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1952-05-12 第13回国会 参議院 郵政委員会 第7号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十七年五月十二日(月曜日) 午前十時四十一分
開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
岩崎正三郎
君 理事
中川
幸平
君
柏木
庫治
君
委員
石坂
豊一
君 城
義臣
君
和田
博雄
君
駒井
藤平
君
国務大臣
郵 政 大 臣
電気通信大臣
佐藤
榮作
君
政府委員
郵政省簡易保險
局長
白根
玉喜
君
事務局側
常任委員会專門
員
勝矢
和三君
—————————————
本日の
会議
に付した事件 ○
簡易生命保險法
の一部を改正する法
律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
連合委員会開会
の件
—————————————
岩崎正三郎
1
○
委員
(
岩崎正三郎
君) それでは
会議
を開きます。先ず公報に所載のごとく
簡易生命保險法
の一部を改正する
法律案
について御
審議
を願います。すでに
予備審査
において、又この前の会合におきましてもいろいろ御
審議
を願いましたが、更に御質問なり、又
政府
のほうで附け加えたいことがあ
つた
らば御
説明
を願いたいと思います。特別に御質問ございませんか。
和田博雄
2
○
和田博雄
君
ちよ
つと私質問したいが、技術的なことだが、八万円にしたのは何か根拠があるのかね、八万円はどういう
理由
で八万円に……。
佐藤榮作
3
○
国務大臣
(
佐藤榮作
君) いろいろ
金額
を幾らにするかということが一番
議論
になるところで、
物価指数
その他から見ると八万円は低いということだと思います。ところがその
政府資金
と
民間資金
の
経済界
で使われている
分野等
を考えてみると、
民間資金
ができるだけ
吸収
が容易であることがこの際は望ましいのじやないか。将来の問題は別といたしまして、現在の
金融情勢等
から見ると、或る
程度民間
の
資金
の
吸収状況
を勘案する要があるだろう。そこで
民間保險業者
の無
審査保險
の平均がどのくらいにな
つて
おるかということを検討してみると七万二千円くらいにな
つて
おります。これには
余り圧迫
を加えない
方法
で考えようというので、七万又は八万というようなところで、
一つ
きめたんです。
民間保險
のことを考えるだけなら或いは現状のままにしたらどうかという
議論
もあるかと思うのだが、
簡易保險
の
事業
の内容を見ると或る
程度
の
限度引上げ
は当然
事業運営上
も必要が痛感されておるので、この際取りあえずなし得るものとして先ず八万にした、勿論この
限度自身
は、そのときの
経済情勢
に即応し、同時に
簡易生命保險
の目的その使命というものと併して考えなければならないので、我々としてはこの際は一応八万円とするが、将来又
経済界
の
事情等
も勘案して適当に
引上げ
ることを考えるべきだとかように考えておるわけです。
和田博雄
4
○
和田博雄
君 それからもう
一つ
聞いておきたいのですが、この間の本
会議
でこの
資金
の
運営
についての所管替の
決議
がありましたが、
大臣
はこれが
郵政省
に帰
つて
来た場合にどういう
方向
に主として
資金
の
運用
をやるのか、大体の構想があれば
一つ
それをお聞きしておきたい。
佐藤榮作
5
○
国務大臣
(
佐藤榮作
君) 御
承知
のように
簡易生命保險
の
積立金
並びに
郵便年金
の
積立金
というものは
事業経営者
、
組合加入者
の利益のためにこれを
運用
して行くというのが本来だと思うのです。その
意味
から見るとこれが
財政資金
に使われるとかいうことは
一つ
の変態的な問題のように思うわけです。で、恐らく
和田
さん御
承知
だと思いますが、そういうような
観点
に立つものですから、両制度が
運営
されたときには
大蔵省
の
金融財政資金
とは全然別個に
運用
されて行くと、まあどこまでも信用が確実であり、而も利潤を上げるという
方向
で
運用
されてお
つた
わけですが、太平洋戦争というか、前戦争の際に
財政
上
相当
の困難さもあ
つた
ようで、
郵政省
のこの
運用権
を
大蔵省
へ取上げたわけです。その際は大体
在来
から
逓信省
でや
つて
お
つた仕事
の建前はそのまま残し、大
部分
が
大蔵省
で一元的に
運用
されるという形にな
つた
わけです。まあ
資金
的に見て大体四割
程度
が
郵政省
に
残つて
お
つた
かと思います。そのまま
終戰後
も引続いてや
つて
お
つた
わけですが、総
司令部
から
インフレ対策
が主であ
つた
と思うが、
資金運用
を二途にすることはよくないから、この際一遂にしろということで
資金
の
運用
を
大蔵省
に一元化したのです。で、
大蔵省
の
計画
がそのまま一元的に遂行されておる。現在なおそれに引続きまして、殊に昨年
資金運用部資金運用法
を制定するに当
つて
もこの点がマーカツト・レターの結果によ
つて
運営
されるということにな
つて
おるわけです。そこでだんだん
経済情勢
が正常に復して来るならば、そういう際に本来の
運用方法
に復元するのが当然だと思う。そこで
国会等
の御
決議等
もあれで丁度三回になるのです。今度、
郵政省
としては多年の懸案でありますし、そこで今回
両院
の
決議
が三回も重ねられたのですから、
政府
としては是非ともその趣旨に副
つた処置
をとるつもりで、そこで
郵政省
としては
法案
を用意して、すでに閣議の
審議
を
只今
受けておるわけです。併し現在受けるところのものは、非常に
財政金融状態
が正常だとは言いかねますから、そこで前戰時中にや
つて
いた
程度
のものに先ずしようと、その辺を
狙つて
実は
法案
を考えておるわけです。その
方法
によれば、やはり
資金運用計画
はどこまでも
大蔵省
と言うか、
政府
が一元的にこれを立てて行く。その
範囲
内において、
簡易生命保險並びに郵便年金
の
積立金
の
範囲
において実際の
実務
を
郵政省
がと
つて
行こう。
従つて
この
運用
する部面も、
組合員
に対する
貸付
はこれはもう当然のことですから、従前
通り
やりますが、
地方起債
の
公共団体
に対する
起債
をやはり引受けて行く。で、御
承知
のように今年は六百五十億の枠があるわけですから、その六百五十億の
起債
の枠の中でこの
積立金
として一応考えられるものが二百五十億ぐらいになります。その
範囲
を
郵政省
で
実務
を担当して行こう。
従つて
実際の処理としては、
在来地方自治庁
と言いますか、
財政委員会
が
地財委
と
大蔵省
との間で話合いを進めて
起債
の
実務
をと
つて
いるものに今後は
郵政省
が加わ
つて
行く、こういうことになるわけです。先ずその
範囲
でや
つて
、国の
計画
を乱さないというか、現在一元的に
運用
しているところの
予算
はあるわけですし、一応その線は立てて行きたい。併しながら将来本来の
資金
としては
財政資金
にうんと使われることはいろいろ
議論
の存するところだと思うので、本筋に私は返えしたい、かように考えております。
和田博雄
6
○
和田博雄
君 これは今の
お話
だと結局
社会保險
の金ですが、昔はかなり
地方関係
についてはやかましく
言つた
ですね。
佐藤榮作
7
○
国務大臣
(
佐藤榮作
君) さようでございます。
和田博雄
8
○
和田博雄
君 今の
お話
だと
地方還元
の原則は依然としてやはり捨てはせずに持
つて
行くのだがそいつは
地方起債
の形で表現されるということですね。
佐藤榮作
9
○
国務大臣
(
佐藤榮作
君) さようでございます。
和田博雄
10
○
和田博雄
君 そうするとこういうような金はほかの
産業
の
方面
の
長期資金
ですが、これは自作農に金を貸していたとか、そうい
つた
ような
一つ
の長期的な
産業資金
に振向けたりすることは、これは一般の
資金計画
をやるほうに任してしま
つて
、
郵政省
としては特別に介入はしないと、こういうふうに一応理解してよろしいのですか。
佐藤榮作
11
○
国務大臣
(
佐藤榮作
君) ところが今
地方公共団体
への
貸付
ですが、
地方公共団体
というものの中には今言われるようなものもあるわけですが、併しながら実際の
運用
としては一応の途は開かれるけれども、今直ちにその
方面
に
廻わる
のは
ちよ
つとむずかしい。
和田博雄
12
○
和田博雄
君 それからもう
一つ
お聞きしたいのですが、これは八万円にな
つて契約高
がどの
程度
に殖える見込ないのですか。
白根玉喜
13
○
政府委員
(
白根玉喜
君) 実は八万円
程度
でやりますと、
先年度
は二百七〇億の
予算
があ
つて
本
年度
は三百七十億の
予算
の枠を立てております。その
程度
までは是非やりたい、かように考えております。
岩崎正三郎
14
○
委員長
(
岩崎正三郎
君) 他にお
質疑
がなければ
質疑
はこれで打切りまして……。
和田博雄
15
○
和田博雄
君
質疑打切
の前に
一言大臣
にお伺いしたいのは、今の主管の問題ですが、
法律
はこの
国会
に出ますか。
佐藤榮作
16
○
国務大臣
(
佐藤榮作
君) この
国会
に出すつもりで
只今準備
をしております。殊に
衆参両院共
三回も
決議
をなさ
つた
のですから、
政府
としても急速にこれを
法律
化する義務があると思います。
岩崎正三郎
17
○
委員長
(
岩崎正三郎
君) 他にお
質疑
はございませんか……。
質疑
がもうないようでございますから、それではこれより
討論
に移りたいと思います。
討論
のおありの方は賛否を明らかにして述べて頂きたいと思います。
なほ修正意見
がございましたら
討論
中にお述べを願います。
城義臣
18
○
城義臣
君 この
簡易生命保險法
の一部を改正する
法律案
に対しましては、本院として愼重に
審議
して参りましたが、その間
相当時日
も経過いたしましたので、
施行期日
の点について
修正
の動議を提出いたしたいと思います。即ち
簡易生命保險法
の一部を改正する
法律案
の一部を次のように
修正
する。
附則
第一項中、
昭和
二十七年五月一日を、
昭和
二十七年六月一日に、
昭和
二十七年六月一日を
昭和
二十七年七月一日に改める。
理由
はもう申上げるまでもないのでありまするが、この
法律案
の
附則
第一項の
施行期日
を、
衆議院
におきましては五月一日及び六月一日と
修正
いたしたのでありますが、すでに五月一日は経過いたしておりますので、これを六月一日及び七月一日に
修正
する必要がある、こういうのであります。以上
修正文
並びにその
理由
を申上げました。 なおこの際に一言申上げたいのは、今の八万円の
金額
の問題でありますがこれはもう
審議
の過程において我が党におきましても八万円が決して妥当だとは考えない。即ち
衆議院
に対しては当
委員会
としては最低十万円以上というすでに
委員長
を通じて申入れをや
つて
おるという
経過等
から考えましてもいわゆる
諸般
の
情勢
で一応我々はこの八万円という
政府原案
に
賛成
いたしておりますが、
大臣
からもしばしば御
言明
になりましたように、近い将来に適当な
引上げ
を期待いたしまして
賛成
しておる次第であります。
従つて政府
におかれましては速かにそういう
措置
を講じて頂きますように要望いたしまして、合せて
賛成
するものであります。
柏木庫治
19
○
柏木庫治
君
原案
及び
只今
の
修正案
に
賛成
をいたします。その
理由
は被
保險者
のほうから申しますと、実際十万円から二十万円が非常に希望でありますので、
社会保障
から考えれば、私は十万円から二十万円の間に持
つて
行くべきだと考えるのであります。又
経済面
から考えて見、
保險業全体
から考えて見ますと、五万円から十五万円くらいに持
つて
行くのが、その幅であると思うのでありますが、
諸般
の
情勢
を考えまして、
原案
である八万円に
賛成
を止むを得ずいたすのであります。だがこれは
社会保障
の
意味
において、近い将来に十万円から十二万円くらいに改めるような時期が必ず来る。けれども今のところ
原案
で進むことが妥当であると思いますので、
原案
に
賛成
いたします。
岩崎正三郎
20
○
委員長
(
岩崎正三郎
君) ほかに御
意見
ございませんか。
駒井藤平
21
○
駒井藤平
君
本案
に対しては
柏木委員
から縷々おつしやられました
通り
に、この
社会情勢
から
言つて
も、十万円乃至十五万円にするというのは妥当である。
柏木委員
のおつしや
つた
通り
に、近い将来においてこれはどうしても十万円乃至十五万円に是正するというふうに願いたい。決して十万、十五万にしても、
民間保險
を圧迫守るというようなことはむしろこれはないと私は確信する。併し
柏木
さんのおつしや
つた
ように、
諸般
の
情勢
から見て今回は
原案
に
賛成
する。私もその
意味
で
原案
に
賛成
するので、必ずしもこの
原案
が妥当と考えない。
諸般
の
情勢
から見て、
柏木委員
のおつしや
つた
ことに同調するわけであります。
原案
に
賛成
し、
修正案
に
賛成
するものであります。 なおこの場合一言附言いたして置きたいのですが、五月八日に当院から
簡易生命保險及び郵便年金積立金
の
運用
の
復元促進
に関する
決議案
、これは先に第十
国会
における本院の
決議
として
簡易保險
、
郵便年金
の
積立金
の
運用
を復元するよう
政府
の
善処方
を要望したにもかかわらず、未だその実現を見ていないことは誠に遺憾である。
政府
は直ちに
運用復元
に関する所要の
措置
を講ずべきである、こういう
決議案
を提出したところ、満場一致で通過したのであります。かるが故に
郵政大臣佐藤
君は登壇して、それについて
善処
するということでありましたが、私どもは
郵政大臣
の
善処
はこれはもう当然な話であるが、
大蔵大臣
にこの
言明
を得たか
つた
のであります。遺憾ながら所用のために出席されなか
つた
のでありまして、これは必ず
委員長
から更に
大蔵大臣
、各
関係方面
に申達されまして、速かに促進されんことを要望するのであります。これは言うまでもなく、
地方資金
の
還元
、これは昔から一番いい
方法
で
地方
に
還元
してお
つた
ものを、それを
大蔵省
に取上げられたというのは甚だ遺憾でありまして、これは
万民周知
の事実であります。でありまするからこの
決議案
の
通り
に速かに
還元
して、
地方財源
の
資金
に投じて頂きたい、これを私は要望をこの際にいたして置くのであります。
郵政大臣
からこれを成るべく早く実現するように御努力を願います。
和田博雄
22
○
和田博雄
君 僕も
修正案
と
原案
に
賛成
です。これは前のかたが二人とも言われましたように、
引上げ
の額についてはこれは私はいろいろの
議論
があろうかと思いますが、殊にこういういわゆる
国民経済
の
資金
が、
民間資金
の
蓄積
と、それからこういういわば
国家形態
の下に
国家資金
の
蓄積
、それが
一つ
、それからそれの
運用
のされ方、そうい
つた
ようなものは、これは非常にいはば
政府
が政策を行う場合においても、たとえ自由党の
政府
でもこれは重要な問題だと私は思うのです。その
意味
で零細な大衆のこの
資金
が
国家
的な
形態
の下に
蓄積
されて、それが本当の
意味
での社会政策的な
方面
に使われ、
経済
の基盤を養なう
方面
に使われて行く、それに対して
国家
が責任を持
つて
全体の
資金運営
との関連においてや
つて
行くということは、これは非常に必要なことだと思うので、
従つて
八万円というのはもう少しこの点が十五万円であるというふうになれば、その
意味
ではなおいいだろうと思いますが、今
大臣
の
説明
では、今のところは止むを得ない、将来必ずもつと殖やすということでありますので、私もそういう
観点
に立
つて
原案
に
賛成
します。
岩崎正三郎
23
○
委員長
(
岩崎正三郎
君) それではほかに御発言がないようでありますので、
討論
は終局したものと認めて御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
岩崎正三郎
24
○
委員長
(
岩崎正三郎
君) それではこれより採決に入ります。
簡易生命保險法
の一部を改正する
法律案
を採決いたします。先ず城君の提出されました
修正案
を議題に供します。城君の
修正案
に
賛成
の諸君の御
挙手
を願います。 〔
賛成者挙手
〕
岩崎正三郎
25
○
委員長
(
岩崎正三郎
君)
全会一致
と認めます。 次に
修正部分
を除いた
原案
全部を問題に供します。御
賛成
のかたの御
挙手
を願います。 〔
賛成者挙手
〕
岩崎正三郎
26
○
委員長
(
岩崎正三郎
君)
全会一致
と認めます。よ
つて本案
は
全会一致
を以て
修正
議決せられました。 なお本
会議
における
委員長
の
口頭報告
は慣例によ
つて
御一任願います。 それから
本案
を可とせられたかたがたの順次御
署名
をお願いいたします。 多数
意見者署名
中川
幸平
柏木
庫治
石坂
豊一
城
義臣
和田
博雄
駒井
藤平
—————————————
岩崎正三郎
27
○
委員長
(
岩崎正三郎
君)
ちよ
つと
速記
をとめて下さい。 〔
速記中止
〕
岩崎正三郎
28
○
委員長
(
岩崎正三郎
君)
速記
を始めて。
郵政省設置法
の一部を改正する
法律案
は
内閣委員会
と
連合委員会
を開きたいと思いますが御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
岩崎正三郎
29
○
委員長
(
岩崎正三郎
君) それではさように取計らいます。本日はこの
程度
で散会いたします。 午前十一時十六分散会