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1952-04-24 第13回国会 参議院 文部委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二十四日(木曜日)    午後一時三十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梅原 眞隆君    理事            相馬 助治君            木内キヤウ君    委員            川村 松助君            木村 守江君            白波瀬米吉君            山本 勇造君            荒木正三郎君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   衆議院議員            平島 良一君   国務大臣    国 務 大 臣 岡崎 勝男君   政府委員    人  事  官 入江誠一郎君    人事院事務総局    給與局長    滝本 忠男君    文部省管理局長 近藤 直人君   事務局側    常任委員会專門    員       石丸 敬次君    常任委員会專門    員       竹内 敏夫君   説明員    文部省管理局著    作権課長    柴田小三郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○連合国及び連合国民著作権特例  に関する法律案内閣提出) ○国立学校設置法の一部を改正する法  律案衆議院送付) ○教育及び文化に関する一般調査の件  (教育職員給與準則等に関する  件) ○小委員長の報告   —————————————
  2. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) これより文部委員会を開きます。  連合国及び連合国民著作権特例法案に関して岡崎国務大臣が御出席になりましたから御質疑のあるかたから御発言を願います。
  3. 山本勇造

    山本勇造君 著作権特例に関する法律案文部省提出ではありますけれども、著作権というものの性質から考えますと、これは国内的の問題だけではなくて国際的問題であるということ、それに平和條約に非常に関係を持つておりますので、前回実は岡崎さんに御出席を願いたいと思いましたところ御出席がなくて課長のかたがお見えになりました。なかなか有能ないい課長さんであつたのですけれども、併し如何にしても課長では答えられないことであつたものですから改めてお出でを願つたわけであります。  二、三お尋ねしたいのですが、第一には平和條約の十四條であつたと思いますが、これに「日本国に有利に取り扱うことに同意する。」という條項があるので、大変結構な僕は條項であると思いますが、併しこの「有利に」ということがよく我々にわからないので、その「有利に」というのをおきめになるときはどういう意図があり、又どういう含みを持つておるのか、或いは具体的にはどういうことをお指しになるのか、それらのことを一つお伺いしておきたいと思います。
  4. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 実は白状いたしますと私は平和條約ができた時分には官房長官をやつておりまして直接全部こういう問題に当つたわけでないのでありますが、併し間接的には当時からもいろいろいきさつは相談を受けて一部は承知しております。で、これは主としてイタリアとの平和條約の関連において書かれたのでありまして日本側ではこういう問題について今度の平和條約の中にはイタリアと比べて日本のほうが有利な場合もありますし、こういうところについては実は不利になつておると私は思つております。先方説明イタリアの場合は第一にコーベリジエラントであつて、何といいますか、共同交戰国であります、連合国と共同して戦争をした国である。日本の場合は純然たる敵国という形になつておるのであります。いろいろ六年もたつて事態が変つておるから和解と好意の平和を作るということではあるけれども、必ずしもイタリアと同じにならないという点が一つであります。併し我々はこの問題については、イタリアの條約はこれはたしか七十九條でしたかにあるようなそうい趣旨の文章で、つまりいろいろ連合国で処分されることのないようにしたいということ、或いは処分されておるものは回復されたいというので、それをかなり日本側では主張したと了解しております。ところが今言つたようにいろいろな事情からそう同じように取扱うのは困難であるという点もありまして、これは政治上の問題については戦後長くたつておるから有利に取扱われるけれども、こういう具体的の問題については必ずしもそうでないという趣旨と了解しております。併し更にイタリアと同様にできないという大きな理由は、かなり終戰以来時日がたつておるから、つまり戦争以来時日がたつてしまつておる、イタリアのように早く講和條約を作り出したという国と事情が違つておる。実はイタリア日本終戰の前から講和條約の話が出ておりまして、終戦の翌年にできたわけであります。従つて完全に処分をしてしまつたような国もたくさんある。そこで今更それを回復するといつても非常に困難だというような説明もあつたようであります。そこで結局有利に取扱うということになつておるのであります。それは私の考えでは今後各国相談いたしまして、協定等を作る場合にその国々事情によつて有利に取扱う程度は違うと思いますが、でき得る限りその国の事情の許す範囲においてはイタリアの條約と同様に扱うつもりであるという了解であると私は考えております。我々のほうから言えば無論その意味でいろいろ努力をするというつもりでおりますが、具体的にはまだ話しておりませんからどの程度それが実現するかということはここで具体的にお示しするところまでまだ行つておりませんが、要するに目標はイタリアと同様のところまで行こう、各国事情も異なるのでそこまで行くには凸凹するでありましようけれども、有利というのはそこまでが最大限度であるというつもりでやりたいと思います。
  5. 山本勇造

    山本勇造君 今のお話で私二つの点が考えられるのですが、大体イタリア前例があるからイタリア前例による、そうしてそれはこの間のときの條約の場合とそれから今後の場合とこの二つになると思います。最初にこの間條約を結びました場合のほうについて先にお伺いしますが、例えばイタリアのほうの場合だと第十五の附属書の(ハ)というものでは、問題が起つたような場合には一年の期間内で処理する、それ以後のものは問題に取上げないということになるのですが、日本の場合だとそれがないのですね。そうするとそういう点がイタリア前例があるにもかかわらずどうしてこれが日本には抜けておるのか。これが私たちの大きな疑問なんであります。
  6. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) その点は我々もイタリアに比べてこの点は不利であると考えております。併しその事情は先ほど申したように必ずしも同様に取扱われないという主張先方にかなり強く、これはアメリカというよりはほかの国でありますが、あつたようであります。結局時効の問題になつて参ります。戦争中の期間を除きまして普通の時効期間、つまり普通の時効期間プラス戦争中の期間、これが結局この日本の場合にはこの期間になつてしまう。ですからイタリアに比べて非常に長くなる。その点は残念であります。
  7. 山本勇造

    山本勇造君 それは非常に残念に思います。今後もそのためにいろいろ面倒な問題が今後は具体的に実際的に起つて来る可能性が多いのですが、仮に一年というのにしても面倒だと思うのですが、それが今度はこれだと期限も恐らくないのじやないかと思いますし、その点は少しばかりの不利じやなしに大変な不利じやないか。それで例えば賠償の問題では、あの局に当られたかたは非常にやられてイタリア以上に有利にやられた。それは我々感謝もするし、イタリアのように途中から向うに入つた国であるにもかかわらず、イタリア日本より悪い。日本は最後までやつたにもかかわらず却つて有利になつておるという点はいいのですけれども、併しそういう点が有利にされるならば、この問題はつまり戦争には全く無関係であり平和的な文化的な問題で非常に国際的なものだから、これなんぞこそは一番世界にわかつてもらえる。いわゆる賠償の問題は実はなかなかわかつてもちえないと思つたところがそれは非常にわかつてくれた。ところがこういうふうな平和的な問題がわかつてもらえなかつたというのは如何にも遺憾なんです、我々は。而も前例があるならば何とかこれは御努力が願えなかつたのか。又実を言うと、私は直接あなたに申上げなかつたけれども、文部省を通じまして昨年條約のずつと前に著作権の問題はいろいろ国際的な問題があるから是非努力をしてくれ、文部省から一つこれは外務省のほうへよく伝えてくれということまで私は申しておいたくらいなのですが、こういうふうなあんまりこれはむずかしくない、ほかの国も同調してもらえる問題だと私は思うのです。それがどうも抜けちやつたのは如何にも惜しいので、もう少し……幾ら言つてみてもあなた方をせめてみてもしようがない問題ですが、然らば今後どうするかという問題ですが、その問題を僕はあとでむしろ懇談的にあなたに伺えれば、速記に残さないで……、そのほうは保留いたします。それから同時に有利にというので考えられることは、おきめになる際に向うつまり連合国側のほうはいろいろ書いてありますけれども、戦時中において日本のほうの著作物も又向うで使われておる例がある。それは幾らも我々のような文学書でなくて殊に医学のなんかかなり使われておるように聞いておるが、こういうような戦時中の問題は向うとしてはどういうふうになるのか、それらについて何らかお話向うとなさるのか、又どういうようになるのか、それらの点もやはり伺つておきたいと思います。
  8. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは今お話の点、一々御尤もなんで、私はこういうことについては素人ですけれども、今後話して行けば有利に取扱うということがかなりまだゆとりがあるように思いますので、実際上の取扱いは多少御希望に副えるようにできるのではないかとひそかに思つておるわけであります。それから日本側のいろいろの問題、つまり連合国側で行つたいろいろの問題、これは著作権もあればその他の普通の商標だとかいろいろなものがあります。特許権とかいろいろのものがありますのでこれについても話合いはいたすつもりであります。そうしていろいろ下調べは多少いたしております。今後国際会議等も随分ありますのでそういう方面でもやつてみるつもりでおります。なお各国と個別的な話合いをしてみようと思つて考えております。これについては実は外務省だけではなかなかできませんので、無論国会のその方面專門家意見も聞きたいと思つております。例えばあなたがたの御意見も聞きたいと思つております。文部省からもいろいろ注文があるのでありまして、こういう問題はできるだけこういう專門的な知識のあるかたの意見も入れまして成るべく早く方針をとりまとめて個別的にでも話してみたいというふうに考えております。
  9. 山本勇造

    山本勇造君 それと関連するのですが、これは僕は本当か嘘か私個人が調べてないのでわかりませんけれども、ベルヌ條約には、御承知のように日本は特殊な扱いを受けておつてそうして初版発行後十年たてば随意に飜訳ができるというような有利な立場になつてずつと昔から来ておりますが、或るところから配付されたものによりますと、フランスでは日仏通商航海協定にあたり、当然の建前から我が大蔵省に対し最近次のような重要な申入れを行なつたというので今のような特殊なものを認めない方向へ向おうとしておる案が大蔵省のほうに来ているらしい。そういう事実は果してあつたのかどうか。或いは又これは大蔵省に言つて来るのが本筋なのか、外務省に言つて来るのが本筋なのかその辺も知りませんが、何かああいう特殊な問題を向うはつきりさせるというような意向のようにもみえるのですがその点如何でありますか。
  10. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) それは著作権の問題でありますか。
  11. 山本勇造

    山本勇造君 そうですね、フランス代表部より権威筋に伝えられた確実なる情報によれば、著作権関係相互主義に基く内国民待遇によつて律せられること、その結果飜訳権十年の規定などお互いに如何なる留保條項をも附し得ないこと、次に占領中のあらゆる著作権使用契約が條約発効後も引続いて有効であるという措置日本政府は講ずることなどがその主要な内容である、こういうふうになつております。或いは通商航海條約その他の問題もあるのだろうと思いますけれども、これは日本著作権協議会という方面から私の所へ来たもので或いは著作権だけ抜き出しておるのかも知れません。
  12. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 外務省ではまだそれは実は聞いておらないのでありますが、今文部省に聞きましたら文部省もその点は知らないと言うのです。大蔵省にも確めてみましようが大蔵省に持つて来る問題に思えない。今後我々はむしろ西欧の文学その他は日本としては飜訳して国民に余計知らせることを希望するので特に飜訳等については強い主張をしておつたのでありますが、戰後においてもその事情はまだ変らない、むしろ余計必要になるかも知れないので、この点はやはり日本立場を認める限りは我々の要求、希望のようにしてもらうべきであろうと思いますし、そういう点でそう無理なことはないと思いますけれども、更にこれは大蔵省確めましてはつきりいたします。そういうことはちよつと私どもは簡單に申出があつてもそうおいそれと承諾するわけには行かんと解釈しております。ちよつとよく調べてみないとわかりませんが。
  13. 山本勇造

    山本勇造君 今までお取極めになつたことについては甚だ遺憾に思つておるのですが、取極められてしまつたことを直せということも国際的に困難なことだと思いますが、ただ私たちは一方で有利に取扱われることは十四條になりますが、これがどれだけ生かせるかということに、その点に我々希望をつないでおるわけであります。場合によれば速記をとめてでも何とか承われれば有難いのであります。
  14. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 実はどういう内容について話そうかというところまで具体的にいたしておりません。これは山本さん、その他の御意見を伺つてやろうと思いますが、主として文部省からはつきりした意向を伺いまして、それを外務省のほうもそれで大いに努力するつもりでおるのであります。是非そういう点については專門的な御意見を聞かして頂きたいと思います。そうしてそれで御相談を十分いたそう、こう考えます。
  15. 山本勇造

    山本勇造君 御相談よりどうでしようね、向うが何とかうまく行く、幾らかあなたがた見通しございますか。
  16. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは私は或る程度まで行くだろうと考えております。ちよつと時間はかかるかも知れませんが行くだろうと考えております。できるだけやつてみようと思つております。
  17. 相馬助治

    相馬助治君 今この議案になつておりまする連合国及び連合国民著作権特例に関する法律案日本で作らなければならない目的の一つは、平和條約に規定されておる條文だけではこれらのものの著作権の所在及びその権利その他について明細でない点があるから、それを細かく規定するという意味でこういうものを作らなければならないということは我々もわかつておりますが、併しこの法律案連合国及び連合国民著作権を確保してやるという精神に出ておることは御承知通りです。そこでこの法律案をこちらで作るに当つては、我々としてははつきり平和條約の第十四條の(V)に示されておるところの「連合国は、日本商標並びに文学的及び美術的著作権各国一般的事情が許す限り日本国に有利に取り扱うことに同意する。」とこう書いてございます。従つてこれは政治的な立場から見れば、こういう法律案を国内で作るこの機会こそ、連合国に向つて日本人の持つておる著作権を確保する法律各国に作つてもらうことを要求する絶好のチヤンスであろうと、こういうふうに考えておるわけであります。今山本委員質問に対してのお答えに、これから研究して、これから交渉するというふうなお話ですが、いささか意外の感があるのですけれどもそれが現実ならば仕方がございません。そして又それについて大体見通しがある、こういうお話でございますけれども、国会專門家意見を聞いてはらをきめるというけれども、具体的にはどういうことを外務省としてはなさんとしておるのであるか。委員会等のようなものの腹案があるのかどうかという意味を含めてどういうふうにしようとしておるのか。  それから外国に向つて要求する場合に、戦争日本人の持つ著作権が侵害されていたと思うのですが、それらについては遡つて請求する意思を持つておるのかどうか。  それから今後こういう日本人の持つ著作権を確保するための立法措置をどういう形で各国に要求するのか、又平和條約を作つて来た場合の話合いで、外務省としては対等の位置に立つてこのことは堂々と要求できるのであると、こういうふうに考えておりまするが、そういうふうに考えていて差支えないのかどうか、これらの点について一つ外務省側のはらを聞きたいのです。これをなぜ聞かなくちやならないかと申しますと、この機会外国に向つて日本人の持つ著作権を確保する自信外務省にあるならば、我々としてもこの法律案を審議することに協力いたしまするが、そういう見通しが多分大丈夫であろうという程度にぼやつとしておるのでは、我々としても先走つてこういう法律案を作ることの妥当であるか、妥当でないかということと、得であるか、損であるかという二つの点から考えざるを得ないので、それらの点について一つ外務省の見解をこの際お聽かせ願つておきたいと存じます。
  18. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 今いろいろのお話がありましたが、まあそのお話の中には問題が二つあると思います。それは戦争によつて生じた特殊の事態をどういうふうに救済するかという問題と、普通の平和関係にあるときの著作権保護等の問題、今のここで現にこうやつて御審議を願つておりますのは、要するにこれはまあむしろ戦争によつての特殊の事態をどういうふうに取扱うかという問題であります。一般的の問題は国際的の協定その他いろいろの慣行等もありますから一般的に処理できると考えております。従つて今は主として戦争による連合国のそういうもの及び日本国民の持つているそういうものをどういうふうに取扱うかということにしてお答えいたしますと、先ず連合国著作権等につきましては平和條約に規定がありまして、初め外務省ではこの規定平和條約を承認されたからそう細かく書かなくてもいいのじやないかと思つておりましたが、結局こういうふうにはつきり書いたほうがいいということになりましてこういう方針ができたわけであります。そこでこれは平和條約を日本で批准されました以上は、内容は別としましてこういうふうな種類の著作権確保に関する法律というものは必要であろうと思つております。  そこで今度は日本国民の持つ同等の権利をどういうふうにするかということでありますが、これはやはり各国との交渉によることでありまして、各国との間にはそれぞれ国によつて事情も異なるのでありますので、一般的に原則的なものがはつきりできないために、ここにも十四條に「各国一般的事情が許す限り」というような但書みたいなものがついているわけであります。実は外務省でどうするかとおつしやる御質問でありますが、外務省仕事としてはこの著作権等に関する何と申しますか主管省でありませんものですから、どうしてもこれは文部省等意見を基にしましてそれに基いて各国話合いをする以外に方法がないのでありまして、外務省が勝手にこういう意見だといつて外国に話すのは間違いも生じましようし我々それだけの能力もないのであります。主管省から十分意見を聞きましてそうしてその内容について我々も自信を持つてこれなら話ができるというところで各国と話をする、こういうつもりにいたしております。併しながら各国との一般的な感触から想像で先ほど申したのでありますが、或る程度我々の考え向うでもとり入れてくれるであろう、こう一般的には考えておりますが、具体的内容はやはり主管省等とよく相談いたしまして決定せざるを得ないと考えております。それができましたらできるだけ早く、又できるだけこちらに有利なように解決いたしたい。こういうつもりで又或る程度できるとこう考えておるのであります  そこで今直ちにこの法律案と同時にそういうものを向うに要求したらどうかというお話でありますが、これは若しそういう具体案ができますればいつでも即刻にでもやろうと思つております。併しなかなか広範おりますから具体案がどの程度早くできますか、それから各国事情取調をいたさなければその国々によつて話合も違うかも知れません、そのほうの取調もいたして、できるだけ向う側の事情もわかるようにいたしたい、こう考えております。
  19. 相馬助治

    相馬助治君 外交の仕事を取扱つておる岡崎国務大臣答弁であるという限りにおいては合のお話はよく筋も通つておりますしわかります。ただふに落ちないのは、一方においてこういう法律案が審議されておりまするけれども、一方において諸外国に対してそれを要求するはらと、そういう考え方を持つているというお話ですが、具体的には何ら作業も進行していないし、勿論交渉もその緒についていないということが只今答弁の限りにおいては明らかであつて、これは立法府にある我々としてはなかなか以て聞き逃しがたい言葉でございます。従いまして伺いたい点が二点あります。  第一点は文部省より正式にこの問題に関して外務省相談を受けておるかどうか、この点が一つ。それから第二の問題はこの法律案そのものでございまするが、これは岡崎国務大臣もよくおわかりだと思いまするが、この法律案二つの重要な意味を持つております。そこで立法府にある我々としては実のところ困つておるのですが、御説明申しますのは、こちらから御説明するのはおかしい話ですが、この法律案によつて連合国側の持つ著作権を保護してやるという面が一点と、それからもう一つ平和條約に示された著作権の問題について戦勝国戦敗国との関係において拡大解釈されたのでは、日本側ではこれはやりきれん。こういう考慮に立つて文部省は相当苦心されてそれらの点について拡大解釈の虞れがないように立案されている面があつて、我々としてはその限りにおいて文部省側作業に対しては敬意を表しているのです。従つてこの法律案はそういう相反した二つ方向を持つているだけにこれをここで立法するということ自体には我々は異議を持つていないのですが、諸外国との関連はつきりしない場合にはこちらだけ連合国側著作権を確保してやつて、そうして今度はこちらが要求する面はいつのことやらわからないのは困るという考慮に立つて、こういうことを外務事務を担当している国務大臣にお尋ねしているのでありまして、それらの点について先ほどの質問に戻りますが、文部省からどういう交渉をされているかということが質問の第一点ですし、それから今後文部省とどういう話合をされて具体的に進められる予定であるかどうか。即ちお話によれば文部省側意見を聞かなければこれはうまいわけに行かない、御尤もです。従つて前段質問文部省側から積極的にどういう相談があつたかということを聞いている。それから次の質問外務省自身が積極的に今後どういうふうに文部省とかけ合つて日本人の持つ諸外国における著作権を守らんとするものであるか、この二つをお尋ねいたします。
  20. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 文部省とはかねてから非公式にはずつと話合をいたしております。で公式とか非公式とかというのは両省の間ではおかしいのでありますが、併し正式に書面でこれこれというような案はまだ出ておりません。文部省としてはいろいろ努力して材料を集められておるということを聞いております。外務省も無論これに協力はやるつもりでございます。できるだけ早く具体案お互い話合つて作りたいと思つております。そうして話合を無論いたすつもりでおります。只今のところは併し在外事務所も全部ありませんものですから資料等を集めるにもなかなか骨が折れますけれども集めてはおります。
  21. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 岡崎国務大臣は二時十分までこつちにおられますから、その間に簡単に一つ質問願います。
  22. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは我々は一時にキチンと来て待つていたのです。ところが岡崎国務大臣が見えたのは三十分です。それも事前に通告があつて参議院では珍しいくらいまでにアナウンスで正確に始めますからというので我々来て待つていたわけです。ところがいろいろ都合もあつたと思うけれども、質問者は恐らく矢嶋君も残つていると思うが、これはもう少し残つてもらいたい。二度とお呼びしないのですから。
  23. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 実は今日羽田へ行く用がありまして、それのほうは飛行機の時間の関係で遅れるわけに行かない。
  24. 岩間正男

    ○岩間正男君 それではこの審議につかえます。何のための秘書官かわからん。私の質問だけでもこれは終らないだろうと思う。十分よりいられないならば明日又来てもらうより……。
  25. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 明日十時に来てもらうことができますか。
  26. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 明日閣議が九時からありますから。
  27. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 何とか都合して頂きまして十時半に来て頂きたいと思います。
  28. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじや時間まで質問したいと思いますけれども、先ず第一点お聞きしたいのですが、先ほどから非常に頼りないと思う。片務協定になつてしまう。成るほど平和條約が発効してそれに関連した法案をこちらで作らなければならないという形で進められておるのですが、先ほども相馬君から話されましたように、これは連合国人の著作権を保護をするということになりますが、これと関連しまして日本の翻訳者とかそれから業者、こういうもの権利がそれとの関連において侵害されるという問題が非常に出て来ると思う。従つてその問題をもつと明らかにしなければならない。  それからもう一つは、先ほど話されました相関関係において日本人の持つている著作権、これをどういうふうに諸外国に対して保護するか、こういう問題なんですが、殆んどこれは具体的なお話がない。そうして文部省のほうが主務官庁でありますから話があつたらそれについて何か考える。こういうわけなんですがこれは私は今のような御答弁では頼りがないと思う。そこで具体的にもつとお聞きします。今後努力する、何とかなるだろう、こういうお話でありましたがお聞きしたいと思います。  先ず第一にこの中で問題になるのは著作権期間の問題なんですが、日本は言うまでもなくベルヌ條約に入つて戦争を迎えたわけです。そうして戦争中ブラツセル條約ということになりまして著作権期間が非常に延長されたわけです。三十年から五十年というふうにこれは延長された。そうしますと、先ほど山本さんからお話があつたのですが、これはどういう規定になりますか、ブラツセル條約に従つてその拘束をどこまで受けなければならないということになりますか。ベルヌ條約には参加しておつてブラツセル條約には参加していない。それを五十年という形で以て今後規定されて行けば、これは何か参加しないところの條約の規定というものを押付けられることになる。これは一つ私は外交的に解決しなければならない問題だと思う。これが点であります。  第二点といたしましてもつと具体的にお聞きしますと、政令二百七十二号、こういうようなことで以て翻訳著作権というものが従来は日本でもこれは認められておつたと思うのでありますが、占領治下におきましては全部これが廃棄された。そうしてこれは原著作者並びにその仲介者にそういう権利というものは日本から殆んど半強制的にこれは讓渡させられる、こういう形になつているわけです。そうしてこういう形のものが今後これは戦争中の措置だというのでここで何ら具体的に問題を解決しない。こういう点につきましては先ほど山本さんから話がありましたように、イタリア條約の附属文書によりまして一年間でこういう権利については回復できる。こういうような問題があるのでありますが、日本の場合にはこれは全然できない、こういうことになりますと、非常に大きな問題だということができる。併し政令二百七十二号によつていろいろ発生しましたところの日本の翻訳者並びに業者なんかに非常に不利なところのいろいろな問題をどのように具体的に措置されるかということを具体的にお聞きしないと大体はつきりしない。  なお理由を挙げないとちよつとおわかりにならないかと思いますが、例えばこういうひどい場合がある。これはシートンの動物記、これを内山賢次氏が訳した。とろがシートン夫人にこれを交渉して、著作権の保管者がクリステイ・モーア社というのでイギリスのクリステイ・モーア社に交渉しまして同社から翻訳権が譲渡された。それで大体七・五%の印税を抑えばいいということになつてつたそうであります。ところがそれに対しましてアメリカの仲介業者のトーマス某という人がその中に入つてそうして仲介権をとつてしまつた。そうして交渉権を持つに至つた。内山氏に対しましてはこの承諾書、クリステイ・モーア社かち得ましたところのこの翻訳書を借りたいといつてそのまま取上げてしまつた。そうして現在になつてこれが問題になつているのであります。その承諾書を受取つた覚えはないということになつてそうして印税においては七・五%が九%にされている。こういう事態が一例でありますけれども実際起つている。ところがこれは原状回復というような一年間の期間がないとこのまま継続されて非常に日本の飜訳者並びに業者を圧迫するという形がこのまま継続される。こういう問題が具体的に起つているが、こういう具体的な問題についてどういうふうに外務省としては処理し、これについて和解と信頼であるということを表面に語つてありますところの平和條約の精神に基いて、それとまるで相反しているようなこの非常に劣悪な條件についてこれを改正される考えがあるかどうか。当然双務的なものとしてこの際これは交渉されなければならん。そういう具体的な問題について如何ですか。この二点を先ず伺います
  29. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) あとの御質問はどうも私は今初めて聞いたわけで、よくわかりませんが、何か書類を向うへやつたらそのまま取られちやつたとか何とかいうことだと、これは直接平和條約の問題でなくてそういう個々の信義不信義の問題になつて来るのじやないかと思います。がそれは事情を調べて保護すべきものなら十分外務省努力はいたします。  初めのお話の五十年の点等は私よくお答えができませんので説明員からちよつと詳しく……。
  30. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 岡崎国務大臣は明日閣議終了後に御出席を願いまして、本案の質疑を続行いたします。
  31. 岩間正男

    ○岩間正男君 退場されるのですか。今の個人的な問題でといいますがそういう面もありますけれども占領治下にそういうものが相当いろいろなことが行われている。これがために原状回復という大きな政治的な手を打たなければ問題は解決つかない。従つてこれを外務省としてどうするかということです。この点明日来られるまでに十分御検討願いたい。
  32. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 今のは岩間君に御希望があれば詳細に書いて頂かないと、口で伺つただけでは間違いがあるといけないので十分それによつて研究いたします。
  33. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうするとこれは質問とかいろいろ今日の日程に関係があると思うのですが、ここに課長さんが見えているのですが、條約局長は来られるのですか。條約局長が当時どういうふうにこの問題を処理し、一体こういう問題について関心を持つておられたのか。
  34. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 條約局長のほうへは言つてあります、言つてありますが今まで来られなかつたわけであります。
  35. 岩間正男

    ○岩間正男君 岡崎さんは当時半年いなかつたということではつきりしないわけです。従つて責任の所在が明らかでありませんが、そういう点をもう少し当事者に聞かないとわかりませんので。
  36. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 條約局長は申込んでありますが見えなかつたので明日一緒に来てもらうように要求します。
  37. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちよつと今の期間の問題だけ話して下さい。
  38. 柴田小三郎

    説明員柴田小三郎君) 只今の御質問でございますが、日本はまだブラツセル條約に加盟しておりませんから、日本としては保護期間五十年という点については何も関係がないことでございます。
  39. 岩間正男

    ○岩間正男君 三十年ですか。
  40. 柴田小三郎

    説明員柴田小三郎君) さようでございます。
  41. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは全然あれを受けないわけですか、ブラツセル條約の。
  42. 柴田小三郎

    説明員柴田小三郎君) 日本ベルヌ條約のローマ修正に入つておりましてやはり死後三十年でございます。
  43. 岩間正男

    ○岩間正男君 ベルヌ條約に参加しておきながら、ブラツセル條約に参加しておる国は、こういうふうにその後のいわばベルヌ條約の発展的なものでブラツセル條約というものはなされたと思う。従つて今、加盟国がわかりますか、ブラツセル條約に現在入つておるという国は少いというふうに思うがどうなんですか。
  44. 柴田小三郎

    説明員柴田小三郎君) ブラツセル條約は千九百四十八年で比較的近年に成立されたものでありまして、日本にもその際何の通告もないわけでございます。現在それに加盟しておる国は極く少数のようでございましてまだイギリスあたりは入つていないようでございます。
  45. 岩間正男

    ○岩間正男君 今でなくてもいいが明日でもいいが参加国を調べてもらいたいと思うのです。何故かというと私が心配しておるのはこれは大半がそれに入つているということになると、ベルヌ條約に入つているというものは非常に少いということになりまして五十年、三十年の問題でやはり問題が起つて来ると思う。具体的につまり日本そのほかあのとき参加ができなかつた国だけがベルヌ條約のあれをやつて行こうということになつて……。ブラツセル條約が現実にそれより前進した形で今進められておるのでこの問題が必ず起る。これはあなたたちはどういうふうにおつかみになつておるかわからないが私はこの関連が必ず起ると思う。従つてここのところも明らかにしておかなければならないと思う。先に行つて必ず問題になる、これは簡單な問題ではありませんよ。これは是非明日までお調べを願いたいと思います。
  46. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) ちよつとお諮りいたしますが、著作権特例法についての質疑はここで明日に移ることにして差支えありませんか……。   —————————————
  47. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それでは次に国立学校設置法の一部を改正する法律案の提案理由を、御説明をお聞きしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  48. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今日の議事について大体私の聞いておるのとちよつと違うのですが。
  49. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) どういう意味ですか。
  50. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 議事の進行についてお伺いしたいが、やはりこういう提案は私は委員会が成立しているけれども員数が余りおらないのじやないかと思うのですがね。やはり大体委員が過半数集まつたところでやつて頂かないといけないと思います。その点お計らい願いたいと思うのです。
  51. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それで今諮つておるのですがね。で、これの発案者の平島さんがお見えになつておるから、提案理由を聞くかどうかということを諮つておるのです。予定は今これを聞くことにしてあるのですが、まあ聞くことにして頂いて。
  52. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 前からそういうふうになつておるのですか。
  53. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) はい。どうですか、ちよつと人がおらんようですが、余り長い時間かからないと思いますから一つ提案理由だけお聞き願つたならどうつですかね。
  54. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 いや、結構です。
  55. 岩間正男

    ○岩間正男君 簡單に願います。
  56. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) では国立学校設置法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明願いたいと思います。
  57. 平島良一

    衆議院議員(平島良一君) 只今議題として頂きました国立学校設置法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして、提出者を代表いたし御説明申上げます。この法案の内容は、神戸市に新たに商船大学を設立しようとするものであります。その趣旨といたしますところは、独立後における我が国再建の途は急速に自立経済の充実を図ることにあるのでありまして、そのためには産業の発達が根本的な要件でありますが、わが国の地理的環境と資源の貧困等の事情によりまして、海運の十分な伸展に待たなければなりません。しかも国際的競争に耐え得るだけの近代的商船隊の再建を目標といたさなければなりません。従つてそれに必要な施設と有能な船員の養成とが必要となつて参ります。戦前六百四十万総トンの商船隊を保有しておりました我が国は、終戦直後にはおよそその十分の一に転落してしまつたのであります。その後順調な速度で恢復しておりますけれども、自立経済の達成には運輸省等の計画するところによりますと一応の目標として昭和三十年度に大よそ三百八十万総トンまで伸ばしたいということになつております。情勢によりまして必ずしもこの目安の通りに実現し得ないといたしましても、早晩この限度或いはそれ以上にも増強しなければならないことは明らかなことであります。さて、この船の建造も相当の努力を要することでありますが、これを運行する船員の養成は一層簡單には参らないのであります。即ち、艦内統率の資料を備え今後においては特に、国民外交の第一線に立つものとして恥かしくないだけの十分な教養を身につけた船員であることを要しまするし、かねての懸案たる海難の防止等の技術的方面におきましても、どうしても学校教育法に準拠した大学程度の養成機関を、この船腹の増加に伴うように設置しなければならないのであります。この高級船員の需要数は、運輸省の統計によつて計算いたしますと、三百八十万総トンに対し、約一万名となつておりまして、その年間自然減耗率五%を基礎として推算いたしますと、年間需要員は五百名となります。これに対して実地出身者は約一五%を期待し得る実情にありますから、残りはこれを学校教育に待たなければなりませんが、商船高等学校からは五〇%が供給せられるので、大学からも等しく五〇%に当る約二百十名を供給する必要が生ずるのであります。更に過去の実績から見て、新入学生の八〇%が卒業後商船隊に乗船することになつておりますから、商船大学の採用員数は、約二百六十名となります。更にこの外官庁船其の他への需要を考慮に入れますと、約三百名位は採用しなければなりませんが、現在清水の商船大学は一学年百六十名を入学せしめておるに過ぎないのであります。これらの事情に鑑み商船大学の適正規模を考慮ずるとき、なお一大学を増設する必要が認められるのであります。このことにつきましては、すでに昭和二十三年に船員教育委員会で昭和二十六年には海技專門学院を商船大学にすべきであるとの決議がなされております。又第六国会で衆参両院の文部委員会におきまして、できるだけ早い機会に海運の中心地である神戸市に商船大学を更に一校増設せられたいという要望があつたのであります。  続いてさきの第十二国会の衆議院文部委員会におきまして、この問題が重ねてとり上げられ、熱心な審議が行われました結果、小委員会が設けられ、その報告に基いて右文部委員会から衆議院議長に対し、神戸商船大学設置に関する決議文が提出せられ、今国会に入りまして改めて又小委員会が設けられ、その審議の結果、昭和二十七年度に神戸市に新たに商船大学を設置すべきであるとの結論に到達したのであります。  神戸市には既に大正九年に国立の神戸高等商船学校が設立せられ、恵まれた立地條件と施設の充実と相待つて、優秀な校風が樹立せられたのでありますが、今によくこの伝統が今日の海技專門学院に受け継がれておりますので、運輸省の協力の下に、その施設設備と伝統とを基盤として、文部省所管の商船大学を新たに設立することが、最も妥当且つ適切な措置であると考えられるに至つたのであります。地元神戸市民は勿論、兵庫県におきましても、年来熱望しておられることでありまして、今般その開設に要する臨時費の半額を負担いたしたいと申し出ておられます。文部省においても積極的にその開設を期待して協力せられ、大蔵省においても快よく了解されております。  以上本法案を提出いたしました理由でございます。新日本の脚光を浴びた、新らしい商船大学が、一日も速やかに開校の日を迎えることができまして、経済自立の国策に強力なる貢献のできますように、本法案を御可決あらんことをお願い申上げる次第であります。
  58. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 次に今、教員の給與準則について入江人事官へ御質疑を願いたいと思いますが、今人事官が参りますから暫くお待ち願います。……これに対する質疑を後にいたすこととして、今日は説明を聞くだけで如何でございましようか。
  59. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 議事進行について。さつき始める前に今日は簡単だから提案理由だけ承わりましようというので始めたのですから提案理由だけ承わつて、そうしてあとでいずれ委員会の運営について懇談会があることと存じますから、そのときに質疑をいつやるかというようなことをきめたらいいと思います。従つて今日の決定通り次の議事に入つて頂きたいと思います。
  60. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 入江人事官が見えるまで少し時間があるようですから、その間懇談会に暫らく移して頂きたいと思います。そうして懇談会で私ちよつとお諮りしたい問題がありますので、それをお諮り願いたいと思います。
  61. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それでは今、荒木さんの提案になつた、暫らく、入江人事官が見えるまで懇談会に移して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それでは暫く懇談をいたします。速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  63. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 速記を始めて下さい。それでは入江人事官が御出席になりましたから、御質疑のあるかたは御質疑を願います。
  64. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題につきましては昨日委員部を通じて浅井総裁に出席を求めてあつたのですが、浅井総裁の都合が悪いようでありますからその代りに入江人事官がお見えになりましたので二、三お伺いしたいと思いますが、私がお伺いしたいという問題は教育職員の基本給に関する問題でございます。この問題は一般公務員の給與準則の中に含まれた問題でございまして、私の聞いているところでは近くこの給與準則について勧告が行われるのではないかというふうに聞いているのであります。ところがこの教育職員の基本給の問題につきましてはいろいろ問題になつている点がございますので、先ず初めにお伺いしたいのは、いつ頃これに関する勧告をお出しになろうとしているのか、大体の目安をお伺いしたいと思います。
  65. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 只今お尋ねがございました給與準則の御審議を願う時期でございますが、目下具体的な内容につきましていろいろ検討中でございまして、もうそう長くない期日に勧告いたし得るかと存じますけれども、具体的にいつ頃勧告いたし得るか、まだはつきりした見当はついておらんような実情でございます。
  66. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それは何ですか、本国会開会中に出すか出さないかわからないという意味ですか、余り漠然としているように思うのですが。
  67. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 成るべく今国会中に勧告いたしたい心組を以ちまして、目下鋭意準備いたしております次第であります。
  68. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは甚だ漠然としているのですが、まあ成るべくというふうなことであれば、出すか出さないかわからない、こういうことになると思うのですが、そうすれば地方公務員については地方公務員法に従つて各都道府県で給與の何をきめなければならん、たしか六月の十日までに、期日ははつきり覚えておりませんが大体六月の中旬であつたかと思うのですが、この国会で給與準則が若し勧告されない、或いは政府から提案されない、こういうことになれば非常な支障があるのではないかと思うのですが、そういう方面措置はどういうふうにせられるつもりですか。
  69. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 先ほど申上げました通り成るべく早い機会に勧告いたしたいと存じておりますので、勿論本国会の会期中に間に合いますように勧告いたしたいと思つておりますのですけれども、具体的に期日がちよつと見当がつきませんのでこの程度のことで御了承願いたいと思います。
  70. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ではまあその点についてはこの程度にとめておきまして次に教育職員基本給の問題でございますが、これについての大体の考え方ですね、人事院としてはどういう考え方の上に立つて作業を進めておられるかという点でございますが、これは漠然と進めておられるものではないと思うのです。やはり幾つかの基本的な問題について人事院の態度を決定して、それに副うように作業を進められておると思うのです。そのうちで私が先ずお伺いしたいのは、今教職員組合におきましても、一般教職員におきましても非常に関心の的になつている問題でありますが、いわゆる教職員の俸給を二本建にするのか、或いは三本建にするのが、こういう問題が非常にやかましい問題になつてしまいますが、この点についてはどういうふうな見解を以て進んでおられるのか承りたいのであります。
  71. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 只今お尋ねのございました教職員基本給の組み方の何と申しまするか、大体の基本的な考え方というお尋ねでございますが、この問題につきましては御存じの通り、教職員の基本給の組み方如何と申しますることは教育の実施につきましても非常に影響のある問題でございますので、人事院といたしましては文部省教育行政を基礎とした考え方ということも十分尊重しながら俸給表の作成につきまして考えたいという一つ方針をとつています。なお自然にそういうふうな関係からいたしまして、この俸給の組み方につきましては主として学歴又は経験年数ということに重点をおきまして、その基礎の上に成るべく実情に即しまするように俸給表を作りたいという考えを持ちまして目下審議いたしておるのでございまするが、二本建にするか三本建にするかということにつきましては、只今私から御説明申上げました線に沿いまして最終的に決定いたしたいと存じますので、現在二本建にするか三本建にするかということにつきましては、最終的には人事院として決定いたしておりませんのでさよう御了承願いたいと思います。
  72. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ちよつと人事院のかたに要望いたしたいと思いますが、今荒木君が質問展開しておるわけですけれども、政府として愼重な態度をとられることは一応納得できますけれども、先ほどの時期の問題にしましても人事院としては一つ作業計画というものを以て仕事を進められておると思うのです。従つてもう少し、給與局長もお見えになつておることですし、具体的に御答弁頂けなければ本日のこの質問意味がないことになると思う。殊に先ほどから荒木君が展開されておる問題につきましてもこれは半年前の人事官の答弁と何ら一歩も出てないわけなんです。従つて給與局長もお見えになつていらつしやるのでありますから、あなたさまで答弁のできないところは給與局長さんにまかしても、もう少し突込んだ具体的な答弁を要望いたしておきます。
  73. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 只今のお尋ねは御尤もでございますけれども、実は御存じの通り大分前々から成るべく早くいたすということで作業を続けて参つておるのでございまするけれども、なかなかやはりいやしくも給與につきましての一つの恒久的な方針がきまりますわけのものでございますから、各方面の御意見を伺いましたし、給與局の作業といたしましてもいろいろ再検討いたしましたりしておりますうちに延引したわけでありまして、それではいつ提案をするかということになりますると、勿論先ほど申上げました通り、成るべく早く本国会に間に合いまするように提案をいたしたいというふうな線で進んでおるわけでございまするけれども、ただその具体的な例えば何日後であるとかいうことにつきましてはちよつとその点が見当がつきませんような実情でございまして、別段この点は強いてあいまいに申上げておるわけでもございませんのでその点御了承願いたいと思います。なおこの二本建にするか三本建にするかということにつきましてもはつきりとこのところの線が出ませんので、或いはその答弁が具体的でないというふうにお話ございましたと存じますけれども、これが実はこの俸給表の最終的な決定の鍵になりますものでございますから、この点は給與局長としてもなかなか答えにくい問題になると思つております。なおこの作業の状況でございますとか、或いは具体的ないろんな問題につきましては私の若し足りませんところは給與局長から十分お答えしたいと思つております。
  74. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは矢嶋君から非常に適切な御意見があつたのです。私どももう少し率直に話をしてもらいたいと思う。都合によれば速記は外していいと思いますから。そこでまあ我々としても給與表の作成に当つて二本建にするか三本建にするかということについてはこれは非常な関心を持つているわけです。と申しますのはこれはいろいろの大きな影響を教育界に與えるからであります。でこのことは若し十分でなかつた場合教育界に與える悪影響というものは測り知ることのできないものがあると考えておるわけであります。そういう意味において私どもここにお伺いしておるわけなんです。そこで先ほど或いは同一といいますか学歴或いは勤務年数、こういうものに重点をおいて考えておると、こういうお話でございましたが、これは何ですか、同一学歴、同一勤務年数は同じように扱つて行くと、こういう考えにとつてよろしいですか。
  75. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 大体お言葉の通り、同一学歴或いは同一勤続年数につきましては同様な取扱、一つの基礎の下に考えたいと思つております。
  76. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうしますと、先ほど二本建にするか三本建にするかまだきまつていないようなお話でありましたけれども、同一学歴、同一勤務年数というものを同じように見て行くということが決定されれば、私は二本建、三本立の問題は解消するものであると思うのですがどうですか。
  77. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) その点同一学歴なり勤続年数を基礎にいたしますると、お話通り結局二本建にするか、三本建にするかということは職歴の関係をどういうふうに見るかということになつて来ると思うのですが、その点主として観点を只今申上げました通り勤続年数なり学歴ということを標準にいたしまして、併しながら若干又実情を考える必要もございますので、最終的に決定いたしかねておるわけでございます。お言葉の通り非常に俸給表の作成形式如何ということが教育方面に重大な影響を與える点もございますので、人事院といたしましても十分愼重に結論を出したいと思つておるわけであります。さよう御了承願います。
  78. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私どうも了解するのに非常に困難に感ずるのですが、同一学歴、同一勤続ということを建前として考えているのだ。併し実情に印してこの原則を何とか曲げるようなお話のようにもとれるのですがね、その点非常にあいまいなようで、いわゆる同一学歴、いわゆる学歴と勤続年数というものを基本にして考えて行くのか、或いは他の條件によつてひん曲げて行くのか、その点ちよつと明瞭でないように思うのですがね。
  79. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) その点は学歴或いは勤続年数のみによつて考えるということで置かれておるかわかりませんけれども、例えばお説の通り高等学校の校長になるためには相当な多数のうちから少数のかたがなられるとか、或いは中等学校の場合にはそれに比べまして比較的多くのかたが校長になられるとか、そういうふうな実情などもございますので、そこに俸給表の組み方につきましてはまだ最終的にすつきりと決定いたしかねておるのでございまして、この点はいずれ近いうちに結論を得たいと思つておる次第でございます。
  80. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はここで余り細かい問題はお尋ねしようとは思つていないのですが、先ほどのお話の中に、文部行政府の意見というものを尊重しているのだ、こういうお話でございました。文部省から人事院に対して要望している内容があつたと思うのです。これは外部にも出されておりますので私もそれを見たのでありますが、あれを見ると大体同一学歴、同一勤続年数というものをやはり同じように扱つて行く、こういう趣旨が出ておつたように思うのですがね。若しこの問題が何らかの事情によつて曲げられる。こういうことになると、これは私教育界に與える悪影響というものは非常に大きいと思う。この点については十分考慮をして頂きたいと思うのです。それから今お話がありました高等学校の校長と中学校の校長、高等学校の校長はなりにくい、だから俸給を高くしておく。小中学校の校長はたくさんあるのだから、なり易いのだから安くして行くのだ、こういうふうにもとれたんですけれども、事実はそうでしよう、事実はそうでも俸給表にそういう段階を、そういう差別を設けることはいいか悪いか。これは私は実際なら高等学校の校長はそれは高い俸給に上つて何ら差支えないと思うのです。併し俸給表というものはそういう事実だけの問題じやなしに、中学校の校長はもうここまでしか行けないのだ、高等学校の校長はここまで行けるのだという俸給表自体にそういう差等をつけるという考えは、これはまあ戰前そういうことがあつたわけなんですが、そういう考えは私は余り面白くない考えのように思うのですがね。事実上そういう結果が現われて来るのは私は当然だと思いますけれども、俸給表自体にそういうふうなことを規定しておくということは、非常に不平等的な扱いであるというふうに考えるのですが、この点入江さんのお話にありましたから、ちよつとお尋ねしておきたいと思います。
  81. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) この点は十分御存じの通り事実と申しまするか、校長になられる機会が比較的多数の中からなられるとか、或いはその点が若干程度が違うという事実だけでも、ございませんで、御承知通りこの資格と申しますか、高等学校の校長になる場合には一つの経験年数なりまあ資格が要るのでありますが、この点御説明いたすまでもございませんけれども、そういう点がございますので、そういう点も俸給表として若干の幅の上に区別する必要があるかどうかという問題があるわけでございます。その点につきまして、今のお言葉といたしましては、これは自然の状況に放つておいてもいいのではないか。別に俸給表として区別しないでもいいのじやないかという御意見のように伺いましたのですが、この点目下のところ人事院といたしましては、その事実なり或いはそういう一定の資格と申しますか、資格の差等というものをどういうふうに区別したらいいかということにつきまして、まだ最終の決定に至つておりませんけれども、私が申上げましたのは、先ほどお話の勤続年数なり経験年数ということによつてきちつとそこを割切つてしまうかどうかという御質問でございましたので、そういう事情考慮しながら検討しておるということを申上げたわけなのであります。
  82. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題はやはり今後の俸給表の作成に当つて重要な問題であると思いますので、これは十分検討して頂きたいと思うのです。これは御参考のために申上げておきたいと思うのですが、新制中学ができたときに、大学の教授とか、或いは非常に学歴があり、学識がある人が新しい中学校の振興のために振つて出て行つた人も少くないわけなんです。従つて私は個々の問題をとらえた場合ですよ、高等学校の校長よりこれは中学校の校長により優れた人が行つていると思うのです。ですから、これを俸給表の上で差等をつけてしまう、こういうことは面白くないと思うのです。十分私はこの点を考慮を願いたいと思うのです。実際の扱いにおいてそれは平均して全般的に違つて来る、それは私は出て来ると思うのです。これは又当然のことだと思いますが、表自体において明らかに高等学校の校長のほうが高いのだ、こういう考えに基くことはよほど私としても疑問がある、かように思つておりますので御検討を願いたいと思います。  それからもう一つこの問題に関連して、私はいわゆる政党の利益と言いますか、そういうもののためにこれがかなり介入されておるのではないかということを聞いておるわけなんです。その真偽は私はよく知らない。知らないけれどもこういうことはしばしば聞いているわけなんです。そういう点について、私は人事院においてはそういうことはないと思いますが、併しそういう噂があることは事実なんですから、公平な立場に立つてつて頂きたいということを特にお願いしておきたいと思います。  それからこの俸給表でもう一つの問題になるのは、これは初任給の問題です。それから昇給の問題ですね。先ほど申上げましたのは、いわゆる職場により差等を設けるかどうか、こういう問題については設けてはならないという立場に立つて私は質問したのですが、初任給の問題について、これは従来の初任給をこの際多少引上げるような措置ができるのかどうか、こういう問題であります。実は私は教育職員だけの俸給をよくしてもらいたい、こういう考えは別に持つていないわけなんです。公務員は皆よくならなきやならんと思つていますが、併し今の教育の実情から見て、特に教育職員の待遇改善を図る必要性というものが非常に大きいのじやないかと私は思つています。小学校においては大体四〇%以上が無資格助教、助教といいますか、これによつて占められておるという実態なんですから、これを改善することなくして教育の振興を図ることはできないのじやないかというふうな考えを私は思つている。そういう意味からこの現状をよくして行くためにどうしてもこの初任給をよくして、そうして若干でもこの機会に教職員の待遇を改善する、こういうために何らかの考慮が拂われておるかという点。それから昇給期間も非常に問題になると思うのです。こういう面でこの俸給表作成に当つて待遇改善の問題が全然考慮されておらないのか、或いは可能な範囲内においてこのことを考慮しようと考えておられるのか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  83. 滝本忠男

    政府委員(滝本忠男君) 教育職員の俸給表の問題を我々事務的に只今検討いたしておるのでありますが、只今の御質問の初任給でございまするが、特にこの際初任給をよくしようということを積極的に考えておるわけではございません。これは給與準則全体を通じまして、これは教育職員だけではない、そのほかの行政職務、一般の者もあるわけでございまするが、この給與準則におきましては、制度として切替をして行こうというのでありまして、特に現在の状況から何らか考慮してよくするということが根本的な考えになつていないのであります。従いまして教育職員につきましても、特にこの際よくしようということを積極的に考えておるというわけではございません。併しながら従来教育職員におきましては、必ずしも或いは学校卒業の程度、或いは免許等によりまして統一がとれておらなかつた、スクーリングなんかを考えて見ましてもいろいろございますので、或る程度この際結果におきましては是正することになるであろうということは一応申上げ得るのではないかというふうに思います。それから昇給期間等を考える場合におきましても、これは従来でありまするならば、職務の緊急性というようなことがございまして、いろいろ問題があつたのでありまするが、今回は非常に幅の長い俸給表が作られるということでございまして、昇給速度というものはそういう面におきまして、従来よりも改善されるであろうという見通しを持つております。併しながらこれもよくすればいいというわけにもなかなか参りませんので、ほかのほうの即ち教育職員以外の部分における各種の職員との均衡ということもございまするので、そういうものと睨み合せまして、この昇給というような問題も考えて行くということで検討しておるわけであります。併しこれも結果におきましては若干有利になるのではなかろうかというふうに考えております。
  84. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はなお内容に亘つて質問したい点もあるのですけれども、余りそういう点に亘ることはどうかと思いまするので、最後に一つお伺いしておきたいのですが、この最後決定をなされる前ですね、教員組合と話合を持たれる考えはあるかどうか、この点を。これは私は人事院としては当然こういう措置がとられなければならんと思うのです。人事院ができたのは、公務員に団体交渉権があつた、特に教員組合には争議権があつた、それを剥奪されたわけです。そうしてそれらの公務員の給與の適正は人事院において図る、こういう意味合から人事院が発足したわけです。従つて人事院はこういう公務員の給與の適正を図る最も重い使命を持つておると思うのです。従つてこれは人事院としては、これによつて律せられる教職員の意向というものをやはり十分知つておかなければならない。そういう意味において人事院が勧告案を最後に決定するまでに十分教員諸君の意見を聞く、こういうことはこれは非常に必要なことではないかというふうに考えておるのですが、そういう御意向を持つておられるのかどうか、一つお伺いしたい。
  85. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) この点につきましては、もとより組合の御意見をこの決定前に御連絡申上げましてお伺いいたしたいと思います。勿論この問題は教職員組合のみならず、各組合についても同様でございますけれども、最終的にその御期待に副い得るかどうか、これは別問題といたしまして、御連絡して十分御意見をお伺い申上げたいと思つております。
  86. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 人事官がおいでになつていらつしやいますので、一、二点お伺いいたしたいと思います。入江人事官は公正なおかただということで国会の承認を得られまして発令になられたわけでございまして、この方面には十分の御見識と、それから御熱意を持つていらつしやるということを我々は政府側から承わつておりますが、従つて申上げるまでもないと思いますけれども、私は一言要望申上げておきたいことは、マツカーサー元帥の覚書によつて人事院が設置せられた当時、三権分立が四権分立になるんではないかというくらいに議論された人事院であつたわけでございます。最近では一部には人事院を総理府の一部局にしたらどうかというような見解も現われて来ているようでございますが、その是非を今私は申上げるわけではありませんが、是非要望を申上げておきたい点は、人事院が国会に勧告を出される。出されるに当りましては、人事院の創設された当時の経過から言つて絶対にこの政治力に左右されないで、これは何も今度の給與準則に一つつたことではない、すべての問題に当りまして、飽くまでも公務員の擁護者として信念を以て行動して頂きたいということを特に先ず要望いたしておきます。  お伺いいたしたい点は、現在の国家公務員並びに地方公務員の給與が生活給さえ確保されていない。これを教職員の場合をまあ現在問題になつていますのでこの部面だけ考えた場合に、小中学校の先生、並びに高等学校の先生がたが指導して卒業した生徒諸君が民間に入つた場合に、殊に高等学校はそうですが、初任給から大学を出た先生よりは高い給料をもらつているという民間給與水準の現実を人事官御承知でありましようか。先ず承わりたいと思います。
  87. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 只今お尋ねでございました教職員の給與、これは一般公務員にも通ずる問題でございますけれども、これは御存じの通り国家公務員法の精神によりまして、民間給與と均衡を取りつつこれを決定するという建前になつておりますのですが、その後におきまして、人事院といたしましても御承知通り民間標準生計費でございますとか、或いは民間の給與などを数字的に調べまして、それに基いて勧告いたしておりますわけでございまして、この勧告の結果が、先般も御存じの通り若干勧告いたした線にまで予算が組まれておらないという点もございますけれども、この点につきましては、昨今も折角標準生計費その他につきまして調査いたしておりますので、その結果によりまして、一定の時期にその結果の内容によりまして勧告いたしたいと思つております。そういう次第で、公務員の現在の給與ベースというものが若干民間のベースまでに行つておらないという線はあると存じます。
  88. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私給與局長に一、二点お伺いしたいですが、今の新制高等学校の卒業生、この就職する生徒諸君というのは主として職業科の課程を経ておると思いますが、そういう卒業生の初任給、これは高等学校の若い先生がたよりも高いベースを初任給から頂いておるということをお認めになりますが、あなたの御調査ではどういうふうになつておりますか。
  89. 滝本忠男

    政府委員(滝本忠男君) 今のお話はもう少し資料を取揃えましてお返事申上げたほうが適当かと思います。一、二の例としまして、今御指摘になりましたようなことはあろうかというふうに考えております。
  90. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私の聞いておる範囲内では随分そういう例がありまして、三月まで生徒であつた諸君が卒業後、先生よくそれで食べて行かれますね、こういうふうに慰めの言葉を先生が頂いて赤面するということは至る所にあるのでございます。で、私考えますのに、先ほどの答弁では、今度の給與準則では給與引上げというようなことは考えてないということを答弁されました。給與準則の今度の問題はどういう問題があるかということを大体承知しておりますが、併しながら教員の給與の問題について荒木君も申されましたが、この点は決して忘れてはならないと思います。恐らくこれは人事官にしても、滝本給與局長さんにしても、自分の子供を優秀な子ができたら、小学校や中学校の先生にしようとは考えていないだろうと思います。東京都あたりでも優秀な子供を持つたたちは教員にはしないだろうと思います。最近保安庁が発足して仮称士官学校ができるというふうに噂されますけれども、新制高等学校の先生がたは殺到する気配があるわけです。というのは結局小中高等学校の先生がたの勤務並びに勤務條件というものが如何に劣悪か、仕事が大変骨が折れるかということを雄弁に物語つておると思う。こういう点は十分一つ認識されて、公務員全般の給與を引上げるということも大事でありますが、教職員の職務の特殊性というものを十分私は検討して善処して頂かなければならんと思います。その一つとしてお伺いいたすのですが、今私一端を申上げましたけれども、小学校、中学校、高等学校の教官の給與というものは今大体バランスが取れております。そのバランスを引離そうというので、今も問題になつておるのですが、もう一歩突込んで申しますと、小中高の先生がたの給與というものは大学の教職員の給與まで引上げるべきじやないかと思うのです。余りに至高等学校以下の教育公務員の給與と大学に勤められておるところの教育公務員の給與というものには差があると思うのです。何がために私はそういうことを申上げたかと言いますと、よく言われますが、官庁に勤務する人は卒業面後というものは小使に準じたようなことをやつておればいいわけです。係長とか課長さんの指導に従つて機械的な仕事をやつておればそれでよろしいわけです。そこでまああなたがたとしては職階制を布いておられるわけです。併しながら教育の場においては新制大学を卒業したおかたが小学校に入ろうとすると、直ちに小学校の一年生五十人或いは六十人というものをただ一人で責任を以て引受けて人間育成に携わるわけですね。そういう職務の重大性とか或いは難易性というものを考えるときに、これは中であろうが高であろうが、大学であろうが、差が違わないわけです。そういう立場から私は今の高中小と大学との間に非常に懸隔がある点が納得できないのです。更には小中高だけの給與体系を見ましても、一番下と上とが非常に幅が広過ぎる、まあ官庁あたりで職階制で行く場合には、雇員から上は、中あたりから上に行くとずつと幅が広いのが或いはできるかも知れない、併し今言つたような教職員の特殊性ということから、これは余りに広過ぎておる、この間は幅を狭くしなければならないものだと、こういうふうに私は常々考えておるわけですが、只今給與局長は今度の別表では表が長いものになるから、従つてこの昇給期間は短縮されて幾らかよくなるであろうというような御発言がございましたが、こういう特殊性から初任給を上げて幅を縮める、更に大学から小学校の間の教育方面の給與の開きを縮めるということについてはどういうふうにお考えになつていらつしやるか、是非一つ伺いたい。
  91. 滝本忠男

    政府委員(滝本忠男君) 現在公務員全体の給與ペースが低いということにつきましては御指摘の通りであります。只今入江人事官からお話がございましたように、目下人事院といたしましては、ベース・アツプの勧告をいたす準備を極力急いでおる次第であります。手続ができ次第やることになるのじやないかと思つております。公務員の中におきまして、現在教育公務員が特にひどく取扱われておるかというと、これはそうは言えないのであります。相当やはり今御指摘になりましたような事情考慮いたしまして、初任給等につきましても一般官庁に勤めまする場合よりも高くしてあるということは事実でございます。従いまして、これはもう理想を言えば切りがないのでありますけれども、公務員の給與問題を考えまする際には、教育職員といえどもその範囲にバランスして考えなければならないので、これはどうしてもそれほど教育公務員だけを切り離れたものにするということはこれはむずかしいだろうと思います。そして又事実我々の生活というものは学校を卒業いたしまして最初に勤めまする場合、それが教育公務員でありましようとも、又一般の行政官庁でありましようとも、いずれにいたしましても勤め初めと、それから次第に年が経つて見ました場合、普通でありまするならば家族の人員も殖えて行くというのが通常でございます。又交際範囲も拡まつて参るでありましようし、年を取れば生活というものも若いときの生活のようには行かないのであります。そういう意味におきまして生活給的にものを相当考えて行く必要があるであろうということはこれは当然であります。それで只今は幅を狭くすればいいと言つて初任給を上げておいて、そうして幅を狭くすべきであろう、無論内容は違わないのでございますから、教育職員の場合におきましても幅を狭くするということも一理窟であろうかと思います。併し今私が申上げておるように初任給というものを教育職員と一般行政官庁というものとそう違えるということもできませんし、そういうこともありますし、又一方生活給も漸次年を取つて行けば上げなければならないということもありますので、やはりこれは現在我々が考えておりますように、でき得る限り初任給においても考える。その後においても昇給をストツプすることのないように、できるだけ昇給も考えるということで行くのが実際問題として適切なのではなかろうかというふうに考えております。
  92. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大学と高中小の関係は。
  93. 滝本忠男

    政府委員(滝本忠男君) 大学とそれから高中小の問題でございまするが、高中小におきましては、主として教職員は教育に従事されるわけです。ところが大学におきましては、教授というものはこれは学生を指導教育いたすのは勿論でございまするが、一面におきまして研究ということが随分ある。それで大学におきましては先ず助手から始まりまして、或る場合においては講師、それから助教授、それから教授というようになつて参るのでございまして、この場合に最初出発点でありまする助手等におきましては、専ら研究に従事しておる。これは自分の修得のためにやつておると言つては語弊があるかも知れませんが、そういう部面もかなり強いのでございます。そういうふうに助手から講師、助教授、教授という線を辿つて行く場合におきましては、最初の頃は職務内容が極めて軽いというように考えなければならないのではないか。即ち大学におきまする通つて行くコースと、それから小中高の場合におきましては、おのずから違いがあるのではないか。ベースの問題は別といたしまして、そういう意味におきまして俸給表を考えまする際に、一応そういう場合に大学と高中小と一応分けて考えたほうが実際問題として事実に適合するというふうに考えております。
  94. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 もう一回質問いたします。それは教育公務員の初任給は他の公務員よりも若干よくなつておるということは承知しております。併しその程度の問題でですね……ということは失礼かも知れませんが、あなたがたを始めここにおられる大部分の人は、自分にいい子ができたら、小学校の先生にしようという積極的な意欲がないであろうと推察される。それだけのことでも私は教育公務員の初任給が現在くらいのもので妥当かどうかということに私は問題があると思う。そういう立場で私はお伺いいたしたわけであります。  更にお伺いいたしたい点は、只今大学にお働きになつておるかたがたの給與は十分だとは毛頭考えておりません。併しながらその教育の職務の特殊性という立場から、大学から小学校の間が余りにも懸隔があり過ぎるのではないかという考え方を私は持つておるのでございます。その質問に対しまして、今大学の助手、講師から教授にいたる職務内容と、それから小中高の職務内容について御説明があつたわけですが、そういう立場から言えばそういうことも言えましようが、併しながら大学或いは高中小に勤められておる先生がたの個人の学歴、それから勤続年数、その立場から考えた場合には、余りにも差があり過ぎるのじやないか。まあ具体的なものを挙げるならば、例えば中学校或いは高等学校に勤めておられるところの先生が大学のよく助教授あたりに転職されます。そのときの同一人の相違というものは余りにも大き過ぎるのじやないか。これは私は小中高をもう少し教育公務員の特殊性という立場から、現在の大学の給與に近づける必要があるのではないかと、こういう工合に考えております。もう一遍答弁を願います。
  95. 滝本忠男

    政府委員(滝本忠男君) 今お話の点でございますが、小中高等学校の教員が大学の助教授などに比べて余りにも差があるというお話でございますが、級別推定表の上では或る程度差があるようでございますが、現実の問題として我方が取調べた面におきましては、それほどの差があるというふうには考えておりません。なお新しい給與準則をこしらえます場合には、そういう部面も十分に考慮を加えますよう取進めております。
  96. 岩間正男

    ○岩間正男君 簡単にお伺いいたしたいのですが、一番問題になつておる二本建、三本建にしなければならないかという問題であります。三本建にしなければならないという人の意見を聞いてみますと、私も文部委員会から視察に参りまして、そういう関係者からしばしば陳情を受けた。又当委員会でそういうような陳情を受けたりするんです。そういうときに例えば高等学校の先生の勤務の内容といいますか、それと中小学校の場合は大分違う。殊に勤労によるエネルギーの消費の状態が非常に違うのです。高等学校あたりではこれはまあいわば精神労働、それでまあ今お話が大学の場合に関連して、非常に研究をやらなければならないというお話があつたのですが、そういう知的労働的なこと、ところが小中学校には、そういうことがないじやないか、非常に性格が違うのだからこういうものの性格を変えなければならんということを非常に大きな根拠として誠しやかに話をされておるのを聞きまして、私は実は驚いたのです。成るほど一面そういうふうに言えるかとも思いますけれども、同時に又これは幼稚園とか小学校のあのまだ成熟しない子供たちこの子供たちにまあ母代りになつて、親代りになつてタツテして行く。そのためには特殊の研究が必要だ。修養も非常に必要になつて来るわけです。更に小中学校の場合なんかの勤務状況を見ますというと、恐らくこれは一週間の受持時間というものは非常に多いと思う。これはあれを見ればわかるんでありまして、大体小学校では五十人の生徒に対しまして教員の割当数は中学校、高等学校に比べますと遥かに低い。こういう形でやられているんですから、従つてその一人の担当時間というものは非常に多いだけじやなくて、現在では又再び戦争の前のような体制に戻りつつあるのでありますが、それに附帯した事務が非常に多いんですね。例えば例を挙げますと、PTAのいろいろな仕事がある。これに対して金を集めるというような仕事がある。又官庁からいろいろな調査が小学校は非常に便利なものですからこれを依頼して来る。これを果さなければならない。更に本気になつてこれをやるとすれば非常に大変だ。一人でいろいろな教科を持つておる。音楽も持つておればそれから図画も持つておる、綴り方も持つておる。そういうようなことを担任し果すとなつたら非常に内容としましてはむしろ煩瑣であり、精神の使い方が非常に単一に行かない。もつと総合的な力が要るのです。従いまして私はこういう点から考えますと、文部省にも要求しておるんでありますが、一体こういうような勤務の内容というものを科学的に調査されたことがあるのかどうか、こういう見地に立つて一体人事院あたりではこの問題を検討されておるのかどうか、この点非常に重要だと思うのです。どうも今までの考え方だというと、大学は高級なことを教えておる、従つて非常に知的労働だ、小学校のほうはそうでなくてもいいんだ、ちいちいぱつぱをやつておればそれで勤まる、こういうような言い方をしているんでは、これは実に世俗的な表面的な見方で、教育そのものの本質を把握しない考え方だと思う。当然これにつきましても私たちは科学的な調査を本当は依頼したいと思うんですが、これは人事院あたりではそういうような点に今まで意を用いておられますかどうか、これが一点であります。同時にこういう点から先ほど申しましたところの三本建、殊に高等学校の先生が反対理由として挙げますところの労働の内容が違う、性質が違う、こういう点を人事院としては認められますか、認められませんか。こういう点について一応人事官の御意見を伺つておきたいと思う。
  97. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 只今質問のございました高等学校と中小学校の教職員のかたがた教育事務の難易と申しますか、まあそういう問題につきましては、もとより人事院といたしましては、又各学校によりまして、大学も含めまして、專門性のいろいろな違いでございますとか、或いは教育技術上の違いでございますとか、そういう問題はあると存じますけれども、併しながら教育の難易、教育を実施する上においての難易ということにつきましては、学校が違いますからといつて違うものとは考えておりません。文部省もそういう御見解のようでございまして、我々も文部省のそういう御意見の下にすべてのものを考えておるわけでございます。
  98. 岩間正男

    ○岩間正男君 当然そういうことだろうと私も考えるのでありますが、なおこういう点について本当にこれは実態調査を人事院が若し余裕があれば是非やつてもらいたいと思います。文部省が十分やつているかというと、科学的な方法はとられていない、非常に中小学校の先生あたりがもうやはり現在雑務に追われまして、殊に事務職員が非常に少いんですから、そういうことのために仕事を家に持つて帰るということが最近非常に目立つて来ておる。こういう事態もある。つまり時間外勤務をやつておるわけです。これは良心的にやつておる。こういうような事態なんかももつと総合的に調査されれば、私はこれは学校種別に分けて行くという建前、これは何だか昔の考え方に又戻りつつある。そういうところに何か楔が打込まれているように考えるんでありますけれども、むしろ逆に小中学校の実際の先生がたたちの労働状況を見ますと、こういうところこそもつと優遇されていいんだと、矢嶋君が先ほどから述べられましたから私はくどくは申しませんけれども、こういうところから言いまして、やはり当然……現在これを大学の場合一応分けて考えられると思いますが、二本建にするか三本建とするか、こういう点に全く教育労働そのものの実態から考えて根拠のない説だと我々考えておるのですが、これはどうなんですか。この点が先ほど荒木君からお話がありましたが、現在の形では政治的な含みでこの問題が影響されておる、こういうことを我々も聞いておる。若しこういうことだとしますと、やはり教育の今後の行政の面において禍根を残すのではないか。折角終戦後教育のそういうような階級制といいますか、そういうものを一応打破つて、そうして飽くまでもこの教育をもつと平等な自由なものに移して行こうとしておる方式はこの給與の面から非常にひびが入る。こういうふうに考えられるんですが、こういう点に関連してどうお考えになつておるか、お聞きしたい。
  99. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 只今の御質問の点につきましては、先ほど荒木委員にもお答え申上げました通りでございまして、もとより学校の如何によりまして、どちらの学校に勤められておるかたが余計骨が折れるとか、そういう問題ではないと思つております。もとより教養上の要請さるべき資格と申しますか、こういう問題が経験なり或いは勤続年数ということによつて一定の差等がついて参るわけでございますけれども、まあ大体そういう線におきまして先ほども申上げました通り、現在最終的な結論を出しますために折角検討いたしております。
  100. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほどのお話によりますと、この問題を決定する一つの大きな要素としては文部省教育行政の面からの意見を参考にする、これは非常に重く見るというお話があつたと思うのです。この教育行政というものを今言いましたような教育労働の実態に立つて、そうしてやはり判断されるということが非常に私は重要だと思う。ただ教育行政の面というのは文部省がそういう面まで含めて、無論幾分加味して方針にはなると思うのですが、これが何か政治的な含みがあつては非常に私はまずいと思う。こういう点から人事院とされましても、当然これは一つの確実なこれに対する見解に立つて作業を進めておられると思うのでありますけれども、私は今まで申上げましたようないろいろな条件に成るたけ触れて実態をつかまれて、本当に正しい、最も現実に合い、更に日本教育というものをそういう新らしい教育の下に打立てることができるような方向努力されることを切望したいと思います。
  101. 相馬助治

    相馬助治君 この際二、三点具体的なことをお聞きしておきたいと思うのです。答弁は局長でもよろしいです。  先ず第一点は三本建てにしなくちやならないという人たち意見を聞いて見ると、なかなか一々御尤もの理由が挙げられております。又首肯せざるを得ない理由が現実の問題として挙げられております。そこで私たちはこれは法の不備であるかどうかということを調べて見たのですが、私の調査ではそれは法律そのものが不備なのではなくて、その法律を適用する場合において即ち高等学校の職員の構成というものは学歴の相当高いものが中年にして入るというようなところから、即ちこの学歴と勤務年数との噛合いというものが小学校中学校の教職員よりも極めて複雑多岐であつて、この適用を誤まるというと、結論的に言うと、さも法律そのものを改めなければならないという立論の根拠が示されておると思うのです。そこで今も岩間委員から実態調査云々ということが出ておりまするが、作業の今過渡期で各方面意見を入れて行かれるという先ほどの人事官の御説明に基きまして、この実態調査を文部省のどの方面と、即ちどの機関とどういうふうな連繋を保たれて調査されておりますかということをお尋ねするのが第一点です。  それから第二点は、只今方面意見を聞いておられる、こういうことでございまするが、これは問題が複雑であり、重大なことであり、日本の将来の教育に及ぼす影響が極めて大きいので当然のことでございまするが、この各方面意見を入れるということがいい場合と悪い場合のあることは御承知通りだと思います。即ち実態調査等から文部省であるとか或いは教職員組合であるとか、そういう方面の声を十分聞いて、而も独自な立場に立つて人事院が結論を出さなくちやならない。これは当然ですが、その独自な見解を披瀝する場合に、いわゆる政治的圧力というものが……、人事院が出す勧告を、勧告以前に掣肘することがあるとするならこれは極めて問題であり、人事院自身がみずからの存在価値というものを低めて、現在人事院なんか要らないという政府の声にいよいよその勇気を與えるものだとこう考えておるわけです。従いまして、先ほどの人事官の御説明では作業が遅れている、この作業の遅れているのはしつつこいようですが、作業が遅れているのか、それとも作業は或る程度できているのであるが、この勧告の時期というものが極めて問題であるから、その時期を狙つて現在結論をつけないとこう言うのか。即ちもうちよつと具体的に言うと、勧告するための案を作る素材がまだ整わないからそれで遅れていると言うのか、それらは揃つておるけれども、その勧告そのものを効果あらしめるために政治的時期というものを睨んで今意識的に遅らせているのか。これは遅れているにしても大分内容が違うのであつて、それらがどういうふうになつておりますかということを一つ率直にこの際お聞かせ願つておきたいと存ずるのでございます。
  102. 滝本忠男

    政府委員(滝本忠男君) 先ず第一点の実態調査の問題であります。これは岩開議員からそういう実態調査をやつて、その結果を十分考えて、教育理念というか、そういうものだけでなしに、実態調査の上からも十分給與を考えろというお話がございました。現に我々が文部省と実態調査を一緒になつてつておるというようなことは私のほうから申上げていないのであります。ただ我々は実態調査というものを今まではやつたとは申されませんが、各方面でいろいろ調査された資料等は十分頂いておりまするので、そういうものを考えまして、例えば教員の勤務時間というようなものにつきましても相当の資料を持つております。従いまして、そういうことも十分考えて給與の問題をきめて参りたいと、こういうふうに考えます。  それから第二番目の作業の段階でございまするが、これは教育職員の俸給表をきめるという問題は、我々は給與準則の一環としてやつておる次第であります。そして俸給表だけをきめればそれでよろしいかと言いますると、そうは参らないのでありまして、各種の手当でありますとか、即ち俸給表以外に一般行政的な職務に従事しておりまするものと共通の問題が多々給與準則においてはあるのであります。そういうような問題で、全体として作業がまだ完了していないということを申上げておるのでありまして、なお教員の俸給表それ自身につきましても、根本観念がどうこういうことはございません。併し初任給のきめ方でありますとか、或いは最高号俸のきめ方でありますとか、そういうようなところになつて参りますると、なおこれで最後的であるというふうに我々考えたくない、そういう問題につきましては、更に検討をしておるということが現在の状況でございます。併しそのいずれにいたしましても、こういう問題につきましては、もうここ旬日を出でずいたしまして、人事院としては大体の作業の終了に達するのではないかというふうに考えております。
  103. 相馬助治

    相馬助治君 念を押しておきたいと思いますが、旬日を出でずして作業が終結するということは、人事官はこれを肯定なさいますか。
  104. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 作業がどのくらい……、先ず先ほどのお話のございました素材が遅れているのか、意識的に遅れているのかということにつきましては、今給與局長から申上げております通りで、決して意識的とか何とかという問題ではございません、作業の問題でございます。ただこれが先ほど給與局長が申上げた通り一般教育職員の基本給の問題のみでございませんで、いろいろ現業職員でございますとか、一般行政職員、あらゆる面に亘つておりますのと、或いは又服務方面、いろいろな方面に亘つておりますので、だんだん延期して参りましたのでありまして、作業の問題につきましては給與局のほうでやつておるわけでありますから、給與局長のほうで旬日を出でずして終了するのではないかという今の御答弁でございますれば、私はそうだと存じますけれども、その上で又一つ最終的な結論を出して勧告するという段取りになつております。
  105. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 教育費国庫負担について小委員会の審議経過について御報告を願います。
  106. 相馬助治

    相馬助治君 先の本委員会で只今委員長が申された小委員会が設けられまして、その後数回に亘つて鋭意研究を続けて参つたわけであります。従つて本日は小委員長からその審議の経過を報告するはずでございまするが、委員長が本日欠席しておりませんので、私から代つて概括的に御報告いたしまして、不備の点がありましたならば、ここに小委員の矢嶋並びに岩間、荒木小委員等が見えておりますので、これらの諸君から補足してもらいたいと思います。  義務教育費の問題について種々研究いたしました結果、現在の段階においてでき得るならば小委員会として一つの見解をまとめて、これを現在作業中の政府並びに各方面に向つてその意思を伝達することのほうがよろしいのではないかという話合いと相成りまして、それが昨日の小委員会におきましてさようなこととなつて、各党におきましてそれぞれの見解をまとめて案文を持ち寄り、本日これを総合して一つの小委員会の結論を出す、こういうことに相成つていたのでございますが、不幸にして本日はいろいろな事情が重なりまして、小委員出席が悪く、具体的に申しまするならば、一つ意見を小委員会の結論としてまとめる場合に、各党派が網羅されていない場合にはあとで問題を残すであろうという危惧が生れましたために、話合いの結果流会と相成つたのでございます。従いまして、只今委員会の段階は、一通りこの段階における養務教育費の問題についての検討を終り、小委員会としての結論を生むべく各党派においてその考えをまとめ、これを集約するというところまで参つておるというような次第でございます。で、その際話合いに出て、これを本委員会に諮らなければならないとしたことの一つがございます。それは即ち小委員会が一つの結論を以て意見を総合するという作業をすることが如何なものであろうかという一つの疑念があつたのですけれども、これは当然研究の結果は、そうすることが小委員会としての責務を果すゆえんであろうということに相成つたのですが、一応これは本委員会の了解を受ける必要があるではないかという小委員会の意見がございました。これを附加して報告しておきます。
  107. 岩間正男

    ○岩間正男君 只今相馬委員長の報告は私も大体その通りでいいと思うのですが、ただここで仮に皆さんの議論がまとまつて、それを現在進めている政府の、並びに自由党の案に申達する案はこれは決定されていなかつたと思う。むしろ我々は二週間ばかりいろいろな場合で向うのほうを見守つて来たのですが、どうも甚だ遅々として進まない。場合によつては、我々のほうから必要に応じてはこれは議員提案をせざるを得ないじやないか。そういう意見から、十分にそれに対する準備をして考える必要があるじやないか、こういうことであつたように思うのですが、その点如何すでか。
  108. 相馬助治

    相馬助治君 岩間委員の補足の通りです。
  109. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 只今相馬君並びに岩間君から報告された小委員会の経過報告を本委員会は了承することにしてそして私は次の点を委員長から諮つて頂きたいと思います。それは、小委員会はこれで打切にすることが一つ。それから只今の小委員長の報告の通りに参議院は当初懇談会で話会つたように、負担法を参議院独自で立案する過程に来たことを了承して、その立案した法律案をいつ国会に議員立法で提出するかどうかというその時期だけは後日に保留して、ともかく明日からこの参議院独自の法案を作成することに着手すること、これが第二点。それからその時期としては、小委員会を第一点において打切つたわけでございますから、早速明日の本委員会において各派の準備をされているところの要綱を持つて集まつて、そして協議する。その三点を私は諮つて頂きたいと思います。
  110. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 今の矢嶋君の提案どうですか、御意見おありのかたは……。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  111. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 速記を始めて……。  それでは今日は各派の御出席も揃つておりませんから、明日各派の御出席を要求しまして、その上で御相談を願うことにして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それでは今日はこれで委員会を閉じて懇談会に移りたいと思います。    午後四時九分散会