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1952-05-08 第13回国会 参議院 法務委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月八日(木曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小野 義夫君    理事            宮城タマヨ君            伊藤  修君            一松 定吉君    委員            左藤 義詮君            岡部  常君            中山 福藏君            吉田 法晴君   政府委員    法制意見第四局    長       野木 新一君    法制意見参事官 位野木益雄君    法務府民事局長 村上 朝一君    中央更生保護委    員会事務局長  齋藤 三郎君    中央更生保護委    員会事務局成人    部長      大坪 與一君   事務局側    常任委員会専門    員       長谷川 宏君    常任委員会専門    員       西村 高兄君   説明員    最高裁判所長官    代理者    (最高裁判所事    務総局人事局    長)      鈴木 忠一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公聴会開会に関する件 ○犯罪者予防更生法の一部を改正する  法律案内閣送付) ○裁判所職員定員法等の一部を改正す  る法律案内閣送付) ○小委員補欠選任の件   —————————————
  2. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 只今より委員会を開きます。  先ず公聴会開会の件についてお諮りいたします。昨日の委員長及び理事打合会におきまして、破壊活動防止法案外関係法案について公聴会開会することに決定いたしました。つきましては本件に関して議長に公聴会開会承認要求書を提出いたすことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 御異議がないと認め、さよう取計らいます。  なお公聴会開会期日公述人の人選その他便宜委員長及び理事に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 御異議がないと認めてさよう決定いたします。
  5. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 次に犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を議題に供します。  本案に対しましてはすでに政府より提案理由説明を聴取いたしておるのでありますが、本日は更に詳細説明を聴取いたします。
  6. 大坪與一

    政府委員大坪與一君) 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案につきまして、逐條的に立案理由の御説明を申上げます。第二十九條の見出し現行法で「(仮釈放審理)」となつておりますものを「(仮釈放審理開始)」に改めまして、同條中第三項を削除いたしました。現行第二十九條は三つの項から成立ち、第一項と第二項では仮釈放審理開始手続規定し、第三項では審理方法規定しておりますが、このうち審理方法につきましては第三十條で面接に関する事項と共に取りまとめて規定するほうが適当でございますので、第三項を本條から削除いたしました次第でございます。第三十條は現行法では面接に関する規定でございますが、この法律案では面接に関する事項だけでなく、仮釈放審理具体的方法の全般に亘る規定といたしまして、その見出しも(仮釈法審理)と改めたものであります。本條の第一項は審理実質内容に関する規定でございまして、前條第二十九條から削除した第三項をここに入れましたものでございます。第二項は面接に関する規定であります。仮出獄又は仮退院を許すべきか否かについて審理を行う委員本人面接しますることは、本人が仮出獄又は仮退院に適するか否かについて的確な心証を得まするためにも、又本人更生を確保しまするためにも重要な意義のある方法でございますので、本項におきましても現行第三十條と同様その審理を行う委員はみずから本人面接しなければならないことを原則といたしました。併しながら地方少年保護委員会及び地方成人保護委員会仮釈放審理事務を全体として能率的に行わせ、仮釈放制度運用を円滑にいたしまするためには右の原則弾力性を持たせる必要がありまするし、又審理の目的から申しますれば、事案の性質によつては必ずしも委員審理の際みずから面接する必要はないと思われる場合もありますので、本項但書におきまして、本人重病又は重傷である場合その他中央委員会規則で定める場合であつて、仮出獄又は仮退院を許すことを相当と認めるときは、委員裁量によりまして面接省略することができるように規定いたしました。これは現行法では面接省略は、本人重病重傷又は危篤の場合だけに限られておりますが、本項但書ではその範囲を拡張いたしまして、審理事務の適正且つ能率的な遂行を図つた次第であります。第三項は、審理を行う委員矯正施設職員協力を求めることができる旨の規定であります。現行法では、審理を行う委員は、面接に際しては、施設職員に立合せて、その意見を聞かなければならんことになつておりますが、この改正案では、面接に立会せるかどうか、意見を求めるかどうかは、委員裁量に任せることにいたしました。又この改正案では、委員面接の場合だけでなく、審理のあらゆる段階におきまして必要な協力を求めることができることにいたしました。  次に第四十一條は、現行法では、保護観察に付されている本人呼出と、関係人調査質問とを併せて規定しておりますが、この二つ事項はお互いに性質がやや違いまするので、この改正法律案ではこれを二つ條文に分割しまして、関係人調査質問に関する規定は第四十一條の二といたしまして、この第四十一條には、本人呼出に関する規定のほかに、引致状による引致に関する規定を加えることにいたしました。従つて第四十一條見出しを「(呼出引致)」に改め、同條第二項及び第三項は、これは関係人調査質問に関する規定でありますために本條から削除し、その代りに新たに引致に関する規定としまして、第二項から第七項までの六項を加えたのであります。本條の第一項は呼出に関する現行規定そのままでございまするが、加えました六つの項のうち、第二項は引致対象要件に関する規定でございます。これは実質的には現行第四十五條第二項を改めたものであります。引致対象は、現行法では仮出獄中の者だけに限られておりますが、実務の経験によりますると、仮出獄中の者だけでなく、仮退院中の者、或いは家庭裁判所保護観察処分を受けた者などに対しても、本人所在が一定しないため呼出をすることができない場合、或いは呼出をしても本人が応じない場合等は、調査質問のため引致する必要が生ずることがございまするので、本項ではこれらの者も必要により引致することができるようにするために、その対象を「保護観察に付されている者」といたしたのでございます。引致要件につきましては、現行法では本人が遵守すべき事項を遵守しなかつたことを疑うに足りる十分な理由がある場合にはこれを引致させることができるということになつておりますが、本項では更に場合を限定いたしまして、遵守すべき事項を遵守しなかつた疑いがあるだけでなく、本項の第一号又は第二号の事実があるときに限つて引致することができることに改めました。第三項は、第四項と共に引致状発付に関する規定でございます。現行第四十五條第三項を補充訂正したものであります。現行法では引致状発付地方少年委員会又は地方成人委員会の請求によるということだけを規定し、その発付を行う裁判官については別段の規定がございませんので、明確を期しまするために第三項で裁判官を限定しまして、「本人の居住すべき住居の地を管轄する地方裁判所簡易裁判所又は家庭裁判所裁判官」といたしまして、なお第四項では、右の裁判官のうちには判事補も含むことを明らかにしたのでございます。第五項は、引致を行う者に関する規定でありまして、現行法第四十五條第四項の改正であります。現行法では、引致司法警察職員が行い、又は保護観察官司法警察職員として行うものとすると規定されておりますが、今後は引致対象の中には仮退院中の者や家庭裁判所保護観察処分受げた者など、刑事手続関係のない者が含まれることになります結果、その引致を「司法警察職員」という立場で行うことは適当でないことになりますので、これを改めまして、引致は「警察官」、「警察吏員」又は「保護観察官」に行わせる趣旨に改めたのであります。第六項は、引致状の方式、引致手続引致された者に対する告知などについて刑事訴訟法規定を準用する規定でありまして、現行第四十五條第十項に相当するものであります。第七項は、特に人権を保障する趣旨から設けた規定でありまして、引致状により引致された者は、引致後二十四時間内に第四十五條第一項の審理開始決定がなされた場合のほかは、引致後二十四時間内に釈放しなければならないことにいたしました。  次に第四十一條の次に加えました第四十一條の二、これは関係人調査質問に関する規定でありまして、その第一項及び第二項は、現行第四十一條から先に削除いたしました同條の第二項及び第三項と全く同文でございます。  次に第三章第二節中第四十二條の次に第四十二條の二を加えまして、仮出獄中の者の保護観察停止について規定しました。本條は形式上は新たに設けた規定のように見えますが、実質現行第四十五條中の仮出獄停止に関する規定に相当するものでありまして、ここに言う保護観察停止は、実体的には現行法にいう仮出獄停止と同様の観念でございます。現行法に言いまする仮出獄停止は、言葉の上では仮出獄処分効果を全面的に停止するかのような印象を与えるのでありますが、実体を考察いたしますると、これは仮出獄処分効果を全面的に停止するものではありませんで、仮出獄処分に伴う保護観察と仮出獄中の刑期進行等停止するだけのものであります。    〔委員長退席理事伊藤修委員長席に着く〕 それを現行法では仮出獄停止と呼んでいるのでありますが、言葉の意味が明確を欠きまするので、今回はこの処分実体を的確に表示するために保護観察停止という言葉に改めた次第であります。本條の第一項は仮出獄中の者に対して保護観察停止をなし得る場合を規定したものでありまして、現行第四十五條第一項に相当しますが、停止範囲を必要な最小限度にとどめまするために、停止要件については現行法よりも厳密に規定いたしました。現行法では本人が遵守すべき事項を遵守しなかつたことを疑うに足りる十分な理由があります場合には仮出獄停止する決定をすることができるのでありますが、本條の本項ではこれらの場合のうちの特定の場合、即ち本人が第三十四條第二項の規定により居住すべき住居に居住せず、そのために保護観察を行うことができなくなつた場合に限り、決定を以て保護観察停止することができることに改めました。第二項は停止解除に関する規定であります。現行法には停止解除する規定はないのでございますが、本項では仮出獄中の者が第一項の規定により保護観察停止されている場合に、その所在が判明しましたならば、その所在の地を管轄する地方少年委員会又は地方成人委員会は直ちに決定を以てその停止を解かなければならないことといたしました。第三項は引致を以て停止解除とみなす旨の規定であります。第一項の決定によりまして保護観察停止されております者が、引致状により引致されました場合には、本人所在は判明したのでございますから、第二項の規定によりまして停止解除をするのが当然でございますが、その決定よりもなお早い引致の日に停止を解きまするほうが、本人のためには有利でありますので、引致のときに停止解除決定があつたものとみなしたのでございます。次に第四項は、保護観察停止刑期との関係規定したものであります。仮出獄中の者が第一項の決定により保護観察停止されました期間は、本人保護観察を免がれている期間でありますので、その期間刑期進行停止することは條理上当然であります。従いましてこの刑期進行停止については必ずしも現行法同様明文規定を要しないと存ずるのでありますが、ただ刑期進行停止及び進行開始の時点についてはこれを明確に定めておく必要がありますので、本項の規定を設けたものであります。第五項は保護観察停止中の遵守事項違反は仮出獄取消し理由とすることができないことを定めたものであります。保護観察停止中はたとえ遵守事項違反の事実があつたにいたしましても、あとになつてこれを調査することは困難でありますのみならず、又その期間中は本人遵守事項を遵守させるための指導監督を与えていないのでありますから、その間の遵守事項違反を問責しますことは妥当でないと思われますので、本項の規定を設けたのであります。第六項と第七項とは停止遡及取消しに関する規定でありまして、仮出獄中の者に対して保護観察停止をしました後に、その停止理由がなかつたことが明らかになりましたときには、直ちに決定を以てその停止決定取消さなければならないこと、又その取消があつなときは遡つて第一項の決定はなかつたものとみなすことを規定いたしました。この二つのほうは本人が不当に利益を受けることができないようにするために設けたものであります。  次に第四十四條第三項中、刑事訴訟法法律番号を削りましたのは、この法律番号はすでに第四十一條第六項で明らかにされたからであります。  次に第四十五條留置に関する規定といたしました。現行の第四十五條は(仮出獄停止)という見出しの下に三つ事項について、即ち引致状による引致、仮出獄停止及び引致された者の留置について規定しておりますが、この法律案ではすでに申上げましたように引致については第四十一條規定し、仮出獄停止についてはこれを保護観察停止ということに改めて、第四十二條の二で規定しましたので、この第四十五條はもつぱら留置に関する規定になつたのであります。本條の第一項は留置対象要件を定めた規定であります。留置対象引致状により引致された者のうちで、仮退院中であつて第四十三條の申請をするために審理を行う必要があると認められる者、又は仮出獄中であつて出獄取消をするため審理を行う必要があると認められる者、との両者に限るのであります。現行法では留置対象は仮出獄中の者だけに限られておりますが、仮退院中の者に対しましても本人更生を図るために少年院に戻して収容する必要があると思われまする場合に、地方少年委員会又は地方成人委員会は第四十三條の規定によりまして家庭裁判所に対してその旨の決定申請が必要があり、その申請をするについてはあらかじめ本人につき審理の必要があり、その審理のため数日間の留置を必要とする場合もありますので、この改正案では仮退院中の者も留置対象に加えたのであります。従来は仮退院中の者を留置し得る規定がありませんために、第四十三條の運用について困難している実情にありますが、この改正によりましてその困難は除去されることになると存じております。留置手続上の要件につきましては、留置性質から考えまして慎重にするべきものと考えられまするので、この法律案では留置の前には審理開始決定を要するものとし、この審理開始決定引致後二十四時間内になされた場合に限り留置することができるものといたしたのであります。第二項は留置場所期間に関する規定で、現行規定の第六項に相当いたします。ただ留置場所については特に少年保護鑑別所を附加えたのでありますが、これは留置対象に仮退限中の者が含まれることになりましたので、仮退院中の者の留置については原則として少年保護鑑別所を利用する趣旨であります。その他の点は現行第六項と同じであります。次に第三項は仮退院中の者に対して留置期間特例を設けた規定であります。仮出獄中の者につきましては、仮出獄取消権地方少年委員会及び地方成人委員会にありますので、引致後十日以内に適当な決定をすることができるのでありますが、仮退院中の者を戻して収容する決定裁判所でなければすることができませんので、地方委員会としてはその決定申請をした後、裁判所から決定の通知があるまで本人を確実に保護する必要があります。この必要に応じまするためこの第三項で継続留置規定を置いたのであります。第四項は第二項の規定により留置された場合の留置の日数を刑期に算入する規定でありまして、現行の第九項と同じ趣旨であります。第五項は特定の急速を要しまする場合における手続の疎漏を防止するため第一項の審理開始決定の仕方に特例を設けたものであります。  次に、第五十五條の次に第五十五條の二を加えまして決定告知について規定いたしました。決定告知に関しましては現行法には規定がなく、中央更生保護委員会地方少年保護委員会及び地方成人保護委員会において決定をしました場合には、一般條理に従いましてこれを本人告知することにいたしておりますが、本人所在不明等の場合には告知が困難でありまするので、これらの場合につき特別な告知方法を定めるため新たに本條を設けたものであります。第一項は処理上当然のことでありますが、決定告知によつて効力を生ずるものであることを明らかにしたものであります。第二項から第四項までは告知方法に関する規定でありまして、そのうち第二項は告知方法一般的に定めたものであります。第三項は決定を受けた本人が在監者又は在院者である場合の特別な告知方法につき規定したもので、この場合に決定書謄本又は抄本を監獄又は少年院の長にその送付があつたときに本人に対する送付があつたものとみなされ、従つてそのときにおいてその告知が終るのであります。第四項は所在不明者などに対する決定告知のために設けた規定であります。例えば所在不明の者に対しまして保護観察停止する決定をしました場合には、その決定告知については本項に掲げましたように、決定書謄本又は抄本本人の居住すべき場所に宛て書留郵便送付することを認めたのであります。  次に附則第一項は施行期日に関する規定であります。附則第二項は犯罪者予防更生法改正に伴う経過規定でございます。附則第三項は引致状に関する規定條文番号を先に申上げましたように変更いたしましたので、それに伴いまして刑事補償法一條第三項中の引用條文番号に所要の改正を加えた規定であります。附則第四項は刑事補償法の適用に関する経過規定でございます。  以上がこの法律案の各條の立案趣旨でございます。
  7. 伊藤修

    理事伊藤修君) では本法案につきましてこれより質疑に入ることにいたします。質疑のおありのかたは質疑をお願いいたします。
  8. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案につきましても、これは各條文については随分いろいろございますからこの次にして、丁度局長が見えておりますから二、三点伺いたいと思つております。それは平和條約の発効に伴いまして一般受刑者については随分大幅の恩赦が行われたのでございますけれども、少年院や特に特別少年院少年につきましては、恩赦と何か同趣旨の手が打たれたでございましたでしようか、如何でしようか。
  9. 齋藤三郎

    政府委員齋藤三郎君) 恩赦性質からだけ申しますると、少年院保護処分でございますので、関連して考えるということは理論的におかしい点も出て参りますので、実際の実情におきましては、特別少年院施設が足らないために刑務所の一部等が特別少年院として使用されている、こういう現状がございます。従いまして最も犯状の悪い少年保護処分で賄えないというて検察庁に送致になる、それが起訴されて有罪になり、そうして少年刑務所に入る。その次に軽い子供が特別少年院に送致されます。同じ少年刑務所に入つている、こういつた実情もございます。さような関係でございますので、単純にこちらだけでも解決できない、こういうふうに考えまして、恩赦のほうは相当の早い期間中央から各地方委員会通牒を出しまして、その辺の事情をよく調査して、特に特別少年院少年に対して何とか片手落の処置がなされているということのないように、恩赦趣旨独立回復のこともよく少年に言い聞かして、大いに本人が発奮するように仕向けて、その度合に応じて仮退院を早くするように、こういう通牒を出して処理をさして参つております。
  10. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 そういう手をお打ちになりました結果、特別少年院少年なんか特にそれで納つておりますか。併し聞きますところによると、この少年たちが今おつしやつていられます通りに、自分よりもつと悪いことをした者が退院してしまつて自分らがいつまでもこうされているという、こういつた暗い気持で少し騒いでいるような様子も耳にしましたが、如何でございましようか。
  11. 齋藤三郎

    政府委員齋藤三郎君) 右の趣旨通牒古橋局長十分連絡をとりまして、私のほうからは地方委員会に、それから古橋矯正保護局長のほうからは少年刑務所長に今から通牒を出して処理いたさせております、現実はそういう事態はなかろうと私は存じておりますが、まだ古橋さんからもそういう点伺つておりませんのでよくわかりませんでございます。
  12. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 これは少年院のほうは、特別少年院といえどもやはりこの保護矯正教育でございますから、こういうときは非常に私取扱いが大事だろうと思つておりますが、一つ至急局長のほうからも事情をお調べ願いまして、どうか万遺漏のない手を打つて頂きたいとお願いを申上げておきます。  それから次には中央委員会地方委員会の今の委員の人数と現在の構成で別にお困りになつておりますような点はございませんでしようか。
  13. 齋藤三郎

    政府委員齋藤三郎君) 現在は関東の委員会成年少年とも五人でございまして、その他の七つの委員会成年少年共に三人の委員で構成されております。そうしてその委員が大体月に一回くらい各施設廻つて監督をいたしております。さような関係で特に福岡、九州の委員会等におきまして島などに受刑者が出ておる、或いは北海道等におきまして非常な山間、交通の便の悪い所に受刑者構外作業ということで出ております。その中に仮出獄等審査のために面接をしなければならない、こういう場合がございまして、各地の委員会が相当その点で非常な苦心を払つております。そのためにややもすれば仮出獄後の保護観察について各地方委員会山間にございまする保護観察所保護観察について委員自身監督が不十分ではないかというふうな点もございます。結局さような面接事務だけはまあ不都合なくやつておられるようですが、肝心の保護観察監督の面においてまだ十分と言いがたい点もあるかと存じております。さようの点を考えまして、今回の改正案におきまして仮出獄、仮退院を許すというような場合に、而も事犯自体から見てもうほぼ許してもよろしいということが明らかである。而も本人は離れ島へ行つておるとか或いは構外作業場の非常に不便な所へ行つておるというような場合は、中央委員会規則によりまして省略ができる。但し許さないという場合には必ず面接をしてくれ、許す場合は面接をしなくてもよろしいというふうなことにいたしまして、面接によつて一個所に行くために往復一週間もかかるというふうな非常な能率を妨げることのないようにいたしたい、そういう趣旨で若干現在では不十分な点がございますので、今度の改正案でそこを一つ賄りて行きたい、こういうふうに考えております。
  14. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 この委員面接なさる時間はいろいろあると思いますけれども、大体平均をとつてみますというと、どのくらいの時間でございましようか。
  15. 齋藤三郎

    政府委員齋藤三郎君) いろいろな委員さん方とお会いしたときにいろいろ伺つたのでございますが、一日に朝から六時、七時までかかつて二十人やつたとかいうようなこともございますが、いろいろ勉強をなすつても、やはり一人について三十分、而もその前に審査部などという事務局でそれについての関係書類を十分整理いたしまして、刑務所内の成績や或いは本人が帰つた場合の環境やらについても、内外両方の調査を整理いたしまして、それを委員が事前に検討いたしまして、それからお会いになるのでありまするが、やはり一人について三十分或いはそれ以上を要するというふうに大体伺つております。
  16. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 成る所によりましては余り忙がしいのでやはり面接の時間は五、六分くらいのものじやないかというような話を聞いたこともございますけれども、それでございますと誠に五、六分で人を見抜くことは、如何なる名人でもできないことと存ずるのでございますが、そういうふうに非常に忙しい所があるのじやないのでございましようか、実はそれを心配しているのでございます。
  17. 齋藤三郎

    政府委員齋藤三郎君) 先ほど申上げましたような地理的にも不便な場所で、一人のために委員が往復数日を要するというようなことのために或いはそういうようなことがあるかも知れません。そういうことがあつてはならんと思いまして、この改正案で一つ、そういつた場合には刑務所の所長が十分監督をしておられるのでありまするし、又事犯自体から見て許して差支えないというような場合には省略して、本当に大事な人については十分審理を尽す、こういうふうにいたしたい。  それからなお現在成人と少年が二十三才を境にいたしまして分けております。ところが施設自体、殊に刑務所のほうの施設自体が二十三才を境にして分けておりませんのでございます。これはいろいろ行刑上の諸般の事情からいたし方のない点だろうと思いますが、そのために同じ施設少年と成人が入つておる。こういうために成人の委員を置かなければならない、又少年委員を置かなければならないといつたように重複する点もございますので、これらについても今後の措置によつてそういつた重複を避けて行きたい、かように存じております。形式的にただ全部をやるというとなかなか無理がございますので、本当に必要な者については更に審理を尽す、そういうために今度の改正案を考えたような次第でございます。
  18. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 私は各條文についての質疑は改めてしたいと思いましたが、今御説明になつておりますことがこの第三十條にございます。三十條の第二項の「その他中央委員会規則で定める場合」というその内容をなすのでございますか。
  19. 齋藤三郎

    政府委員齋藤三郎君) そういう場合を考えておるのでございます。
  20. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 それでは最後にもう一つ。実は犯罪者予防法の一部改正が出ますので、今度は宣告猶予が出るのじやないかと思つて期待しておりましたのですが、これがまだ運びにならない一つ訳を聞かして頂きたいと思います。
  21. 齋藤三郎

    政府委員齋藤三郎君) 犯罪者予防更生法及び刑事訴訟法改正をいたしまして、成人についてもヘジテーシヨンをやるということは、日本の現状から見て非常に有益な進歩であると私は思いました。是非ともこれは実現いたしたいと存じまして、法務府の法制審議会にも法務総裁から諮問がございまして、学界、在野法曹、裁判所、検察庁、法務府、その他関係の者が非常に熱心に討議をいたしまして、非常にいい制度であるから採用するようにという答申もございましたが、非常に遺憾なことに私どもの力の足らない点もあると存じて誠に恐縮に存じておりますが、本年度の予算にそれを含むことができませんでしたので、今回の改正案がそれを設けることができなかつたような事情でございます。私としましては是非とも来年は予算を取り、それを実施いたしたいとかように存じておる次第でございます。    〔理事伊藤修君退席、委員長着席〕
  22. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 各候文について私の勉強も足りませんし、それから時間も大変かかりますので、今日の質疑はこれで終ることにいたします。
  23. 中山福藏

    ○中山福藏君 只今上程されておりまする犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案提案理由中に狙われておるところは、「犯罪者予防更生法は、犯罪をした者の改善及び更生を図るために、その第三章において更生の措置に関する規定を設けているのでありますが云々」ということがありまして、「更生の措置を真に適切、周到、且つ効率的に行いますためには、同章の規定中二、三の点について改正又は補充を加える必要がある」と、従つてこういうふうな改正案を出したということになつておりますが、犯罪をした者の改善及び更生を図るためという殊にこの点について一つ我々の体験したことを申述べてお伺いしておきたいのですが、成るほどこの犯罪の予防とか或いは更生とかいうような問題はこれは非常に大事な問題でございましようが、私どもの経験によりますると、例えば今日監獄から出て来る、或いは少年審判所から出て来るというような場合に、どうも職業が直ちに見付からない。例えば職業紹介にいろいろ私どもも関係を持つて取調べてみまするというと、職業紹介所に申込んでからその職業を得るまでは大体六カ月くらい長くてかかるのですね、或いは全然就職できないこともある。それで日本には法律がたくさんございまして、こういうような保護規定がたくさんありますが、実際飯を食わせるというその手続は抜けておる。ただ舞台をきれいに飾るだけで、役者に踊るだけの着物を提供しないというようなまあ保護の政策がまま行われておるということを私は体験している。先だつても職業紹介所に監獄を出てから申込んだけれども、六ヵ月たつても就職の通知が来ないから、結局人の物を盗らなければならなくなつたんだ、こう言つて私に法廷で打明け話をしておりましたが、裁判官に申上げておつたのですがね。私はそういう職業紹介所なんかとも十分こういうことに関係しておられる役人のかたがたはこれは連絡をとつて、犯罪を予防するというようなことに手を着けなければならんと思つておるのですが、全国に職業紹介所は相当ありますけれども、監獄との繋がりがないように私は考えておるのですが、こういう点はどうでしようか。まだこの法案の内容に立入ります前にこの説明二つの文句を拝見して一つお伺いしておきたいと思うのです。そういう点はどうなつておるのですか。
  24. 齋藤三郎

    政府委員齋藤三郎君) 只今お話のようなことが数あるうちにままあるかと存じまするが、私ども犯罪者の予防更生、殊に家庭を持つ生活の柱になつておる大人の犯罪者、これについては職を与えるということは極めて大事なことでございまして、それを忘れて、ただ保護をする保護をすると言つても実効は挙らない、実効を十分収めることはできないということは考えておりまして、この制度ができまして、成人関係の観察所におきましてはこの点に特に努力を払つております。又中央におきましても労働省にいろいろ事情を訴え、労働省でもその点を理解されまして、昨年でありましたか職業安定所に各府県に通牒が出まして、現在こういうことでやるように通達が出ております。それは各刑務所からあらかじめ出所する人についての名簿を出して、安定所においても特に責任者の一人をきめまして、その人が十分できるだけ努力をするようにという通牒が出ており、又今般の講和恩赦の際にも労働省及び厚生省から職のない者、生活の困窮しておる者についてさような機関が十分協力を図るようにという通牒も出してもらつております。併し現実問題においては展の人もなかなか就職ができないという場合に、又前科者という非常なハンデイキヤツプを持つて迎えられるという点で、努力はいたしましてもなかなか思うような十分な成績を挙げ得ない、こういうような現状になつております。
  25. 中山福藏

    ○中山福藏君 如何ですか、日本は法律をたくさん作るだけで、法律の規定というものに陶酔しておるというような感じを受けておるのですが、本当の活きた法律の精神を社会的に推進して行くということがどうも手ぬるいように私は考えておるのですが、私三十四、五年の弁護士の経験によりますと、何と申しましても飯を、胃袋をどういうふうに充たさせるかということに少年の犯罪でも成人の犯罪でも繋つているのであります。殊に日本はアメリカなんかと違いまして、飯を食うということについての処置を講じてやらなければ、犯罪は幾ら減らすとか、成年の悪質なやつを矯正するとか申しましても、結局落ち行くところはそこだという感じを持つておるわけなのですが、これだけの改正案をお出しになつて所期の目的をこれで達せられるかどうか、私はこれに対して非常に疑念を持つのです。要するに法律の運営というものは、その人によつて効果を挙げることができると思うのです。単に法律を幾ら改正はしても、なかなかこれは至難なことだと実は心配いたしておるのでありますが、ここに書いてありまする「犯罪をした者の改善及び更生」この前私は少年保護院というものを視察に二、三カ所参つて見たんです。成るほどなかなか面白くすべての事務を運んでおられるということも見て参つたのでありますが、私は戦後と戦前というものは社会の環境というものが非常に違つて来たと実は思つておるのです。それで少年或いは成年のこの犯罪の予防或いは犯人の社会的更生につきましては、戦前と戦後とその点についての観察も、その観察から生れて来る印象というものも相当に違つて来なければならんのじやないかと思うのですが、戦前と戦後においてその点についての当局のかたがたの犯罪者を御覧になつた重要なポイントというようなものをしつかりと把握しておられるかどうか、若しそういうことがありましたならば一つお聞かせ願つておきたいと思います。私は今日は内容に入らない、そういう概念的なことをちよつと承わつておきたいと思います。
  26. 齋藤三郎

    政府委員齋藤三郎君) 非常にむずかしい問題でございまして、十分お答えはできないと思います。ただ私ども戦後の犯罪、殊に少年犯罪について感じておりますることを、甚だ貧弱な観察でございまするが、申上げておきたいと思います。犯罪全体について見ますると、戦前は三十歳、三十五歳その辺の年齢層が一番犯罪者の中で多うございました。最近では刑務所の中だけの統計によりますると、二十歳から二十五歳までの人が非常に多うございます。又戦前には余り聞かなかつたような十四歳未満で相当の悪質犯罪をする、こういうふうに非常に犯罪者の年齢層が下に参つております。それは戦争中の教育の不徹底やら家庭が生活で困つておるやら、或いは住宅関係で非常に余裕のない、子供には不適当な住宅関係もある、又社会の混乱というようなもの、或いは道徳観念の混乱というようなものが一番抵抗心の弱い年齢層に反映してある、こういうふうにも見られるのではないか、それから又犯罪の動機につきましても極めて単純な、なぜそんなに強盗であるとか、或いは強盗殺人であるとかというふうなことを犯さなければならないという事情もないのに、いとも簡単に犯してしまう。そういつた点から申しましても、やはりこれらについては単純に刑罰というだけでは問題は到底解決できない。これについてはいろいろな方面の施策も必要でございましよう、勿論。又私どもの分野におきましてはこれらの正しい生活のあり方を教えるというふうな保護の点も従来よりも増して強化しなければならないのではないか、そういう意味合いで少年法ができ、少年犯罪については刑罰よりも先ず矯正という点で一遍これを考えてみようというふうな点で家庭裁判所も生れ、又少年院等も強化しなければならないということに相成つておるのでございますが、御指摘のようななかなか困難な問題でございまして、法律制度だけが一応できましても、なかなか実効が挙らない。これについては私どももできるだけ努力を払つて実効を挙げて参りたいと思います。今度の改正案はただその手段道具でございまして、それによつて直ちに成績が挙るというふうには考えてはならないのでございますが、私どもの手段道具がよくなれば、それ以上に又それを使う人が真剣に当るということが必要である。そういう方面でできるだけ努力をいたしたい、かように存じております。
  27. 中山福藏

    ○中山福藏君 もう一つこれはお伺いして置きたいのですが、実は近来の思想、いわゆる学生の思想傾向というものは極めて画期的に動いておると私は見ております。殊に男女共学というようなことになりました結果、こういう法律問題を取扱つておられるところの当局のかたがたですね、学校というものに関係を持つて、子供の心理の動き方というものを御参考になさる必要が極めて私は大事なことだと思つておるのですが、こういう方面について参考として学校の当局者は資料となるものを収集しておられるかどうか、その点ちよつと承わつておきたいと思います。
  28. 齋藤三郎

    政府委員齋藤三郎君) 少年の不良化問題につきましては参議院、衆議院両院におかせられまして御決議もございまして、中央少年問題協議会というものが生れまして、文部省、労働省、厚生省方面とか、最高裁判所、国警、その他民間のそれぞれの権威のかたがお出になりまして、いろいろ協議を遂げ又情報を交換し合つて、又適切な時期にパンフレツトを出すとか、又施策を中央で考えておること、又地方の実情を把握するために地方にも同様の組織を以て少年に関する関係機関が歩調を一にしてこの問題に当りたい、こういうことでたしか一昨年であつたかと存じますが、そういつたものが生れていろいろと活動しておるというような状態であります。
  29. 中山福藏

    ○中山福藏君 その活動しておられるという特殊の事務を取扱つておる局か何か設けてあるのですか。
  30. 齋藤三郎

    政府委員齋藤三郎君) 中央におきましては、総理府の審議室がこの仕事を所管しております。それから地方におきましては大体府県庁が中心になつて、そうして各関係機関と連絡をとつております。こういうふうに動いておるようでございます。
  31. 中山福藏

    ○中山福藏君 私は学校問題については相当の関心は実は持つておるものですが、学校のほうにいろいろ私のほうで取調べてみますと、そういうことについての資料を集めては余りおいでにならないということを聞いておるのですが、単に集りをしたという御報告だけにとどまつて、現在そういう問題について御資料があるのでしようか、その点特に私はお尋ねしておきたいと思うのです。
  32. 齋藤三郎

    政府委員齋藤三郎君) 地方の実際については私も十分存じておりませんですが、でも中央の協議会で以て長期欠席児童というものについて調査をいたし、これについていろいろと考えて、現在は最近の中央の協議会では人身の売買の問題について調査をし、これについての立法を考慮しておるようでございます。個々の学校についてどういうふうに地方でやつておるかについては、私は実は詳細なことは存じておりません。
  33. 中山福藏

    ○中山福藏君 保護観察とか、或いは少年保護司とか、いろんな人を設けておるということは私もよく知つております。将来やはりこの義務教育というものを国家が施行しておりまする以上は、まあ教育を受けない人は殆んどいなくなるだろうと思うのです。この普通教育を受けます者は……、併しながらこれは日本という国はいわゆる経済的に非常に貧困な国であるということは申すまでもない立場にあるのですから、従つてこの衣食住の関係、殊に経済問題、少年の頃にはやはりこの経済問題が一番少年を誘惑する大きな力となる、或いは映画とかいろんな問題というものがあるし、いろんな少年の心を動かすものがあるでございましよう。私はこのやはり双葉のうちから人間をきれいに育てるということにつきましては、大きなおとなに、いわゆる成年になつてから犯罪予防とか更生とかいうようなことを考えるよりも、小学校時代にやはりこの観察を徹底せしむるために、小学校にそういうふうないわゆる何と申しまするか、学校観察員というような者を設けられて、そうしていわゆるその犯罪の芽生える前にすべてを苅つて置くということが必要じやないかと思うのです。学校に対してそういう巡回するような、これはまあ経済の関係もありましようから、一つの学校に一人というようなことは到底むずかしいことですが、例えば一県に十人ならば十人学校の子供の心理状態を観察して廻る人を置くというような御計画はないものでございましようか。
  34. 齋藤三郎

    政府委員齋藤三郎君) この学校教育、殊に小学校教育を十分にしなければならないという御意見については誠にその通りと存じております。ただ私文部省でそういう計画を持つておられるかどうかにつきましては、所管が違いますのでよくわかりません。
  35. 中山福藏

    ○中山福藏君 私は次の機会に譲りたいと思います。
  36. 小野義夫

    委員長小野義夫君) この法案につきましては本日はこの程度にいたしまして、次回に継続いたします。   —————————————
  37. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 次に裁判所職員定員法等の一部を改正する法律案を議題に供します。本案につきましてはすでに提案理由説明は聴取いたしたのでありますが、この際政府より更に詳細なる説明を願います。
  38. 野木新一

    政府委員野木新一君) それでは只今上程になつております裁判所職員定員法等の一部を改正する法律案について逐條的に御説明申上げます。  大体の説明はこの前の提案理由説明でほぼ尽きておると思いますが、なお申上げますと、第一條裁判所職員定員法の一部を改正するのであります。裁判所職員定員法の二條におきまして、裁判所職員の定員は裁判官を除き二万四百三十五人となつておるわけでございますが、今回八十四人を増員いたしまして二万五百十九人に改めようとするわけであります。この増員の内訳を申上げますと、大まかに言いますと二つの部類に分れるわけであります。その一つは、平たく申上げますと、裁判所の警備のための要員に充てるものでありまして、それは八十四人のうち七十人がこれに当るわけであります。この七十人は、そのうち事務官が七名、雇員が六十三名ということになつております。御承知のように最近におきましては、裁判所の事件の審理の際に法廷の内外の静穏を保持しなければならないというような事態が痛感されて来ておりますので、このように裁判所事務官及び雇を増員いたしまして、裁判所の長の監督の下に裁判所構内における警備、例えば法廷の外の裁判所の構内でがやがや騒いで、法廷外の秩序、静謐を紊す、或いは裁判官の部屋に押しかけるというような事態の発生を防備させ、又裁判長の指揮を受けさして法廷内における秩序維持に必要な命令の実施等を担当させよう、そういうものであります。この要員に充てるために事務官、雇合計七十人を増員したいというわけであります。次に第二のグループに属するものといたしましては、技官及び看護婦の増員であります。御承知のように家庭裁判所ができまして、少年事件や家事事件を取扱うことになつておるわけでありますが、家庭裁判所におきましてこれらの家事審判事件、少年事件等を処理するに当りまして、医者としての技官や及び看護婦の医学的見地からの調査の結果を利用することが極めて重要でありまして、現在でもこの種の要員がおりまして、非常に効果を挙げておるわけであります。従いましてこれらの結果を見まして、この職員を更に充実する必要があると考えられますので、まだ配置のない家庭裁判所に新たに配置するという趣旨におきまして、この際技官、看護婦を合計十四人殖やして頂きたいというわけであります。この十四人のうち技官が四名で看護婦が本名という内訳になつております。  次に第二條でございますが、これはほんの整理という程度の改正でございます。裁判所職員法等の一部を改正する法律の附則第三項という規定は、この法律の施行に基く定員の改正によつて、昭和二十七年一月一日から同年六月三十日までの間において降任され免職され、その他不利益な処分を受ける者につきましては、裁判所職員臨時措置法の規定にかかわらず、国家公務員法第八十九條から第九十二條までの規定、即ち「職員の意に反する不利益な処分に対する審査」の規定でありますが、その規定は準用しないということになつておるわけでありまするが、御承知のように行政機関職員定員法の一部を改正する法律におきましても、最初の法案では同様の内容の規定でありましたが、結局その規定が削除されましたので、その結果といたしまして、裁判所職員一般公務員との間に取扱いの不均衡を生ずることになりましたので、只今申上げました附則第三項をこの際削除して頂きたいという趣旨であります。これは抽象的に申しますれば、職員の利益になることになるわけであります。  次に最後の第三條の検察審査会法の一部を改正する規定でありますが、検察審査会は御承知の通り新らしい憲法が施行せられた後に、検察権の運営に民意を反映させるために新らしく設けられた制度で、検察の民主化の一つの基礎となつておるわけでありますが、この検察審査会につきましては、同法第二十條で「各検察審査会に通じて六百人の検察審査事務官を置く。」ことになつております。而して同條第二項で「検察審査事務官は、裁判所事務官の中から、最高裁判所が、これを命じ、」云々というような規定になつておるわけであります。ところが前国会におきまして裁判所職員定員法の一部が改正されましたので、裁判所職員の定員も縮減されることになりましたので、従つて裁判所事務官の数も実質的に減ることになり、只今申上げました裁判所事務官の中から検察審査事務官を任命するというところに響いて来まして、いわばその整理の意味におきまして今回この六百人とあるのを五百七十人と改めて頂こうというわけであります。即ち三十人だけ減ずるわけでありますが、これは特に申上げますと、前回の裁判所職員の定員の縮減のしわがここに寄つて行きましたそのための規定の整理という意味合いになるものと存ずる次第であります。  以上によりまして大体逐條的の御説明を終ります。
  39. 伊藤修

    伊藤修君 この只今議題になつておる法案について二、三お伺いしておきたいと思います。先づ第一にお伺いしておきたいのは、今ここに鈴木さんもいらつしやいますが、この前私が数回に亘つて一般公務員の減員に際しまして、最初政府提案の減員が国会において承認されずして、国会はこれに対しまして復活要求をなし、その結果御承知の通り一割なんぼかの復活が国会において議決された。この復活人員は各省に大体必要に応じて、各省要求の人員に比例いたしまして、これを普遍的に復活したにかかわらず、ひとり最高裁判所のみが復活を要求しないのはなぜか、いわゆる首を馘るということよりは、少しでも復活されるならばこの際最高裁判所も復活を要求すべきではないか。従つて原案はこの点において修正する必要はないかと、こう申上げたにもかかわらず、鈴木さんはその必要はないのだとこうおつしやつた。然らばその八百幾名の減員によつて将来裁判所の機構は賄えるか、こう念を押したら必ず賄えますと、こういう答弁であります。又次に八百何名の減員は実際馘首するのかどうかというたらば、それに対しましてはあなたは、出血をさせずして、いわゆる退職希望者の退職を承認することによつてそれは賄えるのだと、こういう御答弁でした。然るに本日の議題になつておるこの法案におきましては、僅か八十四名の増員を要求されておる。当時一割何分も復活しますれば、賄つて余りある、まだ数カ月もならんうちにかような見通しがつかないということは、私は当局者として甚だ怠慢じやないかと思います。その事情を先ずお伺いします。
  40. 鈴木忠一

    説明員(鈴木忠一君) 只今伊藤委員から御質問になられたことは一応御尤ものように私も存ずるのであります。伴しあのときに政府の提出した整理の人員を各省ごとに復活をさせる、それによつて裁判所も復活させたらどうかというような御意見のあつたことも私はつきり覚えております。それに対して私はここで復活の必要はない、復活して頂かなくてもいいのだという趣旨には申しておらなかつたつもりであります。復活して頂きたいのはやまやまであるけれども、大蔵省との間の屡次の折衝によつて事務的にこういう数字でこちらも承認をした関係もあり、且つ政府が、とにかく政府の立場上行政整理を実行するという方針には裁判所協力をしよう。そういう立場で大蔵省との間に八百九十九名という数字を、不満ではありましたけれども弾き出しました。それで国会から、私どものほうから申せば勿論親切なお言葉でありますけれども、国会からそう言われたからといつて、そんなら大蔵省の減らし方が多過ぎた、大蔵省けしからんというような形になるような結果は、私どもとして馬鹿正直な、融通がきかないというような誇りは受けるかも知れませんけれども、当時の気持としては、是非この復活要求を、復活をさせてくれ、このように御尽力を願いたいというように積極的にする気持にならなかつたのは事実でありますけれども、国会のほうで復活をして下さるということについては、私には少しも反対ではなく異議がなかつたのであります。それは当時の速記をお読み下さつてもその間の事情が私はわかるように存ずるわけでございます。それからそのときに伊藤委員から、将来裁判所は人員の復活という、増員ということはしないつもりなのかということも質問を受けたことも、これもはつきり覚えております。それに対してそれはそういうつもりは少しもない、ただ現在問題になつておるこの行政整理、まあ国の方針としての行政整理に裁判所もできるだけのことを苦しみながらもやるという意味でこの整理案を出したわけなのだから、将来更に事務その他の組織の都合等によつて人員の必要な場合には遠慮なく要求をするつもりだと申上げたはずであります。そのときに伊藤委員からは、そういうことなら裁判所の復活要求には尽力しないぞというような半分冗談のようなお言葉を頂いたことも私覚えておるのでございます。私の答弁はそのときに将来要求は、増員の要求はしないというようなことは申上げなかつたことを私はつきり覚えておるのであります。それから整理の方法についてどうするつもりかということも御質問を受けました。それについて事実上出血ということは、つまり本人の意に反しての整理ということは実際上行わないつもりで、任意退職の形式で実際は実行をする方針であるということも申上げました。その点についての実行の結果は、三月末までにみんな任意退職の形で退職の結果、八百九十九人について出たわけであります。ただ裁判所のほうとしては最初申上げましたように、一方においては当時この今度増員をお願いをしておつた数を、もつと大きな数で大蔵省のほうへ要求をしておつたはずなんです。ですから事務的に裁判所が大蔵省の方針、国の行政整理という方針に協力をするということに立場をとつてつても、一方において要求をしておつたのだから、そのほうで人数を殖やして、そうして行政整理になるほうは、結論的に言えば今日増員をしておる数だけを減らさぬだけの一体手際ができなかつたのだとおつしやると、誠に私どものほうとしては不手際だつたと思うのです。けれども大蔵省のほうは、要求は要求としてそれは別個にしておいてくれ、それは又整理の結果考えよう。整理のほうの人数は整理のほうの人数としてきめてもらいたい。要求を出してから整理の人数をどういうようにして協定しよう、妥協しようというようなことには応じなかつたわけなんです。ですから結果的に言えば、甚だ御指摘を受けたように目先のきかない案だとお叱りを受けるのは御尤もなんですけれども、実情を申上げますとそういうような事情で、形としては誠に不手際な結果になつたことは、これは私も率直に認めざるを得ないのです。
  41. 伊藤修

    伊藤修君 今の鈴木さんの御答弁は、要するに最初行政整理をするという段階におけるところの大蔵省と最高裁判所とのお話をそのまま堅持されたに過ぎない。ところがその後の経済情勢によつて復活されるという今度は新らしい段階に入つたわけですから、その段階の際に私が、この際別に新らしく要求するわけじやない、他の省も復活しているのだから、それに倣つて復活された人員は約一割何分なんだから、その比例を頂いて最高裁判所も復活されたらどうか。忍びがたきを忍んで減員したのだから、してみれば当然それは復活することを求めても最初のお約束とは違わないわけなんです。而もあなたの今の御説明では、その当時は聞かなかつたが、今の御説明では、減員は承認し、一方にはその後におけるところの増員を要求してあつたと、こういうのです。してみますれば、当時そういう二つ事情があるならなお更復活を要求すべきじやないでしようか、そうすればこの数字は当然そのときに賄なつて行けるのです。あなたのお考えは、一番初めに約束したから、それは如何なる情勢が変化してもかまわない、その約束は守つた、それは裁判所としてはそういう固い信念で職務をお扱いになるのは結構です。併し行政の問題についてはもう少し融通性を持つて、機微に応じてかけ引きをすべきでしよう。最高裁判所とか司法省とかはいつも固苦しいことを言つてつて、いつも予算をちつとも取れないのです。各省の中で一番司法部が予算を取ることが下手なんです。それでいて国家機構の運営についていつも困つておる、そういうあり方は少し考えなければいかんのです。やはり情勢の変化によつてする、それに応じて、何も不当な要求をするわけじやない、当然腹に持つていらつしやる必要な人員であるから、その際要求をしておいて、而も国会はそれに加担をして、新たに復活したらどうだ、修正したらどうだといつても、このままでよろしうございます、修正しなくても差支えありませんと、あなたに何遍水を向けてもあなたは承認しなかつた、速記録を御覧なさい、その定員で十分賄つて行けます、速記録で十分はつきりしておりますよ。そうして今更これを要求する、必要の人員なら増員することに、何百人増員することにもやぶさかではない、決してこれにこだわつて反対する意味ではないのです。そういう扱い方がいけないのです。国会が而も親切にそれだけ申上げておるのにかかわらず、日ならずしてこうやつて法律を出して来るじやありませんか、して見れば当然その際それに便乗してと言えば言葉が悪いけれども、当然の権利です。そのときの立場として十分了承される、我々はほかの各委員会から法務委員会はいいか、こう言われたから、だからあなたにそれを言うた。農林はこれだけ取る、どこそこはこれだけ取る、建設は四人くらいでも復活した、今私あなたに説明した四人、わずか四人ですら建設あたりは復活しておる。法務委員会いいか、こう言われたから、私はあなたに強く示唆したわけです。にもかかわらずあなたとしては頑としてそれを拒否されたと言つて言葉は語弊があるかも知れませんが、とにかく御同意がなかつた、そういうあり方はよくないと思うのです。而もあなたは理事者として見通しがついておるのだから、現になくちやならんという数字なんだから、これでも或いは足るか足らんかわからないでしよう、今後は必要な人員はどんどん増員しなければならないのです。結構なことだと思うのです。そうして仕事をさえして頂けば結構だと思う。そういう目先がきかんことではいかん、こういうのです。どうです。
  42. 鈴木忠一

    説明員(鈴木忠一君) 目先がきかないとおつしやれば正に目先がきかなかつたわけなんでございますが、ただ私ども少し目先がきかなかつたのも、まあ各省も裁判所と同じように、かなり大蔵省と鍔せりあいをしてきめておつて、そうしてそれは又あとで国会のほうにお願いをして変えるというような態度を、目先がきかなかつたものですから……、実は余りよくないのじやないかどいうように正直なところ思つたわけなんですが、まあ痩我慢のような意味も加えまして、伊藤さんから折角水を向けられたのに、それに飛びついてお願いをしなかつたという点は、確かに私としても目先がきかなかつたと思うのでございます。これから少し情勢の変化というようなことをよく心得まして、予算をたくさん取れるようにお願いいたしたいと思います。
  43. 伊藤修

    伊藤修君 それは私個人の意見じやない、当時の国会全体の空気であつて、確定的なことであつた、別にそれに対してとやこう言うわけじやない。だから私はしつこくあのとき申上げた、私の個人だけの意見であつて、どうしようというのじやない、国会全体の空気がそういうふうであつたから、それに便乗してという言葉は悪いけれども、必要のある数はお取りなさいということを、こう申上げたいのです。政治というものはそういうものですから、もう少し御勉強なさらなければいかんです。  それからもう一点申上げて置く。この第三項ですが、第三項の点も私はそのとき質問したのです。いわゆるその当時法案において今修正しなくちやならん、他の委員会において修正される慮れがあるからいいかと言つたのです。あなたはこれはこの原案はこのままで差支えありません、こういうお話だつた。そういう情勢があるがよろしいか、それは待つてからしなくてもいいかと言つたら、果して又他の委員会において修正されまして、最初の政府原案が変つて来まして、国会において法の改正をしなくちやならんような方針が決定された。従つてこの法案も今度反対の形になつてここで修正しなくちやならん、こういう点もやはり全般を睨み合せて扱つて頂かんと、朝令暮改式に法律をしよつちゆうひねり廻すということはよくないのです。先ほど中山さんのお話もちよつとあつたようですが、余り法律をなぶることに……これは悪い法律ならどんどん直して結構です。結構ですけれども、もう少し見通しをつけてやつて頂きたい。別にそれは二年も三年も先のことじやない、当時国会の各委員会の間においてそういう空気があつたのだから、それを見てそれと歩調を合せて行くべきじやないかというように申上げたのです。それに対しても別に御同意なかつた
  44. 鈴木忠一

    説明員(鈴木忠一君) 第三項というと附則の第三項の問題でございますね。
  45. 伊藤修

    伊藤修君 そうです。
  46. 鈴木忠一

    説明員(鈴木忠一君) それも私記憶しております。それは中山委員から質問がございまして、法務府のほうの委員からその点について答弁があつたわけです。私のほうとしては別にその当時の責任を逃れるわけではありません。逃れようとする意味ではございませんけれども、私のほうとしてはこの第三項については私自身は多分答弁いたさなかつたと思うのです。ただ答弁いたさなかつたけれども、法務府のほうでは意見局の長官、その他から答弁があつた際に、まあ原則としては確かに異議を述べさしたほうがいい、中山委員が御発言になつた、削るという御主張も私いいと思つてつたのですが、実際に最前申上げましたように、裁判所については、一般の行政職員については私問題だと思いますけれども、裁判所職員については最前も申上げましたように、とにかく出血をしないでやれるだろうという見通しがかなり強かつたものですから、まああつたところで実際はそれが活用がないという形式になるのじやないだろうかと思いましたものですから、そのままで、私は強いて発言をいたさなかつたのであります。それは確かに今おつしやられるように、この点についても当時御発言があつて、もう少し待つたらいいのじやないかと言われたけれども、あの当時の情勢で、まあとにかく通そうじやないかというので、早く少し急ぎ過ぎたという形は確かにありましたのですが、それも目先がきかなかつたと言えば確かにおつしやられる通りであります。
  47. 伊藤修

    伊藤修君 まあ過去のことはそうは言うても何ですが、とにかく将来もう少し考えて頂きたいのです。それはすでに法の権威というものを失うばかりでなく、国民がこれによつて、まあこれは国民直接には関係ありませんが、間接には関係あるのですから、やはり規則とかそういうものならとにかく、国の法律を随時しばしば変えるということはいけないと思います。それはまあ世の中の変化によつて変えることは当然あり得ることです。そうでなく、その当時の情勢においてそういうことが考えられた場合においては慎重に扱うべぎだと、かように考えて御注意申上げたわけです。  次に第三條ですね。検察審査会のこと、これは最初日本において検察審査会を設ける、いわゆる起訴陪審式のものを設けることの是非については当委員会においても異論があつた。併しアメリカにおいても全般的にはまだそういうことはやつていないにもかかわらず、日本でテスト的に行われたその結果、相当一億八千万円の費用を使つておるはずですが、今どれだけ使つておるか知らんが、この運営の今日の結果どういう情勢が現れておるか、それを一遍資料を出して頂きたいと思います。いわゆる何件くらいあつて、どういう勧告をなされたかということを一つ出して頂きたい。それから検察審査委員の能力の問題を、一つ資料を出して頂きたい。私は実際は知りませんが、恐らくはあれは抽籤か何かによりつて或る範囲の人から抽籤にして、俗に言う熊公八公のおかみさんでも委員になれるという形になつているらしいのですが、これは少し考えなければならんと思うのです。それで全国的とは申しませんが、私の知る範囲におきましての検察審査会の運営というものは、全く委員の運営じやないのですね、裁判所職員、従来の書記、今は事務官というのですか、局長というのですか、その裁判所職員の運営によつて行われるわけですね、もう一歩深く入つて考えると、従来書記をやつてつた人が検察庁全体の起訴のあり方を常に監督しておるという形になるのですね、実質委員会……形の上では国民若しくは委員会が干与しておるというのですけれども、事実はそうでなくして、それを運営しておる中心たる職員の考え方によつて何々検事の扱いはどうとか、何々検察庁の扱いはどうとかというお目付役をやつておるという形になるのですね、これは私はちよつとよくないのじやないかと思うのです。機構はいいとしても、実際運営はそういうような運営をなされているらしいのですね、というのは委員にそれだけの能力がない、殊にこの事案が起訴さるべきか、犯罪が成立するかしないかというようなむずかしい問題を、相当有識の人ならともかくとして、そういうような一般国民の中から何らの素養もない人に批判せしめるということは無理かもわからん、又そこまで日本の水準が行つていないかも知れない、従つてその職員の考え方によつてどうにでもなつてしまうというあり方が多いのじやないかと思う。これは田舎のほうに行くほどその弊害は強いのです。だから検察審査会の事務局長は検察庁のお目付役だ、極く地位の高い検事正もその勧告に従わなければならない、こういう運営になつておりますね、ちよつと矛盾があるのです。こういう点の運営について一つ詳細な資料を出して頂いて且つ御説明をお願いしたいと思います。
  48. 鈴木忠一

    説明員(鈴木忠一君) 最高裁判所でわかつておる範囲内で今おつしやられた資料を提出して、その際御説明申上げます。
  49. 伊藤修

    伊藤修君 第一條関係で、この前の八百九十九人の中のさつきの任意退職はどれだけ、馘首どれだけ、その地位、その数字を一つ出して頂きたい。
  50. 鈴木忠一

    説明員(鈴木忠一君) 八百九十九名のうち八百九十七名が任意退職で、つまり二名残して、あとの二名が人員の中にまだ未済として残つておるわけであります。それは多分六月までの間の……。
  51. 伊藤修

    伊藤修君 階級を一つ知らして頂きたい。
  52. 鈴木忠一

    説明員(鈴木忠一君) あとで申上げます。
  53. 中山福藏

    ○中山福藏君 ちよつとお願いしておきたいのですが、実はですね、検察審査会というのを国民はまだ知らん。弁護士とか調停委員とか、朝晩裁判所に出入りしておる人は知つてるが、ポスターも見受けましたけれども、印刷して法務府ですか出されたのをよく知つておりますが、徹底せしめなければ、ただ職員だけをおいて、この検察審査会は少しも利用されていないということに実際はなつておるわけであります。ですからその宣伝の方法をどういうふうにしてやつておられるか、又何回くらいそういうふうに宣伝を今までおやりになつたか、そういう点を一つ同時に何か参考になるものがありますれば頂きたいのです。
  54. 鈴木忠一

    説明員(鈴木忠一君) 今中山委員から御発言になりましたように、検察審査会という制度そのものが極めて新しいのでありますので、一般の国民に周知徹底されていないということは確かにその通りだと思います。最高裁判所としては、検察審査会の運営上各地で講演会を開き、そして映画をやる、さようなこと、そのほか随時ポスター等によつて宣伝はしておりますけれども、それが定期的にやつておりますか、各地で統一的にやつておりますか、只今のところはつきりいたしませんから、その点はこれも調査をはつきりいたしまして申上げたいと思います。
  55. 伊藤修

    伊藤修君 裁判所職員については、御承知の通り特別職になつたわけですが、先に臨時措置法によつてこれに関するところの手当をされておるようですが、これは恒久法にして出す意思があるのですか、ないのですか。
  56. 鈴木忠一

    説明員(鈴木忠一君) これは私のほうの、本来法律立法ですから所管でありませんが、裁判所のほうの気持といたしましては、国家公務員法と睨み合わせて将来恒久法を、できるだけ早く恒久法にしたい、こういうふうに考えております。
  57. 野木新一

    政府委員野木新一君) 只今の点でありますが、国家公務員法との関係でだんだん遅れて来ておりまが、国家公務員法のほうが大体安定した見通しがつくようになりましたならば、裁判所にも十分意見を伺い、又連絡して、できる限り早く恒久法にしたいと考えておる次第であります。
  58. 伊藤修

    伊藤修君 もう一点、検察審査会の運営について、いわゆる委員になられる人、当日抽蔽によつて出席されたかたに対して、その常識及び学力程度を簡単にテストして、その日の委員として立会つて頂くことを先ず選定の要件としておるようですが、アメリカあたりはそれは極く簡単で、朝呼び出しまして出頭して頂く、そこで一定様式の紙を渡して、それに国家公務員の試験みたいなことをして、○を付けたり△を付けたりしてその人の常識を先ずテストして、この人にその日立会つて頂くというようなことはやつておりますが、日本でもそういうふうな扱いにして、基本的に委員に常識の豊かな人を求めるという考え方はあめるのかないのか。
  59. 野木新一

    政府委員野木新一君) 検察審査会の制度は御指摘のように新憲法制定後にできた新しい制度でありまして、而もこれは陪審法などの考えを参酌いたしまして、一般国民の中から選ぶということになつておりまして、特別に委員になる人の範囲を限定しておらないわけであります。従いまして御指摘のように学力、識見等において問題になるという点があるということは、ほかのほうでもそういう声も出ておるわけであります。この制度は実施してすでに三、四年たちまして、そろそろその運用の実績等を見まして或いは再検討という段階にも達しておるかと思われますので、今後ともその運用の実績或いは各方面の意見などを聞きまして、なお一層よい制度にして行きたい、政府もそういう考えでおりますので、裁判所やなおこの運営を裏から見ております検察庁などの意見、その他の各方面の意見を聞いてなお研究して行きたいと思つておる次第であります。
  60. 伊藤修

    伊藤修君 私は別に特段に学識経験の高い人、若しくは専門家を委員にしろというのではないのです。いわゆる国民の審査に付する起訴陪審に関与せしめるという意味であるから、普遍的に国民からその委員を選ぶことはやぶさかでないのです。ただ全然能力ない者をもただ国民の名によつて参与させるというだけでは的確に審査はなし得ないのです。だから普通常識を備えておるかどうかという程度のテストは必要じやないかと思うのです。そういう扱いになさるべき意思があるのか、ないのかこういうことを聞いておるわけであります。又根本的に今野木君がおつしやつたようにこの制度に対して再検討する必要もあると私は考えておる……。
  61. 野木新一

    政府委員野木新一君) 検察審査会法では大体検察審査委員になるのは、小学校を卒業しない者は検察審査委員になることはできないということになつておるわけであります。但し小学校卒業と同等以上の学識を有する者は例外で検察審査委員となることができるのでありますが、原則といたしましては小学校卒業程度の学力があればいいというふうに学力ではなつておりますが、併しなお御指摘のような点はたしか問題の点でありますので、研究してみるべき点だと存ずる次第であります。
  62. 伊藤修

    伊藤修君 私はその法律はGHQの考え方を拒否して、夜の十一時五十八分までその法律案を持つていて、最後の二分間で急速に通した経験を持つているのですから、その法案の内容について今あなたの御説明を受けなくてもよく知つている。併し小学校を卒業したという一つの基準をおいてありますけれども、小学校を卒業しても西尾君のごとき優秀な人もあるし、一知半解な人もあり得るのだから、その意味において成年になつてからの社会常識、一般常識というものを豊かにし、一応テストして、それに参与せしめ、人の罪のあるなしという重要なことを決定せしめる機関であるから、そのくらいの慎重さを経るところの必要があるのじやないか、運営の結果私はそういうことを痛感する。而もアメリカでは陪審員になる人は期そういうふうにしてテストしてこれに参与せしめ、母法を作つたアメリカにおいてもそういうことをやつておるのだから、して見れば日本でやつても差支えないのじやないかと思うのですが、こういう点は十分考慮してもらいたいと思うのであります。従つて先ほど申しましたいろいろな実施以来の実績というものを一遍この際御報告願いまして、そうしてお互いに再検討いたしたいと考えます。
  63. 小野義夫

    委員長小野義夫君) それでは今日はこの程度にいたしておきますが、ちよつとお諮りを申上げることがございます。  小委員の追加選定に関する件についてお諮りいたします。今回委員となられました中山福藏君より、新刑事訴訟法運用に関する小委員及び民事訴訟法改正に関する小委員に、又委員一松定吉君より民事訴訟法改正に関する小委員にそれぞれ、加わりたき旨お申出がありました。つきましては両君をこの小委員に指名いたすことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 御異議ないと認めましてさよう決定いたします。  では今日はこれで散会いたします。    午後零時三十五分散会