通りであります。
  101. 重盛壽治

    重盛壽治君 その通りですね。
  102. 中村正雄

    委員長中村正雄君) ないですか……。それでは次に。
  103. 重盛壽治

    重盛壽治君 それじや結局……なかなか大変なんだが、第七條を簡單にお聞きするが、第七條に「地方公営事業の管理及び運営に関する事項」と、こういう字を入れてあるけれども、これはまあ非常に重要なところであろうけれども、これも先ほど来言うように、地方公共企業体の実態をやはり知つておらんのじやないか。管理運営という幅をどのくらいに考えておるか知りませんけれども、当然管理ということは運営には絶対に相談し、労働組合団体交渉の中でいろいろ相談をし運営をして行くということをやらない限りにおきましては地方公共企業体は成立たん、こういう性格を持つている。それをことさら管理権の問題は別としても運営までここに謳いこんだという考え方が私はむしろ労使の紛争を引起す種をここのところへ作つたように考えるのだが、管理運営に関する事項は団体交渉の対象とすることができないというふうに謳いこむことは非常に運営上危險なように考えるのだが、その点を先ず。
  104. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) この條文にかようなことを定めました趣旨は、先ほど申しましたように全体として流れておりまする一つ本質的な意味がここにも現われておるのでありまして、管理運営というものは地方公共団体往民全体意思によつてその信託を受けましたところの地方公共団体の機関が行うべふものでありまするから、組合との団体交渉によつてこれを左右し或いは決定すべき筋合のものではないという考え方を持つておるのであります。ところが現在の例えば都市交通の状況でありますとかその他水道の組合の状況を拜見いたしますると、重盛委員の御指摘のような実情につきましては我々といたしましてもその事情は了解ができるのであります。従いましてこの点は明確に管理運営の線については団体交渉の対象にならないということは明確にいたしておりますけれども、一面団体交渉できるものとしてここに制限列挙してありますこと、即ち労働條件に関連いたしましてその団体交渉に際してやはり内容的に管理運営の面に関連いたして参りますることはこれは止むを得ない、かように考えておるのでありまする
  105. 重盛壽治

    重盛壽治君 大変わかつた部面があるがいま一歩。労働組合に入る前の管理者は勿論その他労働組合に入れない機密の事項を取扱う管理、監督の立場にある者であるならば、この人たちだけで実際運営の面まで考えること、労働組合を除外して運営を考えるということは実際考えられないのですね。東京都電、水道局もそうだ、大阪市電においても労働組合の幹部以下その組合に入つておるすべての人を除外して、そして管理運営をするということは言うべくしてできない。そういう今の加来さんの筆法から行くと、いわゆる管理にも属し運営にも属するけれども労働條件の中にも入るんだというそういう二つの競り合つたものが出て来る場合には、こういう団体交渉の中にいもゆる労働問題として取上げて論議して行くということは差支えないと、こういう解釈でいいわけですね。
  106. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 非常にこだわるようで恐縮なんですが、私の言い方は、労働條件に関連して来ます管理運営の事項につきましては、団体交渉に際しましてそれが話合の対象になりましても止むを得ない、こういうふうに申上げたわけであります。
  107. 重盛壽治

    重盛壽治君 止むを得ぬじやなくていいんだと、こういう訂正をまあ一つあとで入れてもらうとして、ここに大変條文を並べてあるんですが、この條文の例えば一から五号まで並べたんだが、この中に非常に多く抜けておるものがあろうと思うのですが、先ず第一番に職員の任採用がなくて任採用が一切管理者に任せて労働組合はその相談にはあずからん、そういうことにしておいて、昇職や降職やこの事項だけやるのか、或いは任採用という字を私は恐らく間違えて落したんじやなかろうかと、こういう問題が団体交渉の対象になる一番大きな問題ではなかろうかというふうに思うので、当然任採用は入れるべきである、こういうふうに解釈する。  それから今言つた企業の改善、結局管理は別として運営に関してはいわゆるどういう名前がいいか知らんけれども、業務改善委員会とか何とかいうようなそういう企業の改善に対する委員会などを設置してそういう中でやはり交渉して行く、これは団体交渉の中へ当然織込まれておるのだ、こういうふうな考え方。それから就業規則も抜けておる。この就業規則というものは勿論労働條件に関する事項というやつに全部入るのだと思いますけれども、これだけ細かく分けるのだつたら労働時間、休憩、休日こういうようなものはやはり労働條件じやないかと思うのです、それとこれを分けた理由、どうして今のようなものを入れなかつたか。それから共済組合施設の問題や福利厚生に関する問題をなぜここへ羅列できなかつたか。  或いは午前中議論し、先ほどもちよつと触れたクローズド・シヨツプにするか、オープン・シヨツプにするかそれからユニオン・シヨツプにするかというようなことは、団体交渉の中でも相談ずくでやつて行くというようなことにするのが当然であつて、いわゆるシヨツプ約款に関する事項をここへなぜ並べなかつたか。それから専従職員を認めることができると、これはあとの項で言おうと思うが言つてしまつちやう、私の時間がないので間に合わんかも知れないからここでちよつと触れておくが、それを認めることができるということになつておるが、認めることができるということは認めないこともできるという一つの反例になるので、そういうことはやはり団体交渉の中で相談して行くべき事項であろうと思うが、今挙げたような事項で労政局長そこに書上げておられるか知らんが、そういうものをどうしてここへ入れられなかつたが、これは当然入れるべきだと思いまするが、その辺の意見一つ
  108. 大島靖

    説明員(大島靖君) 第七條の第二項の団体交渉の対象たる事項についてでありますが、先ず第一の任用の問題につきましては、先ほども第五條のオープン・シヨツプ制の際も大臣その他から申上げました通りの公務員たるの本質からいたしまして団体交渉の対象にするのは適当ではない、但しその昇職、降職、転職、或いは免休職、そういうものについては団体交渉の対象にするこういう趣旨であります。  なお運営についての協議会を設置するという問題はちよつと法律の対象外の問題であろうかと考えるのであります。  それから就業規則の問題につきましては、就業規則そのものは経営者がきめて行くべき性質のものである、団体交渉の対象たるべきものではないと思うのであります。ただ就業規則の内容といたしましては、ここにありますような賃金その他の労働條件、こういう問題が非常に大きな部分を占めるわけであります。この内容については二項によつて団体交渉の対象となる、こういうことであります。  それからシヨツプ制の問題、或いはこの第六條の専任職員の問題、こういう問題につきましても団体交渉の対象としてはどうかという御意見であります。この点につきましては、先ほども説明申上げました通り、やはり公務員たる性格上五條乃至六條の形で法律を以て規定すべきものと考えておりますので交渉の対象にはしない、かように考えておる次第であります。  なお四号のその他労働條件に関する事項、勿論前に書いております点につきましても労働條件でありまするが、ここに掲げられてない労働條件もあります。例えば安全衛生を害しない程度労働作業環境とかいう問題、或いは労働條件になりますような福利施設の問題でありますとか、そういうふうな労働條件がこれに含められておるわけであります。そういうものを四号のその他のほうに入れるという点できまつておるわけであります。以上であります。
  109. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうするとはつきり言うと考え方が大分違うので、そういう点から来るところが多いから非常に困難があるけれども、実情は私が何圏も言うように、この公共企業体に当てはまるような地方公共企業体というものは、管理者も率直に言うと東京で言えばやはり給料取りなんだ、知事の命令で動く給料取りだし、労働組合も皆同じような形になる。たまたま管理者の立場になり組合員になれない立場になつておる。従つてそれが法律で就業規則をどんどん自分が勝手に労働課長に作らしてこれでやれということをいつてみても言うべくしてできないことだ。むしろそういうことは相談し合つて、こういう方法で行きたいと思うけれどもどうだろうか、よかろう、やろうじやないかというところに初めて事業の運営能率の増進が図られるのであつて、余りにも機械的な、何というか本質的な意義ということになるかも知れないが、本質的な意義が私にはどうしてもわからないが、公務員であるから、そして管理者が都民全般の代理としてその東京都民が全部これを使つて行くのだ、命令の線でやつて行かなければならない、談合の線でなく命令の線でやつて行かなければならんということが抜け切らないというところから、それを法律の上にもどんどん現わして来るのだが、この点をもう一歩お考え直しを願わなければいかんのじやないかと思います。  ついでに賀來さんが本質的な意義、本質的な意義というわけだが、あなたの考え方本質的な意義はどういうことか、いま一遍聞かせておいて頂きたい。
  110. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) これは大臣から今朝ほど来お答えしたと同じ意味であります。なおこれに関連いたしまして、先ほどのお答えを今御意見があつたようでありますが、かような公共団体であるから就業規則を勝手に作つてよろしいということを考えておるのではございません。ただ就業規則というものが形式的に団体交渉の対象になるという書き方は適当でありませんので、その内容になるものについては団体交渉の対象にすべきであるという見方をいたしておるのでありまして、なお専従職員の問題につきましても、公務員は職務に専念の義務を規定されておるわけであります、この職務に専念するということを外しまして、組合事務に専従を許すということになりますならば、これはやはりこういう法律に基きまして管理者が定めるべきであるという建前から専従者はこういう規定になつておるのであります。といつてもさようなことになつておるから管理者側におきまして専従者は一人も許さんとか、或いは何名にするということは勝手にきめて行くべき筋合いのものではなしに実際の運営といたしましては、やはり組合とよく話合つてなさるべきものである、かような考え方をいたしておるのであります。
  111. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 只今衆議院労働委員会が開かれまして、こちらから送つておりまする労働金庫法案を審議されまするので、私説明に参らなければなりませんので波多野理事と交替いたしますから御了解を願います。    〔委員長退席、理事波多野林一委員長席に着く〕
  112. 重盛壽治

    重盛壽治君 労政局長も労働大臣も僕の言うことを労働組合の側に立つておつしやればそういうことになろうと考えるとこういう言葉言つておるが、経営者の側に立つたような姿をすればあなたがたが言うようなことになろうと考える。併し実際に経営者の側に立つてみましても、これは露骨な言い方をして経営者諸君、管理者諸君には気の毒でありますが、絶対に六大都市の交通の管理者が、或いは組合員になつておらん課長係長いわゆる管理者だけで実際の運営がうまく行くというようなことは考えられないことである。で就業規則を作つてみても逆に労働組合のほうが逆な形から来て、そういうことは団体交渉の対象になつていないからお前のほうで勝手にやつたらいいだろう、やるならばやれ、おれのほうはやらないだけだということになる。我々は飽くまで公平な立場に立つてものを審議しようとするのだが、たまたま私の言うことが労働者的であり労働組合の側に立つておるということならば、あなたがたが資本家側、経営者側に立つて議論をするということになつて行きますと、決してそのほうに有利じやない、こういう形ではむしろ全部ぶちまけて、地方公共企業体というものはすでに五カ年、六カ年の経過は十分労働省でも知つておる、そのうちに起きた紛議の解決をつけておることは実態から割出しましても、例を言えというならば幾らでも言いますが、言換えればすべてのものを相談してやつて行く、納得ずくで協力の体制を立ててやつて行くということにしなければ、法文を作つても、それは共済組合の福利施設のような問題は、当然君のほうの逆に責任でやるべきじやないかというので労働組合労働組合一辺倒になつてものをやることになりましたら、到底公営企業の、いわゆる公共福祉に副うなやり方にはできないというように私は考える。そこでここで幾ら議論しても際限ないと思いますので私一人でやるわけにはいかんが、もう少し考え直して巾の広い団体交渉を、率直に言えば労働組合自体が組合の行き方を知つてるわけだ、労政局長はそのことは知り過ぎるほど知つてつて本質的な意義に拘束されて組合法をゆがめようとしておる。これは先ほど労働大臣にせめて労働大臣くらいはすつきりした姿の上に立つた公共企業体はどういうようにそれを作つて行くかということについて質したが、労働大臣や労政局長たるあなたがたが全く同じ本質的な意義に拘束されてしまつて法律を作るのだということになつたら、一体誰が労働者の味方になり誰が労働組合を育成助長して行くか。いま一歩考えてもらつてこの点は一つ十分改正し、修正する用意があるというお考えを持つて頂きたいと思いますが、その点どうですか。
  113. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 企業体の運営に関連をいたしまして労働組合意見をよく聞いてやれ、又経営者の考えておる意図を労働組合に納得してもらつて協力体制で行くべきであるということにつきましては、我々も全く重盛委員と同感に存じておるのであります。ただ問題といたしまして、そのこと自体団体交渉によつてきめる、団体交渉の対象にして労働協約でやつて行こうとすることは、この法律の全体を流れておりまする考え方からいたしまして適当ではないということを申上げておるのでありまして、大島課長から申上げましたように、例えば諮問的な運営委員会というふうなものをこしらえまして、団体交渉の対象でなくして相互の意思をよく徹底さして行くということは、この法律外であるということは先ほど申上げた通りであります。我々は決して使用者側の立場に立つてものを考えておるわけではないのでありまして、公平な行政官庁としての立場に立ちまして立案に当つたのでございますが、さような意味からいたしまして我々といたしましてはこの第七條の書き方が最も適当である、かように考えておる次第でございます。
  114. 重盛壽治

    重盛壽治君 最後にその項を終りたいが、そうすると、僕の今言つたような職員の任採用の問題も、共済福利の問題も、シヨツプ約款の問題はややわかつておりますが、就業規則の問題も、例えば僕の並べた大項目はどれも団体交渉の対象に入れることは理論上いかんという、こういうことかね。
  115. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 甚だかたくななようでありまするが、この第七條の書き方が最も適当である、かように考えておる次第であります。
  116. 重盛壽治

    重盛壽治君 そう固執すると僕のほうにもいろいろ意見があるので、それはその他労働條件ということにはもう少し広義の意味が入らなければならんが、然らばその他の労働條件は一体何と何だね。
  117. 大島靖

    説明員(大島靖君) 先ほど申上げましたように、その他労働條件という中には一号から三号まで掲げておりますものが、例えば福利施設にいたしましてもいろいろ種類がありますが、やはり労働條件に該当いたす施設もあるわけであります、そういう福利施設の問題、又作業環境と申しますか安全衛生に関する事項につきましては第三号で規定されておるわけなんでありますが、そういう以外の作業環境の問題、そういう労働條件が入るわけなんであります。なお就業規則の問題につきましては、その内容でありますこの一号から五号まで入つております。こういうものについてはこの第七條の団体交渉の対象となる、こういうことになるわけであります。
  118. 重盛壽治

    重盛壽治君 大分進んで来たね。そうすると福利厚生というようなことはやはり労働條件の中に入るということなんですね。ことさらこれを除外しなければならんと、字句を一字一句ここに並べた五つでなければならんという理窟は成り立たない、その他という中に入る、いわゆる福利厚生というような問題は入れてもいい、当然私も労働條件の中に入ると思う。そういう解釈でいいわけですね。
  119. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 大体さようでございます。ただ福利施設の中にも全然労働條件には関連しない福利施設というものもあり得るわけなんであります。そういうものについては又別なんです。
  120. 重盛壽治

    重盛壽治君 それはいわゆる理窟のための理窟であつて、そういうものはお聞きしなくても管理者も労働組合も十分心得てやるから御心配ない。そこで賀来さんの言われた運営委員会、運営委員経営協議会も字がいかんかも知れないが理窟は大体同じなんだね、運営するためにやるのだから。そうすると経営協議会というような形で作ることはいやだけれども、運営委員会というようなことで相談をして、事業の運営を如何にしようかというようなものを作つてつて相談して行つたらいいじやないか。このことには賛成なんですね。
  121. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 私が申上げましたのは、管理運営につきましてこれを団体交渉の対象とし対等立場においてこれを取扱つて行くことは、この法律では認めておりませんということを申上げたのであります。併しながら企業管理者が労働組合意見を聞き、或いは又管理者の意図を労働組合に納得してもらうというふうな形におけるいろいろな協力態勢ということをお作りになることは、この法律の外でありますということを申上げたのであります。
  122. 重盛壽治

    重盛壽治君 これはこの運営委員会を作つてつて行くなら、この中へ盛込まれないようなものは運営委員会を作つて行けばいいじやないかと考える。平等な形とか何とかにおいていなくとも実情はよく知りつくしていてまごまごすると労働組合のほうが平等より上になるかも知らんけれども、そういうことにしても運営委員会等でやつて行くということには異存はないわけなんだね。最後にはつきり承わりたい。
  123. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 先ほどお答えしたような趣旨で御了解を願いたいと思います。
  124. 重盛壽治

    重盛壽治君 まだたくさんあるが、堀木さん、この項で何かありますか。
  125. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 いや、私は一條々々じやなしにやります。
  126. 重盛壽治

    重盛壽治君 じやちよつと待つてもらいましよう。私も一條大々じや行つておりませんが。
  127. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 思想的に統一していないことだけ……。
  128. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうすると、五條ではこの中から結論として取り得るものもあるし、取り得ないものもある、法文を折角こしらえたんだから余りいじり散さないであとは一つ運営委員会のほうでやつてくれと、こういう結論なんですね。
  129. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 労働條件に関しますることは団体交渉の対象としてやつて頂く、こういうことでありまして、その他のことにつきましては、特に管理運営については団体交渉の対象にしてはならない。ただ先ほど来お話のように協力態勢という意味において労働組合の協力を求めるということが必要であろうと、かように考えますので、その点につきましてはこの法律以外の問題として適宜労使双方において御相談があることだろうと、かように考えておるのであります。
  130. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうすると、大体それでいい。あなたの答弁は終つたと思うのだが、先ほど管理運営というとこれはむやみに字句にばかりこだわつて、管理運営々々々とやるのだが、実際に入つて行くと管理運営の問題だとか労働條件の問題だとか非常に複雑になるのですね。再三言つたように再三そういう運営の面であつても管理の面であつて労働條件が競合して行く場合には、団体交渉の中で話すことは差支えないのだと、こういう解釈でいいわけなんですね。
  131. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) その通りであります。
  132. 重盛壽治

    重盛壽治君 それから問題は十一條の「職員及び職員労働組合は、同盟罷業、怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。又、職員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、又はあおつてはならない。」こういう我々にはちよつと解釈しかねる條文が入つておるのだが、ただこれは公共企業体であるということと、先ほど来言うような理窟でストライキはやつていけないと一応考えられるが、併しただ今の何というか段階的に、特に労働大臣に本当はお聞きしておきたいが労政局長でも結構ですが、私鉄の例や或いは公共性の面では、電産や何かとの例やいろいろな比較はそつちこつちで今まで議論されたから、私は殊更議論しないけれども、今の地方公共企業関係する労働者は基本的にはやつぱり憲法二十八條を当てはめて行くのだ、それが正しいのだ、併し公共福祉という全体の奉仕者であるという建前から取りあえずこういう法律を作らざるを得なくなつたのだ、こういう解釈でいいのかどうか、この点から先ずお聞きしたいのであります。
  133. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) これは今朝ほど来大臣から再三お答えをしたような立場考えておるわけであります。
  134. 重盛壽治

    重盛壽治君 大臣のお答えだといつて大変労政局長は逃げておるけれども、基本的には重盛の言う通りだと、併し公共福祉とか或いは全体の奉仕者とかいうわけのわからん言葉使つて、そしてそれだからこれはこういう法律を作らなければならんということを言つたのですが、問題はそこなんです。あなたがたの見方と我々の見方と、今の日本産業の実態、労働組合のあり方、すべてにおいて非常に違うからむずかしいけれども実際には当然の権利としてやらなければならんのだ、併し戰争に敗けて今講和が済んだ直後においては、何らかの法律で一つはつきり規制をするわけですね、規制をして行かなければ安心ができないのじやないか。そんなに労働者を信用しちやつて、而も地方公務員地方公企業に従事するバスの運転手や水道の人夫を余り信用したのでは間違いが起きて困る。だからこの程度の枠をはめておいて、それから一応三等車に乘せてやるが少したつたら三等車から二等車に切替えてやろうという考え方がある、この考え方にはやつぱり変りがないわけなんですね。
  135. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 大臣の今朝の御答弁を承わつておりますと、実際三等車から二等車に乘せてやるというふうなお答えはなかつたように考えるのであまりして、大臣は本質論からかような制限はやむを得ない、基本的には二十八條による勤労者であるわけである、併しながらかような制限本質的にやむを得ない、こういうお答えだつたようであります。
  136. 重盛壽治

    重盛壽治君 どうもそれじやこの項は大臣が来なければ解決が付かん問題だろうと思うのだが、大臣はどう考えるかはこれは別なんだけれども、実際に担任する労政局長としてこれは大臣がこう言つたから私も同じ考えですとそう頭から進随しなくてもいいと思うので、きつぱり一つここらでこの問題に関しては私は甚だ遺憾であると思うのだけれども、今の本質的な意味ということをいわれるとやはりこうやらざるを得なくなつたということになるのじやないかと思うのだが、その点大臣に別な答弁をしてもらつても決して差支えないのだから、もつとざつくばらんに労政局長の考えをこの際聞かしておいて頂きたい。
  137. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 大臣に遠慮しているわけではありませんが、官庁の一体性という建前におきまして大臣の答弁の通りに答弁を申上げる次第であります。
  138. 重盛壽治

    重盛壽治君 若干水かけ論になるが、これはそういう理窟になつて来ますとさつきのあなたがたのいう本質的な意味というのが、今の政治の流れの、まあ自由党の話になつて相済まんが自由党の政策の一環としてこの程度のことは仕方がないから、そういう意味本質的にやるのだ、こういうことなら別ですけれども、私は何度も言うように労働省を設置されたときには一つ労働省をサービスする、育成助長する機関として作ろうじやないかというのがいつの間にかだんだん労働者労働省が逆に監督するような立場に移行するというふうに思われるのですが、そういう立場におる賀來さんも最初からの労働省の中の優秀な官吏なんだから、この憲法二十八條は当然守らなければならんというこの解釈だけは必ずしも変つておらないのでしよう。
  139. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 労働自体立場は御指摘の通りにやはり当時の政府或いはその他の政策によつて左右さるべき筋合のものではない、かように考えておるのであります。又大臣がお答えいたしました本質自体に政策が加味されておるかどうかは、我々といたしましてお答えを申上げる限りではないのであります。政策としてかような考え方が出ておるという御意見でありますならば大臣に一つお聞きを願いたいと思います。
  140. 重盛壽治

    重盛壽治君 これはいない大臣に聞くのじやなくて僕はあなたの考え方を聞きたいということです。憲法二十八條に守られている労働者として当然取扱うべきだという考え方なのか、それは本質的というあいまいなこの字句によつて本質的には與えるべきではないと考えるのか、その点やはり明確にすべきである。又それは直ぐにできるかあとでできるかは別としまして、私どもはこれは全面的にこういう條文を削除して、先ほどから何度も言うようにもう少し労働者を信用してそうしてこういうところにこそ多くシヨツプ制を用いてやらせようという考え方が私ども考え方なんだけれども、それが或る程度制約しなければならんということならば実情やむを得ざるものとして制約するというのか、本質的にどうしても制約して行かなければならんのかというこの考え方なんです。これは労政局長としては十分考えなければならん問題だと思うが、どういうお考えかお聞きしたい。
  141. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 我々の考え方といたしましては、勤労者の基本的権利に関しましてはやはり二十八條でやる、併しながらこれを考えますときに憲法の十二條、十三條、十五條というものは併せて考えるべきものである、かような考え方を持つておるわけであります。
  142. 重盛壽治

    重盛壽治君 大変進歩したお答えで、二十八條は基本的には認めるべきだ、こう解釈しておつていいわけですね。余り理窟は要らんが。
  143. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 勤労者の基本的な権利といたして二十八條というものが守らるべきであるということは御意見の通りであります。ただこれを実際の問題として考えて行きます場合には他の條文も併せ考えなければならんということを申上げたのであります。その併せ考えます際には場合によつてはいろいろな政策が程度によりまして出て来るかも知れませんが、我々事務当局といたしましてはやはり併せ考えるべきものであるという考え方はつきり持つておる次第であります。
  144. 重盛壽治

    重盛壽治君 この項は終つたわけではないでしようが大分まだ食い違いがあるので第二読会のほうへこれを一応廻すことにいたします。
  145. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 この項に関連して労政局長にお尋ねをしたいのだが、この法案がこのままで通るか通らんかは別として公共企業体労働関係法にはすでにこれと同じ方面になつておるわけでありますが、過日法務委員会との連合審査におきましてこの問題について相当論議したのであります。と申しますのは今度の破壞活動防止法案の中で電車、汽車の往来を阻害する、これを扇動した者には破壞活動防止法案が適用される、従つて公共企業体労働関係法で禁止されている「業務の正常な運営を阻害する」ということをこれにひつかけようとする意図はあるかないかという点について質問をしましたところ、毛頭ないと、労働組合というものはストライキをやるというのはこれは当り前だ、ストライキもようやらんような労働組合労働組合じやないのだ、こういう考え方の上に立つのが正しいのだ、従つてたいてい法律の禁止事項というものには処罰規定というものは必ずつきものである、法律的、司法的な処罰規定というものはつきものであるが、公共企業体労働関係法にも又今回立案されました地方公営企業労働関係法案にもそういう処罰規定は一切つけておらないということは、労働組合というものはストライキくらいやるのはこれはもう世界の通則である、それを一応制限しておるだけであるから、その制限の枠を踏み破つたからといつて処分するものではない。従つて破壞活動防止法案の適用に当つても、いわゆる労働争議ストライキ行為として運営の阻害をしたような場合には、決してこれにはひつかかるものでは全然ないのであることを法務総裁も法制意見局長官も言明しておるのであります。  そこで賀來さんにお尋ねしたいのは、あおつたりそそのかしたりという場合でありまするけれどもこの点につきまして、過般この公共企業体労働関係法が制定された直後に実は国鉄労働組合で熱海の中央委員会というのがありました、賀來さんもこのときの経緯はよく御存じだと思いますが、当時衆議院におきましてもこれを一つ電車の往来妨害にひつかけようとして、それがあおつたりそそのかしたりになる、ああいう決議をしたことがそもそもあおつたりそそのかしたりになるとして、相当ひつかけようとして特別考査委員会へ招集されて我々も喚問されたことがあります。併し結局実際の行動が伴わなかつた場合には犯罪にはならんというので遂にこれにひつかけることができなかつたけれども、併しあの決議自体がそういうふうな破壞活動防止法案の取締の対象というようなことにならなかつたけれども、あの決議で以てやはり実際に行動に現われないにもかかわらず、いわゆるあおつた、そそのかしたからというので馘首の対象としようとしたり、又実際にあれをいろいろあの中央委員会の決議そのものをとらえまして、実際にああいう同盟罷業その他の行為が起らなかつた、決議したにもかかわらず、あの決議に参加した者に対していろいろ圧迫を加えて来たのでありますが、ここで賀來さんに解釈お尋ねしておきたいのだが、あおつたり、そそのかしたのが実際現象となつて現われるまでにはこれには該当しないものであると、こういうふうに私は解するのが正しいのではないかと思いますが、この点についてはつきり賀來さん御答弁願いたいと思います。即ち、実際行動として現われない以上は、單なる演説をやつたというようなことがそれを一々今度あおつた、そそのかしたということになると、今の破壞活動防止法案の扇動より以上に危險な法律だと言わざるを得ないと思いますので、この点において私なら私が組合の委員長として組合の大会において挨拶の際に演説したことが、実際にその組合の活動として現われなかつた、たまたま言葉をすべらしたことをこれにひつかけようとするならば今後いくらでもひつかかることになると思うのですが、この点についてはつきりと私の演説したことが実際の行為として現われたというときにはこれにひつかかるかも知れないけれども、現われなかつた場合には決してひつかかるものではないと、こういうふうに解釈するのだが、賀来さんその点について明快にここではつきりとお答え願つておきたいと思います。
  146. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 十一條の解釈がこうであるということを我々から申上げるということは適当でないと考えます。御指摘のようにこれは第十二條によりまして、地方公共団体がこれを運営して行くわけでありまして、実際問題といたしましてただそそのかした、あおつたということでさようなことはあるまいと思いますが、これは個々の問題につきまして公共企業体、或いは地方公共団体が良識ある処置をとるものと、かように考えております。
  147. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それが今破壞活動防止法案の際に扇動という字句についてあれだけやかましいいわゆる世論が沸騰しておるというのはなぜかというと、実際に行動に現われなくても、扇動というだけで以てやられる危險がある。それが今後情勢がどういうふうに、破壞活動防止法案も通り神経過敏になつて来るということになると、あおつたり、そそのかしてはならないというこれだけでも実際に行動に現われなくても、今後ひつかけようと思えばひつかかるということになつたら危險でありますから、こちらで仮にこの法案をこのまま通すといたしましても、先ずこの條項だけは破壞活動防止法案における扇動と同様に私は扱つて、慎重に考慮しなければならんと思うのですが、まだ賀来さんでもはつきりとそうでないということを言わずに言葉を濁して余韻は残して言つておるけれども、こういうことははつきり答えておかんと、若しもそういう事態が来たときに仲裁委員会等における裁定を仰ぐ場合におきましても、この点について立案者の賀来労政局長がこのあおつた、そそのかしたということはこういうふうに立案して国会に提案した、そうしてこういう答弁をしたということになるとこれが裁定する場合の重要なる資料になるわけであります。従いましてここにはつきり答えておいてもらいたいと思うのでありますが、あなたのはまだちよつと余韻を残して事によつたら又ひかつかけるかも知れないぞというように余韻を残しておるように思いますので、そんなことをしたら大変なことになる。
  148. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 御質問に対しますお答えは先ほどお答えした通りでありまするが、ただこの際御了解を願つておきたいと思いますのは、この地方公労法案自体は公労法の原則に従つて立案をいたしたものであります。只今菊川委員の御指摘のように破防法に関連いたしましてそそのかし特にあおるという言葉がいろいろ問題になつておるようでありまするが、この條文の我々の立案の立場からいたしますならば現状からこれでやむを得ないと考えておりまするが、只令御指摘のように全体といたしまして非常に重要な考え方というものが議論の対象になつておるわけでありますので、慎重に御審議を願いたいとかように考えております。
  149. 重盛壽治

    重盛壽治君 それは、私は先ほどから賀來さんの言うように、大体十一條というのは地方公営企業に当てはめるべきではない條文だということで議論をした。どうしても当てはめなければならんというのだつたら、これはもう当然菊川さんの言うようにとるのが適正かと思つておる。ということは私が説明しなくても各都市、東京で少しぐらいどうしようこうしようと言つたところで、大阪に響くようなことでもあるまい。又大阪で言つたところで東京に響くわけでもない。例えば国有鉄道のような公企労法に準ずるということを言われたが、そのこと自体が実際あいまいであつて、逆に私鉄や一般交通産業と睨み合せて作つた、ただ公務員なるが故に多数の人の奉仕者であるが故にいくらか規制しなければならんというので作つたということであれば、全くこの法律案を作つた意味をなさなくなつて国鉄に準じて作つたということになると、全部ミスだらけで大変なあいまいなものがこの中に含まれておるから、私は飽くまで削つて行くべきだという議論をやつておつたけれども、若し十一條を若干の修正の程度罷業権をここで一つ預けてもらいたいということであるならば、後段にある「職員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、又はあおつてはならない。」というような字句は私当然とるべきである。又労政局長自身も今のような地方行政すべてのことを十分把握してくれたならば、これはとつてしまつていいじやないかというように考えるのだがその点どうですか。
  150. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 我々は提案に際しましてこの條文を入れまするにつきましては、十分研究をいたしましてこの程度は適当だろう、又必要であると考えて提案をいたしたのであります。併しながら菊川委員からもお話がありましたように、こういう点については非常に重要な事項であるから慎重に検討いたしたいという御意見に対しましては、私のほうからもどうぞ慎重なる御審議をお願いを申上げる次第であります。
  151. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 まだ賀來さんのは、はつきりと実際の行動に現われなければ適用されるものではないという趣旨の下に立案したのだという答弁がないようでありますけれども、実際今までの公企労法の運用を見て参りまするとやはりそこがはつきりとしていないのでありますが、特に破壞活動防止法案に扇動という字句が加わつて来て今これが論議の対象になつておる。これを惡用しようと思つたらいくらでも惡用できる。従つてこれを惡用しようと思えば、仮に原案の通り通つたとしたならば、私の今考えたような運用の仕方をした場合に、更に敷衍的に解釈をした場合には大きく違つて来るわけであります。えらい違いができて来るということは事実だと思います。従つてあなたの労政局の意見としては、これはそういう擴張解釈はしないものである、こういう考えの下に立案されたものであるかどうか、その点を一つ労政局の意見でも結構ですからお答え願いたい。
  152. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 当然そのような労働者権利自体に関連いたしまする條文でありまするので、擴張解釈をされるというふうなことがあつてはならないということははつきり考えておるのでありまして、先ほどお答えいたしましたように、これが十二條によりまして動きまする場合も、地方公共団体は良識ある措置をとるものと、かように期待をいたしておるわけであります。
  153. 重盛壽治

    重盛壽治君 十二條のことを賀來さん言われたが、私は十二條を削れという趣旨だから十二條には触れなかつたが、仮に何らかの形で十二條が残つたと仮定した場合、十二條に、「地方公共団体は、前條の規定に違反する行為をした職員を、直ちに解雇することができる。」というのは、この「直ちに」という意味は殊更どういう意味合で入れたのかどうか。それでこういう入れ方をせんでも地方公共団体が適宜な方法を講ずるだろうと思うというあなたの考え方から行くならば、解雇するだけでなくて例えばの例でありまするけれども解雇以外の処分でもいい場合もあるわけですね。一遍に解雇する性格を持つものと、それから減給というようなことをする場合もあるわけだが、解雇以外の処分、解雇又は処分、例えばの例ですが、することができるというふうに当然変えるべきではないかと思うのですが、この点どういうふうにお考えになつておりますか。
  154. 大島靖

    説明員(大島靖君) 十二條の行為をした職員を直ちに解雇することができるという書き方でありますが、或いは解雇するものとするという書き方もあるでありましようが、これはやはり「解雇することができる」といたしまして「直ちに」と加えましたのは、基準法等との関係におきましても疑問があつたのでありまして「直ちに」という言葉を入れたのであります。
  155. 重盛壽治

    重盛壽治君 更に「直ちに」という言葉もこれは従つてそれならば削つても差支えないという字句であるように考えるが、そういう意味のものであるか。それから解雇以外の処分でとめられるような字句を入れることがいいかどうか。
  156. 大島靖

    説明員(大島靖君) 「直ちに」という言葉基準法との関係において誤解があつてもいけないと思いますので、やはり入れておいたほうがベターではないかと思うわけであります。  それから「解雇することができる」とありますが、その処置につきましてはいろいろの方法があるわけであります。ですから「解雇することができる」と書いてありますからそういうふうに御了解願いたい。
  157. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私大体基本的なものだけ時間もありませんからお聞きしたいと思うのです。率直に申しますと今までの労働関係の法律というのは占領政策中出されたもの、そして今回出されました地方公営企業労働関係法案というのが、これは恐らく初めて日本人の労働関係の法律としてできて来た法律だと思う。そうするとこれは実に公共企業体労働関係法とよく内容が似ているのです。公共企業体労働関係法は実に労働省もわかりにくいのでお困りになる、というのは翻訳だけおやりになつたような律法である、だから事実あの法律を見ると非常に難解なところで解釈が誤られておるというような法律なんですが、併しともかくもこれは独立後労働省として初めて自主的にお作りになつた法律なんだからよほど思想的にはつきり統一されたものじやなくては困る、こういうふうに私は考えるのです。そういう意味から考えますと細かいことは抜きにいたしますが、ともかくも私ども考えると、地方公営企業法案は公共企業体労働関係法の適用を受けるものよりは、実情からみまして幾分緩和されて然るべきものだ。つまりこの点は私は労働大臣と見解を異にするので、昨日要するに憲法で保障している団体交渉権国家公務員といえどもつているものだ、公務員だからといつて憲法で保障しているあの勤労者の中に入らないような立場になつておらない、或る程度はどうしても持つているものだ。ただこの権利の行使に当つて公共福祉との調和を考えなければならん、そうなるとその仕事によつて差が出て来るだろう。こういうふうに考えられるのですが地方公営企業労働関係法案をお作りになるときの思想的なものとして、公共企業体労働関係法よりも労使の関係をより労働者権利を広く大幅に認めよう、企業の実態に即して広く認めようというお考えがあつたのか。それとも企業のスケールは小さい、地域的にも小さいが、地方公務員身分から見て公共企業体労働関係法と同じ程度にやりたい、或いはよく強く労働者権利制限しようというような考えで御立案になつたのか、その観点から伺いたい、こう考えます。
  158. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 今回提案いたしました地方公労法案の考え方は、規定を御覧になつてもおわかりのごとく、公労法と同じ構想の下に作られたものでありまして、その点はしばしば申上げておりまするごとく、公務員国家公務員でありましても地方公務員でありましても、国家或いは公共団体全体に奉仕する立場におかれている、その本質から言えば同じものであります。ただ現業国鉄専売等と似かよつた点がありますので、労働條件決定については団体交渉によつてきめて行くべきものであるという建前から、今回国においても国鉄又は専売に似かよつた郵政或いは印刷、営林というようなものを含めますと同時に、地方公共団体における市電、水道等の企業をもこの団体交渉権を認めるという考え方を持つたわけでございます。
  159. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 どうも一しよのような成るべく公共企業体労働関係法と同じような立場で以て一応考えて行こうと言われること自体が、国営事業について公共企業体労働関係法で認められた各種の事業というものと比べると、成るほど公共団体一つ事業ではあるが地域的に見て非常に範囲が狹い、それから事業から見てもスケールから見ても小さい、こういうことはお認めにならないだろうかどうだろうか、この点お聞きしたいのです。
  160. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 地域的な問題はございますが、私どもはこの本質を主として考えておりまするから、国の場合におきましても今度考えておりまするアルコールの専売事業というものは全国的な規模ではないのであります。併しながらやはり現業的なものであるからこれを追加しております。と同時に地方公営企業のうちにも同じ地域にいたしましても大きい、小さいはあろうかと思いますが、つまり公務員の性質であつて而も企業体的な仕事をしておるものを一括して同じ権利の付與を認めようという考えであります。
  161. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私は実はこの点については全く労働大臣立場を異にしておつて、要するに憲法二十八條にいう勤労者というものは、国家公務員地方公務員公共企業体労働関係法の適用を受ける職員も、それから地方公営企業労働関係法の適用を受ける職員も含んでおる、だから本質的に団体権はこれは持つておる、これは憲法で保障し七ある。ただ権利の行使に当つて今申上げたその携わつている事業によつて制限を受けるんだという考え方なんですが、従いまして公共企業体労働関係法と今度の地方公営企業労働関係法案と比べると、地方公営企業労働関係法案のほうは、もつ公共企業体よりも労働者団結権団交権というものは範囲が広くなるべきものだ、だんだん改訂があるべきものだ、こういうふうに私は解釈するが、併しあなたのほうの解釈は、私のような解釈をすると法律の建前が全部崩れて参りますから飽くまでもそうやつて頑張られるのだろうということも私は予想いたします。  それからもう一つ、実は地方公営企業労働関係法案を見ておると私の非常に疑問に思うことは、何と申しますか、団体交渉をする権利を與えながら団体交渉内容についてはできるだけ制約したいという思想が現われておる。そのチピカルな例を申上げますと、第九條で地方公共団体の長は自分がきめた規則と抵触するような協約を締結した場合には、それに対して必要な改正の手続が行われるまではやはり依然として締結した協約が効力を生じないとこういつておる。労使対等の原則に立つてそうしてお互いに協定ができた場合、而も片方の経営側に立つところの者が勝手に自分できめられる規則というものに抵触するような協定ができたときには当然それが無効になるべきです。それが議会の手続を要する、これは九條でございますが、第八條のごとく議会の承認を径ねばならんというものについては、民主主義の原則によつて議会に所要の手続がなければそれは効力を生じないということは事実わかるのですが、およそこういうふうな考え方団体交渉本質及び締結せられたるところの団体協約そのものについての思想的のものが全く出ていない。要するに経営者側に立つ者は何度でも規則が作れる。その規則との軽重を問われるようなことでは、本来の思想は私は団体交渉からは出て参らないというふうに考えられるのです。こういうふうに、つまり先ほど重盛委員から第七條の団体交渉内容になるものについていろいろ例を挙げられましたが、本来団体交渉については解釈を広くして行くんだが、こういう規定があるから団体交渉をできるだけ制限すべきじやないかという思想が出て来ると私は思う。  もう一つそういう点について申上げておきたいことは、公共企業体労働関係法については仲裁裁定の効力を一応はつきり載せておる、そうしてそれが予算上、資金上の場合に問題になつておる。ところが今度の地方公営企業労働関係法案の第十六條においては、わざわざ仲裁裁定に対しては当事者双方とも最後的決定として服従しなければならないという肝腎の仲裁裁定の効力そのものをこれはもう挙げられなくても当然だとおつしやるほど進んでおるというのなら、実は他の関係條文がそれだけ進歩的にできておればいいのですが、そうでありませんで制限するようにできておる場合に、この文句が公共企業体労働関係法と比較して抜けておるのは私はすこぶる危惧にたえない。どうも折角独立後最初にお作りになつ労働関係法規についてそういう点の見きわめというか、労働問題を扱うかたとして立たれる立場からの問題。そういう問題がはつきりしてない。  もう一つついでに時間がありませんがお答えを願いたいと思いますことは、要するに私は思想的な分析をしているわけですが、各條はいずれあとに讓りまして法理論をいたしますが、そういう点で出て参りますのがやはり先ほど重盛委員が問題にした目的を挙げておる第一條の末尾の「住民の福祉の増進に資することを目的とする。」この目的とするのは地方公営企業法でたくさんなんです。地方公営企業法にそうちやんと書いてあるのでそれでたくさんなので、労働関係の法律としてはむしろ職員との平和的な労働関係を図ることが目的でなければならない。それが結局「住民の福祉の増進」に資することにはなりましよう。併し「住民の福祉の増進」を図るならば、それは地方公営企業法のほうにお書きなさい。労働関係法に書かれるべきものではない、そういう思想的な点が私はあちらこちらにあると思う。  もう一つついでに申上げておきますが、第二條であります。公共企業体労働関係法では「この法律で定める手続に関與する関係者は、」と書いてあります。ところが今度の二條の場合には「地方公共団体経営する企業における労働関係に関與する関係者は」と絞つてある。而も地方公営企業法案におきましては、長が団体交渉の相手になることを予想しているのです。そうするとこれはわざわざお絞りになつているが、こういうふうな公共企業体の場合と比較して絞られる理由がない、私どもこれをひがんで考えると「この法律で定める手続に関與する関係者」というのはや公共企業体労働関係で大臣自身が法律違反をしておるというために、この條文をひつくり返えしたから非常にお嫌いになつたのかも知れないというふうな気すらするのです。そういう点について今申上げましたような諸点についてのはつきりした労働省としての思想的な立場、これが独立後初めての労使関係の立法としての問題でありますから、特にそれを念を押してお聞きしたいと考えるわけです。
  162. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 第一点をお答えいたしますが、今回提案いたしました地方公労法案においてできるだけ団交権制限をする意思だということでございますが、私ども制限するという意思ではございません。基本権はできるだけ尊重すべきものであると私は思つております。ただこの民間の労働組合違つて制限的なものがありまするのは、しばしば申上げるごとく公務員たる本質に基くものが制限されておるのであります。  なお地方公労法案において団体交渉なり或いは仲裁裁定がきまつた場合には、それが地方自治体における條例若しくは規則に抵触する場合は、それを変更するまでは効力を生じないのはけしからん、結んだら直ちに発効すべきであつて、その意味において條例や規則が変更されるべきだという御趣旨でありますが……、
  163. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私は條例はいいと言つたんです。
  164. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) わかりました。條例でございましても、規則でございましても、ともに地方団体における住民を規律する最高の規範であります。でありまするからその規範は県会なり最高の議決機関で成規の手続を以て変更されません限りは、これは有効であるべきであります。御承知のように協約というものは、仮にこれが裁定が下つた場合はそれが直ちに協約と同じ効力を持つということは今回の規定にはございませんが、これは労調法においても当然のことであり、今日の労働法上において当然のことであります。そうしますると協約というのは一人一人の間の契約でなくて、多数の者と片つ方の当事者との問における一つの契約であります。取りきめであります。その両当事者の取りきめが直ちに公法的な最高の規律を変更するということは、私はこれは少し無理ではないか。尊重すべきことは勿論でありまするから直ちに成規の手続を経て変更すべき義務は私はあると思いますが、締結によつて直ちに規則の変更を来たすということにつきましては私は賛成しかねるのであります。  なお第一條に掲げられた目的の中に、住民の福祉目的とするとかということは余計だという意味のことだかと思いますが、この点は公労法にもございまするし、本法は地方公営企業に従事する職員団体交渉権を認め、そしてその手続とそしてそれが成り立たないときの解決方法とを図りまして、できるだけ地方住民の福祉に寄與して行こうということでございますから、その文字が入りましたからといつてそう私は本質の変るものじやないと、かように考えております。
  165. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 大体だんだん労働大臣は吉田総理に似て来られて(笑声)事実に反することを平気で言う。吉田総理の場合にはこれは善意に解釈して、労働問題そのものの労の字も知られないのだから精神だけよいことをおつしやつてもその通りとらない。だからこの間もあなたのおつしやるところのことは言われていることが善意だとは思うけれども、事実に反しますよということを例を挙げて吉田総理に申上げた。だけど今回の労働大臣はそうは行かないのです。これは労働省でお育ちになつた人なんです。吉田総理みたいに知らない人がそういう答弁をされるなら私は差支えないが、どうせその何といひますか大雑な條文を私は労働大臣は御覧になつているのだと思うのです。吉田総理は條文を見たことがない。見たことがない人が答弁をされるならその答弁でいいんですが、この條文を御覧になつたらそうは……私の質問に対してもつ答弁のしようがあると思います。併し少くとも私どもはこのまま通すわけには行かないので直さなくちやならないと思つておりますが、今おつしやつた点でもその地方公共団体の機関が定めている規則、規程、これはつまり経営者が自分できめられるものなんです。だからそういう問題について団体交渉でそれに抵触したらそれに抵触する分はすぐ直してしまう。一方成規の手続として直される必要があることは認めるので、併しそのためにそれはすぐ協約と同時にされるのは当然経営者の義務である。そういうことが殊更にこの法文の上に挙つて来ること自体がおかしいのです。それでそういう当然の義務を特にぎようぎようしくお書きになるものだから第九條第二項を起さなければならんことになつて来る。これは団体交渉で協約ができたときにどういうものであるかということを考えればこれこそ当然なんです。裁定の場合はこれはその公共企業体労働関係法にこれがあつても、なお且つその最終的決定でないような條件が来ているのが今の実情なんです。だから少くとも私は十六條にその点をはつきりさせられて、例外的な條例に抵触する場合であるとか予算上の場合というものを挙げられるべきだと思う。にもかかわらず原則をお書きにならないで例外的なものだけが十六條に挙つているのだと、これをだから條文を御覧になつて而も労働法を知つておられればもつはつきりと答弁ができるはずのものである。吉田総理のような答弁があるべきはずのものでないというふうに私は考える。なお重ねて御意見がありますればお伺いいいたしますが、先ほどの御答弁以上にございませんならば、どうせ私どもこれより非常に直さなくちやならない問題がたくさんあるように思いますので、一応同じ問題についての質問はこの程度にとどめておきたいと思うのです。
  166. 波多野林一

    ○理事(波多野林一君) 堀木委員に申上げますが、あとまだ村尾さんが……。
  167. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 もう一点でございます。
  168. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 もう一点だけなら…。
  169. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 それではもう一点だけこれも具体的にお聞きするのですが、地方公営企業法案では第二條で地方公営企業というものがどういうものだということを挙げておるわけであります。それがこちらの労働関係法案の第三條に出ておるわけですが、同じく第二條の第二項におきまして、「地方公共団体は、政令で定める基準に従い、條例で定めるところにより、地方公共団体経営する地方公営企業以外の企業に、この法律の規定の全部又は一部を適用することができてきる」と書いてあるのですが、こういうものが指定されましたときの用意というものが労働関係法案のほうにございまするか、その点についてはどうお考えになつておりますか。
  170. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 恐らく御質問の御極旨は、地方公営企業の第二條第二項において企業が追加し得る状態になつておるものと、こちらとの関係だろうと思います。私ども企業が追加されてそれが地方公労法を適用すべきものであれば逐次追加して行くことは私決して考えていないわけではございませんが、ただこちらの公労法案は企業法案の趣旨で作られているので、必ずしもこの公労法案のためだけではございませんので、直ちにそのものを受け継いでおりません。でありまするから、自動的にこちらで企業を追加したからといつて、直ぐ受け継いでいいかどうかはやはり見ないといけないのではないかと思います。かような意味でそのままは引継いでおりません。
  171. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 併しともかくいろいろ入れられなかつたことについての事柄のお話はありますが、この地方公営企業法案第二條の第一項で挙げられておるものについては受入れられる態勢、法律の第三條の一々の改正よりも受入れられる態勢をこの労働関係法案のほうにもお持ちになるのが私は当然だと、こう考えますが、この点について重ねてお伺いいたします。
  172. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) これは公労法案は極めて重要な点でありまするので、他の法律の変動によつて自動的に内容が変つて行くということは、これは私は相当慎重に考えております。私ども企業が追加されれば、その企業が大体同じ実体的なものであれば、それに対して団体交渉権を認めることに否定的ではございません、進んでいたしますが、他の法律が他の目的で作品れておるにもかかわらず、その法律が自動的に擴張したからといつて、こちらのほのの法律が自動的に擴張されて行くということは、これは考えるべきでないというところから自動的に擴張いたさなかつたのであります。
  173. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 理由はよくわかりますが、少くとも別個の法律だが実は表裏一体をなしておる。決して別個の関連性のないどころじやなくて表裏一体をなしておる。一つ身分関係労働関係、無論その他の規定もありますが、そういうふうな法律関係に立つておりますので、而もむしろ今後追加されるものは、こういうふうな地方公営企業労働関係法案よりももつと正常な、労働者権利制限しないでいいような、労働者の団体との間だということが予想されますので、そういう点については私としてはこの際この規定において受入れられる態勢をお作りになるのが適当だと思つておりまするから、一応私の意見だけ申述べて私の質問を打切ります。
  174. 波多野林一

    ○理事(波多野林一君) 続いて村尾委員
  175. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 どうせ会期は延長されるものとは思つておるのですが二十日までということになつておりますので、明日、明後日が労調法並びに労組法の審議ということになつておりますので、この地方公労法案について二つだけ今の質問と重複しますが、重要だと思いますので質問したいと思つております。  これは今まで質問されたことなんですが、只今の大臣の答弁の中で、この地方公労法案を作つたの地方公営企業法案に対照して作つたのではないというお話だつたが、この法律を作るために地方公営企業法案というものが生れたのだと、我々はそうとつておるのです。そこでこの地方公営企業法案の第二條で、今話がありました地方公共団体経営する六つの事業ですが、その六つの事業に一定の数が挙げられております。例えば、水道五十名以上、電気ガス事業三十名以上、その他の軌道事業とか、自動車、地方鉄道事業には百名以上という一定の数字が挙げられておるのですが、これを受けて立つところの公労法において、これらの事業の数の規定がないわけなんですが、これは一体どういう関係なんでありますか。
  176. 大島靖

    説明員(大島靖君) 御承知の通り、地方公務員法の附則第二十項に「地方財政法第六條に規定する公営企業に従事する職員身分取扱については、別に公営企業の組織、会計経理及び職員身分取扱に関して規定する法律が制定実施されるまでの間は、なお、従前の例による。」とあるわけなんでありますが、この規定の関連におきまして地方公営企業法案が立案され提案されておるわけであります。その関係からいたしまして、この身分関係企業法案によつて取扱われておりますが、その労働関係についてはこの地方公営企業労働関係法案において規定する、こういう恰好になつておるわけであります。
  177. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 そうすると、地方公労激突において適用を受ける対象の従業員というものは、非常に地方企業体においては複雑な状態が生れると思うのですが、その点は十分考慮に入れられておるのですか。
  178. 大島靖

    説明員(大島靖君) その通りでございます。
  179. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 そこで只今堀木さんからお話があつた地方公営企業法案の第二條の問題です。第二條第二項の「地方公共団体は、政令で定める基準に従い、條例で定めるところにより、地方公共団体経営する地方公営企業以外の企業に、この法律の規定の全部又は一部を適用することができる。」という準用、適用の途か開かれておるのですが、    〔理事波多野林一君退席、委員長著席〕  これは現実に例えば收支が伴わないとか、それが公益事業の部門に入るとかいろいろのことを挙げられるか知りませんが、現に病院を経営しておるところがある、現に競輪であるとか、又競馬であるとか、又現在問題になつております都職の関係の水道に含まれた下水の事業の問題にいたしましても、これは大阪あたりとか大都市では水洗等の関係から、重盛氏から話があつたようにこの下水の問題が相当企業の中に含まれて来ていいという状態になろうとしておる。こういうふうなときに、この二項の政令とその基準従つて條例で一つこういうものを適用するという、当然この企業法案の第二項を地方公労法案は受けて私は然るべきだと、こう思うのですがどうです。その点は如何です。
  180. 大島靖

    説明員(大島靖君) 只今の点、第二條の第二項の関係におきまして、政令で定めました基準によつて地方団体の條例で新らしく企業を追加と申しますか、公営企業法の全部又は一部を適用することができる、これを直ちに労働関係法のほうも適用するということは一見便利なようなんでありますが、ただ政令で定めます基準従つて公共団体が條例で規定いたします場合におきましては、その企業の財務の面からいたしまして、公営企業法を適用さすのが適当である、或いは組織の面において適用させるのがいいとか、いろいろな観点からなされるであろうと思うのであります。そういう二項によつて追加されます企業労働関係実体が、直ちにこちらのほうの労働関係法で規律いたしますのが果して適当かどうかということは、法律的には直ちに保障がないわけであります。さような関係で、先ほど大臣から申上げましたように、この法律で直ちに自動的に受入れ態勢をこしらえておくということは、ちよつと法律の建前としては非常に如何がと思われますので、こういうふうな形になつておるわけであります。
  181. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 この問題は重ねてくどいようですが、例えば六つの事業を挙げ、何かこれに適用する一つ公営企業法の二項においたような政令條例で定める基準に従い、やはり地方において條例によつて適宜な処置がとれるという一つの方策を講じておかなければ、これが新らしく適用を受ける、例えば現に下水の問題でなくてもそれ以外の問題でも多くの従業員を使い收支を上げている企業的な事業というものは相当経営している、地方自治体において。当然これは直接の問題になつて来ると思うのですが、これは公営企業法の二條の二項ですね、受けて三條に一応入れるということに対してそう無理はないと思うのですが、どう考えられますか、非常に無理なんでしようか。
  182. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私は御主張の点は御尤もの点が多いと思うのですが、実はこの地方公労法のような基本的な人権に関する事項をこれをただ政令でやるとか、或いは條例で範囲が広がつたり、狹つたり、まあ仮に法律にきめた以上に狹まることはないでしようが、勝手に自由になるということはこれは私は相当慎重に考えなければならんという点で政令に委ねなかつたのであります。でありますから、その趣旨は例えば地方公営法で範囲が追加されてももうこれにきめた以上は擴げないという趣旨ではありません。これは片方は私は固くお約束申上げても結構であります。それから今御指摘になりましたような中に下水であるとか或いはほかの事業のようものについてもということでありますが、これは私は朝重盛さんにもお答えしたように、この法律の中に入れてやつて行けるものであるならば、私どももそういうふうに行けば法律がたくさんできないでいいと思うのですが、実はそれは土建にいたしましても下水にしても企業とは私は言えない、それは将来下水使用料をとつてそれで賄うというものができんとは絶対に言えないのでありましようが、私は先ずそういうふうに企業と見ない。でありますからやはり予算でやらなければいけない。そうすると收支の建前によつてつて行くという処置と、国の予算或いは地方公共団体予算という他の財源でやつて行くものとの間には法律の規律においておのずから違うものがある。私は基本的にその條件を団体交渉によつてきめて行くという趣旨に反対するわけじやありません。でありまするからしばしば申上げるように、それは單純労務と同様に別箇の体系において至急に考えたい。同時に出せれば結構でありましたが、なかなか一遍にどれもこれもというわけには行きませんので止むを得なかつたのでありますが、その点は一つ御信頼をお願いいたします。
  183. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 この点に関しては私今日は一応お預けしておきたい。例えば收支を償うことの企業としてどれを企業として見るかということですが、やはり一つ企業が成立するまでには、企業としての形態を持つまでにはやはり一般会計からそれの援助というか、会計との関係もそこまで行くためには相当の犠牲も拂わなければならんし、それ自体がやはり将来一つ企業となり得るのですが、当然これは含まれていいと思うのですが、又ここに現実の問題として東京なら東京重盛さんのお話があつた現在水道の問題に入つて一つの水洗としてかなり、かなりと言いますか的確な收支を上げているという数字の何も持つておられるのも私先ほど見たんですが、こういうような点は相当残る問題だと思うので一つ残しておきたい。  只今丁度時間がないので恐縮ですが、大臣がたまたま触れられた單純労務の問題についてこの際もう一言はつきり一つあなたのお考え方を承わつておきたいと思います。これは地方公務員法が生れるときに、御承知のように五十七條の問題で関連して附則二十一項で政府が責任を以てこれに対するところの一つの法律を作るということが明確に約束されておつたととつていいと思う。たまたま今度のこの法律を出されるについて企業関係とは勿論少し別箇な考え方になるか知りませんが、当然これを機会にこれは解決さるべきものと、こう思つておる。そこで私はこの地方公労法案の中において何らかの解決をこの際みるか、それともあなたの考えとして今の言葉のように別箇の單独法として單純労務の問題を御解決になる考え方なのか、あなたのお考えをこの際明確にお伺いしておきたいと思います。
  184. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) お話のごとく地方公務員法の附則二十一項に謳つてございまして、その際も恐らく政府からお答えをしたでございましようが、これらについては別箇に法律の処置を講ずるということを恐らく言つたのでありましよう。私どもも今回この地方公労法案を提案する際にもそれは取上げて検討をしたわけでありまして、而も一つの法律の中で同じに規律ができれば簡單にやれたんでありますが、いろいろ検討してみましてどうも一本にはしにくい点がございましたから企業だけを取入れる。それで先ほど申上げました、さてそれじや附則二十一項の場合も一つの法律で行くか、御承知のように下水だとか建築なんかのようないわゆる縱割現業言つていますが、そういうものとそれから小使さんだとか何かのような單純労務というものを別に考えるか、或いは一つの法律の中でも或る條項と條項の間に特別の條項を設ければそれで行くかもわからない、それは一緒にやれば非常によかつたのですけれども、何分いろいろな法律に手を着けて時間がございませんので、それはあとを追いかけてやるつもりで引離したわけであります。この点は私固くお約束をいたしまして、近き将来においてやるつもりでございます。
  185. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 少しくどいようですが、政令二百一号を延長するその期間内において明確に処置されるものかどうかそれをもう一遍御決意を承わりたい。
  186. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) できればその間にやりたいと思いますが、まだ次の国会がいつ頃であるか全然見当がつきませんのでちよつとその点は政令第二百一号は六カ月間でございます、六カ月間にできますかどうかは申上げにくいと思いますが、私どもはこの問題をそう遷延をするつもりでございません。
  187. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 もう一度お聞きしたいことは、その問題は例えば従来の政府がとつて来られた態度を見て、私は明らかに今までにこれの処置をなすべきであつたのに、今までの行き方を見て十分に、決して信用するとかしないという問題でなくしてあなたの誠意は確認しても、さてそれを実現するについて非常な制圧があるという意味ではないが、事実上の困難もあろうと思います。又なかなかむずかしいのではないかとこう思うのです。そこでこの際この法律において何らか解決する方法が私はないとは思わないのですが、どういう見解でしようか。
  188. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) いろいろその点は考えてみましたが、私はむずかしくはないと思つております。
  189. 中村正雄

    委員長中村正雄君) まだ質疑も相当残つておると思いますが、日程の時間も経過いたしておりますので、いわゆる第一読会におきます質疑は一応この程度で打切りまして、残りはいずれ第二読会において御質疑を続行願いたいと思います。なお明日は午前十時から労働、人事、地方行政連合委員会を開きまして主として人事委員からの質疑が行われ、これによつて人事、労働地方行政連合委員会は打切りたいと思います。午後一時から本委員会を開会いたしまして、労組法、労調法関係の法案の審議に入る予定にいたしております。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十九分散会