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1952-04-26 第13回国会 参議院 郵政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二十六日(土曜日)    午前十時五十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩崎正三郎君    理事            中川 幸平君            柏木 庫治君    委員            城  義臣君            駒井 藤平君   国務大臣    郵 政 大 臣    電気通信大臣  佐藤 榮作君   政府委員    郵政政務次官  寺本  齋君    郵政省簡易保険    局長      白根 玉喜君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   —————————————簡易生命保險法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 岩崎正三郎

    委員長岩崎正三郎君) それでは委員会を開きます。  衆議院のほうより簡易生命保險法の一部を改正する法律案が回付されましたので、すでにもうずつと前に予備審査をやりましたけれども、一応簡単に修正されたことに関連して、もう一遍簡単ながら大臣からでも、どなたからでも法律の御説明を願います。
  3. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 簡易生命保險法の一部を改正する法律案衆議院の先議にかけましたところ、審議に非常に慎重に慎重を重ねられまして、その結果、原案といたしましては三月一日から実施いたしたい、かよう考えて参つたのでありましたが、審議に非常に長時間をとりました結果、もうすでに三月を経過し、四月を経過して参りましたので、原案施行期日の点を修正せざるを得なくなつたのでありまして、一応五月一日ということにいたしたのであります。従いまして、それに関連いたしまして、原案において四月一日となつておりました点が六月一日というふうにそれぞれ期日の変更を見たわけでございます。内容といたしましては、すでに予備審査を頂いておりますので、この点の説明は省略さして頂きますが、原案修正只今も申す施行期日等期間に関する問題であります。  この点御報告、御説明申上げます。
  4. 岩崎正三郎

    委員長岩崎正三郎君) ほかに御質問ございませんか。
  5. 柏木庫治

    柏木庫治君 衆議院審査いたしますのに数カ月を要するほどの慎重さと内容を持つておるのでありますが、従つて五月一日を前にしまして、ここ数日しかないのでありますが、この点について参議院審査は、これから本格的になると思うのでありますが、実際問題として、この短かい期間審査ができるかどうかということを私は非常に懸念するものであります。それからこの審査に仄聞するところでありますから、実際の問題はわからないのでありますが、この原案はこういう形で通つたが、それには衆議院委員会でいろいろ党とか、大臣とかに申入れがあつて、それがこちらに、真否はわかりませんが、いろいろのことが流れて来ておるのでありますが、大臣の差支えない限り、相当根拠のある衆議院委員会の強い希望というようなものを知らして頂いたほうが、これを審議して行く上において、円満を期する上において非常にいいと思うが、お差支えない限り御説明願いたいと思います。
  6. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お話ように、施行期日原案といたしまして五月一日に修正をいたし、余日のないこの際参議院にお送りし、而も衆議院においては数カ月審議を要しておる、こういう状況参議院に対する御審議期間が非常に短かくなつております点は、誠に政府といたしまして恐縮に堪えない点でございます。五月一日といたしましたことは、一応五月一日といたした、と申しますのは、衆議院における審議に非常に時間をとりましたために、施行期日等はどうしても変更しなければならない。御承知よう只今占領下にありますし、もうこの二十八日になりますれば、講和條約が発効いたしますると、手続等も非常に簡便に相成りますが、占領下法案修正でありますために相当打ち割つた実際のお話、或いはお叱りを頂くかわかりませんが、率直なことを申しますれば、一応審議経過等を見まして、事前に五月一日からということで修正案を用意いたしたわけでございます。そういうよう関係もありましたので、衆議院の最終的な決定を見ます際に、特に五月一日といたしたわけでございます。この点は大変参議院に御迷惑をおかけいたしたわけでありますが、私どもはこの法案が持つ重要性から見まして、その施行期日については非常な強い主張をいたしておるわけではなく、できるだけ早く実施したいという気持には勿論変りはありませんが、そのために参議院審議期間を特に短縮さす、こういうよう意図のないことだけは御了承をあらかじめ頂きたいと思います。ただ私どもといたしましては、三月一日に実施を予定いたしたものを今回五月一日と、こういうことにいたすのでありますので、できるだけ御審議を短縮して頂きたい。かようには思いますが、これは参議院独自の御審議のことでありますので、政府といたしまして今考えておりますところ、熱望しておる点を率直に申上げる次第でございます。殊に講和條約発効の日であるとか、天長節とか、或いは五月に入りましての祭日等のことを考えますと、御審議も非常にできかねる状況になつておるのではないか、かようにも考えておりますので、この点参議院皆様方に対しましては大変申訳ないと思つております。そこで只今柏木委員からお尋ねがありました衆議院における審議の大要でございますが、今まで主として衆議院において議論のありました諸点は、政府はどういう考えで以て八万円ときめたか、物価趨勢等から考えて、社会保障制度的な性格を持つ簡易保險としては、八万円は如何にも小額の引上げの感があるではないか、これは一体どういう理由だというのが第一の強い質問でありました。同時に又これに対しましては、政府官営事業民営事業との調節を図る、この点は保險業者会社自身を保護するという考え方でなしに、かき集められました資金が、一方は政府資金となつて資金運用部資金に繰入れられ、そうして特殊の用途にこれが使われる。一方民間保險業者が蓄積いたしますところのものは、民間資金として民間産業に自由に放出される、これらの機能の得失を考えたその考え方から見ますると、民間保險業の経営に相当の影響ありと考えられる限度引上げは、この際今日の経済状態から見ますると差控えるのが適当ではないか、これが政府考え方だというお話を申上げたわけであります。社会保障制度の建前から申しますれば、明らかに物価指数等から見まして二十万前後の金額引上げることも、これは適当だと思いまするが、社会保障制度一つ制度、例えば簡易保險制度というだけで社会保障制度目的を達するわけのものでもないし、あらゆる施設と総合的な結合を以てその目的を達すべきだというのが政府側主張であるのであります。そこで然らば政府は今後非常に短かい期間においてこの限度を更に改正する意思ありや否やというお話があり、政府といたしましては、只今申上げるよう経済上の事情から勘案いたしまして、今回は八万円が適当である、こういう結論に達したのでありますので、今後経済界事情を勘案いたしまして、その結果から適当にこれに善処して参るのだというお話をいたしたのでありまするが、その程度政府意図ではどうも不満がある、それで衆議院郵政委員会といたしては、政府は早急に引上処置をとるべきものであるという点を強く要望する、こういうお話もあつたのであります。同時にこれに関連をいたしまして、政府資金運用部資金政府只今一元的に運用しておるのでありますが、郵政省曾つて自分自身運用権を行使しておつたが、その運用権復元する考え方はないか、殊にこの運用権復元の問題については衆参両院とも決議をしておるものであるので、これは早急に実施すべきものと思うが、政府側意見はどうかというお尋ねでありました。これに対しまして私ども衆参両院の御意向を十分尊重いたして、これに善処する考えでおり、すでに事務当局の案ができ上つておりますので、これは当委員会に申上げるのは如何と思いまするが、只今政府といたしましても、政府与党である自由党政調会にその案を持ち込みまして、そうして早急に審議を開始し、そうして政府当局意向を一致させまして、そうしてこれが早急なる実現を期する、その方向で努力するというお話を実はいたした次第でございます。この点は委員会に申上げるのは不適当だとは思いまするが、政府自身がとつております点は、もうすでに原案自由党政調会には提案いたしまして、今明日にも政調会のほうで慎重審議にかかる、かような段取りに相成つておるのでございます。結論といたしましては、只今申上げるような二点が強い衆議院側希望意見でありますし、私どもも今回八万円にたしましたことは、経済上の事情、止むを得ないという考え方から、この線に到達をいたしたのでありまして、本来の社会保障制度の建前なり、或いは簡易保險運営の面から見ますれば、もつと引上げたいというよう気持も多分にあつたわけでありまするが、併し国家的な観点に立つてこの問題を見ます際に、この際は八万円が先ず適当ではないか、実はかよう考えまして、原案の御賛成をして頂いた次第でございまするが、同時に又衆議院委員会におきまする只今御披露申上げたような率直な御希望なり、又率直な御批判等につきましては、政府自身も十分その意を了解いたしておるわけでありますので、今後これらの線に沿いまして最善を尽して善処いたして参る考え方でおるのであります。只今柏木委員からお話がありましたので、私ども政府側として、特に審議の途上におきまして、強く私どのも脳裡に映じております二、三の点を御披露申上げたような次第でございます。
  7. 城義臣

    城義臣君 只今柏木君の御質問に対して、大臣から縷々御説明をお伺いいたしたのでありまするが、その中の一つ資金運用部資金復元等の問題と絡んでいろいろ政治的に考慮しなきやならん問題もあるやに聞いているのであります。まあ私どもといたしましては、与党の立場から政府原案を支持するのが当然だという一応の常識にたつておりまするが、併し本問題につきましては、いろいろの経過がありまして、緑風会、民主党その他のかたがたもよくこれまで同調をされまして、極めて和気諸々裡に、いわゆる参議院性格からして客観的に公正に国民の要望に副いたい、こういう非常に高い理想を抱いて審議を進めて参つたのであります。そこで実は冒頭に申上げました資金運用部資金復元問題等とも絡み合せて、いろいろの問題も考慮しなければならない段階でありますので、暫らく速記を止めて頂きまして懇談に移して頂ければ幸いだと思いまするが、委員長よろしくお取計らい頂きたいと思います。
  8. 岩崎正三郎

    委員長岩崎正三郎君) 速記をとめる前に、私も一応御質問したいのですが、大体大臣柏木君に対する御答弁で一応の了解は得られるようでありまするが、大体この法案内容そのものはそう問題でなくて、中に含まれる八万円というものが安いか、高いか、それが妥当か、不適当かということが審議の焦点だと思うのでありますが、それだけのことで私は三月も衆議院でかからなければならんということは、これは原案を提出した政府として、而も絶対多数を持つておる与党として、三月もこれにかかつておるということは、政府として誠に私は不手際だと思うのです。その間に世間ではいろいろな噂も飛んでおり、そこで私はなぜ政府がそれを三月も傍観と言つては失礼ですけれども、手が及ばなかつたか、力が足らなかつたかという根拠ですか、むずかしく言えば根拠になりますが、簡単に申せば、そういつたいきさつですね、もう少し詳しく御説明願いたいと思います。
  9. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 只今委員長が御指摘ように、法案自身といたしましては、金額だけの問題だということでありますが、その基本になります限度を変更するということ自身にも相当論議があつたわけであります。従いまして、私どもはよ面原案を作りますまでにいろいろ審議をいたしたわけでございますが、先ほど柏木委員にお答えいたしたよう観点から、民間事業を特に育成するとか、特に面倒を見るとか、或いはそのために今委員長が言われたのはどういう意味かわかりませんが、いろいろ誤解を受けるとか、こういうようなことがあつては相成らないのでありますので、その点は十分戒心して参りましたが、保險事業の現況から見ますると、或る程度どうしても引上げて参らねばならない。これは保險事業自身が御承知のことだと思いますが、終戦直後特別の制度を創始いたしまして、事業運営をやつて参りましたが、これらの新らしい制度もこの契約だけはでき上る、それらの掛金等も払込の満了の時期に到達いたしておりますので、かよう状態になりますと、どうしても限度だけは何としても上げなければならない、この点が特に事務当局なり、私どもといたしまして頭を悩ましたものであります。従いまして一部非難を受けておりますような、民間事業保險業者の面倒を見ろ、こういう考え方ならば、限度引上げ自身も止むを得ないわけなのでございますが、そういうわけのものじやなくて、どうしても限度引上げなければならない。これはもう保險事業自身現状から見ての実は一つ結論であつたわけであります。で、それを上げた場合に、先ほど議論のありましたよう社会保障制度観点に立つて、その目的を達成するに足る限度にまで引上げ得るか、かよう考えますると、現在の経済情勢ほどうもそうは考えられない。私どもの見るところでは、民間保險が一年間に約六百億程度の金を集めておりますし、簡易保險が五百億程度の金を集めております。さよう考えますると、国家資金民間資金とのバランスはやはり考えて参らないと、経済の正常な運行という点に支障を来たすのじやないか、こういう点を特に恐れたわけであります。民間保險自身が非常に伸び得ると申しますか、あれだけの金を持ち、あれだけの制度を持つておる、簡易保險のごとく、ただ単に無審査だけで行くのでなしに、有審査保險、非常に高額保險をやつておるあの現状から見まして、もつと保險事業が活発に伸びてくれますならば、只今申上げますような点を考慮に入れる必要はないのでありまして、機能なり、その性格から見れば、僅かに簡易保險同額程度保險金を集めるというようなものではないと思いまするが、何と申しましても、戦後のインフレの影響を受けておりますので、民間事業としてはなかなか驥足を伸ばし得ない、こういうような憾みがあつたわけであります。これらの点を特に考慮に入れまして、実は八万円にいたしたのであります。そこでこれは改進党、社会党のほうの考え方は、最後結論になりまして、原案賛成を頂いたのでありまするが、与党内部の話を率直に申しますと、与党内部におきましては、限度引上げ自身に反対する一部の諸君もありますし、又この政府原案程度では否十分だとするかたもあるし、それらの意見を調整するのには相当時日を要して参つたのであります。これは率直に申上げまして、そういう状況にありました。政府自身がむつと積極的に与党意見を指導するならば、そういう結果にも相成らないのではないかという御批判は、これは確かにあるわけでありまして、私どもこの意味においては政府当局として十分責任を感じておるわけでございまするが、何を申しましても、只今はやはり国会中心に物事を決定して行く時期でありますので、私どももその点では政府の積極的な動きというものは努めて避けたいおけでございます。殊に恐らく政府説明が十分できますならば、与党としては賛成がして頂けるのではないかと、こういうような期待を待つておりました結果、大変時日経過いたして相済まなかつたのでございます。最後決議の際におきましては、幸いにいたしまして、改進党からも強い希望意見は出ましたが、改進党も、又社会党原案賛成して、反対をいたしたのは衆議院では共産党だけだと、こういうような結果に相成つたのでございます。本会議の席上におきましても、社会党からは賛成討論をして頂いておる。勿論政府のやり方につきまして、双手を挙げての賛成という意味ではないと思いまするけれども政府施策についての忌憚のない批判は賜わりましたが、現状としてはこの程度で止むを得ないのではないかという意味において御賛成討論を頂いたような次第であります。以上御報告を申上げます。
  10. 岩崎正三郎

    委員長岩崎正三郎君) 引続きまして質問いたしたいと思います。結論といたしまして、インフレで困難して来ておる民営事業も育成しなければならん、又一回には社会保障観点に立つて、この簡保も大いに育成しなければならんという両々立てようとして今日まで苦労して来たというようなふうに感じられるのです。併し私ども考えは、まあ意見になりますが、今日本で一番必要とするのは社会保障制度の確立が今日の世界の情勢から考えても、日本の新らしい出発のためにも大いに必要であろうと思います。そこで私どもは大体戦前の二百倍の物価ということからすれば、当然これは十五万くらいに引上げなければならんと考えておつて、私ども皆そういう意見に御同調願つてつたのでありますが、なかなかそこまで参らなかつた。ところでいろいろ承わりまするというと、これを八万円に我慢してもらつて、その代り運用資金のほうを至急復元する、還元するということに、政府意図もきまつておると、又自由党政調会でもそういうほうに向つておるというのでありますが、そこが何かこれとあれとの取引というよう観点にも思われる。私はそうではなくて、これは片方社会保障観点に立つてできるだけ育成する、片方運用資金復元というものは、一つ地方財政の面ということも勘案しての問題であるので、これとそれとを取引的に考えることはどうも私ども考えとしては納得できない。従つてたとえこの八万円というものが、その意味があろうがなかろうが、これは一面においてどうしても資金運用部資金のほうは早急に解決してもらつて行かなければならんという、その観点に立つて大臣復元に対してどの程度速かに、内容はどういうふうな内容を以て復元の線を進めておられるか、もう少し簡単でよろしうございますが。
  11. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お話ように、限度引上げるということと運用権の問題は直接の関係はないわけでありまするし、又限度引上に際して運用権を云々することは、むしろ只今指摘がありましたように、法案通過のための取引に供したかのごとき誤解を受けまして、私ども非常に恐縮に存じておるのであります。限度引上の問題につきましては、私ども先ほど来申上げましたように、今日の経済事情が八万円が適当であると、かよう考えておるのでありまして、時期的な要素を除いて参りまするならば、それはもう少し引上げたい考え方があるのであります。従いまして、先ほど御披露申上げました衆議院における強い御希望というものが、この意味において私ども考え方と一致するように思うのでありまして、従いまして、これは民間保險事業民間資金を集めておる状況等に対しまして、一層の力を大蔵省が貸してくれるように、政府が一体になりまして、民間事業の活発な活動、その結果民間資金を十分吸収し得るように、その機能を発揮するように是非とも持つて参りたいと思いますので、そういう際が参りまするならば、簡易保險といたしましても、この八万円の限度にとどまるものでなしに、更にこれを改正して限度引上げて参りたいと、かよう考えているのであります。併しこの問題はさよう考え方を持つておりまするが、簡易保險について過去において非常に問題になつた問題は、この運用権復元する問題であります。この点は如何なつておるかというようお尋ねがあり、それに対しまして、先ほど来申上げたような、政府の率直な意向を披瀝いたしておるわけであります。この復元が今日まで実現いたさなかつた事柄は、私よりも国会皆様のほうが十分御承知のことだと思いまするが、只今資金の面につきましては、金融の面と申しますか、その面におきましては、一つ国家的計画を遂行いたしておるのでありまして、郵政省復元をいたしますならば、一元的国家計画遂行支障を来たすのではないか、又そういうことがあるのだというよう議論があるわけであります。そのために今日まで実現いたして参らなかつたと、かように私は考えておるのであります。そこで政府といたしましても、勿論今日やつておりますよう資金計画というものはどこまでも一元的にこれを樹立し、その実行に当りましても、この一元的な資金計画実施支障を来たさないよう運用をいたして行かなければならないものだと、これは根本的な前提條件として私ども了承をいたしておるわけでございます。御承知よう資金運用委員会におきまして、一元的計画を樹立すると、この計画の範囲におきまして、一部を郵政省が担当し得るようにも考え得るのでありまして、この意味においては一元的機能を壊さない、而も実際の実務といたしましては、地方実情に最も密接な関係を持ちます郵便局が、この貸付等につきまして積極的な処置をとり得るようにいたして参りたいと思うのでありまして、この観点に立ちますれば、大蔵省郵政省との事務分担内容を明確にいたすことによりまして、一元的運用にも支障を来たさず、又利用者各位に対しましても、不便を与えないように相成るのではないかと思うのでありまして、これが恐らく衆参両院におきまして決議を見ました御趣旨だと、かよう考えるので、私どもその線で善処すべく案を立案いたしておるのであります。只今までのところ政府部内におきまして話がまとまつたとか、或いは自由党自身におきまして具体的な成案を得たとかいう段階ではありません。ありませんが、政府にいたしましても、自由党にいたしましても、国会決議なさいました御意向は十分尊重すると申すよりも、その方針従つて施策を樹立して参るべきもののよう考えるのでありますので、この根本の観点に立ちますれば、この問題は必ず解決を見るものだ、かような実は考え方をいたしておるのでありまして、只今からその案の成否等についての見通しを問われましても、只今申上げるような、私どもの信念を御披露いたすという以外には、只今まだ審議が始まつておりませんので、申上げ得ないように思うのであります。
  12. 岩崎正三郎

    委員長岩崎正三郎君) ちよつと今大臣の御説明で、資金運用権復元金融の一元的な機能を阻害しないで、そうして郵便局関係を通じての地方実情に副うようにやりたい、誠にそうなければならんと思うのであります。ところが最近何かこれを、資金運用権復元することが、却つて地方金融地方財政の混乱を導くやに宣伝する向があり、又そういつた面でいろいろと陳情して来るものがあります。この点をどうか一つ今の大臣の御方針よう気持で、事務当局の折衝を是非進めて頂きたい、かよう希望申上げておきます。
  13. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) その点は私はかよう考えておりますが、運用権復元と申しますと、基本的な計画から郵政省独自の観点運用するのではないか、こういうような一部の宣伝が相当強く行つておるやに聞くのであります。私ども政府の一部局として、かよう考え方はいたしませんし、現在の経済情勢から見まして、そこまで突き進むことは非常な危険があるやに見受けるのであります。問題は事務当局間の事務の分配の問題でありますので、これは双方で智慧を絞り寄せれば必ず妥結するのではないか、又妥結させなければ相済まない、かよう考えて折角努力しておる次第であります。
  14. 駒井藤平

    駒井藤平君 ちよつと重ねて申上げるようになりますが、今大臣の話を聞きますると、最高限度にしても不満足である。併し現在の社会情勢から勘案して八万円は適当だ、こうおつしやつたが、それは本当に良心的でなくて、政治的の言葉だと思つてども了承しておるのです。元来この簡保の性質から言つても、現在のこの老後の、説明されたように生活の安定であるとか、或いは最終的の医療費に当てるために、或いはその他葬祭費、被保險者の遺族を養う、こういう目的に副うべく限界に達しておるのであります。それを八万円でその目的を達し得られるや否やということは、これは論議する必要がなくて、これでは不満足だ。これは大臣も御了承のことと思うが、私どもはすべての情勢から見て大臣は非常に御遠慮なすつて押切りがにぶいというよう考えを持つておる。それを十五万円にするというのが適当であるが、すべての情勢から勘案して、これは止むを得ない、こういうふうにおつしやいますけれども、そうは私は行かんと思う。民間保險を圧迫するというよう段階のものではなく、仮に十五万円に引上げましても、又民間の保險とは性質が違う、又利率も違う、従つてそう民間事業を圧迫するというよう程度には私は参らんと思うのです。衆議院のこの委員会の成り行き等を縷縷御説明になりまして、御尤もな点も勘案されまするが、私どももう一つ強調しておりまする点は、今委員長からもお話になりましたように、資金運用権復元、これはもう我々も強調し、衆議院も、参議院もそれを決議しておる。それが今日まで延び延びになつておるというのは、むしろ佐藤郵政大臣のそれの行き方がよほど手ぬるい、御遠慮なすつておる、率直に言えばそうだと思います。こんなものは当然今までに復元すべきものだ。而も両院一致しての決議案を出し、大蔵大臣了承しておる。然るに今日まで延び延びになつておるのは佐藤郵政大臣が穏健であるからです。むしろ引つ込み思案で強調なさらない結果、今日ま延びて来た、こう私は考えておるのであります。同時に最高限度の増額案も、御遠慮なすつて、十五万円にすべきが当然である、然るにすべての政治的の行き方或いはすべての周囲の関係から御遠慮なされたと思う。そこで参議院としては公正に妥当に、社会的から見てこれが妥当なりという上げ方をなすべきだと私は考えるのでありますが、併しこちらに廻りましてまだ二、三日にしかなりませんので、この点に対して我我非常に考慮する必要があると思いますので、今暫らく時日をかして頂いて、五月一日に施行する、その意に副うということには私参りかねるのであります。その点委員長から五月一日に施行するという点に至らず、極く慎重審議して妥当なる結論をこの参議院において出すということにしてもらいたいと思います。
  15. 柏木庫治

    柏木庫治君 さつき委員長からの問に対して、郵政大臣のお答えの中に、委員長はどういう意図で言われたかわからないが、誤解があつてはならんというよう意味で、自分たちは特に民間保險を育成するとか、協力するとかいう意図はないのだ。集まつた資金民間のほうに貸して行くものと、官庁で使うものとのこの二つの色分けにおいて、民間資金を増すことが望ましいという、この資金運用関係で、ここらだというお話であつたのでありますが、私はその保險業というものが今の日本経済界で、今の日本で絶対に必要であつて、これが大いにすばらしく、今の三倍くらいに早急に発達をすることを願つておる。この意味において私は佐藤郵政大臣民間保險を大いに育成し、民間保險の発展と、それに力を尽したいというよう大臣でありたいと考えるくらいです。ところが資金を使う方面が民間と官庁であるので、民間に集まる金を少くしたくないというこの点においては私は非常に賛成でありますが、これは八万円が十万円になつたら民間保險に集まる金が少くなる、こういうふうには考えていない。今の簡易保險で五百億集まり、民間保險で六百億集まつておるというならば、それは民間保險が余りだらしないのである。民間保險の努力そのものが足りないのです。この際私はむしろ十万円、十五万円にしたほうが、民間保險が努力をして、却つてそれが刺戟になつて日本の保險が発達すると、こう以前は考えており、今も考えておるのでありますが、民間保險のものが、十万円にすることによつておれたちが脅威を感ずるというようなけちくさい根性を改めて、これはそういうことで保險金が集まらんのではなくて、保險業者が保險の尊さというものをもつと自覚して、そして真劍に努力するならば私は必ず伸びると考える。而して理想的に言うならば、実際は官庁で五百集まつたから民間が千五百、三倍ぐらいで、使う場面が広いのだから、産業を発達させるためには、そのために民間の保險の発展と努力を希うようなバランスで行くことが私は望ましいと実際は思うておるのであります。でありますが、私ども二十万というものを十五万にし、十万円というもの五万円に極力下げて、こういうふうにまあ今日ここまで来たのであります。併し更にいろいろ諸般の情勢もありますし、どうすることがお国のために一番いいかということで最後結論を出すわけで、その結論を出すにはいろいろ諸般の情勢考えなければならないのでして、さつきも駒井委員も言われましたし、五月一日と、それをそう無制限に延ばすわけにも行かないが、五月十日頃までどうですか、その期間を延ばして、いわゆる慎重審議をして収めるところは収めるということ、それから国会決議し、大臣もこれに賛成して国会で言明しておるような問題に対しては、国会政府も本当に真劍であらねばならないとみずから言明しておいて、みずからの言明を軽くし、裏切るようなことでは国民の道義が守られないと、私は考えますので、国会決議、それから政府の言明は、いやしくもした以上は、まあああ言つてつたが、ずるずるべつたりとか、何とか国民から考えられるようなあり方でないことを吉田内閣に一層要望するものであります。
  16. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 只今お話私同感、共鳴、共感の意を表しまするが、一、二私意見がましくなりますが、私の考え方をもうちよつと補足させて頂きたいと思います。私は先ほど民間資金運用されておる重要性を特に強調いたしたのであります。この点は民間保險におきましても、いろいろ工夫を願わなければならないという点があるのでありまして、もともと官営事業民営事業を競争の立場のみに見ますことは、私ども官営に携わつています者から見ますと、誠に不本意極りないのであります。私ども民間保險業者と……これは同業者でありますので同業の立場におきまして双方手を握つて、そうして保險事業が発達することによつて日本経済の基礎を強固にする、ここへ持つて来るのが本来の私どもの大きな使命だと思うのであります。この観点に立ちまして、民間の事業者のかたともお話合いをする機会はしばしばあるわけでありまするが、ただこの大理想を実現いたしますのにも、やはり或る程度の時期はかしてやらないと、なかなかうまく参らんのであります。例えて申しますれば、病人が回復期になつた、もうすでに一日も早く活発な行動をとるようにと申しましても、なかなか重病のあとでありますと、足腰が立たないのであります。私どもが見るところによれば、現在の民間事業というものが非常に戦後受けました打撃が大きいので、そのためにまだどうも活発な活動ができておらないように見受けるのであります。一例をとつて申しますれば、御承知よう簡易保險民間保險との間には、当初にははつきりした分野がありましたが、今日は民間保險会社も無審査保險を始めておる、そうして無審査保險の限度民間のほうでは相当高度になつておるわけでありますので、その平均額等も相当金額になつてつていいと思いますが、僅か七万二千円程度しか平均額が上つておらない。これは民間保險の金利の問題その他いろいろな問題もあると思います。勉強すべき点はもつと勉強すればもつと金額は上ることだと思いますが、なかなか民間事業の無審査の金利は、只今申上げますように低いのでありますが、簡易保險のほうの限度引上げて参ります場合にも、先ずその平均の程度を狙わざるを得なく相成るのでありまして、それがまあ八万円程度ということに相成るのであります。先ほど申上げましたように、社会保障制度観点に立てば、或いは二十万だとか、或いは計算の仕方によりましては、三十万というようなことにも相成るでありましようが、只今までの簡易生命保險の活動の状況から見ますと、その限度に近い契約をいたすようなのが実は実情であります。かよう考えますると、限度以内、その契約だからと、かように申しましても、なかなか保險を担当されております人たちから見れば、業務に非常な熱意を示しておりますので、やはり限度一ぱいの契約をするように相成ろだろうと思う。これは又加入者のほうから言いましても、もう少し……、しつこい勧誘だというふうにも相成るのではないかと思います。併し私は簡易保險制度ができまして、保險制度に対する国民の理解は非常に深まつたと、かよう考えますので、この点は今の簡易保險に携わつておる従業員の大きな功績だと思いまするが、まあ一部におきまして批判を受けるような点も将来やはり考えてもらわなければいかん。そういたしますと、只今指摘になつておる十五万とか、十万とか、こういう程度であれば、そういうような非難もなくなるのじやないかというような御意見に相成るだろうと思いまするが、只今申上げる民間保險の現在の非常な足弱な状態考えますると、この際は先ず八万程度止むを得ないのじやないか。その場合に民間保險のかたも、簡易保險が競争相手だ、これが勝手なことをする、こういうよう考え方を持たれないで、同じ保險業者なんだから、簡易保險自身が先ほど申上げましたように、もう五万の限度では困るのだ、どうしても引上げなければならんのだということを率直に申上げましたが、民間保險にもやはり契約高を、七万二千円程度の平均でありますのを、更に十万円に上げるとか、或いは十二万円に上げるというよう計画が当然あつて然るべきだ、そういうようになりますれば、これは国民全体の蓄積の総額も殖えて参ります。経済界も活発な活動ができる、大体その方向に持つて参りたいと、かように私は考えるのであります。こういうような点については、恐らく現在の状態において民間業者としては相当危惧を持つておられることと思いまするが、最近民間保險自身相当金利を引下げるとか、或いは引上げるとか便宜を図つておられますので、これらの点は将来の問題といたしまして、相互援助の立場に立つて、この保險業、官営民営を通じての保險業の発達を期する、こういうよう状況に相成るものだろうと、かよう考えます。又そこに持つて行かなければならない。で、先ほど来お話のありました施行期日の問題は、私どもといたしましても遅れたものでありますので、できるだけ実施の時期は早くいたしたいと思いまするが、冒頭にも申しましたように、参議院に大変御迷惑をおかけして、今日出して、そうして五月一日の実施皆様がたの御都合を考えないで強く主張するものではないということだけは御了承頂きたいと思います。殊に只今考えとして御披露頂きました五月十日というような点は、祭日等の点を勘案いたしますれば、至極御尤もなお話であるとか、かように私は考える次第でございまして、これも併せて共感を感じておる問題として(笑声)申上げておきます。
  17. 柏木庫治

    柏木庫治君 これは、私のこれから申上げることはちよつと脇道のようでありますが、私はどうしても日本経済の健全な基礎を作る意味において保險業のすばらしき発展を希望しておるのですが、それが簡保と民保とが集まる金がこんなに接近し過ぎておるというよう段階のことを非常に嬉しく感じないのでありますが、先に申上げました通り、少くともいつて民間のこれが非常に発展を、保險業が正しく発展をするならば、簡保をやめてもいいと、こういうふうに私は実際は考えておるのです。簡保の本当の行き方は民間の手がとどかんところに、幸いにして郵便局が処々にありますから、民間の手のとどかないような貯金を集めて行くところに一番簡保らしい意味があると思うのでありまして、どこまで行つてもこういうふうに簡保民間に接近をして来たということについても、何としても私は民間保險業者の反省とその努力を希望するのですが、一番民間保險の私の見る欠点は、審査をして実際保險にかけておいて、それでいよいよ金を払うときになつたら、過去の病状を言わなかつた、隠しておつたというような、本人の知らないようなことまで掘出して腕利きの社員というのが成るべく払わんように、成るべく値切つたのが腕利きの社員だというふうに考えて、それを奬励するような保險会社があるのですね。そういうことが民保を蝕ばんでおる、一番大きな信頼ができないという問題なんです。これは郵政大臣から注意すべきことだとか、何とかということは別でありますが、若し郵政大臣がさつきおつしやられたように、民保の発展を本当に希うておるなら、私はだから簡易保險相当な額に上げて、民保を震え上らせて、そうしてうんと活動をさせて、そうして民保の発達をした時分に、簡保簡保の本当にあれらしいような、むしろ五万円ではない、三万円ぐらいにして、あとは皆民保に……。(笑声)こういうあり方に私は行きたいと考えております。だからどうぞあなたはこの問題で民保に合われるならば、民保の人全部とは言わない。そういう民保全体の信用を失う民保の中に考え方を持つた者があるということだけは、少くとも現にその任に携わろ者は知つておらなければならない。甚だ……。(笑声)
  18. 城義臣

    城義臣君 駒井委員からも非常にまあ率直な熱意のある御発言があつて大臣はもつと遠慮せずにやれというお言葉の裏には、民保業者を愛せられるし、又柏木委員の鋭い、而もユーモアなお話の中にも私は非常に共鳴する点が多いのでありますが、いずれにいたしましても、参議院の本委員会としては、まだ審議のよく尽せないものもあるやに考えられますので、柏木委員の言われた十日までというような御発言がありましたが、大臣におかれても、これを了承せられておると聞きますので、つきましては、本日はこの程度で一応散会いたしまして、次回に一つつて頂きたい、こういうことをお願いしたいので動議を提出いたします。
  19. 岩崎正三郎

    委員長岩崎正三郎君) 今御発言のあつたように、この辺で本日は会議を散会いたします。    午前十一時五十七分散会