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1952-05-16 第13回国会 参議院 法務委員会会社更生法案等に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十六日(金曜日)    午前十一時十二分開会   ————————————— 昭和二十六年十二月十日法務委員長に おいて小委員を左の通り指名した。            岡部  常君            伊藤  修君            齋  武雄君            鬼丸 義齊君            一松 定吉君            須藤 五郎君 同日法務委員長は左の者を委員長に指 名した。    委員長     伊藤  修君   —————————————   委員の異動 十二月十五日委員須藤五郎君辞任し た。 四月二十八日委員齋武雄君及び鬼丸義 齊君辞任した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     伊藤  修君    委員            岡部  常君            一松 定吉君   政府委員    法制意見長官  佐藤 達夫君    法務法制意見    第四局長    野木 新一君    法務法制意見    参事官     位野木益雄君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君    常任委員会専門    員       堀  眞道君   法制局側    参     事    (第二部第一課    長)      菊井 三郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○会社更生法案内閣提出衆議院送  付)(第十二回国会継続) ○破産法及び和議法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)  (第十二回国会継続)   —————————————
  2. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それではこれより会社更生法案等に関する小委員会を開きます。  御承知の通り先般来只今申上げました本法案につきまして委員会におきましては鋭意審査を継続して参りまして、その結果修正案を先般一応まとめまして、当時GHQにこれを提出いたしまして、OKを得ておる次第であります。本日はその修正案につきまして最後的な決定をいたしたいと、かように存ずる次第でありまして、先ず大分日もたちますから、修正案について一応御説明申上げるこりとにいたします。便宜菊井法制局第二部長から御説明申上げることにいたします。
  3. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 会社更生法案修正事項につきましてその原案修正部分、その理由につきまして御説明申上げます。  修正事項といたしましては十七点ほどございます。なおこれに関連いたしまして條文整理が若干ございますが、その主たる点につきまして御説明申上げます。  第一点は第三十條第二項におきまして更生手続開始申立のできる債権者は、資本の十分の一に当る金額若しくは百万円以上の債権を有する者となつているのであります。これを資本の十分の一以上を有する債権者だけに限ることに改めようという点でございます。その理由は、債権を百万円といたしました根拠が薄弱であるばかりでなく、大会社の場合におきましては百万円の基準は低過ぎて、申立権が濫用されるという虞れがあるのであります。これを防止すると共に株主の場合との均衡を保つため同じ要件にすることが妥当ではないであろうか、こういう理由でございます。  第二点は、第三十七條第一項におきまして、更生手続開始申立があつた場合において、裁判所は必要と認めるときは、いつでも他の手続中止を命ずることができるものとなつているのでございます。これを強制執行、仮差押、仮処分若しくは競売手続につきましては、中止によつて債権者又は競売申立人に不当な損害を与えない場合に限つてその手続中止を命じ得ることに改めようというのでございます。その理由は、更生手続開始申立があつただけで、法律に基くこれらの処分又は手続中止を命じ得るものとすることは、権利者保護に欠けるものがあつて妥当ではない。よつて債権者又は競売申立人に不当な損害を与えない場合に限つて中止を命じ得るようにする必要があるのではないか、こういう理由でございます。  第三点は、調査委員裁判所監督に服するだけで、別に注意義務及びこれを怠つた場合の損害賠償責任別段規定がないのであります。これを調査委員につきましても管財人と同様に、善良な管理者注意義務及び損害賠償責任を認める必要があるというような趣旨に改めるわけでございます。その理由は、調査委員更生手続開始に必要な事項調査を行い、その適否について裁判所意見を提出することを職務とするものであつて、その職務の公正な執行を期する上には、裁判所監督のほかに、右のような注意義務及び責任を認めることが必要であるというのがその理由でございます。  第四点は第四十六條但書におきまして、会社債務が二千万円以下の場合には、管財人選任しないことができるものとなつておるのでございます。これを更生手続開始決定があつた場合には必ず管財人を設けることとし、これに関連して管財人の置かれない場合を予想いたしました原案整理委員及び審査人規定を削るということでございます。その理由は、管財人がないときは会社は本来の会社立場管財人立場とを兼ねることとなりまして、会社の業務及び財産管理が複雑なものとなるばかりでなく、更生手続の公正な遂行を期待し得ない虞れがあるのであります。又管財人のないとき整理委員又は審査人を設けることができるものとなつておりまして、法律関係が極めて複雑となるので、管財人を必要的な機関といたしまして、以上のこれらの法律関係を簡素化するという必要がある、こういう理由でございます。  第五点は、第四十六條第二号、第三号におきまして第一回の関係人集会期日開始決定の日から一月内、更生債権及び更生担保権調査期日は、届出期間末日から一週間以上一月以下の期間を経過した日となつておるのでございます。これを第一回の関係人集会期日は、決定の日から二月以内、更生債権及び更生担保権調査期日は、届出期間末日から一週間以上二月以下の期間を経過した日に改めようと、こういう趣旨でございます。その理由は、右のいずれの場合も手続上一月の期間が短きに過ぎるので、これを延長いたしまして二月にすることが妥当ではないかという理由でございます。  第六点は、第五十四條におきまして、五十四條各号に掲げる行為をするには、管財人裁判所が特に定める金額以上の価額を有しないものを除きまして、すべて裁判所許可を得なければならないことになつておるのでございます。これを原則として右の行為は、裁判所許可を要しないものといたしまして、これらの行為のうち裁判所が特に定めたものについてのみその許可を得なければならないことに改めようということでございます。その理由は、管財人事業の経営に全力を挙げて会社更生を図る困難な任務に当るものでありまして、その手腕力量を自由に発揮させる必要があるわけでございます。然るに裁判所管財人行為更生に必要な原案に列挙せられておりますような行為につきまして、全面的に制約を加えられるということは、管財人の十分な活動を阻害する虞れがあるわけでございます。よつて裁判所が必要と認める行為を指定した場合に限りまして許可を要するものとすることが妥当ではないかという、こういう理由でございます。  第七点は、第六十七條第二項から第四項までにおきまして更生手続開始決定があつた場合の国税徴収法による滞納処分等排除期間は、更生計画認可、若しくは更生手続終了までの間、又は決定の日から六カ月間とし、裁判所は、徴収権限を有する者の意見を聞いて、この六カ月の期間を三月間に限り伸長することができるものとなつておるのでございます。これを右の六カ月間を一年間に改めまして、徴収権限を有する者の同意を得た場合は、適宜この期間を伸長することができるものとすることに改めようということでございます。その理由は、更生計画認可前に滞納処分等が実行されますと、更生手続が徒労に終る虞れがあるわけでございます。然るに原案による滞納処分排除期間は、更生手続開始後六カ月間、最大限九カ月間でございまして、この期間内に更生計画案が可決され錢ごとを期待するということは、各種の会社更生手続を考慮いたす場合に無理ではないかと考えられる、こういうことがその理由でございます。  第八点は、第八十二條否認権行使方法は、訴又は否認請求だけに限られておるのでございます。これを否認権行使方法といたしまして抗弁をも認めることに改めようということでございます。その理由は、現に訴訟が係属している場合におきましては、抗弁方法によりまして否認権行使できるとすることが簡便でありますし、且つ訴訟経済上有利であることも考えられるわけでございます。これは破産法におきましても認められているところでありますので、否認権抗弁によつて行使できることにする必要があるのではなかろうか、こういうことが理由でございます。  第九点は、第九十三條におきまして、更生手続開始当時詐害行為取消訴訟、又は破産法規定による否認訴訟が係属するときはその訴訟中止するものとなつておるのでございます。これを中止中断に改めまして、受継手続規定いたそうというのでございます。その理由は、中止中断に改めますことは、訴訟経済にも適して妥当ではなかろうか、こういうことでございます。  第十点は、第九十四條におきまして、管財人利害関係のない者のうちから選任しなければならず、又法人信託会社及び銀行に限つて管財人となることができるものとなつておるのでございます。これを管財人選任につきましては、利害関係の有無を問わないことといたしまして、又法人管財人選任する場合にも何らの制限をしないことに改めようということでございます。その理由管財人適材を得るか否かは、会社更生の実効を挙げるか否かにかかる重大な事柄でございます。これに適材を得るためには、その選任の範囲を成るべく拡げる必要があるということがその理由でございます。  第十一点は、百二十二條租税等請求権につきましては、徴収権限を有する者の同意がなければ、更生計画において減免その他権利に影響を及ぼす定めをすることができないこととなつておるのでございます。これを二年以下の徴収猶予又は滞納処分執行猶予は、徴収権限を有する者の意見を聞いて定めることができ、必ずしもその同意を要しないということに改めようというものでございます。その理由は、租税等請求権減免又は徴収猶予等は、すべて徴収権限を有する者の同意がなければならないものとし、会社更生を一にかかつて一般債権者の譲歩のみに期待することは均衡を失する。特に租税債権に優先する更生担保権者との関係を考慮すれば、なおさら均衡を失することが明らかになるわけでございます。よつて租税等請求権の特質をも考慮いたしまして、徴収猶予又は滞納処分執行猶予につきましては、徴収権限を有する者の同意がなくてもその意見を聞いて定めることができることにする必要があるというのが理由でございます。  第十二点は、第百六十條におきまして、会社財産事業が継続するものとして評価して清算したと仮定した場合におきまして、債権弁済を受けることができない更生債権者等計画から除外でき錢こととなつておるのでございます。この規定修正いたしまして、削除しようというのでございます。その理由は、原案のような仮定に基く評価は、実際上極めて困難であるばかりでなく、このような規定を設けるときは、その濫用を招いて公正を欠く虞れがあるわけでございます。更生計画作成審議権利者保護の見地からできるだけ慎重ならしめまして、且つすべての権利者関係人集会への参加の機会を与え、公正妥当な更生計画を樹立させるためには、右の規定を削除する必要があ錢というのが理由でございます。  第十三点は、第百六十二條におきまして、社債権者原則として個別的にその権利届出更生手続に参加するものとし、社債募集の委託を受けた会社又は担保附社債信託法受託会社は、権利届出をしない社債権者のために、更生手続に属する一切の行為をすることができることになつておるのでございます。担保附社債信託法受託会社又は社債権者代表者は、社債権者集会の決議によりまして、例えば総社債権者のために集団的に更生手続に参加することができることに改めようというのでございます。その理由は、社債権者につきましてその届出議決権行使その他更生手続に属する一切の行為を集団的に行い得るものとすることは、更生手続の進行を簡素化するために極めて必要であるというのがその理由でございます。  第十四点は、第二百十三條におきまして、更生担保権者の組において更生計画案を可決するには、清算を内容とする計画案を除き、議決権の総額の四分の三以上に当る議決権者同意を要するものとなつておるのでございます。これを更生担保権期限猶予を定める計画案につきましては、四分の三以上、減免その他の変更を加える計画案については全員の同意を要するものとすることに改めようというのでございます。その理由は一担保権は言うまでもなく強力な権利でありまして、破産法におきましても別除権として認められておるところでございます。更生手続におきましてもこの権利保護する必要があるわけでありますが、原案規定ではその保護が十分でなく、担保制度を危險に陷れる虞れがあると共に、会社に対する金融につきましても担保貸付が不安定となり、却つて金融梗塞を招く虞れがあるというのがその理由でございます。  第十五点は、管財人に対する融資等によつて生じた債権が、共益債権であることの規定が明確を欠いておるわけでございます。これを修正いたしまして、特に共益債権として明記しようというものでございます。その理由は、管財人に人を得ても資金の融通が容易でなければ会社更生の目的を達することは困難でございます。右の債権が優先的に保護されるものであることを明記いたしまして、管財人に対する融資を促進し、その資金調達を容易ならしめる必要があるというのがその理由でございます。  第十六点は、更正計画において予想された以上の収益があつた場合の収益金処分についての規定原案にないのでございます。これを修正いたしまして、右の収益金処分更生計画必要的記載條項として加えようというのでございます。その理由は、更生計画案において予想していた以上の収益があつた場合におきまして、その収益金の使途、例えば計画に定められた弁済期前においてもこれを弁済に当て、又は営業資金として使用するなどをその更生計画案において明記させまして、計画遂行の公正と更生担保権者保護を図ろうというのがその理由でございます。  第十七点は、第二百二十一條におきまして、更生計画において弁済資金調達方法を明示すべき債務は、期限が五年以上にわたる債務で、且つ更生計画によつて新たに負担され又は期限猶予されたものに限つておるのでございます。これをすべての債務につきまして弁済資金調達方法を明示すべきものとすることに改めようというわけでございます。その理由は、すべての債権者に対する弁済を確保するために、計画案の樹立に当りましては、弁済資金調達方法を明示して、その計画の正確を図る必要があるわけでございます。これは関係人集会における更生計画案議決に際しまして、計画案内容を明瞭にし、更生計画を検討する上に極めて必要であるというのがその理由でございます。  この以上十七点に関連いたしまして、修正案といたしましては條文整理を行い、若干の字句の修正を行なつております。なお條文の削除並びにこれに伴う條文整理等につきましては、修正案最終部分に一括してこれを規定案として提出してございます。
  4. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 以上御説明申上げました通りでありまして、先に大体懇談会においては御了承願つてつた事項でありますが、本日は改めて正式にこれが御決定を願いたいと存じますが、この小委員会におきましては、只今申上げました事項に関するところの修正を御承認願いまして、別にお手許に差上げましたところの各條項に対する正式修正案について小委員会として決定いたしたいと存じますが、如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ではさように決定いたします。  なお施行期日につきましては、期日も相当切迫しておりますから、これが運用のために多少の日にちを見なくちやならんと存じますが、来る八月一日と施行期日を変更することに御異議ありませんですな。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 一松定吉

    一松定吉君 七月一日でいいじやないか。
  7. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 七月一日という案が、衆議院はそう言つておりますが、万一ずれますというと、これに対しまして非常に差支えが起ると思いますから……。
  8. 一松定吉

    一松定吉君 ちよつと速記を……。
  9. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 速記をとめて。    〔速記中止
  10. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 速記を始めて。では施行期日を八月一日とすることに御異議ありませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ではさよう修正することに決定いたします。   —————————————
  12. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 次に破産法及び和議法の一部を改正する法律案、これは原案通りで大体において差支えないというふうに小委員会においては今日までの審議の経過において了承されておるのですが、これに対しまして小委員会として最後の決定として、原案通りとして差支えありませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 伊藤修

    委員長伊藤修君) では原案通りに小委員会決定することにいたします。  なおこのうち施行期日をやはり衆議院において七月一日となつておりましたのを、会社更生法と同様八月一日にこれを変更いたしたいと存じますが。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 伊藤修

    委員長伊藤修君) では施行期日の件は八月一日に変更することに決定いたします。衆議院は七月を直して来てないそうですが、これはここで改めて八月一日といたします。さよう訂正いたします。  ではこの小委員会は長々と大変御苦労をお願いいたしましたが、本日を以てこれを終了することにいたします。有難うございました。    午前十一時三十七分散会