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1952-03-18 第13回国会 参議院 文部委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月十八日(火曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梅原 眞隆君    理事            加納 金助君            高田なほ子君    委員            木村 守江君            黒川 武雄君            高良 とみ君            堀越 儀郎君            荒木正三郎君            相馬 助治君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   政府委員    文部省管理局長 近藤 直人君   事務局側    常任委員会專門    員       石丸 敬次君    常任委員会專門    員       竹内 敏夫君   説明員    文部省管理局庶    務課長     福田  繁君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○私立学校振興会法案内閣送付)   —————————————
  2. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) これより文部委員会開きます。  最初私立学校振興会法案質問に入りたいと思いますが、総括質問に関して御発言かたはお願いをいたします。
  3. 高田なほ子

    高田なほ子君 それではこの前第二十二條第三項、つまり私立学校教職員厚生に関する事業内容についてどういう御計画をお立てになつているのかと、それをお伺いしたいということを発言いたしておきましたが、その項についての具体的な計画を御説明願いたいと思います。
  4. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) それでは概要を御説明申上げます。財団法人私学振興会共済事業概要というのをお手許に差上げてあると思いますが、それにつきまして先ず財団法人私学振興会教職員共済事業を專ら行うということを前回申上げたのでございますが、この財団法人私学振興会共済事業のやり方は、現在ありますところの公立学校共済組合のそれに全く同様な様式で考えております。この財団法人私学振興会共済事業事務費全額国庫から補助いたします。昭和二十六年度は約二百万円、昭和二千七年度は約四百八十万円という事務費補助考えております。それから共済事業事業費は、私立学校教職員給與の千分の七〇といたしまして、その負担割合はこれを大学高等学校以下に分けまして、大学教職員は十分の四、学校法人は十分の四、補助金は十分の二、高等学校以下は教職員は同じく十分の四、学校法人も同じく十分の四、補助金も十分の二、かように考えております。それから私立学校教職員共済事業加入率でございますが、これは昭和二十七年度においては二五%程度から逐次増加いたしまして、おおむね昭和二十九年度におきましては八〇%を目途といたしております。なおこの共済事業加入対象となります私立学校教職員の数は約四万人を想定いたしております。なおこの特殊法人私学振興会法の第二十二條の第三項に基きまして、この特殊法人から財団法人私学振興会共済事業に対しましてはできるだけ助成をいたしまして、この共済事業の円滑なる進展に努めたい、かように考えております。  又共済事業に関しまする昭和二十七年度の予算は約八千万円を考えております。その収入といたしましては、先ず学校法人が負担するその学校法人負担金、次に教職員の掛金がございますが、このほかに事務費に関しまする先ほど申上げました国庫補助金、或いはその他の補助金を予定いたしております。支出としましては、これは一般公立学校共済組合のそれと全く同じく保險給付罹災給付休業給付或いは保健施設等考えておりますが、又そのほか若干の事務費といたしまして支出が見込まれる予定でございます。  以上申上げましたのは、財団法人私学振興会共済事業概要でございます。
  5. 高田なほ子

    高田なほ子君 それではお伺いいたしますが、法案の第二十二條第三項の目的を果すために、私学振興会に対してできるだけ助成をする、こういう結論であると思うのですが、そのできるだけということの内容が非常に漠然としておるわけであります。で、私は前回から問題にしておりますのは、教職員共済事業というものについて余り効果を挙げておらなかつた。これは十分にお認めになつておられたようでありますが、それを解決する一つの立法的な措置として今度の法案が出たのでありますけれども、できるだけということになりますと、今までの愚を再び繰返して行くということを非常に私は憂うるのでありますが、具体的には共済事業加入率を挙げておられたのでありますが、それは全教員の二五%きり入つておらない。それを二十九年度に八〇%まで引上げるというような数字を挙げておられるのでありますけれども、然らばなぜ今まで二五%きりこういう大事な共済事業の中に教員加入しておらなかつたのか、その原因を除去するのでなければ、これはやはり一つの数学的なお話にしかならないのであります。その二五%きり入つておらなかつたということは、これは非常にやはり大きな問題点だろうと思うのでありますが、この点についてもう少し詳しくお話をして頂きたいと思います。
  6. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 只今まで私学共済事業につきましては、お説のように余り十分なる考慮がされてなかつたということは、これを認めざるを得ないのでございます。そこでこのたび財団法人私学振興会を設けまして共済事業を積極的に推進いたしたいと考えているのでございます。この財団法人私学振興会共済事業がこれまで振わなかつたと申しますのは、この共済事業につきまして只今まで十分なる計画がなされておらなかつたという点は、我々も十分これを認めざるを得ないのでございます。このたび特殊法人私学振興会を設けましてこの特殊法人におきまして積極的に教職員共済事業をやるということを考えているのでございますが、差当りましては、他の健康保險或い公立学校共済組合に対する事業費の国の補助は、只今のところは困難であるという面に一つ障碍がありましたがために、この私学振興会共済事業が伸展しないという原因があるのではないかと思うのでございます。この問題はただ單に私学振興会共済事業の問題ばかりではありませんので、今後この面につきましては、我々はその障碍の除去に努力いたすつもりでございますが、只今のところでは財団法人私学振興会に対しましてはこの特殊法人から可能な限りの援助をするということで参らざるを得ないのでございます。例えて申しますれば、この第二十二條の第三項に「その施設等について、必要な資金を貸し付け、又は助成を行う」ということがございますが、この「施設等」という面につきまして、今後財団法人私学振興会共済事業援助して参りたいと、かように考えております。
  7. 高田なほ子

    高田なほ子君 私がこういうくどい質問を申上げている意図はよくわかつていらつしやると思うのですが、一将功成つて卒枯るというごとくにこの教職員福利厚生という面が極めて今日私立学校の場合重要な條件に置かれているというのにかかわりませず、その点がまだどうしてもあいまい模糊としている。私の聞き違いかも知れませんが、財団法人私学振興会を今度設けて能う限りこれに援助するという御発言であつたと思うのですが、新しくそういうものを又設けられるのですか、そうじやないのでしよう。
  8. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 財団法人私学振興会はすでに設けてございます。
  9. 高田なほ子

    高田なほ子君 つまりこの去年できた財団法人私学振興会というものを教員共済組織母体として、特殊法人からできる限りの助成をして行く、こういうお建前のように聞いているわけであります。そこで先ほどの私の質問についていささかピントがそれている点があるのです。なぜ共済事業加入している教員が二五%にしか過ぎないのか、つまり現行法でなし得る一つ社会保障の面として規定されているのは、健康保険加入するような問題があるわけでありますが、この健康保險加入の場合に、なぜ私立学校先生がたが必要を認めながらそこに入ることができないか。あなたのほうがおつしやいませんから私のほうから指摘します。今までも職場でこれは全員の二分の一以上の賛成があれば加入申込みができる。ところが現場においてはなかなかその二分の一以上の賛成がない。むしろ反対をしている。結局校長、教頭と古参教員といつたようなものが反対をすればこれはいくら下級の教員が入りたくても入れない。而も経営者の権力が非常に私立学校の場合強いのです。そうして健保加入すれば経営者がその半額を負担しなければならない。つまり経営者がみずから負担するということをきらつて、そうしてこの加入反対の数を強めているというのが職場現状である。こういう訴えはかずかず私ども現場の人から聞いているので、ここに私は空論を言つているのではないのであります。こういうような現状は、これは私立学校振興会法案が私どもの目の前に出て参りまして、私立学校の真実の振興を図るという場合、こういう根本的な問題がさながらベールの中に隠れたように放置されてずるずるとこれが通つて行くということについては、私は誠に遺憾に堪えない点があるので、そういう点を十分にお聞きしたいと考えておつたのです。まだまだいささか要領を得ないのでありますが。  そこでお伺いしたいことは、この財団法人私学振興会なるものの役員であります。この役員というのは、一体どういうふうにしてこれはさまつて来たのですか。又そのきめ方はどういうようにしてこれがきまつているのでしようか。これが母体となるお話でありますからこの点を十分に伺つておきたい。
  10. 福田繁

    説明員福田繁君) 財団法人私学振興会役員のきめ方についてのお尋ねでありますが、財団法人私学振興会は、そもそも私学総連会におきまして設置いろいろ準備をいたしまして、総連合の代表のかたが設置の申請をされて、それに対して文部大臣が認可したというような関係なつております。従つてこの財団法人役員につきましては、かなりの部分をその私学連合のいろいろな推せんされた人の中から財団法人役員をとるというふうなことになつているわけであります。
  11. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういう経路をたどつておりましても、なお且つ運営の面において先ほどからいささか指摘しておるような不備な面があるとすれば、これは文部省のほうで何か考えて手を打つてはおらないのでしようか。
  12. 福田繁

    説明員福田繁君) 只今御指摘の点は、各地方におきまして私学教職員のかたがたが健康保険等に入れない理由ということについてお述べになつたのでありますが、私どもの聞いております、或いは実際に当つてみます事実は、相当この私立学校先生がた給與平均が低いのでありまして、一般の標準より低いために健康保險加入できないというような状況なつております。なぜかと申しますと、健康保險につきましては厚生大臣の許可が要りますので、非常に低いものについては成るべく許可しないというような方針厚生省でとつているようでございます。従つて、そうした学校先生がた健康保險に入れないというような現状なつております。そこで、この先生がた福利厚生なり或いは又俸給の引上げというようなそういつた点については、どうしても学校経営自体がよくならなければなりませんので、従つてそうした先生がた待遇向上といつたような点については、どうしてもその経営自体向上させるということが先決問題であろうと考えております。従つて、この法案におきまして、先ずそうした学校法人に対して貸付なり援助をいたしまして、そうした面から先ず改善して参りまして、それと併せて先生がた福利厚生事業に対しても援助する、こういうような方向でこの案を立案いたしたのでありまして、文部省としてはそういつた方向先生がた福利厚生なり、或いは学校法人経営向上或いは合理化というようなものを図つて参りたいと、こういうように考えている次第でございます。
  13. 高田なほ子

    高田なほ子君 成るほど、健保加入できない一つ原因としてそういうことは、この前の質問でも十分にあなたも認めて私も又これを指摘しております。そうだとすると、この二十二條第三項をいかすためには、やはり今までの運営の面において相当考慮しなければならないというようなことを十分にお考えなつておつたと思うのでありますが、この間の質問助成金内容戰災復貸付、それから教員待遇改善、それから研究助成というような面におかれているというようなお話でありましたが、その研究助成というような面、或いは待遇改善というような面、そういうような面は、一体この二十二條の一項、二項、三項ありますが、そのどの項でもつて取扱うのですか。この間研究費や何か全部教員の手には入らんというような訴えがあるということを言つてつたのですが、そうするとそういうのはどこで解決して行くか。
  14. 福田繁

    説明員福田繁君) 先生の研修なり或いは福利厚生といつたような、私立学校教育振興のために必要な事業を行うものに対しまして、必要な資金を貸付け助成を行うというような工合に三項は書いてございます。従つてこの二十二條條文から申しまして、今申されたような先生がたのそうした待遇福利向上ということはこの條項によつて援助して行くという趣旨でございます。
  15. 高田なほ子

    高田なほ子君 最後に大ざつぱにお伺いいたしますが、つまり早い話が、この財団法人私学振興会というものの、これはそのままそつくり、ただ特殊法人となるためにこういつたような法案が出されたように私には思われてならないのですが、まさかそういう意味じやないでしようね、どうなんですか。一般法人では都合惡いから、特殊法人にしたほうが都合がいいからこういう立法的な措置をとつたのだというように考えられる。この考えはどうなんですか、間違つていますか。
  16. 福田繁

    説明員福田繁君) この前局長から申されたように、当初財団法人私学振興会におきましては、そうした共済事業以外の事業もやり得るように、かなり業務範囲を広く考えております。併しながらこの特殊法人ができました曉は、財団法人私学振興会というものを切換えまして、共済事業のみ專ら行うという団体にして、いろいろそれに必要な改組を行うということを局長が申されたのでありまして、そうした方向でその法人としての事業を継続して頂きたいと考えております。
  17. 高田なほ子

    高田なほ子君 それならなぜこの財団法人私学振興会というものを全部解消して、そうして第二十二條のこの三つの業務を行うために新たな構想を立てられなかつたのか、こういうものを通すなら新しい出発をして、こういうとかくの因縁のあるようなものは解散して差支えないのじやないのですか。なぜこれを残さなければならん、なぜこれに共済事業だけをやらせなければならないか、その明確な理由一つ伺いたい。
  18. 福田繁

    説明員福田繁君) その辺につきましては、私どもの多少の見込違いもありますけれども大蔵省方面のいろいろな予算上の問題もございまして、本当ならばそうした、全然解消しまして新らしい財団法人というもので共済組合としてやつて行くということも、これは一つ方法としてできないことはないと思います。併しながらその財団法人につきましては、若干の基金等もすでに私立学校関係者からきよ出されております。せつかくある財団法人でございますので、そういう共済事業のみを行う財団法人の切換えるのが先ず穏当ではあるまいか、そういうような考え方からしまして共済事業財団法人に切換えた、そういうことを考えている次第でございます。
  19. 高田なほ子

    高田なほ子君 大蔵省予算上の問題もありますのでというのですが、何か予算を取る場合にこういうものが話題に上つたのですが。これがなければどうこうといつたようなものがあつたのですか。私学振興に対する大蔵省との財政的な交渉ですね、そういう過程においてこういうものがなんで問題になつたのですか。これがなければ金でもくれないというような話でもあるのですか。そこらの一つ関係を明確に言つて下さい。
  20. 福田繁

    説明員福田繁君) この共済事業につきましては、すでに申上げましたように、二十六年度の予算におきまして事務費補助として政府としては二百八十万円の補助金を計上いたしております。そうした関係上二十六年度の後半におきまして、この共済事業というものを当然やり得るわけであります。ところが文部省といたしましては、まあ事務費補助だけでなしにできればもつと広い範囲助成というものを行いたいというような趣旨から大蔵省その他と折衝して参つたのでありますが、結局そうした広い助成というものは政府として直接にはやることができないというような関係からいたしましてだめになつたのでありますが、そうしたいろいろな予算の折衝なり惑いはいろいろな事業を始めます際におきまして、文部省としては先ずその母体となる受入体制を作ることが前提だという工合考えたのでございまして、そうした意味で先ず共済事業補助金事務費だけでもございますので、それから始めて行くこういうような考え方から昨年の暮にこの財団法人を認可したわけであります。
  21. 高田なほ子

    高田なほ子君 どうも私はわからないですがね。あれなんでしよう、助成を直接やることができないから、つまり共済や何かのほうに助成を直接国から出すということができないから、私立学校振興会という特殊法人を法律としてこれは通そうというのじやないですか。そうだとしたならば私はこの第二十二條の第三項を掲げたことがむしろおかしいと思うのです。この第三項を掲げた以上は、やはり新たな発足としてもう少し問題の内容解決がされなければならないと思うのでありますが、これは私の意見になります。大変に先般から私は執ような質問を繰返しているのですが、これは決して文部省を攻め立ててどうこうという気持ちは毛頭ないのです。先ほどからよくおわかりのように、私立学校教職員の置かれている立場、実にこれは給與平均数字においても実に低い、そうして社会保障制度にもそのために浴し得ない、而も恩給は例を見ざるような冷遇の状態に置かれている。私立学校を真におこすものは私は理事者の独断的な行動や考えではないと思う。経営者をよろこばせることが私立学校をよくすることだとは決して考えません。私立学校を本当に盛り立てて行くものこそ直接子供たちの指導の任に当る私は教員の問題だと思う。そういう考え方からこの私立学校振興会が発足することを私は非常に期待を持つたわけなんです。けれどもいろいろ御質問申上げて行きますれば、この共済方面については誠に儀礼的な内容にさえも考えられて甚だしく心細く思うわけであります。こういうようなことではこの法案の真の精神が生きることではありませんので、今後若し仮に財団法人私学振興会教員共済面に対してあらゆる努力をし、又特殊法人私学振興会もあなたの言うごとくにできるだけという、そのできるだけということはお余りをそつちへ流すというような、そういうばかげた今まで通り考え方でできるだけ助成をするなどということでは、これは了承しかねるので、やはり全部の予算の中から福利厚生の面についてどのくらいのものをやる、どのくらいのものを助成して行かなければこの問題は解決しないのだというような基本的な方針を立てて頂かなければ、どうしても私の疑義、私の憂えていることは解消しそうにもないのであります。  最後にこういう私の考えていること、これがこの私立学校振興会法案を通過させることによつて解決への見通しがつく、今までよりはぐつと改善されるという確信を私はお伺いをいたしまして一般質問を終りたいと思うのであります。どうぞその確信のほどを聞かせて頂きたいと思います。
  22. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 高田委員の御質問趣旨はよくわかりました。この特殊法人私学振興会を作りましたゆえんのものも一にその点にあると思うのであります。今日私学がどういう現状にあるか。それは今更申上げるまでもないのでありまして、我々といたしましては是非この私学の基礎を強固にいたし、延いては関係教職員共済というものもますます強化するという方向考えたいと思うのでございます。それがために先ず私学経営に必要な資金貸付けまして私学の円滑なる発展というものをとにかく考えなければいかん。それによつて私学は多少なりともゆとりができますれば、その他いろいろの事業につきましても又進んで着手できるというふうにも考えております。併しながら今日私学関係教職員共済ということは誠に焦眉の急でありますので、この面につきましては私学経営が十分に成り立つたらその次に考えるということでなしに、相並行いたしましてこの共済事業につきましても十分考えて行きたい。いずれこれは特殊法人役員が決定いたしましてそこで事業方法につきまして具体的にきめられることと考えるのでございますが、少くとも我々といたしましては相共に並行してこの問題を解決するというふうに考えております。
  23. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 他に総括質問がありませんか。
  24. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この前局長にお伺いした点を今日プリントで頂いたのでありますが、この学生生活費のこのデータは、この程度生活費学生はやつているのですかね。更にこの私立学校戰災復状況調べ私立学校戰災復旧率が八七%、こういう調査は如何なるルートを通して集計されたものかですね。更にこの前もお伺いしました私立学校教職員のベースというものは、平均して公立学校教職員のべースの何%程度なつているか。それらに関する資料に対する簡單なる説明と、更に私立学校教育を全般的に振興させる立場から、この前局長が答弁された大体資金を三十億円ぐらいはほしい、それでできるのだとまあ答弁された。それに対する根拠と申しますか、そう詳しくとは申しませんけれどもそれに対する御答弁をお願いしておいたのですが、今日改めて御答弁して頂きたい。
  25. 福田繁

    説明員福田繁君) 資料についてでございますが、この学生生活費につきまして最近の調査がございませんで大変恐縮いたしております。少し古くて二十五年の三月でございますが、これは学生生活課で調べましたものでございまして、これを見ましても国・公・私立学生につきまして、これは大学生でありますが、かなり開きのあることがわかります。現在はもつと高い生活費がかかつていると思いますが、やはりそれにいたしましても私立関係が若干開きがあると考えておりますが、数字は具体的に持合せておりませんのでどうぞ御了承願いたいと思います。  それから戰災復状況調べでございますが、これは文部省戰災学校大学八十二校、高・中学校二百九十二校につきまして台帳を持つておりまして、いくら罹災を受け、その中で毎年どれだけ復旧して行つているかというような資料を元にいたしまして集計したものであります。各学校から毎年戰災復旧費貸付を要求いたします際に、その前年度までの復旧状況、それから今後の新らしい年度の計画といつたようなものを併せて出しておりますので、それを個々に調べまして集計いたしたのがこういう復旧率になるわけでございます。  それから教職員給與につきましてはこの前申上げたように記憶いたしておりますが、なお必要であれば資料として差上げてもよろしうございます。
  26. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 何%ぐらいになつているの。
  27. 福田繁

    説明員福田繁君) パーセンドで申上げなかつたのですが、大体各学校種類別給與月額を申上げたと思いますが、もう一回申上げましようか。
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いや、その金額はよろしい。金額でなくて全般的にいつて、国立とか公立はべースがきまつているのですが、私立学校で最高のところは国立公立に対して何%ぐらいなところへ行つている、ごく安いところでは何%ぐらいで、平均してはどの程度だという概略をつかみたいわけです。
  29. 福田繁

    説明員福田繁君) それは後ほどお答えいたしますが、それに続きましてこの振興会資本金の問題でありますが、局長が申されましたのは結局当面の一応の目標になる資本金というような趣旨で申上げたのではないかと考えます。最初文部省といたしましてはこの振興会を設立するにつきまして大体再建出資を併せまして約三十億という要求をいたしたのであります。従つて再建が十七億ばかりありますので約十三億弱というような平均出資になるわけでありますが、これはこの前申上げたかと思いますけれども、今後学制改革等に伴いまして私立学校におきまして必要とする資金はどのくらいであるかというようなことをざつと推計してみたことがございます。それによりますと、必ずしも正確とは申せませんけれども、相当ぼう大な資金が必要なような状態になつておりまして、私どもとしては少くとも今後数年間に数十億の資金が要るんじやあるまいかというような推定をいたしました。それから又昭和二十五年の初めでありましたか、私立学校関係の団体におきまして各学校資金の需要額、それは一切の設備、施設その他の資金を含むわけでありますが、その需要額といたしまして出て参りましたのは大体百億を若干こえるような数字でございました。従つてそういつたものから考えてみますと、相当大きな資金がこれに必要だということはこれは申すまでもないことであります。併しながら文部省としては一応当面の目標としては二十五年度の各学校から出されました決算報告に基きますと、大体全国の私立学校におきまして決算報告に現われました借入金というものは約七億ございます。これは一年間の収入支出を差引きました本当の決算の借入金でございますので、年間に必要とする動態的な資金があるわけでありまして、年間の資金を約それに近いものと考えますと、大体十三億程度のものが私立学校として一応考えられるのじやあるまいかというようなことからいたしまして、当面の第一の応急の目標としまして、三十億というようなことを考えたのでありまして、将来としましてはこれはますます資金を多額に増額しなければ、すべての要求を満足させるわけには参らないという工合考えております。このことにつきましてはこの前も局長から将来機会あるごとに資本金の増加に努めて行きたいというように申されたわけであります。
  30. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 只今の御答弁で一応話がわかつたようでありますが、更にお伺いいたしたい点は、私立学校戰災復旧が八七%と、これは殆んど貸付金でやられていると思うのでございますが、そうなりますと、今度の資本金の二十一億四千万円のうち現金出資が僅か三億九千万円で、あとは全部貸付金の回収となつているわけでありまして、その貸付金の回収というものがなければこの振興会法のねらつている事業というものは行い得ないでありましようし、この回収というものが又度を過ぎるというとかえつて私立学校を苦境に陷れるのではないかと思うのでございますが、現在の回収状況並びに見通しそれが一点。  それから次にお伺いいたしたい点は、私立学校といえどもこれは公共性の立場から考えたならば、国立であろうが、或いは公立であろうが差異ないと思うのでありますが、先日もお伺いしましたように、私立学校の教育機関というものが特別な一部持てる階級の占有物になろうとしていると、非常に懸念されるわけであります。その立場から私立学校学生諸君の生活費国立公立に比べてこのデータによると相当高いようでございますが、伝えられるところによりますと、日本育英会の貸付金のごときも私立学校の生徒が非常に少いということを聞いているのでございます。そういう日本育英会の貸付金のほうで或いは官と私の差別を付けているのじやないかというような懸念なきを得ないのでありますが、そういう点。その二点を先ずお伺いしたいと思います。
  31. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 初めの御質問は、私立学校に対する戰災復旧費等の貸付金の状況、償還の状況ということかと考えますが、その面につきましては只今のところでは昭和二十七年度に約百二十七万の歳入、元利の償還があるというふうに考えております。前回いろいろお話が出ましたように、必ずしも全額が償還されるとは考えておりませんが。
  32. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その予定の何%ですか。
  33. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 十七億五千万円に対しまして二十七年度が百二十七万かえるという予定であります。それから昭和二十八年度になりますと八百二十七万、それから昭和二十九年度では三千二百四十七万、それから三十年度になりますと四千百三万、それから三十一年度が五千九百九十七万、それで昭和三十二年度になりまして一億一千九百七十九万、大体あとはこの額がずつと毎年継続して一億一千九百七十九万というものが入る計算になります。従つて一応これは予定でございますので、予定が全部その通りに行きますか、これはいろいろ見解もございますが、一応我々といたしましてはかように元利が償還されるというふうに考えております。  それから第二点の私立学校の生徒に対しまして育英会の貸付金が非常に少いがどうかという御意見でございますが、詳細につきましてはなお調査いたしましてお答え申上げたいと思いますが、育英会の考え方といたしまして決して官公私の区別はないと考えております。実際のいろいろ條件によりまして公平に貸付の考慮をしているというふうに考えております。
  34. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次にお伺いいたしたい点は、先ほど高田委員質問に対してあなたは、この法案私立学校の教育を振興する立場から、私立学校経営のための助成と、それから私立学校の職員の共済事業に対するところの助成と並行に対等でやつて行くのを基本方針としている。こういうふうに言明されましたが、私は後日のためにここに改めて伺つておきますが、相違ありませんね。
  35. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 私は振興会事業といたしまして、私立学校経営のために必要な資金貸付け、又教職員福利厚生、研修のために助成をするということが並行して行われるべきであると考えております。
  36. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたは並行といいますけれども、もう少し突込んでおきたいのですが、それでは経営のための金を出す、教職員福利厚生共済事業の面に金を出す、これもまあ並行だと思いますが、具体的に伺いますが、財団法人私学振興会概要というプリントを頂きました、その数字の第五のところに、特別法人私立学校振興会からの助成は、共済事業に重点をおいて行う予定である、こういうふうに書かれております。この財団法人私学振興会への特別法人私立学校振興会からの助成、それがあつた場合は共済事業に重点的におかれるというのはわかるのでございますが、この特別法人私立学校振興会への助成ですね、これはやはり振興会から財団法人への助成も重点的にやられますか。私は先ほどからの発言をそういうふうにとつているのでございますが差支えございませんね。
  37. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 特別法人私立学校振興会経営のために必要な金を貸付ける、それと並行いたしまして私立学校教職員共済福利厚生事業のために助成をするということが並行して行われるということを私は申上げました。而して私立学校教職員福利厚生事業のために助成が行われる場合には、この共済事業のために重点をおくという意味であります。
  38. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それはわかつているのです。私がお伺いしているのは特別法人私立学校振興会から、財団法人私学振興会助成がなされるわけですね、その助成は全部のワクの具体的に言うならば何%程度、言葉で言えば重点、ウエイトのかけかたですね、それを具体的に私は伺つているのです。学校経営のほうに九五%金を廻して、そして財団法人私学振興会のほうへ五%、これでもあなたの言葉で以てすれば並行したと、こういうふうに私も解釈できると思いますが、そこに私ははつきりしない点があるので、立案者としてはどういう見解を持たれているのかお伺いしているのです。先ほどから私立学校教職員のべースが低いとか、或いは勤労條件が不十分なために十分の教育ができないということが縷々この前から述べられたことですが、これを解決するために具体的にどういう構想を立てておられるかということを私は数的に承わつているわけなんです。
  39. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 財団法人私学振興会共済事業は、お手許の共済事業概要にございますように、一応負担区分が決定いたしておりますので、その負担区分に応じた先ず助成特殊法人私立学校振興会から考えております。
  40. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではもう少し具体的に突込んでお伺いいたしたいのですが、それはこの財団法人私学振興会共済事業概要にあるこれがねらつているところの内容と、公立学校教職員共済組合、あれの比較ですね、例えば掛金、負担金の比較、給與の比較、それはどの程度なつているか、概略の百分比で答弁願いたい。
  41. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 前回公立学校共済組合の給付内容とほぼ同様であるということを申上げましたが、これをやや具体的に申上げますと、公立学校共済組合保險給付等の療養の場合は全部全く同じでございます。初診料とか或いは支給期間、そういつたものは全部同じに考えております。それから療養費の給付でございますが、この点につきましても全く同じに考えております。それからその他罹災給付休業給付、被扶養者の保險給付等がございますが、ほぼ公立学校共済組合と同じ仕組に考えております。
  42. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は両方の案を十分検討しておりませんので一応そのお言葉は承わつておきますが、それでは公共学校教職員共済組合加入率は一〇〇%ですね。このあなたから頂いた事業概要によりますと、昭和二十九年度、明後年度における目標を八〇%としてあるわけです。どういうわけでこの八〇%という数字を出されたのですか、それが一点と。  それからお伺いいたしたい点は、この共済事業概要にのつとつてやると言われますが、やられた場合にこれを助成するところの金額と、それから二十三條の第一項で私立学校経営に出されるところの金額との比率は大よそ何対何と計算されておられるのか、それを承わりたい。
  43. 福田繁

    説明員福田繁君) 先ほどの御質問に少し補足いたしたいと思いますが、健康保險、それから公立学校共済組合、それから私学振興会共済事業といつたものの比較をいたしますと、本人負担の割合でありますが、健康保險におきましては、大体標準報酬の千分の三十というものを本人が掛金としてやつております。それから公立学校共済組合につきましては千分の二十九、それからこの私立学校共済事業につきましては千分の二十八、やや低く計算いたしておりまして、できるだけ本人負担を軽減したいという計画の下に進められております。そのことを申上げておきたいと思いますが、ただ公立学校共済組合におきましては強制加入の建前をとつておりますので、この財団法人私学振興会共済事業と一様に論ずるわけには参らない思いますが、この財団法人私学振興会としてはできるだけたくさんの先生がた加入することを希望いたしておりますけれども、現在のところ大体一万一千人程度加入者がございます。従つてこの趣旨が普及徹底いたしますとだんだんに殖えて参ると思いますが、こうした団体としては強制加入でこれをやつて行くということは無理だろうと考えます。従つて任意加入としてできるだけたくさんの先生がた加入さして行くということを目標にして事業を開始いたしているわけであります。
  44. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その金額の比率はどのくらいに考えているの。
  45. 福田繁

    説明員福田繁君) これは金額の比率と申しましても、結局この特殊法人から助成すべき大部分といたしましては、共済事業のこうした区分が一応きまつておりますので、これに基いた事業費が大体八千万円なら八千万円といつたものについて、それに負担率を掛けた程度のもの、それに相当する程度のものを一応助成して行くというようなことになろうと考えております。
  46. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 組合員は強制加入でなくて任意加入、勿論そうでありますが、これは内容は非常にいいということになれば、そう宣伝しなくても私は強制加入みたいに一〇〇%近くなつて来ると思うんです。そういう方向に今後進んで行つてもらわなくちやならんと思いますが、更に先ほど局長の答弁で並行的にやると言うと非常に言葉はきれいなようでございますが、実質的には予算の使えるところの率というものは、これでは教職員共済組合に廻される金というものはやはり微々たるもののように私は看取されます。それらにつきましては又意見になりますので後日に廻したいと思います。  そこでこれと関連ある問題としまして、財団法人私学振興会でやるわけでございますが、先ほどの答弁によると、この運営に当られるところの役員のかたは私学総連の御推せんに基くものである、こういう御答弁でございますが、そうだとすれば私立学校教職員共済事業を国庫からの若干の助成を受けてやるところの、この事業運営するところの役員は殆んど理事者側だけで占められて、一般私立学校教職員は入つていないんじやないか、こういうふうに私は考えるんですが、内容はどうなつておりますか。若しも理事者側で多数役員を占めている場合に、果してそういう役員構成が適当とお考えになられるかどうか、それらに対する御見解を伺いたい。
  47. 福田繁

    説明員福田繁君) 財団法人私学振興会は、先ほど申上げましたように私学連合におきましてこれを準備したというような関係上、その総連合のさん下に入つております各私学団体が代表を送つたような形になつております。従つて現在の財団法人私学振興会におきましては、お説のように割合に教員は少いように思います。併しながら当初いろいろな事業考えておりましたので、今回のこの特殊法人私立学校振興会というものが発足いたしますと、先ほど申しましたように共済事業のみをやる財団法人に切り換る予定でございますので、そのときにこの役員、評議員といつたようなものにつきましてはもう一度再検討される予定になつております。
  48. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その再検討される予定というのはやはり何ですか、文部大臣が指導権を持たれるのでございますか。そういう方面どうなつておりますか。
  49. 福田繁

    説明員福田繁君) 文部大臣が指導権を持つているというわけではございませんが、文部省としては、できるだけ適当なかたが入つて、これを運営して頂くということが補助金を出す趣旨からも必要でございますので、実際上の相談はして参りたいと考えております。
  50. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 只今の答弁では、実際上の相談をして、文部省としては、理事者側とそれから一般教職員とから出ているところの役員というものがバランスがとれるようにしたいと、これが文部省の見解であると、こういうふうにまあ了承したわけでございますが、この私立学校振興法におきますところの評議員の任命あたりにつきましても、第二十條でうたわれておりますが、ここに「私立学校関係者のうちから」というような表現をしておりますけれども、これらに対してもやはり同様のお考えであるのか、立案者のこれらに対する御見解を承わつておきたいと思います。
  51. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) この特殊法人私立学校振興会の性格でございますが、やはり何と申しましても、只今のところでは金融機関的な性格が多分にあるというふうに考えておりますので、而もその対象が私立学校であるということになりますと、やはりどういたしましてもその理事者につきましては比較的中立的なかたが適当ではないかというふうに考えられるのでございます。  併しながら、この特殊法人私立学校振興会に対しまして、私学の意見を十分に反映させにやならんということは、これは極めて大事なことでありますので、この評議員の中に私学関係者を加えまして十分その意向が反映できるようにと、かように配慮いたしております。
  52. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは先般私ちよつとお伺いいたしましたけれども私立学校の自主性堅持というような立場から、監督権の問題と又関連して来ますので、更にお伺いするわけですが、私立学校関係者という者の中からも選びたいという、その私立学校関係者ということについてはどういうようにお考えなつているのでございますか。
  53. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 御質問趣旨がはつきりいたしませんが、関係者という意味はどういう意味ございましようか、ちよつともう一度お聞かせ願いたいと思います。
  54. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 例えば理事者を以てそうお考えなつているのか、或いは理事者と更には末端に働いているところの教職員というような者もお考えなつておるのかどうか、それをお伺いするわけなんです。
  55. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 私立学校関係者という意味は広く解釈しておりまして、理事者のみでなしに教職員も当然この中に包含されるものと考えております。要するに真に適材でありますれば考慮したいという気持でございます。
  56. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 中立とか適材とかいうところでぼかしているのですが、私立学校教職員私立学校関係者であるということは、これはもうお伺いするまでもないわけであります。先ほど私が財団法人私学振興会役員の点でもお伺いしたのですが、それで課長のお言葉から文部省方針というものは大体私はうなずけたようなんですが、私がはつきりお伺いいたしたい点は、教職員の中から適任者があるもないも、私はたくさんの教職員がおれば適任者がないということはないと思うのですが、そういう中からやはり任命して、そうして役員構成というようなものを民主的にする決意があるのかどうかということを承わつて、それと関連してついでに承わりたいのですが、私はこの評議員の構成を若しも誤れば、これは一切の運営をやるわけでございますから、その役員会を通じて自由であるべき自主性あるべきところの私学に対して非常に拘束力を持つとか、或いは一つの圧力が加わるとか、そういうような点が運営の面で懸念されるのではないかと思うのですが、そういう立場からも私は特にこれを突込んでお伺いしているわけです。そういう点については立案者として懸念されておらないかどうか。若し懸念ありとするならばそういう懸念を杞憂に終らせるためにはどういうふうにしたらよいとお考えなつておるか、という点を併せて御答弁願いたい。
  57. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 評議員に科学関係者を入れる場合に、理事者のみならず教職員も入れるかどうかという御質問でございますが、その点につきましては真にふさわしい人がございますればそれを参加させるという気持でございます。それから評議員に私学関係者を入れましたために事業運営に相当私学の自主性を失うようなインフルーエンスを與えるのではないかという御意向でございますが、その点は私は恐らく杞憂ではないかというふうに考えております。
  58. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私がお伺いしたのは、評議員の構成の適正を得なかつた場合、やはり或る程度助成の権限なんか持つておりますので、私学の自主性を拘束するようなことは懸念されないかというのです。若し懸念されるとあるならば、それに対して評議員の構成なんかについてはどういうようにお考えなつておられるかと、こういうようにお伺いしているのです。私立学校教職員を入れて云々とお伺いしているわけではないのです。
  59. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 評議員の数の問題でございますか、或いは質の問題でございますか、いろいろ内容によつて考え方ができようかと思うのでございますが、要するにそういつた面につきましては、評議員の審議事項は一応第十八條で法定されておりますし、要は運営によりましてそういのような危險はないように考慮されるよではないか、かように考えております。
  60. 相馬助治

    ○相馬助治君 私、近藤局長に一点だけ伺いたいと思います。先ず私立学校の現在の状況から見て一番問題であることは経営上財政の問題をどうするかということだと思うのです。従つてこの私立学校振興会というこの法案を作ろうとする意図も、そういう意味で財政的な面について時宜に適したようにこれをカバーしてやることだと、こういうふうに考えているわけであります。そういう基本的な立場に立つて第五條を見ますと非常にこれは彈力性のある條文なつております。で、この彈力性のある條文というものは、国の財政がゆたかであつてそうしてその時々に応じて振興会側の意思というものが十分にくまれる可能性に立つ場合においては、彈力性のある條項というものがよろしいということは、これは異論のないところです。ところが国の財政というものが極めて窮迫している現在においては、彈力性のある條文というものは結果的には私立学校側にとつて不利な結果を生むということは、幾つかの他の法律がこれを教訓として教えていると思うのです。そこで私は尋ねたいのですが、一体第五條のような規定によつて将来必要な政府出資を十分に期待できるかどうかということが第一点。それを細かくいたしまして、第五條の後段に示された第三項の規定により出資された債権の額に相当する云々の、この債権の額というものが、どういうふうに具体的には計数的に計上するかということになりますと、これは必ずしも振興会が計上したものを政府側がこれをその通りに認めるかどうかということについて多くの問題をはらんでいると思うのです。それは具体的に言うまでもなく、この債権の額というこの中には極めて不良なるものもありまするし、完全に回収されるものもあるというような意味でそういうことが予定されます。従つてそれらの関連においてこの五條の五項か完全に本規定によつて生きて来るかどうか、即ち具体的に言いまするならば、こういう彈力性のある規定が、むしろ私学振興会が出発して業務を遂行する場合に邪魔になる段階が来はせんか、こういうことについての見通し。並びに第五條を起草された立場からこれに連関しての御意見、これを総合的に承わりたいと存じます。この問題が私はこの本法案の最も基本的の問題と思うのです。他にいくら名文を並べてみたところが、政府の十分な出資を期待し得ないところの私学振興会というものが恐らく意味がないということは多く論を待たんと思います。従つてこれにつきまして局長の明快なる御見解をこの際御開陳願いたいと存じます。
  61. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 只今の御質問の御趣旨は、第五條の資本金を増加するということは将来期待できるかどうかということであろうかと思うのでございますが、成るほど現金出資が三億九千万円、あと十七億六千万円というものが債権であるということでは、直ちに使い得る金は結局三億九千万円ということになるわけでございますので、その意味におきましては必ずしも多い金額とは我々も考えておりません。この点につきましては今後あらゆる機会におきまして資本金の増額に努めたいと考えております。併しながら三億九千万円と申しましても、今日まで私立学校戰災復旧の貸付金の状況を見て参りましても、昭和二十一年におきましては僅かに二千四百三十万、一番多い年でも昭和二十三年度に三億五千百七十四万ということでございまして、これも決して多い金額ではございません。併しながら今日までの学校の復旧の状況を見て参りましても、相当の効果を挙げて来ているということを我々は考えるのでございます。金額が少いからと申しまして必ずしも決して無意味のものではないというふうに考えておりますので、只今のところではこの僅かの現金出資でございますが三億九千万円を有効に用いまして、私立学校の困難な現況に何らかの貢献ができるものと確信をいたしております。と申しましても決してこれで満足するものではございません。将来機会あるたびにこの増額につきましては努力いたして参りたい、又増額できるものと考えております。
  62. 相馬助治

    ○相馬助治君 私の申したことが言葉が足らなかつたか或いは表現が不十分であつたか知りませんが、補足して申上げてもう一度お尋ねしたいと思います。三億九千万が少いというようなことは私は申しておりません。それからこの法案ができることが私立学校振興会振興の上に極めてよろしいものであるという只今の御見解も私は同感であります。なお又三億九千万の出資金についても逐次増加すべく文部当局としては努力しているということに対してもこれは当然のことであり、又私たちもそう期待しております。私の聞いているのはそういうことではなくて、この第五條というものが極めて彈力性のある法案であるということを先ず第一に私は言つているのです。そういたしましてこの第四項を見ますると、資本金を増加する場合に先ず文部大臣の許可を受けなくちやならん、このことが一点。それから第五項において予算に定める金額範囲内において云々こういうふうに書いてある。これは法案の建前というよりも、むしろ国の財政規模という面から見れば、私学振興会に與える出資金にしても当然として国の財政の規模の一環において支出されるのですから、こういう法規上の制限のあることを私はいけないと言つているのではない、当然こういう制限があろうということは私どもも予測いたしまするが、私が心配いたしまするのは、私学振興会が出発して業務を遂行する上において先ず必要なものは金である、而もそれが政府からもらう金がどれだけ確保されるかということである、こういう建前に立てば第五條というようなこの規定を以てしてこの目的というものが十分に果し得られるであろうかどうか。私は極めて懸念するが故にそういうことについて立案者側の御意見を徴しているのであつて、私の言わんとするところは、こういうふうな彈力性のある規定というものは国の財政がゆたかな場合にはよろしいが、反対の場合にはむしろ好意的な彈力性というものが逆な面に作用して来る場合が多い、こういう意味でこの第五條の規定は私はどうも十分と考えられないのであるが、これらに対する一連の御見解、並びに見通しを拜聽したい、こう申しているのです。ちよつと速記をとめて下さい。
  63. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  64. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 速記を始めて下さい
  65. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 第五條の点につきまして非常に将来問題があるのじやないかという御質問でございますが、一応只今のところでは現金出資が三億九千万円、それから昭和二十一年以降今日までの貸付金が十七億六千万円でございます、これははつきりいたしました政府貸付金でございますので、この点につきましては成るほど個個具体的の場合になりまするといろいろな問題があろうかと思いますが、一応我々といたしましてはこの債権というものは確実に償還されるというふうに考えておりますので、これを併せて出資いたしまして両方で二十一億五千万円というふうに資本金考えているわけでございます。将来この資本金の額の問題につきましては、先ほど来申しておりますように機会あるごとに政府の出資をふやすというふうに努力して参りたいと思うのでございます。そういう意味でございますので、債権出資の点につきましては多少問題はあろうかと思いますが御了承願いたいと思います。
  66. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 他に総括質問はございませんか。……それでは本日おいでにならないかたの総括質問は次回に讓りましてこれから逐條審議に入りたいと思いますが、ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  67. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それでは速記を始めて下さい。本日おいでにならないかたの総括質問は逐條審議の途中にやつて頂くことにして、これから逐條審議に入ることにいたしますが御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それでは時間がありませんからこれで散会をいたしたいと思いますが、どうでございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それでは散会いたします。    午後零時十三分散会