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1952-07-30 第13回国会 参議院 本会議 第72号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年七月三十日(水曜日)    午前十時五十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第七十三号   昭和二十七年七月三十日    午前十時開議  第一 公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第二 公職選挙法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第三 国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 元軍人恩給復活に関する請願(五十件)(委員長報告)  第五 元軍人等恩給復活に関する請願(十件)(委員長報告)  第六 元軍人老齢者恩給復活に関する請願(三十二件)(委員長報告)  第七 元軍人老齢者等恩給復活に関する請願(十件)(委員長報告)  第八 元傷い軍人恩給復活に関する請願委員長報告)  第九 傷い恩給増額に関する請願委員長報告)  第一〇 元軍人軍属恩給復活に関する請願(九件)(委員長報告)  第一一 元軍人軍属等恩給復活に関する請願(二十九件)(委員長報告)  第一二 元軍関係公務員恩給復活に関する請願(三十四件)(委員長報告)  第一三 元軍関係公務員老齢者等恩給復活に関する請願委員長報告)  第一四 元軍関係者恩給復活に関する請願(六件)(委員長報告)  第一五 軍人遺家族恩給復活に関する請願(七件)(委員長報告)  第一六 軍人遺家族等恩給復活に関する請願(八十件)(委員長報告)  第一七 軍人遺族扶助料復活に関する請願(四件)(委員長報告)  第一八 軍人軍属遺族扶助料復活に関する請願委員長報告)  第一九 恩給均衡是正に関する請願(百九十九件)(委員長報告)  第二〇 恩給法特例に関する件の措置に関する法律案中一部修正請願(四件)(委員長報告)  第二一 養護教諭等の前歴を恩給年数に加算の請願(三件)(委員長報告)  第二二 恩給に関する請願委員長報告)  第二三 北海道開発促進に関する請願委員長報告)  第二四 東京学生会館予備隊接收反対に関する請願委員長報告)  第二五 北海道上士幌村の総合開発に関する請願委員長報告)  第二六 人権擁護局存置に関する請願委員長報告)  第二七 裁判所職員給與ベース改訂に関する請願委員長報告)  第二八 青森県田名部町に大湊簡易裁判所移転請願委員長報告)  第二九 神奈川県川崎市に地方裁判所検察庁支部設置請願委員長報告)  第三〇 大分県玖珠郡に簡易裁判所等設置請願委員長報告)  第三一 昭和二十二年勅令第九号の法制化に関する請願(二件)(委員長報告)  第三二 栃木県佐野市に簡易裁判所設置請願委員長報告)  第三三 宮城築館検察庁庁舎新築等促進に関する請願委員長報告)  第三四 宮城築館簡易裁判所庁舎新築等促進に関する請願委員長報告)  第三五 福岡地方裁判所大牟田支部昇格に関する請願委員長報告)  第三六 鹿児島県志布志町に岩川簡易裁判所区検察庁移転請願委員長報告)  第三七 戰犯者助命等に関する請願(二件)(委員長報告)  第三八 戰犯者釈放等に関する請願(二件)(委員長報告)  第三九 戰犯者釈放に関する請願(六件)(委員長報告)  第四〇 戰犯者の恩赦に関する請願委員長報告)  第四一 裁判所構内弁護士控室設備等に関する請願委員長報告)  第四二 福島喜多方簡易裁判所家庭裁判所設置請願委員長報告)  第四三 日米行政協定締結による調達契約に関する請願委員長報告)  第四四 インドネシア共和国における生存者送還および戰没者供養に関する請願委員長報告)  第四五 福岡古賀開拓地接收除外に関する請願委員長報告)  第四六 福岡新宮古賀地区接收除外に関する請願委員長報告)  第四七 福岡新宮古賀地区接收に関する請願委員長報告)  第四八 行政協定による呉市駐留等請願委員長報告)  第四九 国立療養所壽浜園結核病床増設に関する請願委員長報告)  第五〇 新潟県の結核病床増設等に関する請願委員長報告)  第五一 療術師法制定反対等に関する請願委員長報告)  第五二 あん摩師はり師ゆう師および柔道整復師試験制度廃止反対等に関する請願(二件)(委員長報告)  第五三 国立療養所富士病院医療改善に関する請願委員長報告)  第五四 和歌山県潮岬村に国立結核療養所設置請願(二件)(委員長報告)  第五五 国立療養所給食費増額に関する請願(四件)(委員長報告)  第五六 あん摩はりきゆう試験制度廃止反対等に関する請願(三件)(委員長報告)  第五七 医療従業員増員に関する請願(二件)(委員長報告)  第五八 結核予防法による補助費増額に関する請願委員長報告)  第五九 生活保護法最低生活基準額引上げに関する請願(七件)(委員長報告)  第六〇 結核患者に対する作業療法確立請願委員長報告)  第六一 生活保護費県負担復活に関する請願委員長報告)  第六二 新潟県にアフタケア施設設置請願(二件)(委員長報告)  第六三 アフタケア施設確立に関する請願(三件)(委員長報告)  第六四 給水人口一万人以下の上水道設備費国庫補助に関する請願(二件)(委員長報告)  第六五 白山、庄川地帶国立公園指定等請願委員長報告)  第六六 愛媛県忽那七島を瀬戸内海国立公園に編入の請願委員長報告)  第六七 食品衛生法存続に関する請願(二件)(委員長報告)  第六八 福岡県に国立光明寮設置請願委員長報告)  第六九 らい研究所設立等に関する請願(二件)(委員長報告)  第七〇 栄養士法廃止反対に関する請願(二件)(委員長報告)  第七一 生活保護法による出産扶助費引上げ請願委員長報告)  第七二 旭川市にアフタケア施設設置等請願(六件)(委員長報告)  第七三 岩手県摺沢町上水道設置に関する請願委員長報告)  第七四 理容師美容師法存続に関する請願委員長報告)  第七五 北海道士別上水道新設工事に関する請願委員長報告)  第七六 引揚援護愛運動経費国庫補助増額に関する請願委員長報告)  第七七 福岡県にアフタケア施設設置請願委員長報告)  第七八 社会福祉事業金庫設置請願委員長報告)  第七九 飲料水困窮伝染病多発小町村上水道布設国庫補助等に関する請願委員長報告)  第八〇 新潟県三條市の下水道布設工事路線変更に関する請願委員長報告)  第八一 国立らい療養所菊池惠楓園病床増設に関する請願委員長報告)  第八二 油津港に海港検疫所設置請願委員長報告)  第八三 理容美容業試験および免許制等存続に関する請願委員長報告)  第八四 国立只見資源公園設定に関する請願委員長報告)  第八五 栄養士法存続に関する請願委員長報告)  第八六 同和事業促進に関する請願委員長報告)  第八七 地盤沈下変動に伴う下水道布設費国庫補助請願(二件)(委員長報告)  第八八 理容師美容師法廃止反対に関する請願委員長報告)  第八九 未復員者給與法適用期間延長等に関する請願委員長報告)  第九〇 大分県南山田村の簡易水道設置費国庫補助に関する請願委員長報告)  第九一 大分県北山田村の簡易水道設置費国庫補助に関する請願委員長報告)  第九二 国立松江病院整備拡充に関する請願委員長報告)  第九三 未復員者給與法による療養期間延長請願委員長報告)  第九四 未復員者給與法適用範囲拡大に関する請願(二件)(委員長報告)  第九五 社会保險医療強化に関する請願委員長報告)  第九六 国民健康保険事業危機突破に関する請願(七件)(委員長報告)  第九七 健康保險療養給付期間延長に関する請願(四件)(委員長報告)  第九八 健康保險医療給付期間延長に関する請願委員長報告)  第九九 健康保險険給付費一部国庫負担等に関する請願委員長報告)  第一〇〇 国民健康保險事業費国庫補助増額に関する請願委員長報告)  第一〇一 社会保障制度実施促進等に関する請願委員長報告)  第一〇二 結核回復者雇用国家的措置に関する請願委員長報告)  第一〇三 国立きつ音きよう正所設立に関する請願委員長報告)  第一〇四 戰争犠牲者遺族等援護対策に関する請願委員長報告)  第一〇五 戰争犠牲者援護強化に関する請願委員長報告)  第一〇六 未帰還抑留者および留守家族援護対策に関する請願委員長報告)  第一〇七 原爆犠牲者等援護に関する請願委員長報告)  第一〇八 元華北交通株式会社戰没社員遺家族等援護に関する請願委員長報告)  第一〇九 母子福祉法制定に関する請願(四十件)(委員長報告)  第一一〇 未帰還者留守家族援護等に関する請願委員長報告)  第一一一 元軍人軍属遺族保障制度確立等に関する請願委員長報告)  第一一二 元傷い軍人等福祉措置拡大に関する請願委員長報告)  第一一三 兒童福祉司制度廃止反対に関する請願(六件)(委員長報告)  第一一四 国立大阪病院結核病棟閉鎖反対等に関する請願委員長報告)  第一一五 福島県湯野町上水道布設に関する請願委員長報告)  第一一六 東京都立川市附近の飲料水汚染防止に関する請願委員長報告)  第一一七 受胎調節に関する請願(六件)(委員長報告)  第一一八 広島市大須賀町に特殊飲食店街設置反対請願(二件)(委員長報告)  第一一九 東京都西府村住居專用地区の旅館、飲食店営業不許可に関する請願委員長報告)  第一二〇 国民栄養改善法制定に関する請願(四十六件)(委員長報告)  第一二一 けい肺特別法制定に関する請願(三件)(委員長報告)  第一二二 失業対策事業労務者賃金引上げ等に関する請願(二件)(委員長報告)  第一二三 失業対策強化確立等に関する請願委員長報告)  第一二四 失業対策事業完全就労に関する請願委員長報告)  第一二五 広島県呉地区英連邦軍関係日本人労務者取扱に関する請願委員長報告)  第一二六 派出看護婦職業紹介に関する請願委員長報告)  第一二七 日雇労働者保險制度等に関する請願委員長報告)  第一二八 岡山市に中国四国ブロツク労災病院設置請願委員長報告)  第一二九 福島県に労災病院設置請願委員長報告)  第一三〇 札幌市に労災病院設置請願委員長報告)  第一三一 夷隅川江東橋架替に関する請願委員長報告)  第一三二 フラヌイ富良野橋の永久橋架替に関する請願委員長報告)  第一三三 道路費予算増額に関する請願委員長報告)  第一三四 災害復旧工事に関する請願委員長報告)  第一三五 利根川中流しゆんせつ工事施行に関する請願委員長報告)  第一三六 北上川大堤防生母黒石線工事継続施行に関する請願委員長報告)  第一三七 国道九号線改修工事に関する請願委員長報告)  第一三八 吉井川下流改修工事促進に関する請願委員長報告)  第一三九 吉井川金岡地区西岸堤防強化工事施行に関する請願委員長報告)  第一四〇 箱根旧街道等改良工事施行に関する請願委員長報告)  第一四一 元軍人恩給復活に関する陳情(九件)(委員長報告)  第一四二 元軍人老齢者恩給復活に関する陳情(三十件)(委員長報告)  第一四三 元軍人老齢者等恩給復活に関する陳情(二件)(委員長報告)  第一四四 元軍人軍属恩給復活に関する陳情委員長報告)  第一四五 元軍人軍属等恩給復活に関する陳情(四件)(委員長報告)  第一四六 元軍関係公務員恩給復活に関する陳情(八件)(委員長報告)  第一四七 軍人遺家族恩給復活に関する陳情委員長報告)  第一四八 軍人遺家族等恩給復活に関する陳情(十七件)(委員長報告)  第一四九 恩給均衡是正に関する陳情(二件)(委員長報告)  第一五〇 警察予備隊演習用地買收等に関する陳情委員長報告)  第一五一 長崎県対馬に警察予備隊分駐陳情委員長報告)  第一五二 元陸海軍軍属文官恩給復活に関する陳情委員長報告)  第一五三 元傷い軍人恩給復活に関する陳情委員長報告)  第一五四 皇居復興促進運動に関する陳情委員長報告)  第一五五 食糧行政機構存続等に関する陳情委員長報告)  第一五六 登記制度改善に関する陳情委員長報告)  第一五七 売春問題に関する陳情委員長報告)  第一五八 戰犯者釈放等に関する陳情(四件)(委員長報告)  第一五九 戰犯者釈放に関する陳情(十四件)(委員長報告)  第一六〇 戰犯者助命等に関する陳情(三件)(委員長報告)  第一六一 戰犯者釈放減刑等に関する陳情委員長報告)  第一六二 療術師法制定反対等に関する陳情委員長報告)  第一六三 療術師法制定反対に関する陳情委員長報告)  第一六四 あん摩師はり師ゆう師および柔道整復師試験制度廃止反対等に関する陳情(二件)(委員長報告)  第一六五 新潟県の結核病床増設等に関する陳情委員長報告)  第一六六 県立病院整備費国庫増額に関する陳情委員長報告)  第一六七 国立札幌病院新築完成促進に関する陳情(二件)(委員長報告)  第一六八 理容美容業試験および免許制廃止反対に関する陳情(二件)(委員長報告)  第一六九 災害救助法および同法施行令中一部改正に関する陳情委員長報告)  第一七〇 雲仙国立公園施設整備費国庫補助に関する陳情委員長報告)  第一七一 食品衛生法存続に関する陳情委員長報告)  第一七二 生活保護法最低生活基準額引上げに関する陳情委員長報告)  第一七三 アフタケア施設設置に関する陳情委員長報告)  第一七四 理容師美容師法存続に関する陳情委員長報告)  第一七五 生活保護法奨学資金制度等との調整に関する陳情委員長報告)  第一七六 簡易水道施設費国庫補助に関する陳情委員長報告)  第一七七 更生資金予算復活等に関する陳情委員長報告)  第一七八 同和事業促進に関する陳情委員長報告)  第一七九 伊勢志摩国立公園地内内宮前駐車場施設費国庫補助増額等に関する陳情委員長報告)  第一八〇 結核対策に関する陳情委員長報告)  第一八一 地盤沈下変動に伴う下水道布設費国庫補助陳情委員長報告)  第一八二 国民健康保險直営診療施設費国庫補助増額等に関する陳情委員長報告)  第一八三 社会保險制度改善に関する陳情委員長報告)  第一八四 国民健康保險事業危機突破に関する陳情(七件)(委員長報告)  第一八五 国民健康保險医療給付費国庫補助増額に関する陳情委員長報告)  第一八六 健康保險法適用範囲拡充に関する陳情委員長報告)  第一八七 元満州開拓青年義勇隊取扱に関する陳情委員長報告)  第一八八 硫黄島戰没者遺骨收容慰霊に関する陳情委員長報告)  第一八九 母子福祉法制定に関する陳情(二件)(委員長報告)  第一九〇 元軍人軍属遺族保障制度確立等に関する陳情(四件)(委員長報告)  第一九一 アツツ島戰没者調査等に関する陳情委員長報告)  第一九二 兒童福祉施設費国庫補助増額に関する陳情委員長報告)  第一九三 兒童の精神衛生に関する福祉機関設置陳情委員長報告)  第一九四 受胎調節に関する陳情(二件)(委員長報告)  第一九五 国民栄養改善法制定に関する陳情委員長報告)  第一九六 けい肺特別法制定に関する陳情(十四件)(委員長報告)  第一九七 国立産業安全博物館設立に関する陳情委員長報告)  第一九八 岡山県に中国四国地区労災病院設置陳情委員長報告)  第一九九 国道四十一号線改修工事促進に関する陳情委員長報告)  第二〇〇 紀伊半島循環国道改修工事促進に関する陳情委員長報告)  第二〇一 島根県下の豪雨災害復旧に関する陳情委員長報告)  第二〇二 富山県下の災害復旧促進に関する陳情委員長報告)     —————————————
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、公職選挙法の一部を改正する法律案、  日程第二、公職選挙法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案、(いずれも衆議院提出)  日程第三、国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案、(内閣提出衆議院送付)  以上二案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。地方行政委員長西郷吉之助君。    〔西郷吉之助君登壇、拍手〕
  5. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 只今議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案について、法案内容の概略と、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  本法案衆議院提出にかかるものであります。  改正案内容は、(一)選挙運動に関する事項、(二)選挙運動費用に関する事項、(三)選挙管理に関する事項、(四)その他の事項に大別することができるのでありますが、原案は、選挙運動については特に一章を新設して衆議院議員選挙特例規定しております。以下順次その大体を御説明いたします。  第一、選挙運動については、   (1) 選挙運動期間を短縮すること。即ち選挙期日公示又は告示の時期及び立候補届出期限改正す  ることによつて参議院議員について最大限三十日間を現行法通りに据え置いたほかは、殆んど全部に亘つて選挙運動期間を短縮すること。   (2) 選挙事務所の数を減少すること。即ち衆議院議員参議院地方選出議員都道府県知事及び教育委員選挙における選挙事務所の数は、原則として現行二カ所を一カ所とすること。   (3) 未成年者選挙運動及び未成年者を使用して選挙運動を行うことを禁止すること。   (4) 戸別訪問を全面的に禁止すること。   (5) 自動車拡声機及び船舶の使用に関する規定を整備すること。   (6) 文書図画のうち、選挙運動用ポスター掲示は、選挙事務所表示自動車等に使用される場合等、極めて限られた範囲、及び参議院全国選出議員選挙運動についてこれを認める以外には全面的に禁止すること。   (7) 新聞紙雑誌報道及び評論等の自由に関して新たに規制を行うこと。即ちいわゆる選挙目当て新聞紙又は雑誌より生ずる弊害を除去するため、選挙運動期間中に限り、一定の條件を具備する新聞紙及び雑誌についてのみ、報道評論等の自由を認めることとして、その條件を定め、なお、新聞紙雑誌不法利用等に対する制限規定を設けると共に、新聞紙雑誌人気投票掲載を禁止すること。   (8) 政見放送については、日本放送協会のほか、民間放送をも利用し得る途を開くと共に、この法律規定する場合を除くほか、放送設備を使用して、選挙運動のために放送をし又は放送させることを禁止すること。   (9) 公営立会演説会開催の場合の標準人口單位を引下げて、開催主体を拡充すること。   (10) 任意制立会演説会制度を拡充して、都道府県及び五大市議員選挙の場合にもできるようにすること。   (11) 選挙公報の発行は、原則としてすべての地方選挙について認めること。   (12) 投票設載所その他適当な個所に候補者氏名等公営により掲示すべき旨を規定すること等を定め、次に、衆議院議員選挙特例として、   (1) 無料葉書枚数を、現行三万枚から一万枚に減じ、   (2) 選挙公報掲載文の字数を、現行五百字から千五百字に増し、   (3) 個人演説会開催を四十回以内に制限し、   (4) この法律に定める立会演説会及び個人演説会以外のすべての演説会を禁止し、   (5) 選挙運動に関する支出金額算出基準額現行二円から四円に引上げてこれを法定し、   (6) 衆議院議員の総選挙における選挙運動期間中の政党その他の政治活動を規制する規定を設けること等を定め、  第二に、選挙運動費用については、前に述べた衆議院議員選挙についての基準額引上げのほか、   (1) 選挙運動收支報告書手続を簡素化するため中間報告を廃止すること。   (2) 選挙運動に従事する者に対する実費弁償及び労務者に対する報酬について、当該選挙管理委員会がその基準額を定めることができる旨の規定を設けること等をきめ、  第三、選挙管理に関する事項については、   (1) 選挙期日公示又は告示期間を短縮すること。   (2) 代理投票補助者の不正を防止するため手続を嚴重にすること。   (3) 同一氏名、氏又は名の候補者が二人以上ある場合、その氏名、氏又は名のみを設載した投票を有効とし、これを各候補者のその他の有効投票数に比例して按分加算する旨の規定を設けること。   (4) 公営分担金を廃止し、供託金はおおむね現行法供託金及び分担金合算額倍額程度にこれを増額すると共に、立候補辞退の場合には、原則として供託金を没收すること。   (5) 地方公共団体の長の決選投票制度を廃止すると共に、法定得票数を四分の一に引下げること。  第四、以上のほか、   (1) 詐偽投票の未遂及び代理投票補助記載者不正行為に対する罰則のほか、禁止規定等新設に伴い所要の罰則を設けること。   (2) 当選争訟における潜在無効投票の処理に関して、開票区ごとに各候補者得票数から当該投票数をそれぞれ一律に差引くものとし、この規定は本改正法公布の日において係争中の争訟についても適用すること。    〔議長退席、副議長着席〕   (3) その他細かい諸点についてそれぞれ改正を行わんとするものでありまして、  以上第一から逐次列挙いたしましたものが今回の改正法案主要点であります。  なお本法案は、政令その他の準備期間等を勘案して、施行期日を本年九月一日と定め、但し衆議院議員選挙に関しては次の総選挙から施行する旨を記しております。  地方行政委員会においては、衆議院議員小澤佐重喜君より本法案提案理由及び衆議院修正理由の説明を聴取し、政府委員その他関係者との間に質疑応答を重ねた後、本月二十九日討論に入りましたところ、各派共同提案により、左の修正案が提出されました。即ちその要旨は、  一、選挙運動における飲食物の提供は、現行通り湯茶に限ること。  二、選挙運動に使用することのできる自動車船舶及び拡声機について、  (1) 衆議院議員及び参議院地方選出議員選挙都道府県選挙並びに五大市選挙に使用する拡声機を二揃とすること。  (2) 五大市以外の市の選挙についても、自動車一台又は船舶一隻及び拡声機一揃を認めること。  三、無料葉書枚数衆議院議員参議院地方選出議員及び都道府県知事選挙にあつては一万枚とすること。  四、選挙運動のために、アドバルーン、ネオン・サイン又は電光による表示、スライドその他の方法による映写等の類を掲示する行為は、文書図画掲示禁止行為に該当するものとみなすこと。  五、文書図画のうち、選挙運動用ポスター掲示は、衆議院議員選挙についてのみ全面的に禁止し、参議院地方選出議員都道府県知事及び都道府県教育委員選挙については、現行公職選挙法第百四十四條第一項第一号但書による参議院地方選出議員の場合を除いて二千枚とすること。  六、選挙運動期間中、選挙に関する報道及び評論の自由を有する新聞紙又は雑誌は左に掲げるものとすること。  (1) 左の條件を具備するもの。(イ)新聞紙にあつては毎月三回以上、雑   誌にあつては毎月一回以上、号を逐つて定期に有償頒布するものであること。(ロ)第三種郵便物の認可のあるものであること。(ハ)当該選挙選挙期日公示又は告示の日前六カ月以来(イ)及び(ロ)に該当し、引続き発行するものであること。  (2) 前掲條件を具備する新聞紙又は雑誌を発行するものが発行する新聞紙又は雑誌で、(イ)及び(ロ)の條件を具備するもの。  七、衆議院議員参議院地方選出議員都道府県知事及び都道府県教育委員選挙について。  (1) 個人演説会開催回数を六十回とし、個人演説会の告知用のポスター千二百枚を交付するものとすること。  (2) この法律に定めるところの立会演説会及び個人演説会を除くほか、選挙運動のためにする演説会(座談会を含む)は、如何なる名義を以てするを問わず、開催することができないものとすること。  八、街頭演説等のための標旗に関し、参議院全国選出議員選挙に係る選挙運動については、一つの都道府県においては、同時に二以上の標旗を掲げることができないこと。  九、連呼行為における自動車以外の諸車の制限を廃止すること。  十、標旗を要する選挙運動の運動員の数は、参議院全国選出議員の場合にあつては、候補者一人について、一都道府県ごとに十五人以内とすること。  十一、衆議院議員参議院地方選出議員都道府県知事及び都道府県教育委員選挙においては、選挙公報掲載文の字数を千五百字までとし、その他の選挙については現行通り五百字までとすること。  十二、公職の候補者氏名掲示期間改正に伴い、氏名掲載の順序についての規定に所要の修正を加えること。  十三、潜在無効投票の処理については、開票区ごとに、各候補者得票数から当該無効投票数を各候補者得票数に応じて按分して得た数をそれぞれ差引くこと。  十四、当選無効の原因となる選挙犯罪に関する刑事事件については、裁判所において事件を受理した日から百日以内に判決ができるように努めなければならない旨の規定を設けること。  十五、罰則規定中、新聞紙又は雑誌選挙の公正を害した場合においては、当該新聞紙又は雑誌の編集を実際に担当した者及びその新聞紙又は雑誌の経営を担当した者を罰すること。  十六、その他若干の点につき所要の修正を加えること等であります。  以上修正内容を法文化したものはお手許に配付いたしました通りであります。  かくて採決の結果、右修正案は全会一致を以て又修正部分を除く衆議院送付の原案は多数を以てこれを可決すべきものと決定いたしました。よつて法案修正議決すべきものと決定した次第であります。  なお最後に、本法案の審議中、知事その他の公務員の国会議員に対する立候補制限の問題については、委員会において審議を盡す時間的余裕がなかつたので、特にこの問題は別途地方行政委員会より要求中の継続調査の中に含めて、今後これを十分審議すべきことを委員会において全会一致を以て決定いたしました。この点特に申し添えます。  右御報告いたします。(拍手)  只今議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案について、地方行政委員会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。  本法案は、衆議院提出に係るものでありまして、その内容は、公職選挙法の一部を改正する法律案に関連して、公職選挙法規定を準用しておりまする地方自治法、最高裁判所裁判官国民審査法、漁業法及び農業委員会法の関係條文の整理を行おうとするものであります。地方行政委員会においては、衆議院議員中川俊思君より提案理由の説明を聴取し、関係者との間に質疑応答を重ねた後、本月二十九日討論に入りましたところ、各党会派共同提案により、次の修正案が提出されました。その内容は、公職選挙法の一部を改正する法律案に対する地方行政委員会修正に伴う字句的修正でありまして、これを法文化したものはお手許に配付いたしました通りであります。  かくて採決の結果、右修正案に対しては全会一致を以て、又修正部分を除く原案に対しては多数を以て、これを可決すべきものと決定いたしました。よつて法案修正議決すべきものと決定した次第であります。  以上御報告いたします。(拍手)  只今議題となりました国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。本法案は、(一)国会議員選挙等執行経費基準に関する法律(以下基準法と略称いたします)の施行後において行われた公務員の給與の改訂、鉄道旅客運賃、郵便料金及び電信電話料金の改訂、用紙、燃料その他の物価の騰貴、並びに公職選挙法の一部改正に伴う選挙事務の態様の変更等により基準を改めること。(二)基準施行の実績に鑑み、選挙人の数が十五万以上の市及び区の選挙事務に要する経費の基準額に一定額を加算する規定新設すること等を主要な内容とし、その他規定の整備を行なわんとするものであります。  この政府原案に対し、衆議院において、今回同院提出の公職選挙法の一部を改正する法律案、特に衆議院議員選挙特例規定等に照応して、選挙公報の拡充、候補者氏名等掲示の改善、個人演説会表示の立札の公営個人演説会告知用ポスター等については、基準増額又は新設し、選挙運動用ポスターについては、その廃止の原則に伴つて基準額参議院全国選出議員の場合についてのみ規定する等の修正が加えられております。而して内閣提出改正原案によれば、公職選挙法に基く選挙執行経費中、地方委託費は総額十二億四千五十万六千円となる計算であり、衆議院修正によれば、これに一億三千九百八十万円を増加することになりますが、それは予算の枠内での調整にとどめ、予算の額自体には影響を来たさない次第であります。  地方行政委員会においては、保利官房長官より提案理由の説明及び衆議院修正理由の説明を聞き、関係者との間に質疑応答を重ねた後、本月二十九日に討論に入りましたところ、各党会派共同提案により、次のような修正案か提出れさました。  即ちその修正の要旨は、個人演説会の回数増加に伴う演説会場の施設費、選挙運動用及び個人演説会用ポスター用紙、個人演説会の立札、選挙公報発行の経費の基準額等にそれぞれ所要の修正を加えるものであります。以上修正内容を法文化したものは、お手許に配付いたしました通りであります。なお、この修正によつて予算総額は動かさず、即ち既定予算の枠内におけるやりくりによつて賄うことに相成つております。かくて討論を終り、採決の結果、本法案は、右修正案は全会一致を以て、又修正部分を除く衆議院送付の原案は多数を以て、これを可決すべきものと決定いたしました。よつて法案修正議決に決定いたしました次第であります。  以上御報告いたします。(拍手)
  6. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 公職選挙法の一部を改正する法律案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。須藤五郎君。    〔須藤五郎君登壇、拍手〕
  7. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は日本共産党を代表しまして、只今上程されました公職選挙法の一部を改正する法律案並びに同修正案に対しまして反対するものであります。あの売国的講和條約の発効以来、我が国に対するアメリカ帝国主義者の軍事的植民地支配はますます露骨に急激に推し進められており、これに従つて吉田政府の売国ぶりもますます露骨になつて来ておるのであります。曾つて吉田首相のいわゆる和解と信頼の講和のデマを信じ、占領中よりは、ましになるだろうと考えていた人たちでさえ、今日では吉田総理は日本をアメリカに売渡したのだと、はつきりと知つて、吉田政府を売国奴と呼び、吉田政府の打倒を要求しておるのであります。今や売国両條約、行政協定に対する国民の憤激は日ごとに高まり、平和と独立のための鬪いは日一日と拡大されて来ております。そして吉田政府と自由党は民族の敵としてますます国民から孤立して行つております。このことは、吉田総理のお膝下高知でさえ、数次の選挙において自由党は惨敗しておる事実によつても明らかであります。このような国民の憤激におびえた政府は、破防法を中心とした彈圧法を制定して国民を彈圧すると共に、選挙法を改悪して、東條式翼賛選挙によつてその売国政権を維持しようと必死になつておるのであります。このことは本改正案の中に露骨に現われております。  第一に、本改正案は大衆的な選挙運助を禁止するものであります。吉田政府と自由党にとつて何よりも恐ろしいことは、大衆が選挙に参加し、政治運動をすることによつて、革命的に鍛え上げられて行くことであります。それ故、自由党はあらゆる機会に国民を政治から遠ざけようと努力しておるのであります。選挙期間の短縮、供託金など選挙費用の増額未成年者選挙運動及び選挙期間中の署名運動の禁止、無料葉書の削減、ポスターの禁止、選挙運動員の制限、街頭演説会、屋内演説会、連呼行為の制限等、明らかに大衆的な選挙運動を彈圧するものであります。言論を封じて金の力のみによつて出て来る議員なれば、むしろ金庫を議席に並べたほうが気がきいているのであります。  第二に、本改正案は、選挙目当てのゴロツキ新聞を禁止するためと言つて、新聞雑誌報道及び評論の自由に制限を加えているが、これは明らかに、労働組合、農民組合、その他の民主的大衆団体の選挙報道の禁止を狙うもので、憲法に保障された出版の自由、表現の自由の権利を制限禁止するものであります。  第三に、本改正案は政党の政治活動を制限禁止している点であります。即ち、政党の行う政談演説会、街頭演説、ポスター、機関紙などに制限を加え、又二十五人の候補者を持たない政党は政党として認めないことなどであります。これこそ政党の否定であり、翼賛選挙であります。  更に政府は、この選挙法の改悪を行うと共に、選挙管理委員会を廃止して自治庁に合併する一方、直接選挙の取締に当る警察を総理大臣の指揮監督の下に置こうとしているのであります。このことは、時の政府によつて選挙が運営され、思いのままに権力による選挙干渉取締を行おうとするもので、一切の反対党の彈圧を公然と行なつている李承晩政府のやり方と全く同じであります。このように、一方では金のかからない選挙のデマを振りまきながら、あらゆる改悪を行う半面、実費弁償及び報酬、茶菓の提供などの名目で買收の抜け道を作り、金と物による腐敗戰挙を準備しておるのであります。  以上のように、本改正案は、国民の平和と独立の鬪争の高まりの前におびえる自由党を中心とする売国勢力が如何に国民を彈圧し欺瞞せんかとの陰謀であると断ぜざるを得ないのであります。悪質なる社会民主主義者が本改正案に対して双手を挙げて賛成しているのも決して偶然ではありません。だが併し、あの血のメーデー、破防法反対のゼネストを鬪い抜いた英雄的労働者階級を中心とする国民の鬪争の前には、自由党を中心とする売国勢力は必ず粉砕されるであろうことを断言して、本改正案並びに修正案に反対するものであります。
  8. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 若木勝藏君。    〔若木勝藏君登壇、拍手〕
  9. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 私は社会党第四控室を代表いたしまして、只今議題となりました公職選挙法一部改正法律案に対し、委員会の修正及び修正部分を除く部分に賛成の意見を表明するものであります。  衆議院における公職選挙改正特別委員会が本法案を提出した理由は、既往の選挙の実情に鑑み、現行法の欠陷を是正して、選挙の公明刷新、選挙運動費の適正を図るため、選挙運動に適当な制限を加えると共に、選挙の管理執行に関する規定を整備しようとするところにあるのであります。然るに本案の内容をつぶさに検討いたしまするに、選挙運動費の縮減に名をかり、選挙運動に関し実に三十余項目に亘り必要以上の制限を加え、選挙の自由を束縛し、却つてその言うところ公正を失する虞れある点が多々指摘されるのであります。その主要な点について申述べるならば、  第一に、選挙期日公示又は告示期日を短縮し、選挙運動期間衆議院議員知事都道府県教育委員、市の長、議員及び教育委員等の運動期間を五日間、又町村の長、議員及び教育委員にあつては実に十日間に減らしているのであります。特に町村の選挙では、現在の運動期間の二十日間が半分に短縮されたことは、選挙そのものがスムーズに行われるかということすら疑問とするところであります。言うまでもなく選挙運動期間を短縮することは、事前運動を招来することや、又最悪の場合は候補者をして、買收、饗応の悪質な不正手段に追い込む危險を包蔵し、提案者のいう公明な選挙とはおよそ反対の方向に走る場合を生ずるに至ることは、既往の選挙に照らして推測に難くないところであります。  第二に、選挙運動用の自動車拡声機及び船舶の使用について制限した点であります。選挙運動における必須の要件は、候補者が己が政策をあまねく選挙民に滲透させるところにあるのでありまして、この目的達成の手段上最も迅速且つ広汎に活動を助ける重要なものは、自動車拡声機船舶であることは、議論の余地のないところであります。特に拡声機の数を減ずることは、二の点において支障の甚大なものであるのに、原案でこれらを無視していることについては甚だ了解に苦しむところであります。  第二に、無料葉書衆議院議員選挙特例として現行の三万枚を一万枚に減じたこと、又参議院全国選出議員選挙の場合を除き、文書、図画のうち選挙運動用ポスター掲示を全面的に禁じたことであります。候補者の政策を山間僻地に至るまで選挙民に周知徹底させるためには、あらゆる手段を盡せしむべきであります。この意味において無料葉書やポスターは極めて重要なものであるにかかわらず、これを減少又は禁止することは、正常な選挙運動の具備すべき條件を欠くものでありまして、特に名の売れていない新人にとつては極めて不利なものとなることは明らかなことであります。  第四に、いわゆる選挙目当ての新聞雑誌を禁止するということに藉口して、徒らにその報道評論の自由を制限せんとしたことであります。原案では、新聞紙雑誌の発行回数、又選挙期日公示又は告示の前一年以来引続き発行しているという点、更に新聞紙にあつては社団法人たる新聞協会の会員、雑誌にあつては社団法人たる出版協会の会員であること等によりまして制限しようとしているのであります。これは全く一部特定な現象に眩惑されて、新聞雑誌の使命を沒却し、正当な選挙報道、公正な批判を選挙民から剥奪し、選挙に対する国民の目を塞がんとするものであり、ただに選挙の自由を束縛するのみならず、憲法第二十一條に規定される言論、出版その他一切の表現の自由の保障を無視し、まさに憲法違反の虞れありとすら考えられるのであります。  第五に、個人演説会の回数を甚だしく制限し、告知用のポスターの数を僅少にし、且つ立会演説会及び個人演説会を除く選挙運動のためにする演説会開催を禁止したことであります。賛言を要するまでもなく、候補者の演説は選挙運動の中軸をなすもので、その政策の滲透は勿論、選挙民のバロメーターとも言うべきものであります。演説会を通じて選挙民に批判の機会を與えることこそ民主政治の生命であり、はた又、国民の民主的教養を高める最良の機会でもあるのであります。(「そうだよ」と呼ぶ者あり)原案はただ單に選挙費用の縮減等、当面選挙運動の制限に偏向し、この重要な民主政治の向上の一面を沒却していることは甚だ遺憾とすることであります。(「それが賛成討論か」と呼ぶ者あり)  第六に、選挙運動のためにする街頭演説について、候補者の一人につき一本の標旗を交付し、それを所持する場合以外はできないと規定したことであります。前述のごとく候補者の演説は選挙運動の中軸をなすものであり、特に街頭演説はこれを最も手軽く効果的にするものであることは、既往の選挙の経験から万人ひとしくこれを認めるところであります。これを極度に制限し、一人の候補者については一カ所よりやれないとしたことは、公明自由ないわゆるガラス張りの言論戰を回避するも甚だしいものであり、かくのごとき制限は、やがて公明であるべき選挙を忌わしい闇の選挙に追い込む危險を多分に含むと共に、隠れたる優秀な新人の進出に対し、その機会を奪うものであると断ぜざるを得ないのであります。この点については、選挙制度調査会においてすら、候補者一人につき標旗三本まで認めているのであります。  第七には、衆議院議員選挙特例として政党その他の政治団体の政治活動について極端な制限の規定を設けたことであります。原案では政談演説会は一選挙区につき一回とすること、政治活動を行うことができる政党その他の政治団体は、全国を通じ二十五名以上の候補者を有するものに限定し、その候補者の数によつて使用の自動車の台数をきめ、又その発行する機関新聞紙、又は雑誌選挙に関する報道及び評論規定したものであります。政党、政治団体は、政治活動を除いて存在の理由がないのでありまして、選挙の機会において、政党、政治団体の政策を自由に普及滲透させるところに政党の成長があり、政党政治の意義があるのであります。然るに原案において、憲法二十一條に規定されている集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由の保障まで無視して、政党その他の団体に対して二十五名の立候補者を有するものに限つて政治活動を行わしめるように制限したことは、その意味奈辺にあるのか了解に苦しむところであります。(「一つも賛成するところないじやないか」と呼ぶ者あり)  これを要するに、衆議院送付の原案は(「賛成討論だよ」と呼ぶ者あり)現行法によれば選挙運動の費用が多額に上るということに藉口して、運動のあらゆる面に大幅な制限を加えたものでありまして、それがために、候補者の演説や、或いは新聞雑誌報道評論の自由等、選挙運動の中核とも言うべき言論の自由の抑圧となり、又政党、政治団体の政治活動の極端な束縛となつて候補者は勿論、政党、政治団体は選挙民にその政策を十分に滲透させる機会と方法を奪われてしまつているのであります。一方、選挙民の側からすれば、候補者、政党等の政策を十分批判する機会を與えられず、明確な判断の下に選挙権を行使することができない状態に置かれているのであります。このような状態は全く民主的な選挙の基本線を外れたものでありまして、我が国の民主政治の成長に甚だしいブレーキをかけるものと言わざるを得ないのであります。委員会の修正は主としてこの極端な行き過ぎの部面の是正に着目されているのであります。即ち拡声機の数を一揃から二揃に増加し、個人演説会の回数を四十回から六十回に殖やし、(「五割殖えた」と呼ぶ者あり)併せてその告知用のポスターの枚数を原案の四百枚を千二百枚に改め、(「三倍、大したものだ」と呼ぶ者あり)更に原案で禁止されたポスターを地方区の参議院の選挙に二千枚を限り復活し、選挙公報の字数を現在の三倍まで増加する等、言論の制限を緩和すると共に、新聞雑誌報道評論の自由に対する束縛規定を緩和したことは、原案に比べて公明な選挙に幾分の明るさを取戻したことが認められるのであります。(「ちよつとおかしい」と呼ぶ者あり)次に、候補の氏名掲示の順序を規定した点、当選争訟におけるところの潜在無効投票の処理を合理的な方法に改めたこと、当選無効の原因となる選挙犯罪の処理、罰則規定改正等は、選挙管理上適切な措置が図られたものと言うべきであります。  かくのごとく、委員会の修正によつて、原案における選挙運動の極端なる制限が是正され、選挙管理上の二、三の点が適正化されたとしても、本法案の全般を通じ、自由、公明な選挙ということは、未だ多くを期待しがたいのでありまして、我が党といたしましては、不満の点を有するものでありますが、(「なぜ反対しないか」と呼ぶ者あり)原案よりも我々の意図するところに近付いたものとして賛成する次第であります。(拍手、「そんな乞食根性で、いつ問題が解決するか」と呼ぶ者あり)
  10. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。委員長報告はいずれも修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  11. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて三案は委員修正通り議決せられました。      —————・—————
  12. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) この際、日程の順序を変更して、日程第四より第二十六までの請願及び日程第百四十一より第百五十五までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。    〔河井彌八君登壇、拍手〕
  14. 河井彌八

    ○河井彌八君 議題になりました請願及び陳情に関する内閣委員会の審議の結果について御報告申上げます。  請願陳情は合せて五百六十六件でありまして、これを分類いたしますると、その第一は恩給関係のもの、その第二は行政機構関係のもの、その第三は行政運営に関するもの、この三種であります。  第一種の恩給関係の請願及び陳情のうちで、その一つは軍人恩給関係の請願及び陳情であります。これは大体趣旨が同様でありまするので一括して報告をいたします。これらの請願者及び陳情者は、いずれも元軍人、老齢軍人、傷痍軍人軍人遺家族軍関係公務員等でありまして、いずれも軍人恩給の復活を要望いたしておりますが、いわゆる軍人恩給は、昭和二十一年ポツダム勅令の形で出ておりまするところの勅令第六十八号によつて禁止又は制限せられておつたのであります。これら多数の元軍人らのいわゆる軍人恩給復元の強い要望に対しましては、すでに今国会におきまして恩給法特例に関する件の措置に関する法律が制定せられることになりました。而してこの法律によりますると、先に述べました勅令第六十八号は、明年三月三十一日までは法律としての効力を有するものとしてこれを存続せしめると共に、他方において恩給法特例審議会を設けて軍人恩給復元の問題を審議せしめることといたしたのであります。この軍人恩給復元の問題につきましては、去る五月二十六日、当院においてこの法律案委員長審査報告をいたしました際に詳細を盡して申述べておきました通りでありまして、政府においてもその実現について十分誠意を以て考慮いたすとのことでありまするから、軍人恩給に関する多数の請願者及び陳情者の要望は、恐らく明年三月までにはかなえられるであろうと信ずるのであります。その二は、いわゆる恩給均衡是正に関するものでありまして、昭和二十三年六月三十日以前に退職した公務員の恩給が、その後に退職した公務員の恩給に比べて大きく差がありまするから、これを是正してもらいたいという趣旨のものであります。この恩給均衡是正の問題につきましては、今国会において、昭和二十三年六月三十日以前に給與事由の生じた恩給の特別措置に関する法律が成立いたしましたから、請願者及び陳情者の要望の大部分はこれによつて達せられることと思うのであります。その三は、養護教諭等の前歴をば恩給年数に加算せられたいという趣意のものであります。即ち学校看護婦及び養護婦は、一般教職員の場合における代用教員、代用保姆に相当するものでありまするから、昭和十六年、養護教諭職制制定以前の学校に看護婦嘱託時代の勤務年数及び職制制定後における養護婦の勤務年数を恩給年数に加算せられたいという趣意であります。  第二種のものは、行政機構に関する請願及び陳情であります。その一つは、人権擁護局存置に関する請願でありまして、過般、当院において可決せられました法務府設置法等の一部を改正する法律案におきまして、この請願の趣旨の通り、この人権擁護局は現状通り存置せられることとなつたのであります。その二は、食糧行政機構存続等に関する陳情でありまして、これ又このたび当院において可決せられました農林省設置法の一部を改正する法律案は、参議院の修正によりましてこの陳情の趣旨の通り存置せらるることとなつたのであります。  第三種の行政運営に関する請願陳情につきましては、その一つは、北海道上士幌村の総合開発に関する請願でありまして、これは上士幌村は水利に惠まれぬために開拓者の離農が続出しているから、至急に上水道計画、道路、鉄道施設、糠平発電所等の着工実現を取計らわれたいという趣旨のものであります。その二は、北海道開発促進に関する請願でありまして、自立経済確立の途上にある我が国において国内過剰人口を収容する未開発国土開発は根本的且つ緊急な対策でありまするから、この際、特殊未開発寒冷地帶である北海道に対して、未開発地開発費の完全枠の増額による強力な開発を希望して、又次には、同地における企業者及び一般住民に対する所得税の特別控除、又次には、公共団体の行う開発の援助等大胆率直なる措置をとられたいという趣旨のものであります。その三は、東京学生会館予備隊接收反対に関する請願であります。東京学生会館を予備隊が接收するということが伝えられているのでありまするが、この会館は昭和二十年に開館せられまして、学生の自治によつて運営されている建物で、建物の中には学生アルバイト相談所があつて、最近では毎日千名を超える学生求職者がこれを利用しているから、これを予備隊に接收することは貧しい学生の生活を脅かす結果となるから、このような計画を撤回せられたいという趣旨であります。その四は、警察予備隊演習用地買収等に関する陳情でありまして、警察予備隊演習用地買收等に当つては、直接住民の生業を脅かす農地、特に開拓地の買收をば極力回避して、止むを得ず農地を買收する場合には、早期に代替地を決定するほか、適正にして十分なる補償を早急に支拂うよう措置せられたいという趣意のものであります。その五は、長崎県対馬に警察予備隊分駐陳情であります。対馬は国境の要衝でありまして、民心の安定と治安の強化を図るために速かに警察予備隊を分駐せられたいという趣旨のものであります。第六は、皇居復興促進運動に関する陳情でありまして、国民の象徴であらせられる天皇のおすまいが戰災のままに置かれていることは適当でないばかりでなく、国交再開の後に外国使臣との接見、国際儀礼の場合等を考えますると、このままに放置するわけには行かないから、皇居復興に関する国民運動を展開せられたいという趣意のものであります。  内閣委員会におきましては、右の請願及び陳情を審査いたしました結果、日程第二十五、北海道上士幌村の総合開発に関する請願日程第三十六、人権擁護局存置に関する請願、及び日程第百五十五、食糧行政機構存続等に関する陳情については、これを採択いたして、議院の会議に付し、内閣に送付するを要しないものと決定いたし、その他の請願及び陳情は、いずれも採択して、議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。  これを以て報告を終ります。(拍手)
  15. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告の通り採択し、日程第二十五、第二十六の請願及び日程百五十五の陳情の外は内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  16. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、日程第二十五、第二十六の請願及び日程第百五十五の陳情の外は内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  17. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) この際、日程の順序を変更して、日程第二十七より第四十二までの請願及び日程第百五十六より第百六十一までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。法務委員長小野義夫君。
  19. 小野義夫

    ○小野義夫君 只今議題となりました請願及び陳情に対する委員会における審査の経過並びに結果について御報告申上げます。請願第百二十四号は裁判所職員給與ベース改訂に関するものであり、請願第二百六十一号は青森県田名部町に大湊簡易裁判所移転請願、第四百六十六号は神奈県川崎市に地方裁判所検察庁支部設置請願、第千七十二号は大分県玖珠郡に簡易裁判所等設置に関する請願、第千五百二十五号は昭和二十二年勅令第九号の法制化に関する請願、第千五百九十五号は栃木県佐野市に簡易裁判所設置請願、第千八百八十五号は昭和二十二年勅令第九号の法制化に関する請願、第千九百三十六号は宮城築館検察庁舎新築等促進に関する請願、第千九百三十七号は宮城築館簡易裁判所庁舎新築等促進に関する請願、第二千十五号は福岡地方裁判所大牟田支部昇格に関する請願、第二千三百三十九号は鹿児島県志布志町に岩川簡易裁判所区検察庁移転請願、第二千七百三十二号、第二千九百七号、第二千八百六十三号、第三千百六十五号、第二千七百八十五号、第二千九百四十一号、第三千九百九十三号、第三千五号、第三千百六十四号、第三千百八十二号、第二千八百十五号、以上十一件はいずれも戰争犯罪人釈放に関する請願であります。第三千二百七号は裁判所構内弁護士控室設備等に関する請願、第三千二百八十六号は福島喜多方簡易裁判所家庭裁判所設置請願、及び陳情第百五十号は登記制度改善に関する陳情、第四百九十二号は売春問題に関する陳情、第九百七十号及び第千二百四十号、第千二百四十一号、第千二百七十三号、第一千七十三号、第一千百二十四号、第一千百二十五号、第一千百四十四号、第一千百四十五号、第一百六十九号、第一千百八十一号、第一千百八十九号、第一千百九十七号、第一千二百三十号、第一千二百三十八号、第一千二百三十九号、第一千二百五十三号、第一千二百八十五号、第一千二百八号、第一千二百二十二号、第一千二百四十三号、第一千二百四十二号、はいずれも戰犯者釈放に関する陳情であります。以上の諸件につきまして、本委員会は政府の所見を聞き、愼重に審査をいたしました結果、いずれもこれを採択し、院議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。以上御報告申上げます。
  20. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  21. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  22. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 日程第四十三まり第四十八までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。外務委員長有馬英二君。
  24. 有馬英二

    ○有馬英二君 只今議題となりました請願六件につき外務委員会における審議の結果を簡單に御報告申上げます。先ず請願第二千九百六十四号は、日米行政協定による調達契約に際して労働三法の完全適用、商業ベースに基く特需契約方式の採用、紛争の合理的解決、工場の日本側による自主的運営を要望いたしたものであります。請願第三千百五十号は南方遺家族会関係からのものでありまして、インドネシア、ニユーギニア島における我が国戰沒者を供養し、生存者の送還について善処されたいとの要望であります。次に請願第三千二百五十四号、第三千二百五十五号、第三千二百五十六号は、いずれも福岡県における開拓地その他の接收除外に関するものでありまして、接收により当該地区の開拓事業は水泡に帰し、住民の生活に重大な脅威をもたらすものであるから、接收より除外されたいとの趣旨であります。請願第三千二百九十五号は、国連軍との行政協定締結に際しては、呉市の更生に重大な支障を来たさざるよう、期限付駐留協定の締結、接收施設の返還、裁判権の属地主義、国連軍に対する地方税法適用等について、万全の措置を講ぜられたいとの趣旨であります。以上の各件は七月二十九日の委員会において、いずれも願意を尤もと認め、これを議院の会議に付し、且つ内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。右報告申上げます。
  25. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願委員長報告の通り採決し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  26. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願は全会一致を以て採決し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  27. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) この際、日程の順序を変更して、日程第四十九より第百二十までの請願及び日程第百六十二より第百九十五までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございせまんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。厚生委員長梅津錦一君。    〔梅津錦一君登壇、拍手〕
  29. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 只今上程せられました請願二百二十二件、陳情四十八件に関する厚生委員会におきましての審議の経過並びに結果について御報告申上げます。厚生委員会におきましては、保險経済、遺族援護並びに母子福祉、医療、癩の各小委員会を設けてありますので、関連いたしますものは、それぞれの小委員会に付託して審議いたしましたが、なお厚生委員会において各小委員長報告を求め、愼重審議を重ねました結果、日程第四十九より第百十九までの請願百七十六件及び日程第百六十二より第百九十四までの陳情四十七件は、いずれも願意は妥当なものと認め、議院の会議に付して、内閣に送付を要すべきものと決定いたしました。又日程第百二十及び第百九十五の国民栄養改善法制定に関する請願陳情は、すでに成立を見ておりますので、議院の会議に付して、内閣に送付を要せざるものと決定いたしました次第であります。以上御報告申上げます。(拍手)
  30. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告の通り採択し、日程第百二十の請願及び日程第百九十五の陳情のほかは、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  31. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、日程第百二十の請願及び日程第百九十五の陳情のほかは内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  32. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) この際、日程の順序を変更して、日程第百二十一より第百三十までの請願及び日程第百九十六より第百九十八までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。労働委員会理事安井謙君。    〔安井謙君登壇、拍手〕
  34. 安井謙

    ○安井謙君 只今議題となりました請願及び陳情につきまして、委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。先ず請願第千九百五十四号、第千九百五十七号、第千九百七十号、第二千五十八号、第二千八百八十号は、いずれも現下の経済事情並びに治安の状況に鑑み、失業対策事業の拡充強化を要望するものであります。次に請願第二千百二十四号は、呉地区の苦連邦軍関係日本人労務者の雇用、労働條件を米軍労務者並みにして欲しいとの請願であります。請願第二千百八十六号は派出看護婦の紹介業者の申請を検討して、濫立を防ぐことを望むものであります。請願第二千九百三十四号は、日雇労働者に関し、技能者賃金を一般と別枠にし、失業保險の待期期間を撤廃し、日雇健康保險制度を実施すること等を望むものであります。陳情第千百四十七号は、労働省産業安全研究所及び産業安全参考館の国立産業安全博物館及び附設産業安全研究所への昇格を望むものであります。次に請願第三千百二号、第三千百四十七号、第三千二百五十三号、陳情第千二百九十三号は、それぞれ岡山市、福島県、札幌市の各地に、そのブロツクの労災病院の設置を望むものであります。次は請願第三百六十六号、第五百五十四号、第六百九十三号、陳情第百六十一号、第二百三十六号、第二百四十八号、第二百五十六号、二百九十二号、第三百五号、第四百二十四号、第五百二号、第五百十五号、第五百五十三号、第五百八十九号、第六百三号、第六百八十四号、第七百三十二号でありますが、これらはいずれもけい肺特別法制定を要望するものでありまして、炭鉱、鉱山、窯業等に従事する労働者の侵されるけい肺が、現在の医学を以てしても治癒しがたい、死に至る病であつて、その予防、治療、生活保障のために国家の強力な施策を願つております。    〔副議長退席議長着席〕 以上の請願陳情は、委員会において審議いたしましたところ、いずれもその願意妥当なるものと認め、これを採択し、院議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。右御報告申上げます。(拍手)
  35. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  36. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  37. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第百三十一より第百四十までの請願及び日程第百九十九より第二百二までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。建設委員長廣瀬與兵衞君。    〔廣瀬與兵衞君登壇、拍手〕
  39. 廣瀬與兵衞

    ○廣瀬與兵衞君 只今議題となりました日程第百三十一号から第百四十号までの請願十件及び日程第百九十九号から第二百二号までの陳情四件について、建設委員会の審議の経過並びに結果を報告いたします。これらの請願陳情のうち、河川に関するものは四件で、改修工事施行促進を要請するものであり、又道路に関するものは七件で、道路費予算の増額、道路改良工事の施行、橋梁の架替に関するものであります。このほか災害復旧事業の促進に関するもの三件は、災害に対する急速なる復旧措置を要望するものであります。以上いずれも国土の保全、交通の発達のため、願意おおむね妥当なものとして、これを院議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。以上御報告申上げます。(拍手)
  40. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  41. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。議事の都合により、これにて暫時休憩いたします。    午前十二時休憩      —————・—————    午後十一時十一分開議
  42. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。この際、日程に追加して、会期延長の件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。議長は、衆議院議長と協議の結果、国会の会期を本月三十一日まで一日間延長することに協定いたしました。この協定通り一日間延長することについて採決をするわけでありますが、これに対し討論の通告がございます。順次発言を許します。菊川孝夫君    〔菊川孝夫君登壇、拍手〕    〔「簡單々々」「ゆつくりやれ」と呼ぶ者あり〕
  44. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 私は社会党第四控室を代表いたしまして、只今議題となりました会期一日延長について反対の意見を申述べます。普通は会期延長等について討論を行わないのが大体慣例になつておつたのであります。併し、あえて本日これが討論に立たなければならないということは、私は最も遺憾とするものであります。と申しますのは、(「慣例通りにやればいいじやないか」と呼ぶ者あり)三十日間会期延長を衆議院におきまして一方的に議決いたしまして、参議院におきましては十日間の延長を議決したのにもかかわらず、これが協議も調わなかつた。而も衆議院におきましては一方的に三十日間の延期をきめておきながら、二十五日まで自然休会に入りまして、それぞれ委員会、本会議等を休んで、(「選挙運動だ」と呼ぶ者あり)その間、何ら議案の審査も行わなかつた。又当院から回付いたしました議案についても審議をせずに放つておいて、而も再開に当りましても、我々は二十一日までとにかく僅か一週間の本会議のみを開かないという議決のみで、その間におきましても、重要議案のかかつておりまする内閣委員会等におきましては、河井名委員長は老齢を提げられまして、夜間遅くまでこの議案と取組まれて愼重なる御審議をなさり、その蘊蓄を傾けられた報告もなされたのであります。あの老委員長が、本当に国会議員として、参議院議員として、模範的な態度を以て臨まれたので、我々はあの老委員長報告だけには頭を下げて、実に長い時間でありましたけれども、私は議席にとどまつておつたようなわけであります。このように、参議院におきましては、とにかく政府から提案されました諸議案につきましては真劔に取組んでいるのであります。而も最も真劔に取組まなければならない衆議院、即ち(「人事委員長はどうした」と呼ぶ者あり)與党の絶対多数を占める衆議院におきましては、その議院の運営方針につきましては與党の決定通りにやれるわけなんであります。その與党の諸君が二十五日間にも及ぶところの自然休会を行なつて、そうして出て参りまして、まだ二十五日から能率をあげて五日間なり六日間の議事進行を図られましたならば、一日間の会期延長というようなことをしなくても済んだのであります。率直に申しまして、この五日間、衆議院におきまして議院の運営が阻害されたのは自由党内における反乱軍の発生であります。(「そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり)漸くこの反乱軍が本夕鎭圧をされまして、だから今度は一日間会期を延長せよというがごときことを参議院へ協議をして来るがごときは、全く国会を一党の思うままにしようとする思い上りも甚だしいと言わなければなりません。(拍手、「まだ四分あるよ」と呼ぶ者あり)かかる状態におきまして、参議院がこれに易々諾々としてただ採決のみでこの会期延長の当否を決するのではなくて、国民の前に、なぜこのように何回も会期延長をせなければならなかつたか、而もその責任の所在はどこにあるかということを、我々は明確にしておかなければならないと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)特に過般の破壊活動防止法案審議に当りまして、私たちは、とにかくこれは論議を盡して、又且つは参議院規則の定むるところに従つて参議院の運営を行いたい。従つて議院運営委員会等或いは小委員会等において意見が一致しない場合は、できるだけ意見の一致するようにして、その上で進めたいといつて我々は主張した。ところが與党の自由党諸君が、緑風会の諸君等といろいろ歩調を合されまして、この私たちの主張を押切りまして、そうして遂には議はまとまらずに、議長職権で以てこの参議院の運営をしなければならなかつた。あの当時に、もう少し余裕を與えたとするならば、ここで一日間の延長をするならば、あの日にもう一日間時間をかしたならば、ああいう混乱も起らずに私は済んだと思うのである。而もそういう混乱を起した責任を野党側に転嫁いたしまして、我々ごとき、何も懲罰に値いしないようなものまでも懲罰にかけたりしてしまつたりしておいて、最後の土壇場に来て、今日は猫の子のようにおとなしくなつて、與党の諸君は、何とか一日間だけは認めてくれと言う。單なる一日の問題ではないと思うのだ。(「その通り」と呼ぶ者あり)国家の最高機関たるの権威を守る上から行きましても、私は、自由党の諸君が深刻に反省しなければならない問題だと思うのであります。何故かと申しますならば、この五日間の衆議院における議院運営振りを見て御覧なさい。今日まで、議会の歴史、議会史上あのような醜い衆議院の運営振りがあつたでございましようか。多数少数の問題ではなくて、多数を取つたならば、堂々と多数政治をやるべきである。ところが多数を取りながら、内部に反乱軍を生じて、国会の議院運営委員室が反乱軍司令官室になつて(拍手)そうして衆議院における議事運営を妨害しておきながら、みずからそうして議案の審議を遅らして、與党の諸君が政府の重要なる議案をみずから審議を遅らしてそうして(拍手)今の段階になつて一日間延ばす。而も今回の審議振り、一日間の会期延長の審議の仕方にいたしましても、とにかく参議院において一応の結論が出るまで、出てから衆議院において決定するのが、これは儀礼上正しい問題だと思う。まだ十二時までに時間があるはずだ。ところが折角協議を申込んでおいても、今こちらが議決して回答しない以前に、すでに向うのほうでは衆議院本会議を開きましてそうして会期延長をきめてしまつたというがごときは、参議院の存在を無視するも甚だしいと言わなければなりません。(拍手)特に私が申上げなければならんことは、驕る平家は久しからずと言う。日本の議会史上、世界の議会史上を見ましても、一党の多数が二十年も又三十年も続いたためしはない。今や木村君は多数に驕つて僕のこの憂国の叫びに対しまして野次を飛ばして嘲笑をいたしております。併しながら、いつかは君たちが我々の社会主義政治実現のときにおきまして、やはり少数で歯ぎしりを噛む時代が来ると思う。(拍手)従つて、どういう時代が参りましたといたしましても、とにかくルールを守つて、我々は議会主義を飽くまでも尊重し、これを認めて行く以上は、ルールを守つて行かなければならんと思うのであります。而もそのルールを無視し、慣行を無視し、日本の議会史上にも例のない会期延長を繰返し、而も会期延長を折角行なつておきながら、みずから議会の運営をサボつたごときその罪万死に値いすると思う。従つて吉田内閣は、この際、このような「たが」の緩んだ與党を率いて醜を天下にさらし、更に国際的にもその存在の醜をさらしておるがごときは、まさに大きく反省をしなければならん。こういつた事態を無視して與党の諸君が机を叩いて野次を飛ばすがごときは、これは言語道断と言わなければならんと思います。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)従つて。ここで真に会期延長をしたいと與党の諸君が本当に良心的な態度で臨むならば、静粛に我々の意見を聞いてその上で堂々と採決を行うべきである。然るに卓を叩いてこの正しい主張に対し耳をかそうとしないごときは、君たちが共産党に向つて議会主義を否定するものであると言つて、いつも攻撃しておりながら、むしろ実質的に君たちこそ議会主義を否定するものと言わなければならぬ。(拍手)
  45. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 菊川さん、時間が来ました。
  46. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君(続) 我々はかかる見地に立ちまして、今回の会期延長に対しまして断固反対であることをここに表明いたしまして、私の反対討論といたします。(拍手)
  47. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 相馬助治君。    〔相馬助治君登壇、拍手〕
  48. 相馬助治

    ○相馬助治君 只今議案に供されておりまする会期延長の問題に関しまして、私は社会党第二控室を代表いたしまして、少くともこの段階において民主主義の精神を守るべく、又国会の権威を守るべく、而も又議会政治の円満なる運行を期待いたしまするがために、單に党派を代表する者でなく、国民の名において、この会期延長に対しまして絶対反対の意思を表明せんとするものでございます。御案内のように、今国会に相成りまして、第一回においては三十日、第二回においては十四日間、而も第三回におきましては、それが参議院の意思を何ら顧慮することなく、参議院の決議を見ることなく十日間の延長を決定いたしたのであります。而も第四回におきましては、自由党の内部におきまして或る方々は七月二十日までの延長が至当であると主張し、或る方々におきましては八月二十日までが至当であると主張いたし、詰るところ智慧者が現われてその中間を取つて三十日という、いわば無定見なるバナナの叩き売り屋が押出した値段のごとく、三十日という根拠なき数字を決定したのであります。而も驚くべきことには、選挙に浮足立つておりまする議員諸君の注文に応じて、つい、この間の二十五日まで自然休会なるものを行なつたのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)この自然休会なるものを行なつたということそれ自体が三十日の会期延長がすでに無理であつたことを意味しますると共に、少くとも我々は国民の前に対してすでに(「恥を知れ」と呼ぶ者あり)もう延長する何らの材料も持つていないことを意味するものであるということは、少くとも党派を超えて良識ある議員各位の御認識なさるところでなければならないと思うのでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)皆様は、自由党員である前に、改進党の党員である前に、はた又社会党の党員である前に、国民の選良としての国会議員であるということを認識しなければならない。(「人事委員長は何をやつているんだ」と呼ぶ者あり)その立場からいたしまするというと、この四回に亘る会期延長のあとを受けて、今日第五回の会期延長をここで議せなければならないということそれ自体が(「人の惡口を言うんじやないよ」と呼ぶ者あり)実に問題であることをおもんみなければならないのであります。自由党におきましては勿論我々のこの討論に反対の意思もおありでありましよう。木村さんが何とおつしやろうと、それらの声を別といたしまして、一体今日までこの会期を閲して参りました間において、それは自由党の諸君においても、野党が議運において妨害したであるとか、或いは又些々たる約束がどうであるかというような、いわば盗人にも三分の理でありますから、四分五厘程度の理窟はありましよう。問題は、何が故に会期延長をしなければならなかつたか。その原因の第一は、すでに新聞が報じておるように、国民が批判しておるように、(「あんたのほうの人事委員長は何をやつているんだ」と呼ぶ者あり)自由党の内部的事情であることは、今日天下に明白になつておる事実であろうと思うのであります。この党派内のこの一つの醜い掛引き、争いというものが、少くとも数次に亘る会期を延長しなければならない理由の全部とは申しませんが主なるものであるということに対しましては、自由党の諸君も又抗弁すべき何ものもないと私は信ずるのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)従いまして、このことは具体的にどう現われておるのか、一つの実例を以ていたしまするならば、教育委員会の問題につきましては、政府が提案して與党の自由党が反対をする。義務教育費国庫負担法に対しては、(「そんなことは話が違う」と呼ぶ者あり)教育の尊重を考えた自由党の良識ある議員の何人かの人が発議したものに対して政府が反対をする。一体これで何の政党政治でありましよう。(「そうだ」と呼ぶ者あり)政党政治を否認することは議会政治を否認することであり、議会政治を否認することは民主主義を否認することであるということは、断じて議論の余地のないところであろうと思うのであります。(拍手)従いまして、今日私がこの問題を結論的に言うならば、この醜態を蔽い隠すというよりは、この醜態に対して、即ち五回の会期延長をここで議しなければならないというこの段階において、野党も勿論與党の諸君から見れば多くの要求があるであろうけれども、そのようなものが本質的な問題ではない。(「そうだ」と呼ぶ者あり)すでに政治力を失つた吉田内閣がみずから辞職するか、(「そうだ」と呼ぶ者あり)乃至解散して信を天下に問うべき段階が来たと思うのであります。(「そうだ」「まさにその通りだ」と呼ぶ者あり、拍手)即ち、吉田内閣がみずからの非をみずからの非とせず、国会に対して会期延長を政府の御都合次第で要望する、そうして絶対多数を持つ政党がこれに迎合するといたしますならば、国会の権威いずこにありやと言わざるを得ないのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)併しながら、私は、衆議院衆議院として参議院は参議院として独立しておるのでありまして、その他院の審議についてここで喋々すべき筋合いのものでないことを知つておりますけれども、あえてかかることを衆議院に対して非礼であると知りながらも言わざるを得ない第一の原因は、第三回の会期延長において参議院の意思を無視したということと、(「時間」と呼ぶ者あり)諸君、たつた只今この時間においては、衆議院においては一日の会期延長をすでに決定しておるのであります。(「そうだ」「その通り」「頑張れ」と呼ぶ者あり)諸君、会期延長の問題は、(「あと三分」と呼ぶ者あり)御案内のように国会法第十一條より第十三條において明確に規定されておるのであります。先般不幸にして参議院においてはこの国会法の改正は成らなかつた。従いましてこの問題は衆議院における議決というものが参議院に優越しておるのでありまして、その当否をあえてここに論ずるものではありませんが、嚴として、国会法の示す精神というものは、両院の一致した議決というものが会期延長においては必要であるということを何ら阻害するものでないということだけは言えると思うのであります。(拍手)従いまして、かかる意味合いにおいて考えてみまするときに、我々といたしましては、與党である自由党であるとか、或いは何々党であることを離れまして、而も又先般我が会派の波多野鼎君提案にかかりまするこの参議院の院議を尊重して欲しいという、いわば衆議院に対して申入れにも似た決議案が、満場一致でここで議決されており真精神に鑑みましても、この会期延長に対して、党派を離れて我々は参議院として如何なる態度を堅持しなければならないかということは(「時間々々」と呼ぶ者あり)すでに明瞭であろうと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)皆様、併し私は自由党の諸君に同情する。(「時間だ」と呼ぶ者あり)與党としての立場もおありでありましよう。あえて言及を避けまするが、是々非々を唱えております緑風会の皆様方、どうぞこの段階において、参議院の置かれておる現在の運命と、会期延長に対して国民から如何なる要望がなされておるかということを篤とお考え下さいまして、是非ともこの際、明快なる態度を表明せられ、今日危機に瀕しておる民主主義の精神を守り、せめてもこの参議院の権威を保持するための態度表明を期待してやまないのであります。その態度表明とは何であるか。(「議長、時間だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  49. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 相馬君……。
  50. 相馬助治

    ○相馬助治君(続) 即ち、我々が反対しようが反対しまいが、すでに会期延長は決定するのであるというような敗北的精神を捨てて、少くとも、緑風会の諸君、良識ある民主クラブの諸君、是非とも本件については民主主義擁護のために、参議院権威保持のために、断固として反対せられんことを期待いたしまして、私は社会党第二控室を代表して(拍手)只今議題の会期延長に対し、国民の名において断固反対の意思を表明するものであります。(拍手、「賛成」と呼ぶ者あり)
  51. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 矢嶋三義君。    〔矢嶋三義君登壇、拍手〕
  52. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は第一クラブを代表いたしまして、(「申合せを聞けるか」「聞けるだろう」「ゆつくり叮嚀にやれ」「理由がわからないから黙つていなさい」と呼ぶ者あり)只今議題となつておりまする会期延長の問題に反対の意思を表明するものであります。(「そうだ」「もうわかつたよ、議運で聞いた」と呼ぶ者あり)八千四百万の国民諸君の大きなる期待の下に、注視の下に運営されている我が国会の責任というものは、極めで重大だと考えるものであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)私は国会議員の一員といたしまして国会の審議に携わるに当りまして、常に我々は、或いは都道府県会、市町村議会、こういう各種議会に対しまして一つの見本を示さなければならない、模範的でなければならないということを常に肝に銘じているものでございます。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)具体的に申しまして、一つの委員会を運営するにいたしましても、時間を嚴守すること、国会の会期につきましては、国会法に謳われているところの会期百五十日間においてすべての法律案が審議終了するように、お互い良心的に善処しなければならないということを常に考えているものでございます。然るところ、最近独立後におけるところの国会の審議状況を見ておりまするというと、国民の期待に反するところ余りにも大きいと思うのでございます。私は以下若干反対の理由を申述べまするが、先ず我々第二院としての参議院は、申上げるまでもなく第一院の衆議院の行き過ぎに対して一つのブレーキをかけるという抑制機関でなければならないと存じます。その使命を果すために、最近の衆議院の審議状況並びに具体的に申しまして会期延長の実情を見るときに、これに対しまして一つの抑制を加えるということは、我々第二院としての参議院の使命だと考えるものでございます。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)従いまして、根本的に我々は国会法十三條の現在におけるところの解釈に疑義を持ち、従つて国会法十三條の改正を企図したわけでございまするが、御承知のごとくこれが敗れたわけであります。敗れた結果というものは、各位が御承知の通りに、第四回の会期の延長において、更にこのたびにおいて、国会法十三條が如何に不備で不合理であるかということを具体的に表明していると思うのでございます。併しながら、国会法十三條が御承知のごとく解釈されている以上は、ただ一つ我々に残されている途は、抑制機関としての第二院の参議院が、こういう段階になつて会期の延長は適当でないというところの反対の意思表示を明白にすることが、現在第二院参議院に負託されたところの最も重大な使命だと考えるものでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)その角度から、ここに確信を以て私は反対の意思を表明するものであります。次に申上げたい点は、前二者の討論の際にも述べられたのでございますが、皆さんも健忘症に陷ることなく、過去を一応考えて頂きたいと思うのでございます。第一回に三十日会期延長するときには、衆参の議院運営委員諸君が一堂に会して、再び延長しないという條件の下に発足し、更に第二回目の十四日間を六月七日から六月二十日まで延長するときにも、そういう條件が付いておるのでございます。更に第四回の三十日延長するときのごときは、前者が述べたように、参議院の意思を全然取入れることなく、一方的に衆議院が押付けて参つたということは、皆様方御承知の通りでございます。然らば優越性を謳われているところの第一院である衆議院の審議状況はどうか。本日ここに一日間の会期延長をもたらした最も大きな原因は、自由党の諸君が如何に申述べようとも、これが自由党の党内事情に基くということは、天下周知の事実であります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)具体的に申上げますならば、いわゆる逆コース的な言葉ではございまするが、反乱軍が、福永幹事長を引つ込めなければ法律案の審議は進捗しないというところの、自由党内における国会対策を反乱軍が樹立した、これが第一の理由でございます。かくのごとき自由党内の一幹事長の人事問題によつて、この国会の会期が左右されるということは、国民に代つて断じて許すことはできないと思うものであります。(「自由党何とも言えないだろう」「子供の話だから默つているんだよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)木村議員はとやかく言つておりますが、私が今申述べた事実こそは、皆さん、自由党の議員一人々々が確認しておるところではありませんか。(「その通り」「衆議院が何をやつているか見て来い」と呼ぶ者あり、拍手)而も明日一日間会期を延長するという以上は、政府與党においては、明日一日間を如何にして能率的に、政府が企図したところの法律案の通過を企図せんとしておるかという質問に対して、與党を代表して草葉国会対策委員長は、議院運営委員会において私に何ら満足するところの答弁を與えなかつたのでございます。(「そのはずだ」「與える必要はない」と呼ぶ者あり)かくのごとき無責任なる漠然たる態度において、而も先刻申上げましたように、與党自由党の党内事情において会期の延長を図るということに対しましては、如何ように考えようとも、たとえ緑風会の諸君にいたしましても、良心的に考えた場合に、更に参議院の権威を維持するという立場からして、断固として反対せざるを得ないであろうと思うものであります。(「その通り」「衆議院の本会議の乱鬪騒ぎを見て来なさい」と呼ぶ者あり、拍手)これを要するに、第一回、第二回、第三回、第四回と、だらだらと会期の延長をして来たこの第十三回国会を、五たび会期をこの状況下に延長するということは、国会に対する国民の不信の念を増すもの以外の何ものでもありません。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)更に極言するならば、現在政権を担当しておるところの與党自由党の精神分裂と支離滅裂なる状況は、(「全くだ」と呼ぶ者あり)独立後の我が国の政権を担当し、我が日本の再建を図る使命を果すべき政府として、その資格を喪失したものであり、一国の政権から下るべきものであるということを如実に実証するもの以外の何ものでもありません。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)私は、以上の所論を以て、第一クラブを代表いたしまして、会期延長に反対の意思表明といたすものであります。(拍手)
  53. 佐藤尚武

    ○首長(佐藤尚武君) 堀眞琴君。    〔堀眞琴君登壇、拍手〕
  54. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 私は労農党を代表いたしまして、只今議題になつておりまするところの会期一日延長に対しまして反対をいたすものであります。我々は、先ず何よりも国会のあり方について考えてみなければならんと思うのであります。御承知のように、国会は憲法によつて最高の機関として決定されております。併し国会が最高の機関として決定されておるのは、憲法がそのような規定を盛つておるからというだけの理由ではないのであります。御承知のように、日本の今日の国家体制は人民主権の体制であります。主権者は国民であります。国民の代表者が国会を構成する。従つて国会が最高の機関であるという規定がここに設けられておるのであります。従つて国会は、主権者としての国民の代表機関として、それにふさわしい行為をしなければならんのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)ところが、最近の我が国におけるところの国会の審議の模様なり或いは国会の運営なりについて考えてみまするというと、我々は甚だ遺憾とせざるを得ないものが多々あるのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)第一院であるところの衆議院は、言うまでもなく参議院に対して憲法上優越した力を認められております。立法の審議に当りましても、当然衆議院は最も愼重に議案に対してこれを審議しなければならない責任を持つておるのでありますが、今日の衆議院の審議の模様を見まするというと、殆んど諸法案につきまして何らの修正なしにこれを通過しておるのであります。(拍手)参議院におきましては、さすがに良識ある諸君によりましてこれが修正が行われまして、衆議院のほうに回付されておるというのが実情であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)もともと一院であるところの衆議院が審議を十分に盡さず、或いは場合によつては徒らに政府案を鵜呑みにして参議院に回付するというのが現状なのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)私どもは、このようなことで果して日本の国会の権威を保つことができるであろうかということを疑わざるを得ません。而も国会の運営に関しましては、三たび四たび、更に五たびの延長をいたしまして、そうして法案の審議をやろうというのであります。(「しようがない」と呼ぶ者あり)私は、どこに果して国会の権威があるか、こう言わざるを得ないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり(更に又政党政治のあり方について私は考えてみたいと思うのであります。先ほど来、自由党内部の事情によつて、この一日の会期延長が遂に衆議院において決定された、こういうことが言われておるのでありますが、一体、政党は果してどのような働きをなすべきものであるか、どのような議会政治に対して働きを、作用をなすべきものであるかということについて、我々は愼重に考えなければなりません。イギリスには陛下の反対党という言葉があります。自由党の諸君は二大党の存在の形式が政党のあり方として最も好ましいものだということを常に口にしておられる。併しながら、国情を異にし、歴史を異にするところの日本において、果して二大政党ができるかどうかということにつきましては、より愼重なる考慮を必要とするものであります。私は日本の社会構造から申しまして、二大党主義というものは到底成り立ち得ないものだと思うのでありまするが、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)併しながら自由党の諸君が口にするところの二大党主義によるならば、反対党、陛下の反対党という言葉が存在するように、反対党の意見を尊重しなければならないのに、自由党の諸君は、反対党を、殆んど反対党に対しまして殆んど関心を持つておらない、或いはこれを無視しているというのが現状であります。ドイツのカール・シユミツトの書きました議会主義の精神史的基礎という本がありまするが、この中には、「二十世紀の議会政治が何故に国民によつて議会政治の危機と呼ばれ、又議会政治のたそがれと呼ばれるか。それは、とりも直さず、公開性、エツフエントリヒカイト、それからデイスクシオンというものが殆んど失われてしまつた。幹部の專制によつて政党が運営されている。そこに今日の議会政治の腐敗の原因或いは議会政治のたそがれと呼ばれるものが存在する。」こういうことを結論いたしております。自由党の諸君は、この議会政治の今日の世界においてどのような評価を受けているかということについての反省を持たないもののように思われます。多数を取りさえすれば何でもやれる、これほど間違つた考え方は私はないと思う。私はその意味におきまして、自由党の諸君が内部の事情をこの最高の機関たるところの国会の運営にまで反映させるということは、甚だしく間違つたものだと申さねばならんと思うのであります。更に私どもは、この議会政治の運用に当りまして、今日の日本の国民と国会との現われ方について反省をしなければならんと思う。先の破壊活動防止法案につきましては、御承知のように国民の全般がこれに対して反対を表明しておる。(「嘘を言うな」と呼ぶ者あり)今日なお審議が終つておりませんところの法案、例えば示威運動等の取締に関する法案であるとか、或いは又警察法の一部を改正する法律案であるとか、こういうものに対しましても、こぞつて国民は反対を表明しております。このような反対を表明している、輿論が反対を表明しているところの法案を、自由党は数にものを言わせまして遮二無二強引にこれを押切ろうとする。私はこれは、自由党は勿論でございますが、日本の国会の立場から申しまして甚だ歎かわしいことと申さなければならんと思うのであります。その意味におきまして私どもは、今日一日の会期延長をする。五度の延長をして国民の信頼に応えることができるかどうかということを疑わざるを得ません。なお、日本の憲法から申しまするというと、行政の首長であるところの総理大臣、これは国会とその国家体制の上におけるところの地位を見まするならば、決して同列のものではありません。アメリカの憲法におきましては大統領と国会とが同列であります。併しながら日本においては、最高の機関は飽くまでも国会であり、行政の首長はその下位に立つものであることを我々は知らなければなりません。従つて国会は国会独自の意思によつて、政府が如何に法案の審議を要望しようとも、それが輿論の反対に会うものであるならば、国会としては飽くまでも国会独自の立場においてこれを決定すべきものだと我々は考えなければならんと思うのであります。以上の理由に基きまして、私はこの一日会期延長に対しまして反対をいたすものであります。(拍手)
  55. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 岩間正男君。    〔岩間正男君登壇〕
  56. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は日本共産党を代表しまして、この珍無類な会期延長に反対するものであります。只今、丁度今日は土用の丑の日でありまして、非常に暑い。(笑声)暑いので記憶を失つているだろうと思う。一体この国会がどのような自涜行為(笑声)をやつたかということについては、議員諸君もいささか健忘症になつておると思うのでありますから、今まで会期が延長されました経過を、これを先ず記録的に辿つてみたいと思います。第一回の会期の延長は五月八日から六月六日まで三十日間であります。次に第二回は六月七日から六月二十日まで十四日間延長したのであります。次いで第三回の延長は、これは国会史にも未だ曾つて見ないところの惡例を残したところの延長でございますが、あの第三回の延長は、六月二十一日から同三十日まで十日間延長しておるのであります。第四回は、そのあと実にこれは又痴呆的な阿呆的な延長とも言わねばならないと思うのでありますが、三十日間、七月一日から同三十日、今日まで、実に三十日間というような延長をなしているのであります。そうして最後に明日までの一日間、これを第五回に延長しようとするのでありまして、このような延長の記録は日本の国会史上未だ曾つて類例を見ないところであろうと思うばかりでなく、恐らくこれは世界的な記録になつておるのではないかと思うのであります。(「オリンピツク新記録だ」と呼ぶ者あり)今日御承知のようにどうも日本のオリンピツクは甚だ振わない。世界記録を作ることができない。こういうさなかにありまして、どうもこの世界記録を、我が日本の国会が、何とかこれらの不成績をこの国会で改めてやり直そうとするような、この会期延長はこの馬鹿げたやり方だと思うのであります。(拍手)実にこれは、日本の国際的地位とか何とか最近言われているのでありますが、いわゆる独立とか、講和発効後の態勢について言われているのでありますが、こういう日本の国会の姿を我々は悲しむ。(「議長、時間」と呼ぶ者あり)そうして、一文惜しみの百知らずということがありますが、このような馬鹿げたことによつて一日稼いでみたとしましても、失うところが如何に多いかということを我々は考える。(拍手)むしろ我々としては、このような自由党内の第一人者たちが、目先の党利党略の面からしまして、国民の真の要求を忘れている。こういうことをやつている。このような馬鹿げた法案には、考え方には、(「時間だよ」と呼ぶ者あり)むしろ我々としましては、党利党略の面からいえば、このような会期延長には賛成したほうがいいのかも知れない。併し大いにこのおめでたい、頭がどうかしている自由党のやり方に対しまして、私は飽くまでこれは天下にその醜をさらしたいと思うのでありますが…。
  57. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 午後十二時になりました。本日はこれにて散会いたします。    午後十二時散会      —————・————— ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 公職選挙法の一部を改正する法律案  一、日程第二 公職選挙法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案  一、日程第三 国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第四乃至第二十六の請願  一、日程第百四十一乃至第百五十五の陳情  一、日程第二十七乃至第四十二の請願  一、日程第百五十六乃至第百六十一の陳情  一、日程第四十三乃至第四十八の請願  一、日程第四十九乃至第百二十の請願  一、日程第百六十二乃至第百九十五の陳情  一、日程第百二十一乃至第百三十の請願  一、日程第九十六乃至第百九十八の陳情  一、日程第百三十一乃至第百四十の  請願  一、日程第百九十九乃至第二百二の  陳情  一、会期延長の件