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1952-03-14 第13回国会 参議院 法務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月十四日(金曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————   委員の異動 本日委員小滝彬君辞任につき、その補 欠として加藤武徳君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小野 義夫君    理事            宮城タマヨ君            伊藤  修君    委員            加藤 武徳君            左藤 義詮君            鈴木 安孝君            長谷山行毅君            岡部  常君            吉田 法晴君            齋  武雄君            一松 定吉君            羽仁 五郎君   国務大臣    法 務 総 裁 木村篤太郎君    文 部 大 臣 天野 貞祐君   政府委員    法務検務局長 岡原 昌男君    法務特別審査    局長      吉河 光貞君    法務人権擁護    局長      戸田 正直君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君   事務局側    常任委員会專門    員       長谷川 宏君    常任委員会專門    員       西村 高兄君   参考人    東京大学学長  矢内原忠雄君    警 視 総 監 田中 榮一君   —————————————   本日の会議に付した事件検察及び裁判の運営等に関する調査  の件(東大事件に関する件)   —————————————
  2. 小野義夫

    委員長小野義夫君) それでは只今より委員会を開きます。  前回に引続き東大事件を議題に供します。本日は政府より法務総裁文部大臣出席されますが、なお参考人として矢内原東大学長田中警視総監の御出席を頂きました。御多用のところ矢内原総長には正確に御出席を頂きまして誠に有難く存じます。早速質疑に入りますが、ちよつと念のため申上げますが、委員長としては本日午前中にこの委員会は終了いたしたいと思いますので、若し時間が非常にその前に切迫するようなことで質疑者が多い場合には、時間の割当を決定して進行したいと思います。
  3. 吉田法晴

    吉田法晴君 この東大問題につきまして、最初文部委員会連合審査をやつたわけでありますが、私は東大事件本質学問の自由、学園自治ということでございますので、その点はむしろ現在進められております文部委員会活動になつておると思うのです。私ども今まで承わつて参りまして感じましたことについてでありますが、問題は文部大臣お尋ねをするのでありますが、私ども今度の事件心配をいたしますのは警察側において証言を取消された点もございますが、学内に入つて従前活動を続ける、それがパトロールだけでなくて身元調査その他のものも含めて、これは職責上と言いますか、警備上続けるであろうというお話がなされて、福井君の起訴その他につきまして、むしろ警察手帳が取られた、或いは公衆の面前で詰問を受け、或いは吊し上げを受けたということについての感情的なものが相当強いとは思うのでありますけれども、何と言つて思想或いは思想動向という言葉が使われておりますが、そういうものが警察活動の中心である、そしてその点については今後なお続けるというお話を聞きますというと、別の意味の特高警察回復云々という点については、これは別に私とも考えて、審議してもらいたいと思いますけれども、問題はこのときの東大事件によつて直ちにそういう工合になるとは考えませんけれども曾つて京大事件その他のように次第に学問の自由或いは学園自治というものが侵されて行くのではないかと、こういう非常な心配を持たざるを得ないのであります。その点について或いは学生の行過ぎがあつたかと思いますけれども委員会に出ておいでになりました矢内原総長或いは尾高教授の心境を考えて見ますと、相当私はまあ悲壯なものがあるように思うのであります、この学園学問の自由を守らるべき立場にございます文部大臣、その文部大臣も普通の官僚の文部大臣であるならばそういう点強く申上げませんけれども知識人であり或いは何と申しますか、学者であられる、天野文部大臣は、この問題について相当強い決意とそれから努力をなさるべきではないか。期待がかけられておると私ども思うわけであります。この前の質疑を聞いておりまして、一応何と申しますか、ひと通りの御弁明はなさるけれどもその点についての深い御決意、御意思というものを私ども承わるに足りないようにも思うのであります。重ねてその点はつきりした文部大臣の御決意を承わりたいと思うのであります。
  4. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私も多年大学におつたもので、大学というものはどういうものかということも幾らかわかつておるつもりでございまして、大学自治というようなことはどこまでも守つて行くという考えでございます。又私の考えでは警察も戰前の警察と現在の警察というものは非常に変つて来ておるものではないか。弊視総監大学学長、私などでよく話合えば自分自治を守つて行くということはできる。それが若し侵されるというようなことの場合には、自分たちがどこまでも侵されないようにして行こうという考えでございます。
  5. 吉田法晴

    吉田法晴君 学園自治が守られるように協議をして参りたい、なお法務総裁なり或いは警視総監等と打合せて行くならば警察側活動せられるについても支障はなかろう、調和が図られるであろうと、こういうまあ御答弁のようでございますが、それは私ども期待をいたします。それからこの前文部次官通牒は取消さない、双方からお話がございましたし、恐らく大綱はそうなると思うのであります。併し従前通りパトロールでなくて警備上、或いは身元調査という言葉で呼ばれましたけれども思想動向調査その他がなされておる、こういうことが警察側によつて言われております。今日警視総監は来ておられますからそのことをこれからお尋ねして参ることだと思うのでありますが、今度の問題の本質をなしますものについては私ども残る危険性を感ずるのであります。一応文部次官通牒は生きておる、修正をされない、それが双方によつて確認されるということになりましようけれども、実際にはその裏で教授思想動向調査がなされる、或いは学校側と十分な連絡がなされ、そうして了解の下に入られるというようなことでなくて、今度のようなことが繰返されるのではないか。これは今度の事件、その後の警察側の話を聞いておつて、私どもその点についてはなお疑問が残るのであります。残るだけに、この点についてどういう工合文部次官通牒を確認するというだけでなくて、文部大臣として具体的にどういう方法をとられるか、それを承わつて、そして学園自治学問の自由は守つて行くのだ、こういうことを承わりませんと、ただ文部次官通牒は守られるだろう、或いは学園自治が侵されることはないだろうと言われましてもこれは安心できかねる。恐れ入りますが重ねてその辺の具体的な御構想を含めて一つ意思を承わりたいと思います。
  6. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 次官通牒について、次官通牒解釈等にあいまいな点があつてはいけないという考えから、ややあれを詳しく限定したものを現に警視総監のほうに差出して協議を始めております。そういうことにしてお互いに理解し合つて行けばよい。併し何かそこに特別な具体的なことが起つたときには起つたときで十分にお互いに胸襟を開いて相談をしよう、私はそう思つております。
  7. 吉田法晴

    吉田法晴君 具体的に協議をすることによつてこういう問題の再発を防いで行きたいという御発言了承いたします。その具体的な方法について概括的で差支えございませんが、お漏らし頂けるならば参考お話を頂きたいと思います。
  8. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) すでに今申しましたように次官通牒というものがいろいろな解釈上の疑問を起してはいけないからして、これを詳しく限定したものをすでに出して警視庁話合中である、それも一つの具体的事実でございます。    〔委員長退席理事伊藤修委員長席に着く〕
  9. 一松定吉

    一松定吉君 私のお尋ね申上げたいことは、大学学長をいじめるとか、警視総監をいじめるとか、そういうようないやしい考えを少しも持つておりません。  先ず質問をする前に私の意見を申上げておきますが、私は本当の最高学府である大学がよく国民の信頼によつて正しく発展し、そして立派な人材を数多く養成して国家の期待に副うように努力して行きたいと念願するの余り、又警察官が法を嚴正に執行して社会の秩序に貢献するところ多かれ、かような念願から私のどうも……今までの皆様のお考えかお取りなつた処置についてわからない点を一つ明らかにして、そうして今私の申上げました目的に達成するように将来御精励を願いたい、こういう意味においてお尋ねするのでありますが、どうかそのつもりにおいて御答弁をお願いいたしたいのであります。法務総裁文部大臣に御出席を願いましたのは、この両者やり方につきまして意思の若し食違うようなところがあればそういう点を一つ両者において御調和をお願いして、将来再びかくのごときことの起らないようにして頂きたいと、こういう意味において御出席を願つたわけでありますから、この点も一つ御了承賜わりたいのであります。  先ず警視総監に伺いますが、大学の生徒がいわゆる共産主義を奉じて、共産活動をしているというような事実があるかということが前々回のお尋ねのときから申立てられているのでありまするし、又我々も新聞記事等によつても、どうも大学学生の或る一部にはそういうような共産活動とか共産細胞とかというようなものを以ていろいろな国民心配するような行動のあることを承知しているのでありますが、具体的にあなたが職務上関知しているような事例を二、三挙げて頂くことができれば大変有難いのであります。
  10. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 只今の御質問に対して私の知り得る範囲をお答えいたしたいと思います。東大内におきまする細胞はすでに解消いたしたはずでありまするが、現実にはその残滓と申しまするか、いわゆる再建細胞無届相当政治的活動を行なつているような傾向があるのでございます。前回法務委員会にもビラ等をお見せいたしたと思つておりますが、そのビラの中には東大再建組胞東大細胞又は東大教養学部細胞というような署名入りビラ等が頻繁に撒布されているのであります。それからかような問題が起つて相当世間を騒がしておつて、かかる際ビラが今もなお東大内において撒かれているのであります。その一つとして、ここに持つて参りましたが、この人民大学という、こうしたビラが多数学校の構内において撒布されております。これは三月の七日、八日、九日、十日と四日間に亘りまして連続して、こうしたビラが撒かれております。併しこのビラは果してこれは法に触れるかどうかはまだ私は研究をいたしておりませんが、これは別に政令第三百二十五号違反とか、そういうことはなかろうかと思いますが、併しこれにつきましては東大当局やり方につきましても何か誹謗いたしておるようであります。それからフラク活動としてもう一つここに申上げたいのは、先般練馬の管内におきまして印藤巡査小田原製紙の第一組合員の手によりまして惨殺をされたのであります。これにつきましては警視庁といたしましても思想的背景のある犯罪ではないかというような見地から、相当厳重に調査いたしました結果、大体犯人と認められる容疑者を逮捕いたしまして、これは検察当局において起訴いたしておるのでありますが、その中にこの関係者家宅捜査をいたしましたところ、これは練馬区旭町の或る人でありますが、その家宅捜査いたしましたところが、この地区で恐らくこのビューローで印刷されたと認められるような徴兵拒否青少年婦人懇談会志茂準備会と、こうした警察手帳内容を印刷しました手帳が出ているのであります。    〔理事伊藤修退席委員長着席〕  この東大内のいわゆるフラク活動は、横にこうした成増地区フラク活動とも何らかの連絡があるということが、これによつて一応判明できるのではないかと考えております。  それから先般ポポロ事件相当問題になつたのでありますが、これは学術研究、單なる演芸、いわゆる劇の研究であるという学校当局の御解釈でございました。私どももそうなくてはならんと考えているのであります。併しながら警察の見方としましては必ずしもこれが学術純然たる劇の研究であることは断定できない証拠があるのであります。それはこの東京大学学生新聞、これは二月十四日の木曜日の発行の学生新聞でありますが、この一番上に「再軍備反対署名始まる、反植民地デーポポロ劇発表会」と新聞に出ておるのでありまして、このポポロ劇というものは、單に芸術的な、或いは劇の研究ではない、少くとも二月二十一日に全国的に行われました反植民地デー一環としてこれがいわゆる政治闘争一つ形態としてなされたものである、かように一応解釈できるのであります。従いまして、そのポポロ劇の開催される前に「沖繩地区より帰りて」として、労働者現地報告があり、又「松川事件の真相について」と題して報告があり、又澁谷駅頭における街頭演説が禁止された状況についての演説があると、かようなことは單に私はこの純然たる劇の研究即ち学内活動純然たる劇の学内活動であるとは断定いたしかねるのでありまして、一応反植民地デーの、いろいろなそのときに鬪争が展開されたのでありまして、この反植民地デー鬪争は、私どもは少くとも或る一部地下勢力指導に基いて現在行われておりまする行動一つ形態としてなされた活動のその一つの端つこの鎖と申しますか、その一環としてなされたものであるというようなことが考えられるのでありまして、現在東大内のフラク活動は、表面的にはまとまつたフラク活動はしていないと思うのでありますが、いろいろ学内の、いわゆる学内活動学内のいろいろな劇の研究であるとか、或いは講演会でありまするとか、そうした方面に或る程度食いついて、それを利用するものではないかと考えております。このポポロ劇団そのものは私はそうしたものではないかも存じませんが、こうしたものがその一部の者によつて、一部のフラクを形成している者によつて利用されていると、いうことが一応わかるのであります。
  11. 小野義夫

    委員長小野義夫君) ちよつと御注意申上げますが、成るべく一つ時間が非常に少いので簡單にお願い申上げたいと思います。
  12. 田中榮一

    参考人田中榮一君) それからなお時間がありませんから詳しいことは申上げかねるのでありまするが、すでに学校内におきましてこれは学校当局も無許可と申しますか不許可にされておるのでありますが、曾つて東京都知事立候補者出隆氏の選挙対策選挙打合せ等学内において二十六年の四月に行われておるというような事実もございまするし、又いろいろこうしたことがとかく行われる虞れがあるのでありまして、これらのいろいろな、まだございますが時間がありませんから、ちよつと説明いたしかねるのでありまするが、こうしたことを考えてみますると、やはり学内に現在フラク活動相当活発に行われておるのではないか、勿論この点につきましては学校当局といたされましても非常に熱心にこれらについて或いは御監督、御指導は願つておると考えておりまするが、併しそうは言うもののその間隙に乗じて、かかるフラク活動が非常に功妙に行われておるという事実は、これはいろいろの点から、治安維持という観点から、私どもとしましてはこれを看過できない一つの現象であろうと、かように考えておる次第でございます。
  13. 小野義夫

    委員長小野義夫君) ちよつと議事の進行で御相談申上げたいのであります。速記をとめて下さい。    〔速記中止
  14. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 速記を始めて下さい。
  15. 一松定吉

    一松定吉君 だんだん時間の制限を受けましたから簡單に申上げますが、今警視総監お話から見ますと、東大学内東大細胞というものがフラク活動をやつておるというようなことは認められるように思いますが、学長のお考えは如何ですか。その点。
  16. 矢内原忠雄

    参考人矢内原忠雄君) 私簡單に申したいのでありましたが、今総監から御指摘になつた事実についてちよつと申さして頂きます。最近ビラが毎日出たということでありますが、私の確認しておるものは二種類だけであります。一つ人民大学なるものの号外でありまして、それは署名がありません。で、警察はどこでそれを手にお入れになつたか知りませんが、これは大学当局が或る教室で大量に押収して帰りました。内容は、大学当局警察と通謀して云々という、大学当局に対する誹謗であります。これは勿論署名はありませんけれども無届の不埓な号外でありますから、これは早速押収いたしました。それからもう一つは今逮捕になつております福井という学生勾留事由開示の公判ですかがありまして、それについての報告演説会を開く、報告会を開くことは大学に願出がありまして許可いたしました集会であります。その教室の入口でそのプログラムと言うか、こういう報告会があるということを配つておりました。この二種類しか東京大学においては確認できない。それからなお不穏なビラ云々ということでありましたが、この前の法務文部連合委員会で問題になり本冨士署長が朗読いたしましたあのビラがございます、労働者云々というあれは、そのときも或る議員のかたから御質問があつたように、署名がありません。それで拾つた場所も不明確であります。これについては衆議院の法務委員会において同じビラが取上げられましたときには、本富士署長法学部二十番教室において拾得したということを申されたのであります。それで私はそのときは黙つて帰りましたが、あとで調査しますと法学部には二十番教室というのはありません。それは昨年の十二月十三日に拾得したという警察報告でございますが、昨年の十二月十三日にはすでに法学部二十番教室経済学部教室と改称されておりまして何日も何週間も何カ月もたつた後のことなんであります。それで無署名ビラ拾得場所が本学内に実在しない場所でお拾いになつビラ、而も東大においては巡視が絶えず巡回して警戒しておりますから、この種のビラは漏れなく大学の手に入るのでありますがその問題のビラ大学において誰も見たことがないのであります。それでもう一つ、昨年の四月の何日かに出もと教授選挙運動の会合があつたようにおつしやいましたが、これはそのとき民科懇談会というものが無届で開かれまして、これを発見いたしまして解散を命じたのであります。その会に出隆氏と阿部行藏氏が出席せられて講演をなさつたということでありますが、それが選挙演説であつたかどうかというところの確証はありません。恐らく警察のほうにおいては確証があるかも知れませんが、大学においてはそれは確認できなかつたのであります。事実関係はそうであります。併しながら東大細胞名ビラの撤かれておることは事実であります。撤かれて来ましたし、三月五日に撤かれました。三月五日に撤かれましたビラ大学自治を擁護しろ云々という内容ビラでありますが、これも大学が発見して押収し、又頒布を禁止したのであります。それで東京大学内にその禁ぜられた非公認団体である東大細胞というもの、即ち禁じられた団体である東大細胞なるもののビラが撤かれておるということは非常にいけないことでありまして、私どもは極力それを取締つており、今後も取締りを強化するつもりでおります。
  17. 一松定吉

    一松定吉君 私は事実を事実として突きとめて、それを糾彈しようという考えは持つておりません。今総監お話になりましたことと学長お話なつたことだけによつて、私はもう十分です。結局大学学内にそういう不穏なビラが撤かれておるようなことがある。或いはポポロ劇研会の当初において、「沖繩より帰りて」というような話をし、松川事件警察官が勝手にでつち上げた事件であつて云々というようなこと、或いは澁谷駅頭においての演説会についての演説をやつたという事実だけでもう結構なんです。そうしてみると総長に、学長に引続いて伺いますが、この教育基本法の第八条第二項、これによつて見ますると、「特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」という規定があるのですからして、これは勿論大学内においても守られておることであろうと思うのですが、そういうことが守られておるとすれば、今のようなポポロ劇団松川事件を主題にして、そうしてやつたとか、或いは澁谷駅頭においてそういう反植民地的な演説をしたというようなことがあれば、これは私は学校としては取締らなければならんものだと思うのですが、その点についての学長のお考えは如何ですか。
  18. 矢内原忠雄

    参考人矢内原忠雄君) 先ほど申し落しましたが、劇団ポポロの時のプログラムに「沖繩より帰りて」と題して……というようなことはありません。総監の先ほどの「題して」とおつしやいましたことは、私の立場から訂正しておきたいと思います。あれは開幕以前に或る一人のものが立上つて沖繩における学生状況などを話をしたということでプログラムに入つてつたのではありません。それから松川事件の何とかと題してというのは、これは「題して」は間違つておりまして、あの劇の「素材について」という題で話をいたしました。それでなお東大学生新聞云々という総監の御説明、これも誤解を招きますので申添えておきたいと思いますが、学生新聞に書いてある記事大学がそれによつてこの劇団ボポロの催しがその一環であると認めて許可したのでありません。劇団ポポロの性質は前回にも申上げた通りでありまして、特に駄目を押して、政治的目的はないということを確認してのちに許可したものでありますから、新聞記事に対しては大学当局は責任を持てないのであります。
  19. 一松定吉

    一松定吉君 今あなたのお話を承わつてみると、何もかも皆否認してしまうようなことで、私はそれが事実であればそれは決して反対はいたしませんが、そういう噂が、そういう行動学内において行われたということであれば、それはあなたが否認なさつても、外部の人が大学学生の中にこういう共産活動をする人があると思うというようなことについては、これは他人の思想はあなたは反対できないわけです。だから、ここで先般資料として配られました、一九五一年十一月三十日、日本共産党東大再建細胞という名前で、これはあなたに直接関係あることだからわかるでしよう。「総長には平和を守り再軍備反対する矢内原氏を」という題でこれはビラを書いている。この中を見ますると、いわゆる再軍備反対する人間でなければならないのだ、吉田内閣に対して反対行動を嚴守することのできる人でなければならない、それには矢内原氏がいいというようなことも書いてある。こういうことから見ると、これは私は一つ政治活動だと思うのです。こういうビラの撒かれたことはやはり御否認なさるのですか。それはあつたとお認めになるのですか。その辺はどうでしようか。
  20. 矢内原忠雄

    参考人矢内原忠雄君) 先ほど申上げましたように、東大細胞名ビラの出ていることは私確認いたします。ただ総監のおつしやつたことが事実に違つておるから申したのであつて、そうして教育基本法第八条は勿論嚴重に守つております。それでその教育基本法第八条が学生をも含むかどうか、これはこの前一松さんが学生は含むというふうにおつしやつた点が、その点疑義があるように私どもは伺つておるのであります。但し東京大学としては、大学研究教育の場であるから政治闘争の場とすべきでない、こういう建前から学生政治目的を持つた活動学内においては禁じております、その第八条の規定如何にかかわらず。
  21. 一松定吉

    一松定吉君 そうするとちよつと私はあなたと意見が違いますが、教育基本法学生には適用されないで、教職員にだけ適用されるというお考えですか。
  22. 矢内原忠雄

    参考人矢内原忠雄君) これは教育基本法解釈について疑義があるということを私は聞いております。それは私よりもむしろ国会においておきめ願つたほうがはつきりしでいいと思います。
  23. 一松定吉

    一松定吉君 教育基本法は、教育に従事する人は勿論、教育を受ける人も勿論この教育基本法の範囲内において行動しなければならんと、私はかように考えております。教育基本法というのは、生徒はどうでもいいのだ、学生はどうでもいいのだ、教育をするところの教職員だけがこれを守らなければならないという教育基本法ではない。そういう意味からして、第八条の、政党に偏したり、政党を支持したり、或いは政治的活動ができないということは、教職員は勿論、学生もできない、こういうように私は解釈しておるのですから、それを前提として私は今あなたにお尋ね申上げたのでありますが、それを追及するのが私の目的ではありませんからよしまして、そういたしますと、私の考えでは、学校内に署名の入らないような共産党の宣伝に類するようなビラが撒かれる、或いは共産党の細胞という署名入り政治活動をするような行動が認められるというようなことがあるときには、それは当然私は憲法のいわゆる学内の自由だとか、思想の自由だとか、集会、結社の自由だとかいうようなものは、憲法第十二条、第十三条によつて公共の福祉に反する行動なりとして制限を受けるのですからして、そういうことについて警察官がその取締だとか、その予防行動というようなことは当然私はなし得べきものであると思う。例えば身元調査をするということが非常に問題になつておるようでありますが、或いは思想調査をするということが問題になつておるようでありまするが、私の考えでは、今のようなことが大学内に行われておる、そうして共産活動が盛んになつて、社会秩序を乱すというような虞れがあるときには、いわゆるそれらの自由というものが憲法の十二条、十三条によつて制限を受ける。それならば警察官は刑事訴訟法の規定によつて当然そういうような犯罪を捜査する、或いは警察法の第二条第二項、第三号、第四号等によりまして、そういうような慮れがあるときには、これか調査し、内偵するということは当然これは、法律において認められておる行動なんだ、だからしてその認められておる行動を、それをやつたからといつて、それがすぐ犬であるとか、何とかいうことで生徒が引つ張り出して叩いたり、或いは無理に詫び状を書かせたりするというようなことは、これは何と言つても私は行き過ぎだと思うのですが、その点は学長、どうお考えになりますか。
  24. 矢内原忠雄

    参考人矢内原忠雄君) 学校内で認められない団体活動、それから認めた団体でも、学校できめたルールに従わない活動とかは、学校として嚴重に禁止しておるし、又禁止する努力をいたしております。それでありますが、問題は、これは私の考えでありますが、学内で撒かれるビラ学校内の問題を対象とする場合と、社会の公共の治安を直接害するような場合と二つあると思う。それでいずれにしても学校としてはかかる活動を禁ずることに努力もして来たし、今後も努力するのですが、そういうふうな学内活動、殊に学内のことに関する問題についてのビラ等のために警察官が常時学内に出入りする、監視するということであれば、それは法律的にそういうことはできないことでありませんでしようけれども教育の場という立場研究及び教育の場という大学の建前から考えましてよくないことである。学内の管理は第一次的には学長にお任ぜ願う。これは大学本質並びに性格から見て、そういう大学自治の原則が認められておるのである。私どもはそう考えております。
  25. 一松定吉

    一松定吉君 私もあなたの御意見に賛成です。併しそういうことであれば、つまり警察官が犯罪がありとし、若しくは犯罪を予防するために警察法の規定により、刑事訴訟法の規定によつて入るということは、これは法律によつて当然できることであり、警察官の職務執行なんです。それに対して学生がこれを詫び証文を書かしたり、無理に署名をさしたり或いは警察手帳を取つたりすることは、これは私は当然行過ぎだと思う。そういうことは学生はすべきものじやない。(「学長も行過ぎだと認めているじやないか」と呼ぶ者あり)黙れ黙れ、質問しておるのに君はそんな干渉する権利はない。でありますからそういう点については、やはり学校としては、私どもは生徒がそういう行過ぎをしたということについては反省の立場におるということが正しいのだと思うのですが、その点について如何ですか。
  26. 矢内原忠雄

    参考人矢内原忠雄君) それはお話通りに行過ぎである。又よくないことであるということは、事件の起りました翌日、つまり逮捕がありましたその翌日、学生の集つている集会において私から明らかに言明している点であります。大学自治は守らなければならない。併しながら諸君のうちの或る著たちのとつた行動、例えば手帳の取上げとか、警察官を吊し上げにしたということはよくない行動であるということは戒めておりますし、そのときも……。
  27. 一松定吉

    一松定吉君 今のあなたの言われるようによくない行動である、そこでその上に私はあなたの先般のお答えについて、私少し不審に思つておることは、取上げた手帳を写真に写して外部に発表することが罪になるかならんかということを専門家に研究さしたところが、罪にならないということを言つた、そこでこれを外部に発表することを許したのだ。こういうようなお答えがあつたのですが、それはその通りですか。
  28. 矢内原忠雄

    参考人矢内原忠雄君) 写真に撮ることを申したのであります。写真に撮ることを。写真に撮つたということ、それが若しも犯罪行為であるならば、これは直ちにそれを没收するとか何かしなければなりません。併しながら専門家に聞いたところが犯罪にはなるまいということであつたから、それで何かまあ委員会へ証拠として提出するとか、裁判のときに提出する。そういうために撮つたことはこれは了承したのです。併しながら現在その後学生がこれをみずから世間に頒布しておる。世間と申しますか、学内において頒布いたしました。それは面白くない行動であるから、注意を促して処置をする考えなんであります。
  29. 一松定吉

    一松定吉君 そうすると、犯罪にならんから写真に撮つてもよろしいということを許した。それでは外部に発表することはお許しにならなかつたのですか。
  30. 矢内原忠雄

    参考人矢内原忠雄君) 面白くない行動であるということは、初めから申しております。
  31. 一松定吉

    一松定吉君 面白くない行動であることは勿論であるが、御承知の通り新聞に発表し、そうして、いろんなところにそれを材料に、警察行為としてやつておるようだが、そういうようなことは、仮に写真にとり、発表することが、犯罪にならんとしても、よくないことである。面白くないというどころじやない、不道徳なことである。刑法上の犯罪にならんからといつて、そういうことを……一体警察官が公務上手記したような秘密事項の多いことを写真に撮つて、これを外部に発表するということは、刑法の制裁は受けません、併しながら、それは罪にならないから、してもいいということは、人格を養成するということを目的としておる大学学生としてよくないことである。そういうようなことについての行過ぎがあると、私はこう考えておる。それについて刑法上の犯罪にならんから、してもいいということは、もう少し学長として、識見を持つて、刑事上の犯罪にならんとしても、そういうことはよくないことであるから、断乎として禁ずる態度をおとりになるほうがよかつたんじやないかと思うんですが、その点は如何ですか。
  32. 矢内原忠雄

    参考人矢内原忠雄君) 学生もこれは勿論生きものでありまして、微妙な感情を持つております。それで、教育上の見地から、これを指導するということには、余ほど注意を要する点があるのでありますけれども、道徳的にはよくないという御判断は、私も同感であります。それに従つて、処置する考えでおります。
  33. 一松定吉

    一松定吉君 いや結構であります。そこで私は警視総監に伺つてみたいんだが、今の私の見解としては、そういうその共産活動をして治安を乱すというようなことであれば、堂々と刑事訴訟法の規定によつて警察法の規定に従つて、内偵することも勝手である、場合によつては逮捕を執行することも勝手である、それなのにだね、あなたのほうでは、どうもこれは如何にも違法なことをしたかのごとき攻撃を受けると、それはどうも自分の職務がそこまで目が届かんで、行き届かなかつたんだというような、自分から自分の職責をはずかしめているよう態度に見えるのだが、どうですか、それは。
  34. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 簡單に願います。
  35. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 私といたしましては、部下のやつた行動につきまして、勿論警察法の第一条に規定いたしております大きな治安確保という観点から、それぞれその係りの適切、具体的な方法によつて、刑事上の取締の職務を遂行さしているのであります。従いまして、私といたしましては、今回大学ポポロ劇団におきまする学生の暴行事件で、いろいろな事件も起りましたが、警察といたしましては、黙々として治安維持のために、忠実にその職務を執行しておると、かように考えておるわけであります。実は先般も警察官が、当然職務の執行であり而も学校当局において御了解を願つてつておるというそのパトロール警察官に対しまして、又吊し上げのような状況を呈したのであります。併し私どもといたしましては、これは学生の、丁度あのときに福井君の起訴されたという記事新聞に載つてつたのであります。で、かような点で或いは学生も刺戟を受けてやつたのであろうという、学生側の立場考えて、私どもといたしましては総長に、これに対しまして、まあこうした一現象的な問題について、かれこれ申上げるのは差控えまして、暫らく形勢を靜観しておるという態度でございまして、私どもの心構えとしましては当然法規に認められた治安維持警察法第一条に明定されております治安維持の責任というものを黙々として忠実に執行しておるという考えを持つております。
  36. 一松定吉

    一松定吉君 もう済みます。今総監のお考えも、学長のお考えも承わりまして、私どもはどちらにも少し思慮の足りなかつた点がありはせんだろうかということを実は遺憾に思うのです。学生諸君が熱情の余りに、文部次官通牒を誤解して、如何にも大学内は治外法権であるかのごとき考えを持つて警察官が中に入つていろいろなことを視察し調査しておる現場を捕えて、これは犬が入つたのだと言つて、これをひつぱり出して、ぶつたたいたり、手帳を取つたりしたということは、これは明らかに行過ぎであるのみならず、これは刑法上の制裁を受けなければならん、或いは強盗だとか、或いは暴行脅迫だとか公務執行妨害というようなことになる。併しながらそれは学生諸君が次官通牒を誤解して、警察官というものは学内には入ることができない、学内は本当の学内自治によつて学校だけですべての秩序を保つ、これに入つて来る者は犬だというようなことを考えたのは、これは間違つた考えでありましようが、それは平素そういうことは学校のほうで生徒に対する教えが周到に行き渡つていない結果であつたろうと思いますけれども、過ぎ去つたことでありますから、これは将来そういう行過ぎのないようなふうにして、本当に立派な教育基本法に認められておるような立派な人格の学生を養成して頂くということについて、私は御考慮をお願いしたいのであります。又警視総監としてもこういう文部次官通牒があつて、こういうようなお約束をしておる以上は、成るほど刑事訴訟法或いは警察法の規定はあるけれども、一応はやはり大学に交渉して、こういうことがある、ああいうことがあるということについて、お互いに胸襟を開いて、そういうことを未然に防ぐというような態度に出て頂きたいということは、この前も申上げた通りであります。そこで私はこの間法務総裁の御意見並びに文相の御意見を承わつたときに、こういう協定はこのままに、この通牒はこのままに尊重するりもりだということは非常に私はいいと思いますけれども、これだけでは今のようないろいろな誤解がありますから、そういう点について将来再びかくのごとき不祥事を繰返さないようなことを、まあ通牒にしようが、或いは申合せにしようが、或いは話合いにしようが、それは御自由でありますけれども、再び不祥事の起らないように一つ御留意を賜わりたいということについて、十分な御考慮をお願いしたい、今私が申上げたこの点について法務総裁並びに文部大臣に何も異なつ意見がなくて……成るほどお前の言う、そういうような政治活動をするというようなことであれば、刑事訴訟法の規定警察法の規定において、中に入つてそういうことの調べをしても止むを得ないのだ、併しそれに対して学生が犬呼ばわりをして殴り、手帳を取上げ、而もその手帳を写してほかに発表したというようなことはよくないのだというようなことについて、何か別に御異存があれば承わつてみたい。  それから私は、この警察官が生徒を逮捕するに至つたときに、どうもやり方が少しく行過ぎていないかつたかと思うのでありまするが、こういう点につきましても法務総裁はお考えがあるだろうと思うから、そういう点もこの際承わつて、世の中の疑惑を一掃して頂きたい。実はこの間の街頭録音を私聞いたところが、まあそこで学生と道を通る人が互いに意見を闘わして、この如何にも大学内に治外法権があるかのごとき考えを以て議論をしておつたり、或いは学内の自由だとか、思想の自由、学問の自由というようなことが公共の福祉に反していいか悪いかということ前提も何もせんで議論をしておつた。大分国民も誤解しておるようでありますから、こういうときに一つ両大臣の意見を明らかにして世間の誤解を解いて頂きた。そうして将来再びこういうことのないように御留意願いたい。こういうことを私は希望して、私の質問を終りたい。と思います。
  37. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 何か発言がありますか、両大臣において……。
  38. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 一言申上げておきます。私はこの終戰以来の時相として、これの一端が現われたものと考えておりまするが、私の望むところは互いに寛容な心を持つて頂きたいということです。これに盡きます。この寛容な心がなければ、平和国家も民主国家も私はでき上らないものだと思つております。で、今度の事件は誠に悲しむべきことでありまするが、大いに学校当局も今後とも学生の訓育並びにこれらについての処置について十分の御考慮を頂けるものだと考えております。又取締当局におきましても、これを契機といたしまして、この学生殊に青年なんかの気持を十分酌み取つて、行き過ぎのないようにさせて行きたいと、こう考えております。この事件はこの事件といたしまして、将来におきましては、繰返して申します、お互いに寛容な心を持つて行くべきものであろうと思います。殊に私は、この前のこの委員会で申上げました昭和二十三年十月八日文部次官から各国立、私立大学、高等専門学校長に宛てました学生の政治運動についての通牒があります。これは私は誠によくできておるようであると思います。殊に一番最後に「我が国の政治が国会民主主義を建前としている以上、学校外における政治活動においても、学園内の自治活動においても、直接行動や成心ある少数者の支配をしりぞけ、公正なる選挙権の行使と、全学生の総意の正しい反映のために総ての学生が積極的な協力を示すとともに、毅然として自分意思を表明する確信と勇気を持つように指導せられたい。」と書いてあります。誠によくできております。私は、学生諸君はいろいろこの終戰以来、私の知る限りにおいて、アルバイトをやつたりなんかして苦しい生活をしておるがこれらは私は誠に気の毒で、早くアルバイトなんかせずして学業にいそしむような状態に国家も置いてやらなければならんと考えております。かたがた終戰後の時相というものは、すさんでおります。この学生のすさんだ心を、温かい気持で以てこれを直してやりたい、又取締当局においてもこれらの学生の取扱については、いわゆる学生の血気にはやる気持を余りに、わき立たせないようにしてやることが私は肝要であろうと思います。併し学生もこの警察官に対する態度について、
  39. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 簡單に願います。
  40. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私は、やはり余りよくない、これは反省さるべきことであろうと思つております。かたがたこれを契機といたしまして、お互いに寛容な心を以て将来進むことを希望してやまないのであります。
  41. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 文部大臣、何か御発言がありますか……。ちよつと羽仁君にする前に、議事進行と申しますか、私ちよつと一分間だけお許しを願います。去る四日の法務文部連合委員会におきますところの矢内原学長、及び田中警視総監の御証言の中に、どうしてもやはり文部次官通牒のようなものは、非常にこれを尊重して学問の自由、学園の自由ということは保全したいという御両所の御意見のようでありました。又昨日の委員会において文部大臣法務総裁からもそういう同様の御意見の発表がありましたのですが、ただここで伺つておきたいのは、矢内原学長又び田中警視総監は、どうも余り次官通牒はなかなか円満に、上等にはできておるけれども、さてこれを具体化するときになるというと、諸般の疑義があるので、でき得べくんば、施行細則と申しますか、詳細打合せと申しますか、もう少し細かく打合せをするほうが妥当ではないかというようなことに私には聞きとれたのでありますが、今日、今このときにおきましても、学長及び総監におかれましては、やはりその御意見をお持ちで、両方がもう少し細かい打合せをしたらどうかという御意見をお持ちでしようか、どうでしようか、それを承わつておきたい、学長から……。
  42. 矢内原忠雄

    参考人矢内原忠雄君) 私の考えでは、細則のようなものを特にきめなくてもいいのじやないか、つまり次官通牒の線、又その基礎になつておる原則が承認せられるならば、あとは話合いでよく行くのじやないかと思つております。
  43. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 田中総監は如何でございますか。
  44. 田中榮一

    参考人田中榮一君) この次官通達につきましては、私は学校当局は少し誤解をされておるのじやないかと思いますので、その点だけをはつきり一つここで申上げまして、それによつて一つ御判断願いたいと思います。
  45. 小野義夫

    委員長小野義夫君) ちよつと失礼ですが、今そこのところをここで御説明になつても、その誤解その他は簡單に解けないと思いますので、あなたは細則なり、もつと細かいことを詳細に打合せて、誤解のないようにするという御意思をお持ちですか、どうですか。
  46. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 私はそれは是非必要であろうと思つております。将来の、今後再びこうした紛争を避けるためには、若し次官通牒をこのままにして尊重されるといたしましたならば、更に今後の紛争を避けるために是非一つはこうしたものか、細かい具体的な取極めと申しますか、細則みたいなものが必要であろうと考えております。
  47. 小野義夫

    委員長小野義夫君) わかりました。そこで文部大臣及び法務総裁にお伺いしたいのは、只今御両所の御発言は、私は御賛成であると思つたところが、矢内原学長はもうこのままで結構だ、あとはまあいわばときどきに打合せして行けばいいのだ、円満にやればいいのだというのでありますが、どうも私どもがずつと何回かの委員会その他のものを通じて本問題を考えるときに、やはり解釈の根本に非常に大きな相互に誤解があるので、なかなか今後絶無を期するということは困難ではないかと思うのですが、両大臣におかれてこれが解決の任に当るというお考えはないのでありますか。その詳細な、例えばこれが全くリーズナブルな打合せであるというような細則を作り上げるという御意見はないのですか。先ず文部大臣からの御意見を伺いたい。
  48. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は、警視総監がそういうお考えだということがわかつておりましたから、それで実はもつとあれを限定したものを作りまして、そうして今出しておりますが、併しそれは少しもその範囲を狭ばめるとか拡げるとかいうのじやない、あの通りのものですが、そういう誤解を招くようなことがあつては困るから、そういうことを避けるのも一案ではないかと考えたのです。併しそれをきめる前には勿論東大学長の承認を得て、そうしてきめればいい、今矢内原学長及び田中総監のようなかたがたならもう何も起らないかも知れませんが、若しそうでない場合に起り得るということがあるならば、これはそういうものをきめても差交えないという考えでございます。
  49. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 法務総裁のお考えはどうですか。
  50. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私も今文部大臣の申された通り意見を持つております。それで基本方針はきまつておるのでありますから、それについて疑義を生ずる点があれば、これは学校当局と快く御相談になつて、そうして将来にかようなことの起らないような措置をとられることは、これは得策でおろうと、こう考えております。
  51. 小野義夫

    委員長小野義夫君) もう一つ最後に伺いますが、若し、直接の責任者である学長総監との話合いができず、又その意思が一方はある、一方はない、又両方が意思があつてもこれはまとまらん、こういう場合には両大臣は如何なる措置をおとりになるつもりでありますか、その点一点、先ず文部大臣から。……
  52. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) これは学長総監及び私ども、場合によつて法務総裁もあずかつて頂けばそういう点は解決できると思つております。
  53. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 法務総裁、如何ですか。
  54. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私も同様であります。
  55. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 有難うございました。
  56. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 先ず法務総裁に御意見を伺つておきたいと思うのでありますが、先般来の、法務総裁もお聞きになつておる討論の間に、私、一つ心配を持ちます。それはどうしても政治、いわんや警察というものは、眼前の事実に支配される。勿論政治も百年の大計を立てるべきですけれども、併し多くの場合に、政治は眼前の問題に焦点を置きがちです。又警察は犯罪の防止とか、犯罪を取締るとかいう消極的な点に中心が置かれて、警察が国家百年の計を指導するというようなことはあり得ない。ですから、この大学警察とが非常に不幸な並べ方に置かれておるのですが、法務総裁にそこで伺いたいのは、法務総裁として……、教育は百年の計を立てなければならないものである、警察に我々百年の計を立ててくれということを望むわけではない、大学における教育は必ずしも今日の日本に役立つが明日の日本には役立たないというような教育をやつて頂きたいとは思わない。そういう点で法務総裁は、教育と或いは大学というものと警察というもの、いずれが上なりや下なりや、上、下というのはどうも誤解を招くからその言葉は避けたいと思うのでありますが、その点、即ち教育は必ずしも今日妥当するということだけぢやない、明日或いは百年ののちにも妥当する、永遠の真理というものが問題なのである。従つて今日眼前の取締というふうな面から見れば、いろいろ気になるとともあるでしよう。ああいうことはやめたほうがいいのじやないか。併しそれをやめさせるというふろに、いわゆるさつき法務総裁が識見をお示しになつた寛大の精神を失つて、そうして先日法務総裁が検事会同において述べられたような思想取締に階つたり、或いは基本的人権を侵害したりするというようなことがあると、教育ということはできません。矢内原学長の先日来、日本は特に戰争中世界の学問に著しく遅れた、これを取戻さなければならない、こういうこともあり、で、本日の毎日新聞にも、社説を以て「両大臣の言明と大学の問題」と題して、国会、特に参議院の法務委員会の努力を多とする、併し同時に両大臣が文部次官通牒というものの線というものは守つて行きたいというふうに言われることを支持して、そのあとに、「今度の東大事件が協定違反であるという事実に対して警察側の態度は甚だあいまいで、むしろ否定的な印象を受ける。大学側が警察手帳をとりあげた学生行動は行き過ぎだつたと遺憾の意を表しているにもかかわらず、警察側が非を非と認める態度に出ていないことも、その解釈によるものではなかろうか。」というように心配をしております。これは一つ新聞の社説であるばかりでなく、国民が見て、いやしくも大学警察の下に置かれるというようなことでは到底教育というものはあり得ない。私は現在、我々自身をも含めて、我々の現在の日本というものは、過去の誤まつた教育の下に深くいわゆる民主主義以前の考え方が滲み込んでおる。そのためにややもすれば大学警察取締の下に置いて、区々たる眼前の犯罪の防止というようなことに全力を挙げさせ、そのために教育の大目的を失つてしまうというようなことが、私らも含めて現在の日本人の指導的な立場にある人の間にさえあるのじやないか。そうすればいよいよ将来の教育というものに私は唯一の希望をかけなければなりません。法務総裁も現在御覧になつておるように、日本の現状というものは我々に余り大なる希望を與えない、ただ我々の唯一の希望として考えておるのは、これからの新らしい教育によつて教育されて來る人には必ず日本を救う人があるだろう。これは敗戦当時外国から言われたことだし、日本の現在の大人には何らの希望も持てない、信頼も置けない、併し日本の現在の少年少女には希望が置けるだろうというようなことも言われておるくらいで、そういう点も考慮して、どうか先ず法務総裁が高邁なる識見を持つて大学警察を並べて置くような考えを持つていない、大学の持つておる至高の使命、警察の持つているその局限せられたる使命というものは、明らかにして置くべきだというふうにお考えになりますか、それともそうでありませんか、御高見を承わりたいと思うのであります。
  57. 小野義夫

    委員長小野義夫君) ちよつと御発言中ですが、天野文部大臣は今法案が上るのでちよつと向うに顔を出さなければならんそうですから……。
  58. 吉田法晴

    吉田法晴君 ちよつと立たれます前に……途中で恐れ入りますが……。
  59. 左藤義詮

    左藤義詮君 又おいでになるんでしよう。
  60. 天野貞祐

    ○国費大臣(天野貞祐君) 参ります。
  61. 小野義夫

    委員長小野義夫君) それじや、どうぞ法務総裁
  62. 木村篤太郎

    ○国費大臣(木村篤太郎君) 私は先日來のこの委員会でも申した通り学問の自由はどこまでも尊重して行かなければならない。殊に大学は識見なり、高通な将来国家を担つて行くような教育の場でなければならない。即ち何ら外部の勢力に影響なくして眞理を発見し、学術を修習して行くものでおりたい。これは確たる信念を持つて言えることであります。従つて学校は、いわゆる中立的立場において人材を養成することは学校当局の責任でなければならない。これは言うを待たんことであります。どこまでも学校は自立性をお持ちになつて眞理の発見、学習の自由を確保して行くべきである。これと警察との関係でありますが今羽仁委員から申されましたように、警察は個人の思想に立入るべきものではない、これはもうわかつておることであります従つて学校教育に干渉はあるべきはずはないのであります。ただ警察の使命は国内の治安、犯罪の予防ということに力を盡すべきものであります。こ、の治安が乱れますと教育の場も又非常、な影響を受けることは当然言うを待たないのであります。この現実の思想を促え挙げて内地の治安が如何にあるべゆか、これに対して主力を注ぐべきであると思います。立場が全然異なつておると思うのであります。従つて警察は本来の使命に向つて内地の治安確保の任に当り、学校学問の自由をどこまでも尊重いたして真理の発見、学術の修習に努力すべきである。これは立場が違うと私は思います。ただ警察はどこまでもやはり、我々と同じような気持で学問の自由ということについて干渉してはいかんと考えております。併しその学問の自由に名を借りて、破壊的行動を容れるような危險分子があるとすれば、これは又警察立場から処置をするということは、これは当然でき得ることである、又しなければならんことであります。私はその点において両者は全然立場を異にしておるということを申上げたいのであります。
  63. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 先輩に対して申上げるまでもなく、敗戰前には治安維持法というものがありまして、当時の政府警察はこれを武器として学問の自由を蹂躪しました。ペソは剣よりも強いということは法務総裁もよく御承知の言葉ですが、併し実際において劍は遂にペソを打砕いて来たのです。東大においてもその歴史を我々は忘れることはできない。そうして警察に奉職せられるかたは大体において大胆にして勇敢を長所とせられ熟慮して繊細な人間の感情を了解するというのは必ずしも長所としてはおられない。然るに大学教授或いは学生諸君というものは、むしろその点においては優雅を長所としておられる。従つて優雅なものと、それからややともすれば劍を振う、今日は劍を下げておられないようだが、そのうち劍を下げるのかも知れませんが、劍を振う、優雅なものと、それから力というものを用うるもの、この二つの調和を図ることが政治家の使命でもあり又法務総裁の最高の使命にも属せられると思うのであります、で、只今私の質問に対してお答え下さいましたお答えを以て、私は満足することができないことを甚だ遺憾に考えますが、これ以上答弁を要求しませんが、次の問題について御意見を伺いたいのであります。福澤先生の言葉に、取締ということを盛んにやつて行くというと、目を塞ぎ耳を塞ぎ口を寒ぎ、殆んど人間の生命を奪つて、これをガラスの箱のようなものに入れてしまえば、この人間は決して悪いことをしない、この人間がまだ生きているかどうかというようなことを、管でも突込んで眺めるというような状態に、明治時代の日本はなつていたということを福澤先生はおつしやつた。又これらは、例を引いて英国の支配下にあつたインドが植民地としてそのようになつてしまつた。これは例えばこの点で具体的に申上げますと、先ほど警視総監も二、三枚の、二、三枚でないかも知れないがビラを持つて来た、そうしてこのビラによつて大学の自由を制限することができるかのような態度をとつて、私の誤解かも知れないが……、ビラが如何なる害をなすものであるか、勿論無害ではないかも知れません。併し高通なる政治家は、片片たるビラの前に一々びくびくしているようなことでは、到底将来の社会に向つて指導することはできません。又恐らくは大学学長は、そういうビラに対して十分なる大学教育を以て、思想に対しては思想を以て勝つことが唯一の、且つ又目的に適合する途だという確信を持つておられるのです。併しどうして今警察ビラを拾い、ことによると、大学の中で拾われたのじやないようなビラまでも、大学の中で拾われたというような誤解を生ずるくらいのことをされるのかというと、私はこの根本はいわゆる先ほどの共産党に対する対策というものが、福澤先生の言われているような共産党を非合法化する、共産党の機関紙の発行を停止し、それでこれを完全に殺してしまうことができるならば、それも一つ方法でしよう、併し死なない、蠢動する、動く、そうするとそのビラであるとか、或いはまだうごめいているところの動きであるとか、うごめいているというと共産党に対して失礼かも知れませんが、そういう動きというものを捉えて行くということになる。警視庁はなぜそういうビラを気にし、そうして大学の中へまで押入つて行くか、これは私は警視庁を責めることはできない。政府がむしろ、共産党がどういう動きをとつているのかということを、合法的な面で十分にこれの対策を立て得るような方法をおとりになるほうがいいのじやないか、私は勿論現在の内閣の政治上の主義主張というものに対して、異なる主義主張を持つておりますけれども、併しそれに対しは、異なる主義主張として尊敬を払つておりますが、前にも申上げましたように英国の保守党などにおいても共産主義というものと出合つて、そうしてこれに打勝つ唯一の方法は、懸命なる政治家的態度と教育とによるほかはない、これを非合法化してしまえば出合うことができないでしよう、出合うことができなくなつてしまえば、勝つたのだか敗けたのだかわからないことは、撃劍においてもおわかりのことだろうと思います。相手を追込んでしまつて竹刀をとつても、それは勝つたことにはならない。そういう点で私は現在の政府のなされ方の原則というものを批評するということはいささか担えますが、余りに共産党の合法的な活動を非合法化し過ぎますと、そうしますと共産党がどう動いているのだかわからない。或いは共産党の細胞というものそれ自体は、今日合法的政党の細胞であると思うのです。そういう点についての、むしろ合法的に、いわゆる敵を明らかにし、敵はどこにいるのか、どれだけの力を持つているのか、どういうふうに動こうとするのか、それを明らかにしてこれと戰うことが私は政治上の敵、政敵、相手を遇する道じやないかと思うのです。それを余りに非合法に追いやるためにどこにいるのかわからない、そのために警視総監が非常に苦労をなさつて、そうして汚しい紙にかすかすの字を刷つて、なかなか読めもしないようなああいうものを読んで、ああいう言葉を読んで東大学生の大部分が心を動かされるほどの教育東大でやつておられるとは思われない。併し警視総監としてはこれを非常に心配して、それをどこかでやつているのではないかと探索する。それがために我々が忘れてはならない教育の自由、学問の自由というものを警察力によつて脅かすという虞れがあるのではないか、これは先日来朝日や毎日や、日本タイムスなどの社説を以て指摘しているところでありますが、私はその点についても政府のお考えというものに反省を望むべき理由が若干あるのではないか。私の思つていることがすべて正しくはないでしよう、誤つている点もごさいましよう。併しながら眼前の治安、つまり敗戰前であれば治安維持法という法律によつて、ああいうものをやつてもいいんだというようにやつて、日本は決して幸福にはならなかつたのです。治安ということを望むならば、国民の耳目を塞ぎ口を塞ぎ、ガラスの箱に入れて辛うじてこれに息を通じてやるということでよろしいでしよう。併しそれでは国民が萎縮してしまうと思う。国民が奴隷的に服従してしまう。政治家が誤つた指導をすればこれに奴隷のごとくに服従して、今日のような悲惨を招くという虞れが多々あるのです。そうした治安第一主義ということで私は法務総裁としてお考えになつているのだろうと思う。その点についても私はできるだけ、違う政治上の意見というものに対して直ちに破壊的或いは暴力的というレツテルを貼るというような方法をおとりになることが賢明か、或いはその合法的な活動を十分に許して、そうしてその所在、その方針、その実力というものを測つて、みずからこれに対して堂々と政策を持ち、実力を持つてつて行かれることが民主主義的政党のあり方ではないか、又民主主義的政府のあり方ではないか。そうして敗戰後国際的な批判の下に、日本の警察警察国家の道具として、そうして政治警察を主としていた。いわゆる真実の意味における警察の業務というものを殆んど放擲して、警察力を挙げて政治警察として行使していたのじやないかという批判に、今日必ずしも完全にそうした批判から脱却し得るような状態になつているとは思えない。先日来田中総監のお述べになるところを伺つても、その点において集は私は残念に思う。この際法務総裁がそういう点においてどういうお考えをお持ちになつておるか。いや飽くまで治安第一主義で取締つて行くのだ、従つて大学の中にビラ一枚貼られても、それは警察が追及すべきものだというふうに思うというふうにお考えになるか。それとも必ずしも警察力によつて治安を図ることはできない。立派な政策を立て、むしろ合法的に相手の力、相手の所在、相手の方針というものを明らかにして、何も警視総監や或いは下級の警察官の、どうしてもこれは止むを得ないような誤りを犯すような、警察力を用いて、重大な問題である学問、国家の将来というものを害するというようなことはすべきでないというふうにお考えになつておいでになるか。これは非常にデリケートな問題でありますけれども、併し恐らくこの各新聞の社説やその他世論が心配しているのはこの点ではないかと思う。現に昨日でしたかの朝日新聞の投書にも、東京駅前でNHKが大学の自由について街頭録音をやつている。そうするとその中にやはり私服が活動して、そうしてそこで発言をする人を尾行して、これを会社に訪ねて厚く礼を述ぶるということをやつておられる。こういうふうにするならば、取締は実によく行くでしよう。我我は全部沈黙いたしますよ、国民は……。そうすることが現在の政府の合法主義でしようか、それを伺つておきたいと思います。
  64. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 思想には思想を以てする、これは当然のことと思います。思想を権力で圧迫するということは絶対にできんと考えております。たとえ学生がマルキシズムを研究いたそうとしても、研究それ自体は豪も取締の対象になるべきものではない。ただそれが一たび破壊活動の因をなすとき、又破壊活動に移つて行くということになれば、これは取締の対象になることは当然であります。警察はどこまでもこの思想に立ち入つてはならぬということは、私が前に申した通りであります。この思想一つ超越して、危險な破壊活動に移つたときに、初めてこれは取締の対象になるのであります。それは放任することはできないのであります。それで日本共産党がどういう政策をとり、又どういうことを考えておるか、それだけであれば問題は極めて簡單であります。これが一たび破壊的活動に移るようなことであれば、これは放置することはできないのは当然であります。そこで問題はさような行動を起す危險があるかないかということの調査は十分とつて行かなくちやならぬと、私はこう信じております。  そこで今度の問題でありまするが、私も羽仁君と同感で、ビラが一枚二枚飛んでおつたところで何も驚くことはありません。そんなことに神経を尖らせておれば、本当の秩序維持は忘れてしまうのであります。そこでこのビラの問題については、詳細は私は知りませんか、今後は大学当局にそういうことをお任せして然るべきである。賢明なる矢内原学長は十分その点について対策はおありであろうと考えております。警察におきましても、私は将来……これは法律的に申せば私の指揮命令は何もありませんが、さようなことに余り神経を尖らせないように十分監督して参りたいと考えております。ただこれは将来の問題でありまするが学校といえどもこれは警察の力はやはり要するのです。あの広大なる構内ですから、これは警察取締の任に当らなければいかん。殆んど往来と同じで、何か被害が相当あるように聞いております。これは警察の力に待たなければならぬのであります。そういうことと相待ちまして、学校では十分に警察と手を握り合つて、勿論警察学園自治々尊重しなくちやならんのであります。殊に教育に立ち入るようなことはいささかもあつてはならぬ。そういうことは別問題といたしまして、構内の秩序を……、構内と申しましても学内ではありません。あの学校の広々とした道路に類似んべきあの構内、あれなんかについては将来秩序を十分正しく取締つて行くような方法学校当局と十分手を携えて協議をする。お互い寛容な気持を持つて将来進むことを私は希望してやまないのであります。
  65. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 法務総裁並びに学長に対する私の質問は終りますが、先ほど来言いました昨日の朝日新聞でありましたかに投書が載つております事実について、警視総監に一言伺つておきたい。お読みになりましたか。
  66. 田中榮一

    参考人田中榮一君) はあ。
  67. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 どういう処置をとりましたか。
  68. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 私もあの記事を読みまして、非常に心外に考えたわけです。この問題は昨年丁度八幡浜の街頭録音の際に、私も委員会参考人として呼び出されて、私としての意見委員会として聽取されたわけでありますが、そのときに私ははつきりかかることは行過ぎである。こうしたことは絶対に警察官はやるべからずということを私は昨年はつきり委員会の席上で言明いたしております。早速あの事実を調査いたしましたところが、あれに該当したような事実がありましたので、直ちにその旨、将来小くとも警視庁管下にああしたことは絶対に起してはいけないということを全警察署のほうへ通達をいたしました。
  69. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 直ちに妥当な判断を下されて妥当な処置をおとりになつたことに対して深く感謝いたします。現在大学に起つておる問題とああいう問題とは無関係ではないということも賢明な警視総監は十分御反省になつておることだと思いますから、私からそういうことはあなたに要求はいたしません。あなたもどうかあなたの部下の警官のためにのみ霜夜に祈るということでなく、我々国民のだめにも霜夜に祈つて頂きたい。我々は実際そう申しては恐縮ですけれども、甚だ弱い者です。力を以て脅かされれば残念ながら私も黙ります。国民の大部分はそうです。学者も学生もそうです。併しそれこそ却つて恐るべき……御承知のように国民はああいう場合にも後難を恐れてなかなか言うことはできない。あなたは高邁な識見を持つておられますけれども、残念ながらこれは我々の責任もありますが、警察官の待遇がよくないために、下級の警察官に随分乱暴なかたがおられる。叩けばほこりの出ない奴はないぞ、一遍叩いて見ようかというような態度をとられるかたもあります。この間福井君を捕えた本富士署の警察官諸君が福井君に第一に発した言葉は、ざまあ見ろという言葉であつたそうであります。これは我々も十分責任があります。警察官の待遇が不十分だということは痛感します。併し同時に又あなたがその最高の責任者として、どうか警察官が過去のそういう態度を忘れられて、そうして国民を脅かす、面白いことを言つたね、どうも有難う、よく覚えて置きますというようなとこを我々に申されることは、国民として実に不愉快です。納税者として実に忿懣の至りです。併しながら日本の警察官は納税者の納税によつて生活しているのだ、納税者の我々は、公僕である……一九四七年の九月十六日にマツカーサー元帥が片山首相に送られた書簡というものの趣旨を果して常に念頭に置いておられるのか。警察官国民の公僕である、口で言うだけでなく、警察国家を復活しない、国民を脅迫しない、そういう点に今後もどうか御努力願いたい。一朝一夕にこういうことができるとは思わない。併し最高の責任者であるあなたが国会でとられるような態度が、それが又新聞に報道せられるときに、あなたの部下の警察官がどつちの方向へ向つて激励されるか、あなたの国会における御発言は非常に重大な意味を持つておると思いますので、その点も十分御留意になつておるだろうと思います。
  70. 小野義夫

    委員長小野義夫君) ちよつと発言中ですが、法務総裁は先ほどから用件のためにしばしば催促を受けておりますので、御退席を認めますから、どうぞ悪しからず御了承を願います。
  71. 左藤義詮

    左藤義詮君 先ほど発言の順序が通告をしてあつたと思いますが、羽仁君には十分を二十分以上もお許しになつておりますが、そうして一方的に、私ども要求しておる大臣に対する質問は……、私は與党ですから、委員長を出しておりますから協力をしておりますが、甚だ議事の進行上不可解だと思います。
  72. 小野義夫

    委員長小野義夫君) ですからただこの議事を打切るというのではありません。
  73. 左藤義詮

    左藤義詮君 私は法務総裁に対する質問を対象として先ほど割当てられたと了承しているんです。
  74. 小野義夫

    委員長小野義夫君) それは併し法務総裁に用事の場合は仕方がないと思います。簡單な……。今の羽仁君の質問はそれでよろしいですか。
  75. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 終りです。
  76. 小野義夫

    委員長小野義夫君) まだ吉田君が順序としてありますが、吉田ちよつとそこのところは左藤君にお讓りして、法務総裁簡單質問よろしうございますか。
  77. 吉田法晴

    吉田法晴君 お讓りしてもいいですが、私も法務総裁におつて頂いて十分くらい、短かくしていたしたいと思いますが……。
  78. 小野義夫

    委員長小野義夫君) ちよつと速記をやめて。    〔速記中止
  79. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 速記を始めて。
  80. 吉田法晴

    吉田法晴君 それでは時間もございませんから成るべく簡單質疑を進めたいと思いますが、その質疑に入ります前に、先ほど文部大臣その他で警察側と……警察側と申しますか、或いは法務総裁もつまり言われましたけれども文部次官通牒についてもう少し具体的に打合せ云々というお話がございました。ところが先ほど矢内原総長は、自分文部次官通牒で、あとその運営について具体的に打合せすればよろしいと、こういうお話であります。先般来証言々聞いておりましても、警察側にはあれでは誤解を生ずる、そこでもう少し具体的に細目化する必要がある、或いは学校側には誤解がある、こういうお話であります。問題の取上げ方、いわば客観情勢の何と申しますが、推移等々の名目を以てせられますならば、これは次官通牒の細目と申しましても、その細目のあり方がこれは問題になつて来ると思うのであります。文部大臣御不在中の法務総裁の御答弁は、相当従来に比べて私も立派であつたと思うのであります。そこで先ほど私の質問に答えて、そういうものを用意しておるというお話でありますが、総長はまだ御覧になつておらない。それからその他の大学関係について御相談にならなかつたことも事実だろうと思います。そこでその点今後のことになりますけれども、そういうものをお作りになるにしても、もつと総長、或いは学長と申しますか、或いは各大学の意向を十分織込んでお作りを願いたいという要望を一点述べまして、あと質問に入りたいと思います。  それは警察側に対してでありますが、警視総監がおいでにならなかつた委員会開催の日に、本富士署長と三人の警察官の御証言を頂きました。新聞で御承知のようにポポロ劇を見に行つたのはあれは私用で劇を見に行つたんだと、こういう御証言が途中で取消されました。そうして署長もその点はあとで取消されました。ところがこのポポロ劇を見に行かれたこと、或いは警察手帳に書かれておつたような事柄についてその証言は私は警視総監にも何らか関係がなかつたわけではないという印象を受けて参つたのであります。その点を一点お伺いしたいと思いますのと、それからもう一つつておりますのは、福井君を逮捕し、それからそれに怪我をさせた、歯を折つたということであります。これらの問題についての従来の御証言はなお私は事実と反しておる、こういう工合考えるのでありますが、これらのものを通じて私どもが感じますことは、警察側相当何といいますか、強権的だと申しますか、治安確保のために職務を執行するについてこれに障碍を與えるものについては一切これを排除して進むのだ、理非曲直と申しますか、合法性を問わないといつたような感じがするのでありますが、この点について警視総監の御所見を承わりたいと思います。
  81. 田中榮一

    参考人田中榮一君) ポポロ劇に入場いたしました警察官の観劇のときのいわゆる心理状況でありますが、これは私も文部、法務委員会の証人として喚問あれましたときに、冒題に一応その説明しろという場合にも、私はどうも單に観劇ではなかろうという気持は持つておりました。従つてそのときに発表した、あとで速記録を御覧になればわかると思うのでありますが、私の言つたことは、或いは多少職務意識が働いておつたのじやないかというような意味で申上げたと思つたのであります。その後署長がこれは娯楽のためにと、こう言つたので、少しおかしいのじやないかというので私自身も考えておりまして、それから更に署長並びに三巡査の心境につきましていま少しこれは確認せねばならない、かようなことを考えましたので、そのときの状況をはつきり聞きましたところが、勿論劇も一応見たかつたが、併し最初からポポロ劇というものがどうもただの劇ではないように考えておつた学校当局にお伺いしましたところが、純然たる劇だというお話であつたそうでありますが、どうもそうでないような気持もあつたので、それで入りました、こういうことでありますので、この点は私は署長が後ほど訂正したことを私も同様に一つ確認をいたしたいと考えております。  それから東大学生福井君逮捕のときの状況でありますが、警察官行動につきましていろいろ御批判を頂いているのでありますが、これにつきましては当時そのときの客観的状態というものを一つやはり我々頭に入れておかなければならんと思います。警察官が二十名くらいおりまして、丁度そのときに学生諸君が、数百名の学生諸君がそこにおつた。今にも福井君が奪還されるのじやないかというような非常な危險のような空気がその場合にかもされたようであります。同時に福井君自体としましても、必死の抵抗を試みられた、警察官にも負傷者を出しているという状況であります。さような状況で、勿論警察としましてはこうした場合におきましては極めて平穏裡に、平和的に令状を執行するのが、これは当然だらうと思つております、併しながら被逮捕者側において無用の抵抗等を行なつた結果、時に相方に間違いの起つた場合も過去におきましてあります。この点につきまして今後も十分成るべくこうしたことのないように細心の注意を以て一つ進めたい、かように思つております。
  82. 吉田法晴

    吉田法晴君 私が申上げますのは、この手帳内容をなす行動については証言を取消されたのでありますが、国会に来られましたときの証言について、なお福井君の負傷につきましては、私ども偽証があるように思つておるのであります。警察側において国会に対して宣誓をされました上での御証言というものについて、何といいますか、軽く見られるといいますか、そういう点をお伺いしたのであります。端的に今の御意見について申しますならば、今まで述べられました点について、福井君の怪我については警察側においても責任があつたという点をお認めになりますか、こういう点でございます。
  83. 田中榮一

    参考人田中榮一君) これは警察の責任をはつきり申上げるのもこれはどうかと思いますが、やはり犯人逮捕の際に双方お互いに、容疑者のほうも抵抗したし、警察官もこれを逮捕しなければならないという責任を持つておりまして、従つてその双方の間に格鬪行為等が行われたために双方において負傷したということは、これらは警察も責任がありましようし、又逮捕された福井君のほうにおいてもこれは責任があると思います。かように私は考えております。
  84. 吉田法晴

    吉田法晴君 その点は福井君がよくて警察が惡いというのではなく、今のようなお話で結構なんであります。従来においては警察側において、何と申しますか、責任を回避せられたということを申上げたのであります。もう一つ警察署長は、この前から聞いて参つておりますというと、警察官が後から叩かれて首が廻らなかつたと言われるけれども、その首がはれておつたかはれておらなかつたか、それもわからんという程度であります、御本人が……。でありますから暴力行為等取締違反容疑で検挙されたといたしましても、それが極めて感情的であるということを私ども認めざるを得ないのであります。そこで署長に伺いましたら、暴力行為等取締違反容疑は理由であつて、別に共産党員として政令違反の疑いがあるということが別にあつて、暴力行為等取締違反容疑はこれは口実だ。こういうようなことなのかと伺いましたところが、いや、警察手帳を取られたり、それから公衆の面前で吊し上げを食つたり、こういう警察の威信に関すると考えたから、こういうことを正直に言われたので、その点をどういう工合考えておられますか。先ほどの負傷その他の問題につきましても、これは今のように、福井君にも或いは言われるような抵抗を試みたということも私どもも認めなければなりませんが、警察のほうにおいても非があり、それから事件については、そういう署長の言葉で申しますならば、警察手帳或いは公衆の面前で云々ということでおりますが、警察の威信ということで起訴されましたかどうか、その辺を伺いたいと思います。
  85. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 実は私まだあのときの速記録を手許に頂いておりませんので、署長、並びに三巡査が詳しくどういうようなことを言つたかということにつきましては、今速記録を取り寄せまして、もう少し研究したいと思つておるのでございますが、「暴力行為等処罰ニ関スル法律」の中の第一条に「団体若ハ多衆ノ威力ヲ示シ団体若ハ多衆ヲ仮装シテ威力ヲ示シ又ハ兇器ヲ示シ」云々、それによつて暴行を来したというようなことが書いてありますが、現在福井君の逮捕理由としましては、多数の威力を示して相手方に畏怖の心を起させる、それからぶんなぐつたということと、それから手帳を取上げた、福井君自体が取上げたかどうかは知りませんが、とにかく一応手帳を取上げたものの一つの共同正犯というような関係で逮捕せられ、そして現在起訴せられておると私は確信いたしております。従つて署長がその内容につきまして、そう言つたことにつきましては、これはまあ署長は署長としての主観的の考えも交えて言つたこともあるでありましようし、ただ署長が主観的に言つたことをそのまま私がここでそうだ、その通りだと言うこともちよつとおかしいかと思いますが、署長の述べた概要は、福井君逮捕の主なる理由につきましては私は全く同じことであろうと思います。
  86. 吉田法晴

    吉田法晴君 警官が叩かれたということ、これを嘘であるとは私も申しておらんのであります。ところがこれは一人のかたでありますけれども、一週間云々という診断書を書かれた人に伺つてみると、はれておつたかどうかわからんと、こういう程度の怪我であります。怪我と申しますか、打撲傷でおりますか、恐らく血もにじんでおらなかつたと思うのであります。そういうことをつかまえて暴力行為等取締法違反で起訴し、そして学生を罪に陥れて行くということが、冷靜な警察として果して妥当であるかどうか。これは私強くは申しませんけれども警察のことについてとかくの批判はいたしませんけれども、どうも感情的なような気がいたします。特に思想に対して、思想ということも先ほど言われました。或いは学園自治学問の自由と、それから警察活動というものについての調節、これは次官通牒なり或いはその運用について今後打合せて行かなければならんことだと思うのであります。併し福井君の起訴というものについてお話を聞いて参りますというと、どうも納得の行くところがない。そこで先ほどのような警察署長の証言を得ましたから、この点についてはもう少し考えられてはどうかと、例えば先ほど来総監福井君逮捕についての警察側の若干の落度も認められました。これはどちらがどの程度で、どちらがどうだということを申上げておるわけではないのであります、そこでこの問題については相当感情的な要素が入つておる、最初のポポロ劇に入られたときから始つてはおりますけれども、それを何と申しますか、更に輪に輪をかけて、喧嘩する場合にはそれは権力を持つておるほうが成るほど強いでしよう。或いは起訴するということも可能であるかも知れん。併しそれでは問題は片附かんのではないか。例えばその程度の怪我であるならば、起訴を申請しないで、話をして行つても話は理性的に片附け得たのではないかということを私ども感ずるわけなんです。そういう点についてはどういう工合に思つておられますのか。総監と、これは法務総裁がおられたら伺おうと思いましたが、法務総裁はいらつしやいませんから、あなたにお聞きいたします。
  87. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 勿論警察が職務を執行いたします際には、絶対に私を交えてはいかんと思つております。これは冷靜に理性によつて法の命ずるところによつて職務を執行ぜねばならないと、かように私は考えております。まあ当時の状況からしまして、多数学生もおりましたし、まさに險悪な状態にならんとするような状態であつたと申すので或いは警察官も若干興奮した点があろうかと思います。この点は私もさようではなかつたかと考えております。  それからなお福井君の起訴につきましては、やはり一応そうした事実がありまするので、その事実を取調べまして、これを検察庁に送検いたしたのであります。更に検察庁は検察庁の独自のお考え福井君をお取調べになりまして、その結果罪状明白であるという観点から、検察庁独自の立場におきまして福井君を起解されたのでありまして、今後検察並びに裁判によつて福井君がどういうことをしたかということは、公平に判決を受けられることと考えておりますので、これに一つお任せを願つたらどうかと、かように考えております。
  88. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 吉田君、もう時間がありませんから……。
  89. 吉田法晴

    吉田法晴君 それではもう一つ、私どもが今度の事件を通じて心配しました点は特高復活の危惧でありますが、これは昨日の委員会で、復活はないという御発言であつたと承知をいたしておりますが、併し例えば、最初否定されあとで認められました、警察手帳の中に、本庁警備係より連絡があり云々ということが書いてございます。言い換えますと、こういう警備活動と申しますか……について縦の連絡があるということは、これは認めざるを得ないと思うのであります。なおその一つ活動といたしまして身元調査、その身元調査内容は経歴、思想動向、背後関係、交友状況その他、こういうものを調査しておるということが先般の証言で明らかになつたのでありますが、そういう身元調査活動、こういうものを或いは大学の先生についても、或いは先ほど来新聞の投書等が問題になりましたけれども、そういうものについて続けられるのかどうか、その点を承わりたい。
  90. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 将来の問題につきましては、私からお答えするのは如何かと考えておりまするが、まあ余りこういうものは警察独自の立場におきましては必要なかろうと考えております。なぜあの身元調査をするかということは、昨日私委員会で申述べました通りでありまして、警察独自の立場といたしましては、教授身元調査等は先ず必要なかろうと私は考えております。
  91. 左藤義詮

    左藤義詮君 学長文部大臣にお伺いしたいと思います。学問研究の自由が国家或いは人類のために非常に重要であることは、私どもも十分了承しておりますが、そのためには次官通牒がございまして、又或いは慣行として多年の努力によつて大学警備の第一次的な責任をお任せしてある。それが警察の見方によれば十分でなかつたためにこういう事件が起つたのでありますが、大学当局といたしましては、一万数千の学生、病院もあり、外来者もあり、非常な通行人もあるあの厖大な所を、どれくらいの組織、どれくらいの人数で警備を今しておいでになるか、或いは現在の警備で十分であるとお考えになつておるか。例えばポポロ劇団のときには僅かに巡視が一名おつただけなのでありますが、今ビラの一枚、二枚は神経使うなというお話もありましたが、非常に世界の情勢が重要である、我々は多大の国費を費して警察予備隊を増員しなければならないと、こういうような治安上私どもは非常な危險な時期にあるのです。若し大学が治安の盲点……先ほど羽仁委員が、国家百年の期待学生にかけていると申されている。その通りでございますが、併し社会の秩序を紊すようなことが大学でいささかでもその盲点になり、或いはそういうような学生が出ることは、私どもは決して期待しておりません。先ほど警察官が納税者の負担とおつしやいましたが、或いは国立大学に対しては、私立大学に比べまして、非常な納税者の負担によつて大きな期待を持つているのであります。そういう大事な学生をおあずかりになつて、今後この非常にむずかしい時期にどういうふうにして警備の責任を果しておいでになるか、その確信がおありになるか、現在の、今までの機構及び人員、将来に対してどういう計画をお持ちになつているか、その点について一つ伺いたいと思います。
  92. 矢内原忠雄

    参考人矢内原忠雄君) 現在の学生活動に対する組織は、各学部は別といたしまして、本部直属では厚生部というのがあつて、厚生部長の下に厚生課長と学生課長がおります。厚生課長の所管に層するものは職員、学生の福利施設に関するもの、それからいわゆる狭い意味学生活動に関する所管は学生課長、学生課長の下に三名の事務官がおります。一名は厚生課と両方で使えるような事務官ですから、これは三名乃至四名、それからその学生課長の指揮の下に巡視が三十八名おります。これは教養学部は別といたしまして本部だけのことであります。その人数で足りるかと申しますと、実はもう少し人数は必要なのであります、事務官についても又巡視につきましても……、併しいろいろ定員の関係どもありまして、現在とれだけの人数で、巡視は三交替で晝夜勤務いたしております。それからなお門が本郷の構内に六つありまして、そしてその門の二つは自由通行だというふうに前々から警察側から言われたのでありますが、自由通行でないのですけれども、遺憾ながら門が壊れまして、その門を修繕して扉を早速回復するように今手配中であります。
  93. 左藤義詮

    左藤義詮君 それでは門を閉めてしまつて通行はお許しにならないようにするわけですか。
  94. 矢内原忠雄

    参考人矢内原忠雄君) それは夜間であります。晝間は門に巡視が番をしております。
  95. 左藤義詮

    左藤義詮君 夜何時頃までなんですか。
  96. 矢内原忠雄

    参考人矢内原忠雄君) 夜は、門によつて違いますけれども、多分六時には閉めると思います。病院に通う所だけ通用門を、くぐり戸が開けてあると思います。
  97. 左藤義詮

    左藤義詮君 事務官三名、巡視三十八名であの厖大な治安が、今、先ほど申しました重大な時期に警備の責任を今後警察の援助なしにお果しになる自信がおありになるかどうか。
  98. 矢内原忠雄

    参考人矢内原忠雄君) これは病院方面は盗難が多うございます。東大構内に盗難事故が多いというのは大部分病院方面であります。それで今までは余り話が出ませんでしたが、制服警官のパトロールというのが昭和二十五年頃から行われておりまして、これは大学としても承認していることでございます。併し人数も少うございますけれども学生課長が一人厚生課長一人、事務官五名乃至四名、巡視三十八名という與えられた定員で今までやつて来たのでありますし、これから定員が殖えれば結構でありますけれども、定員が殖えないとするならば……、特に警の察、例えば私服警官の御援助を受けなくてもやつて行けると考えております。
  99. 左藤義詮

    左藤義詮君 さように自信をお持ちになり、責任をお持ちになつて、若し先ほどお話になりましたような非合法活動再建細胞等が東大にあつて活動をして非常に治安の盲点になつて、それがいろいろな社会的な影響を與える。かような事実が出ました場合には、現学長としては必ずその責任をおとりになる御意思がおありになるかどうか伺つておきます。
  100. 矢内原忠雄

    参考人矢内原忠雄君) 学内警備員だけでは手が廻らないと判断するときには、至急に警察連絡をして警察官の出動々お願いするのであります。
  101. 左藤義詮

    左藤義詮君 その点は勿論でございますが、それ以上には警察の援助は必要なしに、自分のところだけで足りる、かようにおつしやるのでありますが、それが完全にこのむずかしい時期に国民に非常な不安、或いは危險を與よないように、万一さようなことが、例えば一例を申上げますれば、学内に禁止されている細胞活動があり、その本拠があつたという確証があつた場合には、学長としてははつきり責任をおとりになる意思があるかどうか伺つておきます。
  102. 矢内原忠雄

    参考人矢内原忠雄君) 責任というのはどういう意味でございましようか。
  103. 左藤義詮

    左藤義詮君 これだけ問題になり、これだけ国民心配していることでありますから、学長としては如何なる責任があるかということは、学長が御判断になつていいと思うのでありますが、その御判断の意思において、国家国民に対して申訳の立つような処置をおとりになるかどうか。
  104. 矢内原忠雄

    参考人矢内原忠雄君) 細胞は禁止しておりますが、併しビラの流れておることは事実であるということは申上げました。そうして若しも細胞の事務所が発見されるとか何とかということがありますれば、これは直ちに解散をするなり、その場所を閉鎖するなりいたします。若しも大学だけの問題でなく、国家社会の治安を非常に撹乱するというふうなことがある、そういう意味で陰謀の根拠地である、而もそれを大学が放置していた、これは事の軽重大小にもよりますけれども、若しそのような国家的な犯罪、或いは叛乱の策源地になつたとか、根拠地になつたとか、大学がそれを知らずにうつかりしていたとか、或いは放任していたとか、警察連絡もとらないでいたということがあれば、勿論私は責任をとります。
  105. 左藤義詮

    左藤義詮君 さような非常に重大なことについておつしやいましたが、私は教育基本法或いは学校教育法で禁じておるさようなことが、学長を責任者として、学長が統率しておられる学内において行われた場合には、これに対して責任をおとりになるか、かような意味で申上げておるのですが、もう一度御確言を願います。
  106. 矢内原忠雄

    参考人矢内原忠雄君) 学校できめた規律、秩序というものがございまして、これは学部共通細則という規則がございます。これに対する違反行為はときどきある。そうしてその違反行為があつた場合には、学生に対する懲戒処分の問題が起つております。現在までも起つておりましたし、これからも起ると思います。併しその都度学長が責任をとるということは、程度によりまして、果して学長として、おつしやる意味に合致するかどうか知りませんけれども、或いは学長に対する懲戒処分というようなものがありますから、それを受けるとか何とかいろいろ手続がございましよう。事の軽重によるのであります。
  107. 左藤義詮

    左藤義詮君 先ほど文部大臣次官通牒内容をもう少しはつきりするために何と申しますか、申合せと申しますか、そういうものを作成する意思がある、その場合に東大学長と相談するというお言葉でございましたが、これはひとり都条例の管轄内においてその他の国立、公立、私立大学があるのでありますが、私は東大だけではなしに、各大学、或いはその代表の人と十分に御協議になる必要があると思うのでありますが、その点先ほどのお言葉が私の誤解でありますか、或いは文部大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。
  108. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私が今度大学学長に何も相談しないで、警視総監のほうへそれを限定したようなものを出した。それはもう相談いたすまでもなく自明なことで、ただ概念規定を細かにしたということだけだから、このたびは御相談をしなかつたけれども、もつと警視総監のお考えと、私が考えている現在の次官通牒を幾らか変更するというようなことなら、これはもろ当然大学学長諸君にもよく御相談をします。矢内原学長が今大学のそういう会長をされておりますから、私は先ず矢内原学長に申しますけれども、これは全部の学長に相談する趣旨でございます。
  109. 左藤義詮

    左藤義詮君 そういたしますと、先ほど文部大臣がこれをもう少し規定したものを作りたいというのは、先日御発表になつた程度のものであつて、先ほど法務総裁或いは田中警視総監が希望いたしましたようなものとは違うのですか、これは警視総監に……法務総裁がおりませんので、警視総監お尋ねいたします。
  110. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 私は、今文部大臣からも仰せのように、我々としましては、通達というのは都条例執行に当つての約束でありますので、その範囲においての……この通達の範囲内における細かい取極をするということは当然これはなさるべきものであり、又せなければ将来再びこうした問題がやはりことごとに発生いたしまして、大学等にも非常な御迷惑をかける。又文部大臣以下文部省の皆様にも非常な御迷惑をかけることになります。かような趣旨から、将来の何年か後のことも考えてやつておかなくちやならん、かようなことから、今文部大臣の仰せのような範囲内においての取極でございまする、これは無論なさるべきではないだろうか、かように考えておるのであります。
  111. 左藤義詮

    左藤義詮君 食い違いのないように。文部大臣只今田中警視総監が申されましたような取極をなさる御意思がおありですか。
  112. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 要するに私は現在の次官通牒そのものを嚴守するのですけれども、その中の概念規定をもつと細かにするという趣意で私はこれを相談をいたそうというのです。まだ警視総監からどういうことをきめようという相談もないのですが、併し前から私どもと相談をしたいという御意思があるように聞いておりますので、それでそういう場合は虚心担懐これに応じてお互いにきめて行こう。けれども今の趣意が幾らかでも範囲が狭まるとか広まるとか、そういうような、何かそこに原理的に変更が起るときは、これは私ども学長諸君ともよく御相談をいたしていたしたいという、そういう考えなんです。
  113. 左藤義詮

    左藤義詮君 先ほど学長はこれ以上の取極をする必要がない、このままでいい、こういうような御意見つたのですが、今文部大臣が言われた意味で、文部省と法務府、或いは警視総監との間に何かの取極がありました場合に、これにお従いになるか、或いはそういうものは必要ないということで拒否をなさるか、伺いたいと思います。
  114. 矢内原忠雄

    参考人矢内原忠雄君) 大学学問の自由、大学自治を尊重する建前から次官通牒、並びに次官通牒の基礎となつておる従来の慣行というものが承認せられ、そうして特高警察の復活ではない、特高警察を復活せしめないという具体的な方針が守られ、そうして大学自治が現在以上には狭められないという了解の下に政府のほうでおきめになれば、それを国立大学協会という協会がございます。そのほうへ案をお示し願いまして、今申しましたような原則なり了解なりが充たされますならば、勿論従う気持でおります。
  115. 左藤義詮

    左藤義詮君 時間がありませんから、その点もう少し詳しくお伺いしたいのですが、又他日に讓ります、  警視総監に伺つておきますが、どうも先日以来、或いは本富士署長或いは警察官行動についてはいろいろ批判がございましたが、本委員会における証言等につきましても甚だ不適格であることは、学長のいつも心配しておられるような、非常に純真であり而も又感じやすい、ともすれば過ちやすい若い人々を扱う大学の所轄の署長、或いは警官としては、甚だ失礼な言い分でありますが、適任者じやなかつたのじやないか、こういう点については私は責任をどうということじやなしに、何らかの、総監としてこの問題を契機として考慮をされる、そうしてもつと大学と緊密に若い者たちの心をよくわかつて、而も嚴然として警備の責任を果し得るように、もう少しその点について人選その他に考慮なさる御意思があるかどうか、最後に伺いたいと思います。
  116. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 本富士署長の任命につきましては、まあ従来も東大との関係を非常に考慮いたしまして、いろいろ人選をいたして、現在の署長を任命いたしたのであります。まあ今度のような問題が起りますると、或いは署長がすぐ不適当であるかというようにも一応考えられるのでありまするが、まあ当然その場になつてもやはり警察という立場をどうしても署長としては主張せねばならないということになりますと、やはり同じような結果になるのではないかと思つております。ただその一人々々の持味といいますかその人の特別な風格、或いはいろいろなその人の特徴もございますから、場合によつてはこれがそこまで行かなくて済んだかも知れないのでございます。結果論からそう言うのでありますが、私としましては、今の問題は別としまして、将来十分にこの人事等につきましても一つその点は考えたいとかねがね思つております。
  117. 小野義夫

    委員長小野義夫君) それじや宮城先生、簡單ならば、大分時間が切迫しておるのでございますが、簡單なる御質問でしたらどうぞ。
  118. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 重複しないように私は文部大臣ちよつとお伺いいたします。福井さんが起訴されましたようでございますが、これにつきまして、まあ起訴、不起訴は検事の権限にございますものですから、私ども何とも言う立場ではございませんけれども、起訴相当だというようにお考えでございましようか、どうでしようか。
  119. 天野貞祐

    文部大臣天野貞祐君) 私はそういう法律上の知識もございませんし、又その事実を詳細に、まだ個人的なことを検討して、これが起訴が適当か適当でないかということを、法律的に考えたということをいたしておりませんから、何とも私からは申上げかねます。
  120. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 今度のは大きい問題がございまして、教育立場から特に考慮を要する点が多々あると思つております。こういう場合に福井さんが起訴されたかされないかということについて、殊に私は父兄が非常に注意をすると思つているのでございますが、法律の問題は別といたしまして、今日の刑事政策の上から申しますというと、殊に犯罪者予防更生法が今非常に活用されております現在におきまして、普通の店で泥棒いたしましたような者でも起訴猶余或いは不起訴の処分をとるということが、保護教育の上から刑事政策の点に立脚して考えられております現在、私はこの起訴ということについてはやはり文部大臣としての立場でも少し、干渉ということは勿論できませんけれども一つの御意見を持つて頂きたかつたと思つておりますのでございますけれども、そういうことは大臣の立場としたら絶対にできないのでごさいましようか。
  121. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は平生大学学生のことは專ら学長にお任せしておいて、学長から何か御相談があれば、それに応じますけれども、こちらから学生に対して、あの学生をこうせよああせよということは、殊に古い大学に対しては申しませんし、慣習になつておるものですから、実は甚だ不行届かも知れませんが、今のような問題を私自身は考えておりませんでした。若し学長からそういう点について何か私から発言なり、或いは検事局に交渉なりして欲しいということなら私はいたしますけれども、そういうこともございませんし、何もいたしません次第でございます。
  122. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 実はこの問題が起りましたときに、或る一女学生でございましたが、私の親しくしております家の娘でございますけれども福井さんを取返しに警察に行くと言つて随分騒いだのだそうでございます。それは大勢あつただろうと思いますけれども、まあ女だからちよつと控えておれと、こう言つて控えさせられて、自分の家へ帰つたのだけれども、非常に残念がりまして、家中問題にしたというようなわけで、その話を聞きましたときに、私は大学に入つて一年間のうちにそんなに色がつきましたか、困つたものですねと申したのでございますが、そういう何かわからないけれども、その場に立会つておりまして、非常に感情の強いあの若い学生たちが、女までも取返しに行かなければならないような、何かわからんけれども、取返しに行きたいというような感情の激昂をしたというような問題につきましては、まあ際物だから起訴もちよつと、必要なら仕方がないというように私どもも諦めなければなりませんが、私は母の立場からこれを考えましたときに、今度起訴されたということは、教育的に考えましても、刑事政策の上から考えましても、余り有効でなかつたのじやないかというように思うのでございますが、これはむしろ法務総裁質問すべき問題かも知れません。  ただ私ここで極く短い時間に伺いたいのでございますが、今度の東大事件のみならず、高等学校程度でちよつとしたことで随分停学や退学の処分を受けております者がございますように新聞等で見るのでございますが、先達つて私は特審局の責任のあるかたにその問題について聞きましたところが、それは特審局からも指令しているのでも何でもないので、学校当局意思でやつておることだろうということでございましたが、文部省としたら何か程度でも指示されまして、この程度のものは退学処分、或いは停学処分というようなことがございますのでございましようか。
  123. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は新教育一つの特色は、学長とか校長とかいう者に広い裁量の範囲を許すということだろうと思うのです、だから一つこうあつたら退学せよ、こうあつたらどうせよということは私は指図はしていない。私は聞いておりませんが、文部省としてしていないつもりでございます。
  124. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 実はこの間私は、これは場所を申上げていいかも知れません、豊橋市に母の研究会というものがございまして、これは昔……、ブルジヨア階級のお母様たちが三十人ほど集つて、いろいろ研究会をいたしております。自分たちの息子、娘が大きくなりましたために、セツクスの問題もございますが、主に思想問題について母としてどういう立場をとればいいかということを非常に苦慮して研究会を開いております。そうしてもう何年かその研究会を続けておりますというと、結論としまして、やはり私たちもだんだん赤くなりますよと母親は言うのです。そうして子供たちが刑務所に行けばもう母親も刑務所に行くよりほか仕方がないということになつたのです。そういうことを訴えられまして、私は非常に考えたことがございます。それで今ここで思想問題ではございませんけれども、私は今日母親たちがそういうふうな結論をしなければならないということについては、やはり私文部当局も少し責任を持つて頂きたいとそのときに考えたことでございます。又私ども国会におります者としても、非常な責任を感じ、特に母の立場を守ります私なんか、感慨無量の点がございましたのですが、どうか折角学生が、殊に高等学校くらいの学生学問に向いておりますときに、新聞を、赤の新聞を持つてつたというようなことのために停学処分になるなんというよかなことは、却つてこれは逆効果ではないかと常々考えているのでございますがそういう点についてもう一度御意見伺わして頂きたいと思います。
  125. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は只今も申しましたように、学校とか、校長とかというものの裁量でそういうことをしたらいいと思つております。文部省が一々こうせよああせよということを指図するのは、いいこともあるかも知れませんが、悪いこともあると思います。ですからそういつたかたがたの裁量に任すけれども、併し私どもは講習会とか、いろいろなことによつて校長さんがたの思想の解明と申しましようか、そういうことにも努めておりますが、併し学校のそういうことは責任者に任すという考えでございます。
  126. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 責任者が必要以上にそういう、びくびくしているというようなことをお認めではございませんでしようか。
  127. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は別に文部省から言われてびくびくしているとは思つておりませんです。
  128. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 文部省が別に指令なさるわけではございませんでしようが、私お願い申上げて置きますが、逆効果がございますことと思いますので、殊に大臣のお立場でこういう面のことをお気付を願いたいと思うのでございます。甚だ失礼な申し方でございますが……。私の質問はこれだけにいたします。
  129. 小野義夫

    委員長小野義夫君) それでは今日はこの程度で散会いたします。    午後一時八分散会