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1952-03-20 第13回国会 参議院 文部委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十日(木曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————   委員の異動 三月十九日委員平岡市三君、工藤鐵男 君及び河崎ナツ君辞任につき、その補 欠として草葉隆圓君、安井謙君及び藤 原道子君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梅原 眞隆君    理事            加納 金助君            高田なほ子君    委員            川村 松助君            木村 守江君            草葉 隆圓君            黒川 武雄君            白波瀬米吉君            安井  謙君            堀越 儀郎君            山本 勇造君            荒木正三郎君            相馬 助治君            矢嶋 三義君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君   政府委員    文部省初等中等    教育局長    田中 義男君    文部省大学学術    局長      稲田 清助君    文部省管理局長 近藤 直人君   事務局側    常任委員会專門    員       石丸 敬次君    常任委員会專門    員       竹内 敏夫君   説明員    文部省管理局庶    務課長     福田  繁君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○私立学校振興会法案内閣提出、衆  議院送付)   —————————————
  2. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) これより文部委員会を開きます。  私立学校振興会法案逐条審議に入りたいと思います。各章ごと政府委員から朗読を願いまして、各章ごと質疑のあるかたに質疑をお願いいたしたいと思います。
  3. 福田繁

    説明員福田繁君) それでは朗読いたします。    第一章 総則   (目的)  第一條 私立学校振興会は、私立学校経営に関し必要な資金貸付私立学校教育助成その他私立学校教育に対する援助に必要な業務を行い、もつて私立学校教育振興を図ることを目的とする。   (法人格)  第二条 私立学校振興会(以下「振興会」という。)は法人とする。   (定義)  第三条 この法律において「私立学校」とは、学校教育法昭和二十二年法律第二十六号)第二条第二項に規定する私立学校をいう。  2 この法律において「学校法人」とは、私立学校法昭和二十四年法律第二百七十号)第三条に規定する学校法人をいう。   (事務所)  第四条 振興会は、主たる事務所を東京都に置く。  2 振興会は、必要な地に従たる事務所を置くことができる。   (資本金)  第五条 振興会資本金は、三億九千万円と第三項の規定により出資された債権の額に相当する額の合計額とする。  2 政府は、振興会に対して、前項の三億九千万円を出資するものとする。  3 昭和二十一年四月一日から振興会成立の日の前日までの間において、戦災、震災その他の災害のため被害を受けた私立学校学校教育法第九十四条の規定により廃止された法令による私立学校を含む。以下この項並びに第二十七条第一項及び第二項において同じ。)の建物の復旧費及び私立学校経営費のため政府から私立学校を設置する者又は都道府県に対して貸し付けられた貸付金債権(以下「旧債権」という。)及びこれらの債権を担保する権利は、振興会成立の日において、政府から振興会が承継するものとし、その債権の額に相当する額は、政府から振興会に対して出資されたものとする。  4 振興会は、必要があるときは、文部大臣認可を受けて、その資本金増加することができる。  5 政府は、前項規定により、振興会がその資本金増加する場合においては、予算に定める金額の範囲内において、振興会出資することができる。   (定款)  第六条 振興会は、定款をもつて左の事項規定しなければならない。   一 目的   二 名称   三 事務所の所在地   四 資本金及び資産に関する事項   五 役員に関する事項   六 評議員会及び評議員に関する事項   七 業務及びその執行に関する事項   八 会計に関する事項  2 定款変更は、文部大臣認可を受けなければ、その効力を生じない。   (登記)  第七条 振興会は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。  2 前項規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。  3 登記した事項は、登記所において、遅滞なく公告しなければならない。   (名称使用制限)  第八条 振興会でない者は、私立学校振興会という名称又はこれに類以する名称を用いてはならない。   (解散)  第九条 振興会解散及びその解散した場合における残余財産の処置については、別に法律で定める。   (法人に関する規定の準用)  第十条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人不法行為能力)、第五十条(法人の住所)及び第五十四条(理事代表権制限)の規定は、振興会に準用する。
  4. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 第一章に対して質疑のあるかたは御質疑を願います。
  5. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はこの第一条についてくどいようでありますが、もう一回明確な御答弁を願いたいと思うのです。と申しますのは、私立学校教育振興に当つて私立学校教職員の現在置かれておるところ待遇というものが余りにも貧弱で、私学振興に相当の支障を来たしておる、その解決策一つとして、公立学校教職員共済組合に準ずるところ私学共済組合を設立して欲しいという要望が多年に亘つて強力に続けられ、文部省においてもその必要性を認めて努力されて来たことは多とするのでございますが、先般の委員会近藤局長は、私学経営に対するところ資金貸付教職員共済事業に対するところ助成とを  並行的に全く対等でやられるかのように発言し、それが又正しいのだと、こういうことを言葉巧みに表現されておられるわけです。従つてそれを聞けば私立学校共済組合というものは単独に作らないが、この法案によつてそれに代るべき使命を果させるのだというように聞えますし、一応お言葉だけでは安心するようでございますけれども、併しながら文部大臣提案理由説明要旨の第四項並びに管理局長説明要旨の第五、その両方ではつきりしておる点は、この法案というものは、私立学校経営に関し、必要なる資金貸付とその助成、これが主であつて教職員共済事業というものは従であるということは、大臣並びに局長説明要旨ではつきりしておるわけなんですね。局長の先般の委員会言明と私は相当相違があると考えるわけです。そこで私がお伺いいたしたいのは、私立学校教職員共済事業公立学校教職員共済事業同等程度に実質的に行うためには、如何なる具体的な対策を持たれておるか、如何に処して行こうとしておられるかということを私はここではつきり承わりたいのであります。この法案を出されて、先般答弁されたようなことで如何にも解決したようでございますけれども、プリントして配られたところ提案趣旨にはつきりとそれが明記されておりますが、局長の弁明と相違するので重ねてお伺いするわけであります。
  6. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) お答えいたします。特殊法人私学振興会事業目的は第一条に明らかであります。又それを受けましてこの目的を達成するために如何なる業務を行うかということは、第二十二条に四つに分けまして明らかでございます。而うしてこの振興会の主たる業務は、経営のための必要な資金貸付である、従たる業務福利厚生その他私立学校教育振興上必要と認められる事業を行うものに対する助成であるというふうには考えておりませんので、先般申上げましたように、これは私立学校経営のために必要な資金貸付を行い、又それと並行しまして私立学校教職員の研修、福利厚生等事業を行うものに対して助成を行うということは、同時に私は事業内容として考えるべきものと思つております。従いまして、お説にございましたが、経営のための貸付が主であり、福利厚生が従であるというふうには考えておりません。その点をもう一応はつきり申上げておきます。然らばこの共済事業に対する助成によりまして、財団法人私学振興会の行われる福利厚生仕事は、その内容公立学校共済組合のそれと同等程度であらねばならんということでございますが、我々も少くとも公立学校共済組合只今行なつておりまする共済事業内容にひとしいもの、又はそれ以上の内容を持ちたいものと考えております。少くとも同等程度まで事業内容につきまして、内容的に十分この種の仕事が果せるように考えております。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 再度に亘る局長只今言明によつて、私はこの法案の狙つているところが、私立学校教職員共済事業私立学校経営と全く対等の立場において解決して行くべく立法されているのであるという説明を承わつて、それを私は諒とする次第でございます。次にお伺いいたしたい点は、私立学校経営に関し必要な資金貸付とございますこの点についてでございます。と申しますのは、この私立学校教職員給与実態についての資料文部省のほうから出して頂きましたが、それによりますというと、この資料だけで見ましても、余りにも給与が劣悪である。特に高等学校給与が最もこの表によりますとひどいようでございますが、殆んどその財源を授業料に依存している。ところ授業料を上げて行くにはおのずと限度がある、こういうことになりますというと、私学教職員給与というものがこういう実態になるということが予想されるわけでございますが、この第一条に「私立学校経営に関し必要な資金貸付」と調われているわけでございますが、この項が私はやはりこれに適用されはしないかと思うのです。即ちこういう会ができまして、役員、それから諮問機関委員がそれぞれ任命された暁には、私は国家公務員に対して私立学校教職員給与というものが余りにも劣悪である場合には、この振興会から助成されるところ金額を、給与が或る一定の水準に達するまで、その貸付金並び助成をその方面に向けるような、私は助言並びに指導がなさるべきものと、こういうふうに第一条を私は解釈するのでございますが、これに対する政府側答弁を願いたい。
  8. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) お答えいたします。私立学校経営に関し必要な資金貸付というものの中に、経営経営費貸付というものが当然含まれると解釈いたしております。従いまして経営経営費でございまするので、学校の教員の人件費その他の面もこれによつて救済されるということが当然であり得ると考えます。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点もうちよつとお伺いいたしたい点は、この法律によつて貸付並びに助成をして行く、その費用を、非常にごの国家公務員に比して劣悪なる待遇にあるにかかわらず、それを顧みることなく、一方的に施設並びに設備方面にその貸付金並び助成金を使われるというような場合がきつと起ると思う。そういう場合に対しては如何に善処されるつもりでありますか。
  10. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 御意見御尤もでございますが、只今ところでは、この私学振興会出資金が十分でございませんので、現金出資が三億九千万円という現状から考えまして、やはり初年度から次年度あたりにかけましてはこの経営経営費貸付がどうしても主にならざるを得ない。設備施設貸付にまでは及びかねるというふうにむしろ考えておりますので、万一災害等がございまして、学校といたしまして、相当多額の設備資金貸付要望があつたというような場合におきましては、やはり別段の考慮をいたさねば、これでは、この金額では間に合わないのではないかというふうに私は只今ところ考えております。
  11. 加納金助

    加納金助君 只今私立学校経営に関し必要な資金、その中には教職員の俸給、つまり経営費貸付を含む、この問題はこれは実に重大なことで、今計上されるような金額を以てしたならば、殆んど二階から目薬くらいのところで、(「その通り」と呼ぶ者あり)何もできないじやないですか。或いは学校校舎設備或いは校舎建設とか、器具機械設備、そういうものに眼目を置くべきじやないですか。そこをちよつとお伺いしたい。
  12. 福田繁

    説明員福田繁君) 仰せのような点は十分ございますが、この点につきましては、法案としては将来貸付金が非常に大きくなつた場合には、校舎建築その他の施設充実という面にも相当貸付を行い得る予定で、かなり広く書いておるのでございまして、この第一条の経営に必要な資金の貸金と申しますのは、経営費の中でも経営的な経費と、やや臨時的な経費或いは設備充実施設の拡充といつたような面もあるわけでありまして、そうした両方含むように法案としては将来のことを考えて書いておりますが、資金関係から申しまして、只今局長から申されたように、主として当初は経営的経費貸付から出発したい、こういう趣旨でできておるわけであります。
  13. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 主として第五条に関係をしてお尋ねをいたしますが、この第五条の第一項に「振興会資本金は、三億九千万円と第三項の規定により出資された債権の額に相当する額の合計額とする。」、そうして第二項には、これは政府出資すると、こういうふうになつているのですが、今年の予算では一億五千万円が計上してあつたように思うのですが、あとの残額はどういうふうになるのですか。
  14. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) お答えいたします。資本金のうち、現金出資は三億九千万円とここに書いてございますが、このうち昭和二十七年度予算に計上されました金額が二億六千万円、而してその差額の一億三千万円は昭和二十六年度学校災害貸付金節約額を流用いたしまして、これに振向けるということで、この点につきましては大蔵省方面と完全に了解が付いております。
  15. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは前、これの提案説明があつたときは二億六千万円でしたか、今年の予算が……。それで残額は来年度予算においてとるのだと、こういう説明を私聞いておつたのですが、それは間違いですか。
  16. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) さような御説明を申した記憶がございませんが、二十六年度の分としまして一億三千万円、これは二十六年度学校災害貸付金の中の節約額が一億三千万円、これをこれに出資する。それから別に二十七年度予算で二億六千万円、すでに予算が確定しております。目下審議中でございますが、予定いたしておりますので、合せまして三億六千万円、さように申上げたはずでございます。
  17. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで事情はわかりました。そこで昨年度、いや本年度において私立学校災害復旧に組まれた予算を使わないで、これのほうに廻すということはお差支えないところの事柄なのかどうか、多少私は疑問に思うのですがね。予算として災害復旧のために割当てた金を使わない。節約ということはいいんですけれども、使わないでそれをこつちに廻して来るということは、いわゆるそういうことができるのかどうか。やはり私疑問に思うのですけれども、一旦決定された予算政府考えで勝手にほかに流用するというふうなことができるのかどうか疑問に思いますが、その点を御説明願いたい。
  18. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) その点につきましてお答え申上げますが、今年の戦災復旧費は約九億九千万円貸付けておる。
  19. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それは私立学校ですか。全体ですか。
  20. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 私立学校です。
  21. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私立学校だけですか。
  22. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) だけでございます。そのうちから戦災学校のうちには自己資金によつて早く復旧した学校も相当ございます。又貸付金でございますから、やがては返さなければならないので、だから自己資金を調達した、例えば寄附金によりますとか、ミツシヨンスクールなどは寄附金によつて復旧する、そういう面もございまして、その貸付金を辞退する向も出て参つております。それらがございますので、この予定の九億九千万円を全部貸付けるということには現実にならないわけであります。そこで節約額が生じたわけでございますので、これをまあ今度の出資に当てるというふうに考えておるのであります。
  23. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その点は大体わかりますが、加納さんからも御意見があつたのですが、振興会資本金は二十一億四千万円になる、併し政府出資は結局三億九千万円で、残りの十七億幾らかは、これは貸付けた金を回収して、それを資本金に当てる、そういうことになる。そうするとこの回収がうまく行かないということになると、この振興会事業も自然うまく行かない、こういうことになると思う。それから一面回収がうまく行くということは、これは非常に無理が伴う場合には、却つて私学振興に障害を与える場合があると思うのですが、そういう点についてどういうふうなお考を持つておられるのか、大体無理のない状態で、この貸付けた資金回収される見込があるのかないのか、こういう点を御説明願いたい。
  24. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) この貸付金でございますが、今日まで十七億五千万円の額に達しておるのでございます。これが丁度本年の四月以降から回収されるわけでございます。その見込につきまして、今御質問でございますが、我々といたしましてはこれは全部契約であり、はつきりした担保もありますので、普通の状態におきましては必らず返つて来るものというふうに考えております。併しながら、学校のいろいろな事情によりまして返還が不可能である、或いは非常に困難なために条件を変えてくれというような話は、当然私たちといたしましては考えておるのであります。さような場合には、その個々の実情に応じまして具体的に検討いたしまして、条件変更或いは債権免除ということも当然あり得ると考えております。それらの点につきましては、今後具体的の場合に当つて参りませんと、はつきりしたことをここでは申上げられませんが、そういつたことも当然あり得ると思う。さような場合には、この経営費貸付金によつて生じまする利益金の中からその免除額に相当する額を利益金から控除いたしまして、これを特別積立金ということにいたして同額を積んでおる。従いまして仮に例を挙げて申上げますと、金部十七億五千万円が返らないといたしますれば、それと同額のものが特別積立金として積まれるということを予想いたしております。又これは極端な場合でございますが、具体的の場合になりませんければ、はつきりしたことは申上げられませんが、只今ところでは契約に従いまして元利が返つて来るものと考えております。
  25. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 次に第五条第四項に関係しておるのですが、振興会は必要があるときは資本金増加をすることができる、この項ですが、この資本金増加を必要とした場合、これは全部政府出資になるのか、或いは他からの出資を求めることができるのか、その点が一つです。それからもう一つは「必要があるときは、」と書いてありますが、振興会資本金が二十一億四千万円では足らないということは政府説明の中にもあるわけなんです。これは足らないことはわかり切つておるわけなんですが、当然、だから将来増額しなければならんということも考えられるわけです。それについて政府のほうでは将来政府出資によつてこれを増額するような考えを持つておられるのか、そういうことが一つと、先ほど言つたよう資本金増加の場合は全部政府出資になるのか、その点を一つ説明願いたい。
  26. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 資本金増加の場合には、一応ここでは全部政府出資考えておりますけれども、只今お話のように、他からの出資を受けることも必ずしも私は不可能ではないというふうに考えております。併しながらその実際の場合におきましても、大部分がやはり政府出資にならざるを得ない、政府出資によつてこそ初めてこの特殊法人事業の運営が円滑に行くのではないかというふうにも考えております。やはり政府出資が主になるであろうということをお答え申したいと思います。将来はこれは申すまでもないことでございまして、機会あるごとにこの増額につきましては努力して参りたいと、かように考えております。
  27. 相馬助治

    相馬助治君 この際文部省に伺つておきたいと思いますことは、この私立学校振興会法案というものを作ることは、私立学校関係者のために思恵的に作つてやるべき性質のものでなくて、日本が文化国家であるということを言つておる限りにおいては、政府みずからがこれは積極的にこういう法律案を作り、その財政的援助をしてやらなければならないということは白明の理だと私は思うのであります。従いまして、私はやはりこの法案では第一章、特に第五条関係が要をなすと、こういうふうに考えておるのです。従いまして第五条に連関いたしまして、二、三の質疑をいたしたいと存じます。先ほど荒木委員質問に対して局長の答えの中に、戦災関係費用節約分を廻すと、こういうふうな答弁がございましたが、その答弁を聞くと、私立学校関係者政府に要求した借金を全部賄つていて、而もおつりが来るかのごとき前提に立つておるが、これは事実と相違すること極めて遠いと私は思います。即ち節約という言葉の中に盛られておるものの考え方について私は疑問を持つのですが、そこで文部省としては、一億三千万の金を国家財政の中の当初予算からなまでもらう努力をしたのだろうと推察いたします。そういう努力をしたかどうか、それが大蔵省との関係で以て断わられて、止むを得ずさつき荒木委員答弁したような形において一億三千万円が出されておるのかどうか。それに附帯して一体私立学校関係者が国に対して資金の融通を要求したときにどの程度に今まで文部省は賄つていたのか、見てやつていたのか、こういうことを附加してこれについての説明を願いたいと存じます。第二点はこういう法律案が成立いたしますと、或る一定度財政的援助私立学校側では確保されますが、それ以上のものを要求する場合に、むしろこういう法律があるために手かせ足かせになることがあろうと存じます。それはどういう意味であるかと申しますと、成る特定私立学校が大規模の復興なり、或いは新たなる建設をする場合に、他の公共団体或いは宗教団体等より融資を頼むという場合に、本法が邪魔にならないかどうか、この点についても一つ説明願いたいと存じます。弟三点は、或る特定の人が非常に大きな篤志寄附をこの私立学校振興会にいたした場合に、而もそれを資金として、資本金として使えという、使用を紐付きにして大口寄附がなされた場合、本案の建前から言うと、どういうことに相成るのであるか、即ちその殖えた分を、政府も又それに見合つて何か考えるとするのであるか、それは特別な寄附であるから、そういうことは考えないとするのであるかどうか。これらについて一つ答弁を願いたいと思います。
  28. 福田繁

    説明員福田繁君) 先ず第一点の今年度戦災復旧費等節約額のことでございますが、勿論予算といたしましては、この二十六年度予算が当初きまりました際に、私立学校につきましては、大体三年分を繰上げて二十六年度戦災復旧を完了したい、こういうことで三年分を計上したわけでございます。従つてこの予算の額から申しますと、数学的に将来の建築計画というものを見通してやるべきでありますけれども、そうでなしに、むしろ私立学校戦災復旧のために一つの枠を作るといつたような形で、九億九千万円がきまつたわけであります。従つて局長が先ほど申されましたように、自己資金の調達が可能というようなもの、或いは戦災復旧費貸付を辞退するというような向きについては、当然にそういつた貸付は行なつておりませんので、然らばその額をほかに廻せばいいじやないかということも一応考えられますが、この私立学校戦災復旧につきましては、二十一年度以来、各学校戦災を受けましたその罹災面積に応じた貸付を行なつておりますので、一つ学校或いは特定学校のみに多額にそれを超えて貸付けるということは許されませんので、大体各学校にはその建築計画の対象になります工事の七五%を貸付ける、二五%は自己資金でやる、こういうような建前で貸付けておりますので、そういつた点からいたしまして、この九億九千万円の中から当然に、節約額と申すと多少言葉が悪いかと思いますが、不用額が出て参るわけであります。それを今度の私立の振興会出資として当てたい、こういう趣旨でございます。それから第二番目でございますが、特定私立学校が新たな大きな建設か何かを計画される場合に、この振興会があるためにこういつた融資の途があるので、ほかとの競合が起つて邪魔になりやしないかという御質問のように考えたのであります。それはそれとしまして、これは別個の問題でありますので、恐らくこの運用としても邪魔にならないのではないかと考えております。それから第三点でございますが、振興会に対しまして、この資本金に当てるために大口の特殊寄附があつた場合に、どういう措置になるのかというお尋ねでございますが、この点につきましては、そういつた指定寄附がありました場合には、当然にこの振興会としては、この寄附趣旨従つてこれを運用して行くということになるのでありまして、その際にもう寄附があるから、その寄附の額にもよることでありますが、政府としての出資金は要らないのではないかということにはならないのであります。将来共にこの私立学校振興のために相当莫大な資金が要ることが考えられますので、そういつた特定寄附がございましても、政府出資としてはやはり今後文部省として努力して行くべきだと考えております。
  29. 相馬助治

    相馬助治君 只今質問に対する答弁は了解いたします。最後に一点、この振興会というのは勿論金儲けの会でないのですから、将来これを運用して行くためには、その構成された役員、それから運用の細則というもの、そういうものがうまく行かなければならないということはよくわかりますが、それにも増して私は必要なものは金だと、こう思うのです。それで今の私立学校の置かれている現状を見ますと、こういう法律案ができなくても、あと五年なり、十年なり先にはどうやら一人前に校舎や何かも復旧して、その取繕いができるのではないか、できると断定して言いませんが、長い先にはできるのじやないか、むしろ今はこういう私立学校振興会というものができて、厖大なる資本金を以てこの際出発して、この私立学校の急場を救つてやるというところに私は妙味があろうと、こう思うのです。従つて私はどう考えても補正予算等の機会において本年度十億程度の増資をしなかつたならば、これは有名無実の会に将来なるのではないか、即ち私の言つていることは、来年の千両よりも今年の百両だと、こういうことを言つているのです。そういう意味で、仮にこの政府原案というものの三億九千万云々というようなことが、いろいろな方面との相談の結果、こういうふうに打出したのでありましようから、これを訂正しろと私は言つていないのですが、ただ訂正しろという烈しい議論をここでやつて見ても始まらないので、これを訂正しろとは言つていないが、文部省は補正予算の機会において、もうちよつと具体的な数字を出して、せめて十億程度くらいの増資を強硬に大蔵省関係にやる意見があるかどうか、これができなかつたならば、そういう意思がなかつたならば、恐らくこの振興会が生れても、私立学校の職員の給与の問題などというものは、もうてんで解決されないし、校舎の復旧も又私は思うようには行かない。法律だけが立派にあつても、事実はどうにもならんということが懸念されまするので、それだけの決意があるかどうか。これは局長に聞くのはちよつとどうかと思いますが、ほかに大臣も次官も見えておりませんから、あなたの責任範囲内において一つ御決意のほどをお聞かせ願つて私立学校関係者一つ勇気を与えて、欲しいこう思うのです。従つてその答弁が極めて私を満足せしめなかつた場合には、私は大臣の出席を要求する予定でございます。
  30. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 御趣旨の点は十分承わりました。できるだけそういう線に沿いまして努力いたしたいと考えております。
  31. 高田なほ子

    高田なほ子君 第一条並びに第五条に関連をしてお尋ねをいたします。私は私立学校振興のために、この法案の通過に対しては決して誠意を持つておらないわけではなく、むしろ非常に誠意を持つておるつもりでありますが、どうも私の研究不足のせいでありましようか。調べれば調べるほど疑義が出て参りまして、この疑義が明確に解消されませんと、むしろこういう法案はないほうがいいというくらいの激しい結論を出すようになることを私はみずから悲しむものであります。そこでお伺いしたいことは、私立学校振興、これはあらゆる私立学校経営が成り立ち、その目的が達せられるようになるべきだと思いますけれども、従来までの傾向をあちらこちらから向つて参りますと、極めて経営困難なところに国からの助成の恩典が給されてないということを聞いております。これは一つ経営の面にもあるでしようけれども、これはさつき申上げたように、相馬さんのお説の通り、金ということが非常に問題になつて来ると思うのですが、こういう僅かの金で、どの学校にも均霑にその振興のために助成されるということは非常に私は疑問だと思うし、更に先頃から私の主張し、又望んでやまない劣悪な条件にある教職員待遇というような問題についても、甚だおぼつかない気持がするわけであります。それで局長は再三再四私立学校経営と、それから教職員福利厚生の面は並行してこれを行なつて行くのだ、こういうお話がございました。そこで第一番に御質問申上げたい、ことは、従来戦災復興の名目で貸付けられた金額が十七億六千万円、この十七億六千万円の回収についてはほぼ見通しがあるようなお話がございました。これは果して回収できるかどうかということについては、これは神様でないあなたにははつきりと御答弁ができないと思うし、そのためにこそ特別積立金といつたようなものが先ほどの御答弁の中にあつたようでありますけれども、先ずこの貸付金から上つて来る利益金が大体どのくらいに一体なつて来るものだろうか、その利益金の大体の概算でよろしうございますから、数字を一つ示して頂きたいと思うのであります。それに続いて又お答えを願いたいと思う。先ずそれから言つて下さい。
  32. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 二十七年度利益金でございますが、七分でこれを貸付けるという計算をいたしまして、一応損益の計算を見込みましたものが一千六百六十五万円の利益がある見込でございます。
  33. 高田なほ子

    高田なほ子君 その利益金が結局問題になつて来るのですが、この利益金の中から、先申しましたいわゆる不還資金に対する第一次積立というものが一応考えられなければならないと思います。その金額はどのくらいなんですか。
  34. 福田繁

    説明員福田繁君) 特別積立金の積立としましては、大体元本の千分の六という程度考えておりますので、約二千九百円程度のものであります。
  35. 高田なほ子

    高田なほ子君 二千九百円ですか。
  36. 福田繁

    説明員福田繁君) そうです、特別積立金……。
  37. 高田なほ子

    高田なほ子君 二千九百円それで間違いないですか。
  38. 福田繁

    説明員福田繁君) 間違いございません。二千九百円です。
  39. 高田なほ子

    高田なほ子君 そんなものですか……それはおかしいね。……それじや第二次積立金の概算はどのくらいですか。
  40. 福田繁

    説明員福田繁君) 今御説明が少し足りなかつたと思いますが、二十七年度に返つて参ります元利合計は、大体百七十万程度でございます。従つてその百七十万程度の中で元本としましては四十万程度だと思います。
  41. 高田なほ子

    高田なほ子君 四十万……。
  42. 福田繁

    説明員福田繁君) そのあとは利殖でありまして、従つてその元本の千分の六という計算で参りますと、二千九百六十七円という程度特別積立金になるわけでございます。そのほかに普通積立金というものをやるわけでありますが、これは大体元本の千分の十というものを見込んであります。従つて元本の千分の十、三百九十万円程度にこの普通積立金というものはなる予定でございます。
  43. 高田なほ子

    高田なほ子君 三百九十万。そうすると、千六百六十万の中から概算して第一次三百九十万、第二次ではそれでは一体どうなるのですか。第二次積立金というものはどういうことになりますか。一般積立金が三百九十万、特別積立金が二千九百円、第二次のは……。
  44. 福田繁

    説明員福田繁君) 積立金のことにつきましては、この第三十二条に細かく規定してございまして、特別積立金については、これは旧債権の滞貸元本の、滞貸元本と申しますのは、当該事業年度の末におきまして、償還の到来した元本のうち、そのときまでにまだ償還されていないようなものを指すわけでありますが、その総額に相当するものを特別積立金として積立てているわけであります。それからそのぽかに普通積立金というのがございますが、これは前項の、今申しました特別積立金を積立ててなお利益金の残余がある場合におきましては、この今の滞貸元本等の損失以外の損失の補填に当てる、いわば準備金なんです。準備金として当該利益金の一部分を普通積立金として積立てて行く、こういうようなシステムになつております。それが大体一応の予定では、今申しましたように、大体千分の十をこれに当てよう、こういうような趣旨でございます。
  45. 高田なほ子

    高田なほ子君 その金額は今予想が付きませんか。
  46. 福田繁

    説明員福田繁君) 今申しましたように、三百九十万円程度でございます。それ以外には積立金はございません。
  47. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、今のように利益金の中から一第次積立金、それからこの第三十二条に基く又第二次のような積立金、そういうものを差引くわけですね。そうですね、差引くわけでしよう。
  48. 福田繁

    説明員福田繁君) そうです。
  49. 高田なほ子

    高田なほ子君 それから又その残額の中から一応事務費のようなものが差引かれなければならない。その事務費は概算どのくらいお考えになつていらつしやるでしよう。
  50. 福田繁

    説明員福田繁君) 事務費としては初年度におきまして約六百万程度考えております。
  51. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと、利益金が一千六百六十万、第一次積立金が約三百九十万、そのほかまだあるようです。それに又事務費、これが六百万、合計して約一千万ですね、一千万を一千六百六十万の中から差引かれて、残りの六百六十万というものが僅かに教員の福祉の助成になるように考えられますが、私の考えが間違つておりますか、その数字が間違つておりますか。
  52. 福田繁

    説明員福田繁君) 今のお話でございますが、この事務費としては、この収支の損益勘定から申しますと、利益金の中に入つて来ないのであります。当然初めから事務費として控除されておるわけであります。従つて先ほど局長が申しました千六百六十五万円というものが全体の利益金見込額でありまして、その中から特別積立金と普通積立金を差引いた約千二百七十五万程度のものがこの問題の純益なんです。これは私立学校助成等に廻り得る金となるわけであります。
  53. 高田なほ子

    高田なほ子君 利益金の中から積立金を引く、それが残つたものが約一千二百万、これが大体教員の福祉の助成になるというのでありますが、一千二百万で果してこの第一条の目的に副う、いわゆる局長が先ほどから言つておられる学校経営と教員の福利厚生と並行して行うということが、果して並行してできるかどうか、これは財政面から見ますと、誠にあなたのお言葉は真実が欠けているお言葉のように考えられる、私の誤解であれば御説明下さい。
  54. 福田繁

    説明員福田繁君) 只今の問題でありますが、成るほど千二百万程度では少いのではないかというようなお説のように伺つたのでありますが、これはこの前も申上げましたように、共済事業関係事業が進行して行くに従つて加入者も殖えるというようなことになつておりますので、従つて当初の間はそれほど助成金としては多額なものは見込まなくてもいいのではあるまいかという工合に考えております。なお共済組合の運営に当りまして、いろいろな面で不足する資金に、つきましては、この法案にもございますように、貸付等を行うことができるようになつております。
  55. 高田なほ子

    高田なほ子君 非常に善意に解釈いたしましても、実に千二百万という零細な……これは最高だと思うのですが、実は私はこんなに出ないと思う。これはあとから又申上げます。そういうもので進行するに従つて教員の福利厚生が保障されるということは、甚だ私は無責任な御回答じやないかと思うのです。当初私の質問いたしましたことに対して、教員の共済事業ということを表面に出すと、大蔵省では金を出さない、ほかのほうとの関係もあるから金を出さない、だからそういうこともあるので、この私学振興会法案というものを作り、それの中で有機的に操作をして行くのだという意味の御回答があつたし、私も又そうであることを実は信じておつたのであります。又局長の並行してこれを行うということも又信じておつた。けれども、こういうことで進行するに従つて教員の福利が保障されるということは余りにも私は無責任だと思う。それからこういうのもおかしいのです。教職員共済事業に対してはすでに文部省とは十分の打合せが済まされて、財団法人私学振興会から明確な共済事業の施行規程並びに施行細則が出ている。併しこういうものは恐らく勿論委員のかたには手に入つておらない。昨日私案は催促して頂戴したのです。これを読んで見ますと、実に厖大な仕事がされておるのですが、中を見ますと、誠に飛びつきたいようなよい条件が網羅されてあります。併しこれは教職員たちのやはり相当な負担において保障されるのであつて、この法律目的である教職員福利厚生並びに学校経営に必要な資金貸付の均霑と並行して行うというような真実の意味の保障の線とは非常にズレて来ておる。こういうことがあるならばあるように、私たちにはもう少し腹を割つた説明をして下されば、私も何もこれを口外しようというような考えは毛頭ない。あなたがたの御説明というものは余り説明に過ぎで真実味が欠けているので、私はかくも執拗に言うわけなんです。まあそれはそれでようございますけれども、さてこの零細な千二百万円で先ず教員の共済事業を行なつて行く、こういつたような場合に、一体この利益金というものが入るか入らないかということについて先ず疑問を持つのでありまして、この第五条をよく読んで見ますと、政府から振興会が旧債権を継承するわけでございますから、つまり債権者になるわけであります。そうすると、借りた者、つまり債務者が債権者の側に立つてしまうというような結果になると思う。つまり今までの私学振興会ですか、財団法人私学振興会理事のかたがた、これらはいずれもいろいろと私が調査いたしますと債務者になつているわけなんです。又今度は政府から振興会が旧債権を継承するのでありますから、同時にこれは債権者としての立場に立つわけであります、間接的ではありましようけれども……。一個の者が債務者であり債権者であるというような立場に立つたときに、これが正直に返つて来るなどと考えることのほうが私はむしろおかしいと思うのです。まあ教育者でありますから、返さないということはないかも知れませんけれども、そういう点についてはどういうふうな一体見解をとつておられるのか、一つお伺いしたいと思います。
  56. 福田繁

    説明員福田繁君) 旧債権については回収が可能かどうかというような御疑問がいろいろあるようでございますが、従来の関東震災の貸付におきましても、年限こそ多少延びておりますけれども、回収ができております。従つて今度の、この中に言つております旧債権につきましては“相当確実な担保等も設定いたしておりますし、そうした関係におきまして、毎年度償還される額というものもそう多額な金額には一校当りにいたしますとならないのでありまして、そういつた関係上長期の貸付金でありますので、我々といたしましては、これは回収されるものと考えております。なお財団法人私学振興会と、この特殊法人私学振興会というものについての御懸念でありますが、これは団体といたしましては、全然別個の団体でございますので、その点申上げておきたいと思います。
  57. 高田なほ子

    高田なほ子君 それは別個の団体かも知れませんけれども、私立学校振興会貸付けて共済事業をやらせるのですから、あなたは別個だとおつしやつても、それは別個じやないと思いますね。団体は別個であつても、運営においては全く密接不可分の関係を持つということだけは、はつきり私は確認しておいて頂きたいと思います。全く別個なんですね、本当に……。
  58. 福田繁

    説明員福田繁君) 運営の面におきましては、共済事業をやるということ、それからこの特殊法人から共済事業に対して援助をする、そういつた関係はございますけれども、これは特殊法人でございます。又現在の共済事業を行なつておりまするのは文部大臣認可の財団法人でございまして、一応団体としては別個でございます。
  59. 高田なほ子

    高田なほ子君 もう一点お伺いしたいことは、担保がなければ貸付けられない。これは当然だと思うのですが担保の額がたくさんあるところはたくさん借りられるわけで、結局そうすると、私立学校の財政規模というものが非常にまちまちだと思う。そのまちまちの場合に、非常に貧弱な財政規模きりない学校は余計に借りたいと思うのです。その場合の調整を今まではどんなふうにされて来たのか、又今後どういうふうにそれを調整されて行かれるのか、具体的に言うと、早稲田とか、慶応のような試験期ともなれば、うんとお金が入る学校があります。そういうような学校は安心してたくさん借りられるでしよう。けれども、そううでないところは殆んど借りられない。戦災復旧も殆んどできていないというのは、そういうところに原因があると思う。つまり財政規模のない私立学校戦災復旧資金さえも借りられないで、もうそのまま立腐れになつておるという状態でありますが、そういうのの調整をどういうふうにしてとつて行かれるのか、その点を一つお伺いいたします。
  60. 福田繁

    説明員福田繁君) 従来の戦災復旧貸付金につきましては、勿論学校によりまして適当な土地、建物等がない場合がありました。併しながらその学校といたしましては、必ず戦災復旧として校舎を建てるという計画を持つておるわけでありまして、その校舎に対して貸付金を行うわけであります。従つてほかに担保がない場合におきましては、その新たに建てました校舎を担保にとるというような便宜な方法で以て貸付をやつてつたわけであります。今後この振興会の運営の面におきましては、そうした担保をとる場合もあると思いますが、又場合によりましては、担保なくして貸付を行うということも考えられますので、そういつた面におきましては、この振興会が発足いたしました上で、執行機関におきまして十分研究して運営されることと考えております。
  61. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、今までの戦災復旧貸付で以て全私立学校の復旧は何パーセントくらいできておりましようか。
  62. 福田繁

    説明員福田繁君) この前の委員会の際に資料をお手許に差上げてあると思いますが、戦災学校につきましては、大学、高等学校、中学校、合せまして三百七十四校ございますが、その罹災面積は三万四千百十坪でありまして、現在までの復旧率は、平均いたしまして大学におきましては八七%、高等学校、中学におきましては八六%という数字になつております。
  63. 高田なほ子

    高田なほ子君 それではあともう一つお尋ねしますが、第四条の事務所でありますが、この事務所は「必要な地に従たる事務所を置くことができる。」というのでありますが、これは大体どんなふうにお考えになつておりますか、並びにその事務所経費人件費などは一体どのくらい見込んでおられるのですか。
  64. 福田繁

    説明員福田繁君) 差当りはこの事務所は東京都内に置く予定でございまして、将来この事務が非常に殖えて参わました際には、私立学校の相当集中しております地に従たる事務所を置くということを予定いたしておりますが、差当りは東京都内一カ所に考えております。
  65. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 第一章について他に御質疑はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それではこれを以て休憩いたしまして、午後一時に再開いたします。    午前十一時五十三分休憩    —————・—————    午後一時二十六分開会
  67. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) これより委員会を再開いたします。第二章の朗読をして下さい。
  68. 福田繁

    説明員福田繁君) 第二章を朗読いたします。     第二章役員及び職員   (役員)第十一条 振興会役員として会長)   一人、理事一人、理事三人以上五   人以内及び監事三人を置く。(役員の職務)  第十二条 会長は、振興会を代表しその業務を総理する。  2 理事長は、定款で定めるところにより、振興会を代表し、会長を補佐して振興会業務を掌理し、会長に事故があるときはその職務を代理し、会長が欠員のときはその職務を行う。  3 理事は、定款で定めるところにより、振興会を代表し、会長及び理事長を補佐して振興会業務を掌理し、会長及び理事長にともに事故があるときはその職務を代理し、会長及び理事長がともに欠員のときはその職務を行う。  4 監事は、振興会業務を監査する。 (役員の任命、任期及び欠格事由)  第十三条 役員は、振興会目的を達成するために必要な学識経験を有する者のうちから、文部大臣が任命する。  2 役員の任期は、二年とする。但し、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。  3 役員は、再任されることができる。 4 学校教育法第九条(校長及び教員の欠格事由)の規定は、振興会役員に準用する。(代表権制限)  第十四条 振興会と会長、理事長又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合においては、監事が振興会を代表する。(兼職の禁止)  第十五条 会長、理事長及び理事は、他の職業に従事してはならない。但し、これらの役員としての職務の執行に支障がないものと認めて文部大臣が許可した場合は、この限りでない。(役員及び職員の地位)  第十六条 振興会役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
  69. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 第二章に御質疑のあるかたは御質疑を願います。
  70. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ず終りのほうからお伺いしますが、第十六条並びにあとから審議されるであろう監督権のところ、そういうところを見ますと、私はこの出資というものは、金額政府出資ということを前提としてこの法律案は作られているのではないか、こういうふうに私は考えるのであります。先ほどこの前章における質問の場合、他の委員質問に対して、この大口民間出資云々ということが論ぜられたのでありますが、そういうことはこの法律案は私は仮定して、想定していないのではないかと、こう考えます。その点について御答弁を承わりたい。若しそういうことを想定しているとして、そういう事態になつたならば、こういうふうな第十六条とか、更にはあとへ出て来るところの監督権のところですね、そういうところは当然法律案の修正をやらなければ私はおかしいと思いますから……。
  71. 福田繁

    説明員福田繁君) その点につきましては、先ほどの御質問は大口の出資があつた場合にはという仮定の下になされたと考えておるのでありまして、そういつた出資が将来起り得るかも知れませんが、併しながらこの法案としましては、御承知のように大体全額政府出資で行きたいというようなことを考えておりまして、従つてこの役員或いは監督の個所につきましても、そういつた建前でできております。
  72. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではこの出資ところに大口の民間出資などがあつて政府出資というものが非常にその枠内で小さな部分を占めるというような事態が起つたような場合には、監督権なんかというものは当然修正さるべきものでありましようか。
  73. 福田繁

    説明員福田繁君) その点につきましては、やはり政府出資金が入つているという点におきまして、こういつた特殊工事につきまして政府の監督が行われることは当然なことと考えておりますので、別に修正の必要はなかろうかと考えております。
  74. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは民間出資政府出資とがどういう比率になつているかによつて私は論じられる問題とは考えますけれども、基本的には当然私は再考さるべきじやないかと思います。と申しますのは、文部大臣提案理由説明要旨の最後のページのところでも「振興会資本金が全額政府出資であるという理由に基ずくものであります」というふうに明記されているわけですね、そういうふうに前提としては全額出資というものの下に、私はずつと各条が組立てられていると、こういうふうに考えるわけであります。それで比率は別問題としても、非常に民間出資のほうが重くなつて政府出資が僅かであつた場合には、政府の統制力とか、監督力というものは、おのずと検討されて然るべきじやないかと思いますが、重ねてその点を伺つて置きます。
  75. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) さような場合にはやはり監督規定の条文におきまして多少変更があるものと考えます。
  76. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次にお伺いいたしたい点は、振興会役員、第十一条ですが、会長、理事長、理事、監事が役員とされております。それについて第十五条で、幹事の兼職だけは禁止していない理由、それが一つと。それから会長、理事長、理事については一応兼職の禁止をして但書でそれを緩和してありますが、この緩和してあるのは、例えばどういう場合を予想されているのか。もう少し具体的に承わるならば、これらの役員の中には国家公務員或いは地方公務員というようなものも想定されておられるのかどうか、その点を承わりたい。
  77. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) この役員の兼務の問題でございますが、第十五条に「会長、理事長及び理事は、他の職業に従事してはならない。但し、これらの役員としての職務の執行に支障がないものと認めて文部大臣が許可した場合は、この限りでない。」とございますが、我々のほうで考えております点について申上げますれば、会長につきましては、場合によりまして兼務があつてもいいんじやないか、理想といたしましては、会長が本務を理想といたしますけれども、場合によつては兼務があつてもいいのじやないか。それから理事長でございますが、理事長は役員のうちの最も重要な職務でございますので、この理事長につきましては、兼務ということは認めない。これは是非専任の理事長で参りたいと考えております。それから理事のかたでありますが、これも原則といたしまして専任のかたで参りたい。併しながら前回申上げましたように、仮に教育関係者のかたがこの理事に入るということになりますれば、その場合はやはり文部大臣の任命によりまして、兼務の形で入るということにならざるを得ないと思います。それから幹事でございますが、幹事につきましては、兼職ということは全く禁止されておりませんので、兼務が差支えないということになりますが、併しながら、この幹事三名のうち少くとも一名の幹事は専任の幹事を置きたいと、かように考えております。
  78. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 理事の中には、教育関係者云々と言われましたが、教育関係者だけであつて、一般の国家公務員とか、或いは地方公務員というものは、そういう理事という職に就くようなことはない、こういうふうに私は承わつたのでありますが、そうなんですか。
  79. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) その点につきまして言葉が足らなかつたと思いますが、教育関係者ばかりでありませんので、一般の公務員も又自治関係の公務員も適当なかたでございますれば、兼務の形で入るということがあり得ると思います。
  80. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では更にお伺いしますが、そういう役員に、文部大臣が許可した場合は兼務ができるということになつているのですが、まあ具体的に申上げて、文部省に勤められているところ国家公務員のかたが、こういうところを兼務されるというような場合は考えられているのですか、そういうことは考えていないのですか。
  81. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) さような場合が起り得ると思います。
  82. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 かなり問題点があると思いますが、それは意見になりますので、一応そこでやめますが、この第二章の役員ですね、それからあとで審議されるところ評議員、これらの任命基準ですね、そういうものが曽つて出されました私立学校法の、或いは私立学校審議会委員の選定基準とか、或いは私立大学審議会委員の選定基準、これは非常にまあ民主的にできた典型的なものだと考えるのでございますが、こういう例に倣わずに、具体的に申すならば、第十三条の「必要な学識経験を有する者」と、そういう言葉で表現された理由ですね、曽つて出されたこの私立学校法に伴う各委員の任命については勿論学識経験のあるものという項目はありますが、それ以外にかなり民主的な選定基準というものを設けて規定せられておると思うのです。そういうものを殊更に定められた理由ですね、それを承わりたいと思います。
  83. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 私立学校審議会の委員に教員を加えることを明記しておりますのは、その審議事項が直接教育の問題に関係するところが多いという見地からであります。又学校法人評議員に職員を加えることを明記いたしておりますのは、同じくやはり審議事項が直接その設置する学校経営と、その教育関係するところが多いからであると思うのでございます。この私立学校振興会のこれは評議員のほうになりますが、これに明記しなかつたというのは多少前回申上げました私立学校審議会の委員とか、或いは学校法人評議員の場合と性格が異なるという見地からでございます。併しながらこの評議員のうちには教職関係者を参加させるという考えでおります。
  84. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 十分その点を了承しがたいのですけれども、今一応説明願いましたけれども、私立学校法の第一条の目的を見ましても、それからこの法案の第一条の目的を読みましても、まあこの法案の第一条で、金融機関的な性格がちよつと出ておりますけれども、根本というものは変らないで、殆んど私は同一だと思うのです。そういう立場に立つときに、こういう役員関係の選定基準に差があるというのは納得できないし、更に突込んで考えて見ますというと、あとで審議される業務、二十二条以下の業務、そこらあたりの内容考えるときに、私立学校法でも謳つてあるところ私立学校の特殊性に基く修正部分を考慮するときには、やはり例えば具体的に申上げますと、理事の任命にしましても兼職を許している。その兼職の中には文部省の官吏も兼職するであろうということを先ほど答弁なされたわけでありまするが、そうだとすれば、やはりはつきりした規定を設けて、私立学校理事者側も結構でございましようし、又業務内容から言つて私立学校教職員の代表というようなものも入れることが最も民主的で運営が適正にされるものである、こういうような考えが当然出て来るわけでございますが、そういう用意があるのかどうか承わりたいと思います。
  85. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 役員の、いわゆる理事の問題と、それからこれはまだそこまで参りませんが、第三章の評議員の問題に関連すると思うのでございますが、この理事者につきましては、先ほど申しましたように、教職員学校関係のほうで適任者がありますれば兼務の形で理事に加えるということもあり得る。それから評議員につきましては、これは約半数程度のかたのうちに私立学校関係者を参加させる。その私立学校関係者のうちでは理事者ばかりでなく、いわゆる学校法人理事者のみではなく、教員或いは校長、そういつたかたもその中に含む、かように考えております。
  86. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 少し話が拡がりますが、この役員のほうに該当して来るわけでございますけれども、この業務内容から言つて共済事業は一切財団法人私学振興会のほうでやるようにする。これも将来は私立学校互助会というような名前に変える予定であるということを、一昨日岡田委員質問に対して答弁しているわけです。而もこの財団法人私学振興会役員は、いわゆる私学総連の推薦に基くものであつて教職員の代表などは入つていない、こういう答弁があり、更に互助会の切替のときに文部大臣のほうで話合つて、そうして理事者側だけでなくして教職員の代表も入るように努力するつもりである、こういう答弁が行われているのでありますが、公立学校共済組合の運営規則を見ますというと、運営審議会の委員の構成のごときは実に民主的にうまくできていると思います。第五十四条に謳われておりますが、まあ理事者側に立つ人と、それから組合員を代表する人とが一対一で構成されて運営されるようになつている。こういう構成であればこそ、現在公立学校共済組合があれだけの成果を挙げられていると考える。そうなりますと、そういう例もあることとなれば、この財団法人私学振興会役員にしても当然それに準じて行えるべきものである。ましてやこの財団法人私学振興会の事務費というものは金額国庫補助ということになつていますので、やはり文部大臣の指導と申しますか、助言と申しますか、監督と申しますか、相当のやはり私は力が持たれるべきである、こう考える。で、それに対する見解をはつきり公立学校共済組合に準じて、財団法人私学振興会役員構成を変更するところのお約束がここでできるかどうか。それが一つの点と、それから評議員会については、あとで第三章以下でやりますので、そのときに申上げますが、今問題になつている役員理事にしましても、先ほどのように、理事文部省国家公務員のかたがこれを若干兼職されるということになりますというと、まあ評議員はこれはあとで論じられるように諮問機関になつておりますし、この法案を運用して行くのは校長、理事長、理事で、最もこれが重要な役職であることになれば、私はこの理事の中にも当然多数の教職員を代表するところの適格者というものが兼職として選ばれて然るべきものだと考えるのでありますが、この二点について御答弁を煩わしたいと思います。
  87. 福田繁

    説明員福田繁君) 先ず最初の第点のほうの御質問にお答えいたしますが、公立学校職員の共済組合につきましては、これは法律に根拠を置いてああいう組織でやつているわけでございまして、この財団法人私学振興会は、この前も申上げましたように、或る特定のものが基本金その他を出資いたしまして、そうして財団法人を設立して、これによつて共済事業を行なつて行こう、こういうような趣旨の団体でございますので、全く同じというわけにも行かないかと思います。併しながら今おつしやつたような共済事業について、教頭、教員というようなかたがたが参加されるということは文部省としても望ましい、こういう工合に考えておりますが、できるだけそういつた趣旨にこの構成の際に是正して行きたい、こういう工合に考えております。
  88. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それははつきり約束できますね。全く同じじやないですけれども、さつきもおつしやられたように、これは事業費などを全額国庫負担するわけですから、金だけ出してやるが、あとは財団法人私学振興会が勝手に役員を選んで勝手にやれというのでは私は筋が通らないと思う。全く同じじやないけれども、準じてやるべきだということは、これは私ははつきり筋が通つていると思いますが、公立学校共済組合がそういう形で運営されて行くならば、それに準じて同様の取扱い方を文部省としても助言するし、それを実施できるというだけのここで確言があつて然るべきだと思うのですが、重ねてお伺いいたします。
  89. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 将来財団法人私学振興会を改組いたしまして、例えば財団法人教職員互助会というような組織にいたします場合に、役員の構成をそのときに再検討を加える。その再検討を加える場合に、どういう割合に教職員の代表者を加えるべきかということだと思うのでございますが、只今福田課長が御説明いたしました通りでございまして、その場合におきましては、各学校共済組合役員とは同様には参りませんけれども、政府がこれに事務費を補助するというような関係もありますので政府関係者も、或いはこれに役員の一部に加わるということもありまするし、又教職員の代表のかたもこれに加わるということは私は当然じやないかと考えております。
  90. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この教職員の代表という点についてもうちよつと伺つておきたいのですが、私立学校のあらゆる会合がございますが、それらにおける教職員の代表を選定する場合、よく理事者側と教職員側とで構成する場合に、教職員の代表者を理事者のお嬢様がなつたり、息子さんがなつたりして、理事者代表とも、教職員代表とも区別の付かんことがあるのですが、私はそこは民主的に構成された教育団体の代表者とか、そこの推薦するもの、これは私立学校審議会委員選定基準にちやんと謳われておりますが、そういうのに準じて私はやらるべきものと思うのですが、それらに対する見解をどういうふうにお考えになつておるか。
  91. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 只今の御質問は、その場合に教職員の団体から推薦させるかどうかというお話だろうと思うのでございますけれども、その点につきましては、やはりこの財団法人、仮に名前を教職員互助会と申しますか、その仕事の運営上最も適当なかたを選定するということになろうかと思いますので、従いまして教職員のかたを選定いたしまする場合にも、ただこの団体から推薦するということでなくして、やはり個々に適当なかたをという見地からこれは選ばるべきものではないかと、かように考えております。
  92. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 勿論額面通りとれば、その言葉は結構と思いますが、私は裏返してお伺いしますが、ここに民主的な教職員の団体があつた場合、それらの団体から推薦される人が、そういう教職員の代表として適当な人物でないということになるでしようか、どうでしようかね。私はそれを真つ先に適当な人物じやないかと思うのですが、私はそれを裏返してお聞きしますが、如何にも局長言葉を反対側から見ますと、それは適当でないんだということを間接法で言つておるような表現が懸念されますので、あえてお伺いしたいと思います。
  93. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 私先ほど申上げましたのは、その事業に最も適当なかたを選定するということでございますが、更に畳みかけて、そういう御質問に対しましては、若しその団体が教職員全体を代表する団体から選定されたかたでなお且つ真に適当なかたでありますれば、これはやはり選定せざるを得ないではないか、かように考えております。
  94. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 さつきの理事ところ答弁が残つているのですが、して下さい。
  95. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 理事の選定につきましては、この私学振興会がやはり金融機関的性格が強いという見地からいたしまして、この理事者に学校関係者を参加願うということは、やはり利益代表になるという危険がなくはないのじやないかという見地からいたしまして、原則といたしまして、教職関係のかたは、学校関係のかたは御参加願わないほうがいいのじやないか、かように考えておりますけれども、併しながらそれは原則論でございまして、真に振興会の運営に適当なかたが得られますれば、これは私は御参加願わなければいかん、その場合には文部大臣の許可を得まして兼職の形で御参加願う、かようになろうかと思つております。
  96. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 役員の任命の項ですが、これは文部大臣が任命する、こういうことになつておるのですが、この私学振興会を運営するに当つて、これが公正に運営されるかどうかということは、やはり役員の衝に当る人にあると思うのです。そういう意味から役員の選考ということが重要な問題であるというふうに考えておるのであります。従来私学団体の中には、その運営について面白くなかつた事例も私は聞いております。現に大阪におきまして、政府貸付けられた金が正当に使われておらないで問題を起しておる事実もございます。そういう意味で、この役員の任命は非常に重要な意味を持つていると思います。それで四月から発足する、こういうことになると、文部省のほうでも大体腹案を持つておられるのじやないかと思うのです。今の質疑応答から、学校関係者は余りよくない、だから学校関係以外から、こういう役員一つ任命したいと考えている、こういうお話でありましたが、どういうふうなお考えを持つておられるか、全然そういうことについて基準と申しますか、そういうものを考えていないのかどうか、その点一応御説明願いたいと思います。
  97. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) この私学振興会も是非本年度内に御成立を頂きまして発足いたしたいと念願いたしておりますが、従いまして役員の人選につきましても、これと並行いたしまして実は考えておる次第でございます。その場合に別に基準ということは具体的にはございませんが、併しながらこの業務執行の根本方針は、公平且つ確実ということもございますし、又これが金融機関的性格でもありますので、そういうもろもろの見地から判断いたしまして、真にこの振興会役員としてふさわしいかたの御参加を願うという見地で只今選定をいたしておる次第でございます。その前に取りあえずは設立準備委員というようなことで発足するのではないかと考えておりますが、その場合に私学関係者は適当でないという言葉を用いたかも知れませんが、そういう必ずしも適当でないということではないのでございまするので、私学振興会経営費貸付の対象になりまするので、やはり私学でありますので、やはり私学関係者が私学貸付けるということはどうかという見地から、まあできますれば私学関係者はこの際役員から御遠慮願つて、他のかたに変える、併しながら真に適当なかたでございますれば、これは私は御参加願つていいのじやないか、その場合に兼務の形になる、この程度考えておりますので、決して私学関係者はもう駄目なんだという、そういうことではございません。この点御了解願いたいと思います。
  98. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 こういう役員の選考に当つては、私は一つ注意すべきことがあると思います。それはやはり私学振興会というものが、この資金を使つて学校資金を割当てるというふうな仕事をやる関係から、どうしても政治的な何と言いますか、そういう色彩のある人はやはり除外して行くべきじやないか、そうしないと、この配分に当つてもやはり公正を期しがたい結果が生まれるのじやないか、こう思うのです。そういう意味において適正な人というのはやはり政治的な影響力のない、そういう人が望ましいのじやないかというふうに考えるのですが、こういう点については何かお考えがありますか。
  99. 福田繁

    説明員福田繁君) 只今の御意見御尤もであります。その点は十分選定の際に考慮に加えて行きたいと思つております。
  100. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちよつと役員の問題ですが、一番ここで私は大事なことはこの法案が金融方面のことが主であるというようなことを非常にさつきから強く言つておられるのですけれども、やはり明確に事業の中に教員の共済事業のことが謳つてあるし、たとえ千二百万円というお話にならない数字であつても、これは教員の福利機関のために使われるということになつておるのでありますが、そんなものはこれはしようがないのですけれども、とにかくそういうことになつておるのですから、この振興会目的を達成するために必要な、つまり共済事業を進めて行くために必要なのは、これは経営者側や特殊な人が出て来ても大した私はこれは本当の意味はないと思う。つまり共済事業を本当に親身にやつて行くためには、教員の本当の意味のここに代表が入つて来るということが正しい行き方だと思う。ましてこの理事会は、ここに理事仕事があるのですが、理事振興会業務をし、これは殆んど理事会で以て大体振興会の執行がここで以てきまるのに、先ほどから指摘するような零細な金が果して財団法人の互助機関の中に入るか入らないかということは非常に疑問なんです。数字では一千二百万円と言つているけれども、実際は私は疑問だと思う。こういう危かしい綱渡り、それによつて大きな影響を受ける教職員の代表が一人も入つておらないなんということは、更にこの法律を空文化することであると思うわけです。そんなふうにはお考えになりませんか。若しそういうお考えを多少でも持つているとするならば、役員の中に、特に共済事業振興して行くのにふさわしい役員が入ることは妥当である、こういうふうな御見解を似て然るべきだと思いますけれども、その点を一点質します。
  101. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 只今おつしやる通り、この理事会がこの振興会事業を掌理いたしまして、ここで事業の大綱が決定され運営されて行く、こう考えるのであります。この委員の選定につきましてはお話のように慎重を期さねばならないと思います。又この理事会の決定によりまして、財団法人教職員互助会ですか、そういう面に対する共済事業援助も行われるというのでございますので、そういう事業に十分理解を持つた人の参加もこれは望ましいことでございます。併しながら、やはり理事と申しますと、まあ共済事業ばかりをやるわけじやございませんので、やはりその広汎な範囲に亘りまして、視野の広いかた、ぞれからまあ先ほど荒木委員の御指摘になりました政治的の色彩のない人、或いは非常に学識経験のある人、そういつた広い面からの私は理事者の選定が好ましいものと考えております。勿論共済事業によく御理解のあるかたの御参加が望ましいのでありますが、それでは足りないのでございまして、もつと広い見地から、高い見地から、理事者の人選ということを考えなければならんと、かように考えております。又この共済事業の面につきましては、財団法人教職員互助会の役員の選定の際に、これは私は共済事業にふさわしいかたの選定がやはり考慮の重要な条件になるのじやないか、かように考えております。
  102. 高田なほ子

    高田なほ子君 私が申上げておるのは、共済事業にだけ理解のある人を入れろというのじやないのですよ、経営の面とそれから共済事業の面というものをやはり勘案されて、この役員の中にその人員を加えなければならないと思いますけれども、共済事業にも理解ある人も望ましい、そういう人も望ましいというふうに、どうも何ですか、そういう人が入らないような印象を受けるのですけれども、もう腹案ができていらつしやるのじやないのですか、漏れ聞くところによると……、そうじやないのですか、この役員の中に共済関係のかたはお入りになつていらつしやらないのですか。
  103. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 目下その点につきましては、人選につきましては選定中でございますので、まだ腹案の程度に至つておりませんです。
  104. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はもう一点お伺いしておきたい、どうしても他の委員質問を承わつていて了解できないのですがね、で、私はこの国費で私学の補助をしましても、私学を国立並びに公立と同じような目で見るようになつたら終いだと思います。まして私学のよさというものをどこまでも伸ばさなければならないということが真つ先に考えられるべき私は条件だと考えます。で、私学のよさというのは、私立学校法の第一条に謳つてある、私立学校の特殊性に鑑み、その自主性を重んじて、私立学校の健全な発達を図ることを云々と書いてある。ここに私は一番大事な点があると思います。そこで局長答弁を承わつていますと、本当に適当な人があれば、この教職員の代表者も入れないというわけではない、こういうふうに第二義、第三義的に意識されているようにお言葉ではどうしてもとれる。一方理事の中には文部官僚を入れるという、こう言われるのでございますが、そうなつた場合にこういうことが考えられますね。第三十六条の監督のところに「文部大臣が監督する。」と、これはまあ一応私は了承いたします。全額国庫支出をする立場であるから、その言葉は了承いたしますが、その振興会の主要役員を、文部省局長或いは課長のかたが兼務された場合ですね、そこで予算を握つているのですから、そうしますと私立学校への制約というものはかなり私は強く出て来ると思うのです。果してそれで私立学校の生命とするところの、私立学校法の第一条に謳われているその自主性を重んじて、それを伸ばすというようなことはできるかどうか。助成するということはいいけれども、助成しようとして却つて私学という基本的なものを殺すようなことになりはしないか。それを救う立場から、本当に私学側を代表するところの人物を是非ともここに入れて見る、こういう結論が私は出て来るのじやないかと思う。その場合に今までの私学総連についてとかくの問題があるので、これは荒木君も指摘されたのでありますが、あるので、それで最も民主的な団体あたりの人を一人や二人を入れるのが当然である、こういう意見が出るのは当然だ。そうしますと、あなたの言われる、私学と利害関係があるので、そういう人を入れるのは好ましくないと言われますが、その予防のために第十四条に代表権制限ということが謳われているのですね。代表権制限ということが……。だから私は私学の自主性をよく生かす立場から、私学の実情をその運営の上によく反映させる。而も諮問機関じやなく、実際責任ある運営の計画の面に私学の代表を入れるということは、これは第十四条の代表権制限があれば、最も私は策を得た方法じやないか。こういうようにまあ私は考えるわけですが、果して局長はそういうことを考えておられるのかどうか。どうもあなたの御答弁を先ほどから承わつていると、原則的には私学関係者は全部排除して行こう、極く特例の場合に適任者があつたら考慮しないというわけでもないのだと、こういうような意味にとれるのですが、それでは私はやはり私学のよさというものを十分発揚できないと思うのであります。これは実際法律案ができても、運用というものは非常に大事であつて、これはこの法律案趣旨を生かすか生かさないかという最も私は分岐点じやないかと、こう考えますが、その点一つ率直に、而も明快に御答弁を願いたいと思います。
  105. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 問題は私は私学振興会の性格にあろうと思うのでございます。これは先ほど来申しておりますように、我々は純然たる金融機関ではございませんが、併し金融機関的の性格が非常に強いという見地から、この運営の衝にあたります理事者に、私学関係者の御参加を願うということは当を得ない。と申しますることは、それではもう私学関係者は絶対に入れんのかということではないのでございまして、この運営に真に立派な適任者がおりますならば、理事者に加えるということもあります。かように申しているのでございます。それからその場合に、それでは文部省の公務員がこれに兼務の形で加わるということになると、非常に監督権が強化されて、従つてこの私学の自主性が失われるのじやないかという御懸念でありますが、その点は我々はさようには考えません。文部省の公務員が参加すると申しますのは、決して特にこの振興会に対して監督せんがための監督の意味から参加するのじやないと私は思います。要するに私学振興会が将来ますます発展して本来の目的を達し得るように、そういう意味において、私は仮に政府の役人が参加するとすれば、そういう意味において参加するのである、かように考えます。従いまして役人が参加しましたために私学の自主性が失われるというようなことはないと、かように考えております。
  106. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一つ。その適任者があれば私学関係者も入れる考えだ、それはもう当然だと思うのです。それで私はそれを裏から更に申しますとね、私学関係者の中で適任者が得られないということは考えられんと思います。そこで私はあなたに率直にお尋ねしたいことは、私学関係者を入れる意思があるのかどうか。直接法ではつきり一つ意思を表示して下さい。どちらにお考えですか。これは入れるべきじやないのですか。
  107. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) これは後に出て参りますが、第三章の評議員ところにも関係するのでございますが、我々の基本的な考え方といたしましてはこの評議員の中に私学関係者の多数御参加を願いまして、それによつて……。
  108. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 評議員のことは評議員ところでやりますよ。これは評議でなく、役員なんだから……。
  109. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 私学のほうの意思を反映させるという立場でおります。併しながらこの理事者の場合におきましても、真に適当なかたがおりますれば、御参加願うという気持でおりますが、そういうことで一つ御了承願いたいと思います。
  110. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 他に御質疑はございませんか。なければ、第三章の朗読を願います。
  111. 福田繁

    説明員福田繁君) 第三章を朗読いたします。     第三章 評議員会   (評議員会)  第十七条 振興会評議員会を置く。  2 評議員会は、十人以上二十人以内の評議員をもつて組織する。   (評議員会の職務)  第十八条 左に掲げる事項については、会長において、あらかじめ評議員会意見を聞かなければならない。   一 定款変更   二 予算及び第三十五条の規定により文部大臣認可を受けることを必要とする借入金の借入   三 第二十四条第一項の規定による業務方法書の決定及び変更   四 第三十三条第一項の規定による資本金の減少   五 その他振興会業務に関する重要事項で、定款をもつて定めるもの  第十九条 評議員会は、振興会業務若しくは資産の状況又は役員業務執行の状況について、会長に対して意見を述べ、若しくはその諮問に答え、又は会長から報告を徴することができる。   (評議員の任命、任期及び欠格事由)  第二十条 評議員は、振興会目的を達成するために必要な学識経験を有する者及び私立学校関係者のうちから、文部大臣が任命する。  2 第十三条第二項及び第三項並びに学校教育法第九条(校長及び教員の欠格事由)の規定は、評議員に準用する。  (評議員会の会議)  第二十一条 評議員会は、会長が招集する。  2 評議員会に議長を置き、評議員の互選で定める。  3 会長は、評議員の三分の一以上から会議に付議すべき事項を示して評議員会の招集を請求された場合には、その請求のあつた日から三十日以内にこれを招集しなければならない。  4 評議員会は、評議員の過半数の出席がなければ、その議事を開き、議決することができない。  5 評議員会の議事は、出席評議員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。  6 前項の場合においては、議長は、評議員として議決に加わることができない。
  112. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 第三章について質問あるかたは……。
  113. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは先ほど役員の章でいろいろ質疑が行われたことと関連するわけですが、私学振興ということについてはいろいろしなければならん事情はあると思います。次の章にも関係するわけですが、その中でも私は教職員の生活安定を図つて行くということは非常に大切なことであるというふうに考えておるわけなんです。先般来から文部省側からいろいろ説明を聞きましても、私立学校教職員の生活安定については、公立学校教職員に比べて平均して悪い、こういう説明もありました。そういう点から考えましても、私立学校教職員の生活安定を図つて行くということは極めて大切な、私学振興を図つて行く重要な問題であるというふうに考えておるわけであります。その生活安定を図つて行くためには、どうしても給与の改善を図つて行くということと同時に、私学共済組合制度を確立して、それの充実を図つて行くということが極めて重要である。これは業務関係するわけですが、そういう点を私は考慮しまして役員の任命或いは評議員の任命等については、こういう立場からかなりの配慮をする必要があるというふうに考えておるわけであります。特に評議員の項につきましては、これは諮問機関ではありますが、実際の業務内容について審議することになると思いますので、この評議員の任命については、私が先ほど申上げたような立場から十分配慮する必要があるというふうに考えておるのですけれども、文部省のほうの考えはどういうふうですか、伺わせて頂きたい。
  114. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 評議員の選定でございますが、先ほどもちよつと触れたのでございますが、この評議員の中に私学関係者を加えまして、十分私学の公平な意見を反映させるという考えの下に、この評議員の公平な意見を尊重して、理事は公正に業務をとるという行き方が、これが一番適切ではないか、かように考えておりますので、この評議員の選定につきまして一応考えております割合は、これは二十人以内とございますので、少くとも半数は、これは私立学校関係者を選定いたしたい。而もその私立学校関係者と申しましても、学校法人理事者もあり、又教員もあり、校長先生もあるというわけでございますので、必ずしも学校法人理事者ということでなくして、校長さんも、学校の教員も、適任者でありますれば、この選定の中に加えるというふうに考えております。
  115. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでですね。従来の文部省のいろいろのこういう会における役員の任命の実際を私は見ているのですが、私としては適正に行われておるというふうに考えにくい点もあるのです。特に文部省の方針であるのか、よく知りませんけれども、団体の代表的な地位に就いておるような人、そういう人を殊更避けて行くというふうな考えがあるようです。これは私は甚だ面白くない考え方であると思います。やはり広く意見が出されるということは、むしろそういう団体の代表的な立場におる人は多くの意見を聞くわけです。そこでその立場に立つて意見を述べることができるわけです。そういう意味で私は非常に適切であるというふうに考えておるわけです。先般制定された産業教育振興法におきましても、参議院のほうで修正をして、労働代表を何名とか、何々代表を何名とかいう細かい規定を作つたのであります。併し実際任命されたものを見てみると、労働代表の中には日本教職員組合といういわゆる教育者を以て一丸とする団体の代表者が一人も任命されておらない。私は非常に心外に堪えない。殊更に何らかの意図を持つて避けておるのじやないかというふうに感じたのです。そういう意味で、そういう選考の仕方は私はどうも明朗じやないと、こういうふうに感じておる。産業教育のほうではなおまだあるのですが、そういうことから考えて、今度の評議員会においても、そういう点は私は考慮してもらいたいと思う。そういうことを殊更排除して行くというふうな考えじやなしに考慮してやつてもらいたい。こういうまあ意見を持つているのですが、こういうことは文部省としては了承できがたいことですか、どうですか、聞きたいと思います。まあ団体の代表者からとるということを私は言つておるのじやないのですが、そういうものを十分考慮してやつて行くということですね。今まではどうも除外されておるような気がするのですが、(「ひがむんじやないよ」と呼ぶ者あり)まあまあ合いの手は入れないで……。実は私はそういう点を考慮して修正案を用意しておつたのですけれども、若しそういう点が十分配慮されるならば、私どもとしても、殊更修正案を出す必要はないというふうにまあ考えておるわけであります。この点については、できるだけ明白に一つ答えてもらいたい。
  116. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 評議員の人選の場合に、教職員を入れるかどうするかという御質問だと思いますが、その点につきましては、先ほど来申しました通りでございますが、併しながら私の言い方が少し足りませんので、真に適当なかたがあればということがなんでございましたら、教員のかたも、校長先生も必らず入れるというふうに御訂正申上げても差支えないと思います。そういうつもりで考えております。それから特に団体を排除するということは私はないのではないかと思います。要するに評議員を構成するのに適当なかたであれば選定をするということで、殊更団体を排除するということでは私はないのではないかと考えておりますが、なお具体的になりますれば、これはまあその場合に、個々に私は御相談申上げるということになると思います。
  117. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで私は文部省の従来の選考の実際を見てみると、そういう傾向があるのじやないか、こういうふうに見ておつたのですが、必らずしもそうでないということであれば、ここでまあ認識を新たにして、この問題については十分考慮して頂くように一つ希望しておきます。
  118. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 第三章について他に御質疑がありませんでしたら、第四章を朗読して下さい。
  119. 福田繁

    説明員福田繁君) 第四章を朗読いたします。     第四章 業務   (業務)  第二十二条 振興会は、第一条の目的を達成するため、左の業務を行う。   一 学校法人に対し、その設置する私立学校経営のため必要な資金(その施設のため必要な資金を含む。)を貸し付けること。   二 学校法人に対し、その設置する私立学校教育振興のため行う事業について助成を行うこと。   三 私立学校の職員の研修、福利厚生その他私立学校教育振興上必要と認められる事業を行う者に対し、その施設等について必要な資金を貸し付け、又は助成を行うこと。   四 前各号に掲げる業務に附帯する業務  2 振興会は、文部大臣認可を受けて前項各号に掲げる業務のほか、第一条の目的を達成するため必要な業務を行うことができる。  3 振興会は、前事業年度における損益計算上の利益金から、繰越欠損の補てんに充てた金額並びに当該事業年度において第三十二条第一項の規定による特別積立金及び同条第二項の規定による普通積立金として積み立てられた金額を控除した金額に相当する金額の範囲内においてのみ、第一項第二号又は第三号の規定による助成を行うことができる。   (業務執行の基本原則)  第二十三条 振興会業務は第一条に規定する振興会目的に従い、公平且つ確実な運営を期して執行されなければならない。   (業務方法書)  第二十四条 振興会業務開始の際、業務方法書を定め、文部大臣認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、また同様とする。  2 前項業務方法書には貸付の限度、利率及び期限、助成の限度及び目的並びに第二十八条第二項の規定による代理業務に関する準則を記載しなければならない。   (貸付又は助成に係る審査)  第二十五条 振興会は、第二十二条の規定による貸付又は助成を行うについては、学校法人その他貸付又は助成を受けようとする者の備えている条件についてその貸付又は助成目的を有効に達し得るかどうかを審査しなければならない。   (貸付又は助成制限)  第二十六条 振興会は、振興会に対し債務を負う学校法人(都道府県に対して貸し付けられた旧債権に係る資金を当該都道府県から貸し付けられた学校法人を含む。)がその債務の元利償還を履行しない場合においては当該不履行が災害その他の特別の事由による場合を除くほか、当該学校法人に対して、新たな資金貸付又は助成を行わないものとする。   (旧債権の取扱)  第二十七条 振興会又は都道府県は私立学校を設置する者が災害その他の特別の事由により、旧債権又は都道府県が旧債権に係る資金で貸し付けた貸付金債権に係る元利金の支払が著しく困難となつた場合において、当該債権貸付条件変更又は延滞元利金の支払方法の変更をしようとするときは、振興会にあつて文部大臣認可を、都道府県にあつて振興会の承認を受けなければならない。  2 振興会又は都道府県は、私立学校を設置する者が災害その他の特別の事由により、旧債権又は都道府県が旧債権に係る資金で貸し付けた貸付金債権に係る債務の全部又は一部を履行することができなくなつた場合において、当該債務の全部又は一部を免除しようとするときは、振興会にあつて文部大臣認可を、都道府県にあつて振興会の承認を受けなければならない。  3 振興会は前二項の承認をしようとする場合には、あらかじめ文一部大臣認可を受けなければならない。  4 振興会は、都道府県が第一項の規定による貸付条件変更若しくは延滞元利金の支払方法の変更又は第二項の規定による債務の全部若しくは一部の免除をしたときは、当該都道府県に対する旧債権のうち当該貸付条件変更等の措置がされた債権に相当する部分について同様の措置をしなければならない。   (貸付業務の代理)  第二十八条 振興会は、文部大臣認可を受けて、銀行その他の金融機関に第二十二条第一項第一号又は第三号の貸付業務の一部を代理させることができる。  2 振興会は、前項規定により銀行その他の金融機関にその業務の一部を代理させようとするときは、その金融機関に対して代理業務に関する準則を示さなければならない。
  120. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 第四章について質疑のあるかたは御発言を願います。
  121. 高田なほ子

    高田なほ子君 簡単ですが、第二十二条の三号でありますが、「振興上必要と認められる事業を行う者に対し、その施設等について、必要な資金を貸し付け、」という項でありますが、その「事業を行う者」というその「者」の認定は誰がやるのですか。
  122. 福田繁

    説明員福田繁君) この「振興上必要と認められる事業を行う者」ということにつきまして、これは振興会自体がこの認定をやるわけでありまして、予定しておりますのは、学校法人は勿論でありますが、学校法人以外の財団法人等の者につきましても、それを対象にするという予定でございます。
  123. 高田なほ子

    高田なほ子君 振興会自体がそれを認定するわけですね。「必要な資金を貸し付け、」、これは必要な場合は幾らでも貸付けることができるのですね。
  124. 福田繁

    説明員福田繁君) その点につきましては、おのずからその事業内容によつて限度はきまつて来ると思いますけれども、必要な資金であれば、これから、振興会から貸付けることになるわけであります。
  125. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の問題につきましては、これは第三号でしたね。これは必要な資金貸付ける、その貸付ける相手は誰ですか。
  126. 福田繁

    説明員福田繁君) 只今も申しましたように、学校法人そのものに対して貸付ける場合もあります。それから又そうでない財団法人等の団体に対して貸付ける場合もあります。
  127. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それではここに、「財団法人私学振興会寄附行為」というのがありますね。そういう財団法人がありますね。そういうところへ主として貸すのか、こういうところへ貸すこともあるわけですね。
  128. 福田繁

    説明員福田繁君) そういうことになります。
  129. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは、「私立学校の職員の研修、福利厚生」ですね。そういう面に必要な費用というのはどこで貸すわけですか。学校ごとに貸すということはできないでしよう。
  130. 福田繁

    説明員福田繁君) 例えば学校単位でそういつた講習会等をやる場合におきまして、必要ならば学校法人そのものに貸してもよろしうございます。又そうでない、今申しましたような団体で、財団法人等の団体でやる場合におきましては、その団体を相手にして貸付けてもよろしうございます。
  131. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 財団法人私学振興会は、私立学校教職員の相互扶助事業を行うという目的のために作られておると思うのですが、そうすると、福利厚生とか、相互扶助のいわゆる共済組合ですね。これは私立学校振興会のほうでやれば、それに必要な資金貸付けると、こういうことになるのですか。
  132. 福田繁

    説明員福田繁君) その財団法人私学振興会におきまして、必要であれば貸付けてもいいわけであります。
  133. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで私は共済事業はですね。これは一つ私学において振興をするようにしなければならん、こういう意見を持つておるわけです。そういう立場から、この方面にどれだけの金が貸出されるか、そしてそれはどういう方法によつて貸出されるか、こういう問題について、いつか質問があつたのかも知れませんが、この方面予定している金は千数百万に過ぎない。こういうふうに私は聞いたんですが、そうですが。
  134. 福田繁

    説明員福田繁君) 今朝ほど申しましたのは貸付金でなしに、この特殊法人私立学校振興会が運営上上つて参りました利益金の中から、千二百万円程度はそういつた助成に向け得るということを申上げたのでありまして、貸付金とは別個であります。貸付金につきましては、これはその共済事業をやる団体におきまして必要な限度というものが出て参りますと、一応それを検討した上で貸付をやるということになるかと考えております。
  135. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこでもう一つ確めておきたいのは、いわゆるここにも配られておりますように、財団法人私学振興会共済事業施行規程或いは施行細則というものがあります。これによつて私学教職員共済組合を作つてそれに参加する、その場合に、昨日か一昨日かお配りになつた書類によると、理事者、学校側が四割、それから教職員が四割、それから国庫補助ですか、国庫補助が二割、こういうふうになつているわけです。全私学教職員が参加すれば、それに参加しなくても八割が参加する、七割が参加すれば、それに必要な金は必ず出すと、こういうことになるわけですね。
  136. 福田繁

    説明員福田繁君) この前申上げました負担区分の割合でございますが、共済事業でありまするので、当然に教職員のほうから掛金を徴収する、それから又その雇用者であります学校法人からも当然それと同額の掛金を徴取する、ほかに足りない面につきましては、その特殊法人でありますところ振興会から助成をして行きますし、又都道府県におきましても、その管内の高等学校以下の学校の職員につきましては、その共済事業に対して助成をして行くというような方針で進んでおるわけであります。
  137. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 いや、私はそのことはよくわかつているが、その負担の割合です。教職員は四割、学校側が四割、あとの二割を国家又は今の説明によると他の団体から二割を出す。こういうことになつているのですか、これはきまつていないのですか。
  138. 福田繁

    説明員福田繁君) 只今共済事業のほうの計画ではそういつた負担区分にやつております。これは負担区分そのものは永久的なものじやないかも知れませんが、将来そういつた加入者が殖えて参るというようなことであれば、加入者に応じた事業費というものがいるわけであります。そういつた面についても当然助成がなされるものと考えております。
  139. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで私の尋ねているのはその負担区分です。これは将来自由に変つて来るのですか。
  140. 福田繁

    説明員福田繁君) 差当りその負担区分は変らないと私ども考えておりますけれども、と申しますのは、その負担区分によつて公立学校の先生と同じような負担で、ほぼ同じような負担でこの共済事業というものが実施されるわけであります。それ以上に私立学校の先生がたを優遇して行かなければならんというのであれば、又その負担区分を変えるということも将来起り得るかも知れません。
  141. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私の懸念しているのはここにあるんですよ。なおその千二百万円か、千三百万円か知りませんが、共済組合に出せない、こういうことになつて来ると、加入者がどんどん殖えて来ると出す金がない。こういうことになつて来るのじやないかということを心配して尋ねておるわけです。
  142. 福田繁

    説明員福田繁君) その点は、千二百万円と申上げますのは、当初年度だけでございまして、それは当然加入者が殖えれば、それに、従つて事業費というものが殖えて来るわけであります。それ以降のその事業費の不足分については当然に考えなければならん、こう考えております。
  143. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 はあ、そうですが。そうすると、加入者がどんどん殖えて来て費用が嵩んで来るということになれば、それに応じて出資すると、こうこいうふうになつていると、こう了解していいわけですね。
  144. 福田繁

    説明員福田繁君) 出資じやございませんで、利益金の分からできるだけの助成をして行くと同時に、足りないものにつきましては、その後その資本金の中から貸付もやつて行こう、こういう趣旨でございます。
  145. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、結論的に言うと共済組合はこれで十分やつて行けると、こう了承していいわけですね。
  146. 福田繁

    説明員福田繁君) その点については私ども十分確信を以てやつております。
  147. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 第二十六条の貸付又は助成制限の条項のところですが、十五頁の一行目中段から「当該不履行が災害その他の特別の事由による場合を除くほか、」云々とありますが、この「特別の事由」というのはどういうことを指しているのか、この認定は私学振興会でやると思うのでございますが、私学振興会のどういうところでなされるのか、伺いたいと思います。
  148. 福田繁

    説明員福田繁君) 私立学校振興会のどういうところでなされるかという御質問でございますが、これは当然に理事機関でそういつた認定をするものと考えます。この特別な事由と申しますのは、例えば一例を挙げますと、火災で全部焼けてしまつたというような場合が起りますので、そういつたものを考えております。
  149. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは災害の場合でしよう。
  150. 福田繁

    説明員福田繁君) これは災害と言えば、まあ一般には地震とか、台風といつたような場合が通例でありますが、火災でありましても、その全地区焼けてしまつたというようなものは、これは相当な災害でございましようが、そうでなしに、例えば失火で何が焼けたとか、又延焼によつて焼けたというような場合もあり得るわけであります。
  151. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 災害の定義をそうされるならそうとして置いて、それでは方向を変えてお伺いしますが、この「特別の事由」という点について、例えば非常に学生の志願者が少くて、生徒数が減つて来たと、まあこの二、三年すれば一応建直るというような具体的なそういう事情がある場合、特別な事由によつて猶予してやる、更にはその危機を切抜けるために貸付ける、又は助成をしてやる。こういう趣旨でこう書かれておると思うのでありますが、そうではありませんか。
  152. 福田繁

    説明員福田繁君) そういつた個々の学校の問題につきましては、その状況に応じて相談が行われると思いますが、単なる経営困難だからというようなことでやつておりますと、この振興会の運営上最も困る問題が相当起ると思いますので、単なる経営困難ということには考えていないわけであります。
  153. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 特別の事由というのがよくわからんのですがね。火災は災害の中に入らんのですか。さつきそういうふうな説明ですが、そういうふうになつておりますか。
  154. 福田繁

    説明員福田繁君) 一般に災害と申しまと、いろいろな場合があると思いますが、災害救助法等におきましても、火災の場合は一応入つてないように考えております。従つてここに書いております災害は、一般的に起つた地震だとか、台風だとか、そういうものを指しておるわけであります。
  155. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 第四章は他に御質疑ございませんか……。なければ第五章に移ります。第五章の朗読をお願いいたします。
  156. 福田繁

    説明員福田繁君) 第五章を朗読いたします。     第五章 会計   (事業年度)  第二十九条 振興会事業年度は、毎年四月一日に始まり翌年三月三十一日に終る。  2 振興会は、毎事業年度の決算を翌年度の五月三十一日までに完結しなければならない。   (事業計画及び予算)  第三十条 振興会は、毎事業年度事業計画並びに収入及び支出の予算を作成し、事業年度開始前に文部大臣認可を受けなければならない。これに重要な変更を加えようとするときも、また同様とする。   (財務諸表)  第三十一条 振興会は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下この条及び第三十三条第二項において「財務諸表」という。)を作成し、これに予算の区分に従い作成した当該事業年度の決算報告書を添附し、監事の意見をつけて、決算完結後二月以内に文部大臣に提出し、その承認を受けなければならない。  2 会長は、前項の財務諸表及び決算報告書を、監事の意見をつけて決算完結後一月以内に評議員会に報告しなければならない。  3 振興会は、第一項の規定による文部大臣の承認を受けたときは、遅滞なく同項の財務諸表を官報に公告し、且つ、各事務所に備え置かなければならない。   (利益金の処分)  第三十二条 振興会は、毎事業年度の損益計算上利益金を生じたときは、繰越欠損がある場合においては、まずこれを繰越欠損の補てんに充て、なお残余があるときは、旧債権に係る債務の免除に因る損失の補てんに充てるため、旧債権の滞貸元本(当該事業年度末までに償還期の到来した元本のうち、その時までにまだ償還がされていないものをいう。以下この条において同じ。)の総額に相当する金額に達するまで、これを特別積立金として積み立てなければならない。  2 前項規定により特別積立金を積み立て、なお利益金の残余があるときは、振興会は同項に規定する損失以外の損失の補てんに充てるため、当該利益金の一部を普通積立金として積み立てなければならない。  3 第一項の特別積立金は、旧債権に係る債務の全部又は一部の免除に因る損失の補てんに充てる場合を除くほか、取りくずしてはならない。但し、特別積立金金額が旧債権の滞貸元本の総額をこえるに至つた場合において、そのこえる部分については、この限りでない。  4 第一項の特別積立金金額が旧債権の滞貸元本の総額に満たなくなつた場合において第二項の普通積立金があるときは、その満たない金額に相当する金額までの金額を普通積立金から特別積立金に組み替えなければならない。  5 第二項の普通積立金は、前項規定により特別積立金に組み替える場合及び第一項に規定する損失以外の損失の補てんに充てる場合を除くほか、これを取りくずしてはならない。   (資本金の減少)  第三十三条 振興会、旧債権に係る債務の免除に因る損失が前条第一項の特別積立金を取りくずしてもなお補てんできないときは、文部大臣認可を受けてその補てんできなかつた損失に相当する金額資本金を減少することができる。  2 振興会は、前項規定による資本金の減少を行つたときは、遅滞なく、その旨及び資本金の減少を行つた日現在の財務諸表を官報に公告しなければならない。   (余裕金の運用)  第三十四条 振興会、左の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。   一 国債又は地方債の取得   二 銀行への預金又は郵便貯金   三 信託会社又は信託業務を行う銀行への金銭信託   (借入金)  第三十五条 振興会は、文部大臣の定める場合を除くほか、借入金をするについては、文部大臣認可を受けなければならない。
  157. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 第五章について質問ありませんか。質疑のかたがなければ……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 第六章に入ります。
  159. 福田繁

    説明員福田繁君) 第六章を朗読いたします。     第六章 監督   (監督)  第三十六条 振興会は、文部大臣が監督する。   (監督命令)  第三十七条 文部大臣はこの法律を施行するため必要があると認めるときは、振興会に対して、その業務に関し、監督上必要な命令をすることができる。   (報告及び検査)  第三十八条 文部大臣は必要があると認めるときは、振興会に対して業務及び資産の状況に関し報告をさせ、又はその職員をして振興会事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。  2 前項規定により職員が立入検査をする場合においてはその身分を示す証票を携帯し、関係人にこれを呈示しなければならない。  3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。   (役員の解任)  第三十九条 文部大臣役員が左の各号の一に該当するに至つたときはこれを解任することができる。   一 この法律、この法律に基く文部大臣の監督上の命令又は定款に違反したとき。   二 心身の故障により職務を執ることができないときその他前、号に掲げるもののほか、役員として不適当と認められるとき。
  160. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 第六章に御質疑ありませんか。御質疑がなければ……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 第七章に入ります。
  162. 福田繁

    説明員福田繁君) 第七章を朗読いたします。     第七章 罰則   (罰則)  第四十条 振興会役員又は職員が第三十八条第一項の規定に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、三万円以下の罰金に処する。  第四十一条 左の場合においては、振興会役員を二万円以下の過料に処する。   一 この法律により文部大臣の許可、認可又は承認(第五条第四項、第六条第二項、第二十二条第二項及び第三十三条第一項の規定による認可を除く。)を受けなければならない場合において、その許可、認可又は承認を受けなかつたとき。   二 この法律又はこの法律に基いて発する政令に違反して、登記をすることを怠り、又は不実の登記をしたとき。   三 この法律及び定款規定しない業務を営んだとき。   四 第三十一条第三項又は第三十三条第二項の規定に違反して、公告を怠り、又は不実の公告をしたとき。   五 第三十四条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。   六 文部大臣の監督上の命令に違反したとき。  第四十二条 第八条の規定に違反して、私立学校振興会という名称又はこれに類似する名称を用いた者は、五千円以下の過料に処する。
  163. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 第七章に御質疑ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) なければ附則に入ります。
  165. 福田繁

    説明員福田繁君) 附則を朗読いたします。     附 則  1 この法律は公布の日から施行する。  2 文部大臣は、設立委員を命じ、振興会の設立に関する事務を処理させる。  3 設立委員は、定款を作成し、文部大臣認可を受けなければならない。  4 前項認可があつたときは、設立委員は、遅滞なく、その事務を振興会の会長に引き継がなければならない。  5 振興会の会長が前項の事務の引継を受けたときは、その引継を受けた日において、振興会の会長、理事長、理事及び監事の全員は、設立の登記をしなければならない。  6 振興会は、設立の登記をすることに因つて成立する。  7 振興会の会長は、振興会成立後すみやかに、政府に対して、出資金の払込の請求をしなければならない。  8 文部大臣は、振興会が成立した場合においては、すみやかに、旧債権に係る貸付金に関する事務を振興会に引き継がなければならない。  9 都道府県知事振興会が成立した場合においては、すみやかに、旧債権に係る貸付金のうち昭和二十一年度分の私立学校戦災建物復旧費貸付金から貸し付けられたものに関する事務を振興会に引き継がなければならない。  10 前二項の規定による事務引継の場合においては、文部大臣又は都道府県知事は、証書、帳簿その他の書類を調整し、処理未了若しくは未着手の事項又は将来処理すべき事項については、その処理の順序及び方法並びにこれに対する意見を記載しなければならない。  11 この法律学校法人には、当分の間、学校教育法第百二條第一項の規定により私立の盲学校、ろう学校、養護学校及び幼稚園を設置する民法第三十四条の法人を含むものとする。  12 第五条第三項の規定により振興会が承継した国の抵当権の移転の登記には、登録税を課さない。  13 第八条の規定は、この法律施行の際現に私立学校振興会という名称又はこれに類似する名称を用いている者については、この法律施行後六月を限り適用しない。  14 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。    第十九条但書中「第二号ノ二、」を「第二号ノ四、」に改め、同条第七号中「大日本育英会、」の下に「私立学校振興会、」を、「大日本育英会法、」の下に「私立学校振興会法、」を加え、同条第十八号中「大日本育英会、」の下に「私立学校振興会、」を加え、同条に次の一号を加える。    二十二 私立学校振興会私立学校振興会法ノ規定ニ依リ為ス貸付業務ノ為ニスル建物又ハ土地ノ抵当権ノ取得ノ登記  15 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。    第五条第六号ノ九の次に次の一号を加える。    六ノ十私立学校振興会ノ発スル証書帳簿  16 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。    第三条第十号中「大日本育英会、」の下に「私立学校振興会、」を加える。  17 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。    第四条第四号中「大日本育英会、」の下に「私立学校振興会、」を加える。  18 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。    第二十四条第三号中「法令にる公団、」の下に「私立学校振興会、」を加え、第二百九十六条中「国民健康保険団体連合会、」の下に「私立学校振興会、」を加え、第三百四十八条第二項第十一号に次の一号を加える。    十二 私立学校振興会が直接その事業の用に供する固定資産第七百四十三條第三号中「大日本育英会、」の下に「私立学校振興会、」を加える。
  166. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 附則について御質疑ありませんか。
  167. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 附則の第二項、設立委員は何名くらい命じて、どういうふうな構成をやるつもりですか。
  168. 福田繁

    説明員福田繁君) 設立委員につきましては、人数は限定されておりませんが、大体十人程度じやないかと考えております。
  169. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 構成どういうふうに考えていらつしやいますか。
  170. 福田繁

    説明員福田繁君) 設立委員につきましては、やはりこうした特殊法人にふさわしい学識経験者も当然考えられますし、又私立学校関係から申しまして、そうした学校関係者も当然この中に加えられるものと考えております。
  171. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 他に御質疑ありませんか……。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  172. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それでは速記を始めて下さい。他に御発言はございませんか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 本案に対する御質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  175. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について……。質疑のあるものはないかと言うから、異議ないと言つて、そこで切れたわけですが、ここでちよつと私は懇談に移つて頂きたいと思います。議事進行について……。
  176. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  177. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 速記を始めて下さい。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  178. 高田なほ子

    高田なほ子君 日本社会党の第四控室でありますが、私立学校振興会は、その目的に調つてあるように、私立学校経営に関し最も重要な解決策として出されたのでありますが、その二つの目的の中で、一つ学校経営の面、一つ学校の直接教育仕事をやる教職員福利厚生の面、二つの面にあるようでございます。このことは誠に当を得たことではございますが、質疑の過程におきまして、最も劣悪な条件の下に放置されております私立学校教職員共済事業に対する面がいささか看過されておるような点を甚だ私どもとしては遺憾に思つておる点でございます。私立学校教職員待遇は、当局が認めていられるように、その平均月収においても国立或いは公立学校教職員よりも非常に低く、又その福利厚生の面においても極めて恵まれない状況にあることは、すでに質問過程においてその数字によつて明確に示されておる点でございます。こういう重大な面に対しまして、私立学校振興会は、この教職員の生活の安定とその福利厚生のために必要な資金貸付け、その助成を十分に行うということがここに明確にされたのでございます。併しこの討論過程において、実際にその財源措置から考えますときに、教職員福利厚生に廻される助成金は僅かに一千二万百円という極めて零細なものにしか過ぎないのでございます。併しながら、この零細な資金を以ても、なお且つ文部省の熱と果断と、そうして努力によつて公立学校以上の待遇が確保できると、こういう言明を得たのでございますが故に、私どもはこの点については文部省言明を十分に信頼し、そしてその実現が期されるであろうということを非常に強く期待いたす次第でございます。  次に、私立学校振興のために従来財団法人私学振興会というものがございました由で、それによつて今まで私学振興のために事業をやつて来られたのでございますが、この私学振興会の運営の面につきまして、今日まで多々問題のあつたことは文部当局もこれは十二分に御承知のはずでございます。特に本法案は金融という面に重点が非常に置かれますが故に、この私学振興会の運営については誠に重要な面を孕んでおります。我が党の荒木委員は、この振興会の運営の面に最も重要な役割を占める理事の構成については、特に政争の具に供されるような特定の政党的な臭味のない者、更には教職員の極めて民主的な団体である団体の代表等をここに参加させることについては強い主張があつたのでございますが、文部当局としては、適当な人があればこれに参加して頂くというような御答弁でありますが、適当な人ということは勿論私どもの主張しているこの一線と余り……というよりは、むしろ私どもの考えております極めて民主的な考え方については御賛成のように考えられますので、この点についても我々は又危惧の念を一応ここに去りまして、この運営の極めて公正である、又あられるようにということを強く希望するわけであります。  次にこの評議員の問題につきましても、先ほどの当局のお話によれば、私立学校関係者を約半数だけ加えるというようなお話でございました。私どもは私立学校振興の最も適切な運営によつて、真実に均需し得ない貧困な財源の下にある私立学校振興、更にはその振興に対してボス的な運営に堕さないように、更には私立学校の真の実績を挙げるものこそ、先十教職員の質の向上、これに伴う待遇の改善であるという観点の下に、法文の修正を私どもは実は考えておつたのでございます。即ち法第二十条の中に、評議員は、振興会目的を達成するために必要な学識経験を有する者及び私立学校学校長、若しくは教員、又は私立学校を設置する学校法人理事のうちから、文部大臣が任命する。というように、私立学校法に基いての修正案を実は用意したのでございますが、私どものこの修正の意図するところを十分に当局としては汲まれまして、この意に副うことが確約されたのでございますから、あえて私どもはこの修正をここに出さなかつたのでございます。  以上のような経緯を辿りまして、私立学校の真の振興のために、法の運営に当つては公正妥当で、そうしてこれらの私立学校の真の振興が徒らに政争の具の餌食になることなく、教壇を守られる、特に劣悪な待遇下におかれておる私立学校教職員の上に、国家からの温い手によつて福利厚生の面が遺憾なく期されるということを希望条件とすると共に、文部省言明に対して万全の信頼を置いて賛成するものでございます。
  179. 相馬助治

    相馬助治君 私は只今議題と相成つておりまする私立学校振興会法案につきまして、社会党第二控室を代表いたしまして賛成の意思を表明するものでございます。  由来国家財政が貧困を極めまする場合には、いつでもそのしわ寄せが教育財政の面に現われ、悲しくも教育が財政的貧困の理由を以て所期の目的を達し得ないことは、具体的な事実がこれを証明しておるところでございます。而もその教育の問題につきましては、そのしわ寄せが私立学校経営の面に及びまして、重大なる使命を持つところ私立学校が常に経営の危機に脅かされ、その効果を挙げ得ないことは、これ又多くの事実を以て我々は教訓的に見て参つておるのでございます。日本が真実に文化国家として出発しなければならないとするならば、当然政府は、恩恵的態度を以て財政を教育の面に割譲するものでもなく、特に私立学校経営に対して財政的補助を、物を投げ与えるというような恩恵的な思わせ振りを以て投げ与える性質のものでもなく、進んで財政的な援助教育の面に与えて、真実に教育の効果を期待し、文化国家として立上るために、次代を背負う国民の奮起を要請すべきものであろうと思うのであります。  こういう基本的態度を以て見まするときに、甚だ遅くなつたとは申しながら、今日政府私立学校振興会法案を本院に提案いたしまして、我々にその審査を求めたことに対しましては、私は満腔の敬意を表するものでございます。ただ、本案につきまして私どもがこれを審査して参りましたその過程において、政府当局の善意にもかかわらず、これが運用の面において極めて懸念される二、三の点を発見せざるを得なかつたことを、本員は極めて遺憾と思うものでございます。その第一点は、財政の問題でございます。委員会質問の中におきまして、同僚加納委員は、本法案において盛られているところの財政は二階から目薬の感があると批評したのでありますが、誠に悲しくも言い得て妙であると私は思います。従いまして本法案が如何に名文を以て綴られるといたしましても、この程度の財政、特に二十一億五千万円と申しておりまするが、うち十七億六千万円は不渡手形にも等しきものでございまするし、政府が直接支出するものは三億九千万円であり、而もその内容を聞きまするというと、うち一億三千万は戦災復旧費用を割譲して、即ちその節約分を廻すと説明されておるのであります。現在遅れている日本の国家財政の規模並びにその内容を我々は知るものでありまするが故に、無下に反対するものではありませんけれども、私が本法案に賛成するためには、その前提といたしまして、当然次の機会における補正予算等の上程に当りまして、文部当局は本委員会の意思を率直に代表されまして、少くとも十億程度の増資を期待すべく努力することなくしては、本法案の円滑なる運用は到底期し得られないのではないかということを私は虞れるものであります。(「賛成」と呼ぶ者あり)これに関しましては、先ほど局長よりその決意ある旨を表明され、私も又納得いたしまして、その努力を期待いたし、その声明によりまして、少くとも私立学校経営者或いはこれの関係職員等は多くの希望を持つて明日から教育に立上ると思うのでありまするが、希くは政府はこの期待を裏切ることなからんことを第一点に切望して止まないのであります。  第二点は、役員の構成については、当然といたしまして民主的にこれは運営されなければなりません。その資本金の大部分が国家の支出に基くところのものでありまするが故に、文部大臣の監督を必要とすることを本法案規定いたしておりますることは極めて当然であります。従いましてこの筋合からいたしまして、この委員の選任に当つてその人選を誤まることあるならば、私学振興会なるものが、私学関係者にとつて好ましきものであるべきにもかかわらず、これを威嚇し、そうして妙な面から喙を容れる立場においてのみ十全の能力を発揮し、政府に向つて財政的な予算獲得については全くその手腕白痴に等しいというようなことが若しも実現するといたしましたならば、本法案私立学校側にとつて、むしろこれはないのがよろしいというようなことに相成る危険なしとしないのでありまして、それらの点につきまして種々質疑が行われましたが、私どもは不満足なから政府説明を一旦了解するものでありまして、この点に関しましては、我々の意のあるところを十分に汲取られまして、この役員の構成に関しましては民主的なる構成をなさいまするように、政府当局においては十分責任を以て配慮されてほしいと思うのでございます。最近各大学並びに私立の高等学校等の入学者が発表になりました。私の関係者にもこの入学試験に失敗したものが例年になく多いので、私はその原因が奈辺にあるかを甚だ迂閥でありますが、今日に至つて調べて見ましたところが、六三制の当然の帰結として、本年度におけるところの私立大学の入学の困難というようなものは、今年度の偶発的事件ではなくて、来年は再来年、再来年はその翌年といよいよ倍加して行くということを私は数字の面から知つたのであります。こういう建前を考えて見まするというと、私立学校というものは勿論幼稚園にも小学校にもございまするが、その大部分は高等教育を司る面が多いのでありまして、いよいよ以て私学振興会の責任が、真実に日本をして文化国家たらしめるためには、その使命が極めて重いことを改めて痛感したものでございます。我々が今日戦いに敗れて、新らしい日本を建設するためには、何と申しましても次代を背負う青年たちにより多くの希望を繋ぐ以外に途を私は知りません。そういう意味合におきまして、政府におきましても、本法案の、特に財政的な面につきまして、今後とも十分なる努力をされることを特に附加えまして、私は社会党第二控室を代表して本法案に対しまして賛成の意思を表明するものでございます。
  180. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は第一クラブを代表いたしまして、本法案に賛意を表明するものでございます。国公立と私立とを問わず、その教育は公共性において同一だということは申すまでもないと存じます。私学教育の振わないために、国会におきましては、昭和二十四年に私立学校法を制定し、その助成を期したわけでございますけれども、現在に至るまでなお不十分な状況にあります。この際に本法案私立学校教育振興という立場から一歩前進する意味におきまして、私は賛意を表明するものでございますが、この際若干の希望を強く要望しておきたいと思う次第でございます。  その第一点として申上げる点は、前委員の討論においてもなされましたが、申上げるまでもなく、この資本金の増額について今後も政府は極力努力するということが一つだと思います。次に第二点として申上げたい点は、由来この私立学校の管理並びに経営というものは、ややもすると封建的なものが未だに残つておると考えます。我が国の民主化を図る立場から、先ず教育から民主化というものを具現して行かなければならないことは申すまでもないと思うのでございますが、私立学校経営、管理並びに私立学校関係の団体の運営状況を見たり、或いは聞いたところでは、私の見たり聞いたりした範囲内においては、少くともこの封建色は未だに濃厚であるという点につきましては、私は是非ともこれを運営の面で打破しなければならないと、こういうふうに考えておりますし、もう一面におきましては、私立学校のよさというものは、やはりその私立学校の特殊性に基くところの自主性というものが多く尊重されなければならない。この二点を私は強く要望するが故に、この運営の面について特に政府において配慮すべきことを要望する次第でございます。具体的に申上げますならば、質疑の各段階において繰返されましたが、要するにこの法案に盛られているところの各機関の人事構成というものを、役員の面におきましても、更には諮問機関であるところ評議員の構成におきましても、飽くまでも私立学校の特殊性とその自主性を損わないという立場から、その代表者を入れることと、更に具体的に申上げますならば、私は質疑の段階においても応答を繰返した次第でございますが、民主的に結成されているところ私立学校の諸団体というものがあるならば、私はその団体の責任者とか、或いはその団体が自主的に推薦するところの人物というものは、局長が申されるところの私は運営に適当なる人と言つて毛頭差支えないと思うのでございまして、その点につきましては、先ほどから私が前提として申上げましたところの封建的なものを打破し、自主性を確保して行くという立場から是非とも必要だと考えますので、特に要望をいたしておく次第であります。  第三点として申上げたい点は、私立学校のこの振わない理由としてはいろいろあると考えますけれども、やはりそのうちの大きな一つの理由は、何と言つても私は人だと考えます。その適正なる人を得るということが一番大事であつて、そのためには結局待遇条件というものが問題になりますが、質疑の過程において承わるところによりますというと、高等学校教職員のごときは国、公立の教職員の僅かに六五%の給与しか受けていないと、こういうことを承わつた次第でございますが、この教職員の生活安定を図つて、そうして私立学校教育に懸命に働いて頂くというためには、給与の改善を図らなければなりませんが、そのうちで特に私立学校教職員関係者が要望しているところ共済事業振興につきましては格別の配慮をすべきものと考えます。特にこの法案が狙つているところ共済事業は、財団法人私学振興会のほうで助成して、そこでやらせるということになつておりますが、これも質疑の段階において随分と繰返されたことでございますが、この財団法人私学振興会においてやられるところ私立学校教職員共済事業を円滑に能率的に実施するためには、公立学校教職員共済組合役員構成、あれに準じた役員構成を以て、財団法人私学振興会は運営さるべきである、そういうことによつて初めて私は成果を挙げ得ると考えるのでございます。この財団法人私学振興会には事務費を全額国庫補助しているわけでございますので、それらに対するところ役員構成についての希望というものも、文部大臣としては強く私は主張できるし、又指導もできるものと考えます。現在の財団法人私学振興会役員が全く理事者側だけに占められて、多数の教職員の代弁者が一人も入つていないということは、公立学校共済組合の運営審議会の委員の構成あたりと照らして考えるときに、誠に私は遺憾に存ずる次第でございまして、質疑の段階におきまして、政府委員からそれらについては今後善処するという答弁があつたわけでございますが、その答弁を忘れることなく実現することを強く要望する次第でございます。  以上三点を要望いたしまして、この法案に賛成するものでございますが、法の運営よろしきを得て、現在苦境にあるところ私立学校教育はいよいよ振興することを多く期待いたしまして、私の賛成討論を終る次第でございます。
  181. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 緑風会も本案に賛成いたします。  由来私学が我が国の教育面に非常な貢献をしたことは申すまでもないのであります。又将来私学に期待するところが非常に大きいのであります。ところが戦後私学の信を往々にして疑われる向きもあるので、経営上その他の面において非常に困難を感じているのではないかと思われるのであります。将来の期待に答えて、当然政府が何らかの措置をしなければならん面が多いのでありまするが、種々の事情で困難であることは、よくこの事情はわかるのであります。幸い遅ればせながらこの法案が出たということは非常に私学振興のために喜ばしいことでありまするが、その肝腎の資金の面において、露骨に申しまするならば、ないよりあつたほうがましだという現状の程度では我々は甚だ寒心に堪えないのでありまして、政府におきましては、次年度以降において、委員会において論議されたようなまあ希望をお聞き頂いたことと思いますが、その希望に十分に副つて資金の面に努力して頂きたいことと、なお役員その他評議員の面において、委員会で論議せられた点は十分御了得頂いたことと思いますので、その点十分お考え頂いて万遺漏なきを期せられんことを希望いたしまして賛成いたします。
  182. 加納金助

    加納金助君 私は自由党を代表いたしまして、本案に賛成の意を表するものであります。  窮乏に悩む私学は、本法案によつてどのくらい私学経営者及び私学教職員が喜んでいることか測り知ることができないのであります。これを私学のために喜ぶばかりでなくして、日本の教育の上に誠に慶賀に堪えません。ともすれば消極的の文部省が、この法案をいわゆる立法措置をとつて強く私学の味方をしてくれたということに対しましては、文部当局に対しまして私どもは深く敬意を表します。本案が折角できましても、これが本当にその意義をあらしめ、私学及び同教職員がこの慈雨に潤うや否やはかかつて資金の問題と、これが運営に当るところ役員の構成であります。この二点につきましては、他党の皆さんから強く力説されたのでありまして、ここに再び申上げる必要はありません。どうかこの資金も補正予算なり、或いは来年度におきましては、十分委員会の論議のときに述べられたように、文部当局が一つ強く容れられまして御考慮を願いたい。なお且つ委員に当るところのものは、私学振興であるが故に、私学を最も理解し得るところのものを第一にする、又私学関係者の中から何とか多くの役員を選んで、万遺憾のないようにこれが運営をされんことを切に希望いたします。  他は省略いたしまして、以上の二点を加え、これに賛成を表するものであります。
  183. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 他に御発言はございませんか……。御意見も尽きたようでありますから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 御異議ないと認めます。それではこれより採択に入ります……。
  185. 高田なほ子

    高田なほ子君 委員長要望いたします。我が党が修正案を出しました理由については、特に委員長並びに理事のかたも、理事会においてこれをお認めになられだのでございます。でき得べくんばそれの修正まで実は持つて行きたいという希望を非常に強く出したのでございますが、一日も早く本法案を通過させるためには、相当の時日もあることであるから、委員長においてもこの修正案の精神については善処する旨のお話がございました。どうか委員長におかれましては、この修正案を出しました私どもの精神が実現できますように、特に委員長さんにもこの点の御努力要望いたすわけでございます。これは委員長に対する要望でございます。
  186. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 了承いたしました。  私立学校振興会法案を議題といたします。本案を可決することに賛成のかたの御起立を願います。    〔賛成者起立〕
  187. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 全会一致でございます。よつて私立学校振興会法案は全会一致を以て可決することに決定いたしました。  本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を付することになつておりますから、本法案を可決することに賛成されたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     加納 金助  高田なほ子     川村 松助  木村 守江     草葉 隆圓  安井  謙     黒川 武雄  白波瀬米吉     堀越 儀郎  山本 勇造     荒木正三郎  相馬 助治     矢嶋 三義
  188. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならんことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑、応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することといたしまして御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 御異議ないと認めます。  本日はこれを以て散会いたします。    午後三時四十二分散会