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政府委員(
賀来才二郎君) 椿さんの御同情によりまして、個々の問題から離れてというお話でございますので、個々の問題から離れて
一般問題としてお答えをいたしたいと思うのであります。
第一点の整理基準としてそういうものを入れることの可否の問題でありまするが、労政局といたしまして、或いは
労働省といたしましては、整理基準の可否という場合、特に組合幹部の問題を含んでの場合につきましては我我といたしましては、常に心がけておりますことは、これは不当
労働行為になるかどうかという点、言い換えますと、整理基準の中に
労働組合の団結を阻害する意図があるというふうな問題があるかどうかという点を重視をいたすのでありまして、若し整理基準の中に
労働組合の団結を阻害しよう、かような意図が含まれておりまするならば、これは労政局といたしまして正常な、或いは正当な整理基準と申すわけに参りませんし、当然我々といたしましては、使用者側の態度に対してその改善を求める筋合いであるとかように考えておるのであります。ただ、非常にこの点は結果的に
労働委員会乃至は裁判所の制定に待たなければ、これが不当
労働行為であるかどうかの決定は出しにくい問題でありまして、この取扱につきましては非常に愼重を要するのでありまして、
行政機関といたしまして、或いは
行政機能として、これらの問題を軽々に取扱えない。結果的にはやはり
最後の
委員会乃至は裁判所の判定にまたなければならないのでありますが、併しさような廃れありとみなし、且つ又それをさような廃れがあるが故に紛争が起り、紛争が長引くということに
関連いたしましては、紛争を予防し、且つ早期に解決を付けるという立場をとらなければならん。
労働省といたしましては注目しなければならんと考えておるのです。
それからもう
一つの点は、今御指摘のように建設省の問題は、これは所管外でありますが、昨日衆議院の
労働委員会におきまして、やはり建設省の問題が取り上げられ、且つそれに
関連いたしまして、中原
委員から御質問がありました点は、
只今椿
委員の御指摘のように最近三越でありますとか、或いはほうぼうでそういう事件が非常に多くな
つておる。いわゆる不当
労働行為的な事案が非常に多くな
つて来た。これに対してどう考えるかという質問がありました。それに
関連して私
ども労働省といたしましての大体の
考え方を申上げたいと思うのであります。確かに最近世間の注目を引きまする不当
労働行為的な事案が出て来ておることは事実であります。そこで
労働省といたしましては、団結を守るという立場からいたしまして、昨年の十一月から全国に亘りまして不当
労働行為事件、或いは事件として
委員会に坂上げられておる事件、それから
委員会に出ていないけれ
ども、さような問題を中心として紛争の起
つておる事件、或いはさような状態まで出ていないけれ
ども、労政
関係の
行政関係者としてどうもさような虞れがある、或いはさような傾向のある事案とみなしたようなものは、一体最近一年間にどれくらい起
つて、どういうふうにあるかということを調べたのであります。その結果、非常に件数が多く出ると思いましたが、今ここで覚えておりませんが、件数といたしましては増加はいたしておりません。ただ問題は世間の注目を引くような事案が出て来ておるという状態にな
つておるようであります。併しながら、さような原因が一体どうして出たかという原因を考えてみまするのに、勿論基本的には労使の間で双方が
労働問題について
理解がなか
つたり、或いは非常に未熟であ
つたり、或いは経験がなか
つたりするがために、徒らに紛争を起して来ておるというふうなことも言われると思うのでありますが、もう
一つの原因といたしましては、この不当
労働行為につきましての過去五年間におきまする処理の
状況から見まして、制度としてこの不当
労働行為の取扱方を変えなければならないというふうな点があるということをかねがね我我といたしましては、
研究の結果考えておるのであります。で、例えて申しますと、過去におきます不当
労働行為の
労働委員会の取扱方を見ますると、とかくこれを
斡旋によ
つて、和解によ
つて片付けよう、或いは片付けておるのであります。その結果
労働委員会が入
つて元々にすればそれでよろしいということになりまして、首を切
つたところが、
労働委員会から言われたので又元へ帰えした、それでもう事済む、それがうまく行けば切
つただけ得であるというふうな結果が出ておると考えなければならん。勿論
紛争議のことでありますから、片付けばいいのでありますが、そう不当
労働行為については單に片ずけばいいというわけには参らんのでありまして、不当
労働行為は不当
労働行為であると明確に
労働委員会は判定をすべきである。判定の結果、これを裁判所に持
つて行くか、或いは和解にするかということはこれは
労働委員会がきめればいいことだと思うのであります。例えば最近の例で三越の事件のごときも、あれは
労働委員会が不当
労働行為であるとみなすならば、一遍にと申しますか、その点を明確に不当
労働行為であるという結論を出すべきでありまして、然るのちにこれを復職させるか、或いは和解によ
つてやるか、裁判所に持
つて行くかということをきめればいいにもかかわらず、これを和解或いは
斡旋によ
つて片付けようとしたがために事件がああいうふうに非常に紛争を来たしたものである、かように言い得ると我々は考えるのであります。従いまして、この不当
労働行為の措置につきましては、これは明確に不当
労働行為を判定する
一つの
機関というものを制定すべきであるという
考え方を持
つたのでありますが、これは
労働組合側、使用者側両方の反対がありまして、我々は特に
労働組合側が何故不当
労働行為の判定を明確にする我我の
考え方に反対し、今日までだらだらとや
つて来たような、あの行き方がいいというふうな結論を出したのか、
理解に苦しむのでありますけれ
ども、さような結論を出しているのであります。やはり当分これはなおそういう
労働組合が
意見でありますならば、現行の
労働委員会にやらして見るという以外にはないと思ひますが、今後の運営におきましては、この点は
労働委員会がただ解決をしようというように行くべきでなくして、その点は明確に処理して行かなければ、今後もかような不当
労働行為がなかなか根絶することはむずかしいのではないか、かように考えているのであります。