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1952-04-25 第13回国会 参議院 文部委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二十五日(金曜日)    午前十一時十二分開会   —————————————   委員の異動 本日委員加納金助君、黒川武雄君及び 工藤鐵男君辞任につき、その補欠とし て草葉隆圓君、楠瀬常猪君及び左藤義 詮君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梅原 眞隆君    理事            高田なほ子君            相馬 助治君            木内キヤウ君    委員            川村 松助君            木村 守江君            草葉 隆圓君            楠瀬 常猪君            左藤 義詮君            白波瀬米吉君            山本 勇造君            荒木正三郎君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   国務大臣    国 務 大 臣 岡崎 勝男君   政府委員    外務省条約局長 西村 熊雄君    文部政務次官  今村 忠助君    文部省大学学術    局長      稲田 清助君    文部省管理局長 近藤 直人君   説明員    文部省管理局著    作権課長    柴田小三郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○連合国及び連合国民著作権特例  に関する法律案内閣提出) ○教育及び文化に関する一般調査の件  (文部行政に関する件)   —————————————
  2. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それではこれより文部委員会を開きます。  最初に、連合国及び連合国民著作権特例に関する法律案議題とします。岡崎国務大臣が御出席になつておりますから、御質疑のあるかたから御質疑を願います。
  3. 岩間正男

    岩間正男君 やつぱり大臣からちよつと謝意を表明しておいてもらいたい。ああいうやり方では困る、国会運営そのものをもつと尊重してもらわなければ。今後ああいうことでは困ると思う。我々は昨日三十分待つていたのです。もう少し自分自身で、国会審議権というものを自分自身そのものを尊重しなければならんと思う。(「異議なし」と呼ぶ者あり)自分から放棄して、そうして政府に合せるという態度は醜態だと思う。国会権威上、国務大臣釈明しなさい。私は釈明を求める。
  4. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私は、本日もそうでありますが、昨日も各種の委員会に要求されて出席しておりまして、本日はまあ閣議の関係ですが、これが終りますと又衆議院の委員会出席しなければなりません。そういう関係で、時間が昨日遅れたことは誠に恐縮でありますから、今後十分気をつけます。
  5. 岩間正男

    岩間正男君 只今釈明通りどうぞ国会審議権を尊重してやつて頂きたいと思います。そうでないために、随分法案審議なんかずれたことがあるのです。  昨日質問申上げたのでありますが、岡崎国務大臣としまして、具体的に今度の平和条約によるところのこの規定が一番問題になるのは、占領治下にいろいろ日本著作権の問題に対して、日本翻訳者或いは業者に対して非常に不利な事態が事実あつたと思うのであります。そういうものはどういうふうに具体的に日本外務省によつて努力されて元に戻すか、こういうことについてお聞きしたのでありますが、具体的に申しますと、政令二百七十二号によりまして日本翻訳著作権、これは戦争別までは認められておつたのでありますけれども、こういうものが占領治下においては全部元著作者並び仲介者、こういうところに移譲されまして、日本はいわば一つのそういう既得権というものは、占領治下特殊事情によることでありましようが、一応剥奪されたという形になつておるのであります。従いまして、これを今度のいわゆる和解と信頼ということを謳つておるところの講和条約の中におきましてどのように原状に回復するかということは、非常にこれは関係者たちは問題にしている。又過日当委員会におきましても、三人のその道の権威者を招じまして意見を徴したのでありますが、恐らくこういう問題が今後の紛争の種になる、こういう点については具体的にこもごも申述べられたのであります。従いまして、どのようにこういうような占領治下において制限されたものを原状に回復する努力をされるか、この点をもう少し具体的に私は先ずお伺いしたい。
  6. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 政府としまして、外国のいろいろの著作等を翻訳することは、この前も申しました通り日本の現在の国情から申しますと、非常に必要であると考えております。それはほかにも同じような国があると思いますけれども日本においてはイギリスとか、アメリカとか、或いはフランスとか、こういう国に比べると、その翻訳等の必要はよほど大きいと考えております。従つてでき得る限りそういう方面においては国民に便宜を与えるような方針で進みたいと考えております。これが大体の考え方であります。占領中にいろいろの措置令等ができまして、これで不便である場合も無論あると思います。今後はそういう趣旨によりまして、文部省等意見に基いてできるだけ具材的に又早急に話を各国とも進めてみたい。又国際的の取極等もありますので、これも参考にいたしまして、できるだけ日本国民の特殊の事情外国に了解させたいと考えておりますが、外務省自体で、こういう方針でやる、ああいう方針でやるということを独自にきめる立場にないのでありまして、これは文部省及び文部省を通じてその方面專門家等意見を十分質しまして、それに基いて各国交渉をいたしたい、こう考えます。
  7. 岩間正男

    岩間正男君 やはり抽象的な御答弁になつてしまうのでありますけれども、そうしますと、昨日からも問題になりましたように、この法案平和条約に伴うところの非常に片務的な規定になつておる。従つてこの法案を通す前に、やはり日本政府が今後どういうふうに努力して而もそういう見通しはどうか、どういう実現の可能性があるか、こういう問題について相当な確約或いは見通し、こういうものを我々が持たなければ、この法案を単に無責任にこれは通すということは、私はできない問題じやないかと思う。従いまして今の問題と絡んで来るのですが、これは文部省は、私が申しましたところの政令二百七十二号に関連したところのいわば既得権回復と言いますか、原状に戻すと言いますか、そういうものについてはどういう見解を持ち、そうして外務省に対してはどういうふうにこの問題を打開するように現在努力しておるか、こういうことを、簡単でいいですけれども、述べて頂きたい、この法に関連して。
  8. 柴田小三郎

    説明員柴田小三郎君) 政令二百七十二号は、私契約の上に公的な義務を加えたものでございまして、日本人の翻訳者権利外国人の原権利者に移転する、そういうふうな契約を結び、更にそれを登録する、こういうような私契約を結んだ者に登録させる。こういうふうな政令でございます。それで戦時中にそういうふうな契約を結んで日本翻訳者が不利になつた、こういうことについてどういうふうな処置を将来とるかということについては、これは従来も我々として考えたことでございまして、そういうふうな問題が起きた直後文部大臣からマツカーサー元帥に対してペテイシヨンを出したことがございます。又その後も民間の団体といろいろ交渉しまして適当な方向を定めることをしばしば懇談したのであります。併しいずれにせよ、それは民間のいわゆる私契約でございまして、その私契約解除をこの法律の上に盛るということはできないのでございまして、やはりこれは具体的に個人同士折衝によつて解決ができるのではないかと思つております。
  9. 岩間正男

    岩間正男君 私契約解除の問題はいろいろ個人的な折衝だということになつておりますけれども、併しその原則はもう少しこれは国相互間においてはつきりした原則がきまらなければ、個人的な交渉も非常に差支えが出て来る、こういうふうに思う。その点から私たちは問題にしておるのですけれども、これはどういうふうにあなたたちは今まで努力されたか。なおこれと関連してお聞きしたいのは、西村条約局長が見えておるようですから、一体平和条約締結交渉の間におきまして文部省からこういう問題が出て、そうして条約を結ぶ過程の中で考慮されたのであるか、こういうようなものが折衝されたとすれば、その折衝過程はどうであつたか、そういう点が私は明らかにして欲しいと思う。昨日岡崎国務大臣山本さんのほうからこの点質問されたのでありますけれども岡崎国務大臣は、当時の責任者でないので、その点が明瞭でない、こういうお話でありましたので、少くともその当時の折衝の一番事実上の責任に当られた西村条約局長としては、こういう問題が具体的に問題になつたのかどうか、それに対してどういう折衝経過をとつたのであるか、関連してお聞きしたい。先ず文部省のほうからどうですか。
  10. 柴田小三郎

    説明員柴田小三郎君) 日本翻訳者権利外国人の原権利者に移転する、こういうふうな問題は具体的に日本側にとつては不利である、こういうふうなことは言えますし、併しその間そういうふうな私契約を結ぶことによつて業者は排他的な権利を得て、やはり相当な営利を得たものと考えます。それですから、その私契約について法律を以て云々することはできないのでありまして、具体的に民間或いは官庁が一体になりまして、その原権利者のほうに交渉する、こういうふうに戦争中に不徳に取得した、そういうふうなものは返してもらうように、これをやはり交渉したいと思つております。それは具体的にやはり業者と私たちが会つていろいろ相談しおる事態もございます。
  11. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 平和条約交渉責任者としてこの問題についてどういうような話をしたかという御質問に御答弁申上げます。昨年の二月、最初ダレス顧問と会見いたしまして、平和条約内容について具体的に話を始めましたときに、先方から提出されました議題の中に無論著作権の問題も入つておりました。そのとき私どもの申述べました事柄は、第一の点は、日本戦争中におきましても日米著作権保護条約ベルヌ万国著作権保護条約のような文化的条約は、戦争によつても効力を捨てないで尊重するのが妥当だという方針の下に、政府といたしましては戦時中を通じて条約趣旨従つて外国人著作権国内的に取扱つて来たということを説明いたしました。それからその以前におきまして、平和問題について私どもがいろいろ事務的に研究いたし、方針を考えましたときには、何と申しましても指針として私どもがとりましたのは、イタリア平和条約でございます。イタリア平和条約規定は、成るほどイタリアに一方的になつておりまするが、その打ち立てられておりまする原則は、概して私有財産権に関する限りは平和条約といたしましては公正であると考えられます。でありますので、今申上げましたような戦時中の日本における外国人著作権取扱が極めて公正である、従つて戦時中の我がほうの取扱について連合国から請求権みたような要求を出される理由はないと確信するということと、事は文化的な財産でありまするから、イタリア平和条約同様の原則を以て平和条約内容にして頂きたいという二点で臨んだわけであります。結論は、もう御承知通りサンフランシスコ平和条約内容のごときものになりまして、イタリア平和条約と比較いたしますれば、幾分或いは多いと申してもよろしいかも知れませんが、私どもの要望した程度にはなつておりません。その点は交渉責任者として、国会でも申上げたことでございますが、誠に残念に思つておりまして、慙愧の念を今日なお抱いております。そうなりました理由につきましては、先だつて国務大臣から御説明があつたと思いまするが、先方の申しまする理由は二つございました。一つは、イタリヤの場合は成るほど公正にしてあつたのだけれども、その場合はイタリヤ戦争末期において連合国の一員として共同交戦者であつた、或る意味において連合国であつたという特殊の事情があるのであるということ。それからもう一つは、日本平和条約の場合にはもうすでに戦争四ケ年、それから終戦後六年近く、約八年乃至十年近い年限がたつておるので、各連合国において国内的に処置をしてすでに既成事実が或る程度でき上つておる、それを平和条約によつて又元に戻すということは極めて困難な問題がある。他方連合国としては対日賠償というものはとらない方針で行つておるので、彼此勘案して、この程度のものを不満ではあろうが受託して欲しい、但し著作権につきましては文化的な権利であるから各連合国国内事情が許す限り好意的な取扱をいたすという趣旨規定を入れることにする、こういうふうな結論で、お手許にありまするような平和条約条項なつた次第でございます。  以上が交渉経路でございまして、私は先方は申しませんでしたが、私は著作権に関して日本との条約イタリアとの平和条約ほど有利にならなかつたについては、もう一つ原因があるのではなかろうかと日頃考えております。それは皆様も御承知通り戦争前におきまする日本国内におきまする外国人著作権保護が、ベルヌ条約加盟各国から見まして頗る不完全である、日本出版者日本翻訳者、殊に音楽演芸方面におきまする外国音楽の使用という点が極めて条約義務に違反するような形において行われておるというので、絶えず外交上の問題になつておりました。で極端に申しますれば、著作権保護問題に関する限り日本はどうも不十分であるこういう印象を強く持つていたわけでありまして、この点は恥かしいことでありますけれども、我々告白せざるを得ないと思います。というのは戦争前におきまして外務省として各国とそういう交渉を絶えず行なつて来ていたわけであります、そういう点も多少、先方は申しませんけれども、対日平和条約におきまする著作権関係条項が、我々から見て不満足、又は満足だと言えない形に来た一つ原因であろうかと思います。今なお反省しておる次第でございます。
  12. 岩間正男

    岩間正男君 非常に日本著作権に関する問題は不利であつたということ、そのほか平和条約のいろいろな交渉過程においても御意見をお伺いしたのでありますが、むしろ西村条約局長只今お話なつたことは、非常に正直にお話下すつたと考えられる、そういう点がなかなか岡崎国務大臣の昨日の御答弁では、まあ不利な点がはつきり指摘されていない点、それからそういうものに対して何とかこれは今後努力してできるのだ、こういうことだけであつたのでありますが、その点非常にやはり今の御答弁と少し趣きを異にしておると思うのです。そこでいろいろ理由を挙げられまして、日本の場合、著作権の問題で既得権を回復することは非常に困難だつたということ、併しこの点これは無論広汎な折衝の中でありますから、著作権の問題だけこれは掘下げるということは或いは不可能であつた事情もあつたかも知れませんが、相当な折衝をなされたのでありましようか。大体そういう事情についてこれは一応日本側としては了承する、止むを得ない、こういうことで引下がられたのでありましようか。殊にまあ従来のイタリア平和条約並びに著作権の問題、それが原因して、日本の従来のそういう処置の仕方、こういう点も挙げられたのでありますが、併しこれは占領後におきましてそれがまるで、又極端にむしろ反動的とも言つてよいほど日本著作権並び翻訳者並びにこの業者が不当にこれは虐げられた事実も実は我々もいささか聞いておるのであります。そういう事実があります。又少くとも平和条約を結んで今後日本が新たに出発する、こういう立場に立つとすれば、そういう過去の、戦争前の時代と日本は少くとも同じ態度を続けるというふうには私は考えられない。そうしますと、そういうところから説得しますと、少くともイタリア条約くらい、一年間の原状回復期間、こういうものは少くともこれは政府としては努力をされてこれは確立されるということが日本文化のために非常に重要じやなかつたかと思うのですが、この点どの程度に一体努力されたのでありますか。この点やはりお聞きしたいと思うのです。なおこれと関連して、一体今後どうするのだ、こういう問題も併せてこれはお聞きしたいと思います。
  13. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 交渉を通じましては熱心に日本立場を了解させ、又立場を了解するのみならず平和条約規定として入れてもらえるよう努力いたしたつもりでございます。たたその結果については御満足の行くような結果にならなかつたという点については責任者として慙愧の至りに堪えません。結論として申しますと、問題は岩間委員の御指摘のように二つあると思います。一つは、日本著作権外国における既得権保護の目的を達するということであります。この点はイタリア平和条約と違いまして、対日平和条約におきましては、各連合国国内事情の許す限り好意的にこれを取計らうものとするということの原則的の規定しか入つておりません。この点につきましては、でございますから、平和発効後におきます日本外交責任といたしましてこの条項を根拠といたしまして、主なる関係国におきまする戦争中における日本著作権処置を先ず明らかにいたしまして、できる限り既存の我が権利保護尊重されるように外交交渉をいたすべきものである、こう考えております。現在までのところは何しろ外交機関がございませんので、戦時各国がどういう処置をとり、どの程度保護が現在与えられておるかということがはつきりいたしませんので、発効後は直ちにその事態を明らかにすると同時に既得権尊重保護を確保するよう外務省としては努力いたすべきものであると考えております。もう一つの点は、今後平和発効後におきまする著作権保護の問題であります。この点につきましては私は対日平和条約イタリア平和条約に比べてさまで差はないと考えております。と申しますのは、今後におきまする著作権保護関係宣言書一によりまして明らかでありまするように、ベルヌ条約加盟国の間におきましては、ベルヌ保護条約に基いて規律いたされることになります。従いまして従来ともそうでありましたように、日本といたしましては今後各連合国との著作権保護の問題は、このベルヌ条約を基礎といたしまして国内において外国著作権日本が受諾しておる範囲内において完全に保護をいたすと同時に、他の連合国におきましても我が著作権に対して同条約によつて誠が国が保障されておる保護を確保するように努力いたす美き問題であると考えております。又連合国の中には同条約に参加しておらない国もございます。乃至は日米のように二国間条約がありまして、その二国間条約を生かすか、生かさないかは先方で決定するということになつておりまするような国につきましては、その条約が生きないということになりますれば、新たに条約を結ぶ話合いを始めまして、早急に日本著作権先方におきましても十分確保できるように努力すべきものであると考えて、もうすでにそういうような研究を始めておる次第でございます。岩間委員が触れられました訴権の事項の問題でございますが、イタリア平和条約では平和条約実施後一カ年で連合国人イタリアにおける著作権保護に関する請求権訴えを提起する権利は消滅するということになつております。日本にはそういう特別な規定がございませんので、附属議定書のBですか、時効一般規定によりまして規律されることになる。即ち戦争中の期間時効進行を停止するという結果になります。日本法律によりますれば、訴訟をする期間は、著作権侵害に関する補償訴えをする期間でありますが、それは侵害の事実があることを知つたときから三年ということになつております。ですから三年の期間を勘定するときに戦争期間は三年に入らないという結果になるわけでございます。それをイタリアの場合は平和条約実施後一年とこう切つてしまつてある点は、それは遥かにイタリア平和条約の場合が問題を処理するために簡便でございますし、又損害補償訴えを受けます側におきましても極めて有利であるということは岩間委員の御指摘通りであります。それから時効関係条項交渉いたしましたときに、著作権訴えに関する時効規定特例といたしましてイタリア平和条約第十五附属書のような特別規定を置くことを主張できたらば甚だよかつたと思うのでございますが、その点は先刻申上げましたようないきさつで以てイタリア平和条約程度まで至らなかつたような次第でございます。
  14. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 岡崎国務相司令部外交部へおいでになるので退席させて頂きたいということでございますがどうですか。
  15. 岩間正男

    岩間正男君 そうですね、その前にちよつと……。
  16. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) もう一つありますか。
  17. 岩間正男

    岩間正男君 今のことで西村条約局長に私ちよつとお聞きしたいのですが……。
  18. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 西村条約局長はずつとおられますから……。
  19. 岩間正男

    岩間正男君 それではこの問題は保留しておきます。岡崎国務大臣にお聞きしたいのは、これはこの中で今後又問題になると思うのですが、いわゆる平和条約に署名しない国、つまり日本とまだ交戦状態、こういうことになると思いますが、具体的に申しますと中国、ソ連、こういう国との著作権の問題は今後外交面におきましてどういうふうに努力されるつもりでありますか。このことは、私なぜお聞きするかと言いますと、日本文学関係におきましては、いわゆるロシア文学フランス文学と並んで日本外国文学輸入の二大宝庫になつているわけです。非常に関係が深いわけです。そういう点から考えましても、いろいろ問題をこれは残すと思うのです。又中国については殊に隣国の問題でありますから、今後文化交流という問題が大きな問題として私は映つて来ると思うのです。従いまして平和条約の面では一応これは未締結国ということになるのでありますけれども文化面におきましては、やはりそういうものを遮断してしまうのであるか、それが吉田内閣外交方針なのであるか或いは文化面におきましては、飽くまでこれは交流するために外交面を通じて努力するのであるか。無論これは全面的な外交調整の問題と関連して、単独にこれだけ切り離すということは私はできないと思いますけれども、併し文化問題或いは経済問題というような問題については、これはそういう問題を具体的に解決して行くことが、同時に又外交面調整に大いに役立つとも考えられるのです。そういう点からここで法規のようなものを作りまして、そうして平和条約の面でこれに基いたところの著作権特例というものを作りますと、これによつて一方との交流というもので結び付けることによつて、一方を逆に遮断する、或いは圧迫する、こういう関係が生じて来るのじやないかということが私は懸念されるのです。こういう問題についてこれはいわゆる文化の問題でありますが、文化交流の問題につきまして、外務大臣としましては一体どのような見解を持ち、今後どういうふうに処理されるかということをお聞きしておきたいと思うのです。この一般外交については、いろいろこういう問題も今まで質問されたと思いますが、私は文化交流の問題としまして政府の基本的な方針をこの際お伺いしておきたいと考えます。
  20. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 今岩間君の御指摘のように成るほど文化という問題は、これは特殊のいわば国境を離れたような点もあるわりです。でありまするからできるだけそういう点については、ほかの政治的な関係が影響を受けないようになることが呈ましいのでありますけれども平和条約関係から申しますと、今のところ予想されるのは共産主義国家八カ国を除きますと、ほかの国々とは遅かれ早かれ平常状態が回復する見込がついておりますが、この八カ国とはちよつと今のところ見込がつかない。そこでこれらの国に対しても勿論経済的にも交流するほうかいいにきまつておりますし、又文化的にも無論そうであります。併し同時にいろいろのまだ懸案事項等もありますし、又先方においては同盟条約等関係もあり、今直ちにどうということは私には到底見当がつかないので申上けられない状況であります。それじや文化的の問題を外務省は無視するのかと言われるとそうではないのでありますけれども、併しながらいろいろのほかの懸案事項もある現在においては、正直なところまだこういう問題についても見込ちよつとつきかねる、併し日本としては別にこの問題について門戸を閉鎖するような意向は毫もないことは申上げられると思います。
  21. 岩間正男

    岩間正男君 政府の今後の方針についてお聞きしたのでありますが、具体的には方針がなかつたというふうにお聞きできると思います。そういう問題もありますが、それと関連しまして現在いろいろロシア文学が翻訳されて、日本の大衆の間に相当深く滲透している、それから又出版社なんかもそういう関係を非常に持つている、翻訳者も持つている、こういう現実の問題についてどうせられるか。今後の方針については一応御検討願うとしても、現実の問題をどう処理せられるかという問題であります。この法案に関連しましてこれはどういうことになりますか。
  22. 柴田小三郎

    説明員柴田小三郎君) 日ソ関係につきましては、戦前の相互に保護をする義務のない状態に復るものと思いますから翻訳その他音楽の演奏等は自由にできるものと考えております。
  23. 岩間正男

    岩間正男君 無条約状態ですか、どういうのですか、まああとでお聞きします。
  24. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それでは岡崎国務大臣は退席してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 伺いますが、この問題を引続いて御質疑を願うか、又ここでこの問題をちよつと中止してほかの懇談の問題に入りますか、どちらにしますか。
  26. 岩間正男

    岩間正男君 これは私は国務大臣に要求したのですが、これは一時切つて頂いて非常に申訳ないのですけれども、あとで私無論この継続で今の御答弁に関することから始めたいと思いますけれども、併し懇談会で決定されている問題は相当重要な理由があつて昨日そういうふうに日程が決定されておると思うのでありますから、この際切替えて頂きたいと思うのであります。
  27. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) そうすると条約局長にとどまつてつてもらいましようか、どうしましようか。
  28. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 又改めて……。
  29. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それでは改めて連絡しますから、退席してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それではこれにて休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩    —————・—————    午後三時十四分開会
  31. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それでは委員会を再開いたします。
  32. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 本日の文部委員会が終りますと暫らく委員会が開かれませんので、当面若干の問題について御質問申上げたいと思います。  実は文部大臣に御出席つて質したいと思つたのでございますが、御病気で昨日も本日もお見えになりませんので、後刻お見えになる政務次官並びに局長に対して御質問申上げたいと思います。  先ず次官がお見えになつておりませんので大学学術局長にお伺いしたいと思いますけれども、お伺いいたしたい点は二十八日に講和条約発効するわけでございますが、これを境に我が国の各階層にいろいろな私は問題が起つて来ると思います。その中に教育界におきましても学生につきましても、いろいろな問題が起つて来ると思うのでございます。当面その一つを取上げまして大学の事件に関する一般的なことを伺いたいと思うのでございます。と申しますのは最近又いわゆる東大の第二事件というのが起つておりますが、この事件を具体的に私取上げるのではございませんので……。    〔委員長退席、理事相馬助治君委員長席に着く〕  例えば北海道にも、或いは京都にも、最近では教育大学にも、東大の第三事件と、いろいろ事件が起つておりますが、これらは全部関連性があると思うのでございますが、結局文部省の私は怠慢が責められるのではないか。と申しますのは先般東大事件が起つたときに参議院文部委員会としては一つ結論を出して文部大臣に書面によつて善処方を要望し、それに対するところの回答を要求してあるのでありますが、それらに対しまして大臣から本日まで何らの回答がない。如何なる努力をされているのか、これが今度の第二の東大事件にしましても、次官通牒の趣旨というものが大学側にも警察側にも十分徹底しており、更にパトロールにつきましても、これは東大に限つたことではないと思いますが、大学側と警察側の話合いが十分徹底しておれば、こういう事件というものは私は起らなくても済むと考える。我々といたしましても東大を視察したのでありますが、ともかく双方とも正常な心理状態にあるとは私は考えません。そういう点で私は文部当局の怠慢が責められるのではないか。こういうふうに考えるわけでございますが、先般来どういう努力をされたか。更にさつき私が申上げましたような事柄を徹底的にやる意思があるかどうか、それによつて私は或る程度こういう問題の発生というものは防げると思いますが、こういうことを御答弁願いたいと思います。
  33. 相馬助治

    ○理事(相馬助治君) ちよつと稻田局長答弁の前に……。矢嶋さん今委員部の報告によりますると、文部大臣からはその問題について回答が来ているそうであります。ただ法務総裁から来ていないために、これを委員会に諮らなかつたのだそうです。
  34. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 文部大臣から文部委員長に対しまする御回答につきましては、只今委員長からもお話通りでございます。我々といたしましては文部委員会の御勧告もございまするので、その後警視総監との間におきまして種々基本線についてはお話合いを始めておるわけであります。未だ結論には到達いたしませんが、十分両省協調いたしまして、こうした問題について今後の誤解或いは過ちのないように心がけておるような次第でございます。    〔理事相馬助治君退席、委員長着席〕  一面国立大学長協会の理事会等の機会を通じまして文部省の意向を大学にもお伝えいたし、大学と又各地々々の警察当局との間に十分お互いに理解し合い、お互いの間の誤解を一掃いたしまして、事故の起らないようなことは要望いたしておるわけであります。ただ今回のいわゆる第二の東大事件につきましては、すでに大学当局は本郷校内における。パトロールは大学当局が容認しているのだ、これについては学生が誤解しないようにという学内達示を明らかにいたしておるわけでありますが、一部学生がその達示あるにもかかわらずパトロールについて問題を起しましたことは、一部学生が大学の指示に従わないことから始まつた運動と我我は考えます。従つてこの点についての大学当局の措置は一応できておつたと考えられるのでございます。又大塚における東京教育大学の事件は、これはまああそこにパトロールを入れていないのでありますが、たまたま校内に用事のありました警察官が掲示板を見てそこを写したというようなことから起つた事件でありまして、これにつきましては警察当局もその行動が行過ぎであることを陳謝いたしておるわけでございます。これらの両事件等は文部委員会においてお示し頂きました基本線の未解決というような問題から発したものとは思つてないのでございますけれども、我々といたしましてはこうした類似の事件が発生することを恐れまして、なお今後十分大学当局とも御連絡し、又警察当局とも御協議して参りたいと考えております。一応御答弁いたします。
  35. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 全般的に考えまして、こういう誤解に基いたつまらない事件が起らないように今後も全国の各大学に次官通牒の趣旨、更には学内のパトロールの必要の有無、並びにそれらの範囲について十分学生側にも更に警察側にも十分徹底するように更に努力を切に要望いたしておきます。その努力を怠りますというと、今後こういう問題が全国的に私は派生して来る虞れがある、こういうふうに私は考えますが故に強く要望いたしておきます。  次にお伺いいたしたい点は、従来大学にありましたところの自治会或いは都学連とか、全学連とか、こういう純然たる学生団体というものは従来団体等規正令による届出の義務があつたのかどうか、それを伺いたいと思います。
  36. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 学生側が学内におきまして教育活動として活動いたしまするいわゆる自治会その他の名前を以てする団体が非常に多うございますけれども、これは別段届出は要しないのであります。ただ政治活動を目的とする団体でありますような場合におきましては、届出を要した次第でございます。
  37. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 団体等規正令の趣旨からそういう点御尤もなことで私も承知しておることでございますが、その政治活動を主とする団体が届出をする、これは団体等規正令の趣旨でございますが、それによつて届出をしていた学生の団体というのはどの程度つたろうか、更には或いは団体等規正令によつて解散の処分を受けた団体があつたのか、なかつたのか、その点を伺いたいと思います。
  38. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 当初におきましては共産党細胞その他政治目的を有する団体の届出があつたわけでございますが、その後各大学とも学園の中立を維持するという見解を以て政治目的を有する学内団体を認めない方針をとつて来られましたので、今日のところ各大学を通じまして学内団体としてはそうした種類のものがなかつたと考えております。又一面解散を命ぜられた団体、法的に解散を命ぜられた団体はないと記憶いたします。ただ学校の方針によりまして解散いたしました団体は多少あつたかと思います。
  39. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは次にお伺いいたしたい点は、現在破防法が国会審議されておるわけでございますが、この破防法は提案理由に示されている通りに、この団体としての行動を取締るように規定されているわけでございますが、これは学内において学生が結成しているところの団体に対しても大学の当局の手を経ることなく直接に適用されるものかどうか、どういうふうにお考えになつておられますか。
  40. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 破防法の規定の適用を受けますような状態に達しまする学内団体の存在を予想しての御質問でございまするが、これは学校の教育上の方針といたしまして、そうした事態に立至るような団体の状況の存在を学校は恐らく許さんだろうと思います。ただそうした場合を万一仮定いたしました法の適用につきましては、法の解釈といたしましては勿論学校当局がその間に介在することを予想してないのでございますけれども、やはり一面においては学生学長の管理権、又特別権力関係の対象におかれておる団体でありまするし、一面教育の自主性乃至は学園の自由というような見地もありますので、恐らく行政上の措置といたしましては法の直接適用前におきまして、十分学校当局との連絡があるべきものと予想せられております。
  41. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 局長はそういうことを答弁されますが、この破防法に例えば「将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる」ほか云々というような規定もあるわけですね、併し学生の団体が学園にあるというような場合に、その団体がこういうような認定をされた場合には直接に公安調査官が調査をするなりしてそういうことは適用されるということは予想されると思うんですが、そうお考えになりませんか。
  42. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) その前にお答えいたしましたことを補足いたしますれば、学校当局が教育上の責任におきまして御引例になりましたような条章の適用のあるような状態に立も入らしめないという努力をするのであるということが第一番でございます。その次におきましていよいよその取締当局がそうした法律の適用をしよう、こういう段階の以前におきまして十分学校当局に御連絡があるべきことを予想してお答えいたしたわけでございます。その上に究極の段階におきましては、これは直接取締当局が手を入れられるということもあり得ることでございますけれども、そこに至らしめない努力が教育の性質上取締当局においても学校当局においてもあるべきものだと考えております。
  43. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この破防法が国会に提案されて全学連では二十八日を期して破防法反対の何らかの行動を起すということを議決し指令を発しておるようでございますが、大学によりますというと、この破防法に反対だというような運動は許さない、こういう立場から学生に対しておる大学もあるようでございます。私考えまするのに、この法案を提出した政府は木村法務総裁を通じて提案理由説明し、いわゆる刑法に謳うところの内乱とか、騒擾、そういう表現、或いは狭義における破壊活動、そういうものの団体行動を取締るのであつて、決して民主的な労働組合の運動を制約するとか、或いは基本的人権を侵す、侵害するようなことは絶対にないのだ。こういうような説明をせられておりますけれども、反対する側としては、御承知通りにこの法を運用する人が時代と共に変つた場合に、或いは民主的な団体の行動を抑圧することの虞れがあるし、更には憲法に保障されておるところの基本的人権の制約、或いは侵害の虞れがあるという立場から反対しておるわけです。そういうことを考えるというと、先ほど私若干御質問申上げましたように、これは大学の学生といえどもこれは無関係じやないと思うんです。この法案については相当私は関心があると思います。そうなりますと、成年に達した学生諸君が破防法というものは自分は反対である、かくのごとく修正して然るべきだという運動をすることを一方的に大学は抑え付けるというところには私は問題がありはしないか、こういうように私は考えておるんですが、局長はどういうふうな御見解を持つていらつしやいますか。
  44. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 大学の学生が破壊活動防止法案につきまして、相互に研究し、相互に意見を闘わせる集会を持つということはこれは許しても差支えない、或いは許さるべきものだと考えております。併しそこに一つ結論を出して、それを目標に学内或いは学外に及ぶ学生運動としてこれを取扱いました場合はこれは学生の政治活動になるという見解を私は持つております。学園はそもそも政治的に中音あるべきであつて一つの政治目標を掲げてその下に全学生を組合、或いは全学生を組合し得たかのような偽装を以て社会に活動するというような行動は、学園の中立を維持し、或いは学問研究の自由を保持するゆえんでないので、そういうような見地に立つてそういう方向に活動が向う場合には学校当局はこれを禁圧するということは私は適当な措置だと考えております。
  45. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは学生又は学生の団体が学校以外においてそういう運動をやることは如何ですか。
  46. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 学生が個人として学外においてそうした運動に参加するということ、これにつきましてはいろいろ見解もございましよう。学生のあり方としては或いは不適当だ、或いはその程度はよろしいという問題もあろうかと思いますが、我々といたしましては学生のあり方として学生が学外においてもそう積極的な政治活動をやるということは、そう望ましいことだとは考えておりません。それのみならず或る大学の学生が全部的にこの法案に対して反対の結論を得たとか、極く少数の学生集会の決議を以て学校の決議なりというような仮装をして政治活動をやるというような点につきましては最も好ましからざる運動であると我々は考えております。
  47. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 局長が後段にお話なつたようなことが事実だとすれば私もその点は同感です。併し学生がこの法案をよく調べて、さつきの質疑から私考えますのに決して無関係のものでないとすれば、あなたの主観で教育上は適当でないというような見解が立ちましても、法律的には学内において個人であろうが団体であろうがそういう思意表示をするということは、私は何ら差支えないと思います。要するところ学内においては教育の場でありますから或る程度制約もありましよう。が学外においては法律的には私は何ら制約がない。いずれの場合といえども、殊に学外の場合においてはああいう年輩の学生に対して必要以上に言論とか集会とかいうものを抑圧するということは却つて反挺を招いて面白くないのじやないか。やはりいろいろの自分らの関係あるものについて意見を持てば、それらの意見というものはやはり十二分に討議において発露させるということはこれは指導の立場において大事じやないかと存じますが、そういうことについてどうお考えになりますか。
  48. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) その点前にもお答え申上げたと思いますが、こうした問題を掲げましてお互いの間において討議をと、意見を交換し合う、研究するということはこれは結構なことだと思います。ただこれを一つ結論を出そうという点に非常に焦りましたり、或いはそこに極く少数の集会でありながら全学的な決議を出そうというような動きは、これは学園の中立を維持するゆえんからは反対である。そういう点は好ましくないと考えております。
  49. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 一応この問題はここで打切りまして、次に政務次官にお伺いいたしたいと思います。大臣にお伺いいたしたいと思つたのでございますが、大臣がおいでになつておらないので政務次官にお答え願いたいと思います。  二十八日平和条約発効して我が国はともかく独立することになるわけでありますが、この平和条約発効を期して政府のやられんとしておるところの行事については了承しておるが、文部省としてはどういう行事をなされる予定であるか、何かあるか、ないか、或いはどういうふうなものやる御予定であるか、それを承わりたいと思います。
  50. 今村忠助

    政府委員(今村忠助君) 二十八日には文部省として特に指示したことはございません。
  51. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私はこの際に次官の、次官と申しましても文部省としての御所見を承わりたいと思うのでございますが、と申しますのは、私は現在の我が国の状態において考えまするのに、次のようなことをお伺いいたしたいのです。と申しますのは、憲法の第九十九条にこの憲法を尊重し擁護する義務があるということを明記してあるわけでございますが、そうしてこの教育基本法の前文に、我が国の教育というものは御承知通り教育基本法から打出されておるのですが、この前文に「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の現実は、根本において教育の力にまつべきものである。」こういうふうに前文に謳つて日本の憲法の精神に則つて教育のの目的云々と、こういうふうに謳われているわけです。これに基づいて我が国の教育が行われておるのでありますが、現在の我が国の置かれておる情勢から言つて私はこの平和条約発効を機に政府をして、政府の代表者である総理をしてこういう精神に副つた国民に対する談話を、我々は憲法を飽くまでも守つて行かなければならない、而も文化国家を指向して来た。而もそういう文化国家であり、民主国家を建設するには教育に基本法があるのだ、国家国民はこの方向に邁進しなければならない決意を新たにしなければならんというような国民に対して談話を、こういうものを私は出すのは我が国の置かれておる現在の情勢からも必要ではないか。こういうふうに私は考えるのでありますが、総理をしてそういう談話を発表させるような意思はないか、若しそれがないとするならば少くとも文部大臣の談話として教育界にそういう談話を出されることが必要ではないかと思うが、その点をお伺いしたいと思うのであります。
  52. 今村忠助

    政府委員(今村忠助君) 誠に同感でありまして、二十八日ではありませんが、五月三日にさような催しと言いますか、ことをいたしたいと準備されておると思います。即ち総理大臣、最高裁判所長官、文部大臣、この三省がお話のあつたように独立日本立場を明らかにし、又国民に新らしい日本を建設して行くという決意をもたらすと言いますか、起させるというような講演と言いますか、講話と言いますか、いたすよう、準備しておるはずでございます。
  53. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 では是非私さつき申上げましたような趣旨に副つて善処されるよう要望いたしておきます。
  54. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ちよつとその問題に関連して一言だけ要望しておきたいと思います。今、政務次官のほうからそういう考えがあるということでしたが、矢嶋君の質問は、憲法の精神を再確認して、そうして日本の将来の方向というものを明確にして行く、そういう立場に立つて総理大臣並びに文部大臣国民に呼びかけるべきではないか、こういうことであろうと思う。で、そういう内容がずれて来れば却て私は非常な弊害を持つて来るのではないかということを心配するのです。そういう点についてはどういうふうなお考えでしようか。
  55. 今村忠助

    政府委員(今村忠助君) 政府の側でいたす総理の演説というようなことについては内容をまだ承わつておりませんし、又最高裁判所長官の演説の内容等もまだ伺つておりません。ただ文部大臣として新らしい独立の日を迎えて決意を新たにするという意味の講演をしてはどうかということを我々も進んで申しまして、さような決定もいたしたのであります。詳しく憲法の条章等にも関連を以て今御希望の向きのものが具体的に入つているかどうかという点については、まだ確かめておりませんけれども、先ほど来概括的ではありますが、講和の日、独立の日を迎えてのまあ当然この憲法の下に行われて行く国民活動というものに対して、文部大臣としての所信というようなものを申述べるものと私は信じているのでありまして、詳しくその内容に触れてはまだ聞いてはおりません。
  56. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私の御質問申上げるなり、要望した点は今荒木君から話された通りのものでございまして、当然文部大臣、或いは総理から談話を発表するならば、その基本線を外れたものでは私は意味がないと思います。現在の我が国の情勢から言つて私先ほど申上げたような趣旨による談話が最も私は大事なものであつて、むしろそれが歪曲されたものならば却つて出さないほうがいいと、かように考えるのであります。速記も十分御覧頂いて、その線によつて善処されるように強く要望いたしておきます。  次にお伺いしたい点は、大臣お見えになつておりませんが、実は式典に歌われるところのいわゆる式典歌というものは、曾つて委員会で問題になつたものでございますが、この式典歌を今後まあ式典のあるたびに歌つて欲しいという気持ちなのか、或いは今度の五月三日の式典に限るものか、その点と、それから当時いろいろ問題になりましたけれども文部省は解説書を出されたようでございます。で、更には当時大臣はなぜこういう歌を制定に当つて公募なさらなかつたかという私の質問に対して、公募ではいい歌ができんから、だから斎藤氏に頼んだのだと、こういうふうに言われたのであります。その後新聞で拝見すると、今度国民歌を公募する、こういうことを承わつたのでありますが、国民歌公募の考え方があるのかないのか。その国民歌というのもやはりこの解説書をつけて国民に発表されるおつもりであるのかどうか。で、国民歌とこの式典歌との関連性、そういうものを承わりたいと思います。
  57. 今村忠助

    政府委員(今村忠助君) 式典歌は五月三日、独立を祝つての日、歌うということを第一に考えてありますが、幸いにしてできもよく一般にも普及して、式典の際今後も歌われるというようなものであればいいというような意味に当然考えたのでありまして、特にこの式典ごとに歌うべしというような強い意味で考えて作つてはおらんと思うのです。なお公募せずして斎藤氏に頼んだというのは、いろいろ省議の際には公募すべきか、或いは又権威ある人に頼むべきかという案が出たのでありまするが、第一は時間的に無理である、そうして公募したものの中に幸いにしていいものもあり、多少手を加えて済めばいいけれども、簡単に言えば集まつて来たものの二つなり三つを適当な人に依頼して一つに合せなければならないというような事態ができると、どうも五月の初めまでには間に合わんのではなかろうかというような意見等もありまして、結局やはり権威ある人に頼むのがいいのではないかというような意向にきまつてつたのであります。それを承知いたしまして大臣から依頼されたと、このように私は承知しているのであります。今後国民歌というものを別に公募するかどうかという御質問でありますが、これについてはまだ私詳しく決定したというようなことはないと思うのでありますが、まだ承わつておりません。ただ国民歌というようなものを今度作るとしたならば、公募して広く一つ考えてはどうかというような意向があるということだけは私も承知しているのであります。
  58. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あと事になつてはつまらなくなりますので、こういう要望をしておくわけですが、式典歌の場合でも一応頼んでできたものだから、大臣は内心幾らかお考えになつたかも知れませんが、強引にあの歌を出して、そうして国民に歌つて欲しいというような意思表示をされているわけであります。今度又国民歌の制定の考えがあるやに承わるわけでありますが、そういう場合にはその国民の歌、或いは式典歌との関連とか、或いは我が国の現代の国語政策との関連性というようなものを十分考えて頂いて、更に要望申上げますならば、解説書附の歌にならないように十分善処して頂きたい。一応歌を制定してしまうというと、あとでなかなか本当に国民の歌というのは得られませんので、前以て要望いたしておきます。  それから次にお伺いしたい点は、この際暫らく事実上の休会に入りますので、先ず要望しておきたいのでございますが、我々立法府におる者が法律を作つた場合に、それに基いて行政府でその法を運用した場合には、前にも私要望したのですが、適時に御報告願いたいと思うのです。例えばこの東大の問題にしてもあれだけ問題がありましたが、今度のような事件が起つた場合は率先して報告して頂きたいと思うのです。私まあ今度要望しておきたい点は、あとで質問もあるのでございますが、産業教育振興法を我々が制定した場合に、中央教育委員会委員の構成なんか随分立法過程において議論になつたわけでありますが、それらをどういうふうにきめたと、審議過程における委員会の意向をどういうように尊重してきめたというような御報告を頂いていないわけであります。更に先般私立学校振興会法というものが制定されて、この役員について、或いは評議員についても相当議論され、要望されて法案が成立しているわけなんでありますが、これらについても我々には我我の審議過程における意見というものはどういうふうに尊重してやつたということも、何らの報告を受けていないわけであります。そういう点について今度、来月六日頃委員会を開かれたときは是非報告して頂きたい。  次は質問になるわけでありますが、我が国の現代の教育界というものは非常に不安定な状況にある。この不安定というのは結局文教の府であるところの文部省が或る程度責任を負わなくちやならん。やれ六三制がどうなるとか、やれ教科課程についても考えるんだというような構想を早くやる。そこでその教育者並びに非教育者がそのうち変るんだ、そのうち変るんだというような気持で常にいる不安定な状況にある。私はそう見ている。で、その一つの問題として、先般来大臣はいわゆる大臣の最高の諮問機関として中央教育審議会というものを設置して、そうして自主独立後の我が国の自主教育の方針を立てるというようなことを委員会答弁されておるのですが、当時審議会はすぐ発足すると言つたけれど、私は発足したということを未だ承わつていない。その点についていつ一体これは発足するのか。更にはこれらの人選についても再三再四委員会において我々はいろいろの要望をいたしております。官界からも必要であろうし、民間からも必要であろうし、女子教育界からも必要であろうし、理論的な方面の人ばかりでなくて、実際技術方面の人も必要であろう。あらゆる階層を網羅して欲しいというようなことも要望しているわけなんでございますが、未だにこの中央教育審議会は発足していないと思うのでございますが、それらについて現在はどういうふうに運ばれているのか。これは一日も急がなくてはならない問題であると思う。二十八日は平和条約講和条約発効するという段階に……なおこういうふうに未決定にあるということは、私は文教府の責任を追究されて然るべきだと思いますが、こういう点について御答弁願いたい。
  59. 今村忠助

    政府委員(今村忠助君) 御質問のうちの先ず第一点の、立法府で決定したものを行政府で行なつた場合報告すべきではないかという御意見は、政務次官としても御尤もだと思います。私も委員としてしばしば政府側に要求した点でありまして、この点は努めて、従来の習慣もそうであつたのでありましようが、質問がなければなかなか答えないという一つの傾向にあつたかと思います。これはできるだけ一つ進んで報告するようにいたしたいものと先ず考えます。なおこれにつきましては、御遠慮なく報告を希望される向きのあることを強く御要求頂きますれば、速かに御報告できるよう資料等用意させるつもりでおります。次に、教育界が不安だという点は、私もそういうように一応考えております。その点はどういうわけかと申しますと、何と言つて占領されて、進駐軍が来て管理された。その結果教育方面は非常に大きな変化を余儀なくさせられたと思うのであります。これがいよいよ独立いたすことになりますれば、当然改められてよかつたというものも、もとよりありましようけれども、又日本独自の立場で考えなければならんというものもあると思うのであります。従つて文部大臣は中央教育審議会を設置して、今後の日本の教育をどうして行くかを諮つて、それに基いて教育方針というものを確立したいと、こういうように常日頃言うておるのでありまするが、今なぜ中央教育審議会を速かに設置しないかという御請求でありましたが、これは文部省設置法の一部改正というものが通りませんと、実際に移すわけに行かないのでありまして、それを待つているような次第であります。もとよりこれらにつきましても、今後慎重に省内でも研究し、準備いたさなければならん向きもありますから、通つたなら即日とか、近くというわけに行かん点もあるかと思いますけれどもいずれにいたしましても、文部大臣は独立後の日本の教育方針というものを確立したいという一つの信念に燃えてこれらのことを準備いたしておるのであります。又義務教育費国庫負担というようなものも、この際憲法にある通り、はつきり確立いたして参りたいというのも、共に文部大臣の就任以来の念願であると承わつております。我々できるだけかようなことが実現するよう協力いたしておるわけであります。暫時その間一つ御猶予願いたいと考えております。
  60. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 教育の問題を持ち出すたびに、大臣は中央教育審議会、中央教育審議会、それに諮つてからということを答弁して来ておるわけです。それでずつと前に、私は文部省設置法の一部改正をやらなければならん、これをいつやるかと言つたときに、四月当初から発足するようにいたしたいと言つている。その設置法の一部改正の法案というものが国会に出ていないと思う。出ておりますか。
  61. 今村忠助

    政府委員(今村忠助君) 参議院は内閣委員会にかかつておるということです。
  62. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それからこれに関連して、人選の問題は各方面の意向を聞かれてやる用意があるのかどうか。御承知のように終戦後は教育刷新委員会において重要な文教政策をやつて来たわけですが、当時は民主的な職員、団体の代表も入れて、そうして教育刷新委員会の名前において我が国の文教政策についての最高の諮問機関としての役割を果して来たわけですが、そういう点あたりにつきましても、どういうふうにお考えになつておるのか。大臣が委員を任命してあとからでは問題になりませんので、再三お伺いすることになるのですが、どういうふうにお考えになつておるのか、この際念を押しておきたいと思います。
  63. 今村忠助

    政府委員(今村忠助君) 私が大臣から聞いておる点では、非常に真劍に、仰せられるような点を考えておるようでありまして、単に教育者だけでなくつて、各方面の学識経験者ばかりでなく、それ以外あの人からも委員に入れたいという考えは持つているようでありますし、又先ほど申す通り、真劍にそれを考えている。まだ具体的なものは聞いておりませんが……。
  64. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いずれこれが内閣委員会にかかつているならば、文部委員会でも協議して或いは連合委員会とか何とかで審議いたしたいと思いますので、その点は一応打切りまして、丁度次官は政務次官ではあるし、同時に与党自由党の御出身でありますので、御答弁頂くには都合がいいものと思うのでございますが、教育界は不安定である。それらの一つの例としましても、例えば教育委員会法を取上げましても、御承知のように今年の十一月一日はあらゆる市、あらゆる町村は設置しなければならないとこういうことになつているわけでございますね。従つて二十七年度の予算編成に当りましても、市或いは町村で設けようというところは予算編成の上で十分苦慮したわけなんです。ところが今まで教育委員会法の改正については、教育委員会制度協議会のその答申を待つてやるのだ、その時期というものは二十六年の秋頃までには結論が出るということを文部大臣は始終答弁して参つて、本日まで何らの形においても出て来ていないわけなんです、国会にですね。一体この教育委員会法の改正というものを本国会に出す考えがあるのか、或いは夏開かれるであろうと言われているところの臨時国会でやられるつもりなのか。これは議運でもよく問題になるのでございますが、政府として重要法案をまだ出して来ない。文部省のほうは今日法案を出して来ない。そういう怠慢は責められると思うのでありますが、会期も迫つて来たことだし、どういう考えでいらつしやるのか。こういう点をはつきりすることは、私は教育界を安定させる一つの大きな要素だと考えますので、丁度次官は与党自由党の出身でもありますので、お伺いするわけです。
  65. 今村忠助

    政府委員(今村忠助君) 実はこの教育委員会法一部改正と言いますか、改正したいという点について、文部省としては取りあえず一カ年延期してはどうかという一応考えは持つておるのであります。そうしてこれを国会に出したいということは前から準備して考えてもおつたのでありますが、御承知のように、義務教育費国庫負担法という大きな問題がいろいろ論議されておるときでありますので、多少時間が過ぎたというに過ぎないのでありまして実は明日文部の関係の者と、衆議院の、実は明日は自由党だけであるかも知れませんが、政調会の文部関係の人と、この教育委員会についての懇談をすることになつております。今申しますように教育界の不安のものを、何とか独立を機会に確立して参りたいという大臣並びに文部省の考えはこれらの点一貫しておるのでありまして、教育委員会法をどういうように直して行くかというようなことも将来できます中央教育審議会あたりの意向をも斟酌いたして、そして何かよい点を見出して参りたいというように考えているわけでありまして、それには一応本年は十一月末に設けなければならん、町村に亘つて委員会を設けるというような今の法律を実施しなくても進めるように取りあえず一年間延期したい。こういうように一応考えております。そしてこれは明日から衆議院のほうへは説明いたすことになつております。
  66. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点は早急に処理されるように要望いたしまして、次の点は質問になりませんが、次回の委員会開会までに答弁されるように要望いたしておきます。それは先般私は文部大臣に、来年度ルーマニアで開かれる世界卓球選手権大会に外貨の割当がないために、四つの世界選手権を持ちながら参加できない。スポーツには国境はないのだから、外貨でも僅かで済むのだから、この割当について善処すべきだという質問をしたのに対しまして、大臣は善処されるという答弁をされたわけです。又その参加の必要性も認められたが、本日まで何らの答弁がないわけなんです。この点について是非正確な御答弁を次の機会までに頂きたいと思います。私承わるところによりますと、真偽のほどは知らないが、こういうことを承わつておる、ルーマニアはカーテンの向うだ、従つてそこに開かれるところのスポーツ祭典にも参加してもらいたくないという立場から外貨が割当てられないんじやないか。そこで日本卓球協会のほうでは、ルーマニアじやなくて、英国で開かれるならば、日本政府は参加を許可するらしいから、そこでルーマニアで開かれるところの世界卓球選手権大会を英国ロンドンで開いて欲しいというところの要望を、世界卓球協会に要望するらしいというようなことを私は間接的に承わつておるわけです。これが事実だとすると、私は笑止の至りだと思う。或いは又ルーマニアには派遣しないが、外国の卓球選手を日本に、こちらに招きたい、その招くのについては外貨は出そうだというような事柄も間接的に私は承わつているわけでございますが、それらの真偽ですね、それと大臣はこれに対してどういう御努力をなさつているかという点について、次回に正確な御答弁を私は願いたいと思います。  で最後にお伺いいたしたい点は、初等中等教育局長お見えになつているだろうと思いますが……。
  67. 今村忠助

    政府委員(今村忠助君) それではその点わかつていますからお答えいたしましようか。実はこちらに出ますとき、係の者から、矢嶋委員からの質問があつて、大臣答えるべきところを代つて答えて欲しいということで、途中選手のルーマニア派遣の件について大蔵省との折衝した経過を聞いて参りました。それは第一御承知のように、為替関係でルーマニアというのがポンド地域でもドル地域でもない、それから第二段には、貿易関係も、殆んど蓄積というものは持たないのですが、その他の点においてない、従つてどうしても選手、僅かの選手を派遣するにしてもその外貨を得るに非常に困難をするというのが大蔵省の側の、いわゆる卓球協会からの希望を容れられない点だと、こういうように承わつております。又次の英国で開かれるかどうかということについても聞いてないのでありますが、英国の選手を日本に招聘してはどうかという又卓球協会の希望は、大蔵当局では、英国でありますれば、何と言つても直接貿易関係もあるから、都合つき得るので、而も約九百ポンドと言われておりますので、この程度なら英国からの選手の招聘はできるだろう、こういうふうに折衝した者から承わつて大臣に代つて矢嶋委員にお答え願いたいということでありますから御報告申上げます。
  68. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ということは、来年ルーマニアで開かれる世界卓球選手権大会には、日本代表は参加できないということを断定したことになるのですか。
  69. 今村忠助

    政府委員(今村忠助君) 今為替関係で不可能であるというように大蔵省は言つておるのでありまして、文部省としても止むを得ないことだと、かように考えております。
  70. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それではその程度聞いておいて今少しく研究いたして見たいと思います。  最後にお伺いいたしたい点は、先ほど私は平和条約発効記念日についての行事を承わつたわけなんですが、それに関連てし私はこういうことを聞いているのです。条約発効を機に、文部省は我が国の徳育教育に筋金を入れたい。その一つの手段として名前は何か知りませんが、曾つて一応顔を出した実践要領というようなものを、そのままか、或いは形を変えるかも知れませんが、出される準備を行事の一つとして考えているというようなことを承わつておるのですが、そういう計画はあるのでございますか。
  71. 今村忠助

    政府委員(今村忠助君) 今初めて承わることでありまして、文部省としてさようなことを計画いたしておるとは聞いておりませんし、私扱つておりません。
  72. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 もう一点お伺いいたしたい点は、漢文教育の必修ということが輿論の問題となつて委員会でも参考人の意見などを徴したのですが文部省側からその後何らの意見を承わつていない。ところが都道府県教育委員会から国立高等学校長に対して、田中局長の名前で通牒を出されているわけですが、これはいわゆる大臣が言われておつた漢文教育の必修との関連性があるのかないのかどういう趣旨でこれを出されたのかそれを承わりたいと思います。
  73. 今村忠助

    政府委員(今村忠助君) これは従来の五時間の国語の中には適当な漢文を入れて行くべきだという趣意のものが入つてつたのでありまして、それを明らかにすると言いますか、ために局長通牒となつたと思うのであります。そういうようなわけでありまして、必ずしも大臣が漢文をこの際この五時間の中でどういうふうにせよという一応の何と言いますか、処置したというのではございません。従来あつたものをわかりよくいたしたと了承しておるのであります。でこれらにつきましては、先ほど来申します通り、大臣といたしましては、中央教育審議会等に諮つて日本の独立後の教育を確立するという大きな建前の中から漢文のことも、その他の科目についても考えて行きたいと、これらのまあ教育審議会等の御意向等を斟酌して一つ方針を定めたいと、こういうように大臣は考えておるようであります。
  74. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その後段のところは了承できるといたしましても、この私は現場ではこれは相当困つておるのではないかと思うのですね。と申しますのは、只今次官は国語が必修の五時間の中には漢文が入つておるのだ、そういう点の説明をされた。その点私は結構だと思うのです。今の教科科目の編成について十分徹底していないと思う点、考えられる点、具体的に言つて国語の必修の中には漢文も入つておるのだ、だからその漢文も取扱うようにという説明をなされるということは結構だと思うのであります。そのお考えだとすれば、この通牒の次に選択のところに持つて来て漢文が選択を是非に取つて欲しいというようなことを言うということは、これは今言つた基本的な線から外れておるのではございませんか。殊にこの中には普通課程においては事情が許す限り選択として漢文を取つて欲しい。それから特にこのあとのほうで人文科学に進む者は是非とも取つて欲しいというような、今の高等学校の教育ということは、御承知のように選択制に最も特徴があるわけなんですが、それを制約するような通牒を出すということは、これは私は現場を混乱させるものである。更には次官が冒頭に言われましたが、現在の教科課程の説明の意味で出されたという点から相当私は外れておるのではないかと思うのでありますが、如何ですか。
  75. 今村忠助

    政府委員(今村忠助君) 詳しくは局長から説明させますけれども、一応当時考えたものは、今の制度でも漢文は取入れられるようになつておるのを何かそこにまあ実際面に当つているほうで十分理解しておらんのではないか、その点をまあ今のままでも漢文は五時間の必修科目国語の中で入れられるようになつておるし、又選択科目でも漢文が取れるようになつてるのであるから、それを取れば漢文必修教育ということを主張される側の成る者は、現在のままでも入れられるのだという意味の、まあ簡単に言えば、説明をしたものと解釈しておつたのでありますが、なおこの点は局長からも説明申上げます。
  76. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 政務次官から只今お答えされた通りでございますが、この後段の部分でございますが、いわゆる国語乙と相並びます選択の漢文については、その漢文科の意義をここでこの後段の前の部分で明らかにしたと了解いたしております。又後の部分において将来大学の人文科学系へ進学する者は、大学入学後の受講の上から云々という点でありますが、これにつきましては、先般来国立大学側に対しまして、文部省から、或いは又国立大学協会自体において、高等学校において学習することの望ましい科目は人文、社会、自然の各系列においてどういうものであるかということを各学部別に調査いたしたわけであります。そのうち大学の人文科学系、つまりこれは主として文学部でございますが、やはり漢文履修を要望するパーセンテージが非常に高かつたので、その点をここに明記されたものと考えております。
  77. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 局長が大学側の要望云云と言われますけれども、大学側の要望というのは、例えば理科系統だつたならば、物象ですね、数学も足りないということも非常に訴えられた、特に六十八でしたか、六十八単位取らなければ困るというように大学側は意思表示しておると思うのです。若しそうだとすれば、職業課程の高等学校の生徒諸君は実習などありますれば、現在の八十五単位、これが例えば九十五単位ぐらいになつても六十八単位というのはとれないと思うのです。そういうことは職業課程の高等学校を出た生徒に対しては、大学の門は完全に閉ざされる。実質上でもそういうふうになつて来ると思う。従つて大学側が大学で授業を、講義を展開して行くに当つて都合のいいところの、あの大学側の要望というものは、そのまま私は受取れ得られないと思う。その漢文の面だけをここに取上げて、漢文教育の必修が是か非かということが結論に出ないうちに、国語甲の中における説明をすることはそれは結構でございますけれども、それから一歩出て、こういうふうに通牒を出されるということは、これはちよつと一つ裏返しますというと、人文科学系の学科へは必ず入学試験にも漢文をやる、漢文を入学試験にやるぞということを私はやはりそういうふうに示しておるようにとる人も出て来ると思う。我が国の教育というものは、御承知のように、入学試験のあり方によつて右にも左にも動く影響を非常に受けて来ておるわけなんです。うつかりこういうような通牒を出すというと、これを漢文教育の是非のわからないときに、普通課程の生徒の全部に対して大学の入試にそういう漢文が出て来るから、それに備えて受験準備的なものが行われるというようなことになりますというと、私は今のこの課程の中における国語教育を誤らしめると私は考える。そういう虞れがこの通牒には私は多分にあると思うのですが、もう少しよく徹底するようにこの通牒を補足されるような、各学校に対して補足されるような意思はないかどうか、承わりたいと思います。
  78. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) ほぼ同じ時期だつたと考えまするが、別途に大学の入学試験に対する通牒が大学側及び高等学校の関連の都道府県の教育委員会に出ておると記憶いたします。そこにおきましては、漢文につきましては、これを加えてもよろしい、こういうことになつておるわけであります。そうして大学側におきましては一年前、つまり本年の三月に、明年の四月の入学試験の方針を明らかにするように要望いたしておりますから、高等学校側におきましてもどの人文科学系の学部に志願する場合には、そこに漢文があるかないかということはわかるわけでありまして、又その通牒の趣旨は決して漢文を出して頂きたいという意味合いの通牒ではないのでございます。その点につきましては、この通牒と相併せて読みまする場合には誤解はないかと考えております。
  79. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私はこれで質問を終りますが、要するに、二十八日の平和条約発効と我が国の独立を契機に我我が指向しておるところの文化国家建設、民主国家建設という基本線というものは、いよいよ推進しなければならない、その基盤がこの教育にあるということは何人も異論はないと思います。ところが現在の我が国の一般情勢を考えますというと、むしろ教育界は不安定であり、逆コース的な傾向があるのではないか。この際にそういう点を十分認識されて文教の責任立場にあるところの大臣以下文部省のかたがたは、その線に沿つて強力に善処して頂きたいということを要望いたしまして質問を終りたいと思います。
  80. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) ほかに御質問はありませんか。  それでは委員会を散会いたします。    午後四時二十一分散会