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1952-06-02 第13回国会 参議院 本会議 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月二日(月曜日)    午前十時四十六分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第四十五号   昭和二十七年六月二日    午前十時開議  第一 道路法案衆議院提出)(委員長報告)  第二 道路法施行法案衆議院提出)(委員長報告)  第三 宅地建物取引業法案衆議院提出)(委員長報告)  第四 地方公務員法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 ドイツ人工業所有権特別措置令の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) これより本日の会議を開きます。    〔三橋次郎発言許可を求む〕
  4. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 三橋次郎君。
  5. 三橋八次郎

    三橋次郎君 私はこの際、行政協定に伴う演習地接收に関する緊急質問動議を提出いたします。
  6. 山下義信

    山下義信君 私は只今三橋君の動議に賛成いたします。
  7. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 三橋君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。三橋次郎君。    〔三橋次郎登壇拍手
  9. 三橋八次郎

    三橋次郎君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして、演習地接收に関連しての諸問題について緊急質問をするものであります。  同等の立場において締結されたはずの講和條約、安保條約、行政協定現実は、国民の上に余りに冷嚴であつて自主性に乏しいことにつきまして、国民は平和と独立ということにつきまして、それに疑義を挟むに至りましたことは、誠に遺憾と存ずる次第でございます。殊に行政協定実施に伴う諸事項中、農村影響ある事柄を見ましても、誠に憂慮に堪えぬものがあるのであります。真の独立は、自立経済基盤とし、食糧自給こそ最も重要なることであります。我が国食糧事情輸入三百五万トンを計算に入れて計画を立てられていることは、独立国家として甚だ心細く、その輸入費輸出総額の半ばになんなんとしているのであります。食糧自給度向上こそは最も必要なことであり、国を挙げて農村の振興を考え、食糧自給度向上を如何にすべきかを図らなければならぬ喫緊のときであります。  然るに行政協定農村に與える影響は、種々の面、即ち軍事予算農業関係経費の制約、負担の増加、再軍備と人的動員農村反動支配等、間接的な要因は広汎に亘りますが、直接的に、そうして現実に現われている問題としては、土地接收をめぐる諸事項が急を要する問題として取上げられるのであります。土地接收に関連して起る派生的な問題が農村醇良なる風俗習慣を破壊して、平和であるべき農村に波瀾が起り、生産意欲の減退を招来したり、又環境的に純朴で平和を好む農村を、土地接收に絡んで無益にその思想を刺戟する等のことは、嚴に愼しむべきことであります。現在調達された開拓地は二十都道府県に亘り五千六百町歩関係農家戸数は五千九百戸、既存農地は十八都道府県に跨がり、七百四十九町歩関係農家戸数は千七百戸であり、又最近調達されようとしておる開拓地におきましては、十六都道府県に亘り八千百町歩関係農家数は一千二百九十戸、既存農地は六道県に亘つて八百六十一町歩で、農家数は二十八戸であります。合計におきまして、関係都道府県は二十であつて面積は一万五千三百十町歩農家戸数は八千九百十八戸であり、その影響するところは甚大なるものがあることは申すまでもないのであります。殊に農業は、その生産力影響を有しまするところの水源涵養林灌排水路、溜池、防風林等にも関係がありまして、ただ單に農地面積のみによつて論ずべきものではないので、更にそれによりましてもその重大性を知ることができるのであります。  先ず外務関係でありますが、安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う土地等使用等に関する特別措置法の第四條にも規定され、民意が尊重されることになつておりますが、現実はこれに反するものがたくさんあるので、右法律の運用に当りましては、自主性独立を確認して、一方的命令接收されるようなことがないように、我が国農業重要性に鑑み国民の支持の下に自主的協定確立のため努力する意思ありや否や。  次に、五月二十六日の東京新聞によりますると、米軍演習地増加希望しておるとありますが、最終的範囲はいつ頃決定されるのであるか。農民接收の不安にかられて増産意欲を低下し、耕作に熱意を欠くような状態にあるのでありまして、心理的にも経済的にも大なる影響がありますから、速かに決定して頂きたいものであります。  又最終決定あとでも、米軍希望によりまして一方的にその枠は拡大されるものであるかどうか。  次にYED司令官某大佐は、相模原町における米軍兵器廠建設に際しまして、町長と折衝することなく、農民退去の立札を各所に立てられておるが、このような一方的事後承諾は認められているのかどうか。又山梨梨カ原における農地調達命令及び演習地拡張のための立入禁止処置についても御答弁願いたいのであります。  次に、熊本阿蘇山麓カ町村に亘る駐留軍の軍用地指定問題であります。当地区放牧地八千八百町歩に及び、営農上畜産が主でありますから、牧野接收されることによりまして四〇%の收入減となり、農業生産も厩肥その他の関係から二〇%の減收を予想されておるのであります。そのほか多数の農業施設を失い、三千六百戸の農家農業経営は壊滅するので、悲痛な反対をしております事情は、政府も御承知のことでありましよう。更に又富士山麓接收問題であります。接收が予想されている問題の地域は、日米合同委員会日本側に提示されたものによりますると、山梨、静岡両県に跨がり、旧日本軍演習地を含む五万一千町歩となつております。すでに接收されております三万七千町歩と新らしく接收予定をされている一万四千町歩で、関係農家数は五百戸に及び、副業收入として重要なる農家收入部分を占めます木炭の生産に重大なる支障があるのみならず、森林牧野損害も甚だしいのであります。そうしてこの接收地域拡大には反対しておるのであります。そのほか宮城県の王城カ原にも同様の問題が起つております。以上、阿蘇富士山麓及び王城カ原の三地区に対する合同委員会における審議の経過及びその後の推移をお答えして頂き、農家の不安を一掃されんことを切望するものであります。  次に、接收地に対する補償料の問題であります。農業土地なくしてその生産はできないのでありまして、最も重要なることと申さなければなりません。且つ立地條件により自然的に特異なる発達をして来ましたところの農業は、たとえ換地を與えられましても、そのままの農業従前通りに行うことはできないのであります。即ち工場などを移転するのとはわけが違うのでありまして、土質が異なれば、経営内容は勿論、農具の種類も異なる事実は、各地方における鍬の形を見ましてもよくわかるのであります。かように農業の特質から論じます場合におきましては、農林省案でもなお低きに過ぎるものがあるのでありますが、その内容を見まするに、農林省案は、土地收用の場合の離作料は、その土地を利用して得られる農業所得の五年分反当八万五千円を主張しておるのに対して、大蔵省ではこの間の利子を差引いた額四年二カ月とし、内地平均一町一畝歩の総補償料は、農林省案二百万円に対して大蔵省案百九十万円、借上料は、農林省案は年反当一万五千円に対して大蔵省はその六割九千円と聞くのであります。(「緊急質問をしなさい、緊急質問を」と呼ぶ者あり)農業の実態から見てみまするときには、農林省案でも低きに過ぎるものがありますが、農林大臣は不幸なる農家のため農林省案を成立せしむる自信と努力とを誓う決意ありや否や伺いたいのであります。なお大蔵省は、補償総額九十六億という枠内におきまして、農村以外の建物使用料等に多額を割き、農村方面にしわ寄せして、僅か三十六億円を農業方面に充てておるのであります。そうして農林省案を安く値切ろうとしておるのは、單なるこれは財政数字弄びであつて重要政策施行のための財政とは認められないのであります。農林省案を認めて、財政都合によつては二カ年にこれを分割して拂いましてもよいと思いますが、補償額を引下げることは実際該当農家の身になつて考えてもらわなければなりません。  次に開拓地補償料でありますが、戰後政府要請によつて多大の犠牲を拂つて入植し、血と汗によりまして定着し、入植後日なお浅く、経済事情又貧困でありますから、接收によつて受ける打撃も又著しいのであります。よつて政府は再入植を保障するため開拓地補償料を更に引上げるべきだと思うのでありますが、政府は如何考えるのでございましよう。又建物補償移築料程度のものを支出できぬかどうかということを伺いたいのでございます。  土地接收に対する補償料大蔵省農林省と対立のまま決定していないのにもかかわらず、土地接收が進められておりますが、かかる事実先行は農民人権蹂躪であつて不安増大の原因となるのであります。若しも事後決定補償料に対しまして農民が不満足であつた場合、一方的に農民を抑圧するのか。政府具体的態度如何。更に、土地接收につき、大蔵省借り上げ方針であると聞くが、財政的にはそれが都合がよくても、土地をなくして農業経営は成立しないので、土地接收された農家はすべて生計維持困難者とみなすべきで、收用を建前とすべきであると思いますが、政府の所見はどうでありますか。次に、接收解除後における接收地及び農家に対する具体的措置及び対策はどうでございますか。又土地等使用等に関する特別措置法施行前に連合軍によつて使用されたことによりましてこうむつた損失の補償は、本法に準じて処理されるべきかどうかということを伺いたいのであります。  又地方から警察予備隊誘致運動があると聞きますが、政府農業重要性食糧自給度向上という意味合いから、大局的に農家犠牲最小限度にとどめるために考慮を拂われたいのであります。  次に農業漁業方面間接損害であります。五島列島沖寒ぶりの漁場問題、農地接收における水利防風林水源涵養林耕作道路、漁網及び漁船関係等損害に対する補償をどう考えておりますか。  次に法務関係に関する問題でありますが、駐留軍農村に入つたために起る犯罪取締及びこれが予防対策はどうでございますか。契約上の紛争処理問題に関する裁判権暫定協定という形で決着したらしいが、裁判管轄権については個々の事例について取扱をきめることとありますが、このような漠然とした協定では、事実上日本に不利となることはないか。駐留軍関係事故に対する補償規定は一応本極りとなつたが、その中で、自動車事故飛行機墜落等不法行為で、人命、建物土地等損害を與えました場合に、日米分担補償すると言うが、その割合はどうでありますか。次は、日本側米軍責任ありと判定し、米国側責任なしと異議を申立て、而も日本側救済を必要と認めた場合、日本側見舞金を拂うことがあるか、又誰がその判定に当り、その必要を認めるのかどうか。又風紀の取締はどういう対策を立てておられるか。特に兵隊を対象とする夜の宿を始めなければならん農家の数が漸次増加しておるということにつきましては、政府はどう考えておりますか。  以上述べました諸問題につきまして、農業経営安全確保を旨として、農家をして不安なく増産にその意欲を燃え立たせるよう、又農村思想を刺激して徒らに混乱を招くことのないよう、どこまでも平和的に民主的に接收問題を解決して、真に平和国家基盤となり得るような農村の育成について施策を推し進められるよう要望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男登壇拍手
  10. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 只今の御質問の中で、私に直接関係のある方面についてのみお答えをいたします。  米軍の性格は、御承知のように日本の防衛ということになつて参りましたので、米軍がその訓練を強化するために演習地等拡大希望することはあり得ることでもあり、又日本としても、国民経済支障のない範囲では、できるだけこれに協力すべきが当然であると考えております。演習地最終的決定は多少まだ握れると見られるのでありますが、政府としては成るべく早く決定したい方針で、只今話合いを進めております。大体あと一カ月くらいかかつて最終的にきまるのではないかと考えられるのであります。行政協定の第二條の第二項に明記してありますように、一定の施設区域については、最終的の決定があつたあとでも、日米いずれかの一方の当事者の要請によりまして再検討され得ることになつております。従いまして、不必要なものは最終決定の後におきましても当然廃止いたしまするし、又特に必要がある場合には新たに増加することもあるのであります。勿論新たに施設を設定しまする場合には、両国合意が必要であることは申すまでもないのであります。従いまして、米軍希望によりまして一方的にその地区拡大されるというようなことは全然ないのであります。  又各地の農地の問題についてお話でありましたが、第一の相模カ原農地につきましては、これはもともと一昨年頃からすでに接收済みのものでありまして、その中で使用をする必要が直ちになかつたものにつきましては、農民希望によつてその上で耕作をすることを黙認して来たのであります。従いまして勿論この権利関係が設定されておるわけでなくして、全く一時的に使用を黙認されておつただけのことであります。この問題につきましては、県当局及び現地住民等がいろいろ協議をいたしまして、話合いがきまつておるのであります。決して一方的にきまつたわけではないのであります。又熊本阿蘇山麓の問題は、まだ範囲等決定いたしておりませんので、仮に一部使用の場合には補償については十分考慮するつもりでおります。富士山麓演者地につきましても、範囲は今までのものをどれだけ拡大するかということはまだきまつてはおりませんけれども、これは私も自身でその現地参つて視察をして来たのであります。只今のところは一切農地を避けて、又山林等も避けて、演習地の設定を行なつておりまするが、これも将来必要がありますれば一部使用することがあるかも知れませんが、その場合の補償は十分考慮するつもりでおります。  又宮城県の王城カ原についても同様であります。なおこの行政協定補償分担と申しますか、日米双方でどれだけの割合分担するかということにつきましては、まだ決定いたしておりませんので、これは行政協定話合いのうちに、合同委員会でこの割合決定しようということになつて只今適当なる率を相談中であります。又合同委員会責任所在等につきまして意見を交換し、話合いをきめまするけれども、この問題が意見が合わない場合には、これは当然両国政府の間で更にこれを取上げて話合いをきめる、こういうことになつております。(拍手)    〔国務大臣廣川弘禪君登壇拍手
  11. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 非常に御親切な御質問で、(笑声農民諸君がこういう問題を提げて、心配の余りよく陳情に参りますが、いつも申上げている通り農民の真の幸福を考えて我々はやつておるのでありまして、(笑声)この問題についても決して私たちは一方的に農民を抑圧するようなことはいたさないつもりでおるのであります。具体的な接收希望地については外務大臣からお話があつたようでありますが、我々といたしましても愼重にこれはやつておるのであります。(「接收ということはあるのかね、本当に」と呼ぶ者あり)今まで具体的にまとまつたものはないのでありまして、農林省といたしましては、合同委員会等における資料を十分精査いたしまして、愼重にこの問題はやるつもりでおりまするから、御心配はないと思います。(「接收なんてないだろう」と呼ぶ者あり)土地接收に対する補償基準の問題でありますが、農林省といたしましてはほかの省のダムの建設或いは道路新設等基準等を見まして、それに農家に最も必要なる耕作権であるとか、こういつたようなものを十分これを細かく取入れて基準額決定いたしておるようなわけであります。又大蔵省との間に意見の相違があるのじやないかということでありますが、両省間で折衝する場合は、これは意見は多少あるのでありますが、大蔵省は多分農林省の意のあるところを汲んでくれることと私は信じております。(笑声拍手)又駐留軍使用区域を確定する前に補償金額をきめなければいかんじやないかというお話でありますが、これもお説の通り決定する前に基準をちやんときめたいと思つております。それから次は農林省の案が余り低いじやないか、基準が低いじやないかというお話でありますが、これも妥当な案を作つておるようなわけでありまするから、これも決して私は御心配ないと思うのであります。  それから漁業の問題についてのお話でありますが、この間接的に影響を受けるものにつきましては、なかなかこれは調査が至難でありまするのでありまするが、これを技術員を動員いたしましてそういう場合に対処いたしまして検討をいたしておるようなわけであります。なお又これについては相当の補償額も要るのじやなかろうかと思いまするので、これも大蔵省と交渉いたしておるようなわけであります。(拍手)    〔国務大臣木村篤太郎登壇拍手
  12. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 只今の御質問中、私の所管事項に関連する部分についてお答えいたします。  駐留軍農村等に配置せられますることによつて将来生ずべき各種犯罪に対しましては、必要な地域にそれぞれ警察力の充実を図りますと共に、行政協定並びにこれに伴う刑事特別法の趣旨に従いまして、駐留軍側取調機関と密接に連絡いたしまして犯罪取締及び予防に遺憾なき処置をいたしたいと考えております。(「どつちの犯罪だ」と呼ぶ者あり)  合衆国駐留軍との間の物資等調達に関する契約上の紛争の処理に関しまして、裁判権の問題については、御質問のような暫定協定を結んだ事実はないのであります。  合衆国駐留軍飛行機自動車事故など、駐留軍活動に起因する不法行為上の損害が生じました場合には、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴いまする民事特別法第一條又は第二條規定によりまして、日本国国家賠償法民法等不法行為による国の損害賠償責任に関する国内法規定に従いまして、被害者に対して損害賠償責任を負う次第であります。日本国損害賠償のために支出をいたしました経費につきましては、行政協定第十八條第三項の規定によりまして日米両国分担することになつておるのは御承知通りであります。なお日米両国の右の分担割合につきましては、只今合衆国側と折衝中でありまして、未だ決定の段階には至つておりません。前に申上げましたように、駐留軍活動に起因いたしまする不法行為上の損害が生じました場合には、被害者に対する関係におきましては日本国損害賠償責任任ずる次第であります。従いまして、国としては、この損害賠償につきまして裁判外被害者合意をしたり、又は被害者が国に対しまして訴えを提起いたしました場合には、国の損害賠償義務有無損害賠償の額につきまして裁判がなされるわけであります。行政協定によりますると、日本国がこのように被害者合意をし又日本国裁判所の裁判がありました場合には、この合意又は裁判は結局最終的に拘束力を有するものでありまして、合衆国側におきましてこれに対して異議を申立てることはできないことになつておる次第であります。従いまして、御質問のように責任有無について日米両国の間に見解の不一致が生ずるということは先ずあり得ないと考えるのであります。ただ米軍戰鬪行為による損害につきましては、行政強定におきましては右に述べました救済の手段が與えられておらないことになつております。又先に述べました行政協定に伴う民事特別法におきましても、駐留軍の行動による損害発生の場合には、違法性があることが、国において損害賠償責任を負うための要件となつておるのであります。一般の戰鬪行為によつて損害が発生いたしました場合には、違法性がないものと解せられますので、右の民事特別法による国の損害賠償責任は生じないわけであります。従いまして駐留軍戰鬪行為による損害の場合には、日本政府といたしましては法律上の損害賠償責任はないのでありまするが、被害者見舞金を支給して被害者救済を図ることが極めて適当であるのでありまして、この見舞金に関しましては、去る五月十六日の閣議決定によりまして、健康保險法労働基準法等規定されておりまする損害補償の場合に準じましてこれを支給するの基準を定めておるような次第であります。なお見舞金の支給につきましては、同じく右の閣議決定によりまして、調達庁長官の申請によつて内閣総理大臣決定することになつておるのであります。(拍手)      ——————————    〔大野幸一発言許可を求む〕
  13. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 大野幸一君。
  14. 大野幸一

    大野幸一君 私はこの際、東電問題に関する緊急質問動議を提出いたします。
  15. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私は只今大野幸一君の動議に賛成いたします。
  16. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 大野君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 御異議なしと認めます。よつてこれより発言を許します。大野幸一君。    〔大野幸一登壇拍手
  18. 大野幸一

    大野幸一君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、今般の東電問題に関連して、東京電力会社が公益事業なるが故に、政府並びに関係機関に対し若干の質疑をいたしたいと思うのであります。  独立後の日本の真の自主性は先ず経済自立にあることは論を待ちません。特に現在の国際情勢下においては自立経済確立のために国内資源を開発することが最も緊要のことで、そのため電力の増強は全国民のひとしく希求してやまないところであります。又この目的達成のため、電力業者は勿論、これに従事する各関係者は、真に事業報国の気持を忘れてはならないし、政府も又これが事業管理監督には公平無私を以て臨まなければならないと思うのであります。そういうときに、東電事件は実に遺憾なことでありました。何でありまするか、社長以下首脳部役員争奪戰にとどまるのでありまして、全く会社の乘取りの泥仕合であつたのであります。国民は、直接間接国家の補助を受けているところの公共事業会社が、果してこれでよいのかと憤慨を覚えるでありましよう。これがために、私は国民に代つて本日政府並びに各関係者に警告を発しつつ、若干の質問を展開したいと思うのであります。併しその根源は案外遠きにあるのではないかと思われます。そもそも一昨年でありましたか、大西、桜井前正副日発総裁電力分断案反対的意見を持つてつたとかで、政府はこの人たちに詰腹を切らせてしまい、遂に現在の小坂総裁の選任を強行いたしまして、配するに松永公益事業委員長代理を以てし、再編成による新会社が設立されるや、吉田首相側近者や親族のかたがたを社長などに据えたのであります。ところが皮肉にも、やれ新会社人事松永一派に占められたとか、又は小坂派人事の奪還を企てているとか、又は利権も絡み合つてか、紛争の兆が現われ始めまして、それ、経理に疑惑があるとか、或いは政党に政治資金が出ているとか、いろいろ取沙汰があつたのであります。それが今回の東電会社株主総会となつて表面に出たものであると世間では言われておるのであります。  先ず第一に質したいことは、公益事業委員会公正取引委員会が夙にこの間のいわゆる紛争を如何にして処理して来られたかということであります。その経過報告を求めたいのであります。両委員長政治家ではございませんでありましようから、今ここに答弁されました大臣方とは違つて、まじめに一切の今までの経過をお承わりしたいと思うのであります。公益事業である電力会社が今回のごとき紛争があつては、電力事業の健全な発達を図り、公共の福祉を増進することができるのか。人の和こそ事業経営、運営に大切なるに、役員争奪に專念しておつては、その目的が達せられるかどうかは申上げるまでもありますまい。そこで、両委員会は互いに権限の相違はございましても、公益事業目的達成のために各機能を公平無私の立場から発揮さるべき機関でありましよう。然るにむしろその紛争の原因を作つてみたり、その渦中に入つたのではないかという点があるのであります。即ち、曾つては松永公益委員長代理は、いわゆる銀座電力局なるものを作つて電力界にそのボス振りを発揮されて、これが今は電源開発調査会として存続をしておるそうでありますが、土木事業者などはここの承認がなければ請負うことができないと言われておるということも、まあ利権と絡み合つて派閥を釀成する禍根があるのではないかと言われております。この間の事情を松本委員長から詳細に承わりたいと思うのであります。  公正取引委員会について申上げれば、今回の東電問題は、直接の点は、何といつても日発側が清算人として暫定的にいわば預かつているところの四割の株式の株主権を行使して最高人事を奪おうとしたことでありましよう。元来東京電力日本発送電と関東配電の二つの会社から成立したもので、各会社の清算事務遂行中は、十分に公取委はその監視監督をしなければならないものであつて、その重役も監督下にあつていわゆる官選重役と言われておつたのであります。その任期を一年としたのは、それまでに双方会社側に新株式が本来の新株主に分配されると予想したからである。それが自発側のほうが遅延していたものであつた。ところが、公取委は現社長など有力重役を退陣させるのみならず、以前から紛糾の種になつていた人々を入社させるような株主権行使の裁定を行なつたことは、全く不可解であります。私は、横田委員長が立派な法律家なるが故に、法の精神が無視された今回の態度はなお不可解であると感ずるのであります。否、すでに横田さんは去る二十一日でありましたか、本院通産委員会におきまして、こういうように答弁されておるのであります。竹中委員長の問に対して、日発の当局者が普通の株主のような気持を持ちまして、全く恣意的にその議決権を行使するというようなことがあつては困りますので、その点、特に再編成の精神に反するような議決権の行使がないことを十分に監視をいたしまして、これから出て参ります申請については、そういう観点から事務を処理して参りたいと考えております。こういうように答弁されております。次いで結城委員の質問に答えられまして、「このように株式の分配が遅れましたことは誠に残念でございますけれども、又或る意味におきましては私たちの監督の不行届きということにも考えまして、非常にその点は申訳ないと思つておりますが、併しすでにこの次の総会につきましては日発を株主といたしまして新会社から招集の通知が出ておりますような関係からいたしましても、やはりこの次の総会には日発を株主として形式上は議決権を行使するほかないじやないかと存じます」と、こう特にあなたはこの株主権の行使は形式上であつて、実質上は行使させないということを答弁されておるのであります。次いで、なお委員長の問に対して「それでこれを無制限に行使されますといろいろ困つたような問題が起るのではないかと思います。」「若し日発側の意向が甚だ不当なものであれば、私たちのほうで適当に制限する、これが承認制の趣旨ではないかと思います」と、実に良心的に答弁をされておるのであります。その委員会は暫時懇談会に入られまして、更にその結果、委員長は速記を始めることを命ぜられましたあと、特に委員長から、「私からもお願いしますけれども、今問題で日発が不当に権利を行使したに関しましていろいろ噂が出ておりますのでございますから、横田委員長といたしましては公正なるいわゆる公正取引委員長としての御権限を発揮してもらいたい、こういうことをお願いいたします」と、委員会の委員長といたしまして、すでに警告を発せられているのであります。私は横田さんの御人格はよく承知しています。全く国会での横田さんの御答弁は良心的でありました。にもかかわらず、二十九日の例の株主総会の前日でありましたか、二十八日午後五時とかに至つて、突如としてこれと全く反対の公取委の裁定のあつたのはどういうわけでありますか。こういう点であります。私は裁定の適否というより、重大なるはここにあるのであります。それはむしろ公正取引委員会が政治的圧力によりその良心を侵されたと推察される点であるのであります。政治的圧力を加えるものの責任追及は別といたしまして、これに屈服した公正取引委員会責任を質したいのであります。尤も委員長は長く司法官でございましたので、公取委の裁定の方式を裁判の会議制のように取扱つたのではないかと思います。然りとすれば、横田委員長は誠に気の毒なお立場にあつたと思うのであります。委員におきましては裁判官の陪席判事のような人ばかりではないのでありまして、これに乘じて一部の策士が他の平委員を動かしたものと信じますが、この間の事情経過を又率直にお伺いしたいと思うのであります。ついでに松本委員長も法学の大家として、これに関する法律的御見解もお尋ねしておきたいと存じます。  次に政府に対して質問したいことは、最初公正取引委員会発足の当時は、この委員会の性格上、公明を期するために、横田委員長初め司法官出身者が多かつたのでありますが、吉田内閣が続くこと久しく、次第にいわゆる腹心的人物を入替えしたようであります。併しこれを承認した我々もその責任を回避するものではございませんが、一たび任命された委員には飽くまで中正公平たらしめるべき内閣の責任があると思うが、却つて政府は各委員に働きかけたような点があると思うのであります。いや、それも私は証拠を持つております。元来、自由党政府は過去において国民多数の反対の声あるにもかかわらず、電力再編成案を国会に提出し、私たち参議院の通過困難を知るや、国会開会中にもかかわらず、ポツダム政令を以て断行し、国会審議権に対し一大汚点を残し、いわゆる電力九分断を断行して設立した新会社には、いわゆる首相側近者を以てその人事を壟断し、世人の顰蹙を買つたのであります。又、本問題について言えば、電力問題は当時の公約に反し、停電に次ぐに停電を以てし、値上げするに値上げを以てし、消費者の負担を加重しつつも、会社には一割五分配当を断行させようとし、その弁明するところは、これによつて信用を高めて外資導入を図ると言うけれども、相手国に利権屋のレツテルを貼られたり、大使として拒否されるような人物を電力界に起用したり、或いは社内の内紛泥仕合に終始するがごとき人事を施行し、世間からは選挙資金掻き集め運動などとの噂は今や巷に満ちているのであります。我々は、隣国中国の蒋政権は、宋一家の財閥と親族政治をやつて政治を腐敗せしめ、政治に対する大衆の信頼を失つて、共産主義の温床となつて、遂には中国本土が今日赤化したことを心に銘ずべきでありましよう。  終りに吉田首相の潔癖は自負されておると思うのでありますけれども、その下における現内閣にも近頃一面幾多利権にからむと思われるような政策を見ることがあります。よろしくこれに対して愼重を期する用意があるかどうかということを官房長官にお尋ねしておきたい。差当り今公益事業たる電力事業の発展のため、東電問題につき、どのように善処対処し、処理せらるるつもりか、これを承わつて私の質問を終らせて頂きます。(拍手)    〔政府委員保利茂君登壇拍手
  19. 保利茂

    政府委員(保利茂君) お答えいたしますが、東電の悶着に関しましては、中正公平なるべき公正取引委員会の機能に対し、政府が何らかの圧迫を加えたというように聞えるようなお話でございましたが、私の承知いたしておりまする限り、公正取引委員会は極めて公平に機能を発揮せられていると私は確信いたしております。而して本件に関しましては、私の承知いたしておりまする限り、関係者から何らの陳情を受けたこともございませんし、又公正取引委員会からも政府に対して何らのお話を受けたこともございません。従つてこの件に関して政府が何らかの圧力を加えたかというようなことは、全くこれは虚構の誤解でございますから、そう御理解を願います。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)    〔政府委員松本烝治君登壇拍手
  20. 松本烝治

    政府委員(松本烝治君) 只今の御質問に対しまして、公益事業委員会に関する範囲におきまして私からお答え申上げます。  今回の東京電力株式会社株主総会が紛擾を来たしまして流会に終つてしまつたということは、私が非常に遺憾と存じておるところでありまするが、この際はどういうことからこういう妙な事態を生じたのであるかという経過につきまして、我々の委員会が知つておりますることを御報告することがよいかと思います。  御承知のように、東京電力会社は、他の八電力会社と共に昨年の五月一日に我々の委員会の決定によりまして設立されたのであります。その最初の役員は我々の委員会がこれを決定するということに法律上なつておりまして、これによつて任命をした次第であります。その任期は一年ということにしたのであります。他の経済力集中排除法によつて解散されました会社の代りにできまする会社の役員につきましては、大体の任期は六カ月、最初の役員の任期は六カ月ときめるのが多いようでありました。当時六カ月にしていいのじやないかという説が相当あつたのであります。併しながら我々としては、いわゆる日発、日本発送電株式会社の規模の大きいこと、株主の多いこと、又いろいろの事情が紛糾していることに鑑みまして、六カ月では、そのうちに日本発送電の持つ新らしい九会社の株式をその日本発送電の株主に還元して渡すということはむずかしくはないか、我々の再編成が一月の初めから始まりまして四月中に終つたのであります。で、その速度を以てすれば或いはできるかも知れんけれども、併しまあ通常のやり方では六カ月ではむずかしかろう、どうしても一年としておけば、大丈夫、日発の持つておるところの各新らしい会社の株式は、必ずや正当なる株主即ち自発の株主に還元されるだろうということを期待しておつたのであります。それで先ず一年ということに任期をきめました。その一年の任期が盡きて今度の総会が役員の改選をすることになつたのであります。  然るに、如何なる事情であるか存じませんが、日発の持つておる各会社の株式というものはその株主には還元されない。依然として清算会社たる日発に残つてつたのであります。それは如何なる事情であるか、私どもにはちよつと了解に苦しむのであります。併しながら、この清算会社たる日発に対しましては、我々公益事業委員会は何ら監督権等を持つておりません。従つてその点どういうことでそういうおかしい結果を生じたかということについては、不幸にして御説明ができない状態にあるのであります。各配電会社のほうも、即ち九つの配電会社がやはり日発と同時に解散されたのでありまするが、これらの配電会社の持つてつた株式はどうであつたかというと、これは僅かに三、四カ月の間にその九配電会社の株主に還元されておる。これは勿論規模から申せば日発よりは小そうございますが、併し三、四カ月の間に全部還元されておる。然るに日発の株式だけは遂に一年を経過してなお還元されない。従つて今度の東京電力その他の各電力会社株主総会におきましては、やはり日発が株主として議決権を行使し得るかのように一見すれば見えることになつたのであります。この事情は私には甚だ不可解でありますが、御説明は只今申したようにできないのであります。従つて今度のこの総会が開けますことにつきましては、この清算会社たるに過ぎない日発が、若しその表面上は帰属しておるように見えまする株主権を勝手に行使するようなことがありとしますならば、これは甚だ違法であろうと私は考えました。即ち権利の濫用……昭和二十二年に改正されました民法第一條に書いてあります通り、権利の濫用はこれは違法である、不法な行為であるということになりまして、若しその日発という清算会社が、勝手にその表面上属しているように見える株主権を行使するということがありましたならば、これは確かに権利の濫用である。違法であろう。私は法律家として固く信じております。この点はなお機会がありますれば細かいことを述べることができようと思います。  先ほど質問者から法律上の見解というお話がありましたから、私の法律上の見解としては、日発は表面上議決権を持つているように見えるが、併しながら、その行使は勝手にはできないのであつて、たとえ公正取引委員会がこれを許したとしても、その行使というものには限界がある。その限界を超えたところの行使は不当な行使だ。これは違法であると私は信じているのであります。で、そういうようなことで、五月の初め頃から、ややもすれば日発が議決権を行使して、そうして役員の変更を図るというようなことの噂もなかつたではないようでありましたので、我々としては、若しそういうことがあつては非常な違法なことが生ずるので困つたことであると考えましたから、五月の十六日に、特に書面を以て、この公益事業委員会希望といたしまして、横田公正取引委員長に申入れをしたのであります。  その申入れは、第一点は何であるかと申しますと、新らしい今度の選任につきまして、どうか人員が増加しないようにしてもらいたい。これは参議院及び衆議院の両院の委員会におきまして、しばしば問題がありまして、どうしても電力会社は合理化をしなければいかん。役員の数が多過ぎると見られても決して足りないものではないから、殖やさぬようにという話がありまして、これに対して我々の委員会としても同感である。これは経過上止むを得ず多少役員の数が多かつたかも知れんけれども、これは感ずることはしても殖やしたくないという考えを持つているということを御答弁しております。そういう趣意に適応するため、どうか一つ今度役員の改選の議案が出ましたときに、役員の数は減らすほうがよろしい。殖やすことは成るべくしないようにしてもらいたい。そういうように、日発が若し何か議決権でも行使されるならば、役員の数を増すようなことはないようにしてもらいたいということを申入れました。  第二点は、各会社の現状を見ますると、この会社は非常に御承知のような面倒な再編成によつてできた会社であります。最初のうちは相当混雑しておりましたが、幸いにしてその後役員に人を得たと大体思われるのでありまして、その結果、和衷協同して働いております。そうして例えばロスの軽減或いは電源の開発というようなことには非常な努力をしまして、例えば電源の開発については確か火力と水力と両方で二十六年の一年間に四十何万キロかの発電力の増大を見たというようなことであります。それからロスの軽減についても非常に大きなロスの軽減ができた。社内が緊縮されて、先ずこの分ならばこれでだんだんよくなつて行くだろうという曙光を見ているのでありますが、この際によほど特別な事情があるのでなければ、役員をみだりに変更させることは、更に会社内の状態を紛更することになるのであつて、そういうことにはならんようにしてもらいたいということが第二点であります。  この点を率直に書面を以て申入れをしたのであります。この事情につきましては、当時の私の聞知しましたところによれば、横田委員長も大体了解されたように聞いております。然るにほかの電力会社についてもいろいろなことがあるように伝聞はしましたが、それは別として、この東京電力株主総会の前日に至つて、にわかに日発の清算会社の清算人から公正取引委員会に申入れがあつたそうであります。これによつて新井、青木、後藤という三氏を新たに役員にしたい、加えたいという申入れがあつたそうであります。これに対しまして東京電力の当局者は、どうか、役員を増すようなことは困るから、この際、役員を追加することはやめてもらいたいということを公正取引委員会に申したということに聞いております。然るに同日夕刻に至りまして、公正取引委員会から、私どもの委員会に対しまして、東京電力株主総会における日発の議決権行使はこれを承認した。但し役員の選任についてのみは、日発の申出は十七名になる。併しながらそれは十五名以内に限つて議決権を行使しろということで、そういう條件を附けて承認したということの通告がありました。それは株主総会の前日の夕刻であります。私は委員会全体には諮る暇はありませんでしたが、私自身の考えとしては、この三名の追加というのは、恐らくは現任者をやめて三名を入れるというのではなくて、つまり一名だけ殖え得るのであるから、その一名だけを今の三名のうちの誰かを入れるという意味であろうかと実は解釈しておりました。然るに当日の朝に至りまして、私の考えていることは間違いである。日発としては今の三名を入れるのだ。全部入れる。併しながら十五名を超えるわけに行かんから、現任者中の安蔵社長と堀越常務取締役をやめるのだということを日発側で言われたそうであります。まあ私の想像とは全く違うのであります。私の考えでは、そもそも清算会社の権利能力は、法律がちやんと書いております。どう書いておるかというと、「会社は解散の後といえども清算の目的の範囲内においてはなお存続するものとみなす」と商法に書いてあつたと思います。これは民法の法人についても同じような規定があります。その意味は、「解散した会社はすでにもうなくなつた。解散して無い。解散というのはなくなるということを意味するのである。併しながら清算をしなければならんから、清算の目的の範囲内だけではなお存続するものとみなす」というのであります。然らば清算会社は、清算の目的の範囲を超えて或る行為をすることは、そういう権利能力は、法律上認められておらないのである。よつて若し清算会社が、例えば持つておる株式について、その株式会社が非常に紊乱しておる。このまま黙過できない。若しそれをそのままにしておいては株式の値段が下つてしまうために、非常な、清算の場合に財産が減価する。自身の持つておる株式が非常に下つてしまう。それでは困るというような特殊の事情のある場合においては、初めてこの株価を維持するという意味で何らかの措置をとることは、清算の目的の範囲内の行為として認められ得ると思うのであります。然るに東京電力株式会社は、御承知のように九電力会社のうちの最も繁昌しておる会社であります。ほかの会社は、今期も相当の欠損をたくさん出しております。併し東京電力株式会社だけ、及びもう一、二社だけは、赤字にならず黒字を出しておる。而して株価を見ましても、東京電力の株というものの時価は最も高いのであります。ほかの電力会社と比べると、百円とか或いは百円以上も違うというような状態にあるのであります。私の聞知するところによりますれば、安蔵社長の人格高潔で、それから経験に非常に富んでおる。技術者として、又非常な優秀な技倆を持つておられるというようなことは、東京電力会社内は勿論、電力界において何人もこれを認めておるところで、この社長という中心人物をやめてしまつて、他を以て代えるとか、或いは代わられる人はもつといい人かも知れませんが、そういう危険なことをするということは、この際甚だ不妥当なことと私は思うのであります。併しながらそういうことで、すでに決定されておる。又堀越常務取締役は、御承知のように金融経済のほうの非常な経験を持つた立派な人である。二の人についても何ら悪声を聞いたことはありませんのみならず、先生が東京電力に入つて働いておるために、非常にいいということをしばしば聞いておるのであります。そういう最も有力な又中枢である社長をやめ、そうして他の人を以て代えようというようなことは、如何なる理由でそういう議決権の行使ができるのか。私としては、これは仮に議決権が形式上存しておるとしても、これは権利の濫用であることは一点の疑いもない。従つてその議決権の行使は無効である。法律に反する。民法第一條の規定によつて無効であるということは殆んど疑いのないことだと思うのであります。そういう状態であるが、併しそういうようなことをあとで申して争いましても、御承知のように裁判は二年も三年もかかる。そのうちには今度選任される重役の任期は盡きてしまうというようなことになる。まあ、実に困つたことだと思つておりました。  然るに聞くところによりますと、この総会におきましては、議場が非常にやかましくなりまして、反対の株主が非常にたくさんおつて、これらの株主の動議によつて流会ということが出て、そうして遂に流会になつたということを、報告を聞いております。私はこの結果は、勿論あと成るべく速かに更に総会を開いて、そうして選任はしなければなりませんが、併しながら重役の選任は、どうしてもその時にしなければならんというものではない。ちやんと商法では、そういうことができません場合を予想して、従来の重役が、その選任を新たにされるまで、他の人が選任されるまでは、なお職務を有しておるということを書いております。実際においては何ら差支えがないと思う。  その他この際にいろいろとられました措置について、いろいろいいか悪いかというようないろんな議論があるようでありますが、私は事実をまだ十分聽取しておりません。ただ一株主の発議によつて流会になつたということ、而して非常に議場が喧騒して、やかましかつたというようなことしか聞いておりませんので、なお細かい事情がわかりました後に、これらの諸点、及びその後において、何らか株主が、日発側の株主だけが集まつて、夜になつて何らか決議をして選任をされたというようなことを聞きますが、かくのごとき選任は、勿論無効であることは問題はないと考えております。これらの点は、併し事情をよく知りましてから、必要があつたらお答えをしたいと思います。(拍手)    〔政府委員横田正俊君登壇
  21. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 只今の御質疑に対しまして、私からお答えいたすことのできます範囲におきまして率直に事情を申上げまして、皆さまの御批判を頂きたいと考えております。  今回の東電の株主総会におきましては、只今松本委員長から申上げましたように、この東電の最初の役員は一年ということに決定指令できめておりました。この一年に限りました理由は、本来株主総会において選任せらるべきものが、それを経ずに選任せられておりますので、これを一年後の改選の時に、株主総会において再検討をする、その内容を再検討するということが、この一年にいたした理由であろうと考えるのでございます。なお、その間には、新会社の株式が、日発並びに九配電会社に配当をせられましたものが、本来の正規の株主に配当をせられるであろうということが予定せられておつたことが、第二の点であろうと存じます。この点は先ほど松木委員長から申された通りと考えております。そこで、九配電会社につきましては、株主の関係も非常に簡單でございますので、数ヵ月の間に円満に残余財産の分配としての株式の配当は終りました。ところが日発に関しましては、日発の株主は御承知のように十五万人余りございまして、なお日発に割当てられました新九電力会社の株式の総数は六百万株でございます。これをこの多くの株主に分配することに関連しまして、非常に困難なる事情といたしましては、普通の配電会社の場合でございますると、その会社の株主に対して新らしい会社の株だけを配当すればよいことになりますが、日発の株に対しましては一人の株主に対して九つの新らしい会社の株を配当しなければならないという関係に立ちますのと、新会社の発行いたしまする株式は、旧株式と違いまして、額面が五百円、十倍になつておりますような関係からいたしまして、若しもこれを非常に形式的に分配いたすといたしますと、極めて多数の株主が、殊に小株主が権利を失つてしまう結果になるのであります。なお、これは公共団体等の関係におきましては、日発に出資いたしました株式に対しまして株式を受ける場合に、自分の関係のない地方の株を持たなければならないというような関係も出て参りますので、この小株主の保護と、それから成るべく新会社の株式を適当に分配いたしたいというような配慮からいたしまして、日発当局の人はいろいろ頭を悩ましました結果、いわゆる株の片寄せと申しまするが、そういう手続をとることにいたしまし、一応決定指令できまつておりまする比率によつて分配を受けることを欲する株主に対しては、その定めに従いまして配当することをいたしますが、その他の希望を持つておる者に対しましては、詳細にその希望を聞きまして、そして新会社の株式の配当手続を行なつたのでございますが、その結果は極めて良好でございまして、非常に多くの株主ができるはずのものが極めて僅かな株主に收縮せられることになり、而も小株主は株主として保護せられ、金銭で以て処理をせられるというようなことが大変少くなりました。この結果は極めて良好であつたと存じております。  ただ非常に遺憾なことは、この期間がそういうような複雑な関係からいたしまして大層延びまして、結局この東電の五月の総会には本来の株主に株式が渡らないという事態が生じたわけであります。これはこの日発の清算事務を監督いたしまする公正取引委員会といたしましても極めて遺憾に存じまする点でございますと同時に、この清算の事務の促進には鋭意我々も当つたわけでありまするが、その努力が足りません結果、こういう事態を招きましたことについては、非常に申訳なく感じておる次第でございますが、そこでこういう(「簡單にやつてくれよ」と呼ぶ者あり)九配電会社に対する関係におきましては、本来の株主が、日発に関しましては分配が終らないという状態で総会に臨んだわけでございます。  この総会におきまして日発にどの程度の議決権を行使せしむるかという点につきましては、先ほど松木委員長も言われましたようにいろいろな考え方があるわけでございますが、私どもといたしましては、先般参議院の通産委員会で申上げました通り、これを普通の株主のような態度で無制限に行使せられては困る、特に集排の決定指令の精神に反するような行使の仕方については、これは十分に監督をする必要があるという、この線は、通産委員会ではつきり申上げた点でございまして、この線はずつと私といたしましては最後まで維持したつもりでございます。  ただこの東電役員の問題につきまして、これは非常に長いことに亘りまして東電と日発との間に折衝があつたようでございますが、当委員会といたしましては、正式に株主権行使の承認の申出がございましたのが二十三日でございまして、それにつきましては、東電側の希望しておられる現役員をそのまま再選するということに対しましては、それに更に新らしい役員を追加することを條件としてこれを承認を求めるということを承認申請書に書いて参りましただけでございまして、その新らしい役員の内容というものは、実は我々にはわからなかつたわけでございます。私どもといたしましては、すぐにそれに追いかけまして、その新任の役員は如何なる人であるか、或いは員数はどういうものであるかということを重ねて日発のほうに申し送りましたが、これに対して返事がなく、ずつと過ぎておりまして、その間、東電との間にいろいろ折衝があつたように聞いております。二十八日に至りましてその内容を明らかにして参りましたのによりますと、東電側の新木会長を除きました役員十四名、それに新井、青木一男、後藤隆之助の王氏を新たに加えたのを役員の候補者として議決権を行使したいと、こういう申入れがございましたので、この点につきまして日発側のその理由もよく聞きまして、なお、その直後、東電の安蔵社長に来て頂きまして、それについての意見も聞き、なお公益事業委員会のほうにつきましても意見を求めた化けでございます。  公益事業委員会からは、先ほど松本委員長からお話通りに、当面の問題だけでなく基本的な問題につきまして、役員を殖やさないということ、及び現在の役員をいささかも変更することなくそのまま承認するようにして欲しいという申出が書面を以てあつたわけでございますけれども、東電問題は、相当複雑でもございますので、特に公益事業委員会についてこの申入れに対する御意見を聞いたわけでございます。  東電安蔵社長は、この三人の新任の人については、その人物その他については何も申されません。その内容、人物等について、とかく申さない。ただ現在以上役員に人を殖やすことは絶対反対であるということをはつきり申され、我々としましては、成るだけ事態を円満に解決するために、安蔵社長に対して、日発側との折衝を強くお願いしたわけでございまするが、その線を一歩も出です、絶対にこの人の殖えることは困るということの一点張のお話で、遂に東電側はそういうことで終りまして、公益事業委員会からは、よろしくという簡單な御返事でございまして、これも又、我々といたしましては、むろし公益事業委員会が間に入つて頂きまして、東電、日発或いは公正取引委員会が、成る段階においてはいろいろ話合つて適当な線を出したいと考えたのでございますが、遂にその望みは全く断たれたわけでございます。  そこで当委員会といたしましては、最後に独自の見解によりましてこの問題を打開するという場面に至りまして、五人の委員が愼重に検討いたしました結果、一応新たに申出られましたこの三人のかたを加えました十七名の者を候補者とし、そのうち、公益事業委員会からの強い要望の点もございますので、十五名について議決権を行使するということを承認いたしたわけでございます。これは率直に私の気持を申上げさして頂きますならば、この十五名の選任につきましては、総会のぎりぎりの表決のときに至りますまで、恐らく東電側と日発側と誠意を以て良心的にお打合せを頂けるのではないか。考えようによりますと、極めてあいまいなる線を出したわけでございまするが、その狙いは全くそこにあるのでございまして、現にその線に沿いまして、総会の直前或いは総会中におきましてもいろいろな折衝が続けられたようでございまするが、遺憾ながら諸般の事情からいたしましてそれが遂に妥結に至りませなかつたことを私は極めて残念に存じておるのでございます。  この三人のかたをリストに加えますることについての公取の気持を率直に申上げますならば、これは先ほどたびたび御質疑の中にもございましたように、公取が政府の圧迫によつてつたのではないかというような、いろいろなお疑いもあるようでございますが、それは全く公取自身の見解によつたものでございます。その理由といたしましては、一年を経過しましたときに役員の再検討をするということが、この決定指令の一つの考え方であつたと思うのでございます。ところが再検討すべき最良の状態にないということが非常に困つたことであつたわけでございます。従つてこの際はそれを延ばしまして、本当の株主が出て来たときにその総会においてやるということが一つの案として考えられるわけでございまするが、あいにくなことに、東電側、又これは商法の規定もそういうことになつておるわけでありますが、役員の任期が満了しました場合、株主におきましては定時総会において役員を選任しなければならない。又現に東電は、現在の役員を一つも変えないで、そのままの状態において再選をするという案を現に出して来ておるわけでございまするから、延ばして先へどういうことは不可能なわけであるわけであります。而も若し延ばしまして後に株主で再検討をするという時期が来ましても、これは最初に選任いたしますときとは違いまして、例えば一度きまりましたものを改選することは、非常に、特別議決を以て改選しなければならないということにもなりまするし、先ほど申しましたような線を、役員の数を殖やすことは、国会方面或いは国民の輿論等の関係から妥当でないという線をしつかり持つて参るということになりますると、先日の定時株主総会においては、新たなる人を選任するということも非常な困難が伴うわけでございまして、どうしてもこの定時総会の際にやはり或る程度の再検討を加えなければならないのではないかということが我々非常に頭を悩まして考えたところでございます。その結果が、先ほど申しましたように一応三人のかたを加えまして、而も人数は十五人に限つて、その範囲内で適当な人の選任があることを強く希望した次第でございまするが、あいにくこういう結果になりましたことを非常に残念に思うと同時に、こういうような案を作りました私どもといたしましても、非常に検討が十分でなかつた点があるのではないかと思いまして、只今一同深く考えているところでございます。併し先ほどお話のように、(「簡單にやれ」と呼ぶ者あり)これは全く私ども独自の責任においてやつたことでございまして、政府とは何らの関係のないことでございますことを、ここにはつきりと申上げておきます。(「そこがおかしいじやないか」「辞表か」と呼ぶ者あり)      ——————————    〔菊川孝夫発言許可を求む〕
  22. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 菊川君。
  23. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私はこの際、日本政府の労働政策に対する国際自由労連からの書簡に関しまして緊急質問するの動議を提出いたします。
  24. 山下義信

    山下義信君 私は只今の菊川君の動議に賛成いたします。
  25. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 菊川君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。菊川孝夫君。    〔菊川孝夫登壇拍手〕    〔「簡單にやれよ」「しつかりやれ」と呼ぶ者あり〕
  27. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今のときにやかましう言わずに……議員の発言を制限する必要はない。  私は社会党第四控室を代表しまして、国際自由労連からの日本政府に対する書簡について、政府質問いたしたいと存じます。  国際自由労連の書記長オーデン・ブロック氏は、五月の十七日附を以て吉田総理に抗議的な書簡を発したとことは、すでに内外の新聞の報道によつて明らかにされており、且つその写しは、日本の労働組合にも送達されて来ているのであります。オーデン・ブロツク氏はその書簡の冒頭において、日本政府がすでに実施し又は実施せんとしている労働政策について一言すると、きめつけ、本年の二月十六日に出した書簡に対して返事さえよこしておらないのはけしからんと言つて、特に最近政府は労働組合の自由にして民主的な活動に制限を加えるような法律の通過に努力しているように見えることに対して、大きな失望を感じていると言つております。なお新聞紙の報ずる五月一日の皇居前広場の騒擾事件を初め、各種の事件を口実にして、労働運動のみならず、戰後辿つて来たところの民主化のコースを反動の逆コースに切換えて、労働標準を低下する計画が拡大されていると、暗に破壞活動防止法案に攻撃の矢を向けております。そうして丁度六月の四日からジュネーヴでILOの総会が開催されて、日本から政府及び労資の代表が参加するはずであり、たまたま国際自由労連も、六月四日から地域基金委員会を開催してジユネーヴに委員が集まるから、日本政府の代表と会合をして、日本における懸案や破防法や労働三法改惡について話合いたいがどうかと呼びかけて来ているのであります。最後に、去年の六月の二十二日附労働次官からした回答や、昨年のILO総会で日本政府の代表が演説したことと、最近の政府の労働政策は、ちつとも一致していないのではないかと結んで、速かにこれに対して返事を求めると要求しているのであります。  この書簡を一読いたしまして感じますことは、国際自由労連としても、最近の政府の反動立法に対して極めて深い関心を示しており、且つ日本政府の国際自由労連に対する態度について強く不満の意を表明していることであります。  そこでお尋ねいたしたいのは、第一に、吉田総理はこの書簡を見られたかどうか、見られたとしたならば如何にお感じになつたか、又返信その他について関係当局に如何なる指示を與えられたかを承わりたいと存じます。  第二に、二月十六日に書簡を送つたが返事がないと言つているけれども、その書簡を見られたかどうか、見られたとするならば、なぜ返事を出さなかつたか、その理由を承わりたいと存じます。特にこの件について、当時我が党の同僚議員が、政府に対して書簡接受の有無質問しましたところ、政府から、そんな書簡が来ていないと答弁されたが、その経緯を明らかにせられんことを要請するものであります。曾つて日本の労働組合からも、アメリカのトルーマン大統領に書簡を送つて日本の民主主義が逆行の危機にあることを訴えましたところ、国務次官補角を以て米国政府の見解を明らかにされたことがあります。この米国政府の態度と比較するときに、私は現政府の外交が余りにも時代的な感覚に欠けている点を深く遺憾とするものであります。国際自由労連は、政府の言われる自由主義国家群にとつては無視することのできない大きな権威であります。その代表者から寄せられました書簡が、政府にとつて耳が痛いからといつて黙殺するようでは、これは戰前戰時中の独善外交と何ら変るところがないと言われてもいたし方あるまいと思います。岡崎外務大臣並びに吉武労働大臣から、将来政府は国際自由労連に対して如何なる態度をとつて行こうとするか、即ち、誤解を受けるような場合には、堂々と政府の所信を明らかにしてこれを解くことに努め、又抗議であるとか、忠告、要諸等にいたしましても、取入れるべきものは喜んでこれを聞き、資料の寄贈等を求められた場合には進んで提供する等、協調的な態度をとろうとするのか。それとも、国際自由労連の存在は、現在の政府や資本家にとつて少しも利益にならないから、一切無視して行こうとするのか。はつきりお答え願いたいと存じます。  第三に、国際自由労連の地域基金委員会には、議長、書記長のほかに、アメリカのAFL、CIO、イギリスのTUCであるとか、ドイツの労働組合会議、フランスのFO等の代表がそれぞれ出席することになつている由でありますが、昨日出発するはずであつたところの政府のIOLの代表に対して、これらの人々と会見することを指示したかどうか、指示したとすれば、如何なる方針で会見するように指示してあるかどうか、吉武労働大臣からこの点について御答弁願いたいと存じます。特に私はこの際、附加えてお聞きしたいのは、オーデン・ブロツク氏の書簡にも、去年のILOの総会で日本の代表や労働次官が演説したことと、最近の政府の労働政策とは大きな食い違いがあると言つております。従つてILOの総会の目頭におきまして、日本政府の代表に向いまして、各国の代表から痛烈な質問の矢が向けられることは必至だと思います。従つてその痛烈な質問の矢を避けたり、又国際自由労連からも六月の四日、五日、六日、この三日間が一番都合がいいから、その日にしてもらいたいと言つて来ているのでありますが、これも回避しようとして、昨日出発する予定になつてつたところの寺本代表の出発をわざわざ昨日出発させずに、これらの鋭鋒を逃れさせようとしておつた企図が我々としては察知せられるのでありますが、果してそういう事実があるかどうか。この点についても労働大臣から明快に御答弁願いたいと思います。  次に、若しこれら諸国の労働組合の代表から、国際的な視野からするところの勧告であるとか、要請等が強くなされた場合に、政府は率直にそれを受入れる襟度を示し得るかどうか。具体的に申しまして、破防法案や労働三法改惡案について、見合わしたほうがよかろうといつたような意見が全員から出されたような場合、これらの法案について再検討してみる考えがあるかどうか、それとも問答無用として一蹴してしまうのか、或いは日本の現状を視察のために、代表団の来朝を招聘するくらいの手を打つかといつた点について、木村法務総裁及び吉武労働大臣から御答弁願いたいと存じます。  最後に、この書簡に関連いたしまして、吉田総理大臣から労働問題の国際的な視野に立つての解決という点についてその所見を承わりたいと存じます。明後日から、先ほど申上げましたように、ジユネーヴでILOの第二十五回の総会が開催され、昨年の六月の総合で我が国も再加入を認められましたので、この総会には丁度十年振りで正式な代表を選り得ることになつたのでありますが、ILOの根本原則は、何と申しましても「一部の貧困は全体の繁栄にとつて危険である。」というフィラデルフィア宣言に明らかに示されておりまするように、労働問題の世界的解決にあると思うのであります。この点については、国際自由労連としても同様この原則を守つて行こうとしているわけであります。而もそれを推進して行こうと積極的な意欲を持つているわけであります。ところが、この問題は実際問題になりますと、いろいろと困難な事情がある。併しながら、困難だからと言つて、これと取組むことに私は卑怯であつたり怯懦であつてはならんと思うのであります。国内的に見ましても、我が国には現にそうした部分が少くないのでありまして、ILOや国際自由労連から、去年の発言と食い違つているとか、手紙を出したつて返事さえもよこさないといつたように、たびたび疑念を抱かれたり、或いはこの疑念を書簡の形で表明されるというようなことがありますけれども、この点につきましては、勿論我が国の実情が海外に十分に明らかにされていないという点もありましようけれども、何と言つて政府の労働政策について、政府が確固たるバツク・ボーンを持つておらないからであると言わなければなりません。我が国は敗戰の結果、もう国土は半減してしまい、海外の市場は喪失してしまつている。資源も乏しくなり、ただあり余つているのは何と言つても人間の労働力と技術のみであります。この労働力と技術を世界の理解の下に活用することが、何と言つても今政治の一番大事な問題であると言つても過言でありません。然るに海外から日本にチーフ・レーバー、ソシアル・ダンピングの震れありとして、いつも猜疑の目を向けられているようでは、その十分な世界的活動は望み得べくもないと思うのであります。こんな状態では、どれだけ池田大蔵大臣なんかが東南アジアの開発に協力すると抽象論を振り廻してみましても、先方から到底受入れられようはずがないのであります。政府は現に、日本経済の特殊な事情とか、政治情勢を殊更に強調いたしまして、労働立法の国際的原則を曲げようとしているところに、これだけ猜疑を向けられる一番大きな原因があると思うのであります。具体的に申しますと、労働諸法の改惡、破壞活動防止法案の提出、警察法の改正、選挙法の改正等、一連の反動立法は、やがてはこれは労働運動の彈圧に発展する危険のあることは、如何に詭弁を弄しましようとも明らかな事実であります。半面においては、追放解除者が大手を振つて、政界、財界に復帰して来る。解体されたはずであつた財閥は、実は地下に眠つてつたのであつて、時こそ来たれと復元のコースを辿りつつある。高級官僚の汚職事件は連日新聞記事を賑わしている。旧軍人は再軍備の時流に乘つて暗躍明確をし始めている。軍需会社の株式は通日高騰を続けつつある現状に対して、海外から猜疑の目を向けられるのは、当然過ぎるほど当然と言わなければならんと思うのであります。オーデン・ブロック氏の書簡も、この点を衝いていることは明らかでありまして、このままのコースを迫るといたしますと、やがては戰前のように日本人と日本の商品は世界の各地でボイコットをくらう慮れが多分にあると思うのであります。従つてこの際、大胆率直に、逆コースを辿りつつありまするところの日本の政治、外交、経済を、正しい民主化のコースに切替えることが、当面の急務であると信ずるのであります。それがために、現に国内的にも又国際的にも、重大な関心の的となつておりまするところの破防法案、労働関係法の改惡等の一連の反動立法を思い切つてこの際撤回をし、速かに衆議院の解散を行うべきであると思うのでありますが、総研の見解、この点についてはつきりした御答弁を承わりたいと存じます。  以上を以て私の質問を終ります。    〔国務大臣吉武惠市君登壇拍手
  28. 吉武恵市

    国務大臣(吉武惠市君) 菊川君の御質問にお答えいたしますが、九月十七日附の国際自由労連からの書簡は受取つております。又二月十六日附の書簡も受取つておるのであります。今度の書簡に、二月十六日の書簡に対して回答がなかつたということでございますが、当時は労働法につきましてもまだ労働法制審議会に諮問中でございまして、政府は具体的の内容を持つていなかつたのであります。従いましていろいろの御意見はございましたけれども、労働法制審議会の答申並びにそれに基いて政府の具体的な案がきまりませんければ、返事のしようがございませんから、今日まで延期したのであります。なお今回の書簡に対しましては、早速、過日電報を以ちまして、今回ILOの総会に政府代表が出席するから、その際、詳細なる回答を持参させるからということを申上げまして、昨日出発の際に、これを持参さしておる次第でございます。御承知のごとく、国際自由労連からいろいろ御心配の趣きは私はわかりますが、併し今回政府が企図いたしまし労働法につきましても、しばしば申上げているごとく、第一点は国及び地方における現業職員に団体交渉権を復活するということであります。そうして第二に提案をいたしておりまするのが緊急調整でございますが、これとても、国家公共の福祉に重大な障害を及ぼす場合に、これをほつておげば国民生活に非常な損失を生ずるというとを、中央労働委員会で解決をお願いをするという制度で承ります。このことは先進国にも他に例のあることでございまして、私はこれを以て、直ちに労働者の自由な権利を非常に制限するものとは考えておりません。なお又、今回の書簡にございましたような日の労働基準法というものに対して非常に低下させるようなことを心配されておりまするが、今解の労働基準法の改正も、御承知のごとく労働基準審議会、即ち三者構成の審議会で一致した事項であり、而もその内容は国際労働條約において認められた範囲のものでございまして、これとても私は抗議を受ける筋のものではないと思つております。従いまして、今回、日本政府の代表が向うに参りました際に十分話合いまするならば、この点につきまして御了解を得ることができるものと確信をしておる次第であります。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男登壇拍手
  29. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 政府としては、国際自由労連のような、まじめにして有力な団体に対しましては、十分その立場を尊重して、今後とも連絡をいたすつもりでおります。従つてこれらの資料の提供とか必要なる説明とかは決して惜しむものではないのであります。ただ政府としては、当然、この国情に最も合つたような労働の立法をいたす考えでおりまするから、軍に国際自由労連がこう言つたからといつて、すぐに無條件で政府の考えを変えるというようなことは無論ないのであります。ただ相互の理解を深めるために十分意見の交換もし、国内の資料も提供することについては、やぶさかでないのであります。(拍手)    〔国務大臣木村篤太郎登壇拍手
  30. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えいたします。破壞活動防止法案は、私がしばしば説明いたしましたごとく、国家の基本秩序を暴力を以て破壞せんとするような凶惡なる団体を規制し、これに必要なる刑罰を補整せんとするものでありまして、決して労働組合の正常なる運動を規制したり抑制したりするものでは断じてないのであります。従つて、この日本の情勢を十分説明し、又法案の趣旨を労働代表がILOに対して説明すれば、十分に了解せられることであろうと私は確信するのであります。従いまして政府といたしましては、破壞活動防止法案を撤回するの意思は毛頭もないということを申上げておきます。(拍手
  31. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 内閣総理大臣の答弁は他日に留保されました。      ——————————
  32. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 日程第一、道路法案、日程第二、道路法施行法案、日程第三、宅地建物取引業法案、(いずれも衆議院提出)以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めす。建設委員長廣瀬與兵衞君。    〔廣瀬與兵衞君登壇拍手
  34. 廣瀬與兵衞

    ○廣瀬與兵衞君 只今議題となりました道路法案及び同施行法案について、建設委員会における都議の経過並びに結果を報告いたします。  道路法案は、大正八年制定以来、約三十年間道路行政の基本法でありました現行道路法を全面的に改正して、飛躍的に発展する現代交通に対応して、道路の整備発達を図らんとするものであります。  今回の改正の主なる点は、第一は、我が国の幹線道路網中、枢要な部分の急速な整備を緊急とする現状に対して、国道を一級国道及び二級国道に区分し、国が積極的にその整備を推進することとしたこと。第二は、道路に対する国と地方公共団体の分野を明らかにして、おのおのその責任と能力を十分に発揮するために、道路は国の営造物であるとする現行法の観念を改めて、一級国道及び二級国道は国の営造物、その他の道路は各地方公共団体の営造物であるという観念に改めること。第三は、これに対応して、現行法が道路管理者を各地方公共団体の長としているのを改めて、一級国道及び二級国道の管理者は都道府県知事、その他の道路は各地方公共団体自身であることとしたこと。第四は、一級国道の新設改築について、一定の場合においては国の負担率を高めて、その整備を促進したこと。第五は、道路の占用、車両の運行に関する規定を整備したこと。第六は、道路の新設改築に関連して、土地収用法におけると同様の損失補償の制度を設けたこと。第七は、道路行政の完璧を期するために新たに建設大臣の諮問機関として道路審議会を設置したこと。以上のような、道路法を施行するための経過措置、関係法令の改正が同法施行法案であります。  本委員会は法案の重要性に鑑み愼重なる審議をなし、又運輸委員会との連合委員会を開いて質疑応答を軍ねましたが、詳細は速記録によつて承知を願います。その主なる事項は、道路り営造物としての根本の建前、受益者負担の諸問題、鉄道軌道との立体交叉の原則、渡船施設、兼用工作物に関する問題等でありました。なお提案者からは、原案に対して衆議院が修正した諸点、即ち特別負担金に関する規定の削除、道路の修繕に関する法律の廃止取止め、北海道に対する特例を特定の地域道路にも及ぼすこととした点についても説明があり、これらについても多くの質疑応答がありました。  かくて質疑を終了し、討論採決の結果、両法案共、全会一致、衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  次に宅地建物取引業法案について、審議の経過並びに結果を報告いたします。  本法案は宅地建物取引業に対して必要な規制をなし、その業務の適正な運営を図ることを目的としたものであります。提案者の説明によりますと、宅地建物取引業については、従前は地方庁令を以て取締を行なつていたのでありますが、これらの命令は新憲法の制定によつてその効力を失うに至つたのであります。然るに今次大戦によつて建物、特に住宅の需給は極度に逼迫し、土地建物の取引は戦前にもまして頻繁となり、その業者も激増すると共に、悪質業者の不正が頻発して、これがために宅地建物の利用が阻害されるに至つておることは顯著な事実であります。この状況に対して必要な取締をなすと同時に、業者の健全な発達に資するために本法案が提出された次第であります。  法案の概要は、第一に宅地建物取引業者の登録制であります。第二は、業者がその業務に関し受けることができる報酬の額は、都道府県知事が定めた額を超えることができぬことであります。第三は、業者の業務に関して必要な規制をなすと共に、登録の取消、業務の停止を規定して、業務の公正な運営を図ることであります。第四は本法の規定に違反するものの罰則であります。  本委員会における審議の詳細は会議録に譲りますが、主なる事項としては、業界の現況と不正事実の実情、登録については業者に何らかの資格を必要とすることが適当ではないか、取引に関する帳簿を備付けしめる必要はないか、更に業者の向上を図る具体的措置等でありました。これに対する提案者及び建設省当局の答弁は、業者の数は全国約三万と推定され、昨年一部の調査の結果のほか、警察署の相談所や訴訟に現われた数から見るも相当多数の不正事実があること、業者の資格或いは試験制についても多くの案があつたが、この際は登録によつて先ず業者を把握することを急務としたこと、帳簿の備付けも同様今後に残したこと、業者の向上を図るためには、本法の運用のほか業者の協力を求めて行政上の処置によるとの答弁がそれぞれありました。  かくて質疑を終了、討論に入りましたところ、田中委員から、本法案に対て原則として賛成するが、第一、登録について業者に何らかの資格を規定すること、第二に、取引に関する帳簿を備付けしめることが業者の利益を保護し向上を図るためにも必要である。これらの点については、今後本法の運用により、業者の実態を見究めた上で善処することの希望を附して賛成する旨の発言がありました。次いで採決の結果、全会一致衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  右御報告申上げます。(拍手
  35. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。  先ず道路法案道路法施行法案、以上両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  36. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  37. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 次に宅地建物取引業法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  38. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  39. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 日程第四、地方公務員法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。    〔西郷吉之助君登壇拍手
  40. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 只今議題となりました地方公務員法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。  今回内閣が二の法案を提出しました理由は、地方行政簡素化の趣旨に則り、又地方公務員法実施状況等に鑑みまして、これに所要の改正を加えようとするのでありまして、その内容はおおむね次の通りであります。  先ず地方行政簡素化の趣旨に則るものとして、第一に、現在五大市以外の市は人事委員会を置き得る二ととなつておるのを改めまして、人口十五万未満の市は、人事委員会を置かないで、公平委員会を置くこととするのであります。第二に、公平委員会の事務につきましては、これを当該都道府県人事委員会に委託して処理する途を新たに開くことでありまするが、この点につきまして、衆議院において、当該都道府県のみならず、他の地方公共団体にも委託し得ることに修正されました。第三に、現在人事委員会には必ず事務局を置くことになつておるのを改めまして、五大市以外の人口十五万以上の市が置く人事委員会については事務局は任意設置とすることであります。第四に、人事委員会及び公季委員会の委員の兼職禁止を緩和することであります。次に地方公務員法実施状況等に鑑みまして、任用及び職階制に関する規定の施行を更に六カ月間延長すると共に、公務災害補償の審査に関する規定を整備することであります。  委員会におきましては、先ず岡野国務大臣並びに政府委員より提案理由並びに法案内容の説明を聞き、更に衆議院修正案の説明を聞きました後、質疑に入りましたが、若木委員より、人事委員の選挙方法、地方公務員の政治行為の制限等につきまして、改正の意思なきやとの質疑がありましたのに対し、岡野国務大臣より、地方制度調査会において十分研究する旨の答弁があり、又原委員より單純労務者に関する法案の提出見込を尋ねましたのに対して、岡野、吉武両大臣より、国の單純労務者に関する法案と関連して速かに立案提出する旨の答弁がありました。なお若木、高橋両委員と政府委員との間に、人事委員会及び公平委員会の運営等につきまして質疑応答がありましたが、これらの詳細は速記録によつて御覧を願います。  以上を以ちまして質疑は終了しましたので、討論に入りましたところ、原委員より、單純労務者に対する特例法案を速かに提出することを要望して原案に賛成されました。かくて討論は終り、直ちに採決に入りましたところ、全会一致を以て原案を可決した次第でございます。よつて内閣提出、衆議院修正議決にかかるところの地方公務員法の一部を改正する法律案は、全会一致を以て可決すべきものと議決した次第でございます。  右御報告いたします。(拍手
  41. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  42. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ─────・─────
  43. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 日程第五、ドイツ人工業所有権特別措置令の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。通商産業委員会理事小林英三君。    〔小林英三君登壇拍手
  44. 小林英三

    ○小林英三君 只今議題となりましたるドイツ人工業所有権特別措置令の一部を改正する法律案につきまして、通商産業委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  今回の平和條約第二十條の規定に従いまして、ドイツ財産たる工業所有権の処分権を有しておりまするアメリカ合衆国、英国及びフランスの三国が、この権利を処分する場合に、我が国はその処分を確実にいたしまするための必要な措置を講じなければならないことになつておるのであります。そこで本法律案は、今までこの工業所有権の保全及び管理を主としておつたところのドイツ人工業所有権特別措置令を改正いたしまして、その処分を可能ならしめる手続等必要な措置を規定する法律としようとするものであります。  次に、本法律案内容を申上げますると、第一に、ドイツ財産たる工業所有権の取消と、それに関する異議申立、第二に、特定の特許権等をドイツ財産管理令によりまする管理保全から除外すること、及び商標権の存続期間の更新、登録出願の特例であります。第三に、三国が譲り渡しました特許権、実用新案権、意匠権をドイツ財産管理令による管理保全の面から除外すること、及びその特許料等の納付に関する特例でございます。第四に、管理保全中に三国の許諾に基いて設定されました特許権等に関する実施権の消滅の問題でございます。第五に、取消されました商標権の再登録についての問題でございます。第六に、特定の標章の一定期間の使用等の禁止に関する件でございます。第七に、管理保全中の権利に対する損害賠償請求権の特例等でございまして、いずれも右三国が決定するドイツ人工業所有権に関する処分の手続等を規定したものでございます。  本委員会といたしましては、本案につきまして慎重審議の結果、全会一致を以てこれを可決すべきものと決定いたした次第でございます。  以上御報告申上げます。(拍手
  45. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  46. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。  本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十六分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、行政協定に伴う演習地の接収に関する緊急質問  一、東電問題に関する緊急質問  一、日本政府の労働政策に対する国際自由労連からの書簡に関する緊急質問  一、日程第一 道路法案  一、日程第二 道路法施行法案  一、日程第三 宅地建物取引業法案  一、日程第四 地方公務員法の一部を改正する法律案  一、日程第五 ドイツ人工業所有権特別措置令の一部を改正する法律案