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岩間正男君 私はこの
衆議院送付の送付案並びに堀越
儀郎君から提出されましたところの
修正案に対しても反対する者であります。
我々は
文化財保護法が最初当院で
審議を進められておりましたときに、この
法案が
決定されるに当りまして反対の意思を表明した、それはどういう
立場からかと言いますと、この
文化財保護ということは、非常に重要であるが、併し
委員の構成の面で非常に問題がある。先ず第一人員については五人というふうな案でありましたが、これに対してもつと七人くらいにすべきだ、そうしてこの
委員会の
運営をもつと民主化する必要がある、この点であります。言うまでもなく我が日本民族が残しましたところの過去の文化を保存するということの意義は、決して我我は他の党に劣るものではございません。こういう例えば法隆寺の問題とか、それから中尊寺の問題に我々も
相当、当文部
委員としまして真つ先に立
つて努力して来たのでありまするが、この
立場は言うまでもなく、これは一部特殊の、もう特権階級によ
つてこういうような文化をいつまでも壟断すべきものじやない、飽くまでこれは民族の文化として、これは民族共有の
立場に立
つて、そうして過去の文化に単に盲
目的にとらわれず、何と言いますかこれに基いて次の時代の文化を創造するところの糧として、過去のそういう民族の持
つてお
つた文化というものを大きく文化創造の
立場に利用して行く、こういう点でこれを生かして
運営されるということが最も重要である。従いましてこの
運営の面においては、全国民の意識を、民族文化を本当に保存し、このゆめをもつともつと大きくこれからの文化創造の面で享有させるような方向に組織されなければならない。こういう点から
考えますと、二、三人とか五人とかいうような
委員の
運営では日本の現情ではこれは十分でないであろう、こういう点が反対論の第一点であります。五人にきまりましたので、而むその五人が
文部大臣の任命によ
つて最終的には
決定される現情においては、果して真に今私の申しましたような民族文化を真に保存する、これを国民的な
立場において保存するということを本当に果すことができるかどうかという点で、我々は非常に疑問を持
つて来たのであります。もう
一つは、これに対して十分に国家が
予算の裏付けをしなければならない。ところが、非常に
予算の問題を聞いてみますと雀の涙ほど
程度のものでありまして、これでは十全に最初の
目的を達することができるかどうか、こういう点から反対しております。
ところでこの保護法が実施されまして
保護委員会が発足して、その後の
仕事を進めて来られたのでありますが、そのうちでやはり
予算の面では最初我我が憂慮した
通り非常に少いのであります。これは最初のときなんかは僅かにこれは〇・〇二%
程度、厘毛に当る厘にも当らない、毛に当る
程度の国家財政の支出なんです。こういうことで果して一体
若林議員も先ほど大事業といいましたが、大事業は一体いつ果されますか。こういう点非常に心配な形ができておる。最近少し殖えましたけれどもこれも国家財政の全体が殖えたので、それぞれの関連で殖やされるというような形であります。
それから第三の問題は、先ほど
委員会の問題で述べましたが、この
委員会の
運営そのものが果して全国民的な運動として、もつと組織化され、本当に国民の文化愛好の精神というものを更に民族文化の創造の面に大きく活用するような面において一体
運営されているかどうかということは、非常にこれは問題なきを得ないのであります。大体
委員が選ばれたのでありますが、この
委員会法案によりますと、「文化に関し高い
識見を有する者のうちから両議院の同意を経て、
文部大臣が任命する。」という形で五人のかたが選ばれたのでありますが、これについてはまあ人選とかその五人の
個人的ないろいろなことを申上げる必要はないと思うのでありますが、この中には先ほどから問題になりましたように、兼任で一応まあそれに参画しているというような形で、実質的には十分な力を尽すことはできない。又その
運営の仕方が本当に先ほど私が申しましたような国民大衆というような
立場からこういうことが本当に
運営されるかどうかということを
考えますと、どうもやはり国宝というものを、やはり今までのように或る独善的な
立場に置くというような点が非常に強い形で
運営されている点が多いのではないかと思うのであります。無論事物局
あたりではこれに対していろいろな対策を立て、又国民に対してそういうような普及をするような
努力をされておるが、もつともつとこういうような面に対して十分な
努力を払われることが切望されるわけかんであります。
ところで今度の改革の問題なんでありますが、この改革の問題を
考えてみますと問題は単にこの機構改革というようなものにつじつまを合わせる、そして
予算の面で幾分軽減した形を示さなければ、どうも工合が悪いという形で進められておる。我々は問題にしたいのは果してこの文化保存、文化保護の事業、いわゆる
若林議員の大事業が進められておるかというような観点から
考えまして、現在の機構というものは当然それとの関連において
判断されなければならない。とろが私が
考えてみますのに、先ず先ほど挙げましたように、国宝の指定の問題、これが非常に立遅れているのではないか。そのためにそれといろろ関連しまして海外流失の問題がこれと関連して起
つて来たのであります。こうしますと現在日本の殊に両条約、
行政協定を結ばれました日本の現在の
立場から
考えますときに、こういうような
仕事はどんどんこれは急がれて、若し万一この不利な態勢が来たときにも十分に真にこれを保存するというような保護
行政がどられなければならないと思うのでありますが、そういう点でやはり立遅れにな
つていると思うのであります。又それに相次ぎ国宝に対して災害が起
つているのであります。こういうものも焼けてしま
つてからでは仕方がないので、事前にもつと手を打たなければならない。こういうものも立遅れにな
つている。又無形文化の面も歌舞音曲、民謡等の点においても、民族の所産である優秀な無形文化、現在こういうものも早く採取して何とか保存を計画しなければ、先に行
つて、殊にもこの太平洋戦争で
相当散逸しているのであります、もつともつとこれが先に、現在のような態勢で文化に対する盲
目的な
考えかた、或いは植民地的文化の氾濫によりまして、日本の固有のそういうような民族文化というものがどんどん失われて行く。こういう態勢から来ましたときに、早く今から手を打
つておかなければならない。
あとでは間に合わないという問題が非常にあると思う。
かれこれ
考えますとこういうような
仕事というものは十分に
仕事をするとすれば、五人の
委員が全力を尽して、全く誠心このことに当
つたとしても、私はこれは決してやりきれないほどの
仕事があると思う。これはしなければならん
仕事なんです。ところがそういうことでなくて、実際はそのうちの一部の
仕事がやはりこの
予算の
関連性もあるが、この
予算の関連において、なかなか思うように軌道に乗らない。こういう形にな
つておるから、我々は
現状のこういう
仕事を十分にどの線まで果さなければならないということを
考えますときに、当然これに対してもつとむしろ
委員を充実し、
委員の
内容についてももつと、単にこの名
目的な社会的地位とかそれから個々に掲げてある文化に関する高い
識見というような形で実際には
仕事に当ることのできない人を選ぶんでなくて、もつと真剣に体を打込んで行けるような人を十分に集めて、
予算の面においても大きく拡張する。この点をももう少し国民運動として展開するというような点で解決しなければ、現在のような再軍備費の大負担によ
つて文化面が大きくどんどん圧迫されているという
現状におきましては、これを保有することは非常に困難だ。そういうことから
考えても、この
委員会の
仕事というものは大きな力をつちか
つておかなければ、この
法案が指向するところの
目的を達成することはできないのじやないかと
考えているのであります。
ところがそういうことは実際には十分に考慮されない、そうして機構改革の線で一応つじつまを合わせるんだ、そして二百万円だけここで浮かしたのだということを見せるのだということで、実際的に見ますと
委員の
俸給は前にこれは実所得においては
変りないというようなことで、何かや
つてしまうということで、何かこの
衆議院の
修正はあいまいもことしております。問題の
本質をはぐらかしている。こういうような形で進められている。我々の改革案に対しましてはもともと我々が主張して来た線から
考えましてまるで反対の方向に行
つておるのでありまして、賛成することはできない。従いまして私はこの
法案に対しまして反対するものであります。