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1952-04-04 第13回国会 参議院 文部委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月四日(金曜日)    午前十時五十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梅原 眞隆君    理事            高田なほ子君            木内キヤウ君    委員            川村 松助君            木村 守江君            黒川 武雄君            高橋 道男君            山本 勇造君            棚橋 小虎君            岩間 正男君   政府委員    文部大臣官房総    務課長     相良 惟一君   事務局側    常任委員会專門    員       石丸 敬次君    常任委員会專門    員       竹内 敏夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教職員除去就職禁止等に関する  政令を廃止する法律案内閣送付)   —————————————
  2. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 只今より文部委員会を開きます。  昨日に引続いて教職員除去就職禁止等に関する政令を廃止する法律案を議題といたします。  これより討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  4. 岩間正男

    岩間正男君 私は、日本共産党を代表いたしましてこの法案反対いたします。基本的に言いますと、このポツダム政令そのものが、今度の新らしい段階になりまして、根本的に廃止して、そうして必要な法案を立法化すべきだ、こういうような立場に立つているのでありますが、この法案の狙つている内容について考えますときに、これを我々は、日本現実政治的情勢と綜合して考えるというと、現実判断が非常に必要だと思うのです。考えますというと、若し日本民主化ポツダム宣言の指向する通り徹底的に平和、更に徹底的な民主化方向を辿りまして、その方向に大きく動いて行く。そして日本憲法が、立法されましたところの精神の中で世界に率先して平和と民主化のためにむしろ先頭を切る、こういう態勢になつておるのでありましたならば、我々はこのような一つ軍国主義、超国家主義によつて一部の私権を停止されましたものに対しまして、これが解除され、そうして新らしい時代の、そういうような方向のために大きく働くということに何らこれは我々といえども反対をしないのであります。ところが、現実はどうかと言いますというと、全くこれと反対方向に動いておる。すでに再軍備政府がどう言おうが言うまいが、現実の問題として、これは再軍備はなされており、更にそれが拡大されておるということは、これは日本国会を除けば殆んど広く国民がこれを知つておる。又世界の輿論もこのことをはつきり認めて、その上に立つての評論を展開している次第であります。又最近の文化政策の面から言いましても、あらゆる面で、当委員会でもしばしば問題になりました種々諸般の問題を通じて見てもわかる通り、いわゆる逆コース方向をとつておるのであります。道徳実践要領の問題といい、或いは国歌の制定の問題といい、修身科の復活の問題といい、これらは一つの抽象的な形で提案されておりますけれども、その日本現実と照応して考えてみますときに、その果す役割、これは文部大臣の主観的な意図如何にかかわらず、果す役割というものは、客観的には非常に日本の、今申しましたところの逆コース態勢の中においては、意外な大きな精神的な一つの逆コースの仕事を果すのであります。こういう態勢の中に十分に、占領後の約七年の期間を通じて、こういう人たち民主化されてそういう方向がとられなかつたかと言いますというと、これは日本態勢を判断すればわかる通り、なかなかそうではない。殊に最近におきましては、これは日本の経済を一つ見てもわかりますように、いわばこれは日本をアメリカの東亜における前進基地に再編成する。そういうことのために、あらゆる問題が、曾つてポツダム宣言日本憲法によつて禁止されたような條項が、逆に元に戻されておる。まるで日本国民は玩具にされておる。国会議員なんかは殆んど誰一人といわず、私はそういう軍国主義反対だということを言いながら、現在の態勢を見ますというと、再軍備論というものが、相当これは広汎に行われておる。こういうような形で十分に日本民主化が果されないその中で、この教職員のこういうような追放に会いました人たちが、徹底したそういう態勢がとられておるその中で、而も今申しました日本がそういう必要に応じて態度を変えておる、変えさせられておる。こういう中にこの教職員追放解除というようなことがここでなされるというと、まだ過去の姿、つまり教育による支配、つまり精神総動員的な支配の形のためにこれが使われないという何らの保障もないのであります。それで文部大臣の先日の説明によりますというと、そういう問題については過去に好ましくない著書を出したとか、軍国主義、超国家主義を煽つたものに対しては任命権者が判断する。任命権者の取捨選択にこれを任せるというのであります。これは何ら法的根拠はないのであります。これは文相の主観的な答弁に過ぎないのであります。こういうことは法的にはこれは成立しない。又仮に任命権者に委せるといたしましてもその任命権者そのものさえも、大きく今度は、今教育委員会の例えば教育委員任命にしようか何とか言つて騒いでいる。官僚統制に委せよう、こういう形の中では任命に委せるということはどういう形になるかというと、逆にそういう人たちを取上げて行くという形をとることは、これは易易たることであります。それに対する阻止するところの何かの保障はないのであります。こういう形でいわば戰争中にいわゆる超国家主義軍国主義を担ぎ廻つたところの教育精神総動員役割を果した人たちが、ここで再び一つのそういうような役割を果すことに対して、我々は深甚にこれは日本民主化のために考えざるを得ない。こういう危険のある、こういうような一つ廃止法案反対する。もう一つ反対理由は、この法案では過去のそういうような超国家主義者軍国主義者、こういう人たちについて、これは追放解除というような恩典に均霑させようとしているのでありますが、一方におきましては、この過去において、例えば団体等規正令というので解散団体というような中で、その適用を受けまして百六十人の人たちが、例えばこれは教職から追われている。或いは又占領軍政策違反ということで政令三百二十五号違反という、そういう人たちが又十六人残つておるのであります。こういう人たちは本当に果して一体その名に値するかどうか。これはここで論議の限りではありませんけれども、併しながらこういう人たちのやつた行動とか、そういうものを見ますというと、日本むしろ憲法に違反し、平和を守らない、そうして戰争態勢に追い込むようなそういう態勢に対して反対して来た、いわば日本憲法を守り、平和を守る人たち、今までそういうことのためにむしろ指弾された人なんだ、そういう人たちは復活させないでおいて、そして過去の軍国主義国家主義の徒が一方で復活する。こういうことは、私は非常に、若しも政府が言うところの、人権をここでできるだけ講和発効後に回復したいんだという、こういう趣旨から申します場合に、これはまさに逆の行為と思うのです。こういうものが今後の問題として残されたままに、過去のそういうような追放者がここで解除されるということは、私の到底了承することができない点であります。こういう二点の理由を主な理由としまして、そのほかにまあ申上げたいことはこまごまありますけれども、時間の関係上省きまして、私は日本共産党を代表しまして、この法案反対するものであります。
  5. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 他に御発言はございませんか。
  6. 高田なほ子

    高田なほ子君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして、この法案に対して一つ條件を付けて賛成をするものであります。  この法律そのものは、独立日本という立場から考えたときに、一切の就職自由の制限は廃止されて、基本的な人権が尊重される。而も憲法に規定された就職の自由は個人の権利として当然これは確保されなければならない。こういう大きな観点から、この法案によつて就職自由の制限を受けていた者が解放される。こういう意味において賛成をするものでございます。併しながらこの解放に当りまして、これらの人々権利又は資格を取得させるということ、これ自体は結構ではございますけれども、現在の社会情勢というものは必ずしも真実の意味民主化への方向に向つていると考えられぬ点が、幾多の疑義を持つような点が非常に多くあるのでございます。即ち戰犯という名前に当つていた人々は「侵略主義若しくは好戰的国家主義を鼓吹し、又はその宣伝に積極的に協力した者並びに学説をもつて亜細亜政策東亜新秩序その他これに類似した政策及び満洲事変、支那事変又は今次の戰争に、理念的基礎を与えた者」、或いは「独裁主義又はナチ的若しくはフアシスト的全体主義を鼓吹した者」、或いは「人種的理由によつて、他人を迫害し、排斥した者」、「民族的優越感を鼓吹する目的で、神道思想を宣伝した者」、「自由主義、反軍国主義等思想を持つ者、又はいずれかの宗教を信ずる者を、その思想又は宗教理由として、迫害又は排斥した者」、「右の各号のいずれにも当らないが、軍国主義若しくは極端な国家主義を鼓吹した者、又はそのような傾向に迎合して、教育者として思想的節操をかくに至つた者」というような條項を挙げまして、こういうことに該当した者がこれは追放せられたのでありまして、当然この追放の……つまり資格権利を取得する條件としては、こういつたようなことが一切払拭されなければならない、こういうふうに考えるのでございます。併しながら過般この法案の審議の過程において、これらのかたがたの権利又は資格を取得させる場合に、文部当局としてこの資格取得に対しては積極的な方法をとられるのであるかどうかという矢嶋委員の質問に対しまして、大臣はその問題については個々にこれは考えなければならないというような御答弁をされたのでありますが、その個々に考えなければならないという、いわゆる任命権者の主観によつてそのことが左右せられるとするならば、今のようなやや社会民主化方向に逆行しようとする態勢の中で、非常に私は危険な要素を孕むものであろうかと思うのであります。併しながらしみじみ考えますれば、教育者はみずから好んで軍国主義的な、国家主義的な思想を鼓吹したものではなく、国家政策そのものの中において、止むを得ざる状態において教育者はこういうことをさせられ、国家一つの手段として、教育者は抑制の下にこういう軍国主義の鼓吹をさせられたというような観点から考えますときに、私が以上挙げましたような戰犯に値する要素を徹底的に払拭させ、新らしい教育の基盤をこの人たちによつて、反省の上に立つて、盛上げさせなければならない、こういうような私は大きな希望と善意とを以て、逆行の方向行つてはならないという條件を付けまして、この法律案賛成するものであります。
  7. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 他に御発言はございませんか。……御意見も尽きたようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。教職員除去就職禁止等に関する政令を廃止する法律案を問題といたします。本案を可決することに御賛成のかたの御起立を願います。    〔賛成者起立
  9. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 多数でございます。よつて教職員除去就職禁止等に関する政令を廃止する法律案は多数を以て可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長口頭報告内容は、本院規則第百四條によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならんことになつておりますが、これは委員長において、本案内容、本委員会における質疑応答要旨討論要旨及び表決の結果を報告することとしまして、御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者署名を附することになつておりまするから、本法案を可決することに賛成されたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     高田なほ子  木内キヤウ     川村 松助  木村 守江     黒川 武雄  棚橋 小虎     高橋 道男  山本 勇造
  11. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 本日はこれで散会いたします。    午前十一時八分散会