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1952-03-14 第13回国会 参議院 予算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月十四日(金曜日)    午後一時二十六分開会   —————————————   委員の異動 三月十二日委員石村幸作君辞任につ き、その補欠として石坂豊一君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     和田 博雄君    理事            中川 以良君            山本 米治君            小林 政夫君            杉山 昌作君            内村 清次君            堀木 鎌三君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員            愛知 揆一君            石坂 豊一君            泉山 三六君            大島 定吉君            楠瀬 常猪君            左藤 義詮君            白波瀬米吉君            杉原 荒太君            鈴木 直人君            中川 幸平君            宮本 邦彦君            平林 太一君            岡本 愛祐君            小野  哲君            片柳 眞吉君            加藤 正人君            楠見 義男君            中山 福藏君            荒木正三郎君            吉田 法晴君            波多野 鼎君            松浦 清一君            吉川末次郎君            駒井 藤平君            鈴木 強平君            西田 隆男君            岩木 哲夫君   国務大臣    内閣総理大臣    外 務 大 臣 吉田  茂君    法 務 総 裁 木村篤太郎君    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    通商産業大臣  高橋龍太郎君    運 輸 大 臣 村上 義一君    労 働 大 臣    厚 生 大 臣 吉武 惠市君    国 務 大 臣 大橋 武夫君    国 務 大 臣 岡崎 勝男君    国 務 大 臣 岡野 清豪君    国 務 大 臣 周東 英雄君    国 務 大 臣 山崎  猛君   政府委員    内閣官房長官  保利  茂君    法制意見長官  佐藤 達夫君    外務政務次官  石原幹市郎君    大蔵省主計局長 河野 一之君   事務局側    常任委員会專門    員       野津高次郎君    常任委員会專門    員       長谷川喜作君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十七年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十七年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十七年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 予算委員会を開会いたします。  前回に引続いて総理大臣に対する総括質問を続行いたします。
  3. 東隆

    東隆君 私は十勝沖地震はこれは治安に対するテストケースだと考え、これを中心質問をいたそうとしておるのでありますが、先日来の問題で一、二明らかにしておきたいことがありますので、それを最初お尋ねをいたします。  総理大臣は十日の本委員会において、委員長の要請に応えて、近日中に戰力ならざる自衛力漸増の限界について憲法の許す範囲のものを提示することを引受けられたのであります。今後の審議上大変好都合かと存じますが、只今予備隊裝備はことごとく米軍がこれを使いなさいと適当な場所に置いてあるのであつて日本施設をするものは、通信施設トラツクやブルトーザーやというような、これは武器ではないものについてのみこれを準備をしておるのであります。従つてこの使いなさいと適当な場所に置かれてあります武器の内容が戰力に一番関係があるのでありますので、このXをはつきりさせなければ、政府自衛力漸増中身はつきりして来ないと、こう考えるのであります。そこで第一番目に、この裝備の重要なものは日本独立国になつてもそのまま今のような状態で続けられて行くのであるかどうかをお伺いをするのであります。
  4. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) これはしばしば説明いたしました通り、今日日本の財力、国力として大きな裝備は勿論できないから、安全保障條約のごときものを作つてアリカ援助を受ける。そうしてその裝備は如何なる裝備アメリカ日本に……、すでによこしておるものはわかつておりますが、将来どういうものをよこすか、私も、政府もよくは知りませんが、とにかく日本治安を維持するに足るだけの裝備アメリカが都合してよこすことになつております。これを戰力と言うか言わないか。何と言われても私は戰力を作るつもりはないし、全く治安維持目的のために使用いたすつもりであります。
  5. 東隆

    東隆君 私が今のこの問題について非常に将来において疑問に感ずる点は、見返資金関係をして考えてみますると、最初は見返資金は返さなくてもよろしいと、併し国際信用上これは返すべきである、こういうように変つて参つたのであります。この予備隊裝備を初めとしていろいろなものが、これはやはり独立国家の態勢を整えて参りますると、やがて国際信用の面から言つても、耳を揃えて返えせと、こういうようなことになりますると、又返えさなければならんじやないか、こういうような問題も私は起きて来るのではないかと、こういうような疑問を非常に持つのであります。そこでこの間の問題は私は相当事実ははつきりしておるではないか、数字その他については、数量その他についてははつきりしておるのではないか、そういう「ことについての取極が日本アメリカとの間にあるのではないか、こういうように考えるのでありますが、その点をお伺いいたします。
  6. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 見返資金、即ちガリオアは初めは返えさないことになつておるという、その了解はないのであります。併しながら、あつてもなくとも日本救済に充てられた、日本援助するためによこされた資金、これによつて日本が今日まで国際のバランスといいますか、とにかく経済を維持して参つたのであるから、これに対して、これを何といいますか、チヤリテイといいますか、日本に対する救済資金、恵みとしてもらうということは、これは我々の感情が許しませんし、又かくのごとき資金は国民の名誉にかけても返すべきものと考えておるのであります。併し詳細の交渉は今後どういうふうにして、どういう條件で返えすか、これは今後の交渉に待つわけであります。  今の武器に関するお尋ねでありますが、これは大橋国務大臣からお答えさせます。
  7. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 予備隊の使つておりまする武器についてのお尋ねでございまするが、只今種類といたしましてはたびたび申上げまする通り、小銃並びに機関銃を使用いたしております。これらの武器只今法律関係といたしまして、強いてこれを分析いたして見まするというと、日本に駐在をいたしておりまする米軍保管をいたしておりまする米軍武器を事実上使用しておるという法律関係になつておるわけでございまして、この間日本政府といたしまして、はつきり向うから借りておるというような事実ははつきりいたしておりません。併しこういう法律関係で今後やつて行けるかどうかということについては、私どもといたしましても相当研究を要する問題であろうと、こう考えておるわけでございまして、今後の問題は向うともよく相談をいたしました上で、はつきりした形をきめるようにいたしたいと、こう考えておるわけでございます。
  8. 東隆

    東隆君 私はこの中身が明瞭にされておると否とにかかわらず、今後における日本治安を進める場合に、狹義の治安、即予備隊、或いは海上保安隊等を通しての治安関係考えてみますると、日本側で以て施設をするものは平和的なもの、それから米軍の側から持つて来るものは、これは武器そのもの、こういうふうに考えられます。これは私はまさしく競争をやつておるのではないかと思うのですが、今後日本側トラツク用意をすれば、向うからは戰車が来る、旅客用の飛行機が用意をされると向うのほうからはジエツト機用意をされる、そういうような形で以て、どうも競争をするような関係で以て自衛力漸増が進められて行くのではないかという疑問を持つわけであります。というのは、先方で用意をされるものについては制限がないのですから、それで自衛力漸増の形がそういう形で進められて行つたのでは、これは非常にむずかしい問題が起きて来るので、この競争はやめてもらわなければこれは非常にむずかしい問題が起きて来るのではないかと、こう思うのでありますが、そういう心配はないのでありますか。
  9. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 競争とおつしやいます意味が私によくわかりかねるのでありますが、予備隊といたしましては、予備隊本来の目的からいたしまして或る程度裝備が必要である、こう考えておるわけでございます。併しながら現在は占領下でございまするので、武器生産というものは全面的に禁止をされておりまするので、又戰前におきまして軍の保有いたしておりました武器も全部破壊いたしてしまつたのでございまするので、従いまして警察予備隊武器を入手いたしまする方法といたしましては、アメリカから供給してもらう以外には方法がないということに相成つております。従いまして現在は武器アメリカから入手いたしておるのでございますが、その入手する方法といたしましては、本来米軍日本において保管をいたしておりまする若干の武器日本予備隊が事実上使用することを許される関係只今使用いたしておるわけでございます。武器以外のものにつきましては、日本側において生産せられておりまするものは、今日できるだけ日本準備をいたすようにいたしております。今御審議を頂いておりまする明年度予算におきましても、又今毎度の予算におきましても、予備隊の使用いたしまするところの車両でありまするとか、通信機械でありまするとか、或いは被服、営舎、こうしたものは原則として日本政府自分調達をし、自分国内において買入れるということをいたしております。武器につきましても同様に、日本側日本側費用によつて入手をするという方法考え得るところでございまして、殊に今後独立いたしましたならば、国内においても武器生産というものに対する現在の司令部命令による禁止というものが自然解消いたしまするから、武器生産も可能になるわけでございまするが、併しながら差当りといたしましては、引続き米国から貸與されるであろうということを予想いたしまして武器国内における調達、又日本政府による武器の購入ということにつきましては、現在考えておりませんというような状況でございます。これらは大体予備隊につきまして、おのずから予備隊というものができ、その目的が定つておるのでございまするから、その目的範囲内において必要なる裝備というものを充実いたして参るわけでございまして、そのうち国内において日本政府が取得して給與できるものはできるだけそういう方法による、なお米国から援助を受けられるものはできるだけそういう方法による、こういうわけでございまして、これは全体を日本及び米軍側において分担をいたして強化をするというような状況でございまして、特にその間競争というような考え挿む余地はないものではないかと、こういうふうに私は考えておる次第でございます。
  10. 東隆

    東隆君 今の大橋国務相お話伺いますと、将来日本においても武器の製造が許されるであろう、こういう問題で、この問題に関する限り潜在戰力というような意味で非常にむずかしい問題がそこにあるだろう、こういうことは考えられるわけであります。併し私は時間を少し節約しておりますので、この問題はこの程度にいたしまして、十勝沖地震中心にして、これが私は治安のテスト・ケースであると最初に申上げたのでありますが、十勝沖地震に対しては、政府建設大臣北海道開発庁長官である野田さんを派遣されて、いろいろ応急措置を講ぜられておることに対して感謝をするのでありますが、この際首相の十勝沖震災に対しての対策についての力強い一つ言葉をお聞きしておきたいのであります。どうぞ一つお願いをいたします。
  11. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 政府地震報告震災報告を得ると共に、建設大臣を急派いたしまして、その場において、震災地において適当な措置を急速にとるために、各方面の陣容を動員いたしまして、今日まで無事に事なきを得たわけであります。詳細のことは国務大臣からお答えいたさせます。
  12. 東隆

    東隆君 次には、私は十勝沖震災を私どもが通知を受け非常にびつくりしたときに、一番先に考えましたのは関東大震災のときなのであります。関東大震災のときには流言蜚語によつて朝鮮人が殺戮をされ、又無政府主義者と言われておつた大杉栄伊藤野枝が、憲兵大尉でありますか、甘粕憲兵大尉に殺された、こういうような事件があるのであります。あの当時の日本情勢考えまずと、第一次世界戰争あとを受けて、日本デモクラシーの波が滔々として押寄せておつた時期ではないかと思います。従つて国情の違つたあの当時において、デモクラシーというものに対して非常に恐れを抱いておつた。殊に軍関係は非常にこの問題について恐れを抱いておつたと思いますが、今回の十勝沖地震に際しましては、実は一番ひどい被害を受けておる根室であるとか、釧路であるとか、これは共産党の集であると、こういうふうに実は言われておる所なのであります。その地帶で、今まで私の聞いておるところでは割合に暴動やトラブルが起きておらないように考えます。思想的な方面の問題が起きておらんように考えるのでありますが、これは今の日本憲法民主主義憲法であり、警察その他の関係割合考え方が進んでおるから、そういう問題が起きないのではないか、こう一応考えるのであります。そこでこれと関連をして、最近起きております東大事件であるとか、その他いろいろ警察一般大衆或いは学生なんかの間にトラブルがたくさん起きておるのでありますが、こういうような情勢が進んで行きますと、私は非常にむずかしい問題がああいう一つ事件を契機にして起されるのではないか、こういうようなことが気にかかるのでございますが、一つケースとして北海道地震の際において、この治安関係において警察或いは警察予備隊、そういうようなものが持つべき考え方、そういうようなものは今の非常に逆コースを進んでおるようなああいう状態ではいけないだろうというような感じを私は持つのでありますが、そういう点について総理大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  13. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 北海道のこのたびの事態を見ますると、現地警察官、予備隊或いは進駐軍、米軍その他が協力一致して、何らの事態なく、只今の御指摘のような朝鮮人が動くとか、或いは共産党がどうしたとかいうような事変なしに、とにかく今日まで平穏に各方面が協力してこの応急の処置を講じて、誠に満足すべき事態にあつたと私は思います。詳細なことは所管大臣からお答えいたさせます。
  14. 東隆

    東隆君 私は今の総理大臣お話でありますと、非常にいい形だ、満足をする形であつたと、こういうふうなお話でありますけれども、併し警察予備隊、その他と一般大衆との間の関係が逆コースのような形で進められると私は非常に危險ではないか、こういう感じを持つのでありますが、その点は多少考え方を異にしておるわけであります。私はその問題はその程度にいたしまして、次の問題に移ろうと思いますが、朝日新聞の三月五日の社説にこういうようなことがあります。「北海道地震に痛感する」と、こう題して、災害を聞いて直ちに痛感されることは、通信機関の故障によつてその被害状況を早く確かに知ることのできないという焦慮である。通信機関完備は、戰争内乱ばかりでなく、あらゆる安全保障根本施策でなければならない。有線が用いられなくなれば、忽ち通信が絶えるというようなことでは誠に心細い。この経験もこれまで幾たびとなく繰返されたことであると言つています。率直に総理大臣は、この通信機関完備は、戰争内乱ばかりでなく、あらゆる安全保障根本施策でなければならんということに同意をされますか、私はお伺いをいたしたいのであります。
  15. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) これは当然のことでありますが、現在通信機関は必ずしも完備とは申しませんが、漸次完備しつつあるのであります。又当局も完備するために全力を盡しております。
  16. 東隆

    東隆君 私はこういう簡単なことをお聞きしているのでありますが、実は今回の北海道十勝沖震災中心にして、割合にいろいろな資料が相当迅速に集まつた。併し細部に亘つてはまだわかつておりませんけれども、大きくそれがわかつたのは、これは無線関係の、殊に北海道庁が設備をいたしております十四カ所、それから東京にも一つつておりますが、この関係で以て実は非常にこの関係が早くわかつたのではないか、こう考えるのであります。ところがこういうようなものに対しては、政府の今のやり方は実のところを申しますと、非常に力を注いでおりません。無線設備に対して国家が大きく金を出してやる。こういうようなことをやつておらないのであります。で、私は先般のジエーン台風の場合にも実は大阪のほうに参りましてへこれは淀川の上流と下流の間に無線施設があつたのでありますが、それはまだ許可になつておりませんでしたけれどもジエーン台風の場合にそれを活用しまして、そうしてそのためにたくさんの人命が助かつた、こういうような例を持つているわけであります。それでこの無線施設というものについて、実はもう少し総合的な形で以て進めて参らないと、これは非常に大きな問題が起きて来るだろう、こう考えるのであります。只今の場合は各方面がこれを別々な形で持つております。施設をしているのであります。そういうような関係で、これは一朝有事の場合、その他において非常に困難な問題がありますので、私はこの機会に大きく取上げてやるべきであろう、こう考えるのでありますが、気象台或いは国警も、今度は北海道の五方面施設をする。こういうことになつておりますが、こういうようなものは一つ総合的な形で以て立派な施設を作り上げて置いて頂きたい、こう思うのでありますが、そういう裝置について、総理大臣はこういう機会一つ、非常にそういうことが必要であつて電波監理委員会のあのやつている仕事をもう少し強化をして、そうして立派にやるのだというような気持をお持ちになつておりますか、どうか、お伺いいたします。
  17. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 北海道のこのたびの震災につきましての通信連絡の御注意の点は御尤もでございます。このたびの北海道につきましても、早速札幌及び現地間に無線連絡の付いているところにつきましては連絡がとれまして、非常に有効に行つております。従いまして今の御注意の点は今後も十分関係官庁とも連絡をいたしまして、気を付けて行きたいと考えております。
  18. 東隆

    東隆君 私はそれに附加えて、実はもう一つ申上げたいのは、北海道で今小さな局部的ないろいろな方面のことをまとめるのに、実はラジオ共同聽取をやつているのであります。このラジオ共同聽取は、これは電燈のついていないところに有線で以てラウドスピーカーを各農家に配置をした。そうして平常はラジオを聞いているのでありますが、村の告知事項であるとか、その他のものはマイクで以てやれば全村にそれが行き渡る。こういうようなことで、実はこそ泥も馬泥坊もみんなこれでわかつてしまう。こういうような形に実はなつているところが相当できて参つております。これは農村の者が独自で以てそれをやつているのでありますが、実はこれに対して国は一つ援助を與えておりません。殊に放送局関係は、料金はラウドスピーカーを付けているところも同一に聽取料をとつている。こういうような非常に冷遇を與えているわけであります。私はこういうような自力で以てやつて、そうして何とかして文化的な施設を得よう、こういうふうにやつているところに対して、私は大きく力を注ぐべきである、こういう考え方を持つ。こういうような方面に大きく力を注ぐことによつて、私は警察予備隊であるとか、或いは国警であるとか、自治警察であるとか、そういうようなものは、これは実のところを申しますと、消費的な部面のものでありまして、決してたくさん置くことがこれはいいことではない。却つてネセツサリー・イーヴルをできるだけ少くすることが、これが国家のためになる、こういう考え方なんであります。そういうような意味で、私は優先してこういうような通信施設通信網の確立、こういうような面に私は大きく動くことが、この日本の国を、四つの島を一つにして、そうして立派に治安を確保することだ、こういう考え方にならざるを得ないので、そういう面について大きく一つ施策を打つて頂きたいのであります。ところが今の政府のおやりになつているやり方、即ち公社をこしらえてやるとか、或いはもう一歩を進めて独立採算制でやるとか、こういうような考え方で進めて参りますと、決して費用のかかる方面には伸びて行かないのであります。施設が伸びないのであります。それで私は総理大臣考えをお聞きするのは、こういうような治安関係中心にして考えてみましても、通信関係の問題はこれは国家的な形で以てやるべきであつて独立採算制のような、そういうようなものを持つて来るような県営を中心にした考え方から行くべきではない、こういう考え方を持つので、その点について総理大臣のそういう考え方に立たなければならんという考え方が若しおありでありましたら、その点をお答え願いたい。
  19. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 只今お話し農村文化及び厚生施設として、ラジオ共同聽取方法を助成したらどうかという御質問であつたかと思います。これは内地におきましても、そういう文化的に気を付けておりまする町村あたりでは、だんだん実施をしておりまして、成績の上つているところを存じております。北海道のような地域につきましては、そういうもののできることは極めて望ましいことと思いますが、目下のところ財政上そこまで厚生施設の助成の及びませんことは遺憾でありまするが、今後十分気を付けてできるだけの努力は拂つて行きたいと思つております。
  20. 東隆

    東隆君 私のお伺いしておるのは、今の政府の自由主義的な経済中心にしたやり方、そのやり方でやつてはこういうような方面のことはこれはできないんだ、こういう考え方を私は持つておりますので、それに対して予算がないからなかなかやれないんだと、こういう考え方でなくて、予算を作るために考え方を変えなければならん。こういうことを実はお聞きをしておるのであります。  私はもう一つ重要な問題を進めて行きたいと思いますが、それは今回の地震で痛切に感じたのは道路、橋梁の問題であります。鉄道の問題、これは実は寸断されたような形になりまして、実際のところは非常に不便を感じたのでありますが、北海道道路は、国道はこれは実のところを申しますと旭川までしかないのであります。そのあとはもう国道ではないのであります。そういうような形で以て一番被害を受けておる所はこれは国道のない所であります。そういうような地帶でありますが、永久橋はまだ完全に整備をされておりません。木橋が非常にたくさんある。トラツクを通そうと思つてもなかなか通らないような所がたくさんある。こういうような形であるわけでございまするが、私は予備隊或いは警察に関しましても、これが機動力を万全に発揮をするためには、どうしても交通関係整備をして置かなければ問題にならない。徒らにたくさん警察予備隊の隊員の数を殖やして見たつて機動力がないものをこしらえて見ても、これは穀つぶしという言葉がありますが、まさにその通りになると、こう言わざるを得ないのであります。そういうような意味道路、橋梁、それから鉄道、その他の点について、これは私は予備隊を充実するよりも先にこれをやらんければならんではないか、こういう考え方を実は痛切に感ぜさせられるわけでありますが、鉄道について考えて見ましても、北海道の鉄道は大きな大型の機関車が通る所は室蘭から岩見沢の室蘭線ぐらいが通るだけで、あとはもう全部二流、三流の路線なんであります。従つて大きな機関車も動きませんし、古い機関車、古い貨車、古い客車これが北海道に使われておるわけでありまして、私は今回地震で以て各地に被害を受けておるのは、これは当然ではないかと思う。室蘭線だけが被害を受けておりませんが、その他の余り大きな地震感じないような所まで脱線をしたり、いろいろな問題が起きておるのは、そういう点が大きな理由だ、こう考えておりますので、私はこの点について、予備隊警察、そういうような方面の充実によつて自衛力漸増をお考えになつておるのでありますが、憲法違反の疑いがあると、こういうふうに言われるそつちの方面に力を注ぐ前に、堂々と私はこの平和的な方面に力を注いで、そうして十分に機動性を発揮し、十分に治安目的を達するようなやり方をやることによつて、私は立派に憲法目的に適うようなことになる、こう考えるのであります。この点はお答えを頂戴いたさなくてもわかることでありますけれども一つ予算の面、その他の方面において大きく一つ施策の中に入れて頂くように、これは希望を申上げます。  これと同じような問題で、実は平衡交付金、その他の関係、或いは起債の関係で以て歴然と現われて来た関係は、これは学校関係であります。本来ならば地震であるとか、洪水であるとかいうような場合に、大抵個人は学校だの、お寺だの、そういうところに避難をするのでありますが、今回は北海道では学校が大分たくさんやられております。その学校がやられたのは、何がやられたかと申しますと、小学校と、それから高等学校がたくさんやられました。新制の中学校は余り倒れておらないのであります。倒壊しておりません。これは何に原因しておるかと申しますと、これは起債の許可だの、何だの、これが不十分なために、認可が不十分なために老朽校舎が非常に多かつた。こういうことをこれは証明をしておるのであります。私はこれを考えたときに、地方庁が中心になつて非常に起債を熱心に希望をしておる。それに対して無下に断わつた政府、これは私は非常に今回の場合にもこれは無慈悲なことをやつたのじやないか、こういうふうに考えざるを得ないのであります。この地震は決して北海道にだけ起るわけじやありませんから、一つ大きく起債関係、その他の問題について、これは大きく一つ手を打つて頂くことが、必要だと、こう考えるのであります。私はこの点も実は質問をしなくてもはつきりわかるのでありますから、一つ施策の中に十分に織込んで頂きたい、こう希望を申上げておきます。  私はこの機会治安を確保する場合に、警察或いは警察予備隊、こういうようなものと、それから国民の総力を挙げての防衛態勢によるのだ、こういうふうに総理大臣が言われておつたのでありますが、国民の総力を挙げて防衛をするのだというその態勢について、総理大臣にお考えがありましたらそれをお伺いをいたしたいのであります。
  21. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私から代つてお答えいたします。何と申しましても治安の確保が私は一番の最大事だと考えております。そこで、この治安の確保ということは、要するに国民がみずからの手でみずからの国を守つて行くのだ、そうして平和国家を建設して行くのだという心構えが一番大事であると私はこう考えております。そこでこの治安の問題についていろいろの方法がありましようが、とにかく国警も自治警も或いは私どもの管轄内にあります特審局も警察予備隊も、これらが一丸となつてです、日本治安を守るという態勢を整えなければならんと考えております。それと同時に、国民がこれらを支援して十分に日本治安をみずからの手で守つて行くという態勢を整えなければならん、総理の申された態勢というのは、要するに国民みずからがみずからの国を守るのだという精神を十分に持つてもらえばいい、そこが一番根本である、こう考えられたものと私は考えております。又そうであるべきであろうと思います。国民も恐らく将来独立国家となつた以上は早く自分らの手で以て日本を守つて行くという態勢を整える考えは持つておられることと思いますが、一段とこの精神を発揮して、そういう態勢の来たらんごとを望んでおる次第であります。
  22. 東隆

    東隆君 私は実は総理が国民の総力を挙げて治安に当るのだと、こういうことを言明されておりますので、それにはいろいろお考えがあるだろうと、こういうつもりでお伺いをしたのでありますが、今のお答えは、これは私には実は非常に不満足なんであります。それで方面を変えてお聞きをいたしますが、戰争中に町内会、部落会があつたのでありますが、この町内会、部落会は実は非常に戰力戰争の何か元になるのじやないか、こういうような心配があつたのでありましよう、占領軍にこれは禁止をされたのじやないかとこう思うのでありますが、私はあの戰争中の軍隊式な上からの命令で動いたところの町内会や部落会、これは私は決して立派なものだとは思いませんし、又あんなものが再現されたらこれは大変だと思います。併し自由主義的な、自由な意思の下にできるところの自治体の最下部の組織、これは私は非常に古い東洋の農村社会を初めとして、都市にも十分に発達をしておつたものでありますし、これを私は大きく動かすことが国民が挙つて防衛の態勢に当る、こういう意味で重要なこととこう考えておるのであります。それで独立をいたしますといろいろな関係のものが取れますので、こういう問題を当然考うべきじやないかとこう思つております。殊に農村方面では産業組合法、或いは農業団体法、そういうようなものによつてこの最下部の組織は認められておつたのでありますが、それが農業協同組合法になりますと、それが認められなくなつてしまつておるわけでありますが、併し農村には……、漁村にも私はあると思いますが、自然的にこの部落会、町内会、こういうようなものは立派に現存をして、そうして動いておるわけであります。これは私は日本における国家のいろいろな仕事をやる場合に、行政の面においても、その他の面においても、自治を進め、民主的な日本を作り上げるためにはこれは基本になるものだと、こういう考え方を持つのでありますが、総理大臣は最下部の部落会、或いは町内会と言いますと語弊がありますけれども、そういうようなものを今後民主的に育成をするお考えがありますかどうか、お伺いをいたします。
  23. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。只今申されました町内会、部落会は、趣旨といたしましては、昔の旧幕時代の五人組制度時代から引続いて明治、大正を経てあるものでございます。終戰後関係方面の命令によりましてこれを中止させられたのでございますが、只今お説の通りに、自然発生的に町村の下部組織としてそれが発生して来るということは、これは至極結構なことと存じまして、我々といたしましてもそれを中止するとか何とかいう意思は毛頭持つておりません。
  24. 東隆

    東隆君 單に中止をするのでなくて、大きく育成強化をする意思はないかと、こういうわけでありますが、それの御返答は無理かと思いますから……。
  25. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 御承知の通りに、地方自治は今自治法でできておりますものが法制上の組織でございます。でございますから、自治法とか何とかいうものを改正しません以上は、これを認めて発生させるということにはなりませんけれども、併し自然発生的に下部組織ができまして、そうして町村の自治の行政に、自分たちで住民として、又住民の集まりとしまして、自治の確立なり行政に力を貸して行くということは、これは至極結構なことと思いますからそれでよいと思います。
  26. 東隆

    東隆君 その次に、私は時間の関係がございますから次に進みますが、行政機構の改革について政府は今施策を進められておるのでありますが、これは実は一番大きな問題であるセクシヨナリズムの形で以て非常に困難な問題になつておると思います。それで私の今お聞きをする問題は、その関係の大臣にお聞きをすると実は自分のほうのことを言い出すので、総理大臣からお聞きをしたいのであります。  第一番目は林野庁の問題でありますが、林野庁の所属が国土省のほうに行くと、こういうようなこと、農林省のほうではそれは罷りならんと、こうやつておるわけであります。私はこれに対して総理大臣考え方を聞きたいのでありますが、実は私はこの間に妥協点を持つておるのであります。それを総理大臣お取上げになるほうが一番よい案ではないかと、こう思いますので申上げるのですが、それは実は一番問題になつておるのは、治山治水の関係から建設省でやつておるところの砂防関係、それから林野庁でやつておるところの砂防関係、これが私は中心問題であろうと思う。この問題を中心にして、これをどちらに付けるかという問題を解決されたほうがよいので、林野庁をそのまま持つて行つたのでは、これは農林省も承知をしないだろうし、国土省のほうでもちよつと困るのではないかと、こういうようなことを考えます。それでこの林野庁の所属は一体どうなるのか、もう大抵大分進んでおる頃でありますから、総理大臣からお聞きをしたいのであります。
  27. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 行政機構の問題は、只今木村法務総裁が受持つて考究中であります。故に、主管大臣からお答えをいたします。
  28. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 只今お話のセクシヨナリズムを排除しろと、全く尤もな御議論と考えております。それで林野庁の林野行政の所属をどうするかということについては、いろいろ議論があります。各方面の御議論を十分お聞きして、それを参考にして今差当り案を練りつつあるのでありまするが、尤も東委員の仰せになるような御議論もしばしば聞いております。併しながら、この問題については愼重に取計らう考えでありまして、最近において漸く結論を得つつある次第でありまするが、まだ決定的な段階には至つていないのであります。
  29. 東隆

    東隆君 あと私はこの行政機構の改革で、例えば電力問題に関係するのが通産省にあるのでありますが、国土省に関する問題、これも大分問題があるのでありますが、これは総理大臣はお答えにならんと思いますが、この点を一つ。それから運輸省の中に公安局の関係があります、これがどこに所属されるのか。それから学校の営繕関係の仕事が文部省にありますが、これがどちらのほうに行くのか。それから農林省の中の大きな土木事業関係のものがどちらに行くのか、こういうような問題を実はいろいろな角度から一つお聞きをしようと思つたのでありますが、これも一つお答えが願えないようでしたらば私はこのままにして進みたいと思いますが、総理大臣は先ほどの通りの答えでありますか。
  30. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今お話の点はいずれも重大な問題でありましていろいろご意見があります。只今お話の点は最も重要な点でありまするので、これも各方面の御意見を只今承わりまして十分愼重に取扱いたいと考えております。ただ結論はまだ得ておりません。
  31. 東隆

    東隆君 私は今実は問題になつております特別市制の関係、大阪を初めとして市のほうはそれの促進を盛んに要請をしておりますし、関係府県はこれに反対をする、全国の町村会その他が反対の意向を述べております。これに対してどういうお考えをお持ちになつておりますかお伺いをする次第であります。
  32. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 特別市の問題につきましては御承知の通りに地方自治法に特別市を作ることができるという條項がございまして、いずれこれは実現することと存じますが、併しながら特別市というものを実現することにつきましては、府県における残存郡部が如何にあるべきかということを先ず最初に前提に置きまして、これに対する対策を講じた上でなければ特別市というものは実現できないことになるはずでございます。でございますからいろいろ府県側並びに特別市側におきまして、五大市のほうでは特別市になりたい、早く実現したいということの運動をしておられます。又残存郡部を持たれるところの府県側におきましては、これに対してそうされると財政的に先ず立つて行かれないというようなことを主なる理由としてこれに反対の運動をされております。併し政府としましては特別市というものを実現するのにつきましては、先ほど申上げました通りに、府県というもののあとのあり方を十分考究した上でなければ特別市を実現するということにはなりません。まだその点につきましてはいろいろ部内において研究中でございます。
  33. 東隆

    東隆君 それではまだ当分の聞けんかを続けさせるとこういうことだろうと思いますが、解決がまだつかない問題として次の問題に移ります。  私は治安関係で一番大切な問題は先ほど申上げたような問題もこれは非常に大切だと思いますが、日本の食糧問題、これが私は非常に大切だとこう考えるのであります。殊に海外から主食を非常にたくさん輸入をする、こういうような問題については将来非常に大きな問題があると思うのです。それで今お聞きしている国内に起きている問題を中心にして考えなければならん問題は、私は如何にして日本の国で主食の中心であるところの含水炭素をたくさん生産をしなければならないか、これが私は食糧問題の中心問題だろうと考えるのであります。その意味から言いますと日本国内生産をされているところのさつまいも或いはじやがいもを原料としてのでん粉は、非常に大切な備蓄食糧でもあるし、それからその他各方面に使われるわけであります。殊にお酒もできますし甘味料もできます。片や甘党を制し、片方で辛党を制するということもこれはできるわけであります。この方面に施策を注いでそうして今非常にでん粉業者、殊にいもを作つている農家は困つているのでありますが、これを救うことができる、こういう考え方を持つのでありますが、戰争中に例えば小麦の中にでん粉を二割程度を加えてやつた、こういうようなことがあるわけであります。又戰争前にアメリカから原麦を入れて、これを製粉業者が製粉をして、その中にでん粉をまぜてこれを中国のほうに輸出をしていた。これは昔の話でありますが、私は輸入をするところの小麦に二割のでん粉を混入するということをやればドルの方面からでも大分大きな解決ができると考えるのであります。それから酒屋さんの方面考えてみましてもこれは戰争中からずつとかけてでん粉で以て、これは大東亜酒、白馬と称してどぶろくを大分造つた例から考えると相当いいのができたはずで、従つて砕米なんかを東南アジアのほうから輸入をして、そうしてそれで以て酒を造つたりなんかするのはこれは愚の骨頂で、私は呑平の科学者の中に十分に醸造科学方面ででん粉を原料にしてなし得るところのものがあると思うのです。そういうような面で米の消費量を減らしそうして立派な酒を造つて行く、それから甘味料もこれで造る、それから小麦の中にまぜる、こういうような方法をやりますと国内における食糧の面において大きな転換が起きて来、そうして国内において主食を生産する、こういう態勢が私はでき上ると考えるのでありますが、この点については実は今の農林省のおやりになつているやり方から参りますと麦の生産も減つて行くし、それからでん粉、殊にいもの作付なんかも減つて行く、こういうような問題が私は起きて来ると考えますので、この点について先ほど申上げたような考え方を、政府は食糧の自給度を高めるという点において急速に政策転換をする意思がないか、この点をお伺いする次第であります。
  34. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お話は誠に御尤もな点があるのでありまするが、今直ちにお話のような方向に全部切替えるというわけにも参りません。併し食糧の自給度を高める上におきましていろんな施策をしております。又お話の蛋白質の補給についても本年度の予算におきましては今まで以上の画期的な、いわゆる家畜増産のための経費を計上いたしておるのであります。でん粉を酒にする場合におきましてはお話通りに昔とはよほど変つてつております。而して小麦粉の中にいも粉を入れるかという問題も、これは嗜好の点でございますので、直ちに小麦粉の中にでん粉を入れるということはすぐには賛成いたしかねまするが、大体方向といたしましては食生活の改善或いは食糧自給度の増強等に力を入れて行つているのであります。
  35. 東隆

    東隆君 私は大蔵大臣が酒屋さんで農林大臣がやはり酒をお売りになつていることをよく承知をしているので、この問題について真劍に一つ取組んで頂きたい、こう思うのであります。(笑声)  その次に金融関係の問題で、実は郵便貯金の金利の値上問題、それから簡易保險の保險額を上げる問題、こういう問題でいろいろなこと言われておるのでありますが、マーカツトさんの帰つて報告では外資導入も非常にむずかしい、こういうふうに私は承知をしているのでありますが、若し公益関係の事業をぐんぐん進める、そうして外資を導入する、こういう点を考えますと、どうしても国家の財政資金を大きく動かさなければならんと思うわけでございます。ところが今の二つの問題に対して猛烈な反対をしているのは、これは営利会社の保險会社或いは信用金庫、又農村のほうでは農業協同組合なんかも一部反対をしていると思いますが、こういう関係一つ清算をして、そうして大きく資金運用部の資金の増大を図るために政府は大きな手を打つ必要がある、これが実は当然やるべき方法でないかと、こう思うのであります。私は保險の問題について考えてみても、簡易保險の額を上げる問題について、生命保險会社関係の人は反対をされるだろうと思いますけれども、営利会社に保險をされるよりも国に保險をしてもらつたほうがいい、而もそこで集つた金は国家有用の方面に使われるのだ、こういうような人も私はたくさん出て来るだろうと思います。そういうような意味で大きく私は簡易保險のあの保險額を上げるべきである、それから郵便貯金の金利も引上げて、そうして資金運用部資金の増額を図つて、そうして地方方面の要望に応えることが実は今一番必要なことであり、それが又外資を導入するところのきつかけにもなる、こういうように私は考えるのでありますが、その点について如何にお考えになつておるか、お伺いいたします。
  36. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お話のごとく資金運用部資金の増強を図りますために、又それにも増して国民貯蓄の増加を期待いたしまして、郵便貯金利子は御承知の通り二分七厘四毛から三分九厘六毛に上げました。而して又簡易保險につきましても契約限度五万円を八万円に引上げるよう御審議を願つているのであります。資金運用部資金の金がうんと集まつたら外資導入に便利である、こういうふうにお考えになりまするが、外資導入は日本経済が安定し自立の見通しがはつきりしたときにはやつて来るのでございます。資金運用部資金ばかりを考えてもいかないのであります。又御承知の通り只今の生命保險事業というものは戰前のそれに比べましてまだ十分でないのであります。即ち金融機関再建整備法におきまして、戰争以前の契約金額に相当ひどい手を打ちました関係上、なかなか今民間の生命保險は戰前のそれに比べてまだ弱体でございますので、かれこれを勘案いたしまして徐々に簡易保險の限度も引上げようといたしておるのであります。
  37. 東隆

    東隆君 私は、今大蔵大臣が資金運用部資金資金を増額することは外資導入には関係がないようなことを言われましたが、日本経済が安定をすれば外資が導入できる、そういうお話なんでありますが、私はマーカツト少将の言われている中味を見ますと、国家が大きく施策をしなければならん、そうして国家がやはり財政資金その他を出すことによつて外資の導入を図らなければならん。こういうふうに私は新聞記事を読んでいるのでありますが、その点今言われておる考え方は、これはやはり自由主義経済方面から出て来るところの考えであつて、私の考えている考え方とは大分違つているわけであります。それでは私はなかなか国民の経済の安定も自立も大変むずかしいのでないかと、こう思わざるを得ないのであります。  金融に関係をして私はもう一点お伺いをして終ろうと思いますが、それは農地改革を断行して今日まで来たのでありまするが、これによつて農村に対する短期金融の途は農手その他でもつて開かれているのでありますが、長期金融の途が農村には非常にむずかしいのであり、開かれておらない。そこで政府は土地担保の金融制度を確立する、こういうようなことを計画をされているように聞いておるのでありますが、私は実はこれをやることによつて折角の農地改革の成果が壊されて行くのでないか、こういう心配を持つておるのでありますが、この点について今までの経過等をはつきりさして頂くならば幸甚であります。
  38. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 先般マーカツト少将の帰米談が新聞に載つておりました。各新聞とも見出しはまちまちでございます。私は察するに、今お話のように、国が統制経済考え方をもつて国家資金をどんどん集めなければ外資導入はむずかしいということをマーカツト少将が言われたことは私は信じておりません。とにかく先ほど申上げましたように、大きく外資導入外資導入と言つても地につかない議論は駄目なんで、具体的の問題をとらえて話をすれば望みなきにあらず、こういう結論と私は考えているのであります。従いまして、最近巷間外資導入は駄目だというふうに考えられる人があるようでございますが、私はそう考えていないのであります。  次に不動産金融と申しますか、農地担保の金融と申しますか、これは不動産金融と農地担保の金融はよほど違うので、農村においていかなる資金が必要であるか、そうして又農家のどういう資金が必要であるかということによつて考えなければならん問題だと思うのであります。従いまして、農業金融の場合におきましては、農業協同組合或いは農林漁業資金特別会計、こういうもので一応やつて行く。ただ個々の人が病気とかその他によりまして一時的に金融が要るという場合につきましては、それは又別個の方法考えて行くべきじやないか、これを金融制度、農地担保の金融制度というようなことは考えておりません。我々は只今のところ長期銀行を考えておりますが、これとて農地を担保に貸すということを本来の使命とするという考えではないのでありまして、農業に必要な資金は先ほど申すような農林中金、農業協同組合を通じてやる。或いは農林漁業特別会計でやる。個々の問題につきましては、国民金融公庫を拡大強化して、そういう場合に充てようかといつた考えを以て今検討いたしておるのであります。
  39. 東隆

    東隆君 私は実はもう約束をした時間でありますので、やめますが、今の国家の財政資金関係で以て中心になるものは、見返資金関係のものは、これは特別会計は、これは年々縮小されて行つてなくなるものじやないかと思うのであります。そうすると残るのは、私はやはり資金運用部の会計、これだけが大きくなつて行くもので、それ以外にどうも余り相手にするものがないと、こういう考え方を持つので、これに重点を置くことが、これが今後のやり方だと、これでなければならんのじやないかと、こういう考え方を持つので、この点も実は先ほどのお答えには満足ができないわけです。
  40. 和田博雄

    委員長和田博雄君) よろしうございますか。……木村君。
  41. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は二十七年度予算案に関する若干の基本的な問題について総理大臣質問いたしたいのであります。周知のごとく、二十七年度予算は我々日本国民の子々孫々に至るまで重大な影響をもたらす平和條約、安全保障條約、行政協定などの経済的裏付けをなすものでありますし、更にこれらの條約乃至協定の諸結果を数字を以て具体的に現わしたものであるという意味で重大な意義を持つておる予算であると思うのであります。それだけに我々はこの予算と真劍に取組んで、その意義、性格、内容、影響などについて国民の前に明らかにする義務があると思うのであります。従いまして、これから私が政府に対していたしまする質問に対しましては、政府は率直に、偽らずに、又あいまいでなくはつきりと誠意のある答弁を私はお願いしたいと思うのであります。  先ず第一に、昭和二十七年度予算憲法及び財政法との関係について総理大臣に御質問いたしたいと思うのであります。即ち二十七年度予算憲法第九條、第七十三條、第十四條及び予算総則第九條、予算総則第十三條について順を追うて先ず質問して行きたいと思うのであります。先ず憲法九條の関係でありますが、十日の予算委員会におきまして総理大臣は、はつきりと、たとえ自衛のためであつて戰力を持つことは再軍備であり、憲法に違反するものであるということを言明されたわけであります。この言明について我々も一応了承いたしたのであります。併しながらその後木村法務総裁、大橋国務大臣の答弁は、総理の言明を覆えしておるように思うのであります。従いまして、折角総理は一応取消されましたが、総理の失言問題は実質的には依然として解消していないと私は考えるものでありまして、その観点から、これまで各委員がいわゆる自衛戰力問題について質疑をいたして参りましたその点を総合いたしまして、結論的と言いましては僭越でございますから、今まで多くの質疑が自衛戰力問題に集中されたので、そのあとを整理いたしまして、重ねて私は質問をいたしたいと思うのであります。そこで憲法第九條の戰力は、この憲法のテキストとなつたものと思われるいわゆる英語の原文においてはアザー・ウオア・ポテンシアル、即ち潜在戰力となつておるのであります。従つてこの中には戰争をなす力を供給する可能性を有するものを含んでおることは自明のことであると思うのであります。木村法務総裁は、戰力に関する憲法九條の規定をいわゆる自衛の漸増計画に都合のよいように解釈しようと努力されておるのですね、そうして憲法九條に規定されておる戰力というものの意味政府に都合のいいように、行政協定に現われておるいわゆる自衛的な、漸増的な自衛計画に都合のいいように曲げて解釈しているのではないか。総理大臣はこれまで冷静に、率直に各大臣の意見を聞けばよくわかるはずであると言われましたが、我々冷静に、そうして率直に聞けば聞くほどわからないのであります。従いまして、このアザー・ウオア・ポテンシアルと書いてあるこの戰力の中には、当然です、当然いわゆる潜在戰力でありますから、武器生産とか或いは当然又戰争をなす力を供給する可能性、これは警察予備隊であつてもそういう可能性を有するのでありますから、そういうものを含むと思うのでありますが、この点総理大臣はどういうふうにお考えでありますか。この点は極めて重大でございますから、私総理大臣から御答弁願いたいと思います。
  42. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私の過日の声明と、木村法務総裁の言われておるところと矛盾はしておらないと考えます。詳細は木村法務総裁からお答えいたします。
  43. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 憲法第九條第二項には、「陸海空軍その他の戰力」と明らかに明記されておるのであります。これが憲法の正文であります。その他の戰力と申しまするのは、陸海空軍という完成された戰力と同一の力を持つたものと、こう解釈すべきが至当であろうと考えるのであります。(「そう解釈しておらん」「おかしい」と呼ぶ者あり)
  44. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今総理大臣から木村法務総裁の考えと矛盾していないと言いますけれども、私は矛盾しておると思うのです。木村法務総裁は、もう少し憲法の九條については率直に解釈されるのが至当だと思うのであります。それであそこに、憲法九條を読んで見れば、この武力を以てする国際紛争にまあ介入しない云々と書いてありますが、その第二項は、そういうことが起らないために陸海空軍その他の戰力を保持しないというのでありまして、陸海空軍は勿論でありますが、その他の戰力、即ちアザー・ウオア・ポテンシアルとなつておるのであります。そういうものを持てば勢いそういうものを使つて、武力を以て国際紛争に介入するようになるから、そういうものを持つちやいけない、即ち予備隊のようなものを持てば、或いはバズーカ砲を持てばそれは戰力の、戰争に力を供給する可能性です、ポテンシアルというものは……。これはもう木村法務総裁が冷静に御判断になれば当り前じやないかと思う、陸海空軍と同等であるということは……。私はこれはおかしいと思うのです。で、衆議院の質疑を見ましても、陸海空軍はもうこれは現に軍隊でありますが、併し只今警察予備隊は直接それは軍隊ではない、陸海空軍ではないと思うのでありますが、その他の戰力に該当するんじやないかということで問題があると思う。この点をもう少し国際的な規定、国内的な憲法学上の規定、それから第九條が制定された経緯、こういうものをよく総合して御判断になれば、兵器生産とか、或いは現在の警察予備隊がその他の戰力に該当する、即ちアザー・ウオア・ポテンシアルであるということは、潜在戰力であるということは明らかであります。この前法務総裁は原子爆弾一つつても、これを動かすものがなければこれは戰力でないと言われましたけれども、これは戰力の一部を構成するものだと思うのであります。少くとも戰力の一部ではございませんか、どうでございますか。
  45. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 九條第二項の解釈は、私は日本文の正文によつてこれを判断いたすべきであると考えております。それからその他の戰力ということは、上の陸海空軍を受けておるのであります。陸海空軍と相当すべき一つの力であります。そこでこの戰力と申しまするのは、要するに近代戰争を行う可能性のある一つの総合した力、こう解すべきものであろうと思います。そうしないと、少くともこの武器を持つたものはこれは戰力というようなことであれば、日本治安確保のために設けられました警察予備隊は勿論のこと、警察の力ですらこれは戰力に該当するというような解釈もとられる虞れがあるのであります。さような意味においてこの九條第二項の戰力というものは、いわゆる戰争を遂行し得る可能性のある一つのまとまつた総合力と、こう解すべきであろうと思います。
  46. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは法務総裁が憲法の解釈をカンニングしていると思うのです。これはカンニングです。なぜならば、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約の前文です。これを御覧になれば明らかだと思うのです。前文にはこう書いてあります。「アメリカ合衆国は、平和と安全のために、現在、若干の自国軍隊を日本国内及びその附近に維持する意思がある。但し、アメリカ合衆国は、日本国が、攻撃的な脅威となり又は国際連合憲章の目的及び原則に従つて平和と安全を増進すること以外に用いられうべき軍備をもつことを常に避けつつ、直接及び間接の侵略に対する自国の防衛のため漸増的に自ら責任を負うことを期待する。」と書いてあります。この前文の意味は、日本が攻撃的な脅威となつたり、国際連合憲章の目的及び原則に従つて平和と安全を増進する以外に用いなければ軍備を持つことを許すという、こういうことであると思うのであります。そこでそういう軍備を持つことは、即ち攻撃的でない、そうして国連憲章の目的を逸脱しない、そういう範囲において軍備を持つてもよろしい、直接及び間接の侵略に対する自国の防衛のため漸増的にみずから責任を負うということは、こういう軍隊を漸増さしてもいいという、この安全保障條約で一応こういう規定が置かれたから、侵略さえしなければ戰力を持つてもいいというふうにだんだん法務総裁はお考えになつて、それが総理大臣の失言になつたと私は思うのであります。この前文からそれは来ていると思う。併しこの前文は、この安全保障條約においては再軍備をしてもよろしい、軍備を持つことをこれを許す。攻撃的にならなければ許すと。併しながら日本憲法では禁じておるのであります。そこの矛盾をどういうふうに調整するか。そこで苦しくなつて自衛のための戰力を持つていいというのがこの規定なんです。併しそれは日本憲法で禁じられている。総理が過般失言されたのは私はここから来ていると思う。この安全保障條約、併しこれを安全保障條約をこの通りに実行しようとすれば、どうしても憲法違反になると思うんです。この矛盾をどういうふうに解釈されるか。ですから私はこれを合理化するために、日本憲法のこれをカンニングして行こう、どうもそうとしか私は解釈されないんです。この点如何でしよう。
  47. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) この安全保障條約におきましても、決して日本憲法を否定してまで再軍備をさせようという意思のないものと私は了承しております。憲法の許す範囲内において日本の防衛力の漸増を期待する、こういうことになりまして、そこで今木村君の言われるごとく再軍備をするということであれば、無論憲法改正の要はあるのであります。併しながら只今の段階においては憲法を改正せずして、日本治安を維持しようというのが政府の指向するところであります。繰返して申します。この安全保障條約の規定は、決して日本憲法を改正せずして軍備を持たせようということを期待したものではないと考えております。どこまでも日本憲法の許す範囲において日本治安を守つて行くべき一つの力を持つているに過ぎないというふうに思います。
  48. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もつと率直に私が先ほど冒頭に述べましたように答えて頂きたい。恐らくこれは非常に問題のあつたところだと思うんです。日本憲法を改正しなくていいのかどうかということは、これは相当デイスカツシヨンになつた、議論になつたと思うんです。この漸増計画というのは今の憲法ではできないそこでどうしたらいいかということは恐らくアメリカつて議論になつたに違いないんです。そこでこれは頬被りで、カンニングして行くかということになつて来たと思うんです。これは率直に御覧になれば、この前文を実行するにはどうしても憲法を改正せざるを得ない。得ないのを改正しないでやろうというところに非常にそこに無理がある。率直にそういう議論があつたのだけれども、今改正したのではやりにくいから、政府はカンニングとは言えないでありましようが、一時ここは触れないで行くということになつたと思うんです。この議論は果てしがありませんから私はこの程度にいたしまして、あとは識者がこれは判定してくれると思いますから、又專門家がこれを質問してくれると思いますからこの程度にとどめます。  それから次にいわゆる自衛戰力の問題です。これについてどういうふうにお考えですか。この講和後における日本安全保障、自衛というものを総理大臣はどういうふうにお考えになつているか。最近朝鮮の休戰問題につきましては、ダレスさんが二月十一日のテレビ放送で言われたことが問題になりまして、イギリスあたりでは非常なセンセーシヨンを起しています。朝鮮の問題に対するアメリカの政策が非常に積極的になつて来るのじやないか、或いはマツカーサー元帥が本土爆撃をしようとしたあの寸前のような状態になつて来ているのではないか、こういうようなことがアメリカの雑誌などに書いてあります。そうしますと、今度の講和が発効した後において中ソ友好同盟條約があり、そうして又日本の国が駐留軍の基地となる、そういう状態においてダレスさんのテレビ放送のようなことから、アメリカの朝鮮に対する政策が非常に積極的になり、本土爆撃をやつたような場合にはどうなるか、総理は講和発効後の日本安全保障、又自衛の問題についてどういうふうにお考えになつておるか、この点をお伺いいたしたいのであります。(「総理だ総理だ」と呼ぶ者あり)これは外交上の問題も関連いたしまして非常に重要でありますから、総理大臣に私はお尋ねしておるのであります。木村法務総裁にはまだまだお尋ねしたいことがたくさんございますが、総理にこれは講和後の日本の安全の問題でありますから……。
  49. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 自衛の問題はしばしば私はこの委員会或いはその他において申しておりますが、その説明で御満足ならない以上は、法務総裁から法律的に御説明をするより仕方がない。
  50. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうではないのです。最近講和発効後において日本の安全がどうなるかということが重大な問題になつた、朝鮮の休戰が順調に行けば何でもありません。併しながら最近総理もよく御存じだと思うのです。朝鮮に対するアメリカの政策が、これはどういうことから生じたか私はわかりませんが、又非常に積極的になつて来るのではないかということが、最近の新聞には皆出ておるわけであります。それは日本国民皆が非常な心配なわけです。こういう條約を結んだことによつて日本が爆撃されるようになつたら、これは日本国民たまつたものではありません。そこで非常に憂えるから総理に……、情勢が変つて来ておると思われるのです、情勢が変らなければ変らないでよろしいのでありますが、そういう情勢の変化に応じて、日本安全保障をどうお考えであるかということをお尋ねしておるのであります。
  51. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 情勢はよく変つたとチヤーチル氏は一月……二月でありましたか国会で以て申しております。最近又アチソン氏も同じようなことを申しております。併しながら用心しなければいかん、これは従来と非常に、特に今日変つたとは私には思われないのであります。
  52. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 総理は、これまで大体日本安全保障については集団的安全保障考えておる、そして国内治安については、いわゆる間接侵略ですかについては警察予備隊が防衛する、対外侵略に対しては独力ではとても……集団的攻撃に対しては集団的防衛をやらなければならんから、日本は集団的安全保障の形をとつて行くのだ、こういうふうに言われましたが、将来の日本の安全の保障の仕方、それはやはり集団的な安全保障というような形で、従来お答えになつたように進んで行かれると了解してよろしいのでございますか。
  53. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 百年の後は知りませんが、(笑声)現在においてはこの防衛方法日本の安全は完全に保護できると信ずるのであります。
  54. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この集団安全保障の問題につきましてはダレス氏がUSニユーズの記者のフロム氏に語つておるところによりますと、日本には大体地上軍を持たせる、そうして海軍と空軍はアメリカがこれを持つ。そうすれば日本は、それじや日本は海空軍がありませんから、地上軍であるから侵略できませんし、そういう形において日本の安全は保障する、日本安全保障を合法的にするというような談話が出ております。そうなると、私疑問に思いますのはアメリカ軍は駐留しておりまして、そうして日本の自衛体制ができるまでには……自衛体制といえば陸海空軍もなければ自衛はできないと思うのです。そういう場合に日本はだんだんに自衛を強くして行きまして、強化しまして空軍とか海軍とかを持つことができるようになるのかどうか、そういう形にならなければ、日本で自衛できなければアメリカ駐留軍が仮に撤退しないということになれば、永久にアメリカ駐留軍は駐屯するということになると思うのであります。そういうことに理解してよろしいのかどうか、この安全保障方式というのは……集団的安全保障方式というのは、日本が地上軍を提供してアメリカが海空軍を持つ、こういう形として考えられるものでありましようか、この点お伺いいたします。
  55. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 日本が地上軍を持つてアメリカが海空軍を持つというようなことをダレス氏が誰かに言われたというお話でありますが、そういうことは我々は全然聞いておりません。又日本の自衛というものは、これはどういうふうに行きますかは別としまして、これは日本政府なり国会なりが研究し、きめるものであるのであります。そういうほかのほうの話は余り御参考にならんと考えます。  それから安全保障條約に基く措置は第四條に書いてあります通り国際連合の措置又はこれに代る個別的若しくは集団的の安全保障措置が効力を生じた」ときはいつでもこれをやめると、こう書いてありまして、この通りであります。
  56. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 他のことは余り参考にならんといいますけれども、恐らく岡崎国務大臣もあのUSニユーズ・アンド・ワールド・レポートのフロム氏とダレス氏のインタービューの記事を御覧になつたに違いないと思います。あれは政府でも飜訳しているわけであります。私は政府資料によつてあの飜訳を見たのでありますが、あれを見ておらなければ、私は非常に不勉強だと思います。あんな重大なことをダレス氏は述べている。大体その構想に基いて直接侵略、間接侵略、集団安全保障、こういう問題が成熟して来ているのです。今回の平和條約、安全保障條約、行政協定、こういうふうにコンクリートになつて来たと思います。他のものは参考にならん、そういう不誠意な答弁は甚だ遺憾とするのでありますが、この問題にかかつておりますと時間がなくなりますから次にお伺いいたしたいと思います。  大橋国務大臣は、十日の本委員会におきまして社会党の松永氏の、「日本が侵略を受けた場合、警察予備隊は出動するのか。」という質問に対しまして、「警察予備隊の本来の任務は国内治安であり、外国の侵略に対する国防が第一義的なものでない。併し外国から不法に侵略されたときは米軍と協力して臨機に適当な措置をとる。」、こういうふうに御答弁されておるのであります。このことは一体何を意味するのでありますか、臨機に適当な措置をとるということは、これは場合によつては海外に出動するということも、臨機の適当な措置を講ずるという中に含まれているのでありますか。その臨機に適当な措置をとるということはどういうことを意味するのか、大橋国務大臣にお伺いいたしたい。
  57. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 侵略の際におきまする警察予備隊の行動といえども、現在の警察予備隊令の目的範囲内の任務に限らるべきは当然であります。従いまして前回お答え申上げましたその際において警察予備隊の任務から考えまして適切と認められる措置をとるとこう申上げましたのは、現在の警察予備隊令の予想いたしましたる任務を、逸脱して行動するということは全然意味しておらないのでございましてその範囲内において当然期待された適宜の措置をとるべきであると、こう申上げたのであります。
  58. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは警察予備隊が今度防衛隊というものになり、この安全保障條約に基いて自衛のための力になつて行く場合には、現在の警察予備隊とやや任務も目的も性格も変つて来るのではないかと思うのです。ですからそういう場合には、現在の予備隊令を改正する必要があると思うのですが、予備隊令の改正をお考えになつているかどうか。
  59. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 警察予備隊令を改正いたしまして、保安隊というようなものにいたすということにつきましては只今研究をいたしております。併しながらこの趣旨は、たびたび申上げましたるごとく、現在の警察予備隊の性格を全く変えるというような意味を持つものではなく、飽くまでも日本国内におきまする平和と秩序を維持するという現在の警察予備隊の性格をそのまま維持して参りたい。但し二年間の経験に徴しまして、この目的のためにある警察予備隊の諸規定の中で不十分と認められる事項を改正いたしたいという趣旨でございます。
  60. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その不十分という点を具体的にお伺いいたしたいのです。主たる目的はやはり国内治安、併し従たる目的が出て来ると思う。そこで外国から不法に侵略されたときは米軍と協力して臨機に適当な措置をとるということになると、ややもすると今の警察予備隊令の範囲を逸脱する危険が出て来ると思う。実際の問題としては……。そこで主たる任務は国内治安であるけれども、こういうときに備えて、含蓄を持たして警察予備隊令を変えられて行く、その改正の内容を見なければわかりませんけれども、そういう従たる任務というものはどういうものであるか。それから国内治安国内治安言つておりますけれども、これまでたびたび混同されているのは、国内治安と自衛の問題ですが、どうも自衛というものまでも全部国内治安のように言われているのですが、これは大橋国務大臣予備隊の任務が国内治安にあると言われるのですが、自衛というか、外国の、外部からいわゆる間接侵略的なものが起つたときに活動するのは普通の意味国内治安と違うのじやないか、どうしてもそこに国際的な関係が入つて来ると思う。こう解釈すべきじやないでしようか、その点お伺いいたします。
  61. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 第一の御質問予備隊の主たる任務が国内治安にあるが、何かはかに従たる任務がありはしないか、こういう御質問でございました。警察予備隊国内治安を任務といたしているのでございまして、主たる任務が国内治安であるばかりでなく、そのほかに従たる任務として別の任務というものは考えられないことと存じます。又侵略に際しまして米軍と共同して適切な行動をとる、こう申上げておりますが、それもやはり予備隊本来の使命でございますところの国内治安のために必要な行動であり、その本来の任務の範囲に属する事項の中で適当な行動をとる、こういうわけでありまして、決して国内治安以外に他の任務、或いは従たる任務、そういうものがあるとは考えておりません。それから自衛と治安とどういう関係であるか、こういうお話でございますが、国内治安というものは国内におきまする国民の権利及び自由が常に法的に完全に守られているという状態治安でございまして、外国の侵略というものは、やはりその際においては、かような国権の力によりますところの国民の権利及び自由を保護するその秩序というものがやはり破壊される一つの原因である、こう考えますので、その場合におきましても当然国内治安を使命といたします予備隊においては当然課せられた使命があるものと考えます。
  62. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 警察予備隊とそれから駐留軍との関係については、この安全保障條約或いは行政協定では、中にありませんが、外国から不法に侵略されたときに、米軍と協力して臨機に適当な措置をとる場合には、どうしても駐留軍と予備隊との関係を何か規律する協定とか何かなければならないはずだと思うのですが、これはどういう関係になるのか、お伺いいたしたいのです。
  63. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) これは必ずしも予備隊ということではないのでありまして、日本においては自衛の権利はありまするから、あらゆる手段がそういう場合には自衛の目的のために使われて差支えないのでございます。鉄道もありましよう、港湾もありましよう、或いは消防隊もありましよう。その中で適当なものが使われるわけです。そのどういうものが使われるかということは、今のところわかりませんけれども予備隊だけを目的として、そういうものを協定しておるわけではございません。
  64. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 しよつちゆう問題になりますこの行政協定の第十八條は、そういうことを予定した規定ではございませんか。例えば駐留軍に日本警察予備隊、或いは防衛隊が協力しているようなときに、その間において相手を殺傷したり、何か、そういう問題が起きたときには、それが公務である場合においては、その請求権を放棄すると、こういうことが予定されていて……、岩木君も前に問題にしましたが、この中には日本の軍隊、アメリカの軍隊というものが当然予想されている。で、軍隊というよりは警察予備隊だと思うのですが、実際的には名称としては……。これはそういう規定ではないのでありますか。
  65. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) これはこの前にも申上げました通り、「各当事者」と書いてありまして、「軍隊の構成員又はその文民たる政府職員」とあつて予備隊とは全然入つておりません。
  66. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この原文は、もうこれは岡崎国務相は十分御存じですが、「イーチ・。パーテイ・ウエーヴス・オール・イツツ・クレームス・アゲーンスト・ジ・アザー・パーテイ・フオー・インジユリ・オア・デス・サフアード・イン・ジヤパン・バイ・ア・メンバー・オブ・イツツ・アームド・フオーセズ」これはエンドではありません、オアです。「イツツ・アームド・フオーセズ・オア・ア・シビリアン・ガヴアンメンタル・エンプロイー」、これは議論の余地はないじやありませんか。オアではないですか、オアであれば、こつちの何が動詞に別々にくつつくということは、これは文法上明らかではございませんか。
  67. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 私の存じておる限りの英語では(笑声)イーチ・パーテイ、そうしてアームド・フォーセズ・エンド・ア・シビリアン・エンプロイーと書いてあればイーチ・パーテイのいずれのほうにもアームド・フオーセズとシビリアン・エンプロイーとがくつついたものがかかるが、オアになつておるのでイーチ・パーテイはそのどちらかをとる、こういうことになりますので、オアでなければこの場合はいけないと考えております。(「その通り」と呼ぶ者あり)
  68. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは私はお伺いいたしますが、それでは岡崎国務相ははつきりとそういうこともお話合いになつているわけでございますので、日本の将来の予備隊と駐留軍との関係について問題が起きたときのことをこれは規定したものではない、これははつきり了解か何かで記録にとつてあるのですか、向うからそういうコンフアームを得たのかどうか、これは相当議論があると思うのです。それは岡崎国務相の判断でありますか。向うにこういう紛らわしい解釈の仕方が出て来たから、はつきりとこれをコンフアームして、そうして今言明されておるなら、私は了承します。そうでなければ、当然非常時の場合に駐留軍に日本予備隊が協力した場合、その間にトラブルが起つた。そのときに仮に命令に服さなくて殺傷された。その損害の請求権はない……、と私はこれは軍事的に考えれば、こういう規定がなければ、むしろおかしいと思うのです。その点をお伺いいたしたいのです。コンフアームされているなら、これはもう私は議論の余地がないと思うのです。
  69. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) この点につきましては、そういう疑いがあるかも知れないと思いまして、いろいろ英文を研究いたしました。そうしてこういうふうに書けば、決してそういう疑いが起らないと、こういう結論に達しましたのでこう書いたのでありまして、こう書きますれば、もはやコンフアームする必要がないくらい明らかであります。
  70. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 岡崎国務大臣はそういう疑いもあるかと思つたと、こう言われるのですけれども、文法上の解釈だけではいけないと思うのです。これは直接コンフアームして頂きたい。そういうことを含んでいるのか含んでいないのか、これは重大な問題です。これは相手に一つコンフアームしてもらつて、或いは記録があるのじやないかと思うのですが、この点を明らかにされなければ私は重大だと思うのです。そういうふうな疑義があるところを疑義をはつきりさせるということが大切なのでありまして、それを疑義をはつきりさせませんから、何となくそこに内に何か了解事項とか或いは発表できない秘密的な何かあれがあるんじやないかという誤解が出て来ると思うのです。この点については、相手側がそう言つたのであるということがない限り、こつちで文法をひつくり返してやつてみても、この重大な問題についてそれだけの私は措置では足りないと思うのです。是非その点を私は要望しておきたいと思います。  そこで戰力の問題については私はこの程度にいたしたいと思うのですが、ただ最後にお伺いいたしたいのは、一朝有事のときに、又非常な緊急事態が起きたときに、警察予備隊が駐留軍に協力するというときには、それが一つ戰力の一部になるのではないか、一部を構成するのではないか、戰力そのものではないと思いますけれども戰力の一部を構成するのではないかと思うのですが、その点木村法務総裁に伺いたい。
  71. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 憲法の九條第二項は、日本がそういう戰力を持たないということであります。どこまでも日本を主に置いてそれを判断すべきであります。アメリカ戰力戰力日本の実力は実力と、こうはつきり区別すべきものであろうと私は考えます。どこまでも日本の現在のその実力が戰力に相当するかどうかということが問題でありまして、アメリカの駐留軍の武力そのものとの提携ということは、これは考慮に入れる問題ではないとこう考えております。
  72. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私が先ほど集団安全保障についてお伺いしたのは、その点をはつきりさせるためにお伺いしたのですが、今後の日本安全保障というのは、集団安全保障よりないと思うのです。そうしたら、アメリカ戰力日本戰力とが一体となつて防衛するのでなくては、完全な私は集団安全保障の場合には、一体的戰力にならないと思う。そうすると、アメリカの戰カプラス日本戰力という場合、日本は空軍も海軍なもい、それから原子爆弾もない、こういうときに、日本が陸軍をどんどん幾らたくさん、三十万の陸軍を作るとか、その場合日本は空軍も海軍もないけれども、集団安全保障という形でアメリカ戰力と一緒になつたときに初めて戰力になるのですから、その集団安全保障戰力の一部を形成すると、こういうこともやはり戰力になると思うのです。どうも自衛とか何とか言つておりますけれども、今後の日本安全保障の場合には、この集団的安全保障のほかに私はないと思うのです。戰略から言えば、日本だけで原子爆弾やジエツト機に対抗できないとすれば、総合的な戰力ということになれば、日本はその一部にならざるを得ない。だから日本だけ日本だけと言つておりますけれども、そういう形においての戰力の把握の仕方をしなければ、私は本当の戰力にならないと思う。でアザー・ウオア・ポテンシアルというものは、そういうものを私は含めておると思うのです。この集団的安全保障の形態における場合の日本のそういう武力、或いは戰力裝備、こういうものを木村法務総裁はどういうふうに考えておられるか。日本だけ日本だけとおつしやつておりますけれども、そういうわけには行かないと思う。
  73. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 安全保障條約は、日本戰力を持たんからアメリカがその日本の安全を保障しようというのです。どこまでも日本憲法の九條第二項の建前から私は解釈しておる。日本戰力如何、これは警察予備隊戰力になるかならんかということは、日本憲法によつて解釈すべきものであります。あの建前としては、日本の今の警察予備隊憲法九條第二項の戰力に相当しない、これは繰返して申上げる。どこまでも日本憲法自体で日本のある力が戰力に相当するかどうかと、こう解釈すべきものであると私は考える。
  74. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 警察予備隊は十一万以上にはもう絶対に殖やさないのでありますか。
  75. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 昭和二十七年度におきましては十一万以上に殖やす計画は持つておりません。併しながら、十一万で当分の間日本警察予備隊といたしまして国内治安上の任務を遂行するに十分であるかと申しますると、この点は必ずしも十分とは思つておりませんので、国の財政その他いろいろな事情が許しまするならばなお増強をいたしたいと、こう考えておりまするが、併しこれは只今のところ單なる希望の域でありまして、計画といたしましては十一万以上の増員の計画は持つておりません。
  76. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 計画々々とおつしやいますけれども、それではこの予算を我々見る場合に、二十七年度にはもう追加予算なり補正的に警察予備隊費用は出て来ない、十一万よりほか出て来ないと、そう言明されてよろしいのですね。
  77. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 予算只今の段階における計画を基礎として立案いたしてあるのでございまして、これは十一万で、それ以上に増加する計画がございませんので、従いまして予算には載せてございません。
  78. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは二十八年度以降につきましては別途考慮されると、こういうことなんですか。
  79. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 十一万以上の増員につきましては、将来財政事情その他を考慮した上で、具体的な計画を立てるべき場合には立てなければならないと、こう考えております。只今は十一万以上の計画は全くございません。
  80. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 戰力問題につきましては「あともう一つ木村法務総裁にお伺いしたいのですが、木村法務総裁は戰力々々という場合に、あの憲法第九條の場合に、あすこの武力ということを法務総裁は戰力というふうに解釈しておるように見えるのです。あすこに書いておる戰力というのは、いわゆるウオア・ポテンシアルですから、武力を構成する構成要因、これがあすこに言う戰力ではないのですか。「陸海空その他」ですね。「その他」、アザー・ウオア・ポテンシアルですから、武力の構成要因があそこで戰力と言われておるのであつて、それを法務総裁が我々に説明されるときには、戰力々々ということは、やはり総合されて戰争する具体的な力になるもの、これを法務総裁は戰力々々と言われておりますけれども、あすこに、憲法九條に書いてあるのは私は戰力、その武力の構成要因、構成要素を言つておるのだと思う。そうなれば当然潜在戰力として警察予備隊とか兵器とかそういうものは含まれると私は思うのですが、その点がどうも戰力という場合には、憲法九條で言う武力のことを戰力々々と言われておるのじやないか。そこでどうしても潜在戰力という観念について木村法務総裁の明快な御答弁を得られないのじやないか、この点我々の誤解かどうかです。
  81. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 「陸海空軍その他の戰力」、つまり一つの総合された力を言うのでありますが、陸海空軍に相当すべき力が、これが或いは大砲とか艦船だとか或いは兵員、この総合した力を以て戰力というのであると私は解釈しております。いわゆる陸海空軍に相当すべき力が一つの総合した力であります。一つのものだけをとらえてそれを戰力だということは私はできないと思います。
  82. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この点は又、我々も素人でありますから、專門家からよく、公聽会を聞くことになつておりますようで、その際にいろいろな意見を聞いてから又御質問したいと思うのです。  次にいわゆる行政協定と憲法七十三條との関係についてお伺いしたいのです。いろいろございますが、その一、二の点についてお伺いしたいのです。それはこれまでしばしば岡崎国務大臣は、行政協定は、いわば法律と政令の関係で、安全保障條約が法律とすれば、行政協定は政令見たいなものである。こういうふうに例えて話をされましたが、やはりそういうふうに理解してよろしいのでありますか。
  83. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) これはそういうふうに質問がありましたから、極めて何といいますか、法律的な問題を離れて、例えばというのでお話したのであります。いろいろ実施細目とか名前を付けられております。要するにしばしば私が申します通り、七十三條の問題になつていないのは、安保條約三條によつて委任と言つては語弊があるかも知れませんが、とにかく認められておるからと、こういう趣旨であります。
  84. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 安全保障條約には罰則の規定があるかどうか、罰則委任の規定があるかどうかです。
  85. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 安全保障條約は御覧の通りで、第三條で両政府間でアメリカの駐屯する軍隊の「配備を規律する條件」を定める、こういうことになつております。
  86. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 罰則の規定はないわけです。罰則の規定は行政協定でたくさんあります。  そこでお伺いしたいのですが、これは私の解釈が間違つておるかどうか。これは厳密には法律とは言いませんが、法律と同じ重みを持つたものと解釈しなければならないと思いますのは、憲法七十三條の第六項に、「この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。」とあるのです。行政協定には罰則の規定がある。それでは行政協定の罰則規定は安全保障條約によつて委任されたかと思つて探したら、ないのです。そうしますと、法律と政令との関係というなら、私は行政協定はこの罰則の関係に関する限りは、やはり法律と同じ重みを持つたものである、こういう意味でやはりこれは本当は国会の承認を経るのが正当である。こういう解釈が成り立たないかと思うのです。(「成り立つよ」と呼ぶ者あり)私はそうだと思うのです。若しかそうだとすると、安全保障條約で罰則の委任がないのに、行政協定で罰則を規定しておる。それは法律と政令の関係であるというのでは、これは私は憲法に違反しないか……。
  87. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) だから私は先ほど、これは例に言つただけで、法律的の解釈ではないと言つております。従つて法律と政令の関係であるからどうのこうのと言つておるのじやなくて、形がそういうような通常的と申しますか、常識的に考えればそういう恰好だと言つておるだけであります。あの行政協定できめられてあるいろいろのことは、そのなかの国民の権利義務に関係のあるようなことは、前々から御説明しておりますように、それに関する国内の立法措置等ができなければ、実施はできないのでありますから、行政協定にこうきまつておるから、それですぐに国内でそれが適用がある、こういう趣旨のものではないのであります。
  88. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは私は常識論で聞いておるのですが、それで例えで結構なんです。嚴密にそう法律的解釈を私は要求しておるのじやないのです。ですから常識として法律と同じ重みを持つておるということはこれは誰も思う。常識として法律と同じ重みを持つておると思われるものが国会の承認を得てないのですから、健全な常識を持つておる者では判断がつかない、こういう結論になるのです。それは、今岡崎国務相が言われるのは、私はやはりごまかしだと思います。例えというのは、実質内容を聞いておるのです。形式を言つておるのじやないのです。それは実質内容を問わず語りに言われた。法律と政令の関係だと言われた。私はこれ以上お伺いしてもやはり又カンニングされますからこの程度にとどめます。  更に行政協定のうち第二條、第三條に施設、区域というふうにありますが、安全保障條約のほうを見ますと、基地という言葉があるのですが、これは安全保障條約の基地に該当するものかどうかです。
  89. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 安全保障條約のほうは、ほかの国に基地を提供しないというふうに書いてあります。行政協定のほうは、安全保障條約のように提供しないほうではない、提供するのは施設と区域である、こう行政協定には書いてある。アメリカ側に提供する。そこでその安全保障條約に基いて施設と区域等を二條、三條等で定めておるのであります。安全保障條約の軍事基地というのは、提供しないということを書いてあるだけのものであります。
  90. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ですからそれを裏から解釈すれば、それとこの施設、区域と同じようなものをほかの国に貸さないというのは何であるかといえば、基地ときめてある。即ち三段論法から言えば、施設、区域はそれぞれ基地である、こういうふうに思うのです。AイコールB、BイコールCというならば即ちAイコールCである、私はそう思うのです。これは又基地でないときつと言われると思いますから、時間がございませんからこれ以上私は御質問申しません。  それから第三に、行政協定についてお伺いしたいのは、防衛分担金でありますが、これは大蔵大臣にお尋ねするのですが、防衛分担金はアメリカの特別勘定に入るわけです。アメリカ側としては授権立法が必要であるということがあります。日本ではそういうものは必要でないのですか、アメリカアメリカの勘定に入るのです。ところがアメリカの、入れてもらうほうで授権立法が要るのですね。入るほうの日本ではこれは授権立法は要らないんでしようか。これは財政法からいつても、その国の特別勘定に日本の六百五十億円という大きな金を入れる場合、これは何らそこに法律的手続が要らないかどうか、アメリカでは要る……。この点はどういうふうに解釈しているのですか。
  91. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) アメリカでは規定を設けるように計画し研究しておられるようであります。これは入れることでなしに、出すことについてが主たる問題でございます。日本におきましてもその問題につきまして只今検討を加えております。
  92. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、やはり法律案を出されるわけですね。
  93. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 会計法の規定その他につきまして法律案の必要ありやなしやということを只今検討いたしております。
  94. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 アメリカのほうでは必要であるのだから日本でも必要と、常識として当然だと思うのですよ。これを若しかやらなければ私は随分おかしいことになると思う。それからこの又防衛分担金につきましてはいろいろな問題があるところですが、これは大体これ以上殖えないという話ですが、防衛分担金の六百五十億円のうち、一億五千五百万ドルはこれはまあ條約にありますそれ以外の施設その他をただで貸すほうですね、九十何億、これはアメリカの駐留軍が殖えれば殖えることになるのではありませんか。これは不定のものであつて、駐留の範囲がわからなければこの金額ははつきりわからないものじやないかと思うのですが、如何ですか。
  95. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 防衛支出金は六百五十億円でございまして、一億五千五百万ドルに相当しまする五百五十八億円というものは労務関係或いは需品運送等に要するのであります。残りの九十二億はこれは日本政府が直接に出す金でございます。即ち日本施設の賃貸料その他でございます。これは御承知の通りに民間の土地、建物、住宅等を接收いたしておりまするが、だんだんこれは減つて来ることを期待しております。又減つて参りまするから安全保障諸費のほうに或る程度入れておるのであります。従いましてこの九十二億円というのは、今の賃貸料を相当引上げましても大体これ以内にとどまる、将来はこれから減つて来ると思います。  それから先ほどのアメリカの行政協定に基きまして特別の立法をすると、こういうことでありますが、アメリカ予算制度と日本予算制度は違つておりますから、アメリカではもう歳入も法律できめる、歳出も法律できめる、こうなつている。日本は法律と予算では別になつておりますから、アメリカがやるから日本が直ぐやらなければならんというわけのもではございません。
  96. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう形式的なことを聞いているのじやないのです。財政法を見て、よその国の勘定に日本の金を、我々の税金を移すということについて財政法で認めているかどうか、そういうことを聞いているのです。ですから、そうアメリカさんがやつたからこつちもやらなけばいかんというふうに私は言つているのじやないのです。むしろ日本は逆のことをやつている。アメリカさんが国会の承認を得ないで行政協定でやるから日本もこれをまねしている。逆だと思うのです。それから防衛分担金とか安全保障諸費、警察予備隊費用というものは、これは一本として防衛費として考えていいのであつて、この安全保障諸費の五百六十億は、これは短期的なものでありますから、大体施設なり何かがこれは移転が終つたらなくなると思うのですが、そうするとこれのお金がなくなつて予算に余裕ができますから、こういうものを減税に廻すと、そうすると二十八年度では防衛支出というものが減つて来る、こういうふうに解釈できますか。
  97. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) そういうふうに解釈できると非常にいいのでございまするが、やはり自衛力漸増ということもありますので、今直ちにこれが減つて参るとは確約できません。できるだけ減らしたいと思つて努力はいたしますが、減るというお約束はできません。
  98. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこでその二十七年度予算を見るときに、どうしても自衛力のいわゆる漸増計画というものの一つの姿がわからなければ一体どういう計画を政府は持つているのか、これは私は国民に明らかにすべきだと思うのです。そうでなければ財政計画は立ちつこないのです。私はどうしてもこれを明らかにして頂きたいと思います。この国会の開会中に予算委員会においてはそれがわからなければ、これからどんどん殖えるものについて、我々は長期的な財政計画を考えなければならないのに、それで将来非常に大きくなるかも知れないその防衛費について一部しか我々は知らされていないというような状態では、我々はこの予算を本当に審議できないのでありますから、それで漸増計画というものを明らかにして、それでどのくらい将来の財政計画の上においてこれが費用を食うのか、その点明らかにしておいて頂きたいと思うのであります。  時間がございませんのでもう二つばかり大蔵大臣に簡單にお伺いしたいのです。それは予算総則の九條と、それから十三條です。この点、九條においては行政機構改革が行われた場合、それに応じてこの予算の組替が行えるような規定であります。それから十三條は、安全保障諸費その他を大蔵省の、これは主計局だと思いますが、あそこへぶち込んでおいて、この中からよその官庁でこれを使つてもよろしいという、こういう総則上の規定ですが、こんなにいわゆる移し替えというものを濫用してよろしいのかどうか、これは私は財政法の精神に反する。これでは予算の体をなさないと思うのです。こんな大きな費用がまだこれからどうなるかわからない。或いは保安省ですか、或いは陸軍省とか海軍省とか、そういうものはできないかも知れませんが、例えば防衛的な省ができて、そつちに予算を移し替えする。全然どういう内容の機構になるかわからないうちに、我々はこれに全権を委ねることは、これはできないのです。これは財政法の精神に反すると思う。予算総則に移し替えの制度は今まででもありますけれども、こんなに広汎に移し替え制度を濫用する規定を出して来たことは、私は珍らしいと思うのです。これは財政法の精神に反していると思います。この点大蔵大臣はどうお考えか。そうして又そうでないならば、この予算審議中に行政機構改革の全貌をここに明らかにすべきだと思います。行政機構の内容がわからないうちにこの予算を我々は承認しようと思つてもできないじやありませんか。さつき木村法務総裁は、これも重要だから研究中、あれも重要だから愼重に研究中、こんなにこの予算審議の過程において明らかにできなければ、どうして我々はこの九條に基いてこの移し替えを承認できるでありましようか。少くとも大体の内容はここで、この国会に明らかにして承認を得べきだと私は思います。この点、前の点について大蔵大臣、あとを木村法務総裁にお伺いしたいのであります。
  99. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 木村さんは長いこと予算案の審議をなすつていらつしやるので……、今まででもこういう例はあるのであります。行政機構が変りましたならば、この予算の移し替えするという例は今まででもやつております。又安全保障諸費で五百六十億も厖大な金額を入れて、そういう移し替えを予算総則で規定しているなんかひどいじやないかとおつしやつても、今までの公共事業費が千何百億、こういう制度でやつております。又最近におきまして海外支拂諸費、即ち講和條約が結ばれる前におきまして各省の役人が外国に行つている。或いは在外公館ができるとかいう場合におきまして、昨年度の予算は十五億だつたと思いますが、大蔵省の主計局におきましてこれは財務一般を調整しているのでありますが、主計局において、そうして在外公館ができた、或いは各省から出張いたしますときには移し替をしてやつているのであります。公共事業費につきましても海外支拂諸費につきましても従来ずつとこれでやつているのであります。而も安全保障諸費につきましてはたびたび説明しておりますように、今後行政協定ができ上り、そうして合同委員会で七大都市から出て行きます場合の施設費、或いは通信関係経費は、その都度きまり次第にこれを使用してやつて行くのであります。従来と何ら変つたことはありません。財政法も大体それを認めているのでございます。
  100. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 只今大蔵大臣が申した通りであります。
  101. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣はそれはごまかしです。私は濫用を言つているのです。濫用を。こんなに広汎に、こんなに広汎な行政機構を考えて、例えば一つの省があつて、省が合併されたときにその予算を移し替えをする、これは常識として慣例があると思う。公共事業費だつて、これは前に安本にありましたけれども、これはどの省はこれが行くということが大体わかつている。これはわかりやしないじやないですか。  又従来公共事業費がそういう形で使われていないとすれば、これは公共事業費の組み方がおかしい。これはわからない。わかつているならば大蔵大臣、これは五百六十億はどの省に幾ら行くかということをはつきりここで出して頂きたいのです。
  102. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) それはこの前この委員会で申上げておりますように、五百六十億円の内容につきましては、大体営舎、住宅、或いは敷地の買收等に三百七億円要ると言つております。又通信関係のほうで七十六億円、有線無線で大体半々、道路の改修或いは治安機構の拡充によりまして新たにできる省のほうに或る程度の金が行く、教育機関と合せて三億円ほど予定している。或いは海上保安庁におきまして、巡邏船或いは監視船の強化に六十億円使う、それは説明しておるのであります。それで御了承願います。
  103. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 駐留軍の規模がわからなくてどうしてこれがはつきりわかるか、これは想像だと思うのです。一応新聞には出ております。又衆議院においてあの数字を発表された経緯も出ております。あれはもう私はここで説明する必要ないと思います。時間がなくなりますから。駐留軍の駐留の規模、その他がはつきりしないでどうしてそういうものを……若しもそんなら駐留の規模を明らかにして頂きたい。それがわからないで、どうしてそういう施設の移転とか何とかわかるはずがない。これは大体の想像であります。こうであろうという想像です。で、私はその答弁には満足しませんが、時間がありませんから次に移ります。  それは今度の二十七年度の予算日本経済の自立及び国民生活の問題についてお伺いいたしたいのであります。総理大臣は施政方針演説の中でこう言われております。「たとえ平和條約発効による独立回復するも、かかる脆弱なる経済財政の基盤においては自立経済の達成は困難であると憂うるのであります。」講和発効後における日本自立経済の達成は困難であると、こういうふうに総理大臣は施政方針演説の冒頭において述べられておりますが、やはりそういうふうに今でも考えておられますか、総理大臣伺いたい。これは総理大臣の施政方針演説でありますから。
  104. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 自立経済は困難でありますが、切抜ける覚悟であります。
  105. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうやつてお切り抜けになるか伺いたい。それには総理大臣の施政方針演説においては「一に外資の導入を待つにあらざれば急速の進展は期し難く、外資の導入は、国情の安定」云々と言われています。そうして又吉田内閣が解散したのでは国情が安定しないから外資も導入できない、こういうふうに私は言われていると思うのでありますが、マーカツト経済科学局長の昨日の談話、あれは外資を日本に與えることは困難である。コンマーシヤル・ベースに乗らないような外資を與えることは困難である、こう言われております。総理大臣の期待と非常に外れていると思うのですが、この施政方針演説とは非常に期待が外れている。それでどうして自立経済ができるか。総理大臣は、講和発効後において独立が回復してもかかる脆弱なる財政経済の基礎においては自立経済の達成は困難であると言われておる。それを達成するには外資導入よりほかないと言つている。ところがマーカツト経済科学局長は、外資は、これはそんなに急速に入るものじやないと言われている。それではどうして日本の自立経済を達成するか、事情が非常に変つてしまう。総理大臣は、恐らくこの平和條約との交換條件においてこの外資導入というものを考えられていたのではないか、ところがそれが当てが外れた。そういうことになるとこれは重大な問題だと思うのですが、これについて総理大臣の御答弁を伺いたいのであります。
  106. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 昨日マーカツト少将によつて確めたところによりますと、新聞に出たマーカツト少将の声明でありますか何かは、全く少将のあずかり知らざるところであるそうであります。あとは大蔵大臣から……。
  107. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 日本の自立経済は、総理大臣がおつしやる通りなかなか困難でございます。我々吉田内閣ができまして過去三年余り、なかなか困難な道を歩きましたが、とにかく国民の協力によりまして、ここまで来たのであります。独立していろいろなこと起こつてなかなか困難でございまするが、国民全体の努力によつて切り抜け得る困難であると私は考えておるのであります。而してこの困難な自立経済を急速にやるためには外資導入が必要である、一にも外資導入だと言つておられる通り外資導入が必要であります。従つて我々が外資導入ができるように、先ほど答えたように、外国から信用ある経済を立てたい、こういうのであります。ですから自立経済と外資導入は裏腹でございまして、外資導入が来れば急速に自立経済の達成ができる、これが来なければなかなか時間を要する、こういう問題でありますので、その日本の自立経済の確立、国民経済の発展に意義があると考えております。何も矛盾しておりません。総理も先ほどおつしやつたように、マーカツト少将は全然外資導入は駄目だと言つておられぬのであります。私はまだ会つておりませんが、総理からも又ほかの閣僚から聞きましても、新聞を読みましても、それは安易な気持で外資導入、外資導入と言つてはいかん、地についたものを考えなければならんということをマーカツト少将は言われたと思います。我々政府といたしましても、そのつもりで前からやつておるのであります。
  108. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 池田大蔵大臣が我々に、安易な気持で外資導入を考えてはいけないと、そう言う資格はないと思います。(「その通り」と呼ぶ者あり)大蔵大臣があの平和條約を調印しに行くときに、一応日本の自立経済計画というものを徹夜作業で安本に作らせましてそれを持つてつて向うで外資を借りようと思つたところが、こんな杜撰な基礎の下においては外資というものは入らない。マーカツト少将が言われた、あのこんな杜撰なものではいかんというのは、それを意味しておると思う。むしろ政府の今までのやり方が杜撰なんだ。(「うまい」と呼ぶ者あり)そうして自分が、池田大蔵大臣みずからが、外資を導入することは困難であつたと、帰つて来まして民間の諸君に、徒らに外資導入、外資導入ということは、そんなに簡単に行くものではないから、もつと愼重に、しつかりした案を立てなければならん。これはまるで逆であります。二月十四日の読売新聞にこう書いてあります。「政府が日米安保條約などの交換條件として対日政治投資約七億ドル程度をダレス氏に懇請し再三にわたりアメリカ側に懇請を続けていたが、さきに日米経済協力に関する吉田首相の顧問として向井忠晴、加藤武男氏らとその具体策について協議懇談していた経済諮問会議の幹事白洲次郎氏が、一月卅日重ねて書類をもつて総司令部に具体的推進方を懇請していることが明かになつた」、この読売新聞のこの報道は、これは事実であるかどうか、総理大臣にお伺いします。総理大臣にお伺いしたいのです。
  109. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 私はサンフランシスコに行きまして、日本の自立経済についてアメリカの要路者と議論をしたことはありませんから、これはお取消し願います。勉強はして行きましたが、出しませんでした。そうして議論をしたことは全然ありません。これはこの前の議会でも申上げたと思うのですが、木村さんはそういう事実のないことをおつしやるかたではないと思つておるのであります。自立経済につきまして向うの要路者と議論をしたことはございません。これを申上げておきます。それから安本のほうの主催で、日米経済協力についての考え方につきましては二回ほど話をいたしましたが、外資導入の具体的の問題につきましては私は関知いたしておりません。
  110. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほど総理大臣は、渉外局発表として各新聞紙に報道されたマーカツト少将の談話は、マーカツト少将に会いまして尋ねたところ、全然あずかり知らないことであるというふうに言われたと、こういうような御答弁がありましたが、それだつたら新聞に取消しを申入れなければならんと思う。これまで総理大臣が施政方針演説の冒頭において述べておるように、国民はこの外資導入というものに対して非常に……これは杜撰にやつたらどうか知らんけれども一つの講和後における日本経済を判定する場合に、楽観材料としてこれの期待を持つていたと思うのです。それでこそマーカツト少将のあの談話が非常な重大な意味を持つて国民に迎えられたと思うのです。或る新聞ではこれを好意的に解釈して、実はあれは外資導入ができると解釈すべきである。或いは或る新聞ではこれはできないと解釈すべきである。いろいろ立場によつて希望的に解釈したり、或いは又悲観的に解釈したりしているのであります。従つてこの問題は日本の今後の自立経済との関係、それから総理大臣が施政方針演説の冒頭において、外資が入つて来なければ、日本経済の自立は急速にはできない。相当臥薪嘗胆、困難な道を歩まなければならんのでありますけれども、それに対して総理大臣一つの希望を與えたつもりでおられたと思う。それが常識から見て、どうもあのマーカツト少将の談話は、駄目だとは私も言つておりません、非常に困難である。もつと條件を整えなければいかん、こういうように言われたと思う。そうして本当にマーカツト少将のあずかり知らない、そういうことでございましたか。
  111. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私はマーカツト少将に確かめたところが、あの声明は自分のあずかり知らざるところであるとはつきり申しておりました。又私の施政演説の冒頭に、外資導入の希望をいたしたことは、何も楽観材料として施政演説の中に、これは楽観材料であると申述べたはずはないのであります。(笑声)又外資導入に今後といえども努めるつもりでおります。
  112. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は外資導入を否定しているのではありませんです……。それではマーカツト少将がそういうふうにおつしやられたとすれば、それは総理大臣の言明として、お話として我々は了承いたします。  そこでお伺いしたいのですが、二十七年度の予算は、これはやはり外資というものを或る程度まで入れて、そうして日本経済の自立を図るということが前提になつて、国民所得その他を計算し、その上において税收入も計算していると、こうなつているのではないのですか。
  113. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 外資導入と言われますが、どういう型が外資導入か、政府政府との借款の分は予算には入れておりません。それからI・M・F、国際通貨基金へ入つた場合の借款、これは入れておりません。又輸出入銀行の先ほどの綿花借款の問題もこれは金融的な問題でございまして入れておりません。併し民間におきまして今までも外資が入つて来ております。こういうものは一応貿易外收入といたしまして、外貨の受取、支拂勘定の中に入れております。
  114. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はそういう質問をしておるんじやないんです。二十七年度或いはその以後における日本の自立経済計画の基礎として、安本長官よく御存じのように、自立経済計画の一番の基礎は電力である。電力が重点である。電力開発のために最初の計画では二億八千五百万ドル或いは三億ドルですか、そういう外資を予定して、そうして電源開発計画を考えていた。で、その外資の意味は、前にも大蔵大臣が我々に説明された通り、直接の向うから資材を輸入するというのではなく、電源開発にセメントとか鋼材、木材或は銅とか、そういう物をたくさん入れれば国内の消費、輸出に向ける分の消費資材が少くなるから、輸出が減る。輸出が減るために輸入が減るから、それをカバーするためのアメリカ援助と、こういうふうに我々は了解しておるのであります。そういう意味での援助であります。ところが、予定したところがそれが来ないとなると、電源開発、講和後日本の自立経済計画の一つの電源開発は、国内の資材をそこにたくさん投入し、二十七年度セメント百十万トン、鋼材二十七万トン、銅二万六千トン、それはそんなに投入したら、輸出に或いは国内に向ける分が減るじやないか。輸出に向けなければならん、ところが外資が導入されない。そうなつたら国内的に建設的なインフレが起るじやありませんか。そういう意味でそういう外資を予想して電源開発を考えて、国民所得がこれこれになる、国民所得が五兆何百億になるから税收はこういうふうにすると、二十七年度の予算の基礎になつておるという意味はこういう意味であります。ただ一般会計の中に外資の勘定が入つておるとか、そういうような意味じやなく、この二十七年度予算の基礎となる日本自立経済の基礎として外資導入というものは考えておつた。ところがその当てが外れて、若しか当てが外れたとなると、そうすると輸出が障害、国内の物資の需給にも障害が来る。いわゆる建設インフレが起る。国民生活水準が下がる。そうしたら二十七年度の予算が大きく狂うのであります。この意味でマーカツト少将が行かれて、ああいう帰つての話の結果、そんなに簡單にスムースに行くものじやない。こういうことになつたとすれば、これはこの予算の基礎が全然崩れることになる。それはどうなるんでありますか。
  115. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 電源開発計画千百億円の資金供給につきまして、外資の導入は考えに入れていないと思つております。而して若し外資の導入がなかつたならば、予算も生活水準も崩れてしまうじやないかと、こういうお話でございまするが、我々はこの予算審議の内容として申し上げておりますように、貿易收入、貿易外收入、そうして貿易外收入の中におきましても特需或いはそれ以外のもの、こう分けてやつておるのでございまして、今昭和二十七年度中にいわゆる政府借款ができないからといつて予算が崩れたり、生活水準が非常に悪くなるというふうなことは考えておりません。
  116. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは今後の日本経済の推移を見ればわかることです。大蔵大臣は三月危機ということが現れたときに、危機危機といつて危機が来たことはないと言つておりましたが、三月を迎えて最近の日本経済状態はどうでありますか。非常なデフレ的な深刻な状態になつて来た。講和発効を迎えてです。安全保障條約或いは行政協案結んでいよいよ日本独立になる。講和発効を迎えて日本経済は非常な深刻な最近デフレ状態になつて来ておるんです。大蔵大臣の弁明ばかりを我々は信頼することはできない。国民生活水準が下がらないと言いますが、恐らく私は常識から言つて、昨年度よりも五百億も多いところの不生産的な防衛費を使つて、どうして国民生活水準が下らないか。それをアメリカ援助でカバーするはずであつた、実は……。その援助がなくなつたことによつて、結局国民生活水準を低下しなければこの予算は実行できない。防衛費を賄えない。若しかそうでなければインフレになるのです。そこをごまかしていると思うのです。そこで国民に率直に、アメリカ援助を期待しておつたのだけれども、直ぐに入つて来ないからだと……。講和後の日本の自立経済というものはそんなに甘いものじやない。我々の生活水準を相当切下げなければ、あの再軍備計画というものはできない。防衛計画というものはできないのであります。  そこで私は最後に、もう時間がありませんがお伺いたしいのですが、総理大臣日本の国民生活水準をこれ以上下げることができるかどうか。池田大蔵大臣の財政演説にはエンゲル係数五四%、これは貧乏線である。エンゲルもはつきり言つております。それで総理に最後にお伺いしたいのですが、現在の生活水準をこれ以上切下げないようにあらゆる努力をされるかどうか。現在の生活水準についてどうお考えになつているか。これはまだ切下げの余地があるとお考えになるかどうか。私は最後に国民生活水準についてこれは総理大臣の……これは最後でありますから総理大臣の御答弁を煩わしたい。
  117. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 切下げないように努力いたします。(「そんな簡單では答えにならないよ」と呼ぶ者あり)
  118. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時十三分散会