○加賀操君 先だ
つて私と滝井さんと九州と中国の接収地を視察に行
つたその結果を報告しますと共に、
農林省のほうに強く希望申上げておきます。
個々の点につきますので、詳しいことはお聞きの
皆さんにおわかりにくいと思いますので、概括的に申しますが、福岡県の古賀の演習場ですが、これは福岡に非常に近い所です。海岸でございますが、殆んど通信隊で使
つていた所であります。新らしく拡張をするという駐留軍からの申入れがあるのでありまするが、この地区は非常に施設、建物が多いわけであります。住宅にしましても、鉄道にしましても、変電所、学校、病院、非常に多い。これを接収するなんていうことは恐らく無謀であろうと思います。それでこれは拡張はできないと思うのです。実際問題として……、従
つて今まで国連軍が使
つていましたのは通信
関係だけで、先ず一年に三回か四回と立入りも自由だと、海岸の漁師も自由にやれると、こういうことにな
つていましたので、これは是非拡張を取りやめて、そうしてその拡張
区域にある住民、施設を取除けと、こういうような無謀な事柄は、日本
政府としては到底受入れられんし、又非常に問題を起しますので、その点十分に考慮されて、先ず使わないということはできないと思いますので、従
つて従来国連軍が使用した
程度に使うと、拡張しないと、こういうように
一つお
考えを願いたいと、かように思います。
それから次に築城ですが、これは飛行場です。海岸にありますのですが、大分県に近い所、これは従来使
つておりましたし、
只今も盛んに使
つておる所で、これは使わなければならんと思いますが、これにも拡張の要請があるわけであります。これはかなり広いというよりも、むしろ非常に周囲の住民に影響のある拡張になりますので、詳しいことは申されませんが、海岸のほうにかなり面積の広い拡張を要請をされておるわけでございます。ここは普通の地盤からニメートルほど下
つておるわけです。従
つてこれは無理に駐留軍が使わなくてもいいと、こう私たちは見ておるわけであります。又使うに不適当であり、それから海岸まで使いますと、漁業が全然駄目になる、こういうわけでございます。そこで海岸のほうは成るべく使わないように是非拡張から除く、それから鉄道側の拡張もありますが、これは帶のように拡張するのでありまするが、その中を少し縮めてもよいということを言うて参りました。どうしてもその鉄道側の拡張をしなければならんときには、現在使
つている飛行場に不用地があるわけであります。それを交換に解放すると、こうして頂きたいと思うわけであります。それからここは約四百町歩くらい何回にも分けて拡張さ君たのですが、農家が非常に面積が小さくなりまして困
つておるので、実はその南に椎田の干拓の予定地があるわけであります。これはすでに調査に着手しておられると思いますが、これを早急にや
つてもらえばここに三百町歩ほどの干拓ができると、これでもしてやらなければあれは納まらんと、こういう気がいたしますので、この点
農林省のほうで十分注意されて御処置願いたいと思います。
それから第三番目は有名な日本原でございますが、これは軍から見ましても農林側から見ましても非常によい所なんです。両方いいのです。併し私は軍の専門家でありませんので、どうしていいかということはわかりませんが、これは経過的に日本も使い国連軍も使い、又駐留軍も使うと、こういうことを非常に
要求しているところを見ればこれは非常にいいと、こういう結論が出るわけであります。農業側から見れば、私たちが見ましても非常によい所で、又これは非常な競合にな
つておりますが、これを歴史的に見ますと、日本が接収した当時から、これは明治四十年頃です。その当時からかなり自由に使
つていたわけなんです。慣例があ
つたわけなんです。又文書もありますし、それから国連軍のときにも地元の役場その他でよく交渉をして、自由に差支えないときは入
つてもよろしいし、或る所は開墾してもよろしいというような文書があるわけです。交換された。それで地元としてはこれはどうしても解放してもらいたいと、日本軍時代からの約束もあるので解放してもらいたいと、こういうわけなんですが、又農林側からいいましても、これは解放すべきものだと思いますが、要は換地があるかないかと、こういう問題なんです。客観的に見ますれば、若し換地がなければ、これは止むを得ませんから従来の日本軍或いは国連軍が使
つていた慣例によ
つて今度使うと、こういうことはこれは止むを得んと思いますが、若し換地がなければ。併し農林側からいえばこれは解放すべきだと、こう我々は見たわけであります。それで若し換地がない場合には、
只今言いましたように従来の慣例によ
つてその條件で新らしい駐留軍が使う。但しこの場合に條件が二2
二つあるわけであります。実は県道以南の土地はこれは終戦後解放をしまして、直ちに開拓地にしたわけです。そうして県と
農林省で十分な開拓
計画を立てて着々仕事をされ、恐らく日本中であれぐらい開拓地として立派な施設を持
つて、いいように行
つておる所はないと思います。それぐらい非常によくや
つておる存です。いろいろな農産加工の工場も大きなやつを持
つていますし、畜産も十分発達しているわけですが、若し今拡張を
要求されているようにやりますと、この県道以南の開拓地の
計画が中途半端になるわけです。これは県道以北に増反地を作るという
計画が
はつきり立
つておるわけです。それだけの面積はこれは除いてやらなければ、折角今まで県道以南の開拓地の施設が中途半端になりまして、非常に迷惑もかけるし、今までの非常な努力が水泡に帰するという非常に重大な問題でありますし、又私が見た
範囲では、恐らく本州において津山にある北部酪
農協同組合というのがありますが、これは実に立派な施設を持
つてそうして非常に上手に経営をしているわけです。一例をと
つて見ますと、これは初めて私も見たのですが、その酪農組合は製氷
事業を一緒にや
つているわけです。そうして乳を集めまして、製氷
事業をや
つていますから冷すことは自由なんです。一度か二度くらいに冷しまして、午後の七時か七時半頃にそれをトラックに積むわけです。大き」な毎に入れまして、そうしてその中へ氷を入れて、夜通し運送して大阪まで行くわけです。六時間半で行くわけです。それで大阪へ着いて六度か七度くらいに温度が上
つている。恐らく日本でこんな合理的な経営をや
つている所はないと思いますが、その牛乳の原料は日本原のほうに大半がかか
つているわけです。こういう既定の施設がありますから、開拓地にしましても今のような既定の施設を活かすようにそれだけの最大限度のところは残してや
つてほしいと、こういうことを
考えているわけです。それから村によりますと、一番東の村は私は名前は忘れましたが、それが拡張されると、山ばかりでありまするから村の財政が立たんと、こういう
状態にな
つておりますので、その点を
考えて頂いて、要は県なり国が開拓及び産業に今まですでに
計画を立て、その
計画を清々実行して、その成績が日本有数な成績を持
つているような
事業に対しては、これはそれを守り又発達させるために拡張の分から除くと、これは非常に僅かな面積ですから大し
たことはないと思います。そういう点を御考慮願いたいと、かように
考えております。私たちが見ました一般の結論から申しますと、いろいろ地元へ行
つたり或いは当局に聞いたりしたのですが、駐留軍に関する限り結論を申しますと、地元においてはその使い方が
はつきりしないと、こう言うのです。ただこれだけの面積を大体こういうように使うんだと、こういうのですね。それで若し
はつきりすれば又地元でも
はつきり方針が立つが、ただ大きな面積をこれだけの所を使うのだ、これは大体こういうふうに使うのだから、その中のものは皆退去しろ、こういうことで
はつきりしないわけなんです。それでもう少し
はつきりさす必要があれば必要があると私は
考えておるわけです。そうせぬと地元もなかなか得心が行きかねると思います。
それから次は予備隊ですが、これは実に不明朗なんでございますれ。どこへ行
つても、まあ従来の国連軍が使
つていた所を使うのはまだいいんですが、或る所へ行くと、どこでも使うというのです。私有林だろうが畑だろうが、そうしてここへ入つちやいかんと言うと、ああそうですかと言
つて頭を下げてやめるというのです。又三十分ぐらいたつと向うのほうで始めるというのです。そんなわけで地元民の
考えを聞きますと、不明朗な点については駐留軍より予備隊のほうが悪いと、こう言
つておるわけです。そうして例えば日本原にしましてもほかの接收地にしましても、果して駐留軍が
要求しているのか、或いは予備隊が要るのか、地元で聞いても
はつきりしないのです。そうして予備隊にどこが要るのだと言
つても、ここが要るのだとこう言うだけで、どれだけ要るのかというと地元じやわからん。恐らく地元のほうでも結論から言いますと、予備隊は供替地がないと、こういうことは大体皆わか
つておるのです、附近の人は。ですから何とかして使わせて上げたいという気持はあるけれ
ども、さつぱりその手続が
一つも取れていないし、使うのに非常に不明郎な使い方をしておるから、これはむしろもつと
はつきりしてもらいたいと、こういう希望があちらこちらでありましたし、私もそういう
見通しで来ましたので、以上の点を御報告いたしておきます。それから増原さんには私個人で来てもら
つて、よく予備隊の不合理な点は申上げておきましたから、
あとから又農林
委員会として適当なお
考えがあれば、そのときに御相談願えれば結構だと思います。簡單に御報告いたします。