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国務大臣(
佐藤榮作君) では私から
郵政省当面の問題といたしまして、去る一月二十三日に
国会に提案されました当
省所管の
昭和二十七
年度予算案につきまして概略御
説明申上げ、その他一、二併せて御
報告申上げたいと存じます。
先ず
郵政事業特別会計の
予算でありますが、この会計の歳入総額は七百五十九億八千七百余万円で、この内訳といたしましては
郵便業務收入、即ち
郵便切手、
郵便葉書等の売上げ收入が二百八十二億五百余力河、
郵便為替及振替
貯金等の手数料收入が二十三億六千六百余万円、
郵便貯金特別会計、
簡易保險特別会計及び電気通信特別会計等の他会計からの受入れ收入が三百二十六億八千七百余万円、
物件貸付料、病院收入等の雑收入が十二億八百余万円、
郵便局舎等の建設費の分担額として他の会計から受入れる設備負担金が四億四十九百万円と相成
つているのでありますが、このほかに差しおきがたい
郵便局舎等の建設の財源に充てるため五億円の借入金を予定いたしており、又これは業務外收入として、当会計の
通り抜け勘定とな
つております收入印紙及び失業
保險印紙の売捌き收入が百五億七千万円ありまするので、以上合計いたしますとこれらの歳入の総額は先ほど申上げました
数字と相成るのであります。七百五十九億八千七百余万円、この歳入予定総額を二十六
年度の六百六十一億八千百余万円に比較いたしてみますると、約九十八億五百余万円の増加にな
つているのでございますが、この増加の主なるものについて申上げてみますると、
郵便業務收入におきまして七十億七千八百余万円の増加とな
つております。この増加は前
国会におきまして御審議を願い昨年の十一月一日より
実施をみました
郵便料金の改正によります年間收入の増加でございます。
次は為替
貯金業務收入におきまして三億七千九百余万円、この收入増加は
郵便業務收入の増加と同じく前
国会において審議願いました
郵便為替、振替
貯金の手数料の改正によります年間收入の増加と相成
つているのであります。このほか收入印紙及失業
保險印紙の売捌き收入の増加が十六億九百万円、他会計よりの受入れ收入等の増加が七億三千八百余万円と相成
つているのでございます。
次に歳出
予算でございますが、これは歳入
予算と同額の七百五十九億八千七百余万円を計上いたしているのであります。この内訳を申上げますると、
郵便業務の運営に必要な経費が二百三十三億六千六百余万円、為替
貯金業務の運営に必要な経費が百四億七千七百余万円、
保險年金業務の運営に必要な経費が百四億三千五百余万円、
電気通信省より
委託を受けております特定
郵便局における電気通信業務の運営費が五十九億六千八百余万円、
郵便局舎等の建設費が三十七億七百余万円、これらの業務を運営して行きまする上に必要な間接的経費即ち総経費が百十二億一千余万円、恩給負担金及び失業退職手当の負担金等を他の会計に繰入れる経費が十二億四千百余万円と相成
つているのでありますが、このほかに業務外の支出といたしまして、收入印紙及び失業
保險印紙の売捌き代金をそれぞれの会計に繰入れる経費が百五億七千万円、予備費として一千万円を予定いたしておりまするので、これらの経費を合計いたしますと、先ほど申上げました七百五十九億八千七百余万円と相成るのでございます。
御参考までにこれらの経費を更に人件費、
物件費等の使途別に分けて申上げてみますると、業務費におきまして俸給、手当等の人件費が四百十五億円余、
事業用品の購入及び
郵便物運送等に必要な
物件費が百九十七億三千六百余万両、恩給負担金を他会計に繰入れる等のその他の経費が十四億七千二百余万円。
このほかに先ほ
ども申上げました收入印紙及び失業
保險印紙の売捌代金をそれぞれの会計に繰入れるための支出経費が百五億七千万円、
郵便局舎等の建設費が二十七億七百余万円と相成
つているのでございます。
これらの歳出経費を前
年度予算と比較しますると、人件費におきまして四十九億二千四百余万円、
物件費におきまして十五億八千四百余万円、その他三億九千六百余万円、業務外の支出が十六億九百万円、
郵便局舎等の建設費が十二億七千七百万円とそれぞれ増加しているのでありますが、これらの経費のうち人件費の増加、昨年十月一日より
実施されました給与ベースの改訂に伴いまして、必要といたします経費の増加と相成
つておりまするし、
物件費の増加は
事業用の物品、資料等の値上りによるものであります。
以上が
郵政事業特別会計の二十七
年度予算の概略でございますが、ここで一言申上げておかなければならないことは独立採算制の問題でございます、
昭和二十四年六月二省分離以来、
郵政事業といたしましては毎年一般会計から
赤字補填を受け、二十六
年度のごときは約三十億円に近い繰入金とな
つていうのでありますが、二十七
年度におきましては一般会計よりの補給金を受けることもなく、却
つて六億円余を建設費の財源に充当している状態でありまして、今後給与べースの改訂、
物価の値上りがない限り一応独立採算制が可能と相成
つて参りましたことは
郵政事業の基礎を固め将来の発展を期する上におきまして、心強い限りでありまして、誠に喜ばしいことと存じます。
次は
郵政省所管の
郵便貯金特別会計でございますが、この会計の歳入
予算は
郵便貯金資金を資金運用部に預け入れまするので、これに伴う
利子收入といたしまして百四十九億六千七百余万円、
事業運営上生じまする雑收入が一億三千百余万円、一般会計からの歳入不足補填のための繰入金が四億二千八百余万円、合計百五十五億二千七百余万円と相成
つているのでありますが、これを前
年度予算に比較してみますると、
利子收入におきまして五十二億六千万円、雑收入が億三千百余万円、それぞれの増加と相成
つているのでございますが、この半面におきまして、一般会計からの繰入金が二十五億七千五百余万円減少いたしておりまするので差引二十八億一千五百余万円の増加と相成
つているのでありますが、
利子收入の増加は預託利率が前
年度の五分五厘を六分五厘と一分方
引上げられましたことと、更に二十七
年度におきまして六百二十億円の預金増を見込んだことによるものでございます。この結果一般会話からの繰入金は前に申上げましたごとく二十八億円余を減少することといたしたのであります。
これに対しまして歳出
予算といたしましては、預金者に対する
利子の支払いに必要な経費が五十九億一千余万円、
郵便貯金業務運営のため必要な経費の財源に充てるため
郵政事業特別会計に繰入れをする経費が九十六億一千七百余万円、合計百五十億二千七百余万円と相成
つているのでございます。この歳出経費は前
年度に比べ、予定いたしております支拂利率の
引上と
貯金現在高の増加とによるもの約十七億三千万円、
郵政事業特別会計への
事業費の繰入金が十億八千万円余、それぞれ増加いたしております。
次は
簡易生命保險及
郵便年金特別会計の
予算について申上げます。先ず
保險勘定の
予算でありますが、この勘定の歳入
予算は、
保險料收入が五百五十四億五千三百余万円、
積立金及余裕金の
利子收入が三十九億九千万円、その他一千八百余万円、合計五百九十四億六千二百余万円とな
つているのでありまして、これを前
年度の四百三十一億五千八百余万円に比べますと約百六十三億円
程度の増加と相成るのでございますが、この増加は新
契約の
募集目標を前
年度は
保險料で十億円であつたものを十八億円に増加したための
保險料の收入増加が百四十九億五千万円、更にこれに伴いまする
積立金及び余裕金に対する
利子收入の増加が十三億六千万円と相成
つているのでございます。
これに対しまする歳出
予算は、
保險金及還付金等の支払いに必要な経費が八十八億四千万円、
保險業務運営に必要な経費の財源に充てるため
郵政事業特別会計に繰入れを必要とする経費が百三十七億円余、予備費三億円、合計二百二十八億四千四百余万円とな
つているのであります。
次に年金勘定の
予算でありますが、この勘定の歳入
予算は総額八億一千五百万円、歳出
予算は三億七千八百万円とな
つておりまして、両勘定を合計いたしますると、その歳入総額は六百二億七千七百余万円、歳出総額は二百二十二億二千二百余万円となるのでありまして、三百七十億円余の歳入超過を生じることと相成るのでありますが、この大半は
契約者のために積立てるべき責任準備金となるものでありまして、法律の定めるところによりまして
積立金として処理することにいたしている次第であります。
以上が
昭和二十七
年度予算の概略でございますが、なお詳細な
説明が必要でございますなら
政府委員をして
説明いたさせます。
次に前回の
国会当時から懸案とな
つております
郵便貯金の預入総額の
制限額引上と、利率の
引上の問題であります。その必要性自体については各方面とも異論はないのでありますが、ただどの
程度まで
引上げるかという点につきまして未だ
関係方面との最終的な諒解に至
つておりませんが、成るべく速かにこの方面の了解を得まして本
国会に
貯金法の改正
法案を提案いたし、御審議願う運びにいたしたいと折角努力中であります。
なお、最後に寄附金附お年玉年賀
葉書は、本年は三億五千万枚発行いたしたのでありますが、
料金が割安であつたという特殊
事情も勿論ございましたが、それにいたしましても
関係各位の御協力と、従事員の懸命の努力によりまして年内にあら方売り尽すという誠に好成績で
事業増收入上多大な成果を収めましたことを一言御
報告申上げておきます。
以上を以まして私の御
説明御
報告を終りたいと存じますが、尚詳細の点につきましては御
質問によりお答え申上げたいと存じます。