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矢嶋三義君
平和條約の発効を前にして我が国はここに新らしい第一歩を踏み出そうとしておるわけですが、いわゆる独立後の我が国の
教育を如何なる方向に持
つて行くか。それに対してはその責任者である
天野文部大臣としては、私は
はつきりした信念のある
教育政策を打ち立てておられるだろうと確信するわけであります。私は今度の
国会にその点を
はつきりと、国家百年の大計というものを
教育の面から確立しなければならないと思います。本日私は一
通り現在その責任者である
天野文部大臣がどういう見解を持
つておられるかということを承わりまして、それを基盤として今度の
国会において私は選良としての義務を果したい、こういうふうに考えておるわけであります。そうい覚悟からここに一言
天野文部大臣にお伺いするわけでありますが、少し数がありますので、要点をお聞き願いたいと思いますが、先ず第一点にお伺いいたしたいのは、今荒木
委員から御
質問がありましたが、国内の情勢というものは、とにかく敗戦後我我が進まんとするところの文化国家の建設、民主国家の建設という角度から言うならば逆コースにあることは私は否定できないと思う。それが、
提出されたところの
予算案にも現われておるということも、これも荒木
委員と同感であります。吉田内閣の党員でなくて、
文部大臣として台閣にあるところの
天野文部大臣としては、私はこの
日本の民主化の逆コースにある現段階を、これを如何にして食い止めるか、誤りなからしめるか、そうして民主国家の建設、文化国家の建設に進むかということが私は最大の使命ではないかと、こういうふうに考えます。それに対して
大臣はどういう決意を持たれておるか。なおこれに関連いたしますが、私は本
会議でいろいろの人の
質問と、それに対する国務
大臣の御答弁を承わ
つておるのでありますが、私はこの際
大臣にお伺いいたしたい点は、本
会議でも論議されました軍備とは何ぞや、ああいう論議を
大臣はどういうふうに考えておられるか。一カ月前までは総理にしても、或いは大橋国務
大臣にしても、絶対に警察予備隊は増員しない、こう言われた。そうしてその施設の充実のために来
年度は約五、六百億の警察予備隊の
予算の増額を要求するのだ、こういうことを増原長官も
はつきりと申してお
つたわけでありますが、一カ月の後には三万五千、それから海上保安庁の六千人の増員を発表するし、更には明後年には三十一万の増員となるであろう。更には防衛隊への切替え、こういう問題が……現在高射砲からバズーカ砲、機関銃、こういうものも装備しておる。それらに対する本
会議における論議では、これは決して軍備ではないのだと、御
承知の
通りのああいう論議が行われておるわけであります。即ち最強国が持
つておる軍隊だけが軍隊で、それ以外は軍隊でないのだ。私はここで繰返したくありませんが、ともかく甚だしき詭弁を弄しておる。これを
天野文部大臣はどういうふうにお考えになられるか。こういう
国会における問答を、非常に純粋な我が国の青少年学徒諸君がこれを聞いた場合にその影響はどうであるか。
天野文部大臣は再軍備反対なのかどうなのか。現在は再軍備過程にあると考えてないのか、考えておるのか。そういう点を私は
はつきりと承わりたいと思うのです。その角度に先ず
大臣はつきり立
つて、私は文教政策というものを打立てて行かなければ、将来というものが私は思いやられる、こういうように考えるものでございます。その点について私は
大臣に
はつきり承わりたい。更にその逆コースを阻止する意味からも、私は非常に遺憾に考えるのでありますが、先般
文部省当局は標準
教科書を発行するというようなことを発表し、その後には引つ込められましたが、これはいわゆる国定
教科書への第一歩である。そういうものをどういうふうにお考えに
なつておるか。更には
文部大臣が、この独立国家に処するために道義の高揚を図らなければならない。曽
つては実践要領というものを出されて一応引つ込められておるのでありますが、これらにつきましても、御
承知の
通りに
文部大臣から道徳
教育の手引要綱というものが昨年四月に出されて、それに基いて学界で非常に
検討されておりますし、殊に
文部大臣の実践要領というものが世間に流布されてからというものは、私自身も勉強いたしましたし、
教育界或いは社会一般においても非常に関心を持
つて……みずから道徳高揚というものを努めて行きたいという方向に……個人においても、団体においても、ある段階において、私は、更にこの問題について
文部大臣にむし返す必要はないかと思うのでありますが、併しながら、巷間伝うるところによりますと、
大臣は更に
検討をして、これを出そうとしておられるというようなことは、むしろ私は現在の
大臣に要望するところの逆コース阻止というような方向でなしに、更にそれを推進する方向にあるのではないか、こういう点を私は第一点としてお伺いいたしたいのでございます。この点が
はつきりするならば、まあ本
年度の八千五百二十七億円の
予算のうち、治安
関係費等が千八百二十億含まれておる。その中の総
予算額の僅か四%
程度のものが
教育費に
なつておる。それが更に若干低下の傾向にあるということは荒木
委員が指摘された
通りでありますが、その点が
はつきりするならば私は
大臣の文教政策というものも推進されるであろう。橋本厚生
大臣が自由党員として自由党内閣にお
つてああいう態度をと
つたのについては、まあ政党人としては若干問題があるかとも思いますが、併し厚生行政を承
つておる個人のあの行動というものは、私は賛意を表し敬服しているものであります。ましてや自由党員でない
大臣が自由党内閣にお
つて、その政治的生命をかけたああいう
義務教育費国庫
負担法というようなものがかくのごとく蹂躪されるような段階において、私は
大臣は政治的生命をかけてもこれは貫徹すべきじやないか、それが貫徹されない場合には個人的には橋本厚生
大臣のごときような政治的行動をとることが、
天野文部大臣の言動から
言つて、
天野文部大臣を生かす途でもないか、これは僭越かも知れませんが、そこまで私は考えているわけでありますが、そういうふうに
義務教育費国庫
負担法というものは先ほどから申上げました我が国の今後の動向とも至大なる
関係があるわけでございますが、どの
程度の
大臣は決意を以
つてこれを貫徹されようとしておるのか、そういう基本的なことを承わりたいと思います。
次に承わりたいのは、将来だんだんと掘下げて行きたいと思いますが、一応承わ
つておきたいのは、六・三制は堅持するということを総理も
大臣も言われておりますので、その点について私はお伺いいたしませんが、この
教育制度というものは再
検討されるのじやないかということが流布されておりますが、ここに新らしい
日本の第一歩を踏み出すに当
つて、
予算の裏付も必要でありますし、
はつきりした
方針というものを打ち立てなくちやならんと思います。つきましては、伝えられるところによりますと、中央
教育審議会というものを設けまして、この答申を以てやられると、こういうふうに伝えられておりますが、この中央
教育審議会を設立する以上は、これは
文部省の
設置法の一部
改正というものもなされなくちやならんかとも思うのでありますが、本日のこの
提出法律案調には出ておりませんが、いつ出される
予定かということも、更には私はこの中央
教育審議会に一切
大臣が諮問して今後の文教行政をやろうと考えておられると思うのでありますが、そうであるかどうか、若しそうであるとするならば、その構成あたりは極めて私は重大だと考えるのでありますが、そういう点にどういうお考えを持
つていらつしやるか。更にこの問題では当面最も大きな問題としては、
大学制度の改革というものが随分と流布されているわけでありますが、それらに関連する
予算についても若干先ほどお伺いいたしましたが、掘下げては後日にいたしたいと思いますが、この
大学制度改革というものを
大臣はいつ、どういう形でやろうとしておるのか。特に教員養成
大学について、
大学生諸君は、いわゆる専修
大学化というものについて非常に懸念され心配している
実情でありますが、これらをどういうふうに改める考えでおられるのか。そういう点については、独立後の
予算を審議しておる現在、
はつきりと
文部省として決定線を出して、そうしてそれからの国内費といわゆる講和
関係費あたりの関連性を以て我が国の今後の方向というものを決定付けて行かなければならない。
予算を伴う問題はこの時期に文教政策の基本線から打ち出しておかなければ、行政協定もきまり、今度きま
つた講和
関係費というものは将来も大きくなるのでありまして、将来においても文教の振興というものを図るところの
予算的裏付は得られない。そういう角度からここに
はつきりと方策を掲げ
予算の裏付というものを図らなければならないのが今
国会の責務ではないか。その点において私は
大臣の計画性というものが、少し遅きに失しているのではないかと思いますので、
教育制度の改革についてどういう構想を持
つておられるのかということを承わ
つておきたいと思うのでございます。
それからもう一点お伺いいたしますが、他はまあ地目に讓りまして、もう一点お伺いいたしたいと思いますが、それはあの
天野文政が行詰りつつあるのじやないかということを今荒木
委員から指摘されましたが、私はその
一つとして給食問題について
ちよつと
大臣の見解をお聞きいたしたいと思うのでございます。
大臣は曽
つて給食は是非ともその
教育的見地かち
実施して行きたいというように主張され、将来何らかの形において残したい、こういうことを主張され、努力された点については、敬意を表します。現在
大臣は実質上変らないような給食を行えるように
なつた。こういうように言われておりますが、全くこれは詭弁であ
つて、実質上は従来の給食というものは私は死んでしま
つたと思うのでございます。と申しますのは、今度の
予算の支出を農林省の食管特別会計でやると
言つても、これが価格差補給金で行けば先ず一応了解ができますけれども、これを消費者の価格操作金でや
つたということは、結局統制物資である米とか麦、砂糖の価格にも影響して来る問題でありまして、結局これは消費者
負担という立場で私は大転換をしていると思うのであります。特に
文部省は新
実施要領というものを出して、都市から農村、町村まで拡げよう、こういうような通牒を出して、如何にも八方美人的にや
つておりますが、中央から枠は狭められて都市だけだ
つたのを、町村まで拡げようというので、
地方は非常に困惑しておるわけでありますが、曽
つての
大臣の言明を貫徹する意味からこういう問題について今後どういうふうに善処しようと考えられておるのか。そういう点を先ず承わ
つておきたいと思うのであります。