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1952-07-10 第13回国会 参議院 文部委員会 第49号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年七月十日(木曜日)    午前十一時十五前開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梅原 眞隆君    理事            白波瀬米吉君            相馬 助治君            木内キヤウ君    委員            小串 清一君            川村 松助君            木村 守江君            黒川 武雄君            高橋 道男君            堀越 儀郎君            山本 勇造君            荒木正三郎君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   委員外議員    青山 正一君   衆議院議員    若林 義孝君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君   政府委員    地方財政委員会    委員      木村 清司君    地方財政委員会    事務局長    荻田  保君    地方自治政務次    官       藤野 繁雄君    文部省初等中等    教育局長    田中 義男君    文部省管理局長 近藤 直人君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君   説明員    大蔵省管財局国   有財産第二課長  牧野 誠一君    農林省農地局管    理部長     谷垣 專一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○義務教育費国庫負担法案衆議院提  出) ○教育及び文化に関する一般調査の件  (水産大学校舎敷地に関する件)  (奈良の文化財保護に関する件)   —————————————
  2. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) これより文部委員会を開きます。義務教育費国庫負担法案を議題に供します。総括質問に入ります。ここへ発案者として若林君がおいでになつておりますから御質疑のあるかたはお願いします。それから地方財政委員会委員木村さんがおいでになつております。それから荻田事務局長おいでになつております。文部大臣も御出席になりました。
  3. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 昨日文部省のほうには質問をいたしまして答弁を求めたのであります。その問題は義務教育費算定する基準について質問をいたしたのでございますが、この問題につきましては地財委側見解というものをこの際承わつておきたいと思います。即ちこの法案によりますと、二分の一は国庫が支出するということになつております。従つて残りの二分の一は地方負担する、こういうことになつておるわけでありますが、地方負担する二分の一の教育費については当然平衡交付金においてその財源が見られることになる、かように考えるのでありますが、その二分の一を平衡交付金算定する場合、どういうふうにして算定をされるのか、この際伺つておきたいと思います。
  4. 木村清司

    政府委員木村清司君) 平衡交付金性質から申しまして、全国的な基準で以て各地方の中、小学校の教員俸給財政需要全国的に測定するわけです。従いましてその基準の大体半額国庫負担されるごとになりますから、自然大体において全額半額平衡交付金を以て、全額を賄うということに相成ると思います。ただその場合において今度は負担法によりますと、実額半額ということになりますから、例えば現実財政需要基準より低いところがあつたといたします、例えば教員構成関係とか、或いは欠員の関係とか、そういう関係から見ますと、基準より低いところには国庫負担性質実費半額ということになります。そうして平衡交付金法といたしましては、あるべき姿ということによつて財政需要を測定いたしますから、現実が低いからといつて低くやるということは、平衡交付金法にはない。これに反して又現実が例えば余分にといつていいか、基準以上に教員を置くとか、或いは俸給が高いということによつて基準以上に高かつた場合においてもこれは見ておりませんし、この点は実費負担におきましても最高限をおきめになりますから、その最高限をおきめになる方法によつては、或いはこの地財委で定むる単価と同じことに合致するかも知れませんけれども、或いは必ずしも全部一致するというわけに行かないのであります。我々のほうからいたしますと、あるべき姿の、全国的に財政の許す限りにおきましてあるべき姿における基準財政需要を測定するということになりますから、その点が負担法と同額のものが行くというわけには参らんと御承知願います。
  5. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 説明趣旨はよくわかりました。そこでこの際なおお尋ねをしておきたいと思うのは、全国的な基準ですね、例えば教職員の数を幾らにするとか、或いは一人当りの給與平均幾らにするとか、こういう問題でございますが、これにつきましては当初衆議院において出された原案にはこういう問題についてかなり詳しい規定があつたわけなんです。今後この全国的基準というものを、現在行なつている基準でおやりになるのか、或いは今度衆議院原案として出されたこの中に規定されたものをよりどころとしておやりになるのか、そういう点を伺つておきたいと思います。
  6. 木村清司

    政府委員木村清司君) これは平衡交付金総額の問題とも関連いたすと思いますが、大体只今のところは現行法弊害がある点を除去しつつ改善して行きたいというふうに考えておりまして、大幅に現行法のやり方を根本的に改めたいというようには考えておりません。
  7. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題についは提案者側の御意見も伺つておき失いと思うのですが、現在の基準で参りますと、結核教職員の率にいたしましても非常に低いところできめられると思うわけです。それから事務職員につきましても非常にその数が少い、或いは産前産後の補充教職員の問題につきましても非常に少い、殆んど見ていないわけです。これが教育の実際は当る人の数を少くしている。従つて教育上にも相当悪い影響を與えておる。そういう点は当初提案者考えられた原案にはかなり詳細に規定をされて、そういう弊害を救済するような方途が講ぜられておるわけです。こういうことが今後の全国的な基準で考慮せられるように考えておられるのか、全然このものは御破算になつているというふうになつているのか、その点提案者側としての御説明を伺つておきたいと思います。
  8. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) 大体提案者としましては、原案に盛つてあります趣旨を尊重して行くべきだという気持で進んでおるわけであります。それから結核療養教職員などにつきましては、現行法では古い統計に基いて出されておる、今度の原案では実情に即した率で出して行くと、こういう行き方に変つているのでありますが、併しごの実情に即した原案算定基準になるという、これを一つ尊重してもらいたいという行き方で進んでおりまするが、大体これは事務的折衡了解が得られると、こう考えておるのであります。
  9. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今提案者が御説明なつた御趣旨については、地財委並び文部省の双方においてかなり了解をしておられる点があるのかどうか、一つつておきたいと思います。先ず地財委の……。
  10. 木村清司

    政府委員木村清司君) まだその点の具体的な点は恐らく予算折衝との関係になる平衡交付金算定に関する基準として、義務教育費幾ら算定するかという基準の問題になりますから、本法案成立後実施の際に地方財政計画の中に入れる教育費算定基準としての問題と了解します。只今のところ私どもで具体的な問題としては折衝はまだないように考えております。
  11. 田中義男

    政府委員田中義男君) 文部省といたしましては、大体原案趣旨につきましては私どもも心より熱望いたしておるところでございますし、なお衆議院において可決されました修正案につきましては、附帯決議もあることでございますし、それらの院議等を十分尊重いたしまして、できるだけ折衝を重ねてその実現を期したいと考えております。
  12. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題につきましてはこの新らしい法案が成立いたしましても、財政需要を決定する場合に旧来のような結核教員を一・三三に見るとか、事務職員を殆んど見ないとか、或いは産前産後の休養の教職員補充を全然考えないとかいうことになれば、これは前進したことにはならない。こういう結果になると思いますので、これは関係当事者において提案者趣旨を十分理解せられて善処せられたいと、かように思います。
  13. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) その点修正案を提出いたしますときに、昨日もちよつと申上げましたように、大体の目安といいますか、基準というものは今お話なつたようところでやはり相当大幅に原案に盛られております趣旨で行くことを推進いたしたいと思つておりますが、併し結果においては実支出額という事柄であるのでありますから、国家の補助を與えますときには二分の一ということ、支出額からその内容の如何を問わず実際に支出したものである。だから割合原案算定基準もそれは非常に有力なものではありますけれども、この修正案ではそれを超越して、実支出額の二分の一ということになつておりますから、却つてうまく行けば自主性を尊重して行くということになるのではないかとも思つておるのでありますけれども、併し御発言になりました趣旨を十分にこの法案の点について一つ我々として地財委も、文部省も、大蔵省も尊重して行つて頂きたい、こういうような気持でおります。
  14. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私も今提案者のお考えは御尤もであると思うのです。この本旨とするところは、実際の支出額の半分を国庫で持つ、こういうところにあつて、できるだけ地方自主性というものを私は尊重して行く、従つて財政需要額算定する場合に、いわゆる平衝交付金をきめる場合に、国家地方自主性というものを無視して、一方的な枠で縛つて行くということはこの法案趣旨に反しておると思いますので、この点は十分考慮すべきではないかというふうに私も考えております。  それからその次の問題ですが、この法案の重要な問題といたしまして、国庫負担額最高限度政令で定めることができる、こういう規定があるわけなんですが、これはかなり今提案者お話なつたように、こういうことを政令できめるというふうなことになれば、自主性相当阻害するのじやないかということを私は心配しておるのですが、提案者の御意向を伺つておきたいと思います。
  15. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) この最高限度をきめるということにつきましてのまあ底を流れます気持は、いわゆる国家公務員と、或いは地方公務員とを比べまして、教育職員というのは特別な取扱方をすべきものであるという行き方をまあ尊重しておるわけでありますが、併しながら、他の公務員と、各府県ごとの場合で申しますというと、各府県実情余り均衡を失するようなことのあつた場合、或いはその同じ都道府県でありましたならば、その同じ都道府県教職員と、それから一般公務員地方公務員との均衡が非常に目立つて失したような場合一定限度をきめると、こういうように私は解釈をいたしておるのでありまして、教職員だけが特別に不均衡にならない限り、他の一般公務員均衡を失しない限り、又他の都道府県均衡を破らない限り、こういうような條文は適用されずに済むのである、こういうように考えております。
  16. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、この條項で、政令で定める必要が起つて来るということは、他の都道府県との均衡は著しく失われて来た、こういう場合が一つ、それから同じ都道府県内でも、他の公務員との均衡が著しく損なわれて来た、こういう場合には、まあ政令できめるのだ、こういう趣旨でございますね。そうすると、この政令は、そういうことのない限り、こういうものは作られないのだと、こういうふうに了解して差支えございませんか。
  17. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) さように心得えております。
  18. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこで、他の都道府県と著しく均衡を欠いて来たということがこの政令を作る大きな理由になつて来るわけなんですが、それでは他の都道府県均衡がとれなくなつたということは、どういう場合にそういうことが言い得るのか、その点を一つ説明をお願いしたいと思います。ただ都道府県によつて差が起つて来たというだけで政令をきめるのか、その点をもう少し御説明を願いたいと思います。
  19. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) 私は先ほどお答えいたしましたように、大体もうこの法案の適用されるようなことがあれば、むしろいいのじやないかと思つたりするのです。そこは教職員だけの給與がよくなるということは想像されないのでありますけれども、併し、大体他の一般公務員との均衡ということと、それから今御懸念になりますように、万一これが限度がきめられるというような場合を想像するといたしますというと、国家財政が著しく弱体化されたときというような場合を想像するより以外ないと、こう考えております。
  20. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、まあ政令できめる場合ですね。先ほど二つ理由を挙げられたわけなんですが、もう一つあるわけなんですね。国家財政が窮迫して来れば、一つ政令で押えて行くのだと、こういうまあ御説明をせられたのです。そうすると、前の説明以上に更にもう一項加わつて来るということになるのですが、そうなんでしようか。
  21. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) これは大体この第二條におきましては実支出額となつておりますから、一定限度というものを示していないわけです。基準も何もこれにはないわけでありますから、財政のいわゆる技術面から不必要であろうとも、一応こういうことで押えるというのに過ぎんのじやないかと、こう思つております。昨日教材費について御説明申上げましたように、いわゆる給與費が上ると、それとスライドして教材費が上るというのか、財政的には非常に何と言いますか、技術面から言つて、受益、利益を受けるほうから申しますと、そのほうが非常にいいのでありますけれども財政を預かる面から言えば、一定限度を、そう給與が上ると同様にその都度上げられるということに危険を感ずるのと同じように、第二條の実支出額というのが何らの制限を加えておりませんから、若しこれが無制限に上るというようなことがある場合を押える一つの技術的のこれがいわゆる定石ではないか、こういうふうに私は考えておるのであります。
  22. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 まあさつき言われた理由は、私非常に重要であると思うので、前の二つの問題については若干私も了解するところがあるのです。非常に均衡を失して来た場合ですね。それは実際上起ると思いますが、国家財政が非常に苦しくなつて来た場合に政令で抑えるのだと、こういうお考え方であれば、この法案というものは全く意味をなさないのじやないかと私は考えるのですが、もうすでに御承知通り、今後まあ軍事費ということは言えないにしても、相当金が要るということは見えすいたことなんです。国家財政はこれはもう楽になるということはちよつと考えられないわけですね。そうすれば、この政令できめるということは、そういうことを見越して教育費を抑えて行くのだと、こういう意図があるようにも見えるのですが、そういう点一つ誤解のないように御説明願いたい。
  23. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) 先ほど私二つ理由を申しましたように、その二つ理由に基いて、根拠を持つてそれ以上負担をするということは、国家財政として困ると、こういう場合を言うのでありまして、まあその一般均衡も何も失してもおらず、或いは各府県内においても、都道府県内における他の公務員との均衡も失しない場合、この制限を加えるということはない。でその二つ理由に基いての制限以外は適用は受けないと、それで先ほど国家財政云々を申しましたけれども、それはその二つ理由によつて、それでもまだ余裕があれば或いはやれるかも知れんと思いますけれども、それ以上はいわゆる国家財政を脅やかすものだというような解釈をつけられないこともないのですから、その意味制限だと、こういうように御解釈願つていいと思います。
  24. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題について文部省見解を私は伺つておきたいと思いますが、かなり均衡を失した場合ですね。政令でその均衡を是正する意味政令を作ると、こういうことになると思うのですが、実際問題としてどの程度均衡を失なつて来た場合政令を出すのか、こういう問題になると思うのです。現在でも私の聞いておる範囲ではかなり相違があると思うのです。例えば東京とか大阪のようなところはかなり給與も高い。平均単価が高い。併しその他の府県においてはかなり低いところがある。で、現状においてもこういう政令で出す必要があると考えておられるのか、現状程度ではそういうことの必要はないというふうにお考えになつているのか、文部省側見解を伺つて見たいと思います。
  25. 田中義男

    政府委員田中義男君) この法案をすなおに読みます場合に、どこまでも実支出額半額ということがこれが大原則でございまして、第二項の場合はこれは特別の場合の例外等考えるのが誠に自然でございまして、私ども法を運用いたします場合には、その精神則つてこれを運用して行くように十分の責任を持つて努力すべきだと考えております。そこで只今の御質問でございますが、その不均衡等は如何なる場合にこれを是正すべきかという問題になりますと、單に絶対額だけではござい喜んで、いろいろなる條件を併せ考えませんと適当な結論は得られんと思います。ただ現在のところ、直ちにそれを以て不均衡があるので是正のための措置を講じなきやならんというようなことは只今はまだ考えておりません。
  26. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今文部省お話しなつた点でございますが、まあ言うまでもなく政令できめるということはこれは例外的な事柄であろうとす思のです。飽くまでもこの法の精神は、実支出額の二分の一を負担するというのが建前であろうと思うのです。文部省側見解は私は当然であろうと思います。私が懸念をいたしておりますのは、万一政令がこしらえられるとこういう場合をまあ考えておるわけなんですが、そこで今文部省お話しなつたように、これは單に絶対額だけを見て均衡がとれているとかとれていないとかいうふうな判断は私はできないと思うのです。それは無資格の若い教職員を多く雇つておるところはこれは平均単価は非常に低いと思うのです。それに反して資格を持つてかなり経験のある教職員を多数に持つているところは平均単価は上つて来ると思います。だから平均単価だけで均衡を失していると、こういうふうな考えを持つならば、そうしてそれを是正するんだというふうなことになりますと、これは教育を破壊することになると思いますので、そういう点は、單に計数のいわゆる絶対額、そういう総額とか平均單価とかこういうもので均衡を失しているとかいないとかこういうことは言い得ないと思うのですが、そういう点についてもう一言説明願つておきたいと思います。
  27. 田中義男

    政府委員田中義男君) 先ほど私申上げまして、なお只今意見がございましたが、全く御同感でございまして、別に特別な変つた考えは持つておりません。
  28. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ではこの問題について念を押しておきたいと思うのですが、この第二條の第二項というものは通常の場合はこういう政令でさめるということはないので、この法の趣旨とするところは、実際の支出額の二分の  一を負担すると、こういうところにあるんだというふうに提案者はお考えになつておられるかどうか、この際念のためにお伺いしておきたいと思います。
  29. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) 御発言になりました趣旨同感そのものでありますことを私からも重ねてここで明言をいたしておきたいと思います。
  30. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それから衆議院ではこの法案を議決する場合に附帯決議を出しておられるわけであります。で、この附帯決議は私どもも非常にこの内容には賛成なんです。そこでこの附帶決議を今後まあ政府として善処しなけりやならないと、かように考えるのですが、この際この附帶決議に副うような政府としてはお考えがあるのかどうか。大体三つの点が挙がつておりますので、各項目について一つ政府の所見というものを伺いたいと思います。
  31. 田中義男

    政府委員田中義男君) 附帶決議は三点ございましたので、大体原案趣旨に副うように、実支出額その他の算定の場合に原案趣旨をできるだけ尊重するとございまして、この点については私ども政府或いは文部省といたしましてできるだけ努力いたしたいと思います。なお地方財政法改正によつて老朽危険校舎起債等をもう少し自由にしたいということでございまして、これは私ども是非かようにありたいと年来の希望なのでございます。これもできるだけ当局としても努力をいたします。それから施行期日の点でございますが、これは私どもだけでどうすることもできないのでございますけれども、諸般の準備を整えまして、そうして能う限り二十八年度から実施できるような状態に持つて行くように文部省自体としては最善の努力を盡したいと考えております。
  32. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この際文部大臣に伺つておきたいと思うのですが、この附帯決議の第二項に「老朽危険校舎起債については、速かに地方財政法五條改正して原案趣旨実現を図ること。」こういう規定があります。文部大臣も御承知通りかなり老朽危険な校舎全国に多い現状でございまして、これが復旧を図ることは非常に緊急な問題である。これは大臣もしばしばお話しになつておるところでございまして、そのためには地方財政法五條改正しなければならんという問題になつておるわけなんですが、これについては大臣もそういう構想を持つてこういう改正を実施するお考えを持つておられるかどうか、こういう点についてお伺いしておきたいと思います。
  33. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 老朽校舎のことは絶えず心配をいたしておりまして、どうかしてこれの復旧を推進したいと思つてそのために必要な処置についてはできるだけの努力をいたしたいと考えております。
  34. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そのできるだけ努力をするということは、地方財政法五條改正したいと、こういう考えを持つておられるかどうか、一つお伺いしたいと思います。
  35. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) そうでございます。
  36. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 なおこの附帶決議にはないのでございますが、ここでいろいろこの委員会でも問題になつたものとして戰災、或いは風水害、震災等による校舎復旧の問題がございますが、この問題については、これは老朽危険校舎復旧と同様に重要な問題であると思うのですが、こういう問題について何らかのお考え文部省にあるかどうか、伺つておきたいと思います。
  37. 田中義男

    政府委員田中義男君) 学校校舎災害復旧等につきましては、最近の地方財政法の十條におきまする改正においてはつきりとその費用について一部又は全部を国が負担することができる條文が入つたわけでございまして、これは非常に私どもとしてはやりいい仕合せな改正であつた思つています。なおそれらについて国が負担をいたしますその割合については、来年の三月三十一日までに法律又は政令で定めなければならんとなつておりますので、それまでの間に折衝いたしまして、そうして能う限り十分な確保を期したいと存じております。
  38. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この衆議院附帶決議、大体今申上げました災害復旧問題等は非常に重要な問題であると思いますので、文部省でも時を移さずこれらの決議に副うような措置を私は講じて頂きたいとこの際強く要望しておくものでございます。  それから教材費の問題については昨日お尋ねをいたしましたので改めてする必要はないかと思いますが、ただ物価がかなり値上りをして来たというふうな場合にやはりどういうふうにせられるのか、そういう点を伺つておきたいと思います。
  39. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) これは原案趣旨で行くのが私一番いいという覚悟を今でも持つているのです。大体まあ現在の実情では教材費というものは給與費の十分の一に偶然当つておるわけなのでありますから、現状を基礎として考えますときに、その十分の一というものを法律で明確にしておくことが賢明だと心得ましたので、強くそれの折衝を重ねたのであります。その途中に、折衝の過程において衆議院に提出したのでありますけれども財政技術面から申しましても、昨年来御説明いたしましたように、その折衝功成らなかつたわけでありますので、まあこの二百円、生徒児童一人当り二百円見当を以て算定をするというのが政令できめるという内容になつておるのでありますが、無論現在の物価を標準とした場合における二百円であろうと考えておりますから、他の物価が上昇するに伴いましてやはり児童一人当りの単価を二百五十円にするとか、或いは三百円にするとか、その物価の高騰の割合に応じて当然政令改正されて行くものだと考えております。
  40. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これはまあ只今説明で大体よくわかつて来たのでございますが、やはり物価の変動、いわゆる高騰ということは考慮しておかないと、生徒一人当り大体二百円だと、こういうことで行く場合には物価がかなり高騰した場合非常に困ると思いますので、そういう点はかなり考慮をする余地があるとかように思います。私が御質問申上げたいと考えておつたことは大体母上でございますが、最後に提案者にお伺いしたいのですが、この修正案は当初出された原案に比べて相当な後退であると思うのです。これには提案者としてもいろいろの理由があつたろうということは私にもわかるのでありますが、併しこの修正案だけでは義務教育の、第一條に講つてある目的を完遂するのには甚だ遺憾な点も少くないわけなんであります。今後はやはり時を追うて改善して行くという御意思があるのかどうか、そういう点を併せて伺つて質問を終りたいと思います。
  41. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) 無論只今発言になりました通り気持でいるわけなんでありますが、恐らく文部省なり役所に勤めておりますものであれば、それだけで答弁ができていると思うのでありますが、議員の立場から又お願いもありますので、一言だけ発言をお許し願いたいと思うのでありますが、この法案原案作成につきましても、すでに御承知通り非常な紆余曲折を経まして、あれが文部省並びに大蔵省地財委との三者における妥協案というので作成をしたわけなんであります。一応これならば落着くという見通しでやつたのでありまして、併しその妥協案自体も決して満足すべきものではございませんでした。不本意ながら譲りに讓つてつたわけなんであります。又その当時練つておりますときに、参議院におきましては本委員会において小委員会をお作り下さいまして、教育費国庫負担という大原則を非常な御熱意で御審議を重ねられてお立てになつたわけでありまして、この原案を提出いたしました我々といたしましても、この参議院で御作成になりましたあの大綱と申しますか、には満幅の賛意を捧げる次第なのでありまして、その気持折衝を重ねたのでありますけれども、現在の段階において、修正案を出しましたように諸般の事情に鑑みまして、先ず甚だ不本意で後退し過ぎた感があるのでありますけれども、先ず現在の段階においてはこれだけででもいい、一つ橋頭堡として義務教育費国庫負担の大原則を打立てるべく、不本意でありますけれどもこの線でならば各折衝ができるという意味で讓つたわけでありまして、今御発言になりましたように、譲歩し過ぎるぐらいだと思うのであります。併しこれを契機といたしまして、義務教育費国庫負担の大原則、又憲法に謳われております義務教育無償の大原則をこの法案をもとにいたしまして、建築補助にいたしましても或いは学校給食の補助にいたしましても、この法案を将来を活用するごとによつて憲法の趣旨の原則を打立てて行くようにいたしたいと考えておりますし、なおこの財政的面と教育関係法案を整理いたしまして、この法案の一本にまとめて行くというような事柄考えているわけなんであります。どうするならば教育費全体を殖やして行くことができるかという大きな見地に立つて将来は考えて行きたいと考えますので、この趣旨に基きまして格段の御協力を、特に有力なる先ほど来この法案審議に当りまして各委員からの御発言は非常なこの協力的な御発言ばかりであり、而も有効適切な核心を衝いたところの御発言で、私たちといたしましても非常に力を與えられた、又将来非常にごの邁進するに力を受けたような感じがするのでありまして、恐らく文部大臣も又局長、その他課長、これの審議振りを拝聽しております人たちひとしくその気分を見ておると考えるのでありますから、深甚な謝意を述べつつ蛇足を加える次第であります。
  42. 相馬助治

    ○相馬助治君 昨日来議運の委員として、議運で微妙な問題を取扱つておる関係上欠席しておりまして、以下質問することが或いは重複することがあるかと存じまするが、その場合には、遠慮なくその旨を御返答下されば結構でございます。私は先ず提案者に二、三の点をお尋ねしてそれを基礎といたしまして、地財委木村委員も見えておるようでありまするので、木村委員お尋ねする、こういう順序で参りたいと存じます。先ず與党内の微妙な空気の中にこういう議員提出の法案を用意され、而もこのために検討された提案者に対してはお世辞抜きに深甚な敬意を表します。問題はこのような国の教育の基礎を定める重大法案が、議員提出の形で出ておりまする関係を似ちまして、以下質問いたしまするということは、当然政府当局に尋ねるべき筋のものではありまするが、提案者としてもそれらの点について当然御連絡等があつたと確信いたしまするのでお尋ねいたします。先ず第一点は、この法律案に対して地財委大蔵省等が相当根強く反対していたことを我々は承知いたしております。この反対がむちやくちやな反対に実はあらずして、少くともこの反対に対して有力なる理論的根拠を與えたものは、現在の日本の地方税法であろうと思うのであります。即ち固定資産税というような非常に明確な大きな財源が市町村に與えられておる、一方においてはこの負担法という法案を作つて、国から教育の費用を義務的に見て、この間の矛盾に対して当然文部大臣としては、現在の段階におけるところの教育を優先することなくしては、国の再興はあり得ないという観点から、先ほど来これを主張していること当然でありますと共に、いわゆる文部委員の私からかかることを申するのは不本意でありまするが、地財委の反対も又故ないことでないと、一応の同情が持てるような気がするのです。そこで提案者としては、この法律案を真に生かし、同時に附帯決議において問題になつておりまする三つを将来において実現するためには、当然地方財政法改正地方税法の改正、これらが予定されなければならんと、こう存ずるのでございます。従つてこの問題について大蔵省並び地財委と如何なる連絡をとり、如何なる話合いになり、どのような見通しに立つていられるかどうか、これをお伺いするのが第一点でございます。  第二点は老朽危險校舎起債について云々ということが附帯決議に述べられておりまするが、御承知のように、現在の起債というものは、なかなか困難なものでございます。関係筋がなくなつて起債の枠というものが或る程度自由になるであろうと言われますけれども、国のやはり財政規模から言えば、そうも地財委大蔵省としてもならないのじやないかと、こう思いまするが、同時に文部関係としては、六三建築の問題等がこれにからまつて来ていると思うのです。従つてこの起債については差当り明年度あたりにおいては、どういうこれは話合いになつているか、どういう見通しであるか、この点を伺いたいと思うのです。この後段の面は提案者において的確な数字、その他がここに用意してなかつたならば、代りに文部省の事務局をして、あなたから命じて御答弁下さることも自由でございます。
  43. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) 非常に讃辞を最初賜わりまして恐縮に存ずるのでございます。これは本当に苦心をいたしましたところをおもだるく御覧を願つてつたと思いまするが、與党でありまする関係上、地財委が持つております五百億近いところの平衡交付金の中からとることになるのでありますので、文部省としても出したくとも目分のほうでは出しにくい案であります。それから地財委のほうも決してこれをセクシヨナリズムというようなちつぽけな考え方からでなしに、本当に自己の所管しております職務にまじめに忠実であればあるほど、この案に対して反対の意向を持つのは理の当然でございますので、私はこの特に地財委のほうから各委員会おいでになりまして、発言をなさり、説明なさり、又当初は反対の声明書の説明までもなさつたのであります葦、その姿に対して、本当に手を合わせて拝むような敬慶な気持で対しておつたのでありますが、この経緯をちよつとお聞きを願つておきますと、最初大蔵省全額国庫負担という線を持ち出して来ておつたのであります。それから地財委のほうは、半額国庫負担というほうを持ち出して来ておつたのであります。それから文部省の案といたしましては、今、原案に盛られておりますところの平衡交付金制度による総額の二分の一を平衡交付金制度によつてその按分をしてその補助を與えるというこの案だつたのであります。文部省平衡交付金制度を尊重しつつ各都道府県に配分するという精神は、現在の地方税制、現在の地方財政というもののその基礎の上に立つた案でございます。それから大蔵省地財委との全額国庫負担といい、それから二分の一の補助といい、これは地方税制なり、地方財政というものを根本的に変えて、その上に立つた国庫負担法であつたのであります。今度修正案は、いわゆる地財委の案にやや近いものでございますので、そういう意味において、全額半額国庫負担であるけれども、その半額は各都道府県の実支出額半額であるというように明確にいたしておりますから、現在の地方税制、地方財政というものを変えるということを前提として考えられておるのであります。両院におきまして、地方税制、地方財政というものを根本的に今御考慮をなされつつあるわけなんでありますので、この法案精神、特に平衡交付金の二分の一近いところの部分を占めますこの教育費を根幹として地方税制、地方財政の改革というものが行われておるのでありますので、そういう意味において衆議院でも附帯決議が付せられておるのでありますが、この施行期日というものが明確にならかつたのであります。これが衆議院修正案を出しました日から相当日も経つておりますし、それから地方税制も両院におきましてやや合理的な線が出されておりまするので、それと睨み合せて、今日では修正案を提出いたしました当時よりも、より以上明確な政府関係としては答弁ができ得ると考えます。  それから第二の御質問の点におきましても、先ほど来御質問がすでにあつたのでありますが、地方財政法五條を変えることによりまして、より老朽校舎、その他について一つ明確に法律的に基礎付けたい、これは文部大臣からも御説明があつたのでありますが、原案に盛られております五十分の一を、百億近いところのものを明確にするというところまでは来ませんけれども、ややそれに近い結果が現われるよう努力をいたしたい。今年度はすでに御存知の通り、二十五億見ておるわけであります。他と合せて四十億を起債によつて受けることになつておりますから、明年度は、この原案を引つ込めましたけれども、その原案趣旨を貫徹すべく我々も努力をいたしたいと思いますし、相当国会の意志であるということが政府当局に明確になつたようでありますから、政府もこれに恐らく協力するだろうと考えておる次第であります。
  44. 相馬助治

    ○相馬助治君 最初の問題は大分美しい言葉で御返答ですが、私はこの点が実はわからないのです。というのは現にこの日本において行われている地方税法、地方財政法、この基礎の上に立つて、いわゆる文部省案というものができていたと思う。平衡交付金制度というものを基幹としてこれを生かしながら、而も財政的に見て国家的な規模において教育を振興して行ごうというのが、何回も名前も変り、内容も変つたけれども文部省の一貫した考え方であつたと思う。このものの考え方がいい、悪いは別として一番まじめな考え方だと私は思う。或いは法的な改正を予想した、その上に立つておる、地方税法もこう変るであろう、地方財政法もこう変るであろう、又変えるであろう、そこでそれはどこまでも予想の問題であるからして、法案自体には盛ることができないから、その部分は附帶決議案だということになつて肝腎亜めの重要なことは全部附帯決議案となつて現われておる、法律案そのもの什名前だけは最初通り付いております仕れども内容においては甚だしく違つたものができて来ていると思うのです。そこで私は提案者お尋ねいたしますが、この附帶決議案に盛られている諸條項というものに対してあなたたちはどの程度にその責任が持てるのでございますかということが第一点。第二点は衆議院において成立した法律案を以てして真に日本の義務教育の振興を期するための財政措置というものは完備し得るとお考えであるかどうか、これらについてお答え願いたい。恐らく甚だ不十分であるが、この程度で十むを得ないと、こういう御返答になろうと思う。私はそんなことを聞いておるのではない、もつと法的にこういう衆議院で成立した法律案がどれだけ一体行政府を拘束することができるかということを聞いておる。具体的に言うならばこの法律を盾として文部大臣が閣議において、或いはあらゆる財政の割振りの面においてこの法律を似てどれだけ闘い得る法的根拠を、行政府に対する拘束力を持つておるか、それをどうお考えであるか、又立派な法律案を以て文部省をして執行せしめるとまでは自惚れていないであろうということを想像されますが、こんな俗な言葉を以てするならば、内容の最初と違つて変貌した、而も明確でない法律を塚て果して所期の目的が達し得るとお考えであるかどうか、この点について前に触れられたとは存じますけれども、明確に法的な立場から御説明を願いたいと思います。
  45. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) この法律がどういうような変化があり、どういうような強味がでて来たかということについてはすでに御存じの通り、今までも国家負担はしておるわけなのであります。国庫負担法というのはございませんけれども地方平衡交付金の中に打込まれまして国家がやはり負担はしておるわけなのでありますが、そのうちどれだけが教育費であるかということが需要額の算定基礎には盛られておりますけれども地方のこれは自由にせられておりますものの中からこれだけは教育費であるということを明確に摘出いたしまして行くところに、私たちといたしましては教育財政確立の精神が生きている、こう考えるのであります。例えて見まするというと、昨年のベースアツプに伴いまして、教職員給與だけでも二百億増加すべく計算が出て来ている、若し半額国庫負担をするならば百億というものが平衡交付金の中に、教育費関係の補助金の性質を持つておる平衡交付金として百億明確に入つて行かなければならんのが、他の自由な裁量が許される伸縮性を持つ他の行政費と引つくるめまして僅かに五十億の増加を見たに過夢なかつた。これが若し教育費だけを平衡交付金から摘出しておつたとするならば、当然百億を組まなければならんのであります。そういう意味において教育費を明確に平衡交付金の中から言葉は悪いのでありますけれども紐付にした、これは平衡交付金制度の、地方税制、地方財政の改革がシヤウプ勧告に基いてこの改革が行われます際これを憂いますために文部当局といたしましては標準義務教育費法というものを出しまして、閣議を通り国会に提出することになつたのでありますけれども、それは陽の目を見なかつたわけでありますが、そういうような意味で非常に平衡交付金の枠内において教育費というものが明確でなかつたために、地方におきましても非常に私は困つた場合が多かつたと思いますが、この法案におきまして原案を出しますときには、そういう趣旨で平衡交代金の制度で按分をして行くという精神でありましたけれども、併し国家が半分、二分の一を負担するということを明確にしたのでありますから、今度その最低の算定基準その他が抜けておりますから、非常に御懸念になるようでありますが、先ほど御質問がすでにあつたのでありますが、実支出額ということになつておりますから、今度実際に支出した、まあ法律的の言葉で言いますならば、支出額も実支出額も別に違いはないのであり十ます。けれども今までの行政の取扱方から行きまして、建築費の二分の一を補助するとこう言うておきながら、実際の支出の二分の一にあらずして、文部省が勝手にきめました額の二分の一、こういうことになつておりましたから、建築補助についても非常に地方財政としては窮迫を訴えておつたわけでありますので、今度は実支出額の二分の一と、こういうことになつておりますから、その算定基準はどうであつてもそういうことにはかかわりなしに、実際面の支出の二分の一ということになつておりますから、却つてこの地方自主性というものを尊重した行き方になつておるのではないかと考えておるのであります。それからこの地方税制の改革は、御存じの通り我々はこの法案というものは、文部省考えておりましたのはもう昨年来考えておつたのでありまして、その当時は、この地方税制の改革というものはまだ余り表面に現われて来ていなかつたのであります。ところがこの本国会の半ば過ぎからこれが相当線が太く出て参りまして、地方行政委員会などにおきましても、熱意を持つてこの地方税制というものの改革が行われて来たのであります。そこでこの修正案というものになつて来たわけでありまして、その修正案地方税制の改革というものと睨み合せまして、よく緊密をとりつつ行くという精神を盛つてありますので、施行期日その他については明確にしていない。地方税制におきますところのあの法案におきましても、施行期日というものが明確になつていない部分があるのでありますから、これと睨み合せて、この法案修正案になりまして、初めてこの地方税制改革と相並行しつつ行くということになつておるのであります。そこで甚だ説明の仕方が漠としておわかりにくいと思うのでありますが、大蔵省案の持つております全額国庫負担というようなことになれば、もつと地方税制というものが変つて来るのじやないかと思つております。まあ大体今構想されております地方税制の改革と相伴う行き方がこの修正案に盛られております。実支出額の二分の一を、各府県平均して二分の一を渡す、こういうことに一律に二分の一を渡すということになつたと思つております。  それから財政法の五條改正については、これは文部大臣もこちらに御列席になつておりますから、御熱意を一つ御披瀝を願えれば結構かと思つております。
  46. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止)
  47. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 速記を始めて下さい。青山正一君どうぞ……。
  48. 青山正一

    委員外議員(青山正一君) 貴重な時間をお與え願いまして有難う存じます。水産大学の問題で参議院の文部委員会が八月以来一年間に亘りましていろいろお骨祈願い、各党派ともこの問題に関する限り協力一致いたしまして、涙ぐましい御努力願つておる事実、これは水産関係議員として厚く御礼里げ享。実はいろいろな葉曲折がありましたが、最近の状勢を極く簡単に申上げますと、実は先月の二十六日ですか、この水産大学の校舎獲得の問題で、学生代表二名をお連れいたしまして、大橋国務大臣に面会いたし、学校のこの移転の問題に関しまして懇談いたしましたのであります。そのとき大橋国務大臣は、自分のほうではこの予備隊なり、或いは海上保安隊本部の候補地として三ヵ所ある。その中の一ヵ所は現在使つておるところのいわゆる越中島の校舎である。それから築地の元海軍経理学校の跡、それからもう一カ所は品川の海軍経理学校の分校の跡、この三カ所を自分たちは海上保安隊なり、成いは予備隊の本部の候補地として選んでおるのである。併しこの三カ所のうちニヵ所さえ頂ければ事足りるわけである。で、若し君たちのほうで品川のほうの敷地が欲しいならば、その品川のほうを水産大学の校舎として使つても差支えないし、自分もそういつた意味合いからして、今まで君たちの校舎を使つてつたのだから、この問題に関する限り品川の敷地を使つて頂くように自分も非常に努力したい、こういつたお話があつたのであります。併し問題は大蔵省文部省との関係だから、その方面と十分に連絡願いたい、折衝してもらいたい、こういう大橋さんの言葉であります。つまりこの学生なり或いは学校当局、或いは後援会の一番心配しておるのは、この越中島がどうしても返して頂かれない、而も最後の望みとして文部省が一生懸命にお骨折願つておりますところのごの品川の校舎も品川の敷地までも海上保安隊に使いたいとこういうふうなことでは、予備隊には二つとも全部とられる。而もその関係にある海上保安隊にまでこの品川を使われては困る。ごういつた学生の熱意があつたので、私がこの二人を連れて行つたわけであつて、そのときのお答えは只今申上げたような次第であります。  そこでこの委員会の席上に幸いにして文部大臣なり、或いは大蔵省のほうの関係から局長なり或いは主管課長がおいで願つておる、この二人に只今大橋さんのおつしやつた言葉をはつきり一つコンクリートして頂きたい。そういつた意味合いで御質問申上げる次第でありますが、この第一点は文部大臣なり或いは大蔵省当局は只今問題になつておりますところのこの品川の経理学校分校の跡を水産大学の校舎として使わして頂かれるよう御努力願えるかどうか。それから第二点は、若し品川の敷地からどうしても米国、只今米軍が使用しておりますが、米軍が撤退しない場合はやはり元の校舎を頂きたいわけでありますが、その点も御留意願えるかどうか。それから第三点としてこれは文部委員長にお願いであります。ここまで十分問題に非常にお骨折願つておるわけですが、そのお骨折のついでに一つ委員長から文部当局或いは大蔵当局へ結論的な何か一つ申入をして頂さたい。こういう次第でありますからして、以上三点の問題について只今御列席願つておる文部大臣なり或いは大蔵当局から一つ確言を頂きたい、こういうふうに考えております。皆さん失礼いたします。
  49. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) お答えいたします。水産大学の校舎の問題につきましては文部省といたしまして大臣を初め非常に苦労いたして参つております。問題はすでに昭和二十五年の八月以来の問題でございます。更に私といたしましても大臣の命によりまして是非これを何とか学問のできる建物に入れたいということで努力して参つて来た次第でございます。問題は越中島の元の水産講習所の跡へ帰るということで出発したのでございまして、すでに越中島の水産講習所へ帰りたい、従つてあそこの予備隊の建物を空けて頂きたいということはしばしばお願いして参つて来ておるのでございますが、なかなか予備隊があそこをいてんすることが困難な状況でございますので、さればと申しましてそれを待つておるわけにも参りません、現在久里浜におりまする水産大学が非常に困難を極めた状態でありますので、我々といたしましては一日も早くこれを何とかしたいという考えに日夜苦慮して参つておるのでございます。最近これは大蔵省のほうの話によりまして旧海軍経理学校の品川の分校が建物としまして至極適当であるということが判明いたしまして、私も現に視察に参りましたし、又参議院の文部委員のかたも御視察に参つたわけでございますが、至極適当であると、又学校当局者といたしましても極めて恰好な所である、大体土地は十二万坪でございます、建物は約八万坪と記憶しておりますが、相当広大な土地であります。又品川の海に面しておりますし、お台場のすぐそばにあるということで水産大学の校地といたしまして、又校舎といたしまして極めて恰好な所であるということになつたのでございます。学校当局といたしましては若し越中島が急に返らない場合には是非この品川の海軍経理学校の跡へお願いしたいという強い意思表示がございましたので、我々といたしましても是非そういう方向に持つて行きたいと思いまして、去る六月十日でございますか、文部大臣の名前を以ちまして大蔵大臣宛に是非品川の海軍経理学校の跡を接収解除の暁は水産大学の校舎としてもらいたいと、又文部次官といたしまして大蔵省の関東財務局長宛に同様の書面を提出して依頼しておるのでございます。併しながら接収解除がいつなすか、これはなかなか見通し困難でございますが、我々が非公式に外務省の国際協力局を通じて伺いましたところによりますと、この海軍の経理学校の跡は割合に早く解除されるということがわかりましたので、この方面に対しましても文部省といたしまして是非お願いしなければならんという訳合いを以ちまして、去る六月十六日でございますか、やはり文部次官の名を以ち特別調達庁長官に是非水産大学の校舎として海軍経理学校の跡を使いたいから速かに接収解除をお願いしたいという書面を出しました。又私の名前を以ちまして外務省の国際協力局長宛にも同様な書面を出しまして速かなる接収解除を依頼したのでございます。  以上は文書を以ちまして依頼した状況でございますが、なおその間におきまして私乃至係の者がしばしば外務省或いは大蔵省に出向きまして、是非この海軍経理学校を水産大学の校舎にしてもらいたいということを事務的に折衝いたし依頼して参つた次第でございます。それに対しまして本日大蔵省から管材局の課長がお見えになつておりますが、極めて好意ある回答を頂いております。勿論これは非公式でございますが、これが接収解除の曉には水産大学に必ず優先的に考慮するという極めて好意的な御返事を頂いておるのでございまして、まあ文部省といたしましてこれで水産大学の問題が一歩前進したというふうに実は内心気をよくしておる次第でございます。併しながら問題は接収解除の点にございますので、今後とも私といたしましては速かなる接収解除につきまして、一層外務省に対しまして、或いは特調には対しまして今後折衝を続けて参りたい、かように考えております。
  50. 青山正一

    委員外議員(青山正一君) 有難うございました。
  51. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) お答えいたします。只今の水産学校の現状はいろいろお話が幾度か出たことと思いますが、誠に教育に不適当な状態にあるということは誰が見ても言えることだと思います。我々もできるだけ早い機会に何とか解決の方法はないかということで検討を続けておりましたが、今度平和條約の発効に伴いまして占領軍が一応撤退をする、で、安全保障條約に基く駐留軍という形で残る軍があるはずでございますが、その間に出入りがあるはずだということで、いろいろ全国に亘つて外務省と連絡をとりながら調査を続けておりますが、只今お話の出ました品川の海軍経理学校の跡の施設、これは我々は米軍は新らしく要求はしない、安全保障條約に基く駐留軍の駐留地として要求しておらないということは外務省から連絡を受けておりますので、ここは空くという前提で話を進めております。その際ここが空いたならば欲しいという話は先ほど話も出ましたけれども、海上保安庁或いはその他二、三の会社から話がございます。それで大体これは我々のほうの腹案としては、今の水産大学、これが入るのに差支えないという範囲内において入れるべきであるという結論で今話を部内において進行中でございます。ただ若干いろいろなほかの会社もございますから、現在接収されておる施設が返つたのが全部行くかどうかというようなことは、これはまあお話合いがあるだろうというふうに思います。接収解除になることは大体確実であるということと、解除になつた曉においては水産大学に使つて頂きたいということで大蔵省として進んでおる、この二点はお答えできると思います。
  52. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 只今青山君から質問があつたわけでございますが、本当にこの東京水産大学は現状のまま継続しておるということは気の毒千万だと思います。大蔵省の管財局のほうでこの東京水産大学に限らず、教育施設の確保という立場に好意的な態度を堅持されておられる点につきましては、我々関係者としては敬意を表するものでございますが、ここに私は文部大臣にお伺いしたいことがございます。と申しますのは、私はこの警察予備隊、或いは海上保安庁、こういう関係の方面で教育施設を利用する場合の基本的な考えというものに私は問題があるのじやないかと思います。と申しますのは、東京水産大学は私が申上げるまでもなく越中島から久里浜に行つて、更に追われたわけでございますが、その過程においては警察予備隊、これは当時の占領軍の袖の下に隠れて水産大学の校舎を横取りした形になつておるわけであります。久里浜が返るときはこれは警察予備隊が使用するという條件を附けて、そういう警察予備隊と占領軍の間で内々に話合いをして、即ち袖の下に隠れてそうして水産大学の校舎を再び取上げた、こういう形になつておるわけであります。現在平和條約が発効して独立した現段階においては、先ずそれを真先に返すというような立場に大橋国務相は立たれなくちやならないと思う。ところが先ほど青山君の発言を承わつて見ますと、候補地は三つある、その三つのうちの自分らがいいほうをとつて、余つた一つは廻してもいい、こういう考え方というものは私は基本的に間違つておる。こう思うのでございますが、文教の府の最高責任者として天野文部大臣はどういうふうにお考えになつていらつしやいますか。更に大蔵省当局は常々ああいう好意的な見解を発表され、実際そういうふうに動かれておるのでありますが、やがて発足するであろう陸、海、空、それらを一環としたところの我が国の国防軍と申しますか、国防省と申しますか、そういう性格のものがいずれ発足するでございましようが、それらの方面と今度どういう基本的な態度において大臣が接触されて行かれることによつて文教施設を確保されようとしておられるか、その点についての御決意と御所見を承わりたいと思います。
  53. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は今後においては、大橋大臣とこういう約束をしてあります、警察予備隊等には決して教育施設は使わない、若し地方等でそういうことを申出るという場合がありますから、そのときは必ず私に連絡をする、こういうことを原則的にきめてあります。この水産大学の校舎については、これは実に自分らがそのために心配して来たということは学校当局のかたも御承知のことと思います。絶えずこのことを考えて来たのです。今例えば、あそこの品川の海軍経理学校の跡でございますが、ここのほうが広くて、そうして私は水産大学のためにこのほうがいいのではないかと思うのです。若し仮にこのほうが悪いならそれはどうあつても大橋さんに言つて向うに移つてもらつて元の所に帰るのがよろしいが、元の所は狭くて、これは水産大学のためにこの経理学校の跡のほうがいいというふうに聞いておりますので、それで早くから次官と局長に管財局のほうにいろいろお願いをして来たわけでございまして、又二、三日前も大橋さんと二人で外務大臣に是非早くこれを空けて欲しいというように、取計らつてくれろということを言つておるようなわけでございます。
  54. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 水産大学の問題は近く解決する、近く解決する、こういう候補地がある、ああいう候補地があると常々言われながら今日まで参つたわけであります。従つて私は文部当局並びに大蔵当局に切に要望いたしておきますが、本日の新聞を拝見いたしましても、あの五百六十億の安全保障諸費が三百億程度我が国に返つて来るように出ておりますが、この金がどんなふうに使われるか、ちよつと確実な予見はできませんけれども、今有力な候補に挙つておるところのこの品川の海軍経理学校の跡が水産大学の教育施設として利用できるように、再び取り逃すようなことのないように、文部当局は勿論努力して頂くと同時に、大蔵当局においても積極的な御協力を切に要望いたしておきます。
  55. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は今の青山君に対する御答弁について二点ほど確かめておきたいことがある。それと、大蔵省の管財局の課長の御答弁が今あつたのですが、これは海上保安庁並びにその他二、三の商人、こういう人の要求があつても、断然それらに優先して、解除された曉には何よりも先にこれを水産大学のほうに渡す、こういうように我々は確認していいんですか、この点はつきりして頂きたい、この点お伺いしたい。
  56. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) お答えいたします。海上保安庁その他いろいろな二、三の会社から申出があるというふうに申上げましたけれども、海上保安庁のほうは我々遠慮して頂きたいというふうに思つております。それから二、三の会社ですが、これは勿論水産大学が優先するという原則には少しももとらない範囲内で入り得るものだつたならば有効な所は使わしてやつたらどうかというふうに考えておりますので、それはまだ我々も駐留軍に接収されておるので、中もよく入つて見たわけではありません。そういう問題があるということで水産大学が優先するということを否定するものではございません。
  57. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると校舎が八万坪というのは一万坪でしよう。
  58. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 土地が約八万五千坪、建物は木造ですが、二万二千坪です。
  59. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると何ですか、敷地が少し広いから一部割讓することもあり得るというようなこれは御見解なんですね。
  60. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) これは大体今御質問のように了解して頂いていいと思います。
  61. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは八万坪というのは相当恵まれた條件だということは我々実地に見て来まして言える。そういう場合にこれは学校側の要求もあるだろうし、今後擴大して今の生徒数が今後更に一千人に殖やされた、そういう條件もあるのでありますから、十分学校側、文部省側のそういう計画というものが尊重されるということを無論前提としてでしようね。そうして然る後になお余剰があればそういうことも考慮し得る、こういうことでしようね。  それからもう一つ、会社によつてはやはり教育環境としてうまくないこともあり得るのです。例えば水産大学のそばにやはり軍需工場まがいの会社ができるということはふさわしくない。そういうことを考えて、その会社については十分教育環境の確保という点から考慮する、こういう條件考えておられるのでありますか、その点はつきりして頂きたい。
  62. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 水産大学が優先するということは、これは十分お約束ができるというふうに思います。それから仮にどこかほかの会社が若干入つた場合、そういう教育施設とおよそ正反対のようなものを入れるというようなことは考えておりません。又申出のある会社というのも倉庫会社とか運送会社とかいうような割合堅実な会社というふうに聞いております。
  63. 岩間正男

    ○岩間正男君 それで明らかになつたようですが、是非そうやつて欲しい、そうでないと教育環境の問題が三、我々は折角水産大学が移つて、それで入つて来た会社が不健全な会社ということになりますと、これは又教育環境の問題で我々は闘わなければならん、それはまずい、ですからこういうことは是非これは確認しておいて頂きたいということ。それからもう一つお聞きしておきたいのですが、国際協力局はこれは割合に早く接収解除になるというような見通し、だというのですが、我々あそこに視察に行きまして一番疑問に思つたのは、ボイラーの修繕をやつておるのですね、それで私ども委員長なんかと話したのですが、これは相当長く居坐るつもりじやないか、どうも今から、夏の時分からボイラーを修繕しているとこれは冬を過ぎるのじやないか、少くともそういう想定の前に立たなければ、これはボイラーの修繕をやるはずはない。ここ一ヵ月かニヵ月のうちに接収解除するものなら、こういうものをわざわざ金をかけてボイラーの修繕をするはずはない。こういう一点疑問を持つて来たのですよ。こういう点から委員長、これはできましたらやはり国際協力局の係のかたをここに出席を求めまして、それで追加の質問をして、その点明らかにしたいと思うのです。折角問題に乗りかけたが、それは一つ條件であつて、もう一つ接収解除というやはり相当困難なる條件が横たわつておるわけです。これも同時に解決しなければ、問題は半分しか解決しないということになりますので、これは私から要求いたしたいと思いますが、如何ですか。
  64. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 委員長としてお答えいたします。先ほど青山君からの御要請なり、今岩間君からの御要請がありましたが、委員会に諮りまして善処いたします。
  65. 青山正一

    委員外議員(青山正一君) どうもいろいろ有難うございました。
  66. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 引続いて相馬君の質疑に入ります。相馬君。
  67. 相馬助治

    ○相馬助治君 前段にお尋ねした件に基いて私は地財委木村さんにお尋ねしたいのですが、地財委が終始この法案に反対しているのは、この法律案、いわゆる衆議院において原案なつたものですね、その原案に反対なんですか、それとも今の地方財政の規模その他から見て、義務教育費国庫負担するということが土台無理だという立場から、その根本的な精神にまで反対なんですか、どちらなんですか。
  68. 木村清司

    政府委員木村清司君) 私どもの基本的な考え方から申しますと、義務教育のような普遍的であり経営的であり、且つ万人が教育に極めて熱心であるべきはすであり、又現に熱心であるものについては、普通の地方財源を十分に供與すれば、教育は必ず振興するという建前、考え方でおるわけです。従いまして地方財源を十分供與することが、本当の意味地方自治を通じた義務教育の、普通教育の振興になるというように考えておるわけです。従いまして直接の、又国家統制によるような考え方でなしに、自治を通じて、且つ財源を十分に供與するということによつて、義務教育というものが、本当の姿において最もよく発達するものであろうというように考えておるのであります。従いまして現行法の建前において地方税なり平衡交付金なりを十分に地方財源に與える、或いは起債の枠を與えるということが一番大切なことである。それは各地方団体いずれの首長といえども、或いは議員といえどもいずれのかたも義務教育についてはひとしく熱心であるということを前提として考えておる次第であります。併しながらその第二は、それでありまするから建前といたしましては、現行法の現在の建前を擴充することが一番いいの、だという建前でありますが、併しながら現段階において平衡交付金は十分得られないのじやないか、或いは起債も十分じやないのじやないか、だから国庫負担のような形において地方の財源を供與するほうが手つ取早いのじやないか、そのほうがより地方の財源が、現行法の建前で進むよりもトータルが、全額が多くなりやせんか。そういう趣旨にこの法案解釈しておるわけであります。従つて地方自治の振興を通じて義務教育を振興する建前のほうがよりよいと思いますけれども、現在の建前のほうが、現在の改正案の国庫負担法の建前のほうが、現段階においては義務教育の振興になるというお考えであれば、これも又一つの御見識であろうと思うのでありまして、あえて反対するわけではありません。ただいわゆる文部省案と称せられる平衡交付金を二分断して一方には義務教育費について平衡交付金をやる、そうして他の行政費についても平衡交付金をやる、そういうような地方団体の財政状況を勘案しつつやるというようなことは、これは地方財政を素るもとであつて、非常によろしくない。これは絶対に反対するという建前であるわけであります。
  69. 相馬助治

    ○相馬助治君 あなたのところは独立した行政委員会地方財政を守るという立場に立つているので、そういう議論が出て来るのだと思うのですが、これは憲法違反だと思うのです。教育の振興は地方財政を豊かにする、そうすれば自然財政も豊かになつて教育が振興する。理窟としてはその通りですけれども地方財政がどんなものであるかということは、地財委木村さんはよく御存知の通りで、いつでも会計年度において繋ぎ資金等を以て何とかかとか賄わなくちやならないとかいうような大騒ぎになるのは、いつでも現在の地方財政の規模の上で教育費の占める割合というものが実に大きいので、こういう問題になつて来ていると私ども考える。そこで平衡交付金を分断して、片や行政の面における平衡交付金、片や教育の面における平衡交付金ということがけしからんというふうなお話で、その観点から文部省案なるものに反対だという根本的な考え方はわかりました。それについてかれこれ理窟を申しませんが、そこに荻田局長も見えているようですが、あなたの委員会ではむきになつて全国知事会議やら市町村会議等において、この義務教育費国庫負担法に反対の猛運動という言葉はどうですか、啓蒙運動ですか、そういうものをおやりになつた事情は御存じであろうと存じますが、如何ですか。
  70. 木村清司

    政府委員木村清司君) 私どもは求めに応じて文部省案なるものの批判、これに対する見解というものは地方自治の確保の建前から、本来の地方財政委員会の職分の範囲内においてやつたのでありまして、積極的な何か政治活動的な猛運動をしたというようなことは決してないのでありまして、この点は恐らく若し疑われるようなことがあるといたしましたならば、他の、或いは文部省とかその他におけるよりもその程度は低いのではないかと私自身は考えておるわけですが、それは絶対にそういうことは言えませんが、私どもといたしましては地方財政と申しますか、地方自治を確保して行くという建前から我々の見解を表明しているというわけです。
  71. 相馬助治

    ○相馬助治君 そこで、文部省を引台いに出しての(「そうだ」と呼ぶ者あり)お答えは甚だ不謹慎だと私は思うのです。という理由は、当初全国地方会議は、義務教育費国庫負担をしなければならないということを決議していた。その後文部省案が報ぜられ、或いは議員立法というものが報ぜられる段階になりますると、にわかに強硬なる反対が始まつた。その反対の裏には地財委の使嗾があつたということは、これは紛れもない事実なんです。求めに応じて説明した、それはその通りであるかも知れないけれども、それが最近できました破壊活動防止法案によりますれば、特定の運動方法を暗示したら教唆なんです。(笑声)そういうそれに類することが行われたことを私たちは見ておる。そういう意味合いで私は地財委の今般この法案について妨害された事実に対しては、あなたたちは独立の行政委員会ではあるけれども、そこにおる諸君は、委員を除いてはこれは地方自治庁の兼任の官吏が多いのであつて、甚だ以て私はけしからんことであると、かように存じておるのでありまするが、木村委員はそういうことを受けないとおつしやるのですが、併しあとあとのためによく調査して、国家公務員法に逸脱することのないように、今後ともよろしく御指導を賜わつておきたいと思うのであります。こういうことを伝え声きますると、事務局長以下けしからんごとを言つたということを或いは言うかも知れませんが、若しさようなる場合には、私は具体的なる実例を以てこれに応答する用意があることを附言して、嚴重なる警告を発しておきます。  それから第二は税法の問題ですが、私は当初この法律案について地財委が反対する理論的根拠がわかるということを言つたわけです。即ち今の税法では、今の税法を是認する限りにおいてはこの法律案では無理であるということを地財委意見として言うことは一応理窟である、こういうことを申して、あなたたちの立場というものを一応、私は先ほど提案者に対する質問のときに触れているように、是認しておる。併しそれはどうしてそれを是認しよかと申しますれば、ここに衆議院『おいて附滞決議案がついておる。これは三つのことを具体的に示しております。これが将来実現されるごとに対して地財委大蔵省等が積極的な協力歩するであろうと私は確信しておるのであります。そういう建前からお伺いしたいことは、現在の地方税法について何か具体的にお考えになつている点があるか、即ち義務教育費国庫負担精神というものを将来強く推し進めて行くためには、当然地方税法というものがこれに見合うような形で改正されなければならない。そういう意味の話合いがありますかどうか、この点を一つ承わつておきたいのです。  それから義務教育費を確保するためには、現在の日本の経済情勢からは非常にこれは困難な状態というものが今後も予想される、即ちいろいろの国家支出が増して参りますると、一番弱いところの教育財政にそれがしわ寄せされるということが予見される。そこで若しこの法案においてもうまく参らなかつたときには、教育を守るために独立目的税をも考えなければならない段階が文部省としては来るのではないかと考える。勿論この税法という建前から見て、そういう独立目的税をここで作るなどということはよいことでないということは私も考えまするが、そういうことすらも予想されると思うのです。これらについてどういうふうにお考えであるか、これが第二点です。第三点は、衆議院において成立した法律案を見ますと、政令によつて府県においてほしいままなる意思を以て給與費を上げられないように最高額を決定すると申しております。地財委においてはそのようなことを、余計なことをする必要がないというふうな、木で鼻をくくつたような御答弁が或いはあるかも知れませんが、そうでなくして、私はやはり地財委の立場からは当然これに対して重大な関心を持つておると思う。従つてその場合には積極的に政令によつて最高額を制限するような考え方があるのかどうか、これらについて伺つておきたいと思います。質問は以上です。
  72. 木村清司

    政府委員木村清司君) この法律案と地方税法の改正とが或る程度不可分じやないかということは想像されるのであります。それはつまり現在平衡交付金の行かない団体、府県についていいますと、東京、大阪、或いは市町村についてもありますが、そういうところに新たに従来平衡交付金の中に含まれておるものが行くという意味において、そういうことが起きる結果、それを避けたいという趣旨において地方税法の改正というものが必要であるというように考えられるならば必要であろうかと存じます。が、又一方考えて見ますと、そういう団体にも豊富にして、そういう都市で文化施設を充実せしめたほうがいいのだというふうに考えるならば、平衡交付金の絶対額をそういうところに偏在する部分も含めて増額するという襟度が国家にありさえすれば、この問題は地方税法の改正もせずに実行できるということにもなると思います。まあざつと或いは六十億税度と推算するのがいいか悪いかはわかりませんが、そういうような一応の数字も考えられるのじやなかろうかと考えます。
  73. 相馬助治

    ○相馬助治君 その六十億は大蔵省と話はついておるのですか。
  74. 木村清司

    政府委員木村清司君) 私のほうではそういうことを考えて、そういう数字が出るということだけでまだ六十億というものは、仮に昨年度のものを府県分について五十億以上出ますものですから、こういう仮の数字でありまして、責任のある数字をここで申上げるわけには行きませんが、仮にちよつと思い付き程度に申上げたのであります。  それから第二点は……。
  75. 相馬助治

    ○相馬助治君 教育費が確保されないので、独立目的税も考えなくちやならない段階が来るのじやないか。いわゆるこの法律案では私に言わせれば義務教育費は確保されない、こういう立場です。
  76. 木村清司

    政府委員木村清司君) これは私どもは全体として例えばP・T・Aの寄附金が全然なくなるということを今直ちに実行できないような国家及び地方財政状態ではないかと思うのですが、そういう意味においての不十分さはありますけれども、少くとも最低限度現状及び現状を或る程度改善して行く程度の普通教育の施設について、教員俸給及び校舎等の施設については確保して行きたいと、そういう目的税を置かずに済むようにすることが平衡交付金の建前じやないかと思つておりますから、そういう御懸念は先ずないようにしたい、又そういうような御懸念のないようにすることが、そういうことが大切なんです。全体として平衡交付金が少いとか、或いは起債が少いとか、極端に地方税の税源が偏在しておるということから起るのであつて平衡交付金の制度が完全になりますれば、そのことは半額国庫負担法律によつて平衝交付金の増額が或いは比較的容易になるという意味におきましても、なお更そういう目的税、つまり義務教育のように普遍的なことを目的税で賄わなければならんというようなことは起さないようにすることが我々の務めじやないかと思います。
  77. 相馬助治

    ○相馬助治君 二十二條の二項の問題は……。
  78. 木村清司

    政府委員木村清司君) その点は、それは私どものほうでなしに、むしろ国庫施設の関係で大蔵当局の御意見で、我々のほうといたしますと、我々のほうは、あとの半額につきましては、先ほど御説明申上げましたが、半額については実支出額を標準とせずに、かくかくすべしという標準によつて、例えば実支出額が少くとも、その半額以上のものが行く府県があると思います。或いは実支出額が著しく標準より高いところには半額も行かないというようになるように基準財政需要額を各府県において定むべきものである。これは一般基準財政需要の定め方と同じでありますから、実支出に関係のないかくかくすべき姿ということによつて配分するということになるから、その国庫負担法の第二項の制限の問題は直接私どもには関係ないのであります。
  79. 相馬助治

    ○相馬助治君 直接関係ないということに筋はなるがと私は言つたのですが、なるが実際問題として地方財政がほしいままな意志を以てふくれ上ることはあなたがたとして監督しなければならない、現実問題として。そういう意味大蔵省言つて、そうしてどこどこ府県はこれは非常に不健全な財政である、その一つ理由として教職員俸給がかくのごとく高い、それからどこどこなんかはむしろその最高額を制限すべき問題ではないかというようなことをあなたたちは必ず言うだろうと思う。言う段階が必ず来ると思うのです。そういうことを予定し、そういう意志があるかないか、そういうことは絶対ありませんというならそれでもいいのです。
  80. 木村清司

    政府委員木村清司君) 私ども考え方から申しますと、地方財政が困窮しておる際において、特に都道府県等において、教育費の占める割合都道府県等において教員俸給基準より超えて多いときには、多くて且つ赤字になつておる場合にはこれに対して警告するわけですね。但し基準の定め方がいいか悪いかという問題もあるし、それについては自己反省もしなければならんが、要するに一般基準から見て特定の府県が著しく基準財政需要を超過しておるという教職員について、そういう場合にはその結果が赤字になつておるということになれば、他の財政需要を、我々は教員俸給を、直接に教員俸給を高くするのはいかんとか、或いは土木とか農林とか水産業に力瘤を入れるが、余計力瘤を入れるのはいかんとかそういうことは知事及び府県会の定めるところであるけれども、併しながら我々が赤字を出してはいかんということは、地方財政を監督する立場はございますが、それはそれが限度であつて、それが例えば教育費を節約して土木振興を起す、或いは産業費を一切やらずに教育費に集中されるかはこれは各府県自主性に待つべきものであるというふうに考えております。
  81. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それではちよつとお諮りいたします。これから休憩いたしまして、二時半に再開いたしまして……二時半に再開いたしたいと思います。御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それでは休憩いたします。    午後一時十四分休憩    —————・—————    午後二時五十八分開会
  83. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 引続いてこれより文部委員会を開きます。  義務教育費国庫負担法案総括質問を願います。
  84. 岩間正男

    ○岩間正男君 この法案のいろいろな質問に入ります前に、大体ごの義務教育費国庫負担法案、こういうような名目によつてこのたび提案されました法案を通じまして、大体根本的に教育財政の問題について国家財政との関連でどういうふうにこれはお考えになつていらつしやるか、そしてこれに対する提案者見解を一応質すことが非常に私は必要だと考えるわけであります。なぜかと言いますと、そういうことをお聞きしますところの原因は、戦争前の教育問題、そうして非常に戰争前の教育が、やはり敗戦後反省してみますというと、いろいろな点でこれは矛盾と欠陷に富んでおつたわけなんですが、そういう問題を我々が敗戰後に質してみますというと根本原因は、やは、り教育財政が真に確立されていない。で、教育問題の大部分の原因というものはおよそ教育財政の問題にあるというふうに我々としては結論を出したわけです。事実まあそういう形が非常に出ておつたわけなんで、要するに国家財政におけるところの教育費教育予算をいうものがはつきり確立されることによりましていろいろな問題が解決されるはずであつたのに、そういう点はやはり戰争前の日本財政が占めておりました軍事予算の性格によりまして、大きくこれは教育財政というものは食われておつた。その結果、一学級の例えば児童数が非常に多かつた。そのために大量生産的な教育をやらなければならない。それがあのように最後の段階に肉弾として、人的資源として、これは多くの子供たちが戰場に狩り立てられるというような原因にもなつた。こういうふうに考えられたのでありまして従つて当然こういう問題を根本的に解決するには財政的にはつきりと措置をして、これによつて日本の教育を制度の上に、或いは制度裏付としてのこの運営組織、こういう面から根本的に立直さなければならない。そうでない限りは基本的に日本の教育というものはこれは改善できないものだ、こういう一応、これは私たちの見解でありまするが、そういう見解に到達したのであります。そういう点から今日この義務教育費国庫負担法、こういう形で法案が提出されるという時代的意味も我々としては考えられるわけであります。言うまでもなく、これは日本の国家財政が最近の両條約並びに行政協定、こういうものの義務を履行するということにおきまして、当然国家財政の性格が軍事予算的なものに非常に大きくこの性格を転換しておる。この中でどのように一体日本の教育を守り抜くかという問題が恐らくこの問題が提案されたところの今日的な意味だと、こういうふうに思うのであります。そういう点からどうしてもこれは先ほど提出しましたような問題についてお聞きしたいと思うのであります。  先ず第一にこの教育というものに対して提案者は基本的にどう考えておられるか。この点私は重要だと思うのでありまして、教育について、教育を生産とお考えになつていらつしやるか、或いは消費とお考えになつていらつしやるか、この教育に対する考え方によつて根本的に私たちに教育財政の性格というものは変つて来なければならない、こういうふうに思うのであります。そういう点から教育は、果して国家行政の中において占めるところの性格は生産であるか或いは消費であるか、どういうふうにおつかみになつていらつしやいますか、この点先ず御意見を質しておきたいと思います。
  85. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) この法案を提出いたしました理由は、御発言の中の前半にありましたように、相当教育財政というものが、他の行政面の費用と比較いたしまして、このまま放置いたしますならば相当不仕合せを受けるであろうということについては同感でありまして、これを何とかして食いとめるばかりじやなしに、圧迫を受けるのを阻止すると同時に、より以上教育の目的を達成しなければならんための財政的の確立をやつておかなければならんというまあ本旨であります。そのうちにやはり地方自治体が持つのもいわゆるこの無償の原則という一環ではあると思うのであります。最終の責任はどちらにあるか、これを明確にする意味において、いわゆる最終の責任は、補償は国庫が負うのである。いわゆる国の財政で最後の責任は補償するのである。これをまあ明確にしたのであります。  それからお尋ねの点におきましては、これは生産であるとか消費であるとかという面で私たちは考究したのでございません。論じ方はいろいろあると思うのでありますが、併し人間がこの世に生を受けまして、一人の国民として生活をして参りますときに、その国の事情に副つて人間本来の天與の生活をして参ります上に必要な教育を施す、こういう意味行き方でありまして、生産のための教育であるとか、或いは單にこれを消費とのみ考えておるかというようなことについては、これはまあ他に論じ方はいろいろあると思うのでありますが、人間本来の生活を享受して参ります上に、必要な教育をその国の財政力の許す範囲内においてより力強く教育を與えて行く、こういう意味よりほかを私自身は考えておりません。御了承を願いたいと思います。
  86. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ私の質問が私流になつて、生産か消費かというのは非常にだしぬけな御質問だとも思うのであります、提案者にとつては。併しこれは今日やはり日本の文教政策というものを考える上において、一体一国の中において教育というものが、どういう性格を持つものだかということをはつきり、少くともこの性格を規定することが非常に重要だと思う。と言いますのは、只今の御説明によりますと、一国の財政の許す範囲内においてできるだけ出す。そうしてこれは個人としての天與の生活を何とかそれを完成させる意味での教育だ、こういうことなんでありますが、少くとも私たちは敗戦後の教育の反省から考えますときに、この性格をはつきりつかむということは教育に対するところの積極的な態度をとるか、消極的な態度をとるかということ、又従つてそれを国家財政の中からどういうふうに支出するか、国家財政の支出面においてこれを積極的なものとするか、或いは許す範囲というような消極的なものにするかという点で、この性格は非常に大きいと思うのであります。それから又日本の現在置かれている立場から考えまして、只今の御答弁ではその点はこれは恐らく討議されていらつしやらないのじやないかと、こういうふうに思うのですが、併しこの点は非常に私は重要な問題じやないかと思うのです、根本的に考えて。それはもうくどくなりますから、殊に私流の言い方になつて提案者には迷惑でありましようから、くどくは言わないのでありますけれども、ただ何と申しましても日本の現在の情勢から見まして、これは生産によつて講和発効後の日本というものを持つて行かなければならん、これはもう日本の現実から考えまして、地理的な又歴史的ないろいろな條件から考えましても、生産を非常に擴充する、生産の方式については暫らく触れないにしましても、一般論としましても生産を十分に擴先する、そうしてそれで国内資源が御承知のように殆んど枯渇して、ないのでありまして、従いましてこれは今後の日本の当然国を本当に立てて行くという立場からしますというと、生産を大いに起すという一点にすべての政策は集中されて来るというふうに考えられるわけです。いろいろな民主主義の問題とかそういう問題も、生産を擴充するという線と沿わなければ達成できない。従つてすべての努力の目標はそこに行くと、こういうふうに思うのであります。その中におけるところの一体教育というものはどういう意味のものか、漠然として今までのような装飾的な、女学校に入つているというとお嫁の売行がいいとか、或いは学歴をとつておいて、日本の官僚亡国の原因だと言われましたところの学閥、こういうわけで、帝大を出て、赤門を出ているというと官僚閥で羽振りがいい。とにかくそういうような一つの何と言いますか、人間の本質から離れた肩書的なものに使われて来た。いわば装飾品のように教育というものは使われて来たと思うのです。併しこれはもうすでに古い教育であつて、まあ人間として本当の実力を養う、而もその実力というものは漠然としたものではなくて、飽くまでもやはり日本の生産をどう発展させるかという面においてどのように一体、これはいわば日本の労働力になる、生産力の中の労働力になるわけでありますが、この労働力をどのように優秀に教育して行くか、再編して行くか、こういうところに私は非常に大きな教育意味というものが考えられると思うのであります。そういう点から考えて、單に漠然と天與の生活を全うさせるというような教育、いわばこれは非常に観念的な過去の教育学のあり方なんですが、こういう形では教育現実的なはつきりした目標で具体的に、一国がこの教育を推し進めて行くという目標にはならないのじやないか、こういうふうに考えられるのでありますが、こういう点から考えまして、教育は消費なのか生産なのかとい う性格について、これは十分に、やはり我々は今の置れている日本の現実と睨合せて私はその性格を規定しておく必要がある、こう思うのですが、如何でしよう。これは文部大臣にもたびたび今まで質問したのですが、余り明確に答えられてないのです。これもやはり天野さん式の、今の御答弁のように天與の生活を云々というようなことで抽象的な、観念的な規定にしかなつていないのです。これはどうも教育そのものが観念に落ちてあいまいになるのじやないか、こういうように思うのですが、そういう点からこれはもう一度お聞きしたい。
  87. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) これは生産か消費かということになりますというと、恐らく参議院における皆様がたの御質疑なり御発言の要旨はこれに関して私今日初めてでありますが、衆議院におきます岩間君の属しておられますかたたちのグループの中から……。
  88. 岩間正男

    ○岩間正男君 いやいいのですよ、共産党とはつきりおつしやつて下さい。
  89. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) そういうかたたちの御発言の要旨から申しますというと、若し生産というような言葉で行きますというと、いわゆる国家一つの目的のために尊い人間をその方面へかり立てるという、一つの人間を道具と見るような非難を受けるきらいがあると考えるのであります。恐らく文部大臣も、そういう意味の御質問ではございませんけれども、やはりこれに似た教育目的というものについては、文部大臣考えておられるのは、完全なる社会人としての完全な人格の完成といいますか、それを目的とするというような意味の御発言をしておられるのでありますが、私たち片足宗教界に踏み入れておりますものといたしましては、やはりこの天與の、神、仏から與えられております人間にはいろいろな使命があると思うのでありますが、その與えられた天與の使命、恩恵、或いはこれを法律的に申しますと畠平等というようなおのおのが持つております個性というものをそれぞれ十分に発達さすし、社会の恩恵を、神の恩恵を受けることのできる、又神の恩恵というものを、社会の恩恵というものを完全に受入れる心の態勢を備えると、こういうような意味に重点をおいて完全なる一人々々の人間を養成するというところに教育の目的をおくのが本来であると思うのでありまして、その上において生産に重点をおかれることになるか、或いはそれが消費ということになるか、これは今申しました本来の教育の使命は一つの目標を立てて行くべきではなくして、飽くまでも教育の目的というものは完全なる人間の育成、社会人の育成、国際人の育成、地上に生を受けて誰人にも迷惑をかけないで、日々に栄えて行く、共存共栄の途を辿り得る完全なる人間に近付けて行く、これが教育の私目的じやないかと考えておるのでありまして、国家といたしましては、個人は個人としてどういう目標を定めるのも自由でございましようけれども、時の政府などが教育一つの目的、目標を作つて、それにかり立てるということは避くべきではないか、こういう感じを持つているのであります。
  90. 岩間正男

    ○岩間正男君 このことはやはり若林さんと議論しても並行線になるような予感がしますが、私がお聞きしたいのは、もう少し日本の、やはり一国の行政面に関連して、その中において教育の占める性格並びに位置というものをどういうふうに考えておるかということは、同時に国家が予算を行使する場合に、これと深い関係を持つて来る、こういう点からお聞きしておるのです。
  91. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) わかりました。只今私申しましたような意味において、政治にどういうふうに教育に力を入れて行くべきかという若し話を進めるといたしますならば、何物にも優先して教育というものの完成を求むるために努力をしなければならん、若し生産というものを上げようとするならば、この教育というものが完成されて初めていわゆる生産というものに目標があれば、これはより少いものでより効果の上る行き方ではないか、或いは社会治安というようなことから考えましても、教育というものに重点をおく、人間一人々々の完成を目指す教育に重点をおくのが大事であつて、いわゆる治安との兼ね合いにおいてこの教育をも重視して行かなければならないのではないか。或いは生産面におきましては教育の発展によつて科学的に一大発見をもたらすようなことがあるならば、それは生産面において非常に効果をもたらすものでありまして、いわゆる研究は常にぺーするというようなことから言いますならば、教育というものにより以上重点をおいて行くべきだ、決して教育というものはただ一般に湯水のごとく金を使うという意味ではなくして、あらゆる面において効果の挙つて、幸福、福祉という面から言つて大きな果実をもたらすものである、だから教育に私は最優先をして教育というものを考えてやらなければならんものだ、こういうように考えておるの、であります。
  92. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうも私にはまだ明確にされていないのでありますが、一般的に抽象的に考えますと、教育の目標というものは、とにかくその人間の持つておるあらゆる総合的の能力を発展させ、そして何物にも利用されないのだ、こういうことを言われておるのであります。それは一応その形で、今までの教育学というものは抽象的にそういう形でやられて来た。現実はどういうふうであるかというと、殆んど教育というものは利用されて来たと思うのです。これは戦争の反省を見ても、戦後においてもそういう傾向が最近又復活しかけておる。それが国家のやはり目的に奉仕するというような具体的な、もつと卑近な目的に奉仕させるところに落ちておる。私お聞きしたがつたのは、もつと教育そのものを先ず第  一に考えましても、つまり一国が次の時代の運命を担うところの人間を生産する、こういう点でやはり生産である。而もそれを抽象的でなくもつと具体的に言いますならば、やはり一国の動向というものは生産に一番大きな運命をかけているわけですね。従いましてその生産と教育関係というものは非常に私は深いと思うのです。それから又教育一つの陶冶の面から考えても、今までのような漠然とした、まあ我々が考えますとあいまいな教育の理念ということで、漠然とこれは教育されて行つた人間が本当に具体的に役に立つか。それから本当に人間としてもあなたのおつしやるような天與のいろいろな人間の資性というものが十分に開拓されて行くかどうか、こういう点については非常にこれは問題があると思う。むしろやはりあらゆる教育は突き詰めて言えば、むしろ生産と関連を持つて、そうして教育の課程の中に生産的そういうものを入れなければ、つまり労作というようなものを通じなければ、本当の人格さえ完成できないのではないか、そう考えるわけです。そういう面があるわけです。教育の機能そのものの中に……。そういう点を考えると、もつと生産と教育の問題というものは、いろいろな面で教育の機能そのもの、或いは国家行政の中に占めるところの教育の持つておる一つのそういう性格、そういうものからもいろいろこれは論じられなくちやならないと思うのですが、これをやつていますと、これが中心でありませんので、大体その点は打切りにしまして、ただ若林さんの今のお話の中にもありましたが、やはり生産とこれは教育というものは、消費高、生産局という課題には、これは十全なお答えがなかつたと思うのですが、どんな意味でも、一国のまあ人間を生産して、それが将来国の発展の原動力になるという面から見て、一つの生産要素であるという性格を非常に私は大きく持つていると思うのです。そこで大きな意味教育に初めてかかつて来るのではないかと思うのですが、この点は大体認めて頂けるわけなんですな。  そこでそうなりますと、我々は予算の問題になつて来るのですが、そういうようなものでありますというと、一体国家予算の中で教育費というものは、どれくらいのパーセンテージを一体必要とするのか、具体的に言いますと、今までの日本の財政問題、これとの関連が出て来て、あなたのさつきのお話では許す範囲内、こういうようなお話でありますが、少くとも教育の機能を完全に果す、こういう観点からいつたならば、国家財政の中において占めるところのパーセンテージというものは、どれくらい必要だとこういうふうにお考えになつていらつしやるのか。日本の現実と、現実国家財政との関連ですね、あなたのお考えになつていらつしやることをちよつと承わつておきたいと思います。
  93. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) このパーセンテージにつきましては、この算定の方式にはいろいろあると考えるのであります。恐らく二十二、三年頃の標準から行きますというと、全体の国費の六%から、それから現在におきましては、一〇%程度になつておるのでありますけれども、これは国費だけの問題でありまして、地方自治体などの財政面から参りますというと、教育費に三分の二を占めておるというようなことにもなるわけでありますが、併しそのパーセンテージよりも現在の国家財政を概括して考えましたときに、余りにも教育予算というものは、非常に少いのじやないかという感じを持つておるのでありまして、いま少しいわゆるこの学校の施設、設備その他相当これを擴充して行く必要があることは、私たち微力でありますけれども、それを認めておればこそ微力を捧げておるのであります。いま少しいわゆるこの何と申しますか、他の行政面の費用、それから教育方面の予算との均衡というものは、敗戦後の日本とは申しながら、文化国家を目指す日本とし、又将来物資の少い日本が他に物資を求めて、それを加工して海外に出すという科学技術などの面に重点を置く産業であるということから考えましても、相当教育予算の擴充を図らなければならん、こういう考え方を持つておるのであります。
  94. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体どれくらい……、あなたは財政は検討されたと思うのですが、日本の国家財政の中では今非常に不足だ、現状では非常に満足できない、こういう御答弁であつたと思うのですが、大体最小限度どれくらいはこれは必要だというふうにお考えになつていらつしやいますか。大体現実で約八千億の今年度の当初予算でありますが、この中で少くともどれくらいは、これは国家予算としては教育費は必要だとお考えになつておりますか。現実実現できるかできないかということは一応離れまして、少くとも最低の教育を……、殊に憲法によつて義務教育の無償が謳われて、そういうような義務教育無償の原則というようなものが最低限実現する、そういう規定を置いていいと思うのですが、そういう規定から見ますというと、国家財政の中でどれくらいのところで少くともこれは必要だとお考えになつていらつしやいますか、この点を一つ
  95. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) 軍事予算が四六%占めたときがあるということがよく最高の例で言われておるのでありますが、我々としてそういうような漠然とした計算から申しますならば、少くとも国家予算の二五%以上は占める教育財政でなければならん、こう考えておるのでありますが、併しこれは国家財政の何といいますか、成り立ちその他によつて違うと思うのでありまして、各国の例をそのまま引くわけにもいかんと思うのでありますが、終戦になります前の国家予算、軍事予算が四六%だということを一口によく言われる、そういうことを基準にして考えましたときに、文教関係に熱意を持つものといたしましては、現在の倍くらいはどうしても必要じやないか、こういうように考えております。
  96. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは各国のパーセンテージというのは、一応検討されておりますか。今までですね、どういうことになつておりますか。
  97. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) 私大体こう見ております。その財政の建て方自身が皆違つておるようでありますから、一律にそのパーセンテージをそのまま鵜呑みにするわけにはいかんと考えております。今も私が申しましたのは、テン・パーセント近くなつたというのは、今の日本の国家財政だけの面を言うておるのでありまして、地方財政と引くるめて考えたときには、まだ少しこのパーセンテージは上つて来ると考えております、ほかの所のパーセンテージではどういう出し方をしているかということからも検討しなければならぬから、一律に他の教育費と同じパーセンテージを、各国のやつをそのまま持つて来て、日本の文教予算とのパーセンテージを比較で多い少いを論ずることができないという面から見ておりますが、併しながらこれは国家財政が許せば許すで、まだまだこれは高位にあるとは思いませんから、よほど文教関係教育関係に関連を持つ私たちとしての努力一つ拂わなければならん、こう考えております。
  98. 岩間正男

    ○岩間正男君 各国の予算については、私もここで触れる時間がありませんからやめますけれども、これは無論日本財政の規模との関連もあると思う。ただパーセンテージだけでは計ることのできないいろいろな條件があると思いますから、これは一応論議の外に置きますが、そこで最近の文教予算というものは、言うまでもなく増強の方向にあると考えていられるか、それとも低下しつつあるというふうにおつかみになつていらつしやいますか。尤もこの体はこの負担法を出された説明、それから先ほど一番先に私が質問いたしました点から考えて大体推測はつくのでありますが、どういうふうにお考えになりますか。
  99. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) 最近ここ二、三年の間は増強の傾向にあることだけは認められると私は思つております。併しそれは物価の上昇等があつて自然のものではないではないかということの御解釈はあるかも知れんと思いますけれども、併しそれを離れて、例えてみれば研究費或いは育英資金その他の教育関係といたしまして、まあ人員の増加があつたというようなことだけでは上昇の傾向にはあると、それから文部関係のいわゆる教育予算というものが、六・三のあの予算の行詰りが二十四年度にあつたのでありますが、あれを打開するようなことのために全国的の運動が起りまして、又地方にPTA或いは教育委員会その他が起つて教育というもの、特に又教育予算に国民が関心を非常に拂つて来た、或いは学校給食その他のようなものにつきましても全国的に父兄の非常な熱意のある運動が展開せられたいというようなことから見ましても、この教育予算というものは少いながらも上昇の方向にはあると、それの賜物はいわゆるこの全国民が教育予算というものに対して非常に関心を持つようになつたその賜物ではないかと、こう考えております。
  100. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは文相はどうお考えですか、今の問題について。
  101. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 大体としては私はやはり上昇の傾向にあると思つております。物価高とかいろいろなこともありますけれども、大体において上昇の傾向にあると思つております。
  102. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはまあ資料をお互いに対照して見なくちやならないのですが、どうも一般的に上昇しているようだというお話でありますが、これは尤も基準のとり方ですね、国家財政とのやはり関係、それから今お話の物価の問題、或いは人員の増減、こういうものを考慮に入れなくちやなりませんが、併し例えば今年の文部予算を見ましても、実は文部予算は本省のやつを見ましても、五十五億くらい増だと言われておりますね。併し私これには非常にトリックがあると思う。    (委員長退席、理事木内キヤウ委員長席に着く〕 これは今まで給食というのは、実質的にこれは支給されておつたと思う。そうしてこの予算が九十五、六億とられておつた。ところが今年度はこれが二十六億くらいに削られておる。従いましてそういう点から私計算したのでありますが、実は十七億くらい絶対額でこれは減少しておるという数字が出ておるのです。絶対額で五十五億殖えておるというのは、これは帳面ずらだけで、実行面から見ると、給食なんかの面を考慮に入れると十七億減つておる。而もそこに物価の上昇率なんか見ますと、これは大体東京卸売物価指数なんかの補正を加えてみると、実際は、本省の予算でありますけれども、二五%ぐらい低下であると、こういうふうにはつきり数字は出て来るわけなんです。こういう点は、これは文相並びに若林さんの今のお話では、増加の傾向にあるというのですが、事実とこの点は反するように思うのですが、如何でしようか。
  103. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) 岩間議員の御発言中には、同感共鳴するところも多々あるのであります。併し総体的に考えて、今申しましたように、御列席の委員各位などの御啓蒙の賜物だと思うのでありまするが、教育予算というものに国民全体が非常に関心を持つております。まあこの勢いで一つ教育予算の擴充ということに我々は邁進しようと思うのでありまして、これだけ取れたからもう十分というようなことは毛頭考えておらんのでありまして、ここに御列席の文部大臣も、只今あの発言をなさつたのでありますけれども、閣僚の御一人としてあれだけのことより以上は言えないだろうと思うのでありますけれども教育予算が他の予算と比較いたしまして殖え方がどうだつたと、こういうように若しあなたが御質問なさるとするならば、他の行政面の費用の増加の率から教育予算の殖え方は相伴うておりませんと、私たちはこれは明確に答えられるのであります。恐らく大臣も御同感であろうと思うのでありますが、これは大臣も邁進しておられる姿を私たち目に見ております。私たちも御協力を得まして、この法案を中心として明年度の予算においては、一つより以上の成果を挙げてみたい。こう考えております。
  104. 岩間正男

    ○岩間正男君 そこで、一般の大衆の啓蒙云々というお話がありまして、増加の方向を進めたいと、こういうお話なのでありますが、ここのところをはつきりして頂きたいのですが、これは国家予算の中からもつと大きな教育予算を取るという努力を、そういうような国民の輿論によつてそれを結集して行くという方法を行いたいとおつしやるのか、それとも父兄なんかの自覚によつて云々というお話がありましたがPTAとか、その他寄附とかいう形で以て、まあ実際要るんだから何とかなけなしの懐ろから出すんだと、こういうような意味合いなのか、その点非常に今の御答弁では不明なんです。そこで若し後者だとすると、これは大変なことになる。これは言うまでもなく、なかなか大衆の生活というものは非常に逼迫しております。くどく申上げません。これは現実に起つておる。殊に今農村地帶、或いは中小企業の立場、それから労働者の立場というものは非常に御承知のようにひどいところに追い込まれておる。そういう中で、要するに国家予算との関連があるのですが、国家予算が低いためにその織が絶えず大衆の上に被さつている。そうして大衆はかわいい子供のためですから、なけなしの懐ろから、泣く子と地頭には勝てないというわけで、乏しい懐ろから搾り出されるように予算が出されて来ると、こういう形になると非常に私は問題だと思うのでありますが、現実は実際にそういう方面に動きつつあるわけなんですね。そこに問題があると思うのでありますが、今提案者の意向はそこのところが明らかでありませんから、どういうことですかお伺いいたします。
  105. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) これは最初ちよつと申上げたと思うのでありますが、最終の補償というものは国庫がやらなければならんということを明確にするためでありまして、PTAその他の寄附金は、あれはシヤウプ勧告のときでも四百億の寄附金を解消するのだという精神で、地方財政というものが改革されたのであります。併し、遺憾ながら現在の実情においては、PTAから百億に近いところの教材費というものが補填せられておるわけでありまして、我々といたしましては、これをも一つ解消して行きたい。で、父兄の負担においてというのではなく、個人々々の負担というものを増加せずに、いわゆる国家財政においてこれを負担して行くべきだと、こういう気持を持つておるわけでありまして、その一端が第三條でありますか、教材費を児童一人当り幾らということで以て一つ国庫が支出しようということを現わしたのがその気持の現われでございます。それから先ほど父兄の自覚においてということを言うたのを、父兄の自覚において寄附金が集つたような、寄附金を出したというふうにお思いになつたような点が若しあつたといたしましたならば、これは私の申したのはそうでなかつたのであります。あの父兄の自覚が、いわゆる国家財政教育財政というものに対して非常に関心を持ちましたあの六三予算の獲得の運動のごときは、全国的に樹海として起つたわけであります。だから昨年度の給食の問題にいたしましても、中央へ非常なこの運動の効果が現われて来るようになつたことを意味しておるのであります。で、そういう自覚において、この父兄の協力を得て国家財政から教育費というものの擴充を図る、こういう意味で申上げたのであります。
  106. 岩間正男

    ○岩間正男君 その点はわかつたのでありますが、殊に国庫負担の問題については、恐らく昨年両院に対して署名が約千五百万くらい提出されたと思つております。併しこの要求はこの負担法で果されたというようにお考えになりますか。あの要求と、これは我々が見るところでは、余り天地のかけ隔りがあるこの負担法であると思うのです。少くとも父兄がああいう要求を起したことについては、教育に対する目覚めもありましよう。併しそれよりももつと切実な問題というのは、もつと現実に家計費の二〇%、三〇%を占めるということが堪えがたい。どうしてもこれは国家において、殊に憲法でも保障されているところの義務教育無償の線でやつてもらわなければもう堪まらん、こういう要求が生活的に来ている点が私は非常に大きいと思う。そういう点から考えて、いよいよこれから本論みたいになるのでありますけれども、ああいうような輿論にこれは応えたところの法案だということに現実的になりますか。ああいう輿論を解決するような法案になるとお考えになつていらつしやいますか、どうですか、この問題です。これは如何でございますか。
  107. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) これは岩間委員の御発言をそのまま提案者発言に振り替えてもいいと提案者自身考えておりますが、あの原案自身も、あれは現状を、大体この法案で減つて行くようなことを阻止する。まあ起債その他の枠を、あれを原案では明確にしておるのでありますけれども、これさえも負担の軽減ということにはなつていないわけです。又国家が建築費その       豊他について負担するとは明言しておらないのです。ただ起債の枠を明確にしただけでありまして、国家の補助その他というものを明確にして、初めて相当一歩前進するというところになると思うのでありますが、それも甚だむずかしかつたために、不本意ながら今お手許にあります修正案となつて来たのでありますけれども、併しこれを第一歩といたしまして、橋頭塗として教育財政の確保という意味に前進するか。ただ何と言いますか、一石を投じたに過ぎないものだと提案者自身考えるのであります。これをより以上運営面において活用し、より以上又この熱意を込めまして、教育予算を獲得する上にこの法案が役立ちますようにと、こういう気持をこれに、我々の言葉で言えば祈り込んでおるわけでありまして、これで満足して皆の要望がかなえられたと思うかという御質問に対しますれば、毛頭さように思つておりません。ただこれで緒についたというだけでありまして、より以上の推進をこれを契機としてしなければならんと考えておる次第であります。
  108. 岩間正男

    ○岩間正男君 今橋頭堡というお話がありましたが、橋頭堡にしてはどうも顯微鏡で見ても些細な、よく見えないような小さい橋頭堡ではないかと思うのです。それで私はここで次にお伺いしたいのは、第一、最初の原案に盛つておられた要求、無論我々としてもあの原案そのものにさえ賛成もできなかつたのですが、あの微弱な要求でさえも実現できなかつた原困というのは、どういうふうにおつかみになつておりますか。あなたの今のお言葉では、そういう一つの今の橋頭堡というもので祈り込む。この祈りを果すために、これを作つたときに行つて努力する、こうおつしやつたのですが、それが実現できるかどうかということは、つまり今度最初に立てたところの要求が非常に通らなかつた、こういう原因と非常に深い関係がある。そういう点から伺いたいのは、今度なぜ一体あなたたちの原案さえも通らなかつた、この原因をどういうふうにおつかみになつておられるか、この点をお伺いします。   〔理事木内キヤウ君退席委員長着席〕
  109. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) これは国家財政全体から睨み合せて、我々はまだまだという気持相当強くあるのでありますけれども、まあ我々の努力の足らざるところという気持も多分にあるのでありますが、今少しく私たち自身の力を附加することによつても、前進はできると思うのでありますし、それから教育予算に非常な重点を置かなければならんという、全体のこの機運というものを熟さす必要もあるのじやないか、こう考えておるのでありまして、御発言になりますお心持は、それに劣らないくらい持つてはおるのでありますが、これを法案の上に現わすことができなかつたことを甚だ残念に考えておるのでありまして、これはそのまま申しますというと、一つ提案者の苦衷、心のうちを一つ御諒察を願いたいと考える次第であります。
  110. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは私にも十分諒察できるごとと思うのでありますが、個人的な努力の面でお答えがあつたのですが、まあ個人的な努力は十分皆さんもなされたと、そういう点は我々も認めるにやぶさかでない。ただ問題は個人的な努力の限界でなくて、もつと大きなところに、つまりこの最初の原案さえも通らなかつた理由があると思うのですが、その点は若林さんね、何かそこのところを話されないで、残しておられるように思うのですが、まさかそれがそういう理由だというふうにはおつかみになつていられないと思いますが、少しこれはざつくばらんにお話願いたいと思います。
  111. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) 速記でもとめて頂いたら言いますがね。
  112. 岩間正男

    ○岩間正男君 いや、併しそういう経費の問題よりも、もう少し大きな国家財政的な立場からそれを話して頂ければ、この原因を一体どうつかんでおられますか。
  113. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) これはこの国家全体の予算との睨み合せ、現在のこの行政機構と申しますか、或いはもう一つつきつめて言いますというと、教育予算に対する重要性の認識と申しますか、これについての批判は相当私できる余地があると考えております。で、與党の私たちとしてこれを公言……具体的にいろいろなことを申すことはどうかと考えますが、より以上この教育に関心を持つ行き方をやらなきやならんのじやないかと、こう考えております。
  114. 岩間正男

    ○岩間正男君 その点も私同感であります。重要性の認識が非常に足りない。その点から、実は一番最初に、私は一体教育予算というのは生産費として考えるのか、消費の費用として考えるのかということを実はお伺いしたいのですが、まあ私なりに先ず考えれば、やはり非常に一国の重要なる生産である教育が、そういう点から積極的にこれは克ち取らなければならないものだ、こういう主張する論点を打ち出していますし、打ち立てたかつたのです。で、この点は確かに認めます。現実の保守的な勢力の中に残つているところの、この教育に対する重要性の認識の欠除……。併しそれだけじやない。もつとやはり大きな原因が、この国家財政にはつきり、殊に今年度の財政の中に大きくこれは出て来たと思う。これは私から申上げたいと思うのですが、言うまでもなくこれは今問題になつていますところの講和発効後の費用、いわゆる再軍備を中心として、この費用の圧力じやないか、これは認めていらつしやるでしよう。この圧力というものはこれは一八%、更には我々が間接的に平衡交付金とか、その他いろいろな費用の中に含まれているいろいろな、名目的には現われていなくても、道路とか港湾とか、軍事的な負担とかある、そういうものを入れますと相当のパーセンテージに上る。そういうものの圧力がやはり大きくなることがこの予算、そうしてこの法案をこのようないわばみすぼらしい形で終らした大きな原因じやないか。どうしてもこの点の変遷を見逃すことはできないと考えるのですが、若林さんはこれをどういうふうにつかんでいらつしやるか。
  115. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) この根本理念の上におきましては、岩間委員提案者であります私との間には根本の違いがあると思いますけれども、併し、表面に現われて来ております言葉としては同感であります。それから詳しいことにつきましては、衆議院文部委員会の議事録の本国会における第五号をよく読んで頂きましたら、いわゆる教育予算とそれから国家治安予算について大臣並びに大蔵政務次官と私一問一答をやつております。その当時又渡邊君も私と足並みを揃えて御発言がありましたので、ここでこれを繰返すことを避けまして、一つその速記録を御覧を願いましたら十分今御発言になりましたような気持が提案考にもあるということがおわかり願えると考えます。
  116. 岩間正男

    ○岩間正男君 その点はまあ軍事費の、日本の今置かれている両條約並びに行政協定を、こういうその義務を果すという態勢の中で、このいわゆる軍事的な予算の圧力が大きくなつている、そういう段階に追い込まれている中で、今お話のように橋頭堡は作つたが、これを飽くまで擴大する。そして先に言つた努力したいと祈りこんでいる、こういうお話ですが、そういうことを擴大する可能性について、これは可能性があるというふうにお考えになつていらつしやいますか。これは単なる教育に対する重要性の認識の問題、更にはこれに携わる議員の政治力の大きさ、小ささ、こういうような問題だけじやとてもこれは問題は解決しないと思います。こういうものはいわば末梢的なこれには附随したもの、無論これは重要な要素になりますが、少くとも第一義の要素にはならん、そういう点から考えまして、どうしてもそういうふうな外的な圧力と言いますか、国際的な圧力と言いますか、こういうような点から考えまして、若林議員が今おつしやつたところのその祈りを果して行くという方向に日本の国家財政の動向というものがあるとお考えになつているか、我々はやはり国家財政との関連で見る点が一番大きいのでありまして、個人の努力はやつてみましても、我々はあの六三予算のときに随分逆立ちをするような思いでやつたのです。院内を三マイルぐらい一日に走つたのです。実際問題として走つたのです。これは三年くらい前ですが、我々は六三の予算を十五億殖やすとか、五億殖やすとかいうことで、三マイルも院内を走つたことが何日もある。併し院内を走つて歩いてやつて見ると、個人の限界というものは明らかであるのです。その点どうしても我々の目がどこに向いたかというと、こういうような個人的努力という限界においては解決つかん、どうしても大きな一つ国家財政計画の中で、どういうふうに我々は教育予算というものを打立てる方法をとるべきか、これは言うまでもなく全国民の大きなこれに対する輿論の力で以て政治の中に打立てる、こういう結論が出たわけです。大体方向はそういう点で似ているかも知れんが、そういう点から考えまして、はつきりやはり一国の財政、経済政策、こういうものと教育は切離すことができないと思う。あとのは第二義、第三義の意味を持つ。そういう点から考えて、日本の置かれている現在の二十七年度の予算、更に予想される二十八年度、二十九年度、そして一方におきましては、警察予備隊は恐らくこれは十八万に殖やされるだろうということは、これはまあ現在におきまして、マーフイー大使あたりから相当な要望があるということは天下周知の事実である。これは選挙後になるかどうか、これは時期についてはいろいろ問題もありましようが、まあ選挙後あたりにそういう態勢ができる。或いは三十万に殖やす、こういうような問題が一年か二年後に課題として出て来る。天野文相は、一方では志願兵の問題が出て来る、こういうような昨日問題になつたのですが、現実論として起つて来る。そのときかれこれ考えますというと、艦艇の貸與法案などというものもまあトルーマンの批准を昨日あたり受けて、フリゲート艦と上陸用舟艇が五、六十隻入る、こういう恰好になりますというと、大変なこれは軍事負担になる。そうしますと日本の国民所得の中から推算して行つて、新たに一方で国家予算、そうしてその中における教育費、こういうものを考えますと、今のお話の橋頭堡を擴大する、そういう気持を折り込めて、その斬り込みが果して実現する可能性があるとお考えになつていらつしやいますか、どうでしようか。この点お伺いしておきます。
  117. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) これを橋頭堡といたしまして、国会議員各位の非常なる熱意をこれに注いで頂きまして、我々としては浬身の努力を注ぎ込んで達成を期したいと念願いたしておるのでありまして、これでできるぞとここで明言してみても無意味だと思いますが、できるべく……これは予断はなりません。これは或いは国際情勢その他からどう変化して来るかということにもかかわることだと思いますし、ここで私たち予断を許さんのでありますが、或いは国内の治安というものが、国民各自がそれぞれ民主的の正常な気持に立帰つて来たならば、或いは余裕が出て来るかも知れないとも思うのでありますが、これは一提案者である議員が予断をすることはできないと思うのでありますが、併し薄身の努力を拂つてこれを橋頭堡として教育費用の擴大に努力いたしたい、これだけは誓える。私は努力を誓いたいと、こう考えます。
  118. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ提案者等の現在置かれた立場としては、そうお答えになるよりほかないことだと思うのでありますが、ただできるだけの努力というものをどこに向けるかという問題ですね、これはできるだけの努力をお互に教育を愛するものとしてやつて来たと思うのです。誰でも怠けた者はございません。皆やつて来たと思う。併しできない。その原因が一体どこにあるかという、そういう点から考えまして、日本の財政がますます軍備を強化して行く、そうしてその負担が非常にパーセンテージとして高まつていること、我々の前途に現在大体軍事的な負担が三六%ぐらいの程度だと思うのでありますが、これは北大西洋同盟の大体武器貸與或いは援助、こういうものの條件を見ますというと、国民所得の一〇%を要求されている。で、イギリスあたりではすでにもう一三%の負担をして音を上げている。フランスあたりでも相当高額になつている。一〇%に達しない国は西欧では相当あると思う。併し少なくとも一〇%というのが條件になつている。そうなつて参りますと、今度の国民所得が五兆三百億、こういうことに相成つているとしますと、約五千億というようなものがどうしてもこれは要求されるのじやないか、これは予備隊が三十万ある、艦艇を百隻、飛行機を三百台、こういう形になりますか、そう形がだんだんもう実現に、単なる推測でなくて一々そういう過程に近付きつつあるわけであります。そうしますとそういうものを計算しますと大体五千億というものになると思うのでありますが、そうなりますとこれは教育予算というものを、今申しました点でこれ以上擴 大するということは非常に困難だ、むしろ絶望的な姿じやないか、如何にこれはそこにいる関係者が努力をしても事実不可能じやないか、そうして現在の教育関係者の政治と、或いは教育に対する国民一般の輿論或いは又これに対するところの政府或いは議員を含めてもいいと思いますが、そういう人たちの教育の重要性に対する認織の程度、こういう点から全部推しはかつて行きますと、どうしても教育予算というものはこれ以上にどうも擴大できないのじやないか、これはむしろ切下げられて来る。最近その傾向がすでに起つているから、この法案一つの防波堤として出されたのであります。これは非常に小さい防波堤でありますが、まあ出された。こういうことは提案理由でも説明されておるわけですが、もつともつとこれは切下げられる段階に到達するのじやないか、こういう懸念を大きく抱かされるのですが、こういう点はどうも今の単に努力する、情熱を持つて当るということだけでは我々はどうも現実を見ているものとしては了承できないのです。そうしますというと、努力の焦点というものはどこにこれは向けて来なくちやならんか、今後少くとも一番根本の問題について解決しない限りは我々は教育予算の確保ということを言つてもこれは空言に終る。空言に終るし、又終るようなふうに追込まれて来たし、そういうところを我々は経験して来たと思うのであります。そういう点から、この点について若林議員に御意見を承わつて置きたいと思うし、覚悟も承つて置きたいと思うのです。
  119. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) これは先ほどの言葉を繰返すより又仕方がないのでありまして、我々党員といたしましては、與党の立場にあるものといたしまして、まあより以上の努力一つ続けて行きたい、その意味において教育は恐らく党派を超越して重要性を感じておられると思うのでありますが、その力の結集をして行きたいと考えております。
  120. 岩間正男

    ○岩間正男君 やつぱり問題は私は戰争と教育の対決という形にはつきり来ておると思うのです。現在のところではこの問題はやはり我々がいつでも目をそらしますと、    〔委員長退席、理事木内キヤウ委員長席に着く〕 これは問題の本質的な解決はないのじやないか。少くともこの問題を、教育を愛して本当に立派な教育を打建てる、こういうために予算の獲得に努力する、こういうような基本線を本当に果すためには、やはりいつでも問題になるのはこの戦争態勢、それにだんだんだんだん日本の財政経済の他すべての態勢が挙げてそつちのほうに追打まれているのじやないか、これとやはり対決することなしにはこの問題の解決はもうあり得ないし、現実的には片どんどんどんどんこれは痩せ細つて行く、こういうふうに考えざるを得ないのでありますが、こういう点から考えまして、特に若林さんは宗教家の立場からしまして、一体これはどうお考えになりますか。絶対私はこの問題を解決しなければ、努力をして見るというようなことを少しやつて見たつて、大体我々の能力の限界というものは余りに知り過ぎたのです。そういう点から一体どうお考えでありますか。これはスターリンの言葉を引くと余り突飛かと思いますけれども、一方でやはり軍備を十分に擴充しながら、一方で平和のために民生の安定を図るということはこれは両立しない。ソ連のような大きな国でさえそう言われている。その中にあつて日本のような島国の、敗残国の痩せ細つた国がそうしてネオン・サインをバラックにつけておるような恰好の日本の国が一体果して一方で再軍備をやつてどんどんフリゲート艦を向う様から借入れ、一隻つぶすと二百億だそうでありますけれども、厖大なこれは補償の問題もある。そこへ持つて来て予備隊が増強されて来る、志願兵は殖える、こういうような恰好になられるとすると、到底私は両立し得ない。両立しない立場に立つたときにはつきりこれは私はこの対決を迫られて、そういう問題について我々自身が決意をしなくちやならない。我々は決意しております。これはやはり戰争を飽くまで排除して、そうしてやはり平和の一番原動力である、平和と文化の原動力である教育を守る、こういう決意を我々は深く深くしているそういう点もどういうようにお考えになりますか、もう一度だけ念のため肚の中をお聞かせ願いたい。
  121. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) これは個人の意見を述べよとおつしやれば、それは岩間委員と対立的ないろいろな意見もあります。それから又一致するところのものもありますけれども、何分この法案の根本ではありますけれども、非常な大きな問題だと思うのでありますので、これに対する私の見解をここで述べるというと、これだけの討論会になつてしまう虞れがありますので、又この法案提案者、修正者としての責任の立場にありますので、一つ差控えたいと思いますのでお許しを願いたいと思います。
  122. 岩間正男

    ○岩間正男君 その点はわかりました。それじやその点は又個人的に話すなり何なりほかの方法を選ぶことにしまして、実は私は法案の中にそういう心配を持つていると思う、この法案は。それは何だかと言いますと、第一は、この法案が提出された理由は、先ほどからくどくど申述べましたように、これはこの点では意見が一致していると思うのですが、そういうような国際情勢、そうして日本の現在とつている態勢の中でやはり国家予算の性格が非常に軍事的なものに行つて、そうして大幅にこれは支出が要求されている。そういう中で皺がどうしてもこういう教育とか、文化とか、厚生のほうにも来ているわけです。それを守る保護法案です、これは。これは保護法案という性格を持つて出された。これはまあお認めになるわけですね。この点は文相にもお聞きしたいのですが、これは日本の財政がそういう恰好に行くのに対して何とか一つ抵抗するのだ、非常に微弱ではありますが、これは一つ教育を守る抵抗だ、こういうふうに私たちの言葉で言えば言えると思うのです。そういうふうに保護法案としてこれはお考になつていらつしやいますか。この点先ず先に明らかにして頂きたいと思います。
  123. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) これは私の就職しましたときからいわゆる標準義務教育費確保の法律案、御承知と思いますが、その連続として私どもつて来ております。つまり平衝交付金の中に入つてしまつているとどうしても教育費というものが他に食われてしまう虞れがあるから、確保して行きたい、そういう精神を貫いているのであります。
  124. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) 大臣はああいうふうにお答えになりましたが、私たち自由な立場にあります議員の立場から行きますというと、今岩間委員発言になりました全部の意味を各自各自が持つて自由に認識しているだろうと考えるのであります。要するにどういうふうに世の中がなろうとも、教育が非常に尊重すべき立場にある、先ほど申しましたような理念に立つて教育財政を確保しなければならん、こういう意味であります。それで表現の仕万は、見解の相違でいろいろ考えられると思うのでありますけれども、こういう見方は困りますというような見方は申しません次第であります。
  125. 岩間正男

    ○岩間正男君 すると、文相の御答弁でありますが、これは就任以来教育費を確保するのだ、むしろ積極的な意味を持つているのだ、こういうことも一応は考えようによつて考えられると思うのです。併しその文相が在職された二年間の間に慌ただしい変化が起つて、私が先ほど申しましたような国家財政の大きな性格の転換があつたわけです。こういう点から考えますというと、これはやはり保護的な性格を非常に持つております。これはやはり争うことのできない事実じやないか、こういうふうに考えられるわけです、そういうような保護的な法案だと。そうして現実的に見ましてても、先ほど申しましたように、例年総体的に文部予算というものが削減された方向に行つている。地方財政においても、又本省予算においても削減された。    (理事木内キヤウ君退席、委員長着席〕 本年度は実質量から行きますと、絶対額さえ減つている。本省においても十七億減つている。こういう形が出て来ている。地方財政においても他に流用されて非常に削減されている、こういう性格が出て来ているのです。これはどうしても保護的な性格を持つて来ているのです。最初考えられた時代と、今日二年にそれだけの推移があつたということは、これは過程の中にはつきり認めざるを得ないと思うのです。そういうふうになりますと、この保護法として私は非常に不思議に思うのは、第二條の第二項の問題ですね。この保護法案で第二項の問題としまして、前項の最高限度をきめる、而もこれは政令できめるのでありますが、保護法案に一体最高限度をきめるということは私はあり得るかどうかと思うのです。保護法案であるならば、やはり最低限度をきめなければならん、最低限度を。これは例えば現在賃金の問題で大きく問題になりますのは最低賃金制の問題だと思う。最低賃金制は正確な意味では日本では確立されていない。併し労働者を保護する意味では最低生活を確立する、これが十分なされなければ労働者の生活権の保護というものは不可能だ。これと丁度同じような関係にある教育費に対しまして国庫負担額の最低限度をきめるということをとるならば初めて私は保護法案としての性格を持つて来ると思うのです。少くとも非常に国家予算が一方に大きく支出されて、そうしてその圧力を何といつても最も弱い教育面に受けておる。そういう点からこれを守らなくちやならない、こういう性格を持つのであるならば、これは最低限度をきめるというところに重点をとることが非常に重要だと思うのです。ところがこれを見ますというと、最高限度をきめる。例えば賃金制に置き換えてみるとわかりますが、最高をきめるときには逆に彈圧的な性格を持つて来る。或いは支配的な性格を持つて来る。これは止むを得ない性格だと私は思うのです。最高をきめることによつてその最高以下にこれは落して行く。それを実情によつてはどんどんこれはそれによつて圧迫して行くことができる可能性がある。最低をきめればこれから下にすることはできない。当然従つて保護法的、保護的立法であるためには私は最低をきめなければならん。ところが私はその点で最初の歩み出し、或いは提案理由趣旨から考えて、ここのところに矛盾がある。そしてここのところが一番この法案がこれが矛盾に満ちた点であると私は考えるのでありますが、この占はどういうふうに提案者はお考えにたりますか。
  126. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) その点に関しましては、今朝ほど荒木委員が御質疑なさいました時に私から御説明歩いたしましたのでありまして、それ以外、今の御発言の、いわゆるどうあるかということにつきましてのなには私から明言するわけには参りませんので、一つの御意見として承わつておきたい。
  127. 岩間正男

    ○岩間正男君 やつぱり同じように荒木君にも答えられたわけですか。
  128. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) そうです。
  129. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうですが。それじやこれは何ともしようがありませんが、併しこの性格は私は科学的にやはり検討する余地が十分あると思う。恐らく将来この法案の眼目になつて来るのじやないか。而も政令できめられる、そして最高をきめる、こういうことになりますと、何だかこの法案というものは実は日本の国家財政の今後の動向を見事というと、ますます軍事的性格の予算面の支出が多くならざるを得ない、先ほど申上げました二、三の例によつてもこれは明らかなように。そうしますとそういう場合における教育に対する一つ制限を設けることができる。そういうことがあらかじめこの法案の中に用意されているように我々はこれは考えられる。この点が非常にやはり問題になるのじやないかと思うのですが、この点は併し議論に亘りますので、又提案者の詳しい御説明もないから、まあこの辺でとめておきます。なお一、二の点をお聞きしたいのですが、この法案ですね、義務教育費国庫負担法と謳われた理由は、これはどういうことですか。我々は少くとも半額くらいしか出していないで義務教育費国庫負担法などという金看板をかけるのはおこがましいと思うのです。鉛くらいの看板ならいざ知らず、義務教育費国庫負担法というような名前には誰でも幻惑される。この内容がわからないところの父兄なんかはこの法案を早く出してくれ出してくれと言う。皆さんも地方に帰つてこの法案が一週間後に通つた、我々の力で通つたということで大変お礼金を出されると思う。併しこの金看板の正体がおかしい。一体それに値するのですか、どうなんですか、義務教育費国庫負担法に。少くとも憲法の義務教育無償の要求について相当、少くともその八〇%、七〇%果したならばこういうような看板をかけても差支えないが、我々の見るところでは、義務教育費全額を計算したらこれは五分の一ぐらいにしかならない。この法案がこの程度でこういう看板をおかけになるのはわからない。現実面から考えても、この法案現行法よりも或る面では、ちよつと工合が悪くなつて来ておるというような点が出て来ておる。こういうような場合にこういうような麗々しい名前を調われるということは大衆に対して一つの欺瞞になるというふうに考えられますが、この点は如何でございましようか。
  130. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) 全額国庫負担、或いは八割国庫負担半額国庫負担、或いは一部国庫負担と、いろいろ形式があるだろうと思うのでありますが、この法案で大体半額一律負担ということになつておるのでありますが、この半額は大体現在の地方財政地方税制というものを基本として考えた場合における半額であります。若しこれを全額国庫負担にでもしようと思えば、地方財政地方税制というものを根本的に変革をして行かなければならん建前になつておるのであります。この法案義務教育費国庫負担という名前を持つておりながら半額ということについては甚だおこがましいではないかという御発言でありますが、将来これを基幹といたしまして、基といたしまして、地方税制、地方財政の改革と睨み合せて、或いは八割、或いは全額ということになるかも知れませんけれども、現在の財政においてはこの法案は先ず義務教育費の最終補償は国家がするのだ、これは明確にしたわけであります。半額ということについては今申しましたような現在の地方税制、地方財政というものに基礎を置いて考えられたのであると、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  131. 岩間正男

    ○岩間正男君 今のような御説明があつたのですが、どうも非常に余り隔つておるわけですね。それに原案と比べましてもいろいろな点が削除され薫るし、大体我々最も低い線で憲法に謳われておる点を七〇%くらい、非常に我慢して、実はここで小委員会案というものを作つてみたのですが、こういうところから考えてみますると、余りに遥かに隔るわけなんで、こういうような義務教育費国庫負担法、尤も教科書のほうは無償法案なんかを見ましても何分の一ですかな、全体の非常に少いものでも無償法案と償われるというような話、どうも近頃の法案は余り中身がないですね。この点をやはり提案者も認めていられると思うのですがね、(「破防法みたいに中身のあるのもあるよ」と呼ぶ者あり)破防法みたいに中身があり過ぎて困るようなものもある、こういうような痩せてしわだらけになつてしまつて中身の本当にないという法案もある。どうもこういう法案は非常に問題のある法案だと思う。併しこれはいろいろ議論にも亘るようなことでありますので、大体私は一応このくらいの質問で終りたいと思います。矢嶋君が見えておりますから、私はこれで終ります。
  132. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 先ず文相にお伺い申上げますが、文相は教育施設の確保の立場からその一点を取上げまして、例えば災害復旧のごときは何ら教育施設については法的根拠がないために、我が国の特異性として年々歳々あるところの災害について、その都度復旧に非常に苦労する、従つて他の部面と同様に教育施設についても、災害に対するところの単独立法をなすべきではないかという教育界挙げての輿論に対しまして、天野文相は、それはあとに廻してともかく義務教育費国庫負担法を何とかものにしたい、その中に多年問題になつておるところの老朽校舎、更に恒久的に文教施設の維持ができるように立法したい、こういう立場をとられて来たわけですが、逐次発表をされた案が、現在においては衆議院から回付されて御覧の通り法案になつているわけでございます。そこで私は大臣にお伺い申上げるのでございますが、そういう災害復旧に対するような恒久対策というものを、どういうふうにお考えになつていらつしやるか。と同時に、これほどまでに痩せ細つてきたこの法案について、大臣は行きがかり上何とか通つたほうがいいだろうというような程度なのか。どちらでもいいというお考えなのか。是非ともこれで通つたほうがいいというお考えならば、どういう立場からでも、これは文政の一つとして通したい、こういうふうにお考えになつていらつしやるのか。併せてこういう事態に立至つた経緯の大要というものを承りたいと思います。  それから文部大臣の答弁の後に、提案者を代表しての若林議員から承わりたい点は、当初自由党の皆さんで義務教育費国庫負担法を大きく掲げられて出発され、私も敬意を表し、再三原案なるものに非常に賛意を表しておつたわけでございますが、吉田内閣であり、而も吉田内閣を支えるところの大自由党の皆さんの発議にかかるところの法案が、かくも全く相貌を変えるに至つた経緯の大要について、私はまず承わりたいと思います。
  133. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 風水害のことは、事務的に今研究されていますから、事務当局からお答えいたさせます。  それから、この法案は私は是非とも通したい、通して頂きたいと思うのです。これでもとにかくできれば、これを足場にして又先に進むことができる。併しここでこれが停頓してしまうということがあると、今後又国庫負担法をやるということは非常に困難になつて来るわけです。であるからして、非常に不満足なことは申すまでもありませんけれども、併しどうかこのままでも通したい、通して頂きたい、そういう考えでございます。どうしてこういうふうにだんだんなつて来たかと申せば、もともと平衡交付金の中からして教育費を取出すというところに困難なものがあると思うのです。地方財政委員会等の立場から言えば、先ほど相馬さんも言われたように、これに反対するという理由もあることですからして、なかなかこちらの考え通りにやるというわけには行かない。そこで相談をすると、こちらはどうかして成立させたいという考えがあるものですから、だんだんこちら議つて来た、そういう形でございます。
  134. 田中義男

    政府委員田中義男君) 災害復旧の問題につきましては、これを原案においておきめを願いますなら非常に仕合せと考えておつたのでございますけれども、その運びに至りませんでしたが、併し先般地方財政法改正がございまして、学校の建築、災害復旧についての国が負担することについての明文がはつきり出されたのでございまして、而もそれについて、国が負担をいたします割合等については、来年の三月三十一日までに法律又は政令で定めることになつておりますので、それらによつてできるだけはつきりした規定を設けまして、そうしてそれに対処いたしたいと考えておるのでございます。
  135. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) 提案理由説明を申上げましたあとにも申上げたと思うのでありますが、当初文部省がこの法案につきまして非常な熱意を以て見えておつたのであります。ところが、地財委大蔵省その他においては、それぞれ異なつた立場からこの国庫負担法というものの検討をやはり熱意を持つてされておつたのであります。繰返すことになるのでありまするが、文部省案は、御存じの通り現在平衡交付金算定基準になつておりますところのものを見ますというと、全体の二分の一が国庫負担の形式になつておりますので、総額の二分の一を国庫負担するが、各都道府県への配分方法というものは、平衡交付金の制定、精神則つて配分をする。だから、鳥取県、島根県のごときは七割から八割くらいまで行くことになるわけであります。東京、大阪のごとき財政の豊かな所へは、比較的豊かな所へは、いわゆる平衡交付金の行かない所には行かないという案であります。それから大蔵省は明確にこれも税制の改革を基本といたしまして地方税制、地方財政というものを根本的に変えて全額国庫負担とすべきだという案を検討しておつたのであります。それから地方財政委員会では、いわゆる地方税制の改革と睨み合せて、平均して等しく二分の一を持つのだという、この案を検討をしておるのであります。それから地財委のほうでは、考え方を変えた見方からしますと、千二百五十億のうちの五百億に近いところの金を平衡交付金の中から外されて行くことになるのであります。それに対しても強い反対があるわけでありまして、この反対は單なるセクシヨナリズムという意味からの反対というのではありません。先ほど地方財政委員会木村委員から御説明がありましたように、地方自治の自主性を尊重して行くという、平衡交付金制度の精神を打立てて行くという意味から、その自分の所管する職務に忠実の余り、ここに反対の意思が表明されたと、私は敬意を拂つておるのであります。そこで與党の立場にあります我々といたしましては、是非ともこの間のすべての一つ心持を活かして、義務教育費を確保したいというので、専念をいたしまして、原案として差出しましたのが大体の妥協案の線である、この線ならば折衝の結果、相当各方面に納得が願えるものであろうという、結論は出ないのでありますけれども、会期も迫つてつたことでありますから、折衝の過程においてこれが各省の納得するところになるであろうという気持原案を提出いたしたのであります。ところが折衝の過程におきまして、どうしても原案として出すことは無理であるということを感知いたしまして、各省の協力を求める意味におきまして、相当大蔵省気持も活かし、地財委気持も活かしてここに最後の修正案として、衆議院から回付しました修正案なつたのであります。併しながら原案に盛られております精神が文字の上におきましては今現われておりませんけれども、その原案に盛られておる趣旨は、大体各関係所管省におきまして好意を以て協力して来る線でありますので、それが画然と地方税法の改正が両院において審議されておつたさなかでありましたから、今これを明確にすることができなかつたのでありますが、この修正案を出した当時と現在とでは又事情が大分変つて来ておりますので、或いは成文化しても可能な範囲があるのじやないかと思われる節もあるのでありますが、併し原案に盛つてありますものが全然没却されたというのではございません。ただ修正案におきましては、算定基準原案にはありましたけれども、ないのでありますが、併し算定基準は法文化してはおりませんけれども 二條におきまして、実支出額という文字を以て現わしておりますので、この点は荒木委員にお答えをいたしましたと同じように、いわゆる地方自主性というものを認めたという点において、原案よりは私は一歩前進をしておるのじやないかというような見方もできると考えております。  それから校舎建築の起債についてでありますが、これは五十分の一、実際は四十年であろうと思うのでありますけれども、併し非常に遠慮をして五十年で一渡り更新をする、こういう意味で五十分の一ということを出しておつたのでありますけれども起債の枠を百億なら百億を法律で固定をしてしまうということは、国家財政の上で、起債の枠をきめるときに教育予算だけを百億を認めてしまつたら非常に窮屈になるわけでありますので、他の財政起債計画との睨み合せにおいて、この原案趣旨は大いに尊重はしていることになると思うのでありますけれども、併し国家財政の全体の観点から言いまして、原案趣旨は没却しておりませんけれども、成文化することはよしたほうが、諸般の事情からこの法案が成立する上に適当であろうと、こう考えた次第でございます。
  136. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大臣只今これを足場としてという御発言がございましたが、足場の主なるものはどういうものだというふうにお考えになつておりますか。
  137. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 平衡交付金の中から取り出した、教育にそれを使うのだというふうにきまつたということです。
  138. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 先日の委員会で、この衆議院から回付された修正案については、政府並びに與党の中では御意見が一致しておるのかと、こういうことを当時おいでなつた甲木議員にお伺いいたしましたところが、完全にしておると、こういう御答弁を頂いたのでございますが、文相にお伺いいたしますが、そうでございましようか。
  139. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 皆相談してそうきめたのであります、閣僚の間は……。
  140. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 でありますと、これは提案者にお伺いいたしますが、確かに大臣がこの修正案の足場は、平衡交付金から教育費を切り離すごとにあると、これはそうだと思う。私はそれ一つだと思うのでありますが、そうだとして、而もその平衡交付金から教育費は国が負担すべきだという。この考え方から切り離すことに意見が完全に一致しておるとすれば、強いてこの国会でやらなくても、次の国会ぐらいで、もう少し具体的な内容を持つたものでやればよろしいのではないかと私はこう考えるのです。若しもこの平衡交付金から切り離すという点について、これは二、三日たてば又変るかも知れんという危険性があれば、それは内容は空つぽでもそれだけでも通しておかなければならんという考えがありますけれども、その心配がなければ施行期日もきまつていない、政令で定めるというようなことで、選挙を前にしてこの法案を通すということは私はちよつと問題ではないかと思いますが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  141. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) すべての者が意見が一致したという上に大臣がお答えになりましたが、まあ文部大臣なり、原案を支持いたしておりました我々としては、不満なんです。これでは不満のことはもうはつきりいたしておりますが、併しながら諸般の事情を勘案いたしまして、現在これの線で行くべきだという意味においては皆一致しておると考える。それから地財委のごときは、大体この均一に二分の一配分するという線がこの法案に盛られましたがために原案には非常に反対の立腸をおとりになつて、今朝相馬委員から非常にきついお叱りの言葉があつたようなことでありますけれども、この修正案につきましては、地財委意見相当尊重されておる点から、この法案に積極的に協力の態度に変つて来ております。この点は一つ明確にいたしておきたいと考える。で、これは私は本国会においてなぜ急ぐかという御質問につきましては、これを本国会において通しておいて頂いて、次の国会において一段とこれを橋頭塗としてまあ行くならば、この法案改正することによつて、より以上確保することのできることになるのじやないか、こう思つておるのであります。この法案のまま次の国会へ、こう行つてもいいじやないか。来年のことだからというようなことであつてはいけないと思います。この法案を、これを両院において、不満足であるけれども、とにかく通すことによつて、より以上一歩、二歩と前進をして行くと、こういう意味においても、これは一刻も早く、不満足であるけれども通るということが望ましいことである。大臣は非常に通るということを熱望しておられるのでありますが、私も不満ではあるけれども、これは私が或る表現方法を用いて、この不満のことを話しをしたことがあるのでありますが、それが衆議院の本会議に利用せられて、反対の理由にお使い下さつたのであります。併しながら心持はそうではない、御鞭撻の意味つたと私は考えておるのでありますが、今日その表現の警話は申しませんが、不満ではあるけれども、どこまでもこれを通して頂いて、次の国会により擴大をする、前進をするという熱意を持つておることを御了承願いたいと思います。
  142. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 地財委木村委員がお見えになつておりますのでお伺いいたしますが、先ほど相馬君の質問に対しての御答弁は私は承わつたんでございますが、ここで改めて確認いたしたいと思いますが、地財委当局としては、原案には反対である、若林さんのお言葉を以てすれば修正されたこの法案には地財委としては積極的に協力するんである、これは相違ないんでございますか。
  143. 木村清司

    政府委員木村清司君) これは先ほど申上げましたように、私どもの理想から言いますと、現行法の建前が一番理想的である、併しながら現段階においてこういうような方策が、結局においては只今の情勢の下においては、地方に一番余計財源をやるんだというようなお考えになるならば、これは一つの現段階、今の社会情勢及び経済情勢から考えるというと或いは一番いい段階ではないかとも、法制自体としては疑問がありますけれども、現段階の進む道としては、或いは一番いいという考え方ができるのではないか、こう思います。成立の暁におきましては勿論御協力いたすことは当然であります。
  144. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 シヤウプの勧告以来平衡交付金制度が進められて、地方団体の運営というものは一変した感があるのですが、この平衡交付金制度なるものについて、どういうふうにお考えになつていらつしやるか、先ず天野文部大臣、次に木村委員、それから若林さんに承わりたい。簡単でよろしうございますから要点を……。
  145. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私はこの教育費平衡交付金の中へ入れておくということは困るという考え方でございます。
  146. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 他のほうはいいわけですね、他の部門は。
  147. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 他の部門もいろいろ問題がある、これは一つ考え方だと思つております。
  148. 木村清司

    政府委員木村清司君) これは平衡交付金制度が極めて理論的に精巧にできておる、そういう意味において、又そういたしますというと各部門について、それぞれの部分々々については施行してまだ浅いものでありますから、基準財政收入及び基準財政需要の見方等について、必ずしもなお満足せしめることができないという意味において、或いは客観的に見て必ずしも妥当ではない、で改善する余地が極めて多いということは認めざるを得ないと思いますが、これ以外の方法において適正に地方、つまり税源のない農村地方に公平に税源を分ける方法は私は他に代案がないのではないか、公平にですね。公平に分けずに、昔の例えばとんだ所にも人口割で配付税のようなものをやるとか、そういうような従前のような、まあそういう公平という観念に徹底せしめずにやるならば他の方法があると思いますが、公平という観念を徹底すればするほど、各方面の欠点も或る意味において出て来るのではなかろうか、それについてはまあ我々といたしましても改むべきものは改め、又研窮を深くして行かなければならんと、こう考えておりますが、私はこの現在の都市、農村の殊に所得税、法人税等の配分は、どんな税法を以てしても税源の配分が均等でない、青森県、岩手県のようなところにどういう税法を考えても税源を配付することは不可能ではないかということを考えますと、現在のこの平衡交付金制度はやはり基本的にはいいものではないか。ただこれにつきまして運用が、單位費用の点につきまして欠点のあることは認めなければなりませんから、これについては研究いたしまして、漸次完璧なものにして行きたい、或いは当事者がすぐ平衡交付金法法律が出たなら、自分の所を計算しても大体自分の所には幾ら来るんだというので、自分で或る程度計算ができるような建前にできることが理想的であろうというふうに考えておりますが、そこまで現段階においては至つておらなくて甚だ残念に思いますが、平衡交付金の運用についてはそういうようにだんだん改善いたすごとによつて他の方法よりも私は非常に勝つておるもの、他にこれに代る方法はないのではないかというように私自身は考えております。
  149. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) 私の只今の質疑に対しては文部大臣のあの御意見と、それから木村地方財政委員の御意見と睨み合わせまして、その上この一運用面におきまして非常に長所もあれば又短所もある。で、現在の段階で申しますというと、何かまあ事あるごとに地方財政委員会地方から知事、村長が頭を下げて来なければならん、こういうようなことから考えまして、少なくともこの明確にできるところのものだけは明確にしたらいいのじやないか。そうしてその明確にならない融通性のあるものにつきましては、大いにこの地方税制、財政というものに精通したこの委員会においてお世話をせられたらいいと思うのですけれども、明確なものだけは切り離してしまつておくのが一番いいのではないか、根本的に現在のような事情で、まあ私自身そういうことは尤も表現するのを好まんのでありますけれども荻田局長並びに奥野課長などは全国市町村長、知事の上に君臨をしておるというような批判を受けるわけであります。それは遺憾でありまして、御当人からは決して私たちそういう批判は毛頭察知できないのであります。明確に法規に従つてすべてのものを公平に処理せられておるのでありますけれども、併し制度自身そういう欠陷があるのでありますから、お百度を踏めば踏むだけ御利益があるというふうに認識して、だから地財委のもう逆鱗に触れたらまかりならんと、こういう意味で、先ほど相馬委員からお話がありましたように、命令を出せば一挙に電報を、ぱつぱ反対電報を打つておるというような意見があるのであります。それは私はそのまま呑み込まうとは思いませんけれども、根本的に平衡交付金制度というものは地方財政等と睨み合わせて検討を待つべきものではないか、こういうふうに考えておるのであります。
  150. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 三人のかたがたの御意見、お考になつていらつしやる点よくわかりました。私もそれぞれの立場において述べられます三人のかたがたの意見の大部分は了解できるのでございますが、続いて御質問申上げますが、大臣とそれから提案者にお伺いいたします。特に提案者は與党の重鎮でございますけれども、その與党という立場も含めて御答弁願いたいと思うのですが、憲溝にある義務教育無償、この憲法改正をなさるお考えを持つていらつしやるか、いらつしやらないかという点をお伺いいたしたいと思います。
  151. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) もうちよつと説明して下さい、どういう意味ですか。
  152. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 憲法に義務教育無償ということがございますね。その憲法改正をやられるお考えがあるかないか。我が国はその他の如何なる戦力も持たないというのが第九條にあるわけですが、憲法改正が最近いろいろ問題になつておりますし、重光さんあたりは、憲法改正は堂々とやるべきで、吉田さんみたいに私生児を生むのはいやだ、こういう御見解が出ておりますね。あれは我が国の国を守るという立場から、教育という立場からの義務教育無償という大きな憲法が掲げられておるわけですね。あの表現ですね、ああいうものをあのままこの改正の場合に持つて行かれるか、それとも変えられるようなお考えを持つていらつしやるか、先ず天野文部大臣にお伺いしたい。
  153. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私はあのまま置いたがいいと思つております。
  154. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) 私も憲法の原則にあります無償の原則はそのまま置いておけばいいと思います。ただ大臣ならそういう答えでいいと思うのでありますが、議員の立場から一つお許しを願いたいと思うのでありますが、国力が、財政が貧弱であるために現在のところでは無償の原則は、授業料が無償であるというだけになつておる。で、国家財票だんだん許す範囲内になりますと、これを擴充しまして教科書の先ほどお話がありました無償というところまで行かなきやいかん、或いは又より以上力ができて来ましたならば学校給食なんかを無償でやることでもきる、それからなおより以上力ができて来ればスクールバスなども通わして行くことができる、こういうふうに思つておるのであります。現在のところでは甚だ最低限の授業料の無償というだけに過ぎないのでありますが、より以上蹟充して行くべきだ、こう思つておりますから、憲法は理想を掲げておると私は考えております。変える必要ないと思つております。
  155. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 野党に属されておるところの若林議員でありましたら御尤もだと私考えるのでございますが、與党におられる若林議員から承わつて私はちよつととまどいしておるわけですが、従つて質問を続けます。義務教育無償という憲法が打ち立てられた当時の考え方というのは、現在の考え方とは随分変つておると思うのです。その当時は、我々の目で見、又言の端に上つた言葉というものは、民主的であり、平和的であり、文化的である、この三つだと言つても私は過言ではないと思うですね。現在こういうふうに吉田内閣を中軸とするところの我が国の政治情勢が変つて来ておる現在、やはり義務教育無償の言葉をあのまま残して置く、それでいいんだというお考えを野党の諸君から承るなら、賛成だと双手を挙げてなにしますが、吉田内閣に列しておる天野文部大臣並に與党の重鎮である若林議員から承わることは、余りにも私は絵を画いておるような気してならないのですが、まあこれは意見になりますから、そこにとどめて質問申上げますが、教育の民主化、民主教育の建設を懸念されておるかいないか、こんな愚問を発しません。これは御両人ともはつきりしておると思う。そこで私はお伺いしますが、この義務教育無償ということを掲げてやつて行くという場合に、私は行き方として二つあると思うのです、大きく。その一つの方法としては、義務教育は無償だから補助金制度で国から金を流す、それからもう一つの方法は、地方の自治団体に財源を與えて、その財源なるものは義務教育が無償になる程度に與えて、そうして教育をやる、大きく言つてその二つの方法があると思う。民主教育はローカル・カラーがあり、そうして人民の人民による人民のための教育を確立する、こういう立場から考えると、私は前者は好ましくないと思う。ともかく国から何らかの形で金を流すという形は、基本的な考えから言えば、何らか統制するものがある。これはやはり本当に人民の民主教育を確立する立場からは私は最良の方法じやないと思う。本当は民主教育を確立する立場からすれば、私は後者の、財源をしつかり持つて、全くその地域で人民の教育を打立てられるという体系が私は最良のものだと思う。ところが我が国の実情からそれがいずれが妥当かどうかということは、これは又研究の余地があると思うのですが、そこで私は若林議員にお伺いする。これは天野文部大臣にお伺いする必要はない。天野文部大臣見解は一貫していますので、お伺いする必要はない。若林議員にお伺いするのですが、あなた方は與党の絶対多数の力を以て先般教育委員会法等の一部改正法律案を否決されて、民主教育を飽くまでも確立するためにローカル・カラーを持つたところの人民の人民のための地域に即応する教育を打立てるためにというので、多大の犠牲を拂つて律々浦々、全国一万四十七の町村に亘つてまで教育委員会を設置すると、こういう態度をきめられたわけですね。党として、それとこれとは矛盾しないかということですね。若しそれほど大きな犠牲を財政的裏付けのないのにもかかわらずそれだけの教育委員会を作つてまで本当にその地域に即応したローカル・カラーのある、これは討論に皆さん方が掲げられておる言葉をそのままここで再現しておるのですが、それであるならば、私は地財委木村委員が午前中言つた所論というものははつきり筋が通つておると思う。これは税制の改革をやつてそうして地方公共団体に財源を與えて、そうして生きて行かれるようにしてそこで教育を打立てられる、こうしなければ私は筋が通らないと思うのですが、その点私一つ若林議員に、すでに私冒頭に申上げましたように、與党という立場において、納得のできるように十分御説明頂きたいと、こう思います。
  156. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) 私自身事理明白になつておると考えるのであります。教育委員会法の第一條に明示いたしてあります地方自主性を尊重して何者からの支配も受けない民主的の教育を行う、そういう意味におきましてもいわゆる国家が最終の財政的裏付けをする、こういう意味におきましてこの法案を提出いたしておるのでありまして、なお算定基準自主性を尊重する意味において実支出額、こういうことになつておるのであります。そういう意味におきまして各市町村に教育委員会を設けることによりむしろこの義務教育費国庫負担法の精神が活かされて行く、決して矛盾はないと、こう考えております。(「全くその通りだ」と呼ぶ者あり)
  157. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 実支出額の二分の一とか云々とか私は一つの問題を取上げて言つておるのじやないのですよ。根本的によく考えてみてもらいたい。私確かに矛盾しておると思う。教育委員会を市町村に設けるかどうか、その問題は論じません。私はあなたと討論しませんが、確かに私は食い違いがあると思う。今の説明では説明になつていないと思う。如何なる支配をも受けない、それをあなたも一〇〇%活かす意味でおられる。人口千もおらないところの村までも教育委員会を設けよう、こういうわけですね。教育が如何なる不当な支配にも服することなく自主性を以て云々という一條ですね、そこまで行くなら、何が故に国家から二分の一とかいうような法律を作つてここに補助金を流すような、これは今の再軍備の方向あたりが進んで行つたなら、或る時期になりますと、昔教育が或いは官僚或いは軍閥によつて専断的な立但から日本の教育が統一された、そうして或る方面に利用されたということが火を見るより明かに再現しますよ。与れほど第一條を忠実に守つて、飽くまでも民主的というならば、そういう方法ではない方法が出て来なければならない、こういうふうに私は考えますので更に答弁を求めます。答弁を求める前に、もう少し附加いたしますが、若しもあなたがたがそういうことを考えるならば、或いは道州制とか或いは市町村の合併とか、そういうような公比団体の適正なる規模とか、これは税制の改革と相待つてそういうことまで考えなくちやならんが、そんなことは殆んど考えておらない、まだ。そうして一方だけが進んでいるわけですね。而もあなたがたの代表の委員会における答弁を承わりますと、こういうことが書いてあります。都道府県というのは余り広過ぎる。広過ぎるので徹底せんから小さくしてこういうふうに持つて行けば十分徹底するから、こういうふうに書いてあるのですが、こういうものは財政の確立とか地方公共団体の適正規模という点から考えますと全く支離滅裂で、自分らが都合いいところだけ考えているような点が考えられて、これは野党の、私の属しておる小会流の人が言うならば天下の財政に影響がないからついて行けるのだけれども、現在政権を持つておる與党のかたがたがそういうふうに言われるならば不安でついて行けないので、よほどはつきりした立場を承わらないと私は安心できないので、この法案審議についての重大な関係を持つているから承わつているのですが、もう少し根本的なところから一つ答弁願いたいと思います。
  158. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) これは統合すべきものは大いに統合して、道州制その他を置くべきことについてはこれは党といたしましても、或いは政府といたしましても、地方の公共団体の大きさについての分は統合の精神で進んでおると思う。これは考究していないではないかという御議論、御発言は当を得ていないと思います。で、ものは早急にやるわけに参りませんから、或いは進んでいないようにお感じになると思うのでありますけれども、遠く底を流れておりまする一貫せる思想というものは、恐らくこの道州制というようなものをやはり目標としてすべてのものが考究されて行くと私たちも考えております。併しそれと地方に、各市町村に現在あります市町村を単位として教育委員会を置くというものとはこれは同日に論ずべきものじやない、こう考えます。若し村自身がこれは小さ過ぎるから五千戸単位の村になるという場合には、それが基幹になるかも知れませんが、現在もうすでに小さい市町村が存立しておる以上、いわゆる教育自主性というものは、村長がある以上、その村に私は教育委員会があるべきが当然の姿だと考えるのであります。で、建物だけは村で責任を以て建てなければならん。先生は落下傘部隊で上から降りて来るというのではいかんのでありまして、飽くまでもその村に即して本当に金のわらじを履いてでも探し求めて来た、迎えた先生を村の先生とする、こういうようにして村民とそれから教育委員会であるいわゆる学校の当局と、そうして学校で教鞭をとるところの教職員とが一体となつ行き方をして行く、これが教育委員会法をお出しになつたときの精神だろうと私は思うのでありまして、これを今とやかく一年延ばす、二年延ばすということについては、これは議論は別問題でありますが、その精神自体はこれは民主化の線に沿うところの大切な教育の民主化の大綱を示された大精神であると考えておるのであります。(「全くその通り」と呼ぶ者あり)
  159. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ちよつとそこまであなたが力んでおつしやつたつて一応聞いておかなければならんのでありますが、これは本論でないから突込んでお伺いいたしませんですが、私、あなた個人としても與党に所属する議員として御発言願いたいと思いますが、確かに現在の自由党の意見を代表されたと思うのでございますけれども、あなたがたを選挙して下さつた国民は皆言つておるんです。これは御承知通り知事会議にしても、市村町会議にしても、議会にしても果してわかるのかわからんのか、教育委員長教育委員全国協議会でも、或いはこの人たちも知識が足らんかも知れないが、全国教育委員会議でも我が国の実情には決してそぐわないものだ、まああなたがたを支持してくれた国民大部分がそう言つているが、そういうことはあなたがたは皆民主政治だということを言われるのですが、どういうふうにお考えになつておるか。それもあなた個人でなくて、與党所属の議員として一応承わつておかないとこの法案を審議するのにちよつと工合が悪い。
  160. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) いろいろ御反対の意見もそれは私たちも承知しておるのでありますが、併しこれに対しまする政府の方針を明確にし、又教育委員会の持つております精神を納得されますならば、これに対しての今までの反対の意見を変えられて協力をせられるという意見に変つて来るのであります。今度教育委員会を各市町村に置くに至つたという相当の強い宣伝が他の方面からなされておるのでありますが、私たちはこれをこの間衆議院で今も審議中ということになつておりますが、文部委員会で否決いたしましたが、この法案の否決いたしました理由を明確に知つて頂きますならば、恐らく納得をして頂けるものだという強い確信を持つておるのであります。
  161. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 次に、まあこの場合は本論でないから盡きないからやりません。次にお伺いいたしますが、先日の委員会で内藤課長にも伺つたのですが、私どうもぴんと来ないので提案者のほうから詳しく伺いたいのでございますが、この修正案と曾つて行われておつた半額国庫負担に基く定員定額との相違点をどういうふうに把握されておりますか。
  162. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) これは先ほども申しましたように、原案におきましては平衡交付金の制度をそのまま尊重して行くという建前から立つております。それから今度の分は平均して一律に二分の一を負担して行くという方針に立つております。まあ私から残りの半分の……、昨日荒木委員の御質問にも答えたのでありますが、半分の算定は大体原案に示してありますような定員定額の基本方針が守られると思うのでありますが、併し法案自体は実支出額ということになつておりますから、いわゆる定員定額を超越して、実際に支出せられた額の二分の一を補助する、こういうことになつております。それからその残りの半分をやはり平衡交付金の中で算定はせられるわけなのでありますが、その算定基準精神については、先ほど木村委員から明確にお答えになつたのでありまして、朝荒木委員にもお答えいたしましたし、又相馬委員にもお答えになりましたし、それから岩間委員にも木村委員からお答えになつ精神であります。だから大体残りの半分の算定基準、需要額の算定基準には、いわゆる定員定額ということが考慮に入れられると思いますけれども、この法案の狙つておるところ自身は、それを超越して実支出額の二分の一と、こう考えておるのであります。
  163. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 今の答弁の中で義務教育費国庫半額負担で定員定額時代には、たしか平衡交付金制度は布かれていなかつたのじやないかと、こう記憶しておりますが、これははつきりすることは大切ではありませんから続けては質問いたしませんが、次にお尋ねいたしたいのは、この法律ができますと、文部省のほうで義務教育費を確保するのに楽になるというだけか、それともこの法律を作ることによつて何がしの金が教育費に余計に廻つて来る、こういうふうにお考えになつていらつしやるかどうか。何がしかの金が教育費に余計に廻つて来ることを推定されているならば、どれほどの金額か。これに対する答弁は地財委当局と文部当局から承わりたい。
  164. 田中義男

    政府委員田中義男君) 現実には給與費については実支出額半額を原則として国が負担することになりまして、その点だけからしますと、当面はさして現在と余り変りはないかも知れませんが、少くとも第三條にございますように、この法案において、教材費の一部は先ず確保できるわけでございます。これを足場といたしまして将来ますます義務教育無償の原則に乗り出たもの考えるのでございます。
  165. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その何がしかの金は…何がしかをどのくらいに踏んでいるのですか。
  166. 田中義男

    政府委員田中義男君) これは午前中からもしばしば御答弁があつたのでございますが、只今では教材費につきましては約百億の金を費しているのでございます。それで従来の大蔵省との一折衝その他から申しまして、義務教育直接の費用については大体二分の一、その他の教育費につきましては大体三分の一の補助を出しているのが例なのでございまして、今回のこの教材費につきましても、或いは二分の一なり、少くも三分の一の従来の補助の慣例を守つてもらいたいと考えているのでございまして、私どもといたしましては少くも三分の一、そういたしますと約三十億前後の教材費を是非確保いたしたいと希望いたしているのでございます。
  167. 木村清司

    政府委員木村清司君) これは地方財政需要額の立て方の問題なんで、つまり平衡交付金の不足額を出すときにおいて、地方税收入等の地方の財源並びにこの国庫負担額等を特定收入として差引くということに相成りますから、財政需要額そのものを殖やさない限りは税で行くか、平衡交付金で行くか、或いは今の特定收入で行くかということについては、地方団体全体の総額としては変らないということであります。
  168. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 もう二、三点お伺いいたしますが、田中局長のほうで申された三十億くらいは欲しいというこの願望を、そういうものは政令で定めるわけですが、政令で定めるに当つての話合いは或る程度ついているのかどうか。で、政令はどこでどういうふうにして定めようと、定めますときにはどの程度持つて行こうというその程度ですが、政府部内において話合いができておるのかどうか。
  169. 田中義男

    政府委員田中義男君) 実はこの法案が未だ確定いたしておりません関係で、余り突つ込んだ打合せはまだでき上つおりません。併しいろいろ今まで本修正案をお作りになります場合の折衝その他から考えまして、只今私申しましたような程度において期待をいたしておるのでございます。なお政令を定めます場合には、私どもも主管省といたしまして、私どもの発意によつて関係庁とよく御相談をいたしまして、これを進めて行くことになるかと考えております。
  170. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この法律案はもう皆さん批判されただろうと思いますが、将来の願望を描いた法律案でございますが、大臣に私お伺いいたしますが、大臣としては、この法律をいつ頃から実施できるようにしたいということで見通しをお立てになつていらつしやるか、その点をお伺いしたいと思います。
  171. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 二十八年四月から是非実施したいと思います。
  172. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大体交渉の経過から言つて見通しは如何ですか。
  173. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 見通しということはどうも非常にむずかしいことでございますけれども、私はやはりそれはできるのではないかと思いますが、はつきりそれをここでこうだとはちつと申しかねると思います。
  174. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 地財委当局にお伺いいたしますが、従来教育費を確保することが非常に至難で、そのために義務教育の推進に苦澁をなめて来た、そこで義務教育費を確保し振興させる立場から何とかしなければならないという国民的な要望というものがこういう形に、この法律案の形に、現れて来ておると思うが、地財委当局としては現在の教育費というものをどういうふうにお考えになつていらつしやるか、この法案教育費を増さなければどうにもならないという国民的要望から出ておる際に、従つて地財委当局としては、この教育費はすべての財政的の立場からいろいろお考えがあるか思いますけれども、これだけの国民的要望に対してどういう御見解を持つていらつしやるか、伺いたいと思います。
  175. 木村清司

    政府委員木村清司君) 私は今の平衡交付金の配分基準財政需要算定及び実際の地方財政支出の状況を考えますと、国自身が財政需要の面倒について、或いは全体として不十分であるというような問題は或いはあるかと存じますけれども、国の総体としては、国の期待する以上に地方教育費を確保しておる現状において………ただ六三制の施行と校舎の新築等、そのために起債乃至、急激なる校舎の不足或いは修理改築等、戦争中停止しておつたものが急に出て来た、或いは戰災というような異常なる財政、つまり臨時的経費ですね、或いは六三制というような新らしい教育制度に適用する従来の学校設備は足らないというような、極めて大戦前の財政需要とかけ離れた急激なる臨時的経費が急激に殖えた、それに不足しておるという意味であつて、経営的支出について十分、つまり国家的見地から見たならば、少くとも十分出しておるのではなかろうかということは、私は地方の各道府県教員俸給の支拂、或いは各府県の市町村の教育費の支出等、勿論全部に亘つて見たわけではありませんけれども、これをいわゆる基準財政需要との関係から比較して見ますと、国家の期待以上出しておる。ただ皆さんがたが非常に教育費に全体として困つておるという意味は、私の見たところによりますというと、臨時的経費に対する支出が十分でないというところに基本的なあれが現在のところあるのじやないかと私自身考えております。
  176. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 今の木村委員の御発言の中には肯定できる部分があると思うのです。確かに六三制というものは入れものもなければ人もなく発足した。その禍いというのは今日なお解決できずに、臨時的経費を多額に要する形で現れているのでございますが、その点だけは確かに私は肯定できると思うのですが、それを除いた場合に、果して現在の教育費というものが、我が国が施行しておるところの文化国家再建という角度から眺めた場合に適当であるかどうかという点については、私は木村委員の御発言には同意いたしかねるわけなんでありますが、そこで私お伺いいたしますが、ともかくも普通国民の皆さんがどうしても義務教育はこれではならん、それから殊に働く階級の人は最近朝二十円、夕方三十円と、こういうふうは子供から金を教育費として持つて行かれるわけですね。お互いから考えれば一日二十円か三十円の金なんだ、こういうよう考えを持たれる人があるかも知れませんが、勤労階級にとつては子供が二、三人もあれば今日は二十円、明日は三十円持つて行かれることは、全く身を削られるような思いがするわけなんですね。この声というのは皆さんがたが想像できない程度に悲痛な叫びなんですね。そういうものをやはり生み出して来ていると思う、原案は、それがだんだんこういう空つぽなものになつたと思うのですが、これに地財委当局が当初から相当反対意見を開陳されております。その意見には確かに聞くべきものがあると思うのでありますが、私ここで木村さんにお伺いいたしたい点は、反対ならば、地方公共団体の運営をあるべき姿に持つて行く立場から言つても、教育を守つて行く立場から言つても、こういう方法はベストだ、最もいいんだ、今一部で考えられているのは適当でなくてこちらがいいんだというような国家的見地に立つたところの代案というものが私は地財委当局で作られて、その代案によつて闘われて然るべきじやないかということを私は常々考えておつたのでございますが、そういうものをこさえていいかどうか知りませんが、少くとも私は拝見したことはないのでございますけれども、そういうものを作つたことがあられるかどうか。更に現在そういうものを提示されるところの用意があるかどうか。若しあるならばごの法案審議の過程において是非私は拝見さして頂きたい、こういうふうに思うのですが、如何ですか。
  177. 木村清司

    政府委員木村清司君) 確かにPTAの寄附金ですか、そういうもの、会費というものが多いと思うのです。例えばPTAを全廃している京都市というものは、いわゆる教育施設の児童一人当りというものは、他の六大都市に比へて非常に多いのであります。そういう意味におきまして、現在の教育費に対する我々の財政の支出見込が、少な過ぎるということは言えると思うのであります。ですから国家財政が許すならば、或いは地方の税源をもつと豊富にできるならば、もつとこの地方財政計画樹立の上において、市町村の教育費について、必要経費をもつと見る必要があるのじやないかというふうに考えておる次第であります。現在の財政需要そのものが十分であるということは、現在の地方税なり、国家財政現状から見て、止むを得ず最低限度のものであるというふうに考えている次第でありまして、本当に義務教育等について完璧を期するならば、もつと我々の地方財政計画を作る上において、少くとも今の市町村の財政需要の面をもつと多く見積るとか、或いは起債の面につきましてももう実際、例えば二万三千円、坪単価二万三千円となつているけれども、実際できないという実情にあるならば、その足らぬ分を十分に見る。或いは最低限度児童一人当り〇・七坪と見ている。ところが〇・七坪で足らないというならば、現状に資するだけの起債を許可するということによつて、私は救われるのじやなかろうかと思うのでありまして、私ども現在の財政で十分である、現在の制度の運用自体が完璧を期しておるとは現実思つておりませんけれども、その辺が国家財政との妥協点じやなかろうかというふうにも考えるのです。又我々はこれだけ足らぬ、地財委はこれだけ足らぬ、或いは平衡交付金はこれだけ足らぬということは、そういう最小限度の点も考慮しつつ不足を訴えているような状態であります。
  178. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) この点反対ばかりしているようで……、代案一つ出したらどうかという御意見があつたのですが、あの反対意見の中に明確にそれが示されております。それから特別に義務教育水準向上確保ですか、というような法律案をやはり地財委で持つておられたのであります。我々それをやはり検討さして頂いたことがあります。そのことを一つ……ただ反対だけをしておつたのでないということです。それから今度の法律案は、万止むを得なければこの法案だという案を示しておられたわけであります。修正案はその地財委の案を有力に取入れている。こう御説明いたしておきます。
  179. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 万止むを得ないときはこの案だというのは御尤もだと思います。これだつたら一回になり、二回になり、三回になつて行くわけですから、勝負をあとに持ち越すわけだからこれに反対はしない、賛成したというお気持はよくわかります。最後に木村さんにお伺いいたしたいのですが、先ほど木村さんが経営的な経費が多い、これに十分対処していないところに或いは地方財政を窮迫ならしめる、或いは教育の振興を阻害する要素があるというような御発言がありましたが、私は地財委当局は何が故に次のような見解を私は強く披瀝せられなかつたかということをお伺いするのでございますが、と申しますのは、例えば警察予備隊ができた場合百六十億ぽんと出して、それで五、六カ月もたたぬうちに補正予算を二百億もぽんと出す。そうしてまたたくまに五百、六百億となつて行く。そういたして臨時的な経費というものを一挙に確保して、それを足場にして進んで行くという形をとつておられる。ところが国家経済が窮迫しておるとは言え、口を開けば文化国家という我が国において、終戦後から本日まで七十二の大学ができても、殆んど見るべき臨時的な経費というものは出ていないし、殊にあなたが所管されているところの地方公共団体に密接な関係のあるところの六・三建築、戰時中放棄されておつたために生れたところの老朽校舎、こういうものを一挙に解決して、それを足場にして教育を振興して行くところの予算的な対策というものは、政府において何らとられなかつた。六・三建築について、六年間に亘つて、或いはPTAとか、地方公共団体の議会とか、或いは教職員組合とか、てんやわんや言つて、僅かに百億そこそこの予算しかとれなかつた。これに対して地方財政委員会としては協力的な私は意思表示をされたということは記憶いたさないのでございますが、こんなことで、地方財政を擁護される立場にある地方財政委員会としてどういう御見解に立つていらつしやるか、私は今からでも遅くないと思う。このたび安全保障費五百六十億とか、幽霊みたいな予算ですが、今日の新聞によると三百億何がしかをどうやら転用して使われるように新聞に出ておりますが、これは恐らく警察予備隊を相当増しますのに、使うということになるのだと思いますけれども、今からでも遅くない。その点地財委地方財政を守る立場から強硬な態度に出て、文教の最高責任者である天野文部大臣が又肚を据えれば私は或る程度解決できないこともないと思いますが、私はその点平素地財委当局の態度に対して、若干物足りなく疑問を持つてつたのでありますが、如何思いますが、御所見を伺いたいと思います。
  180. 木村清司

    政府委員木村清司君) これは私ども地方財政委員会といたしましては、政府が定めておる行政を地方団体が行うごとについて、十分な財源を持たねばならんということが我々の職務なのです、元来の固有事務を含めまして……。従いまして、政府のほうでこの程度でよかろうという御方針ならば、その程度で我々はそれ以上文教は足らんじやないか、〇・七坪と文部省言つているが、もう一点、一坪に殖やさなければならんじやないかということを率先して、我々は個人としてはいろいろ意見を述べることはありますが、委員会として申述べるのは如何かと思います。我々は〇・七坪と言つたならばどうとかというような、国家の定むる法律及び方針を行うに必要な財源を保持するのが我々の職務なのだと心がけておりますから、それは政府の職分と地方財政委員会の職分とは明らかに分かれております。
  181. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 〇・七坪ときまつた法律に基いたものが足りないのですから、その点に不漸を感じて伺つているので、何も更にそのレベルを上げて法律できまつていないもの以外を政府に要望するということは地財委に責任がないということは当然です。最後に若林議員に伺いますが、若林議員は提案者であると同時に與党に属されているかただし、文部委員としては重鎮でありますので、私は真剣にお伺いするのです。と申しますのは、天野文政の一番大きな軸というものは、義務教育の振興と義務教育費国庫負担に振向けられて来たことだと思う。ところが天野文相の誠意にもかかわらず、この法律案はこういうふうに骨抜きになつている。私は個人的には天野文部大臣は非常に誠意のある文教責任者として努力して下さつていることに敬意を表しているのですが、それだけに天野文部大臣がこの法律案を是非とも我が国の教育を護る立場から成立させたいという念願に燃えられた場合には、私は従来の天野文相の態度からいつても、吉田総理にしても、直ちにこれを承認して通過するであろうということを期待しておりましたが、天野文部大臣の期待というものは殆んど零といつては言い過ぎかも知れませんが、それに近い一ほど蹂躙されてしまつた。更にもう一つ伺いたい点は、これはやはり教育の根本に触れる問題でありますから申上げるのですが、最近問題になりましたところの教育委員会制度、これに対するところの天野文部大臣見解というものは、私は殆んど不動のもので一貫してはつきりしておつたと思うのですね。ところがあなたがたはその天野文部大臣のその構想というものを完全に蹂躙してしまつた。蹂躙するならば、そうしてこの法律案を我々に審議せよというならば、かくのごとき基本的な政策において異なるところの大臣を必めて頂いてから、あなたがたはこういう教育委員会法をなにするとかいうトうなことをやられるべきじやないかと思うのですね。そういうような基本的に文教政策に違うところの大臣を戴いて、そうしてその吉田内閣を支えているところの與党はかくのごとく百八十度も方向の違う法律案を出されて来るところに私は政党政治、政党内閣、而も議院内閣、こういうような角度から私はどうも納得できないところがあるわけなんですが、これは基本的な問願でありますので、一応あなたからどういう答弁を頂けるか、承わりたい。
  182. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) この法案関係いたします部分については、党内におきましても或いは閣内におきましても文部大臣の立場から物を考え考え方と、それから大蔵大臣の立場から考え考え方と、それから地財委関係の方面から考え考え方とがあるわけであります。同様に教育を尊重し、教育財政を確立するという方向から見ましても、いろいろと表現の方法、これを法律の成文化する上においてもそれぞれ異つた考え方があると思うのであります。同様にこの党内におきましても、文部大臣考え方を基本として行く文部関係委員考え方と、それから地方行政委員会に属しまする委員考え方と、それから予算全体を睨み合せて行きます予算委員の立場からの考え方と、目標は同じであつても、その表現の仕方においてですね、まあ私たちの行き方教育予算、これは別個に摘出して行くべきが真に教育財政確立の根幹、だと、こういうように考えております。地方行政の委員諸君におきましてもそう、だろうと思うのでありますが、これは地方自主性を尊重する平衡交付金制度を活かして行くべきじやないかという。こういうような対立があるわけでありまして、その同じように教育尊重をする気持においては変りはないのでありますけれども、それを具現する方法においての意見の対立があるわけであります。或いは教育財政を尊重する度合において、程度においての強弱はそれはあると考えるのでありますが、そういうものが錯綜した中で、一応まとまつた成案を得るというところに非常な苦心がありまして、その結果が大臣の最初意図せられました表現の方法を達するわけには行きませんでしたが、併しこれで、この法案教育財政が削減されたのではないわけで、いわゆる片一方摘出して明確にするという点において、その表現の仕方が変つたというだけでありますので、まあ大臣に対しても非常な譲歩を願つたわけなのであります。党内といたしまして、お互いにその意見の対立を、譲るべきところは譲ると、主張すべきところは主張するという行き方で、妥協案を作り、これが原案であります。それから政府部内におきまするところの調整をいたしました結果が、修正案となつて現われて来たということになつておりますので、まあ私たちから考えますというと、虎の子のような大臣、大切にしておるこの大臣に対して、できるだけ天野文相として特異性を持つ行き方をしなきやならん、そうして天野文政に非常な輝きを持つてもらいたい、こういう意味文部大臣には過去、御就任以来協力をして参つたのであります。その精神は未だに変つておりません。それから教育委員会を、文部大臣の意思に反して、なぜ意向を排したか、こういうことでございますが、これについては閣議決定のときまで、いわゆる五月十日という期限があつたものでありまするので、相当これは右するか左するかということについての議論が党内であつて閣議決定の当時までは党内の意見を尊重するとは言うものの、まだ未確定であつたことだけは事実であります。まあ文部大臣として時間切れがするというようなことがあつてはなりませんから、先ず閣議を通し、政府原案として出して頂いたのでありますけれども、党内の意見の調整ということと、どういう結果がもたされるかということについては、大臣もすでに閣議において決定をなさるときでも、それは予想はしておられたと思うのでありますが、併し我我といたしましては、個人々々の意見はともかくも、私個人の立場から言えば、大臣の意思というものを尊重するよう、又與党が政府提案を否決するようなことのないようにという気持から、相当努力をいたしたのでありますけれど、党内の意見というものは遺憾ながら反対の結果をもたらしたのであります。併しながらこれは教育そのものの、文部大臣が抱いておられます教育そのものの本質的の問題ではないのであります。教育委員会を廃するかどうかという問題ではないのであります。一年延期するか、原案のままで行くかというこの相違なのでありもす。恐らく文部大臣御自身にも教育委員会を廃止するいう御意見はないのであります。又お洩らしになつたことはない。どういう恰好でやつて行くかということが、結論が出ないために、一年延ばすという御意見が、いわゆる提案理由説明にあつたわけであります。当時党内といたしましては、これは早急に早く具体案を出して行くべきだと、こういうもう過去三年間延期して参つたのでありますから、未だにこの結論が出せないということはいけないと、だからこれが、いわゆる選挙の施行期日まで相当私はこの成案について意見は出されると思うのでありますが、一応とにかく今年強制的に行くという現行法を活かしておいて、なおこれに非常な支障を来たすようなことがあるならば、次の国会などにおいても変えることができる、こういうふうに私たちは考えておるのでありまして、大臣の抱いておられます教育方針の本質には、これはそう直接関係はないからという気持があるのでありまして、大臣を見殺しにするというような気持では毛頭ないのでありまして、恐らく他の問題で大臣がどういうお考えを持つか知りませんけれども、この教育委員会の期日の問題について、大臣が決意をせられるとかせられんとかいうようなことのないように念願をいたしておる次第であります。
  183. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 もう一回。その答弁は私は満足できないです。この期日の問題、一年延期するかどうかという期日の問題じやございません。町村に教育委員会を設けるか設けないかということは、我が国の教育制度上最も根本的な問題です。(「法律できまつておるんだよ」と呼ぶ者あり)よろしいですか。そこで私は伺いますが、あなたがたが今ここに出しておられるのは、教育財政に関する問題です。ところが教育委員会制度というものと教育財政というものとは不可分な関係なんです。これは絶対に切つて考えられない。天野文相は前からそう言われておる。教育委員会の設置単位をどうするか、都道府県、町村の権限をどうするかということと、教育財政は如何にすべきかということは、これは関連して検討しなければならないということは、常々言われておる。これは天野文部大臣以下すべての人がそう考えられておる。当然であります。ところが教育財政については、天野文部大臣はここまでぐらい考えておるとしますと、ところがこれと関連あるところの教育委員会制度については、こちらのほうに行つちやつた。こういうことに私は大きな矛盾があると思う。更に自由党のかたがたが法律案を出す場合には、私は自由党の政策と相異るものは法律案として出さないと思う。これは政党政治としてはですね、自由党の文部委員の何々のかたが集まつて法案を出す場合には、自由党の政策と背反するものは出さないと思う。その自由党は政党内閣制をとつておる。而も我が国の内閣というものは、その政党に所属する議院内閣制をとつておる。だから多数の者が提案した法律案、それは政党との意見が同じであり、これは内閣とも意見が一致である。それが違うということは考えられない。それに立たれたところの、内閣であるところの文部大臣とそれと基本的に考えの違うような法律案が與党から出て来るということは、これは我が国の政党政治の現在のあり方としても、将来にとつても由々しき問題だと、こういうふうに私は考えて、その点をあなたにお伺しておるのですが、かくのごとく教育財政教育委員会制度とは不可分の関係にあるにかかわらず、かくのごとき支離滅裂な、大臣を中心に考えた場合ですよ、支離滅裂な態度が、この政党政治の内閣の、而も議院内閣制を布いている我が国の政界に現われて来たことについて、私はどうも納得できないところがありますが、御見解をもう一遍承わりたいと思います。
  184. 若林義孝

    衆議院議員若林義孝君) 私は日頃矢嶋委員が我々を御鞭撻下さることにつき、又日頃抱いておられます教育関係の諸政策について非常な高邁な御意見を持つておられますのには、常に敬服をいたしておるのであります。なおときどきのによつては御教授を仰ぐようなこともあるのでありますが、併しこの教育委員会の今のこの御意見に対しましては、甚だ残念でありますけれども、反対の意向を持つておるわけであります。教育委員会を各市町村に置くか置かないかということは、もうすでに二十三年にあの法律ができますときに(「占領軍のおかげでしよう」「占領軍の圧迫でしよう」と呼ぶ者あり)置くことにきまつておるわけなんであります。それをいつやるかということだけが問題になるのでありまして、私は大臣教育政策の本質に触れるものではない。これは置くということにきまつた以上は、それはもう万全の措置一つ講じて、早急に置くべきだという結論に到達いたしたいのでありまして、これ以上申上げておつて意見は合わないと思いますので、一応貴重なる尊敬すべき御意見として拝聴いたすということでございます。   —————————————
  185. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 文部委員の一人として、我が国の貴重な文化財を守るべき立場から外務大臣及び文部大臣に緊急の質問をいたしたいのでありますが、幸い文部大臣がお見えになりますので、文部大臣に先ずお伺いいたしたい。外務大臣がお見えにならなければ関係方面のかた、或いはお見えにならなければ質問を保留して次回にいたしたいと思うのでありますが、これは駐留軍の使用する施設及び区域を決定する日米間の交渉でありまするが、予備作業班の合同委員会で進められて来ており、大体成案が出て来たように聞いているのでありまするが、その交渉の間において施設、区域の件については、目標をどこへ置くかということは、双方の意思を十分に発表して、その上できめられるようになつているのでありまするが、日本側の希望としては、日本の社会的、経済的、政治的、文化的方面の要望を十分に取入れて、その調整を図つて決定せられるように承わつているのでありまするが、極く最近の情報によりますると、奈良の数マイル南方の所に飛行場を設けなければならんというような情報があるのであります。勿論その土地については、戰争中に旧海軍の飛行場にするために、農民を立退かして、そうして非常な犠牲を拂つてされた所でありますが、終戦後、農民に返付されまして、非常に住民が努力してもとの水田、或いはその他の農園に回復して、農業を営んでいる所であります。勿論その点から考えても甚だそういう人たちに対して気の毒であることは勿論でありまするが、その附近、奈良、京都というものは、日本における文化財の重要なものがたくさんに残されているのでありりす。日本の文化を守る上において、これは単なる日本の文化でなしに、世界の文化である。而も熾烈なる戰争の最中でさえも、アメリカの忠言によつて奈良、京都は残されたとまで言われているのであります。それは平和が回復した今日、再び危殆に瀕するようなことがあるということを見ますると、文化財を守る意味において、日本の得がたき文化財を十分に我々国民として、又世界の一員としてこれを確保して行くということが我々の務めじやないかと思うのであります。そういう点に対して、その飛行場が若し実現されるようなことがあるならば、遺憾千万であると、我々は国民の一員として痛切に感ずるのであります。文化財の直接の関係を持つ文部省の行政官庁としての責任を帯びられる文部大臣として、どういうふうにこれを対処されるか、御意見を承わりたいと思うのであります。
  186. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は今まで少しも存じませんので、今改めてそのことを承わりますと、堀越委員のおつしやることは全然同感でございます。だからしてそういうことの決して起らんように私どもは全力奮つてやりたいとこう思います。
  187. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 大臣の御答弁十分了解することができますが、今後ともこの点について是非御努力を頂くようお願いする次第であります。それでは農林省の農地局の管理部長にお伺いいたしまするが、只今私が文部大臣に緊急質問いたしましたことはお聞き頂いたことと存じますが、あなたにお尋ねしたいことは、候補地に上つている所は、戰争の最中に急に飛行場に選定されたために非常に犠牲を拂つた農民の、或いは一部の市民は立退き、その他のほうに転住するというようなわけで、戦争中これは止むを得ない犠牲だと思つて甘んじていたのでありますが、終戦後それが還付れてもともと通りまでにするには非常な努力をして回復したのであります。それを又更に飛行場に使われるということは、食糧生産の上から考えても非常に重要な問題じやないか。又農民の経済から考えて見てもどうしても考えなければならん問題じやないか。先ほど申しましたように、奈良がアメリカの援護によつて守られたその文化財をどうしてもこれを破壊するようなことになりはせんかということを我々気にしますので、この点交渉の経過の中でどういう態度でお進みになるか、又今後これに対して輿論を聞いて行くという所存であるのか、お伺いしたいと思います。
  188. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 実は私はちよつと遅れて参りましたので、具体的な所の名前がよくま、だお聞きしていないのですが、何か具体的な所がおわかりになつておりましようか。
  189. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 奈良の数マイル南のほうにあります朝和村という所であります。それは戦争中に急に海軍の飛行場として一時設定された。それが終戦後農畳返付されてもともと通りの農地になつている所なんであります。
  190. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) それは丹波市の大和飛行場でございますか。
  191. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 そうです。
  192. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 今御指摘の飛行場は戦時中極くあとになりまして、非常に急速に作られた飛行場であります。これはその後すつかり農地になりまして、やはり滑走路が残つている現状かと思います。而もその滑走路もそう大きくない滑走路で、周囲は皆農耕地になつております。殆んど水田になつている現状たと思います。この飛行場を現在横張して使うというような話はまだ私たちは聞いておりません。現在それを使われるといたしましても、不時着或いは非常の場合の予備飛行場と申しますか、そういう形のもので使われる程度のものであろうと思われます。横張計画というものは立つておりません。従いまして向うから横張計画を要求されました場合にどういうふうにお答えするかということは、今ここで申上げられる筋合いでありませんので、非常に美田の地帯であります。そうして水田になつている地帯であります。そうしてそれが非常な横張が行われるということは、食糧生産の上から見ましても、又一般気持の上から見ましても非常に困難なものであろう、かように考えております。そういう意味合いにおきまして、そういう提案が行われました場合でも慎重なる対策を申入れなければならない、かように考えております。
  193. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 只今の御答弁を承わつてやや安心したのでありまするが、併しすでに事は運んでいるかのごとき情報があるのであります。これが擾張計画の交渉のありましたときには、只今のお考えで十分進んで頂きたいということを希望してあなたに対する質問は打切りまして、なお委員長、この問題について次回に外務大臣なり関係当局の御答弁を得たいと思いますが、今日はこれで保留しておきます。
  194. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 了承いたしました。  これにて本日の委員会は散会いたします    午後六時二分散会