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岩間正男君 私は、
日本共産党を代表いたしましてこの
法案に
反対いたします。基本的に言いますと、この
ポツダム政令そのものが、今度の新らしい段階になりまして、根本的に廃止して、そうして必要な
法案を立法化すべきだ、こういうような
立場に立
つているのでありますが、この
法案の狙
つている
内容について考えますときに、これを我々は、
日本の
現実の
政治的情勢と綜合して考えるというと、
現実判断が非常に必要だと思うのです。考えますというと、若し
日本の
民主化が
ポツダム宣言の指向する
通り徹底的に平和、更に徹底的な
民主化の
方向を辿りまして、その
方向に大きく動いて行く。そして
日本憲法が、立法されましたところの
精神の中で
世界に率先して平和と
民主化のためにむしろ先頭を切る、こういう
態勢にな
つておるのでありましたならば、我々はこのような
一つの
軍国主義、超
国家主義によ
つて一部の私権を停止されましたものに対しまして、これが解除され、そうして新らしい時代の、そういうような
方向のために大きく働くということに何らこれは我々といえども
反対をしないのであります。ところが、
現実はどうかと言いますというと、全くこれと
反対の
方向に動いておる。すでに再
軍備は
政府がどう言おうが言うまいが、
現実の問題として、これは再
軍備はなされており、更にそれが拡大されておるということは、これは
日本の
国会を除けば殆んど広く
国民がこれを知
つておる。又
世界の輿論もこのことをはつきり認めて、その上に立
つての評論を展開している次第であります。又最近の
文化政策の面から言いましても、あらゆる面で、当
委員会でもしばしば問題になりました
種々諸般の問題を通じて見てもわかる
通り、いわゆる逆
コースの
方向をと
つておるのであります。
道徳実践要領の問題といい、或いは国歌の制定の問題といい、
修身科の復活の問題といい、これらは
一つの抽象的な形で提案されておりますけれども、その
日本の
現実と照応して考えてみますときに、その果す
役割、これは
文部大臣の主観的な
意図如何にかかわらず、果す
役割というものは、客観的には非常に
日本の、今申しましたところの逆
コースの
態勢の中においては、意外な大きな
精神的な
一つの逆
コースの仕事を果すのであります。こういう
態勢の中に十分に、
占領後の約七年の期間を通じて、こういう
人たちが
民主化されてそういう
方向がとられなかつたかと言いますというと、これは
日本の
態勢を判断すればわかる
通り、なかなかそうではない。殊に最近におきましては、これは
日本の経済を
一つ見てもわかりますように、いわばこれは
日本をアメリカの
東亜における
前進基地に再編成する。そういうことのために、あらゆる問題が、
曾つてポツダム宣言や
日本憲法によ
つて禁止されたような
條項が、逆に元に戻されておる。まるで
日本国民は玩具にされておる。
国会議員なんかは殆んど誰一人といわず、私はそういう
軍国主義反対だということを言いながら、現在の
態勢を見ますというと、再
軍備論というものが、相当これは広汎に行われておる。こういうような形で十分に
日本の
民主化が果されないその中で、この
教職員のこういうような
追放に会いました
人たちが、徹底したそういう
態勢がとられておるその中で、而も今申しました
日本がそういう必要に応じて態度を変えておる、変えさせられておる。こういう中にこの
教職員の
追放解除というようなことがここでなされるというと、まだ過去の姿、つまり
教育による
支配、つまり
精神総動員的な
支配の形のためにこれが使われないという何らの
保障もないのであります。それで
文部大臣の先日の説明によりますというと、そういう問題については過去に好ましくない著書を出したとか、
軍国主義、超
国家主義を煽つたものに対しては
任命権者が判断する。
任命権者の取捨選択にこれを任せるというのであります。これは何ら
法的根拠はないのであります。これは文相の主観的な
答弁に過ぎないのであります。こういうことは法的にはこれは成立しない。又仮に
任命権者に委せるといたしましてもその
任命権者そのものさえも、大きく今度は、今
教育委員会の例えば
教育委員を
任命にしようか何とか言
つて騒いでいる。
官僚統制に委せよう、こういう形の中では
任命に委せるということはどういう形になるかというと、逆にそういう
人たちを取上げて行くという形をとることは、これは易易たることであります。それに対する阻止するところの何かの
保障はないのであります。こういう形でいわば戰争中にいわゆる超
国家主義、
軍国主義を担ぎ廻つたところの
教育精神総動員の
役割を果した
人たちが、ここで再び
一つのそういうような
役割を果すことに対して、我々は深甚にこれは
日本民主化のために考えざるを得ない。こういう危険のある、こういうような
一つの
廃止法案に
反対する。もう
一つの
反対理由は、この
法案では過去のそういうような超
国家主義者、
軍国主義者、こういう
人たちについて、これは
追放解除というような恩典に均霑させようとしているのでありますが、一方におきましては、この過去において、例えば
団体等規正令というので
解散団体というような中で、その適用を受けまして百六十人の
人たちが、例えばこれは教職から追われている。或いは又
占領軍の
政策違反ということで
政令三百二十五
号違反という、そういう
人たちが又十六人残
つておるのであります。こういう
人たちは本当に果して一体その名に値するかどうか。これはここで論議の限りではありませんけれども、併しながらこういう
人たちのやつた行動とか、そういうものを見ますというと、
日本の
むしろ憲法に違反し、平和を守らない、そうして
戰争態勢に追い込むようなそういう
態勢に対して
反対して来た、いわば
日本の
憲法を守り、平和を守る
人たち、今までそういうことのためにむしろ指弾された人なんだ、そういう
人たちは復活させないでおいて、そして過去の
軍国主義や
国家主義の徒が一方で復活する。こういうことは、私は非常に、若しも
政府が言うところの、
人権をここでできるだけ
講和発効後に回復したいんだという、こういう趣旨から申します場合に、これはまさに逆の行為と思うのです。こういうものが今後の問題として残されたままに、過去のそういうような
追放者がここで解除されるということは、私の到底了承することができない点であります。こういう二点の
理由を主な
理由としまして、そのほかにまあ申上げたいことはこまごまありますけれども、時間の関係上省きまして、私は
日本共産党を代表しまして、この
法案に
反対するものであります。