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1952-03-23 第13回国会 参議院 予算委員会昭和27年度予算と憲法に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十三日(日曜日)    午後一時五十二分開会   ————————————— 昭和二十七年三月二十三日予算委員長 において小委員を左の通り指名した。            愛知 揆一君            鈴木 直人君            杉原 荒太君            山本 米治君            岡本 愛祐君            楠見 義男君            吉田 法晴君            吉川末次郎君            西田 隆男君            堀木 鎌三君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君   —————————————  出席者は左の通り。    委員            愛知 揆一君            鈴木 直人君            杉原 荒太君            山本 米治君            楠見 義男君            吉田 法晴君            吉川末次郎君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君            岩間 正男君   国務大臣    法 務 総 裁 木村篤太郎君    国 務 大 臣 大橋 武夫君   政府委員    警察予備隊本部    次長      江口見登留君    法制意見長官  佐藤 達夫君    法務法制意見    第一局長    高辻 正己君    法務法制意見    第二局長    林  修三君    法務検務局長 岡原 昌男君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員長の互選に関する件 ○本小委員会名称に関する件 ○昭和二十七年度予算憲法に関する  件   —————————————    〔年長者吉川末次郎委員長となる〕
  2. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) それではこれより予算委員会の小委員会開会いたします。  年長者の故を以ちまして正式の小委員長が決定いたしますまで、それに対する選挙管理事務を主宰いたしますために、暫くの間委員長席を汚すことをお許しを願いたいと存じます。  つきましては本小委員会の小委員長を決定いたしたいと存じますが、どのような手続において、又誰を委員長にするかということについての御意見を承わりたいと思います。
  3. 愛知揆一

    愛知揆一君 暫時休憩して懇談をいたしたいと思います。
  4. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) 暫時休憩して懇談をいたしたいという動議愛知委員より提案されております。その通りいたして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) それでは御異議ないといたしまして、休憩いたします前に、速記を除きまして懇談をいたしたいと存じます。   午後一時五十三分速記中止    ——————————   午後二時二十分速記開始
  6. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) 速記を始めて。それでは暫時休憩いたします。    午後二時二十一分休憩    ——————————    午後二時四十五分開会
  7. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) これより小委員会を開きます。  まず先ほど開会に先立ちまして、皆様がたから御決定を願うべきであつたのでありますが、少し遅れましたが、この小委員会名称を付けなければならないわけでありまして、昭和二十七年度予算憲法疑義疏明に関する小委員会、このような名称にいたしたいと思いますが、如何でございますか、よろしうございますか。ちよつと長すぎるのでありますが、それで、もう一つの案といたしましては、予算憲法に関する小委員会という、更に簡単なる名称のもありますが、併しこれはやはり今年度予算に限定されているところの憲法疑義の解釈に関する小委員会でありますから、やはり少し長つたらしいようでありますが、前に申上げたような名称のほうがいいのじやないかというような考えもあるわけであります。
  8. 愛知揆一

    愛知揆一君 私は昭和二十七年度予算憲法に関する小委員会、そういうことになれば、丁度その中間をとると、思います。
  9. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) 憲法疑義疏明をとるわけですね。昭和二十七年度予算憲法に関する小委員会
  10. 愛知揆一

    愛知揆一君 そのようにして頂きたいと思います。
  11. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) これも又まとめると、時間がかかつて来るかも知れないが、これは二つの案を出して悪かつたね。それでは愛知議員より両案を折衷して、昭和二十七年度予算憲法に関する小委員会という(「反対」「賛成」と呼ぶ者あり)名称を決定すべしという案が提出されております。
  12. 岩間正男

    岩間正男君 予算憲法ではわからんですよ。やはり性格を明らかにして、憲法疑義があるということでこの委員会が持たれたはずですね。従つてその性格を明らかにしておくことが必要だと思うのです。これは自由党の諸君といえども、憲法疑義ということで持たれたのですから、それを朗らかにする立場から、憲法疑義疏明ではないかと思う。それでこの委員会性格を、予算憲法だなんといつても、そういう名前ではこの委員会性格が不明瞭である。従つて私は憲法疑義疏明ということにしたらいいのではないか。(「反対」と呼ぶ者あり)
  13. 吉田法晴

    吉田法晴君 昭和二十七年度予算憲法に関する小委員会、これは自由党の言いたいところかも知れませんが、それじや昭和二十七年度予算憲法全部をやるのかというと、憲法全部をやるわけではございません。これは日本語の概念の不正確さになりますけれども、憲法全体を問題にするわけではありません、関連しておる憲法條章、九條並びに七十二條ということになります。従つて憲法疑義という言葉を入れないと結びつかないと思うのです。疏明という言葉はこれはむずかしい言う葉ですが、本当は疏明でしようが、疏明を削つても、憲法疑義に関するということで理解がつくと思いますから、そういう案を提出します。
  14. 杉原荒太

    杉原荒太君 今吉田さんの御説には私は反対です。その疑義の存否ということはまだ決せられていないのです。非常に大事な点です。だからそれを入れるごとに私は絶対に反対いたします。
  15. 楠見義男

    ○楠見義男君 この問題は憲法疑義があるということで、それを明らかにするという意味で小委員会を設けられたと私は承知しておるのですが、併し名称自体で初つぱなから解決がなかなか困難であるならば、この予算委員会にはほかに小委員会はないのですから、特に名称を設けずにやつて頂くように提案します。そうして早く進行して下さい。
  16. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) それではいろいろお説がありまして、劈頭から甚だ仮小委員長も困るのでありますが、何も名称を附さないのですか。
  17. 楠見義男

    ○楠見義男君 ええ、小委員会はほかにないのですから。
  18. 山本米治

    山本米治君 只今の楠見委員の提案に賛成いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今までの経過はわかりませんけれども、名称のこともそうですが、和田委員があの委員会に行われた報告では、憲法九條及び七十二條についての小委員会を設けることに御異議ありませんか、異議なしということになつたのでしよう。
  20. 愛知揆一

    愛知揆一君 そうです。それだから私は言うのですよ、それなら昭和二十七年度予算憲法第九條並びに第七十三條に関する小委員会というのならいいのです。ただそうなると余りに長つたらしくなるから、さつき私が提案したように、昭和二十七年度予算憲法との関係ということなら私はいいんじやないかと思うのです。あなたの御説と同じなんです。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ああそうですか。(笑声
  22. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) ではこれも又時間を費やしていると無駄でありますから、ただ小委員会ということにしまして、そうして本日の会議終つたあとで更に御議論があるということでしたら、(笑声)やつて頂くということにして、早速議事に入りたいと思います。御了承願います。よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) 御異議がないものと認めましてさよう取計らいます。   —————————————
  24. 吉川末次郎

    ○優委員長吉川末次郎君) それでは木村法務総裁その他政府委員のかたがすでに待機していられるのでありますから、早速小委員のかたがたの質疑をして頂くことにいたしたいと存じます。質疑のあるかたは順次御発言を願いたいと存じます。
  25. 吉田法晴

    吉田法晴君 ちよつとその前に議事進行について……これは今日と明日の午前中くらいだろうと思うのですが、一応この委員会の計画について、審議のプランを御協議願う、例えば質疑をして、あとで整理するなら整理するということでしようが、相当の質疑も本委員会でなされているのですし、今日或る程度質疑をするならする、そうして明日どういうふうにするということで、この運営について暫らく短い時間だと思いますが、休憩をして御相談を願つたほうが能率的ではないかと考えるのですが……。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  26. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) 只今吉田君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) それでは暫時休憩いたします。    午後二時五十六分休憩    ——————————    午後三時四分開会
  28. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) これより小委員会を再開いたします。先に休憩中、小委員長選挙につきまして、いろいろ懇談を重ねました結果、仮小委員長でありまする私が、臨時的に決定いたしますまでの間、小委員長の職責を代理して議事を進行せしめることに決定いたしましたので、そのように決定いたしましたものとして、議事を進行いたしましてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) 御異議ないと認めまして、その通り決定いたします。  それではこれより政府委員に対する御質疑を願います。
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私、法務総裁にお伺いいたしたいのですが、御承知のように、この行政協定に基いて、今予備作業班が具体的に作業を始めているわけなのですが、これに基いて具体的な作業を始めるに至つて、問題が極めて具体的になつて来ましたので、その関係で、やはり憲法に抵触するんじやないかという問題が具体的に出て来ていますので、法務総裁に特にお伺いいたしたいのであります。それは行政協定に基いて今度は土地を、農地とか或いは山林、原野、いろいろあると思います。或いは住宅、そういうものを收買する場合、或いは接収というのですか、收買する場合、これは収用法を適用していないけれども、そうでない状態の下でこれを接収しようとする場合、又今まで進駐軍が借りて使つてつたそれを、今度は講和が発効して、これを今度一応返さなければならん、こういう問題も出て来るわけであります。そういうときに相手側が、いわゆる土地所有している人が合意しなかつた場合、やはりこれは返してもらわなければならん、こういう場合にはどういうことになるのか。我々最近聞くところでは、実際に例えば継続使用を希望すると言われた場合、まだ占領下でありますから、どうしても進駐軍側から言われれば、別に基本的な、合法的な根拠がないにもかかわらず、それに応じなければならないという、そういう状態になるのではないかと思うのです。そういう形で継続使用を認めさせたり、或いはそれを故買を余儀なくさせたりするということは、これは土地收用法を適用しないでそういうことは、合法的であるかどうか、この点を伺いたいと思います。
  31. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) この土地の問題につきましては、できる限り土地所有者合意の上で、それは或いは貸してもらうなり、買収なりいたすつもりでおります。だんだんその運びに至つておるように聞いておりますから、万一どうしても返してもらわなければならんということになれば、これは当然返さなければならん。そこでその土地が又是非とも必要であるという段階に至りますると、これは別に法律作つて、これを収用するなり何なりするような手当をしなければならん、こう考えております。勿論強制してそれを買上げるとかというようなことはできんわけであります。
  32. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ところが岡崎ラスク両氏の間に交わされた書簡では……書簡の最後を見ますと、こういうふうにまあ書いてあるのですが、これは岡崎さんがまあこういう書簡を書いているのです。「本大臣は、貴簡の内容を十分に了承した上で、日本国政府が、前記の協定および取極が成立するまでの間、施設又は区域でそれに関する協定及び取極が日本国との平和條約の効力発生の日の後九十日以内に成立しないものの使用継続を合衆国に許すことを、日本国政府に代つて、確認する光栄を有します。」こう書いてあるわけです。そうしますとですね、只今法務総裁合意しない場合は特別にまあ法律作つて、それに基いて行うというお話でございましたが、この書簡によりますと、もうすでに岡崎大臣ラスク氏に対して継続使用をすでにまあ確認してしまつているわけです。そうしますと厭だということは言えないことになつているのじやないかと思うのです。これはこういうような書簡ですか、この取極をやることは果して正しいのかどうか、こういうような……。ですから、これは所有権の非常な制限になると思うのですが、まあこういうところからも私はこの行政協定に基いて予備作業班を具体的にやつて行きますと、具体的に憲法に違反しているのじやないかというようなところが非常に感じられるわけなんです。この書簡のこれは……。こういうことは非常な問題になるのじやないかと思うのですが、それでもやはり合意しなくてもよろしいのか、継続使用を向うから要求された場合に、それはやはり返してもらいたいということは言えるのかどうかということです。
  33. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 無論この趣旨に副つて日本政府があらゆる手当をするわけであります。その手当がいわゆる強制するというようなことじやなしにやつて行こうというのでありますから、この規定そのものが直ちに日本国民を拘束するわけでもないのであります。日本政府において、又日本国民との間にあらゆる法律の手を打つ、或いは法律を作るようにして、そうしてやつて行こうというのでありますから、憲法趣旨とは決して喰違いはないと考えます。
  34. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) ちよつとお待ち下さい。今大橋国務相江口警察予備隊次長は席を外しておりますが、この委員会只今政府委員として出席を予定いたしておりますものは、只今申しました大橋国務大臣江口警察予備隊次長のほか、ここにいらつしやる木村法務総裁及び佐藤法制意見長官でありますが、先ず木村法務総裁及び佐藤法制意見長官只今臨席の二政府委員に対する質疑を先にできるだけやつて頂くようにして、議事を運んで行きたいと思つておりますから、さよう御承知を願います。
  35. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 くどいようですけれども、法務総裁の御答弁ですが、この書簡を読んで頂きますと非常にはつきりしているのですが、すでに継続使用日本国政府に代つて許すことを確認してしまつているのに、今度は日本国内法作つて、それでその人に適用しようと言つても、その人が厭だと言われたときどうするのですか。そのときそれはまあどういう関係になるのか。日本国政府はこれはアメリカのほうに対して非常に今度は一つの責任が出て来ると思うのですが、又国内的にアメリカのほうにそういう約束をしてしまつたから、無理にどうしてもその人に合意させなきやならなくなつてしまつたのです。日本のそれは非常な拘束じやないかと思うのです。でまあ或る特定の地区についてどうしても使用するという場合、国内法によつてその所有者たちに自由に、これを継続使用させるか、或いはさせないかという選択の余地はもうないと思うのです。そういうふうにもうなつていると思うのです。ですからそれこそこれは非常に大きな私は所有権制限だと思うのです。もうそういうことを確認してしまつているのですね。これはそういう今の法務総裁のような御説明だけで私は済むのかどうか。一つよく……、法律專門家じやありませんが、非常に素人ながら私にはそこに疑義を持たれるのですが……。
  36. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私の申上げた通りでありまして、この條約によつて直ちに日本の個々の国民を強制して行くという意味合のものでありません。その間において日本政府はできるだけその使用継続をできるように手当を打つて行きたい。で行けなければこれは仕方がないのであります。
  37. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうなんです。それは仕方がないという場合、このあれは、書簡は、どういうことになるのですか。もうこれは確認してあるのですよ。こつちのほうの関係はどうなるのですか。
  38. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) お答え申上げますが、この同様の問題は行政協定の他の部分にもございますが、要するにこの所管そのものは、外に対する約束としては確かに約束でございます。ただ内に対する関係において、この書簡趣旨を実現いたしますためには、これはその施設と申しますか、所有のものの持主と、日本政府との話合いによつて継続しようじやないかということで、お互いに合意が成り立てば、これはもうそれでこの書簡趣旨は完全に果されることになります。それから今の御指摘の場合のように、本人がもう厭だと言つた場合に、どうしてもその継続使用の必要があるという場合においては、これは別に法律上の措置をとりまして、法律の御立法願つて、その法律の力によつて目的を達するようにしたいというのが、今の総裁の答えました趣旨でございます。
  39. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それで大分はつきりして来ましたが、その法律というのは、強制的な收買とか、接収とが、こういうような形の立法ですか。
  40. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) さようになります。強制しなければならん場合に、法律を作るわけでございますから、おのずからそういうことになります。
  41. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはまあわかりましたが、非常に重大だと思うのですね。そういう内容をこれは含んでいるわけです、この行政協定はですね。だんだんはつきりして来たと思うのです。  それからもう一つお伺いしたいのですが、この予備作業班を今やつていますが、あれは予備作業班が具体的にきめたことは、もうそのままそれできまつてしまうわけですか。今どこの地区、ここの地区ということを具体的にこうやつていましてね、そこで大体決定したものはそれで大体きまつてしまう、こういうことになるわけですか。
  42. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 予備作業班話合いのつきましたものは、この書簡の中にございまするように、合同委員会にそれが引継がれるということに相成ると存じます。
  43. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうですけれども、実際問題としてですね、今やつているのは、例えばこの地区はこれでただ継続使用するとか、ここを新らしい又基地として区域、或いは施設としてこれを予定するとか、もう具体的にそれは一つ一つつているわけです。そこできまれば、それが実際にはこの合同委員会のほうにかかるという手続はあるのでしようが、実際にはそれで確定して来る、こういうように了承していいですか。そのほかにそこできまつて、今度はそれが動いたり何かするというようなものではないと思うのですが、実際問題として一つ……。
  44. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 実際問題としてのほうは、実は私ども理屈ばかりを考えておりますものについては、はつきりいたしませんけれども、ここに現われております上から申上げますと、この予備作業班というものは結局向うの相手方とこちらとのやはり一つ協議の組織になつておりますから、言い換えれば本物の合同委員会に一脈通じた性格を持つておるものだろうと思います。従いまして、この書簡にありまする事柄は要するに正式に合同委員会が働く前の一種の経過的の処置を、便宜上の処置というものをきめておるわけでございます。予備作業班なるものは結局今申しましたように、合同委員会の類似の仕事をここで話合つてやるということでありますから、先ほど触れましたように結局予備作業班できまつたことは、大体合同委員会できまつたものと同じような意味であろうという趣旨が出ておるのだろうというふうに考えております。
  45. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、問題は非常にはつきりして来たのでありますが、今具体的に予備作業班施設地区について継続使用、或いは新らしく接収するという作業をきめておるわけですけれども、その場合にまだ合意が成り立たないときには接収できないのですが、成り立たない場合についてはこれから立法して、それによつてやるというお話でありますが、立法ができなければ、そういうことはできないわけですね国内的に……。ところが実際にはそういうふうに進んでおる。これは実際問題ですけれども、占領下でありますから、我々でもそうです。例えば進駐軍がこう言えば法的根拠があるかないかは問わないとしても、やはり占領下国民としてはこれに一応従わざるを得ない、こういう実情にあると思うのですよ実際は……。そこでここでどうしても継続使用をするのだと言われると、実際は自分は本当の意思としては解除してもらいたい、自分で使いたいと思つても、その圧力によつて実際問題としてきめられてしまう。こういうことが相当あるのではないでしようか、実際問題として……。そういうことについてさつき法務総裁にお伺いしたのですが、そういうことがあればこれは法律的に言つてやはり違法ではないか。こういうことをお尋ねしたのですけれども、これは非常にデリケートなことでしようけれども、併しそこのところは随分問題があるところじやないでしようか。
  46. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 圧力と申されまするが、これは占領継続中にはそういうことがあるのでございましよう。併し私は従来この土地収用のことについての経験も多少あるのであります。それを見ますると、大体において協議売買ができるのです。例えばこれは堀木君なんかもよく御承知でしようが、電車の線路を持つて行く、鉄道の線路を持つて行くと、御承知通りこれは買収しなければならない。買収に応じないものについては、これは御承知通り土地收用法によつて強制収用をしなければならんのであります。なかなかそこで利害の関係が錯綜いたしまして、応じないものもあります。併し多数のものは結局何とか言つて協議売買ができるのですが、今度の場合でも駐留軍が来て、駐留軍がそこへ駐屯するとか何とかということになると、多少土地の繁栄ということもありますから、それですからそういう圧力を加えられなくても、これはそれでは継続使用を承諾しようじやないか、又必要な土地を売ろうじやないかということで、恐らく協議売買或いは協議使用継続というようなことは、これは私は成立するのだろうと、圧力関係がなくとも行くものと考えております。
  47. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はそうなれば問題はないわけでございますが、その圧力関係があつたときには、それは合法的ではないのじやないか、圧力関係でそういうことをやることは合法的ではないのではないかということをお伺いしておるのです。
  48. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) それは是非ともその土地を売れとか、或いは継続使用を許せとか言うことで脅迫に至りますると、これは問題であります。
  49. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そのことをお伺いしたのであります。
  50. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) それは問題でありまするが、今それらの程度に至らないところで多少厭だけれども、そう言われれば仕方がないということになれば、それは問題になるわけであります。是非ともそういうことになりますと、いやしくも恐怖感を與えるようなことになりますと、これは問題であろうと、こう考えております。
  51. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 今の木村君の話に関連して二、三根本的なお考え方をお聞きしたいのですが、先ず第一は政府はこの行政協定という條約については、国内法としてすぐ効力を発生するものとお考えになつておるかどうかということ。  それから従来政府行政協定によつて国民権利義務に関する場合には別個の法律を改めて出す、こういうふうな声明があるのですが、お話があるわけですが、今佐藤氏からもお話がありましたように、今木村氏の引いたこの継続使用の場合のみならず、行政協定国民に実施するためには、幾多の法律が実は要るだろうということが私は予想されると思うのでありますが、その際に問題になつて参りますのは、従来政府はその法律が国会の議決を経たい場合にはその分だけ無効だと、こう言われてあるのですが、いわゆる條約不可分の原則、修正を許さないという学説があるわけでありますが、その点に関してどういうふうに、お考えになつておるか。今度アメリカで対日講和條約を結びます際にも留保條項を付けることは、アメリカでも別な條約になつて改めて従来の調印国と更に別個な條約としてしなくちやならないのじやないかという議論も出ておるわけでおります。日本でも條約については個々の問題の修正ということが考えられないというふうなことが学説としてなつております。この点について政府の見解はどうか。  それから第三段は今木村氏のお話のような事柄が占領下に置かれて、占領下において両当事者間に契約ができた場合に、占領継続中に行政協定効力を発生させるというふうなことになつて、実質的な効力を発生させるというときに実際の契約自由の原則によつていない相手方の意思、占領継続中に相手方の完全な円満な意思はないはずなんです。でありまするからそういう契約は無効だ。つまり今木村さんが私によく知つておるはずだと言われたのですが、私も協議売買が多いということもよく存じておるのでありますと同時に、なかなかまとまらないときもある。現に商法のえらい博士の土地を買收することになつて手ひどい目に遭つたことは恐らく木村さんもよく御承知だと思うのでありますが、それよりも別に、私は法理上占領継続中に果して自由な意思があるか。契約自由の原則によりまして……、自由な意思を限定され得るものかどうか。この問題は相当問題になつて来る。そうなりますと、木村さんのおつしやるように円満に、極く円満にできる場合は別かも知れま託せんが、本来本人があの契約をしたのだが、占領中だつたから自由な意思がなかつたのだという法律上の主張も私はできるのじやなかろうか。そういう場合に対して政府はどういうふうな法的見解お持ちになるか、これを木村君の質問に関連して三つお聞きいたします。
  52. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 最初のお尋ねの点がはつきり私了解ができませんけれども、その行政協定は一般の條約の問題として、それが国内的にどういう効力を持つかというような御趣旨のように思いました。これは一般の問題といたしましてはもとより、この国と国との約束として国家意思が確定いたしました場合においては、例えば安全保障條約で向うに駐留を認めるということが、安全保障條約にはつきり書いてありますれば、その関係においては例えば駐留軍は認めないということは日本の国内の意思としてもこれは成立ち得ないことでございますから、この部面は一面においてこれは否定できないと存じます。ただ国民権利義務関係について丁度今例が出ておりますけれども、この行政協定の中に向うの必要な施設について、これを提供するについて日本側が努力するような義務があります。そういう場合において丁度今木村委員からもお話がありました場合において、場合によつて国民の意思にかかわらずそれを提供しなければならんこともこれは理論上はあり得ることです。その場合におきまして臓もとよりこの條約の実施のために別途法律立法をお願いして、この法律の力によつてこれを強制するほかはないというのが大体の筋道でございます。勿論今は理屈を申しましたけれども、その事前の段階として、取りあえずとしては予備作業班の活動があり、又合同委員会の活動がございますから、これは話合いで余り無理をしないで済むようになればこれは結構なことでありますが、理論上は私の申しましたようなことが一応当てはまるのではないかと存じます。  それから最後の質問は、或いは法務総裁からお答えしたほうがいいかと思いますけれども、とにかく占領下における契約といえども、やはり一種の国内立法としてのではありません。契約でありまするからして、これはもう圧力とか何とかその自由意思が束縛されるような形で契約ができておるというふうには私は申上げられないだろうと思います。従いまして過去に成立いたしました契約なるものは、有効な契約というふうに言わなければならないと考えております。
  53. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 條約の部分的修正を許すか許さんかという点についての御説明がまだないのですが……。
  54. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) お尋ねの趣旨もこれは忖度してお答えしたのでございますが、例えば国内の措置ができ切ないために條約の部分がどうしても執行できなくなる。履行できなくなるという場面を想定してのお尋ねであるといたしますならば、理論上はそういう場合には国内的に條約の履行ができないわけです。そのときは別途の方法を考えねばならないと思います。それは曾つて岡崎国務大臣もお答えしたことがあると存じます。さように申上げるほかはないと存じます。
  55. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 どうもそう解釈するほか、現実と合わなくなると困るんで、そう解釈するんだというふうにどうも聞えてしようがないんですが、そうすると大体のお考えはわかつたんですが、もう一度その点に関しまして念のためにお聞きしたいと思いますが、つまりこの條約はですね、そのまま国内法的に国民を拘束するんだ、こういう学説はありますね、これはお認めになる、殊にその学説がよく引用するところは、憲法九十八條の第二項でございますね、これはお認めになるだろうと思う。そういう学説をおとりになつているのか、おとりになつていないのか、こういうことが一つでございます。  それからもう一つは、この條約を国会が批准する場合に、條約の一部修正、この分は留保だ、この分は効力は発生しない、こういうふうにしてこの分は修正するんだ、といつて批准ができるかできないか。この問題を学問的にどう政府は解釈しておられるか。まああなたの御同僚の入江君の本にもそれは書いてあるんで、條約の承認については普通は予算の場合と異なり、全体として承認するか否認するかが問題となるんだ、これは改めて引用しなくてもよく御承知だと思う。その修正による妥協案というものは考えられない。アメリカでも今度留保條件付についてこの議論が援用されておる、こういう点が一つでございます。  第三番目の問題は、そう解釈になつておるとすれば別でありますが、ともかくも併し今の継続使用の場合もどうしてもそういう場合が起ることも、これは法務総裁がお認めになつた上ならば、大部分は協議売買でできるかも知れんけれども、事実できない場合もある。これは普通の常識でございますね、そうするとできない場合のためにこういう取極を外国と結んだ以上は、政府の説に従つて別個に法律を出すんだとすればですね、あらかじめお出しにならなければいけない問題じやないか、こういうふうに私は考えるんです。で、例えばですね、これも木村法務総裁はよく御承知なんで、協議売買というやつもうしろに土地收用法があるんですよ、実際はね。それがどうしても承知しないときは土地收用法を発動させるという気があるから、協議売買ができるんだということも、これは木村法務総裁はよく御承知のことだと思いますが、そういうふうな関係からそういう部分の法律も従来の政府の建前から言えば、そういう場合はやはり別個の法律をあらかじめお出しになる。こういう約束をした以上はそういう法律をお出しになるのが当り前だと思う。こういうふうに考えられます。これについて念のためにお聞きします。
  56. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 理屈だけを一応申上げますが、この今最初にお話になりました條約即国内法というような面からのお尋ねだつたと思います。これは御承知のように第六回帝国議会のときからも問題になつている一つの学問上の問題でもありますし、政治上の問題にもなつてつたのでありますが、過去における日本政府のやつておりますところを見ますというと、大体建前としては條約の裏付となる国内立法は別に設けて来ておるというのが実際の扱いでございます。但しそれには例外がございまして、第一回の平和條約のときでありましたが、今の條約即国内法の理論を以て別に国内立法をやらずに、そのままその條約が働くというような態度をとつたこともございます。その後二、三そういう例はございます。ただ建前はやはり條約そのままにするということでなしに、国内法を制定する態度をとつております。ですから理論上どうだというようなこと、又現に政府の方針がどうだというようなことをここではつきりと申上げるべきではない、又はつきり申上げることは嘘になりますから申上げません。ありのままに申上げればそういう態度をとつて来ております。而して今度の行政協定関係におきましてはたびたび御説明をして参りましたように、国民に義務を課する、或いは負担を課するというような面については、立法を以て解決したいという態度をとつているわけでございます。條約の一部の修正というようなお話がございましたが、これも実は理論としては二通りございますので、私どもの普通に考えておりましたところでは、條約締結権は内閣が持つていることは憲法に明らかになつております。ただそれを御承認になるか否かということが国会にかけられる。これも憲法七十三條によつて明らかである。その際に、御承認の際に国会がその実質について修正を加えるとか、変更をお加えになるということが先ず第一の問題になりますが、これは不可能であろう。憲法の建前からみて、率直に申上げましてそうは読めないだろうと思います。ただ併し今のように全部、一部の問題ということが裏から出て参ります。これもはつきり申上げるまでの自信はございません。ございませんけれどもやはり一括して全部不承認、或いは全部承認かということで、憲法はできておるのではないかと、まあその程度考えております。
  57. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) 他に御質疑ございませんか。
  58. 吉田法晴

    吉田法晴君 行政協定の問題について、木村堀木委員から御質疑がございましたが、私これは予算委員会でも或いは本会議でも御質問をいたしましたけれども、実質的には御答弁を頂けなかつた木村法務総裁に御答弁を願つても、これは総問答で要領を得ないことは、今まで幾らでも実績を挙げることができます。そこに法制意見長官がおられますから、事実を一つ承わりたいと思います。自衛戦争の、憲法九條の一項と二項に関連してでありますが、これは憲法制定当時の、いわゆる第九十帝国議会のときの、吉田首相の答弁、「戦争放棄ニ関スル本案ノ規定ハ、直接ニハ自衛権ヲき定シテハ居リマセンガ、第九條第二項ニ於テ一切ノ軍備ト国ノ交戦権ヲ認メナイ結果、自衛権ノ発動トシテノ戦争モ、又交戰権モ放棄シタモノデアリマス。」とはつきり吉田首相としては明言しておられる、そういう事実があるかないかという問題であります。それからその裏付と申しますか、これは第七回かの国会で、自衛権を放棄すると言うたことはないと、取消されておりますけれども、憲法審議の際の帝国議会においては、はつきりそういう答弁がなされておる、その裏付になりますのは、この間本会議で聞いたのでありますが、この松本案ですか、松本蒸治さんが委員長で案を作つておられた、その案を殆んど全面的に否定せられて、それで総司令部において独自に案が考えられたようであります。その際に三点だけ挙げて民政部に立案を命ぜられたが、そのマツカーサー元帥のホイツトニー准将に與えられた基礎になつた三点、これはメモでありますか、何と申しますか知りませんが、その中に、「国家の主権的権利としての戦争を廃止する。日本は、国家の紛争解決の手段としての戰争、」これは問題ない、「および自己場の安全を保持するための手段としてのそれをも放棄する。」という言葉がございましたので、こういう吉田首相の「自衛権の発動としての戦争も、又交戦権も放棄したものであります。こういう答弁になつて現われたと思うのでありますが、この憲法制定当時の事実について御否定になりますかどうか、その点承わりたいと思います。
  59. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 私の記憶しておりますところでは、今最初にお述べになりました当時の吉田国務大臣の答弁の中に、今吉田委員のおつしやいますようなことがあつたと思います。併しそれは結局第二項では自衛権も放棄していない、又自衛の戦争も第一項では放棄していない、併しながら第二項において戦力を保持することを禁止し、且つ交戦権を禁止しておりますから、一項と、二項を組合せれば結局自衛の形といえどもこの戦争というような規模のことはやれないと、私はそういう趣旨で申されたものと記憶いたしております。それから第二点のマツカーサー元帥がホイツトニー局長にメモか何か渡されたということは、これは例の民生局で発表されましたりオリエンテーシヨンという本の中にたしか入つております。実は私少くとも日本側としての最初の段階から憲法のお手伝いをしたのでありますけれども、私の最初にタツチいたしました当時から今のマツカーサー元帥の少くともメモにあるような趣旨のことは出ておりませんでした。従いまして今の九條の形が最初から私の自に触れた形として我々が草案を作つたというのが事実でございます。
  60. 吉田法晴

    吉田法晴君 大体吉田首相の答弁、それからこれは勿論表に出ておりませんけれども、マツカサー元帥のホイツトニー准将宛のメモ、その中に「自己の安全を保持するための手段としてのそれをも放棄する」というのが入つてつたということ、これはあとからの話でありますけれども、御存じであるということ、従つて吉田首相の第九十帝国議会における答弁もそれらとの関連と申しますか、解釈として、自衛のための戦争も放棄したと、これは一項、二項の関連でありますけれども、その点認められましたことについて、私として今までに比べまして大きな進歩だと思うのであります。  それからもう一つこれも事実を承わりたいのでありますが、第九十回の帝国議会で金森国務相が答弁せられました中に、これは場所が違つておりますから速記録の出所、ページ等はここで挙げることはできないのでありますが、その中に、「或戦争目的ニ用ヒルコトヲ本質トスル或カノ元、及ビ之ヲ作成スルニ必要ナル設備ト云フモノハ戦力ト云フコトニナラウト思ツテ居ルノデアリマス、」と、あとに竹槍問答が出ておりますけれども、この「或戦争目的ニ用ヒルコトヲ本質トスル或カノ元、及ビ之ヲ作成スルニ必要ナル設備」というものは、これはその中に軍需生産設備が入つておると、この答弁文句を読みましても解釈せられるのでありますが、そういう発言がありました点を認められますかどうか。  それからその次がこれは原子爆弾その他に関連をいたすのでありますが、言葉をそのまま引きますと、「新タニ学問上発達致シマシタ所ノ特殊ナル戦争手段ノ如キハ、陸海空軍デナクテモ固ヨリ戦力デアリ、多数ノ人間ニ多クノ生命、身体ニ関スル変化ヲ惹起スルト云フヤウナ手段ハ之ニ入ルト思フノデアリマス、」こういう広汎な多数の人間に多くの生品身体に関する変化を惹起するというような手段というのが原子爆弾であるかどうかはわかりませんけれども、少くとも「新タニ学問上発達致シマシタ所ノ特殊ナル戦争手段」というものの中に、原子爆弾がこれは概念上入るとしか考えられんのでありますが、それは解釈を含めて。こういう答弁が金森国務相によつてその当時述べられたという事実はお認めになるだろうと思うのでありますが、伺いたいと思います。
  61. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 私どもも速記録をちよちよい見ておりまして、御指摘のような言葉も確かにございます。ございますけれども、例の金森……例のは取消しますが、これは全体的に金森国務大臣の答弁を総合して頂きませんというと、その意図が奈辺にあるかということはわからないと思うのであります。その点について吉田委員からこの間予算委員会の総会で木村法務総裁にお尋ねがありまして、木村法務総裁が当時お答えしたことを私は覚えておりますが、要するにこれらのものを、今例に挙げられましたものについて、戦力の構成要素という面と、戦力そのものというか、いわゆる総合された戦力といいますか、そのものとの面に、何といいますか、観念の区別というものは、これは私自身もそう申上げていいと思いますが、当時、憲法制定当時においては、実はそれほどはつきりしておらなかつたのです。それから今のようないろいろな言葉遣いが出て来ておると思います。併しそれにいたしましても、この間法務総裁から答弁いたしましたように、金森国務大臣はこの施設というものが戦力であるか、戦力如何ということについては、総合的な判断によるほかないということを申しておりますから、その面においてはやはり総合的の判断ということをはつきり述べておるわけであります。この速記の中の一句々々を引出して見ますと、ちよつとはつきりしない面があるように私も思つております。
  62. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、潜在戦力という概念は法制意見長官として御否定になるのでありましようか。その点承わりたいと思います。
  63. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 憲法第九條、第二項にありますように、「陸海空軍その他の戦力」とございます。その文字から潜在戦力というものを全然無條件に引出す、そういう観念が出て来るとは、私は先ず第一の文理解釈からして出て来ないことであろうと存じます。もとより「陸海空軍その他の」とあります「その他の」という言葉は、普通の立法の法令用語としては、「内閣総理大臣その他の国務大臣」という場合に使いますように、例示の場合に使つておる言葉でございますから、「陸海空軍その他の戦力」とありますれば、陸海空軍というものが戦力の例示として挙げられているというのが普通の法律の読み方であろうと存じます。「陸海空軍」とは、御承知のように、総合的なものであり、且つ潜在的とは言えない存在であろうと思いますからして、無條件に「その他の戰力」の中に潜在的という言葉が入つておるとは、私は文理解釈としては無理じやないかというふうに考えております。
  64. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと関連しまして、このいわゆる潜在戦力の問題については、前に私、法務総裁に、英文のほうにアザ・ウオー・ポテンシヤルとありますので、それと関連して御質問したところ、日本文で書いたのによつて解釈すべきだ、こうおつしやつたのですが、大体通念としてこはが非常に有力な参考になつているということは御否定なさらないでしようね。この英文の憲法、普通こういう六法全書にみんな英文がついておるのですがね。それが全然関係ないというようには受取れないのですが、この英文の草案と現在の憲法との間にやつぱり非常に参考になつているという点は御否定しないのでしようね。
  65. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 英文にどのくらいの権威を求めるか、これはもうそつけなく申上げれば、英文というものは何でもございません、日本文が成文でございます。帝国議会によつて三分の二以上で可決されましたものは、英文はよつてではございません。日本文によつて可決されましたのでございます、と申上げればそれきりでございますけれども、併し成立の経緯から申上げますれば、私どもも英文は随分使いました。お互いの交渉については英語で交渉したということも、これは事実でございますから嘘は申上げられません。併しその制定の経緯として、まあ今なら申上げていいと思いますけれども、実は向うと折衝いたしました場合に、日本文と英文と両方向うの人が見ております。日本文のわかる人がやはり向うにたくさんおりまして、常にそれが神経質に日本文のほうまでも穿繋いたしまして、例えば補弼賛襄というような言葉、今は助言と承認となつておりますけれども、昔は補弼賛同というような言葉が使われたというようなことがいろいろございます。それらについても向うの人が目が届く。と同時に、英文のほうにつきましても、我々のほうとしては英文を日本文に合せたいという趣旨で、始終英文についての改善を加えておりました。第九條の英文につきましても、私の記憶いたしておりますところでは、少くとも六回は変つております。日本文に関係なしに英文だけを変えております。例えばアザー・ウオー・ポテンシヤルのところでも、最初はオアと書いてあるのを、アズ・ウエル・アズと直したほうがいい、或いはコンマの打ちどころとか、ポテンシヤルの問題も日本文とどうもびつたりしないところがあるのじやないかという気待は当時から待つておりました。エアー・フオースとか、何とかフオースとありまして、日本通り「その他の戦力」というのを英語にそのまま移そうといつても、適切な言葉がなかつたということも、これは本当の事実であります。併し今仰せのように、潜在的の観念というものはどうしてもポテンシヤルという言葉の中にあるのじやないかということは、当時から考えておりましたけれども、我々当時、自己満足かも知れませんけれども、考えておりましたのは、陸海空軍とあつて、やはり英語にもそうありまして、そこにアザーという言葉がついておる。日本文の場合にその他とあるのに対応いたしまして、アザーとなつておる、アザーとあることはやはり前のものと全然無縁のものでアザーで受けるはずはないだろうというようなことを議論したことも覚えております。それからもう一つ潜在という言葉が普通使われておりますけれども、これは潜在と言うのは広過ぎるので、稼働していないといいますか、未稼働といいますか、非稼働といいますか、いわゆる稼働していないという状態もポテンシヤルの中に考えられるのじやないか。そうすると、例えば、これは私の個人のことで恐縮でございますけれども、陸海空軍というものでも、現実にアクチユアルに働いておる場面と稼働していない場面というものがある。例えば平時においてそのまま静止しておるというような場合もあるのであります。従いまして、ポテンシヤルという言葉も、今のようなことを総合いたしますと、そう広い潜在性というものはそこから出て来ないのじやないか。せいぜい未稼働という程度のものじや、ないだろうかというふうに私自身は、これは個人のことでございますけれども、考えておる次第でございます。
  66. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連質問が長くなつて恐縮ですが、非常に率直に経過について御説明頂きまして、大分よくわかりましたが、当時この憲法を作るについて、御承知のように、この戦争の経過から鑑みて、日本を非武装国家にする。そういう方針で降伏後の対日基本方針も定められております。そういう線に沿うてこの憲法が作られていることは、経過から言つても明かです。対日基本方針に基いて日本の非武装化、平和化、民主化というようなものをやつたわけですが、そのときに、これは吉田委員もたびたび指摘されましたが、日本の非武装化の対象となつたものは、御承知のように、陸海空軍は勿論、それから軍事施設、それから更に進んでは日本を間接に軍国主義国家に育成せしめた要素まで、例えば土地の封建的な所有、それから独占的な財閥の所有関係それで独占禁止法、財閥解体、土地開放となつた。そういう経過から考えましても、日本を非武装化する手段としてその対象となつたものは非常に広汎であるのですが、そういうものもやはりウオー・ポテンシヤルと、これは非常に広過ぎるかも知はませんが、我々はその継過から言つて解釈できると思うのです。兵器生産も禁じられているということから考えても明かだと思うのでま。ですから、只今の御説明は御説明として伺いましたけれども、普通通念として考えられるいわゆる潜在的戦力というものを解釈する場合、只今の御説明は余り正確ではない。前に衆議院で私のほうの黒田寿男氏も引用しましたが、軍縮会議委員会において戰力の規定をしておるのでありますが、そのとき全然外国と戰争しないで国内を防衛するだけの戰力というものはあり得るかどうかということが問題になつて、ドイツではあり得る、こういうので、ところがドイツではそれがしまいには対外侵略になる、こういう経過もあると思うのです。従つて只今の御説明は御説明として承わりますが、余りどうも正確でないようで、まあどうも今後の日本の漸増計画を合理化されるに都合がいいようなお話に、これは私の曲解かも知れませんが、受取れるのですが、このポテンシヤルという解釈、世界的、国際的、通念としては、只今の対象は余り狭過ぎるのじやないでしようか。
  67. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 私は今ポテンシヤルの英語のほうに触れて少し深入りし過ぎましてどうかと思いましたけれども、今述べました通りであると私自身は考えております。又いずれにしましても英文というものは先ほど最初に申上げましたように、一応のまあ参考にはなるということの程度でございますから、やはり帝国議会が三分の二以上でこれをお通しになりましたこの日本文によつて日本文が文理上どの程度のことを現わしているかということを検討するのが我々の責任じやないかというように私自身は考えておる次第で、日本文によつて最初に御説明した次第でございます。
  68. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その日本文を解釈する一つの参考としてさつきお伺いしたのですが、我々は勿論そういう意味で御質問したんですから、あとはまあ議論になりますから……、私は何もこれに理論に基けと言つているのではないのでありまして、日本文の戦力というものを解釈する場合、いろいろ議論がありますので、その一つの参考、非常に有力な参考であつたわけですから、従つてそれをポテンシヤルの解釈についていわゆるこれは相当深めて、世界の例とかこれまでの審議の経過というものをお伺いしているわけなんです。
  69. 吉田法晴

    吉田法晴君 この問題はまあ日本語の憲法だから日本語で解釈する、これもこの間の神川先生の話のようにどうせ向うから作らされた憲法だから講和になつたら変えるんだと、こういう考え方なら別であります。実際にある憲法を解釈する、その場合にこれは権威として……、私は申上げるまでもなく昨日もお述べになりましたけれども、今の御答弁だとアザー・ウオーと、その次にポテンシヤルが入つていないような御解釈であつたように聞くんですが、その辺の議論は省略いたしまして、先ほどの御答弁では例えば原子爆弾或いは軍需生産力、こういうものもこれは戦力或いは潜在戰力と認めないと、こういう御答弁であるかのように聞いたのでありますが、さようでございましようか、もう一辺念を押しておきたいと思います。
  70. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) このその他の戦力という言葉その戦力の意味につきましては、我々の考えておりますところは、それを総合的に見なければならんというのが一つの見方であろうと思います。その場合或いは原子爆弾といい、或いは人員といい、或いは場合によつては軍艦という、それは戦力の構成の一々の構成部分になると思いますけれども、先ほど申上げたように、陸海空軍という完成された形のものを頭において、それを例として挙げております以上は、それが総合されたものは即ちその他の戦力に入るだろう、そういう意味から個々の兵器、個々の人々の人員というような関係のことは総合体として観察しなければならないということが一つであります。もう一つは今の潜在性の問題でございますが、潜在という意味は、日本語からは窺われない……、のみならず陸海空軍という一つの潜在でないものを例に挙げておる以上は、その他の戦力というものも潜在でないものを言つておるのだというのが正しいすなおな読方ではあるまいかという今の二つの意味から攻めて行けば、結論はきちつと出るんじやないかというふうに考えております。
  71. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうしますと、英語の文字、ウオー・ポテンシヤルという、そういうものは参考にならない、或いは解釈の鍵にならない、一つ憲法の表現と考える必要はないとこういうまあお考えであることになります。そうすると文字から言いましてもその他の戦力という文句が要らんことになるわけであります。陸軍、海軍、空軍そういうまとまつた戰力でなければ戦力でない、人にしてもものにしてもそれだけでは戦力にならん、木村法務総裁の縷々言われて来た統合しなければ原子爆弾だけでは戦力にならない、こういうまあ御解釈かと思うのですが、第九十帝国議会で金森国務相その他政府で説明せられましたもの、これはウオー・ポテンシヤルの言葉と関連があると思いますけれども、例えば原子爆弾なら原子爆弾一つつてみても、これは戦力になる、こういう解釈がとられておる。或いは軍需生産力にしましても、それだけで一つの潜在戦力になるという解釈がとられておつたと先ほど聞きました。金森国務相の答弁を一つの例にしたに過ぎませんけれども、その当時の解釈と現在の解釈とは違つておる、これはあの成文憲法に基いて各憲法の学者が解釈しておりますところから見ましても、或いは憲法審議の際の政府その他の発言から見ましも明かじやないか。そこに時間が相当ございますけれども、あの当時の解釈と現在の解釈とは違つておる、こう見る以外にないのですが、その差違を認められますものでしようか。
  72. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 先ほど吉田委員にお答えしましたときに触れたのでございますが、この戦力を構成する要素という観念から持つて参りますれば、この御指摘の原子爆弾或いは軍艦というようなものも戦力を構成する要素にはなりましよう。ですから当時の説明というものは、戦力全体の面、それから戦力を構成する資格を、適格性を持つておる諸々のものというものを包括して説明しておりますために、今のようにいろいろこういう御疑問が出るんだと思う。それははつきりこの第九條の全体の精神ということから今、新たに観念を整理して説明すれば私の申上げた通りであつて、その点については昔の答弁も今の答弁も私は違つていないというふうに考えております。
  73. 吉田法晴

    吉田法晴君 これはそうすると国会での論議、政府の答弁、そういうものについては、これは水掛論になるかと思いますが、成文憲法の解釈、これについて日本憲法学者なら憲法学者が殆んど大多数……佐々木惣一先生と、それから芦田さんが異論がある、これも初めから明らかであります。解釈として大部分が原子爆弾或いは原子力生産、そういつたようなものを含めて潜在戦力として憲法の中には考えられおるその他の戦力の中に含まれておるという解釈をとつてつておるのです。憲法の解釈の問題になるわけであります。私はその点について実在する憲法、それについての解釈というものも一つの方便だと考えるのですが、極く少数の部分の考え、或いは芦田さんなら芦田さんの解釈、従来とつてこられた解釈を以つて政府が解釈するということは、こういうことは変説だと思うのです。今の潜在戦力についてこれは従来解釈、政府もそのときにはそういう解釈をとつて来たと思うのですが、現在においては変つておる、こう私どもこれは何の下心を含まないでもそう解釈せざるを得ないのでありまして、その問題についてここでこれ以上議論をしてもしようがないのでありますが、問題はそういう変化がある、或いは解釈権について政府が違つて来た。私どもは最初からずつとそうであつたと解釈する、そうしてこれはこうなりますと憲法の解釈権の問題になるのでありますが、憲法の解釈権問題について木村法務総裁憲法の解釈において国会と政府とが意見が対立した場合には最高裁判所がきめるのだ、こういうお話でありました。ところがその点につい私は現在でもそう思いますし、それかてらこれはその点について、この間公述人をよんで参議院の予算委員会で聞いたときにも、これは中村、それから田畑両教授でありますけれども、憲法の解釈権について国会の優位性、これは政府に対しても勿論でありますが、国民の代表としての、或いは憲法上の最高の機関としての、国の最高の機関としての国会の解釈権の優位性を裏書されたのでありますが、この点について佐藤法制意見局長官はどういうふうに考えられますか、もう一度承わりたいと思います。
  74. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 私は憲法の解釈権というものは、おのおの政治或いは行政の運営に当つている当局というものが解釈権を持つていると考えます。内閣部内におきましては内閣、即ち政府の担任する行政に関する限りおにいては政府が責任を以て憲法を解釈して、正しいと信ずるところに従つて動くのが憲法の要請するところだと思います。或いは純粋に国会内部の事柄に関することであれば、これはもとより内閣が解釈をさしはさむという事柄でもないということであろうと思います。そしてその間に具体的に争いが起きまして、どうしても最終的の判定を要するという事態になりました場合には、憲法に掲げてございます通りに最高裁判所がその最終的な判断をなすということになるというのがこれが正しい考え方であると思います。
  75. 吉田法晴

    吉田法晴君 法律の問題につきましても、法理に従う行政の問題については、憲法の七十三條に規定があつて、「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行う。」として、「法律を誠実に執行し、国務を総理すること。」それから四号に「法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。」明かに法律に従うこと、従つて法律を作るこの立法機関としての国会の行政の面における優位性を認めているわけであります。なお憲法全体の構成からしまして、国権の最高機関というのは国会しかないわけであります。憲法全体の民主主義の建前からいたしまして、これは前文にも入つておりますけれども、国民主権、従つてこの国民主権の表現の機関であるところの国会の優位性、そうしてその国民の意思が国会に集約せられたものに従つて政府が行政をやつて行く。これは憲法全体を貫いている昭昭乎たる大原則だと思うのでありますが、憲法の解釈問題についても政府とそれから国会との間において、政府政府で持つている、国会は国会で持つておられるのだと、こういう工合に憲法解釈権をめぐつて政府と国会の対等さをあくまで主張せられますかどうか、もう一度承わりたいと思います。
  76. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 誠に国権の最高機関と憲法に書いてございます。それは憲法の明文によつて諸所に現われておりますところを総合いたしますとおのずから出て来るところだろうと思います。例えば内閣の首相であるところの内閣総理大臣というものは誰によつて選ばれるかと申上げれば、これはやはり国会がお選びになる。それは最高機関としての一翼であろうと思います。そうして最高裁判所の裁判官といえども、これは国会によつて生み出された内閣がそれを任ずる。その根源はどこにあるかというと、やはり内閣を構成せられる根源になつている国会ではないかというような点から総合して申上げれば、うそいつわりのない最高機関だと思います。ただ今お示しの問題は憲法にどこにもそんなことは現われておりませんのみならず、一般の法の観念として当然申上げるところであろうと思つて申上げるのであります。  それから丁度今、法律を誠実に執行しというお話がありましたから申上げますけれども、これは純理論として申上げます。政府のやつているところが憲法違反であると国会として思われる、或いは憲法違反でないにしても面白くないと思える場合には、唯一の立法機関たる面において法律を御制定になる、そしてその法律ができ上りますれば政府はおのずからそれに従わなければなりませんから、何も憲法解釈論から議論をする必要はないので、私をして理屈だけを申上げますれば、立法権を以て内閣を抑えることができるのじやないか、そういうことで憲法は調整をとつているのじやないかと思います。
  77. 吉田法晴

    吉田法晴君 問題が起つたならば、憲法の解釈についても疑義が起つたならば法律を作つたらいいじやないか。或いはこれは兵器の製作問題についても、前に総括質問のときには兵器を作つておりませんという御答弁でしたが、今日の予算委員会では作つておらないとは言われませんが、法律的な措置を講じなければならんだろうということを通産大臣は認められ、逆に兵器を現在作つているということを認められたと私はまあ思うのでありますが、兵器を製造するかどうかということが憲法に違反するかどうか。これは潜在戦力の問題になりますけれども、私どもは憲法に違反すると思う。これは兵器を生産しているという事実はないという曾つての安場長官の否認は、作つているということであれば憲法違反の問題が起る、こういうことで作つているということを言われなかつたのだろうと思う。事実が先行して、それから兵器生産に関します法律はこれから考えて行く、こういうこと、これは実際ございます。言い換えますというと兵器生産なら兵器生産一つをとつてみても、今の政府法律なり憲法に違反することを先に進めておいて、そして法的な措置はあとからやつて行く。いわばこれは民主主義をふみにじる一つのやり方ではないか。何と申しますか行政権の立法権に対する事実上の優位を事実を以て主張して行こう、こういう態度であると私は考えております。従つて問題は原則にさかのぼつて行政権に対する国会の優位性というものを主張しなければならない。それは事実の上でなくて権限の上で争つて行かなければならん、こういう工合に考えているのであります。そこでこれは国会の解釈権がどうなるか、その問題に関連して予算委員会、それからこの委員会も又こうして持たれているわけでありますから、これは憲法の解釈問題について国会の意見というものはあとで又出て参ると思うのであります。争いがあります場合に、それでは国会と行政府との間では対立したまま、こういうことになつたといたしまして、それでは木村法務総裁に伺いますけれども、すでに憲法九條違反の問題については違憲訴訟もなされているわけでありますが、違憲訴訟の結果政府が破れた場合には、言い換えますと今の警察予備隊、今後警察予備隊の増強についてそれが違憲であるという訴訟が出ました場合に、さかのぼつてどうされますかということについて伺いたいと思います。
  78. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 先ほど飛行機生産のことを申上げました。飛行機生産が憲法に違反するかどうかということでありますが、それこそ今度飛行機生産についての法律を審議されるときに、これは憲法違反であるというなれば、国会でそれをお通しにならん、その処置がとれるのであります。そこがいわゆる国会の権能であると私は考えております。個々の事実について憲法違反なりや否やということを十分に御検討になることだろうと私は考えております。  それから只今違憲の訴訟が最高裁判所に提起されているということでありますが、そのことについては私は詳細わかつておりません。従つてその結果どうなるか、こうなるかということについてまだ我々は検討を加えておりません。
  79. 吉田法晴

    吉田法晴君 それから大橋法務総裁は……。
  80. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) あとから必要な場合に呼びます。先きに木村法務総裁に対する質問を成るべく集中してやつて頂きたいと思います。
  81. 吉田法晴

    吉田法晴君 それからそれでは行政協定の先ほど本委員会でやつておりましたが……。
  82. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) ちよつと吉田さんの御質問に関連して、木村法務総裁に関連してこの機会に聞かしておいて頂きたいと思いますことは、それは実は予算の本委員会におきまして質問をいたしたのでありますけれども、あなたがおいでにならなかつたので、まだその御答弁を承わつておらんわけなんであります。それで或いは形式上は本委員会でして頂くのが順当かと思いますが、丁度この機会でありますから、ここにもう一度御質問します。御答弁を承わりたいと思うのであります。それは今政府の違憲ということの問題について、もつぱら憲法第九條との関係について吉田法晴委員から御質問があつて、あなたと及び佐藤長官との間に質問応答が繰返されておるのでありますが、それについての私の考えをここで申すのではありませんが、同時に今参議院で問題になつておりまするこの行政協定が、憲法第七十三條によつて国会の承認を受くべきものであるということについて、私たちと政府とが見解を異にいたしているわけなんでありますが、政府の御見解は別個といたしましてですね、仮にこれが違憲であるという場合におきまして、憲法第八十一條には「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」とこういう規定があるのでありますが、行政協定は即ち我々は七十三條規定の條約であるという見解をとつているも  のであります。それは又政府も大体そういう見解をとつておられるから、最近の国会に対して麻薬に関する協定の承認を求められたのでありますから、これは大体において一点疑惑を持つところの余地はないのであつて政府もそういう処置をとつておられるわけでありますが、それで條約の違憲性というものは、最高裁判所が決定する権限を有する最終の裁判所であるか否かということの問題なんでありますが、條約という言葉は文面の上では、八十一條にはのつておらんと一応解釈されるのであります。強いて解釈すれば処分という言葉の中にも或いは入れられるのではないかという見解も存在すると思うのでありますが、これについての法務総裁の御見解を実は先般質問いたしたのでありますが、御答弁をこの機会に一つ伺いたいと思います。
  83. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 一応私から御説明申上げます。今御指摘の問題は非常にむつかしい問題で、学説といたしましても両論あります。私個人としては別に考えて未熟でありますけれども、持つておりますけれども、要するに政府としてこの最高裁判所の権根について憲法解釈をきめたものがございません。きめる段階にも至つておりません。結局私は最高裁判所自身で判断さるべき性質のものであろうと存じますから、強いて政府が無理に解釈をきめる必要もないということでございます。要するに非常に問題のある点である、而して政府としてはまだ解釈を別に決定したことはございませんというのが一応のお答であります。
  84. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 私今の吉田君の……
  85. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) ちよつとその前に外のことです、それは今の佐藤長官の答弁に関連して木村法務総裁の御意見は如何でしようか。
  86. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私もこの点については私見がありますが、述べる段階に至つておりません。佐藤長官と同じ意見と御了承を願いたいと思います。
  87. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 私一つお聞きしたいことは、今戦力問題で潜在戦力についていろいろ議論をされたのですが、潜在戦力まで行きませんで、実は木村法務総裁からこれは純法理論でお聞きしたいわけなんでありますが、木村法務総裁は、近代戰を遂行し得るに適切且つ有効なる装備と編成を持つたものであるという御解釈でずつとおいでになりました。で実は先ずこういうこの戦力について学説をとつた、どこにこういう学説があるかどうかということだけをお答え願いたい。実は法務総裁の御意見ですから、非常に権威があると思うので、どこかにより所がなくちやならんと思つて一生懸命に勉強したが実はどこにも発見できない。又あらゆる学者にこの間参考人に来た学者、両院法規委員会、大蔵委員会、皆聞いて廻つたが、どうも学者どもも何といいますか、非常に学識が浅いのかどうか知りませんが、そういう説がわからない。恐らく佐藤さんが一番理解が深いだろうと思いますので、佐藤さんからそういう学説がどこかにあるかどうかということをお教え頂ければ非常にありがたいと思います。
  88. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 近代戦争遂行能力という言葉は合言葉として非常に便利に響きますものですから、議会の質議応答等の場合においてその言葉を便宜として使われておると思います。殊に実態を突きつめて見ますと……
  89. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 内容あとで聞きます。
  90. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) それは私の知つております範囲では、東大の先生がたの編さんされました、御承知だろうと思います。例の註解日本国憲法という上中下に分れたのがございます、その中に辛うじてといいますか、一つの表現が出ております。というのは、今私ここに持つて来ればよかつたのですが、現在における戦争というものを考えてみると、これは国というものが数カ国しかない。数カ国の強国というものによつて大きな戦力を持たれているような今日の情勢においては、この日本国憲法のいう戦力の限度というものは、相当高いものだということははつきりその中にあるのであります。それを簡単な言葉で現わすと近代戦争遂行能力、これがぴつたり現わすのじやないかと私はさように思つております。
  91. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 この註解日本国憲法の抜萃も持つているのですが、議論をここでしようとは思わない。そういう説がどこにあるか、これは実は大橋国務相もやはり似た解釈をとつている。それで木村法務総裁もそういう解釈にもう少し端的な表現をされている。併しこういう表現をされた実は学説というものはどこにもない。  もう一つお聞きしたいことはこういう憲法の解釈に当つて政府というものは非常に慎重でなくてはならん。成るほど政府自身の一つ政府としての解釈というものは存在し得るでしようが、恐らく政府というものが憲法解釈をするに当つては通説に従うことが一番民主的なやり方であつて、非常に例外的な解釈をおとりになることは、私は実は非常におかしな話だ、こういうふうに考えるのです。で佐藤さんにお聞きしたいことは政府法律解釈の心がまえは異説を特に唱えないで、通説を重んずべきものだというお考えはございませんですかどうですか、その点を一つ
  92. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 何が通説であり、又何が正しい真理を現わしている説であるかということは、これは神様でなければ判断できないことだと私ども考えます。少くとも私どもの感ずる限りにおきましては法律解釈の普通の常道に従つて文理解釈、條理解釈というようなことをとつて出て来る結論というものはこれを尊重しなければならんという態度でおります。その実態ばもう先ほどから申上げた通りであります。
  93. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 私は実は佐藤さんから哲学の講釈を聞くつもりはないので、現実に政府が解釈するときにどういうような解釈の態度で、法律家であらせられる佐藤さんなんかが態度をとつておられるかということをお聞きすれば事足りると思います。それでは実はもう私は戦力については余り政府に質すことがないので、学説をどこにおとりになつておるかということを聞けばいいのです。行政協定について少しく今日岡崎国務相に出席を要求しておいたのですが、おりませんけれどもようございましようか。そうすれば純法理論だけで結構ですが。
  94. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) ようございます。岡崎国務大臣出席を要求いたしましようか。
  95. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 してあるはずなんです。
  96. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) それでは出席するように要求いたします。
  97. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 岡崎国務相は余り法律解釈が確かでないようでありますから法律解釈は或いは法務総裁佐藤意見長官の助言を得ておやりになると一番いいとも考えておりますからお聞きしてようございましようか。御用意があるか、ないか、それだけ先ずお聞きいたします。
  98. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) それでは岡崎国務大臣がが臨席いたしますまでもつぱら佐藤長官に対する質問をお願いいたします。それから木村法務総裁は急用ができて退席したいということでありますから……。それでは楠見君。
  99. 楠見義男

    ○楠見義男君 私は佐藤長官に純法律的な立場の御意見を伺いたいと思いますが、その一つは先ほど堀木委員質疑応答から生じました疑問でありますが、それは先ほどの堀木委員の質問に対して、條約の一部修正ということは憲法の建前上できるものと思うという御答弁があつたように思いますが。
  100. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) ちよつと途中でございましたけれども、私が堀木委員にお答えいたしたのは、国会の御承認に際して條約の一部修正ということはできないであろうということを堀木委員にお答えしたのであります。
  101. 楠見義男

    ○楠見義男君 そこでお伺いするのでありますが、実は今回の行政協定それ自体は安保條約の一部であるとかないとかいろいろ議論があるのであります。いわば行政協定自体は條約と同様である、こういう解釈であろうと思います。そこでこの行政協定に基いて予算的措置、或いは立法的措置が政府によつて講ぜられ、その結果立法府においてその立法的措置の中の一つ或いは二つは仮に成立しない場合においては、この行政協定自体その関係の項目は実施されないことになる、こういうような岡崎国務大臣の御答弁があつたのであります。そこで只今意見長官からお述べになつた国会ではその一部の修正は困難であろうという御解釈と岡崎国務大臣がお述べになつたその解釈と多少食い違いがあるように思うのでありますが、その点はどうですか。
  102. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) それは全然食い違いはございません。別の問題であろうと思います。と申しますのは今私の申しますのは、例えば平和條約或いは安全保障條約というものを国会の御承認にかけますときに、そのうちの第何條を削除して承認するというような承認のなされ方は憲法上の建前からできないということを申上げたので、條約そのものを御承認になるときの国会の修正権の問題を申上げたのであります。ところが第二の今の岡崎国務大臣の話に関連してのお尋ねは、條約はできました、その條約を実施するために国内立法を作らなければならん、その国内立法が成立しなかつた場合にどうするか、これは全然別の問題であろうと思います。
  103. 楠見義男

    ○楠見義男君 その点は多少疑義が昂ると思うのであります。と申しますことは行政協定は本来條約で国会の承認を要するものであるけれども、安保條約の第三條によつて委任を受けている、従つて改めて今回行政協定の承認を要しない、こういうことであります。従つて條約全体として効力が発生する、併しその内容をなす個々の立法的措置において或るものが国会において成立をみないということになれば、その條約の一部が修正されたと同じ効果を発生するのではないか。従つて只今お述べになるようなふうに理解されないのではないかと思うのでありますが、その点はどうですか。
  104. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) それは二つの條件を置いて考えればお話のようになります。即ち先ず国内の問題というものを一つの條件に考える。それからそれは政治的の問題と法律的の問題と別にして、実際上の問題というふうに限ればお話通りになります。
  105. 楠見義男

    ○楠見義男君 その問題はなお疑問がありますので、私もよく研究して更に御質問をしたいと思います。  次の問題は先ほどから問題になつております戦力の問題であります。戦力と戦力ならざる力との限界について私も予算委員会でいろいろ質問をいたしましたが、結局先ほど堀木委員から述べられたように政府は近代戰を遂行する上において有効適切なる力、而もそれは人的、物的に総合せられた力といら御答弁でありまして、結論的に言えばこれは結局わかつたようなわからないような議論なのであります。そこでこの人的、物的に総合判断せられた力という、その総合判断は一体誰がするのか、この点を一つお伺いしたいと思います。
  106. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) それは先ほどの吉田委員憲法解釈権の問題に関連して来ると存じます。私の先ほど申しましたプリンシプルから述べますれば、政府の行政担任当局という立場においては、政府の責任においてそれは判断しなければならない。今の予備隊の関係から申しますれば、その予備隊関係の行政事務というものは政府がやつておりますから、政府が責任を以て判断して善処しなければならんと、かように考えております。
  107. 楠見義男

    ○楠見義男君 その場合に行政府立法府との意見が相異なつた場合には最高裁判所が最後的な決定をすると、こういうふうに今まで説明を伺つているのでありますが、そこで仮に現在の警察予備隊の力が、政府は総合判断してこれは戦力でないというふうに言い、而して又立法府はこれを仮に総合判断して戰力であるというふうに、解釈が政府立法府とが違う場合がある。最高裁判所に具体的に提訴する場合には具体的のケースを挙げてやらなければならんというふうに承知しているのでありますが、その場合の具体的のケースとして予想せられることはどういうことでありましようか。
  108. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 具体的のケースでなければならないということは普通の学者なり或いは政府当局の考えておるところであつて、最高裁判所自身があれについてどういう処置をなされるか、実は我々としては興味を持つて監視をしている、監視というと語弊がありますけれども、注目をしているわけなんで、今の然らばどういうふうにしたらうまく最高裁判所にたどり着けるかという問題については、いろいろ新聞などで拜見いたしておりますが、土地の収用にひつからめてやつてみたらどうか、或いは懲戒事件にひつからめてやつてみたらどうかということを言われておりますが、私自身はまだその点について真剣になつて考える必要もございませんでしたし、又現に考えておりません。
  109. 楠見義男

    ○楠見義男君 それでは次に憲法九條の問題に関連して、いつ憲法違反の問題が起るか、そのことについて純法律的な立場からお伺いしたいのでありますが、それは憲法九條の二項で戦力を持つことができない、こういうふうに規定してあつて、その戦力を持つことができないということはいつ発生するか。これは言葉をわかりやすく申しますと、我々のほうの岡本委員は本委会でも戦力と戦力ならざる力は庭球における軟式と硬式の違いだ、現在は軟式であるけれども戦力は硬式だ、従つてそれが硬式になるときに戦力のこの問題が起るんだ、こういうようなふうに述べられておるのでありますが、私は多少その点は見解を異にしておりまして、現在の警察予備隊の力が一歩々々最高の戰力の状態に進みつつある。従つて私は本委員会では冨士登山の例を挙げまして一合目、二合目、現在が二合目であるか、四合目であるか、これは別といたしまして、とにかく富士登山をやつている。そこで先ほども話を申上げましたように、近代戰を遂行する上において有効適切な力、而も総合判断した力というようなあいまいな言葉では結局職力問題の解決が戦争をして初めて戦力であつたというような極端な議論にまでなるわけであります。従つて戦力の方向に向つているときが即ち憲法九條第二項の違反になりはしないか、こういうふうに個人的ではありますが、疑義を持つておるのであります。一体純法律的に考えてこれは佐藤長官は政府の役目でありますから、こういう質問をすること自体が或いは無理かもわかりませんが、純法律的に考え憲法九條の二項の戰力を持つてはならないということは、今私の端的に二つの例を挙げて申上げましたいずれに当るか、この点お伺いしたい。
  110. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 純粋に法律的に申上げますと、大体憲法にきめてあるもろもろの候文というものはどういう性格のものであるかということは、実際に当つて当然考えられることでございますが、私記憶しておりますところでは、当時憲法審議の帝国議会におきまして、金森国務大臣憲法というものは土俵のわくをきめたものである。その土俵のわくの中でいろいろな政府の対立する論争があつて、そしておのずから落着くところは正しいところに落着くので、憲法はその土俵のわくを踏み外してはいけないよということをはつきりときめているのだということを申しましたが、そういう観点からいたしますと、そのわくを踏み外す手前に今の富士山の一合目、二合目、八合目とは申しませんけれども、その程度での問題は私冷静に考えますと政治の問題であり、或いは立法政策の問題というふうに考えるべきじやないかというように思います。
  111. 楠見義男

    ○楠見義男君 私は憲法の解釈は政治的にそのとき、そのときの状態によつて自由に変幻無限に解釈されるということでは、私は国の基本法の権威としては非常にあやふやなものじやないか、こういうふうに思うのでありまして、従つて先ほど申上げたことを繰返すようでありますけれども、全くあいまい模糊たる中に完全な戦力というものが、これは抽象的、観念的な言葉でありますけれども、完全な戰力、それは戦争をやつてみなければわからない、戦争をやつたときに初めてそれは戦力を持つたんだ、こういうような状態にずるずると行く、こういうことを恐れるのであります。従つてこういうような大きな問題は、そのとき、そのときの行政府の一方的な解釈で解釈されるべきではないのですね。法理的にこれは相当根拠のある明らかなものを持つておかなければならないのじやないか。そこで端的に言つて、今申上げましたように完全な、これはまあわかつたようでわからないのでありますけれども、近代職を遂行する上において有効適切なる力を持つたときに初めて憲法違反になるのか、その方向に向つて進んだときに憲法違反になるのか、即ち意思を持ち、又その方向に向つて具体的に漸進的に進んで行くという方向づけたときに九條二項の違反になるのかという問題。
  112. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 憲法の定めておりますところは、戰力というものは客観的に一つきまつております。それを近代戦争云々というような言葉で現わしているわけであります。憲法考えているところの客観的な戦力の基準というもの、一つはそういうものを保持することを禁止しているというふうに読むのが、これは当然の読み方じやないかというふうに考えております。
  113. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと関連して、その場合、戦力の一部という観念、戦力というと何か全体が何か一つつたときに戦力といいますけれども、戦力の一部という観念は、どういう観念から出て来るのですか。一部は持つていいんですか。今のお話を聞くと、何か近代戰というと近代戰を遂行する能力を持つたとき戦力、ところがその能力とい亀のはいろいろなパーツから成るわけです。パーツというのはどういう意味ですか、これは戦力であるのかないのか。今の全部の戦力の一部は戦力でないというふうな解釈が出て来るのですか。その一部の解釈はどういうふうに解釈されるか、それは戦力でないのかどうか、戦力の一部は戦力でないか。
  114. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 一部という言葉は申上げませんが、私どもの考えておりますところは要するに憲法、これはもう盛んに、御承知でございましようけれども憲法第九條でうたつているのは「国権の発動たる戦争と、」これこれは国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄するという第一項が主眼であることは申すまでもない。ただその第一項だけではどうも安心ができない、その手段というものもはつきり禁止しておかないと自衛の名に隠れて又昔のあやまちを犯してはいけないから、第二段に万全の備えをする意味で更にそこで戦力と交戰権はそこで否定されているという大体の九條の精神は申上げるまでもないことであると思います。従いましてその場合の戦力を判断する場合に一部というようなことを取入れる余地はないので、現実に戦争に役立ち得る力という一点に集中して考えるの当が然憲法の解釈というふうに考えております。
  115. 楠見義男

    ○楠見義男君 今の佐藤長官は戦力の一部ということはおつしやらなかつたのですが、完全に戦争ができる状態なつたこの場合を戦力という、従つてこう戦力の要素がだんだんだんだんと盛上つて来た場合、まだ完全な戦力にならないこの状態においてはこれは戦力でない、従つて憲法違反じやない、極端なことを言えば、先ほど申上げたように繰返していえば、是非は別ですよ、是非は別だけれども現在のようにだんだんとわけのわからないうちにだんだんと来てほつと気が付いたときには憲法違反の状態になつている。こういうことではせつかく作つた憲法を我々は無視することになり、従つて今おつしやることで行けば幾らたつてもここに来るまでのこの状態憲法違反じやない、こういうふうに御解釈なんですか。
  116. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 憲法にいう戦力というものの客観的の実体は先ほどから申しますように一つのものが特定してあるわけであります。それの保持を禁止しているというだけなんです。
  117. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうしますと近代戰を遂行する上において有効適切なる総合力というものはもう少しはつきりしないと、而もその通説にもないただ註解憲法にあるという程度のことであつては、これは国会自身も、又政府自身も、国民もこれはもう向うところを知らずと、こういうことになり我が国の持つ大事な法制基本法である憲法意味がありません。あいまいな言葉というと語弊があるかもわかりませんが、つかみどころのない言葉になつては困ると思うのですが、もう少しこの言葉を明らかにするような御説明はないでしようか。
  118. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは事柄の性質上数字を以て明確に基準を示すということはこれはできないことは、今丁度御言葉に出ましたように、註解日本国憲法の先生がたもこういうものは数字的にはつきり現せない、具体的に実情に応じて客観的に判断するほかはあるまいとはつきり書いているくらいでありますから、これはどなたがお考えになつてもきちつとした標準は出て来ない。それはやはり一般の何と申しますか憲法解釈の態度によつてきまらなければならないことだと思います。その今の動きの問題、動きがどうなつているか、政治の動きその他の問題は先ほど申しましたようにこれは立法によるそこに調整というものはありましようし、今の御論議にありますような論議としてそれが現れて来るということであろうと思います。
  119. 楠見義男

    ○楠見義男君 私は再々申上げたようにこういう憲法の條章のごときものは、特に政治的な要素を加えてそのとき、そのときに応じて判断すべきものじやないというこれは私個人の考えですけれども、そういう考えを持つているのです。そこで結局今のお話のことをせんじつめて行けば自衛戦争でも戰争をやつてみて初めてこれは戰力であつた、こういうことにならざるを得ないと思うのですが、その点はどうでしようか。
  120. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) そうなりますか、私どもは客観的に今申しましたような基準というものはとにかくあるわけでありますから、それに達したときはいけないのであつて、現実に戦争をやつてみなければわからんということは又表から言えることではないように思います。
  121. 楠見義男

    ○楠見義男君 その点が、近代戰を遂行する上において有効適切なる総合力、そういう言葉だけでは戦力というものの内容がわからないのですね。従つて私が今申上げましたことにならざるを得ないのじやないかと、こういうふうに思うのですがね。
  122. 岩間正男

    岩間正男君 私も二三お伺いしたいのですが、第一に軍備と戦力というものはどういうふうに違いますか。
  123. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 軍備と戦力ですか。軍備という言葉憲法にはありませんので、これは憲法の目から見れば常識用語であろうと思います。従いまして憲法上常識の問題としては、戦力とは何ぞやということを私としてはお答えすればそれで足りるのであつて、現在の観念というものは別に法的にはつきりしたものではないわけであります。
  124. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると通念でいいのですけれども、軍備と戦力というのは同じように考えていいのですか。今いろいろ再軍備とか軍備縮小とかいろいろ国際的に使われているのですが、日本は軍備ということでなく戦力という言葉で実にあいまいなんですが、これはどういうふうに、この関係は。
  125. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 世の中で再軍備といわれているのは、恐らくこの憲法第九條二項による戦力を持つに至ることを称しているのだろうと思います。これはおつしやる通りであります。
  126. 岩間正男

    岩間正男君 そうするとこの戦力というのは、今近代戰を遂行するに可能な総合的な力だ、こういうわけなんですけれども、そうでない場合に、例えば今再軍備制限、軍備制限の問題でありますけれども、これはどういうことが国連で論議されているかといいますと、まあ今のような解釈で全部の総合したそういう力、こういうことだけじやない。例えば軍備制限の中で一番大きな問題になつているのは原子爆弾を制限する、このことが非常に大きな問題になつているのです。そうしますとこれはどういうふうになりますか、原子爆弾は。そこで軍備を制限しなくちやならない。これが非常に大きな課題ですよ、最大の課題なんですよ。マリクが再び今提案している。その中に原子爆弾というものは非常に大きな問題になつている。単独にやはり軍備、而も戦力。具体的な戦力、こういうこと零大きな問題になつているのですが、若しこれを木村法務総裁の説明によると、原子爆弾は単独じや問題にならない、戦力じやない、使わなければ戦力にならない。こういうことまではつきり言つている。そうしますと、国際通念で使われている軍備の概念と、法務総裁の説明、或いは先ほどからの説明の間に非常に大きな開きがあるということは、これはどういうふうに解釈するのですか。單に法文の解釈とは違うところの問題かも知れませんけれども、非常に現実論としましては大きな関連を持つ問題だ。そうしますと、これはどういうふうに解釈するのでございますか、その点。
  127. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 軍備という言葉に関連しては、これは今のような常識的な用語でございますからはつきり申上げかねますけれども、今のように戦力という言葉と軍備という言葉が同じだということに仮に前提を置きまして、そうして原子爆弾がどうかということになれば、先ほど来私が申上げます通り法務総裁が今御引用になつてお答えをいたしております通りに、これは軍備なり或いは戦力というものの有力な構成要素であるということは、これは申上げられましようが、戦力そのものの判定の問題としては單に総合されたものを合せて考えてみなければならないということでございます。
  128. 岩間正男

    岩間正男君 お話日本国会の、或いは日本法制意見長官の解釈の限界線が私はあるのじやないかと思います。世界で今大きい問題は原子爆弾そのものを問題としているのであります。今の日本で問題としているのもそうなんです。現実の問題としまして原爆があるかどうかということが問題なんです。これを使うかどうかということは、あるということは同時に使うという行為を前提としてこれはあるので、だからこれは問題になつているのです。つまりこれは一体先ほどから言われているけれども單に置かれている武器などということはあり得ない。抽象論として、形式論としては、單に置かれた軍備ということは切離して考えられるかも知れませんが、この軍備が問題になるのは、これを行使する一つの意思とか、そういうものがそれにまつわるからそれが問題になる。そこで今原爆を禁止するという問題は、これはあれば使う、そうしてこれが一つの大きな脅威になつている。而も現にこれによつても仙界に大きな一つの脅威を與えているのですよ。原爆を使うかも知らん、或いはどこどこの戦線に対してこれを使うことを考慮中であるということが新聞に出ると、これは非常に大きな脅威を與えている。こういうことを考えますと、單に今のような抽象論で、何といいますか、我々は余りはつきりしないのだが法理論の雲の中にもやもやの中にこれを織込んで行つてしまうと現実から非常に離れると思う。そういうふうになりますと、今の国連で問題にされているようなこの原爆というものは、とてもそういろ解釈には私は行かんと思う。この点はどうでしよう。
  129. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは私の常識判断でございますけれども、国連が今問題にしているという具体的の国々というものは、ただ原子爆弾のみがころがつているという国ではないと思うのでありまして、それにはやはり他の総合された力というものがあつて初めて問題にしているのだろうというふうに思いますので、私の考え方については前の通りと申上げるよりほかないと思います。
  130. 岩間正男

    岩間正男君 併しこれはさつきお話でなくても、使う可能性があるからこそ問題になつているのでありまして、それが今後使つてみなければわからないということを前提としているのじやないのです。これがあることが非常に大きな脅威である。そういう形でこれは原子爆弾そのものがこの際問題になつているのです。そうしますと、どうしてもこれは水かけ論になるかも知れんですけれども、先ほどの説明は私は了承することができないと思う。原子爆弾だけあつてこれを使わなければ軍備じやないのだ、戰力じやないのだ、こういうことは成り立たんと思うのです、現実論としてですよ。抽象論として切離して、そうして論理のもやの中に入れればそういうことは一つの遊戯にはなるかも知れんけれども、現実ではそういうことはとても問題にならんと思います。そこにつまり今の大体戦力論議の限界線が出て来ると思うのですけれども、そういうところをもう少し現実的に解釈することはできないのですか。法解釈としては、どうしてもそういうところは抽象的で現実に即応しない思います。  この点はおくとしまして、その次にお伺いしたいのは……。
  131. 鈴木直人

    鈴木直人君 ちよつとそれに関連して。この委員会では先ほど名前がきまらなかつたのですが、内容的には二十七度年予算に盛られているものと憲法との関係ということになつているように思うのですが、それでまあお聞きしたいのですが、この憲法九條の戦力というものはどういうものであるかということを抽象的に、それぞれ見解は違うのでありますが、政府の見解から見てこの二十七年度の予算に盛られているもの、これは原子爆弾などは盛られていないわけですが、現実に盛られているものを見ましてそうし先ほど楠見君が盛んに質問されておりましたけれども、戰力と戰力ならざるものとの区別もなかなかわからなかつたのですが、そういうものも考慮しまして、そうしてこの予算に盛られている程度のものが、政府考えている戦力に該当するかという政府の見解をお聞きしたいわけです。
  132. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 二十七年度の予算に出ております程度では戦力に該当しないと私は確信いたしております。
  133. 鈴木直人

    鈴木直人君 それで例えばそこの中に警察予備隊の予算が含まれている。そこでこの警察予備隊の予算は二十六年度予算にも盛られている。ところがそれに第一段階から二合目ぐらいになつたか、三合目ぐらいになつたが更に強化された予算が二十七年度で盛られたわけです。二十六年度の場合に憲法違反という問題は国会においては起きなかつた。それで二十七年度において初めてその何合目か上つた段階においてこの予算憲法違反であるということに論議が出て来たわけです。その段階において原子爆弾とか近代戰というものにふさわしいような装備もないようであります。勿論神川氏の意見を聞きますと、警察力そのものが憲法違反であるということであれば、もうすでに日本がこの新らしい憲法を作つたときに憲法違反になつているはずなんでありますが、これは一つの見解としまして、神川さんに聞きますとそうなんだというお話がございました。それは別といたしまして二十六年度特に二十七年度の予算の段階において、さきには憲法違反ではなかつたが今度は憲法違反でこれが出たということについて、実は私はその段階ではないと考えているわけなんですが、それについて御意見一つ伺いたい。
  134. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 全く鈴木委員おつしやる通りであります。
  135. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今意見長官は、鈴木さんの御意見に対して二十七年予算に、組まれている程度のものは憲法違反ではないと言われましたが、それは審議中なんです。結論をあなたはもう言われたのです。併しもう憲法違反であるかないかはわかることです。それがはつきりしてから結論を出されるならよいのですが、それはそれとして私がお伺いしたいのは現在の程度であつても今後の日本の軍備を考える場合に、御承知のように駐留軍がおるわけです。それでいわゆる集団安全保障方式によるわけです。日本国一国だけでは戦えない。そこでアメリカの軍備と日本の軍備が露なつて一緒になつてそれが一つの軍備になるわけですね。そのときに近代戰を営むに足るだけの軍備になると思う。それはお認めになるでしよう、アメリカと一緒にしたら。
  136. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これも政府からお答えしてある通りでございますが、日本憲法の解釈上、日本の戦力とは何ぞやという場合に、日本の保持場するものだけを取上げて考えるのがこれは当然のことであろうと思いますから、一緒になつてよその分までも含めてということは出て来ない。
  137. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私の申上げているのはそうでないのです。最近の近代職、これは総理も言つております通り最近の近代戰というものは一国だけでは戦えない。集団的侵入に対しては集団的保障。そこで今の警察予備隊は防衛隊となつて行くわけです、実際問題として。そうしてアメリカの戰力と総合して日本を守るでしよう。それは御承知でしよう。そのときには総合で、別々に考えて自衛ということは考えられません。ですからさつき一部分、一部分と言つたのは総合された近代戦力のパーツを日本がなすわけです。その場合に憲法によつても国際的紛争に武力は使わないが、アメリカは近代的戦力の武力です、その一部を日本が形成しておりますから、実際問題としてその集団安全保障の考えから今後の戦力を考えなければ、それは実際的じやないと思う。そういう意味日本日本国だけだからといつても実際問題として日本のそれとアメリカの武力とが合さつて集団安全保障をするのでしよう。集団安全保障というのはそうでしよう。実際はアメリカが空軍、海軍、日本が地上軍、こういう形でそれで集団安全保障、集団的攻撃に対して集団的防衛をする、そのパーツです、一部分です。ですから日本だけで近代戰はできない、日本だけでは永久にできません。要するにアメリカの戦力と一緒になるからそこで一部をなすので、一部の戦力としてそれが問題になるわけです。それこそが問題なんです。それこそが実際問題で今後の近代戰ということを考えればそうなんだ。若しもそうでないなら、日本が永久に幾らやつても、しやちほこ立ちをやつてもよそと戦えないのですから、永久に憲法を変える必要は出て来ない。実際問題として今後の近代戦の場合の集団的安全保障に対応するところの戦力、その一部としての日本の警察予備隊というものは憲法違反にならん、こういうふうに解釈されなければ実際的じやないと思うのです、総合職力といえば。ですから今の日本で原子爆弾を持つたつてそれは戦力じやないとは言えない。日本の原子爆弾を輸送して落すアメリカの飛行機があるのです。又そういう人も訓練されつつあるのです。それと合さつてなるのですから、原子爆弾が一発でも日本にあれば非常なこれは実際問題として日本の戦力になるわけです。集団安全保障体制としての戦力になる。この点はどういうふうに解釈するか伺いたい。
  138. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これはおつしやる通り、安全保障の問題はこの憲法制定のときから、すでに多くの国民の「公正と信義に信頼し」とか何とかいう前文がございまして、日本はゼロででもやはり安全保障の恩恵を受けようということになつたのでありまして、お話の筋からいえばゼロの場合でも考えられるわけです。この憲法九條との関係におきましては、これは法律的に先ほど私も申上げました通りであります。これは日本の保持する戦力のことをいつているのでありますから、あくまでも日本の保持する戦力の分を検討して行かなければならない。法律論としてはさようにならざるを得ないと思うのです。
  139. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは余りに狭い、何といいますか、近代的な考え方に副わないのです。それから戰争というものを説明するときには非常に近代的な説明をしている。(笑声)都合のいいときには近代戰をとらなければならぬ。ところが実際の日本の軍備或いは戦力を考えるときには、最もプリミチーヴな考えでやつている。日本だけでは幾らやつたつて戰いはできないじやないですか。一つを無理して解釈するとほかのものも無理して解釈しなければならないので、それをもう少し実際に、法理解釈というか私は法理解釈專門家じやありませんけれども、これは実情に即して解釈するものだと思うのです。近代戰といえば近代戰に即したような実際問題として集団安全保障意識によつてやらなければならんものを、日本だけで無理に解釈してもそれは通用しないと思うのです。これは議論になりますから、あとで。
  140. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) それで岩間君の質問がまだ続行中なんですが、ちよつと御相談申上げたいと思います。岡崎国務相の出席を御要求になりましたので今処置いたしましたところが、先般来御要求があつたので待機しておつたそうですが一向呼出しがなかつたというので、何か他の用がありまして外出したそうでありますから明日でないとちよつと都合がつかないというような返事であります。  それから大橋国務相もここへ先ほど出席いたしておりましたが、ここの部屋から出まして待機いたしておつたのでありますが、渉外部との関係で今日もう出席できないということでありますから、(「渉外関係なんかないよ」と呼ぶ者あり)明日午前十時から更にこの小委員会開会いたすようにいたしたいと、私仮委員長でありますが、こう考えているのですが、それで一つ岩間さんの御質問だけで、できるならば今日は終ることにいたしたいと思います。
  141. 岩間正男

    岩間正男君 時間がありませんから簡単にやります。それじや警察官というのはこれは大体装備の面の問題でお聞きしたいのですが、今こん棒とかピストルなどを持つている。併しこの目的とするところは、それは日本憲法の建前からすると、個人の人権はあくまで尊重しなくちやならない、そうして若し個人がこれに対して暴力を加えた場合に正当防衛する、併しその範囲は個人の暴力というような、個人のそういう抵抗力に対抗する、その範囲のものだ。こういうことがこの前の公聴会でも言われているのでありますが、こういう点は確認されますか、どういうふうな見解を持たれるか。
  142. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 申すまでございませんが、警察というものは国内の治安維持の任に当るものでありますからして、治安維持に万全を期するために必要な限度の実力或いはそのための装備というものは、これは憲法のもとより容認しているところであります。申すまでもございませんが、憲法制定の際でも第九條、ここでは例えば内乱、暴動が起つた場合どうするかという質問に対して、それは警察力の問題として解決するということをはつきり答弁いたしております。ですからおのずからそごに限度がありましようけれども、やはり治安維持に万全を期するための必要な程度憲法の容認して  いるところであります。
  143. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) どうですか、やはり法務総裁及び法務庁に対する質問も、明日総裁にも来て頂きまして午前から開会する小委員会にお譲り願つたらどうかと思うのですが、如何でしよう。そうしたほうが、ほかの大臣出席いたしますし。
  144. 岩間正男

    岩間正男君 それではひとこと、これを最後に。バズーカ砲とかああいうようなものを警察が持つている。今のようなお説、暴動とか国内治安とかそういうお話もあつたのですけれども、大体今言つたような警察の根本的な性格からいいまして、殊に憲法の建前からいえばあくまで個人を尊重する、個人に対して対抗する、今言いました個人の暴力に対しての正当防衛、こういう範囲内に非常に厳格に守られなければならないと思うのですが、ところが一方でバズーカ砲とかああ、うようなものを持つて、而も相手にするのは多数を殺りくする、決して個人を対象にしたものではない、こういう形のものが作られている。これは警察力とそこのところをどういうふうに区別して考えるか。先ほどのお話ではどうもそういう騒じようとか内乱とかがある、こういう場合に対してはそういうような装備を認めるという論議があつたようにいわれているのでありますけれども、この点はどうなんですか、そこがどうも少し不明瞭でありますから。
  145. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 先ほど申しましたように、憲法制定の際にもそういう質疑応答がなされておつたわけでありまして、治安維持の面から必要とする限度の実力は止むを得ないということであります。なおそういう点は大橋国務大臣からお答えしたほうが或いはいいかも知れません。又後の機会に大橋さんのほうにお尋ねを願いたいと思います。
  146. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) それでは政府委員に対する質疑は本日はこれで以て一応打切ることにいたしまして、明日午前十時から更に続行いたします。   —————————————
  147. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) 散会に先立ちまして先ほど初めに問題になりました小委員長を決定すること並びに本小委員会名称を決定することにつきまして、御論議が願いたいと思うのであります。一時速記を中止いたします。    〔速記中止
  148. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) 速記を開始して下さい。それでは本小委員会名称は、昭和二十七年度予算憲法に関する小委員会、さよう決定いたしましてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) 御異議がないようでありますから、その通り決定いたします。なお小委員長の決定につきましては、決定まで現在の状態議事を続行することにいたしてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 吉川末次郎

    ○仮委員長吉川末次郎君) 御異議がなければ本日はこれで以て散会いたします。    午後五時二十五分散会