○兼岩傳一君 私は
日本共産党を
代表しまして、先ず第一に吉田
総理大臣に質したい。(「いないよ」と呼ぶ者あり)
政府は
法案の名称を
破壊活動防止と名付けておる。然らば破壊とは何か。破壊活動の最大なるものはまさに戰争ではないか。(「そうだそうだ」「これ以上の破壊があるか」と呼ぶ者あり)
政府はその戰争を
準備するため、すでに
行政協定によ
つて具体的に着々とアメリカのアジア━━の戰争政策に
協力しておることは全
国民の知
つておるところである。(「その
通り」と呼ぶ者あり)そのために、
国会においても、先ほどの予算のときには
説明をいろいろとごまかして通つたが、併しながら今や警察予備隊を秋までに十八万にしなければならないところに追い詰められておるということは、避けるべからざる情勢ではないか。(「そうだ、その
通りだ」と呼ぶ者あり、笑声)即ち吉田
政府の、このようにして戰争へ戰争へと
日本国民を導いて行く、この政策に対して、
国民は、例えばB二九が
一つ落ちて来た場合においても、その破壊が如何に大きいかを知
つておる。第二次大戰における
日本の受けた破壊活動を申すまでもありません。
従つて、
破壊活動防止法案なるものは、実は
国民に何
一つ不平を言うことを許さないで、アメリカの言うなりにな
つて、すべての
日本人を戰争
準備に
協力させ、あらゆる国土をアメリカの軍事基地に提供し、壯丁を徴兵し、これを戰争に引摺り込むこの一連の吉田
政府の暴力的な破壊的な政策、これらの集中的な表現が
破壊活動防止法案であることは、今や全く明らかであります。(「でたらめ言うな」「まじめに聞け」と呼ぶ者あり)この暴政に対し、
国民の戰争
反対、平和擁護の運動、これこそが
日本の独立と自由を守る平和的な建設的な民族運動である。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)若し真に
政府が
日本の国土と人民の破壊を防止せんとするならば、顔を洗
つて出直してもら
つて、(笑声)戰争防止
法案を提出すべきであると思うが、(「その
通りだ」と呼ぶ者あり、
拍手)吉田
総理大臣の
見解はどうか。戰争防止
法案を出さずして真に
日本の破壊を防ぐことはできないと考えるが、博識なる木村
法務総裁の
見解はどうか。(「答弁々々」「答弁無用だ」と呼ぶ者あり)
第二の問題は
ストライキの問題である。木村
法務総裁は、今回の
ストライキは政治的
ストライキであ
つて非合法であるということを記者団の会見において述べている。併しこれは、一九四六年の極東
委員会決定の労働十六原則第六條、
労働組合は政治活動に参加し、又政党支持を許されるとあるこの第六條、又第十三條、警察その他の
政府諸
機関が、労働者が
ストライキをすることをスパイし、又は正当な
労働組合活動を抑圧することを得ないと、はつきりと真向から吉田
政府のや
つていることをあらかじめ知
つてでもいるかのごとくこれを禁止している。(「そうだそうだ」「正当な場合だけだ」と呼ぶ者あり)
日本国憲法第二十八條は、労働者の団結権、
団体交渉権その他の
団体行動の権利を保障しておる。これらの国際的協定及び
日本国憲法に今回の
破壊活動防止法案は真向からこれに牴触するのみならず、これを蹂躪するものと考えるが、木村
法務総裁の
見解はどうか。これに対して明快な回答を求めるものである。
第三に
吉武労働大臣に質したい。
政府は今次ゼネストに関し、総評幹部その他と数次に亘り、公然或いは非公然、(笑声)こそこそと会談し、特に十二日のゼネストを前にした十日の深更、築地の某料亭においてひそかに会談し、
法案の修正をほのめかし、ゼネスト切崩しを策したと伝えられておる。かかる
行為は
労働組合運動に対する最も憎むべき干渉である。(「卑劣だ」と呼ぶ者あり)労働法においてもこれを不当労働
行為として固く禁止しているではないか。いやしくも一国の政権担当者が主張を掲げて、よかれ悪しかれ堂々とその主張を掲げて対決するのでなくて、何らの理論と何らの歴史的な信念がなくて、暮夜ひそかに料亭などに会合して、買收と(「読み違いだろう」と呼ぶ者あり)懐柔によ
つてその非を遂げようとするがごときことは、憐れむべき
行為であると同時に憎むべき
行為であり、これは政治と
国民を堕落させるものであると言わなければならない。これに対して労働大臣の
責任ある答弁を要求する。(「答弁々々」と呼ぶ者あり、笑声)この点について恐らく労働大臣はごまかすかも知れない。併し全労働者大衆は労働大臣並びにその
関係部下がどこで誰と何をやつたかを知
つている。だから、包み隠さず、腹をきめて、ここで明確に答弁されんことを求めるものであります。(
拍手、笑声、「歴史的答弁」と呼ぶ者あり)
〔
国務大臣木村篤太郎君
登壇、
拍手〕