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1952-06-10 第13回国会 参議院 文部委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十日(火曜日)    午後一時二十八分開会   —————————————   委員の異動 六月六日島津忠彦君辞任につき、その 補欠として加納金助君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梅原 眞隆君    理事            高田なほ子君            木内キヤウ君    委員            青山 正一君            川村 松助君            黒川 武雄君            高橋 道男君            荒木正三郎君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君   政府委員    文部省初等中等    教育局長    田中 義男君    文部省管理局長 近藤 直人君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君   —————————————  本日の会議に付した事件 ○教育及び文化に関する一般調査の件  (教育施設確保に関する件)   —————————————
  2. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) これより文部委員会を開きます。文部大臣が御出席になりましたから御質疑のあるかたから御発言を願います。
  3. 岩間正男

    岩間正男君 新潟大学新発田分校統合問題につきましては、これまで大臣の御出席を願いましていろいろ質問いたしたのでありますが、結局しますに、この問題は大体次の二点につきまして大臣の御回答を頂けば文部省態度はつきりするのじやないかと思います。そこで二点についてお伺いしたいと思いますが、先ず第一点は、現実問題としまして新潟分校が六月十九日までに統合する、こういうことで、一応新潟大学長からの通告があつて、地元民もそういう線でそれに対して反対しておるわけなんですが、現実的に見てすでに今日は十日であります。そうして而もこの前から申上げましたように、授業を途中で打ち切つてしまつて、而も受入態勢もいろいろな点から考えてこれは不十分だ、こういう態勢の中で強行するということは、これは非常に教育的に見ましてもまずいと、こういうふうに思われるのでありまして、こういう点から、あらゆる角度から考えてみましても、一応六月十九日に強行する、こういう線については、これは御破算にさるべきものである、そうして善後措置については十分になお考慮すべきものだと、こういうふうに考えられますが、この点は大臣はどうお考えになつておりますか、この点御意見をお伺いしたいと思います。
  4. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 只今局長を向うに出しましてよく調査をしてもらつております。だからして実情に即したように処理をしたいと思つております。
  5. 岩間正男

    岩間正男君 まあ調査中というふうなお話でありますが、この調査につきましては六月十九日にやれるかどうか、こういうような問題の調査よりも、むしろ今後の……この会の、前から我々として申上げました大学統合問題、この実情をどうするかという問題についての御調査のように思うのでありますが、大体六月十九日の統合現実的に進め得ないだろう。こういう意見はこの前近藤管理局長の言明によりますと、新潟大学長もすでに六月十九日は無理だろう、こういうふうに話されておるので、実際は六月十九日というのはできないだろう、こういう意向も一応今まで表明されたわけであります。従いまして大臣もこの線に同調されるのでありますか。稲田局長があちらに調査に参られたというのでありますが、一応この問題とは切り離しまして、この点は今まで勿論関係者答弁された線をここで確認頂くということが少くとも必要なのではないか、こういうふうに考えますので、この点改めてお伺いしたいと思います。
  6. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 今まで事務当局の答えた通りでよいと思います。
  7. 岩間正男

    岩間正男君 それでは大臣のそういう御答弁がありましたので、事務当局が今まで認められた六月十九日は現実的には実行できない、こういう線について確認頂きたいと思うのであります。  次にお伺いしたいのでありますが、第二の問題といたしまして、この統合問題につきましては、予算の問題、それから受入態勢の問題、そういうような問題と地方民意向、こういうものが現実的に統合を進めるために必要なところの要件をなしておる、こういうふうに考えるわけであります。それにもまして一体この大学統合、これはまあ第九特別委員会の一応統合案なるものが答申されて文部大臣がその統合案を採択されまして、その線でこれは進められておる。これは一応文部行政としてはそういう形で行くことについては、これは問題にすれば問題点はあると思うのでありますが、一応それは我々も今までそういうものを十分にこれはお聞きし検討する余裕がなかつたのでありますから、これは止むを得なかつたと思うのでありますが、そういう線は一応進められていることは止むを得ない点もあると思うのです。併しこの統合案そのものというものは、果してこれは金科玉条として一点一角この通りやらなければならないものであるか。殊に問題になりますのは、当初発足したところの大学の発生の仕方、つまり終戦後に七十幾つ大学を発足させたときの方針、これとその後の統合、いろいろな情勢から出て来ましたところの統合というような方向と、そこに教育の政策としまして必ずしも一貫しない方向があるのではないか、こういうふうな面が考えられる。この点が第一点でありますが、更に今まで文相がしばしば表明されたところによりますと、この七十幾つ大学をこのまま一体続けることができるのかどうか。殊にこれが日本の現在の財政関係から考えまして教育予算が非常に少い、こういう中において一体七十幾つ大学をこのままやつて行けるのかどうか。従つて当然これには、殊に講和後の態勢の中でこの大学行政というものを、大学の数についても十分にこれは再検討する必要がある。基本的に検討する必要がある、こういうことを文相はしばしば申しておられると思うのでありますが、こういうことと、今とられておるところのこの一応の統合案というものは、必ずしもこれはマチツしていないのではないか。こういうような面をも併せ考えますときにやはり現在進められておるところの大学は、このままで進めておいて、そうしてもつと根本的な態勢の中で、これは日本財政並びに今後のこの教育あり方等考えまして、こういうものを根本的に検討する段階においてそういうものを検討したらいいのではないか、こういうふうな意見も持たれるのであります。こういう点から考えまして、この方針について根本的に再検討され、そうしてそういうような過程の中でこの問題をもう一遍これは十分に検討する必要があるのではないか。こういうふうに考えられるのでありますが、こういう点について文相はどういう意見を持つておられますか、お伺いしたい次第であります。
  8. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 岩間さんのお考えは私の考えを少し誤解なさつておるところがある。私は七十三の大学をこのまま維持するという意味は、どの大学をやめるとか、そういう意味はちつともないんです。この前もここで説明いたしましたように、或る大学は何を重点とするか、この大学経済学に主力を注ぐ、他の大学教育のほうに重点を注ぐとか、そういう重点の置きかたというような点をもつと研究する必要があるという意味であつて、この大学はやめるとかどうとか、或いは年数を短くするとか、そういうことではないということを御了承願いたいと思います。従つて自分たちが今立てておる統合整備計画は、これは全国的な計画でございまして、その一角を崩すということは、全体を崩す虞れがありますから、方針としてはこの線で行くという考えでございます。
  9. 岩間正男

    岩間正男君 その点はまあ私のお聞きした点と文相お話された点で或る程度の食い違いがあるかとも考えられますが、尤もこの点を議論をしだすと長くなりますから簡単にやらして頂きますけれども、ただ財政裏付がなくて現在のこの七十幾つ大学というものをやつて行くということになりますと、今の文相のこれは御答弁のようなことでは、どれもこれも栄養不足で月足らずのような大学に終つてしまうということを私たちは非常に心配いたします。この前お聞きしますというと、事務当局の見解では、どうしても大学を発足させるのに施設の面だけでも五百億円要る。ところがこれに対しまして三十億要求したけれども、十三億しかこれは大蔵省が認めなかつた。こういうことになりますと、三十八年かかるという計算はこの前申上げたところでありますが、そうしますと、勢い当然これは国家予算不足なのでありますから、そのしわ地方財政のほうに寄つて行く。ところが名前国立大学でありますけれども地方財政負担を非常に大きくして行くということになりますと、地方財政はやりきれないのではないか。果して一体そのような七十幾つ大学というものが、日本の現在の財政状況更にその財政状態の中からとられて来るところの貧弱なる教育予算によつて裏付のある方針というものは大臣はお考えになつていらつしやるのかどうか、こういう点を私は非常に重夫だと思うのであります。そうでないと大体構想としては何年後にでもできればいいのだという一応の目安なんだ、従つてできるところだけはこれはやればいいのだ、而もそのできるところについては非常にやはり今度のように無理があつてもやつている、こういう態勢になつて、而も三十八年後にもこれは亙るところが出て来るということになりますと、そういう完成年度努力目標というものが明らかであり、そうしてそれを可能ならしめるところの財政負担というものがはつきり具体的にですね、財政の中から支出することができるという、こういう一つ構想というものが強力に打出されない限り、こういう案というものは非常に私は現実から浮いたところの単なる一つプランにすぎないのではないか。こういうふうに考えられるわけでありまして、その点から考え文相は大体どういうふうにお考えになつておるのでありますか。こういう基本的な問題と関連して今度の新潟統合問題というものも我我検討しなければ、少なくともこれは国家的な一つ文教行政立場に立つて物を考えておるということにならないのであつて、そういう点からお聞きするのでありますが今の点如何でありますか。
  10. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 七十三の大学をやると言つても、大学ということの考え方も私どもは先ず考えることが必要なんで、すべてを東京大学のようにやるわけには行かないのであります。でありますから大学にも種類を設けて行こう、学術研究を主とする大学、又職業的な大学、又教育大学と、こういうふうに考えて行く。従来も専門学校というものはあつたのですから、大学という概念にとらわれると、七十三というのは大変多過ぎて困るようですが、そういう考え方をすれば、必ずしも多いとは言えない。而も大学重点的にやろう。そういうことをやつて大学をとにかく成立たせて行こうということが統合整備も必要になつて来るゆえんだと思うのでございます。
  11. 岩間正男

    岩間正男君 無論旧東京帝大というようなことを頭に考えることは、考えてもできないことだと思うのですが、併し少くとも大学という看板を掲げてその内容高等学校よりも、従来の高等学校よりも貧弱な態勢だ、こういう態勢でも仕方がないとこういうふうに文相はお認めになるわけでありますが。今後一体どこまで大学というもののレベルをどのくらいで押えるというような相当な目安がなければ、私はこの問題はどうも……。そうすると日本大学というものは羊頭を掲げて狗肉を売るということになるのじやないか。内容高等学校以下である。或る場合には大学というものは中学校以下、小学校以下だ、ああいうようなところでも名前大学だ、而も内容は充実しない。それでもやつぱり或る程度止むを得ないのだ、こういうことになりますと、私はこれは今後の大学行政というものについて、少くとも日本国民にそういう案を発表して、それによつて対策に協力させて、そうして地方民も、大学というのでやはり一つ希望を感じてそこにできるだけの協力をして行く、こういう気持から甚だ遠い、こういうふうに思うのですが、こういう点はこれは文相はお認めになつて今後の構想をお立てになるのですか。如何ですか。
  12. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) だから大学大学らしくしたいから、統合整備も必要になつて来るので、新潟大学は立派な大学であるし、ますますあれを立つ派な大学にしたい、こういう考えなのです。
  13. 岩間正男

    岩間正男君 この点は議論に亙りますから余り深入りをしないのでありますけれども、そうしますと、やつぱり文部省のこれらの裏付財政計画というものを一応お聞きしないと、今のお話抽象的論議で仕方のない問題になるのです。大学らしくしたいのだ、一方では併しそうじやなくて、実質的には東京大学のような形には行かないということになりますと、どういうようなものになりますか。ここのととろは、少くとも大学という気持で従来の高等学校以上のものを少くとも国民はこれは頭に入れて考えている。そうすると、そういうものを裏付けるだけの助政負担というものがはつきりしなければ、こういうような一つの案というものは私は抽象プランになる、こういう点がどう考えましても、これは数字的に検討すればもつと具体的にはつきり姿が派んで来るのでありますけれども、私は無理がある。そういうようなものを進めておられるときに、而も一方ではこれに対しまして、先ほど申しました、この統合というものが局部的にどんどん進められている。而も無理に強行されておる。こういうことになりますと、そのしわがどこに寄るかというと、地方財政或いは地方折角大学に対して希望を持つて、そうしてここに期待を持つておる人たちに大きく寄つて行くのです。私はこの前視察に参りまして、実はあそこでお母さんたちが寄りまして婦人の大会を持つておりました。統合反対、そういう人たちの話を短い時間でありましたけれども我々視察団としましてどういうふうに現実考えておるかという点聞いて来たのでありますが、その中ではこういうようなことを言つているお母さんもあるのですね。私は台所のお汁の実一つにも気を付けてやつと通学さしているのです。これ以上負担の重る統合がなされれば退学をさせねばなりません。貧乏者には教育も受けられないようにするのでしようか、こういうふうにこれは年老いたお母さんでありますがこう述懐しております。又或るお母さんは、この生徒にどこまでも大学を卒えてもらいたい。こういうような切実な子供の姿に対しまして母親として黙つていられない。私たち母親として子供たち自分たちの学園を守り抜くために日夜を分たず努力している姿がいじらしくていじらしくて、私たち母親同士統合反対に立上つたのに対して、杉山市会議長統合反対の者は市から出て行つてもらいたいと暴言を浴びせかけています。こういうような一つ市当局の圧迫に対しては、母親子供を愛する立場から子供を飽くまで支持して、この要求を貫徹させることこそが正しい線だと言つて痛烈な声を挙げているのを私は聞いたのであります。こういうような形で現在反対運動が進められているのであります。稲田局長はそういうところまで御覧になられたかどうかは……、我々はこういうところを端的に見て来てもらいたいと思う。こういう形で進められているこの統合について、若しもこういうような国民の意思というものが本当に率直に聞かれて、そうしてそれが運営される方向に行くようにさせることが日本民主化方向であつたと思うのです。これをどうしてもやはり文部省が作り上げたところの一つ統合案金科玉条にしてこれを強行しなければならない。この態度については、どうも私は文部省態度というものに変化があつたのじやないか、人民の教育というものは曾つて民主化といい、地方化といい、それを一つ教育目標として敗戦後これは新らしい教育だと言つて発足したはずであります。然るにいつのまにかこの教育官僚の手に握られてしまつた。官僚はいつのまにか国民に余り相談しない間にそういうプラン作つて大学学長を動かして支配して、これを上からどうしても統合の線というものを強力に押付けるのだ、どんなに国民反対してもお前たち教育に対してそういう発言はないのだ、我々がきめたこの線はこれは学者の専門的な見地でやつたんだから、どうしてもこれは仕方ないんだ、何ぼそういうことを言つても駄目だ、こういう線で進められるとすれば、私は重大な日本教育の転換、反動コースだと考える。もう少しこういう点について十分にこの考えを及ばせて、一体文相には再検討される余地がないのでありますか。そのことをお伺いしたい。
  14. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  15. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 速記を始めて下さい。
  16. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) これは昨日もたびたび申しましたように、全国的な計画で、どこでも統合整備ということに賛成するところというものは、これは皆んなが賛成するということはあり得ないのであります。だから私どもはよく無理の行かないようにいろいろ考えてやりますけれども方針はこれは無理やりに変えるわけには行かないということでございます。
  17. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私も新潟大学分校統合の問題について大臣のお考えをこの際お聞きしておきたいと思うのですが、第九特別委員会方針ですね、教育学部分校は原則として統合すること。これについてはやはり大学内容を充実するというような観点からこれを見るとき、私はうなずけるものがあるわけなのであります。従つて私は統合はいけない、こういう意見は持つておらないわけなんだ。ただ併し先ほど岩間君からもお話がありましたように、やはりこれについてはできるだけ財政的な裏付をして、そして本当に大学の充実が行われるように、こういうことは衷心より希望しているところであります。ただ、ここに新発田分校統合問題については、私は特殊な事情があるのではないか、こういうふうな考えを持つているわけなのであります。第九特別委員会にもそのことはやはり考慮をされております。私どもの頂いた資料には、但し地域が特に広大で就学が著るしく不便であるような場合は特別に考慮する。こういうことがありますが、これも私は適切な配慮ではないか、かように考えるのであります。そこで新発田分校の場合はこういう特別な事情に該当するのかどうか。こういう点を文部省のほうにおいても過去の行きがかりにとらわれないで十分検討をして頂きたい、かように考えているのであります。そういう意味から今度大学学術局長現地調査されているようでありますが、その調査目的、それはやはりこういう特殊な事情調査して統合問題についても無理があるかどうか、こういう点についてこういう目的を持つて調査に行かれたのかどうか。そういう点を先ず伺いたいと思います。
  18. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) これはそういうことは荒木さん、もう前に十分研究してあるのですが、だからして方針を立てるときにそのことは研究してあるのです。新潟大学もそれでいいと言つて始めたのですけれども、今度警察予備隊などとからんで来まして問題が複雑になつておりますから、よく行つて学長考えも聞きいろいろなことを具体的に考えて、その移す時日だとかそういうようなことをよく研究しようというわけなのであります。
  19. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それは私はむしろ逆じやないかと思うのです。警察予備隊がこの新発田分校のあとに入る、こういうふうな情勢になつてから市民なり関係者の中には統合反対の線が多少あいまいになつて来た。こういうふうに見ている。これはまあ国会に出された請願を見ましても、或いは陳情を見ましても、これは明瞭なんであります。いわゆる統合反対であるという市民の、或いは当局者の、当局者と言いますと、地方自治団体当局者考えというものが明白であるわけなんであります。ですから警察予備隊が来るようになつたので問題になつたというのじやなしに、それで多少ぼやけて来た。それまでは一致して統合反対である、こういうような意向であると私は考えているわけなのであります。その問題は別といたしまして、私は現地に参りましていろいろの実情調査いたしました。その結果。成るほど新発田分校設備のよくないことは認めます。従つてあの設備を将来よく改善して行かなければならないことはよくわかりますが、あの新潟は非常に広大な地域を持つておりまして、而も交通が極めて不便でございます。そういう点で新発田というところは、やはり設置委員会の何にもあるように。あそこにあることによつて新潟県の東北部教育一つの中心となつているという実情でございます。この東北部と申しましても、新発田市、岩船郡、北蒲原郡等の地域は、一つのあれは県に匹敵するような広さを持つている。私は詳しい面積は知りませんが、そういうようなことも聞きました。地図で見ても相当広い範囲であります。而もその新発田を通つているのは羽越本線ですが、従つてああいう地域一つ交通上の要所にも当つてつて、その地域からの通学が非常に便利になつている。これを新潟に移すということになると、あそこは羽越本線を外れております。交通上は、その地域から非常に通いにくい事情下におかれるのであります。私は交通上の実情をまあ一応見たわけでございます。それからもう一つ市民一つの私は無視できない声として、やはりこれはどこでもそうでしようが、そこに分校があることによつて、今まで文化教養向上に無関心であつた人たちに、非常にそういう方面の関心を深くさせるということを聞きまして、私ども尤もであるというふうに感じたのであります。これについてはまあ大学のほうから詳しい資料も頂いておるのでありまするが、そういうふうに交通の上から言つても、又地方文化教養向上の上から言つても、すでに新発田分校があるということは、一つのいい傾向を助長させる。こういう実情にあるわけであります。そういう点から考えるとき、これは私は特殊事情として、もう一度私は事情を詳細に調査をされて、そうして再検討をされる余裕をお持ちになるのが適切ではないか、私が調査をして参りました結論としてかように思つているのですが、そういう余裕を持つことすら、大臣としては許されないとお考えなんでしようか。その点をお伺いしたいと思います。
  20. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) たびたび申しますように、この統合ということは非常にむずかしいことであります。今荒木さんの言われた第二の理由ですね、理由を若し主にすれば統合は殆んどできないのです。ところでこの前も申しましたように、一つのジレンマにかかつて来ておるのです。即ち新潟を例にとれば、新潟大学というものを大学らしい大学にして、教育学部というものでも本当に大学の教授らしい人をあそこに集めよう。こういう計画を立てれば、どうしても統合というようなことはよんどろないことになつて来る。高等学校程度学生はその土地で採らなければならないけれども大学となればこれはどうも学生にはお気の毒だけれども、場合によつたら交通というようなことについて幾らか不便でもいたし方ない。そういう大学本位にして考えるか、或いは地方というものを本位にして考えるかということで、考えが違つて来ると思うのですが、この貧弱な日本の力で以て大学を何とか整備して行こうというのにはよんどころないのではないか、こういう考えになつておるのでございます。ただ地方実情を無視するというようなことはよくないから、それはどこまでもよく地方実情考えて、その時期等については十分の検討をしなければならん。けれども大体の方針ですね、そういうものを土地の人が反対をしたからすぐ崩すとなりますと、全然できなくなつてしまうということから、私は原則的にはこの法則はそのまま続けるのだ、こう言うよりいたし方ないということを御了承頂きたい。
  21. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると私は問題を分けてお尋ねをしておるわけなんですが、前半の問題としての統合問題、これはやはり私は考えなければならんと思うのですが、私の言つておるのは新発田分校の場合ですね。いわゆる特殊事情を再検討する余裕はないかということをお尋ねしておるのですが、大臣はこれについても時期等については考慮されるけれども分校統合そのものについては再考慮の余地がない、こういうふうにお考えのようにとりましたが、そのようにとつて間違いございませんか。
  22. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 要するにこの原則的なことは、どうもこれを一ところ変え出すと、皆変えることになるから、原理的には従来の方針を守つて行きたい、こういう考えでございます。
  23. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先ほどいろいろ私が調査をいたしました何に基きましてお尋ねをいたしたのでございますが、やはりこの地方特殊事情は十分考慮すると、こういうことは私は考えて頂きたいと思うのです。特に新潟県は交通が非常に不便で地域が広大です。従つて統合をすることによつていろいろいい面もあるけれども、悪い面も相当出て来る、こういう点を十分考慮しなければならんのじやないかというふうに思うのです。その次に、なるほど統合をして大学教授の陣容を整える、そういうためには、どうしても統合して一ヵ所に集めなければならんのではないか、こういう御意見はよくわかります。けれどもですね、私は二年制の教員養成の問題において、やはりそういう特殊なところでは分散しておることによつて優秀な教員が得られて、そうして教育上にかなりの功績を挙げることができるんじやないか、私は新発田分校の場合は確かにそういう点があると思つております。これは従来新潟まで大学に行けなかつたような子弟がここに分校を置くことによつてかなりここに集中して来る、そうして優良な素質の人たちがこの新発田分校に入つておるということを聞きましたが、これなどは実際にその義務教育に携わる素質のいい人たち新潟にある場合よりも、もつとこの東北の辺鄙なところの人たちを吸収しておるんじやないかというふうに考えておるわけなんです。そういう点から私は十分特殊事情というものは考慮されても、何ら全般的な統合問題には影響しないんじやないかというふうに考えておるのですが……。
  24. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 御意見は私も非常によくわかることなんです。私も或る点ではそういう意見を持つておりますが、だからもとより特殊事情考えますが、考えた上でできておる計画を私がこの席でそういう計画も又いろいろ変えるのだということになりますと、全体が成り立たなくなるから、原則としては私はこの計画で行くのだ、特殊事情はどこまでも考慮、研究をしよう、こういうことでございます。
  25. 荒木正三郎

    荒木正三君 私の質問はこれで終ります。
  26. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この問題は文部当局が言われるように、警察予備隊新発田移動とこの問題とは別個な問題であると、こう言われますけれども分校統合警察予備隊のあとに入るという問題が重なつたために、非常に普通の問題よりも大きく表面に現われて来た、こういうふうに私は考えております。で皆さんからいろいろ質疑されたようでありますけれども、私若干お伺いいたして見たいと思うのですが、先ず第一点にお伺いしたい点は、二年制課程の将来性というものをどうお考えになりますか。
  27. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は理想としては、すべて四年でなければならない、これは当然のことでございますが、全国の小学校の教諭がみんな四年制大学を出るということは、将来の遠い理想であつて現実には二年で教員になるという人もなくては困る。従つてそういう教育設備も必要だという考えであります。
  28. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 文部省としては当然教員養成計画というものを相当私は遠大な計画を持たれてやられておるだろうと思う。従つて私のお伺いしたいのは、二年課程というものを、具体的に申上げますれば、いつ頃まで続けられる御予定であるか。それともこれは半永久的に続けられるお考えでおられるのか、という計画的なことをお伺いいたしたい。
  29. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) これは事務当局と相談したことはありませんが、私はこれは半永久的なものだと思つております。アメリカのような国でさえも四年の課程を経た小学校の教員というものは非常に割合が少なくなつておると思います。理想は四年課程ですけれども、半永久的に二年もあることと思つております。ただ、私がいつもその点について考えておりますことは、二年の学校を出たから、それでいつまでもということでなくして、一旦勤めた人が又帰つて上の二年をやるというようなことも十分あつてよいのです。長野県などのように留学生を出ずようにして出せば、二年をやつた人が又上をやるということもよいと思つております。
  30. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そこでちよつと技術的なことをお伺いいたしますが、我が国における教員養成課程の二年課程と四年課程、この二年課程というのは縦割にしておると思うのですが、従つて二年課程を終つた人が暫くして四年課程に行く場合には、木に木を継ぐようなふうに行かないのじやないかと思いますが、それに対して大臣はどう考えておりますか。
  31. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) それは確かに矢嶋さんのおつしやつたようなことがございます。けれども上の二年をやろうというような人は、相当不備な点があつても、それはいろいろな方法で以て補うことができると私は思つております。
  32. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大臣の先ほど申されたような、教員養成構想というものは前々から承わつておるのでございますが、私も若干共鳴する点がございます。そうだとすれば現在の二年課程が縦割になつておるのを、二年課程と四年課程と木に木を継いだような恰好は、大臣も先ほど申された構想具現に都合がよいような課程を編成なさるのか、一つ大臣方針を一貫されたものとして期待されると思うのですが、そういうことに対するお考えはございましようか。
  33. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) これは非常に技術的なことになつて参りますが、やはり二年で以て一応完成するということになりますと、縦割の下の二年とはそこに幾らかの違いが出て来るということは、これはよんどころないことだと思つております。縦割の二年にして、その二年を出た者がすぐ働くということになると、その修得したところの不備な点が多いという欠点が生ずるのではないかと思います。
  34. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それは一応ここでとめまして、次にお伺いしたい点は、二年課程と分校と本校との関連をどういうふうにお考えになつておりますか。
  35. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) これは今の大学ということは、一体四年を考えておりますが、本当を言うと、決して下の二年で切るわけではなくして、縦割にしているような関係になりますから、できるなら上のほうを教えられるような力のある人が下のほうもみんな持つというのでないと、教育者の養成ということは不十分だと思うのです。そのためにはできるだけ一つ所に集めて、そうして教育に志す者がただ教育学部だけじやなくして、ほかの学部の学生とも付き合つたり、いろいろすることによつて視野を広くするとか、そういう効は非常に大きいと私は思うのです。従来の教育の一番悪い教育として言われることは、私は幼年学校の教育だと思います。ああいう同じ種類の人が同じようにやつているということはよくない。いろいろな人間とも交わることが、教育の視野を広くする点だとか、知識を豊富にする上には非常に必要だから、できるならそういう四年課程のあるところでやるのが理想的だと私は思つておりますけれども、いろいろな事情から二年の分校というものを、私は全部やめなければならんというようには考えておりません。
  36. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大臣の今の教員を養成する場合に、教員を志す生徒諸君と一般の学生とを一緒にして、そうして非常に教養の高い教授が指導するというような点、私は全く同感なんでございますが、私のお尋ねいたしたい点は、仮にですよ、ここで我が国は再軍備をやらないと、そういう点から、文化国家建設という立場から、予算を十分確保して行くというそういうような基本的な政策と、それと今大臣がおつしやられたような大学教育考えとが一致すれば、ここで私は非常にうまく行くと思うのでありますが、現実に我が国の現在の、殊に吉田内閣の指向している予算編成のこういう性格と、その内閣におられる大臣の今申されるような理想というものは、非常に私はギヤツプがあるのじやないか。そういうギヤツプがある以上は、もうちよつと現実的にならなくちやならんじやないか、こういうふうに私は考える。そこで私は大臣にお伺いするのですが、この四年課程と二年課程を認める場合、その二年課程の諸君にもこの四年課程を教授するところのかたがた、そういうスタツフを揃えてやるというお考えは結構ですけれども、それは先ほど申上げましたように、私は大臣が現在おられるところの吉田内閣の予算の性格から見てもわかりますように、私は不可能に近いものであると思う。そうだとすればそこを少し、吉田内閣におられる文部大臣としては、現実と文教政策をマツチさせて、従来ありました師範学校、そこには私は二年課程を置いたらどうか、こう考える。先ほど荒木君から新発田の特殊性を説かれたわけなんですが、確かに新発田は特殊性があると思う。併し私はこれは新発田に限らないと思う。私は今ずつと全国の地図を頭に描いてあそこはどうなつている、ここはどうなるということを頭に描いておりまして、大体この教員養成の師範学校というものは、その地域文化の中枢になつておりますし、義務教育教育者確保という必要性に迫られてできたのが曾ての師範学校なんです。それが現在殆んど分校となつているわけですが、他の大学と教員養成の大学とは私が申上げるまでもなくおのずと違うと思うのです。実際義務教育でございますから、どんな山の上にも学校があるのでございます。そうしますと要するに教員養成の大学を出た卒業生の分布というものは、他の大学を卒業した者の分布とはおのずから違わなくもやならんわけですね。そういう立場から考えますと、大臣が私は二年課程はやめると、もう四年一本で行くんだと、従つて四年課程の大学が充実するような予算を十分取るのだ、自分もそうだし、自分の所属している内閣もそういう方針だというならば、私は話がわかるのですけれども大臣のさつきのお言葉では、半永久的に二年課程というものも認めて行くとあれば、私は教員養成の二年課程というものは、現在あるものは全部残したほうが妥当なんじやないかと、こういうふうに私は考えるのでございますが、如何でございますか。
  37. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私の申した二年課程というのは、多分矢嶋さんもそう御了解でしようけれども、四年の大学においても二年課程を併置するのでございますよ。私の言うのはそういう構想で行つたほうがいいという考えでございます。但し、分校というものを全部やめるということの考えではないということは、先ほど申上げた通りでございます。
  38. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その大臣の言われたところも私はわかつているのですが、私の一番お伺いしたい重点は、確かにこの四年制の大学というものは充実しなければならんということは私も全く同感なんです。だから一般の大学においてこれは若干の統合をやつて、充実しなくちやならん、私はそういう考えでいるのです。併しさつき又ちよつと触れましたように、教員養成の大学というものはおのずと違うところが、その特殊性というものが余りにも大きいと思うのです。そうしてさつき申上げたか申上げないか存じませんが、師範学校が設けられたということは、これは意味なく設けられたのじやないのですからね。従つて私は二年課程がある以上は、大臣がさつき四年課程と二年課程の併立というのですけれども、二年課程の分校というものは私は残して置いていいのじやないか、そうしてその二年課程を終えた人が更にその四年課程の……まあ四年課程というと一県に一つしかないとか……そこにも進学ができるように道を開けて置けば、大臣のいつも言われているところの教員養成の構想というものも私は筋が通つて、最も我が国の実情に即して適当なんじやないかと、こういうふうに私は考えるわけなんです。それでお尋ねしているのですが、今新発田の問題が起つておりますけれども、これはこれに類似の教員養成の分校統合ということが起ることは、私は火を見るよりも明らかだと思う。今すぐ頭に描いても三つ四つ頭に浮び上つて参ります。それで教員養成なんですからね、而も二年課程というものを残す、而もこれは教育の機会均等という立場から、どんな山奥にも教員を確保しなければならん、そうなると教員養成大学を卒業した学生の分布図が如何になければならないかという立場から考えましても、私はそういうことから当然是認されるのじやないかと、こう考えるのですが、如何ですか。
  39. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 矢嶋さんのおつしやつたことは私もよくわかることなんです。教員養成の特殊性ということは私もよく知つていることでございます。だから分校を全部やめるとか、そういうことはございません。現に名古屋なども分校があつて、そうして下の二年でやつて、それが済めば岡崎のほうで二年をやることになつている。そういうことをみんなよすというわけではございませんです。
  40. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そうなりますと、話は絞つて新発田の問題に帰るわけなんですが、新発田のいわゆる特殊性ですね、是非ともあの地点に教員養成の機関がないというと、義務教育の教員の補充が十分できないという調査された立場から岩間君なり、荒木君から詳細説明があつたのですが、私は地図の上から見て、両君の調査報告を承わるときに、やはり義務教育の教員を養成ずる機関として、あの新発田には分校を残して置くのが、二年課程を残して置くのが妥当じやないかと、こういうふうに私は考えるのですが、さつき大臣が申された分校は全部統合するわけじやないという立場から、そういうことを又再検討されて然るべきじやないかと、こう考えるのです。
  41. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 矢嶋さんのおつしやることは御尤もなこともありますが、併し先ほどから申しておりますように、一遍立てたこの統合計画というものを、私がこの席で以てやめるということにしますというと、又全国的に響きがあることでございますから、軽々しくここでそれを変更するという答弁ができないことを御了承願います。
  42. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 わかりました。最後に私は大臣に要望申上げておきたいのですが、我が国の大学を今後どういう方向に持つて行くかというお考えというものは、終始一貫はつきりしていると思います。而もあれは大臣が特に悩まれておるということは私ははつきりしておりますが、ここであえて申上げませんが、新発田分校統合問題をきつかけにこういう問題が出て来ておるわけでございますが、これは飽くまでも全国的な視野から如何にあるべきかという立場から、問題が起らないように、而も我が国の実情に副つてよりよき結果が得られるように十分私は慎重に御検討を頂くように切に要望いたしまして質問を終ります。
  43. 高田なほ子

    高田なほ子君 委員長、ちよつとこの際一点だけ伺つておきたいのですが、簡単ですが……。大体私が伺いたい点は、婦人教員の質の向上という問題については非常に緊急な問題であろうと思うのです。この場合最も考えられなければならないのは、教員の養成機関の充実であります。現在の状態ですと、この女子の就学の機会というのは非常に恵まれてないわけなんですが、特に新発田の私は女の生徒からたくさん陳情、或いは手紙を頂戴して、これによつてたちの就学の機会、特に日本の今の考えだと、女は何も遠くまで行つて勉強する必要はないのじやないかということで、どうも就学の機会が失われておるというようなことで、非常に女の子たちが歎いておるようでありますが、やはりこの第九特別委員会の基本方針の中で、就学が不便であるような場合は特別に考慮しなければならない。こういう結論ですが、この中で、女子教育とそれから女子の就学に対してどういうような検討がされたのか。又大臣がそれに対してどういうお考えを持つておられるのか、この二点を伺いたいと思います。
  44. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) そういう点も勿論特別委員会では考えておると思うのですが、これも先ほどから申しておりますように、就学の便ということを図れば大学の充実ということがむずかしくなり、大学を充実しようとすれば就学が不便になる。こういう一つの何と言いましようか、二律背反の上に立つていると申しますか、ジレンマの上に立つている。だからむずかしい。それをどの程度にそこを調和して行くかというところに具体的な問題があるのだと思うのです。私はそう考えておつて、そうしてできるだけ女子の就学などに便利のように考えて行きたい。けれどもそういうことばかりのみ考え大学というものを弱くしたのでは困る、両方の面から考えたい、こういうことでございます。
  45. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  46. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 速記を始めて。
  47. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 政府委員にちよつとお伺いしますが、新潟大学の職業課程の四年課程の養成はどこどこでやられておりますか、それで大体生徒数はどういうことになつておりますか。大きな理由になつておるのですね、統合の……。
  48. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 新潟大学の職業課程の四年は只今高田と長岡、新潟とそれから新発田の一部分……。
  49. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 職業課程の教員養成はそういうふうに県で四ヵ所に分散しておるような他に例はございますか。
  50. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) ほかの例は実は私はよく存じませんが、只今新潟大学統合方針では、新発田の分の二年の課程と四年課程とございますが、それを新潟へ集中すること、それからこれは将来他の……。
  51. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私が伺いたいのは、私はこういうように聞いておつたですがね。職業課程は新潟新発田にある。ところが職業課程の教育というものは非常に施設が要るし、而もこれは他学部との関連性を必要とすることは私は認めます。従つて新発田にある職業課程を是非とも新潟へ持つて行きたい。そうすることによつてこの職業課程の充実ができるし、新潟県の生徒諸君としては新発田にあるよりは新潟に行つたほうが全県から学生が集まるのに都合がいいからというような、こういう説明が私はなされたと思うのです。高田にも、長岡にもあるとすれば、そういう立場から言うと、あえて新発田にあるのを新潟に持つて行く必要はないのじやないですか。反対新潟にあるのを新発田へ……、現在見ると新発田にある四年課程が百五十人おるというのですが、こちらに持つて来るということも考えられる情勢なんで、その点どうも首尾一貫していないと思うのです。  それからもう一つ申上げますが、いつぞやの質疑応答の中には、如何にも職業課程は県庁の所在地、県のセンターにないと工合が悪いというような発言があつておつたのですが、例えば広島あたりを見ますと、職業課程は広島市に置かないで、福山ですか、あすこに職業課程専門の分極を置いて全県下の職業課程の教員養成をあすこでやつておると私は思つておるのですが、そういう一つの例から見ましても、私は職業課程が四年課程でこれを新潟に移すことが必要だという、それを重点とするところの理由によつて新発田分校新潟に持つて行かなければならんという文部省側の説明は私は理由が薄弱になつて来るのではないかと思いますが、如何ですか。
  52. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 新発田分校新潟統合する方針理由につきましては、先般お手許に差上げました通りでございます。結局新潟大学につきましては、高田と長岡と新発田という分校がございますが、新発田に関する限りこれを新潟に……他の分校と比較いたしまして設備も十分でない、又教授陣容が劣性であるというような事情によりまして、これを新潟統合いたす。そこで設備、陣容を充実して教育の面にプラスになるようにしなければいかんという見地から新発田統合が行われておると考えております。只今の職業課程の四年の職業課程が他にもあるからという理由でございまするが、これにつきましてはそういう面から申しますとお説の通りでございますが、この新発田新潟統合するという問題は、ただその面だけではございませんので、先ほど申しましたように、いろいろ設備とか、或いは教授陣容とかそういつた面もこの際考慮されておると考えます。
  53. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これで終りますが、結論的に言うと、大臣も含みのあるような答弁をせられましたが、更に私は検討して頂きたいと思うのです。と申しますのは、私はお二人の調査員から間接的に承わつたところによるというと、最もこの新発田が政治力が弱かつたらしいというようなことも承わつておるわけですが、それを裏書きするかのごとく、新荒肝の統合については新月大学の評議員会において自主的に民主的に決定されたのであるから、それを推進しているのだと、こういうような御説明もあつたわけですが、新発田分校の主事だけが評議員会に入つていない。長岡と高田の分校の主事は評議員会に入つておる。そういうようなところに私はやはり不明朗な問題があるのじやないか。この新発田分校統合についてという第九分科会の結論の書面を頂いたのですが、これを拝見しますと、高田あたりの分校統合しなければならんという理由が私は出て来るのじやないかと思うのですが、そういうような点が弱い新発田に非常にしわ寄せになり、丁度幸か不幸か警察予備隊の問題も起つて来て、その警察予備隊の移るというのが、これは種々の関係になるかも知らんが、これが元になつて新発田分校の六月十五日移転というものが出て来たというところに地元民として私は十分納得し得ないところがあるのではないか。こういうふうに私は判断するわけですが、従つて冒頭に申上げましたように、所管局長も調査に行かれているようでございますが、十分御検討をなさつてこの新発田新潟大学新発田という立場からだけでなくて、我が国の教員養成計画と、我が国の、殊に現在の吉田内閣の指向しているところの方向、更にその内閣において編成される予算の性格と、そういうものを全国的な規模から十分検討されて結論を出して頂きたいと思います。私は天野さんが社会党の党員か、或いは社会党に所属している大臣としてそういう養成計画をやられるなら私は双手を挙げて賛成し、私は納得するのですが、天野さんはああいう教員養成計画で現在の吉田内閣においてああいう予算の編成をなさつておるところに非常に私は矛盾があつて、聞きとれないと思うのですが、現在自由党内閣で、その内閣におられるその大臣の下に局長は勤めておられるのですが、一つ十分慎重に検討されるように要求いたしておきます。
  54. 岩間正男

    岩間正男君 さつき大臣に矢嶋君が再検討する考えがあるかというような質問に対して、大臣はやられる考えはないということで非常に答弁が食い違つております。時間がないから僕は質しませんけれども、これはどうなんですか。稲田さんも今度行つているらしいのですが、これは再検討する必要から行つたんですか、どうなんですか。今矢嶋君から最後に特に念を押されたのですが、事務的に言うと、大臣は再検討する考えはないと、こう言われるのですけれども、それでは事務当局としてはどういうふうに考えておりますか。
  55. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 新制大学の整備の問題につきましては、大臣大学設置審議会に諮問されまして、そこで慎重審議いたしました結論が出たわけでございますが、その結論を採択されまして、これを各大学学長に政府の方針として流したというのが現状でございます。従いまして、この方針は相当慎重に練つたものでございますので、これを実施上支障があるからと言いまして変更するということは、絶対に不可能とは申しませんが、これは現状においてはなかなか困難ではないか、又その必要はないのじやないか。この問題はこれを実施いたします際に新発田においていろいろ反対があるということでございますが、この案そのものについては只今のところ変更の必要を認めておりません。
  56. 岩間正男

    岩間正男君 これはあなたには無理かも知れません。あなたの今までの答弁速記録を調べてみると、実はこういうことは自分の意見としては無理だと思いますと言われたことがあつて、それをあわてて取消されたこともあるので、そういうことは今指摘しませんが、これは私はそれについて別に要望がましいことを申上げるよりも、現実がその問題を解決すると思います。  もう一点お聞きしたいのは、大体新潟大学には非常に問題があると思う。最近大学の医学部の附属病院が焼けて、これは復旧がどうなつておりますか。これとも私は関係すると思うのですが、実際今ここで強行して校舎を建てて、千七百万円の国費もかかる。文部省予算が一千万円足らずの予算でやつて行く。そういう問題と医大の復旧問題、これは対市民関係から言うと、もつと急を要する問題だというように私ども現地の声を聞いておるわけです。従つてあの予算はどれくらい要つて、そうしてどれくらいの年度でこれをやつて、大体どういうふうに進行しておりますか、この点お聞きいたしたいと思います。
  57. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 新潟大学病院の復旧でございますが、これは地元の寄附と政府の補助と両方で進行いたしております。政府のほうは大よそ五千万円を見込んでおります。なお、地元の寄附も五千万円と承知をいたしております。それから新発田分校の受入れのために特に一千万円を以ちまして約三百五十坪の建物を建てる計画をしております。
  58. 岩間正男

    岩間正男君 そこでどうですか、政府の補助というものは決定しておるのですが、五千万円とそれから地元負担、寄附について非常に現在の新潟情勢では困難があるということも聞いておるのですが、こういう情勢はあなたのほうはどういうふうにつかんでおりますか。
  59. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 政府の補助のほうは決定いたしました。
  60. 岩間正男

    岩間正男君 これは何年度。
  61. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 二十七年度です。
  62. 岩間正男

    岩間正男君 二十七年度の何費目ですか。
  63. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) それは国立大学の整備費でございます十三億の中から……。それから地元の寄附につきましては順調に進行しておると伺つております。
  64. 岩間正男

    岩間正男君 地元の寄付についてこの間或る人から聞いたのですが、これはなかなか容易なことではない。それから国立大学の十三億からこれは出ておるのですか。
  65. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) そうです。
  66. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると又一方で今度の分校で一千万円ですか、そうすると、こういうことで新潟に随分行つておるわけですね。
  67. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 向うへ通知いたしております。
  68. 岩間正男

    岩間正男君 医大の完成はいつ、何年ですか。
  69. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 完成は二十八年までかかると思つております。二十七年度、二十八年度二ヵ年であります。
  70. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると予算は……。
  71. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 二十八年度に更に考慮するわけです。
  72. 岩間正男

    岩間正男君 どのくらい。
  73. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 只今ちよつと検討いたしておるのであります。
  74. 岩間正男

    岩間正男君 時間がありませんからやめますが、私は別に聞いておりますが、この点非常に問題だと思うのです。今後そういう問題とからまつて来て、医大の問題とそれから分校統合と、これは地元では医大を早くやつてくれと、こういう声が非常に多く出ておるのですが、殊に地元五千万円を負担こういうところにからんでおるところに、なぜこういつた統合のために無理して、そうしてあれをここでやらなければならないかという声が非常に地元に起つておる。こういうことを聞いておるのですが、これは時間がありませんからこの次詳しくお聞きしましよう。
  75. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) では今日はこれで散会をいたしますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  76. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それでは散会いたします。    午後二時四十一分散会