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国務大臣(
佐藤榮作君)
只今の
お話私同感、共鳴、共感の意を表しまするが、一、二私
意見がましくなりますが、私の
考え方をもう
ちよつと補足させて頂きたいと思います。私は先ほど
民間資金の
運用されておる
重要性を特に強調いたしたのであります。この点は
民間保險におきましても、いろいろ工夫を願わなければならないという点があるのでありまして、もともと
官営事業と
民営事業を競争の立場のみに見ますことは、私
ども官営に携わ
つています者から見ますと、誠に不本意極りないのであります。私
どもも
民間保險業者と……これは同業者でありますので同業の立場におきまして双方手を握
つて、そうして
保險事業が発達することによ
つて日本の
経済の基礎を強固にする、ここへ持
つて来るのが本来の私
どもの大きな使命だと思うのであります。この
観点に立ちまして、
民間の事業者のかたとも
お話合いをする機会はしばしばあるわけでありまするが、ただこの大理想を実現いたしますのにも、やはり或る
程度の時期はかしてやらないと、なかなかうまく参らんのであります。例えて申しますれば、病人が回復期に
なつた、もうすでに一日も早く活発な行動をとる
ようにと申しましても、なかなか重病のあとでありますと、足腰が立たないのであります。私
どもが見るところによれば、現在の
民間事業というものが非常に戦後受けました打撃が大きいので、そのためにまだどうも活発な活動ができておらない
ように見受けるのであります。一例をと
つて申しますれば、御
承知の
ように
簡易保險と
民間保險との間には、当初にははつきりした分野がありましたが、今日は
民間保險会社も無
審査保險を始めておる、そうして無
審査保險の
限度は
民間のほうでは
相当高度にな
つておるわけでありますので、その平均額等も
相当の
金額にな
つて参
つていいと思いますが、僅か七万二千円
程度しか平均額が上
つておらない。これは
民間保險の金利の問題その他いろいろな問題もあると思います。勉強すべき点はもつと勉強すればもつと
金額は上ることだと思いますが、なかなか
民間事業の無
審査の金利は、
只今申上げます
ように低いのでありますが、
簡易保險のほうの
限度を
引上げて参ります場合にも、先ずその平均の
程度を狙わざるを得なく相成るのでありまして、それがまあ八万円
程度ということに相成るのであります。先ほど申上げました
ように、
社会保障制度の
観点に立てば、或いは二十万だとか、或いは計算の仕方によりましては、三十万という
ようなことにも相成るでありまし
ようが、
只今までの簡易生命保險の活動の
状況から見ますと、その
限度に近い契約をいたす
ようなのが実は
実情であります。か
ように
考えますると、
限度以内、その契約だからと、か
ように申しましても、なかなか保險を担当されております人たちから見れば、業務に非常な熱意を示しておりますので、やはり
限度一ぱいの契約をする
ように相成ろだろうと思う。これは又加入者のほうから言いましても、もう少し……、しつこい勧誘だというふうにも相成るのではないかと思います。併し私は
簡易保險制度ができまして、保險
制度に対する国民の理解は非常に深ま
つたと、か
ように
考えますので、この点は今の
簡易保險に携わ
つておる従業員の大きな功績だと思いまするが、まあ一部におきまして
批判を受ける
ような点も将来やはり
考えてもらわなければいかん。そういたしますと、
只今御
指摘にな
つておる十五万とか、十万とか、こういう
程度であれば、そういう
ような非難もなくなるのじやないかという
ような御
意見に相成るだろうと思いまするが、
只今申上げる
民間保險の現在の非常な足弱な
状態を
考えますると、この際は先ず八万
程度止むを得ないのじやないか。その場合に
民間保險のかたも、
簡易保險が競争相手だ、これが勝手なことをする、こういう
ような
考え方を持たれないで、同じ
保險業者なんだから、
簡易保險自身が先ほど申上げました
ように、もう五万の
限度では困るのだ、どうしても
引上げなければならんのだということを率直に申上げましたが、
民間保險にもやはり契約高を、七万二千円
程度の平均でありますのを、更に十万円に上げるとか、或いは十二万円に上げるという
ような
計画が当然あ
つて然るべきだ、そういう
ようになりますれば、これは国民全体の蓄積の総額も殖えて参ります。
経済界も活発な活動ができる、大体その方向に持
つて参りたいと、か
ように私は
考えるのであります。こういう
ような点については、恐らく現在の
状態において
民間業者としては
相当危惧を持
つておられることと思いまするが、最近
民間保險自身も
相当金利を引下げるとか、或いは
引上げるとか便宜を図
つておられますので、これらの点は将来の問題といたしまして、相互援助の立場に立
つて、この保險業、官営民営を通じての保險業の発達を期する、こういう
ような
状況に相成るものだろうと、か
ように
考えます。又そこに持
つて行かなければならない。で、先ほど来
お話のありました
施行期日の問題は、私
どもといたしましても遅れたものでありますので、できるだけ
実施の時期は早くいたしたいと思いまするが、冒頭にも申しました
ように、
参議院に大変御迷惑をおかけして、今日出して、そうして五月一日の
実施を
皆様がたの御都合を
考えないで強く
主張するものではないということだけは御
了承頂きたいと思います。殊に
只今お
考えとして御披露頂きました五月十日という
ような点は、
祭日等の点を勘案いたしますれば、至極御尤もな
お話であるとか、か
ように私は
考える次第でございまして、これも併せて共感を感じておる問題として(笑声)申上げておきます。