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1952-03-18 第13回国会 参議院 予算委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月十八日(火曜日)    午前十時十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     和田 博雄君    理事            中川 以良君            山本 米治君            小林 政夫君            杉山 昌作君            内村 清次君            堀木 鎌三君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員            愛知 揆一君            石坂 豊一君           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            杉原 荒太君            鈴木 直人君            中川 幸平君            平林 太一君            宮本 邦彦君            岡本 愛祐君            小野  哲君            片柳 眞吉君            楠見 義男君            高良 とみ君            新谷寅三郎君            中田 吉雄君            岡田 宗司君            吉田 法晴君            山田 節男君            吉川末次郎君            駒井 藤平君            西田 隆男君            岩木 哲夫君            深川タマヱ君   国務大臣    内閣総理大臣    外 務 大 臣 吉田  茂君    法 務 総 裁 木村篤太郎君    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    文 部 大 臣 天野 貞祐君    農 林 大 臣 廣川 弘禪君    通商産業大臣  高橋龍太郎君    運 輸 大 臣    郵 政 大 臣 村上 義一君    電気通信大臣  佐藤 榮作君    労 働 大 臣    厚 生 大 臣 吉武 惠市君    国 務 大 臣 大橋 武夫君    国 務 大 臣 岡崎 勝男君    国 務 大 臣 岡野 清豪君    国 務 大 臣 周東 英雄君    国 務 大 臣 山崎  猛君   政府委員    内閣官房長官  保利  茂君    法制意見長官  佐藤 達夫君    外務政務次官  石原幹市郎君    大蔵省主計局長 河野 一之君   事務局側    常任委員会專門    員       野津高次郎君    常任委員会專門    員       長谷川喜作君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十七年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十七年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十七年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 予算委員会を開会いたします。  前回に引続きまして総理大臣に対する総括質問を続行いたします。岩間君。
  3. 岩間正男

    岩間正男君 先ず総理がおいでになりましたので第一にお聞きしたいのは、講和発効後における国会運営の問題でございます。実は当委員会としまして、予定されました総括質問がのびのびになりまして約一週間ぐらいここのところ遅延されたわけであります。併し予算は御承知のように非常に独立後の深い関係を持つたところの予算でありまして、審議しなければならない問題は、只今問題になつておりますところの戰力増強の問題、或いは自立経済の問題、これと関係した外資導入の問題、こういうような非常に多くの重要な項目を控えているのでありますけれども、何らこれに対して十分な審議をすることができないというような状態になつておるわけであります。これに対しまして大体今後の国会運営、この前の予定されましたところのコースも、実は総理の御都合によりまして渉外関係というようなことで予定を遂行することができなくて、今日までのびのびになつておるのでございますけれども、甚だこれは委員会自体運営としましても、又国会全体としましても、これは非常にこういう行き方というものは望ましくない状態にあるのではないかと思います。そこで私はお聞きしたいと思うのでありますけれども、一体講和が発効しまして日本独立した、こういう態勢になりましても依然としてこのような形が継続されるのであるかどうか。殊に今までのこの長い期間を考えますと、法律案におきましても、予算案におきましても、全部これは実質的には向うさんと折衝しなくちやならない、そうして一字一句を修正するにしましても全部これは向うの了承を得る。こういうような形で進められて来ましたのでありまして、実質的には表面は日本国会というような形になつておりますけれども、背面では占領下事情にあるとはいいながつそういう事態があつたのであります。従いまして国民としましては講和失効後においてこのような国会運営というものが一体いいのであるかどうか。恐らくこれに対しましては、独立国としまして当然これは国会の権威というものが確立されて行くことが望ましいということを誰一人として望まないものはないと思うのでありますが、今までとられましたところの行動と関連しまして、講和発効後におけるところの運営についてどのような総理は決意を持つておられますか、お伺いしたいと思うのであります。
  4. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 占領が終止することは御承知通りであります。又樹理大臣としては予算委員会に出るのみが国務ではないのであります。ほかに国務がありますから国会としては行政府と立法府とお互いに協調し、協力して行つて運営を全うせしむることが議会としても私は希望せざるを得ないのであります。
  5. 岩間正男

    岩間正男君 私も行政府の長としての総理が非常に国務多端でいろいろな関連を持つておられることは考えるのであります。併しながら今度の問題にしましても、いつも国会の我々当予算委員会としましては、これは十分に予定が立てられそれが総理のほうに通ぜられているのです。然るにその予算というものが実に二回くらいに亘りましてその通り行かないために一週間も実は空白というような形で審議差支えているのでありまして、こういう点におきましていろいろこれは現在多端政務をとつておられるとは思うのでありますけれども、もう少し国会自主性国会尊重の実を挙げられるということが最も望ましいことだと思うのであります。併しこの点はいつまでも私は論議する気持はないのでありまして、ただ国民各位が、又国会立場からしまして、これは誰でもが望んでいるのでありますから、独立後において、この前の保利官房長官お話を聞きますと、どうもこういう事態がなお続くんじやないかというようなことが予算理事会において発言されておりますので、こういう事態はやはり改めらるべきであると、こういうふうに思うのであります。この点は私として国民を代表して総理に切望しておく次第であります。  で、質問に入りたいと思うのでありますが、第一にお聞きしたいことは、この前の十四日の木村君の外資導入に関する質問に対しまして、吉田総理は十一日に発表されたところの総司令部マーカツト少将の談話などというものは、その後マーカツト少将に会つて確かめたところ自分のあずかり知らないところである、こういうことを総理は発言されたのであります。で、これは果してどういうことであるか、その後UP電報の報ずるところによりますと、マーカツト少将はこれに対しましてそういうような吉田総理に対して意思を表明したことはない、こういうことが伝えられているのであります。これは毎日新聞の三月十五日のUP特約十四日発、その中にそういうことが記載されておりまして、「私があの声明を出したのに間違いはない。吉田首相がどういう言葉を使つたか十分聞いた上でないと、この問題に関する私の意見を述べるわけには行かないが、今週吉田首相と会談したとき外資導入に関する私の声明を否定した覚えはない。こういうふうにこれは」はつきり言われているのであります。そうしますと、我々としましては総理言明を信じたらいいのか、或いは又マーカツト少将言明を信じたらいいか、これは非常におかしいことになつて来る。マーカツト少将がまさか二度ほど嘘をつくとは考えられないのでありますが、この間のいきさつ国民が疑惑を持つて見ている問題でありますので、これに対して総理はどういういきさつがあつたか、この経緯について先ずお伺いしたいと思います。
  6. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私はマーカツト少将と会つたときの経緯をここにお話することはできませんが、私の承知いたすところでは、マーカツト少将新聞に出された発表は、あれは長文であつて日本文に現われたものはその要約である、こうしたところが自分意見とは違う、こう言われたからこう私は承知するのであります。UP発表について私は責任を持ちません。
  7. 岩間正男

    岩間正男君 これは只今の御説明によりますと、非常に事実と違うと思う。マーカツト少将があずかり知らない、こういうことを総理はこの前はつきり言われたはずであります。あずかり知らないということは全然関知しない、全然それについては知らない、責任を持たない、こういうふうに考えられる言葉であります。然るに吉田総理只今の御説明によりますと、これは長文発表されたので、これはマーカツト少将のそこにいろいろな個人的な意見があるとかないとか、そういうことについてはあずかり知らないという意味にみえたのでありますが、これはこの前の言明に対しまして、事実マーカツト少将はあれに関知しておられる、承知していらつしやる、了承しておられる、この点は総理は認めるのでありますか。
  8. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私の申したのは、この前の話が簡単であるから敷衍して申したのであります。マーカツト少将新聞発表、又新聞の書いたこと、いずれも私の申したことといずれを信用せられるかはあなたの御自由であります。
  9. 岩間正男

    岩間正男君 非常にこれは高飛車な物の言い方で、私はどつちが正しいかということは非常にこれは外資導入の今後の動向に対しまして重要ですから、事実はどうですかとお伺いしているのであります。併しそれを解釈については御自由だ、こういうお言葉では私はこれは非常に残念に思うのであります。もう一度お伺いしますが、マーカツト少将はそうするとあれには全然御関係がなかつた、関知しない、こういうことは総理のこの前言明をされたような意味で全然あずかり知らない、関知しない、責任を持たない、こういう意味ではなかつたのでありますね。この点もう一度改めてお伺いしたい。
  10. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) すでに申した通りであります。
  11. 岩間正男

    岩間正男君 マーカツト少将個人的なこれに対してどういう言明をしたかどうかということに問題が向けられたのは論議の本質ではない。私はこの発表、十一日のマーカツト少将談話なるものを見ますと、はつきりこれは総司令部の十一日発表となつております。従いまして一経済科学局長としての個人としての資格という、そういうことよりもつと大きな性格を持つと思うのでありますが、この点について総理は認められますかどうか。
  12. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) あなたの御解釈通り御自由に御解釈を願う。
  13. 岩間正男

    岩間正男君 これは自由に解釈しろということでは、私はこれは国会質問というものは成立しないと思います。そこをはつきりこれはお答え願いたいと思います。マーカツト少将言明というような個人、そういうものよりも総司令部発表、こういうことについては、これは内閣責任をあずかる総理としまして、これについてそうであるとかそうでないとか、認められないとか、こういうことをはつきり声明頂かなければ私は今後の予算審議差支があると思いますので、もう一度お伺いいたします。
  14. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私がすでに申したところで十分であると思います。あとはあなたが言葉尻をつかまえて言うだけで、これに対しては一々お答えはいたしません。
  15. 岩間正男

    岩間正男君 まあ静かにお願いいたしたいと思います。私もまあ声が高いほうでありまして、自分で成るたけ静かに努めてですね、これは正しい御意見をお聞きしたい。これが予算審議の目的でございますから、これに対しましてあま総理は昂奮されないでお答えが願いたいと思います。これは総理はこの点についてお答はなかつたのでありますけれども、これは当然ですね、総司令部発表、この新聞もこれは伝えているのでありますから、総司令部発表として我々はこれを了承したい。こういうふうに思いますけれども、その点について総理はどうも余り明確にお答えにならないのでありますけれども、そこでこれは総司令部の意向としまして政府が今まで努力されている、そうして殊にもう総理施政方針演説におきまして、最も重要な日本独立後の経済安定の自主経済の問題とも関連して、最も密接な関係を持つところのこの外資導入、この問題に対してこれは努力せられておつたことだと思うのであります。而も池田蔵相周東安本長官も、衆議院のこれは本会議予算委員会でもしばしばこのことにも触れておられる問題なんでありますが、従いましてこれが今日このような総司令部声明なり発表によりまして殆んど不可能になつた。こういうことになりますと非常に重要な関連を持つことは、この前木村委員からも指摘されたところだと思います。そこで果して一体こういう中におきまして、外資導入は今後見込があるのか、又こういうような発表伴つてどういうような努力を現にとり、又今後政府はとらんとお考えになつておられるのであるか。これらの見通しについてこれはお聞きしたいと思うのであります。このことはです、單に私がお聞きしたいということだけでなくて、実は日本のこれは経済人或いはこれに関連を持つ人たちが、今日期せずして同じくこれを聞きたいと考えているところだと思うのでありますから、これについてできるだけ具体的に総理お話を願いたい。こういうふうに思うのであります。
  16. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先般のマーカツト少将声明につきましての考え方は、先の委員会総理並びに私から申上げた通りでございます。岩間君は御承知のようにあの声明がありましたあと新聞の見出しは私はまちまちであつたと思うのであります。マーカツト少将の言われている真意外資導入言つても、そうなまやさしくはいかない。いわゆるコンマーシャル・ベースによる採算のつくように見通しがつかなければなかなかむずかしい問題だろうと思う、こう言われたのが真意と思うのであります。決して外資が来ないだろうとか或いはすぐ来るとかこういう問題ではない。考え方の根本を言われたのでありまして我々も同感であるのであります。そこで今までどういう措置とつたか、或いは今後どういう措置をとるかという問題でありますが、これは外資導入にたびだび触れておりますように、いろいろな点があるのであります。政府借款の問題もありまするしIMFに加入してから後の問題もありますし、借款の問題もあります、民間外資導入もあるのであります。そうしてこれがいろいろなぶつつき合いがありまして、いろいろな恰好で来ると思うのであります。而して我々は日本経済自立のためには是非とも外資が必要なのだ。民間導入につきましては外資法改正をするとか、或いはアメリカ特産物輸入資金は、御承知通り年間借款で四千万ドル借りているとかそれから今後国際通貨基金に加入して開発銀行のほうから借入れる、或いは政府のほうにおきましても政府の保証によるか、或いは政府直接の借入れることによるか、いろいろな方法で事態を検討し、相手のあることでございますから、相手がこれに乘つかつて来るような検討を続けておるのであります。而うしていつどれだけ来るかということはこの計画ができてからでないとはつきり言えない状態でございます。
  17. 岩間正男

    岩間正男君 只今の御言葉によつても、決してなまやさしいものではない。それからこの前の十四日の木村君の質問に対しましても、木村君はむしろあまいと言つてたしなめられておつたようであります。これはどうもおかしいと思うのです。実はあまつたの政府じやないか。これはしばしばそういうようなことを述べておられます。例えば池田蔵相が一月二十五日の衆議院会議で述べられた言葉をここで読み上げてみますというと、「今後日本経済の建直りと、また外資導入に関しまする諸政策を実施いたしまするならば、今までに数倍して外資が来ることは明らかでございます。これはここに断言してはばかりません。」(笑声)実にこれは自信満々、こういう態度で述べられておつて、これはあまつたの木村君とか我々のほうじやない。蔵相自身だと思う。ところがそのあまいという自分態度を棚上げしまして、我々がなまやさしいものじやない、あまい、そういう考えじやいかんと言つてたしなめられるに至つてはこれは本末顛倒だと思うのですが、この点は非常にこういう恰好ではいかんと私は思う。この前の米穀統制撤廃、あれもこの前第十二国会におきまして政府が大きく謳つたところの政策であります。これが駄目になりますと、まるでこれは逆に、政府自分態度というものに対する責任を感ずることなく、反対に今度はこちらをたしなめるような言い方があつたと思うのですが、これと全くどうも揆を一にしておる。あま考えたのは今までの政府立場じやないかと思う。そこで今なまやさしい問題じやないというお話がありますから、私はなおこれはお聞きしたいのであります。今後の見通しにつきまして第一にお聞きしたいのは、これは米国は今あらゆる方面で莫大な出費を要しておる。殊に朝鮮で今戰つておる。現にそのためにこれは今度の一九五二年から五三年度の予算審議に当つても、七十九億ドルの対外援助費米国会では大きな問題になつておる、こういうような問題があります。従いまして、又日本へのいわゆる政府借款という形の外資導入のごときはなかなかこれは見込みがないのじやないか。又そういうことになるというと、これに対しまして、まあ欧州諸国その他との振合わせもこれは出て来る。こういう実情にこれはあると思うのであります。又すでにもう米国の一九五二年と五三年度の会計年度の大綱はすでに決定済みになつておる。従つて政府のこういうような要請に対してはこれは非常に困難な事情があるのじやないか。こういうよな面を考えますというと、なかなかこれはそういうような一つ政府借款というものは今後見通しがないように思うのでありますが、これに対しまして、今私が申述べましたような点とも併せ考えて、一体どういうふうにこれは見通しとして持つておられますか、お伺いしたいのであります。
  18. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は今国会のみならず、先の国会、或いはその前の国会におきましても、なかなか外資導入というものはあまく行くもんじやないということはたびたび繰返しておるのであります。そうして先の衆議院会議で今までにもまして、或いは数倍の外資導入期待し得るということはあま考え言つたのじやない。それは全部の答弁を御覧になりますとわかりますが、終戰後今まで株式投資、或いは貸付金として千八百万ドルぐらい来ておる。併し外資法改正その他を考えれば、民間投資も相当今後は殖える。これは楽観しておるわけじやない。私の見通しとして言つておるのであります。あなたがた外資導入ということをどういうふうに今後お考えになつておるか。岩間君の言うのは、外資導入政府政府との借款、これだけに限つておられるようですが、そういうもんじやない。我々は政府借款のみならず、民間、或いは半官半民の金融機関からもあらゆる手で持つて来よう、こういたしておるのであります。でアメリカ予算がこうなつて軍事援助しかないから、政府借款というのは全然できん、こういうふうにお考えになるのは見方が狭過ぎると思います。
  19. 岩間正男

    岩間正男君 どうも頭からそういうふうに独断で、私の考えにまで立入つて言われるのはこれはおかしいと思う。私も外資導入というのは何も政府借款だけというようなことは言つていない。併し民間外資導入は先ほど相当楽観的に述べられましたが、なかなかこれはむずかしいのじやないかと思う根拠を私は持つておるのであります。それは何かというと、この外資が入らない理由の中には、やはり一つ日本経済が中国と遮断してしまう、貿易もああいう形で禁輸して、こういう形で非常に原料高であります。従いまして、これはなかなか採算がとれない、こういう形にこれは置かれておる。従つてコンマーシャル・ベースにはなかなか生産乘らない。こういうところに外資が喜んで入るということはなかなか考えらない。もう一つはやはり国際情勢の問題でありますが、アジアの現状から考えますというと、これはなかなか入れようとしても入れられない條件が出て来ておるのじやないか。それは朝鮮戰戰争の現在の段階であります。これは朝鮮戰争については、どういうふうになつておるか。総理もこの前非常にアジア情勢は緊迫しておるというようなお話もありましたけれども、これはなかなか朝鮮戰争というものは日本考えておるようなものじやない。言わば、これは相当に国連軍は敗北しておる、こういう形が出て来ておる。こういうところにこれはどうしても外資は……。いつ日本がこの行政協定の結果なんかによりまして戰場化せないものでもないという危険がある。こういう危険なところになかなか外資というものは私は入りにくいものだと思う。なお今度政府のとられましたところのこの行政協定によりまして、下手するというと、日本はこれは全面的に軍事基地として再編される。これは昨日の公聴会における証人のお話でもそういう点が出たのでございますけれども、そういう危険を持つたところの行政協定によつて日本アジアにおけるアメリカ前線基地として再編されるという性格が出て来ておる。そうしますというと、なかなかこれは民間外資も非常に導入しにくい。こういう事態に直面しておると思うのでありますが、そうしますというと、先ほど挙げました政府借款の点も民間外資導入というものも、これは非常に心細い状態になつて来るのじやないか。こういうふうに考えられるのでありますが、これに対して吉田総理はどうお考えになりますか、この点お伺いしておきたいと思う。
  20. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 岩間君の主義主張からはそういうことになりましようが、我々はそう考えておりません。講和が成立し、日本自立経済がますますその度を高めて来れば、おのずから外資も入つて来ることを確信いたしております。
  21. 岩間正男

    岩間正男君 確信ということは、これは何回も述べられていて、そうしてこれは呼び水というような意味を持つておられるのだと思いますけれども、果して今のような言明が実現されるかどうかということは、このたびの声明並びに私が今申上げました点から考えまして、これは思うように行かないと思います。政府としましては、施政方針発表したところの根本的な経済政策でありますから、必死となりましてこれに対しまして対策を練られ、又何とかこの途を開かれようと努力されるのは当然だと思うのでありますけれども、少くともこれがもつと具体的にそういう期待というものが持てるかどうかという点について、これは、当然一つの施策というものがここで表明されない限り、なかなかそういうことの期待は私は困難だと思うのであります。従いまして、私はもう少し突き進んでお聞きしたいと思うのでありますけれども、若し外資が入らない、こういうことになりますと、根本的にこれは政府政策が崩れる、殊に予算の面、自立経済の面におきまして崩れることは木村君からもこの前指摘されたところであります。更にこういうことになりますというと、金融面におきましてもその影響というものは非常にこれは大きいのじやないか。長期資金の要望に対しても何とかこれは応えて行かなければならない、こういうことになりますというと、現在の政府のこの資金需給計画というものが根本的にこの辺で修正されなければならない。こういうような現実問題が発生して来ると思うのであります。それでとにかく期待して今後努力するということは言われておるのでありますが、これは先のことであつて水物であります。わからない、先になつてみなければわからない問題であります。従いまして、現実にそういう事態が起つて来るのでありますから、これに対する当面の施策としてこれはどういうふうにするのでありますか。殊に電力の問題、或いは又彈丸道路とか、それからいろいろな企業合理化の面、それから造船、こういうようなところでは非常にこの外資を待ち焦れておる、こういう状態が出て来ておると思うのでありますが、こういう施策に対しまして、一体どういうふうにこれは方策をお立てになるのか、当面の取あえずそういうような対策というものをここで立てなければ、これはこの事態というものを私は本当に切り抜けて行くことはむずかしいじやないかと思うのであります。どうも当てにならないところの先の期待だけで首を長くして待つておることができないというのが日本経済の実情だと思いますので、この点どういうような施策をお持ちになるか、こういう一つの公式な声明が、はつきり外資期待が望み薄だという情勢が出た現状におきまして、政府は当然これに対する対策というものは持ち合せておると思いますので、これをお伺いしたいと思います。
  22. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今回御審議を願つておる予算についてどこに外資が入らなかつたならば予算の執行ができんような要素を持つておりますか。それを承わりたい。我々は外資の多額の導入があれば日本が急速に自立経済を達成する、こういうことを言つておるのであつて来年度これだけ外資が来るのだということを予算には盛つておりません。これは木村君にもお答えしたように、マーカツト声明でなかなか困難だということを言われましたが、これは望みなきにあらず、若しそうだとすればよりいいのだ、こういうふうにしておるのであります。予算面で外資が入つて来なかつたからこの予算が執行できない、こういう予算は作つておりません。私は未確定のものを織込んで御審議を願つておりませんから、それはさよう御了承願います。
  23. 岩間正男

    岩間正男君 予算面についてはこの前木村君からこれに対して反論されたと思いますが、私は今後のこの金融政策とか、それから今申しました電力とか、それから造船とか、こういうような点に対する長期資金の要望というものをどういうふうにして満たして行くか、当然それと関連いたして、一つ資金需給計画というものが非常に私は大きな影響を受けると思います。その結果によりまして、殊に金融逼迫の現状におきましては、大きくこれは影響をされて来るところが当然ある、こういうふうに当然考えられるのでありまして、この点について特にお聞きしておるのであります。
  24. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほど答えた通りで、外資が来なくてもこういうやり方をやるというので、資金計画も御覧に入れておるはずであります。外資が多量に入つて来ますならば、そこで資金計画はやり替えなければなりません。今外資がいついつ来るという見通しが具体的に立つておりませんが、そういうものを当てに資金計画は作つておりません。
  25. 岩間正男

    岩間正男君 何だか今の御答弁によりますと、心細いように聞える。外資はもう入らないということを前提として、何か先に予防線を張つておられるように聞えるのでありますが、私はそういうことを言つているのじやありません。施政方針演説を調べて見れば明らかだと思うのでありますが、それと密接不可分の関係にあるのであります。これは総理施政方針演説を読上げて見ましようか。これはやる時間を持たないのですから簡單に読上げて見ましよう。「併し、若しそれ、産業の合理化、施設の改善、電力源の開発、外航船舶の増強など成るにおいては、生産及び対外貿易は一層の進展を見るべきを確信いたします。而して、このことたるや、一に外資導入を待つにあらざれば急速の進展は期し難く、」こういうことを述べておるのでありますが、少くともこういうことを期待し、大きくこういうことに期待を寄せて吉田内閣政策というものは進められて行つたと思うのであります。そうしますと、今度はなんですか、こういう期待が駄目なんだから、それじやそういう点はこれは考慮外にして、そうして非常につつましい形でやつて行く、こういう形になるのでありますか。そうしますと、折角外資導入によつて大きな期待を持たせ、或いは又中共との、大陸との貿易禁止によりまして、全面的にいろいろな面で破壊が起つて来ます。こういうものを何とかそういうような外資導入で以て期待を持たせてそうして持つて行こう、或いは又行政協定という苛酷なものを結ぶのであるけれども、これに対して、行政協定を結べば何とか外資導入されるのだ、いわば交換條件のような形で以てこれは期待を持たせていたのじやないか。ところが行政協定は調印する、そうしてそれから何日も暮れない段階におきまして、外資は入らない。こういうようなことになりますというと、非常にこれらのものに対するところの国民の下からの不満というものは非常に私は大きくこれは起つて来ると思うのであります。政府としましては、こういう情勢に対して、何とかそれは外資がなぐてもやつて行けるのだというような説明に大童のようでありますけれども、併し根本の施政方針として述べられたこの線が崩れているごとに対しまして、一体どういうふうにこれは政府としては責任を持たれるのであるか。この点は私は非常に明らかにしなければならない問題だと思うのでありますが、総理大臣としまして、この点に対してどういう一体責任をお感じになつておられますか。この点はつきりお聞きしておきたいと思うのであります。これは総理大臣からお聞きします。
  26. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 何も外資導入につきまして期待を外したとは言つておりません。外資が来れば日本自立経済が急速に達成する。こういう期待の下に外資導入に努力いたしておるのであります。而して今の予算は、外資がどれだけ入つて来ることを予定してあつたかとこう言われるが、そういう大きい外資予定して予算を作つてはおりません。今までの状態を見て予算を作り、併しこの上に外資が多量に入つて来ればよりよくなるということだけであるのであります。
  27. 岩間正男

    岩間正男君 私は総理からお聞きしたかつたのであります。それはあなたたちの説明でありまして、我々はそうはとれない。(「開いたらいいじやないか」と呼ぶ者あり)日本国民に大きな期待を持たしておきながら、そうしてこれに対しまして、今これがどうも余り見込薄になつて来た、全然期待を持てないということではないという言葉それ自身が、もう大きな期待を持てないということであります。こういう形になつた場合におきまして、これに対して責任をお感じになることは当然だと思うのであります。米穀統制撤廃の場合にもあれだけ政策を出しておつしやつておきながら、これが駄目になりますというと、その責任は今日でも明らかにされていないのであります。私は少くとも現実に、これが先ほど申述べましたような理由におきまして、殊に今繊維や新三品とか、そういうようなところで非常に金融逼迫、或いは操短というようなところまで追込まれて、そうして金融難に困つておる。こういうものにも大きく影響することは、私がここで言わなくても当然起つて来る問題である。当然起つて来ます。こういう問題について、現実にこれはどうするかという問題ははつきりして来ておるのでありますから、こういう問題について、これは総理としましては、私はやはりよほどこの際この責任について明らかにされることが非常に望ましいと思いますが、もう一度重ねて総理のこれに対するところの説明を願つておきたい。
  28. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 大蔵大臣の私に代つて説明を以て十分と考えますから、私は更にお答えいたしません。
  29. 岩間正男

    岩間正男君 これは單に私だけの問題じやなくて、施政方針が崩れたのでございますから、施政方針というものはいやしくもそういう形で行われる性格のものじやない。やはり少くともこれは一内閣の運命を賭けてやるというようなそういうような意味合いに我々は聞いておるのであります。ところがそれに対しまして、それが崩れると、いつでもこれはどうもあと責任の所在が明らかにならない。国民と共に我我は甚だこれに対しまして、現在の政治のあり方、責任政治のあり方、こういうものについて深いこれは関心を持たざるを得ないのであります。この問題につきましては、いずれこれはほかの党の諸君からも大きくこれは出て来る問題だと思いますので、当予算委員会でもつともつと努力されべき問題だと思いますが、ほかの質問もありますので、このくらいで外資導入の問題は切上げまして次に進みたいと思うのであります。  第二にお伺いしたいのは、行政協定関連した諸問題でございます。その中でこの行政協定の中でやはり大きく今後の日本の動向の中で考えておかなければならないのは二十四條の緊急事態或いは戰争の場合の日本の共同措置、こういう問題が非常に国民としても関心を持つている問題だと思います。そこでこの点についてお伺いしたいのでありますけれども、先ずこの二十四條によりますというと、日本区域という言葉が謳われておるのでありますが、この日本区域に対するところの政府説明というものは現在においてもはつきりしていないと思う。で、これは日本区域というやつは情勢次第で拡大されたり、縮小されたりする、そういうふうに変るものなんでありますか、先ずこの点からお伺いしたい。
  30. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 日本区域という言葉は正確でないことは、これは日本の領土という意味ではないのでありますから、その意味では正確でないと言えば正確でない。併し常識的には日本区域ということは当然言い得るのであります。で、これは安全保障條約の第四條に日本区域というのがありましてその当時もしばしば日本区域とは何ぞやという質問があつて、これを説明しておつたのでありまして、行政協定はこの安全保障條約第四條の日本区域という字を取つただけでございます。で、実質的には、もう一遍繰返して申上げれば、日本及び日本の極くまわりの周辺、こういう常識的な意味にお取りになれば結構と思います。
  31. 岩間正男

    岩間正男君 私がお伺いしているのは、この範囲が絶えず拡大されるとか、縮小されるとか、そういう移動性を持つたものだ、こういうことはどうなんです。それは只今の御説明でもそういうふうに取つてよろしうございますか。非常に不明瞭だ。
  32. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) これは元来常識的なものでありまして、日本のほうに向つて日本の領土のみならず日本のほうに向つての敵対行為等の危険があるかないかという判断の問題でありまして、別に拡大するとか縮小するとかというものは全然ないのでございます。
  33. 岩間正男

    岩間正男君 どうもこの点が不明瞭なのでこれは非常に不安なのであります。これは情勢次第ではいろいろ解釈のつくところの問題なんであります。その次にお聞きしたいのは、敵対行為の急迫した脅威、こういう言葉があるのでありますが、これはどんな場合で誰がこれを認定するのか、認定するのは誰でありますか、その点をお伺いしたい。
  34. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 急迫したる脅威というのは、要するに日本の領土内で敵対行為が起つた場合は、これは敵対行為が起つた場合であり、日本の領土に及ぼすような敵対行為が起りかかつているが、まだ日本の領土に及んでおらんというときには、敵対行為が起り得る、緊急事態がありそうだという意味でありまして、そうしてこれは日本政府は当然注意して見ておりますから、日本政府考えているでありましよう。又アメリカ側でそういう危険がありと見れば、日本政府に通報をいたすでありましよう。両方の政府でそれは考える問題であります。
  35. 岩間正男

    岩間正男君 具体的にお聞きしたいと思う。不幸にして朝鮮戰線で、この朝鮮の会談が決裂してアメリカ軍が朝鮮から追出されて壱岐、対馬に退却したような場合、或いは台湾を占領しているアメリカ艦隊が中国人民によつて沖繩に撃退される、そういうような事態に余儀なくされた場合、こういう場合には当然これは緊急事態と認定するものと思うのでありますが、これはどうでありますか、具体的にお聞きしたいのであります。
  36. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 私はそういう妙な場合は起らないと考えておりますが、そういう仮定の問題について一一お答えすることはできません。ただ緊急事態日本にとつて発生しておるかどうかということは、日本政府が当然注意して観察しておりますから、決してそれがためにときを遅らすというようなことはないはずであります。
  37. 岩間正男

    岩間正男君 仮定の問題に答えないというのは、これは一体仮定の一つの條約です。だから仮定を予想しなければこんな條約は必要ないのです。現実に起つておりますか、仮定でしよう、この條約は。だから日本としてはあらゆる場合を想定して、これに対して対策を立てておくということが当然これは政府の任務なんです。そういう点から私はお聞きしておるのです。そういう事態は起りませんという、そういうお言葉でありますが、それはあなたの個人的な意見としてはお聞きしますけれども、起つた場合にはどうするかということをお聞きしておるのです。こういう一つの仮定によつて、そうして対策を立てておかなければ不安でたまらないからお聞きしておるのです。どうでありますか、これはもう一度お聞きします。
  38. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 私はそういう妙な仮定はないと、こう言つておるのであります。そういうことは起らないと確信しております。
  39. 岩間正男

    岩間正男君 それはあなたの確信で事態が切拔ければそれほど日本国民にとつて幸福なことはないわけですけれども、そうでない事態が起る可能性が十分考えられる。現に朝鮮戰線というものをお考えになれば、そういう事態が起らないということは断言できない状態だと思うのであります。従いまして日本といたしましては、当然そういうような事態に対しましてどうするか、いろいろ考えておくことが必要ある。只今の問題は、日本朝鮮で戰つておりませんから、日本の緊急事態ではない、アメリカの緊急事態だと思うのでありますが、こういう場合に当然日本はこの緊急事態という中に捲込まれるのは当然だと思うのでありますが、今のこれは仮定でかまわないのです。そういう事態が起りましたときにどうお考えになりますか。これは緊急事態とお考えになりますか、考えませんか。
  40. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) そのときの現実の事態を見て認定するかしないかをきめます。
  41. 岩間正男

    岩間正男君 そのときではもう遅いのであります。そんなまだるつこしいことで近代戰というものは、これはやつて行けないと思います。そういう、そのときに見てから、こんなことでは問題にならないと思います。当然これはこういうような事態が起れば日本はこの中に捲込まれると思うのであります。それではその次にお聞きしますが、日本国の防衛のために必要な共同措置、こういう言葉も非常に不明だと思うのであります。それで先にも挙げましたように、アメリカ軍が朝鮮や台湾から追出されて日本の領土、領海からなお敵対行為を続ける、こういうような場合には日本の警察予備隊とか警察はもとより日本国民が竹槍や石を以てもこれに当るということになることは、これは明らかだと思うのでありますが、これについても政府はしばしばこういうようなお答えをされておるのでありますが、こういう場合に両国政府がそういう事態を見て協議してもこれは始まらない、こういうふうに思うのであります。従つてこの限界というものをはつきりここできめておかなければ、日本国民というものはこういうものに捲込まれる危險からはつきり守ることができない、こういうふうに考えまするので、そういう事態について共同措置、そういうものを決定する権限、こういうものは誰が一体持つのか、この点をお聞きします。
  42. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) これは行政協定の二十四條に明らかに書いてあります。両国政府が協議をする。
  43. 岩間正男

    岩間正男君 これは一応そういうことになつております。今の問題と共に関連して統帥権の問題が非常に重要になると思うのでありますが、これはどうですか、この行政協定が結ばれましても当然統帥権の問題になつて参りますというと、日本の駐留軍に対するところの統帥権については、行政協定を結ぶ大統領の権限、この権限のうちにおきまして、アメリカはこの行政協定に対する権利はあるがいろいろな義務は負わない、こういうことが当然大統領の行政協定を結ぶ権限から言いまして当然そうなると思うのでありますが、そうしますと統帥権の中に日本が参加して、そうしてアメリカのそういうようないろいろな統帥権に対しまして影響を與えるということは殆んど事実不可能だと思うのでありますが、この点は如何でございますか。
  44. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) アメリカ大統領の行政協定を結ぶ権限につきましては、当委員会で前に私から約七つの場合があるといつて説明をいたしたのであります。その七つのうちの一つの場合は、アメリカ国民に対する義務を負わせないから結んでよろしいということになつておるという説明をいたしまして、あなたの言うように、アメリカ国民に対する義務を負わせないから大統領は行政協定を結べるんだということは七つの場合のうちの一つだけであります。それから統帥権統帥権と言われますが、日本には軍隊がありませんから、日本側に関する限りは統帥権という問題はないのであります。
  45. 岩間正男

    岩間正男君 統帥権という言葉をこれは一応言つておるわけです。例えば総理が士官学校という言葉言つておるようにこれは言つておるわけですが、只今の私の質問に対しましてどうも妙な御答弁だと思うのでありますが、どうなんですか。私がはつきりお聞きしておるのは、日本はそういう場合に協議するということになつておるが、そういう協議の実際におきましてアメリカのそういうような意思、それに対して一つの義務を負わせる、こういうようなことが可能だというのですか、可能でないとおつしやるのですか。この点はつきりお答え願いたい。
  46. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 協議をするというのは、その場合に適応する一番いい方法を相談するわけでありまして、その相談の結果、アメリカ側でこういうことをしようという義務を負えば、それは義務を負うのであります。義務を負うとも負わんともそれはその協議の次第によるのであります。
  47. 岩間正男

    岩間正男君 この点については、これはアメリカ国会においても相当問題になつているところだと思います。まあ例えば今度の講和の批准審議を見ましても、講和條約、安保條約とも米国には何らの義務を課するものではない、米国米国自身の利害に合致すると認めなければ日本に駐留軍を置く必要はない、日本に米軍を維持することは米国の権利であつて義務ではない、こういうようなことを上院のコナリー外交委員長が述べておるのでありまするが、こういうことは明らかだと思います。従いまして、今の行政協定によるところの共同措置の場合にも、日本アメリカに対していろいろな義務を負わせることはできない、当然これは一つの統帥権の問題にも大きく関係して来ると思う。当然日本が義務を負う場合だけにこれは発動される。日本アメリカに対する、これは義務を負わせるという点については当然これは不可能な事態が起るというふうに思うのであります。で、政府はこの行政協定の中で協議すると決定されておるんだというふうに言われておりますけれども、我々の聞くところでは、緊急事態とか戰争の場合、米駐留軍は基地その他の制限も一切問わず日本の防衛措置は米軍司令官の指揮下に入る、こういうような点が、最初原案として要求され、それがこういう形では非常に日本国民を刺激するので、一応これは伏せておいて了解事項にしようじやないか、こういうことが決定されておるように聞いておりますが、この真僞は如何でありますか。
  48. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) この協定に関連しては秘密な了解事項とか、秘密な協定とか、一切ないということをしばしば申上げております。それに対して岩間君はあたかも何か秘密の了解があるような印象を国民に與えようとするその御質問は取消しを頂きます。政府責任を以て秘密な協定とか了解事項はないということを再三ここで断言をいたしておるのであります。
  49. 岩間正男

    岩間正男君 とんでもない話だと思う。こういう心配が国民の間にあるからお聞きしておるのであつて、それに対してこれはお答えになればいい。私はそれだから大統領の権限なんかでは、そういうような、協議するというような形を表面は謳つてつても、実質的には緊急事態が起きた場合にはそうなるんじやないか、そうなるところのもうこれは可能性が非常に多い。こういう点の不安についてお聞きしておるのでありまして、これについてそうならないとだけおつしやつたのでは駄目なんで、理由を挙げてこれは御答弁頂ければ明らかだ。こうならないということの可能性についてお聞きしたい。
  50. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) どうなるかということは、両国政府でそのときの実際の事態を見てこれに一番適応する措置を講じよう、こういうことであります。
  51. 岩間正男

    岩間正男君 どうもそういうことでは国民は安心できないと思うのです。今申したように仮定の條約を結んでいる、そうしていろいろ予想される事態が出て来る、それに対して今はつきりこれは日本政府の決意、国民の決意としてこれが伝えられていなければ、緊急事態が起つてからでは間に合わないということは、これは私は多くくどく言う必要はないと思う。だからこそ心配している。そういう事態になつてから相談すると言つたつてどこと相談するんですよ。北大西洋條約を見ましても、あのイギリスやフランスのような強力な国家でありましても、その指揮権はアイゼンハウアーに握られているでしよう。ましてや日本のようなこういう長い間占領下におかれて、そうして而も外国軍隊が駐留する、その数がどれほどかわからない恰好で以て行政協定で駐留する、そうしてこの権力を非常に発動して基地を持つ、そうしてできれば日本の領土だつて基地にできるような特権を持つている、そういう中において相談するなどということは、これは兒戯に等しいことなんだ。実際問題としてそうでしよう。私は一番先に、今日の質問の最初にこれは総理にお聞きした。大体国会運営についても、実施についても考えて頂きたい。我々は国会が要請したところのこの予算審議についても、渉外部から何時までに来いと言えば、それを振切つて行かなければならないような自主性のない態度であつて、ここで協議する、その事態ができたとき協議すると言つたつて国民は安心できない。この点について私はお聞きしておるのでありますけれども、これはどうも余り確かな答弁がないと思います。  もう一つ次にお聞きしたいのは、行政協定関連しまして、当然国連軍の行動というものは大きな問題になつて来ると思う。このたび政府は何か国連軍と協定を別個に結ぶというようなお話でありますが、これは国連総会に当然諮るべきものだと私は思う。国連総会に諮らないで以て、出先の国連軍の司令官と結ぶというような形では、これは私は非常に本末転倒だと思うのですが、これはどういうふうなことであるのですか。これは吉田総理からお聞きしたい。
  52. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 初めの御質問につきましては、成るほど北大西洋條約ではアイゼンハウアー上元帥が各国の協定の下に最高司令官になることになつております。又私の聞くところによれば、ポーランドとソ連との防衛関係におきましては、ソ連の現役の元帥がポーランドの参謀総長になつているということです。併しながら我々の場合はその事態を見ましてそうして双方間に協議をして見て適切な措置をとろう、こういうことでありまして、従つてあなたの言われるような事態が起つたのじや遅い、そういう場合もありましようから、敵対行為の危険が迫つた場合にはいち早く協議をする、こういうふうにやつているのであります。  それから国連軍の問題につきましては、国連側がこの総会に諮るかどうかということは、これは国連側が決定すべきことでありまして、我々のほうは国連軍との協力を緊密にするために必要なる話合いをいたし、又それが必要であれば協定も結ぼうといたしておりますが、まだその具体的な内容については話合いが進んでおりません。
  53. 岩間正男

    岩間正男君 それは結ぶ主体は誰になるのですか。誰と結ぶことになるのですか。
  54. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) それは国連を代表しております国連軍の総司令官と話合いをするか、或いは国連側に協力をしておりまする各国の司令官と話合いをするか、或いは国連の別の代表とするか、これは先方の希望によります。
  55. 岩間正男

    岩間正男君 これはやはり我々は明らかに国連総合で決定を見た上に、これが結ばれるという立場をとるべきだと思う、少くとも日本政府はですね。その次にお聞きしたいのは、一体国連に加入してない日本としての協力態勢というのは当然限界があると思う。限界が加入国と違う。こういう限界をどう考えておられますか。
  56. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 国連軍との協力につきましては、この国連軍只今戰争の防止、中和の維持、そうして国際正義の確立、こういうような高い目的のために犠牲を厭わず行動いたしておるのでありまして、日本政府としてはこれに対し全く共感を表しているのであります。従いまして平和條約のうちにおいても国連軍との協力を謳つおります。又その前にサンフランシスコでは平和條約成立までの間といえども、国連との問に密接な協力をいたすことにしております。従つて、でき得る限りの協力をいたすのでありますが、もとよりこれは日本の国内の能力の範囲内で、つまり能う限りということでありまして何でもできるというわけにも参りませんが、日本政府日本の国のできる範囲内の協力はいたそうと、こう考えております。
  57. 岩間正男

    岩間正男君 どうも不明瞭なんですね。どうもやはりこの限界というようなものについてお聞きしておるのですが、この限界をもつとはつきり規定される必要がある。そうでないと混乱が起るのです。それではもう一つお聞きしますが、国連軍と駐留軍の性格はどう規定されるか、この規定をはつきり立てられなければ駄目ですな。混同しているのです、日本では。国連軍と駐留軍の性格規定というものをお聞きしたい。
  58. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 駐留軍というのは、安全保障條約に基いてアメリカの軍隊がここに、日本の国内に駐留するものを指すのであります。国連軍というのは、これは臨時的のものと思いまするが、今朝鮮において平和維持のために努力をしておる各国の、国連参加国の国連軍として努力をしておる各国軍隊を総称して申すのであります。
  59. 岩間正男

    岩間正男君 そういうような一応規定になつておるようでありますが、現実的にはどうかと言いますと、駐留軍がすぐに国連軍となる、又国連軍が鮮留軍となるというようなことが、非常にこれはできると思います。今までのこれは朝鮮戰争の、日本における米軍の行動を見れば明らかです。警察予備隊がなぜ作られたかというと、朝鮮に皆出動する、そういう形でこの空白の治安を守るためということで作られた。このこと一事を以て見てもわかる。そうするとこの二者の何は形式的には規定されている。併し絶えず混同されている。そこでお聞きしたいのですが、今度安全保條約が結ばれて、国連協力の條約がまあ結ばれることにたるのでありますが、そういうときにこれは駐留軍が国連軍に早速変わると、こういうことについて日本政府は何か発言権があるのですか、これを拘束する何か……。当然これは我々はなけたしの中から六百五十億の防衛分担金を出しておるのでございますから、これに対して駐留軍として日本に駐留するものが国連軍にこれはすぐに変身する、転身する、こういうことについては非常に問題なきを得ないのです。これはどうお考えでありますか、お聞きします。
  60. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) これは只今でも同様でありまするが、日本に対する占領軍の経費と国連軍として行動しておるときの経費とは截然として区別をいたしております。で、今後日本に駐屯する軍隊が国連軍となるかどうかということは、これはアメリカ政府のきめることでありまするが、我々としては国連軍になつても一向差支えない、こう考えております。但しそのときの経費はこれは截然として区別はあるのであります。
  61. 岩間正男

    岩間正男君 非常にあいまいです。そうしますとですよ、駐留軍をたくさん持つて来ておいて、日本の分担金で以てこれは賄つて行く、半額だけか何か知らんが賄つて行く、そうしてその駐留軍はいつでも国連軍に転向できる。こういうことで、それについては、あなたがたは知らない、こういう  ことになると、その後の経費分担は一応成るほどそうでありましよう。併しながら駐留軍として日本が、これは皆さんが、政府が頼んだという形で以て、そうして日本に来てもらつたというのですが、そうして賄つた、それがすぐに国連軍に転向することに対して、日本がそれに発言権或いは拘束力を持たないということは全然考えられない。これは予算審議の上においても非常に重要だと思う。そういうような性格が不明なままで八百五十億という国防費を支出することについては非常に疑義が出て来る。これはどうなんです。あなたに、出動してからのことを聞いておるのではない。それ以前に養うことになるのです、日本国民が……。どうですか。
  62. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 如何な場合においても国連軍としての性格を持つ部分に対しては、別の費用が計上されます。
  63. 岩間正男

    岩間正男君 どうも今のお答えがない。如何なる部分というけれども「ぬえ」的存在です。どつちへでもこれはできるのです。そういうところに駐留軍というような形で以て日本の財政から支出をしておる、そうして賄つておる。そうしてそれがすぐに必要に応じてはです、これはたちまち国連軍に変る。そうしますと、今までここで待機し、訓練し養つた、この養うところに、我々はそこにも責任を感ずるのでありましてこういう点についてはつきりしないということは、この行政協定が、今度の條約がどうなりますか、こういう点についても非常に我々は行政協定との関連において重大問題だと考えるのであります。その次にお聞きしたいのでありますが、まあ時間の関係もございまするけれども、大体防衛、分担金は、日本では防衛隊を作らなければならないというために殖やす、こういうことにこれは一応認められたように議事録なんかでは読まれるのです。これに対して相対的に駐留軍は減る、こういう認定はできておるのでありますか。了解はできておるのですか、これは如何です。
  64. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 議事録を御覧になればはつきりその点はおわかりになると思いますが、日本側では、そういう申入れをいたして、先方では、アメリカ側の経費も多いのだから、日本側の申出は頭に入れておくけれども、アメリカ側の経費の多いことも考えてくれ、こういうことになつておるのであります。別にアメリカ側がそれに基いて、漸増に対して漸減するというようなはつきりしたことは何もありません。又それは日本側の周囲の情勢にも影響があることでありまして、アメリカ側としては、日本の安全を保障するに足るだけの力を持つておることになつておりますから、極東等の情勢によりまして、減らし得る場合もあるが、減らし得ない場合もあるのでありましよう。それは将来のことでまだわかりません。
  65. 岩間正男

    岩間正男君 どうもこの議事録を見ても不明瞭だからお聞きしておるのです。はつきりそういうことは規定していないのであります。はつきり規定されていない。「合衆国の経費も増加することについて妥当な考慮を拂われるよう希望する。」、当然日本のそういう分担金が殖えれば、合衆国も殖えるでありましよう。併しながら軍隊の数については、これは何ら触れていないのであります。そうしますと、これはもつと極論してお聞きしますと、日本の防衛隊というものは、或るところでトツプ・レベルに達する、そういうふうなときが来たときは、それはどうなるのだ、これをお聞きすれば一番早い。そのとき駐留軍は零になるのですか。そういう協定はないのですか。
  66. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 駐留軍の零になる場合は安全保障條約の第四條に規定してあるのでありまして、これは「国際連合の措置、又はこれに代る個別的若しくは集団的の安全保障措置が効力を生じた」と両国政府が認めたときは、いつでも、これは効力を失う、こういうことになります。
  67. 岩間正男

    岩間正男君 軍隊が、日本の防衛隊がどんどん漸増されて行くこの計画というものが明らかにされて、或る程度の成案があつて、この協定というものは議事が進められた、こう思うのですが、どういうことなんですか。それは全然漠然としたもので、こういう一つの話合いができたのですか。私はどうもそうは考えられない、この点如何です。
  68. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 日本の力をだんだん殖やして行くということは、安全保障條約でアメリカ側が期待をする言つております。これはだんだん殖やして行くべきものだと考えておりますが、それはどういう程度につい殖やすかということになりますと、これは日本政府が財政その他の国内の情勢より判断して自主的にきめるべきものであります。そういう点については、何ら約束とか、規定まではいたしておらない。これは日本政府側で自主的にきめるものであります。
  69. 岩間正男

    岩間正男君 これについては、或る程度の案が私は示されなければ、恐らくこれは国会でも問題になつておるのです、アメリカの……。これは不可能じやないか。伝え聞くところによりますと、ここ二、三年の問にまあ三十万、今年の九月頃までに十六万、これぐらいの防衛隊に殖やす、こういうような案が一応問題になつて、大体そういう了解に達しておるということを聞いております。これは六百五十億だけでは足らんので、もつと分担金を殖やすべきだということに対する岡崎国務相の説明で、それがそういうふうにされておるというふうに聞いておるのでありますが、如何ですか。
  70. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) そういうようなことは全然ありません。但し今の予備隊を十一万に殖やすということは、政府計画として予算にも計上されておるのであります。併しながら若し更に御不審があるなら、あなたがお聞きになつたという情報の出所をお示し下されば、私のほうで適当に真僞を明らかにいたします。
  71. 岩間正男

    岩間正男君 新聞なんかでも、これは伝えておるところでありますから、何も情報の出所は日本国民が皆知つておる、知らぬは政府ばかりなりという妙な恰好であります。私は、この問題と関連しまして最後にお聞きしたいのですが、この当予鎌委員会で防衛漸増計画について必ず出す……政府のこれに対する案を出して欲しい、そうしてこの前の理事会においてもこれを出すということを前提としまして我々は予算審議を進めておるのであります。従いまして、いつ頃これをお出しになる予定であるか、予算委員会はもうこの二十七日で恐らくこれ仕幕切れということになるのでありまして、それに対して是非これはお出し頂かなければ、我々の予算審議は十分になし得ない。これは今度の予算審議の一番眼目という点でありますから、これに対して吉田総理にお伺いするのであります。責任ある御答弁をお願いしたい。この防衛計画というもの、これをお出しになりますか、お聞きします。……いや、これは総理大臣から答えて下さい。岡崎国務相じやどうも頼りないというわけじやありませんけれども、是非総理にお願いします。
  72. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 岡崎国務大臣からお答えいたします。
  73. 岩間正男

    岩間正男君 いや、私は岡崎国務大臣では困る。総理からやはり責任ある御答弁を願います。委員長委員会の権威にかけて是非これはやつてもらいたい、総理がここにいらつしやるのですから、総括しておるのですからその責任をお持ちにならなければ、私は問題にならんと思う。
  74. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 行政機構は近日出すと申しておりましたが、防衛機構については只今検討中でありますから、これは行政機構ができた後に成るべく早い機会に提出いたしたい。
  75. 岩間正男

    岩間正男君 予算審議までに間に合いますか。この点は肝腎でありますから総理にお聞きします。予算審議までにちやんと間に合いますか。
  76. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 予算には関係ございません。予算の範囲内においていたします。
  77. 岩間正男

    岩間正男君 そうじやないのでありまして、私たちは單に氷山の一角だけ示されちや困る。これに対して少くとも政府の持つておる案の大綱を示されて欲しい。大綱でいいのでありますから、具体的なそういう案でなくても大綱なんです。それについてこの前から要求されておる、そうして理事会においても確認されて、出すということを前提として、そして予算審議に一応入るということは確認されておるのでございます。ですから二十七日……少くとも二十三日、四日ぐらいまでにお出し願えなければ、これは変なことになるのであります。この点について予算審議差支えがあるかどうかという点……それまでに間に合いますか。これは是非総理からお答え願います。
  78. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 総理の命令によりまして私が代つてお答えいたします。防衛力の漸増につきましては、昭和二十七年度におきまして十一万に増員するということが警察予備隊についてすでに確定した計画として持つております。これは予算として只今審議を願つております。これに伴う法律案は必ず近く提案いたすつもりであります。なお岩間君の御質問によりますと、この十一万は氷山の一角であるから、その残りの全部の計画を示せ、これを予算審議の期間中に出すかという御質問であつたように存じまするが、政府はこの具体的な計画といたしまして持つておりまするものは、警察予備隊につきましては十一万に増員し、これを二十七年度中においていたす、これだけでございます。このほかには具体的な計画は持つておりませんから、これを二十七日までにお示しいたすということは実際上不可能でございます。
  79. 和田博雄

    委員長和田博雄君) あなたの時間は十五分前までです。
  80. 岩間正男

    岩間正男君 どうもおかしい、我々は少くともこの前十日に小林君から発言がありまして確認され、理事会においても更に再確認された、これに対して今日まで政府がこれをやらんというのは非常に怠慢だ。どうしたつてこれはお出し願わなければ予算審議差支えますので、これを私は要求したい。なお行政協定関連しまして質問したいことをいろいろ持つおりますが、時間の関係上省きまして一、二お聞きしたいと思いますが、その一つは今後この基地建設なんかが行われると思います。そういう場合に工事の請負は日本側の業者が当ることになりますか、それともアメリカの業者が当ることになりますか、こういう点をお聞きしたい。
  81. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 基地建設ということはありませんが、第二條の施設及び区域につきまして、第三條でこれに対する構築をやつたり、その他いろいろな施設を施すことが書いてあります。これに対しましては国内の業者はそれぞれ今いずれも国内の適当な法律に従い、或いは條例に従つて入札その他の権利を持つております。更に別の章で以て特殊のものだけは、例えば非常に高度の技術を要するとかいうようなものは特殊のもので、これはアメリカの特殊の技師等を連れて参るということも予想されております。普通の施設に対する請負工事は国内の業者がやるのが原則でありますが、その場合には国内の業者がすべて公平に取扱われる、こういうことになつております。
  82. 岩間正男

    岩間正男君 先ほど私の発言でありますが、これは資料の問題ですが、これを委員長からもう一度確かめて頂きたい。こういうことは委員会で確かめ、理事会でも確かめた問題でありますから、予算審議に間に合うように是非出すことを、これは委員長から念を押して頂きたいと思います。
  83. 和田博雄

    委員長和田博雄君) かしこまりました。あとでいたしますから、どうぞ続けて下さい。
  84. 岩間正男

    岩間正男君 只今日本の業者がお余りを分けられるというような御説明を聞いたのでありますが、これは施設、区域、こういうようなことで実際は基地だ。こういう基地建設ということはこれはなかなか軍機を保つためにもアメリカの業者が非常にこれにタツチするものが多くなるのは当然である。そういうことになりますと、こういう人たちに対しましてはこれは非常に恩典が與えられておる。アメリカから持つて来る資材につきましては関税が免除され、日本での調達品に対しましては、これは物品税、通行税、その他の内国税が免除される。そうしますと日本の業者どもは全然太刀打ちができない。先ほど同じように公平に恩惠にあずかれると言いましても太刀打ちできないという形が出て来る。これは重大問題であります。こういうようなのが行政協定の中に実際あつて、そしてこれはこういうようにアメリカ関係の業者が非常に有利である。それからもう一つありますが、米国人の商社の場合でありますが、今まではOSS、SPSというものがありまして、こういうところから非常に物資が横流れしておつてこの店だけでも数百億円と、こう言われております。これが一応今度は廃止される、こういうようなことになりまして、そこで商社どもは今どういうことを考えておるというと、我々の聞くところによりますと、これらのアメリカ人商社は日本のポンドを掻集めまして香港に遜り、香港でドル替えをする。そしてそのドルを本国に送り、それで今度は日本に輸出する。そういう場合は関税がこれは免除される。そこでドルの利鞘と莫大な関税の免除、こういうような二軍所得ということになります。こういう危険が非常にあるのでありまして、こういうような情勢がすでに今企まれつつある、こういうことを聞いておるのであります。現に香港あたりではそういうようなエイゼントが設けられておる、こういうことを聞いておるのでありますが、こういうことになりますと、国内の業者はいろいろな面でこれは太刀打ちができないと思う。今申しました点で殊にこういうことになりますというと、軍属関係なんかとこういうアメリカ人の商社が関係を持つ。そうして軍関係だということで以てそういうような物資が証明書をもらいまして買われる、それが日本国内に横流しされる、こういうことは非常に今までも起つたんです。これは随分問題が今までもあつたと思います。これはPXやその他の問題としましても、マッチやたばこや化粧品、こういうものが町に氾濫しておる。こういうようなことで日本国内業者を圧迫したことがあつたのでありまして、これは行政協定によつて一層こういう形が強化される。これに対してはつきり政府がこういう点から国内の産業を守るという強い措置をとられなければならないと思うのであります。こういう経済を混乱し、撹乱するような情勢が当然現われて来るのであつて、望ましくない状態が起り得ないということは私は考えられない。今までの様子から見まして、こういう点に対してどういうような措置をおとりになるのでありますか、その点お聞きしておきたい。
  85. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 先ず第一に繰り返して申しますが、軍事基地はありません。施設その他の建設等につきましては、日本の請負者がやるのが原則でありますということは、先ほども申した通りであります。非常に例外の場合として、特に高度の技術を要して日本側にその技術がないというような場合には、アメリカ側から連れて来るということはあり得るというわけであります。そういうことをすれば、経済的には非常に大なる金がかかるのでありますから、そんなことは極く例外であります。従つて日本の業者がアメリカの業者に太刀打ちができないということはあなたの宣伝で以て、事実はそういうことは決してありません。なおPXその他の問題について續々々お話でありますが、今までは今までのこととして、この行政協定が効力を発生したあとにおきましては、十一條等で特に詳しく濫用を戒める趣旨の規定をいたしておりましてそういうようなあなたのおつしやることが起ろうとは全然考えておりません。又起らないという自信を持つております。
  86. 岩間正男

    岩間正男君 そういう御答弁でありますが、これは信頼できないと思う。成るほど監視機関を設ける、それから民事裁判権こういうものはある、こういうことになつていますが、そういう形の中で何が行われたかということは、これは天下周知のことなんです。公式のこういうところではなかなかそういうことが表明されなかつただけであります。それで殊に行政協定以後はない、こういうお話でありますけれども、行政協定もつともつとこうした事態が惹き起される可能性が十分あり得るわけであります。これに対しまして日本政府のそういう監視機関というものは、非常にこれは微弱なんじやないかと思う。これはもつともつとあとで細かに予算審議の機会がありますから、もつと細かに私はお聞きしたい。行政協定関連いたしましてもう一つお聞きしておきたいのは、この刑事特別法というようなものが軍の機密を保つ、こういうようなことでこれは何か今朝の新聞で作られるということになつているのでありますが、何でも防諜一本、防諜とかそういうようなところが非常にこの法案の中心になると思うのでありますが、こういうことであらゆる論議が封殺されるということになりましたら、日本の言論の自由なんというものは全然問題にならなくなつて来るのではないか。例えば国会におけるところのそうしたいろいろな論議さえも……、基地の問題、或いは私が今まで申述べましたようなこの軍の作戰に触れたような問題、これは日本民族にとつては重大な関連を持つもの、こういうような問題が全く論じ得なくなつて来る。そうするとむしろこれは現状よりもひどい状態が出て来るのじやないか。或いは又労働者の場合にPDの工場におきまして、これは働く條件が今までしばしば問題になつております。日本の労働法の適用がない。従いましてこれに対しまして基本的な生活権を守るということで、個々の工場内における労働者の一つの行動がある、こういうものを全部これは機密に触れる、或いは又土地取上げによりまして、農民がそれを取上げられちや困る、そこで何々村のこういう所というようなことで、これは陳情を出します運動を起しますというと、これはすぐに軍機に触れる、こういうことでこれは防諜で以て取締られる。或いは又原爆がどうも日本に運ばれているのじやないかというようなことが出ますというと、これは非常に日本国民には不安であります。こういう問題に対しましてどうしてもこれは日本国民の生活権、基本権を守る場合からこういうような運動が下から起る。これに対して全部防諜法に以て引つかけて行けばひつかかる。こういうふうになれば、これは基本的な人権を守られないと思いますが、これはどうなりますか。むしろ現状よりも遥かにそういうような形が強化される、そうして殊に緊急事態でも起つたならば、これは大変な事態が起る法案であると思うのでありますが、これはどうでありますか。
  87. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 現状より悪くなるというお話でありますが、そんなことは絶対にありません。なおこれは只今法案の研究中でありまするから、いずれ法案を提出いたしましたならば、十分に御審議を願うつもりであります。
  88. 岩間正男

    岩間正男君 この点は我々にも法案の具体的な点を見てから審議するのでありますが、併し今度の行政協定を見まして、法案を見なくてもそういうように拡張解釈され、そうしてそういうような具に供される面が非常に私はあり得ると思うのです。行政協定につきましては、なおお伺いしたいことがたくさんあるのでありますが、以上で打切りまして、最後に文教問題につきまして総理の見解をこの際質しておきたい。  第一は、総理はこの前日本政策経済政策と文教政策は二大政策である。たしか三四年前箱根の山を降られるときにそういうような宣言をなされたと思う。併しその大切なはずの文教問題が今日では予算の面に非常に……、これは財政面において圧迫されておる。地方平衡交付金の問題なんかでも今非常に騒いでおるのでありますけれども、殊に最近の防衛隊……、日本の置かれている安保條約と関連したところのこの軍備強化、これは総理はそういう言葉を使われないのでありますけれども、そういうような防衛隊なんかでもいいのでありますが、そういうふうな国防費というものに非常に多くさかれている。この圧迫によりまして文教とか厚生面が非常に大きく削減されている。教育問題というものは、こういう点で、いろいろな面で大きな困難を来しております。六三制の問題或いは給食の問題、或いは育英資金の問題、こういうような問題、或いは科学研究費、こういう面で一々細かに数字は上げませんけれども、大変大きく圧迫されて来ておるのであります。従いまして総理が曾つて声明されましたように、教育を本当に重要視するのであつたならば、どうしてもこのような今日の財政の中におきまして、教育財政、こういうものをはつきり確立して守るということが必要だ。従つてこのような何か具体的な方策を立てるということが今日絶対必要になつて来ているのでありますが、これに対しまして総理はどういう御意見をお持ちでありますかお伺いしたいと思います。これは天野文相は、私はしばしばお伺いし過ぎているほどお伺いしているのでありまして、この際総理の見解をお聞きしたいのであります。
  89. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 主管大臣からお答えいたさせます。
  90. 岩間正男

    岩間正男君 天野文相にはお聞きしているので、総理からこれに対してどういうふうにお考えになりますかお聞きしたい。具体的に只今問題になつている義務教育費国庫負担法、それを平衡交付金の中から教育費を確保する、こういうような案に対しましてどうお考えになりますか、この点お聞きしたい。
  91. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 教育のことにつきましては、大体私が総理から委託されておりますから、今総理から御発言になつたように私からお答えいたしたいと思います。
  92. 岩間正男

    岩間正男君 これは天野文相は答えられない立場に今日立つているのですから、私は総理に伺つているのです。今どういうふうに教育の予算を守つて行くかという問題について地財委あたりと対立しているのですが、これは文相のお考えもあるでしようが、それは政府全体のお考えじやない。従つて私は統轄者としての総理に伺つているので、天野文相の考えは後刻伺えばいいのであります。総理からお伺いしたい。
  93. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私は今申した通り主管大臣として文部大臣が専念この問題を取扱つておられるから、私よりも正確にお答えができるから、文部大臣からお答えいたします。
  94. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 教育予算が非常に圧迫されているということを申されましたが、文部省でこの頃非常に詳しい調査をいたしましたから、いずれ岩間さんにも見て頂きたいと思います。日本の教育費というものは決して少くない。ほかの国に比べまして……。これは日本が非常に教育に力を注いで来たから今日の国力があるのであります。そういう意味では、これで十分とは思つておりませんけれども、そんなにこれではどうにもしようがないというほどのものではないと私は思つております。
  95. 和田博雄

    委員長和田博雄君) あなたの時間は十五分で、もう四、五分ですから……。
  96. 岩間正男

    岩間正男君 文部大臣から只今のような御説明を聞くとは私は夢にも思つていなかつた。これは全体の総額についてここで論議する時間がありませんからあとに譲りますけれども、来年度は実質的に減つているのです。例えばこれは実質的に言いますと、給食費が九十六億の内容を持つたものが二十四億に滅つております。実質的に十七億減つております。これを計算しますと……。そこに物価の値上を考えますると総体的に二割ぐらいの削減になつているのであります。全体について私たちは論じている。どんな詳細な説明を聞いてもそういうことは変りはない。そういう点から私はこういうような困難な時代に教育を重要視するならば、当然これに対して財政的な措置を講ずべきだ。こういう点は天野文相も多年主張しておられると思う。ところが今日いろいろ地方財政なんかの関連で問題になつておりますから、私は吉田総理にお伺いしたのであります。残念ながら教育文教のことは最も重要な政策だと言明せられた総理からこういう具体的なお話がないのを残念に思います。  併しこの点はこれで切上げまして、私は最後にお伺いしたいのは今度の東大問題でございます。吉田総理はこの前荒木君の質問に対しまして、学園は危険思想の温床となつているそういうふうなお話があつたのでありますが、これは非常に由々しい問題だと思う。これは今日でもそうお考えになるのでありますか。このたびの東大事件の問題では学の自由を守る、こういう立場から考えまして非常にこれは重大な問題なのであります。これに対して私はお聞きしたいことは、これは学園内に入つて、実際は入りましたところの私服がはつきり秘密警察的な 特高的な意図を以ちまして学生や教授の身元調査、思想調査、こういうものをやつている。こういうやり方につきまして、一体これは今日においてこういうことが正しいとお考えになるか。天野文相は曾つて文部委員会の私の質問に対しまして、そういうことは是認されるとお答えなつた。それから今度は外に出まして、そうして外界の空気をお聞きになつて、それはやはり学園の自由を守らなければならないと言つて、変言されているのでありますけれども、私は総理にこの点をはつきりお聞きしておきたいと思うのであります。そういうような特高的なものが学園に立入つて、そうしてこれを思想調査、身元調査というようなことをやつて、果して学の自由が守れるかどうか。そうしてこういう特高的なやり方に対しましては、最初は当人たちはひた隠しに隠しておつたのでありますが、遂には隠しきれないで、やはりこれは一つの命令によつてこういうことがなされたということが明らかであります。そうしますというと、なぜ隠さなければならないか。又そういうことを、前言を翻すような、そういうような一体公務員というふうなもの、こういうものによつて日本のいろいろな問題が秘密警察的に処理される。これに対して吉田総理はどうお考えになりますか。その点お聞きしたいと思います。
  97. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 学園の研究の自由等は無論尊重いたしますが、併しながら学園が決して治外法権的な存在ではないのであります。これが赤の温床、共産・主義の温床になるようなことがあつては、警察としては黙視することができないのは当然であります。
  98. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 時間が相当参りましたので、ちよつと政府のほうに私からお尋ねすると同時に御要求申上げたいのでございますが、去る十一日の当委員会におきまして、憲法第九條の戰力が問題になりましたときに、緑風会の小林委員から政府が持つておる自衛力漸増計画を示すことが非常に必要ではないかという御意見が出まして、尤もだと委員長も思いましたので、総理に対しまして計画があるならば出してもらいたいということを決議いたしたのでありますが、その際総理は近日中にお出しすると、ただ近日ということしか今の段階においては言えないと、こういう御答弁であつたのでありますが、それから約一週間経つておりますので、この予算委員会審議中にこれは審議を進行する上から言いましても、これは大綱でいいと思う、最後まできまつておらなくても、大綱なり、構想なりを是非示して頂きたいと思うのでございますが、その点は総理からもう一度御答弁をお願いいたしたいと思いますが、如何でございますか。
  99. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 治安機構の問題について目下研究いたしておりますが併しながら来年度はどうであるかという漸増計画なるものを今日具体的に立てるということは政府としては考えられないことであります。そう御了承願います。併しながら治安機構等については、成るべく早く提出いたすようにしたいと思います。
  100. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 議事進行について……。今総理からたしか警察関係の組織について、私の質問のときに言われましたので、今委員長の言われたのは楠見君も、小林君も言いまして、そうして小林君がわざわざ現在の状態でどう政府考えておるか、その点について漸増計画、漸増的に防衛力を殖やすということを安保條約で約束している以上は、是非お出し願いたいと、こういう話であつて、この問題についても政府は確かに確約されたのであります。だから機構の問題だけでなしに、実際の漸増計画、それができて来なくては予算審議ができにくい。で、本年度の予算審議に当りましても、そういう漸増計画自身が出なければ、二十七年度の予算ですでに二一%を占めている防衛関係の経費というものを基底にして、我々はどうして予算審議できるかということに相成りますので、予算審議に当つては是非間に合せてこれをお出しになるように御努力を願いたいと思います。
  101. 和田博雄

    委員長和田博雄君) その点につきましては、やはり政府のほうでもう一度よくお考えになつて、各委員の要求もあることですから、構想なり何なりあれば、是非お出しになつたほうがいいと私は思います。今総理お答えになつたようなところでは、ちよつとやはり満足しかねますので、その点はもう一度政府のほうで……。
  102. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 漸増計画では十一万以上はないのですから。
  103. 和田博雄

    委員長和田博雄君) なければ、現在の情勢においてどうするかということを、やはりもう少しまとまつたのをお出しになつたほうが私はいいと思う。
  104. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) まあとにかくそういたします。
  105. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 議事進行について……。まだ自由党その他の会派から首相に対する総括的な質問の御要求があるかと思いますが、議事の進行に関連しまして……、言うまでもなく憲法第六十條によりまして、我々はこの月の二十七日までにこの予算を議決を完了しなければならないことは言うまでもないことでございますが、先般来の議事の進行振りは十分に……その二十七日までに我々が議事を完了する運びには、極めて遅々たる歩みを示しておるかと思われるのであります。その原因になつておりますることは、今も問題になりました、政府が十分なる資料を要求に応じて御提出になつておらんということ、今の問題。なおそのほか私が要求いたしました資料につきましても、首相は提出をしたとおつしやるのでありまするが、我々には届いておらんこともあるのであります。それから又政府が、首相及び閣僚のかたがたが十分誠意を以て議員の質問に対処しておられないということも一つの原因だろうと思いまするが、それらはそれぞれ改めて頂かなければならないと思います。  もう一つは議事の進行に関連いたしまして、劈頭木村委員等から発言がありました通りのこの予算が憲法違反の疑いがあるということでありますが、これは極めて重大な問題でありまして、先般来これに対して非常な熱心なる討議が交わされておるのであります。これは我々は基本的な問題として大きく取上げてこれを論議しなければならないことは当然でありまするが、併し一面におきましてそのために議事が非常に遷延いたしまして、二十七日までに十分の予算審議ができないというようなことは非常に残念なことであり、又国民からいたしますというと、その一点だけでは参議院が予算審議権を放棄しているというような、必ずしもその非難に私は該当しないと思いますが、そういう非難の声も挙つておらないではないと思うのでございます。六十條によりまして一院だけの、先議権を持つております衆議院の議決が法規的には成立いたしまするけれども、そのような結果には我々は断じて陥らしめるようなことはしてはならないというのは、これは私個人考えでありますが、そうした考えを持つておる人も相当ほかにもあるかと思うのであります。それでそうした憲法違反に該当するところの疑いのある予算の項目につきましては、これを修正する、或いはこれと除きまして審議を進めるというような考え方もあり得ると思うのでありまして、どうぞ二十七日までに参議院が衆議院より回付されて参りましたところの予算を、そうした憲法に違反するところの疑いのあるという條項はこれを修正或いは削除するなり、或いはその問題につきましては別個の形において、(「簡單々々」と呼ぶ者あり)それに対する力強い我々の意思表示を決定するということにいたしまして、ともかく二十七日までに参議院がこの予算審議を完了することができまするように、早急に委員長理事会を招集して、そうして審議に関するところのプログラムを再検討せられまして、私が今申しましたような趣旨が実現することができまするように一つ考えを願いたいということを御要求いたします。
  106. 和田博雄

    委員長和田博雄君) まだあと自由党の総理に対する総括質問が残つておるわけでありますが、自由党のかたが棄権されましたので、総理大臣に対する総括質問はこれで終つたものといたします。  只今吉川委員からの御発言については、委員長においても今日午後一時から理事会を開きまして、今後の委員会運営を相談する予定でありますので、その点は理事会にお任せ願いたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十五分散会