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1952-07-09 第13回国会 参議院 文部委員会 第48号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年七月九日(水曜日)    午後一時五十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梅原 眞隆君    理事            白波瀬米吉君            高田なほ子君            相馬 助治君            木内キヤウ君    委員            川村 松助君            木村 守江君            黒川 武雄君            石黒 忠篤君            高橋 道男君            堀越 儀郎君            山本 勇造君            荒木正三郎君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   衆議院議員            若林 義孝君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君   政府委員    文部省初等中等    教育局長    田中 義男君    文部省調査普及    局長      久保田藤麿君   説明員    文部省初等中等   教育局庶務課長  内藤誉三郎君    農林省農地局管    理部長     谷垣 專一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育及び文化に関する一般調査の件  (教育関係法案に関する件)  (教育環境整備に関する件) ○義務教育費国庫負担法案衆議院提  出)   —————————————
  2. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) これより文部委員会を開きます。  最初に矢嶋委員から文部大臣に対する緊急の質問があります。文部大臣が御出席になりましたから御発言を願います。
  3. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣質問申上げる前に先ず事務局に伺いますが、私は当面教育行政について重大な問題と考えまして、先週の土曜日に文部大臣に対しての緊急質問の通告をなし、その質問要旨も詳細に書いて政府委員室へ手交しておつたわけでございますが、政府委員室のほうではこれをどういうふうに取扱われたか、一つ承わりたいと思います。  政府委員のおいでになつて答弁頂く前に大臣にお伺いいたしますが、大臣は私の緊急質問事項を、書簡によつて通告してあつたのを御承知であつたかないか、その点を承わりたいと思います。
  4. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 承知いたしておりました。
  5. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この問題は私は正式には議院運営委員会におきまして、国会議員質問するところの権利並びにこれに対しての政府委員答弁しなければならない義務という立場から、議院運営委員会で正式に取扱うべき問題と考えますけれども、一応私は大臣にお伺いいたしたいと思うのでございますが、大臣は私が通告しましたところ書簡による質問要旨並びに本日本会議において私が申上げました内容に対する答弁として、政府委員天野文部大臣としての答弁があれで妥当だとお考えになつていらつしやるかどうか、その点を承わりたいと思います。
  6. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私はあの答弁は、まだ否決になつておらないのですから、否決を仮想した答弁でございますから、内容についてはあれでよいと思つております。殊に私の一身上に関することのごときは、私は答弁しなくてもよいと思います。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一身上に関する問題がありましたならば、それは答弁しなぐても、大臣がその見解なら結構です。私は飽くまでも国会法並び参議院規則に基いて質問いたしております。従つて国会法参議院規則に反して私は懲罰を受けるような内容には一切触れておりません。大臣は現在衆議院に驚いて法律案審議中であるから云々と申されますが、だからして私は質問に申上げましたように、先ずこの法律案成立することを願望する立場において質問申上げ、それから次に若しこの法律案否決された場合についての私は質問を申上げ、最後に財政的な立場から御質問申上げておる。具体的に申上げまして、このたびの、あとで又お伺いいたしますが、或いは党利党略の問題とか或いは準備期間の問題とか、或いはそれらに対する対策、或いは今から準備しなければならない市町村単位にするのか、一部事務組合単位にするのか、恐らく市郡単位にするのかという、如何に今後されるつもりであるかという、それらに対する見解或いは教育長指導主事養成計画の問題とか、或いは若しそうなつたならば専従者の問題をどうするつもりであるかという法的根拠に基いたところ質問、或いはこれが実施されることになつたならば、これに財政的な裏付というものは地方財政の実情から絶対に必要なのであります。従つて私は文部省地財委大蔵のこれに要するところ所要予算については、現在ですら食違いがあることは承知いたしております。従つて文部省としてはこれは責任を持つて私は算盤を弾いていなくてはならないと思うのであります。而もこれが野党否決しているならばともかくも、絶対多数を誇る与党否決して休会明けの二十五日の本会議において否決は必至だと、こういう段階の中になる。而も選挙の告示というものは九月上旬、もう二ヵ月足らずの期間しかない、そういう段階責任当局である文部省というものは、これは当然準備がなければならないと思うのです。それらに対するところ事項を御質問申上げたのに、これに対して全然答弁がないのです。果して政府委員として責務を果したことになるかならんか、その点重ねて大臣所見を伺います。
  8. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私はそういう細かい点はこの委員会事務当局がよく答えたらそれでいいのじやないか、余り大臣が細かいことを答えて、いろいろ他との相談も少しもしてないのですから、大蔵省地財委とは一つも相談してないのですから、やはり政府当局なんですからその間にいろいろな食違いが起つたりすることは困ると、こう考えるのであります。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それならばなぜそういうふうに答弁なさらないのです。だから私はあなたに個々準備をして頂くために詳細に私は質問事項というものを書いて出してある。それならばそれでいい。個々のことはまだ十分検討していないから、だから他日にするとか、そういうような答弁があつて然るべきだ。ただあなたはこのまま法律案成立を願望しておるということ、万全の対策を講じておる。万全の対策を講ずるはいろいろの要素があるから、その私は重要ポイントだけを伺つたわけなんでありまして、私はそれには当然答弁されて然るべきである。而も衆議院で四日に文部委員会否決されれば本日で一週間も経過しておれば、こういう基本的な問題についてはこれは私はもう文部省としては結論を出され、私は対策を持つておられなくちやならない。大臣がそう言われることは全く無準備だということを暴露しておるじやないですか。私はかくのごとき大臣心がけ文部省準備状況でこういうことが実際行われるか行われないか、杞憂に堪えません。如何でございますか。
  10. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 自分たちはこれは是非通したいという考えを今以て捨てておらないのです。併し通らないということも可能性が確かにありますから、その点には事務当局が非常に勤勉に計画をいたしております。だから絶対これはどうにもならんとは私ども考えていないわけであります。いろいろ困ることはありますが、何とかそれは事務当局において計画を立てようというところであります。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は若干それではお伺いいたしましよう。私は大臣、基本的なことを伺つていますよ。この法律案我が国文教政策立場から考えて、全く根幹をなす重大な問題でございます。ところ政府提案にかかるこの法律案衆議院でああいうふうに審議が渋滞して遂に否決になつた。その過程考えるときに、これは何人も中正な考えを持つた人は総選挙を前にして自由党諸君選挙に怯えて、その対策として日教組弱体化を図るという立場からそういう党利党略、闘争の具に供する立場からやるということは天下周知のことです。私は日教組のあり方がいいか悪いか、或いはそれらの問題はそれは別個の問題として私はやればいいと思うのです。(「余計なことだ」と呼ぶ者あり)それは選挙を有利に展開するためにその方法として手段を選ばずに、あらゆる野党から絶対反対があるところの、このすべての市町村教育委員会を設置するということに自由党態度をきめたということは、これはどの新聞を見てもはつきりとそういうふうに輿論は認めております。かくのごとき教育根幹になる問題が党利党略で扱われていいかどうかということは先ほど御質問申上げましたが、これに対しても大臣は一言も答弁がない。大臣はこれをどういうふうにお考えになつていますか。
  12. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 教育問題を党利党略に用いて悪いというようなことは、これは当然のことで、私が答弁する必要はないと思うのです。ただ自由党党利党略に用いているかどうかということは、これは私がそういう判断を、そういうことについては審かにいたしておりませんから何とも言えないことであります。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣はこの二法律案成立を希望している大臣政策としては、もう基本的に常にその立場で来たんでございますが、大臣は何ですか、どういう努力をしてこれは貫徹しようとお考えになつているのですか。その点も大臣決意は一切伺えなかつたわけですが、それを御答弁頂きたい。
  14. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 今までいろいろやつて来ていることは或いは御承知ではないかと思います。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣はいろいろやつたと言われますがね。私は次にお伺いいたしますが、こういう基本的な政策与党自由党で否定された。大臣はこういう市町村教育委員会を設けることに問題があるということを常々申されて来られています。従つて予算を見てもはつきりわかるように、教育長の報酬にしても、教育指導主事講習にしても、その養成というものは昨年で打切つて計画されておりません、ということは、大臣市町村すべて教育委員会を作らないという天野文相計画で本日まで来られたということは、あの教育長指導主事予算面から見てはつきりしている。昨年予算を提出したとき、指導主事教育はこれで打切つたということを私らに申された、従つて地方公共団体は全部その心構えで来ている、この基本的な政策を否定されて、大臣は私がさつきお伺いいたしましたように、これに屈服するのですね。屈服という言葉は適当でないかも知れませんが、大臣曾つて私の質問に対しまして、与党の決定したことは、いいことならば私は自由党員でないけれども従います。併し与党の決定が適当でないときには私は断じて従わないということを確信を以てこの委員会答弁されているのです。然らば天野文相の基本をなすところのこういう市町村には教育委員会はすべてこの十一月に設けることは適当でないから一年延ばして検討する。それを目標として中央教育審議会がわざわざ設けられた、これが天野文相の構想だつたわけであります。それに対してあなたはどういう決意を以てこれに対処されるのか、私はこの市町村教育委員会を設けられることによつて日本教育政治史上には一大汚点を残す、従つてこの行末というものははつきりしておると思う。本当に天野文部大臣日本教育というものを憂うるならばですよ、私はこの基本的な問題に対して自由党かくのごとき態度をとるならば、大臣は乾坤一擲の私は行動に出てこの日本教育混乱を防がれてこそ、私は今までの天野文部大臣の言動からして国民に応えるゆえんだと思うのですが、そういう点、天野大臣のつんつん張つた態度というものは私は非常に遺憾に考えております。それなるが故に我が国教育はまさに収拾すべからざるところ混乱に陥ろうとしていることに対しては大臣はどうお考えですか。
  16. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は矢嶋さんは少し誤解があると思うのです。私は自由党内閣にいるから自由党のきめることに従うと言つたのです。よいことに従うなら、何もそんなことを言う必要はない。そうでないことも意に反したことでも、自由党内閣にいるから自由党できめたことには従う、我々もそうしてできるだけのことをしてそれでも自由党がきめるという場合には、自由党内閣の一員としてはそれに従う。けれども、事はいろいろな場合によつていろいろありますから、一概には言えないけれども、大体の方針としてはきめる。私は御承知でありましようが、勝海舟の「行蔵はわれにおいて存す、毀誉は他人のこと」という、そういう心がけを以て人生に処しておる者であります。その他のことは見解の違いだと思つております。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ほかに御質問があるようでありますから、若干質問して私は打切りたいと思うのですが、与党で、絶対多数の与党でこれを否決して次の本会議でも恐らく否決されるだろうと、そこでこれに対するところの、どうなるかという公共団体からの問合せは、我々個人のところへも一応山積しておる状況なんです。そこで私は大臣一体市町村単位設置指導するのか、或いは市町村の一部事務組合に持つて行くつもりか、市郡単位を適当と考えておるか、その指導と助言の責任当局たる文部大臣としてはどうするつもりかということについてお伺いしたのでありますが、これがいずれかになることによつて事務的の処理というものが、準備というものがたくさんあるわけでありますが、従いましてもうこれはすでに検討されていなければならない。そういう見解伺つたのでありますが、これに対する答弁がないのでありますが、如何ですか。
  18. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) それらの点については、事務当局が今非常に努力していろいろな研究をいたしおります。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではそれと関連してお伺いしますが、二十三年の七月十五日に教育委員会法が通過して、その年の十一月五日に選挙したが、非常に趣旨が不徹底で、十分な選挙が行われなかつた。二十五年に半数改選がありました。その努力も非常に徹底しなくて、五十七の市町村にあるところ教育委員会の候補に前科八犯という人が出たという当時記録まで残つておるわけであります。而も京都府のごときは二割台の投票率であつた。それを今度すべての市町村に設けることになりまして、今大臣が言われておるような程度の準備過程で、一体この十月五日の選挙が行われて十分な啓蒙が行われ、そうして十分な選挙目的を達して、そうして言うところ民主教育があの法律案を否定するところの人によつて果して確立することができるのかどうか、こういう立場から見るならば、私はとてもこの見通しは立たないと思うのです。従つて大臣にこの選挙期日を少し延ばすようなことはないかということも伺つたのですが、それに対しての見解もない。而もどういう準備は、いつ終るという見通しもない。十月五日に迫つておるのに、その期日をどうやるという見解もない。一体これは無責任極まるものじやないのですか。而も市町村当局は挙げてこの市町村教育委員会を設けることに反対でございますよ。決議をしておるのでございますよ。而も予算裏づけがないにもかかわらず、そういう状態で市町村教育委員会を設置するということは、私は誠に文部行政最高責任者としての天野文部大臣は無責任だと、こう考えるのですが、その点は準備と関連してどういうふうにお考えになるか。先ず大臣に御答弁願います。
  20. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) そういつた点にいろいろな困難があるから私は一年延ばそう、矢嶋さんのお話を聞いていると、私がここで自分の出したものを否定しようとしているような御説ですが、私はこれをどこまでも通そうという考えです。それにはいろいろな困難が起るという考えなんです。否定されれば国会の否定というものに我々は従わねばならないから、その際にはどうかしてそういう混雑が起らんようにできるだけ早く、今これこれの準備ができたと私はそれまでに今言つておりませんのです。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 行政府最高責任者天野文部大臣がそれだけの考えを持つておるならば、なぜそういうことを発表しないのですか。教育委員会を設けたならば予算かくかくに要る、地方財政はこうなつて行く、その点で困るとか、或いは教育長指導主事かくかく要ると、この養成教職員免許法に基くところ講習を三ヵ月やらなければいかん、それには予算が幾ら要る。教育者は一万、教育長指導主事は二方二千ばかり要る、その養成かくかくであるからできる、或いは市町村すべてに作れば何だから一部市町事務組合を作るとすれば、かくかくの手続をしなければならないというような点の何か、何ですか発表して啓蒙をやらないわけですか、自由党の、私は衆議院における文部委員会速記録を見たのですが、全く失礼ながら衆議院自由党文部委員会のかたが知つておりません。教育委員会法或いは教育公務員特例法を読んでいらつしやるだろうかという疑問のあるような質疑をたくさんなさつている、中にはこういうことを言つているのですよ、市町村教育委員会を設けると人事権市町村長に来るから市町村長は喜んでいる、こういうことを発言しているのです。それからこの首藤新八君が衆議院文部委員会否決するところの討論をやつております。私はここに持つておりますが、これを読んで誠に恐れ入ることを申されている、私は教育委員会法教育公務員特例法を十分読んでいないと思う、それから私は個人的にも自由党総務会のかたに当つてみましたが殆んど知らないのです、殆んど知らない。大臣吉田内閣の台閣に列し、而も最高文部大臣として、而もあなたは負担法律案は是が非でも通したいと念願して努力する、どこを努力しているのですか、なぜそういう資料を部下に全部整理さして、かくかくであるからかくかくでなければならないのだというようなその努力をされないのでございますかあなたは。私は努力をされているという点でどうしても納得できない、与党諸君はわかつていないのじやございませんか、如何でございますかその点……。
  22. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 自分局長をして、その他の文部事務当局をして自由党には実によく話してもらつておるのです。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣衆議院文部委員会にどのくらい出られたか知りませんが、そういう速記録なんか御覧になつて教育委員会法なり教育公務員特例法を読んで十分知つていらつしやるというふうにここに認定なさつているのですか、わかつていないじやありませんか、あなたはどこを努力されたか知りませんが、そういう形でこの二つの教育委員会付託法律案が否定されて市町村当局は希望もしないのに、而も財政的な裏づけもないのに、市町村にすべての教育委員会が設けられた場合の惨事というものを考えて御覧なさい。池田大蔵大臣予算については何にも心配はいらない、こういうことを申されております。大蔵省文部省のこれに対する予算は食違つておる、もうすでに大蔵大臣は大した金は要らない、予算的な心配は要らないこう発言されておる。ところが当事者であるところ天野文部大臣はその質問に対して何ら答弁することなく、今私がお伺いしますというと鋭意その検討しているとかいうようなことでございますが、そういうようなことで果して予算的な裏づけができるか、できない場合の地方公共団体経済的圧迫によるところ地方自治の崩壊というものを考えたときに、私はこれは誠に遺憾千万なことだと考えるのですが、私の大臣にお伺いしていることは間違つているでしようか、大臣、御所見如何でしよすか。
  24. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私はそれぞれの立場がありますから見解の違いだと思つております。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一つだけちよつと聞いてほかの人にお譲りしますが、私お伺いしました市町村立学校職員給与負担法だとか教育公務員特例法二十五条の四を変える意思がないのか、若しかようにするならば教育公務員の二十五条のことからして政府というものは都道府県教育委員会から専従者を認められるべきでないか、こういうような私の質問に対しても何らの御答弁がなかつたわけでございますが、こういう点についてはどういう検討をされ、又自治庁とのどういう交渉をされておるか、これも何らまだ結論もなく、これからやるというのでは私はともかくも無責任極まると思うのです。で私はこの際に天野文部大臣を責めるよりも、私は日本教育を愛し、日本教育の将来について懸念するが故に私はあえてこういうことを大臣に申上げているのでございますが、大臣は長い間文教行政努力されて来られました。併し今度の義務教育費国庫負担法にしろ、それからこの教育委員会法の基本的な政策天野文部大臣与党のために完全に裏切られた、これを天野文部大臣の大きな信念に基く抵抗によつて食いとめればこそ、曾つて我が国文教責任者として天野という人がおつて、そうして日本教育をかように打立て守つたという歴史が残るでありましようが、ところ義務教育費国庫負担法がこういう状況になり、更にこの日本教育行政上、根幹をなすところ教育委員会法衆議院自由党考えというような立場において決定された場合には、天野文政汚点というものは我が国教育政治上永久に私は残ると思います。過去において天野文政が批判されるのはそれはそれだけで済みましようが、被害を受けるのは国民だから、然るに私は責任当局である政府当局において天野文部大臣決意と当然とられるべき対処というものがあつて然るべきだと思うのですが、どうもお伺いしているところ、具体的な見通しもなければ早急にするところ対策もない、ただ努力する、これでは我々は日本教育を守つて行く立場から私は納得できないわけなんですか、大臣所見を承りたいと思います。
  26. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 先ほど申した通り行蔵はわれにおいて存す、殿誉は他のこと」という、こういう心懸けでやつておりますから、それはどういう批判を受けてもいたしかたないと思います。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今の専従のような問題はどうしてやるのですか。
  28. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 御質問専従者がどういう形になるかという問題については、今のところどもが持つております見解では任命権者ところで許可をするということになつて市町村単位ところ専従の手当をするということで見解を一定しております。
  29. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私も本日の本会議において矢嶋議員質問をいたしました事柄に対する文部大臣答弁は余りにも簡単にして質問に答える答弁とは受取りがたい、こういうふうに感じた一人でございます。(「同感」と呼ぶ者あり)私はあの矢嶋君の質問に対して文部大臣がどういう所見を持つておられるかということについては非常に深い関心を持つて会議場に臨んだものでありまして、ところがこの答弁は非常に簡単と申しましようか、質問に答えておらないということを深く感じました。只今文部大臣は問題が細かいから一々答える必要はないと考えたと、こういうことでありますけれども、これは問題が細かいかどうかはこれは人々によつて判断が違うと思いますけれども、少くとも文部大臣の主観的な考えで問題が細かいからといつて、そうしてこれに答弁をしないというふうなことは私は当を得た考え方とは思わないのです。(「見解の相違」と呼ぶ者あり)少くとも本会議において、議員質問に対しては当然大臣はそれに対する答弁をしなければならない、かように私は考えておりますので、かような文相態度は甚だ私は遺憾である、今後こういう態度は改めてもらいたいということを先ず申上げておきます。これは私が去る十六日に同様な問題について文部大臣質問をいたしましたが、そのときにも私は強く感じたことでありますので、今後もありますので、質問に対する答弁は簡単であつてもよろしい、併し質問には答えるべき私は義務があると思う、こういうことを細かいから答える必要がないと思う、こういう考えでは私はいけないと思う、かように考えますので、この際文相の反省を求めておきたいと思います。  私がお尋ねをいたしたい問題は、教育委員会法等の一部改正に関する法律案は過般の衆議院文部委員会において否決をされました。恐らく通常の場合を考えますならば、特別な事情がない限り本会議においても否決されるのではないかというふうに私は見ておるのでありまするが、なぜこういう結果が来たか、政府提案衆議院において否決されようとしておる、こういう結果がなぜ招来したかということについて文部大臣の私は所見を伺つておきたいと思います。(「率直に答弁して頂きましよう」と呼ぶ者あり)
  30. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) これは自由党内にいろんな意見があるのです。で、自由党の一部のかたは市町村まで全部教育委員会を作るほうが日本教育を良くするゆえんだということを強く主張しておられるのです。そういう一部の人の主張がですね、それの全体を整理したという形なんです。(「議事進行」「慌てるな」「何を言つているんだ、重大問題をやつておるのに」「質問質問中」「議事進行だ、議事進行だ」「何だ発言中じやないかね木村君」「いや発言していたつていいじやないか、議事進行だよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  31. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は今の文部大臣答弁に対しては、甚だ認識が足らないというふうに考えます。それは、教育委員会市町村に設置したほうが良いかどうか、こういう問題についてはそれぞれ私は意見の異なることがあることは当然のことだと思います。(「そういうことを教育汚点考えることが間違つておるよ「やかましいね」と呼ぶ者あり)併しこの問題が衆議院において、委員会ではありまするけれども否決されたと、こういう結果が来たことは、私は文教の執行の責任の地位にあるところ文部大臣の不定見から来ている(「その通りだ」と呼ぶ者あり)かように考えておるわけでありますが、(「あんまりだらしがない」「違うよ君」と呼ぶ者あり)それはなぜかと申しますと、(「意見の相違だ」と呼ぶ者あり)当然教育委員会法によれば、今年の十一月には市町村にまで教育委員会を設置しなければならないことになつておるわけです。ところがこれに対して政府は一年間延期する、市町村に設置するのがいいか悪いかということはまだわからない、まだわからないから一年延期すると、こういう態度をとつておられる。これを私たちは一応諒としておつたのでありますけれども、併しこれを厳正に考えてみるならば、教育行政のあり方について文部大臣は一定の見識を持つておらないということになると思う。これは否定できないと思う。即ち教育委員会市町村にまで設置するのが妥当であるか、或いは府県その他にとどむべきであるか、こういうことについて、文部大臣は一定の見解を持つておられない。そのために止むを得ず、そういう見解を持つておらないがために一ヵ年を延長してその間に考えると、こういうことでありまするから、いわゆる文部大臣教育行政について一定の見解を持つておらないところ衆議院審議がかかる結果を招来した私は大きな理由があるというふうに考えるものであります。勿論私は一カ年延長せられた文部大臣の御努力は諒といたしました。併しそれによつて私は一定の見解を持つておらなかつた文部大臣責任が解消されるとは思わない、こういう点について何ら考慮されておらない。先ほどの答弁から見ると何ら考慮されておらないように私は受取つたのでありまするが、こういう点についてどういう見解を持つておられるかお聞きしたいと思います。
  32. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 教育委員会の問題は市町村設置の問題だけではなくて、この委員の公選とか推薦とかいう問題もありますし、設置単位の問題もありますし、又いろいろな問題を含んでおると思うのであります。で、我我は文部省教育委員会制度協議会というものを作つたのですけれども、そこでも結論が出ないのです。だからしてこういう問題はもつとよく検討をしてやつたほうがいいとこういう考えなんです。(「その責任をどうする、自分の思う通り行かなかつた責任をどうする」と呼ぶ者あり)
  33. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は、そういう大臣の言われる慎重にこの問題を考慮してその上でやつて行きたいという態度については、一応諒としておつたわけです。今日もこれを諒とするのにやぶさかではないのでありますが、やはり衆議院において市町村にまで設置すべきであると、こういうはつきりした結論を出そうとしておるわけであります。これはやはり文教の責任の地位にある文部大臣としては相当な反省がなさるべき問題であるということを私は考えております。併し通常の場合、委員会において否決になつたものを本会議において覆すということは、私はまああり得ないと考えております。併しそういう例が全然ないかと申しますと、今日の本会議矢嶋君も触れておりましたようにそういう例はあつたのでございまして、なお今後努力の余地は多少ではありまするけれどもつておると思うのであります。従つて政府提案成立を期するために今後なお努力せらるべきであるというふうに考えるのです。今日の答弁から察しますと、国会審議の結果に待つ、こういうことで、こういう消極的な態度をとつておられました、併し国会審議と申しましても、その内容自由党態度如何にかかつておるわけでありまするから、政府自由党政府でございますから、なお努力の余地があると私は見ておるのでございますが、こういう点について文部大臣は全然国会審議に委ねてその経過を見ようとしておられるのか、なお努力をしようとしておられるのか、この点を伺つてみたいと思います。
  34. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 先ほども答えましたように、まだこれは否決されておるのじやないのだから、私どもはまだこれを捨てておるのじやないと先ほど申したつもりでございます。(「それには資料を拵えなければ駄目じやないですか」と呼ぶ者あり)
  35. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは教育委員会に関する問題は一応これでとどめまして、二三日前の新聞を見ますと大臣は宇都宮市において教職員を集めて講演をしておられまするが、その中に、将来の日本は徴兵制を廃して志願兵制度を採るべきである、こういう見解をお述べになつたことをまあ新聞で知つたわけであります。これについてどういう内容の演説をされたのか、と申しますのは、徴兵制をとるか志願兵制をとるかということは、いわゆる平和憲法を改定をして、その前提に立たなけおば私は論議をなし得ない問題であると考えておるのです。平和憲法を踏み躪つて今日そのような問題を論議する、少くとも文教の責任の地位にある文相がこういう問題について所見を述べるという(「憲法違反だ」と呼ぶ者あり)こういうことは甚だ不謹慎である、かように考えますので、この際その弁明を私は求めたいと思います。
  36. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私はこの日本はどうしても自分の国を護つて行かにやならない、それには国際連合の力によるということはこれは誰でも認めておることではないかと思うのです。(「誰が」と呼ぶ者あり)大体認めておることである。国際連合に加入すればその分担を日本がするのは当然であります。そういう場合において私は個人の考えとしてはということを非常に力説したわけです。個人の考えとしては自分は徴兵制というのではなく、志願制の制度がよいと思うということを述べたのであります。
  37. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 個人という言葉についてはあとでお伺いいたしますが、私は参議院の予算委員会において、我が国が国連加入の際に、再軍備を前提条件とするのか、こういう質問に対して政府は、再軍備を前提条件としない、平和憲法のままでも国連に加入するという答弁をしております。従つて国連加入は、再軍備を前提としないと私どもは了解しておるのです。今の文部大臣のお話によると、国連に加入するためには、やはり再軍備をしなければならん、こういうような説明に聞えるわけなんです。これが個人の見解であろうと、大臣には変りはないのでありますから、こういう問題についてはどういう認識を持つておられるか伺いたいと思います。
  38. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 国連に何にも日本が協力しないで加入ということは私は不可能だと思う。ただその際には、日本の有志がそれに助力するといううとが私は日本としてのとるべきものだという個人的な見解を申したのです。
  39. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ますます私はおかしいと思います。国連は戦争をするための機関ではないわけであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)国連に加入して協力すべき事項は幾らでもあります。或いは教育、文化、産業、いろいろの面において国連に協力すべき問題は幾多あります。国連に協力するということは、武力による協力というようなことは殆んどないわけなのであります。これが本筋じやないわけです。国連というのは平和を如何にして守るか……。これは大臣のほうがよく御存じのはずです。武力による協力をしなかつたら、ほかに何にも協力するものがない、こういうふうに受取れるのですが、私は心外に感じますが、こういう点をどういうふうにお考えですか。
  40. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は国連には、国連警察ということは、これはやはり国連の一つの機関であつて、ほかにいろいろありますが、それもある。それには若し日本が協力するという場合には、国連の警察というものに協力する場合には、それは自発的なものでないといけないという考えを個人的に抱いております。
  41. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それは自発的であつて非常に私は結構だと思います。そういうことを言つているのではなしに、仮に国連の警察隊に協力するといつても、政府はしばしば説明しておるように、或いはその物資の運輸に当るとか、今日当つております。或いはその労力を提供するとか、或いは今日はそういう国連軍の活動の基地まで提供している。このことの善し悪しは別として、直接、直接ですよ、兵による協力は現政府といえどもしばしばしなということを言つておるわけなんです。それを文部大臣が志願兵制度をとつて、そうして兵隊による協力をするのだと言われるのは、どういうことなんだかさつぱり私にはわからない。そういう点ですね、政府のしばしば述べられた見解文部大臣見解とは全く違うものなのですかどうですか、そういう点はつきりしてもらいたい。
  42. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は自分の個人的な意見を述べたのです。個人としては日本が若し警察軍というのに協力する場合には、それは任意でなくてはいけないと思うと言つたのです。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちよつと関連して、大臣は個人の意見を述べられたと言いますが、それでは一点伺いますが、大臣曾つてこの委員会の席上で、平和憲法の改正は賛成か反対かという質問に対しまして、再軍備の伴うところの平和憲法の改正が起るということは考えない。再軍備というものが起るとは考えないからして、従つてそれに基くところの憲法改正ということは起るとは思つていない、こういうふうに二月に答弁されている、ここで……。今あなたは志願兵制度云々ということは、荒木君も指摘したように、再軍備を前提としたものだ。いつから天野文部大臣の個人の考え方が変わられたのか、その点お伺いしたい。
  44. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 再軍備という場合に、軍備という場合に、日本自分に軍隊を持つ、自分で持つという意味で私は当時答弁したと思うのです。今度は特別の警察軍に日本が分担をするということが仮に起つた場合には、そのときにはどうしても自発的でなければならないという個人的の意見です。
  45. 岩間正男

    ○岩間正男君 私も二、三点お聞きします。第一にお聞きしたいのは政治的責任の問題です。あなたは先ほどの御答弁では、教育委員会法を改正したい、そうしてそれは殆んど日教組初め、これは天下に公表されたと思うのです。でそういう態度で以て今まで来られたのでありますが、どうも自由党与党に話をしたけれども、意見は大分違つた。そうして自由党与党の意見がそうきまつたので、自分は従うということを言われたのでありますが、いつから天野文相自由党員になられたのでありますか。自由党員なら自由党の意見に従うということはそれは一応いいだろうと思う。併しあなたは党員ということは私は聞いていない。閣僚としての天野文相ということは知つていますが……。従つて当然そこは政党政治そのもののあり方が問題になつて来るのでありますけれども、閣僚として、自由党がどう決定しようが、とにかく天下に公約されたその公約、その公約が実施できなくなる、こういう事態が起る、これに対してあなたは何ら責任を感じていないのですか。この点が先ほどから言う自由党に従うのだということを非常にあいまいにこの問題を糊塗されようとしているのですが、私ははつきりそういう点から、いやしくも政府の閣僚としまして、そうして公約された、天下に公約されたそのことが実施できないような事態になつた。だからといつて自由党の意見に従うという形で以て、あなた自身はその責任はつきり負われるということを避けていられるとすれば、これは非常に政治的責任の帰趨というものは明らかでないと思う。而もあなた自身は何ら自由党員ではないと我々は了承しております。それともいつか入党されたのですか。こういう点についてどういうふうに考えておられるのでありますか。いやしくも、私がお聞きしたいのは文教の最高責任者として、而もいろいろ道徳的責任とかいろいろありますけれども政治的責任というのはこれは重要だと思う、政治家として。政治家のこれはもう一番、政治的責任というものは少くとも政治家の生命を決定する問題だ。こういう問題についてそれを果すことができないということが起つたときに、どういうふうにあなた自身はその責任を負われるかという決意についてお伺いしたいのです。
  46. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は自由党員ではありませんけれども自由党の内閣の閣僚ですから、自由党内閣の閣僚というものは自由党できめたことに従うべきだと思う。又私はこういう点で非常に岩間さんと違うのです。我々はできるだけ論議を尽す、できるだけやる。けれども多数がきめたことには快く従う、これが私は民主主義だと思う。多数政治というものに対しては、私は原理的にはいろいろな論議ができます。併しながら民主主義というものはお互いに論議を闘わして、そうして論議によつて多数できめられたら、それに従うというのが私は民主主義だと思うのです
  47. 岩間正男

    ○岩間正男君 妙なことをおつしやいますね。あなた自身に時間前にやられた行動は民主主義の態度ですか。矢嶋君があれだけ明確な箇条を挙げて、そうして答えを要求している。これは国会法並び参議院規則によつて要求しいる(「委員会でやることだ」と呼ぶ者あり)委員会だろうが何だろうが、細かい小さいという問題はありましても、そんなことは主観的判断です。それには言論を尽すべきだといいあなた自身が、何です、三行半にも足りないような答弁をして本会議から抜け出したのではないか。荒木君が、これに対して答弁せよ……、これに対してあなた自身は今言つた言論を尽すということを、現に二時間前に違反している。何ら言論を尽していないのです。矢嶋君は五、六ヵ条について細かに、而もそれは重要な関連を持つものですから、これについてはつきり答弁を求められているのに、あなた自身は何だか変な、最近これは今までのいわゆる日本の政治を冒涜して来たところの政治的答弁、三行半にも足らない答弁でさつさと議場を引上げた態度は何ですか。あのことはどういうふうに考えられるのですか。あなたの言われる民主主義の言論を尽すということになりますか。
  48. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は再質問があれば幾らでも答えようと思つたけれども、再質問が、あのときは議長も承知しなかつたし、それから質問内容が、教育を政治に利用するのが悪いか、これは我々の立場としていずれも悪いということは当然だと思う。或いはあなたの責任はどうだとかこれも何も答えないでいいという考え、それからこういう法案を推進する考えかということも、それはどこまでも推進する考えだ、今後の処置はどうするか、今後は、細かいことは文部委員会に譲るとしても、大体の方針としては間違いないようにやりたい、そういうことを述べたのであります。論議を尽すということは、必ずしも本会議で尽すということではないと思います。
  49. 岩間正男

    ○岩間正男君 矢嶋君が特に本会議を選んだのは、今まで委員会でやつてみたが、問題が明らかにされない、少くとも本会議でやればこれはもつと公になる、明らかになるだろう、こういう観点から恐らく矢嶋君はあのような場所を選んだのだろうと思うのです。然るにあなたは当然問われておることに答えないで、それは再質問があつたらやると、ところ矢嶋君は不幸にして時間を持たないのでああいう形になつたわけであります。そういうように、今の答弁では、あなたの論議を尽すという言葉は私は実にこれはおかしいと思う。この問題について先ほどあなたは民主主義云々ということを声を大きくして言いながら、事実二時間前に違反した行為をとられておる。我々はこれについてはやはり一応質しておかなければならない。それはまあおくといたしまして、私は次にお聞きいたしたいのは治政的責任の問題でありますが、そうすると政府与党との間に今日はつきり意見の対立があるということはあなたお認めになりますか。この教育委員会法の改正問題に関しましては、これはお認めになりますか、なりませんか。
  50. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 政府与党との間に対立があると思います。
  51. 岩間正男

    ○岩間正男君 政党政治というものをどういうふうにおつかみになつておるか。少くとも与党政府というものは、これは意見の統一をはつきりすべきである。然るに政府が出した、そして政府が閣議で決定して、はつきり政策として打出した、そういう法案を与党否決するということは、すでにしてこれは、政党政治というものはこれで成り立つとお考えになつていらつしやいますかどうですか、その点についてお聞きしたい。
  52. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) これは決して常道ではありませんが、政府のきめたことに与党が同調して行くというのが常道でございますが、併し時としては政府与党との間に考えが違うということは私はあり得ると思います。
  53. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、時としてはと言われますが、矢嶋君が述べられましたからこれは申しませんが、実に教育の将来に大きな影響を持つことは誰しも認める、而もあなたの担当の問題です。非常に大きな、これは世に公約した問題であります。こういうような問題が変則的に左右される。こういう形で否決される。政府与党の間に、これは明らかに政治における精神分裂症と認めることができるが、あなた自身はそれをはつきりと認めるか。変則的だということをあなたは認めるか。こういう形でこういう政治ができても、その中であなた自身がその責任者として、そうして公約がここで無視されるこういう事態が起るために、而もこれは結果的に見ますと、あと十日くらい後の本会議でこれが決定されると思う。こういう事態が起つたときに、こういうような政治のあり方について、かねがね道義のあり方とかそういうようなことを口にされるあなたといたしまして、こういう政治自体について、あなた自身がそういう一つの役割をむしろ果さなければならんということについては、これは潔しとするのでありますか。その責任をどういうふうにあなたは果されようとするのか。この点重要です。殊にあなたは文部大臣であるから重要であると我々は考えておる。少くとも道義実践要領というようなものを出し、国民の本を正す、道義の在り方を正す、道義の感覚などという著書を書かれ、今まで終始その面において努力されて来たあなたが、ここで一番根本になるところのこういうような問題について、ここで頬被りされるという態度は許されないと思うのでありますが、少くともあなたのその決意はつきり我々がここで伺つておくことが、今後の文部行政のあり方の検討に非常に重要だと思う。そういう点からお伺いしておるのであります。
  54. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は国会のきめたことに従うということであります。
  55. 岩間正男

    ○岩間正男君 国会できめたことは政府として責任は負わないということでありますか。国会がきめようが、政府が提案者として出しておいて、而もこれを通すということはこれは当然の政府責任であります。而もこの責任は単に政府の思い付というよりも、天下に公約したことが否定されたのであります。そうすれば国会に従うというのでありましようが、政府自身としましては、国会政府というものは、これは機関としましては御承知のように三権分立の立場で、これは明らかに独立機関であります。国会政府というものは、政党政治においては共通した面を持つておりますが、性格としてははつきり独立機関でありますから、国会否決されましたものに対して、当然あなた自身政府の閣僚の一員として、而もこの法案に対する最高責任者として当然これは責任をお感じになるということは、これは三つ児でも明らかな議会政治の常識だと思うのでありますが、これについて国会に従うということをおつしやられるのでは話にならん。あなた自身は国会に従うなら従うというのが一つ、同時にあなた自身閣僚としての責任をどう負われるか、これをお聞きしておかないと、事態が明らかにされない。
  56. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 我々人間は一挙手一投足すべて責任を持つておる。(「人間のことを聞いておるのじやない」と呼ぶ者あり)そういうことの責任を持つておることは当然のことであります。責任を如何にとるかということは、そのときの本人の判断によることです。
  57. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたはそういうふうなことを何回も言われてそうしてずるずるとやつておる。私は天野文相責任の所在はどうなつておるかと疑惑さえ持つ。本当にこれはおかしい。もう少し少くともこれだけ教育の重大な問題について、あなた自身閣僚の一員として政治的な責任を明らかにすべきである。政府の独立機関の中におけるところの閣僚の立場として、はつきりこれは答弁してもらいたいと思います。そうでないと本を正すというあなた自身の説によつてどもは言つているのですから、あなた自身道義の中心を、本を正さないでおいて、末端を説く権利はない。それにこれだけ重要な法案を頬被りするということになれば、これは重要だ。日本の政治の腐敗の根源であります。ところがこういうことも許されるとしたら、これは我々は日本の政治の粛正のために許すことができない。こういう点についてどうなつておるか。今までのようなずるずる問題とは違う。殊に責任の重大性から言いまして、又事の大きさから言いまして、決して今のようなそのときにどういうふうに果します云々というようなことで、今まで何回も判を押されるように言われて来た言葉と違う。従いましてこれだけ具体的な問題が起つたときに、あなたは一体どういう政治的責任を負われるか。若しこれは負わぬとすれば、道徳や政治論を言われる資格もないと思います。これを私はお聞きします。
  58. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今の答弁の前に、天野文部大臣の道義の感覚は少し狂つて来たのじやないかと思います。先ほど申しました、又今岩間委員からも質問がありましたから、答弁の前に附加えますからはつきり答弁して頂きたい。それは国会が多数で決定したことに従う、それは結構であります。又自由党内閣文部大臣として自由党の決定に従うということは、それも結構であります。併しながら天野文部大臣は文教の責任者として、今年の十一月一日からはすべての市町村教育委員会を設置しなければならないと教育委員会法にある。従つて教育委員会法の精神に副つた十分の準備をあなたは整えておく責任があつたわけです。ところがあなたが十一月一日に設けない、それを而も閣議できめてくれて、与党もそれを支持してくれるだろうという見通しの下に、何らの準備をして来られなかつた。それは先ほど申しましたように、教育庁とか指導主事の行政機関の改革についても何も準備して来なかつたところがあなたは見通しを誤つて与党のほうでそれを否定したから、十一月一日に設けることに如何に支障があるということは、さつき私が若干申上げたところであります。これによつて迷惑をこうむるのは誰であるか。国民大衆である。それが天野文部大臣の、この見通しを誤り、教育委員会法の精神通りにやつて来られなかつた、而も見通しを誤つてこういう事態を招来したということについて、文教責任者としての天野大臣責任は、これは私は断じてあると思うのですが、その責任天野文部大臣が感じていないというような点については、私は誠に心外の至りだ。岩間君の質問に附加いたしますが、私は答弁して頂きたい。
  59. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 責任を感じておるかいないかということは、人にはわからない、本人のことなのです。だからして、それをどう責任考えておるかということは、本人の判断によることだと思います。
  60. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういう個人的な心境的な問題について私はお聞きしておるのではありません。これは政治的な具体的な客観的な事実に即応して、それに政治家として、はつきりこれはどういうふうにするかということをお聞きしておるのですが、今のような心境についてはわかりつこないとかいう、そういうことに論議をあいまいに戻されることは極めて不明朗です。これは追及しても、あなた自身は恐らくお答えにならないかも知れないから、私はこの点は保留しておきますが、第二にお聞きしたいことは、今日の矢嶋君の質問に対する答弁によりますと、池田蔵相は教育委員会市町村におろしてやる、この予算について少くともこれは六、七十億は我々はかかると思つておる。文部省あたりもそう考えておるだろうと思う。ところがこれに対して大したことはない、予算はそれほど要らない、そうして作らない所もあるだろうし、作る所もあるだろう、これに似たような答弁をされておるのでありますが、これは文部省としては、今度の十月からこういうような市町村教育委員会を作らせるという考え方、そういう任意なあいまいな、作らなくてもどうでもいいような態度で臨んでおられるのであるか。それとも飽くまでやるとすれば、これは法の命ずるところによりまして、全部の市町村にこれを作るということを建前として臨んでおられるのであるか。先ほどの池田蔵相の答弁は非常にあいまいで、だからそうなれば日本市町村反対した場合は、全部作らなくてもいい可能性があるというように聞けば聞かれる答弁であつたのでありまして、これは天野文部大臣も若しこれをお聞きになれば、非常に重要性を持つた答弁だと私は考える。従いまして文部省としては、このような蔵相の態度、こういう答弁に基いて起る事態に対してどういうふうに考えておられますか。はつきり承わつておきたいと思います。
  61. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) それは大蔵大臣のお考えでございますが、私どもは私どもとしてよく研究して間違いないようにやつて行こうと思うのです。
  62. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は大蔵大臣はそういうふうに答えた、これは根拠のあることですよ。少くとも一国の大蔵大臣が本会議において答弁したその事態が、今言つたようにこれは全部の町村に強制的にできないというような事態が起つて来るのじやないかと思うのです。私は客観的な事実を挙げておるのですよ。そうしますと、文部省としてはこれでいいのかどうか。文部省としては大蔵大臣が答えたような線でいいのかどうか。つまりこれを極端に解釈しますというと、作らないという意思を持つておる市町村においては、作らなくてもいいということにとらざるを得ないのであります。任意になつて来る。それでいいのであるかどうか。それから法との関係はどうされるか、こういう点を具体的にお聞きしておるのでありますから、具体的にお答え願いたい。
  63. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) そういう問題は今度の法律によつてきまるのであつてはつきりときまるのじやないかと思うのです。大蔵大臣考えがそうだからといつて、今度の法律はそうはきまらないのじやないかと思うのです。
  64. 岩間正男

    ○岩間正男君 何ですか、今度の法律というのはどういうことを指すのですか。新らしく法律を出すというのですか。市町村にはこれは設置することはきまつている。その法律が否定された話ですよ。何ですか、今度の法律とは……、お聞きします、どういう法律です。
  65. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 現行法通りでやるのが当り前なんです。
  66. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう少しやはり大臣も……これは国務多端でいろいろ困難していられることは了承しておりますが、今度の法律なんという妙なことをおつしやらないように、そうでないと我々はびつくりする。新らしい法律を作られるのかと思つて錯覚を起す。そうでしよう。現行法によれば、必ずこれは作らなければならない。必至じやないですか。ところがさつきの池田蔵相のこれは答弁によりますと、任意のように解釈している。従つて六十億、七十億という予算は要らん、大したことはない、何とか予算でこれは大したことなくてやれる、こういうふうに答弁されるのでありますから、そうすると、丁度文部省が法の命ずるところによつて行政上のこととしては法を施行するように、これは当然立法府の意向によつて政府というものはこの法の内容を忠実に履行する責任を有する。従いまして文部省としては、これは必至の方向に行かざるを得ないと思うのですが、この点如何ですか。
  67. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) そうです。
  68. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、これと全く違うような方向を言つているのですが、この食い違いを一体どういうふうにあなたは調整されようとしておられるのですか。
  69. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は大蔵大臣から今日初めてそのことを聞いたのですから、よくわかりません。
  70. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは私は、大蔵大臣とか何とかということを答弁されているが、これは閣議で一体閣内の意見というものは、このような不統一でいいのですか。不統一じやないですか。今日初めて聞いたとか何とかというのではなくて、これは文部省大蔵省の意向を統一されて、そうして吉田総理大臣というものによつてこれがはつきり把握されているところに統一された姿があるはずです。ところが今日初めてそういうことを聞いた、そうして文部省教育委員会法の根本的なこの規定には反するような方向のことが述べられておる。これについて、今まで少くとも私はこういうような問題を決定するまでには矢嶋君でなくとも、当然検討されて、十分にきめられて、そうして然る後にこの委員会法というものが否定されるなら、否定されるという体制をとらなければならない。然るに法案を先ず否定しておいて、いろいるな混乱矢嶋君から述べられましたように起る。こういう問題については、今後どうするかというようなことで、これは問題は解決しないと思う。この食い違いをあなたはどういうふうに調整されるつもりでありますか。
  71. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 大蔵大臣のお考えはよくわからないのです。ですからもつとよく又尋ねてみようと思います。
  72. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうもおかしいですね。よくわからない……、はつきりそう答えているのです。今日あれだけの本会議の席上で、私はあれだけ客観的に答えたのを大蔵大臣が引繰返すわけにはいかないと思う。我々がそうするとああいうあの任意の線、具体的でない線になりますと、これは任意設置をやることに解釈せざるを得ない、これはどういうふうに……、時間的余裕は一日、二日まだあると思いますから、これは調整してはつきりした方法を示してもらいたい。そうならなければ実に無用意、無準備、粗雑、こういう中であのような法案が、先ほどから言われたように、政治的な一つの観点から我我はあれが握りつぶされたと判断せざるを得ない。若しそうでないという反駁をあなたはお持ちになるなら、はつきりこれに対してあなたの見解を示して頂きたい。第三に伺いたいのは、先ほどの志願兵の問題ですが……
  73. 相馬助治

    ○相馬助治君 その前に簡単に関連して、今岩間君の質問財政に関連する問題ですが、この際文相に確めておきたいと思います。この法律案が本会議に行つて委員会否決を覆して可決されるかも知れない。そういうことはあり得ないと思いますが、あるかも知れないが、殆んど望めないと思うのです。そうすると現行法が生きて来る。これは文相が先ほどからおつしやつたような通りです。その代り現行法が生きて来る場合に、当然五十億乃至は六十億程度の国費を使つて選挙が施行されなければならない。而もそれは国費だけじやなくて、地方財政をもこれに附加して使われることになつて、厖大なる費用が出て来る。当初予算にはそういう費用は盛られておりません。そういたしますと、これは予備費から支出するというようなことに具体的にはなつて参ると思うのです。従つて私は閣議において、大蔵大臣とこの財政措置について話合つた事実ありやなしや。ありとするならば、どのような形でどのような話が進行しているかということをお尋ねすることが一つ、なお閣議においては、そういう問題については触れていなかつたとするならば、当然あなたの忠実なる下僚のある事務局は、この問題について、これは大蔵省当局並びに地財委等々との連絡をとつて話しているだろうということを私は信ずるのです。そのような話はいささかもやつていないということと相成りますれば、問題は極めて大きな問題であるので、私はさようなることは信じられない。事務局は恐らくこれは話合つていると思うのです。従いましてその事務当局に私は聞くのです。事務当局においては先ず第一に、財政の問題についでは大蔵省とどういう話合いになつているか。その場合に財政支出はどの面から転用するという話合になつておるか。それから第二の問題は、先般教育委員会法の一部改正法案につきまして、自由党の某氏が党を代表してこれを否決するための演説をやつておる。その内容とするところは、誠に驚くべき内容を持つておる。その驚くべき内容というものは何であるかというと、それは錯覚に基く恐るべき謬見を含んでおる。これは多忙な代議士の罪とする前に、一党を代表してその演説をする与党の代議士にして、而も事態をその程度にしか認識していないとしますれば、一般与論が市町村に設けられる教育委員会についてどの程度把握しているかについては、これはもう金くその資料もなければ、判断の方向もわかつていないということが予定されるのでありまして、従前何かこの問題については啓蒙的な意味においてやつて来られたかどうか不幸にして私はその事実を知らないのですが、やつて来られたかどうか。今なさんとするならばどのような計画を持つておるか。この二点について事務局から、具体的なことをお聞きしたいと思うのです。で、さつき文部大臣も細かいことは云々ということをおつしやつたので、私はあえて事務局に聞くので、私はこれは細かいことなどとは思わないのですけれども、具体的にこの問題が明確にならなかつたならば、地方財政の面において、或いは地方行政の面において恐るべき混乱を生じ、日本教育をして恐るべき混乱の淵に叩込むことが明瞭なのでございます。従いまして私はその点を大臣から聞かせて頂く。それから事務局からそれらの点についてお聞かせ頂きたいと思うのです。私は一言附加したいと思いますることは、文相の政治責任が追及されておる、これについては私は私なりの考えがありまするが、以上私が聞いたことについて何ら具体的な検討がないという場合においては、私は文部当局の政治的責任というものは今や蔽うべからざる事実であると指摘せざるを得ないのであつて、私の質問はその前提をなすものでありまするが故に、然るべく御答弁を願いたいと思います。
  74. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私はこの法案を通すことにいつも努力して参つて、これが通らなかつた場合ということについては大蔵大臣と話合つておりませんです。ですから大蔵大臣がどういうように考えておられるかということを直接聞いておりませんです。
  75. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 予算に関します今までの経過がどうであるかという御質問と思いますが、昨年末本年度予算を計上いたします際に、取りあえず本年度の教育委員会選挙関係の費用をどういう計算の基礎において立てておくかということのために、取りあえず十七億というものが一応選挙関係の費用として見込まれております。その当時の十七億の見込み方は、現在ありまするものの半数改選は一応あるものと見ようと、それからそれ以外の関係のものは市と郡単位教育委員会ができるとして、それの選挙費用を一応織込もう、但しこれは勿論その当時委員会法に対する改正なり、又根本的決定ということを前提に置いて組む経費でありませんから、先ず十七億を基準的に入れて置くという計算になつてつたのであります。それから若し教育委員会をどうしても置くという場合の事務費の問題、又講習会などをやらなければなりません、そうした費用の問題、それらは予備金なり補正予算において然るべき方法において相談しようという話合いで本年度の予算ができ上つております。その後こういう問題がどういう形に相成るかもわからんという状態になりましてからの大蔵省地財委との交渉関係は、事務的に若しこういう場合にはどれくらいの金がかかるか、そうしたことがこの仕事をどちらにきめてもらうかということに対する基礎材料でもあります意味でいろいろ研究しております。今現在大蔵省地財委と計数的にいろいろな意味の打合せをやつておりますが、本会議が済んでどうきまるかというまでの間は、文部省としては政府原案を通したいということのために、まだ本格的な計数を固めるというところまで行つておりません。
  76. 相馬助治

    ○相馬助治君 一点だけお聞きしますが、実に事務当局からどうも淡々と報告されておる。ところがこれは衆議院において政府提案のものが否決されると法律が何にもなくなつてしまうのではなくて、現在ある法律が明確に生きることを意味しておるのです。それで当初予算において十七億見込んでおる、それは私らも知つております。併しそれは明らかに半数改選と任意に市町村に設けられる教育委員会選挙費用のはずなんです。従つてこの計数的に見て十七億というのは、現情勢において問題にならない金額なんです。それについて衆議院では末だ本会議においてこの可否が決定しておらないから、具体的な計数についても正式な話合いに至つていないという意味の返事なんですけれども、これは恐るべき怠慢と言わざるを得ない。そういう意味で早急に、私はここでこれ以上この問題を事務局に追及しませんから、この次の機会に開きますから、早急に如何なる計数を文部省としては大蔵省に提示して折衝しておるか、それを計数の上に当つて御返答賜わりたいと思うので、私の質問は、岩間君に関連しての質問は以上にとどめておきますが、事務局に要求しておきます。
  77. 岩間正男

    ○岩間正男君 第二の問題につきましてもう一つお聞きしておきたいのは、池田蔵相の御答弁でああいうふうに任意に作るということになりますと、日教組の今後の組織を市町村単位に仮に戻してこれを作るといつて教育委員会がない所、これは実際はそういう所は結局は作れない。こういうことで非常にこれは乱雑極まりない。具体的にいいますと準備ができないのですから、これは恐らく十月までには間に合わない。そうしますと望むと望まざるとにかかわらず、日教組の組織の分断という事態が発生する、こういう事態の発生に対しまして文相はどういうふうに措置されるおつもりでございますか、この点さつき落しましたので承わりたいと思います。
  78. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 私今朝ほど聞きました大蔵大臣の説明を、今岩間さんのおつしやるのとは少し違つて理解したのであります。教育委員会は幾つかはできないで終つてしまうのじやないかというふうに岩間さんはお聞きになつたように思いますが、私はむしろそういう意味でなく、委員会が幾つか一緒になつてでき上るという意味のことと、職員の兼務制例えば指導主事又は教育長は必ずしも専任をおかないで済むという意味合いで、必ずしも一つ一つにできるのじやないぞ、そういう方法もあるぞというようなふうにおしやつたように聞いたのであります。今お話のような意味合いとは少し了解が違つておるかと思います。
  79. 岩間正男

    ○岩間正男君 事務局のそういう話を聞いたつてわからないんです。そんなふうな意図だろうというので答弁してもらう必要はないのです。それはよく速記録を調べて見ればわかると思います。そうじやないんです。あなたは上で傍聴席でどういうふうに聞いておつたかわかりませんが、それは我々の関知するところではない。そんな希望的な観測の答弁をされて文相を助けておるところでのあそこで聞いたような、そんな主観的な判断で問題をきめては困る。その点はつきりこの次までに検討して答弁してもらいたい。これは重大です。一方でそういう組織を認めて、国家公務員法において認めておいた権利を、実際はこれによつて実にばらばらにするところの具体的な姿が出て来る、そんなことは許されない。これは法の侵害ですから、これらの点については我々ははつきりした、あなたたちの出方によつてはこれに対しては覚悟がある。それから第三の問題の志願兵の問題についてお伺いしたい。これは国会の論議として先ほど荒木さんから質疑がありましたように、国会の論議でどういうふうなことがこの国連参加において一体問題になつて、そうしてこれについてどういうような答弁をなされてあるかということは、閣僚の一人として天野文相は先刻御承知だと思うのでありますが、如何でありますか。
  80. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) これは全く私の個人的な意見を述べたことであつて国会のそういう公のことと関係はないのです。
  81. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはこの前の国民道徳実践要領のときもあなたはそういうことを言われた。天野個へ、こういう言葉は奇々怪々である。いやしくも文相の椅子にいて、これが最高責任を負つて、而も世人注視の的である。どこかのお茶屋に行つて話したとか、その辺の茶飲み話で話したということならこれは我々は了承できるのです。天野個人がそういうことを考えていようがどうしようが、それは我々は余り問題にはならないことであるが、併しあなたは現に教育界、教員を集めた会合において話されたということではないですか。これは天野個人とか何とか言い逃れをつけられようと、これははつきり言えば半公式的なものである。そうして聞くところの教員の気持には一体どう受取られますか。文相その人が自分の個人的考えだか何だか、それはあなたは断わられたかどうか。それは今頃断わられておるようでありますが、そんなことは聞くところではない。従つて公私を分けて、あなたは分離されて考えられておるようでありますけれども、その影響するところは殆んど違いがないと思う。現に新聞がそう扱つておるではないですか。天野文相は志願兵を以て応ずべきだということを答えたということは、これは大きな問題と思つております。そうしてそれが問題になつて、どうなんですか、閣議においてその問題が問題になつて、あなたはその言葉を訂正された事実はございませんか。閣議で問題になつたことがありますかありませんか、この点先ず事実を確めるためにお伺いしたい。
  82. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 閣議の中のことを言うのもどうかと思いますが、別に問題になつたことはございません。
  83. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると少くとも政府の公的に今までとつて来た答弁、そういうものとあなた自身の個人的な考え方は、先ほど言つたように問題外でありますけれども、この見解というものは違う点は認められますか。
  84. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は全く個人的な意見としてよく断つてそこで言つたのです。若しそういうことが万一起つても、その際はどうか自発的にやるようになることがいいと思うし、そうなるだろう、こう言つたのであります。
  85. 岩間正男

    ○岩間正男君 断つたかどうかそんなことは問題にしておりませんが、そういうことを認められるかどうか、私の問いに対してお答え願いたい。政府の公式な今までの再軍備並びに国連加入の問題についてとつて来た態度は、文相自身は個人的であろうが何であろうが、話されたこの内容は食い違つておるということは認められますか認められませんか、この点をお聞きしたい。事実を私は聞いているんです。
  86. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) これは単に文化講演として文部大臣が行つても少しも差支えない、そういう講演に行つて自分の個人的な意見を述べても差支えないと思います。
  87. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは私は委員長から注意をして頂きたい。私のお聞きしておるところ一つもお答えがない。差支えがないとか何とかいう答弁は私の聞いておるところではない。私の聞いておるととろにお答え願いたい。違つておるところがありますかどうか。政府が今までとつて来た言明を、あなた自身が個人的に話されようとどうしようと、文化講演だろうが何だろうが、或る意味では文化講演ならなお悪いと我々は思いますが、それは別問題として置いて、とにかくあなたの話された志願兵云々の考えというものは食い違つておるということを認められますか、認められませんかということをお聞きしておる、他を顧みないでお答え願いたいと思います。
  88. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) よく調べて見てからお答えいたします。
  89. 岩間正男

    ○岩間正男君 調べるまでもない。そうするとあなた自身は国連加入に対して、軍備問題云々について政府が今まで公式に声明したことは御存じないのですか。知らないはずはないはずです。これは吉田内閣の外交政策の最も重要な基本政策一つなんです。これは御確認がなかつたわけでありますか、これをお聞きしたい。ないとすれば重大である。こういうことを御存じないんですか、どつちにしろそれを知らないでしやべるなんということは軽卒じやないですか。
  90. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) よくはつきりさせてからお答えします。
  91. 岩間正男

    ○岩間正男君 はつきりさせて置かなくちやならない問題です。基本的な問題です。これは我々予算委員会において随分論議をした。社会党の中田吉雄君もこの問題を質問した、私もこういう関連について質問したのです。その速記録を見て頂けば明らかでありますが、政府は軍備というものでこれに協力しなくても加入できる、こういう答弁をしておるのであります。若しあなたが御存じないとすれば、これはお教えするより仕方がない。こういうことは国会の論議において明らかにされておる。併し政府自身はそれはどうか知りませんが、少くともその言明の点におきましては、その点が今日吉田内閣の表明しておる立場だろうと思います。若しこの一線が破れるならば吉田内閣が再軍備を進める方向をとらざるを得ない。現在警察予備隊が軍備であるかないか一これ髪際にいろいろなこんにやく問答をやつておりますが、このこんにやく問答を三百代言的に推し進めてこれを固めて行つて、若し志願兵とかそういうことを許すという立場になつたら、これは吉田内閣自身が明らかな矛盾じやないですかこれは三歳の童児にもおわかりと思います。従つて当然この線に立つて考えるときに、こういう形で志願兵というようなことになつて、国連協力を、そうしてあなたが先ほど言われました国際警察軍というようなことになりますと、国際警察軍というものは、少くとも海外派遣ということを前提としなければ考えられません。国連協力で日本の国内を守るための一体志願兵というものはあり得ないと思います。警察予備隊を以て十分だと政府は答えられて七万五千から十一万に増員して、これを以てあとは当分必要はない、こういうことを言つておる。仮に多いとしても十八万なんぼというふうに増強するのであります。これは志願兵問題と明らかに違う。従つて当然志願兵というものは海外派遣になるのであります。こういうことになりますと、これは国連協力によつて国際警察行為に日本義務を負わなくちやならんということになつて日本の青少年をして志願兵という形で以て、或いは武器のない、武器の使用人として、むしろ武器に使われる人的資源として、肉弾として再びこれが海外に派遣されるとい情勢が当然起る。そういうことを前提としなければあなたの志願兵というものは成り立たない。私が今挙げましたように、警察予備隊がはつきりある限り、志願兵というものは海外派遣ということを予想しなければこれは成立たないのであります。然るにあなたは軽卒にもこれだけ重要な志願兵の問題、そうして志願兵を以て応じなければならない、即ちあなた自身が、閣僚の一人として席に列しておる責任者が、文化講演だろうが何だろうが、言うことは軽卒極まりないと考えるのでありまするが、差支えないとあなたはお考えになるんですか、その点はつきり御答弁願いたい。
  92. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) そういう事態が起つたときには、仮にそういうときに自発的でなければいけない、どこまでも自発的ということを重んじようという考えなんです。
  93. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういうことは差支えないかどうかということを私はお聞きしておる。現行憲法並びに政府の国連加入に対する声明、殊にそういうようないろいろな政治的情勢の中におきまして、現実には今言つたように人的資源として志願兵が外国の武器を持たされて海外に派遣されるという形が出て来る。それを私は今実例を明瞭に挙げた、警察予備隊が国内にある。従つて国内における志願兵というものは必要はない。政府もしばしばこの点は言明しておる。そうしますとこういうような志願兵を募集するということは、そういうような日本の憲法にまるで違反したところの事態、吉田内閣の今まで言明した線から逸脱した政策を当然伴つて来る。これは差支えないかと私はお聞きしておる。これに対して文相はつきり御答弁願いたい。私の聞いたことにお答え願いたい。
  94. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 今はそういう考えですが、仮に将来の仮定としてそういうことが起つたとしても、その際どこまでも自発的でないと困る、今学生が非常に徴兵ということを心配しておるけれども、併し将来仮にそういうことがあつても自発的になすべきものであると自分は個人として思つておるんだということであります。
  95. 岩間正男

    ○岩間正男君 日本の憲法によつて選ばれた閣僚が、憲法をまるで否定するような言を一体論議して個人的意見だろうが、それはかまわんのですか、どうなんですか。(「否定してない」と呼ぶ者あり)否定したと見ざるを得ない。こういうことができれば日本憲法の否定だ。日本の憲法の上に立つて、憲法擁護の規定は憲法第九十九条ですね、これは国務大臣はつきり守らなければならん一つの重大なる義務になつている。それをお聞きしたい。憲法九十九条だと思います。国務大臣国会議員、裁判官、(「委員長注意」と呼ぶ者あり)その他の公務員はこの憲法をはつきり守らなければならない、こういうことを規定されておる。その閣僚が、而も文部の中心にある閣僚が、一体その憲法をまるで否定しなければ言えないようなことを言つて、憲法が守れると考えられるか。こんなことが許されるのか。言語道断じやないか。文相はどう考えるか、責任ある答弁を願います。(「議事進行について」と呼ぶ者あり)ちよつと今答えてもらいたい。これは重要です。今質問中です。文相にお答え願いたい。これは非常に重要です。一体閣僚とかそういう人たちのあり方として私は疑問を持つことが多い。平和憲法によつて選ばれたところのあなたは閣僚です。それが憲法の九十九条に抵触するような言動を、一体個人的だろうが何だろうが、文化講演だろうが乃至は何だろうが、やることが少しも差支えないと考えられるかどうか、この点はつきり承わつておきたい。これは明確に、差支えあるか、差支えないか。(「仮定だ、仮定の問題だ」と呼ぶ者あり)
  96. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 将来仮にそういうことが起つても、徴兵というようなことはよくない、自発的にやるのだ、そういう意見なんです。仮に将来そういうことが起ろうとも、自分はそういう最悪の場合を考えても、人間性の自由とか自発性とかいうことが尊重されて行くべきだ、こういう考えです。
  97. 岩間正男

    ○岩間正男君 今の大臣答弁に対しまして私は最後にお伺いしたい。将来どうだということでなくて、今日この憲法を守り抜くという決意が当然あるのでしよう。あなたは公務員でしよう。国務大臣として当然あるべきだ。将来どういう予想をして、それによつて現実を破るような行為をされ、結果において、あなたの主観的な意図如何は問わないとしても、結果においてはそういうことになります。現実に憲法を否定したような形になる。そういうふうな行動をとられるということは、やはり憲法を破壊する行為だ、こう言わざるを得ない。仮定の線だとか何とか言いますが、そんな仮定のことを言いますが、あなたは先に常々仮定のことには答えられないということを、吉田総理初め天野文相はしばしば私に繰返された。仮定のことについては答えられないと今まで言われて来ておる。それなのに将来こうだといつて、そうして将来のことをむしろ推進するようなこれは客観的な役割を果しております。こういう形で推進されることは私は憲法の破壊である、これは憲法九十九条違反だと思う。けしからんことだと思うのです。
  98. 木村守江

    ○木村守江君 御承知のように本日の文部委員会の議題は義務教育費国庫負担法であることは今更申上げる必要はないと思うのです。又我々の委員会の申合せといたしましても、そういうような申合せでありまして、昨日と今日と明日と三日間はこの法案の審議に専念するというような申合せでありましたが、矢嶋君からの特別の緊急質問に関連した問題でありましたので、我我はこれを承認したのであります。ところがいろいろの議論、あの審議の状態を聞いておりますと、非常に本日の議案からかけ離れた、ややともすれば議論に亙るような論議になりまして、私は誠にこの文部委員会の運営上好ましくない状態であると考えるのであります。さような観点から(「ノーノー」「観点の相違」と呼ぶ者あり)どうぞ今日の日程に示されたような方法で、又我々が申合せましような方向に1則りまして、義務教育費国庫負担法審議に入られんことの動議を提出する次第であります。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  99. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  100. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 速記を始めて。
  101. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は本日冒頭に大臣緊急質問をいたした次第でございますが、他の委員諸君質問を通じて私は現在天野文部大臣に遺憾の意を表したい。と申しますのは、この二法律案の行方につきましては、二十五日の休会明け会議衆議院において否決する形勢にありますので、私は一刻を争う問題という考え方で、先週土曜日に緊急質問の通告を参議院事務局を通じて出したわけでございます。で、月曜日に私は緊急質問をしたいと思つてつたのでありますが、天野文部大臣は栃木県に御出張でおいでにならなかつたのであります。栃木県への天野文部大臣の御出張は大臣としての公的なものであろう、こういうように推察しておつたのでありますが、先ほどの岩間君との質疑応答を承わつておりますと、必ずしも公的なものでなかつたように拝聴いたしたわけでございます。而も月曜を水曜に延ばして本日緊急質問をしたのに対しまして、文部大臣かくのごとき答弁に終始されたということに対しましては、私は遺憾の意を表するものでありまして、私は文部大臣の反省を要望しておきたいと存ずる次第であります。次に一つお伺いしておきますが、先ほどからもそれは質疑されましたように、一体予算がどのくらい要るかというそろばんをはじいて、それによつて政府部内或いは与党において交渉することは、この二法律案が右するか左するかというときに影響性も私は極めて大きいと思うのでございます。そういう点に対しての措置が十分でない。この二法律案否決するかたがたの意見を聞きますと、教育長と学校長は兼ねればよろしい、指導主事と教職員は兼ねればよろしい、それから事務局の職員というのは、役場の吏員、学校の事務職員を兼ねさせればよろしい、建物は学校の隅、或いは役場の隅を使えばそれで金は要らないと、こういうことを討論で堂々と述べられておる。私はここで事務局答弁でよろしいと思いますが、かくのごとく教育長、学校長あたりは兼務で行つてよろしいのか、指導主事も学校の教諭と兼務で、若し否決された場合はそれで行つてよろしいのかどうかという点について、どういうふうにお考えになつていらつしやるか、それに対する対策をどういうふうにお考えになつておるか、この点を事務局にお答え願います。
  102. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 私どもの今考えておる線では、最初の猶予期間でありますが、六カ月間は兼務ということも止むを得ないかと思つております。併しできるだけ早い期間に専任せしめるように、そういう人の養成に先ず努めなければならんと思います。
  103. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 長くかかりませんが、それでは早い期間というのはどのくらいで解決できるものですか。
  104. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 只今私が持つております数字的な計算で申しますと、全国的な資格者というものは、数字は相当数のものがございます。併しこれは人のことでありますので、例えば東京に多くのそういう有資格者がおつても、それを地方に当然はめるというわけには参りませんので、或る程度任用には時日を見ませんと、どのくらいのものがおさまるということはわかりませんが、少くとも私どもといたしましては、従来以上の大まかな考えを持つてしなければ養成はできないという計算だけは確認いたしております。
  105. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これで終りますが、私は要望を申上げてこれで終りたいと思います。承わると実にその話が漠としておるわけなんです。的確な数字というものは殆んど答弁して頂けないわけです。而も選挙告示も九月上旬と、こういうふうに迫つておる次第で、こういう事態にあることを非常に悲しむわけですが、委員長を通じて文部当局に要望申上げたい点は、この二つの法律案が若しも否決された場合には、かくかくの問題が起る、それからそれに対してはこういうふうに善処して行くと、その予算かくかくであり、所要期間かくかくだというところの詳細なデータを文部当局に委員長から要求して頂きたい。それを我々委員にも配つて頂きたいし、その資料を又閣僚諸君にも、更に衆議院与党諸君にも是非配付して頂きたい。そういう的確な資料の下において、国会において法律案が右しようと、左しようと、これは私は何も言うことはありませんけれども、今まで私が承わつたように、閣僚の一部のかた、或いは与党の文部委員のかたがたの、この二法律案に対するところの認識、それを否決した後に生ずるところの事態というものに対する見通しは非常に甘い。こういう状況でこの二つの法律案否決されるということは、我が国教育を守つて行く立場から言つて遺憾極まりないことだと考えますので、文部大臣は仮定の問題は考えないとかというようなことを、吉田総理の真似みたいなことを言うかも知れないが、この緊迫した現在、私が要求するような資料というものは当然文部省は私は準備して然るべきだと思いますので、委員長から特に文部当局に要望して頂きたいと思います。
  106. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) これは今のは了承いたしました。大臣に対する緊急質問はなお次回に譲りまして、これから義務教育費国庫負担法案を議題といたします。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  107. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 速記を始めて下さい。  それでは義務教育費国庫負担法案に関する総括質問を願います。
  108. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この衆議院から回付になりました義務教育費国庫負担法の骨子なるものは、教職員の給与の半額を国庫において負担をするという点にあると思うのですが、そこで残りの半分は地方負担になるわけでございますが、この地方負担をする場合には、地方の独自の財源と、それから平衡交付金による金額、こういうものになると思うのですが、その際地方負担する二分の一の金額をどういうふうにして算定せられるのか、その点を伺つておきたいと思います。
  109. 若林義孝

    衆議院議員(若林義孝君) 前回ちよつとこれに関連する御質問があつて、お答えはいたしておるのでありますが、条文に書いてありますように、実支出額の二分の一と、こういうようになつておるわけでありまして、算定の基準というものもおのずからあることはあるのでありますけれども、その基準にとらわれることなく、実際に支出した金額、これを法文的に解釈いたしてみますというと、支出額というのと、実支出額というものとの差別はないわけであります。併しながら在来この支出額ということで、六三建築予算にいたしましても、支出額の二分の一、費用の二分の一、建築費の二分の一ということになつておりますけれども文部省で独自の算定基準を作りまして、その二分の一よりもらえなかつた。今度もただ支出額の二分の一というようなことであつたならば、恐らくはこの点非常に御憂慮になつての御質問であると思いますので、その御憂慮がないように、実際に支出した実績に基く二分の一……。
  110. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ちよつと考え違いです。ちよつと今の答弁を聞いておるのに、考え違いをしておられる。国庫で負担するものは支出額の二分の一を負担する、これははつきりしておるのです。これはいいのです。私の尋ねているのは、残りの半分を地方負担するのですよ。この負担の金額はどうきまるか、というのです。
  111. 若林義孝

    衆議院議員(若林義孝君) あとの半分の、両方の食い違いでありましたが、それは御質疑のなんにありましたように、地方財政平衡交付金と、地方税制による税収入とを根幹として算定をされると思うのでありますが、まあ税収入の部分は大体市町村財政的に持つております力の強弱によつてこれはきまることであります。これは技術的に地財委の算定基準というものはおのずからあると思います。それと睨み合して支出願の二分の一との睨み合いにおいて出されることを考えたのですが、より以上詳しいことは、事務的の算定方法でありますので、私たちが答えるよりも事務局に御説明をお聞きを願つたほうがいいと思うのです。
  112. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この点ですね、私の質問が簡単ですからそれで誤解があるかも知れませんので、併しこの点は非常に私重要な問題になつて来ると思うのです。この点が一番重要だと考えております。こういうことなんです、今までは教育費というものは地方財政需要額として地方に幾らの費用が要るか、こういう計算がなされるわけです。そうして足りない場合に国庫から平衡交付金として出されておるわけです。ところがこの場合にですね、地方に幾ら金が要るかという場合にはこれは御承知通りであつて、くどくどしく言う必要はないのですが、まあ教育費については、例えば五十人を一学級として一・五人という教員を見込むとする、それからいろいろのものを見込んで計算の基礎が出るわけなんですね、そういう基礎によつて地方で幾ら金が要るかということが算定されて来ておるのです。今度の場合ですね、使つた二分の一は国庫で負担するというのですから問題はないと思います。ところ地方負担する二分の一は幾らになるか金額を計算する場合、これはやはり平衡交付金で見ることになつて来ると思う。その平衡交付金を算定する場合に、実際使つた金額の半分を見るのか、そうしないで一・五とか定員定額による財政需要額を見て、そうして計算するのか、ここに非常な開きが出て来るわけです。どちらを取られるのか、その点を明白にしてもらいたい。これは私は文部省答弁では安心がならないので今日は伺つて置かなければならんのです。ところ地財委答弁をもらつておかないと、平衡交付金の算出のほうは地財委がやりますから、地財委答弁が私は責任があると思います。先ず文部省答弁一つ願いたいと思います。
  113. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 只今荒木委員から御質問がありましたので、実は地財委のほうからお答えするのが筋でございますけれども地財委のほうでは従来文部省の数字をそのまま挙げておりますので、これは地財委文部省と話合済みであります。それで文部省側としては、地財委のほうは大体文部省の意向に任しておりますので、その方針は、従来ですと義務教育費国庫負担法の、前の負担法が施行されておつた当時の状況を申上げますと、一応実績の二分の一で組むわけでございます。この組み方は、前年度の生徒数の増加を見込んで、そして前年度の数字からその当該年度の義務教育費の額を推定したもので予算を組むわけであります。その半分は国庫負担によりまして、あとの半分は従前ですと配付税で操作したわけであります。その半分の計算の仕方は、国庫負担と同額を配付税で見た、今回は同額を平衡交付金の基準財政需要額できめる、こういう恰好になると思います。
  114. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この点はですね、非常にはつきりしておいて頂きたいと思います。非常にややこしいですからね。私もうまく質問することが困難な点もあるのですが、もつと簡単に要約しますと、例えば東京都で一年間に百億という教育費が要つたと仮定します。そうすれば五十億というものは国庫から出ると、で、あとの五十億を地方負担する、こうなるのですね。それで結果的に百億要つたものの五十億を国庫で負担すると、あとの五十億は平衡交付金で見ると、東京都はまあないのですからいけませんけれども、仮に、東京都という例はちよつと工合が悪いのですが、平衡交付金をもらつている県でですね、あとの五十億は平衡交付金で見ると、こういうことであれば私は心配ないのです、そうとするならば。併しそうならないと私は考えているのですがね。五十億の国庫負担分は、半分は国庫で負担するからそれはいい。併しあとの五十億の負担は今までのような平衡交付金の算定基準によつて計算されたら、これが四十五億になつたり、四十六億になつたりすると思うのですけれども、そういう点はどうなつているのかという質問ですよ。
  115. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 前の国庫負担法の話をしては大変恐縮なんですが、前の国庫負担法が実績主義のときには、半額の国庫負担は精算払いをする、ですから当該年度に一応予想しまして予算を組みますが、そこで加不足が生じた場合に、国庫負担金については翌年度で調整してある。あとの半額については当該年度に組んだと同額のものを、地方財政需要額にぶち込みましてこれを配付税で操作をしたわけです。ですから今回はこちらのほうの国庫負担額がきまれば、少くともそれと同額のものを教育費の基準財政需要額に織込まなければならないというのは、これは当然の理論的な結論ではないかと考えるのであります。そこでもつと端的に申しますと、生徒一人当り五千円かかるといたしますならば、これは基準の経費が五千円としますれば、二千五百円は国庫負担金で行く、あとの二千五百円は平衡交付金のほうの単位費用になるのです。そこで一応予算で組みますと、どうしても過不足が生じますので、過不足については国庫負担金は精算払いで行く、地方のほうはこれは精算払いができませんので、財政需要額に取りあえず組んでおく、こういうことになるのです。
  116. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは角度を変えて、どうも今の答弁でも私が頭が悪いかよくわからないのです。角度を変えて質問いたします。例えば栃木県で義務教育予算を組む、県で予算を組む、県で予算を組む場合に百億なら百億という教育費が必要だ、こうなる、その場合に五十億は国庫から来る、こういう計算になる、あとの五十億は平衡交付金でこれだけ要るということがこの地財委が認めるのか、或いは地財委は別個の基準によつてその金をはじき出して来るのか、いわゆる地方で百億という予算を組む、その予算を認めるのか、或いはそうでなしにそういうことに関係なしに、地財委は別個に或る基準によつて算定して行くのか、どちらの方法がとられるのかお聞きしたい。
  117. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) これは地方財政委員会と十分打合せて従来もしております。こちらの文部省側のほうの国庫負担の算定基準がきまりますればそれとマッチするような算定基準に変えて頂いたし、又地方財政委員会としても、教育費に関する資料がございませんので、従来は十分文部省の意向を尊重いたしまして、それと国庫負担金と釣合いのとれるような方式を考えて来たし、今後もそうして頂けると私どもも確信しております。
  118. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私今の答弁を意外に感ずるのですが、今内藤さんは国庫負担金の算定基準にマッチするように考えると、こういうことでしよう、国庫負担金という算定基準はないですよ。これは府県で実際要つた金の半分を持つというのでしよう。それに今の話では国庫負担金を算定して或る基準で算定して、それでやるんだという話になると、この法律とすつかり違うんじやないですか。
  119. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 予算のほうでは実績の半額国庫負担でございますので、それでは予算に半額国庫負担をどうして組むかという問題を先ず御説明いたしますと、前年度の実績を基礎にして当該年度を推定するわけです。ですからそこで生徒数が何人の増加が来るか、教員数は何人で、平均単価は何人になつておるかという現員現給の調べが出ると、それから来年度の生徒数の増加を見込んで一応予算に組まざるを得ないと思う。その中で支払をして行きます。第四・四半期に行つて精算をするわけでございますけれども、精算したもので過不足が生じた分は翌年度の予算に計上されるわけです。ですからこの残りの半額の地方負担分については国庫負担で見たと、予算に見たと同額のものを基準財政需要額に組む、こういうわけです。
  120. 若林義孝

    衆議院議員(若林義孝君) 大体今内藤説明員から御説明になつたような説明が地財委のほうからも衆議院委員会においてなされたわけであります。この点は前はいろいろな条件をつけた算定基準を法文化しておつたのですけれども、その窮屈さがない、地方の自主性を十分認めた行き方で行つてよろしい、こういう気持でそれを含んで算定をなされる。元来、ちよつと蛇足かと思いますけれども、原案におきましては地財委のほうは非常に反対つた。それから市町村のほうでは金額国庫負担というものであつた。二分の一という、この全額の二分の一でなくして、各府県の二分の一という今度の修正案は地財委のほうの意向を非常に取入れた案なのでありまして、この修正案については恐らく文部省よりも強力に協力して来る地財委の意向でありますことをお含みおきを願いたいと思います。
  121. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは地財委のほうから一応説明をもう一度してもらいたいと思いますが、これは地元で、地方負担する半額の金額は、平衡交付金を低く抑えられたらこの法案全部が死ぬことになるわけです。半分を地方負担する額と同額を国庫で負担するのですから、その地方負担する部分が平衡交付金によつて抑えられたら、今の仕組であつたら抑えることができます、抑えられたらこの案全体は生命を私は失つてしまう。そういう意味で地方負担する半額を平衡交付金でどう算定して行くか、こういう点は非常に重要であると思う。内藤さんのお話ではそれは抑えないんだ、こういう話ですがね。どうもその点をもう少し、どういうふうにして抑えないんだということの説明をもう少し聞かなくちや納得できない。これは地財委からもよく聞かなければならん。
  122. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) これは今お話のように私ども平衡交付金に見る分が少いとこの法律の効果が挙らないというお説に対しては誠に御尤もだと思う。そこで従来の国庫負担の場合にも、今度の国庫負担の場合も実績の二分の一については同様なんです。そこで従来の例を私は引用したわけでありますが、この場合に国庫負担金がその年度の予算に計上されるわけです。例えば一千億という経費が計上されますと、五百億は国庫負担になり、あとの五百億は、義務教育費の五百億は都道府県の財政需要として当然計上されておる。ですからこの五百億をどういう配分基準で地財委が織込むかと申しますと、現在のところは児童と学級と学校と、こういう三本建にしております。この点は改正を将来予想しておるのであります。もつと端的に申しますならば、生徒一人当り幾らということで、生徒一人当りが、五百億を還元しますと、一人当りにして五千円と仮にいたしますならば、二千五百円の分は一応国家の予算に乗つて来る、あとの二千五百円が生徒一人当り二千五百円として平衡交付金の単位費用になる。かように了解して頂ければいいんではないかと思う。ですから飽くまでも国庫負担金を幾らにきめるかということが平衡交付金の単位費用を幾らにきめるかということと密接な関係になる、半々で行くということで御了解を願いたいと思います。
  123. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 国庫負担のほうは翌年度にたくさん使えば翌年度に精算払いという方法があると思います。今度もとられると思うのです。併し平衡交付金のほうもやはり当初見込んだ金額が足らなかつたという場合に、平衡交付金のほうも精算払いのように翌年度において追加するという、こういう措置がとられるのですか。
  124. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) それはとらないのでございます。
  125. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこに問題がある。
  126. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) そこで結局国庫負担金を幾らにきめるかということが一番大事なんです。そのきめ方によつて平衡交付金の単位費用が一応きまる。そこでそこまでは平衡交付金で保障し、半分は国庫負担金で保障する。それ以上に伸びた場合は地方財政については地方努力される、努力された結果、国家のほうはその努力に報いる。併し地方が平衡交付金で保障された以上にお出しになつて、それの自発的な発意、その恩恵として半額国庫負担の分のおまけが行く、こういうことになるわけです。
  127. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 やはりここにこの法の非常に重要な点が出て来たと思うのです。例えばまあ十億の教育費が要る、こう算定したとしますね。そうすると国庫負担は五億円だと、こういうふうにきめてしまうわけですね。ところが実際やつて見たら十二億円要る、そうすると国庫負担は六億になる、一億円だけ追加するという措置がとられるわけです。ところ地方負担する分は初めの五億円それきりであつて、あとの一億円は見られない、こういう結果が出るわけですね。そうすると初めに義務教育費がその都道府県において幾ら要るかという算定をきめたらもうそれがそのまま地方負担分に押付けられるということになる、そうすればこれは半額国庫負担するのだという精神を私は実際において没却する結果になつてしまうのじやないかと思うのですがね。
  128. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) それは少くとも妥当なる規模は半額は国庫で明瞭に負担してこれは紐付で行くのです。あとの半分は平衝交付金で保障しておりますので、双方合せれば全額保障になつておると思う。で、お話のように確かにその基準よりも上げる場合もあるし、下げる場合もある。下げたら下げた府県から平衡交付金を巻き上げるというようなことはいたしません。ですから下げる場合もこれは平衡交付金が紐付ではございませんからどうにでも使えるわけです。そこで国のほうはどうにでも使われるのでは困るから半分ははつきりと国のほうできめておけばあとの半分は当然ついて来るだろうと期待しておるわけです。で、その場合あとの半分は伸びる場合もあるし減る場合もある。これは地方の自主性に委ねる以外になかろうと思います。
  129. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の教育界の実情は、地方ではかなり努力して教育費を出そう、こういう県が私は非常に多いと見ておるのです。ところがそういうふうにすれば平衡交付金で抑えられるという心配があるのでなかなか増額できない、こういう実情にあるのじやないかと思うのです。私はいろいろこういう問題で陳情を受けて折衝したこともあるのです。そこで地方負担する半額が平衡交付金で抑えられてしまうと、それでぴしやつと全体が抑えられで来ると私は思うのです。この殻を破つてもつと余計出して行こう。若し余計出せば半額負担があるのだからいいという考えはあつても、その半額分を平衡交付金でぴしやつと抑えられますと、どうにも動きがとれないのじやないかということを私は心配しておるわけですが、そこで従来のような平衡交付金の算定でやらないで、少くとも地方予算を組んで、教育費にこれだけ幾らと予算を組んで組んだ半額は国庫負担で見てやつて、半額が教育費として平衡交付金で算定基準で見てやる、こういうことになるならば非常に私はよくなると思います。
  130. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) ちよつとその御質問の点がはつきりしなかつたのですが、今最後にお聞きしていると、荒木先生の話と私は同じ結論だと思います。一応大体今実績を見て行きますと、原案の趣旨とほぼ近いのじやないか。ですから原案の算定基準を用いても、実績を見ても同じことに私は大体はなると思います。その場合に半分は明瞭に国庫で持つわけであります。そこでその場合にはあとの半分は平衡交付金で見る。この平衡交付金で見る場合には基準がなければならんと思います。その基準をどういうふうにきめるかということが一つ問題になると思いますが、この基準で大体実績が見れるという全国的基準で行きますと、大部分の府県は上ると思うのです。尤も非常に高いところがありますけれども、全国的に見ますならば、全国平均をとりますと、東北、北海道、関東、大部分の府県はその基準までは上げられるような財源措置が講ぜられるわけでございます。ですから一つの基準で行つてそこまで上げるように平衡交付金のほうはしておく。あとの半分を国庫負担ところが平衡交付金は御承知のように幾らどれをどう使えという紐付になつておりませんから、地方のほうは自主性でおきめになるわけでありますから、教育費の分をよそへ食う場合もあるでしよう、よそから教育費を食つて来る場合もある。地方教育に熱心であればあるほど平衡交付金で見た以上に出して来る。出した場合には半額を国が無条件に付合うということになれば教育の振興に役立つのではないか。
  131. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 内藤さんの御説明の内容は私はわかりました。  それでは明日出られないということですからこの際質問しておきます。これは教材費の問題です。給料の問題と教材費の問題と二本建ですが、これを読んでもどの程度教材費を国庫で見るのかわからんのですね。そこで大体の御説明を一つ願いたいと思うのです。
  132. 若林義孝

    衆議院議員(若林義孝君) 大体現在この原案によりますと、給与費の十分の一を教材費に充てている計算を出しておつたわけなんです。その半額というのですから大体五十億を見ているわけなんです。で、この算定にもいろいろ基準がありましようけれども、百何億という見方もあるし、九十何億という見方も出ておつたのですが、中をとつて約五十億となるわけですが、この大蔵当局への折衝の結果、これは給与費の十分の一でありますから、ベース・アップその他で常に上る傾向があるのでありまして、大蔵当局としては非常にこの点を恐れて、原案に対する我々の折衝について難点がここに大蔵当局にはあつたわけです。そこで今度は非常に、こちらとして甚だ不本意なのでありますけれども大蔵当局の意向をも見る、なお全国のPTAの諸君負担をも少しでも軽くしたいという意味で折衝の結果、三分の一を下らない程度の、原案は二分の一だつたのでありますが、今度は譲歩いたしまして不本意ながら三分の一を下らない程度、三十億を下らない程度で一つ算定をする、大体一人当り二百円だと思うのでありますが、計算をするならば三十二億になると思つておりますが、そこで修正案は甚だ不本意でありましたけれども、お手許に御覧に入れておりまするようなものになつて来たのであります。
  133. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると三分の一は下らない、こういう点は政府も了解していると、こういうふうなお話に承わつたのですが、どうですか。
  134. 若林義孝

    衆議院議員(若林義孝君) 去年度の実績を基準としての言葉でありまして、若し御質問の御意思の中で将来ベース・アップその他がありまして十分の一が或いは百五十億になつた場合、三分の一と言えば五十億になるか、若しそういう意味がございましたならばそこまでの折衝はできておりません。現在のいわゆる百億を中心として考えた場合の三分の一を下らんという内容を持つております。
  135. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこで負担額は今大体御説明を伺つてわかりましたが、その他配分に関して特別に設けてあるわけです。給与のほうは都道府県ごとにきめて行くようになつておりまするが、教材費のほうはそうじやなしに、これでは全国一本、こういう形になつているように思うのですが、そのようになつておりますか。
  136. 若林義孝

    衆議院議員(若林義孝君) これは児童一人当りを標準にしておりますから、児童数に応じて按分を、配分をせられるというのが精神でございます。
  137. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると念のために申しておきますが、これは配分に関し必要な事項は政令で定めるとありましたので、私は府県によつてこのでこぼこがあるのじやないかというふうに解釈しておつたのですが、そういうことでなしに児童生徒の数に按分して、そうして配分するのである、そういう意味であるのか、こういうふうに了解して差支えないわけですね。
  138. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  139. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 速記を好めて。それでは義務教育費国庫負担法に関する総括質問は今日はこれでやめて頂きまして、続いて農林省の谷垣管理部長がおいでになりましたから質問のあるかたは御発言を願います。
  140. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この伊丹飛行場の拡張の問題でございますが、現在日米合同委員会でこの問題の折衝が行われているというふうに聞いているわけなんですが、この問題につきましては地元においては非常な反響を捲き起しておることは御承知通りだと思います。で、連日地元から陳情に見えておりますのですでにその内容については御承知だろうと思いますが、私もこの飛行場のそばに住んでおるものでありましてこの実情をよく知つておるわけなんですが、この飛行場は豊中、池田、それから伊丹、三衛星都市の丁度中間に位置を占めておる飛行場です。而もこの三衛星都市は住宅都市として、或いは教育都市として知られておるところなんです。ところが今回この中間にある伊丹飛行場が相当拡張されるということについていろいろの支障を来たしておるわけなんです。  先ず第一に教育上から申しますと、現在でもかなり飛行機の発着その他の騒音によつて、殆んどその演習の激しいときは授業ができない、こういう状態にあるわけです。ところがこれが更に拡張せられて、大体お話を聞くと一万一千フィートの滑走路を作る、こういうことです。それによつてジェット戦闘機及び大型爆撃機を発着せしめるというふうなことを聞いておるのですが、そうしてこれに要する要員も三千人ばかり増員になる、こういうことですが、そうなれば今でも非常に困つておる教育上の支障が更に大きくなる。それから現在でも相当数の何と言いますかパンパンガールと言つております。が、そういう人が相当あるわけです。これは豊中、池田というところは子第の教育のために集まつて来られるかたが相当あるのです。これは誇張ではないのです。ところがそういう種類の婦人が殖えることを非常に問題にしておるのです。今度三千人もそのために殖えるということになればこの傾向が一層助長されて来るわけです。そういうようなことで、現に私は二三日前に帰つて来たのですが、転宅をしなければならんということを言つておる人が出ておるのです。で、私は池田市長にも豊中市長にも会いましたが、どうもこういう状態では市の発展のためにも困る、非常に市民に迷惑を及ぼすということを憂慮せられておりました。それが教育上の問題から言えばその点ですが、なお農地から言えばこれによつて農地を接収されてその生活の根拠を失う者が大体戸数にして五百戸近いと思うのですが、人数にして約二千人くらいだと聞いておりました。こういう人たちがこの農地を失うということになれば生活の途を失つて行くわけです。そういう意味から農民にとつてもこれは非常に大きな問題である。で、私の考えではこういう衛星都市の人口は、大体衛星都市を合すれば二十万になると思うのですが、こういう真中にある飛行場をこの際拡張することはやめて、現状はいたしかたがないと私は思うのですが、一応拡張することはやめて、若し非常に不都合であればほかにもう少し広々としたところで、換地でやつて、前の陸軍の演習の青野原などがあります。金は少なからずかかりますけれども、やはりそういうところを換地として、そこに建設して、こういう人家の、周囲が密集して、而もそれは先ず言えば北大阪における住宅地帯なんです、山手ですね、そういうところに、文化都市として拡めようといつたところにこういう飛行場を拡張するというようなことはやめたらどうか、こういう意見なんですが、これについては三市の市長或いは市会、或いは住民の総意として私のほうにも陳情が来ておるわけなんですが、聞くところによるとこれはかなり進捗をして拡張を撤回することは非常に困難であるというようなことを聞くのですが、この際私は是非これは拡張計画を中止して他に求めてもらいたい。こういう考えでありますが、そういう点についてどういう経過になつておるのか聞きたいと思います。
  141. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 実は御承知通り日米合同委員会が行政協定によりまして、でき上りまして、日米合同委員会の議に、今申されましたような飛行場、その他演習場、或いはその他の施設等々の米軍に供与いたしまする問題が協議されておるのであります。合同委員会の下部機構と申しますか、正式な機構と申すよりは実際的な必要か  生じました下部機構といたしましてそれぞれの分科会が開かれております。その中の分科会の一つといたしまして、飛行場分科会がありまして、その飛行場分科会でそれぞれ専門的な立場から日米の専門家の諸君が集まりまして、議論をいたしております。そこで決定いたしましたもの、或いは未決定でありましても両方の意見を尽しまして、未決定であるようなものは合同委員会に上げまして、そして合同委員会の決定を待つてそれが両方の決定になると、こういう順序になるわけでありまして、たまたま飛行場の分科会の日本側の首席を農林省のほうで農地局長が担当いたしておりますので、そういう関係で私はここへ呼出されておると思います。そういう意味で一つお答えをいたしたいと思います。  今申されましたように伊丹の飛行場は従来からかなり装備いたされております。その都度拡張いたされておりますが、御摘指になりましたように主としてジェット機を使用いたしますためには滑走路が非常に短い、そのために今御指摘になりましたような標準の滑走路の延長を必要とするということ、並びにそれに必要な要員をその近くに収容したい、こういうために伊丹飛行場の拡張が米側から要請されておるのであります。而もかなり向うでは熱心にやつておられる要請であります。この結果、今御指摘になりましたようにあすこの阪神間の非常に重要な地帯がいろいろ影響を受け、面積といたしましては従来飛行場として使用しておる面積の、大体二百五十町ございますが、現在要求されるものも相当な面積になつて参りまして百町歩以上の面積が拡張のために新らしく要求されておる、こういうような大体の状況でございます。従いまして農地の改廃の問題、或いは拡張予定の中に入つておりまするところの重要な道路、或いは数百町歩に及びます灌漑水路がそのために支障を受けるというような状況、或いは延長予定の線が部落に近接いたしておりますために、その部落民に対する影響、或いは部落にありますところの学校その他の事業に対する影響等々、或いは又御指摘になりましたような風紀上の問題がそれに附随して来るようなこと、そういうことがこの拡張に伴いまして一応の予見ができるのでありまして、これは非常に重要な、又重大な問題であると私たちのほうでも考えておるわけであります。ただ問題は、日米両方の意思がどういう形であるかという恰好だと思います。で、向う側がこの伊丹という地区が戦略上から見まして、どうしても必要だという要求をいたしておるわけでありますが、その観点と御指摘になりましたような重要地帯に対するいろいろな影響というものを比較考慮して、現在のままの拡張をやつてつて果して妥当なものであるかどうかというところに問題があろうかと思います。私たちのほうでは実は戦略上の必要、或いは戦略上の価値評価ということは、それだけの能力が実はございませんので、それに対する判定が十分なわけに参りません。ただ従来から阪神地区の防衛のために旧日本軍が使用いたしておりましたような方々の飛行場がございます、そういうような飛行場に対して何か代替性はないか、或いは御指摘になるような演習場等で被害が非常に軽度になるようなものに対して何か代替性はないか、或いはずつと速力が早くなつておるわけでありますから、この名古屋地区の防衛というようなものも考えてもう少し向うにずれて行く代替性はないかというような点につきまして、米軍のそれぞれの専門家に対しまして、当方の要求を申入れをいたしまして、検討を重ねておる状況であります。ただ非常に向う側では、これの決定を早く決定されたいということを要求いたしておりますが、問題が非常に重大でありますし、且つこれから予見いたしまする事情が非常に多いので、今申上げましたような点について十分の考慮を払われるようにこちらから申述べて、米側でもその点について調査を進めておる、こういうような状況になつています。極く大ざつぱに申上げますれば、そういうような経過で現在進んでおります。
  142. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これに代る前の飛行場或いは演習地等を日本側から出しておられますかどうかそういう点について……。
  143. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) これはまだ交渉の途中でありますので、はつきりしたことを申上げることが或いは不可能かも存じませんが、先ほど私が申上げました通りに、旧日本軍がいろいろと使つておりましたようなところ、或いは御指摘になりましたような旧演習場で現在向うが接収して演習をやつておるような場所、そこを新らしく飛行場として設定できないかというような問題、そういう問題につきましては、当方から申入れをいたしまして、米側の立場からも調査してもらい、研究してもらう、こういうふうに申入れをいたしております。
  144. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これで終つておきますが、この伊丹飛行場は、私は全国でも例のない特殊な地位にあると思います。これはさつきも申上げましたように、町の真中にある、そう申しても差支えない程度のところにあるわけであります。すつかり周囲は住宅地帯で、そういうところを拡張することの障害、これは非常に大きいと思うのです。従つてやはりそういう障害の少いところで、日本側として十分考えてやつて頂きたいと思います。かように思うので、私はそこに住んでおつてつているが、飛行場の廻りだけでも六つぐらい学校があるわけであります。ですから教育上からいつたつて非常に好ましくないわけであります。前の戦争のときに、このためにこの周囲が如何に大きな被害を受けたか住民は知つているのですから、従つて住民の反対というものが非常に強いものがありますから、私は十分考慮して、一つほかに適当な所を提出して、ここの拡張はやらないように一つ十分住民の意思を考えて頂きたいという希望を申上げておきます。
  145. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 十分に努力いたします。
  146. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それでは今日の文部委員会は散会いたします。    午後四時二十六分散会