○相馬助治君 私、
近藤局長に一点だけ伺いたいと思います。先ず
私立学校の現在の
状況から見て一番問題であることは
経営上財政の問題をどうするかということだと思うのです。
従つてこの
私立学校振興会というこの
法案を作ろうとする意図も、そういう
意味で財政的な面について時宜に適したようにこれをカバーしてやることだと、こういうふうに
考えているわけであります。そういう基本的な
立場に立つて第五條を見ますと非常にこれは彈力性のある
條文に
なつております。で、この彈力性のある
條文というものは、国の財政がゆたかであつてそうしてその時々に応じて
振興会側の意思というものが十分にくまれる可能性に立つ場合においては、彈力性のある
條項というものがよろしいということは、これは異論のないところです。ところが国の財政というものが極めて窮迫している現在においては、彈力性のある
條文というものは結果的には
私立学校側に
とつて不利な結果を生むということは、幾つかの他の法律がこれを教訓として教えていると思うのです。そこで私は尋ねたいのですが、一体第五條のような規定によつて将来必要な
政府出資を十分に期待できるかどうかということが第一点。それを細かくいたしまして、第五條の後段に示された第三項の規定により出資された債権の額に相当する云々の、この債権の額というものが、どういうふうに具体的には計数的に計上するかということになりますと、これは必ずしも
振興会が計上したものを
政府側がこれをその
通りに認めるかどうかということについて多くの問題をはらんでいると思うのです。それは具体的に言うまでもなく、この債権の額というこの中には極めて不良なるものもありまするし、完全に回収されるものもあるというような
意味でそういうことが予定されます。
従つてそれらの関連においてこの五條の五項か完全に本規定によつて生きて来るかどうか、即ち具体的に言いまするならば、こういう彈力性のある規定が、むしろ
私学振興会が出発して
業務を遂行する場合に邪魔になる段階が来はせんか、こういうことについての見通し。並びに第五條を起草された
立場からこれに連関しての御意見、これを総合的に承わりたいと存じます。この問題が私はこの本
法案の最も基本的の問題と思うのです。他にいくら名文を並べてみたところが、
政府の十分な出資を期待し得ないところの
私学振興会というものが恐らく
意味がないということは多く論を待たんと思います。
従つてこれにつきまして
局長の明快なる御見解をこの際御開陳願いたいと存じます。