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1952-03-14 第13回国会 参議院 文部委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月十四日(金曜日)    午後一時五十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梅原 眞隆君    理事            高田なほ子君    委員            川村 松助君            黒川 武雄君            白波瀬米吉君            高橋 道男君            山本 勇造君            荒木正三郎君            棚橋 小虎君            矢嶋 三義君   政府委員    文部省管理局長 近藤 直人君   事務局側    常任委員会專門    員       石丸 敬次君    常任委員会專門    員       竹内 敏夫君   説明員    文部省管理局庶    務課長     福田  繁君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○私立学校振興会法案内閣送付)   —————————————
  2. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) これより文部委員会を開きます。  先ず私立学校振興会法案を取上げます。これに対する総括的の質問をお願いいたします。
  3. 高田なほ子

    高田なほ子君 それではお尋ねをいたします。私立学校振興に関する法案が出て参つたようでありますが、大変結構な目的であると思いますが、今日まで私立学校振興に関しまして、文部省がとつて来られました具体的な方策、これについての概要をお知らせ願いたいと思います。
  4. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 我が国教育のために非常な貢献をいたしておりまする私立学校財政援助する問題は、これは非常に古い問題でございまして、昭和二十一年以来の問題であるのでございます。当時におきましては、大体戰災によりまする経営の打撃を救済する目的を以ちまして、設備復興貸付金並びに戰災復旧貸付金及び経営費貸付金というような名目を以ちまして、只今まで貸付金をいたして参つて来ておるのでございます。その金額がおよそ十七億五千万円に相成つておるのでございます。併しながらかような方法を以ていたしましてはまだ不十分である、何らかこれと並行して、或いはこれに代るような私立学校の救済の方法はないかということでいろいろ検討いたしまて、又私学のほうの非常な要望もございまして、我我といたしましては慎重審議の結果、ここに私学金融金庫というような構想を実は考えたのでございます。この私学金融公庫と申しますのは、経営の困難を極めておりまする私学に対しまして資金の融通を図り、その運営の円滑を期するという目的を持つものでございまして、昭和二十六年度におきまして、たしか約十億円の政府出資というものが閣議決定に相成つた次第でございます。このことにつきましては、各位の十分御了承のことと思うのでございますが、併しながらその閣議決定にもかかわらず、関係方面いろいろ交渉の結果、そういう方法でなしに、これはやはり従来のような戰災復旧貸付金という形式を以てしたほうがよいのではないかというようなことに相成りまして、折角私学金融金庫という構想もそのときは一時流れたのでございます。それに代りまして昭和二十六年度は約九億九千万円という金額を以ちまして、従来通り形式を以て戰災復旧貸付金ということで設備貸付が行われたのでございます。併しながらこの設備復旧と申しましても、それのみを以てしては十分でないという声はやはり依然としてございまして何らかここに金融機関或いは融資の組織考えられなければならんということで、私学方面の熱望もなりますし、又我々といたしまて、いろいろ検討いたしました結果、ここに本日提案になりました特殊法人私立学校振興会私学振興会という構想が生まれたのでございます。  以上が大体今日私学振興会が生れました経過を申上げた次第でございますが、なおこれに関連いたしまして、その出資金といたしまして、昭和二十七年度は二億六千万円という予算が認められたのでございますが、併しながらこれに更に一億三千万円というものが附加されますので、現金出資といたしましては三億九千万円を以てスタートするわけでございます。この一億三千万円と申しますものは、これは昭和二十六年度の貸付金、先ほど申上げました九億九千万円の中の節約額が一億二千万円でございますので、その一億三千万円を流用いたしまして、この金庫の中へ附加いたしまして、ここに三億九千万円という現金出資を以てスタートするわけでございます。なおこれに加えまするに、昭和二十一年以来貸付けておりました十七億五千万円の債権もこれに出資いたしまして、従いまして合計一億五千万円に相成ります。大体そういう出資金を以てスタートすることと相成るのでございます。併しながら初年度の事業といたしましては、先ほど来申上げました三億九千万円を以て事業を開始せざるを得ないのでございます。十七億五千万円のほうにつきましては、その元利の償還が二十七年度の四月から始まりまするので、その面につきましては、今直ちに全額この振興会に利用されるというのではございませんので、そのうち約百二、三十万円という元利金昭和二十七年度の事業資金として加わるわけでございます。  以上簡単に申上げましたが、本日提案いたしておりまする特殊法人私学振興会の生い立ちにつきましては、以上のような経過を持つてつておるのでございます。
  5. 高田なほ子

    高田なほ子君 第二点にお伺いいたしたいことは、二十一年以来私学振興のための財政援助が行われたようでありますが、この場合に文部省としてはどういう団体を対象として来られたのか、又その運営面において遺憾な点はあつたのか、なかつたのか、この二点を伺いたい。
  6. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 従来の貸付金形式でございますが、それは大学から中小学校に及ぶのでございまして、大学につきましては、直接その学校法人に対しまして貸付をする。それから高等学校以下につきましては府県を通じまして貸付をするという形式をとつております。別に問題は今日までないと考えますが、やはり何と申しましても、金額が少ないという声をしばしば我々聞くのでございまして、その面につきましては我々の努力が足りなかつた点を率直に申して参つておるのでございますが、昭和二十一年度におきましては、僅か二千四百三十万、それから二十二年度におきましては一億一千四百万、昭和二十二年度は三億五千百七十四万、二十四年度は一億二千四百三十七万、二十五年度が二億七千五百二十七万、二十六年度、昨年度が先ほど申上げました九億九千万というような額になつておりますが、大体今申上げました金額がそれぞれ戦災復旧貸付金、或いは震災貸付金、或いは風水害貸付金、或いは経営費貸付金、こういうような名目を以てそれぞれ貸付けて参つておるのでございます。
  7. 高田なほ子

    高田なほ子君 大学学校法人直接、高中小府県を通じてというお話でございましたが、これは文部省から直接にそういうふうな経路を通て行くのでなくて、その間の運営面に何らかの機関がタツチしておつたのではないのですか。若しあるとすれば、その団体はどういう一体団体であるのか、その辺をもう少し詳しく……。
  8. 福田繁

    説明員福田繁君) 只今の御質問でございますが、文部省としましては、この戦災復旧貸付金等貸付金が公平に各学校に渡るようにというような考えからいたしまして、発足当時から私立学校関係者を入れました戰災復旧協議会というような協議会を以て、大体の配分方針等を御相談いたしました上で、各学校配分するというような方針をとつて参つたのでございます。又私立学校法が制定されました以後におきましては、大学については私立大学審議会、都道府県所管学校につきましては、地方の私立学校審議会というものにお諮りをしまして、各学校貸付けるというような方針をと  つて来たのでございます。
  9. 高田なほ子

    高田なほ子君 公平にこの財政援助が行われるように戰災復旧協議会というものがその間に介在してやられたと、こういうお話でございますが、洩れ聞くところによれば、公平に分配されなかつたといういろいろは面が挙げられておるのであつて、先ほど局長からの御説明にもあります通りに、戦災復旧施設の完備というような名目に備えるためには余りにも少額な予算であるがために、必然的にそこに分取り競争が行われたというようなことは、前局長久保田氏も十分にこれは御承知なつておるはずであります。この運営面については多々批判があるし、一部の非常に有力な学校が優先的にこれをとる、或いは又この配分に当つて名前もないような学校名前を書いて、そうして無理に配分するといつたような、極めて遺憾な運営方法がとられておつたということをまあ私は聞くのでございますが、これは久保田さんはもうよく御承知の点でございますので、遺憾の点がなかつたというような御答弁にはちよつと納得しかねるものがありますが、まあこれは質問に亘らないので、こういうこともあつたのではないかということを一つ指摘しておきたいと思います。  その次にお伺いしたいことは、戦災設備復旧という面だけではこの私立学校振興ということについては片手落であると思う。私立学校に勤務する教員待遇問題並びに教員福利厚生というような面についても、これは十分に文部省としては手を差し延べて来なければならないと私は思うのであります。そこで念のためお伺いしたいのですが、現在の私立学校教員平均給与と、国立学校並びに中小高等全部含めましてですが、これとの平均給与相違点などについて、先ず私は詳細数字を挙げて知らして頂きたいと思うのであります。
  10. 福田繁

    説明員福田繁君) 只今の御質問は、私立学校教職員平均給与と、国立公立学校先生がた平均給与との差という御質問でございますが、少し資料が古いのでありますが、文部省におきまして、昭和二十五年度の学校法人の決算から調査いたしました結果によりますと、私立学校におきましては、大体大学、四年制の大学、それから短期大学を通じまして、大体俸給は一万ちよつと、一万八百円乃至六百円というようなことになつております。それから高等学校通常課程学校におきましては七千七百五十円程度ということになつております。それから定時制高等学校におきましては五千七百七十円ということになつております。それから中学校におきましては七千四百九十五円、小学校幼稚園におきましては、小学校のほうは八千六百四十円程度幼稚園におきましては七千八百円程度、こういう状況でございます。で、現在におききましては、その後若干の給与ベース等の引上等も行われたと思いますので、若干上つていることと思います。これに対しまして、昭和二十六年の四月に調べました国立公立学校先生がた給与の月額を申しますと、国立大学におきましては、大体教授は二万一千六百円、助教授は一万六千六百七十円程度公立高等学校におきましては一万一千九百円、公立中学校におきましては一万円ちよつと、公立小学校におきましては九千三百円程度公立幼稚園におきましては八千円ちよつとというようなベースなつておるようでございます。で、最近この給与ベースの改訂によりまして、国公立も若干上つているのでございます。大体以上申上げました。
  11. 高田なほ子

    高田なほ子君 今の数字が示すように、極めて私立学校教員待遇は劣悪であると思うのでありますが、これに対しては文部当局としても当然改善の手が差伸べられて来ただろうと思うのでありますが、特にこういう低劣な待遇の下における私立学校教員恩給制度というものについても非常に疑義があるのでありますが、この私立学校恩給に対する補助金といつたようなものについて、文部省は今日までどのような努力をされて来たのか、現在それはどういうふうに解決されつつあるのか、その点を一つ伺いたい。
  12. 福田繁

    説明員福田繁君) 只今の御質問に対しましてお答えいたしますが、私立学校教職員恩給制度につきましては、全く我々としましても遺憾な点がございまして、現状から見まするならば、非常にこういつた制度が不安定な、又極く一部に限られたものしか行われていないということは非常に残念でございますが、大学等におきましては、大きなしつかりした大学におきましては、退職した場合のいろいろな給与その他につきまして、大学みずからの手においてやつておるというような状況でございます。で、大学全般としてそうした恩給制度は現在はございません。それから現在ございますのは、財団法人で以てやつております私立中等学校、現在の高等学校中学校先生がた恩給のものでございまして、全国的な組織としましては、今申しました私立中等学校恩給財団というものがございます。又大きな東京都或いは大阪府、京都府といつたような大きなところにおきましては、それぞれその区域の私立先生がた恩給の中に、そういつた財団法人で以て恩給を支給できるという制度を設けております。併しながら今申しました私立中学校恩給財団現状から申しますならば、全国高等学校中学校先生がたの大体三〇%程度しか加入していない。又支給されております額も非常に微々たるものでございまして、官公立のものに比べますと、非常に遅れているということは現状でございます。こで文部省といたしましては、こういつた面は単に高等学校中学校のみに限らず、広く大学から下は幼稚園に至るまで、すべての私立先生がたにそういつた制度実施したいというようなことで、いろいろ今日まで努力して参つたわけでございます。併しながら現在のところまだその問題は十分に解決されていないというような現状でございます。
  13. 高田なほ子

    高田なほ子君 努力をして来られたというお話でありますが、具体的にどういう努力をして来られたのですか。
  14. 福田繁

    説明員福田繁君) これは恩給制度は、いわゆる共済事業の一環としまして短期給付のものと併せてこれを解決しなければならないのでございます。そこで文部省といたしましては、二十六年度、七年度を通じまして、大蔵省その他にこの予算要求をいたしたわけであります。大体短期給付に要する国庫補助として一億五千万円程度必要ではないかというような計算をいたしまして、又長期給付恩給につきましても、大体官立、公立先生がたと同じ程度恩給を支給するとすれば、ほぼそれに一億数千万円の金が必要だというような点からいたしまして、その予算要求をやつたのでありますが、これは勿論文部省だけでなしに、私立学校先生がた全国要望に応えまして努力してやつたのでございますが、結果から見まして殆んどその予算が通らなかつたというふうになつたのでございます。
  15. 高田なほ子

    高田なほ子君 こういう極めて重要な、而も零細なものが通らなかつたことについて、何か通らなければ通らないあとの條件か何かがそのときに附加えられておつたのか、通らない場合に文部省は何かそこに希望條件といつたようなものを出しておらなかつたのか、その点を伺います。
  16. 福田繁

    説明員福田繁君) 別にその当時の希望條件と申しましてもないのでございまするが要するにこの私立学校先生がた共済制度実施につきましては、これは一般健康保険等関係もありまして、非常にむずかしい問題でございます。そこで文部省としては、将来私立学校先生がたのこうした共済制度実施する上につきまして、今後共一層の努力をしなければならないと考えておりますが、勿論今申しましたように、その点は健康保険等の問題と非常に密接な関係がありますので、その解決と合して行くような方向になるだろうと考えております。
  17. 高田なほ子

    高田なほ子君 共済制度実施努力したいと、こういうお話でありますが、これは誠に結構なことでありますし、又今度新らしく提出されたこの法案にもそういう精神は十分盛られるものと私思つております。次にお尋ねしたいことは、現在の私立学校教員が、現在の現行法で浴し得る社会保障の中では、これは任意加入というようなことになつておるのでありますが、この任意加入について文部省ではどういう一体見解を持つておられるのか。非常にこれも任意加入のものの数が少いのでありますが、なぜそういう重大なものが、少数のものきり入れないかという原因については、相当の私は調査も資料も持つておられるのではないかと思うのであります。ありましたならば、御説明を願いたいと思います。
  18. 福田繁

    説明員福田繁君) 御質問のように、この原因と申しますか、私立学校先生がた共済制度について非常に支障になつている一つの点と申しますのは、先生がた給与一般の場合に比べまして非常に低いということでございます。その点につきましては、先ほど申上げた通りでございまして、健康保険に入りたいというような私立学校はございましても、その地域の一般の場合の標準報酬というようなものに比べますと、かなり隔たりがあるというようなことで、健康保険に加入する上から申しまして、実際に加入できないというような状況なつておるわけであります。文部省としましては、この健康保険に入り得ない私立学校先生がたのために、今日までそういつた共済制度実施についていろいろ研究もいたしましたし、それから又努力もして来たつもりでございます。
  19. 高田なほ子

    高田なほ子君 共済制度の確立のために努力されて来たというお話でありますが、この共済組合法というようなものについて、今度の私立学校振興会法案と切り離して、共済組合法単独に立法するというようなお考えは持つておりませんか。
  20. 福田繁

    説明員福田繁君) これは先ほど申しましたように一般社会保障問題と非常に関連がありますので、その関連において解決しなければならないと考えておりますが、文部省としては、できれば将来そういつた方向に進みたいという考えを持つております。
  21. 高田なほ子

    高田なほ子君 もう一点お伺いしたいのでありますが、従来まで私立学校に対して差伸べられて来た助成金、この助成金のいろいろの内容は、まあ戦災復旧というような形ではあるかも知れませんが、それだけではないだろうと思うのでありますが、その内容について分類別を成るべく詳細に知らしてほしいと思います。
  22. 福田繁

    説明員福田繁君) 昭和二十一年度以降、即ち終戰後以降、文部省私立学校助成として出しました金は戦災復旧のための貸付金でございます。これが一番大きいのですが、それと福井の震災の際の震災復旧貸付金、それから風水害のために破壊されました校舎等復旧のための貸付金、ここは例えばジエーン台風とか先だつてルース台風とかいつたような場合の貸付金でございます。それからそのほかに経営費貸付金というのがございます。以上申上げました四つでございます。
  23. 高田なほ子

    高田なほ子君 この中には別に教員待遇改善費といつたようなもの、或いは研究助成費というようなものは入つておらないのでございますか、全然なしですか。
  24. 福田繁

    説明員福田繁君) 申落しましたが、その貸付金以外に、さつき申しました私立中等学校恩給財団につきましては、年々二百万円程度補助金を出しております。それから又私立学校教職員共済事業、特に短期給付事業につきまして、事務費補助として本年度二百八万円ばかり、それから来年度予算におきましても四百八十一万円程度事務費補助を計上されております。それから研究費等につきましては、これはむしろ管理局所管ではございませんが、科学研究費の中に私立学校先生がた研究費として含まれておるわけでございます。
  25. 高田なほ子

    高田なほ子君 つまりこの助成金の内訳は、今の御説明通りであると思うのですが、別にこれは助成金を分配するときに、かくかくしかじかというような名目を付けてお渡しをするというわけではないのですね。
  26. 福田繁

    説明員福田繁君) それは戰災復旧貸付金戰災復旧のために使われるという趣旨のものでございますので、それは費途をはつきりして貸付けております。
  27. 高田なほ子

    高田なほ子君 戦災復旧のようなものは目に見えておりますから、そういうことがあろかも知れませんが、漏れ聞くところによると、約二千万円の研究助成費といつたようなものの費用がどこへ行つたかわけがわからない。殆んどこれは先生がた研究助成方向に廻つておらないというようなのが実情ではないかと思います。ここにやはり今後の運営面が大きく取上げられなければならない問題が出て来ておると思うのでありますが、こういう点についての文部省の御見解はどうでございますか。これは幾多の資料を私は持つておる。多くの先生がたから不満の声が出ておる。
  28. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 只今のは科学研究費の点であろうかと思うのでございますが、その点につきましては、なお所管の部局にもよくお話しいたしまして、後刻改めまして御答弁を申上げたいと思います。
  29. 高田なほ子

    高田なほ子君 最後にもう一点お伺いしたいことは、昨年の暮に結成されたと言われる財団法人私学振興会と今度の私立学校振興会との関連についてお伺いしたい。
  30. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 財団法人私学振興会につきましては、当初やはり私学側の強い要望もあり、又我々もさように考えたのでございますが、何らかここに急速に一つ機関を作りまして、私学経営援助及び共済事業を行わねばならないという趣旨を以ちまして、昨年こしらえたものでございます。今日特殊法人私学振興会ができました上は、私立学校経営費援助の面につきましては、この特殊法人の面に譲りまして、財団法人私学振興会のほうでは専ら共済事業をやるようにいたしたいと考えております。従いまてその名称も大変紛らわしいものでございますので、近き将来に財団法人教職員互助会というような名称に変えまして、専ら教員福利厚生事業をいたしたいと、かように考えております。
  31. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは何條ですか、誠にこれはおかしなことを伺いまして納得が行きません。第二十二條の「振興会は、第一條の目的を達するため、左の業務を行う。」として、三つの種目を揚げておるようでありますが、その第三号には、「私立学校職員研修福利厚生その他私立学校教育振興上必要」云々というふうにしまして、当然ここでは共済組合が行うような事業内容が麗々しくこれは載つておるのであります。ところがこの法律の目的とは何ら関係炉ないと思われるような財団法人私学振興会教員共済方面だけやるということになると、一体これはどういうことになるのですか。こういう特殊法人で、国から費用をとつてですね、そうして目的をはつきり謳つておいて、そうしてそれを学校経営者に都合のいい方向にだけ使おうとするような野望がこの中にに窺われ、私は甚だ遺憾に堪えない。問題は先ほどから私が質問しておる私立学校の低劣な待遇恩給法もまるでない、而も社会保険については任意加入である。任意加入、それでさえも加入できないような状態である。それで文部省としては、そういう共済組合単独立法をできるならば考えているということを言われながら、新らしい法案、この私立学校振興会法案のこの目的達成のための事業、而も重要なこの第三号がまるで煙のごとく雲散霧消するような内容を持つておるということについて甚だ私は不満に堪えないのであります。この点私並びにほかの議員のかたがたも恐らくこういうからくりはわからないと思いますから、納得の行くように御説明を願いたい。
  32. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) この業務の第二十二條第一項の第三号でございますが、これは将来この私立学校振興会は、こういう職員研修とか、或い、福利厚生その他私立学校教育振興上必要と認められる事業を行う者に対しては将来助成を行う、或いは貸付ける、さような趣旨でございますので、決してこの会の趣旨とは矛盾していないように思うのでございますが、なお先ほど福田課長からも申しましたる通りに、将来はこの私学振興会一本で以て、この私立学校経営援助のほかに、いわゆる福利厚生の仕事に対して助成も行い得るように考えておるのでございますが、只今のところで、先ほど福田課長も申しました通り、他の健康保険との振り合いもございますので、職員共済事業につきましては、財団法人私学振興会のほうで賄つて行かざるを得ない実情にあるのでございます。このことにつきましては、将来機会が参りますれば、この特殊法人私学振興会のほうで全面的に事業ができますように考えたいと思つております。
  33. 高田なほ子

    高田なほ子君 何ですか、そうすると、職員福利厚生という、こういう重大な面についての将来的なことだけお話がありましたが、今度のあれでしよう、この私学振興会法案というのは、目的にははつきり書いてある事業がここに規定されてあるのに、なぜこの財団濃人私学振興会福利厚生に当てるというようなことを言われるでしよう。もつと質せば財団法人私学振興会なるものは、国からの助成金をこれじやとることができない、特殊法人にしなければ国からの助成はとれない。そういうような目的を以てですね、こういう私立学校振興会なる特殊法人に切替えるための一体法案じやないか。それだからあなたは、あなたというより文部省経営の面に重点を置いて、文部省が篤と了承しているこの劣悪な教員福利厚生というような面については、第二次的にこれを取上げるというような考え方に対して私はどうも納得が行かない。若し私をして納得を行かしむるならば、第二十二條に掲げられている三つの事業目的はこれは同じ比重を持つものである。特に文部省が先ほどから昭和二十一年以来、この学校教員待遇並びにその福利厚生については努力しておるということを言つておられるのでありますから、その第三号なんかには特に重点を置いてその問題の解決のためにこそ我々は私立学校振興会法の通過の一日も早からんことを期待している。それなのに、そういう私たちの願いをですね、半分きり達し得ないような解釈の下にこれが通されるということについては、誠にこれは不可解至極のものである。今日までも、この私学振興会運営方針については、先ほどから私が指摘しているように、一部の強力な者によつて極めてあいまいな運営がされているということを私は指摘もした。これに対して文部省側は一点もこれを反駁する材料を持つておらないような状態。こういうようなボス的な運営の下において国の費用が勝手に運営され、而も重大なこの私立学校の低劣な職員福利厚生の面というものは、何ら考慮されないということになれば、これは私どもはこの私立学校振興会法案はもつと徹底的な検討を要するものと考えております。如何なものでございましようか。
  34. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) これまで私立学校経営に対して援助いたして参つたいきさつは先ほど来申述べた通りでございますが、決してその間におきまして、一部の者にというようなことは絶対ないと思います。広く一般私立学校の今日教育界における地位に鑑みまして、文部当局といたしましてはできるだけこれを援助助成いたしまして、教育のために努力して参つておるのでございまして、決してさようなことはないと思うのでございます。なお今後におきましても、決してさようなことでないように十分努力して参るつもりでございます。
  35. 高田なほ子

    高田なほ子君 それではまだ納得が参りません。こういう法案が出る以上は、第三号の事業内容になるものについても具体的な計画案というものが当然持たれておると、私は善意に解釈するのです。従つてこの第三号についての具体的な計画案については、是非資料を以て、私の誤解であるならば結構でありますが、誤解を解くに足るだけの資料を頂戴したいと思うのであります。私は甚だ失礼でありますが、ちよつと外出しなければなりませんので、質問を打切らして頂きますが、この資料だけは是非委員長のほうからも御督促を願いましてよろしくお願いしたい。
  36. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 途中から参りましたので、高田委員質問と重複しましたならば、そのように取計らいたいと思います。  先ず伺いたい点は、この法案をここに提示された提案理由説明要旨というのがございますが、まあ時宜に適したものと賛意を表しているものでございますけれども、一応承わりたい点は、現在の我が国私学一般的な経営状態というものをどういうように文部省はつかまえておられるか。まあ官学或いは国立或いは公立学校と又別個の私学は使命とよさを持つていると思うのでございますが、最近の一般経営状態というものは、文部省はどういうふうに把握されておりますか。更にそれと関連いたしますが、私この私立の、まあ高等学校にしましても、或いは私立大学にいたしましても、全くこれは一部有産階級の子弟以外には門戸は開かれないのじやないかというような私は感じで現在いるわけでございますが、これらをやはり教育の機会均等という原則の立場から、そういう点を是正して行くに当つては、こういう法案の中の資本金あたり、本法案では約二十一億四千万となつて、現金出資を三億九千万と謳つてあると思いますが、これをどの程度にすることによつて現在の私学経営一般状況或いは私さつき指摘しましたような点を是正するのに必要と、こういうふうにまあ算盤をはじかれておるか、そういう点について伺いたいと思います。
  37. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 第一の御質問私立学校経営現状をどう考えておるかということだと思うのでございますが、私立学校が今日経営上非常に困難を極めておりますことは、戦災その他の災害、或いは物価騰貴、或いは新学制に伴う設備の充実、こういつた面につきましていろいろ負担がかかりまするために、今日経営が困難を極めておるということは御承知通りでございます。なおそれらの傾向につきまして、これを私立学校の収入につきまして検討いたしますに、収入中、授業料収入の占める比率が次第に低下して参つた、その半面寄附金等によりまする比率が上昇しておるという面に窺えると思うのでございます。又収入金中借入金の比率が今日約一〇%という相当な比率を占めております。而もその金額昭和二十五年度におきましては、約七億円に達するという現状でございまして、又それに伴いまする利息の支払額が約四千万円というような状況に相成つております。更に私立のほうについてこれを見ますというと、支出中人件費の占める比率が次第に低下して参つておるのでございます。それに反しまして一方新営費、営繕費の支出が比率でだんだん上昇しておるというのが現状でございます。更に教員給与でございますが、これは先ほど来お話がございましたが、国立並びに公立学校職員のそれに比較いたしまして著しく低率であるということが現状でございまして、以上申しましたような傾向から見ますと、私立学校経営内容が甚だ困難を極めておるということがわかるのでございます。
  38. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 今ちよつとお伺いしたいのですが、その前にその第二点の、さつき申上げました資本金二十一億四千万円、これは提案されておるのだが、どの程度所望されておるか、それを伺つたわけですが。
  39. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) まあいろいろこの点につきましては、計算の仕方があると思いますが、只今のところでは大体出資金が三十億程度ありますれば、ほぼ私立学校要望を賄い得るのではないかと考えております。
  40. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ちよつと具体的にお伺いいたしますが、終戦後インフレに入つてから、私立学校で潰れた学校がどのくらいあるかということと、それから戦災復旧というのは私立学校に関しては何パーセントくらい復旧しておるのか、それから生徒の学費は公立学校に比べてどのくらいな比率にあるのか、それから教員給与が低率と言われましたが、どの程度の低率か、数字によつて具体的にお伺いしたいと思います。
  41. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 私立学校教員給与国立公立教員に比較いたしまして非常に低率であるということを申上げましたが、これは先ほど高田委員の御質問もございますので申述べた点でございますが、繰返して申上げます。これは昭和二十五年度の私立学校の平均の数字でございますが、大学、これは短期大学を含めまして、平均一万八百円から一万六百円までの間、それから高等学校の通常の課程のものでございますが、これは七千七百円程度、それから定時制高等学校で五千七百円程度、それから中学校が七千五百円程度、それから小学校が八千六百円、それから幼稚園が七千八百円程度、これが私立学校の平均でございますが、一方、これは昭和二十六年の四月現在の調査でございますが、国立大学の教授が二万一千六百円、それから助教授が一万一千六百円、公立高等学校では一万二千円、それから公立中学校では一万円、公立小学校は七千三百円、公立幼稚園では八千円というのが現状でございます。なおそのほかいろいろ御注文でございますが、それらの点につきましては、なお資料が今整つておりませんので、後ほど調査いたしましてお届けいたしたいと思います。
  42. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その資料によつて答弁頂きます場合、具体的にそういうふうに詳しく数字を挙げるのも結構でございますが、例えば学費の問題を取上げた場合には、公立生徒の何パーセントを私立の生徒は要しておるというような比率でお教え願いたいと思います。それから次にお伺いいたしますが、先ほどこの資本金については種々の計算の仕方があるが、一応三十億くらいあれば何とか要望に副えるのじやないかと思う、こういう御説明がございました。それで具体的なことはお伺いいたしませんが、この私学振興会設立に当つて、二十七年度の予算の概算要求で、当初七億六千万ほど要求しておつたわけでございますが、それが御承知のように大幅に減額されております。この減額されたことによつて事業内容というものは、どの程度どういうふうな点が変つて来るのでございますか、お伺いいたしたい。恐らくこの七億六千万円というものは最低のものとして、文部省議の結果要求されたのではないかと思いますが、念のために伺います。
  43. 福田繁

    説明員福田繁君) この振興会業務といたしましては、最初の場合に考えられましたのは、或る期間の長期の貸付と短期の貸付と両方考えられるわけであります。資金が多ければ多いほど、大体長期の貸付に廻し得るという率が多くなるわけであります。ところが当初要求いたしました七億程度資金では、殆んど長期にも廻らない、殆んど全部が短期だというような計算でございまして、更にこれが予算要求の結果削減されたという現在の三億九千万円では、殆んど短期資金の融資だという程度考えております。
  44. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点わかりました。次に、これは高田委員から質問されていたのではないかと思うのでございますが、この二十七年度の予算の概算要求で、私立学校共済組合制度設立のために一億五千万円ほど予算要求文部省はされたわけですね。これは本年度に限らず、まあ昨年度におきましても一応要求したけれども、結局事務費補助程度にとどまつたわけでございますが、明年度の予算要求におきましても、この一億五千万円というものは通らずに、約六百万円ぐらいの事務費補助に終つたかと思うのでございますが、この私立学校共済組合公立学校に準じて設けたいという立場で通して来られた文部省の態度ですね。これは今度の、この出されているところの振興会法案の中にどういう形で盛り込まれているのか、更に従来堅持されておりましたところの私立学校教職員共済組合の設立については、これも一応放棄なさつたのかどうか、その点を続けて伺います。
  45. 福田繁

    説明員福田繁君) 私立学校教職員のための共済事業の問題でございますが、それに関しましては、先ほど来申上げましたように、現在の段階では立法措置ができない。止むを得ず財団法人で以てそうした事業を賄つて行くというような関係になつたのであります。従つてこの振興会の、特別法人としての振興会業務といたしましては、第二十二條第三号に掲げておりますように、そうした財団法人等で私立学校先生がた研修なり、福利厚生といつたような事業を行うものがありました場合には、それに対して必要な資金貸付け、或いは助成をするというようなことをいたしまして、極力そうした福利厚生事業というものを援助して行きたい、こういう考えでこの法案に設けたのでございます。文部省といたしましては、将来ともそうした方面に大いに努力して参りたいという考えは変つておりません。
  46. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 只今お言葉に出ました財団法人私学振興会、これらの設立、こういうものを阻止するということが、この法案の第八條の「振興会でない者は、私立学校振興会という名称又はこれに類似する名称を用いてはならない。」というところに規定されているのじやないかと私は考えるのでございますが、その点如何ですか。而もこの第八條に対する罰則というのが第四十二條に出ているようでありますが、その点承わりたいと思います。
  47. 福田繁

    説明員福田繁君) その点は先ほど局長から説明いたしましたように、財団法人私学振興会というものが先に出発いたしました関係上、この共済事業以外の事業もこの法人によつて行うという建前になつておつたのであります。ところがこの特別法人が出発いたしますと紛わしいのでございますのでその財団法人私学振興会におきましては、専ら共済事業のみを行なつて、それに必要な名称或いは中の組織といつたようなものの助成を行うという予定でございます。
  48. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 恐らく高田委員もそういうことを聞かれておつたのじやないかと思いますが、第二十二條の三号にこういう目的を掲げてあれば、そういうものを一本にして紛わしくない強力なる運用をやるということは考えられないのでございますか。
  49. 福田繁

    説明員福田繁君) 当初この法案の中に抱き込んで立案をいたしたのでありますが、先ほど来申上げましたように、予算のいろいろな折衝の結果、この中でやるのは非常に工合が悪いというような点から切離して行くようなことになつたのでございます。
  50. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その発言を裏返すと、助成金或いは貸付金を、即ち出資を政府一本にして、その代償として監督権を強化して行こうというようにとれるのですが、その点如何ですか。
  51. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) そういうことではないと思うのでございますが、側と申しますか、只今健康保険につきまして事業助成ということは現在のところ行われてないのであります。従いまして、この私学教職員共済事業につきましても、事業費の助成ということは今日むずかしい。併しながら事務費補助は、これは健康保険も行われておるという建前になつておりますので、従いまして、この特殊法人私学振興会で仮に共済の仕事をするといたしますると、その全額が政府出資なつております関係上その点が多少問題がある。併しながら将来特殊法人の収益を以てその共済事業助成するということは、これは可能だと思います。従いまして、この第二十二條業務のところに将来福利施設に対して援助するということを規定してあるのでございますが、ただその前提になりまする事業内容に国が補助できるということがうまく行くようになりますれば、この問題は私は簡単に解決できるのだと思います。従いまして将来財団法人私学振興会というようなことでなくして、この特殊法人私学振興会一本でこの問題が解決できるのじやないかというふうに考えております。
  52. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私学の我が国において果して来たところの業績というものは申上げるまでもないと思うのですが、今後におけるその使命の重大さというものも申上げる必要がないと思います。で、この提案理由にもはつきりと示されていますように、私学振興を企図しているわけでありますが、それに当つて一番大事なのは、今あなた様のお話がありました事業費の助成ということが私学振興させる意味から最も必要であり、私学関係者の最も熱望しているところで私はないかと思うのでございますが、どういうわけでその事業費の助成というものをやられないのか、どういうところに険路があるか、それを承わりたいと思います。
  53. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) これは健康保険の場合におきまして、政府が事業費の補助をしておりませんので、それとのバランスだと考えております。
  54. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それならばえらいバランスであつて、私は前進しているところは一歩もないと思うのですが、それは意見になりますので申上げません。最後にお伺いしたい点は、この私学というのは官から監督されることでなく、全くその私学を自由意思で自由奔放な特色あるところの教育をやられるというところに特色があり、又使命があると私は思うのでございますが、この法案を拝見しまして、最もこの特色的なものは第六章の監督という項目ですが、非常に監督権というものが強化されているように考えるのですが、若干の資本金によつて私学振興を図ることは結構でございますが、反面に私学の特殊性と、そのよさというものを私は殺してしまう慮れがあるのではないかと思うのでございますけれども、この監督権をこういうふうに強化された提案者としての趣旨を承わりたいと思います。そうして如何なる形によつてその監督が行き過ぎにならないように適正な法の運用ができるようにしよう、こういうふうに提案者として心がけていられるか、どうかという点を承わりたいと思います。
  55. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 監督権の点でございますが、この特殊法人私学振興会は全額政府出資であるという点は、或る程度やはり政府がこれを監督しなければならんという根拠になると思うのでございますが、そのほか特殊法人といたしましては、おおむねこれまでのところによりますると、この程度の監督は一般のようでございますので、格別この特殊法人の、私学振興会だけに対して特別な監督を累加しておるというようなことはないと思うのでございますが、又将来運用に際しましては、決して文部大臣が殊更に監督権を振り廻しまして、私学の自主性を阻害するというようなことは厳に運営に際しまして戒めて参りたいと考えております。
  56. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これはよほどうまく運営をやらないというと、私は純然たる私学でもなければ、又国立公立でもないといつた中途半端な学校ができ上るのではないかというような急倶を抱くのでありますが、特に今あなた様は、運営上十分細心の注意を払つて云云という御尤もな御説明がございましたが、この中には役員の兼務ということも出ているわけなんです。そういう役員の兼務というところに、例えば文部省の国家公務員のかたが兼務されるというような形になつた場合に、私はその虞れというものはいよいよ増すのではないかと思うのですが、あの兼務というものは、どういうことをお考えなつていらつしやるのか、お伺いいたしたいと思います。
  57. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 役員につきましては、評議員と理事とございまして、評議員のほうも兼務というものがございますが、これは大体その過半数を私学関係から御参加願う。それから理事のほうにつきましては、これは官吏の兼務ということもあり得ると思う。のでございますが、そういつた場合に監督権を振り廻すというようなことは厳に戒めるつもりでございます。又この役員につきましては、原則といたしまして、私学関係者ではなく、その他の面から選定いたしたいという考えを持つておりますが、併しながら真に適材のかたがありますれば、これは兼務という形におきまして、文部大臣の認可を得て役員にするということもあり得ると考えるのでございます。
  58. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 只今のお言葉の中に、評議員に関しては私学関係者を過半数任命するつもりだ、こういうようなお言葉がございましたが、これは私は適切だと考えます。私学運営実情とか或いは内容というものは、私学に実際関与している人でなければ、なかなか外からわかる問題ではないと考えるのでございますが、そういう立場から只今局長のお言葉は一応了といたしますが、それは何でございますか、評議員に限らず、その他の役員についても私学関係者の過半数は入れたい、こういう一貫した方針がある、こういうふうに了承してよろしいわけですね。
  59. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 評議員につきましては、真に適材を求めるわけでございまして、これはあに評議員のみではございませんので、理事につきましても適材を求めるということには変りはございませんが、なかんずく評議員につきましては、私学関係者の代表を加えたいという考えを持つております。その人数につきましては、おおむねまあ半数ということを考えておりますが、その点につきましては、具体的になりませんとはつきりしたことは申上げられないと思います。なお理事につきましては、先ほど来申上げております通り、大体決して私学関係を排斥するつもりはないのでございますが、原則といたしまして、私学以外からとりたいという気持を持つております。併しながら、これも先ほど申しましたように、真に適材でありますれば、文部大臣の認可を得まして兼任の形で理事を任命するということもあり得ると思います。
  60. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 非常に細かくなるようでございますが、これは私大事なところだと思いますので重ねてお伺いいたしますが、適材であれば私学からでも広く求めるということはわかりますが、その前提に、理事は私学以外から求めたいというこの大前提はどういうところに基くのでございますか。あなたの今の説明では、理事に関する限りは大前提に、私学からとらないで、私学以外から全部求めるという発言でございますが、これはどういう御趣旨に基くのでございますか。
  61. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 言葉が足りませんで申訳ないと思いますが、大体特殊法人私学振興会の性格でございますが、これは前回、昨年二十六年度に計画いたしました私学金融金庫でありますれば、これははつきり金融機関でございますので、性格が明瞭でございますが、この特殊法人私学振興会はやはり金融機関ではありますけれども、なお金融機関よりも広い仕事をするという面におきまして多少目的が広くなつておりますが、併しながら大部分の性格がやはり金融機関であるというふうに考えておりますので、従いまして、この金融機関がその仕事をする場合に、而も貸付の対象がやはり私学でありますというような場合に、その役員に私学関係者を加えるということは、とかく利益代表的な見方がされる虞れがあるのではないかという考え方からいたしまして、学校関係の者をこの役員に加えますことは適当ではないという判定でございますが、併しながら、これは一般論でございますので、真に適材がありますれば、これは繰仮し申しましたように、役員にいたしますることも決して考えられないことではないと思います。
  62. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 非常に慎重を期されている点は諒といたしますが、適材であれば云々という言葉でございます。例えばですね、適材を探そうと思つたならば、我が国には国立であろうが、公立であろうが、或いは私学であろうが、民主的な教育団体という権威のあるものがあるわけですが、そういうところの推薦なりを求めれば、これはまさしく適材を得るのに何ら苦労しないと考えるのですが、そういうことはお考えなつたことはございませんか。
  63. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) そういつた場合に、仮に私学から御選定願うという場合に、それはやはりその適材という意味で選定するのでございますので、従いまして、その人個人の私は問題になるんじやないかと思うのでございます。従いまして、その背景をなす学校の法人に対して御協議申上げるということの必要はないように思うのでございますが、併し問題は具体的なことでございますので、その場合になりまして、やはり或る程度その母体になりまする学校法人と御相談申上げるということもあり得るのでありましようし、又私学連合とか、そういつたものとも御相談することがあり得ると思いますが、気持といたしましては、やはりその人個人を問題にするわけでございますので、やはりその人が立派な職見をお持ちになつて、理事者として適当でありますれば、その人にお願いするということになろうかと思います。
  64. 高橋道男

    ○高橋道男君 二、三の御質問を申上げます。先ほど矢嶋委員質問に対して、私学の把握の仕方についてお尋ねがございましたが、特にこの私学経営の収入の面について御答弁がございましたが、そういう私学運営の仕方を以て当局は好ましき状態であると思われるのかどうか、これを先ずお伺いします。更に言葉を次ぎますれば、多額の寄附金を、これは噂ではありますけれども、強要することなどによつて運営の経費を作らなければならんというような仕方は好ましき状態であろかどうかということについてお尋ね申します。
  65. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) お説の通り、やはり余り授業料収入を殖やすとか、或いは寄附金を多額にとるということは、その学校経営としては適当でないと思いますが、併しながら学校経営者といたしましては、やはり授業料収入を上げるとか、或いは寄附金をとるというようなこと以外には、別に方法考えられないというような学校もなくはないのではないか、ということも想像いたされるのでございます。それらいろいろの学校法人によりまして問題が具体的になりまして複雑だと思います。一概にいい悪いということは私は判断できないと思います。併しながら一般的に申しまして、やはりお説の通りだと思います。
  66. 高橋道男

    ○高橋道男君 結局多額の寄附などによつて運営することは好ましくないというような一般的な御意見でございますが、ただ現状においては、そういう方法も止むを得ないということは遺憾ながら認めざるを得ないかも知れませんが、そういうような遺憾な点、或いは好ましからざる点を除去することを一つ目的として、こういう法案を提出されるようになつたのかどうか、直ちにそういう問題が解決するとは思われないけれども、終局的な目的としては、そういう多額な寄附などによつて運営しなくてもいいということもお考えの中にあるのかどうかもお尋ねして置きます。
  67. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 私立学校財政的に何ら不安なく経営され、私学の本来の自主性をますます発揮し日本の教育のために貢献するということは、我々が非常に念願するところでございますので、今回この特殊法人私学振興会法を作りましたゆえんのものも、さような気持から考えているのでございます。
  68. 高橋道男

    ○高橋道男君 只今の寄附の問題でありますが、その多額な寄附などについて社会問題になつている点もあると思いますが、そういう点について、文部省としてどこかの学校に対して忠告をされたようなことがございましようか。或いはそういう寄附の限度について、このくらいならばよかろうというような御協議でもあつたことがございましようか、その点をお尋ねしたい。
  69. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 只今の寄附金の限度の問題につきましては、甚だ答弁を回避するようでございますが、それは主として他の部局の所管なつているかと思いまするので、いずれよく確かめまして後ほど答弁申上げたいと思いますが、只今私の聞いております範囲におきましては、さような手段をとつたことはないように記憶いたしております。
  70. 高橋道男

    ○高橋道男君 問題を変えます。産業教育振興法がございますが、あの法律によつて私立学校もやはり助成の対象に置かれておると思います。この今回の私立学校振興会が設立されることによりまして、その特殊法人からも助成を当然受けることができるようになると思うのでありまするが、或る意味においては二重の助成が行われることを考えていいのか、或いはその助成内容は全然別だということに考えて置くべきであるか、或いは私立学校振興会から助成を受けるところは別の産業教育振興法による助成というものは受けられないものであるのか、そういう点をお尋ねいたします。
  71. 福田繁

    説明員福田繁君) 産業教育振興法に基さまして、私立学校に対しまして設備等の補助をやるごとになつておりますが、それとこの振興会からの貸付との関係でありますが、産業教育振興法に基きます助成は、これは主として産業教育振興という面からそれぞれの学校助成をいたしますわけであります。従つてそうした面もこの振興会から貸付けられる貸付金学校法人を対象にいたしております関係上、二重にダブるということもあり得るわけでございます。ダブるというと語弊がありますが、両方の面から学校助成が行われるということはあつてもいいと思います。
  72. 高橋道男

    ○高橋道男君 もう一点お尋ねしたいのは、私立学校教育恩給の問題でございます。私は第十回の国会の本会議におきまして、この問題について御質問申して、文部大臣からも共済制度によつてこれを考慮して行きたいというような御答弁をされておりまするが、本日も同僚議員の質問に対して福田課長から同趣旨のお答えがございました。これは国立公立学校教職員は別の恩給を支給される制度なつておるのでありまするが、私立学校教員も同様な方法による恩給を支給される途はないのか、これをお尋ね申します。
  73. 福田繁

    説明員福田繁君) 私立学校公立学校或いは国立学校という場合におきましては、この態様が異なつておりますので、現在公立学校教職員恩給等につきましては、国家公務員法に基いた規定によつて行われております。従つて私立学校にそのままそれを当嵌めるというわけには参らないと思いますので、先ほど来申上げましたように、何らかそういつた同じような内容を行うとすれば、将来立法措置が要るのではないか、こういう工合に考えておりますが、現在の段階では先ず先ほど申しましたように、私立学校のかたがたの自主的な団体として財団法人でやつて行くということになつておりますので、それに対してできる限りの援助をして行くというような方法で進んでおるわけであります。
  74. 高橋道男

    ○高橋道男君 只今別の立法措置ができるならば、そのことも考えられるという御答弁でございましたが、そのことに対しての御努力を今後当局においてなされる意思があるかどうかお伺いいたします。
  75. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 私立学校教職員共済事業につきまして、先ほど福田課長答弁のように、只今のところでは財団法人私学振興会を以てやるつもりでおります。これをまぎらわしいので名前を変えまして、財団法人教職員互助会というようなことにいたしまして、事業運営して参りたいと思つておりますが、将来このできました特殊法人私学振興会がその共済事業をなし得ることが極めて望ましいと思うのでございます。そういたしますれば、すべて私立学校経営に対する貸付及びその助成ということもできますし、又教職員共済をこの法人でできるということになつて、それが一番私は好ましいと思うのであります。併しそれが若しうまく行きませんければ、やはり財団法人教職員互助会、或いはもつとそれを発展いたしまして、何らかここに別の形の共済事業を営む組織を作るという別の立法も考えられるものと、こう考えております。
  76. 高橋道男

    ○高橋道男君 教員恩給共済の問題については、現在二本立ての考えを持つておられる。これは現状としては私も止むを得ないかと思うのでありますが、私これは若干意見が加わつて恐縮でありますが、制度が違うので、その学校の態様が違うので、教員待遇の仕方も違えなきやならん、これは制度を基礎にして見る考え方で、勿論その考え方もあると思うのでありまするが、私は学校教員教育という広い基盤から考えるならば、私は国立公立私立の差別を付けるべきではないと考えるのでございまして、等しく教育という国民の立場を持つておる身分に対して一貫した待遇ができるようになれば、私は私立学校振興も我々が期待する通りに、或いはそれ以上に上つて来るかと思うのでありますが、そういう観点から、恩給などに対する考え方を国公私等しく一つの立場から考えて行くという見方をして頂きたい、こう思つておるのでありますが、なおそれについて私の所論は別の機会に言うといたしまして、そういうことに対する考え方をもう一応御答弁願いたい。
  77. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 恩給制度につきまして、公立国立私立学校を通じて一本の制度がどうかという御意見でございましたが、これは私見でございますが、さような見解は誠に同感でございます。何らかさような方法ができれば私は結構だと思つております。只今のところでは、やはりどうもそこまではなかなか困難じやないか、いろいろと制約がございますので、その点につきましては、今後研究の課題ではあるかと思つております。
  78. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) ちよつとお諮りいたしますが、このあとにちよつと決議案に関して御相談したい点があるので、今日のこれに関する質問はここで一応……。
  79. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ちよつと局長にこの次説明して頂く資料をお願いしておきたいと思うのですが、先ほど私、私学振興を図るには資本金がどのくらいあれば事足りるというふうに算盤をはじいておられるかというお尋ねをしたわけです。それに対して三十億円ぐらいあればよさそうだ、こういう御答弁があつたわけですが、私学振興を図るための要素というものはいろいろあるものと考えます。二十七年度の一般会計予算でも、現金出資というものを七億六千万円の概算要求は二億六千万円にとどまつたわけですが、これのもたらす結果というものは、さつき課長のほうから答弁がございました。私三十億ぐらいの…、ここに提案されておるのは二十十億四千万円ですが、三十億円ぐらいの資本金で私学振興が図れるなら、これはいとやすいものであると、非常に私は楽観的な気持になるわけですが、局長構想の中にあるところの三十億の私学振興方策の内容、要素というものは、どういうものであるかということについて、この次にお伺いいしたたいと思いますので、準備して頂きたいということをお願いいたします。
  80. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それではこれで本日は散会いたします。    午後三時三十一分散会