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説明員(
田中徳治君) それでは先月の十三日から約二週間に亘りまして、北海道の十勝地震の現状を視察して参りましたその大綱を御
説明申上げます。
今次の震災の特徴といたしまして、特に
学校建築の被害が非常に多かつた、この点につきましては、この
学校が主として北海道の泥炭地、非常に地盤の軟弱な個所に建設されておつたということ、なお校舎自体が非常に構造的に不備であつたということ、なお校舎自体が非常に老朽のものが多く、腐朽の
程度が甚だしい結果であつたということ、なおそのほかに地震そのものが非常に大きかつたということ、これらのものが総合されまして、一般住宅に比しまして非常に被害が多かつたということでございますが、併しそのうちでも不幸中の幸いと言いますか、兒童、
職員の犠牲者が非常に少なかつたということは、従来の震災に見ない例でございまして、なお火災の少かつたということは、これも
一つの特徴でございます。現地の
学校におきまして人的災害の少かつたということは、校舎自体が構造は非常に粗末でありますが、特に屋根の瓦がなかつたということ、要するにトタン葺なり或いは板葺で、非常に建物の上のほうが軽かつたということ、なお震災地におきましては二階建の校舎がなかつたということが、割金に地震の激しかつたことに比較しまして被害の少い原因にもな
つておりますが、又倒壊に相当時間を要しまして、十分なる避難ができたということも
関係があるのでございます。併し特に被害の多いということは、
学校の集合煙筒と
言つておりますが、冬期の媛房のための煉瓦造の煙突、これが相当に、殆んど大部分が被害を受けまして、その倒壊によりまして兒童の、或いは
職員の犠牲者が出ておるのでございます。このことは北海道におきましては従来暴風も非常に少いのでございますが、震災がなかつたということで、
学校建築の上におきましても何らのこれに対する措置を講じていなかつたということが、その被害を大きくした
一つの原因でございました。従いまして北海道の現在の建築はいま少し耐震的な方法なり、或いは暴風に対する構造的措置を相当に
考慮いたしまして、今後の建設をする必要があるのではないかというふうに
考えております。なおこの児童、
職員の犠牲者の少かつた原因といたしましては、戰前からの避難訓練の非常に徹底しておつたということが
一つの原因であります。なお火災の少かつたということにおきましては、常々北海道の校舎が火災が非常に多い、これは
一つは冬の暖房のストーブの
関係でもございますが、この火器に対する平常からの心がまえが非常に徹底しておつた。地震中におきましても、みずから火傷を負いながらもこれらの防火措置を講じたということが火災を非常に少くしたというようなことにな
つております。特に震災の大きかつた地域は十勝、日高方面でございますが、釧路方面に参りましては震災よりは、むしろ津浪の被害が非常に多くな
つて参
つておりまして、特に霧多布におきましてはこの津浪のために相当の被害をこうむ
つておりますのですが、幸い新らしい新制中学は立派な構造をや
つておつたために、そのまま流失を免がれてそのまま嚴存しておるというような状況でございます。この建設につきましては、今後如何にするかという問題につきましては、市町村財政の非常に困窮しておる北海道市町村におきましては、少くとも十分な補助の裏付なり或いは起債の裏付をいたしまして、今後又二度とこのような被害をこうむることのないようにすることが最も必要ではないかというふうに
考えておる次第であります。なお、北海道全道に亘りましては相当の震度の地域もありますが、十勝、日高以外におきましては、建物そのものに対しましては大した被害はありません。大体集合煙突の被害
程度でありまして、なお、この十勝或いは日高方面におきましては、
学校そのものが非常に小さい
学校であると同時に、僻陬地にあります。従いましてその被害
学校が現在の授業をどう継続するかという点につきましては、相当府町村自体も困
つておるような現況を見受けました。併しこの授業の継続に対しましては、現地におきましては応急バラツクの建設というような声も強いようでございますが、併し折角市町村自体の財政の困窮の際なり、或いは国家の財政の困窮の際におきまして、このようなバラツクの建築を推進することは国費なり、地方費を無駄に使用するというようなことと
考えられますので、できるならば本建築推進のために万全の措置を講ずることが最も適当ではないかというふうに
考えられます。その点につきましては、先ほどの補助金政策なり或いは起債の十分な裏付けを必要とするというふうに
考えられている次第であります。
大体以上のような次第であります。