運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-03-07 第13回国会 参議院 労働委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月七日(金曜日)    午後一時三十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中村 正雄君    理事            安井  謙君            波多野林一君    委員            上原 正吉君            九鬼紋十郎君            椿  繁夫君            堀木 鎌三君            堀  眞琴君   政府委員    労働政務次官  溝口 三郎君    労働省労政局長 賀来才二郎君    労働省労働基準    局長      龜井  光君    労働省職業安定    局長      齋藤 邦吉君   事務局側    常任委員会專門    員       磯部  巖君    常任委員会專門    員       高戸義太郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○労働行政の実情に関する調査の件  (昭和二十七年度労働省関係予算に  関する件)  (宇部興業の争議に関する件)   —————————————
  2. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 只今より会議を開きます。  本日予定されておりました議題につきましては、法務総裁並びに岡崎国務大臣出席が不可能でありますので、労働省の来年度の予算につきまして、政府より説明を聞くことにいたします。
  3. 溝口三郎

    政府委員溝口三郎君) 今回提案されました昭和二十七年度一般会計及び特別会計予算中、労働省所管分につきましてその概要を御説明申上げます。  労働省所管会計は、一般会計労働者災害補償保険及び失業保険の両特別会計に分れておりまして、先ず第一に、昭和二十七年度労働省所管一般会計歳入歳出予算について申上げますと、歳入において総額一億九千九百三十三万三千円で、前年度の二億一千三百十一万四千円に比較して一千三百七十八万一千円の減となつておりますが、これは歳入の主である労務供給事業免許料の減額と、特別会計等失業者退職手当負担金受入額の減少つによるものであります。なお歳入については、ほかに郵政省所管郵政事業特別会計労働基準法に基いて行う安全、衛生、技能養成関係の検査、検定、試験等手数料として五千五百七十一万九千円が計上されております。一方歳出においては総額百六十六億九千六百七十四万三千円で、前年度の百六十四億四百三十九万三千円に比較いたしまして二億九千二百三十五万円の増となつており、なおほかに建設省所管官庁営繕費に三千九百七十万一千円が労働省関係分として計上されております。  今この歳出内容について概略御説明申上げますと、第一、大臣官房においては各省共通事務を行う経費のほか、先に国会の承認を得てその再加入を見ましたILO関係に必要な経費、及び国際貿易の進展に伴い我が国労働事情に関し積極的に国際信用の獲得に努力するため、労働に関する海外広報活動を盛んにするために必要な経費と、労働経済統計調査分析して的確なる資料を労資双方に提供し、徒らな紛争議を予防し、以て産業平和の保持に寄與するため、特に労働統計調査整備拡充を重税し、これに必要な経費、併せて労働保護官署職業官署庁舎買収に必要な経費として四億七千四百九十五万六千円を計上いたしております。第二に、自由にして建設的なる労働組合を育成し、中正健全なる労働運動を助長すると共に、労使関係の合理的且つ円滑なる調整を期し、労働関係の安定を図るため、労働教育刷新強化並びに労働組合福祉厚生活動助長等の施策を推進するに必要な経費として五千二百七十八万円を計上いたしております。第三に、労働基準法の趣意の徹底を期すると共に、労働科学の振興による合理的労働力の活用、更に進んでは労働者労働環境整備に努め、労働者福祉と能率の向上を図るために必要な経費として九億九千六百六十五万一千円を計上いたしております。第四に、婦人及び年少労働者保護並びに婦人の地位の向上を図るため必要な経費として四千四百八十一万五千円を計上いたしております。第五に、労務の需給の状況が今後の経済情勢から推してなお楽観を許さない情勢にありますので、求人開拓職業補導失業者応急対策事業等失業対策事業を活溌にして失業者就労機会の増加を図るために必要な経費として、失業対策事業補助金七十六億円、政府職員失業者退職手当三億五千万円、失業保険特別会計へ繰入四十九億九千九百三十六万九千円、職業補導施設費三億四千四百三十四万円、一般職業指導斡旋費十七億六千三百四十四万五千円、計日五十億五千七百十五万四千円を計上いたしております。第六に、労使関係を合理的に調整して産業の平和を維持し、生産の向上を図るため設けられている中央労働委員会公共企業体労働関係調整委員会業務運営のための経費として七千三十八万七千円を計上いたしております。  第二に労働者災害補償保険特別会計について御説明申上げます。この特別会計は御承知通り労働者災害補償保険法によつて労働者業務上の事由による負傷、疾病、癈疾又は死亡に対して災害補償を行い、併せて労働者福祉に必要な施設をなすことを目的とした全額使用者負担保険事業会計でありまして、二十七年度は特に事業主負担の公平を考慮して定めた保険料率による保険料完全徴収に努めると共に、他方において災害補償費の公正且つ迅速なる支払いと、保険施設拡充等のことにより保険経済安定確立を図るよう配意してこの予算を編成したのでありまして、歳入歳出とも百五十五億六千五百六十九万一千円で、前年度の百三十四億三千二百六十六万二千円に比較いたしますと、二十一億三千三百二万九千円の増となつており、歳入の主なるものは保険料収入百二十四億五千九百万円、歳出の主なるものは保険金百二億三千六百四十万円であります。  第三に、失業保険特別会計について御説明申上げます。この特別会計は、御承知通り失業保険法によつて労働者が失業した場合に失業保険金を支給して、その生活の安定を図ることを目的として、政府事業主労働者の三者が持寄りの保険事業会計で、最近の受給者現況等考慮してこの予算を編成したのでありまして、歳入歳出とも二百億五百五十七万二千円で、前年度の百六十六億三千三百九十一万九千円に比較して三十三億七千百六十五万三千円の増となつており、歳入の主なるものは、一般会計よりの受入四十九億九千九百三十六万九千円、保険料收入百四十二億二千八百九十五万二千円、歳出の主なるものは保険金百四十七億四百万円、予備費四十四億五千六百二十八万五千円であります。  以上を以ちまして、労働省所管関係予算の大要の説明を終りますが、この予算の成立については愼重御審議の上、御賛成のあらんことをお願い申上げます。
  4. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 只今政務次官から昭和二十七年度の労働省関係予算説明がありましたが、各局長出席しておりますので、この予算につきまして御質疑がありますれば、発言を許します。
  5. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 折角お揃いですから、二、三お聞きしたいと思うのですが、労働省機構改革なるものに伴つてのいろいろな変動があるだろうと思うのですが、そういう点については何ら考慮がされてない、されているのかされてないのか。
  6. 溝口三郎

    政府委員溝口三郎君) 行政機構改革につきましては、まだ内閣においても確定した案はないのでございまして、この予算は現行の機構に基いて編成したものでございます。
  7. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 そうしますと、機構改正になると、予算も或る程度つて来ると、こういうふうに考えていいのですか。
  8. 溝口三郎

    政府委員溝口三郎君) 機構改革につきましては、この予算については考慮いたしていないのでございます。どういうふうに改正になりますか、若し改正になつて機構改革になれば、それに伴つて考慮いたしたいと考えております。
  9. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 そのときに考慮されるのですね。
  10. 溝口三郎

    政府委員溝口三郎君) そうでございます。
  11. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 先ずそういう点だけで問題になつて来ますのは、労働三法改正をいろいろ考えておるうちに労働委員会強化ということが審議されておるわけですが、そういう問題について逆に経費が少し殖えておるのですが、労働委員会強化という意味でこの程度のものでいいのかどうか、予算を殖された基礎はどうか。それから仲裁委員会に必要な経費は減つておる、僅かですが減つておる。こういうような情勢ですが、こういう労働委員会仲裁委員会地方調停委員会等にどういうふうに考えて経費を盛られたかという点を一点伺います。
  12. 賀来才二郎

    政府委員賀来才二郎君) 労働委員会強化という問題が労働組合法労調法改正の要否と関連をいたしまして、いろいろ労働省といたしましても研究をいたしましたし、目下のところでは御承知のように審議会で今審議をされておるわけでありまして、この審議会の結果によりまして更に検討をいたすことになつておりますが、当予算編成に当りましては、もうその当時から労働委員会制度強化という意味はいろいろとれまするが、機能をもう少し発揮するという意味におきましていろいろ研究もいたしました。併しながらこの強化方向につきましては、事務職員を増員をすることによつて強化するという方法もあるわけでありますが、この点につきましては事務職員の数を殖やすよりも、やはり質の訓練、或いは質の向上という点で対処するほうがよかろうということにいたしておりまして、増員するという方向はとつておりませんのみならず、一般行政整理の方針に関連をいたしまして、一般の二割乃至三割という率はこれはとらずに、五分乃至一割の減員で済ましたという方向をとつております。その他の経費につきましては、委員手当増額をいたしまして、そうして委員の御活動を期待するというふうな方角に主として力を入れておるのであります。その他に大した変りはございません。
  13. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 今賀来政府委員から御答弁がありましたのですが、今のお話を承わつておると、政令諮問委員会なり、何というのですか、審議会でやつておられる一応の考え方から見ると非常に低調だ、労働省自身が低調では始まらないので、折角ああいう委員会が指向しているよりは低調な経費増額乃至は一部の削減しか認められていないというふうな気がするのですが、これは賀来政府委員に聞いてもしようがないし、それから政務次官にお聞きしても御無理だろうと思いますから、大臣に今度御答弁を願いたいと思いますが、よく事務のほうも打合せておいて頂きたい。  それから婦人少年局に又その廃止問題というふうな問題が起つておるのですか、起つておりませんでしようか。
  14. 溝口三郎

    政府委員溝口三郎君) 行政機構改革につきましては、先ほど申上げましたようにまだ決定したものはないのでございます。廃止する、しないということにつきましても、さようなことは現在は考えていないのでございます。
  15. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 大体政務次官はそういうふうに御答弁なさるだろうということは予想しているのですが、むしろそういうことでなしに、今審議になつていることだけは確かなんですね。そうして新聞の伝うるところによると、吉武大臣ですか、これは労働大臣だか厚生大臣だかよくわからない、両方兼ねているのですが、恐らく今度の行政機構改革については、大体内閣も一応の考え方に立つているように思われる報道があるのですが、そういう点についてどうお考えになつていますか。労働省としてどういうふうに努力をしておられるか。そういう点をここでやはりはつきりされる必要があるとこう思うのですが……。
  16. 溝口三郎

    政府委員溝口三郎君) 行政機構改革につきましては、労働省厚生省を一緒にして労働社会省というようなものにするという案も原案にあるようにも聞いておりますが、私どもは直接今まだ触れていないのでございまして、現在におきましては、労働省の問題はこれは国際的の信用の問題からも、国内の民主的な労働組合発達の上からも、私どもとしましては是非ともこれは拡充強化をいたして行きたいというふうに考えているのでございます。併し一般的の行政機構問題等につきまして、内閣のほうでそれぞれ考慮をしておるようには聞いておりますが、まだ私どもそれに対して事務的に意見を申上げておるようなこともないのであります。御了承をお願いいたします。
  17. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 政務次官にしては非常にセンスの新らしい、日本民生化としては労働問題は基本的な一つの問題であるとおつしやるのですが、ただ一番問題になりますことは、最後に言われました内閣でどうきめるかわからない、だから内閣性格がわからなくなつてしまつて労働省性格もわからなくなつてしまう、これが一番問題だと思うのです。いろいろな問題の一つとして、国際自由労連が取上げて、吉田内閣はどうも反動的に持つて行くのだというふうなことをいうのが、無論労働三法団体規正令等関係も直接あるのですが、恐らく政策そのものが、そういう機構の問題もそうだと思うのですが、私は何も簡素化しろとか能率化しろとかいうことに反対じやないのですが、併しその全体の出て来る、何といいますか、内閣としての政策が、方向的の問題が違つた方向に行くと非常に問題だ、こういうふうに考えるので、労働省のかたはよく労働省内閣と別のようなことを言われるのだけれども、やはり労働省内閣の一部でそれだけの力を持つていられるかによつて内閣に期待もせられ、労働者の権利を守ろうという何も強くなり、はつきりして参る、そういう点について独立後にどうするという問題についての、ただ機構いじりでなしに、基本的観念からの問題を是非お考え願いたい、こういうふうに思うのですが、如何でございましようか。
  18. 溝口三郎

    政府委員溝口三郎君) 只今堀木さんの御意見につきましては、私個人的に全く同感でございます。御趣旨の点は十分に労働大臣にもお伝えいたしまして、善処して頂くようにいたしたいと考えております。
  19. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 お願いしておきますことは、お伝えだけでなしに、政務次官であられるのたがら、是非そういうふうな御意見が反映するように労働省を持つてつて頂きたい、こう考えております。  それからこれももう少し詳しくお聞きしたいと思うのですが、身体障害者職業補導に必要な経費というのが、労働省の新らしい政策的に見て、やや金が殖えているというのはこれだけなんです。この問題について責任事務当局からもう一度恐れ入りますが、御説明願えないでしようか。
  20. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 身体障害者雇用の問題につきましては、軍人遺家族援護の問題の一環としても、又一般的な雇用問題といたしましても、非常に重要な問題でありますので、明年度予算におきましては、身体障害者雇用を促進するといつたふうな経費新規に計上いたしてございます。先ず雇用促進のほうから申上げますと、本省に百十六万円、府県庁の分に二百万円計上いたしてございますが、これは新規経費でございまして、内容といたしますものは、本省並びに地方庁に身体障害者雇用促進に関する協議会を設置する経費、並びに身体障害者雇用に適正なる雇用基準の設定の研究といつたふうな問題の経費であるのでございます。身体障害者補導所の問題につきましては、大分以前から重度身体障害者につきましては、独立補導所を設置するというふうな計画を進めて参つておりますが、今日まで六カ所設置、経営をいたしておるのでございますが、明年度におきましては更に二カ所増設いたしたい、かように考えておる次第でございます。即ち明年度身体障害者補導所八カ所の総経費が五千八百四十九万円でございまして、新規に設置いたしますのがそのうち二千万円で二カ所増設して参りたい。かように考えておる次第でございます。
  21. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 この身体障害者雇用対策として百十六万円、府県経費として二百万円ですが、そのやろうとすることはどういうことであるか、お聞きしたいのであります。
  22. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 大体今日まで私ども身体障害者軍人であつたかたがたばかりでなくて、一般的な身体障害者雇用問題につきましては、安定所におきましてできるだけ個人的な相談をいたしまして、斡旋をして参つて来ておつたのでありますが、今回の遺家族援護の問題の一環といたしまして、更にこれを強力に推し進めて参りたい、かように考えておるのでございます。大体目下考えておりまするやり方は、安定所におきまして身体障害者かたがた就職を希望するかたがたにつきまして、任意登録制を先ず実施してみたい、かように考えておる次第でございます。勿論身体障害者福祉司との緊密なる連絡の下に、身体障害者雇用を希望する者について任意登録制を実施する。その任意登録いたした人々につきまして、目ぼしい工場の使用主かたがたの御理解願つて、できるだけ多く雇つて頂くように雇用勧奨をいたしたい、かように考えているものでございます。雇用勧奨やり方につきましては、使用主の御理解を願うのでありますが、先ず最初は一定の率を示さないで、できるだけ雇つて頂くような雇用勧奨をいたしまして、更に将来身体障害者雇用促進協議会を設置いたしたいと思いまするので、その協議会の議を経まして、必要があれば一定の率を示して行政措置によつて雇用勧奨をして行く、こういうやり方にいたしたい。なお任意登録をいたした場合に、その者が直ちに就職することができない、何らかの腕を付けて就職したほうが適当だ、こういうことになりますれば、一般補導所約三百カ所ありますが、軽度の身体障害者につきましては、その一般補導所にできるだけ優先的に入所せしめる。重度の者につきましては只今申しましたようにブロック別に合計八カ所になるわけでございますが、そのものに入れまして、技能を授けてそうして就職斡旋をして行く、こういう大体のやり方で進んで参りたい。かように存じておる次第でございます。
  23. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 もう一つ身体障害者福祉司のほかに社会福祉主事が横にあるわけなんですが、それとの連関をどうされるかということについて……。
  24. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 私のほうでは御承知職業斡旋でございますので、任意登録を実施いたしまするときに、でき得ますならば社会福祉主事を通して一応安定所のほうに任意登録票を送つて頂くというやり方をいたしたい、こういうふうに目下考えまして、厚生省連絡協議をいたしておる次第でございます。
  25. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 最後にお聞きしたいのは、今の進駐軍労務者の実際の手続事務的に一遍どうなつておるのか説明して頂きたい。これは今後行政協定との関係等を見て参りますのに必要ですから、現在の取扱状況はどうなつておるか。特調のほうで主としてやつておるのでしようが、労働省としてもその契約内容條件等に関してはつきりお調べが当然労働行政上あるものだと思うのですが、どなたか事務当局のほうから御答弁を願いたい。
  26. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) どうも私のほうだけではありませんが、労務充足手続だけ先ず私から申上げたいと思います。現在のやり方進駐軍の各出先出先の軍におきまして一定の数、きめられました職種労働者につきまして何月何日までこの程度の、旋盤工でありますれば旋盤工を何名集めてもらいたいということを軍が各府県庁の中にありまする渉外課特調出先にな  つておるわけでございますが、その渉外課のほうに申込みが出るのでございます。そういたしますと、その特別調達庁出先機関でありまするその渉外課におきましては、自分で労務者を募集するという途もありますが、同時に安定所にそのことを連絡して参ります。安定所はこの特調出先からの連絡を受けまして、一般募集やり方によりまして必要な労務者を集めまして、特調のほうにこれを斡旋申上げるわけでございます。そういたしますと、特調が直接選衡することもありまするし、軍が立会いの下に選衡をすることもありますが、特調責任においてこれを選衡いたしまして軍に提供する、こういう大体やり方になつておるわけでございます。労務充足やり方安定所を通じて公募をして特調出先がこれを選衡する、こういうのが大体の経路に相成つておるわけでございます。
  27. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 今おつしやつた労務充足の点は、特調と何か取交したはつきりしたやり方ができておるのでしようか、職業紹介所との関係……。
  28. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 今日まで労務充足につきましては、御承知軍命令第二号だつたと思いますが、進駐軍の要求する労務については日本政府は組織的な形においてこれを供給しなければならない、こういう軍命令が出ております。そしてそれで供給するのは特調ということが定められておりますので、その特調国家機関でありまする安定所申込みをする、こういう形になるわけでございます。
  29. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 やるべきはずだ、そういう形になるのだ、こういうのでなくて、実際に事務的な打合せ、ただ軍命令をもらつたつて動くものじやない、行政上の組織として動くときは労働省一と特調との間にきちつとした取決めがあつて、そうして職業安定所に行く筋がきまるものであつて、そういう点について何か事務的な手続がきまつておるのか、こういうことです。
  30. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 特調安定所労働省のほうと特別な打合せを、そういう取決めをしたものはございません。安定所一般求人申込みを受けると同じやり方申込みを受ける、こういうことになつておるわけでございます。
  31. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 そうすると、軍命令があるのに職業安定所ではただ一般雇用主申込みと同じに扱つておる。来なければ来ないでいいのだ、来たやつはそういうふうに扱え、こういう形ですか。
  32. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 軍の命令がありますと、その命令を受けると特調安定所連絡をする、そうしましたときに、安定所としては国の機関として、日本政府に先ほど申しました軍命令が出ている以上、これを優先的に斡旋しなければならんという私は義務を負うものと思います。
  33. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 それじや労務充足に関しただけで、労政局長一体労働行政がどうなつておるか、雇用の状態によつていろいろ変るでしようが、そういう問題について御説明を願います。
  34. 龜井光

    政府委員龜井光君) 進駐軍関係労働條件の問題につきまして御説明いたします。いわゆる進駐軍労務者の中には二通りございまして、特別調達庁を通じまして進駐軍が使用いたしまするものと、家事使用人、その他直接進駐軍並びにその家族の雇いまするものと二種類あるのであります。この数は総数で大体二十九万六十人ほどでございまして、直接雇用いたしまするものがその中で五万八千人、いわゆるLSOと称しておりますが、調達庁雇用しておりますものが二十三万八千人ほどでございます。これらの賃金につきましては、調達庁雇用いたしまする職業は現在国家公務員特別職になつておりまして、国家公務員特別職に関する法律に基きまして給與がきめられるわけでございます。実際問題としましては調達庁の長官が大蔵大臣協議をいたしまして、その賃金をきめる次第であります。そのほか一般技術員、そのほかの労務者につきましては、御承知一般職種別賃金適用を受けましてそれによりましてその都度賃金がきまつて参るという形でございます。賃金りは特別調達庁機関がそれぞれ支払いをいたす形になつております。一般的な労働基準法適用の問題でございまするが、LSOいわゆる調達庁雇用し、進駐軍の使用いたしまする労務者につきましては、全面的に基準法適用しておりまして、現実に監督をいたしております。進駐軍直用労働者につきましては、日本国内法が直接には適用はございませんで、これは米英軍司令官のサーキユラーによりまして、米国軍日本国内法によつて処理をして行く、実際上適用と同じような形を現在とりまして処置をいたしておるような次第でございます。
  35. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 もう一点だけお伺いいたしますが、そうすると何でございますか、こういうところほど労働基準法を守らないところはないのでございますけれども、あなたのところの労働基準監督局なんかも労働基準法を守つていないのは、証拠歴然としているのを、僕は挙げてもいいのですが、労働基準法雇用先で守つているのか守つていないのか、一遍調査されたことがありますか。
  36. 龜井光

    政府委員龜井光君) 国家公務員には基準法適用はないのでございますが、今申しましたLSO労務者につきましては適用があるわけでございまして、我々としましては常にこの問題を、特に神奈川、東京等を中心としました監督は実施いたしておりまして、大きな問題として今まで出ておりまするのは二十條の解雇予告、解雇手当、これの労働者の責めに期すべき事由があるかどうかという認定の問題がございます。これは相当数我々としまして処理いたしております。それから又オーバー・タイムの問題、割増賃金支払い、これらにつきまして違反を発見いたしまする都度、調達庁を通じましてこの是正を現在もやつておりまして、十分監督はいたしております。
  37. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 じや一遍お願いしますが、労働基準監督局でそういう関係で以て、オーバー・タイムの問題たとか、解雇の問題だとか、賃金問題は余りないだろうと思いますが、いろいろ基準法に違反して、それをどう処理されたかという表がありましたら一つお出し頂きたい。
  38. 龜井光

    政府委員龜井光君) 早速お出しいたします。
  39. 安井謙

    ○安井謙君 一つ二つ簡單なことでありますが、今の堀木さんのお尋ねと多少関連いたしますが、進駐軍関係労務者充足のための予算の想定というやつはこれは講和後も進駐中も大体同じような想定で組まれているわけですか。
  40. 龜井光

    政府委員龜井光君) 駐留軍関係労務者充足について必要な経費進駐軍当時と大体同じようなものとして予算を計上いたしております。
  41. 安井謙

    ○安井謙君 そうすると、講和後も大体余り大きく変つて来ないということになるという意味ですか、実際問題としても……。
  42. 龜井光

    政府委員龜井光君) 明年度からは終戰処理費という文字をやめまして、特別労務管理費といつたような名称で明年度予算は組まれておりますが、大体本年度の下半期と同じ程度労務の供給があるものといたしまして、一応予算が組まれておるわけでございます。
  43. 安井謙

    ○安井謙君 もう一つ労働基準局の予算がまあ非常に減つているようですが、これはただ人員の減少に伴う程度のものですか、それとも相当機構上の改正もやられたというようなことになるのですか。
  44. 龜井光

    政府委員龜井光君) これは全部人員の減に基きまする人件費の減でございます。
  45. 安井謙

    ○安井謙君 人件費だけですか夫
  46. 龜井光

    政府委員龜井光君) はあ。
  47. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 中央労働委員会予算に1関連してお尋ねしたいのですが、大臣は今日御出席になりますか、本委員会に……。
  48. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 今のところもう少し待てば出席すると言つて来ておりますが、未だ出席がありません。従つて、まあ先ほどいろいろ御質問もありました行政機構改革に対しますつる労働者関係問題等につきまして、本日労働大臣に出てもらつて所見の発表を願いたいと、こういう準備をしておつたわけですが、労働大臣関係いたしまする質問その他は大臣出席が今のところ未定であるので、なんでしたら次回に讓つたらどうかと思つているわけです。
  49. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 大臣に御答弁を願いたいと思つておりましたが、政務次官がおいでになりますから、政務次官にお尋ねしますが、中央労働委員の一人である太田薫君が所属しておりまする山口県宇部市の宇部窒素が争議に入りましてから二週間になります。これは労働委員会の運営ということにも関係がございまするし、肥料生産という面からもいろいろ私は重要な関係があるように注目をいたしておりますが、労働省としては、この争議の性格、それからその肥料生産の上に及ぼす影響、すでに二週間争議が続行されております。こういう問題についてどういう御見解をお持ちであろうか、ちよつとお尋ねをいたします。
  50. 溝口三郎

    政府委員溝口三郎君) 只今の椿さんの御質問につきましては、労政局長が詳しく存じておりますので、労政局長からお答えいたします。
  51. 賀来才二郎

    政府委員賀来才二郎君) 争議の内容性格につきましては、これは椿委員のほうがよく詳しく御存じと思うのでありまして、重ねて申上げるのは恐縮でありますが、併し説明の都合上申上げますと、御承知のように宇部興産は窒素工業、セメント工業、それから石炭鉱業及び機械工業、四つの部門から成り立つているのでありまして、窒素部門につきましては、この四つの部門のうちで今日までは最も成績のいい部門であつたわけであります。ところが最近になりまして、セメント部門のほうがよくなつて、窒素部門のほうが非常に経営が困難になつた、赤字を出すようになつた。そこで宇部興産といたしましては、窒素部門の企業整備をやつて、そうしてこの赤字を克服して行こうという建前からいたしまして、約百名近く、九十何名を他の部門に転職させる。それから百八十名程度を退職させるということをきめまして、組合と交渉をいたしました。ところがそのうち五、六十名を除きましたその他の者は転職乃至は退職を承諾いたしましたが、五、六十名が承知をしていない。更にその際に会社側は組合の幹部の地位にあります者を五名ほど同時に転職不能だという理由で退職を求めているのであります。更にそのうち一名は現に中労委の委員をしておりまする太田君が含まれておるのであります。そんな関係からいたしまして、組合と会社側との交渉が円滑に妥決することができずして、先月の二十三日からストライキに入りまして、御指摘のように今日まで続いておるのであります。従いまして、組合側の言うところによりますれば、今度の争議は企業整備の問題と併せまして、組合活動に対する不当干渉であり、不当労働行為の問題を含んだ争議であるという建前、及び最近全国に亘りまして各種の紛争議が起つておりまするが、その紛争議に共通的に現われた使用者側の攻勢であるというふうな性格のもりのであるとして、労働側におきましては、総評もこの問題を重視して、さような性格の争議であるということを言つておるのであります。これに対しまして、組合側といたしましてはさような見解をとつておりますけれども、まだ労働委員会に対して不当労働行為であるという提訴を行なつていないのであります。従いまして、行政面にはまたこれがさような総評の言い、或いは組合の言つているような性格の争議であるかどうかということを判定する事象としては現われていないのであります。それで労働省といたしまして、これは現地の山口県と常時連絡をいたしまして、この紛争議の動向につきましては深甚な注意を払つておるのであります。と申しますのは、これが総評乃至は組合の言つているような争議であるという判定を下しまするには、只今申しましたように、まだ具体的な行政面の一つの事象として現われていないので、さような判定を下すには早いと思つておるのでありますけれども、併しながら御指摘のように、肥料生産の今全体の状況から申しましても、すでに二週間に亘りまして宇部窒素がその生産を停止しておるということは、これは一応注目をしなければならないと思いまするし、更に中労委の委員をも含めました組合幹部の退職を求めた事件に関連いたしまして、長期に争議が行われておるということについて、而もなおまた会社側も組合側も双方非常に強硬な態度でやつておるということ、及び山口県自体並びにその労働委員会も公式にこの問題の取扱に出ていない。これらの事情を見まして、十分注視をいたしておるのであります。若し行政機関が争議に関係するという建前で出て参りますならば、やはり第一次は山口県の労働委員会或いは山口県自体が出るべき筋合いでありますけれども、これが両者とも静観の態度をとつておりますので、労働省といたしましてこの問題にまだ積極的に関連をして行くべき状態にはない、かように考えております。その理由といたしましては、二つありまして、一つは、四日ほど前の情報によりますると、現地の炭労の委員長及び副委員長が調停に乗出したということの報告を受けております。これがうまく行けば非常に結構だと思いますが、第二点は、中労委がこの問題を一応取上げまして、係員を現地に派遣して、先ず現在におきます状況調査するという処置に出ておるようでありますので、労働省といたしましては未だ静観を、するという建前をとつておるわけであります。
  52. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 私も会社側の組合側に提出されました申出書でありますとか、今回の企業整備に関する方針等についての資料を頂いております。それによると、只今労政局長が御覧になつておりますように、セメント、炭鉱等に比較して、窒素部門の経営内容が思わしくないというところに理由を求めておるようでありますが、私の調べによりますと、前期この会社は四割の配当をいたしております。それから新たに増資株を無償で配付いたしておるような事情にあります。そういう会社の経営内容でありますから、私はここで純粋の経済的の要求なのだから、どうすべし、こうすべしという意見を申上げようとしておるのではございません。ただ問題になりますのは、太田君のような人は合化労連の委員長でもございまして、会社で直接給料の支払を受けていないのです。他の四名の幹部にいたしましても、組合の専従者であつて、組合から日給を麦払われておる。それが百歩讓つて、会社の経理内容の建直しのために整理を行うということにいたしましたところで、こういう会社が直接給料の支払を行なつていない人力、までもその整理のうちに入れるということは如何なものであろうかという疑問が湧くわけであります。こういう点について労働省としてはどういうお考えでしようか。
  53. 賀来才二郎

    政府委員賀来才二郎君) 只今椿委員の御指摘のような事情であるのにどうたという点について、組合側が非常に硬化しておる、そういう原因からいたしましても硬化しておる。これは恐らく会社側が組合を不当弾圧をしようとする意図の下にやつておるのだというので硬化しておる。会社側はこれに対しまして、勿論御指摘のように経費は現在出していないけれども、併し組合の専従者というものは、いつ会社に帰つて来るかわからんのである。そのときに転職せしめるという全体の人事管理上の計画からさようなことは見通しを付けておかなければならない、にもかかわらずこのつ五名については会社側について転職不可能の不適格者と考えるので、今あらかじめ全体の労務管理上これを数字に入れたということを言つておるのであります。さて、そこで我々といたしましては、この点について事情をもう少し直接調べてみなければ、今日まで山口県から受けておりまする報告、或いは労使双方から受けておる報告ということだけでは制定が非常にむずかしいと思いまするし、目下現にこの問題で紛争中のことでありますので、我々の制定如何ということがこの紛争の解決に影響を及ぼすことがあつてもいかん。こういう建前からいたしまして、二つの理由からこの際この点につきまして明確な我々の意見を申述べることは当分差控えさして頂きたいと思います。
  54. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 労政局長もそれは非常にお困りではあろうと思いますけれども、私が具体的な宇部窒素の問題を出して伺つておるために、これはちよつと問題が局限されるのでありますけれども、こういうことはひとり山口県の一角に起つている問題ではないのであります。最近明石の交通労働組合におきましても、同じような事態が起つております。建設省の労働組合関係におきましても、これと同じような問題が実は起つておるのであります。直接ですね、会社が給料の支払い、経済的負担というものを背負つていない。それが而も労働組合活動の中心になつておる。こういう場合にこの整理基準にも当てはまるかはまらないかわからないような事情の下において解雇する、言渡すということが、これは労政局として、一体それは事情を聞いて見なければわからんと言われるだけではなくて、そういうことがあつて然るべきものとお考えになりますか。殊に宇部窒素の問題のごときは労働大臣の委嘱を受けて、而も日本全体の労使関係を合理的に調整しようとする機関の名誉ある委員になつておるわけです。若しそういうことがそれは会社の事情によつて仕方がないことだということで放置されるということになりますと、労働委員を委嘱されて受けておることのために、こういう事態が起つて来ないとも将来保証できないのでありまして、労働委員会の運営にとつても私は重大な影響が今後あるのではないかと恐れられますので、重ねて労政局長の御見解を質したい。
  55. 賀来才二郎

    政府委員賀来才二郎君) 椿さんの御同情によりまして、個々の問題から離れてというお話でございますので、個々の問題から離れて一般問題としてお答えをいたしたいと思うのであります。  第一点の整理基準としてそういうものを入れることの可否の問題でありまするが、労政局といたしまして、或いは労働省といたしましては、整理基準の可否という場合、特に組合幹部の問題を含んでの場合につきましては我我といたしましては、常に心がけておりますことは、これは不当労働行為になるかどうかという点、言い換えますと、整理基準の中に労働組合の団結を阻害する意図があるというふうな問題があるかどうかという点を重視をいたすのでありまして、若し整理基準の中に労働組合の団結を阻害しよう、かような意図が含まれておりまするならば、これは労政局といたしまして正常な、或いは正当な整理基準と申すわけに参りませんし、当然我々といたしましては、使用者側の態度に対してその改善を求める筋合いであるとかように考えておるのであります。ただ、非常にこの点は結果的に労働委員会乃至は裁判所の制定に待たなければ、これが不当労働行為であるかどうかの決定は出しにくい問題でありまして、この取扱につきましては非常に愼重を要するのでありまして、行政機関といたしまして、或いは行政機能として、これらの問題を軽々に取扱えない。結果的にはやはり最後委員会乃至は裁判所の判定にまたなければならないのでありますが、併しさような廃れありとみなし、且つ又それをさような廃れがあるが故に紛争が起り、紛争が長引くということに関連いたしましては、紛争を予防し、且つ早期に解決を付けるという立場をとらなければならん。労働省といたしましては注目しなければならんと考えておるのです。  それからもう一つの点は、今御指摘のように建設省の問題は、これは所管外でありますが、昨日衆議院の労働委員会におきまして、やはり建設省の問題が取り上げられ、且つそれに関連いたしまして、中原委員から御質問がありました点は、只今椿委員の御指摘のように最近三越でありますとか、或いはほうぼうでそういう事件が非常に多くなつておる。いわゆる不当労働行為的な事案が非常に多くなつて来た。これに対してどう考えるかという質問がありました。それに関連して私ども労働省といたしましての大体の考え方を申上げたいと思うのであります。確かに最近世間の注目を引きまする不当労働行為的な事案が出て来ておることは事実であります。そこで労働省といたしましては、団結を守るという立場からいたしまして、昨年の十一月から全国に亘りまして不当労働行為事件、或いは事件として委員会に坂上げられておる事件、それから委員会に出ていないけれども、さような問題を中心として紛争の起つておる事件、或いはさような状態まで出ていないけれども、労政関係行政関係者としてどうもさような虞れがある、或いはさような傾向のある事案とみなしたようなものは、一体最近一年間にどれくらい起つて、どういうふうにあるかということを調べたのであります。その結果、非常に件数が多く出ると思いましたが、今ここで覚えておりませんが、件数といたしましては増加はいたしておりません。ただ問題は世間の注目を引くような事案が出て来ておるという状態になつておるようであります。併しながら、さような原因が一体どうして出たかという原因を考えてみまするのに、勿論基本的には労使の間で双方が労働問題について理解がなかつたり、或いは非常に未熟であつたり、或いは経験がなかつたりするがために、徒らに紛争を起して来ておるというふうなことも言われると思うのでありますが、もう一つの原因といたしましては、この不当労働行為につきましての過去五年間におきまする処理の状況から見まして、制度としてこの不当労働行為の取扱方を変えなければならないというふうな点があるということをかねがね我我といたしましては、研究の結果考えておるのであります。で、例えて申しますと、過去におきます不当労働行為の労働委員会の取扱方を見ますると、とかくこれを斡旋によつて、和解によつて片付けよう、或いは片付けておるのであります。その結果労働委員会が入つて元々にすればそれでよろしいということになりまして、首を切つたところが、労働委員会から言われたので又元へ帰えした、それでもう事済む、それがうまく行けば切つただけ得であるというふうな結果が出ておると考えなければならん。勿論紛争議のことでありますから、片付けばいいのでありますが、そう不当労働行為については單に片ずけばいいというわけには参らんのでありまして、不当労働行為は不当労働行為であると明確に労働委員会は判定をすべきである。判定の結果、これを裁判所に持つて行くか、或いは和解にするかということはこれは労働委員会がきめればいいことだと思うのであります。例えば最近の例で三越の事件のごときも、あれは労働委員会が不当労働行為であるとみなすならば、一遍にと申しますか、その点を明確に不当労働行為であるという結論を出すべきでありまして、然るのちにこれを復職させるか、或いは和解によつてやるか、裁判所に持つて行くかということをきめればいいにもかかわらず、これを和解或いは斡旋によつて片付けようとしたがために事件がああいうふうに非常に紛争を来たしたものである、かように言い得ると我々は考えるのであります。従いまして、この不当労働行為の措置につきましては、これは明確に不当労働行為を判定する一つ機関というものを制定すべきであるという考え方を持つたのでありますが、これは労働組合側、使用者側両方の反対がありまして、我々は特に労働組合側が何故不当労働行為の判定を明確にする我我の考え方に反対し、今日までだらだらとやつて来たような、あの行き方がいいというふうな結論を出したのか、理解に苦しむのでありますけれども、さような結論を出しているのであります。やはり当分これはなおそういう労働組合意見でありますならば、現行の労働委員会にやらして見るという以外にはないと思ひますが、今後の運営におきましては、この点は労働委員会がただ解決をしようというように行くべきでなくして、その点は明確に処理して行かなければ、今後もかような不当労働行為がなかなか根絶することはむずかしいのではないか、かように考えているのであります。
  56. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 局限して宇部窒素の問題について伺いますが、いろいろ労働委員会制度の再検討の問題についての御意見を伺いましたが、宇部窒素の争議は純粋の経済的な問題に端を発したストライキだとお考えになりますか。
  57. 賀来才二郎

    政府委員賀来才二郎君) この点は、先ほど来非常に微妙な関係にありますので、只今我々の意見につきましての答弁を差控えさして頂きたいということで、よろしくお願いいたします。
  58. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 大分労政局長から詳しい御説明がありましたが、政務次官の御意見も固まつたんじやないかと思われますので、先ほどからお答えを頂きました中に、この宇部窒素の争議は成るほど局長の言われるように、整理基準の中ではつきりとこの労働組合運動の先頭に立ち、会社に都合が悪いからというような整理基準がありますれば、それは今お話のようにこれは不当労働行為になるということは言われましようが、宇部窒素の場合は八つの整理基準を挙げてありますが、私どもとしてこの八つの基準の中に入らない数人の人々がある。基準外の理由によつて今の争議が起つている。長引いており、延いては肥料生産の上にも一つの暗影を投じている結果になつておりますために、実はしつこく伺うのでありますが、これは政務次官からお答え願いたいと思うんですが、会社側は窒素部門がセメントに比較してまあ成績が悪い、こう言つておる。ところが前期は四割も配当をいたしております。而も増資株を無償でその株主に配付いたしております。こういうところにおいて実は今の労働争議が起つているのであります。而も会社が直接給料を支払つていない人たちが、労働組合運動にとつては非常に重要な地位にある人が五名がこの首切り解雇者の中に包含されているのであります。これを純粋の経済的な会社側の労働対策としてお考えになりますか、これをちよつと伺いたい。
  59. 溝口三郎

    政府委員溝口三郎君) 只今椿君から特に私に指定して御質問になりましたが、先ど来労政局長からお答え申上げました通り、この問題につきましては、労資双方の言い分も聞いていないようであります。労働省としての意見についてはまだ申上げることを御勘弁お願いしたいということを申上げていますから、労政局長と同じことを申述べる次第でございます。御了承を願います。
  60. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 椿君にお諮りいたしますが、この次に大臣に来て頂いて、速記等を御覧願つた上で大臣から御答弁つたらどうですか。
  61. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 只今委員長から特に御要望がありますので、今日の私の質疑の内容一つ十分御研究頂きまして、次回に大臣からも所見を承わることにいたしたいと思います。
  62. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 本日はこの程度で打切りまして次回は三月十三日午後一時から再開いたします。  本日はこれで散会いたします。    午後二時四十六分散会