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1952-04-25 第13回国会 参議院 法務委員会 第30号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十七年四月二十五日(金曜日) 午前十一時二分開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
小野
義夫
君
理事
宮城タマヨ
君
伊藤
修君
委員
加藤 武徳君
長谷山行毅
君 岡部 常君 内村 清次君 羽仁 五郎君
国務大臣
法 務 総 裁
木村篤太郎
君 労 働 大 臣 厚 生 大 臣
吉武
惠市君
政府委員
法制意見長官
佐藤 達夫君
法務
府
法制意見
第二
局長
林 修三君
法務
府
法制意見
第四
局長
野木 新一君
法務
府
検務局長
岡原 昌男君
民事法務長官総
務室主幹
平賀 健太君
厚生省公衆衛生
局長
山口
正義
君
事務局側
常任委員会専門
員 長谷川 宏君
常任委員会専門
員 西村 高兄君
説明員
文部省社会教育
課長 高橋 真照君
—————————————
本日の会議に付した
事件
○
ポツダム宣言
の
受諾
に伴い発する命 令に関する件に基く
法務
府
関係
諸命 令の
措置
に関する
法律案
(
内閣提
出、
衆議院送付
) ○
日本国
とアメリカ合衆国との間の安 全
保障条約
第三条に基く
行政協定
に 伴う
刑事特別法案
(
内閣送付
)
—————————————
小野義夫
1
○
委員長
(
小野義夫
君) これより
委員会
を開きます。本日は先ず
ポツダム宣言
の
受諾
に伴い発する
命令
に関する件に基く
法務
府
関係
諸
命令
の
措置
に関する
法律案
を議題に供します。発言のおありのかたはお願いします。
伊藤修
2
○
伊藤修
君 この
法案審議
に際しまして先に二回ほど
質疑
をいたしたのでございますが、その際
法務総裁
及び
関係
各
大臣
の御
出席
を求めておりましたが、遺憾ながら数回これが流れて今日に
至つた
次第であります。
委員会
として誠に遺憾に堪えない次第です。 つきましてはこの問題について先ず
法務総裁
にお伺いいたしたいことは、御
承知
の
通り日本
がいわゆる
人身売買
をあえてしておるというような
国際認識
の下に、
ポツダム宣言
においてこの不名誉極まる
ところ
の烙印を押されたごとく指示を受けておるのであります。
従つて
この
ポツダム宣言
を
降伏条件
として承認した
日本
といたしましては、これに対する
ところ
の
国内処置
としていわゆる
勅令
九号を以て先ず一時的に糊塗をなされた次第であります。この
勅令
九号のみによ
つて
はつまりこの種の事案に対して
完璧
を期し得られないということは恐らく
当局
においても御
承知
のことと存じます。
従つて
これを補正する
意味
におきまして、先に
売淫行為取締法
というものを立案されて
国会
に提出されている。これと相待ちまして
風俗営業取締法
、
性病予防法
、この三法を以ていわゆるこれらの
業態
に対する
ところ
の
取締
の
目的
を達成しようと図られたと
考え
るのでありますが、不幸にして当時の
国会
における
ところ
の
情勢
は、
政府当局
において若しその
法案
を制定した場合における
ところ
の
受入態勢
というものが果してできておるかという点に
政府
の確信ある
ところ
の御
答弁
を得ないために、この種の
法律
を制定してその結果もたらす
ところ
の、これらの業に携わる
ところ
の数十万の人々の
生活
というものを無視するわけに行かない、これらの
手当
についていろいろ
研究
をしなければならないというので遂に両院とも
審議未了
に
終つた
次第でありますが、その後数年経て今日に至るまで
政府
においてはこの問題に対して一体
関心
を持
つて
おられたのかいられないのか、
政府
においてそれらに対する
ところ
の
処置
を講じておられたのかどうか、私はこの点に対しまして先ずお伺いしたいと思うのです。元来今日のごとき
状態
においたならば
日本
は依然として
人身売買
というものを認めておるということになるのではないかと思うのです。或いは
法律
上許していないのだと言うのでありますけれ
ども
、
政府当局
においてもすでに
赤線区域
、
青線区域
というものを認容されておる。してみますれば広義の
意味
において認めなくても事実
行政執行
の上においてこれを是認してその前提の下にこれらの
業者
の運営を監視しておるというような行き方である。これでは私は単に頭を隠して尻隠さずというようなことで
国際
間における
ところ
の我々の公約というものにみずから私は違約しておるのではないかと思う。ただそういう
形式
的の問題ではなくして本質的にこれを掘り下げて、而も
憲法
にいう
ところ
の
国民保健
の
目的
を達するのについてこの種の
業態
のあることは誠に好ましからざることは私は容易に認識し得るものと思う。例えばいわゆる散娼と称する街の女の流す害毒というものは
国民保健
の上に大きな
病毒
を流しつつあることは公知の事実であります。これらをと
つて
以て検診いたしますれば大体三〇%乃至七五%の
病毒率
を持
つて
おる。これは将来
日本国
を背負
つて
立つ
ところ
の今日の
青年階層
にこの
病毒
が侵透するならば、
憲法
に企図する
ところ
の
国民保健
というものはこの面においても根底から
破壊
されて行くことになる。又今日の
集娼
の面におきましてもいわゆる従来の
公娼制度
の残存としての
集娼制度
の面から見ましても、成るほど
病毒感染率
においてはその率は低いと言われておりますが、いわゆる彼らの
業態
の実績を徴しますれば三%乃至五%と言われております。併しこれは勿論彼らの
業者
からの
報告
であ
つて
必ずしもこの
病毒率
の数字というものは信じ得るものとは言い難いと思うのです。いわゆる措信し難しというても私は
差支
ないと思う。その実質の他の
専門家
の調査によりますると三〇%もあると見ておるのです。してみますればこれらの一体をなす
ところ
の
婦女子
が持つ
ところ
の
病毒
の及ぼす
ところ
の影響というものは
国民保健
の上において重大なものではないかと思うのです。でかような
意味
から申しましてもこの点に対しまして国内的に何らか
措置
を講じなければならないと私は
考え
るのです。 又先ほ
ども
申上げました
国際関係
の面から見ましても当然のことであります。してみましたならば
政府
といたしましては、当然この
占領治下
において一時的に臨時的に
措置
された
ところ
の
勅令
九号のごときは、それをこのまま
法律
に引直すということをせずしてこの際断固として
完璧
を期した
法律
を制定し、以てこれを廃止して私は
処置
をとるべきものじやないかと思うのです。現に
政府
みずからお出しに
なつ
た
ところ
のいわゆる
出入国管理令
の二十四条のヌの
規定
によりますれば「
売いん
又はそのあつ旋、
勧誘
、その
場所
の
提供
その他
売いん
に直接に
関係
がある
業務
に従事する者」こうしてこれらの
関係者
はいずれも入国を禁止し、又は現におるものは
退去命令
を強行し得る
規定
とな
つて
おる。
外国人
に対してすらかような厳格の
規定
を設けておるにもかかわらず、
日本国内
においてはこれらの
行為
をなした者に対しましては何ら可
罰行為
としてこれを認めず、や
つて
行くという
あり方
は、私はこの点から申しましても、先に
ポツダム宣言
によ
つて日本
がこれを
受諾
した
趣旨
は全くほごに帰せられておるということを言わなくてはならない。いわゆる
国際信義
にもとるのも甚だしいと言わざるを得ないと思うのです。
政府委員
の
答弁
によりますればいわゆる
勅令
九号において、これらをも賄い得ると
仰せ
になるかも存じません。又さような
趣旨
の御
答弁
もあつたようでありますが、併し
勅令
九号において御
承知
の
通り
第一条において「婦女を困惑させて
売淫
をさせた者」これが
一つ
、第二条において
売淫行為
を
内容
とする
ところ
の
契約
をなした者を処罰すると、この
二つ
のほかはない。いわゆるこの
出入国管理令
の二十四条のヌに
規定
しておるごとく、あつ旋
行為
、
勧誘行為
、
場所提供行為
及びこれらを
内容
とする
ところ
の
業務行為
、こういうものに対しては何らの
処置
を講じてないのです。先に
政府
が提案された
ところ
の
売淫等取締法
によりますれば、これらのものに対して一々その
処置
が講ぜられておる。現在これらの
業態
を通じて日々に行われつつあるものは事実上の
人身売買
であるのです。いわゆる
金銭
の
貸与
ということが、直接その
業者
間において
貸与
がなされていなくとも、他のいわゆる
第三者
の
名義
を以て
呉服屋
とか、或いは金貸とか、或いは親戚とか、その他
第三者
の
名義
を以て
婦女子
に
金銭
を
貸与
し、以てその
業務
に服せしめる
形式
をと
つて
いる、いわゆる
脱法行為
です。でありますからその場合にはいわゆる
勅令
九号の第二条には真向から
適用
にならない、免れてしまうのです。然るにこれらの業に携わる
ところ
の
婦女子
は、この
第三者
から受取つた
ところ
の債務に拘束されまして、事実上その
売淫行為
を強いられる、強いられないまでもこの
義務
を履行すべく、目に見えざる
ところ
の
義務
並びにその
人身
を拘束されておることは事実であります。 〔
委員長退席
、
理事宮城タマヨ
君
委員長席
に着く〕 若しこれを破棄して逃走するようなことがあるといたしますれば、その業界におる
ところ
のいわゆるボス、用心棒、町のならず者、ばくち打こういうようないわゆる
目附役
が、これらに対しまして常に監視の手を延べておる、外部からこれに圧迫を加えておることはこれも事実である。かようないわゆる旧態依然たる
ところ
のこの種の業をそのまま放置しておくという
あり方
というものは、私は如何にこの
国家
がこの
受入態勢
ができないといえ
ども
、これは今日の
民主主義
の
国家
といたしましても、
ポツダム宣言
を
受諾
してこの
義務履行
の
完璧
を我々は期しておる
日本国民
といたしましても、とるべからざる
ところ
の
処置
ではないかと思うのです。私は
政府
において少くともこの
講和条約発効
後
独立国家
となる際において、この
法律
の
正義
を
図つて以
て
独立
の第一歩を歩み出すべき筋合ではないかと思うのです。
法務総裁
はこのたびいわゆる
独立国家
を維持するために
破壊活動防止法
を制定せんといたされ、これによ
つて日本
の
民主国家
の確保を図られるという遠大な理想に燃えられているのであるが、こうした外面的な
暴力行為
を阻止し是正して行くことよりは、内面的に存在する
ところ
のこれらの
国民
の身体の
破壊
を企図される
ところ
のこういう
行為自身
を先ず以て我々は防がなく
ちや
ならんと思うのです。又この
行為
によ
つて
もたらされる
ところ
のか弱い
婦女子
の
人身売買
というような非文明的な十九世紀的なこの悪風習というものを根絶しなくてはならんと思うのです。現に行われておる
ところ
のいわゆる
暴力者
の
暴力
を否定することは、勿論それ以前においてこうしたものに対してこそ私は先ず以て
手当
をすべきものじやないかと思うのです。ここに思いをいたさずしてこれを看過してただ漫然これをこの種の不備な
規定
を以てこれを
形式
的に賄
つて
行くという
あり方
は、少くとも私は
為政者
としてのとるべき態度ではないと思うです。虚心坦懐に今日の
民主国家
というものの再建を我々は身を以て守ろうとするならば、こうした根柢に横たわる
ところ
のこれは大きな問題です。それらは我々は過去のいろいろな文学とか、
教育
とか、
社会情勢
とかいうものによ
つて
、いわゆる
吉原
、或いは
花柳界
における
ところ
のあの
人情話
というようなものから受けた
ところ
の感化からして、この種のものに対するこうした
内面的悲劇
というものに
余り関心
を持たないせいかもわかりません。成るほど或いは三千歳であるとか、或いは揚巻であるとか、或いは夕
霧伊左衛門
であるとか、この種の劇を見ておりますればその美しい点において首肯し得る
ところ
もあります。
人情
の点においては首肯し得るものもあります。併しその彼らの
生活
の裏にひそむ
ところ
のあらゆる
人身
を拘束する
ところ
の、この新らしい文化の面に反逆する
ところ
の
行為
に対しましては、飽くまで
為政者
としてこれを
処置
をとらざるを得ないと思うのです。賢明なる
法務総裁
がこれをも無視されましてただ今日の
暴力行為
のみに没頭されることはその意を得ないと思います。
政府
におきまして果してこの
法律
を制定する意思ありや
否や
、あるとするならば速かにされるのかどうか、又私が申しますようないわゆるあつ旋、
勧誘
、
場所
の
提供
、若しくはこれらの如何なる
名義
を用いましても、これらの業を
内容
とする
ところ
の、又は
内容
とする虞れのある
金銭貸借
の
契約行為
というものを処罰する
ところ
の、
完璧
を期した
法律
を制定する意思ありや
否や
ということを先ず
法務総裁
にお伺いし、
厚生大臣
に対しましては若し
法務総裁
において私の主張するがごとき
法律制定
の意思ありといたしますれば、その結果これらの業に携わる
ところ
の
全国
二十数万の
婦女子
の身の振り方について、如何なる
受入れ態勢
を
考え
ておられるか。若し
考え
られていないとするならば、今後
考え
てこれを実現する意思ありや
否や
という、この二点を両
大臣
にお伺いしたいと思うのです。
木村篤太郎
3
○
国務大臣
(
木村篤太郎
君) お答えいたします。
只今伊藤委員
からの御
質疑
誠に当を得て感銘深く私は存じます。
売淫行為
並びに
人身売買
は、これは
国家保健
の
見地
からも又いわゆる
基本的人権尊重
の
見地
から見ましても、当然かようなことは
国家
から一日も早く消滅させるべきものであろうと
考え
ております。それについてはただ
法律面
ばかりではなく
社会厚生
、或いは
生活
安定という面からも
考え
なければなりませんが、先ず以て
法律
的にこれを
取締
ることも非常な意義深いことであろうと思います。
政府
におきましては、先ず
講和条約発効
と同時にあらゆる
ポ政令
は消滅に帰しまするので取りあえず
政令
九号というものを生かしておいて、そうして応急の
処置
を取計らつたわけであります。
只今伊藤委員
の
仰せ
られましたあらゆる面からのこれを
取締
つて
行く
法規
、これを制定するの用意ありや
否や
ということでありますが、私といたしましてはできるだけ早くこれらの
法律
を作りまして万違算のないようにしたいと、こう
考え
ております。
法務
府におきましては
只今
それらについて
研究過程
にあります。いずれ
成案
を得ましたら来るべき
機会
において各位の御
審議
を願いたい、こう
考え
ております。
吉武恵市
4
○
国務大臣
(
吉武惠
市君)
只今
の御
質問
の
人身売買
の遺憾な点は私も
同感
でございまして、一日も早くこれらの問題が解消することを希望するものでございます。
只今法務総裁
からお話がございましたごとく、現在の法で不備な点は新たに
法律
によ
つて完璧
を期したいということにつきまして私も又
同感
を持
つて
おります。従いましてそのあとの身の振り方等につきましての御
意見
でありますが、これ御尤もであります。
終戦
直後のあの混乱の際に
婦女子
のかたで
生活
に困られて勢いそういう
方面
に走られたかたが相当おありに
なつ
たと思うのでありますが、私
ども職業紹介機能
を挙げましてこれらの気の毒なかたに生業につかせるための努力は十分いたすつもりでございます。
伊藤修
5
○
伊藤修
君
法務総裁
は私の
意見
と同じとの意を表せられましたが、お
言葉
は速かにというふうに
伺つて
よろしいかどうか。時間的に申しますれば私は次の
国会
までにというふうに
考え
たいと思うのですが、これはどうか。 それからその
内容
につきまして、いわゆる
勅令
九号にいう
二つ
の
行為
のみではなくて、いわゆるこれらの
状態
を絶滅する、若しくはこれらの
婦女子
を解放するというのには、やはり問題は結局これをあつ旋するもの、
勧誘
するもの、及び
場所
を
提供
するもの、こういうものを
取締
らなければ
本末顛倒
である。ただ
売淫行為そのものズバリ
にこれを
取締ろうと思つて
も到底
取締
ることは不可能である。そういう点をも規正する
ところ
のお
考え
ありや
否や
ということをこの際
法務総裁
の御
意見
として明確にして頂きたいということが
一つ
。 それから
厚生大臣
におかせられましては、これに対しましてその後の
受入れ態勢
に対しては十分
考え
られるというのでありますが、その業に携わるものの本態についてお究めにな
つて
いらつしやることは私は存じますから、あえてここでくだくだと申上げるまでもない。これらに携わる
ところ
の
婦女子
はみずからいわゆる戦後における
ところ
の
道徳廃頽
のこの
社会風潮
に巻込まれまして、みずからの身を何らの、無自覚の下にこの
社会
に投じて行くいわゆる戦後
派婦女子
もあります。併しその中には約三〇%というものはいわゆる戦災による
ところ
のやむを得ざる
過程
によ
つて落込
んだ
婦女子
もある。或いは
戦争未亡人
がその残された
ところ
の遺児を教養するためにみずからを
犠牲
にしてこの苦界に身を沈めておる不幸な気の毒な
婦人
もある。これらの者に対しまして私は単なる
形式
でなくして実際にこれらの
婦女子
が
独立
して生計を営めるように、且つ
戦争犠牲
によ
つて
残された
ところ
の子女の
教養費
をも賄い得るような適当な
施設
を設けて、これに
職業補導
をなすというような有効適切な私は
厚生施設
をなさるべきものだと思うのです。これはいわゆる
戦争
中、戦後における
ところ
の
国家
の償いとしての私はなすべきものではないかと思う。又将来の
婦女子
の導きの手として
厚生省
は当然なさるべき
仕事
だと思う。これに対しまして私は相当の
予算
を獲得されて実現に努力される意思ありや
否や
。ただ
形式
的に
言葉
で或いはその他の既成の
社界事業団体
にこれを導き入れるという
程度
ではこの問題は解決しないと思う。そういう積極的な意思があるかどうか。又
予算
に対する
ところ
の御自信ありや
否や
。他のいろいろな
予算
もお使いになることと存じますけれ
ども
、こういうことは
厚生省
として根本的な問題だから十分これに対して熱意を以て
予算獲得
に御努力願わなく
ちや
ならんと思うのです。この点重ねて両
大臣
にお伺いいたします。
木村篤太郎
6
○
国務大臣
(
木村篤太郎
君) お答いたします。
只今伊藤委員
の
仰せ
になりましたような事項につきましては十分取入れて
成案
を得たいと
考え
ております。各
方面
の有識、達識のかたの御
意見
を伺いまして十分の
手当
はいたしたいとこう
考え
ております。而してこの
成案
を得次第成るべく早い
機会
において私はこれは提案をいたしたいとこう
考え
ております。
吉武恵市
7
○
国務大臣
(
吉武惠
市君) 重ねての御要望でございますが、私といたしましても、この
婦女子
の
職業
のあつ
旋及び補導
につきましては、従前以上に
予算
その他におきましても努力いたしたいつもりでございます。 〔
理事宮城タマヨ
君
退席
、
理事伊藤修
君
委員長席
に着く〕
宮城タマヨ
8
○
宮城タマヨ
君 今日少し声が出ませんのでおわかりにくいと思いますが、今
伊藤委員
のお尋ねになりましたことで私のお尋ねしたいことも大体尽きたと思いますが一、二点についてちよつと。実は今度
講和条約発効
いたしますについて随分いろいろな各面で恩典が拡げられておりますことは大変喜んでおりますが、そのときに私はあの
売春窟
の中に落ちております而もやむにやまれない
未亡人たち
、
母子たち
、母がその
子供
を連れておりますあの
生活
苦に追われまして落ちておりますようなものが、何とかして救い出されないものかと
思つて
、実は今度の
ポ勅令
によ
つて
発せられる
法律
、あの
ポ勅
の九号のようなものは今度廃して頂き、新しい構想によ
つて時宜
に適した
法律
を制定して頂きたいということを非常に念願いたしたのでありますけれ
ども
、事ここに至りまして止むを得ぬと
思つて
おります。 そこで伺いたいことは、この
公娼廃止
には今な
つて
おりますけれ
ども
実際におきまして戦前、以前に増して
集娼
やそれから散娼も勿論のことでございますが非常な数を増しております。例えば東京の
吉原
を調べてみましても現在ざつと千三百人以上
従業員
がおります。そうしてこの様相は実に驚いたものがあるのでありますが、そういうことが一体今後いつまで許されるものか、つまり
風俗営業
という看板を掲げましてこの
営業
をもう公々然と許しておる。又
赤線区域
、
青線区域
といつたようなものが、これ全く
考え
方によりますと警察も協力をしてや
つて
おるというようなふうに見える
ところ
まで行
つて
おるのでございますが、一体こういうことはいつまで許されておるのでございましようか。これについて
法務総裁
のお
考え
を伺いたい。つまりあそこにおりますこの
従業員
の一
部分
は実は
終戦
直後に
慰安婦
として
政府
が集めましたその
人たち
がまだ随分残
つて
おる。それでその
人たち
は実に大手を振
つて
威張
つて
この
仕事
に従事しておりますのでございます。
政府
からもお招ばれしているんですよということをまだ言
つて
おるのです。それで
一つ
どうしても早い
機会
にこれは何とかしてほしいのでございますが、これにつきまして
政府
の御
意見
は如何でございましようか。
木村篤太郎
9
○
国務大臣
(
木村篤太郎
君)
赤線
、
青線区域
、実は甚だ不敏にして私はその点は余りよく存じないのであります。これからよく
研究
いたしまして今度のいま
伊藤委員
から
仰せ
になりました
法案作成
のときにおきましては十分その点についても
研究
いたしまして万遺憾のないように
処置
いたしたいと思います。
宮城タマヨ
10
○
宮城タマヨ
君 勿論今の
ポ勅
九号で事が足りるとお
考え
にな
つて
いないということも十分わか
つて
おりますのでございますけれ
ども
、私は実にこういう点に対して
手当
が薄いと
思つて
おりますのは、調べてみました
ところ
これは二十五年度の
統計
でございますが
刑法
の百八十二条でつまり淫行の
勧誘
ということ、あの条文でございますがその
事件
が僅かに百四件、それで
起訴
されておりますのは十五件、それから
労働基準法
十七条の
違反
でございます、前借の
法規
でございますがこれは僅かに
全国
で十九件、
起訴
が五件。それから
児童福祉法
の三十四条の
違反
が二十六年度で千九百三十件、
起訴
が六百四十八件ということ、これは
法務
府のほうの
統計
によ
つて
調べたものでございますが、これは実にこの
児童福祉法
のあの
適用
が一番数の上では多うございますけれ
ども
、まだまだ
全国
でたつた僅かにこのくらいの
程度
でございますし、それから
勅令
九
号違反
を調べてみました
ところ
がこれは二十六年度の
統計
でございますが
全国
僅かに千二百五十、そうして
起訴
された者が二百三十九件で本当に実刑を科せられております者は僅かに三十七件でございます。如何にこの
法律
を抜けましてたくさんの
業者
が利得を得ておりますかという件でございますが、殊に
児童福祉法
によりますものが一番有効に今
適用
されておるような事情でございますが、それにしましてもこれは
労働省婦人少年局
の
報告
によりますと、大体八歳、九歳、十一歳といつたような者がこれは
人身売買
の
事件
として挙げられておるのでございますけれ
ども
、この小さい
子供
から十八歳未満の者が昨年の九月の数を見ますと六百七十四、そうして男の子の大
部分
は
労働
に従事しておる。女の子の大
部分
は九歳あたりから売春させられておる。これは実に由々しい問題でございまして、そうしてその総数から申しますと、これは
推定数
でございますけれ
ども
どうしても二十五万、三十万の者がおるとされております。そのときに実に今設けられておりますこの
刑法
によりましても、
労働基準法
、
児童福祉法
、それから
ポ勅
の九号なんというものはまあこれは本当に形のものだけであ
つて
、殊に
ポ勅
の九号なんというものはまあないよりはいいくらいだということでございますが、どうしてもこれは先ほど
伊藤委員
の
質問
に対して
法務総裁
はできるだけ早い
機会
にと
仰せ
でございましたが、そのできるだけ早い
機会
は、一日も早いほうが私
ども
すべてのものが、その道に入
つて
おります者も勿論でございますが、これは
性病
の問題だけでなくて
教育
の面から、
社会
問題といたしまして大変な問題を救済する上に大事な
事件
でございますから、どうかその早い
機会
を最も早い
機会
にして頂きたいとお願い申上げておきます。
木村篤太郎
11
○
国務大臣
(
木村篤太郎
君) 大体
伊藤委員
の御
質問
の要旨と同様に私思いまするが、これは我々といたしましても誠に御尤もな御
意見
と
考え
ます。殊に今承わりますと
少年少女
が
人身売買
で非常に困惑している、かようなことを承われば、ますます早く
成案
を得てそういうものの
人権
を保護する
手当
はいたしたいと、こう
考え
ております。
宮城タマヨ
12
○
宮城タマヨ
君
厚生大臣
にお伺い申上げます。この
売春取締
の問題につきまして、勿論これは先ほど
伊藤委員
も
仰せ
になりましたように
更生施設
を設けまして今落つこちておりますものを救い上げますということが非常に必要でございます。と同時に落つこちないようにするということが、つまり落つこちないようにするということは
生活
の最低安定を与えるということでございますから、これはただ何とか
予算
措置
をして行くというような軽々しい問題でなくてこれには私は非常な
予算
を要すると
思つて
おります。それで第一番にお伺いしたいのは、今まで
厚生省
でこういう点についてどういう構想を持
つて
、どういう
予算
措置
をとろうとなさつたことがございますでしようか、それをお伺いしたいのでございます。
吉武恵市
13
○
国務大臣
(
吉武惠
市君) 勿論女子に対しましても青年に対しましても、補導所を相当
全国
的に作りましてそこに入れまして一定の
職業
を授ける。腕に覚えなくしては
職業
といいましてもなかなかむずかしいということで補導所を相当たくさん作
つて
おります。中に入
つて
おられる過半数は殆んど女子青年のかたでミシンその他の方法をやらしておるわけであります。ただ先ほど
伊藤
さんもお話がありましたように、今日までの女子の売春的な状況というものは御指摘のように
終戦
直後の非常な混乱
状態
に食
つて
行けない、
従つて
そういう道に入らざるを得なかつたという事情は私はあると
思つて
おります。これはだんだんと
日本
の国力が回復し秩序が維持されて行くと共にだんだんと解消して行くものであると私は見ております。
従つて
先ほ
ども
申しましたように、従来も補導その他におきましてはや
つて
はおりますが、女子につきましてなお一層補導所等を設けまして、シンその他女に適当なる職を授けて行くという途を講ずることが必要じやないかと、かように
思つて
おります。
宮城タマヨ
14
○
宮城タマヨ
君 それは今
仰せ
になりますことは
児童福祉法
による
措置
でございましようが、実は今年の
予算
を拝見しました
ところ
が、
児童福祉法
のほうの
予算
措置
は非常に外れております。どういうわけでございましようか。
吉武恵市
15
○
国務大臣
(
吉武惠
市君) 児童福祉でございませんで、
労働
省のほうの補導所の
予算
として相当や
つて
おるわけでございます。
児童福祉法
のほうは保育院でありますとか母子寮でありますとかそういう
方面
の
予算
でございます。これらは御指摘のように今年の
予算
は若干減
つて
おります。それは逐年増加の
予算
だけで維持費が減
つて
おるわけではございません。逐年増加をして参りましたが過去五年の間に相当増設をして行つたから従来
通り
のカーブで増設というわけに行かんから、それは若干の増強にして行こうという
意味
で前年度に比べると減
つて
おりますけれ
ども
、それは
施設
を減すわけではございませんで
施設
は依然として増設するはかりでございます。
宮城タマヨ
16
○
宮城タマヨ
君
職業補導
ということは勿論大事でございますけれ
ども
、それよりもつと手近に必要なことは母子の最低
生活
をさせる母子寮ということが私一番大きい問題だろうと思う。この
法律
を作るのには多大の母子寮を設備しなかつたならどんな立派な
法律
を作
つて
も運営することはできないと思います。それでこれは当
法務
委員会
で調査いたしておりますのでございますが、二十四年の十二月末、少し古いのでございますけれ
ども
この調べましたものは、
集娼
だけにつきましては七千四百人、その七千四百人の実に七八%つまり五千九百五十九人というものはもう全く
生活
難から落ちておるのでございます。そうしてこの
集娼
たちのいろいろな面を調べてみますと
子供
を持
つて
おる人が三〇%くらいおるということを言
つて
おります。併しこれは実に内輪に言うておることでございますが、私
ども
実態調査をいたしましたときに殆んど半分くらい、或る所では半分以上母親だつたのでございます。このことは私由々しい問題だと
思つて
おります。こういう者に対して縛る
法律
を作
つて
みるよりもどうしてもこれを救い上げて行かなければならないし、転落さし
ちや
ならんということが第一番に手を打たなければならない。そうしてこれはかか
つて
私は政治の責任だと
思つて
おります。でありますからこの
生活
難から来ておりますもの、そうしてむずかしい
法律
でもできたらやめることができるかということを聞いてみました
ところ
が、どんなことがあつた
つて
今の
状態
ではお役所にすが
つて
も仕方がないからやめられないと申します者が六六%でございます。やめることができるだろうというのが僅かに二八%、そのほかもございますけれ
ども
、どうか私はこれは
一つ
この
法務
府が立法の案をたてるといたしましても、どうしてもその前に
厚生省
がしつかりして頂いてこの
生活
の最低保障をして頂かなければこの
法律
を作
つて
も駄目なんでございますから、そのことをお願いしたいと
思つて
おります。殊に立法に当りましてはどうしても
国家
的な総合的な施策によ
つて
やる以外にはないものでございますが、実はこの前ちよつとそういうことを伺つたのでございますけれ
ども
、
厚生省
、
法務
府、それから文部省、
労働
省というような直接
関係
のある各省が
一つ
共同で
研究
して頂きたい、それを切に願
つて
おるのでございます。それにつきまして内閣に設置されております中央青少年問題協議会というものが、これは内閣の直属でございますが、そこで一体どういう調査か、
研究
か、何か手が打たれておるのでございましような、
法務総裁
でも
厚生大臣
でもどうぞお答え願いたい。
木村篤太郎
17
○
国務大臣
(
木村篤太郎
君)
研究
はしておるのでございますが、併しまだ十分でないと
考え
ております。今御
趣旨
の点はよく了承いたしました。今後
関係
各省との間に緊密な連絡をとりまして、十分善処いたしたいと
考え
ております。
宮城タマヨ
18
○
宮城タマヨ
君 文部省に純潔
教育
委員会
というものが設けてございまして、純潔
教育
についての調査
研究
がなされているかに
伺つて
おりますが、その実情はどういうことでございましようか。
高橋真照
19
○
説明員
(高橋真照君) 昭和二十二年の二月四日に三十五名の
委員
を以ちまして純潔
教育
委員会
というものを組織いたしまして、純潔
教育
につきまして調査
研究
をして頂き、いろいろと文部省の行政施策の上におきまして助言を頂戴しておりますが、
社会
教育
法ができまして
社会
教育
審議
会という法制の上に認められた
審議
機関ができましたので、その専門の分科
委員会
といたしまして再編成をされました純潔
教育
分科
審議
会ということになりました。今日まで引続きその活動を頂いております。最初に純潔
教育
の実施の大綱といつたような純潔
教育
基本要綱というものを作
つて
頂きまして、その後主として純潔
教育
の中心の課題が性
教育
という問題になりますので、特にアメリカでいろいろと実践的な実施がなされておりますので、その
関係
の資料の収集ということをや
つて
おりました。併し男女の間の正しい
関係
というものを確立することが望ましいということで、男女交際のエテイケツトとも申すべき新しい男女の
あり方
といつたような
研究
の成果も発表して頂きました。
只今
性
教育
は非常にむずかしいので学校、家庭、
社会
とも
ども
に
関心
を持
つて
行かなければなりませんので、その性
教育
の
あり方
につきましてまだ
日本
の学校も、
社会
も、家庭におきましても十分な正しい
考え
が打ち建てられておりませんので、性
教育
のやり方につきまして幼年期、少年期、成年期というふうに分けまして
研究
を頂いております。
只今
幼年期、少年期が大体脱稿に至りまして青年期に今入
つて
おります。青年期までのコースができ上りましたならばこれを発表いたして世間の御批判を頂きたい、こういうふうに
考え
ておるのでございます。主として
委員
のメンバーは医者のかたがたと心理学者、
教育
学者、その他学校
教育
で実際にお扱いにな
つて
いるかたがた、
社会
教育
家というようなメンバーによりまして御
研究
を願
つて
おる次第でございます。
宮城タマヨ
20
○
宮城タマヨ
君 私自身もあの甚だこの文部省のこの性
教育
の問題、取扱われておりますこと、或いは
社会
に出て指導していらつしやる、そういう点につきまして何か
日本
ばなれがしたような、それから地に着いていないような、非常に高い
ところ
に理想をおいていらつしやるようでありますけれ
ども
どうもしつくりしないという感じを持
つて
いる。又世間もそういう批評をいたしております。それはまだまだこれから大いにおやりになる
ところ
だろうと
思つて
おりますが、その問題は文部省にこういうものがありそうして文教の府に当りこれに心血を注いでいらつしやる
人たち
が、どうして風俗を乱すような
営業
の看板をただ見過していらつしやるのだろうか。それから又東京には十三とか十七とか言われておりますあの
赤線区域
については文部省はなぜ黙
つて
いらつしやるのか、何か
研究
しているのですか。
高橋真照
21
○
説明員
(高橋真照君) すでにこれはPTなどで特に学校の環境との関連におきまして幾つか各地方で問題が起りまして、
一つ
の
国民
運動としていろいろと学校環境の浄化ということで闘いまして成果を挙げている実例もございます。文部省の
関係
から申しますれば、少くとも学校
教育
の環境だけでもせめてもよりよい環境を与えたいという気持を持
つて
おります。併しながら文教といつたような問題につきましても
教育
の立場ということも勿論でございますけれ
ども
、世間一般の風潮と申しますかその風潮に抗し難く、十分な成果を挙げ得ない
ところ
もございまして、今日御指摘のように十分な成果を挙げていないことを残念に
思つて
いる次第でございます。一層環境の整備ということに対する
国民
全体の
関心
を高めて参りたい。これは
社会
教育
の無力につきましては誠にざんきに堪えない次第でございますが、心がまえといたしましては環境浄化に一層の努力をいたして参りたい。こう
考え
ている次第であります。
宮城タマヨ
22
○
宮城タマヨ
君 一番
社会
教育
で今困
つて
おりますのは、表は普通の商売屋のような、普通のしもたやのような恰好をしておりまして中では皆間貸をや
つて
おります。それがもう日に日に数を増しておりましてそのことがこの子女の
教育
に大変大きな影響を及ぼしている。例えば山中湖でございますとか、或いは何々県といつたような進駐軍のあの駐屯しておりますような
場所
は勿論のことでございますが、そうでございませんでも一般の新宿あたり、上野のあたり、浅草のあたりは一度お調べ下さいましたら実に心が寒くなるような
状態
でございますが、そうしてそれを見ております
子供
たちは元は東京でパンパンごつこが大変はや
つて
おりましたが今は地方津々浦々パンパンごつこがはや
つて
いる。よく地方に参りますとこれを
取締
る方法はないだろうかと申しておりますのですが、これは非常に深遠な性
教育
や或いは純潔
教育
なんかのうわついた指導をなさるよりも、もつともつと私は手近な
ところ
でこういうことを阻止する運動を
一つ
お起し頂いて、こればかりではございません、これに準じた
子供
の
教育
の点から特にこの
委員会
のみならず文部省が手を打
つて
頂きたいと
思つて
おります。 それからもう
一つ
はこれは今月の七日の読売新聞に、御
承知
だろうと思いますけれ
ども
アメリカの一将校から
日本
へ寄せられました手紙でありますが、
日本
の女性よ、フジヤマのような純潔の美を取返せというこの切々たる一文は、遠くアメリカの某大学を出て政治学を専攻した
日本
びいきの一米国将校から読売新聞社宛に送られましたものでございます。その
内容
を読んでみますと、その兵隊が進駐して参りましたときに、
日本
の女性こそ命を以て貞操を守るものだと
思つて
実は
考え
ておつた、
日本
の女性にはこの朝鮮人や支那人や南洋の女性と違
つて
用心しなければいけない。誠に
日本
の女性は針を隠しているのだ。それで武器は針であ
つて
心臓部に針を突つ込むからそれで用心しなさい、しなさい、と言われて進駐してみた。
ところ
があに計らんや、
日本
の女性くらいもろいものはなかつたということをこの新聞の手紙のみならず、あの当時の兵隊が申しておりました。
ところ
がこの朝鮮人よりも支那人よりも南洋の婦
人たち
にも劣つた
日本
人がますますこういう深みに落ちてい
つて
、そうしてその結果、この手紙によりますと、
日本
女性の印象としては
日本
という国は品性も道徳もわきまえない動物的な女性ばかりの国だというふうに皆
思つて
いると書いてあるのであります。もう貞操観念の認識されております今日これは非常に残念なことでございますが、勿論私
ども
この政治の面にあります女性も又家庭の母たちも気をつけますけれ
ども
、殊に私は今日は文部
大臣
においで願いたいと
考え
ましたことは、もつと根本的なことについてお伺いしたいと
思つて
、そうしてどうしても文部省が
一つ
これに力を入れて噴きたい。私
ども
と共に力を合せましてどうしても、どうしてもこの
法律
の売春処罰法を制定しますについての裏付の実行を
一つ
推して頂きたいということをお願いいたしまして私の
質問
をやめます。
高橋真照
23
○
説明員
(高橋真照君)
只今
の宮城先生の御希望を
大臣
にお伝えすることにいたします。
伊藤修
24
○
理事
(
伊藤修
君) 他に御
質疑
ございませんか。なければこの
程度
で休憩いたしたいと思います。午後は一時半から再開いたします。 午前十一時五十九分休憩 —————・————— 午後二時三分開会
小野義夫
25
○
委員長
(
小野義夫
君)
委員会
を開会いたします。
日本国
とアメリカ合衆国との間の安全
保障条約
第三条に基く
行政協定
に伴う
刑事特別法案
を議題に供します。御
質疑
のおありのかたは御発言願います。
伊藤修
26
○
伊藤修
君 先ず
政府
にお伺いいたしたいのは、第一条の
行政協定
の
意味
をお伺いいたしたいと思います。
岡原昌男
27
○
政府委員
(岡原昌男君) 第一条第一項におきまして、
行政協定
は「
日本国
とアメリカ合衆国との間の安全
保障条約
第三条に基く
行政協定
」という定義を下しまして、この
法案
の全体を通じて
行政協定
という短い
言葉
でこれが数回出て参るわけでございます。
伊藤修
28
○
伊藤修
君 そうするとこの
行政協定
は条約として
国民
がこれに服する
ところ
の
義務
を持つのか、
行政協定
は
法律
的の効果はどういうことになるのか。
林修三
29
○
政府委員
(林修三君) この
行政協定
の性質につきましては、すでにこの
行政協定
が締結せられました直後におきまして、
国会
においても累次いろいろの御
意見
なり、
政府
側の
答弁
があつたことと存ずるわけでございます。これは御
承知
のように安全
保障条約
第三条に基きまして、安全
保障条約
において
日本
に配備されることになりましたアメリカ軍の配備の条件を規律する協定でございます。その
意味
におきましてこれは実質的に申せば、その
内容
から申しますと、両国間の
国際
約束、実質的に申せば一種の条約的なもの、こう申して
差支
えないものではないかと、かように
政府
としては
考え
ておりますし、又そういう御
答弁
を申上げたと存ずるわけでございます。
伊藤修
30
○
伊藤修
君 実質的においては条約的な性質を持
つて
おるのだとおつしやるのですが、そういたしますと条約として
国民
はこれに服する
義務
を根本的に先ず持つのですか、その点を明らかにしたいのですが……。
林修三
31
○
政府委員
(林修三君) これは
行政協定
が締結せられましたあとの
国会
におきまして、
政府
側といたしまして何回か御
答弁
申上げておると存じますけれ
ども
、この
行政協定
に基きまして
国民
を拘束するような事項につきましては別途皆立法
措置
をとりまして、
国会
の御
審議
を経る、こういうことに方針を
政府
側としては何回か御
答弁
申上げておると思います。又この
行政協定
の条文の中にそういう
趣旨
が盛られておるわけでございまして、そういう
意味
におきまして立法
措置
が幾つかこの
国会
に御提案申上げておる、かようなことと存ずる次第でございます。
伊藤修
32
○
伊藤修
君
形式
論はわかるのですよ、私のお伺いするのは、一体
行政協定
に基いて国内
法規
を作り、
国民
の権利
義務
を制約しようというのでありますが、その基本となるものが条約に基いて出て来るものか、単なる行政的な
処置
に基いてその必要上出るという
意味
か。
行政協定
そのものに対して
国民
はこれを規律される
ところ
のものであるかどうかというその本質を
伺つて
おるのです。条約であるということならば、我々は条約としての先ず前提に立たなくてはならん手続をとるべきじやないかと思うのです。条約でないということなら、一体それに基いてどういう根拠があるのか、その点をお伺いしたいのです。
林修三
33
○
政府委員
(林修三君) これは安全
保障条約
第三条におきまして、この駐留軍の配備を規律する条件は両国間の
行政協定
によ
つて
きめる。こういうことが
規定
されておるわけであります。この安全
保障条約
を
国会
において御承認を得ました際に、
行政協定
につきましてもそれを含めて御承認を得たと、こういうことに
政府
側としては解釈いたしておりまするし、その点は何回か
国会
におきましても
政府
側から御
答弁
申上げたことと、私記憶しているわけでございます。そういう
意味
におきまして、これが実質的には、これが単独で問題になりますれば先ほど申しましたように実質的な
国際
約束であるということは、これはそう申上げていいものだと存ずるわけでございますが、そういう安全
保障条約
というものがございまして、これに基きまして、この安全
保障条約
が又
国会
の御承認を経ている。こういうことに基きまして、
形式
的に
憲法
による
ところ
の
国会
の御承認というものは安全
保障条約
に基いて得られている。こういう解釈でこの
行政協定
に対する
国会
の御承認ということはなくても済むのじやないかと、こういうことで
只今
まで
政府
としては御
答弁
申上げた、かようなことではないかと存ずるわけであります。
伊藤修
34
○
伊藤修
君 従来の
政府
の
答弁
では我々としては納得いかないし、従来の御
答弁
によれば、それに基く
ところ
の
国民
の権利、
義務
を制約するものは、国内立法でするという
意味
において御
答弁
はな
つて
おるのですよ。然らばその国内立法をする基本たる
ところ
のこの安全
保障条約
に基く
ところ
の
行政協定
というものが、いわゆる安全
保障条約
の
内容
をなすものか、或いは安全
保障条約
の委任によ
つて
行政協定
というものができたということになるのか。若し委任によ
つて
なつ
たとするならば、一体安全
保障条約
が
国民
の権利、
義務
を制約する
ところ
の事項をも委任したのかどうか。当時の速記録を拝見いたしますれば、いわゆる安全
保障条約
を施行するに当
つて
、いろいろの手続的
規定
を
行政協定
においてなすんだというような御
答弁
があつたはずであります。然るに、この
行政協定
の
内容
を拝見するならば、ことごとく
国民
の権利、
義務
を制約する
ところ
の重要事項であ
つて
、本来ならば条約を以て定めなければならないような事項をも
行政協定
によ
つて
賄
つて
いるわけです。してみますれば、
行政協定
そのものが一体条約であるというならば納得が行くが、そうではなく単なる行政の協定であるということでは我々として納得行かないわけです基本的に……。その点を今までの
形式
的な説明ではなく、本質的に
行政協定
というものがなんであるかということを、ここで明らかにしておきたいと思います。
林修三
35
○
政府委員
(林修三君) これは第十二
国会
でございましたか、この安全
保障条約
がこの
国会
において御
審議
されておりました経過におきまして、
政府
としても何回かこの
行政協定
において
国民
の権利、
義務
に直接
関係
する、或いは
予算
を要することにつきましては、別途
予算
案なり
法律案
として御
審議
願うということも申上げておつたわけだと存ずるわけであります。それからこの
行政協定
が安保条約によ
つて
委任されたものかどうか。これは
言葉
の問題でございますが、何と申しますか安全
保障条約
において、第三条におきまして、この駐留軍の配備を規律する条件は
行政協定
によ
つて
きめると、こういうことを安全
保障条約
で定め、それについて
国会
の御承認を経ておる。こういう
関係
で駐留軍の配備を規律する条件につきましては、当然この安全
保障条約
の
一つ
の
内容
をなしている、かように
考え
られるのではないかと思うわけでございます。この配備を規律する条件を逸脱しているかどうかという問題でございますか、これは
行政協定
の締結に当りましては、勿論この安全
保障条約
第三条の範囲内におきまして、すべて駐留軍の配備を規律する条件の範囲内で締結せられたものと私
ども
考え
ておるわけでございます。又これにつきましてはこの
行政協定
が
国家
間におきましてのお互いの約束であることは先ほど申しましたようにこれは間違いないことだと思うわけでございます。これを実施する上におきまして、
国民
に対して権利を拘束し、或いは
義務
を課するという点につきましては、何回か
政府
側が御
答弁
申上げております
通り
に、別途立法をいたす、こういうことにな
つて
おります。この立法手続が或いは不成立に終るという場合には、この
行政協定
を実施する面におきまして、その
通り
実施できない部面も起る、こういうことは
考え
られるわけでございますが、これは併し安全
保障条約
がああいう
内容
を以ちまして
国会
の御承認を得ております
関係
上、
政府
としてはさようなことはなかろう、かように
考え
ておるわけでございます。一応
只今
申上げました
通り
に、
行政協定
は実質的にはこれは
国家
間の約束であろう、さように
考え
ます。ただ先ほど申しましたように、
行政協定
自身におきましても、お互いの国におきまして、立法を要するものにつきましては立法
措置
をとるということもお互いに約束をしておるわけです。そういう
意味
におきましては、これを実施するに当
つて
、
国民
の権利を拘束し、
義務
を課するということにつきましては、お互いに立法
措置
をとることを約束しておるのであります。それが成立しない場合においては、安全
保障条約
の実施上やはりそこに問題が残るということになろうかと存ずるわけでございます。
伊藤修
36
○
伊藤修
君 あなたの説明の全
趣旨
から申しますと、
行政協定
なるものは、いわゆる
国家
間の約束であるという御説明の御
趣旨
に拝聴いたしますが、してみますれば当然これに基きましていわゆる
行政協定
の
内容
をきあるについては、安全
保障条約
によ
つて
これは或いは委任しておるかも存じません。併し少くともその
内容
を定めるに当
つて
、いわゆる
国家
間の約束であるということになる以上は、
憲法
に定める
ところ
のいわゆる本質的条約として
国会
の承認を得ることは当然のことじやなかろうか、然るに
国会
の承認を経ない
行政協定
に基いて本法を作るということは、基本的においてそれは誤りがあるのではなかろうか、この点はどうでしようか。
林修三
37
○
政府委員
(林修三君) この点は、
只今
仰せ
られました点は、安保条約の御
審議
の場合にも、或いは
行政協定
につきまして
国会
においていろいろ御
質問
がありました際にも、
政府
側としては御
答弁
申上げておると思うのでございますが、この
行政協定
は安保条約第三条に基きまして両
政府
間の
行政協定
によ
つて
きめる、こういうことにつきまして
国会
のほうにおきましてそういう
内容
を持ちました安保条約第三条を御
審議
になり、それを御承認に
なつ
た範囲内において結ばれたものである、かように
考え
ます。この
意味
におきましては、この
行政協定
を含めまして安全
保障条約
について
憲法
上の
国会
の御承認を得ておる。
政府
としてはそういう解釈をいたしておるわけでございます。この点はすでに
政府
の責任の
大臣
からも御
答弁
申上げてあつたことと私は記憶しております。
伊藤修
38
○
伊藤修
君 どうも今の御説明だけでは、従来の御
答弁
をそのままあなたはおつしやるだけであ
つて
、私があなたに
伺つて
おることは、
法制意見
局長
官の下におられるいわゆる
法律
専門家
としてこの点を明らかにして頂きたい、こういう
趣旨
で
伺つて
おるのです。
政府
の政策的な
意見
を今聞いておるわけではない、あなたが
法律
家として良心に
従つて
御説明を願
つて
おきたいと思うのです。
林修三
39
○
政府委員
(林修三君)
只今
申上げました点は、これは
法制意見
当局
におきましても、この安全
保障条約
締結の際、或いは
行政協定
締結の際におきまして、かような解釈の下にこれについて
意見
をきめておるわけでございます。それに基きまして内閣のほうにおきましても御
答弁
があつたことと存じておる次第でございます。
伊藤修
40
○
伊藤修
君 例えばこの
行政協定
によりますれば、この
法案
の第十二条は、合衆国軍隊が
日本
人を逮捕することを前提としておる。然るに合衆国軍隊が
日本国内
で
日本
人を逮捕することができることが
行政協定
第十七条の(b)項及び(C)項によ
つて
認められておる。その場合においては
行政協定
そのものが
日本国民
をその条項によ
つて
覊束することになるのではないでしようか。そうすると
行政協定
そのものが
国民
に対する
一つ
の
法律
的基盤になるような形にな
つて
来るのではないでしようか。そういうような事項もあるのですから、私は
行政協定
というものは一体条約として効力を持つのか、
法律
的意義がどこにあるのかということをお尋ねしなく
ちや
ならんと思うのです。
林修三
41
○
政府委員
(林修三君)
行政協定
の性質につきましては、実は何回か御
答弁
申上げたわけでございますが、その実質的
意味
におきましては国と国との間の約束でございます。安全
保障条約
の広い
意味
における一部をなすものである、かように
考え
られるのであります。その範囲はもとより安全
保障条約
第三条において認められた範囲を出でておるものではないと
考え
られるわけでございます。広い
意味
におきましてはその範囲を出でておるものではない、かように
考え
ておるわけです。この刑事特別法は、
行政協定
を国内において実施するために必要な立法手続というものを定めたものであると、かように私
ども
存じておるわけであります。
伊藤修
42
○
伊藤修
君 そういたしますと、
只今
私が指摘いたしました十七条の(b)項及び(C)項によ
つて
認められておる権限は、そのまま
行政協定
に基いてこれが施行できるですか、
国民
はこれによ
つて
覊束されることになるのですか。
岡原昌男
43
○
政府委員
(岡原昌男君) その点はそのまま
適用
があると、かように解しております。
林修三
44
○
政府委員
(林修三君) その点補足して申上げますが、かような刑事特別法におきまして、こういう
行政協定
に基くことを前提といたします立法がそこでとられれば、当然それと併せましてここに
国民
を拘束すると、こういうことに相成るかと存じます。
伊藤修
45
○
伊藤修
君
只今
私が指摘しました場合は、本法では賄
つて
いないのですが、そうすると本法では賄
つて
いないような、
行政協定
においてそのまま
国民
の権利
義務
を制約できるという御
答弁
になるわけですが、そういたしますと、結局条約的本質を持つということになるのじやないですか。
従つて
、そういうような
国民
の権利
義務
を
行政協定
そのものを以て制約するということになりますれば、
国会
の承認を経なければ
国民
に対してこれが効力を持たないというふうに
考え
られるのじやないでしようか。あなたの御説明のように、本法においてこの点を賄うというのなら又別ですけれ
ども
、本法において賄わないということになりますれば、
行政協定
がそのまま直ちに
国民
の
行為
を制約する
ところ
の条項となるのではないでしようか。
林修三
46
○
政府委員
(林修三君) この
行政協定
の性質につきましては、先ほど御
答弁
申上げました
通り
に、安全
保障条約
の御承認がありまして、その御承認の
内容
として、こういう
意味
の配備を規律する条件を
内容
とする
行政協定
を結べる、
従つて
又その
行政協定
の
内容
につきましても
国会
の承認を得ておると、そういう
意味
のことにつきましては、何回か
政府
として御
答弁
申上げておると
考え
るわけでございます。そういう
意味
におきまして、この
内容
が先ほど申上げましたように、実質的な条約的な
内容
も持
つて
おるということは、何回か御
答弁
申上げた
通り
でございます。その立法
措置
を要する事項につきましては、
只今
この刑事特別法に
規定
しております事項は、こういう
行政協定
を実施するためのものでございます。その
意味
におきましては、
行政協定
を実施するための、こういう
行政協定
にその
内容
があるということを前提といたしまして、それを具体化する立法手続を定めておる、そういうことにな
つて
おるわけであります。
伊藤修
47
○
伊藤修
君 そういたしますと、本法に定めてないもので、
行政協定
にのみあるものは、
国民
はこれによ
つて
制約されないでもいいのですか、それを守らんでも
差支
えないわけですか。
林修三
48
○
政府委員
(林修三君) これは何回か
政府
のほうとして御
答弁
申上げたと思いますけれ
ども
、
国民
の権利
義務
に直接
関係
いたすこと、いわゆる駐留軍の構成員なり軍属と国との間の
関係
につきましては、或いはこの
行政協定
で賄い得ると
考え
られておる
部分
もございますけれ
ども
、
国民
の権利
義務
に関する部面におきましては、大体ほかの立法手続におきましても、或いはこの立法手続におきましても、大体それを
形式
的にも国内立法の形にいたすという手続がとられておるものと
考え
ております。
伊藤修
49
○
伊藤修
君 今の御
答弁
だけではどうもこの点は納得行かないのですが、これは他の
委員
からも御
質問
があると思いますが、その御
質問
によ
つて
は又あとで補足的に
質問
いたすことにいたします。 次に第一条の「
日本国内
及びその附近に」とありますが、その附近という
意味
ですね、これはまあ説明書ではいろいろ書いてありますが、一応ここで御説明願いたいと思います。
岡原昌男
50
○
政府委員
(岡原昌男君) この附近とございますのは、
日本国内
、つまり本土並びに領水並びにその極く近い
ところ
を申すのでありまして、と申すのは、軍隊が若干移動ずる場合に、領水の外へ一歩出ればこの性質が変
つて
来るというのも困る次第でございますので、それだけの範囲は駐留軍の性質は失わないと、かような
趣旨
でございます。
伊藤修
51
○
伊藤修
君 極く近いというのはどのくらいを指すのですか、例えば朝鮮は近いといううちに入るのか、沖繩は近いといううちに入るのか、奄美大島は近いといううちに入るのか、そういうことをはつきりしておかなければ、それによ
つて
処罰されるのですから、あなたの言うのではどのくらいを近いと指すのかわからないのです。
岡原昌男
52
○
政府委員
(岡原昌男君) 先ず
日本国内
と申しますのは、この
行政協定
の性質上、駐留軍が
日本
の
国民
或いは行政機関等と接触を保つ範囲内ということになろうかと思いますので、さような範囲と申しますると、大体主権の及ぶ範囲というよりは狭い概念でありまして、行政権の及ぶ範囲というふうに解釈いたしまして、更にその附近と申しますのは、その範囲から若干移動した際に動くだけのことを
考え
ておるのでありまして、従いまして、沖繩、朝鮮等は入らないと、かような
趣旨
でございます。
伊藤修
53
○
伊藤修
君 そうすると、この附近ということは全く
意味
をなさんことになるわけですね。
岡原昌男
54
○
政府委員
(岡原昌男君) この第一条に書いてありますのは、合衆国の陸軍、空軍及び海軍で
日本国内
及びその附近に配備されたと、要するに軍隊の性質を規律しておるものでございます。若しこれを国内だけに配備という
言葉
を使いますると、例えば海軍の小艦艇などが沿岸の警備等に当りまして、領水から外に出たときにはとたんにこちらとの交渉がなくなると、例えば
日本
の漁船との間に何か事が起きましてもこの
法律
が動かなくなる、かようなこともあろうかと思います。そこで、そういうふうな性質はこれを持つたまま、そしてどこで働くかというと、結局
日本国内
においてそれが接触を持
つて
来る場合に働いて来ると、つまり軍隊の性質はそのまま動かんけれ
ども
、実際に
行政協定
並びにこの
法案
において事が生じて来るのは
日本国内
にある間のものだけと、かような
趣旨
でございます。この用語は
行政協定
の一番最初の前文にその文字がございまして、安保条約の第三条を受けて「合衆国の軍隊の
日本国内
及びその附近における配備を規律する条件は」云々と、こう書いてございますが、それから由来しておるのでございます。
伊藤修
55
○
伊藤修
君
ところ
が、安保条約は
憲法
じやないのですから、安保条約にこだわる必要はないと思いますが、これは国内法であ
つて
、
国民
のこういう
行為
、不
行為
を規律するものですから、よ
つて
批判される対象というものがはつきりしないと、
国民
は迷惑なんですよ。だから陸軍で以てこれを予想いたしますれば、附近というものは殆んどあり得ないのです。あなたの今の御説明によ
つて
も、沖繩も入らなければ恐らく硫黄島も入らんということになる、朝鮮は入らんのはその
通り
。一体どこが附近だということになるのです。そうすると、ただあなたの今例示されました海軍の場合が想像されます。海軍の場合におきまして領海から離れた
ところ
の何浬までが附近といわゆる推定されるか、任意に附近でないと
思つて
、このことについて、ここに定めたような事項について
国民
が喋つたとか、或いはそれを漏らしたとか、こういう場合においては、それは
日本
の領海でないのだから、いわゆる硫黄島の沖合にアメリカの艦隊が今いるのだとこういつた場合において、それが直ちに処罰されるかどうか。そうすればその沖合というのは一体どこまで指すのか、水平線の向うに、彼方に堂々と煙を吐いて通行する軍隊のことを喋つたといつたら、直ちにそれは引つかかるのか引つかからないのか、大きな問題ですよ。例えば新聞記者がそういうことを、たまたま大島あたりにでも行く場合において、見た、望見した、望遠鏡で望見した、それをニユース・ソースとして直ちに
報告
してそれが記事に
なつ
た、こういう場合においてこれは大きな問題だと思うのですよ。だからそんな漠とした
規定
では
日本国民
として非常に迷惑至極くであるのです。そういう観念はやはりはつきりして頂かなければ困るのです。例えば航空機の場合でもやはりそうでしよう。航空機の位置というものは我々素人ではわかりません。領土の上を離れておると
思つて
もそれが領土内であるかもわからないし、そういう点はやはり明確にしておく必要があるのではないでしようか。これは重要な基本点ですから、ただ安全
保障条約
にそういう文字があるからそれを受けて立つたのだというのでは不親切だと思うのですね。
岡原昌男
56
○
政府委員
(岡原昌男君) その点御尤もな御
質問
でございまして、ただ先ほどからちよつと申上げました
通り
、合衆国の軍隊の性質といいますか、本来
日本国内
に配備されまして、それがその警備の
関係
上少し領水を離れることがあり得る、主として海軍でございましよう。これは空軍もございますが、さような場合に、これをやはり駐留軍の性質は失わない、かような
趣旨
でこれを言
つて
おるのでございます。そこで問題は具体的な事例で
只今
御指摘のように若干海の上を飛んで行
つて
離れた飛行機が、果してこれに当るのか当らんのかという問題が具体的に生じて参ると思います。御指摘の六条以下の
関係
についても起り得る問題でございます。さような場合におきまして、先ず第一に私
ども
が
考え
ました手段、
手当
は、軍人、軍族その他身分を持
つて
おる、つまり個人的な資格の問題につきましてはこれを身分証明書ということで解決して行く。それから軍隊そのものにつきまして、
只今
御指摘のような点につきましては、具体的にその都度その当該の問題の起つた事案ごとにあちら側と打合せまして、その正確を期する。かような打合せにな
つて
おる次第でございます。
伊藤修
57
○
伊藤修
君 その点を聞くと、ますます
日本国民
は危険極まるのですよ。
法律
というものは
国民
の
行為
、不
行為
の規範であるのです。その規範自体が
日本国
家の
法律
を維持して行く
政府
関係者
において判断ができずに、アメリカさんの判断によ
つて
御
意見
通り
というふうでお
つて
、
日本国民
が覊束されたら、
国民
は迷惑至極くの話ですよ。我々は一言半句も喋れない。少くともかような範疇に属する限りは箝口令を布かれたということになるのですよ。自主的に
日本
の裁判所が判定するというなら又別ですけれ
ども
、向う様の御説に
従つて
それが判定されるということになれば、我々が合法的だと
思つて
……、沖にアメリカ軍隊が堂々と出て行つた。朝鮮へ行くのだろうか、
日本
を警備しておるのだろうか、こういうことを喋る。又いいニユース・ソースですから、恐らくそういうことは新聞に書かれる。又個人でも喋るでしよう、珍らしいことですから……。そういう場合において、それが今いうこの「附近」におるという対象、アメリカ合衆国の軍隊というものになるということになりますれば、直ちにそれが処罰されることになるのですから……。
岡原昌男
58
○
政府委員
(岡原昌男君) その点は御尤もでございますが、結局これは認識の問題にかか
つて
来る問題でございます。つまりそれが
日本国
の附近に配備されたということの認識がなければ、つまり例えば、今御指摘のように、非常に海の向うのほうにそういうものを見かけた、どこからどこに飛ぶのか知らんけれ
ども
、
日本国内
を配備する軍隊ではなかろうということであれば勿論入らないわけでございます。それから若しもそれが、
日本
内地の警備のものがたまたま出て来てここで見付けたのだ、本人がさように思いましたときには、それが問題になり得る、なり得るという問題でございます。さような場合におきましてそれが客観的に如何なるものであるかということは、向う側に一々確かめて見なければわからん。要するにさような飛行機なら飛行機、艦艇なら艦艇が何月何日の何時何分頃に東経何度、北緯何度におつたのは、これは果してどういう性質のものかということは、客観的に判断する場合には、向う側に聞かなければならない。併しこれは認識の問題とからみ合いまして、最後には裁判所の判断の問題になります。裁判所の判断する際の資料としてさようなものが出て来る、かような
趣旨
でございます。
伊藤修
59
○
伊藤修
君 それは少くとも
国民
の
行為
、不
行為
を覊束する場合において、客観的にこれが認定し得るような規範を、規律を定めておかないというと、主観によ
つて
左右されるというほど危険なものはないと思うのです。あなたも
法律
家として、主観によ
つて
我々が覊束されるということになれば、これほど危険なものはないと思う。例えば飛行機が群をなして、サイパン島から厚木の飛行場へ編隊で来る。その場合において
日本
に配備されたものか、或いはそれが演習のために行われたサイパンの飛行隊であるか、容易に我々には区別はつかないのです。併しそれは
日本国
土の上においてこそ処罰されるのだというならば、例えば伊豆半島の上に来た、上空に来たと認められる場合には、喋
つて
ならんと思う。たまたま小笠原列島の沖合上で以て散見したというならば、これは覊束されないのだという、容易に私は
国民
の認識というものが得られると思うのです。それと同時に、海軍の場合でもそうではないでしようか。
日本
に配属された駐留軍の行動か、或いはたまたま機動演習のための行動か、客観的にはわからないのですよ。して見れば、それを何か規律するものとしては、この条文の前段にあるごとく、
日本
領土の範囲若しくは領土から接触したいわゆるその附近という接触した概念をここで明らかにする必要があるのじやないでしようか。必要があるとするならば、少くともあなたの説明の上においても、通常常識で以て領土と接触した範囲であるから、三浬、領海は三浬ですか、三浬なら三浬に接触したいわゆる一浬とか二浬、常識的にそれが接触とみなされる海域に限るというような御説明があるならまだ納得が行くけれ
ども
、あなたのような漠然としたあれだというと、どこまで引つかかるかわからないのですよ。
岡原昌男
60
○
政府委員
(岡原昌男君)
只今
も御説明いたしました
通り
、前段に申しておりまするのは、配備された軍隊の性質の問題でございまして、それからその
適用
の問題になりますと、「
日本国内
にある間におけるものをいう。」というので、ここで又しぼりがかか
つて
あるわけでございます。 それからもう
一つ
、すべて主観で事を律するのは間違いというか、非常にあやふやというふうなお話でございまするけれ
ども
、これは
刑法
の全体を通じまして、先ず本人にその主観がなければ処罰はできない、本人がさようなものではないというふうに
思つて
おれば、これは処罰ができないというふうな原則からいたしまして、やはり主観というものが第一に大切でございます。若しもこの主観的にはさように思いましても……。
伊藤修
61
○
伊藤修
君 私の聞いておるのは、アメリカの主観によ
つて
覊束せられては困るというのです。
行為
者の主観のことを言
つて
おるのではない。
岡原昌男
62
○
政府委員
(岡原昌男君) 客観的に見ましてさようなことがなければ、これ又問題になりません。そこで客観的にこれを判断するにつきましては、果してその軍隊が如何なる性質のものであるかということは、一応諸般の証拠によりまして認定しなければならんのでございまするが、その認定の有力な資料としては、やはりその軍隊を動かしているアメリカの
当局
というものが、一応の有力な
意見
を述べ得るのではないか、これが先ほど申した
趣旨
でございまして、若し私の
言葉
が足りなかつたらこの点附加いたします。なお当初申上げました
通り
、「
日本国内
にある間におけるものをいう。」というのでしぼりがかか
つて
おりますが、ここで実際問題としては余り問題がなくなるのではないかと、かように存じております。
伊藤修
63
○
伊藤修
君 そのしぼりがかか
つて
おることもわか
つて
おりますが、そのしぼりがか
つて
おる
ところ
のけつが抜けているのですよ、お尻が抜けているから私は言うのです。その附近に配備されたアメリカ合衆国の陸、海、空軍とありますが、海軍の範囲の問題においてあいまいにぼけてしまう。だから一体どこまでの範囲においてこの
法律
が
適用
されるかということについて我々は明確を期せられないという不備があるのではないか、一にかか
つて
アメリカさんのお
考え
通り
ということになるのじやないかと、その点に危険性を持つということを申上げるのです。
岡原昌男
64
○
政府委員
(岡原昌男君) 重ねて
言葉
を返すようで恐縮でございまするが、先ほど申上げました
通り
、軍隊の性質を客観的に確定いたしまするには、やはりアメリカの軍隊が如何なる所に、如何なる性質で来ておるかということを向う側の
意見
を第一に聞くのが一番の便法であろう。かようなことからこの
法案
にもかような
趣旨
に書いた次第でございます。実際問題として領海外での軍の行動についての何といいますか、機密の漏洩というふうなことは、これは本法とは直接の
関係
はないことになるのでございまして、又国内にたとえおりましても、この附近に
日本国内
又はその附近に配備されたものでなければ、これ又この「合衆国軍隊」という概念からは外れて参る次第でございます。さようなまあ二重性質を持
つて
おりますので、この
二つ
の要件が揃
つて
初めてアメリカ合衆国軍隊、かような性質になるものでございます。
伊藤修
65
○
伊藤修
君 そうすると元来は、公海における軍隊及び公海の上空におる軍隊は、常識的において「
日本国内
及びその附近」という文字のうちには入らないと、極く常識的に、接触したもの以外には入らないと、こういうように解釈してよろしいのですか。
岡原昌男
66
○
政府委員
(岡原昌男君) さようでございます。その
通り
でございます。
伊藤修
67
○
伊藤修
君 然らば、この「配備」という
一つ
のしぼりがあるのですが、この配備の
関係
において、
只今
、先ほど私が申上げましたように、例えばサイパンから軍隊を配備のために移動して来るという場合においては、それは配備になるのか、私は
法律
的
考え
方、解釈から行けば、厚木に到着して初めて配備に就くと、こう
考え
るのですが、その中途においては配備と言い得ないと思うが、これはどうでしよう。
岡原昌男
68
○
政府委員
(岡原昌男君) 「配備された」と、過去完了みたいな形にな
つて
おりますが、配備
命令
に基いて
日本国内
に来つつあるもの、而も
日本
の国の領水のすぐ附近まで来たものと、かような
程度
に了解しておる次第でございます。
伊藤修
69
○
伊藤修
君 そうなると結局、一切ワシントンのあの国防省から出た
命令
ができた時から、その配備という性質を持つことになるのではないでしようか。
岡原昌男
70
○
政府委員
(岡原昌男君) その点だけを見ますとさようになりますが、「
日本国内
にある間におけるものをいう。」というのでしぼりがかか
つて
来る次第でございます。
伊藤修
71
○
伊藤修
君 でありますから、先ほど私が憂えたように、いわゆる公海の上空にあるものといえ
ども
、それがワシントンからの指令に基いて配備のために飛んで来る場合においては、少くともこの
法律
に指すアメリカ軍隊に適合することになる。そうでしよう。それだから今度は土地の制約がそこにつく。土地の制約が又大切にな
つて
来るわけです。そういうことになりはしませんか。土地の制約がそこで今度は大切にな
つて
来て、領土の上、領海の上ということに限られればいいが、そこで領海、公海の間で、「その附近」というあいまい模糊たる地帯をこの
法律
で設けようとする
ところ
に私は非常に危険性を持つと、こういうふうに申上げるのです。
岡原昌男
72
○
政府委員
(岡原昌男君) ちよつと何か後段の読み方を少し軽く読まれておるのではないかというような気がいたしますが、前段は軍そのものの性質を申しまして、
行政協定
で「合衆国軍隊」というのは、つまりこの
法律
が
適用
されるのは、「
日本国内
にある間におけるものをいう。」、つまり
日本国
並びにその領水内になければ問題にはならんと、かような
趣旨
でございます。結局さようなことになるのでございますが、ただ軍隊の性質はかようなものであると前段に
一つ
ございまして、そうしてそれが「
日本国内
にある間におけるものをいう。」というので、又しぼりが
一つ
かか
つて
来るわけであります。
伊藤修
73
○
伊藤修
君 あなたの言うことはよくわかるのですけれ
ども
、ここでそういう
法律
で明らかにしておるような、はつきりしておる場合は問題ない。或いははつきりしないで、
国民
がそういうものであるかないかということがわからんような場合が往々あり得るのですから、又想像もできるのですから、そういう場合において本法の
適用
において、基本的に
国民
が非常な迷惑をこうむるのではないかという点を指摘しておるのです。
岡原昌男
74
○
政府委員
(岡原昌男君) そういう御指摘は大変御尤もな御指摘でございますし、実際問題として、かような
法律
を運用する面につきましては、いろいろ
只今
御指摘のような点を注意しながら運用しなければならないと思う次第でございます。そこで私
ども
といたしましても、実際にこの
法律
の
趣旨
の徹底を図りまして、さような点について一般の
国民
が無用なる制約を受けないように、十分私
ども
会同、或いは講習その他をいたしまして
趣旨
の徹底を図りたいと、かように存じております。
伊藤修
75
○
伊藤修
君 この
法律
を全体通覧いたしますと、今の第一条のそんな簡単なことですら大きな問題を生ずるのでして、まあ言わざる主義で以て一言もアメリカ軍のことについては口を開かないということがこの
法律
を守る上において一番望ましいことである、そういう御
趣旨
の下にこれが立法されておると思う。だから言わせないというのでしようから、我々としては納得行かない。
憲法
で折角言論の自由を認めておるのですから、その言論の自由がいわゆる公共の福祉を害するような場合に至
つて
はいませんが、そうでない部門をもこれで制約することにな
つて
しまうと、結局昔の軍国主義時代のことと何ら変りのないような事態がここで私は再び繰返されるということは非常に不愉快な気持がする。そういう
意味
においてお尋ねしているわけです。 まあその問題はその
程度
にしておきまして、次に通過する軍隊は入らないというような御説明であるように説明書を拝見しましたが、そうですか。
岡原昌男
76
○
政府委員
(岡原昌男君) その
通り
でございます。
伊藤修
77
○
伊藤修
君 そうすると、その通過する軍隊の行動、
内容
、一切しやべ
つて
も
差支
えないのですか。
岡原昌男
78
○
政府委員
(岡原昌男君) 純然たる通過軍隊につきましてはこの
法案
の関する限りではない、かように私
ども
立案いたしております。
伊藤修
79
○
伊藤修
君 そうすると、通過する軍隊たりや
否や
ということは、いわゆる客観的に見てはわからん場合が多いと思いますが、
日本国民
としては通過するのだと
考え
ておつた
ところ
が、作戦計画が従前からそういう通過するのだという表面的性質を持
つて
お
つて
、その本質は、軍の機密ですから、その本質はそれを朝鮮なら朝鮮へ送るとか満州へ送るとかいうことがあり得ると思うですね。これは恐らく軍隊の行動としては敵を先ず欺く
意味
においてもあり得ることは想像にかたくないのです。そういう本質的にはいわゆる駐留の
目的
であ
つて
、
形式
的には通過軍隊であるとかいう仮装しておる場合においてはどうなるのです。
岡原昌男
80
○
政府委員
(岡原昌男君) 結局第六条
関係
で御
質問
でありまするが、さような観点から申上げまするが、結局客観的通過軍隊、つまり
日本
の配備のために来たものでないという軍隊につきましては、明らかにこの第一条で除外されて参りますので、さような
関係
はこの
法案
では絶していない。ただ実際には通過軍隊でないのに通過軍隊を仮装する、或いはその逆の場合もございましよう。さような場合につきまして、これはいわゆる事実の錯誤という問題にもかか
つて
来るだろうと思いまして、本人の認識と客観的な事実との間の食い違いがどの
程度
にあるか、又それが本質的なものであるか、過失と故意との
関係
はどうなるのか。過失はいずれにしろ本
法案
においては罰しておりません。さような
法律
問題が出るだけであろう、かように
考え
ております。
伊藤修
81
○
伊藤修
君 その点も非常に私は本法においては危険だと思います。次に第一条の第五項ですね、五項によりますと、家族は配偶者、子、父、母の観念は合衆国の本国法によ
つて
決定されることにな
つて
おるようですが、合衆国の本国法によれば、内縁
関係
の配偶者、養子、養母、配偶者の父母等も本法において家族とみなすのですかどうですか。
岡原昌男
82
○
政府委員
(岡原昌男君) 実は
国際
私法との
関係
で例の法例第二十二条でございますか、ちよつと聞いてみたのでございますが、はつきりしておりませんけれ
ども
、いわゆるこちらで言う内縁
関係
というのは入らないように聞いております。
伊藤修
83
○
伊藤修
君 入らないように聞いているというが、これは非常にやはり我々としては大きな影響を持つのですが、入るのか入らないのかはつきりしておいて頂きたいですね。
岡原昌男
84
○
政府委員
(岡原昌男君) この点はアメリカ各州の民法と申しますか、親族法と申しますか、さようなものを一々検討してみなければならんことに相成るわけでございますが、向うで配偶者という
言葉
を使う場合には、全部正式に挙式をして、何か私もよく知りませんが、式を挙げましてたしか届出の要件も揃
つて
いると思いますが、さような場合にだけ配偶者の取扱を受けているようでございます。なおこの点が事実問題として非常に私
ども
にもわからん点がございましたので、取扱の実際はどうするのかというふうなことを向う側と交渉いたしました
ところ
が、全部身分証明書に英文と和文と両方つけまして写真を添え、本人の資格、それから軍人軍属との
関係
、扶養の二分の一以上かどうかといつたような
関係
まではつきりする。つまり裁判管轄権までわかるような身分証明書を出す。かような打合せができております。
伊藤修
85
○
伊藤修
君
形式
的においては今の御説明において容易に認識できるかもわかりませんが、問題と
なつ
た場合において基本的にその人が対象としてのいわゆるアメリカ軍人軍属であるかどうかということが争いになることもあり得ると思うのですが、その場合において本国法によ
つて
いわゆる内縁
関係
をも夫婦と認められる場合においては、いわゆる家族としてこれを取扱うかどうかという点を明らかにしておいたほうがいいと思います。
岡原昌男
86
○
政府委員
(岡原昌男君) その点は結局問題の起きた人の出身の州の親族法を取寄せて検討するということになるのじやないかと思うのでございますが、なお或いはフエデラルの全般的な親族法があるかも知れませんが、これは或る
程度
私のほうで手を廻して調べてわかりかねたのではございますが、なお調べて間に合いますれば早速翻訳の上提出したいと思います。
伊藤修
87
○
伊藤修
君 その点は、我々がいわゆるこれらの随伴して来る
ところ
の家族について手が触れるか触れんか、殊更触れる者もありますまいと思うが、若し誤
つて
そういう問題を起した場合において、やはり相当の制約を受けるわけですから、私はできるならばアメリカ合衆国の各州のこういう親族
関係
のあれを明らかにお願しておけば結構だと思いますが、その場合において、家族であるかどうかということの認定は、
日本
裁判所の認定によるか、或いはアメリカ合衆国側のほうの認定が優先するのかその点はどうですか。
岡原昌男
88
○
政府委員
(岡原昌男君) 結局わが国の裁判所の認定によ
つて
決すると、かようなことでございます。
伊藤修
89
○
伊藤修
君 そういたしますと、アメリカ合衆国側の軍
当局
ですかの者が、それは国内決では家族だと言
つて
も、その
法律
なり規則なりを取り寄せまして
日本
裁判所が判断して、それらが入らないと認定した場合においては、
日本
裁判所の判断が優先する、それは明かですか、よろしいですか。
岡原昌男
90
○
政府委員
(岡原昌男君) 結局
事件
が起きました際の判断はわが国の裁判所においてこれをなすということになるわけでございます。なお、若しそれにつきまして更にアメリカ側が不服があるという場合も想像されるわけでございますが、さような場合におきましては、裁判所の認定は認定でそのままほかにこれを取消すとか何とかいう方法はございませんから、それで確定いたしまして、なお今後さような問題が起り得るかも知れんということについての合同
委員会
の協議事項にはなるかと存じます。なおさような場合について合同
委員会
でも話がまとまらんという場合には、一般
国際
法の原則に従いまして、例えば
国際
司法裁判所とか、或いはそこまで行くかどうか知りませんが、常設
国際
仲裁裁判所でございますか、さような機関においてこれを処理する、さような場合もまあ最終的には
考え
られるわけでございます。
伊藤修
91
○
伊藤修
君 第一条に関連しまして、一体本法において規律せんとすることは、いわゆる安全
保障条約
に基く
行政協定
に定めた
ところ
の基本的な定めに私は非常に逸脱しておるのじやないかと思うのです。この点はどうでしようか。あなたのほうとしては逸脱していないという御
答弁
であらうが、一体そこまで安全
保障条約
ですかによ
つて
私は表現しておるかどうか。率直に
一つ
安全
保障条約
の文字をお読み下す
つて
そこでどういう文字からそれが出て来るか、
一つ
文理解釈をお願いしたい。
岡原昌男
92
○
政府委員
(岡原昌男君) どうも大変な難問でございまするが、私
ども
は安全
保障条約
というものは非常に簡単なのでその
趣旨
を汲んで見なければわからん。で、その
趣旨
によりますると、
日本国
に現在何らの防備がないので、その安全を保障するために合衆国の軍隊が或る
程度
駐留するのも止むを得ない。さようなことになりますると、この軍隊と
日本
の行政権なり裁判権との間にいろいろな接触の問題が出て来る。さようなものをスムースに解決するための
行政協定
であろうと、かように読んでおりまして、その
趣旨
に則つた、我々のほうの
関係
で第十七条或いは第二十三条といつたようなものは大体その
趣旨
を逸脱せざるものと、さように理解しております。
伊藤修
93
○
伊藤修
君 この第三条に「アメリカ合衆国の軍隊の
日本国内
及びその附近における配備を規律する条件は、両
政府
間の
行政協定
で決定する。」とこうあるのですが、「その附近における」、これはさつき問題になり、お答えもあつたのですが、「配備を規律する条件」というのですね、この「配備を規律する条件」というこれだけの文字の中に一体本法のごときことをも予想しておるのでしようか。配備を規律する条件でしようか、これが……。
岡原昌男
94
○
政府委員
(岡原昌男君)
只今
申上げました
通り
この配備、つまり向う側が軍としてこれを配備しておく、そういたしますと駐屯といいますか、駐留の
関係
からいたしまして、いろいろ国内の行政権なり司法権なりその他の
関係
が接触して参るわけでございます。さような接触点を如何にスムースにいたすかということも
一つ
の規律すべき条件と申しますか、事柄とな
つて
来ると思いますので、従いまして安全
保障条約
第三条の
趣旨
はそこまで
考え
て読むべきものであろう、かように理解しておる次第でございます。
伊藤修
95
○
伊藤修
君 どうも
政府
の
考え
方は非常にアメリカさんの思わざる点まで私は思い過して、至れり尽せりのお
手当
をなさ
つて
おるように思うのですが、そういうお
考え
方の下に
国民
の
犠牲
は甘んじてこれを投げ与えるというような御
趣旨
じやないかと思うのですが、ですから必要以上にあなたたち御心配にな
つて
、悪い
言葉
で言えばおもねておるということになるのじやないですか。もつとアメリカ軍隊が
日本
に駐留することに直接害悪、いわゆる向うの不利益、軍隊の駐留に不利益になることのみに限定して、かような過去における軍機保護法にふさわしいような、匹敵するような
法律
まで作
つて
、徒らに
国民
感情を私は制約して行くということは、却
つて
アメリカ軍が
日本
に駐留してくれるという厚意を
国民
の間において非常な私は悪感情にむしろ導いて行く、駐留の
目的
が却
つて
それがために阻害されるのではないかと思います。もう少し大まかに駐留の本来の
目的
、いわゆるこの第三条に言うこの
言葉
を率直に受けて簡単明瞭にこれを規律するという行き方のほうがいいんじやないか。余り神経質的にこの点はどうだ、あの点はどうだ、こういうことまであなたがお
考え
にな
つて
、あなたが立案されたのですか、誰が立案したか知らんけれ
ども
、非常に忠実に立案されておるようですが、それはアメリカから勲一等か何か来るかも知れませんが、どうも
日本
側からは勲一等を差上げられないということになるので、その点どうですかね。
岡原昌男
96
○
政府委員
(岡原昌男君) 別にアメリカから勲一等をもらうつもりで立案したのじやございませんけれ
ども
、実はこの安全
保障条約
第三条というのは御指摘の
通り
非常に簡単な条文でございます。でそれが実際に具現したのが
行政協定
であろうかと。それで
行政協定
と安全
保障条約
との
関係
では大体この
程度
のことは実際上いろいろな接触が出て来て、止むを得ない
規定
であろう。併しながらこの
行政協定
の、私
ども
のほうの
関係
で申上げますれば十七条或いは二十三条、主としてその
二つ
の条文の
関係
においても、なお且つ私
ども
がこれは立法しなくともいい面があるだろう、さような点を先ず第一に
考え
まして、第二にはこの前逐条説明の冒頭の際にちよつと申上げました、できるだけ
日本
の国内法令を全般的にかぶせる、そうしてどうしても
日本
の従来の法令では律し切れない新たなる事態については、その橋渡しと申しますか、若干の交渉
規定
というようなものを入れようかと、実体的な
規定
につきましても、従来の刑事実体
法規
において賄えるものは極力これで賄おうという態度を
とつ
たのでございます。そこで
只今
少し余計な
ところ
まで心配しておるのじやないかというお
言葉
でございましたが、実は私
ども
といたしましては、このほかにも立案の
過程
においてはもうあらゆる事態を
考え
ましていろいろ検討いたしました末に、ほかの
関係
は全部これを落しました。例えば公文書として保護する必要があるかないか、或いは公印、公の印、これを保護する心要があるかないか、或いは公務員に対する職務執行妨害といつたようなことを書く必要があるかないか、或いはその他全般的にまだまだ
規定
すべきものがあるのではないかというふうなことも
考え
ましたけれ
ども
、一応現在の
法規
の範囲内においてさようなものが或る
程度
まで賄えればこれはこれでよかろう。で、どうしてもこの十七条或いは二十三条の
関係
で必要なる最小限度これを立案の対象に落して来たわけでございます。さような
関係
からいたしまして、結局私
ども
といたしましては本案の骨だけの立案と、さように
考え
ておる次第でございます。
伊藤修
97
○
伊藤修
君 どうも御
答弁
によりますと、非常に謙遜な
意味
においてお書きに
なつ
たようですけれ
ども
、これは尾も鰭もつけておる。どうも要らんことまでたくさん書き連ねておる。どうもあなたは非常に謙遜で、この間の御説明もそう伺つたのですけれ
ども
、どうも私
ども
見ると尾鰭をつけておるように思う。非常に我々
国民
としてはこれに脅威を感じておることは輿論であることは御
承知
の
通り
ですから、立案者はそういうお気持かも知れんけれ
ども
、どうもこれは私は拡大しておると思うのですが、今の立案の
過程
において公印、文書偽造、そういう文書に対する安全保障をお
考え
に
なつ
たということ、これは以てのほかです。そこまで
至つた
んじやアメリカの主権というものを我々は頂くことになるのですから、
日本
の主権とアメリカの主権と
二つ
を我々は背負
つて
行かなく
ちや
ならんというような
あり方
は屈辱的だと思うのです。できる限り我々はそういうものは排して行くという
考え
方であるから、そんな
考え
方が若しあるとするならば、きれいさつぱり忘れて頂きたいのですが、今後そういうようなお気持があるとするとまだまだあとから出て来るのであります。そういうお気持はお若いあなたですから、どうも抜いて頂かんと困るのですが、あなたがたがそういうことをお
考え
になると、
法務総裁
はそういうことを受けて立
つて
しまうのですから、信用しておるのですから、あなたたちを……。それだけはここで厳に
一つ
お願いしておきます。 それから第二条について、この第二条の区域ということですが、これも
場所
的の問題ですが、これは基本観念ですからやはり明確にして置かなければいかんと思いますが、これは勿論射撃場とか飛行場とか演習場等、そういうものが入ると思うのですが、これはこの問の御説明で棒を立てて明示するというのですが、それがたまたまその棒が接着して立てられておればいいのですけれ
ども
、非常な広範囲であることは常識的に予想される。又あそこの入口に
一つ
ここの入口に
一つ
というふうに、英文と
日本
文と両方立てると思いますけれ
ども
、これをぐるり一周して、これは入れるか入れんかと行
つて
見て入る者もそう恐らくあり得ない。どう吐こういう演習場というものは広い区域ですから、そういう場合において私はこれを犯すことが相当あると思うのです。だからこういう場合において、この区域を設定するについては、官報その他において明示するのかどうか、若し明示しないとするならば、これを犯した場合においてどうするか、この点を先ず伺いたい。
岡原昌男
98
○
政府委員
(岡原昌男君) 勿論この
施設
又は区域の範囲が決定いたしますれば官報で広告することになるだろうと思います。それから具体的に、或る人がその
施設
又は区域内に入る際に立札が見えなかつたという場合も事実あろうかと思います。知らずに入つた者は、勿論犯意がございませんから処罰ができない、かようなことになると思います。
伊藤修
99
○
伊藤修
君 この区域というものは、私は固定的の場合もありましようが、移動する場合も想像にかたくないと思うのですが、移動した場合においてはどうなるのでしようか。
岡原昌男
100
○
政府委員
(岡原昌男君) ちよつと区域の移動ということは、こういう場合でございましようか、例えば
一つ
の区域が設定されまして、後にそれに追加されるというふうな場合でございましようか、さような場合でありますれば、新たに又それに対しての追加の
手当
がされると、かようなことになりまして、又これも知らなければ問題にならない、かようなことになろうかと思います。
伊藤修
101
○
伊藤修
君 私のお尋ねするのは、こういう場合も
一つ
あると思うのですが、例えば富士の裾野で臨時に演習する、ここに入
つて
ならん、こういうことがあり得ると思う。だからそういう場合においては、即時に官報、新聞等で広告することも不可能だと思う。
岡原昌男
102
○
政府委員
(岡原昌男君) そういうふうな演習場がその日その日によ
つて
違
つて
来るから、区域が違
つて
来る、かような場合はないはずでございます。つまり一定の地域に区切られまして、その中で事実上今日はこちらで演習する、明日はこちらをということはございましても、それはやはり区域として一応全体の告示が出まして、それからの問題になるだろうと思います。それからなお単に区域だけではないのでございまして、その中に入ることを禁じた
場所
というふうに制限がしてございますので、事実問題としてどういうことになるのでありますか、その棒杭でも立
つて
、鉄条網でも張
つて
、針金線でも張るということに事実上はなるのじやないかと、かように
考え
ております。
伊藤修
103
○
伊藤修
君 これは
日本
軍隊の場合は、長年の間我々はならされておりまして、常識的にもよくわかりますが、根が
外国人
のことでありまして、向うの慣習があるのですから、例えば射撃場を或いは臨時の演習場を裾野に設けたという場合において、それは入
つて
ならんもんだ、司令官が禁ずる
命令
を出すかもわかりません、そういうことは保障できないと思います。あなたとしても……。それはそのときに今おつしやるように鉄条網をずつと作
つて
区域を設定するということもあり得ないと思うのです。そういう場合は入れないという見解をと
つて
いいのか、私は少くとも官報及び新聞にこれは告示すべきものだと思うのですが、どこそこは演習場でそこに入
つて
はならんとか、或いはラヂオで以て
国民
に知らしめるべきものだ、周知徹底の方法は事前に私は先ず講ずべきものじやないか、それを指示すべき意思ありや
否や
という点と、又そういうふうに司令官が立入禁止を指示した場合において、そのときからこの禁止区域という
法律
概念が出るかどうか、この二点を先ず伺いたい。
岡原昌男
104
○
政府委員
(岡原昌男君) 実際問題といたしますれば、
施設
又は区域についてはあらかじめこれを明らかにするということになるだろうと思いまするが、具体的にこの立入禁止の
場所
というものは又その中の一部になることがあるだろうと思います。これはお話の
通り
司令官或いはその部隊長というものがその都度、今日はこちら明日はこちらというふうに変る場合もあり得るのでございます。従いましてさような場合に一般の
国民
が、昨日はこつちでや
つて
いたから今日はこちらはよかろうと思うて入るような場合もあるだろうと思いますが、さような場合に若し立札もなし、単に司令官が自分の一存でそうきめたということでは、これは勿論この二条の
違反
の問題は生じないとさように御了承願いたいのでございます。それからなお立入禁止について
一つ
一つ
広告したほうがよかろう、或いは新聞にも明らかにしたほうがよかろうという点は御尤もでございまするが、この立入禁止が今も御指摘のように、例えば射撃場等におきましては今日はこちらの射撃場、明日はこちらということもございましようし、それを一々載せるのも事実上非常に煩わしいということになりましようから、むしろそれよりもわかりやすく現場に成るべくたくさんの立札を立てまして、それを一般の人がそばに行けばすぐわかるというふうにしたほうが親切じやないだろうかと思いまして、大体さような取扱いにしまして打合せが進んでおる次第であります。
伊藤修
105
○
伊藤修
君 それは現場に行
つて
それを目で見て認識して、それによ
つて
知り得るという方法も
一つ
考え
るべきが当然でしよう。それから私は周知徹底ということはやはり
為政者
として大切じやないかと
考え
ます。だから少くとも、例えばよくあります、今日は伊良古岬何海里の範囲においては通航を禁止するというようなラジオ放送がありますね、これはひとり陸上ばかりじやない、海上の場合も想像できると思いますが、やはりそういうことは新聞、ラジオ、官報、少くとも私はこの三つの方法で以て事前に周知徹底するようにこれは合同
委員会
、或いは
政府
の
政令
等で以て、先ず広告するという
考え
方を基本的に謳
つて
頂かなく
ちや
困ると思うのです。
岡原昌男
106
○
政府委員
(岡原昌男君) 大変御尤もな御
意見
でございますので、そういう方向に案を進めて行きたいと思います。
伊藤修
107
○
伊藤修
君 それから今の場合はこの入る場合ですが、今度逆に退去不応罪、国内法で言えばそういう場合も想像されるのですね。いわゆる例えば、今日この地域は全体演習場として設定する、アメリカ軍がそう決定した場合、合同
委員会
もそう決定した場合、その地域内において農民なり住居民なりがおると、自分の
生活
権を根柢から失うのだと言
つて
出て行かない、それはやはり民事特例法によ
つて
賠償を、或いは建設
委員会
にかか
つて
おる土地使用に関するあの
法律
の
適用
について公訴するというような場合があり得ると思うのですが、これが本法に言うこの第二条によ
つて
退去不応罪になるかどうか。
岡原昌男
108
○
政府委員
(岡原昌男君) この点につきましては住居侵入並びに退去不応罪
関係
につきまして、実は我が国の学説判例の余りはつきりしない
ところ
でございます。そこで実はこの点衆議院の
法務
委員会
につきましても問題の提起がございまして、一応、一応でございますよ。理論といたしましてはかような
考え
方はできまいか、と申しますのは、この
一つ
の土地に入
つて
住居を持
つて
おる、この住居に対して侵害があつた場合には住居侵入罪が成立する、若しもその住居が不適法なる理由によ
つて
そこに設定されてありましても、その住居権は保護しなければいかん、さような建前からやはり侵入罪は成立する、これは従来学説判例が大体一致している
ところ
でございます。そこで問題はこれを逆にいたしまして、
一つ
の土地なり住宅なりに人間が住んでおる。その土地又は住宅が本人の所有から離れ、或いは賃借権の期間が満了し、或いは
契約
が解除された。結局そこに住む権限がなく
なつ
た、或いは
只今
御指摘の土地収用に関する特例等のことで、やはりその権限がなく
なつ
たといつたような場合にどうなるか、ここで問題が出て来るわけでございます。さような点につきまして実は大分、一応衆議院の
法務
委員会
で積極説を唱えて御
答弁
申上げておきました。つまりさような場合につきましても、本人が無権限でそこにおる限りにおいては、その無権限なる居住なり或いはそこにおる、介在ということは許さるべきものではない、つまり正当な理由はないというふうなことからして、それに対しては退去不応罪というものが成立するのではないかというふうに実は申上げておきました。その後ざつくばらんに申上げますと相当問題な点がある。なお衆議院の
法務
委員会
でもその点は理論的にはそうなるだろうけれ
ども
、実際問題としてはさような場合は余りないだろう、それから若しさような事例があ
つて
も、検察庁で
起訴
するとか、そういう問題にはなるまいと思うけれ
ども
、理論としてはそういうことが
考え
られると御
答弁
申上げました。そこで
研究
いたしました結果、実は私の反対説が相当あるのでございます。そこで皆で議論をいたしました結果、理論的にはそういう説もできるけれ
ども
、そういう場合において土地収用法なり或いはその特例法等によ
つて
適式にこの土地家屋等の引渡しを命ずる、そうしてその上で本人を退去させるというのが筋じやなかろうか、そこでこの不応罪を以て律するのは如何なものであろうかということの
意見
のほうが全般的には多かつたのございます。そこでこの点は理論的には相当疑いがあり、
日本
の学説判例に実は
一つ
も触れておらない点なのでございますが、暫く消極的に疑いを存して従おうか、かような態度を実はと
つて
おるのでございまして、この点実はお教え願いたいとむしろ私のほうで
思つて
おるむずかしい問題なのでございます。
伊藤修
109
○
伊藤修
君 私が聞いておるのだからこつちから教えるというわけにはいかんが、立案者の
考え
方が那辺にあるかということを私はお尋ねしているのであ
つて
、あなたの積極説ということになると、いろいろな点において私は異論を持つ、少くとも従来の学説判例においてもそこまで行けるかどうかということも
考え
られなくてはならん。今日の
国民
生活
の面から見ても、むしろあなたのような積極説をおとりになるとするならば、非常な問題を私は投げかけると思うのですが、いわんやこの
法律
によ
つて
そういう積極説をとるということになりますならば、これはむずかしい問題だと思う。そういう事例はあなたはないとおつしやるが、少かろうとおつしやるが、むしろたくさんある。今後或る地域を演習場に設定する射撃場に設定するという場合において、そこに先祖代々永住しておつた
ところ
の農民の耕作権を奪われ、その居住権は奪われる。その確定によ
つて
あなたの言うように積極説をとれば、そのときから理由なきものとしてこの
適用
を受けるということになれば、むずかしい問題です。
生活
の根底を失い、且つ又本人は刑務所に行かなければならないという事態が生ずるものですから、これは従来とも異論はたくさんありますけれ
ども
、少くとも消極説のほうが強いと私は
考え
るのですが、この点は
法律
で明確化するか、解釈上明確化して置く必要があると思うのですが……。
岡原昌男
110
○
政府委員
(岡原昌男君) 実は立案の当初にはその具体的な事例についての
研究
と言いますか、そういう場合は起るまいという、ちよつと
言葉
をお返しするわけですが、
考え
方が先に立
つて
いたために、理論的な検討が足りなかつたということは率直に認めます。そこでどうして起るまいかというその点でございますが、土地収用の実際の手続といたしまして、本人が納得してその土地を明渡してどこかへ出て行く、そのあとで区域又は
施設
として立札を建てる、立入禁止もそのあとでやるというのが、実際の今度の打合せの大要なのでございます。つまり若しもその中に人なんかがおるということになりますと、それに対して立入禁止というのも
意味
がないのでございまして、さようなことはこれをせんで、全部きれいにしてから
施設
又は区域というふうな手続をするというふうな取扱いになり、殊に立入禁止の点になりますと、更にその点がはつきりして参ります。さような場合は実際起らんというような話の下に実は簡単に
考え
ておつたのでございます。衆議院の
法務
委員会
のときにもその点咄嗟の御
質問
でございまして、一応理論に走
つて
、実際上いささか穏当を欠くような結果にも
なつ
たのでございますが、その点はその
答弁
のときにも、さような際には十分違法阻却の問題だとかそういう点で別に律する余地があり、そうしてそういう場合が多かろうということは附加えておいた次第でございます。そこで
只今
の御注意もありますし、この点は私
ども
としては消極説で行くということでこの前話をきめた次第でございます。
伊藤修
111
○
伊藤修
君 これはあなたが事態を甘く見ていらつしやるのですが、御経験がないかも存じませんが、今日私の聞いておる
ところ
でも、例えば米子附近における
ところ
の演習場ですか何ですか、アメリカ軍が接収しようとしている。現にそれの闘争を開始している。あの辺で相当問題にな
つて
いるように、私が山陰地方に行つたときに聞いた。これは従来の農民の姿であればあなたのようなことが想像せられますが、併し今日は少くとも共産党の人々らは、得たりかしこしで抗争をするにきま
つて
おります。そうするとその一軒なり二軒なりの農村の人は、これらの人の指示によ
つて
立退かない。併し軍の使用に供する場合において、その一軒があ
つて
もなおほかの
場所
でできるのでありますから、そうすると一軒はそのまま真ん中に置いて、それを演習場として立入禁止をする。その場合には幾つか問題が起
つて
来る、又現に起りつつある。これは
一つ
の闘争、いわゆる反米的な闘争の
一つ
の課題としておるのですから、いわゆる戦術として今日とられておる。これはもうすぐ起
つて
来る問題ですよ。これは共産党は撲滅するのだからそれは
差支
えないと言うけれ
ども
、それは共産党でない人が、善良な農民がそういう指示に基いてそれを合法化すべくそこに居坐
つて
いる人がある。それが直ちに本法によ
つて
それを退去不応罪で以て、いわゆる本法の第二条で処罰するということになりますと、これは非常に
国民
としても迷惑至極なんです。これは違法阻却、いわゆる犯罪が成立する後に違法阻却で以てこれを解消するという
考え
方でなく、最初からそれは犯罪が成立しないのだという私は解釈で行くべきではないか。あなたのさつきの
答弁
というものは、いわゆるそれが間違つたとは申しませんが、
一つ
の学説ですから、そういう学説は本法のような場合においては、とらないのだ、消極説であるのだというようにはつきりして私は置かれるほうがいいと思うのですが。
岡原昌男
112
○
政府委員
(岡原昌男君) 御説の
通り
私
ども
も
只今
考え
ておる次第でございますが、これは消極説に解するつもりでございます。なおさような場合に別に土地収用法の準用を受けます、例の建設
委員会
にかか
つて
おります
法案
におきまして、土地収用法はさような場合に、行政
関係
が全部きまりまして、収用と確定した以上は、その物件を引渡さなければいけない、そういう
規定
がございまして、その引渡しをしない場合には罰則がかか
つて
おる、さような
規定
がございますので、さような場合においては引渡さざりしという点において別個の問題は出ても、この本条の問題にはならない、かように理解する次第でございます。
伊藤修
113
○
伊藤修
君 その場合において
法律
的引渡しか、事実上の引渡しを要するのですか、どつちですか、細かい
ところ
に入りますけれ
ども
。
岡原昌男
114
○
政府委員
(岡原昌男君) 土地収用法の
関係
でございますね。
伊藤修
115
○
伊藤修
君 ええ。
岡原昌男
116
○
政府委員
(岡原昌男君) 大体事実上の引渡しではなかろうかとかように存じております。
伊藤修
117
○
伊藤修
君 ちよつとその点、なかろうではいかんな、どう解釈するか、あの
法律
の解釈。
岡原昌男
118
○
政府委員
(岡原昌男君) 実は主として民事
関係
でございますので、自信のなさそうな
言葉
で表現いたしましたけれ
ども
、土地収用法の性質上から言いまして、その物件が引渡しを完了しなければ収用の
目的
が達せない、さような
趣旨
でございますので、これは実質上の引渡し、さように理解するほかないかと存じます。
伊藤修
119
○
伊藤修
君 これは事実上の引渡しということになりますれば、結局その中に居住しておる者は皆退去しておるということになりますか、それから後は結局退去不応罪になる、こういう見解にな
つて
おるわけですか、どうなんですか。
岡原昌男
120
○
政府委員
(岡原昌男君) 先ほどのように消極説を唱えて、それに確定いたしますればさような問題は起きないのでございます。その前後にかかわらず、引渡しだけの問題にな
つて
参ります。結局事実上その土地なり建物なりを引渡さないという点だけが土地収用法の問題にな
つて
来る、かような次第でございます。
伊藤修
121
○
伊藤修
君 その場合において土地収用法によ
つて
事実上の引渡を完了したという場合においてなお且つ抗争をして、その附近に、自分の従来の家敷内において小屋掛けをしておるとか、或いは納屋に寝ておるとか、或いは軒下で寝ておるというような場合において、退去不応罪が成立するかどうか。
岡原昌男
122
○
政府委員
(岡原昌男君) さような事実にな
つて
参りますと、まだ現実に引渡しを終えたということにはならないだろうと思います。つまり本人の支配を離れまして、そういうものから全然手を引く、簡単に申しますと手を引くということでなければ、まだ引渡しを完了しない、かように解するほかないと思います。
伊藤修
123
○
伊藤修
君 そうすると、要するに本人の、従来の所有者若しくは居住権者の支配に属すると客観的に認められる場合においては、まだ引渡しがないものと、こういう解釈してよいのですね。
岡原昌男
124
○
政府委員
(岡原昌男君) つまりその土地の上に新たに小屋掛けをするとか、或いは軒下に住むということになりますると、その土地に対する事実上の支配権がまだ残
つて
おります。支配権というと
法律
上のあれになりますが、事実上の支配が残
つて
おります。さようなことになりますると、やはり土地収用の本来の
目的
が達せられませんので、さような場合はまだ完全なる引渡しが済んでない、かようにな
つて
来ると思います。
伊藤修
125
○
伊藤修
君 私のお尋ねする最後のことは、いわゆる
法律
上の支配権はなくなる。併し事実上の支配は存在するという場合においては本法の
適用
はないということになるわけですね。
岡原昌男
126
○
政府委員
(岡原昌男君) 本法と申しますと、この二条は、第二条はつまり
只今
申しました
通り
全然土地収用法との
関係
はないのでございまして、
只今
お話のように、そこに引続きおる限りにおいては二条の問題はない、例えば引渡しを終えた後又改めて入
つて
来るといつたようなときはこれは二条
違反
の問題が出るにいたしましても、引続きおるという場合においては土地収用法の罰則の問題は起きましても、こちらの問題は起きて来ない、さような
趣旨
でございます。
伊藤修
127
○
伊藤修
君 だからその場合において、事実上支配力を行使してそこにおるという場合においては、入
つて
おるということなのですから、而も禁止区域を設定してしまつたときに、設定しなければ問題はない、そういう事態を
承知
しつつ禁止区域に設定してしまつたという場合に、なお且つ事実上の支配力を行使して、自分の所有若しくは自分の居住しておつた
ところ
に事実上の支配力を行使しておるという場合において、いわゆる入
つて
おるもの、入つたものということになると思うのですが、そういうものは本法においていう、国内法で言えば退去不応罪にはならない、本法においても入つたものとしてこれを処罰しないということになるわけですね。
岡原昌男
128
○
政府委員
(岡原昌男君) 引続き入
つて
おる限りにおきましては、新しく侵入
行為
はないと同時に、先ほど申したような
考え
方で、その点についての退去不応罪はない、かような
趣旨
でございます。
小野義夫
129
○
委員長
(
小野義夫
君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
小野義夫
130
○
委員長
(
小野義夫
君) 速記を始めて。それじや今日はこれで散会いたします。 午後三時四十二分散会