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1952-05-23 第13回国会 参議院 本会議 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十三日(金曜日)    午前十時五十七分開議 ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第四十一号   昭和二十七年五月二十三日    午前十時開議  第一 ユネスコ活動に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第二 文部省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第三 食糧管理法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 千九百二十七年九月二十六日にジユネーヴで署名された外国仲裁判断執行に関する條約の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第五 六・三制学校整備費国庫補助継続に関する請願(二件)(委員長報告)  第六 市町村立学校職員給與負担法中一部改正等に関する請願委員長報告)  第七 中学校教職員行政整理反対に関する請願委員長報告)  第八 六・三制学校整備予算確保等に関する請願委員長報告)  第九 新潟大学医学部附属病院再建に関する請願(二件)(委員長報告)  第一〇 六・三制学校屋内運動場建築費国庫補助に関する請願委員長報告)  第一一 六・三制学校施設整備費国庫補助等に関する請願(二件)(委員長報告)  第一二 都市教職員行政整理反対に関する請願委員長報告)  第一三 学校給食継続実施に関する請願委員長報告)  第一四 公立学校事務職員教育公務員特例法適用に関する請願(六件)(委員長報告)  第一五 六・三制学校災害復旧費国庫補助等に関する請願委員長報告)  第一六 小学校老朽校舎改築費国庫補助等に関する請願委員長報告)  第一七 六・三制学校施設整備費国庫補助増額等に関する請願委員長報告)  第一八 老朽校舎改築工事費国庫補助等に関する請願委員長報告)  第一九 私立学校共済組合設立に関する請願委員長報告)  第三〇 戦災学校復旧促進に関する請願委員長報告)  第二一 積雪寒冷地帶六・三制学校屋内運動場整備促進に関する請願(二件)(委員長報告)  第二二 積雪寒冷地帯六・二制学校屋内運動場整備促進等に関する請願委員長報告)  第二三 学校給食費国庫補助等に関する請願(十三件)(委員長報告)  第二四 教職員給與ベース改訂等に関する請願委員長報告)  第二五 学校給食法制定に関する請願委員長報告)  第二六 社会通信教育振興に関する請願委員長報告)  第二七 学校給食費全額国庫負担等に関する請願(三件)(委員長報告)  第二八 戦災市町村義務教育施設整備臨時措置法制定に関する請願委員長報告)  第二九 積雪寒冷地帯六・三制学校屋内運動場建設費国庫補助に関する請願委員長報告)  第三〇 積雪寒冷地帯六・三制学校屋内運動場建設促進に関する請願(三件)(委員長報告)  第三一 六・三制学校施設整備費国庫補助に関する請願委員長報告)  第三二 文教予算増額等に関する請願委員長報告)  第三三 義務教育費国庫負担法制定に関する請願(七件)(委員長報告)  第三四 六・三制学校建築費国庫補助に関する請願委員長報告)  第三五 公立学校施設防災および災害復旧に関する法律制定請願(五件)(委員長報告)  第三六 福井松岡中学校屋内運動場建設に関する請願委員長報告)  第三七 岐阜県下六・三制学校屋内運動場建設費国庫補助等に関する請願委員長報告)  第三八 国宝聖徳太子像保存施設費国庫補助に関する請願委員長報告)  第三九 東京学芸大学附属豊島小学校周囲環境浄化等に関する請願(二件)(委員長報告)  第四〇 六・三制学校建築費国庫補助等に関する請願委員長報告)  第四一 積雪寒冷地帶六・二制学校屋内運動場建設費国庫補助等に関する請願(五件)(委員長報告)  第四二 新潟県下六・三制学校屋内運動場建設費国庫補助等に関する請願委員長報告)  第四三 公民館に対する国庫補助増額等に関する請願委員長報告)  第四四 学校給食法制定等に関する請願委員長報告)  第四五 岩手県花巻中学校校舎建設費国庫補助等に関する請願委員長報告)  第四六 学校給食費国庫補助増額等に関する請願委員長報告)  第四七 学校図書館に関する請願委員長報告)  第四八 岡山大学農学部獣医畜産科設置請願委員長報告)  第四九 学校教科書制度合理化に関する請願委員長報告)  第五〇 養護教諭必置制存続に関する請願委員長報告)  第五一 六・三制建築費国庫補助増額に関する陳情委員長報告)  第五二 六・三制学校施設充実等に関する陳情委員長報告)  第五三 六・三制建築費国庫補助継続に関する陳情委員長報告)  第五四 積雪寒冷地帯中学校の雪中避難所建設に関する陳情委員長報告)  第五五 六・三制学校施設整備費国庫補助継続に関する陳情(二件)(委員長報告)  第五六 六・三制学校施設整備費国庫補助継続等に関する陳情委員長報告)  第五七 義務教育費全額国庫負担に関する陳情委員長報告)  第五八 公共学校施設防災および災害復旧に関する法律制定陳情(十件)(委員長報告)  第五九 新潟医科大学附属医院再建に関する陳情委員長報告)  第六〇 公立学校事務職員教育公務員特例法適用に関する陳情(六件)(委員長報告)  第六一 六・三制学校施設整備に関する陳情委員長報告)  第六二 六・三制教育費全額国庫負担に関する陳情委員長報告)  第六三 積雪寒冷地帯六・三制学校屋内運動場建設促進に関する陳情委員長報告)  第六四 六・三制学校建築費国庫補助に関する陳情委員長報告)  第六五 福井県下六・三制学校屋内運動場建設費国庫補助等に関する陳情委員長報告)  第六六 六・三制学校建築費国庫補助等に関する陳情(二件)(委員長報告)  第六七 学校給食費国庫補助増額に関する陳情委員長報告)  第六八 義務教育費国庫負担法制定に関する陳情(十五件)(委員長報告)  第六九 学校給食費国庫補助に関する陳情委員長報告)  第七〇 戦災市町村等義務教育施設復旧整備臨時措置法制定に関する陳情委員長報告)  第七一 積雪寒冷地帶義務設置学校屋内運動場建設促進臨時措置法制定に関する陳情委員長報告)  第七二 積雪寒冷地帯中学校の雪中避難所建設費国庫補助増額等に関する陳情委員長報告)     —————————————
  2. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) これより本日の会議を開きます。  この際お諮りいたします。小滝彬君から海外旅行のため、加納金助君から病気のためそれぞれ会期中、又鈴木強平君から病気のため九日間、請暇の申出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつていずれも許可することに決しました。      ——————————
  5. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 日程第一、ユネスコ活動に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。文部委員長梅原眞隆君。    〔梅原眞隆登壇拍手
  6. 梅原眞隆

    梅原眞隆君 只今議題となりましたユネスコ活動に関する法律案につきまして、文部委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。  御承知の通りユネスコ即ち国際連合教育科学文化機関は、国際連合専門機関一つでありまして、その掲げる崇高なる理想に共鳴して、我が国ではユネスコ加盟前からすでに相当広くユネスコ活動が行われ、昨年七月ユネスコ加盟が正式に承認されて後は、その活動は一段と活溌さを加えて参つた次第であります。  政府が本法案を提出いたされましたのは、先ずこのようなユネスコ活動の基本的なあり方を明らかにすると共に、国内ユネスコ活動原動力とも相成るべき日本ユネスコ国内委員会に関しまして、その組織並びに運営方法等を規定いたしますことを主要な目的とするものであります。ユネスコ加盟国がそれぞれこのような国内委員会を設置いたしますることは、ユネスコ憲章七條が各国に要望いたしておるところでありまして、現在加盟国六十四カ国のうち五十八カ国はこれを設置いたしておる状態となつております。本委員会は、現下の情勢において、このユネスコ活動の持ちまする国際的国内的意義重要性に鑑みまして、外務委員会と四回に亘つて連合委員会を開き、愼重審議を重ねましたが、これらの委員会におきましての質疑の過程において最も問題と相成りました点は、将来国内ユネスコ活動を刺激する原動力ともなるべきこの国内委員会に殆んどすべて関連いたしたものでありました。  即ち先ず第一に、二の国内委員会所轄文部大臣となつているが、事物の性質上、外務大臣所轄か或いは少くも両者の共管とすべきではないかが論議されました。これに対して文部当局及び外務当局から、結局この事業を最も有効に運営して行くには、やはり国内文化教育科学機関と最も関係の深い文部省が所掌するほうが一番活動に便利であつて、ただ対外施策に関する面は外務大臣のほうで取上げて行き、外交一元化もこれによつて十分確保し得る見込であるという御答弁がありました。  第二には、国内委員会委員構成及びその選任方法等についてでありまして、法案によれば委員は六十各となつているが、これを教育科学文化等極めて広汎な面から如何にして最も適当に選び出すかが問題となりましたが、政府当局はこれに対しまして、この法律によつて最初に任命される委員も、その後に選任される委員も、ユネスコ憲章七條精神に従いながら、本法案に定めまする手続によつて選任する限り、最も広汎に各方面から、又最も民主的に選任されるものであることを期待できる旨の御答弁がありました。  第三には、この国内委員会我が国行政法上どのような性格を持つかが問題となりましたが、これについて当局は、この国内委員会国際條約であるユネスコ憲章七條の規定の趣旨に従つて設けられる点において、国内の諸機関といささか異なる特徴を持つ心のであること、更に、国家行政組織法第八條の機関、即ち直轄の研究所や大学等と同様な性格を持つものであつて行政機関と申すことはできない。併しユネスコに関する企画、連絡、調査或いは普及という活動を行いまする点では、相当、執行機関、行政機関的な性格が加味されており、いわば両者中間的性格を持つ類例の少い機関であるという御答弁がありました。法案によりますると、このような委員会事務を処置させるために、事務総長その他の職員から成る相当強力な事務局が附置されることになつております。  さて連合委員会は、主として以上のような問題点につきまして、すでに以前からユネスコ関係されている国際団体代表者五名を招き意見を聽取いたしましたが、参考人はいずれもこれらの諸点につきまして、ほぼ政府原案に対して賛成する旨の意見の開陳がありました。なお、以上の質疑のほか、将来国内委員会が成立した場合、政府ユネスコ本部の置かれているパリへ常駐代表を派遣する意思があるかどうか、その場合、監督権者は誰であるかという質問に対しまして、文部当局から、常駐代表の派遣問題は国内委員会に諮問し、外務省と協議して決定したいとの御答弁があり、監督権の問題については外務当局から、外交一元化の建前上、海外駐在機関はすべて外務大臣監督下で行動するという御答弁がありました。  かくいたしまして連合委員会を終結いたし、更に文部委員会において審議を続行いたしました。その際の主要な質疑は、国内委員会はこのような法文化によつて官僚統制に陷る虞れがないかということ、又国内委員会を構成する委員の人数に関する衆議院修正理由等についてでありましたが、以上の連合委員会及び文部委員会におきましての質疑応答の詳細は、これを会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終了いたし、討論に入りまして、相馬委員は社会党第二控室を代表して、今日世界における日本の地位に鑑み、ユネスコ活動の果すべき使命は重く、従つてこの国内委員会に対する期待は大であるとはいえ、将来国内委員会は、この世界的二大対立に直面して真によくユネスコ精神の発揮に努力すべく、單なる反共宣伝機関に堕すべきではないこと、及び所轄省たる文部省は、予算措置に関して遺憾なきよう配慮することを要望して本案賛成の意を表明されました。次に岩間委員日本共産党代表して、ユネスコ運営実態に徴すれば、すでにユネスコ精神が歪められておることは明瞭であり、又このような文部大臣による委員選任体制は、ユネスコ活動国民精神総動員化への途を開くものにほかならずとして法案反対されました。(「その通り」と呼ぶ者あり)次いで高橋委員緑風会代表して、ユネスコ運動が国際平和の増進に協力する意味において本案賛成であるが、国内委員会構成委員選任において更に十全な措置行政当局に要望する旨を述べられ、かくて採決の結果、衆議院送付案を多数を以て可決いたしました。  以上を以て御報告といたします。(拍手
  7. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 本案に対して討論通告がございます。発言を許します。岩間正男君。    〔岩間正男登壇拍手
  8. 岩間正男

    岩間正男君 私は日本共産党代表して、只今議題となつているユネスコ活動に関する法律案反対するものであります。  本法案は、国連憲章ユネスコ憲章並びに世界人権宣言精神を実現するために、教育科学文化を通じて我が国民の間に広く国際的理解を深め、我が国民と世界国民の間に理解相互協力を進めることによつて世界の平和、人類の福祉に貢献することを目標とすると謳つているのであります。これは誠に結構な文句であります。併し問題はこうした文句や表現にあるのではなくて、この法案提出者吉田政府現実に何をなしているかということであり、又教育科学文化等ユネスコに基く政策を現在如何に推し進めているかという面が問題なのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)言うまでもなく政府は、アメリカ的教育アメリカ的科学、こういうものがあるかどうかわかりませんが、まあアメリカ的科学、(笑声アメリカ的文化を、日本国内に普及滲透させることに憂き身をやつしているのであります。この点は確かにアメリカの支配者たち同様に、極めて熱心であると言えるのであります。いな、アメリカ文化下請機関としての役割を忠実に果しているというのがその実態であります。併し政府は、もう一つの新らしい世界、歴史によつて創られつつあるところの新らしい世界、即ち社会主義国人民民主主義諸国、つまりソ同盟中国や、東方諸国朝鮮人民共和国等につきましては、理解協力関係を推し進めるどころか、逆にこれと遮断し、これを排除することに大わらわになつているのも又実情であります。例えばソ連中国文書出版物等輸入については多くの制限が現在設けられているのであります。今日では、ソ連科学書輸入しなければ、研究の面では多くの支障があるというのは、期せずして学者たちの間に言われていることでありまして、これらの出版物の自由な輸入を多くの学者は求めているにもかかわらず、何とかかんとか因縁を付けましてその輸入妨害しているのが実に政府態度なのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)中には、これらの出版物を配布したというだけで、例えば中日親善協会の何人かの人々が検挙され、或いは軍事裁判にかけられた事実さえあるのであります。これを又映画の面について見ますならば、アメリカ的廃頽代表するアメリカ映画西部物ギャング物は年に百五十本も輸入され、而もそれが毎年増加の傾向を辿つているにもかかわらず、ソ連映画のごときはその五十分の一、而も本年度からはゼロにこれを切り捨てているという状態であります。こうしたことは、ユネスユ協力の名によつて行われているところの、例えば当国会におけるところの映画鑑賞会、こういうところで、どういうような映画だけが薦められて、そうしてどういう映画については非常に上映困難であるかという現状を見れば、これは何よりも事実が示している。若しそうでないというならば、なぜ一体もつと広汎にあらゆる映画について平等にこれを見せないのであるかと私は指摘したい。(「そうだ」と呼ぶ者あり)  このように、いわば馬車馬のように日隠しされ、見るな聞くなの態度で推し進められている文化政策から、一体我々は何を期待し、何を求めればいいのであるか。これでは、先ほど述べましたところのこの本法案精神であるいわゆる国連憲章ユネスコ憲章並びに世界人権宣言精神を実現するために云々、そうして飽くまで平和と国際協力を推進するのだという精神が、一体、全然その言葉と反対方向政策がとられておることは、私がここに多くを指摘するまでもない。こういうことを言つても……。名前だけ謳つておる。これは羊頭を掲げて狗肉何とやらというたとえになるのであります。で、これでは全世界との文化交流協力を通じて世界平和に貢献しようとしても、とてもできない相談だと言わなければなりません。ラジオや新聞等のその宣伝機関を一手に集め、更に強権の圧力をさえ加えて反共宣伝にこれ努めている現政府態度にもかかわらず、いや、それなればこそ、今、日本国民の大部分は、ソ同盟中国北鮮における勤労大衆社会的政治的生活がどうなつているのか、又創造しつつあるところの文化がどんなものであるかということ、それを真劍に知りたがつているのであります。(「そんなことはわかつておるよ」と呼ぶ者あり)それを知らざれることが怖いから、あらゆる面に、こういうような面には目隠しをして、これは例えば国際経済会議のような例を引いてもわかりますように、こういうところに使節を出すことはいろいろな難癖を付けて妨害をしておる。法にもないような妨害をしておる。ですから、ここのところを突破して真相を把握しようという努力が……、高良さんのような人が出て来るわけです。(笑声)  併しこのような国民大多数の切望を今のユネスコ活動によつて達成することは殆んど不可能なことになつております。なぜ一体このようにユネスコが、ユネスコ憲章に謳われておる精神と相反するような方向性格を変化しつつあるか。言うまでもなく、これは国際連合そのもの運営、最近の運営そのものが大きく変化しておる。これと密接不可分関係にあるのであります。国際連合が発足したそもそもの目的は、私が申上げるまでもなく、同憲章に明らかなように、この地上から永遠に戰争を絶滅し、恒久平和と国際友好ための機関として、これを本当に真に人類平和のために運営するということであつたはずであります。ところが、而もこれが非常に最近その性格が一方的に傾いて来た。こういう機関性格を失いつつある。この傾向こそ……、今、私が申述べましたこのユネスコの最近の性格と機能が大きく変化しつつあるというのは、これは深い関係があるのであります。殊に朝鮮事変以後、国連安保理事会は、国連軍朝鮮侵略行動を一方的に合理化し、アメリカ独占資本下請機関となり下つておるような実情であります。これと同じようにユネスコも又、教育科学文化面における動員的な役割を担つて登場しておるのであります。これが新らしく性格を変えつつあるところのユネスコの隠された、いや非公然的に進められておるところの任務であります。これはユネスコ国連における一方的非合法的な朝鮮事変に対する諸決定を支持し、みずからも南鮮地域の救済に乗り出しておる。こういうユネスコ事業の跡を眺めれば明らかであります。日本でも、国連協力ユネスコの名によつて、多くの小学生たちが、いや中学生たち慰問文を書かされたり、又国民たちがその奪い血液の供出を要求されたようなことが起つておる。このようにして、発足当時の精神とはおよそ似もつかない役割を以て日本に押付けられておるのが現実ユネスコ活動であります。いわば両條約と行政協定によつて、文字通りアメリカ反共前線基地或いは不沈空母としてその装備を急がれつつあるところの日本に対しまして、一方、教育科学文化を通じて反共的な体制が急速に要求されておる。その役割を果すのがユネスコ現実的な任務であることを私は指摘したいと思う。このようにして、ユネスコ運動こそは、世界的規模によつて行われておる新らしい形のこれは精神総動員体制であり、その日本版こそは日本ユネスコ国内協力会ということになりかねないのであります。  こうした上からの押付けの形は、今年の法案にもよくその性格がにじみ出ておりのであります。例えば私はその二、三を指摘したいのでありますが、今後ユネスコを実質的に指導運営するところの国内委員会委員の任命の方法を見るというと、国会議員以外の委員につきましては、あらかじめ設けられた選考小委員会がこれを推薦し、その推薦に基いて文部大臣がこれを任命することになつております。又国内委員会会長や副会長についても同じように文部大臣が任命することになつておる。これは誠に官僚統制強化の現われ以外の何ものでもない。どこに一体民主的な匂いがあるか。こうした国内体制をとらなければ間に合わない、そういうところにこれは追い込まれておる。その委員選出数についてこれを見ますというと、地域的な代表の数は、最初は、原案ではこれは十五人であつたのでありますが、これを十二人に切り落して反対国会議員代表者につきましては、両院各一名ずつ都合二名であつたのでありますが、それを一躍七名に強化しておるのであります。参議院が三名、衆議院が四名というふうに強化しておる。これは衆議院で作られたところの修正案でありますが、このような修正案に現われた精神から見ましても、地域的な下からの盛り上がりを尊重する代りに、中央集権的な体制をますます強化して現実の要請に応えんとしておるのが、その姿が窺われるのであります。これは明らかに非民主的な官僚統制のなまなましい復活でありまして、時代逆行であると言わなければならないのであります。  以上指摘した二、三の点でも明らかなように、本法案は全くユネスコ本来の精神に違反し、外国日本民族支配精神的武器になり下ろうとしておるのであります。若しそのような我々の指摘が現実情勢と照らし合せて行き過ぎであるという論者があるならば、政府は、これらユネスコ運営に対して、現に加えられ、又今後ますます強化されるであろうところの一切の制限統制を撤廃し、飽くまでも民主主義的な国民の下からの盛り上りに期待し、自由な文化交流を図るべきだと思うがどうか。こういうことができない限り、私の指摘した点は決してこれは杞憂には終らないのであります。これこそは世界平和を維持する前提條件であり、提案者がこの法案目的に謳つておるところの国連憲章ユネスコ憲章並びに世界人権宣言精神に合致するゆえんでありますから、これを強力に推し進めなければならないのでありますが、それが少しもできないで反対方向に動いておる。だからして、結局羊頭を掲げて、そうして世界日本国民を欺瞞するようなことになるのであります。こういうことをして、その実行を通じましてその精神を具現することであり、又実行を容易ならしめる組織を真に我々は打ち立てたいと思うのでありますが、こういう努力はこの法案では何らなされなかつた。こういうふうに、実にこの第一條に謳つている精神というものは、まるで悪い素質の品物に表装だけをよくするようなことをしている。中身は問題にならないので、こういうことをやつている。こういうことでこの法案自体の中にはつきり矛盾を包含されておる。このような欺瞞的な立法に対しまして私はその矛盾性をはつきり指摘して、これに対し反対するものであります。(拍手
  9. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) これにて討論通告者発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  10. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  11. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 日程第二、文部省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。    〔河井彌八君登壇拍手
  12. 河井彌八

    ○河井彌八君 文部省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告申します。この法律案政府提出の原案衆議院において一部修正を加えられまして本院に送付せられたものであります。従いまして原案として取扱いましたのは衆議院の送付して参りましたその案であります。本案の提出の理由とその内容を申上げます。先ずこの案を一般行政機構の改革に先立ちましてここに提出した理由につきまして申述べます。それは、ほかの法律の施行に伴いまして必要な事項、或いは早急に実施を必要とする事項についてのみここに規定をいたしたのでありまして、一般の行政機構の改革に先んじてこれを議するということが必要であるというのであります。主要な改正点について申上げますと、第一点は、只今本院において可決成立いたしましたユネスコ活動に関する法律、これが施行せられまする場合に、国内におけるユネスコ活動に関する事務で以て文部省の内部部局で処理すべき事務を規定したことであります。即ち文部省の内部部局であるところの大臣官房において、予算案の準備、国庫補助金の配分を行い、又国内におけるユネスコ活動に関する法人の設立の認可については、他局における法人の設立の認可の場合と同様に管理局に対して勧告をするという規定であります。第二点は、教職員の除去、就職禁止、いわゆる追放でありますが、それに関する政令を廃止いたしますその法律がすでに成立いたしまして、四月九日から実施されましたので、従来文部省の内部部局たる大臣官房で処理いたしておりました教職員の適格審査に関する事務の所掌並びに文部大臣の所管の下に置かれておりました教職員適格審査会及び教職員適格再審査会に関する事項を削除いたしましたことであります。第三点は、文部省の附属機関として国立近代美術館を設置することにいたした点であります。国立近代美術館は、東京都に置き、近代美術に関する作品その他の資料を収集保管して公衆の観覧に供し、併せてこれに関連する調査研究及び事業を行う機関といたしておるのであります。第四点は、文部大臣の所管の下に中央教育審議会を設置することにいたした点であります。現在、総理府所管の下に教育刷新審議会が設置され、教育に関する重要事項を調査審議する機関とされておりまして、終戰後の我が国における教育改革方策の樹立に多大の貢献をして来たのであります。併し今日におきましては一応その使命を終了したものと考えられます。又一方、平和條約効力発生後の新事態に処して我が国における教育が如何にあるべきかについて、全く新たな広く且つ高い見地において慎重に検討すべき必要を痛感いたすのであります。このために教育に関する基本的な重要施策について調査審議するための強力なる審議会を設置いたしたいという考えを以て中央教育審議会を設置せんとするのであります。この審議会のメンバーは、人格が高潔で、教育に関し広く且つ高い識見を有する者のうちから文部大臣が内閣の承認を経て任命する二十人以内の委員組織し、別に特別の事項を調査審議するため又は専門の事項を調査するため必要があるときは、臨時委員又は専門員を置くことができることにいたしておるのであります。第五点は、現在文部省機関として十八の審議会又は審査会が設けられておりますが、これらのうち、教職員適格審査会、教職員適格再審査会のほか、通信教育審議会を廃止し、又教育職員免許等審議会を教育職員養成審議会に、著作権審査会を著作権審議会にそれぞれ名称を改めた点であります。又通信教育審議会は、終戰後の我が国にとつては新らしい学校教育及び社会教育を通じての通信教育制度の確立に資するために設けられたものでありまするが、現在におきましては一応その設置の目的を達成いたしましたのでありまして、この審議会を廃止いたし、社会教育としての通信教育については社会教育審議会において、学校通信教育については教育課程審議会及び大学設置審議会等でそれぞれこれを処理することにいたしたのであります。なお教育職員免託等審議会は、その所掌となつておりまするところの教員検定に関する事務がすでに終了いたしましたので、これを教育職員養成審議会と改称いたしまして、教育職員の免許養成制度に関する事項を調査審議する機関といたしたのであります。更に著作権審査会につきましては、その名称を著作権審議会と改めて、従来著作権審査会で行なつておりました事項のほか、著作権の一般的事項についても調査審議することができるように改めたのであります。第六点は、現行文部省設置法の附則の改正であります。先ず昭和二十三年度において編修計画いたしました社会科、理科、国史、習字の教科用図書の編修が終るまで、初等中等教育局においてこれらの教科書の編修を継続する旨の規定は、現在その事務が終了いたしましたので、これを削除いたしました。又高等学校の職業に関する教科用図書の編修及び改訂を文部省においてもできるようにいたしました。その理由は、高等学校の職業に関する教科の教科用図書は、現在商業及び工業を除いては発行部数が極めて少いために、文部省においてその編修及び改訂を行う必要があると認められたからであります。最後に、この法律案の施行に伴つて、社会教育法、著作権法、著作権に関する仲介業務に関する法律、総理府設置法及び行政機関職員定員法のそれぞれの一部に所要の改正を加える必要がありましたので、附則においてこれが改正をいたしておるのであります。これが只今申述べました原案の内容であります。内閣委員会は、文部委員会と一回、内閣委員会自身を四回開きまして、この法律案を愼重に審議いたしましたので、その審議に当つて次の諸点が明らかになつたのであります。主なことを申上げます。  その第一は、この法律案によつて新たに設置されることになつておりまする中央教育審議会の性格、その構成の点、この中央教育審議会と現在総理府に置かれているところの教育刷新審議会や総理大臣の下に置いてあるところの文教懇話会との関係、又文部省に置かれている既設の各種の審議会との関係はどうかという点について、いろいろな質疑応答が行われたのであります。文部大臣の説明によりますると、終戰後、我が国教育制度は一大改革が行われまして今日に至つておるが、我が国情の上から見て、現状の形がよいかと言うのに、必ずしもさように断ずることはできないのである。さればと言うて元の形に復するということはこれは賛成しがたいのである。そこで、例えば大学院、国立学校、高等学校の制度等、これら教育の基本に関する問題を調査審議するために、この審議会を設けたのであつて、これを構成する委員としては、言論界、実業界・学界等、あらゆる方面から教育に関して広く且つ高い識見を有する立派な人たちの中からこれを選任したいという意向である。従つてこの委員選任に当りましては、利益代表的な人物であるとか、或いは政党代表であるとかいうような立場にある人を避けて極めて公正な立場にある人を求めたいと思うというのであります。文部省には現在十八の審議会、審査会等が置かれているのでありまするが、この中央教育審議会と、これらの十八の審議会等との関係は、主従のような関係になるのではないかという心配があつたのであります。ところが政府の説明におきまして、全くそういうものではなくて、それぞれの仕事の上において並立的な立場に立つのである。ただこの中央教育審議会の主たる目的は基本的な事項を調査審議するのであるのに対して、ほかの審議会は専門的な事項を調査審議するという差異があるのに過ぎないということの説明でありました。なお又この中央教育審議会が設置される結果、教育の中央集権的になる虞れはないか、又地方の教育委員会を拘束する結果を招く虞れはないかという点につきまして質問が行われました。これらにつきましては、私学団体総連合会等もこれらの点について大いなる関心を持ちまして意見書を寄せて参つたこともあつたのであります。これに対しまして文部大臣は、さような結果を来たさないように審議会の運営に十分に留意すると共に、この審議会の人選についても先に申しました通り十分厳選をいたしまして、こういう人が選定されるならば、それで安心であるというような人を選定するという説明でありました。第二点は、現在の著作権審査会をこの法律案におきましては著作権審議会と名称を改めまして、その調査審議の事項といたしまして、著作権法第二十二條の五第二項又は第二十七條の第二項の規定による償金の額、著作権に関する仲介業務に関する法律第三條第一項の規定による著作物使用料規程の認可という、従来著作権審査会で審議いたしておりました事項のほかに、新たに「その他著作権に関する事項」というものを追加いたしているのであります。この改正につきまして、天野文部大臣は次のように説明しております。即ち、著作権行政については文部大臣が主管大臣であつて、この著作権行政の運用について審議会に諮問をいたして民意を十分に尊重したいというのがこの改正の趣旨であつて従つてこの調査審議事項の追加によりまして著作権を制限するというようなことは絶対にあり得ないということを申されたのであります。この審議事項の追加につきましては、日本著作権協議会等からも盛んに意見を寄せて参りまするし、委員会におきましても賛否両論を十分に闘わせたのであります。で、若しこの規定が……、この規定と申しますのは、新たに加えたところの「その他著作権に関する事項」ということでありますが、これが削除せられた場合、運営上特に支障があるかないかという点、若しあるならば、どういう点であるか、若し支障がないならばこれを削除しても差支ないのではないかというような質問が出たのであります。文部大臣はこれに対して反対でないということをはつきりと説明いたし、この規定が、この文字がなくとも運営上支障はありませんということでありました。第三点は、今回新たに文部省の附属機関として設置されまするところの国立近代美術館は、昨年度の予算一億円のうちの八百五十万円を以て建物の離入費に充て、又本年度予算におきまして設置費として一億円を計上しておるのでありますが、そのうち四千万円を運営費に流用して運用して行きたいという考えで、この点は大蔵当局と折衡中であるということでありました。この国立近代美術館は、明治、大正、昭和の三代の代表的な美術作品の公開陣列をいたしまして、国民の芸術的関心を深め、又併せて芸術家の創作意欲の高揚を図らんとするものでありまして、この美術館の設置予定地は中央区京橋附近の四階建の建物であるということでありました。そうして、この近代美術館の設置に伴うて文部省本省の定員三十三人を増員いたすこととなつておりまするので、これが後に述べます行政機関職員定員法の一部を改正する点になつておるのであります。で、この国立近代美術館の問題につきましては、文部委員会との連合委員会におきまして、主として文部委員の側から、この美術館の管轄は社会教育局においてすることとなつておるようであるが、むしろ文化財保護法の主たる狙いは、文化財を單に保存するほか、これを活用する点が重大な点となつておるのであるから、近代美術館で収集保管する近代美術作品も又同様であると思われるが故に、この近代美術館は文化財保護委員会で所管するのが適当であるという意見が強く述べられたのであります。文部大臣は、文化財保護法の主たる目的は、失われんとする文化財の亡失を防止せんとする点にあるのであつて、近代美術館の主たる目的は、近代美術作品を収集し保管して公衆の観覧に供する点にあるのであつて、その目的に違いがあるから、これを文化財保護委員会の所管とすることは適当でないという説明であつたのであります。  第四点は、現存の通信教育審議会がこの法律案において廃止された理由についてであります。通信教育は今後ますますその機能を発揮すべきものであつて従つてこの審議会もこれを存置する必要が痛感されるにかかわらず、これを廃止するのは如何なる理由であるかという質問に対しまして、通信教育の重要な点は同感であるけれども、この審議会を廃止するのは、この通信教育の制度は今日までに確立し、審議会設置の当初の目的が達成せられたものと認められたためである。それと政府の今回の行政機構の整理方針に即応するためであるという文部大臣答弁でありました。  只今述べましたような審議の経過を辿りまして、内閣委員会は昨日の会議におきまして討論の段階に入りましたところが、楠見委員から次のごとき修正案が発議せられたのであります。便宜これを朗読いたします。    文部省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案   文部省設置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。第二十四條第一項の表の改正規定中著作権審議会の項中「その他著作権に関する事項」を削る。   附則第一項を次のように改める。  1 この法律は、公布の日から施行する。但し、第七條第二項第一号の二の改正規定はユネスコ活動に関する法律昭和二十七年法律第号)の施行の日から施行する。附則第三項を次のように改める。  3 著作権法の一部を次のように改正する。    第三十六條の三を次のように改める。   第三十六條の三 主務大臣ハ第二十二條ノ五第二項又ハ第二十七條第二項ノ規定ニ依ル償金ノ類ヲ定メントスルトキハ著作権審議会二諮問スベシ   附則第六項を次のように改める。  6 行政機関職員定員法(昭和二十四年法律第百二十六号)の一部を次のように改正する。    第二條第一項の表文部省の項中「六二、五八八人」を「六二、六二一人」に、「四四六人」を「四五一人」に、「六三、〇三四人」を「六三、〇七二人」に、同表合計の項中「八四一、六六七人」を「八四一、七〇五人」に改める。というのであります。  この法律案の第二十四條第一項の表の改正規定の中で、著作権審議会の調査審議事項に、「その他著作権に関する事項」とあるのを創つたのは、先ほど御報告いたしました著作権審議会に関する文部大臣との質疑応答の結果で明らかなように、文部大臣もこの部分の削除につきましては反対でないということであつたのであります。  附則第一項の修正は、原案には、文部省設置法七條第二項第六号の改正規定並びに同法第二十四條第一項の表の改正規定中、教職員適格審査会及び教職員適格再審査会の項を削る部分は、日本国との平和條約の最初の効力発生の日から施行することとなつておるが、この最初の効力発生の日はすでに経過いたしておるので、この部分は必要がなくなつたので削除いたしたのであります。  附則第三項の修正は、原案のままの形では、著作権審議会が著作権法第三十六條の三の規定によつても設けられ、又文部省設置法第二十四條第一項の規定によつても設けられ、同じ名称の二つの審議会が設けられておるかのごとき誤解を招く虞れがあるが故に、著作権法第三十六條の三の規定を改めて、その誤解を防ぐことといたしたのであります。  附則第六項の修正は、原案が本委員会に付託されてから、行政機関職員定員法が二回改正せられておりますので、この法律案によつて文部省本省に増員する三十三名(即ち国立近代美術館の分)文化財保護委員会に五人、計三十八人の定員の増加を現行の定員法の定員数を基準にして調整する必要があつたので、かかる修正をいたしたのであります。  以上申述べましたのが修正案の理由であります。楠見委員はなお附言いたしまして、文部大臣は、中央教育審議会の重要性に鑑み、その委員の人選については、しばしば言明したるがごとくに深甚の注意を拂われて欲しいということを述べ、なお、この審議会の運営について十分に注意をして欲しいという希望を申述べまして、この修正案を提出してこれを除いた原案賛成せられたのであります。その他三好委員、鈴木委員、栗栖委員、上條委員からもそれぞれ賛成意見が申述べられたのであります。  かくいたしまして、修正案について採決いたしましたところ、全会一致を以て可決すべきものと決定いたしまして次にこの修正案を除いたその他の原案について採決をいたしましたところが、これ又全会一致を以て可決すべきものと議決いたした次第であります。これを以て報告を終ります。(拍手
  13. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長報告修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  14. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  15. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 日程第三、食糧管理法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。農委員長羽生三七君。    〔羽生三七君登壇拍手
  16. 羽生三七

    ○羽生三七君 只今議題となりました食糧管理法の一部を改正する法律案につきまして、農林委員会における審査の経過及び結果を報告いたします。  この際、報告に先立ちまして、本法律案の主な狙いである麦の統制の廃止を目的とした食糧管理法の改正に関する従来の経過の大要を申述べておきたいと思います。過ぐる昭和二十六年三月、第十回国会において麦の統制を廃止せんとする食糧管理法の改正法律案政府から提出せられ、衆議院原案通り通過して本院に送付せられ、本院においては農林委員会に付託、審査の結果否決となり、本会議においても同様否決せられ、両院協議会の協議に付せられたのでありますが、成案を得るに至らず、廃案となり、麦の統制は従前通り継続せられることになつて今日に至つているのであります。ところが今回政府から、「食糧事情は著しい改善を見、食糧不足から来る国民生活の不安定や、これに起因するインフレの促進等の事態は次第に解消し、なかんずく麦類については都市家計において価格は安定するに至り、配給面においても相当数量の配給辞退が見られ、需給及び価格とも顯著な安定を見るに至り、更に今後の見通しについても、従前に引続いて万全の措置を講ずるならば、国内生産の維持と相待つて輸入も確保できる見込であるから、何らの不安がなく推移し得るものと認められ、右のような判断から、麦については従来の供出配給制度を続ける必要は極めて薄くなり、統制を廃止しても社会経済に不安を與える虞れがないのみならず、却つて速かに統制の不便から解放して、農家にはその生産した麦の自由な販売を、消費者については質と量の自由な選択を認める利便を與えることが適切と考える」という理由によつて、麦の統制を廃止する意図を以て本法律案が提出せられたのであります。  而して本法律案の内容は大要次のようであります。即ち第一は、麦の統制の廃止とその後の措置についてでありまして、従来行われて来た麦類に関する供出及び配給等の統制を本年産新麦の出廻り期から廃止することとなし、併し統制は廃止するとしても、その後における麦類の需給を調節し、安定した麦価の水準を維持するため、政府は、輸入麦類についてはすべてこれを、買入れ国内産麦と同一の価格水準で売渡すこととなし、且つ必要な限り輸入補給金を財政支出すると共に、内麦については政府において買入及び売渡を行い、政府の間接的需給調節の措置を講ぜんとするものでありましてその実行方法を要約いたしますと、政府国内産麦をその生産者又は生産者の委託を受けた者からの売渡の申込に従つてこれに買い応ずることとなし、その場合の買入価格は農業パリテイ指数に基いて算定される価格を基準とし、麦の生産事情及び米価その他の経済事情を参酌して定めることとせられておるのであります。次に買入れた麦の売渡につきましては、需給の調節と市価の安定を図るよう毎月所要量を売渡すこととなし、その売渡の方法は一般競争入札を原則とし、農林大臣が必要と認める場合は指名競争契約又は随意契約によることとなし、而してこの際売渡価格は消費者の家計に対して麦価が実質的に負担増加とならないように考慮して定めることとせられているのであります。なお麦食による食生活の改善に資するため、学童等に供するものについては、当分の間通常の政府売渡価格より安く売り渡すことができる途を開くことといたしておるのであります。  第二は、すでに管理の対象から外れております「いも」類及び雑穀に関する規定及び先に解散し又近く清算事務も完了しようとしておりまする食糧配給公団に関する規定を法文上削除せんとするものであります。なお、この点についてこの際附言を要すると思われますことは、先に「いも」類の統制が廃止せられたときに、その後の措置として設けられました「いも」類について生産者の申込により一定数量を政府が買入れる制度が今回廃止せられることになつていることであります。  以上が政府原案の内容の大要でありますが、かかる政府原案に対して、衆議院において次の修正、即ち政府が麦類を買入れる際の買入価格について政府原案に対し、買入価格決定の要件として更に、「麦の再生産を確保することを旨とする」ことを追加修正して本院に送付せられたのであります。なお本法律案衆議院において修正可決せられましたとき、大要次のような決議が行われましたことを、この際御参考までに申述べておくことにいたします。即ち、政府は麦類の増産を確保するよう左の事項を実施すべきであるとして、  (一) 麦類の買入価格の決定に当つては、昭和二十五年及び昭和二十六年の麦価の平均を基準として、その再生産を確保するよう決定すること、なお、麦類の売渡価格は現行価格を維持すること。  (二) 麦類の買入、売渡により食糧管理特別会計に赤字を生じたる場合、政府は一般会計より赤字補てんを行い、これを生産者又は消費者に負担せしめないこと。  (三) 配給米食率を全国的に均一化すること。  が挙げられておるのであります。  委員会におきましては、国内における食糧需給の現況と今後の見通し、外国食糧輸入の見通し、外貨の需給、国際小麦協定の将来、麦類需給調整操作の実施方法、米価と麦価との関係、主食の二重価格制とこれに関する見解、食糧管理特別会計の運用、輸入食糧補給金のあり方、米食率並びにその調整及び維持、麦類の増産と麦食の普及、畑作の改善及び「いも」作の育成、衆議院における決議に対する政府の決意等の問題について、政府当局に対して質疑が行われたのでありまして、これが詳細については会議録に譲ることをお許し願いたいのでありますが、そのうち二三の問題についてこれが大要を御紹介いたしたいと存じます。  その一は、政府において今回麦の統制を廃止せんとする理由として、我が国の食糧事情が著しい改善を見るに至り、特に麦類についてはその需給が顯著に安定し、今後においても何らの不安なく推移し得るものと見込まれるからであると述べられているのであるが、これに対して我が国の食糧の供給は高度に輸入食糧に依存しておるのであつて、かような状態を以て食糧需給が安定したと言うことができるであろうか。外国食糧の輸入は果して政府において期待せられているように楽観できるであろうか。又世界的に外交情勢が食糧に警戒的である際、特に昨年産米の供出が不振であるにかかわらず、ひとり我が国において安易な気持を以て大勢と逆行した政策をとることが許されるであろうか。更に国際収支の制約は、多額の食糧の輸入を賄うことを続けることができるであろうか。最近麦類の需給が緩和し、消費者価格調査において麦類の実効価格が公定価格に近く、麦類の配給辞退が起つているのは、昨年産の麦の生産が稀有の豊作であつて且つ麦類の統制に関する政府の取締が緩められたことに基因するところが大きいものと思われるが、かような異常な事態を以て直ちに麦の需給が安定したと即断して差支えないであろうか。且つ統制が廃止されれば需給操作のため供給を或る程度増加しなければならないこととなりはしないか等、本法律案の核心である食糧の需給について先ず以て重大な関心が拂われ、極めて真撃な質問が発せられたのは当然なことであります。かかる質問に対して政府当局からは、我が国内における食糧の生産は需要を賄うことができないため、毎年相当量の外国食糧を輸入しなければならないのであつて、食糧事情は決して安心することはできない。従つて米の統制はこれを引続いて実行する必要があるが、併し麦については全く安定していると言い切つても差支えないと思う。麦類の輸入の見通しは、昨年十一月から本年十月までの昭和二十七年米穀年度において、外麦の輸入計画は玄米換算約百八十七万七千トンであつて、これに対してすでに五十一万トンの小麦が到着しており、更に九十万三千トンの小麦の買付が終り、両者合せて半歳にして百四十一万三千トンが確保せられている状態であり、且つ小麦は国際的に見て大きなストツクがあり、アメリカにおいては七百万トン以上、カナダにおいても相当量のストツクがあると伝えられているので、麦類については物量においては何らの不安、心配はない。ただ米の需給については本年は決して楽ではないが、併し米の最小限の確保については最善の努力を盡したい。又国際収支の関係において、外貨の面については本年度の輸入計画総額約二十一億ドルであつて、そのうち米麦に関するもの約四億一千二百万ドル、このうちドル地域から二億五千六百万ドル、ポンド及びオープン・アカウント地域から一億五千六百万ドルが期待されていて、米麦輸入のためこの程度のドル貨の支拂は必ずしも多いものではないという認識に立つている。直接統制方式については、供出割当の面において又配給の面においていろいろな欠陥が現われ、麦類需給の現状においては、全国プールの現統制方式にあつては価格の面から統制は崩れて来る。かような点から見て、麦の管理方式を改めることが統制から来る混乱を防ぐこととなるという趣旨の答弁がなされたのであります。  その二は、衆議院における修正と同じく衆議院における決議に関してでありまして、現行法による米の買入価格の決定方法と今度衆議院において修正せられた麦類の買入価格の決定方法とを対比して見るとき、主客顛倒の感がありはしないか。又、麦の政府買入価格の決定方法に関して政府原案衆議院修正案とは実質的に如何に相違しているか。更に又かかる方法によつて決定せられた価格を以て買入れ、これを衆議院における決議の趣旨による価格を以て売却すれば、二重価格となる公算が大きく、且つ買入価格についても売渡価格についても米と麦とは均衡を得た取扱になすべきであるとしてこの点に関する見解が質され、これらの問題については、ひとり政府当局からばかりでなく、衆議院における修正案提出の代表小林衆議院議員及び決議案の趣旨説明者吉川衆議院議員の出席を求めて、直接関係者からの説明が聽取せられたのでありまして、これに対し両議員から、大要、主食全般として米麦一体論に立つていて、法文上の関係はともあれ、買入価格は、麦は勿論、又米についても当然再生産が確保されるように決定せらるべきである。売渡価格は当然二重価格という結果になる、併しこの二重価格制を法律上規定することは現行食糧管理特別会計の原則として種々問題があるので、法律の改正はこれを避け、決議というような形をとつたのである。而してこの決議の実行はこの決議に関する農林大臣の答弁に対する政府の誠意と責任如何にかかつているとの趣旨の答弁があり、なお麦類の取扱によつて生ずる赤字を米価を以て相殺することは絶対行わないようにしたいと附言せられたのであります。なお又麦について二重価格の措置を講ずることになれば、米についても当然同様な措置がとられるべきであるとして、この点について政府の所見が確められましたところ、麦については衆議院の決議の結果二重価格となるが、米についてはその際の事情如何によつては希望するところであるが、今日は未だ適用するか否かをきめる段階ではないのであつて、後日米価審議会等の意見を聞いて措置されることとなるであろうと答えられ、これに対して更に米についても適用することは当然であると重ねて念を押されたのであります。  その三は、輸入外麦について、これが価格を調整するため国庫から少からぬ金額の輸入補給金が支拂われているにかかわらず、市場の価格を自由に放任することは、政府においてその手持麦の操作によつて市場価格の調整を行う意図であつても、消費者の価格が適正に安定される保証とはならないのであつて、折角の補給金の効果を減殺することとなりはしないかとの質問に対して、はつきりした保証とはならないわけであるが、併し結果においては安くなるから消費者価格に端的に響くこととなり、市場価格の安定を期待することができる旨答えられているのであります。  その四は、今回の改正によつて現行法において規定せられている「いも」類の生産者の申出に応ずる政府買入に関する規定が削除せられ、この制度が廃止せられることになるのであるが、この制度は「いも」類の統制廃止の際設けられたものであつて、「いも」作の維持育成のため重要な事柄であるから、かかる規定が削除せられることは不適当であり、これはやがて麦類が迫るべき運命ではないかとの質問に対して、この制度は主食が不足な場合の制度であつたが、今はその段階は過ぎ、政府は「いも」類を買入れる意思がなく、且つ「いも」類の価格維持政策としては実行上疑問があるから、今回削除して廃止することにした、麦についてはかような意図は毛頭持つていないと答えられたのであります。  かくして質疑を打切り、討論に入りましたところ、日本社会党第四控室小林孝平委員から、政府今回の措置は国際情勢の現況及び貿易関係の状況から見て、今日の段階においては早計であつて、暴挙にひとしいものである。併しながら戰時戰後を通じ多年に亘つて行われて来た苛酷な供出制度及び窮屈な配給制度は排除せられなければならない。而してこれに代る方策としては、生産農家による自由申告に基く供出と登録店を以てする一定ルートを通じての公定価格による自由販売こそ、この際とらるべき最適当な方法であるとの趣旨に基く修正案が提案せられ、この修正案に対して協調の趣旨を以て日本社会党第二控室松永義雄委員から賛意が表明せられ、続いて緑風会片柳眞吉委員から賛成の意が述べられ、続いて緑風会加賀操委員から、緑風会所属委員有志並びに自由党、改進党及び民主クラブの共同提案を以て、主食として米と麦は同列に取扱うべきものであるとする米麦一体論を倉重し、その原則に即応して、米と麦との政府における買入及び売渡価格は同じ方針に基いて行わるべきであり、又前に述べました衆議院において行われた決議はこれを單に決議にとどめることなく、その趣旨を法制化することが当然であるので、この決議の内容を鮮明して、その趣旨に従つて必要な規定を設け、且つ麦に対する輸入補給金の効果を麦の実需者価格に反映せしめるため、政府における麦の売渡は原則として随意契約とすべきであるとの趣旨に基く修正案が提案せられ、これに対して日本社会党第四控室小林孝平委員から反対が述べられ、緑風会飯島連次郎委員及び自由党宮本邦彦委員からいずれも賛成が表明せられたのであります。  これにて討論を終り、採決の結果、多数を以て本改正法律案衆議院送付案に加賀操委員代表して提案せられた修正案を加えて可決すべきものと決定いたした次第であります。  右御報告いたします。(拍手
  17. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 本案に対し討論通告がございます。順次発言を許します。小林孝平君。    〔小林孝平君登壇拍手
  18. 小林孝平

    ○小林孝平君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして、只今議題となつております食糧管理法の一部を改正する法律案に対しまして反対するものであります。  この問題につきましては、本院においてすでにしばしば論議されたところであります。即ち第十国会において政府は麦類の統制撤廃を行わんとして、これに関する法律案を提出したのでありますが、本院において圧倒的多数を以て否決し去られて、遂に廃案になつたのであります。その後、更に第十二国会の劈頭、吉田総理大臣はその施政方針演説において、米麦の統制撤廃を断行する旨を言明したけれども、全国民の輿論を背景として、我々の強硬なる反対に会つて、遂に法案の提出さえ行い得なかつたのであります。ここに三たび政府は麦類の統制撤廃を行わんとしているのでありますが、我々のこの問題に関しての反対の論拠は、今日においても従来といささかも変化を見ておらないのであります。よつてその詳細なる論拠をここに再び繰り返すことを避けることとして、以下極めて簡単に反対の理由を述べたいと存じます。  本改正法律案の主なる目的は、従来行われて来ました麦類の供出及び配給制度を廃止せんとするものでありまして、その理由として政府は、「我が国の食糧事情は大いに改善せられ、なかんづく麦類については需給及び価格とも顯著に安定を見るに至り、今後も何らの不安なく推移し得るものと見込まれる」と述べているのであります。然るに食糧の需給が緩和せられたと言い、又麦類の需給に心配がないと言つても、それは米について約百万トン余、麦類については玄米換算約二百四十万トンの輸入を前提としてのことであります。これは全く希望的観測に基く仮想的な安定と言うべきであろうと思うのであります。而してこれら外国食糧の輸入に関しての政府の見込は極めて楽観的であり、且つ杜撰であると思うのであります。併しながら全面講和に対する国民の熾烈なる希望にもかかわらず、これを期待することが困難なような、この緊迫せる国際情勢下において、且つ又輸出貿易が漸く凋落の兆を示さんとしている経済事情下において、輸入食糧の確保は手放しに楽観することが許されるものではないことは当然であろうと思うのであります。  政府が米の統制廃止を主張したのは、つい先日のことであります。その際も米の輸入について極めて楽観的見通しを発表しておきながら、その後幾ばくもなく、輸入懇請のために、根本前農相を南方に派遣せざるを得ない事態に追い込まれたのであります。一方、国内的には、廣川農相みずから東北、北陸地方に供出の懇請に歩き廻つているのであります。米食率の維持に苦慮していることは、この辺の事情がこれを明瞭に物語つているではありませんか。仮に幸い輸入食糧が予定の通り確保できるといたしましても、これは無償で賄うわけではないのでありまして四億ドル以上に上る巨額の国帑を費さなければならないのであります。かようなことは、その基礎の極めて脆弱な我が国経済のためには堪えがたい負担と言わなければならないのであります。我々は日本経済自立の基本的な立場から、でき得る限り食糧は国内においてこれを増産し、外国食糧の輸入を防ぎ、その輸入のために要する費用を、国内における食糧増産のための投資と鉱工業の発展のために用うべきであると考えるのであります。  かかる観点からいたしまして、このたび政府が仮想的安定を前提として、單に政府手持麦の市場操作に任せて麦類の統制を廃止するがごとき意図は、実に暴挙と言わなければなりません。併しながら戰時戦後に亘つて行われて来た生産費を償わない価格による苛酷な供出制度並びに窮屈なる配給制度は、これを排除是正しなくてはならないことは、多年我が党が主張し続けているところでありまして、今日においてもこの考え方はいささかも変更する必要を認めないのであります。かような諸事情を勘案いたしまして、現段階においてとられるべき方策は、なお当分の間麦類を米と共に管理の対象とし、麦類の生産者の自由申告に基く政府に対する供出と、たばこにその例を見るような、麦類及びこれが加工製品の登録取扱者の一定ルートを通じて、公定価格による自由販売の制度をとる必要があると考えるのであります。かかる建設的立場に立つて、先ほど委員長報告にもあつたごとく、我々は原案に対して修正を加えんとしたのであります。然るに我々の主張は容れられず、原案と殆んど本質的には変りのない、極めて微温的な修正が加えられたに過ぎないことになつたのであります。よつて我々は、以上述べた見地に立つて本案に対しては断固反対するものであります。(拍手
  19. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 西山龜七君。    〔西山龜七君登壇拍手
  20. 西山龜七

    ○西山龜七君 只今議題となつております食糧管理法の一部を改正する法律案につきまして、私は自由党を代表いたしまして本法案賛成するものであります。  国民食糧の需給は、輸入食糧の確保によりまして最近著しく緩和されております。併しながら戰時戦後を通じて久しい期間に亘る主食の厳しい供出制度と煩わしい配給制度とは、生産農家をして甚だしく萎靡せしめ、消費者をして著しく憂欝ならしめ、社会生活を重苦しく圧迫して、国民の怨嗟の的となつておることも、蔽うことのできない事実でありまして、かような重圧から一日も早く脱却いたしたいことは大衆の切なる念願であります。かようなときに当りまして、政府は、「我が国の食糧事情は逐年著しく改善を見るに至り、食糧の不足から来る国民食生活の不安定や、これに起因してインフレを促進するといつた事態は次第に解消し、なかんずく麦類については、都市家計において価格は安定し、その上配給辞退の計数が、昭和三十四年度は約十万石翌三十五年度には三百五十万石、更に二十六年度では七百三十余万石という年々増加の結果を見るに至りました。かくのごとく、需給においても又価格においても、共に顕著な安定性を見るに至り、而して今後における麦類の需給についても、輸入食糧に万全の措置を講ずるならば、国内生産の維持と相待つて何らの不安なく推移し得るものと見込まれ、かような事情から判断して、麦類についてはもはや供出配給制度を続ける必要は極めて薄く、統制を廃止しても社会経済に不安を與える虞れはない」との見解を以て本法律案を提出するに至つたのでありまして、誠に食糧行政上朗報と言うべきであります。而も、政府は今回と同様な趣旨による食糧管理法の改正法律案を過ぐる昭和二十六年三月第十回国会に提出せられましたが、未だその時期にあらずとの見解の下に不成立になつたのでありまして、爾来一ヵ年余、政府は今日あるを期待して研究の上にも研究を重ね、準備の上にも準備を積まれたものであると考えられ、政府今回の措置は最も機宜を得たものと信ずるものであります。  而も、今回の提案によれば、統制を廃止いたしましても、麦類の需給並びに価格の調整に備えて、輸入食糧は政府が全部買入れ、管理し、而も従前通り補給金を支出することとなし、又、生産者には再生産の確保を旨としてきめられた価格を以て無制限に買入れる制度であるが、なお、その上、農家はこれまでのような統制下にある価格以上に有利に、自己の欲するままに自由に販売することができることになつております。更に消費者に対しましては、補給金によりまして価格が引下げられている大量の政府手持の麦と、国内産買上麦の市場操作によりまして、価格の調整と流通の円滑を期することによつて消費者の家計の安定を図ると共に、質と量との自由な選択の途を開を、且つ又労務加配についてもこれまで通りとし、学童給食等に対しましては特別に安い麦類が供給せられることになつております。併し、現下国民大衆の関心の的となつております問題は、米食率の向上とその均衡化であります。元来食生活は自由であるべきが原則で、主食を二合七勺というごとく各人一定量にすることは、公平のようであつて実際は不合理な制度であります。現下食糧の実態は、米麦とも統制下にあるとは言いながら、いずれも自由と大差のない様相を呈しております。今回の麦の統制の廃止によりまして、麦の生産県と、米においても配給辞退のある東北、北陸等のごとき、米生産県並びにこれまでの麦の配給量では足らなかつた麦の消費府県等との間に、麦自体の自由なる活動によりまして、麦類の流通は昔日のごとくなることは必至となり、それが因となり果となつて、米の供出増加に多大な効果をもたらし、これによつて米食率の向上と均衡化は増進されるものと信ずるものであります。  最後に、この修正によりますと、生産農家に最も有利な昭和二十五六年を基準としたパリテイ指数によりまして買上価格をきめますので、買上価格の点においては相当高くきまるものと思われます。然るに政府の売却する価格は据置となりますので、政府は、本法案が成立し、麦の統制が廃止せられた曉においては、国内食糧の増産に、外国食糧の輸入に、最善の努力を以て事に当り、農家の再生産確保に、又流通に必要なる金融措置に、更に消費者の生活の安定に、いやしくも遺憾なからしめるよう警告を與えるものであります。  以上述べました理由によりまして私の賛成意見といたします。(拍手
  21. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 松永義雄君。    〔松永義雄君登壇拍手
  22. 松永義雄

    ○松永義雄君 私は社会党第二控室を代表いたしまして、只今議題になつております食糧管理法の一部を改正する法律案反対するものであります。  その理由は、第一に、本案は、つまるところ農民から安く麦を買つて消費者に高く売り、新たに民間の産業資本家に中間搾取を認めんとする悪案であるのであります。勿論政府統制下にあります現在でも、供出と配給との間に、人件費、運送費等の中間経費を必要といたしているのでありますが、統制が外されて自由販売になりますと、中間の商人が口銭等の中間搾取を行うのは自然の勢いであります。戦前における米麦の問屋等の中間搾取が二割一分三厘でありまして、現在の統制下における中間経費一割四分六厘に比較すると六分七厘方多いという数字になるのであります。  第二に、終戦後我が国産業の戰災による潰廃のために、先ず産業の復興を図り、物資の不足を補わんとして、鉱山及び工業の復興に復金等多額の資本を注いだのでありますが、なお今日に至つても未だ物量が少く、物の流通量が少いために、商人の活躍する余地が極めて狹いのであります。これが麦の統制を撤廃し、やがては米の統制をも撤廃して、米麦を商業取引の目的となさんとするのが本案の狙いであるのであります。而して商業取引の蔭には市中銀行と金融資本が暗躍しまして、おのおの利潤と利息の獲得を目指して流通過程に入る約三百万トンの麦というものが営利の犠牲に供されるのであります。麦の統制撤廃は明らかにこうした商業資本家の擁護を目標としているということを言い得るのであります。  第三に、米麦は生活必需品でありまして、これくらい金儲けの道具になりやすいものはないのであります。命の糧である米麦を投機の対象にして、そうして昔のような北浜や或いは蠣殻町のようないわゆる取引所を設置するような運動が一部に起きておるというのは、明らかにこの間の消息を物語るものであるのであります。買占、独占により食糧不安を誘発して、豊作には農民飢饉を起し、凶作には暴騰を招いて、末端における食糧の消費者は空腹を抱えて我慢しなければならんという形勢に導いて行くのであります。食糧統制は一種の社会政策を加味して、勤労階級のために食糧の価格と配給がきめられておるのである。然るにこれを廃止して、勤労階級が高いパンを食べなければならん。金持階級は真白なパンを食べるということになるのでありまして、こうした食糧政策というものは誠に言語道断と言わなければならんのであります。  第四に、政府は二十七年度米麦需給の調節として、麦約二百五十万トン、米約百万トンの輸入計画を立て、これに対して外貨の割当を行なつているのであります。然るにこの計画は、その後の経済事情の変化によつて、その計画の実行が困難となつて来ました。二十七年度貿易の見通しとして、二十七年二月安定本部の計画では、輸出額十六億ドル、輸入額二十一億ドルになつている。ところが、それが貿易事情の変化によつて、輸出額十三億ドル、場合によつては十二億ドル以下に落ちないとも限らないという見通しがなされているのである。輸出額が減少すれば輸入額が減少するのが常識である。二十一億ドルの輸入計画が十八億ドルに減額する虞れもあるという数字が出て、通産省のほうからもそうしたような発表があるのであります。これに対して政府の安定本部の若いかたが答弁しておるのに、特需とか或いは新特需とか、その他貿易外収入がある、こういうような言訳をされておるのでありますけれども、最初安本が計画したときから、改めて変更されるというような事情は起つておらないのでありまして、すでにこの見通し額は外貨割当の計算の中に入つているのであります。従つて輸入量の減少は勢い米麦に対する外貨の割当にも影響が来るのであつて、これに対して鉱工業の原料の輸入制限したらいいではないかといつたようなことが言われておるのでありますけれども、これ又大きな問題を引き起すということは、私が説明するまでもないのであります。更に又しばしば、大蔵大臣においても、又農林委員会の安本の政府委員答弁によつても、外貨ドルの手持が六億ドルあるから、それを振向けたらいいのではないかといつたような答弁でありましたが、併し御承知の通り、この手持の米貨ドルというものは、戰前の外債の支拂その他に充てられるものであつて、これを崩すということは非常な困難な事情のあることは私が申上げるまでもないのであります。而も二十七年度の麦の作付面積は、二十六年度に比較して六万町歩減つておるのであります。又ビールはたくさん飲ませる、或いは飼料のほうへ廻すのだといつて、食糧が他の方面に転換するということも、これもすでによく知られておるところであります。こうした物の不足の際には、統制をするというのが一般の常識になつておるのでありますが、私が今申したように、二十七年度において米麦の食糧が非常な不足を予想されている今日において、何をこんなに急いで麦の統制を撤廃しなければならぬか。私は自由党内閣が一体何を考えているのか。その真意を疑うものであるのであります。  第五に、本案は、政府は麦を無制限に買入れ、そうして買入れの価格の標準について一応きめられているのであります。その価格の是非はともかくとして、その価格で農民が果して経済的に買上げを申請し得るやは大いに疑わしいのであります。自由販売を行うことのできない現在であつても、すでに農民の中には公定価格を割つてまでも米を売却している者があるのであります。ましてや麦の統制が外されて公然と麦の売買が行われるようなことになりますと、農民がこの自由主義の農業政策の犠牲となつて、昔のように金銭収入はだんだん少くなつて、そうして借金苦に追い込まれて、泣く泣くそうした農民層が青田売りをしなければならない窮地に追い込まれて行く。飯米を売り、飯米を借りて来る。その気の毒な者に至つては稗や粟を主食としなければならんような状態に進んでいるということは間違いない。  第六に、自由販売はひとり麦の生産者及び最終の消費者に悪影響を及ぼすばかりではない。すでに製粉工場においても、大中小の階級がお互いに争つて制覇をせんとして激しい競争を行なつているのであります。そうして大きな工場は、金融資本を背景として大量に買つて、合理化した生産によつて、金融難に悩んでおるところの中小工場を圧迫して、曾つての日清製粉であるとか或いは日本製粉であるとか、そういつた二大製粉会社が、三井、三菱を背景として独占状態に麦の制覇をいたしておつたのでありますが、こうしたことが今や再現するであろうといつたような状態にあることは、皆さんよく御承知の通りでございます。もうすでにその現象が現われて、中小の製粉工場がその資金に悩んで経営困難に陷つているのである。  我々はこうして麦の統制撤廃が、労働者、農民、勤労階級に対しては勿論のこと、中小工場に対しても大きな悪影響を及ぼすものでありまして、我々は断固として只今議題になつている本案に対して反対するものであります。(拍手
  23. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) これにて討論通告者発言は全都終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長報告修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  24. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 過半数と認めます。(拍手)よつて本案委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  25. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 日程第四、千九百二十七年九月二十六日にジユネーヴで署名された外国仲裁判断執行に関する條約の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。外務委員長有馬英二君。    〔有馬英二君登壇拍手
  26. 有馬英二

    ○有馬英二君 只今議題となりました千九百二十七年九月二十六日にジュネーヴで署名された外国仲裁判断執行に関する倹約の締結について承認を求めるの件につき、外務委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。  仲裁判断とは、当事者間の仲裁契約に基いて、仲裁人が仲裁手続により当事者間の民事上の紛争について行なつた判断を言い、我が国では民事訴訟法第八編にこれに関する規定がございます。仲裁判断については、この條約に先立つて、第四回国際連盟総会の承認を得て千九百二十三年にジュネーヴで仲裁條項に関する議定書が締結され、その当事国は現在我が国をも含めて二十八ヵ国に及んでおります。この議定書は、第一に、仲裁に付託することを定める民事、商事に関する約定の効力を国際的に承認し、第二に、自国領域内で行われた仲裁判断を執行する締約国の義務について規定しておりますが、仲裁判断の国際的効力を保障することについては何ら規定いたしてないのであります。かくして、議定書のこの欠陷を補足して仲裁判断の国際的効力を保障するために、締約国が一定の場合に外国で行われた仲裁判断を執行する義務を負うことについて規定する国際約定の締結が要望され、国際連盟経済委員会に属する法律委員会の起草にかかるこの條約が、千九百二十七年九月二十六日に第八回連盟総会の採択を得て、直ちに議定書の署名のために開放されたのであります。この條約は千九百二十九年七月二十五日から効力を生じ、締約国は二十二カ国でありまして、議定書の当事国の大部分を含んでおります。  政府側の説明によりますと、我が国は当時議定書の署名国であつたにかかわらず、仲裁判断に関しては各国の主義及び法制が相違しているため、この條約によつて多くの効果を期待することはできないという見解によつて、この條約の締約国とはならなかつたのでありますが、我が国は平和條約署名の際の宣言において、本條約の当事国となる意思を表明しておるので、本年二月四日、本條約に署名いたしており、更に我が国としても戰後仲裁制度は著しい発達を遂げ、仲裁判断の執行について国際的協力を行うことが望ましい段階に達しておると言うのであります。  條約は、前文、本文十一カ條及び末文から成つており、如何なる仲裁判断が国際的効力を付與されるか、又、右仲裁判断の承認又は執行の請求手続及び本條約の効力及び手続規定等を規定いたしております。  外務委員会は五月九日及び十五日の両日に亘つて審議を行いましたが、一、我が国において戰後仲裁制度が著しい発達を遂げたというが、如何なる事態を指すのか、二、本條約に加入するならば、その内容を受けた国内法を整備した後加入すべきではないかとの疑点に対しまして、政府側より、一、法制上は仲裁制度の措置はとられていないが、商工会議所に国際商事仲裁委員会があつて相当数の案件を取扱つており、本條約に加入すれば、諸外国、特に英仏両国の同様機関との間に緊密な提携がなされることになつている。二、従来も外国で行われた仲裁判断を我が国で承認又は執行することに特に支障はなかつたが、国内法を整備することは好ましいので、現在民事訴訟法の改正の一部として考慮されておるとの答弁があり、更に、従来同様外国で行われた仲裁判断が我が国で承認又は執行され得る点では、本條約加入の意義はないが、逆に我が国で行われた仲裁判断の効力が外国において保障されるためには、本條約に加入しなければならない点が明らかとなりましたのであります。  かくして二十日、討論を経て採決を行いましたところ、全会一致を以て原案通り承認すべきものと決定いたしました。  右御報告申上げます。(拍手
  27. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。本件を問題に供します。委員長報告通り本件に承認を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  28. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本件は承認を與えることに決しました。      ——————————
  29. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 参事に報告させます。    〔参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  議院に出頭する証人等の旅費及び日当に関する法律の一部を改正する法律案可決報告書      ——————————
  30. 三木治朗

    ○到達長(三木治朗君) この際、日程に追加して、議院に出頭する証人等の旅費及び日当に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。議院運営委員長川村松助君。    〔川村松助君登壇拍手
  32. 川村松助

    ○川村松助君 只今議題となりました議院に出頭する証人等の旅費及び日当に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、議院運営委員会における審議の経過及び結果を報告いたします。  本法案の主な内容につきまして申上げます。第一は、現行法においては、官吏がその職務の関係で証人となつた場合には、旅費及び日当を支給しないことになつておりますが、この程度の規定では実際の取扱上疑義を生ずる場合が少くないので、国会議員及びその秘書、政府委員及び国会職員、国家公務員並びに公共企業体の役員及び職員について詳細に規定しようとする点であります。第二は、国会議員の歳費、旅費及び手当等支給規程のうち、航空賃の支給に関する事項が加えられたところの経緯に鑑み、証人及び公述人に対しても航空賃の支給を認めようとする点であります。第三は、これまで委員会に出頭した参考人に対する旅費及び日当の支給については、法規上の明文がなかつたため、種々の不都合を生じておりますので、これを條文化しようとする点であります。  議院運営委員会におきましては、あらかじめ衆議院側から示された右の内容について、庶務関係委員会において慎重に検討を加えたのでありますが、このたび衆議院から正式に法律案として提出されるに及びまして、改めてこれを審査いたしました結果、全会一致を以て可決すべきものと議決いたしました。以上御報告いたします。(拍手
  33. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  34. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  35. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 日程第五より第五十までの請願及び日程第五十一より第七十二までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。文部委員長梅原眞隆君。    〔梅原眞隆登壇拍手
  37. 梅原眞隆

    梅原眞隆君 只今議題となりました請願第十三号ほか九十件、陳情第三号ほか五十一件につきまして、文部委員会における審議の経過並びに結果について大要を御報告申上げます。  請願第十三号ほか九件、陳情第三号ほか九件は、六三制学校整備予算増額に関するものであります。六三制教育制度を飽くまで堅持して、これが発展を期するためには、今後なお、その施設整備のための予算を増額して欲しいというのであります。  次に請願五百六十四号ほか六件、陳情六十九号ほか十五件は、義務教育費国庫負担法制定に関するものであります。今日義務教育は不完全な平衡交付金制度によつて賄われているため、地方財政に最大の地位を占める義務教育費を著しく圧迫しているのみならず、地方財政を極めて不安定なものとしている。よつて義務教育費については、憲法上の重要な国の義務たる特殊性に鑑み、義務教育費の算定基準を法律によつて定め、合理的に義務教育費総額を算定し、このうち地方の負担可能な分をその財政能力に応じて負担せしめて、残額を国庫負担金として国が最終的に責任を負う制度を確立されたいというのであります。なお又このうち陳情第四百二十八号ほか四件は、地方財政の安定化のために義務教育費を全額国庫負担とする制度を速かに実現して欲しいというのであります。  次に積雪寒冷並びに濕潤地帶の屋内運動場整備促進に関する請願第五十七号ほか十五件、陳情第四十六号ほか五件は、積雲寒冷期及び雨季が半年以上に亘る地方においては、児童生徒の教育にとつて屋内運動場の整備は必要欠くべからざるものである。然るに現状は地方財政の貧困のために甚だ不満足なものであり、憂慮すべき状態であるので、このための国の財政的援助と、これを保障する法的措置を要望しているのであります。  次に、公立学校施設の整備、防災及び災害復旧に関する法律制定請願第五百六十七号ほか六件、陳情第百十九号ほか九件は、児童数の激増、老朽校舎の放置、風水害による学校災害の増大等による教育施設の憂うべき現状を改善するために、これが根本的解決を図る法律を速かに制定実施されたいというのであります。  次に、戦災市町村義務教育施設整備臨時措置法制定に関する請願第四百七号並びに陳情第四百六十五号についてでありますが、太平洋戰争による全国小学校の戦災面積は百四十三万坪に及び、その殆んどが都市に集中しており、而もこの戰災義務教育施設の復旧は昭和二十五年以降六三制建物整備費のうちに包含されたため、今日は僅かに三七・二形復旧したに過ぎない現状であります。これに加えて都市の人工増加が急激の一途を辿つているために、二部教育及び過剰収容、仮教室の使用等、不正授業が増加するばかりであります。よつて今日の窮状を打破し、現在及び将来の人口増加に対処し得るよう、速かに戰災市町村の義務教育施設の整備復旧を図る臨時措置法を制定されたいという要望であります。  次に、学校給食の継続実施並びにこれが予算増額に関する請願第百十六号ほか十七件、陳情第三百八十八号ほか一件は、学校給食が生徒の教育上並びに体位向上に及ぼす好影響及び国民の食生活改善に資する役割を重視してこれが継続並びに予算の増額を要望するものであります。又請願三百五十九号ほか六件は、学校給食の重要性に鑑み、これを学校教育の一環とし、恒久的施設たらしめるために、財政的裏付けを持つ学校給食法を制定せられたいというのであります。  次に、公立学校事務職員教育公務員特例法適用に関する請願第百二十六号ほか五件、陳情第百七十三号ほか五件は、公立学校事務職員の職責及び職務内容が一般教員と同じように児童生徒の日常教育活動に大きな影響を持つている点、並びに学校教育法、地方公務員法、教育委員会法その他において校長、教員と同一取扱を受けている面が多い点等により、教育公務員特例法の適用を受けられるよう法律を改正して欲しいというのであります。  次に、新潟大学医学部附属病院再建に関する請願第五十一号ほか一件並びに陳情第百五十一号は、昨年十一月火災のため烏有に帰した同建物再建について国の財政的援助を要望しているものであります。請願第千五百六十六号は、中国四国地方の畜産発展のために岡山大学農学部に獣医畜産科を設置せられたいというものであります。次に請願第二十九号は、市町村立学校職員給與負担法を一部改正して、定時制の課程を担任する養護教諭、養護助教諭及び事務職員等の給料を都道府県負担の対象として欲しいというものであります。次に請願第四十一号は中学校教職員行政整理反対請願第百十四号ば都市教職員行政整理反対請願第三百五十一号は教職員の給與ベース改訂、請願第千六百八号は養護教諭必置制存続請願第二百四十四号は私立学校共済組合設立に関する要望をいたしております。次に請願第三百八十二号は、社会教育法に基く通信教育に対しては、税法その他の点でこれが振興を図られたいというのであります。請願第五百六号は、国立大学の授業料を値上げすることなく、むしろ教育予算の大幅な増額を要望するものであります。請願第六百七十四号は、埼玉県天洲寺所有の重要文化財、聖徳太子像の保存施設建造のために国庫補助を希望しております。次に請願第六百九十四号ほか一件は、東京学芸大学附属豊島小学校周囲の環境淨化につき特段の配慮方を懇請しております。次に請願第八百八十八号は、社会教育法に基く公民館教育振興のため、国庫補助金の増額、職員の身分保障の確立、入場税の免除等を図られたいというのであります。又請願第千四百十二号は、学校図書館の設置につき特に国の援助を期待しているものであります。請願第千六百七号は、今日学校教科書の価格が非常に高く、ために多数の教科書を買えない生徒児童が出現しており、重大な社会問題となつているので、適切な施策を講じて欲しいというものであります。次に請願第百九十九号ほか一件は、老朽校舎改築費国庫補助に関するものであります。  以上委員会におきまして愼重審議の結果、すべて趣旨妥当と認め、これを院議に対して内閣に送付することと決定いたしました。  右御報告いたします。(拍手
  38. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  39. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  40. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) この際お諮りいたします。文部委員長から、教育施設の確保及び学園事件について実地調査のため、愛知県に相馬助治君、木内キヤウ君を、兵庫県に木村守江君、高田なほ子君を、新潟県に荒木正三郎君、岩間正男君を、本日より二十六日まで四日間、通産委員長から、臨時石炭鉱害復旧法案審査のため、特に現地における鉱害について実地調査のため、山口県、福岡県に竹中七郎君、清澤俊英君、島清君を本月二十五日より六月三日までのうち七日間の日程を以てそれぞれ派遣いたしたい旨の要求書が提出されております。各委員長要求の通り、これら九名の議員を派遣することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつて委員長要求の通り議員を派遣することに決定しました。  次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、議員の請暇  一、日程第一 ユネスコ活動に関する法律案  一、日程第二 文部省設置法の一部を改正する法律案  一、日程第三 食糧管理法の一部を改正する法律案  一、日程第四 千九百二十七年九月二十六日にジュネーヴで署名された外国仲裁判断執行に関する條約の締結について承認を求めるの件  一、議院に出頭する証人等の旅費及び日当に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第五乃至第五十の請願  一、日程第五十一乃至第七十二の陳情  一、議員派遣の件