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一松定吉君 今あなたの
お話だとすると非常に結構なことだと私も思うのですが、ところが昨日私のところに
辯護士会の林というかた、それと
巣鴨からこの間出たという人の
海軍中佐のかた、それと今現に入
つておるという人の奥さんと、そのほか
関係者の人がや
つて来まして、こういうことを、
法務委員であるということを
知つて、私に陳情に来たのです。御参考のために申上げておきますが、この間、今月の十二日に
木村法務総裁が
巣鴨を訪ねてくれた時に、今
参議院の
決議に基いて万遺漏なく
手続を進めつつある。自分としては、すでに
独立国と
なつた建前から
恩赦令でも施行して、その恩恵を
国民によく周知徹底せし
むべくしておるのであるが故に、
戦犯者諸君に対してもそういうような好意ある
手続をと
つており、又将来とてもそういうような
手続を
決定すべく進行する
考えであるから、大いに諸君は喜んでくれよという
報告を、この十二日に
木村法務総裁がした。そこでまあ
巣鴨の
戦犯者諸君は湧き立つようにして喜んだ。ところがその翌々十四日に岡崎
外務大臣が来て、
戦犯者に会つた時に、
戦犯者の一人から岡崎外相に向
つて、
木村法務総裁がこういうことを話してくれて、自分らも非常に嬉しく感じておりますが、
政府も
外務大臣もそういうような方針で
一つ急速に有効適切な方法においてお進みを願いたいということを陳情したそうだね。ところが岡崎外相は、それは
木村法務総裁がそういうことを言うたとすれば、それは
法務総裁が勝手に個人でそういうことを言うたので、今
政府としては
木村法務総裁の言うようなことを
考えてはいない。そういうようなことを積極的にするということはむしろプラス・マイナスになる、或いは藪蛇になるというようなことであるから、
関係国が進んで
釈放の
手続をとることに応じてこちらも
釈放という
手続をと
つておるのだから、今そういうことをむしろ
政府としてはやらぬほうがいいんだ。こういうことを岡崎さんが言うた。そこで
巣鴨の
戦犯諸君が非常に驚いて、これは実に
木村法務総裁の言うことと、岡崎
外務大臣の言うことは違うので、大変なことだというて、今大騒ぎをしておる。ついては
一つ各政党の
法務関係の人に
お願いをした。緑風会にも社会党にも
お願いをしたが、あなたにも
お願いするが、どうかそういう事実がどつちが本当だろうか、緊急
質問を
一つ明日
国会の最後の日にや
つてくれないかというふうに頼んで来た。私は
調査してみまようとい
つて考えた結果、そういうようなことを
国会において緊急
質問をするということが国際情勢に如何なる惡影響を及ぼすかもわからんということを考慮して、私は今日は特別に
委員長に
お願いをしてあなた方においでを願
つて、その話を聴いて、岡崎君がそういうことを言つたことについては誤りであつたということを自分から自覚して、喜んでおるわけであります。そういうようなことで、今、私があなたに、今あなた方の
交渉したような経過を
関係者に御
報告に
なつておるということをしておりますかとお尋ねしたのは、それなんです。でありますから、今言う
通り誤解を招いておる点もありましようから、そういうようなことは国家のためには喜ぶべきことではないし、従
つて今あなたのお答えに
なつたような方法によ
つて、何らかの手段
手続によ
つて、そういう人にやはりその都度知らしてや
つて差支えのない限り知らしてや
つて安心するようにしてや
つて頂けたらよいと思いますから、こう思いますから、老婆心ではありますけれ
ども、今あなたのいい
報告を拝聴いたしましたについて、それだけの希望を申上げ、
お願いをしておきますから、どうか
一つ手ぬかりのないように
お願いいたします。