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1952-06-04 第13回国会 参議院 本会議 第47号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月四日(水曜日)    午前十一時八分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第四十六号   昭和二十七年六月四日    午前十時開議  第一 水産資源保護法の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第二 長期信用銀行法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第三 日本国との平和條約の効力の発生及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 国際連合への加盟について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第五 穴水、飯田両駅間鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第六 荒海駅、滝の原間鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第七 浜原十日市駅間鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第八 白棚鉄道復活に関する請願(二件)(委員長報告)  第九 辺富内線鉄道完成促進に関する請願委員長報告)  第一〇 雄武、枝幸両駅間鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第一一 岡崎、多治見両駅間鉄道敷設に関する請願委員長報告)  第一二 日南線全通促進に関する請願(二件)(委員長報告)  第一三 岩手県登米郡縦貫鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第一四 湯本線鉄道敷設に関する請願委員長報告)  第一五 掛川町、御前崎港間鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第一六 姫路駅改築工事施行に関する請願委員長報告)  第一七 佐賀県鳥栖町に鉄道管理局設置請願委員長報告)  第一八 元傷い軍人鉄道無賃乗車証復活に関する請願委員長報告)  第一九 島根県宅野港防波堤復旧工事施行に関する請願委員長報告)  第二〇 日本海浮遊機雷に対する対策強化促進請願委員長報告)  第二一 浜原十日市駅間鉄道敷設促進に関する陳情委員長報告)  第二二 甲府、長野両駅間鉄道電化に関する陳情委員長報告)  第二三 わら工品等鉄道貨物運賃割引期限延長に関する陳情委員長報告)  第二四 菓子の鉄道貨物運賃等級引下げ等に関する陳情委員長報告)  第二五 国鉄入札制改正に関する陳情委員長報告)  第二六 靜岡蒲原海岸防潮堤防修築工事国鉄負担金支出に関する陳情委員長報告)  第二七 木船災害復旧資金融通に関する臨時措置法等制定陳情(六件)(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。    〔栗山良夫発言の許可を求む〕
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 栗山良夫君。
  5. 栗山良夫

    栗山良夫君 私はこの際、アジア貿易促進に関する緊急質問動議を提出いたします。
  6. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は只今栗山君の動議に賛成いたします。
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 栗山君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。栗山良夫君。    〔栗山良夫登壇拍手
  9. 栗山良夫

    栗山良夫君 私はこの機会に、アジア貿易促進に関しまして首相以下関係大臣にその所信を伺いたいのであります。  戰後貿易が不振になりますると、常に中共貿易促進の声が経済界に起つてつたのでありますが、このたびは未だ曾つてない熱意を以て、或いは公々然と、或いは黙々と、各方面にその具体的促進の声が激しく起つておるのであります。このことは、貿易を以て国を立てようとした我が国が、世界的経済不況の余波を受けまして、貿易規模はますます縮小され、又割高な輸入原料のために、事業そのもの危機に逢着せざるを得ないような、非常な困難に直面しているからであります。今や中共貿易促進運動をば、社会党の宣伝などと色目を以てこれを見送ることを許さない、深刻な経済界労働界の問題となつているのであります。若し政府におきまして、この声を一笑に付するがごとき態度がありまするならば、それこそ国民の生きんがための強い要望を無視する政府の独断的な態度であると申さざるを得ないのであります。従つて政府は率直に且つ建設的に意を盡して答えられたいのであります。  先ず私は中共貿易に対する政府の基本的な態度に対して伺いたいのであります。吉田首相は去る一月二十八日の本会議におきまして千葉君の質問に答えられ、「中共貿易は全貿易の六分又は五分に過ぎないのであります。戰後は全然ないと言つてもいいくらいの中共貿易であつて、なお且つ日本は滅びずして済んで来たのであります。」と答えておられまするが、政府の言う和解と信頼講和條約が発効いたしました今日の我が国経済状況は如何でありましよう。外交的に、軍事的に、又政治的には、いわゆる独立後の今日でもなお大変に米国のお世話になつておりまするけれども、経済的には米英等競争相手としての立場をとり、あの強力なドルポンドと自立的な競争をせざるを得なくなつておるのであります。最近の我が国貿易輸出入とも非常に低調でありまして、本年度の輸出入計画は予定の八〇%にも達しないのではないかと憂慮をせられておるのであります。ドル地域では米国関税引上げ運動及び米国における鉄鋼等需要緩和によりまして、我が国輸出減退空気は強いのであります。又ポンド地域にありましては輸出入とも不振を極めておりまして、遂に本年四月末の手持ちポンドは一億二千万ポンドに達したのであります。又オープン・アカウント地域におきまして、現在通商協定改訂交渉中のものが多いのでありますが、貿易規模は更に縮小が予想せられておるのであります。こうして我が国の現況は弱い経済のままで先進国の強い経済の中に裸かで立たされておるのであります。従つて世界的に優秀な我が国繊維機械なども輸出がとまりまして、七万人に及ぶところの関係労働者は失業の一歩手前にあるのであります。モスコーにおきますところの世界経済会議動きとその成果が大きな波紋我が国内に投げかけましたところの事実、油脂製造業者が割安有利な中共大豆輸入を希望しておりまする事実、日本貿易会が去る五月二十八日の総会におきまして中共貿易促進問題を協議いたしました事実、更に伊藤忠極東物産東西交易、安川電機、淀川製鋼、その他の商社中共貿易の打診を行なつております事実などは、まさに吉田首相の言われる、中共貿易がなくとも日本は滅びないという言明が僞わりでありまして、自由であるべき通商禁止制限がありましては日本経済が立ち行かないことを事実を以て証明しておるのであります。日本経済の発展は戦前から外国依存であり、殊に中国との貿易は死活的に重要意義を有していたのであります。鉄鉱石、粘結炭工業塩など、日本の重工業、化学工業に不可欠の原料は、殆んど中国依存でございました。食糧塩大豆等の食料や、飼料も、運賃価格の割安な中国からの輸入であつたわけであります。殊に岡崎外務大臣は五月二十八日の衆議院外務委員会におきまして、「中共は国府と一体となるまで、おつきあいはできない。特に朝鮮の和平未解決の今日、輸出制限緩和行なつて、自由国家群足並みを乱してはいけない。むしろ率先して自由諸国家の先鋒に立つてその足並みを固めて行きたい」と述べられたのであり、更に昨日の外人記者団との会見におきましては、これを確認せられると同時に、目下中共貿易促進のために努力をしておる通産省も又外務大臣と同じ意見であると追討ちをかけられておるようであります。まるで、どこかの生活の豊かな外国外務大臣の言葉のごとくに、私の耳には響くのであります。吉田首相及び外務大臣は、今日のこの苦しい経済事情を直視してなお且つ中共貿易不要論を強弁しようとしておられるのか。或いはその必要性を痛感しておられるのか。経済的援助も打切られまして、自由国家群からも対等の交易を要請せられておる困難な立場にある日本政府首相外務大臣としての所信を、改めて私は伺いたいと思うのであります。  第二は、貿易制限管理に関してでございまして、今日中共貿易を法的に阻んでおりまするものは、申すまでもなく米国バトル法日本輸出貿易管理令であります。バトル法は一九五一年十月二十六日成立した相互防衛援助統制法によりまして、米国援助を受ける国は共産主義国に対しまして重要物資輸出し得ないことを規定した法律であることは御承知の通りであります。ところがバトル法禁止品目は、第一章に定められておりまするA級物資B級物資とを含み、A級物資は兵器、弾薬、原子力物資等の明瞭な戰略物資でありまして、絶対禁止品目であります。B級物資は準戰略物資でありまして、異常な必要の場合には例外が許されておるのであります。B級物資ですら例外が認めつれておるのでありますのに、現在中共貿易は全面的に禁止をせられておりますること、及びバトル法の中で個々の援助国交渉をいたしまして禁輸をきめる品目が列挙をされておりまするところのバトル法の第二章が、我々に発表せられておりませんことは、了解に苦しむのであります。殊に我が国が現バトル法ですら米国との交渉如何によりましては緩和の余地を有しておるのにもかかわらず、却つてみずから好んで輸出貿易管理令を以て輸出制限の枠を拡大し、平和産業物資である紡織機その他の機械針布亜鉛鉄板、薄鉄板のごときものまで全面的に禁輸の能勢にありますことは、不可解至極であります。バトル法そのもの緩和は別として、バトル法の線まで緩和すれば、今まで輸出不能であつた繊維、紙、化学薬品及び医薬品、肥料、繊維機械、木材、罐詰、みかん、寒天、除虫菊等に至るまで輸出が可能となるのであります。  西ドイツにおいては、五月六日、満場一致、国会において東西貿易障害となつておる一切のものを排除することを決定し、直ちに中国代表を派遣をすることをも併せて決定したのであります。去る三十日のUP電報によれば、アメリカの多くの消息通は、「日本経済をこのままにしておけば、その結果、日本中共及びソ連と広範囲な通商せねばならなくなるであろう。日本米国側に引きつけておくためには引続き長期亘つて米国経済援助をしなくてはならないであろうと信じている」と報じております。アメリカですら、このままでは日本はやつて行けないと言つておりまするのに、日本政府中共貿易がなくともやつて行けると言うことは、一体どういうわけでありますか。独立後の日本政府としては、米国への遠慮からとすれば実に不甲斐ないことであります。又本当にかくあるべしと信じているとすれば、もはや日本政府としては、苦しみ抜いている国民信頼を繋ぐことは困難でありましよう。我が国独立によつて輸出管理権日本へ委譲されたのでありますから、先ず真先に貿易輸出管理令を廃棄すると共に、バトル法第二章を公表し、偶々の品目について米国と強力な交渉行なつて、輸出品目大幅緩和を実現して、国民信頼に応えるべきでありましよう。従つて私は外務大臣に対して、バトル法緩和輸出管理令廃棄に関する国民要望に具体的にどうして応えられるかをお伺いいたしたいのであります。応えられないといたしますならば、その理由を明白に承わりたいのであります。  又去る三月六日、企業合理化促進法案審議に当りまして、私は真の中小企業対策中共貿易の打開にあるということを信念といたしまして、高橋大臣にお伺いをいたしましたところ「バトル法制限外のものを中共等輸出することは私も同意見である。今後できるだけの措置をとりたい」と答えられておりまするが、現在高橋大臣はどういう工合に考えておいでになりますかを伺いたいのであります。  第三は中共貿易協定調印に関してでありますが、目下北京にある帆足宮腰高良の三氏は、去る二十日から中国貿易関係当局中日バーター貿易に関しまして交渉中でありましたが、北京電報によりますると、六月一日午前十時、北京中国国際貿易促進委員会会議室において、中共代表南漢宸中国国際貿易促進委員長との間に、輸出入三千万ポンドに及ぶ中日貿易協定調印を完了したと報じております。この報が一たび我が国内に伝わりまするや、旱天に慈雨を得た喜びの中で全国各地波紋を描いております。長く待望して来ました中共貿易もいよいよ具体化の域まで到来いたしまして、この機会政府の積極的な対策を求める空気が強いのであります。政府の意向に反して勇敢にソ連圏入りをいたしました帆足宮腰高良の三氏に対しまして、我が国民がこれを支持しておる気持は、この成果を期待した故であろうと信ずるのであります。然るに政府筋の一部には、政治的な中共平和攻勢だといたしまして、一笑に付さんとする動きもあります。そうしてモスクワ経済会議で二千万ポンド中共貿易協定を締結いたしました英国が、中共地区商社引揚げを断行せざるを得なくなつたではないかと、反対理由の引合いに出しておる向きがございます。成るほどイギリスはいち早く中共を承認いたしましたが、これに対して中共政府は少くもイギリス政府に協力的でなかつたのであります。それどころか、中共におけるイギリス経済活動の自由を封じ、最近は拒否的な態度をとつていたのであります。これは中共政府外国資本又は権益の活動を許すことは中国自主独立のため有害であると認めた結果でありまして、貿易そのものを断ち切るものではないといわれておるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)事実イギリスは、商社引揚げを行うと共に、引揚げ商業取引とは全然別個のことであるといたしまして、新たに貿易機関を設けて、貿易を継続する意思のあるところを明らかにいたしておるのであります。海外市場において我が国よりも数段有利な立場にあるイギリスですら、これだけの辛抱強い努力を傾けまして、貿易市場の開拓に努めておるのであります。而もイギリスの場合と我が国中共貿易促進とは何ら直接の関係はないのであります。我が国はこの機会をつかんで、多少の困難はあるにいたしましても、積極的に乗り出して必要な措置を講ずるのが、政府の当然行うべき任務であると私は考えます。万事あなた任せで、帆足氏ほか二氏の拂つた具体的な且つ建設的な努力に対してまで、否定と野次を以て応酬せられるようなことがありまするならば、政府気持はそれで収まるかも知れませんけれども、経済的苦難に直面しておる国民気持は断じて収まらないのであります。殊に中国は、昨年一月西欧諸国に対抗して、ソ連圏依存強化のために、貿易管理暫行弁法及びバーター貿易暫行弁法を公布いたしまして、(「時間超過」と呼ぶ者あり)輸入先行方式を採用したのでありますが、今回自由国家群との貿易促進に備えて、この六月には輸出先行方式に切替えること、及び外貨資金不足対策として、ボンド決済による石炭、大豆輸出を計画するなど、その政策の転換を図りつつありまするから、中日貿易の成否は実に我が国の熱意如何にかかつておると称して過言で、ございません。そこで私は、首相及び外務通産大臣に、それぞれの立場から次の三点を特に具体的に伺いたいのであります。  第一点は、今回の中国帆足氏等との間に調印せられた貿易協定につきまして、政府日本国内及び関係各国に與えた反響をどのように把握し理解しておられるかということであります  第二点は、帆足氏ほか二氏が帰国をいたしました場合に、協定具体的促進を図るために政府として公式会見をせられる用意があるかどうか。(「あるもんか」と呼ぶ者あり)或いは又民間貿易といたしまして側面援助をする用意があるかどうかを伺いたいのであります。  第二点は、この協定具体化いたしまするためには、品目の決定について、バトル法緩和貿易管理令廃棄等措置を必要といたしまするが、その具体的な努力をせられる用意があるのか。又高橋通産大臣は、昨日の衆議院における田中議員質問に答えられまして、「この協定に対しては取引の点が明らかにされていない。決済の点が明らかにせられていない」と言われましたけれども、協定の第三條には、取引バーターにより、而してその価格の計算は英ポンドによつて行うということが明記されておるのであります。どういう理由を以ちまして取引の方法が明らかにせられないと言われたのかを伺いたいのであります。  以上で私は質問を終りまするが、一刻も早く中共貿易具体化をいたしまして、我が国貿易規模が拡大いたしますると共に、中国から割安な鉄鉱石、粘結炭大豆落花生等輸入いたしまして原料高運賃高とで国際競争から落伍をし、危機に押進められつつありまするところの我が国経済を、抜本的な、そうして極く自然的な形に取戻されんことを強く政府要望いたすものであります。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男登壇拍手
  10. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) お答えをいたします。  外国貿易に対する依存度の高い我が国といたしては、世界政治情勢が正常化し、あらゆる国と自由に貿易ができるような事態になることを望んでおることは勿論でございます。(「本当か」「口先だけだ」と呼ぶ者あり)併しながら中共との貿易につきましては、現在国際連合がこれを侵略国とみなし、対中共戦略物資禁輸決議行なつておるのでありまして、我が国としては平和維持に重大な関心を持ち、殊に日本は最も近い地域において国際連合活動している今日これを全面的に援助し協力して行くのは当然でありまして(「アメリカの番頭」と呼ぶ者あり)輸出制限措置緩和等考えることはできないのであります。最近我が国貿易が不振の傾向にあることは私も認めておりまするが、現に世界自由諸国中共向け禁輸実施している今日、伝えられるようないわゆる平和攻勢に乗ぜられて自由国家群足並みを乱すべきではなく、むしろ日本としては、朝鮮動乱日本の治安に重大な影響があることに鑑みまして、自由国家群足並みを積極的に固めて行くべきであると考えております。(拍手従つて政府としては、現行輸出貿易管理令緩和するというようなことは毛頭考えておりません。(「とんでもないことだ」と呼ぶ者あり)但し我が国禁輸品目と他の国々の禁輸品目との間に若干の食い違いがありますので、この点を調整することは考えられるのであります。  又先ほどUP電報をお引きになつてアメリカは全部こう考えているというようなお話でありますが、私はUP電報だけでアメリカ全国の人々の考えを推測するわけには行かんと考えております。(「その通り」と呼ぶ者あり)又中共との貿易に関する政府方針只今申した通りでありまするから、今回北京で二、三の人が何を一体代表し、又どういう調印行なつたかは知りませんけれども、この政府方針に反するようなことは、政府としては認めるわけにも行かないし、これを助長する考えはないのであります。国民は現在の国際情勢の下におきまして中共との、中共の戰力を増強するがごとき協定を支持するとは到底考えられないのであります。(「何を言つとる」「寝言だ」と呼ぶ者あり)又先ほどお話のように、英国モスクワ会議によつて協定実施をなさんとするに当りまして、在中国英国商社の総引揚汗を行いましたのは、我々から見ても大いに参考になる点であります。(「おる必要がないからだ」「事実を曲げるな」「おらなくてもできるのだ」と呼ぶ者あり)又通産省外務省との間に意見の相違があるようにお話でありましたが、これは全然さようなことはないのでありまして、政府として、通産省も、外務省も、その他経済安定本部も、すべて一致した方針の下に一致した行動をいたしておるのであります。(拍手)    〔国務大臣高橋龍太郎登壇拍手
  11. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 大体答弁外務大臣から済んだと思うのですが、御質問のうちの、近頃伝えられておりまする中共貿易協定、私はこれは何も権威のある協定ではないと思つております。(「その通り」と呼ぶ者おり)全体、現在の中共貿易障害は、中共貿易の振わないのは、こういう点ではないのです。第一、支拂の協定決済協定に一向触れてないじやないかということを私が申述べたのに対して、触れているじやないか、バーターで行くんじやないか、ポンド決済をすると言つているじやないかというようなことがありましたが、バーターで行くにしても、どの銀行がクレジツトを出すのですか。そういう銀行があるのですか。そういう銀行があるということが考えられるのですか。四月に東京銀行の重役が香港へ或る問題で行きまして、帰つて来ての私への話に、或る香港中共商人が、本国へバーターの契約で品物を出したけれども、見返りの品物が来なくて、今代金が一億五千万香港ドルで未拂になつて、非常に窮境に陷つておる。そういう事由さえあるのです。又先刻の御質問のうちに、伊藤忠そのほか大阪商人の名前を挙げて御発言がありましたが、これらの商社中共貿易を研究しておる、調べておるということは、これは商社として当然な話です。当然な話ですが、このうちの一、二の代表者に私は会いましたけれども、現在の事情貿易をやるということはしていないのです。実際。(「政府が邪魔しているんじやないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)岩井産業大阪一流貿易商社です。大商社です。
  12. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 静粛に願います。
  13. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) (続)  それで、その社長の岩井雄二郎君は、三年前までは中共貿易促進を極力主張しておつたのです。ところが今日は、先だつて会つたのですが、今日岩井君はどういうことを言つておるかというと、「中共貿易というものは、うまそうな饅頭であつて、ちよつと手が出したいが、どうも中に毒がありそうだから手は出せない。」(拍手)そういうことを言つておるのであります。(「委員会答弁と違う」「不まじめだ」「でたらめ言うな」と呼ぶ者あり)中共貿易の今の協定云々は、新聞では見ましたけれども、私は中共貿易に関して新らしい事態が発生しているとは思いません。現在の方針は続けて行くつもりであります。(拍手
  14. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 内閣総理大臣答弁は他日に留保されました。      ——————————
  15. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第一、水産資源保護法の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。委員長木下辰雄君。    〔木下辰雄登壇拍手
  16. 木下辰雄

    木下辰雄君 只今議題となりました水産資源保護法の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審議経過並びにその結果について御報告申上げます。  先ず提案の理由について御説明申上げます。この法律案は、水産資源保護法制定に伴い、従来漁業法の中で規定されておりました水産資源保護に関する部分を水産資源保護法に移して規定する際、その経過規定につき、いささか不十分な点がありましたのを、今回修正しようとするものであります。  その内容について簡單に御説明申上げます。漁業法第六十五條の規定に基いて、水産動植物繁殖保護に関する事項を定めた現行農林省令及び都道府県規則の一部分が、水産資源保護法施行に伴いその根拠法規に変更を生じまして、これがため失効することになるのであります。    〔議長退席、副議長着席従つて、同法の施行と同時に、これら失効する規定と同様な省令規則を新らしく制定しなければならないわけであります。そういたしますと、中央、地方を通じ、これに要する無駄な時間と多大の経費を要する結果になりますので、かかる不都合を避ける意味から、これらの現行規定水産資源保護法施行後においても取りあえずそのまま効力あらしめる措置を講じようというのであります。以上が大体原案の内容であります。  委員会におきましては、愼重に審議いたしましたが、その詳細は速記録によつて御覧を願いたいと存じます。質疑を打切り、討論に入りましたところ、秋山委員より修正案が提出されました。その内容は、今回港湾法の一部改正が行われまして、従来港湾区域の範囲がその区域外百メートル以内の区域をも含んでいたのが今回除かれました。従つて水産資源保護法中の港湾区域も当然に港湾法の一部改正に合致させる措置を講ずる必要がありますので、水産資源保護法中第十八條第一項の、その区域外百メートル以内の区域を含むということを削るというのであります。この修正案に対しまして千田委員より賛成意見が開陳されました。かくて採決に入りましたところ、修正個所の採決は全会一致を以て可決し、又修正を除いた部分の原案に対しましても、これ又全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました次第であります。  以上御報告いたします。(拍手
  17. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長報告は修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  18. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  19. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 日程第二、長期信用銀行法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。大蔵委員長平沼彌太郎君。    〔平沼彌太郎君登壇拍手
  20. 平沼彌太郎

    ○平沼彌太郎君 只今上程せられました長期信用銀行法案の大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  先ず本案の内容について申上げますと、第一に、長期信用銀行業務を営もうとするものは大蔵大臣の免許を受けなければならないこととし、且つ資本の最低額を五億円と定めようとするものであります。第二に、長期信用銀行の業務は、設備資金又は長期運転資金に関する貸出を主とし、なお不動産担保の長期金融のほか、有価証券の応募、引受その他の業務を認めようとする半面、預金の受入、短期資金に関する貸出の制限をしようとするものであります。第三に、資金源として預金の受入れに代るべきものとして、債券発行につき特例を認め、資本及び準備金の二十倍までを限度として所要資金の確保を図ろうとするものであります。第四に、本法の施行に伴い、銀行等の債券発行等に関する法律を廃止しようとするものでありまして、制度切替の円滑を図るために所要の規定をしようとするものであります。第五に、この法律施行は公布後一年以内において適当な時期に政令で定めることにしようとするものであります。  本案は衆議院において修正議決されたのでありますが、その要点は、第一に、農林中央金庫が所属団体のために債務保証をすることができるようにしようとすること。第二に、農林中央金庫が主務大臣の認可を受けて、国、公共団体又は銀行その他の金融機関の業務の一部を代理できるようにしようとするものであります。  本案の審議の詳細は速記録によつて御承知願います。かくて質疑を終り、討論に入り、小林委員より賛成意見が述べられ、採決の結果、全会一致を以て衆議院修正の原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  右御報告申上げます(拍手
  21. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  22. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  23. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 日程第三、日本国との平和條約の効力の発生及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。人事委員長カニエ邦彦君。    〔カニエ邦彦君登壇拍手
  24. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 只今議題となりました「日本国との平和條約の効力の発生及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律案」につきまして、人事委員会における審議経過並びにその結果を御報告申上げます。  本法律案は、日本国との平和條約の効力の発生並びにアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴い、日本政府が雇用するところの連合国軍労務者について、国家公務員法等関係法律を整理する必要のあること、及び日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊のために労務に服する駐留軍労務者の身分の取扱及び給與その他の勤務條件の取扱等について、所要の規定を設ける必要があるために、提出せられたものでありまして、その要旨を申上げますれば、第一に、駐留軍労務者の今後の身分につきましては、その性格及び使用関係の特殊性に鑑み、国家公務員でないことを明確にしたこと。第二に、駐留軍労務者の給與その他の勤務條件につきましては、調達庁長官が各般の事情を考慮して定めること。第三に、連合国軍労務者で平和條約発効後引続き駐留軍労務者となる者に対しましては、退職手当を一応精算することとして、その支給は将来駐留軍労務者でなくなつたときに行い、平和條約発効の日の翌日から退職の日までの日数に応じて一定の率により計算した額を加算することといたしておるものであります。  本法律案は去る四月二十八日内閣より提出せられ、五月八日、本委員会に付託せられましたものでありますが、本委員会といたしましては、関係諸事項に関して建設委員会と連合審査を行い、続いて人事委員会審議行なつて参つたものであります。  次に審議経過につき、その概要を申上げます。質疑の主なるものといたしましては、駐留軍労務者の身分の関係の問題、給與その他勤務條件の問題、退職手当支給の問題等であります。  先ず第一に、駐留軍労務者の身分が本法律案第八條により国家公務員でないとして身分の切替を規定していることについての質問に対し、「駐留軍労務者は公法上の官吏ではなく、單に政府と雇用関係にあるものであり、特に昨年七月以降、終戰処理事業費の支弁によらぬこととなり、又今回の平和條約発効等によつて国家公務員としての性格がなくなつて来たものである」旨の答弁がありました。  次に給與関係の問題については、「調達庁長官が各般の事情を考慮して定めることになつているが、果してそれだけの実権があり、納得でき得る條件で決定し得る自信があるのか」との質問に対しては「形式的には調達庁長官が定めることになつているが、実際は組合側との協議等に待つところが多いものと考える。協議の結果、妥当な案が認められたならば、日本政府意見として米国側に折衝することになろうが、日本政府として妥当と認められる給與は当然受入れられるべきものと考える」旨の答弁がありました。  第三の退職手当については、今回の身分切替に際して即時退職手当を支給すべきではないかとの質問に対して、調達庁側より、「二の点に関しては組合側よりも退職手当即時支給の要望がありましたが、駐留軍労務者は、事実上なお引続いて政府の雇用者であることに変りがないという面もあり、その他財政上の問題との調和も考えて、このように規定したものである」旨の答弁がなされたのであります。  かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、千葉委員より反対、草葉委員より賛成の討論があり、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告を申上げます。
  25. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 本案に対し討論の通告がございます。発言を許します。千葉信君。    〔千葉信君登壇拍手
  26. 千葉信

    ○千葉信君 私は労農党を代表して本法案に反対いたします。  本法案は、只今委員長報告にもありました通り行政協定に伴い駐留軍の労務に服する者の身分、勤務條件等を規定するものでありまするが、この場合はいわゆる直接調達に基因するいろいろの悪影響から、例外措置として間接雇用とし、調達庁長官が法律上その給與や勤務條件等を決定するというのがその趣旨であります。併しながら、委員会における質疑によつても明らかなごとく、その調達庁長官の権限は、自己の責任と判定に基いて行われるのではなくて、單なる仲介者としての権限でしかないのであります。仲介者を長官にするということによつてこれは間接雇用だという形式がとられたに過ぎないのであります。調達庁長官は、駐留軍労務者の意見、要求に基いて、駐留軍当局と折衝し、又駐留軍当局の意思決定に基いて、労務者の身分上、給與上の定めを行うというに過ぎないのであります。これでは一体どこにも直接調達ではないという実態は全然ないと言つても誤まりではありません。事実又行政協定のどこにもかかる例外規定は発見し得ないのであります。直接調達そのものが如何に今後の日本経済にとつて盲点になるかということについては、新聞の論調等も一様にこれを指摘しているところでありまするし、政府自身にとつても今ではこの協定に対する深刻な反省が生れつつあるところであります。アメリカ公契約法である軍需調達規定日本国内法や商慣習にそぐわないものであるために、物資、役務、労務を直接調達する際にひどく買い叩かれているという状態や、契約が一方的に打切られたり、リネゴシエイシヨン法によつて代金の割戻しを命ぜられたり、検査の基準が違うために製品全部がはねられたりする例が非常に多いのであります。この問の最近における深刻な事情については、五月三十日附朝日新聞が報道している通りでありまするが、何といつて日本人が外国政府を相手取つて日本で訴訟することができないという根本的な不備欠陷が、今や隠すことのできない政府の失敗として業界にも深刻な動揺を與えているのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)駐留軍労務者が不利益な取扱を受けた場合、政府が何らの補償も約束しない本法の内容から言えば、本法による労務者が、ひとり、この直接調達の悪條件の例外である場合のあり得ないことは、委員会の質疑の経過にも明らかであります。又本法律によれば、国家公務員という身分でなくなる連合軍労務者に対し退職手当の支給を行わず、将来一年について五分の利子を付して駐留軍労務者でなくなつたときに支拂うというのであります。占領下において、長い間ポツダム宣言の受諾に伴う占領業務の遂行に直接協力して来た進駐軍労務者に対し、政府がみずからの責任においてその利益を確保できる最後の機会にとられたこの退職手当の措置は誠に遺憾な措置と言わなければならないのであります。又審議の過程において満場の失笑を買つたことは、この法律案第八條では駐留軍労務者は国家公務員でないと規定しながら、同じく第三條では、駐留軍労務者には国家公務員共済組合法を適用しないなどという條項をみずから規定して、駐留軍労務者を国家公務員扱いにしていることであります。  これを要するに、本法律案は全然対等どころではない立場で押付けられた行政協定による直接調達の不備、欠陥、不利益を無慈悲に労務者に押付け、而もこの場合には案山子に過ぎない調達庁長官を通じて強権的な取扱を可能ならしめる悪法であると言つても過言ではないのであります。尤も今までには皆無ではありますが、若しも調達庁長官が案山子にならないというのならば、その例外は誠に嬉しい夢物語であります。(拍手
  27. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  28. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  29. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 日程第四、国際連合への加盟について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。外務委員長有馬英二君。    〔有馬英二君登壇拍手
  30. 有馬英二

    ○有馬英二君 只今議題となりました国際連合への加盟について承認を求めるの件につきまして、外務委員会審議経過と結果を御報告申上げます。  国際連合は、第二次世界戦争中昭和二十年六月二十六日サンフランシスコ会議におきまして締結された国際連合憲章により設立された一般的安全保障機構であります。一般的安全保障機構としては、第一次世界戦争を終結した平和條約により設立された国際連盟が最初のものでありました。国際連盟は戦争を防止することができず、第二次世界戦争となりましたので、別個の新らしい構想による一層強力な国際安全保障機構の設立が要望され、その実現を見たのが国際連合であります、従つて国際連合は国際連盟の経験を多く取入れてはありますが、一般的安全保障機構としても、経済社会的国際協力機関としても、進歩したものと認められます。その設立の経緯を見ますると、第二次世界戦争のたけなわな頃から、米、英、ソ三国間において一般的安全保障機構の設立について相談が進められていました。その後、イタリアの降伏後、昭和十八年十月二十日に、米、英、ソ、華の四カ国がモスクワで署名した全般的安全保障に関する四カ国宣言では、平和機構を樹立する積極的な意向を公式に表明しております。かくして準備が進み、昭和十九年八月二十一日から十月七日までワシントン市のダンハートン・オークスで会談が行われ、平和維持機構の使命、原則、重要な機関について定めた国際連合憲章を作成するように提案したダンハートン・オークス草案が発表されました。この草案を土台にして、昭和二十年四月二十五日に連合国代表がサンフランシスコに会合し、国際連合憲章を起草し、同憲章は六月二十六日に署名されました。この国際連合憲章は、各国の批准を得て同年十月二十四日に効力を発生し、翌昭和二十一年一月十日にロンドンで第一回の総会を開いて、国際連合は、米、英、仏、ソ、中国の五カ国を初め五十一万国を以て発足いたしました。その後九カ国の加盟を承認し、現在六十カ国で構成されております。現在までに加盟申請をした諸国のうちで、旧敵国であるイタリア、オーストリア、フィンランド、ブルガリア、ハンガリー及びルーマニアの加盟が実現しておらないばかりでなく、アイルランド、ポルトガル、トランス・ジヨルダン、アルバニア、外蒙古、セイロン、ネパール及びリビアのような国の加盟も実現しておりません。併し国際連合では、従来加盟申請国の加盟問題を解決するために種々努力が行われております。  政府の説明によりますと、我が国は対日平和條約の前文で国際連合への加盟を申請する意思を宣言し、連合国はこの我が国の意思を歓迎いたしておりますので、政府といたしましては、この平和條約の効力が発生した独立後の今日、速かに国際連合憲章第四條の規定に基いて国際連合への加盟を申請いたしたいので、国際連合憲章及び同憲章と不可分の一体をなす国際司法裁判所規程について承認を與えられたいというのであります。なお国際連合の経費は、総会によつて割当てられるところに従つて加盟国が負担することになつております。各加盟国に対する経費割当の基準は各加盟国の国民所得とし、例えば米国は三六・九%、イギリスが一〇・五%、フランスが五・七%となつており、我が国が加盟する場合には一・六乃至一・七六%で、本年度の年額としては七十六万ドル乃至八十四万ドルが推定されることになるとの趣旨の説明がなされました。  本委員会は、本件が五月八日に付託されて以来、八日、十六日、二十日、二十三日、二十七日、二十九日、二十日と、本月三日との通計八日に亘り、愼重審議をいたしたのであります。質疑の詳細は議事録に護りまして、主なる点を御説明いたしますと、質疑において最も論議されましたのは次の諸点で、曾祢委員より「ソ連が安全保障理事会で拒否権を発動すれば加入が不可能である。今のところ加入は事実上不可能の見通しが強い。一方、加入の場合、国際連合憲章の受諾以外に日本の軍備その他の加盟條件が課せられることも予想されるが、これらについて確たる見通しがないにもかかわらず、今国会に事前承認を求めるのは如何なる理由によるか」との質問に対して、岡崎外務大臣は「サンフランシスコ條約調印国四十八カ国は大体日本の加入を支持すると予想されるし、ソ連といえどもサンフランシスコ條約について提示した修正案中には日本の国連加入に積極的反対を示していない。そこで必ずしも加入困難を前提とする必要はない。理論上加入の可能性は十分存在している。加盟條件が他に予想されるとのことであるが、憲章以外の條件はないのでありまして、パナマ、コスタリカは軍備がないが加盟国であり、アイスランドも軍備のないことを加入前に明らかにしているのであります。政府としては、諸般の見地から、現在加入の意思表示をすることを先決と考えている。拒否権発動の場合の善後策については、現在微妙な問題があるが、十分研究はしている。国連総会において多数或いは三分の二で承認するということも考え方としては成り立つであろう。政府としては以上の見地から既定方針でおる。」旨の答弁がありました。岡田委員から、国連は現在闘争の場所となつているが、日本がこれに加入することは、日本と或る国々との関係を悪化することにならないかとの質問に対して、外務大臣は、「それは共産党の宣伝である。正しいことはやらねばならぬ。それをしなければ世界の平和を保てない」旨答弁がありました。  更にソ連との関係について、杉原、兼岩の諸委員より、「ポツダム宣言及び降伏文書が平和條約によつて代られた旨、政府の説明があつたようだが、平和條約の未調印国、批准未完了国との関係もさよう言えるか」等の質問があり、これに対し外務大臣から「この問題については純法律論では割切れない点もあるが、いろいろ段階があつて、先ず平和條約批准国との関係では、ポツダム宣言、降伏文書の効力は消滅している、又、條約未調印国、未批准国でも、国交回復の措置をとつた国との関係においては同様である。又平和條約に調印した諸国は、日本が降伏條件を履行したと認めたからこそ調印したのであつてソ連もこの点を認めたからサンフランシスコ会議に出席したのである。但し特定の條約案に反対であつたから調印しなかつたのである。降伏文書は履行された部分は消滅したのであつて、現在降伏文書の條件で効力を持つているのは、第一に戦争をしないという義務、第二に捕虜送還の義務である。一方、連合国の日本占領状態も終了しているので、日ソ関係も現在は占領状態ではなく休職状態であると考える。」旨の答合弁がありました。有馬委員から、国連加盟を申込んでも入れない場合もあり得ると思うが、その場合、千島、ハボマイ諸島の問題について国連に提訴するかと尋ねましたのに対し、外務大臣は、これは加盟と否とにかかわらずできることであるが、あらかじめ諸国の支持を確める要もあり、今直ちに確答はできかねる云々の答弁がありました。更に大山委員から、「政府の国連憲章に対する無批判性は不可解であり、先ず侵略とは如何なる定義によるか、朝鮮問題のごときは、同一国内の二つのセクションが争うことで、侵略とはならないのではないか」との質問に対し、外務大臣は、「国連では侵略の定義を定めることを努めたが一致せず、安保理事会では、そのときに応じて処置することとなつた。侵略の定義を定めると、その裏をかくやり方が出て来ることも考える要がある。朝鮮の現状は、中共は義勇軍が参加しているのだと称しているが、その義勇軍が空軍すら所有している事実はまさに平和の脅威である」との趣旨の答弁がありました。  次いで討論に入り、大山委員は、「国連憲章には侵略の定義がなく、事件が起つた場合に、多数国の意思で一方が侵略者と判定される慮れがあること、朝鮮事変のごときは朝鮮国内問題に対する国連の干渉であること、国連への加入は日本を再軍備に引込み、アジア人相撃つことになる慮れがある」等の理由を挙げて反対の意見を述べ、曾祢委員は、「国連は現状においては不完全なものではあるが、日本としては徒らに批判的であつてはならない。むしろ進んで平和維持機構として支持すべきものと考える。但し政府は、加入前においても一方的に義務のみを甘受する態度を捨てて、正当な権利は主張すべきこと、及び、加入が相当長く承認せられない場合、その間に国連の機構に重大な変更のあるとき、又は加入の條件が変る等の場合には政府は改めて国会に諮るべきである」との留保を附して賛成され、杉原委員は、「賛成である。但し加入の実現のためには十分努力すべきで、ソ連の拒否権発動によつて加入が実現しない場合の措置をも考究しておくべきこと、国連との関係においては義務のみを負うことなきよう、殊に国連の活動が今後とも極東において発動せられる公算が多く、我が国の運命にも関係するから、加盟前といえども日本要望が容れられるよう政府努力せられたいこと、及び、国連の現状は、軍事、政治上では一応協力の体形にあるが、経済面では各個孤立化の傾向がある。世界平和は経済の国際的協力によつて初めて可能と思うから、政府はこの現状を是正するよう努力せられたい」と要望されました。最後に平林委員は、国連加入に当つて、戰争犯罪者の処置及び抑留邦人の帰還について政府の善処を要望して、賛成の意見を述べられました。  採決に入りましたところ、多数を以て本件は承認すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告いたします。(拍手)    〔岩間正男君発言の許可を求む〕
  31. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 岩間君、何ですか。
  32. 岩間正男

    ○岩間正男君 かかる重大な案件に対しまして、まさに民族のこれは運命を決するような重要案件だと思うのでありますが、本議場を見ますというと、出席者の数が甚だ少いのであります。そこで議長において、こういう形でこの審議を進められることは甚だ面白くないと思いますので、善処されんことを切望いたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 暫時休憩いたします。    午後零時十五分休憩      ——————————    午後一時十七分開議
  34. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  国際連合への加盟について承認を求めるの件に関し討論の通告がございます。順次発言を許します。大山郁夫君。    〔大山郁夫君登壇拍手
  35. 大山郁夫

    ○大山郁夫君 議長並びに議場の皆様、私は第一クラブの同僚諸君の承認の下に、今日の案件である国際連合への加盟について承認を求めるの件に関して、私の個人的反対意見を述べることを許されて、これに立つておるものであります。勿論、私は委員会において私の論点をたくさん持ち出したのでありまして、今それを要約して十五分間に言つてしまうということは、もう私にとつて非常に不可能なことなのでありまして、それはできない。それで私は、丁度私があのとき持ち出しました論点に対して二、三のかたから反駁を受けた。そうして、その反駁に対して私が反駁することを許されなかつたのでありますが、その私が反駁を受けたそういう点に対して、私の意見をここで述べるのが、この十五分間を利用する最良の方法と考えるので、それをさせて頂きたいと思うのであります。  それで、私は勿論、国際連合加盟承認を求める件に対して反対の意見を述べるのは、少くとも二つの立場からこれをすることができる。一つは、如何なる状態の下においても、如何なる事情の下においても、国際連合に加盟しないという立場がある。それからもう一つは、現在の国際情勢の下において日本国際連合に加盟するということは当を得ない、今はその時期でないという、こういう立場がある。私の立場は後者のほうであつたのであります。即ち現在の国際情勢に鑑みて、今、日本がそれに加盟すべきでない。将来或いは日本国際連合に加盟するということが非常に適当な時期が来るかも知れない。そのときには勿論話が別になる。こういう立場から私の意見を述べた。そうして、それに対して、私はさまざまの立場から私の意見を述べた。委員長報告にもありました通りに、私は第一には、あの侵略の定義からこの問題は論議しなければならないということを言つた国際連合にはあの侵略に対して非常にはつきりした定義が設けられていない。而も或る国の或る行動を侵略と呼ばわつて、それに対して武力制裁まで加えるというふうな、こういう重大な結果を含んでおるということを考えるときに、やはり侵略の定義というものはなければならないという、そういうことを言つた。それから又、そういうような調子で成る国を侵略者と言い、又或る国の或る行動を、或るときは侵略と言い、又或るときは侵略でないと言うというふうな調子でやられるというと、国際の秩序に非常な混乱を生ずるというような点も指摘しておいたのであります。それから又現在日本国際連合に加入するというと、やはりそういう点からずるずるべつたりに再軍備をやる、又戦争の放棄の條文を廃棄してしまつたり、憲法の改正にまで追いやられる、こういう危険があるということも言つた。又、私は現在のこの国際連合の行動がだんだん反アジア的になりつつある。初めは反共というようなことが非常に注意されたのでありまするが、その反共が延いて反アジア的になりつつある。だから我々は国際連合に加入する前に、この点を批判しなければならないということも申しました。それから最後に、あの中共が、中共言つていいか、中華人民共和国の代表が、国際連合に参加することを許されておらない。そのときに日本が急いで国際連合に参加するということは、ますます中国を怒らせることになる。そうして中国日本との了解を非常に困難にしてしまう。あの台湾承認、日華條約の締結ということについてさえ日本中国を憤激せしめた。この上、又、当て付けがましく国際連合に加入して、一層中国の民衆を憤激せしめるということは、あの日中貿易ということが非常な大きな問題になつている今日、そういうことをするのは当を得たものでないというような点をたくさん言つたのでありますが、到底今日そういうことは申述べることはできないのでありますが、ただ侵略という言葉と、それから又あの内政干渉という点において、私に対する反駁が、その一部分は岡崎外務大臣から、又一部分は曾祢議員からなされたので、その点に対して私の立場をはつきりしておきたい。こういうふうに考えております。  あの国連においてこの侵略に対するはつきりした概念が定められていないということは、これは岡崎外務大臣もそれを認められたのであります。勿論一昨年の朝鮮事変が起つてから、殊に八月に入つて開かれた安保理事会において、マリク・ソ連代表が侵略の定義をはつきりと言つた。マリク代表はいろいろの点を挙げて演説いたしましたが、その中でやはり侵略の定義を言つた。そうしてマリクは、ソ連曾つて一九三二年の国際軍縮会議において侵略の定義を提出した。それが、その年、やはり一九三三年中に、国際連盟の安全保障問題委員会において十七万国によつて賛成されたということをはつきり言つておるのであります。その十七カ国の中には、イギリス、フランス、アメリカ、それからノールウエーといつたような、国際的に非常に有意義な立場をとつている、そういう諸国の名前も見られたのであつて、殆んどそれは国際法としてのその効力を持つているものである。ただ、あの国際連盟の安全保障問題委員会代表の、二、三の代表がそれに対して文句を附けたので、問題が一九三九年まで引張られて、とうとうその年にあの大戦が勃発したので、この定義をはつきりきめるということがお流れになつてしまつたけれども、併しながら、もう今日、この朝鮮戦乱の問題に関連しておるところの重大な国であるアメリカイギリス、それからフランスの代表はそれを認めているのだ。こういう定義を述べたのでありますが、そのマリクの論点に対して、国際連合においては何ら反駁もなかつた、賛成もなかつたのでありまして、結局あの国際連合は侵略に対する定義を持つていないということになるわけであると思うのでありますが、これは非常に重大である。岡崎外務大臣は、一向それは重大でない、いいのだ、こういう論調であつたのであります。侵略に定義がないのはいいのだ。なぜならば国際情勢というものは刻々転変している。変動している。発展変化しているから、国際侵略の概念が固定化しておつたら、その中にズレができる。こういうお話であつたと思うのでありますが、併しながら、この侵略を構成している概念が発展変化しないものであるということを誰も言つてやしないのであります。そういうことを、そんな馬鹿なことを言つておる者は誰もないのである。いやしくも侵略という言葉を使う以上は、その侵略の定義を持たなくちやならない。そうして、その基礎になるところの国際情勢というものが絶えず変動し、発展変化するものなら、それに沿うてあの侵略ということの定義も発展変化しなければならないものであると我々は考えておるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)少くとも侵略という言葉を使う以上は、この要素がなかつたら侵略という概念は成り立たないという根本概念だけは示さなければならないのだが、それが国際連合によつて示されなかつた。これは非常に重大な問題である。即ち国際連合は、法によらずしてすべてのものを裁断しているということを示したものであるということになると思うのであります。  現在破防法が論ぜられておるときに、よく言われておつた、あの国家の立法権、司法権、行政権というものを一つの手に握つてしまうということは、これは立憲政治でなくて専制政治だということを言われておつたが、国際連合のやり方はまさに専制政治である。否、専制政治以上の専制政治であると思うのであります。専制政治においてもやはり、例えば由らしむべし知らしむべからずということを言つておる。由らしむべしというのは、結局、法を示さないけれども、法というものを持つている。法三章ということを言われておるが、法三章でも法五章でも、とにかく法というものがある。ただそれを皆に示さないだけであるが、併し法に由らしむべしというのが専制政治であるということを言つておるのだが、国際連合が侵略ということを盛んに用いながらその定義を持たないということは、法というものがないということを自白しておるものだと思うのであります。(拍手)それは確かに無政府主義的な考えである。私は岡崎外相或いは曾祢議員が無政府主義者であるということを今まで問いたことがなかつたので、そういうお説を聞いたときにはびつくりしてしまつたのであります。そうして、殊にこの民主主義ということは、法的秩序の上に乗つておる。法的秩序というものがどんなものであるかということを究明することから民主主義の概念が始まらなければならないので、法的秩序ということと、それから又民主主義ということは、離るべからざるものであつて、破防法というような悪法でも、悪法また法なりと言われておるのであつて、法というものが付きまとうのだが、法というものがなくて民主主義が成り立つものであるという考えに、私は一驚を喫したのであります。  あの世界大戦のときに、民主主義の思潮、デモクラシーの思潮が起つて、そのために啓蒙運動が行われてから三十年間になる。その三十年間の月日がたつておるのに、なお今日において日本の指導者を以て自任しておられる人たちの間にこういう考えがあるということを知つたときに、私は日暮れて途遠しという考えを抱かざるを得なかつたのであります。(拍手)だが、世界平和のために、又民主主義のために、こういう考えがあるということは許すべからざることである。その点から私は、あの国際連合にその侵略に対する定義がないのがいいのだ、そのために却つて我々は国際連合信頼することができるという議論には、私はくみすることができないのであります。  それからもう一つ、内政干渉ということに関して、又、私の立場を非難された。誰であつたか、私の立場を非難されたのであります。これはあの朝鮮の戦乱、あれは確かに民族の統一ということをめぐつて南鮮と北鮮の間に行われておつた鬪争から始まつたものであつたものであつたのでありまして、明らかにあれは国内における二つのセクションの間における争いであつた。それに武力干渉を用いるということは、確かに内政干渉主義である。ところが、あの国連の憲章を見るというと、第二條において内政干渉主義を排斥しておるのであります。この国連憲章における如何なる規定といえども、この国連に内政干渉の権利を與えるものではないということをはつきり言つておるのである。併しながらその條文の最後に、但し、この規定は第七竜に示しておるところの強制措置をやるということを妨げるものでないという但書がある。その但書を捉えて、得たりかしこしと、国連は内政干渉主義を排除するという原則を立てておるのだが、その原則を、但書によつてすつかり取り崩しておると、こういう意味の御発言があつたように私は思うのでありますが、これはとんでもない勘違いではないか。初めのほうに内政非干渉主義をはつきりと言つておるのは、あの但書に示されておる原則というものに対する或る制限を置いたのでありまして、或る国を侵略者と認めて、それに対して武力制裁をするときには、よほど考えなければならない、こういうような意味をはつきりされたので、あのときに、曾祢議員でありましたか、一国の内政に干渉しないということは大切であるけれども、併しながらその国が或る行動をとつておる。それが国際的秩序を害するものであつたらば、それは、国連は直ちにそれに対して、武力干渉でも何でもできるというようなお話であつたように思うが、併しこれは非常に乱暴な議論ではないか。成るほど或る場合には、そういうのは国際的秩序を撹乱するから、それで、それに対して武力行動をとることも又止むを得ないというような、こういう議論が成り立ち得る場合もあるだろうけれども、併しながら、どんな行動でもみんな片端から、これは国際的秩序を紊すものだといつてしまつて、それに対して武力干渉を行うということは、これは丁度あの侵略の定義をきめないで侵略者を制裁すると同じように、無法な、法がない状態であると私は思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)それから、殊にあの朝鮮が、南鮮、北鮮が民族統一問題を通して争つておるということが、それがどうして国際的秩序を紊したということができるのであるか。それよりも、それに武力制裁を加えるということこそが、本当に国際的秩序を紊したものであると我々は考えておるのであります。(拍手)事実そうだ。それで、その結果もそうなつた。事実あの韓国を援助すると言つて、そして武力制裁を加えるようになつた。一週間か二週間で片付くと言われておつたんだが、二年後の今日に至つても片付いていやしない。そして朝鮮の全土が破壊された。ただ北鮮が破壊されただけじやない。南鮮は援助されたはずだが、併しながら南鮮の上にも爆弾が飛び、大砲が鳴り、又兵隊がそれを蹂躪してしまう。そうして百万以上、正確な数は知らないけれども、百万以上、或いは幾百万の朝鮮人全体が、或いは殺され、或いは傷つき、或いは家を失い、或いは西に東に浮草のようにさまよつておる。そうして、もう今日、朝鮮の山河というものは荒れ果ててしまつて、見るに堪えないような状態になつて来て、朝鮮人は有史以来のこの国民的悲劇を嘗めておるのであるが、こういうような結果を持ち来たしたその国連軍の武力干渉というものが、国際的秩序を紊していないものとすれば、一体何が国際的秩序を紊すことができるかという問題が生ずるのであります。そういうふうに我々は考えておるのであります。(「議長、時間」と呼ぶ者あり)  それからもう一つは、あの国連憲章の二十七條にある手続法がすつかり蹂躪されてしまつておる。国際連合においては、重要な問題に関しては、国際連合の安保理事会を構成しておる十一カ国のうちの七カ国の賛成投票がなければならないので、その中で殊に重要な、重大問題に関しては、常任理事国を構成しておる五カ国の賛成投票がなければならないという規定があるのでありますが、あの国連の武力干渉をするということをきめた安保理事会においては、そういうような七カ国のその賛成投票がなかつた。第一に、中華人民共和国の代表者は正式の代表でないと言つて承認せられておらない。そういうようなわけで、この安保理事会が合法的に成り立たないという理由によつてソ連代表はそれに行かなかつた。ただ、あの七カ国の投票というのが、これは英米仏或いはエクアドルとか、そのほかの国、殊にあの非合法に安保理事会に出席した中国国民党の議員、チヤンテインフーとかシヨーテーフー(蒋廷黻)というのか知りませんが、そういう人、即ち非合法にそこに参列している人の投票を入れて、やつと七カ国できたのである。あの手続法というのは非常に重要なものであると思つたのだが、これが白晝公然と蹂躪されておる。その方法が果して公正であるか。又これが国際的秩序というものを紊さないものであるかということに対して、私はお答えを得たいのであります。(拍手)  それから又もう一つは、北鮮に対して、平和の破壊者であるとか或いは侵略者のレッテルを貼り付けようとするときには、そういうことをきめる事実というものに対して、精密な、科学的な調査が行われなければならないのでありますが、そういう調査は行われなかつた。国連の朝鮮委員会報告に基いて、そうした、大体議事がきまつたようでありますが、併しながらあの国連朝鮮委員会というものの報告信頼できないということは言うまでもないことなんでありまして、初めからもう北鮮を侵略者ときめてかかろうとしておる。国連の選出した委員会なんだから、そこから公平な報告が生れるはずはない。あの時に公平な報告を得ようと思つたら、先ず北鮮の委員会と南鮮の委員会とを対決せしめて、両方それぞれ自分たちの立場から物を言わしめて、それから判断すべきはずであつて、又北鮮のほうはその準備をしておつたのであります。併しながら国連においては北鮮の委員会を呼ぶと都合が悪いと思つたんでありましよう。南鮮の委員会の言うことだけは聞いたが、最も大切な北鮮委員会の言うことを聞こうとしなくて、北鮮委員会をしてあの国連に寄せ付けなかつたのであります。こういう手続によつて本当に公平な判断がなされるか。我々東洋人は、昔から片言訴えを聞かずというような、こういうことを信條としておるんだが、併しならがらこれは東洋人だけに適用すべき一つの原則ではないのでありまして、公平の原則としては世界的に効力のある原則であるということを我々は信じておるのでありまするが、国連は……。
  36. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 大山君、結論を早く。結論に達して下さい。
  37. 大山郁夫

    ○大山郁夫君(続) それではそういうことにします。公平の原則を無視しておるという点が、これは非常に重大な問題であると思うのであります。それから、それ以外の論点も非常に重大であつて、ここで申上げたいが、今お聞きの通り、もう時間が来たと言われたのでありますから……。だが併し、私の意見はあの委員会において比較的詳細に述べておいたはずでありまするから、だからそれを参照して頂きたい。殊に現在日中貿易というもが非常に重大な問題になつておるときに、日本が如何なる基礎によつて自由に日中貿易に従事することを主張する権利があるかということに関して、私はポツダム宣言並びにポツダム宣言のあの十一項の基礎になつた大西洋憲章の第四項を引いて詳細に論じておいたと思うのでありますが、これは現在のこの状態の下において非常に重大な意味を持つておるのであるが、現在国際連合に加入するということは、これらの原則を日本みずから否定するというようなことになる。そういう結果を持ち来たすものであるという理由によつて、これらの理由によつて、私は現在この国際連合に加入するというのは、その時機ではない。将来国際連合がもつと常識に立ち帰り、そうして又当然あの国際連合の安全保障理事会に合法的に参加する権利を持つておる中共の参加を認める、又今日盛んに現われておる反アジア的の行動を愼しむ、それから日本を反共の防壁にするとかいうような、あの世界人権宣言を無視したような、こういう原則もすつかり引つ込めてしまつて、本当に国連憲章に記してあるような機能を盡すことができるようになつたときには、日本は喜んで国連に参加しなければならんと思うが、そのときまで国連に参加することは不適当である。私はそういう議論を持つておるのでありますが、ともかくそういう立場から私はこの議論を進めたということをここに報告いたしまして、私のこの発言を終ろうとするものでございます。(拍手
  38. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 金子洋文君。    〔金子洋文君登壇拍手
  39. 金子洋文

    ○金子洋文君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして二つの條件を付して本案に賛成いたします。  その第一の傑作は、日本国憲法を尊重するということでありますが、御承知のように、国連へ加盟いたしますと、国連憲章の規定によりまして、必要の場合は兵力を持ち得ることになつております。従いまして、国連へ加盟した国は、国連の要請がある場合にはこれに協力しなければならないということになつております。ところが日本国憲法は第九條において戦争を放棄し、軍備を持たないことになつております。従つて、可能な協力はその規定上当然としましても、軍事的協力は憲法を厳守する立場からしまして絶対に反対しなければならないと思います。朝鮮動乱を例にとつてみますと、国連の要請に従つて軍事的協力をしておる国は、決議に賛成した五十数カ国のうち僅かに十七万国であります。従いまして、日本が国連に加盟した場合を考えましても、日本の憲法を重んじて軍事的協力をしないで済むことは岡崎外務大臣も明らかに述べていることであります。  第二の條件は、国連の統一強化を希望することであります。この点、我々の考え方と政府考え方と鋭く対立しておるのでありますが、現在の国連は、国連本来の平和的機能を失つておりまして、片寄つた活動と運営をしていることは衆目の見るところであります。従つてこうした不具的状態にある国連をそのまま承認して国連に加盟することは、不具的状態に拍車する結果となるのであります。岡崎外務大臣委員会答弁におきまして、若しもソ連日本の加盟に対して拒否権を行使した場合はソ連が悪いのだと、一方的にきめつけておるのでありますが、かような反国際的な考え方こそが国連の平和的機能に禍いするものであり、みずから好んでソ連の拒否権を望むに等しい言動と思います。(「その通り」と呼ぶ者あり)  我々は国連の統一強化を強く要望しまして、本案に賛成するものであります。(拍手
  40. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 曾祢益君。    〔曾祢益君登壇拍手
  41. 曾禰益

    ○曾祢益君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、国際連合への加盟について承認を求めるの件に対しまして賛成の意向を表明するものでございます。  国際連合は、すでに御承知のように、国際の平和及び安全を維持すること、更と経済的社会的国際問題の解決などの目的を以て作られましたところの機関でございまして(「看板倒れ」と呼ぶ者あり)これに対しまする日本の参加は、すでにサンフランシスコ條約においてもはつきりと意向を表明しているのであります。現在、国際連合の機構並びに機能につきましては必ずしも十全でない。この点は確かにあると思うのであります。(「憲章違反だよ」「うるさいぞ」と呼ぶ者あり)併しながら、だからと言いまして、国際連合の機能に対して重大な批判的立場をとり、従つてこれに対して加入に反対、それが條件付反対であるか絶体的反対であるかは別といたしましても、かような言動があるのでありますが、私はこの点は、多くの議論はすでに誤まつているものだということを委員会においても詳細に論議したのでありまするが、その極く一端を申上げてみたいと思うのであります。  先ほどの大山議員の御討論にもありましたが、国際連合が侵略の定義がない、従つてさようなものに対して加盟することは危険である、これは法がないから無政府であり無秩序である、かような点も論議されているのでありますが、これは実は非常におかしなことでありまして、国際連合の目的にはつきり現われておりますように、国際連合はただ單に侵略行為に対してのみ措置するものではないのであります。第一條にもありますように「平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為」、かようなものを一体に考えているのであります。又第三十九條のいわゆる第七章の制裁等に関しまする規定におきましても、「平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為」、かように侵略行為というものだけを一つ単独に切り離して取上げて行くというやり方はしておらないのであります。これは誠に侵略行為そのものの定義ということが如何にむずかしいか、これを下手に定義いたしますると、却つてその裏をかくような行為が行われるという悲しむべき国際的事実から起つた当然のことでございます。従つて侵略行為に関するはつきりした具体的な国際法ができておらない。これは必ずしも国際連合の罪でも何でもない。世界情勢の然らしむるところであつて、而も国際共産陣営の政略そのものが内乱にかこつけた恰好による国際侵略を行なつている。かような事実からいたしましても、侵略ということを固定的に定義づけることは却つて危険である。(拍手、「こじつけだよ」と呼ぶ者あり)かような悲しむべき現実にあるのであります。従いまして、私たちはさような形式論からの国際連合不信用論には断固として賛成できないのであります。  更に又、いま一つの問題は、内乱と侵略との関係でございます。すでに申上げましたように、最近の言葉では、日本の正式にきめました條約においてすら、間接侵略、かような言葉すら使つているというのがこれ又悲しむべき現実でありまするが、かようなわけでありまするから、国際連合の憲章第二條におきましては、本質上、国内管轄権内の事項に対しては、国際連合は不干渉であるということをきめておる。本質上、国内事項、ここに一つの問題がある。多くの問題は国内的には国内事項に見え、而も実際上は国際的の関係を持つていることがあるのであります。従つて、本質上国内事項というものは、必ずしも同時に国際事項の性質を除外するものではないのであります。従いまして、かような場合におきましては、第二條の第七項の但書において、第七章の強制措置の適用を排除しない。いわゆる国内措置と認められることでも、国際的性格がある場合、平和の撹乱のごとき場合、朝鮮のごとき場合、(「子供だましだ」と呼ぶ者あり)かかる場合に、国際平和の破壊として国連が容認すれば、その機関の意思の決定に従いまして強制措置をとることができる。これこそ我々が国際連合にむしろ信頼をするゆえんであるということを申上げたいのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)  私はかように申上げまして、更に又、只今金子君の留保條件を伺いましたが、これも一つ方においては国連に参加すると言いながら、現在国連の統一強化を希望する、国連は現在平和的機能を失つておる——平和的機能を失つている国連に対してどうして参加するのだ。私はかような態度は全然意味をなさない。国連の機能及び機構、或いは運営が不十分であればこそ、日本がアジアの一国としてこれに参加して、その方向を正しく向けて行くということが我々の目的でなければならん。ただ国連の機能が平和的機能を失つておる、だから失うことを統一に向けてやるということを條件として加入するということは、およそ私は矛盾に満ちた御議論だとしか思えないのであります。  さて、私はかように申上げましたところで、決して政府のような態度を支持するものではないのであります。(「もう、たくさんだよ、それでいいよ」「十分やれ」「終つたつた」と呼ぶ者あり)現在政府態度は、すでに委員長の御報告にもありましたように、国連にまだ参加していないのに、いわゆる参加と同様な義務の履行或いは受諾については極めて熱心であるのであります。(拍手)従いまして、例えて申上げるならば、現在国際連合軍の軍隊が日本にございます。この国際連合軍との協定、これをどうするかというような問題につきましても、政府は何らこれを進めておらない。果して政府は今議会中にこの問題を処理いたしまして国会に協定の承認を求めるだけの誠意があるかどうかは甚だ疑問である。更に又、国際連合のいわゆる集団的制裁の問題に関しましても、私たち日本社会党第二控室は、決して我々が国連の北鮮或いは中共に対する制裁に対して協力することに反対ではないのであります。併しながら、この共同制裁の問題につきましては、御承知のように、昨年の国際連合の総会におきまして作られました集団的措置委員会、かようなものが報告書を出しておりまして、日本政府にもこの報告書は伝達されておるのであります。これを見ましても、「集団的経済措置の計画に当つて、その犠牲の異なる負担に対して考慮が拂われなければならない。且つ個々の国に対する過重な、重過ぎる困難を減少するために適当な措置がとられなければならない。侵略に対する国際連合の行動から生ずる全負担が広く均等に配分ざれることが望ましい」。かようなことを書いております。即ち集団保障には賛成であるけれども、経済的に、日本中共に対する制裁に参加することによつて、他の国よりも一層大きく、不平等に過重な負担を受けるということに対しては、さようなでこぼこは当然に自主的外交によつてこれを直して行くべきではないか。かような点に関して岡崎外務大臣発言は、日本中共制裁の十字軍の先頭に立つて一番厳重なことをやる、かようなことを言つておられるのは、私は非常な誤まりではないか。要するにこれらの点に関しましても、政府が国連加入或いは国連支持に関する義務を負うことばかりに熱心であつて、当然の公平な原則に基いた権利を主張するのに甚だ物足りない。これらの点は直して行かなければならないと存ずるのであります。我々が国連に加入するのも、誠にさような意味から、国際の平和、極東の平和、或いは国際間の経済的問題のよりよき打開のために、日本の正しい意向を十分に反映させんがために、これを要求するのであつて、ただ一方的に、あなた任せ的に、国連の機関が決定するものを、ただそれを恐れ畏んでこれを受け継いで行くというのは、我我のとるべき態度ではないことは申すまでもないのであります。(拍手)  なお又、実はこのたびの国連加入についての承認を求める件は、私は手続的にも非常に異例ではないか。多くの多数国間との條約に日本が参加する場合に、政府はすべて参加の手続が終つて、そうして国会の承認を受ければこの條約に参加できるというときに国会に承認を求められておる。これこそ正しいのです。併しこのたびの例を見ますと、政府は如何に強弁されても、実は日本の国連参加に対しては非常に重大な政治的障害があることは皆さん御承知の通りである。それにもかかわらず、今日国連参加の承認をあらかじめ国会から白紙委任的にとつておこうとされるのであります。私たちは、国連に参加すること、これに賛成であるからこそ、法案の取扱としては非常に異例でありまするけれども、この承認を與えるのに止むを得ず承認を與えるような気持であるのであります。従いまして、この点は明白に私は我が党のために留保しておきたいのでありますが、(「だから反対したらいいじやないか」と呼ぶ者あり)我々が、国会がこの国連参加に関して承認を與えますることは、国際情勢の変化、急激な変化があつて、例えば国連の構成が非常に変つて来る、場合によつては国連がソ連圏を含まないようなものになつたと仮に仮定いたしましたような場合に、さような国連に参加するということまで我々は承認を與えるつもりではない。私たちは更に又、日本が加入する場合の條件については、もとより日本の憲法が守られることを信じておりますが、外部的な條件が、日本の加入に対して、現在の憲章以外にきめられているかような條件があつたといたしまするならば、さような場合には、我々のこの国連参加への同意というものは、当然にその場合には変つて来なければならない。(「そんなことはないよ」と呼ぶ者あり)かような場合には当然に改めて国会の承認を受くべきであるということを、私は、はつきり申上げたいのであります。  最後に、政府の国連加盟への努力について伺いましたが、いろいろ抽象的なことで、我々として必ずしも納得できないのであります。国連の加盟につきましては、すでに委員長の御報告にもありましたように、現に多くの国々が、一部はいわゆるソ連圏の国々、他は自由国家群の国でありますが、いわゆる両方共に参加が許されない、加盟が許されない、かような問題があるのであります。アメリカにいわゆる両方のグループを一括参加させることには反対であるということを言つておるのでありますが、我々は日本独自の立場からするならば、日本の参加の場合にさようなアメリカの條件に賛成する理由は当然ない。国連の多くの参加国、なかんずくアジア、アラブ諸国或いは中、南米の諸国等は、同時に解決すべしという強い意見を持つておるのであります。我々はそのような点についても我がほうの自主的な外交が望ましい。更に又国連憲章の解釈問題といたしまして、第四條にありまする加盟の條件は、御承知のように安全保障理事会の勧告に基いて総会が決定することになつております。勧告に基いて。若し不幸にいたしましてソ連がこの安保理事会において拒否権を行使したと仮定いたします。さような場合には、その勧告は、日本の参加に対して否定的であろうかも知れませんが、それにもかかわらず、その否定的な勧告に基いて総会が決定して日本の参加を許す、こういう新らしい途も開くごとく強力なる自主的な外交を展開されんことを切に政府に希望いたしまして、私の賛成討論を終りたいと存じます。(「所論、矛盾撞着」と呼ぶ者あり)
  42. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本件の採決をいたします。本件を問題に供します。委員長報告通り承認を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  43. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本件は承認を與えることに決しました。      ——————————
  44. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第五より第二十までの請願及び日程第二十一より第二十七までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。運輸委員長山縣勝見君。    〔山縣勝見君登壇拍手
  46. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 只今議題となりました日程第五より第二十七までの請願及び陳情につきまして、委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  日程第五より第十五まで、及び日程第二十一は、国有鉄道の敷設関係及び営業再開に関する請願及び陳情でありまして、穴水—飯田間、荒海—滝の原間、浜原十日市間、辺富内線、雄武—枝幸間、岡崎—多治見間、及び日南線は、いずれも鉄道敷設法の予定線或いは建設線に該当するものであり、登米郡縦貫鉄道、湯本線及び掛川町—御前崎港間は、いずれも予定線、建設線には該当しておりません。このうち穴水—飯田間、荒海—滝の原間、浜原十日市間及び辺富内線の宮内—右左府間は、今回鉄道建設審議会より、年度内予算の補正によつて速かに建設に着手するを適当と認める旨、運輸大臣宛答申されておるものであります。なお又白棚線につきましては、同じく鉄道建設審議会より関係大臣宛に、速かに再開するよう建議されたものであります。委員会におきましては、審議の結果、以上の十二件は、いずれも地方産業の開発、文化の導入、民生の安定、その他、地方民の福利増進のため、速かに鉄道を建設し、交通網を完成することを適当とし、願意を妥当と認めました次第であります。  次に日程第十六は姫路駅の改築工事に関する請願であります。その趣旨は、姫路市は国鉄の当初の改良計画に基きまして都市計画を樹立しておるのでありますが、今回国鉄が計画を変更いたしまして、現在地附近に新駅を改築いたしますことは、都市計画の遂行上多大の障害を生ずる故、現地点より五十メートル以上南部に移すごとく計画し、改良工事の進捗を図つて欲しいとの請願であります。  次に日程第十七は佐賀県鳥栖町に鉄道管理局設置請願であります。請願の要旨は、鳥栖地区は北九州における産業立地條件より見まして鉄道輸送上重要な地区であるので、鳥栖町に鉄道管理局を置いて欲しいというのであります。  日程第十八は元傷痍軍人に鉄道無賃乗車証復活の請願であります。請願の要旨は、元傷痍軍人は療養のため鉄道を利用いたしますることが多いのであります。而も一面におきましては経済上困窮いたしておりまする現状でありまするので、鉄道無賃乗車証の再交付を請願いたしたのでありまするが、鉄道無賃乗車証は昭和二十三年以来廃止になつているので、これを復活せられたいという請願であります。日程第十九は島根県宅野港防波堤復旧工事施行に関する請願でありますが、請願の趣旨は、宅野港はキジア台風及びルース台風による北、西両防波堤の被害が甚だしく、地方財政の現在の逼迫に鑑みまして、国庫補助による防波堤復旧工事を施行せられたいという請願であります。日程第二十は日本海浮游機雷に対する対策強化促進請願でありまして、現在日本海方面には機雷の浮游があり、経済、交通上悪影響を與えておる現状に鑑みまして、掃海船の重点配置による浮流機雷の早期発見と、その処置、及び航路の安全明示と船舶の誘導並びに臨時補償法の制定等を実施されたいというのであります。  日程第二十二は、甲府、長野両駅間の鉄道電化に関するものでありますが、石炭の節約、輸送力の増強、旅行の快適等の見地からいたしまして、速かに電化を促進されたいというのであります。次に日程第二十三及び第二十四は、鉄道貨物運賃の割引期間の延長並びに等級引下げ等に関するものでありまして、願意は取引の円滑を期しまするため運賃の負担を軽減されたいというのであります。日程第二十五は国鉄入札制の改正に関する陳情であります。陳情の要旨は、従来小規模の土建業者は各地の鉄道工業或いは鉄道建設興業という特殊会社の下請となつておりました。然るに昭和二十七年早々に改正実施を予定されておりました案によりますれば、五十万円以下の工事はこれらの特殊会社の随意契約となり、又五十万円以上百万円以下の工事は特殊会社のみの指名入札となることが予定されております。これは下請業者の死活に関する重大問題でありますので、五十万円以下の工事には下請の小規模の業者も加えて入札せらるるようにされたいというのであります。日程第二十六は靜岡県蒲原海岸防潮堤修築工事施行に関する陳情でありまして、陳情の要旨は、目下施行中の防潮堤は、これが完成いたしますれば、国鉄は線路災害より免れ、非常に利益を受けることになりますので、受益者として国鉄も経費の一部を負担して欲しいというのであります。最後に日程第二十七の陳情木船災害復旧資金融通に関する臨時措置法等制定要望でありまして、木船災害復旧資金融通法、木船事業法、木船国家再保険法の制定をその内容としておるのでありますが、災害復旧資金の融通と木船事業に関する法律につきましては、本国会におきましてすでに成立いたしておるのであります。  以上の請願五件、陳情六件につきましては、委員会におきまして慎重に審議いたしました結果、いずれも願意を妥当と認めた次第であります。  よつて日程第五より同第二十六までの請願十六件、陳情六件は、いずれも議院の会議に付するを要し、内閣に送付するを要するものであり、なお日程第二十七の陳情は、議院の会議に付するを要し、内閣に送付を要しないものと、全会一致を以て決定いたしました次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手
  47. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  これらの請願及び陳情は、委員長報告通り採択し、日程第二十七の陳情のほかは内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  48. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、日程第二十七の陳情のほかは内閣に送付することに決定いたしました。  本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時九分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、アジア貿易促進に関する緊急質問  一、日程第一 水産資源保護法の一部を改正する法律案  一、日程第二 長期信用銀行法案  一、日程第三 日本国との平和條約の効力の発生及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律案  一、日程第四 国際連合への加盟について承認を求めるの件  一、日程第五乃至第二十の請願  一、日程第二十一乃至第二十七の陳情