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1952-02-18 第13回国会 参議院 予算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十八日(月曜日)    午後一時四十一分開会   —————————————   委員の異動 二月十一日委員島津忠彦君及び曾祢益 君辞任につき、その補欠として白波瀬 米吉君及び山田節男君を議長において 指名した。 二月十三日委員小串清一辞任につ き、その補欠として、楠瀬常猪君を議 長において指名した。 二月十五日委員岩木哲夫辞任につ き、その補欠として、山崎恒君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     和田 博雄君    理事            石坂 豊一君            小林 政夫君            佐多 忠隆君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員            愛知 揆一君            杉原 荒太君            中川 以良君            平林 太一君            宮本 邦彦君            岡本 愛祐君            小野  哲君            加藤 正人君            中山 福藏君            荒木正三郎君            内村 清次君            波多野 鼎君            松永 義雄君            山田 節男君            吉川末次郎君            駒井 藤平君            鈴木 強平君            西田 隆男君            深川タマヱ君            堀木 鎌三君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    地方自治政務次    官       藤野 繁雄君    大蔵省主計局長 河野 一之君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    大蔵省理財局長 石田  正君    大蔵省銀行局長 河野 通一君   事務局側    常任委員会專門    員       野津高次郎君    常任委員会專門    員       長谷川喜作君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事互選昭和二十七年度一般会計予算内閣  送付) ○昭和二十七年度特別会計予算内閣  送付) ○昭和二十七年度政府関係機関予算  (内閣送付)   —————————————
  2. 和田博雄

    委員長和田博雄君) それでは予算委員会を開会いたします。  先ず理事補欠互選の件についてお諮りいたします。  先般理事でありました藤野繁雄君が委員辞任されましたので、その補欠互選を行いたいと思います。互選は先例によりまして委員長より指名いたすこととして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 御異議ないものと認めまして、私より杉山昌作君を理事に指名いたします。   —————————————
  4. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 本日理事会で相談いたしまして、本日の委員会におきましては、昭和二十七年度一般会計特別会計及び政府関係機関の各予算について大蔵大臣説明を先ず聴取することにいたしました。大蔵大臣説明を求めます。
  5. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 昭和二十七年度予算編成に関する基本方針、並びに予算の大綱につきましては、過日、本会議において説明いたしましたが、予算委員会の御審議をお願いいたすにつきまして、改めてその内容を御説明申上げます。  先ず歳出について申しますと、  第一に、平和回復に伴う措置といたしましては、防衛支出金六百五十億円、警察予備隊費五百四十億円、海上警備救難に関する経費約七十三億円、安全保障諸費五百六十億円、連合国財産補償費百億円、平和回復善後処理費百十億円、総計約二千三十三億円を計上いたしました。  防衛支出金は、日米安全保障條約に基いて駐留する米軍の必要とする経費の一部を我がほうにおいて負担する結果支出を予想される経費でありまして、従来、占領軍のために負担しておりました終戰処理費とは根本的に異なるものであります。経費内容といたしましては、借料、運輸通信費需品費光熱費労務費等が予想されるのでありますが、取りあえず、これらの経費を両国において分担支出することになるものとして積算いたしました。近く行政協定の締結によつて、これらの負担関係は具体的に定められる予定であります。  警察予備隊につきましては、現在の人員七万五千名を、本年九月より三万五千名増員すると共に、部隊の配置換え等に伴う営舎等建設機能強化に要する装備拡充等を図ることといたしました。その経費内訳は、現在の七万五千名に対する分として三百五億円、増員の三万五千名に対する分として二百三十五億円であります。  海上保安庁につきましては、沿岸警備力増強するため、船艇六十隻を増備する計画の下に、これが要員として、警備救難関係業務に従事する現在の人員約八千名を、来年度中におきまして約六千名増員すると共に、これを収容するための基地施設整備等を図ることとし、所要経費を計上いたしました。  安全保障諸費は、治安確保を期するため、警察予備隊および海上保安庁に計上いたしました経費のほか、更に特段措置を講ずるために設けたものであります。その使途として予想されますものは、例えば、平和條約の発効後、米軍が大都市の中心部から周辺地区駐留場所を移動いたします場合、これに伴う営舎住宅等建設に必要な経費、右の移動に伴う有線無線通信施設その他営舎関係施設乃至附属工場各種荷役設備等建設に必要な経費巡視船等装備強化監視施設充実に必要な経費治安に関する機構の整備学校その他教育訓練機関の設置に必要な経費等が挙げられるのであります。これらの経費内訳につきましては、今後における諸情勢の推移により、内容が更に具体化するのを待つて、配分を適切に行いたい所存であります。  連合国財産補償費は、平和條約に基き、連合国財産について、戦争の結果生じた損害に対し、補償を行うために必要な経費でありまして、連合国財産補償法第十九條の規定に従つて計上いたしましたものであります。  平和回復善後処理費は、連合国に対する賠償、対日援助費の返済、外貨債償還その他対外債務支払及び占領によつて損失をこうむつた本邦人に対する補償等予定いたしたものであります。賠償を初めとする対外債務処理につきましては、平和條約の精神に鑑み、我が経済力の許す範囲内においてできるだけ円満な解決に努め、友邦善隣関係を確立いたしたい考えであります。  以上申述べました平和回復に伴う諸経費の計上に当りましては、国民経費に過度の圧迫とならぬよう。能う限りの配意をいたしたのであります。右の諸経費を除きましたいわゆる内政費は総額六千四百九十四億円でありまして、本年度予算のこれに対する金額六千三百五十九億円に比して百三十五億円を増加いたしており、外国為替資金に対するいわゆるインベントリー・フアイナンス内政費から除外して計算いたしますれば、右の増加額は五百八十五億円と相成るのであります。  第二に経済力増強のための措置といたしまして、先ず重点を置きましたのは、食糧増産対策であります。我が国の食糧事情は、年々三百万トン以上の食糧を海外に依存する状態でありまして、これに要する外貨は毎年約三億ドルに上るのであります。今後の人口増加による需要量の増大に対応するためにも、又国際収支の観点からいたしましても、食糧自給度向上を図ることは、最も緊要な施策であると考えます。これがため昭和二十七年度予算におきましては、食糧増産対策経費として四百三億円を計上し、前年度に比較いたしまして約百億円を増加いたしました。その内訳の主なるものは、土地改良事業及び開墾、干拓事業の推進のための経費二百十九億円、農業共済保険事業改善充実等のための経費百六億円、農業生産性向上し、農業経営改善を図るために農業経営改善費として、二十五億円、病虫害による主要食糧の減産を防止するために病虫害防除費として十一億円、有畜営農確立等のための畜産振興費として六億円、等であります。なお生食の統制に関しましては、差し当り之を存続する建前の下に予算編成いたしました。  次に、国土資源維持開発のための公共事業費は、災害復旧及び治山治水事業に最重点を置き、昭和二十六年度以前にこうむりました全災害の約三割を来年度中に復旧する予定であり、又河川事業につきましては、電力不足現状に鑑み、電源開発を兼ねた総合開発事業として、これを推進する計画であります。その内訳は、河川、砂防、道路港湾等一般公共事業費五百八十四億円、災害復旧公共事業費五百億円、でありまして、前年度に対して、一般公共事業費におきましては百億円、災害復旧公共事業費におきましては、百二十九億円を増額計上いたしております。  財政資金による出資乃至投資につきましては、先ず経済基礎充実を図るための産業資金等の供給をいたしまして、一般会計資金運用部資金及び見返資金を併せまして、千百八十五億円を予定いたしております。その主なものは、日本開発銀行へ百七十億円、日本輸出銀行へ七十億円、国民金融公庫へ五十億円、住宅金融公庫へ百五十億円、農林漁業資金融通特別会計へ二百億円、電力開発資金へ三百六十億円、造船資金へ百四十億日等であります。明年度におきましては、対日援助の打切りによつて、見返資金は四百億円以上の支払超過となるのでありますが、一方、資金運用部における収入増加運用計画調整とによつて、これを相殺することといたしております。  一般会計から外国為替資金への繰入、その他いわゆるインベントリー・フアイナンス寸本年度の九百三十七億円に対して三百五十億円と、著しい減少になるのでありますが、これは経済正常化等伴つてその必要が減じたためでありまして、均衡財政の原則は従来通りこれを堅持しつつ、金融面における施策と相待つて経済の健全な運営を図りたいと考えております。  貿易の振興自立経済を達成するために欠くことのできない要素でありますが、現下の問題はドル地域向輸出増強と、ポンド地域からの輸入促進にあることは御承知通りであります。来年度におきましては、政府輸出信用保険制度を拡充して新たに輸出金融保険を設け、ドル地域向輸出資金を融通した金融機関損失を補填することといたしました一方、わが国の必要とする原材料を極力ポンド地域に求めるためこれが開発に要するプラントのポンド地域輸出に対し為替補償制度を創設する方針であります。交通通信施設につきましては、その老朽化現状に鑑み、能う限り設備復旧と更新に努めましたほか、鉄道電化促進新線建設等予定いたしております。  第三に民生の安定及び文教振興のための施策といたしましては、先ず生活困窮者保護のための生活保護費として二百四十六億円、健康保険その他社会保険充実のために五十三億円、結核対策費として九十三億円、失業対策経費として百二十九億円を計上いたしまして、民生の安定に関する必要な経費確保を図りました。なお住宅事情の急速な改善に資するため、住宅金融公庫に対し一般会計から五十億円、資金運用部から百億円の資金を供給いたしまして、本年度において五万戸の住宅建設予定いたしましたほか、公営住宅建設に対する補助として四十七億円を計上し、庶民住宅約二万三千戸の建設確保することといたしました。  次に戰死者遺家族及び戰争による傷病者に対する援護に関しましては、政府は、財政現状及び将来の国民負担をも考慮の上、現在として能う限りの措置を講ずることといたしました。即ち、遺族年金百五十六億円、傷害年金十七億円、戰傷病者更生援護費七億円、その他遺家族子弟育英費合同慰霊式典費等を計上いたしましたほか、交付公債約八百八十億円を以て遺族一時金に当てるごととし、その利子所要額国債費増加計上いたしております。政府は、戰死者に対し敬弔と感謝の意を表し、遺家族及び傷病者のかたがたに対しましては、深い同情の念を懐くものでありまして、なお今後とも財政事情の許す限り、援護充実を期する所存であります。  文教振興につきましては、六三制校舎の急速な整備を行うため、三十七億円を計上し、これによりまして校舎その他二十五万六千余坪の建築を予定いたしております。これにより六三制実施に伴う校舎等整備は一応完成する予定であります。又職業教育につきましては、その施策充実特段配意を加え、産業教育振興費として六億円を計上いたしました。学術振興のための方策といたしましては国立大学における研究費等に十五億円を増加計上すると共に、学術振興費として七億円を計上いたしております。  次に地方財政につきましては、平衡交付金を前年度の千二百億円から千二百五十億円に増額いたしますと共に、別途資金運用部資金による地方債引受の枠を前年度の五百億円から六百五十億円に拡張いたしました。最近地方財政は逐年膨脹の一途を辿り、昭和二十四年度に三千七百億円程度でありましたものが、昭和二十七年度は七千億円にも達しようとし、且つ財政困難の声が高い実状であります、このような地方財政状況に対しましては、政府並びに地方公共団体共に根本的な検討を加え、行政事務刷新簡素化歳入確保経費の節減及びその効率的な使用等につき特段の工夫、努力が肝要であると存じます。  次に歳入予算について申し上げます。歳入予算内訳は、租税及び印紙収入六千三百八十一億円、日本専売公社益金千二百五億円、雑収入等六百七十三億円、前年度剰余金受入二百六十八億円となつております。  租税及び印紙収入につきましては、最近の收入状況及び明年度における生産物価の動向を予測してその見積の適正を期したのであります。即ち、所得税法人税等はその課税実績を基とし、国民所得算定基礎なつ生産物価及び雇用、賃金等指数を参考としつつ、又経済実状を極力勘案いたしまして、その収入を算定いたしました。特に法人税につきましては、課税実績のうちには朝鮮動乱影響等による異常利益に基くものも含まれておりますので、これらを調整するよう特別な配慮を加えました。又酒税、物品税砂糖消費税等間接税收入は、来年度生産、販売、輸入等の見通しを十分考慮に入れて算定いたしております。今後生産物価共に堅実な歩みを続け、国民所得も順調に増加するものと考えられますので、六千三百八十一億円の租税及び印紙収入は、これを確保し得るものと考えております。  税制に関しましては、先般所得税軽減中心として租税負担合理的調整措置を講じたのでありますが、今回はこの所得税軽減維持年度化しますほか、所得税及び相続税につき一層負担合理化を図ると共に、課税簡素化及び資本の蓄積に資するため、税制改正を行うこととし近く所要法律案を提出いたす予定であります。その概略を申しますと、先ず所得税につきましては、先に臨時特例法により実施した控除及び税率改正を平年度化するほか、新たに生命保険料控除の限度の引上譲渡所得、一時所得及び山林所得に対する課税軽減簡素化等を図ることとしております。次に相続税につきましては、税率の引下、基礎控除及び生命保険金控除引上退職金控除新設等改正予定しております。又、法人税におきましては、徴収猶予の場合の利子税を引下げることといたしますほか、本年四月以降砂糖統制廃止を行うこと、並びにその最近の負担状況等考慮いたしまして、砂糖消費税税率及び砂糖に対する関税率引上を行う考えであります。  以上一般会計歳出及び歳入について申し上げましたが、次に特別会計及び政府関係機関について概略申しますと、昭和二十七年度特別会計予算は、外国為替資金ほか三十三の特別会計に関するものであります。前年度まで存置してありました財産税等收入金特別会計はこれを廃止いたし、残務の整理一般会計に引き継ぐことといたす一方、新たに、特定道路整備事業特別会計を設置することといたしました。特定道路整備事業特別会計は、産業振興上における道路重要性に鑑み、新たに有料道路制度を設けて、道路交通画期的向上を期する目途を以て設置したものでありまして、本会計においては、資金運用部資金十五億円を以て関門国道その他特定道路整備事業を推進し、将来の道路使用料収入により資金償還をいたすこととしているものであります。  次に昭和二十七年度政府関係機関予算は、日本専売公社日本国有鉄道のほか六機関に関するものでありまして、前年度においてなした各公団、特殊会社整理委員会及び証券処理調整協議会はいづれも解散し、おおむね清算を結了いたしましたので、本年度予算は計上されておりません。なお閉鎖機関整理委員会及び商船管理委員会も本年度限りで解散いたし、来年度においてはその清算事務のみが残ることとなつております。  以上昭和二十七年度予算について、その概略説明いたしましたが、御審議に際し御了解をお願いいたしたいのは、先般の臨時国会予算制度合理化会計事務簡素化等のために、財政法等改正法律案を提出いたしまして、御審議をお願い申し上げておりまするが、昭和二十七年度予算は、その改正案の趣旨に従つて編成いたしましたため、新たに継続費を設けるほか、予算科目区分改正等をいたしていることであります。なお詳細は政府委員から御説明いたします。何とぞ慎重御審議上速かに可決せられるようお願いいたします。
  6. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 政府関係局長の補足的な説明を願いたいと思います。
  7. 河野一之

    政府委員河野一之君) 補足的な御説明を多少申上げます。  この予算編成基礎になつている諸種の問題でありますが、先ず予算単価の問題でありますが、この予算は大体昨年の十月乃至十一月頃の現状基礎にいたしまして編成いたしたのでありまして、従つて予算単価は大体その当時の物価事情によつて組まれているわけであります。当時昭和二十六年度補正予算も出ておりまして、二十六年度補正予算単価は大体同じようでありますが、ものによりまして、その当時の実情によりまして相当変えているものもございます。勿論十一月から運賃、料金等が上りましたので、そういつたものはこの十一月以降改正された料金単価になつております。その他一般的なものについて例を挙げて、予算単価がどの程度になつておるか御説明申上げるのでありますが、国鉄、電通のごとき多量に物資を使用しまする会計におきまする使用物資単価でありますが、国鉄におきましては、石炭は六千四百カロリーのものを五千五百八十一円ということにいたしております。補正予算のときには同じく六千四百カロリーのものが五千百八円で、変えております。尤も昭和二十六年度当初予算におきまする石炭の單価は、六千二百カロリーのものを三千八百七十円で、レールは一トン四万九千円、枕木一本六百四十四円、こういうような数字に相成つております。郵政事業関係で申しますると、これは個々の物資をとりますのも非常に複雑でありますので、指数で申上げますと、自転車で三四%、金属関係が四五%、紙類が四〇%。それから電気通信関係では、保守関係で四九%、電力関係で三〇%といつたところであります。公共事業関係におきましては、木材が大体石当り千九百五十円、セメント一袋四百四十円、そういつたところであります。労務におきましてはプリヴエーリング・ウエージの単価によつております。尤もこれは一般的に重要物資を多量に需要しまする事業単価でありますが、一般的な各官庁の事務費或いは庁費といつたものは、これは特に単価改正をいたしてございません。需要数量も非常に微々たるものでございますし、節約によつて、仮に価格が上りましたところで全体に及ぼす影響というものは、予算経理上非常に困難を極めるといつたものではありませんので、補正予算等と変えておりません。それから病院学校その他における事業用物品食糧費等が問題になるのでありますが、食糧につきましては、昨年八月から改訂されました良種価格、つまり消費者価格内地米で六百二十円、外米で五百五十五日という価格で組んでおります。病院患者費刑務所収容費といつたものはそういつた価格で組んであるわけであります。人件費につきましては、これは御承知のように十月から公務員の給與が上りましたので、いわゆる一万円べースということで組んでございます。いわゆる特別手当、前年いわゆる年末手当と申しまして〇・八月分を計上いたしておつたのでありますが、明年度におきましては一カ月分を計上いたしております。人事院の勧告を入れておるわけであります。それから先般勧告になりました勤務地手当の問題でありますが、これは当初この予算には或る程度織込んでございます。その後多少勧告内容が追加されたのでありますが、一般会計特別会計を通じまして全体で七億程度に相成りますが、現在の予算処理できると考えております。  次はこの予算編成基礎になりました国民所得の問題でありますが、国民所得の点につきましては、この予算説明書にもございますが、明年度五兆三百四十億、これはこの説明書には五兆二百七十億と載つておるのでありますが、その後調整いたしました結果五兆三百四十億という数字に相成つておるのであります。二十六年度は四兆六十五百六十億、これもこの予算説明書には四兆六千六百億となつておるかと存じますが、多少修正せられております。前年に比較いたしまして七・八%明年度は殖えております。その基礎はいずれ安本当局からお聞き願えると思うのでありますが、鉱工業生産指数におきましては一二八から一四〇・六、CPIが一五六から一六三、産業活動指数十三五から一四六といつたようなことで組んであるわけであります。更に具体的な計数で申上げるならば、石灰が四千九百万トン、普通鋼鋼材が四百六十万トン、セメント七百五十万トンというようなベースで考えてあるわけでございます。  次は国際収支の問題でありますが、国際収支におきましては、この予算説明書の十頁にあるのでありますが、いずれ理財局長より詳しく御説明を願うわけでありますが、受取二十三億八千万ドル、支払が二十二億八千三百万ドル、差引九千七百万ドルの受取超過ということで三百五十億のインヴエントリー・フアイナンスが組まれておるわけであります。  次は食糧の問題でありますが、食糧につきましては、先ほど大蔵大臣から御説明がありました通り、一応現在の統制を存続するという建前で組んであるのでありますが、パリテイは二五五という計算に相成つております。二十七年度全体を通じて二五五という計算でございます。生産者価格は米が七千二百十四円、前年七千三十円、大麦が千二百二十五円、前年千百四十五円、裸麦が千九百七十七円、前年千八百四十八円、小麦が千八百三十四円、前年千七百十四円でございます。消費者価格は理論的にいえばパリテイ二五五とし、リプレース・コストで行きますと多少上るわけでありますが、これは中間経費節約ということも考えております。それから又前年の七千三十円という数字につきましては、前年度のバツク・ペイが相当入つておりますので、大体消費者価格を動かさずにやつて行けるというふうに考えております。それから買入数量は、内地米が二千八百二十五万石、麦が七百八十七万三千石というふうに見ております。食糧輸入は三百五十一万七千トン、米が百一万トン、大麦が七十一万六千トン、小麦が百七十一万九千トン、価格は米が百七十二ドル、砕け米は百十一ドルと見ております。それから大麦が九十七ドル、小麦が百ドルで積算しております。小麦ポンド地域が百十ドル、ドル地域が百三ドル、小麦協定が八十四ドル、数量ポンド地域が二十万トン、ドル地域が百九万一千トン、小麦協定分が五十万トン、この数量の平均をいたしますと百ドルということに相成ります。これによる補給金が二百七十億円であります。  次は財政の規模の問題でありますが、財政の規模は二十六年度が四兆六千五百六十億に対する七千九百三十七億で一七%、二十七年度は同じく五兆三百四十億円に対して八千五百二十七億で大体同じく一七%ということで実質的には膨脹いたしておらないのであります。それから税に専売益金を加えたもので申しますと、六千三百八十一億で、これに千二百五億円のたばこの益金を加えましたものの七千五百八十六億円は、これは国民所得に対して一四・五彩超過に相成ります。前年度の同様な税の実質的な数字は六千七百八十三億円で、これも一四・五%程度で、大体変りないということになるわけであります。税の六千三百八十一億という数字は、改正前の税法で見ますと七千百四十億円でございまして、税法改正による減収見込が七百五十八億円ということに相成ります。この七百五十八億円というのは、所得税におきまして千六億円の減税と相成りまして、法人税においての例の四二%という系統の分の百九十一億、砂糖消費税の四十七億、関税の二十三億というものを含めました結果が七百五十八億ということになるのでありまして、結局所得税において千億の減税の目的を達しておるわけでございます。  次は歳出内容についてでございますが、大蔵大臣の御説明にもありました通り平和回復関係経費が二千三十三億円、つまり防衛支出金とか、予備隊とかいう系統を含めましたものが二千三十三億円、前年が千五百七十六億円、四百五十七億円を増加いたしております。この数字の詳細は四頁にございます。その他の経費が六千四百九十四億円で、前年が六千三百五十九億円に相成りまして、百三十五億その他の経費が殖えております。その他の経費も、内政関係経費と見るのが適当であるかどうか、これは疑問がありますが、百三十五億殖えておるわけであります。なお更に詳細に解剖して見ますと、その他の経費の中で、いわゆるインベントリーに相当するものが三百五十億、つまり外為のインベントリーが三百五十億、前年が九百三十七億、つまり八百億が外為であり、百億が食管、三十七億が造幣、その他の基金、こういつたものが三十七億、それでありまするから五百八十七億インベントリーにおいて減つておる。従つて内政費と申しますか、平和関係費以外においては約七百億くらい実質上殖えておることに相成つておるわけであります。つまり食糧増産におきましては四百二億、前年が三百八億で、九十四億ほど殖えております。土地改良、病虫害防除、或いは畜産、飼料対策といつたようなものを中心としまして、九十四億ほど殖えております。公共事業費は本来の公共事業費でありますが、これが同じく千二百三十六億、前年が九百九十四億でありますので、二百四十二億殖えております。民生関係経費でありますが、これは二頁から三頁にかけた所を御覧頂きますと、生活保護費社会保険費、結核対策費、失業対策費で、合計で五百二十六億、前年が四百五十九億でございまするので、約六十億殖えておることに相成ります。そのほか遺家族及び傷痍軍人の援護経費が二百三十一億六千万ほどございます。これは実質は二百五十七億程度になりまして、一方生活保護法、或いは既定の金で以て遺家族援護をやる結果減る系統のものがございますので、実質は二百三十一億ほどでありますが、殖えております。それから教育文化でありますが、これにつきましては、次に六三制、科学研究費、産業教育補助というように三つばかり並んでおりますが、教育文化費全体で三百三十五億、前年が三百十四億で二十一億殖えております。育英の人員で申上げますと、育英の資金では十六万四千人ほどでありまして、前年は十四万九千人ほどでありますので、約一万五千人殖えております。それから遺家族の子弟の系統で七千五百八十七人殖やしてございます。  次は財政投資の問題でございまするが、同じ二頁の所にいわゆる産業投資の金額が載つております。二十七年度千百八十五億で、前年度が千四百三十七億でありますので、二百五十億程度産業投資としては実は減つておるわけであります。これは一番大きな原因は見返資金が減つたためでございまして、見返資金の投資が明年度六百億等を見ておるのでありますか、前年はこれが千百八十億であつたわけであります。但しこの産業投資は、いわゆる新らしい財政からする新規投資でありまして、そのほかに例えば開発銀行、輸出銀行、或いは国民公庫、住宅公庫等でもそうでありますが、貸付のものを回收によつて更に再貸付けするものがあるわけであります。その金額で申しますと、千百八十五億が千五百八億に相成ります。そのほかに地方債は明年度六百五十億、本年度五百四十七億、公共企業関係におきましては、いわゆる減価償却、特別保守の系統を除きまして鉄道、郵政、電通、道路改良、特定道路整備、こういつたものを入れますと三百二十億、前年が二百二十五億ということで、全体を合計しますと、回収による新規再投資の分も入れまして、明年度二千四百七十八億、本年度は二千四百十四億ということで少し殖えておるということに相成ります。  次は人の問題でありますが、定員につきましては、予備隊を除きまして、二十六年十月のいわゆる行政整理前の定員に比較いたしまして、明年度末の予算定員は約八万人ほど減ります。二十六年十月は百四十六万九千人でありますが、二十七年度末は百三十八万六千人であります。そのほかに予備隊が七万五千人、明年度末は十一万一千人、これは本部の系統も入れます結果、そういうような結果に相成りますが、これを入れますと、更に多少減りますが、四万八千人ほど減るということに相成つております。行政整理の趣旨を体しまして、定員の増加は極力抑制いたしまして、原則として定員増加を認めておらないのでありますが、特殊の四年に進むという関係で、学年進行、或いは地方の大学を国立に移管した関係、それから病院が、結核の病棟が殖えたといつた関係で、看護婦、医者の増加したもの、それから電通会計におきまして、電話局が殖えましたので、交換手その他オペレーターが増加いたしております。そういつた関係を除いては一切の定員の増加を抑制いたしております。  行政機構の問題は現在のままの姿で一応組んでございますが、今後行政機構改革の問題がどういうふうに進みますかにもよりますが、原則として大体その結果如何にかかわらず、予算の修正は要しないのではないかと我々は考えております。職務権限の移動等による予算の移し替えということを予算総則においてお願いしているわけであります。  それから最後に、予算説明におきまして、裁判所の予算について二重予算が出ているということをちよつと書いてございますが、これはその後裁判所のほうにおきまして、政府の概算決定に同意するという旨の通知がありましたので、内閣総理大臣より先般当院議長に御通知申上げている次第であります。何とぞ御了承をお願いしたいと思う次第でございます。  大体以上を以て基本的な説明を終了させて頂きます。
  8. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 資料の要求ですが、今の御説明予算説明その他にある資料はそれで結構ですが、最初に御説明なつ予算單位、特に主要物資單価について、若し予算説明その他に出ておりませんでしたら別途資料としてお出し願いたい。
  9. 河野一之

    政府委員河野一之君) 承知いたしました。
  10. 和田博雄

    委員長和田博雄君) それでは次に主税局長が来ておられますから……。
  11. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 租税及び印紙収入予算につきまして概略補足しまして御説明申上げたいと存じます。  お手許に書類をお配りいたしておりますが、昭和二十七年度税制改正の要綱という少し大きな活字で書きました横書の書類、それから昭和二十七年度租税及印紙收入予算説明、少し小さい活字で歳入見積算定の基礎を詳細に書きましたものと、この二つにつきまして概要を御説明申上げたいと思います。  先ずこの改正の要点でございますが、今回の改正につきましては、大体方針といたしまして、減税問題につきましては大体次に申上げるようなふうに考えております。即ち所得税と、相続税につきましては、できる限り負担軽減を図る、と申しましても所得税につきましては、前回臨時特例で臨時国会を通過しましたのを平年度化するという意味でございますが、所得税相続税につきましてはできる限り減税をする。それから法人税につきましては、前回御審議を煩わしました三十五から四十二に上げる、あの増税の方針を、新たに増税するわけではございませんが、そのまま踏襲する。それから間接税につきましては、今までは減税いたしておりましたが、二十七年度としましては特別な減税は行わない。砂糖につきまして配給がやめになりますので、その機会に税としましては若干の増税を図りたい。但しこれも現在食管で例の自由販売の砂糖につきまして相当余剰利益を得ておりますから、それと比べますと大差ない増收でありまして、大体そのような基本的な考え方に立つております。  それから税制改正につきましては、この際昭和二十五年度に国税、地方税を通じまして改正しましたのを、又根本的に考え直したらどうかという意見もございまして、いろいろ検討いたして見たのでございますが、やはりもう少し時期を待ちまして、愼重に考究した上で根本的な点は改正したほうがいいのじやないかということに結局において相成りまして、国税、地方税を通じ、税制の根本に触れますような改正はもう少し、問題がいろいろございますので将来の検討に委ねまして、この際何としましても実行して見まして、日本の実情に即しない点、並びに資本の蓄積に必要な事項等につきまして、税制の根本にそれほど大きく動かない範囲内におきましてできる限りの措置をとる、こういう趣旨で改正案を大体まとめ上げた次第でございます。その内容は大分御承知のことでございますので、簡單にいたしますが、所得税につきましては、特別に税率控除につきましては申すことはいたしません。ただ平年度化ということの意味につきまして若干補足して申上げますと、基礎控除は、例えば現行法でございますと三万円ですが、それを五万円に引上げます。臨時特例法昭和二十六年分は三万八千円に引上つておりますが、それが今度は五万円になる。これは申告所得税の場合でございますと、従いまして、今申告して頂いております昭和二十六年分の所得税計算基礎になる基礎控除は三万八千円でございますので、今回の改正によりまして、二十七年分はそれが五万円に上る、実質上今回の改正で更に引上げるようになる。扶養控除率の改正も同様の関係になります。ただ給與所得につきましては、毎月納める税額はすでに五万円に八月から実行いたしておりますし、税率もここに示しております税率でやつておりますので、毎月の月税には影響はございません。ただ年末調整の税額は、昨年の年末調整の税額の計算に当りましては、基礎控除は三万八千円に計算いたしたわけでございますので、二十六年一年を通じました勤労所得税負担と、二十七年一年を通じました勤労所得税負担と、やはり申告所得税の場合と同じように軽減があるというようにお考え願えればよろしかろうと思います。そういう点だけ申上げまして、あと細かい額等のことは申上げる必要はないかと思いますので省略いたします。  それから控除につきましていろいろ書いてございますが、不具者とか、老年者、こういう控除につきましては、従来一万五千円の所得控除を四千円の税額控除に改めることは、前回の御説明で申上げた通りであります。今回新たに旧軍人、軍属の遺家族でありまするそれぞれこれこれの該当者の場合におきましては、四千円の税額控除を五割増しまして六千円控除する予定でございます。ただこの関係遺家族援護法の関係がございますので、所得税法の改正にはまだ織込んでおりません。向うの法律の附則でこの改正を行う予定でございます。それから生命保険料も二千円から四千円に引上げる、これは今回の新たなる措置でございます。  それからこの二頁に載つております青色申告税についてはいろいろ優遇しておることは御承知通りでありますが、今回特に農業や小営業者の場合に家族専従者の給與控除を認めようと、但し親族の間でございますので、関係がはつきりしない場合が多いので、年額五万円を限度として給料を払つた場合におきましては、それを経費として落す、これが農業者の場合、或いは小営業者の場合には青色申告者に対する相当重要な特例に相成るかと存じます。それから変動所得につきまして、いろいろ問題がございますので、できる限り負担軽減を図るのと、簡單化の意味におきまして、若干の改正を加えることにいたしております。退職所得につきましては、前回臨時特例で出しましたのをそのまま踏襲いたします。それから譲渡所得と一時所得山林所得につきましては、十万円の特別控除を行う。それで十万円の特別控除を行いますと、少額の投資家の場合は、殆んどもう譲渡所得の問題は、株式の場合等も問題がなくなるかと存じます。山林所得の場合も、中小の山林所得者の場合は相当負担が緩和になるものと見ております。譲渡所得を全部株式等についてやめたらどうかという問題がございましたが、そういう問題はやはりなお政府といたしましては研究するということになつておりまして、解決いたしておりません。それからなお自家用住宅を売つて新らしく買換える場合と、甲の農地を売りまして乙の農地と取換える、こういう場合におきまする譲渡所得課税、これはやめよう。そこに書いてありませんが、相続した場合に譲渡所得計算して課税しておりますが、これも現実にあとに相続人が処分したときに課税することにいたしまして、相続した場合の譲渡所得税の課税はやめよう、こういう考え方であります。その他、平均課税は例の五年間に亘つてやらなければならない非常に複雑なものでありますので、五十万円程度以下の変動所得は、一年限り、五分しまして税額を計算して出て来た負担率を乗じましてそのほかの残余の分に対しまして出して来た税額、つまり一年限りの平均課税で済ますことにしたい。但し漁獲所得とか文士原稿料といつたようなものだけ、そういう所得が主たる所得者であります場合、そうした場合は他の所得と不公平になりますので、そういう人の場合は、半額以上漁獲所得とか原稿料の所得は、これは五ヵ年間やつてもらうことになつておりますが、そうでない場合は成るべく一年限りで五分五乘して簡單に計算いたすということにいたしたいと考えておる次第でございます。勿論これらの所得は選択制でございまして、やはり五ヵ年五分制でやつたほうがいいというなら選択してもよろしいのでありまして、そういうふうにいたそうというのであります。次は源泉課税につきまして若干拡張しよう。拡張します新らしい事項としましては、お医者さんの社会保険によりまする診療收入、それから弁護士、公認会計士などが法人から受ける報酬に対しましては一〇%で源泉徴収をしよう。それから今外国人が払いまする特許権に対しましては、日本に営業所があります場合課税しておりまして、営業所のない場合は課税していないのでございますが、これはやはり日本で所得が発生しました場合は課税したほうが妥当であるという見地から二〇%の税率で源泉課税をすることになつております。但しこの点、ここに書いてございませんが、日本に望ましい技術の導入に必要なものと申しますか、そういうものにつきましては租税特別措置法があつて、現在も配当金や或いは社債の利子等につきまして二割を一割に軽減いたしておりますが、特許権の場合におきましても同様な措置を講ずる見込でございます。これは追つて租税特別措置法の提案と同時にいたしたい。それからなお、勿論日本で課税しました場合は二重課税の防止協定を、條約を結びまして、日本で納めた税額をアメリカで納める税額から相互に控除するという條約を近く結ぶべく今進めておるのであります。そのことも附加えておきたいと存じます。少し他の問題に入りましたが、原稿料の税率は今二〇%ですが、これを一五%に下げよう、これは主として小文上等のかたがたで所得の少い場合に二〇%ではどうも返すかたがたが多いのでありますから、これらの措置を講じております。そういう点、技術的にはいろいろ細かいことがございます。なお所得税につきましては、その他細目につきましては大分改正がございますが、この点は藩閥の関係もございまするので、省略さして頂きたいと思います。  それから法人税はこれは前回改正しましたものが大部分でございまして、今回の改正はほんの僅かな改正でございます。配当につきましては源泉課税を行うことにいたしましたので、法人税から控除するわけでございますが、控除しきれない場合、つまり赤字が出た場合は返す考えであります。それから法人税に三月半額徴収猶予を認めましたが、これは四銭の利子税を二銭に下げよう。従いまして法人税は大した改正ではございません。  相続税は次にこれは相当の改正でございまして、控除引上げと税率の緩和によりまして相続税負担を相当軽減しよう。どうも少し二十五年度改正による相続税は、我が国の実際の実情から申しますと、重きに失したきらいが多分に認められますので、相続税課税制度の根本はこの際変えないのでございますが、控除引上げ、税率の緩和によりまして相続税負担を相当、中以下の場合を特に大幅に軽減しようという考え方であります。基礎控除の三十万円、これは相続人一人ごと、四人おりますと百二十万円の控除になります。農家の場合等におきましても分割が無理だという場合がございますが、三十万円にしておきますと、その他の控除が若干加わりますので、大体普通の自作農の場合におきまして、農地と自分の家屋敷だけ持つております場合は大体相続税はかからんことになるだろう、そういう点を狙いまして、三十万円程度基礎控除引上げるということにいたしております。その他保険金の控除引上げをする。山林所得税の場合は、延納期間を五年を十年に延長をする。それから利子税を四銭から二銭に引下げる。それから申告も今四カ月でありますが、財産の評価はなかなかむずかしくて四カ月では無理だというので、六カ月に延ばすというような方法をとりまして、極力実際に即応しまして妥当な負担になるように考慮して妥当な改正を加えようとするものであります。  それから最後は砂糖でございますが、砂糖につきましては、今百斤千円、一斤十円の消費税でございますが、これを七円ほど上げまして十七円にする。別途に関税を、従来原料糖は一割でありましたのを二割、精製糖は二割というのを三割五分に引上げる、両者通じまして約百斤千円、一斤十円程度引上げになるのでございます。関税を特に上げることといたしましたのは、主として北海道の甜菜糖等の保護をできる限り関税によりまして考慮しようという考えでございます。この措置によりまして今の砂糖の国際相場は動かないものと考えますと、四月統制撤廃に相成りました場合に大体税込みで消費者価格が八十円前後になるのじやないか、現在配給は確か六十七、八円、自由販売の砂糖が百十円、それが配給がなくなりまして全部一律になるかと思いますが、八十円前後になります。それに対しまして消費税と関税を入れまして大体二十四円ぐらいの税負担になります。三割程度がかかるだけでございますから、一般に消費される砂糖はこの程度で、この際妥当ではないかと考えまして、このような措置をとるようにいたしたのであります。  なお細目はいろいろございますが、要点は以上にいたしまして、歳入見積りにつきまして重要な点だけで敷衍して御説明申上げておきます。その詳細は租税及印紙收入予算説明という書類に相当細かく算定の基礎を出しておきましたので、これをいちいち説明しておりますと大分長くなりますから、重要事項だけをかいつまんで申上げます。  先ず所得税でありますが、所得税につきましては、給與所得説明書の五頁に書いてありますように、二十五年分の課税実績、これは私どものほうでわかつております一番新らしい資料でございますが、これを基にいたしまして、雇用と賃金の増かを見込んで算定いたしておりますが、最近の状況からいたとますと、雇用で五・三%、賃金で四〇・六%、二年分の増加でございまして大分大きな数字になつておりますが、これは昨年、つまり補正予算で見積りました二十六年に比べますと、大体総合しましたところで一二%程度増加になります。つまり二十六年に比べますと三十七年は給與が一二%程度殖える、これは大体本年の三月頃まで若干賃金が上るものと仮定いたしまして、あとは横ばいとしまして算定いたしたのでございます。それを基にしましていろいろ計算いたしておりますが、その根拠は書類によつて御覧願いたいと存じます。  それから申告所得税の場合におきましては、これもやはり生産物価等の状況を基にしまして計算いたしておるのでございますが、これも相当詳細に、二十五年を基にしておりますが、併せまして二十六年分との比較もここに数字を計上いたしておりますので、やや重複になるかと思いますが、農業は大体三十六年に比べまして、二十七年は五%の増。それから営業把握の増等も或る程度見込みまして二五%の増、申告全体で一割六分の増加課税所得の面で見込んでおります。それを基にしまして、現行法による税額と、改正法による税額とそれぞれ詳細に計算いたしておるのであります。その年度の徴収工合等も大体従来の実績によりまして、それぞれ妥当を期したつもりでございます。所得税がこの昭和二十四年以後、改正によりましてどういうことになつたかということにつきましては、別途に所得税の納税人員課税状況という表を、これは別の資料でございますが、ガリ版でお配りいたしておりますので、それを御覧願いたいと思います。これによりますと、昭和二十四年が一番納税者……税金の高いときでございましたが、所得税の納税者が、源泉と申告と、これは算術平均で若干重複がございますが、その点御了解願いたいと思います。算術的に合計いたしますと、千九百十一万九千人でございましたのが、今年は千百九十三万、約千二百万程度になるものと見ております。表にもあります通り農業所得者が一番控除引上げによりまして納税人員に減少を来たしておるわけでございます。  それから次は法人税でございますが、法人税は大体昨年の九月、つまり昭和二十六年の九月以前一ヵ年に終つた事業年度、昨年の九月と申しますと、一般に二十六年の上期と申しておりますが、それ以前一ヵ年の実績を基にいたしまして、それに対しまして、生産物価所得率の変動等を見込んで、所得の伸びを見て、それによつて計算いたしております。結果から申しますと、今申しましたものに対しまして八・四%の増を見込んでおりますが、昨年九月以前一カ年でございますので、そのうちの最初の部分はまだ利益率が低い時代の実績が中に入つておりまして、従いまして昨年の九月決算だけをとりますと、殆んど増加を見ていないということに相成るかと思いますが、そういうような方法で算定いたしたわけでございます。あとは前回の税率引上げで三百八億増收になりますが、なお課税標準の計算特例等を講じましたので、百十七億減りまして、純増百九十一億の増收ということになつております次第でございます。なお最近の法人の収益と、社内留保の状況等につきましても、これは別に資料を表でお配りいたしておきましたので、それを御覧願いたいと思うのであります。全体の会社の留保利益、償却とか、損金に算入します準備金を入れますと、二十六年の約三千五百九十二億が本年は三千七百七億程度になるものと見ております。勿論これは予算を基にしまして、予算基礎になりました数字を基にしまして、利益なり、或いは留保の状況等を推定いたしたものでございます。  それからその他諸税につきましては詳細に説明をすることを省略いたしますが、ただ酒の税だけが大分増收になつておりますので、この点だけちよつと申上げておきたいと思いますが、酒の原料につきまして、前年は米が六十万石でございましたのが、本年は七十四万石を増加いたしました。それからビールに使います麦につきましても、前年三十五万石でございましたのが、本年は四十四万石程度見込んでおります。その他甘藷等の原料を適当に見込みまして、それに基いて生産見込石数を算定し、それで来年度の蔵出見込を計算いたしました次第でございます。大体二十六年度補正予算では、酒類全体で四百三十一万三千石の蔵出を見ておりますが、来年度は四百八十九万二千石を見込んでおる次第でございます。で、二十六年の補正予算では四百三十一万三千石を見込んでおりまするが、昨年の暮から正月にかけて、大分成績がよくて、若干上廻るのではないかと見ておりますが、大体まあ約四百九十万石の来年は一応の酒類の蔵出を見込んでおるということでございます。その他の点につきましては一々説明を省略しまして、資料によつて御覧願いたいと存じます。  なお直接税、間接税の比率は、もうこの表にうしろにくつ付けておきましたが、大体直接税が五八・二%間接税が四〇・二%、その他が一・六%くらいになるようでございます。戦時中に比べますとまだ直接税が相当増加いたしております。殊に最近直接税の比率が殖えましたのは、法人税の收入が相当激増した結果でございます。  それから税金の総額は、今年はどうも総体では一兆を超えることになりそうでございます。で、国税で税金と印紙收入を加えまして六千三百八十一億、それから専売益金が約千二百五億、地方税が若干、最終的にまだ固まりませんが、三千九百二十億円程度になるだろうと思います。そうしますと国税、地方税を通じまして国民の総負担が一兆五百六億円程度になる。で国民一人当りにしますと一万二千四百円程度の一人当りの税の負担になりそうでございます。尤も国民一人に対する税の比率は、これもすでに御承知通り、二十四年が最高で、二五・五%でございましたが、その後少し下りまして、二十六年度が二〇%、二十七年も二〇%を少し超える程度ではないかと考える次第でございます。  大体以上で御説明を終ります。一応そのくらいにいたしておきます。
  12. 石田正

    政府委員(石田正君) 理財局関係の事項につきまして若干補足的に御説明申上げたいと存じます。お手許に資料を出してあるかと思うのでありますが、先ず国庫收支の点について申上げます。  国庫收支は御承知通りに、国庫内だけの切替えだけにとどまりまするところの部分と、それから日本銀行との間に行われまする部分と、それから民間との間に行われまする部分とあるわけでございますが、最も重要と考えられまするものが、この民間との間の国庫收支でございます。昭和二十七年度予算案が実行されました場合に、どういうふうな国庫が民間に対して收支と相成るかという予測の点につきましては、一般会計におきましては、民間から上げまするものが七千六百七十二億円、これに対しまして撒布になりまするものが六千九百五十五億円、差引いたしまして七百十七億円の引揚超過と相成ろうかと存ずるのであります。これに対しまして特別会計の方面におきましては、資金運用部におきまして放出超過が六百十二億円、それからそのほかの特別会計を合せまして百五億円の撒布超過と相成ります。この一般会計特別会計全体とを併せて考えまするならば、大体收支は均衡し得るのではないかというふうに考えておる次第でございます。  それから次に差上げました資料の国際收支の点でございますが、終戦後我が国の国際收支は、米国の援助がございません場合、昭和二十五年度まで、即ち昨年度まではいずれも支払超過の傾向が強かつたのでございます。これを年度別に申上げますると、昭和二十年乃至二十一年度におきましては、支払超過は、アメリカの援助がなかつた場合におきましては一億八千六百万ドル、アメリカの援助がありましたので結局逆に六百万ドルの受取超過に相成つたわけでございます。昭和二十二年度におきましては、アメリカの援助がなかつた場合は四億九千七百万ドルの支払超過でございました。アメリカの援助がございましてもやはり二千五十万ドルの赤字であつたわけであります。三十三年度は、アメリカの援助がございません場合におきましては三億八千六百四十万ドルの赤字でございますが、援助の結果といたしまして八十七百四十万ドルという受取超過に相成つたわけであります。三十四年度につきましては、援助がなかつた場合は三億四千四百十万ドルの赤字でございますが、援助がございましたために一億五千万ドルをちよつと上廻りますところの受取超過と相成つたわけでございます。この結果二十四年度末におきまするところの外貨ポジシヨンは一億八千四百万ドルちよつと上の外貨を保有するということに相成つたわけであります。これまでに申上げました数字は日本側に資料がございませんので、專ら司令部に頼るような状況でございました。昭和二十五年度から日本側におきましてもその外貨收支の状況を捕まえることができるように相成つたのでございます。この二十五年度におきましては、受取超過は一億九千二百五十六万ドルの受取超過に相成つております。併し援助がありません場合におきましては二千九百万ドル程度の赤字ということに相成つたのでございます。本年度におきましては、この十二月までの数字におきまして、三億八千九百万ドルの受取超過と相成つたのであります。御承知のように対日援助がすでに打切られたわけでございまして、本年度中に受けましたところの対日援助が仮になかつたといたしましても、一億六千七百万ドルというような受取超過を示しておるのであります。外貨のポジシヨンは十二月末におきまして九億一千四百万ドルに相成つておるわけでございます。昭和二十七年度外貨收支の見通しでございますが、これは先ほど主計局長から数字を申されましたので一応省略さして頂きたいと存じます。  なお最後に見返資金状況について申上げます。見返資金は御承知通り昭和二十四年度から開始せられたのでありますが、昭和二十四年度におきましては、收入が千二百九十三億円ございました。これに対しまして支出のほうにおきましては千百四十億円の支出でございましたので、結局昭和二十四年度といたしましては百五十二億円の引揚超過ということに相成つたのであります。なおこの支出の千百四十億円の中には復金債の償還、国債の買入れ等の六百二十四億円を含んでおるのであります。この六百二十四億円というものを仮に除外いたしまして、收入と支出を比較いたしますると、実に五百十六億円というところの收入超過に相成つたわけであります。それから昭和二十五年度につきましては千六百二十九億円の收入に対しまして支出は七百九十九億円でございました。従いましてその差額は八百三十億円と相成るわけであります。これだけ資金を余計揚げたということに相成るのであります。昭和二十五年度に先ほど申しました資金の残百五十二億円と合計いたしますると、昭和二十五年度末におきましては実に九百八十二億円という預金を持つておつたわけであります。昭和二十六年になりましてこの状況が変つて参りまして、收入は五百六十億円でございまするが、これに対しまして支出は千二百七十七億円ということに相成つたのでございます。それでこの千二百七十七億円から五百六十億円を引きますると、その数字は七百十七億円と相成るわけでございます。なおこの千二百七十七億円の中には、実は国債に対しまして資金を運用した面があるのでございまして、それは四百九十四億と相成つております。従いましてこの千二百七十七億円から四百九十四億円を引きますれば、実際に支出いたしましたのは七百八十三億円でございます。これに対しまして收入は先ほど申しました五百六十億円でございまするので、その差引は二百二十三億円と相成る、これが実際の支出超過というふうに見られると存ずるのであります。なお昭和二十七年度予算につきましては、お手許に数字が上げてある次第でございますが、これは收入はもう新らしい物資輸入はによるところの收入は見込まれませんで、結局従来の運用いたしました資金の回收、元利金の回收だけが見込まれるのであります。その金額は百三十五億円と予定いたされております。これに対しまして支出のほうは六百億円でございまするので、これを差引きまするならば二十七年度予算案におきましては見返資金では四百六十五億円の支出超過をいたそうというわけでございます。この資金といたしましては先ほど申しました四百九十四億円の国債を現金化いたしまして三百億円を充当する。かように考えておる次第でございます。なおこの予算通り実行いたしました結果といたしましては、昭和二十八年度に持込されますところの見返資金  の資金と申しますか、これは二十七年度予算におきまする翌年度への繰越一百億円と、それから四百九十四億円のうち三百億円を引きまして百九十四億円、これを加えました二百九十四億円、かように相成る計算でございます。  甚だ簡單でございますが、以上で御説明を終ります。
  13. 河野通一

    政府委員河野通一君) では私から予算の問題に関連いたしまして金融の問題について概略を御説明申上げたいと思います。数字上の資料につきましてはお手許に資料をお配り申上げておるはずでございますので御覧を願いたいと思うのです。  通貨の状況は昨年の末におきまして発行高五千六十三億、一昨年の末が四千二百二十億でありましたが、約八百億の増発ということに相成つております。二十七年、本年の三月末、二十六年度末におきまする通貨の状況は、目下のところでは大体四千六百億前後ではないかというふうに予想いたしております。通貨の発行の裏はらになつております日本銀行の貸出の状況でありますが、三十六年の末におきまして二千二百三十億であります。このほかにいわゆる外為貸付と申しますか、日本銀行のユーザンス制度によりまする貸付が千三百八十億ございます。二十五年度末におきましては、一般の日銀貸出が千百四十五億、外為貸付が千五百四十五億、こういう数字に相成つておるわけであります。最近の通貨発行の状況は、一月初め以来相当順調なる回收を見ております。最近は大体四千三、四百億程度の通貨の発行の状況であります。今後年度末にかけましての金融の問題につきましては、新聞紙上等に出ておりますように、昨年来いろいろ問題になつておりました商社の関係の金融の問題、特にこれは繊維関係中心になつておりますが、これらの問題がございます。又中小金融に対する逼迫の問題等につきましても、いろいろ問題がございます。これらの点につきましては、それぞれ個々別々に事態の推移を見まして必要なる金融措置を講じて参りたい。特に中小金融等につきましては、政府の指定預金の制度の活用によりまして、当面金融の梗塞をできるだけ緩和して行くように具体的な措置を講じて参りたい。かように考えておる次第であります。いずれにいたしましても、金融の面から経済全体に大きな混乱を起すことのないように極力善処して参りたい、かように考えておる次第であります。  当面の金融施策と申しますか、金融政策の基調について一言申上げて見たいと思うのであります。これは従来から私どものとつてつておりまする方針を更に強力に推進して参るということに盡きると思うのであります。第一は、いわゆる資本の善積を更に促進して参るということであります。これがため先ほど主税局長からも一応説明があつたのでありますが、資本の蓄積を促進いたしまするために、税制上の各般の点においての措置をして参るということで、必要なる税法上の改正が提案せられておるわけであります。法律の問題と直接関係がございません点をも含めて一応羅列的に申上げて見ます。先ず第一は、いわゆる無記名定期預金の実施であります。これは数年前まで実施をいたして参つたのでありますが、シヤウプ氏の勧告以来、一時これを停止いたしておつたのであります。去る二月十一日からこれを再び実施をいたすことになりました。これによりまして資本の蓄積に寄與するところは極めて大きいことを期待いたしておる次第であります。なお国民貯蓄組合の預金の非課税の限度を、現在三万円でありますが、これを十万円まで引上げたいと考えております。必要なる法律案の提出をいたしたいと考えております。又これと裏はらをなしまする郵便貯金につきましても、預入限度の引上げを、現行三万円までを十万円までに引上げる、及びこれと併せて郵便貯金の預入利率を相当程度大幅に引上げて参りたい、かように考えております。又政府において発行いたしまする特別の債券といたしまして、名称はまだはつきりきめておりませんが、国民貯蓄債券といつた種類の債券の発行を考えております。これによりまして、できるだけ零細なる貯蓄の吸收に寄與したいと考えておる次第であります。この制度は、資金運用部においてこれを発行いたしまして、資金運用部資金として、これを電源開発その他最も緊要なる経済建設のための資金に充当いたして参りたい、かように考えておる次第であります。この債券の発行につきましても、所要法律案をこの国会に御提案申上げたい、かように考えておる次第であります。  なお税の関係からは、先ほど主税局長からもお話し申上げました通り、生命保険料の所得税からの控除の額を現行二千円から四千円まで引上げる。又死亡保険金の相続税法上の非課税の限度を、現在一人十万円から二十万円まで引上げる。それに必要なる法的措置を講じて参りたいと考えておる次第であります。なお法律には直接関係ございませんが、例えば貸倒準備金の限度を相当緩和をいたしますとか、或いは預貯金たつきましては預貯金の利子の調書の提出限度を、従来千円でありましたものを五千円に引上げますとか、いろいろな形で企業、金融機関、個人の資本の蓄積にできるだけ寄與いたしますように税法上の取扱が緩和されて参ることになつており、又すでにそのうちの相当部分は実施いたしておる次第であります。なお又、今後におきまして資本の蓄積が極めて重要であります点に鑑みまして、私どもといたしましては、できるだけ大きな蓄積の促進のための運動を起して頂きたい。これらのためにいろいろな形におきましてお願いを申上げて参りたいと考えておる次第であります。  第二は、資本の蓄積を促進いたしますと裏はらになりまして、蓄積された資本は、それでもなお且つ決して十分とは申し得ないのでありまするから、これを最も有効に、効率的と申しますか、有効に使用をして行くという点であります。これがためには昨年来実施して参りましたように、いわゆる不要不急の資金金融機関からの融資を抑制いたして参り、特に設備資金等につきましては極力、最も国が必要といたしまする緊要な産業への設備資金に限つて参る。この方針を更に促進して参りたいと考えておる次第であります。なお日本銀行の割引政策、金利政策を通じまして、できるだけ不要な資金を抑え、必要な資金確保につきましては更に一段の努力をいたして参りたいと考えておる次第であります。今申上げましたように、できるだけ不要不急の資金を抑え、資本の効率的な使用を確保いたしますために、その一環といたしまして、特に足りません長期の資金確保のために、財政資金と申しますか、或いは政府資金と申しますか、これらの資金をできるだけ投資として活用して参ることを配慮いたしておる次第であります。この内訳につきましては、先ほど大蔵大臣からも説明がありました通り、来年度といたしまして約千二百億円を予定いたしておるのであります。そのうち、直接金融機関関係ありますものにつきましては、お手許にございます昭和二十七年度予算説明の二頁に載つておると思いますが、概略を申上げますと、先ず開発銀行に対して政府の出資として百三十億円、見返資金から四十億円、計百七十億円を投資いたす。輸出銀行に対しては政府一般会計から支出四十億円、見返資金から三十億円、合計七十億円を出資いたす。又輸出信用保険制度の拡充につきましても、できるだけこれが運用について政府のバツクを更に強化いたすということに相成つておるのであります。  なお中小企業の関係につきましては、国民金融公庫に対して政府の出資三十億円に加えて、資金運用部からの借入金二十億円を出すことになつております。住宅金融公庫につきましては、政府の出資五十億円に対し、資金運用部からの百億円の貸付をいたすことに相成つておる次第であります。長期資金確保につきまして、更に農林漁業資金といたしましては、この特別会計に対して、一般会計から六十億円、資金運用部から百十億円を貸付けることに相成つておる次第であります。今申上げました政府資金と申しますか、国家の資金の導入の問題と併せまして、一般の民間金融における長期投資を更に促進いたしますために、現在私どもといたしましては、投資銀行法といつた特別の銀行法の制定を考慮いたしております。投資銀行法と言いますと、非常にアメリカの、いわゆるインベスト・バンク・アクトといつたようなものと間違えられるところもありまして、名称といたしましては必ずしも適当ではございません。他に適当な名称があれば変えて参りたいと思いますが、この法案につきましては、現在大蔵省に設けられておりまする臨時金融制度懇談会におきましても御審議をお願いいたしておるわけであります。御審議の結論を得られましたところで、必要な法律案を国会に提案を申上げたいと、かように考えておる次第であります。  この機会に、資金運用部資金運用計画について申上げておきたいと思いますが、これはお手許にございます予算説明書の二十四頁に詳しく載つておりますので、数字的にはここで重複を避けて省略さして頂きたいと思います。来年度につきましては、資金運用部から金融債を引受ける予定が実はないのであります。現在のところ、運用計画に載つておりませんが、今後における金融情勢等を見まして、できるだけ何らかの形で資金運用部で金融債の運用を図つて参りたいという所存でおる次第であります。  次に第三点は金融制度整備の問題であります。平和條約の発効を真近に控えまして、対外的にも、対内的にも、いろいろな意味で態勢を整えて参ることが必要になつておる際、殊に金融制度等につきましては、これを機会に相当根本的な態勢の整備を図つて参ることが必要であろうと考えておるのであります。今までに申上げました事柄以外の点について若干申上げてみたいと思います。一つは銀行法の改正であります。又それに関連いたしまして、金利調整法並びに日本銀行法の一部を改正する等の問題があるわけであります。これらの点も先ほど申上げました金融制度懇談会においていろいろ御審議をお願いいたしておるわけであります。まだ結論に到達いたしておらんわけでありますが、御審議の結果に鑑みまして、必要な法的措置を講じて参りたい、かように考えておる次第であります。  次は輸出銀行法及び開発銀行法の改正であります。輸出銀行法の改正は、要点を申上げますと、一つは、現在いわゆるプラント輸出のための金融を中心として活動をしておるわけでありますが、これに加えまして、或る種の、と申しますのは、相当長い期間を要するような輸入金融、殊に前払いが起つて参りますような輸入金額の面についても、この銀行法の改正を期待することが適当であろうという点で、輸出のみならず輸入についての金融をも取扱わせて参りたい。名称も従いまして輸出銀行から輸出入銀行に改めて参りたいと考えております。それが第一点であります。次は外資導入その他に関連いたしまして、この銀行が債務の保証ができるようにいたして参りたい。又資金面を充実いたしますために、政府からの借入金ができるようにいたしたい。現在は御承知のように出資だけによつてつておるのでありますが、借入金もできるようにいたして参りたい。かように考えておるのであります。開発銀行につきましては、第一点は、今輸出銀行について申し上げましたと同じように、債務の保証ができるようにいたして参りたい点と、借入金ができるようにして参りたいという点が第一点。その次は、現在政府資金の長期の投資の機構として、見返資金制度があるわけでありますが、この見返資金がだんだん先細りになつて参ることと関連いたしまして、政府の投資機関としての開発銀行のあり方について、見返資金との関連において、或る程度調整を加えて行く点を法律上規定いたしたらどうか、かように考えておるのが第二点であります。そのほか輸出銀行、開発銀行と通じまして、両銀行の特殊性からいたしまして、納付金の制度を新たに設けて参りたい、かように考えておる次第であります。両銀行法の改正の要点は、以上申し上げましたような点であります。  次に国民金融公庫法等の改正につきましては、先ほど申し上げました出資の増加その他に関連いたしまして、若干の法律改正を要する点がございますが、大きな問題でございませんので、省略させて頂きたいと存じます。  次は信用保証協会の問題であります。信用保証協会と言いますのは、御承知通り現在各府県に民法上の法人としてできておるわけでありますが、これをその信用を充実し、併せてその活動を更に活発化いたしますために、これに法的根拠を與える意味におきまして、特別の法案が提出される予定であります。以上が大体金融関係の法案といたしまして、この国会に提案が予定され、或いは問題になつておる主なる点であります。  なお最近の問題といたしまして、長期の金融機構に関連いたしまして、為替銀行の整備等の問題がいろいろ論議されております。目下これらの点につきましては、最近の内外の情勢に即応いたしまして、為替銀行の育成、整備の問題についてもいろいろ検討を加えておる次第であります。機構自体の問題ではなくして、現在のところでは、第一といたしましては、為替銀行に対して或る程度外貨を自分で保有するような途を開いて参りたい。これによつて為替銀行の育成と申しますか、自立性を促進して参りたい、かように考えておる点が第一点であります。それから第二点といたしましては、ポンドの対策とも関連いたしまして、外貨の貸付制度、為替銀行に対する外貨の貸付制度を近く実施される予定であります。そのほかプラント輸出等に関連いたしまして、長い金融のための為替の換算率の変更等の場合におきまする適当なる政府補償制度、こういつた特別の法律がこの国会にも提案せられる予定になつております。これらの面から、為替銀行が、今後の国際情勢に対応いたしまして、極力その活動を充実し、更に円滑に進んで参りますための所要措置を講じて参りたい、かように考えておる次第であります。  以上甚だ順序もなく申上げて恐縮でございましたが、私の説明を終ります。
  14. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 何か説明の点或いは資料の点で御注文なり何かあれば……。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと河野さんにお伺いいたします交付公債のことですが、そのことをちよつと説明して下さいませんか。それは全然触れられなかつたのですが、八百二十九億、例の旧軍人遺家族交付公債ですね。まあその金額が伝えられるところでは八百二十九億ですか、あれがどういうものか、予算との関連についてちよつと説明して下さい。
  16. 河野通一

    政府委員河野通一君) 交付公債八百八十三億程度に相成るかと思いますが、一時金としまして公債で以てこれを交付する。この公債は大体利子は五分五厘、一年据置きまして十年で償還旧する。後九年間九分の一ずつ償還いたすものによりまして生活保護なんかの非常に貧窮せる世帯におきましては五年ぐらいで償還するということも必要ではないか。そういうことを考えております。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この処分関係はどうなんですか。これは処分がすぐできるかどうかということと、それからこれを担保にしてどこかで金を借りられるかどうか。
  18. 河野通一

    政府委員河野通一君) この問題はいろいろ検討しておるのでありますが、やはり特殊の公債でありまして、融通性を余り認めないほうがいいのじやないだろうか。従つて條件も特殊に、毎年均等に償還して行く。普通の公債でありますれば十年の後に一時に返すのでありますが、それを毎年償還して行く。そのことによつておつしやつたような目的を相当達成し得るのじやないかということで、担保その他の問題については原則的に否定的な考えであります。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから平田さんにちよつとお聞きしたいのですが……。
  20. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 平田君は大蔵委員会に呼ばれていていないのですが。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは石田局長にお伺いいたします。最近の外貨ポジシヨンがおわかりでしたら、ポンドとドルとオープン・アカウントと分けまして、ちよつとお伺いしたいのですが。
  22. 石田正

    政府委員(石田正君) 一月末の数字につきまして、大体の大まかな数字を申上げたいと思います。大体ドルにつきましては、六億ドル見当と思つております。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 一月末ですか。
  24. 石田正

    政府委員(石田正君) 本年の一月末でございます。それからポンドにつきましては八千二百万ポンド、それからオープン勘定全体を通じまして、いわゆる集計いたしました黒字の分でございますが、これが一億一千八百万ドル、こういうふうになつております。なおこれは御承知通りにポンド等につきましては、日本のほうの店にありまする勘定は、いわゆるシヤドー・アカウントと申しております。本勘定はロンドンにあるのであります。従いましてこちらの勘定と向うの勘定が合わないことがありますので、多少の入りくりはあるかと思いますが、大体その見当ではないかと思います。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それからもう一つ見返資金での、見返資金勘定での国債の処分、さつきお話になりました国旗処分、手持しているこの国債の処分はどこに行くのか。それが一つと、もう一つ、最近のインベントリーの状況です。インベントリー・フアイナンスの。
  26. 石田正

    政府委員(石田正君) 前段の問題につきましては運用部資金予定いたしておるわけであります。
  27. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 運用部が買うわけですか。
  28. 石田正

    政府委員(石田正君) それからあとのお話は、インベントリーというのは何のインベントリーでございましようか。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 外為です。
  30. 石田正

    政府委員(石田正君) 外為のインベントリーは、御承知通りに二十六年度予算におきまして八百億のインベントリーをするということになつております。このインベントリーは全部外為のほうに入つております。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最近の使い方ですね、八百億に、それから平和関係の二百億使うことになつておりますね。それだけで外貨ポジシヨンを見ますと、非常に大きくなつている。外貨ポジシヨンはどうなつているか。インベントリーは足りたかどうか、それをちよつとお伺いしたい。
  32. 石田正

    政府委員(石田正君) 八百億のインベントリーはいたしております。併し二百億のほうの関係はまだ入つておりません。
  33. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 皆さんに御了承を願いたいと思うのですが、明日は十五日にやる予定でありました二十七年度日本経済の見通しと、電力について関係当局の説明を聞くことになつております。それからあと外為特別会計はずつと順ぐりに日にちを遅らして予備審査をすることに今日理事会で決定いたしましたので、さよう御了承を願います。
  34. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 例の軍需会社のこと、ちよつと報告して下さい。
  35. 和田博雄

    委員長和田博雄君) あれは今日実は見に行く予定になつておつたわけでありますが、まだ返事が……一度横浜のほうに行つて、それから又こちらの総司令部のほうに帰つて来て、しつかりした返事がないので、今日の理事会ではもう一度両方に交渉してはつきりしたところを、断るならどういう理由で断るかはつきりさせようということになりまして、これは外務省のほうで毎日々々こちらの事務当局が連絡をとつてくれておりますが、委員長からも一度当局に交渉するということにきめましたから、さよう御承知願います。
  36. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最後に河野さんに一つお伺いしたい。さつき資金運用部で三百億の金融債は成るべく運用したい、こういうお話がありましたね、そうなんですか。これは見返資金のほうで四百五十億支払超過になるので、資金運用部では三百億の金融債券、これは引受けない。引揚超過にして、バランスをとるというように伝えられていたのですが、この三百億、やはり二十七年度は金融債で引受けることになるのですか。
  37. 河野通一

    政府委員河野通一君) お答え申します。金融債につきましては、今お手許に差上げておりますようなことが一応運用計画になつております。今後の金融情勢を見まして、必要がある場合には適当な方法を講じたい。三百億の金融債を引受けるかどうかという問題につきましては、そのときの情勢次第によつて考えて行く、かように考えております。
  38. 和田博雄

    委員長和田博雄君) それから最後に御報告申上げて御了承を願つておきたいと思いますが、今朝の理事会で、主食の統制撤廃、殊に麦の問題につきまして、その金繰りその他の点について緑風会のほうから特別の質問を本委員会でしたい。で、関係当局の出席を要求し参つたので、理事会ではよかろうということになりまして、明日やる予定でございましたが、都合によつて明後日に延ばします。そのついでに今日ここから波多野委員から労務加配についてそのとき同時に質問したいということですから、これは一つ御了承願いたい。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十九分散会