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1952-06-26 第13回国会 参議院 農林委員会 第56号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月二十六日(木曜日)    午前十時五十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            加賀  操君            山崎  恒君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君           大野木秀次郎君            宮本 邦彦君            赤澤 與仁君            飯島連次郎君            片柳 眞吉君            島村 軍次君            三浦 辰雄君            三橋八次郎君            小林 亦治君            松永 義雄君   国務大臣    農 林 大 臣 廣川 弘禪君   政府委員    農林大臣官房長 渡部 伍良君    農林省農地局長 平川  守君    農林省畜産局長 長谷川 清君    食糧庁長官   東畑 四郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農地法案内閣提出衆議院送付) ○農地法施行法案内閣提出衆議院  送付) ○農地政策に関する調査の件  (臨時石炭鉱害復旧法案農林関係  の件)  (食糧管理特別会計法改正案(飼料  需給のため)の件)  (食糧管理法施行の件)  (農林漁業金融公庫法案の件) ○議員派遣要求の件 ○調査報告書に関する件 ○継続調査要求の件   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。  本日の議事日程農地法案及び同施行法案でございます。前回に引続いて質疑を続行願います。
  3. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 政府お尋ねをしてそれによつてと思うのですが、今回提案になつております農地法は、政府のほうでは完全なものとお考えになつておるかも存じませんが、我々から見ると、どうも甚だ未熟なものだと言わざるを得ないのでございますが、これをそう長くならぬうちに改正する意思があるかないか。一応お聞きしたいと思います。
  4. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 法はやはり人間の作るものでありますから、完全無欠とは言われませんが、現段階においては可なり完全と思つておりますが、併しこれがどうしても直さなければならんというときが来ましたら、決して直すのにやぶさかでないと、私はこう思うのであります。
  5. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 それで農地に対する公共福祉ということは、どういうことをお考えになつて、そういうことに考えられておられるかということを一つ……。
  6. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 公共福祉の定義にもいろいろあると思いますが、仮に農地と申しましても、農地にはいろいろ段階がありまして、普通の牧野も農地であります。それから年に一回か、三年に一回ぐらい採草地になつておるのも、これも農地対象であります。いろんな対象があると思いますが、それをより良く社会的に貢献でき得るようなことにするのが、そのおつしやる意味ではないかと思います。
  7. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 そういうことになると私も考えておりますが、自分の主食を作るための農地は一体どうなるのか。自分の食うものだけ作る農地はどういうふうになるか。
  8. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) これは広く生産の一環から言えば、やはりこれも一つ公共性だと思います。
  9. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 それじやもう時間がないようですから、たくさんあることはもうあとにして言わないことにします。それでもう一つお聞きしたいと思うのですが、農地買収を、前の価格で売収をしたものを譲り渡しができないでおつた農地を、今売渡しを請求されて売る時分には、その価格はどうなりますか。
  10. 平川守

    政府委員平川守君) 価格につきましては買収した時の値段ということでなしに、その時々の価格をきめておるわけであります。従つて現在は、現在の定められた法律によつて定められた価格で売渡すという建前になつております。
  11. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 実は徳島県の大野村から質問者が来て、それによつてお聞きしたわけでございますが、そうなりますと、これに書いてある通りで、安い価格買収したものを、今の価格で売ることになると、国が相当利益を取る。そこで元の価格買収されてその本人不満の意を持つておるのを、その不満を持つておる地主だけ損失を負つて、国がその利益を取るということは、甚だ矛盾ではないかと、こういう質問なんですが、どうなります。
  12. 平川守

    政府委員平川守君) 一括買収を前にいたしました部分、そういうものについては、前の値段で売るわけであります。新らしい法案におきましては、先ほど申上げたような考え方であります。
  13. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 これは念のために、ほかの委員もそういうことをお考えになつておるかたがあるんですから、はつきりしておきたいと思いますが、私がお尋ねをいたしましたのは、前の価格買収をしておつて、そのときは譲渡にならないで今日まで来た。それで今売る時分に、その前の買収をした価格で売るのか、前の価格買収したものを今の価格に直して国が売るのかということですが、それが今局長お答えのように、前に買収したものでも、今売る時分にその買収をした価格で売るのだ、こういうことになればそれでいいのですが、そうでなくて、前に買収したものが、今売渡しをする時分には今の価格で売るのかと、こういうことを聞いておるのですが、それをもう一遍明確にして下さい。
  14. 平川守

    政府委員平川守君) 未墾地買収のことを言つておられるわけですか。
  15. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 いや、田も畑もありますよ。
  16. 平川守

    政府委員平川守君) 旧法で、一括買収買収しましたものは、大体直ちに売渡しておるわけであります。それが何かの事情で今のお話のように遅れておつた、これは元の価格で売る、旧価格で売る。
  17. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 元の価格で……旧価格ですね。
  18. 平川守

    政府委員平川守君) 旧価格で売るということですね。
  19. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 それはそれでおきまして、これは農林大臣お尋ねをいたしますが、農地に対する金融の道がさつぱり開けてなくて、現在政府心配されておることは、借金があつてどうにもならぬものは、一応国にその土地買収してもらつて、又本人に売戻すという手続よりないわけなんですが、それは最後の手段でありまして、そこまで来ない先に百姓というものは計画的に借金をするものではございません。咄嗟に金の要ることができて、その急な金の要ることで今非常に困つておる。そこで大臣が御心配になつて農林金融公庫をお作りになろうという御計画があるようですが、現在の項目に入つておるものはわかつておりますが、それには相当疑義があるので、農地担保にしてどうこうということはこの際見送つて、一応それはやらんことにしたからいいじやないかという御意見があるようでございます。そこで担保に取つても、誰でも金融業者担保に入れるというのではなくて、特定のものに一時担保に入れて金融をすることが最も農家金融の途を開くゆえんであると思うのだが、それも開けておるとは考えられまん。やるならやれんわけではありませんが、それは合法か非合法かは別にいたしまして、現在の百姓自分の収穫以上に金が要るときには、もう担保物がなくて信用の限度がきまつておりまして困つておりますが、大臣は非常にその点御心配になつていますから、それを今どうお考えになつておりますか。一応お聞きしておきたいと思います。
  20. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) これはあなたの御指摘通りで、農村金融を確立しないということは、本当に戦後におけるこれは欠点であります。そこで私たちは最初から国家資本を入れて、それに一般市中銀行まで随いて来る構想でやつております。而も又、人身売買その他、農地零細化等を防ぐ意味におきましては、金融によつて低利長期金融によつてこれをやる域外、途はないのであります。で、今度農村金融に対しての案を持つておりますが、まだ農地担保のことが、少し事務的に、いろいろな点がまだ残つておりまするが、おつつけそれをやりたい、こういう考えでおるのであります。農地局のほうとしては各府県とも緊密な連絡のとれるような組織をも持ちたいというような考えもあるのであります。これも私たちも、さもありなんと思つておるのでありますが、そういうわけで、省内で十分研究はいたしておりますが、どうしてもこの農地金融担保を確立いたしまして、そして又その上に市中銀行がついて来て、そうして農村金融から閉め出されないで、而もその安い長期の資金を使つて、そして生産をどんどん上げて行くようにしたい、こう考えておるのであります。ただ少し事務的にぎこちない点がありますので、これを成るべく早く軌道に乗せて、そして地方と中央とが、完全にこれが連絡がとれ、而も又疑義のある点はそれを氷解するようにして、直ぐこれはやりたい、私はこう考えております。
  21. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 これで終りますが、今大臣お話を承わりますと、我々の考えておるように、大体近い点をお考えになつておるようでございます。農地担保にいたしましても、特定のものを売つてすることは、私は決して農地解放に逆行するものとは考えておりません。そこでそういうことを目指して是非一刻も早く農業金融土地担保によつて行われることになりませんと、大臣の御心配のように、もうやがてそう長くせんうちに、どうにもならんようなことになる事態が来る場所があると思います。一刻も早く今のお考えを各省に了解を得て実現するようにお願い申上げておきます。終り。
  22. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 余計なことかも知れませんが、私たちよりもつと深く御研究になつておるあなた方ですから、言う必要もないことですが、こうして我々が農村金融のことを考えておる間に、闇金融が跋扈いたしております。この闇金融が、金利その他を調べさせておりますが、寒心に堪えない事実がもう相当出て来ております。こういうようなことが却つて人身売買の元になつておるのであります。早くこの禍根を断つて低利長期の金を流して、人身売買を未然に防ぐということでなければなりません。人身売買の出た現象のみを追つて行つたのではならんので、人身売買の本当の基礎は悪辣な地方闇金融にある、私はこう見ておるのであります。その他の條件もあるようでありますが、それが非常に大きなもとになつておるようでありますので、我々としては真剣にこれには取組んで行かなければならない。こう考えております。
  23. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 簡単に質問をいたしたいと思います。これはこの前に島村委員からも或る程度質問があつた事項でありますが、農地価格の問題であります。これはどうも私は今度の法案でもその点が殆んど考慮が払われておらないという感じが強くいたしたのであります。と申しますのは、従来は政府買上価格は勿論でありますが、一般民間売買の場合においても農地価格統制しておつたわけであります。これを二十五年から一般取引のほうは統制を解いているわけであります。そこで強制譲渡の場合には大体平均して反当五千円ぐらいになつております。ところが一般民間取引は数万円になつておる。これはこの間、農地局長説明としては、政府買上価格耕作権を含んでおらない。こういう説明で、これは観念的にはわかるわけですけれども、併し実際問題として耕作権土地価格というものをさように器用に分け得るかどうかは疑問である。而もこの間、例の農林省の案で参りますると、例えば田につきましては自作地価格小作地価格との差額が耕作権価格になりますが、大体一万五千円ぐらいになります。そうすると、政府買上価格は五千円で、これは耕作権を含まない価格であります。耕作権を仮に一万五千円だとしますと、耕作権を含んだ一般取引は二万円内外ということになるわけでありますが、併し一般取引はもつと高いのじやないか、こう思うのであつて、そこで民間売買価格統制していいかどうかは、これは一つの大きな疑問だと思うのですけれども、併し政府の買う価格民間取引価格と非常に段差が付いて来ますと、そこに私は一つの問題が起るのじやなかろうか。而も政府考えとしては、これ以上は大規模な農地改革はやらないと、こういう方針でありますれば、やはり現在の米価なりその他から見て、要するに正当なる経済価格として、或る程度統制したほうが私はよろしいのではないかと、実はまだ未熟でありますが、ともかく政府買上価格だけは固定しておく、民間売買価格は全然放つておくという考えは、この前一部議論なつ政府の買入価格経済価格ではないのだと、或いは没収価格だというような非難も私は出て来ると思うのであります。これはまあ、あとの討論の際にも申上げたいと思つておりますが、これは今度の法案は極めて従来の三法令を集合したに過ぎませんから、今回は無理でありましようが、この問題はやはり農地担保金融をするかせぬかという問題とも絡んで来る問題でもあるわけで、この辺を一つ政府は、やはり民間売買は依然として統制をしないという方針でありまするかどうか。これはやはり大きな問題だと思うのであつて、その辺の考え方を、簡単でよろしうございますが、お答えを願いたいと思います。
  24. 平川守

    政府委員平川守君) 片柳さんが言われるように、今回の法案としましては、従来の三法令を踏襲したということで、一応従来の考え方をそのまま踏襲しておるわけであります。勿論この耕作権の問題においては、法律的に耕作権というものがはつきりしておるわけでもありませんし、いろいろ問題はあろうかと思います。ただ政府買上価格は、つまり小作地だけであります。つまり耕作権まで取るという買上価格ではないのであります。従つてどうしても小作料というものが一つ基準になつて、これを還元した価格と、小作料というものを統制しておる以上は、それを還元した価格というものもおのずから決まつて来る。こういうことになる。事実上民間におきましても、例えば地主小作人に売る、こういう場合には、やはり政府価格に近いわけであります。お話の二万円或いは三万円という値段の出ておりますのは、この自作地自作地として他の自作農売買されると、こういう場合であつて、実際問題として必ず耕作権が付いておる。そこで法律的に耕作権というものがはつきりしておるわけではありませんけれども、経済的にもおのずからそういう差がはつきり自然に出ております。政府買上の場合は耕作権のない場合でありますから、その民間地主がその小作者に売渡す値段というものとそう開きはない。従つて政府が特に不当に安く叩いておるというふうには考えられない。小作料というものを統制している以上はおのずからそういう現象が出て来る。それからもう一つの問題としては、自作地価格そのもの統制するかどうかという問題があるわけです。これについては勿論、議論はいろいろあろうかと思いますけれども、我々といたしましては、この農地自作地価格そのもの統制するということは実際上非常に困難でもありますし、非常にぎごちない、実情に即しない統制になる虞れもあります。大局的に、自作地として売買される場合には、おのずからその耕作者米価その他の農産物価格から計算しての、農家としての農業所得からの計算と価値というものが基礎になつて、おのずからきまつて来るであろう。そこに農業者以外の者が自由に手を出せるようになりますと、そこに農業以外のいろいろな要素が入つて来まして、非常に農地価格が暴騰するという虞れもありますけれども、買手のほうを非常に制限しております。従つてそう農業採算を無視したような価格というものは出て来ないのであります。お話の点は非常に問題でありますけれども、農産物価格から計算して、一種の統制価格自作地について作るという考え方は、非常にぎごちないことになるのじやないか。それを実際上、農産物価格から計算した農業所得農業収入というものを基礎に置いた自作地価格というものが、買手のほうを制約さえしておけば自然に出て来るのじやないか。こういう一応の考え方をとつておるわけであります。
  25. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 まあその点は、ですから深く研究を願いたいと思うのでありまして、この間の麦のように麦の取引が自由であつて政府に売れば、例えば石当り何千円だということになれば、それに大体牽制されますけれども、政府の買うのは極めて限局された場合しかないのですから、それで一般取引価格が限定されるということはないのであつて、これは一つ根本問題としてお考えを願いたいと思います。もう一つ、やはりこの間の農地法政令の案を見ますると、政府への強制譲渡価格地方税を課する場合の農地評価とは観念が違うわけです。これは地方税法の際に私は質問しておつたのであつて、要するに税を課する場合の農地評価と、それから政府が買う場合と言いまするか、農地法統制する農地価格評価の方法と違うわけなんであります。私は、これがやはり一つの問題ではないかという点と、この政令を見ても、強制譲渡の場合には大体従来通り小作料基準として逆算された価格ですが、未墾地の場合においては、これはやはり税法価格を大体とつているわけです。大体税法に準拠して価格を算定している。ところが農地価格そのもの税法評価農地法評価と全然違うわけなんです。私は、国が税金を取る場合の土地経済評価と、それから農地売買の場合における経済評価とが違うことはおかしいのじやないかということを、この前も実は地方税法の際に質問いたしておるのであつて、その関連も是非一つ考えてもらいたい。この場合においては、未墾地については税法評価をとつている。ですから、この辺もやはり首尾一貫せぬところがあるのじやないか。そういう問題がありますることを一つ次の機会によく御研究を頂きたいという希望を申し述べておきます。
  26. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私二、三お聞きしたいのですけれども、これは前に局長からは一応伺つたのですが、大臣が折角お見え頂いておりますので、大臣から一つお答えを願いたいのですが、この法律は、その目的に謳つてありますように、耕作者の地位の安定と農業生産力増進を図ることを目的とすると言つて、看板を打ち出しているわけです。そして従来の例えば自作農創設のごとき臨時的な立法をここに恒久法にしている。そこで、そういうふうな点から見ておりますというと、妙なことは、同じいわゆる農業生産力増進のために、又広く土地洪水であるとか、河川洪水等を予防するために作つている御承知の保安林であるとか、或いは河川法砂防法、こういつたものを排除して、優先しているのです。もとより説明は、一応そんなところは未墾地開拓基準の際に相当考えるのだというけれども、相当明らかに排除しているのです。そういうことをあとで……でありますので、この点は非常におかしいのじやなかろうか。臨時立法で以て非常に僅かの三年とか短い期間に急速に未墾地買収をして、そこに農耕地を作り、あの際の目的を至急貫徹するという問題なら、或る場合においてわかるけれども、これはいやしくも恒久法です。これでは同じ目的のものを一方において破壊しておる。丁度何と言いますか、生産力を増強しようと言つているくせに、その増強をカバーすべき屋根を一方において突ついている。このことは私は非常に遺憾な点なのであります。幸いこの排除の法令は何かということは、政令で決めることになつているのです。一応政府の今政令で決めようという腹案を頂きましたところが、そういうような重要な河川法砂防法森林法保安林或いは保安予備林というものを排除しようとしているのですが、これは十分に考えて頂きたい。而もこれを今まであつた政令に比べるというと、国立公園法に関係する部分はこれを今度はオミツトする、これは排除しないということになる。或いはいわゆる天然記念物、今の文化財保護法による、こういうものは今度は排除しないことになつておる。全く日本としては、文化国家になるためには、そういうものに敬意を払う必要があるかも知れない炉、そんなよそ行きの着物どころじやなくて、実際平素の着物が大切なんです。私は政令をお考えになりますときに特段にこの点を再考されまして、一路この目的とするところの農業生産力のいわゆる増進農家の安定、こういうものが実現しますように特段の御配慮を願いたいと思うのですが、この点についての御意見を伺いたい。
  27. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) これは御指摘通りで、この広い農業の上から言つて甲乙はないことはこれは事実であります。で、又生産力を増強する上においても、増産意欲を増す点においてもこれは全く同様であります。又国土の保全から言つても大きく取上げなければならんのであります。御指摘の点は運用の上におい十分尊重いたすために、政令を作る場合にはこれは慎重に検討いたしまして御期待に副うようにしたいと思います。
  28. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 もう一点、かねてから例の早々の間にありました昭和二十二年、三年当初における未墾地買収行き過ぎを、みずから政府自身もお認めになつて、今度は八十條という條章を設けて、行き過ぎで、これは農耕目的に達しないという所は、元の所有者に戻すというのを加えられて頂きましたことは、全くこれは土地生産力土地を集約して使う者にとつては、これは喜ばしいことで、お礼を申上げなきやならないのですが、先般来、政府当局と申しますか、事務当局から伺つていますというと、全国で四万七千町歩ばかり一応考えられる。但し北海道の問題である国有未墾地のなかで不適であるものはその面積の外である。こういう説明があり、又その数字については一応県庁からその見込をとつ数字であつて、なお詳細に調査した場合においてはこれは変るというお話があり、いずれも一応御尤もの点でありますけれども、これを私どものほうで一応自分で調べたほうの側から言うと、そういつた四万七千町歩程度のものではない。同時に又、今までの買収或いはそのなかの地区計画の済んだもの、或いは入植の済んだもの等を大体の資料に基いて別途の見方から見ますると、酷いのは三分の一以下。ちつとも珍らしくない、三分の一以下が……。或いは半分という程度であり、又入植の最も中心だと、考えられます北海道の最近の業績は、非常に適格者を厳重にお調べになつて、各府県に割当て、そうして入植地をきめて計画を立てられました二十六年度の実績も非常に成績が悪い。もとより南の方から北に行くというのでなくて、東北大県から割当てられて行くものの計画自身が半分しか実現されていないというような際であります。でありますから、私はそういうふうに予備地を沢山持つておるところの地区については、一応買上げを停止して、そうしてその後におきますところの入植状況等を勘案しながら行くことのほうが、土地を集約して無駄なく使うのに適切じやないだろうか。もとより日本としては、当然、農耕地になるところは農耕地にし、それが立派なものに早く農地目的を達することは願わしい当然のことでありますけれども、そういう問題が考えられるのであります。  私はこの際、大臣にお聞きしたいのは、運用の面において、そういうような、ただ、とつとつとつと先のほうに買い拡げて行くのではなくて、或る地区は暫く待つて、むしろ入植のほうに力を入れ、或いは入植して、まさに離農しなければならないような惨めな姿になつているところにもう一遍注射をして、そこに立ち直らせるといつたような、国費の使い方等について、是非お考えを願いたいのが第一点と、それから行過ぎであると誰が見ても見られるところを、役人のいわゆる職務熱心と言えば大変結構ですけれども、いわゆる形式的な責任感からして、その不適地だから戻す面積を多く出したのでは、先輩に恥をかかせる、或いは自分の担当している仕事に対してどうも申訳がないなどという従来の下らない観念に疑われないで、そこはざつくばらんに、非は非として行くということに、特段の御推進を願いたいと思つているのですが、これについてどう考えられますか。その二点でございます。
  29. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) これは御指摘のように、実際一つ一つの現場を見まするというと、あなたの御指摘のような点がよくわかります。私も地方はよく歩きましてその感を深くいたしております。又この入植者に対して重点的にもう少し考えないかということは、そういうようにしたいと思います。又どうしても成功しないものに対しても、あなたのお考えのように配置転換なり何なりに国費を使わなければならんと思います。この不適地の返還について、単に形式的にやつておるから数字が少いのではないかということですが、これも私はあると思います。そういうような点をかれこれ勘案いたしまして、運用の面については十分効果を挙げるように努力いたしたいと思います。
  30. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 時間も余りないようでありますが、私から最後に一言希望を申上げておきたいと思うのであります。それは、この農地法案の審議過程に、たまたま農地問題について各方面で議論が闘わされ、なかんずく先般現在のアメリカ大使館農務官のラデジンスキー氏並びに東大教授近藤康男氏両氏が所論、所見を発表して、この問題に対する見解を明らかにしたのであります。ラジンスキー氏は、農地改革は崩れてはおらないが、若しその危険が日本にあるとするならば、それは農地の相続による細分化であるということに問題の重点を置かれておるようであります。更に六百万以上の農家が六百万町歩という狭隘の土地の中にひしめきあつているというところに問題の中心を置いておるようであります。これに対して近藤教授は、農地改革は農民の期待に反しておるという意味で、それぞれ異つた角度から問題を論じられておりますが、私ども今回の農地法案を見まして、過去の三法案がまとまつて一つ法案に整理されるわけでありますけれども、問題は何と言いますか、資本主義と言うか、自由主義の経済の中にあつて、この特段農地に対する規制をしているこの法律というものが、いろいろな角度からは論じられますが、併し我々は日本に隣する中国の例を見ましても、中国の農地改革に不熱心である蒋介石国民政府の失敗の例を見ましても、いろいろな問題はあるにしても、農地改革というものが日本の政治上に重要な寄与をしたという事実を、我々認めざるを得ないわけであります。それが若し非常な後退をするというようなことになりますというと、ここに新しい経済闘争、政治闘争の違つた局面が又展開されることになつて来るのではないかという杞憂を持つわけであります。併しながら一面において、この自由主義的な経済の中で、特定立法措置で土地の問題を規制するということが非常に困難であるということはわかりますが、これは是非政府がこの運営の面で、その困難ではあつてもそれは排除して、成るべくこの改革の精神を崩さないようにして行つて頂きたい。これは我々の希望の一つであります。  それから幾ら土地売買の問題等を法律等で規制いたしましても、先ほど片柳さんも若干触れられましたけれども、農産物価格の問題或いは農業収入全体の問題で適正なるバランスが得られなければ、みずから耕地を売らなければならないような羽目に追い込まれることは事実であります。法律上、農地問題を法律によつて規制すると同時に、他面において、やはり農業が採算の合う一つの事業として成り立つて法律の保護如何にかかわらず農地を手放すことのないような経済的な基礎というものが、農村の中に、特に農家の生活の中に確立しなければ、この農地法の将来というものについていろいろな杞憂というものが湧いて来ると思うのであります。そういう意味におきまして、農地改革の精神を崩されるということは非常に我々としては困りますけれども、同時に又それだけに頼るのではなくて、今申しましたような、農業が他の産業と同様な基盤で、つまり仕事として成り立つ、農業だけ特別なものでなくて、他の商業生産と同様に企業としても成り立つような経済的基盤の上に置かれることを期待するので、その場合は、政府農産物価格の問題或いは農村金融の問題、その他格段の御努力を願つて、農民の経済の安定を通じてこの農地改革の案質的な進行が期待できるというところへ持つて行きたいと思うのであります。これは私の希望でありまして、それぞれ本法案の中には問題があるということは御指摘になり、又各委員の皆様から修正の御意見も出たのでありますが、会期切迫の際、多忙の間にどうかということで、皆さんが他日を期せられて今回の衆議院送付原案に対する修正というようなことは適当なる機会にということになりましたので、それらの点もお含みの上、将来本案について十分の御検討あらんことをお願いする次第であります。
  31. 山崎恒

    ○山崎恒君 他に質疑がなかつたならば、この辺で一つ討論採決をせられますよう動議を提出いたします。
  32. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今山崎さんの動議の御意見がありましたので、さよう取計わせて頂きます。それでは他の御発言もないようでありますから、これより討論に入ることに御異議ありませんか。    「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより討論に入ります。農地法並びに同施行法案について討論に入ります。御意見のある方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  34. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 私は農地法案及び同施行法案に対しまして、要望を付して賛成の意を表するものであります。  本法案は、まだ日本農業基礎的視野から見ます場合におきましては、幾多の欠陥があるものと言わなければならんのであります。なお又これを逐條的に見ましても、納得の行かないところも勿論沢山あるようでございますが、過渡期のことでもあり、又逐次改善して、我が国の農業事情に即するようにして行かなければならんものと思うのでございます。次に地主制度の復元と農村民主化の逆行というような点から考えましても、多分にまだこの法案には欠陥があると思うのでございまして、特にこの点に注意を払つて頂きまして、運用の万全を期して頂きたいものと思うのでございます。  なお又貧農いじめにならぬように、耕作農民の保護という方面からいたしましても、又耕作農民の生産意欲の昂揚を害せざるように考慮を払つて頂きたいのであります。  なお又国土の保安と農業生産力の増強に寄与し、日本農業の特徴を伸張せしめ、農業生産力の発展と農民生活の安定を確保するために誤りなきよう、本法案運用を期しますように希望いたしまして、賛意を表するものでございます。
  35. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私は只今議題となつております農地法案及び農地施行法案に対し、次の條件を付して賛成をいたします。  その第一は、去る六月十二日の当委員会において小林孝平委員からも指摘されたのでありますが、その他の資料等に徴しましても、農地改革に逆行するような事態、その一、二の例を挙げますと、固定資産税を納めるために土地担保にして金を借り、事実上土地を失つておる農民ができておるという事例、或いは土地を全部売つた者が表面上は経営者であつて、従来の小作人が雇人に代り、収穫は地主の収穫となつて小作人には手当を出しておるというような事例、これらのほんの一、二の事例を申上げただけでも、かかる通行の事態が頻発せんとしていることは、農林当局の答弁の如何にかかわらず、否定することのできない事実であります。かてて加えて、農地、特に熟田の潰廃及び経営規模の零細化も又蔽うことのできない事実なんでございますが、もろもろの事実には目を蔽つて、単に従来の三つの法令を統合することによつて、本法案を以て農地改革の基本法であると自称されることは、失当も甚だしいと言わなければならないのであります。  併し今日はポツダム政令が切換の必要にも迫られておりますし、なお徹底的な審議を尽すのに時間的な余裕もないということでありますので、止むを得ず本法案に賛成をいたしますが、併し政府は速やかに本法律に再検討を加えて、農地改革の基本法として名案共に完備したものたらしめるよう努力をせられたいのであります。  それから第二は、農地改革の成果を維持する要締は、自作農維持、特に自作農維持に必要な資金の融通という問題であります。今回企図された国における農地買収及び売渡しというやり方は、かかる措置をとられるに至つた政府の労を多とするところでありますが、併しかような姑息彌縫的な手段では到底問題は解決できないのでありますから、よろしく政府におかれましては速やかに抜本的な方策を確立せられたいのであります。  それから第三には、国の巨額な投資と農家及び開拓者の長い間の努力によつて培われた農地及び開拓地が、駐留軍或いは警察予備隊等のために接収或いは使用せられることは、国家経済からいたしましても、又、国民社会から見ましても、極めて重大な問題でありますから、かような用途に農地及び開拓地を使用することは、原則としてこれを避けるよう措置すべきものであり、而して万一真に止むを得ない事情によつて避けられない場合は、政府において被害者の救済に対して最善を尽されたいのであります。  以上です。
  36. 小林亦治

    ○小林亦治君 簡単に討論を申上げたいと思いますが、今年の十月二十五日限りで現在の農地関係法が革命力を失つてしまうので、どうしても本法のごとき繋ぎ法が基本的に必要である。その観点から私は両法案に賛成するものなんでありまするが、只今飯島委員からも申されましたように、その内容が甚だ不満足なものが多い。少くともおよそ近い将来にその改正を願わなければならない案件がたくさんあるのであります。私の微力によりまして諸般の事柄が修正に至らなかつたのでありますが、どうか一つこの本法が施行される前に、行政的な措置でその不十分が能う限り解消されるような方途を講じてもらいたい。  具体的に申上げますれば、本法の出るのを狙つて幾千町歩という厖大な山林を持つているところの地主が開放を阻んで、本法の効力の生ずるのを待つているという状態が全国にたくさんあるのであります。こういうことは逆行も甚だしいので、是非ともかかる盲点を生かさないように特段の御配慮を願いたい。  これも又何回も申上げたことなのでありまするが、将来の農政に資するというこの一点なんであります。例えば累代に亘つて村落に居住し而も農地は手に入らない、いわば止むを得ずに日雇をしているという階級に対しては、殆ど農地を売る見込なきにまで封鎖されている観があるのが、本法の内容の一部になつているのであります。こういうことのないように、農村に居住する者はこれは無條件で、一反歩なり二反歩なり、殊に開放地のごとき場合、未墾地のごとき場合は、これはもう優先してやれといつたくらいの配慮を願わなければ、将来の農政というものは農村にはマツチしないものになつて、既存農家尊重ということになるのであります。その結果は、統計の示すように、大農家に比較して、中小農は生産力が割高であるということにもなつておりますので、増産の上からも是非とも今私が申上げましたような政策をとらなければならないと思うのであります。  まあ大体かいつまんで申上げますれば、以上の二点に尽きるのであります。まあ山林地主の狙つているところの、復古調の波に乗つて、再び農村支配を考えているところの山林地主に武器を与えないように、山賊に武器を与うるようなことにならないように、それらを計画しているものが若しあるならばこれを未然に抑えて、本法施行後は、本法によるところの、そういつた弊害が生まれないようにして頂かなければならない。その行政が若しもまずく行つたとするならば、いやでも応でも次の国会においては、大幅な修正案というものを私どもは提出しなければならんことになるので、この点を十分善処せられるようにお願いしまして、私は会派を代表してこの両法案に賛成するものであります。
  37. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 私は農地法、同施行法については、遺憾ながら賛成をするものでございますが、法律案につきましては飯島委員小林委員から述べられたように、非常に粗悪で遺憾な点があるということは前に申されましたから、同じ意見申上げません。そこで農業というものの考え方でございます。私は先般近藤氏と意見を交わしましたが、近藤康男氏は私の意見と合致いたしております。それは合致しているが、法律を作つた後に曲げられて、かような状態になつていることを言明いたしております。それは日本農業というものの基本的考えであります。それは農業というものは家族構成によつて業務が行われるのでございまして、固定したものではございません。そこで現在では家族構成を拔きにして、単なる事務的な家族構成によつて固定いたしておりますから、これでは日本農業は絶対に生成発展はできんということを言明申上げます。  それから、政府は、零細農を防ごうという趣旨弁明もいたしておりますが、今の農業は零細農であります。これを称して零細農ではないというお考えなれば、最も間違いも甚だしいものであります。二反三反という自作をせられることが私はこの農業の中に入つておりませんので、単なるそこで住居するときの、その生活を支えるための措置でありますから、これを論ずる必要はございません。今後政府は一刻も早く日本農業というものの基本をお考えになつて、それによつて法律をお作りにならないと、現在のようでは日本農業は没落こそすれ、決して生成発展せぬことを言明申上げまして、この法案に賛成申上げます。
  38. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 他に御発言もなければ、討論は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。農地法案並びに農地法施行法案を一括して採決をいたします。両案について、衆議院送付原案通り可決することに賛成のかたの御起立を願います。    〔賛成者起立〕
  40. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 全会一致でございます。従つて法案は原案通り可決することに決定をいたしました。  なお本会議における委員長の報告の内容等は、従来の慣例によることを御了承願います。なお多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     西山 龜七  加賀  操     山崎  恒  岡村文四郎    池田宇右衞門 大野木秀次郎     宮本 邦彦  赤澤 與仁     飯島連次郎  片柳 眞吉     島村 軍次  三浦 辰雄     三橋八次郎  松永 義雄
  41. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩    —————・—————    午後一時四十五分開会
  42. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今から委員会を再開いたします。本日の議題は、臨時石炭鉱害復旧法案農林関係の件、大蔵委員会に予備付託となつております飼料需給調整のためにする食糧管理特別会計法改正案の取扱方の件、食糧管理法施行令の件、及び農林漁業金融公庫法案(仮称)の件等でありまして、順次御審議を煩わしたいと存じますが、都合によつて速記を外すことといたしますから御了承を御願いいたします。速記をとめて下さい。    午後一時四十七分速記中止    —————・—————    午後三時三十五分速記開始
  43. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 次に議員派遣の件を議題に供します。お手元に配付いたしました要領により議員派遣要求害を議長に提出いたしたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 御異議ないものと認めさよう決定いたします。次にお諮りいたしたい件は、農林政策に関する調査の件ですが本院規則第五十五條によりまして本調査の報告書を議長に提出しなければならないことになつておりますので、この件に関してはまだ調査が終つていないということで報告するこことし、会期の点もございますので、その手続、内容及び取扱いは委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではさよう決定いたします。なお順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     岡村文四郎  赤澤 與仁     三橋八次郎  飯島連次郎     三浦 辰雄  島村 軍次     片柳 眞吉  西山 龜七     山崎  恒
  46. 羽生三七

    委員長羽生三七君) なお本調査は、各委員も御承知のように、諸般の情勢からますます重要性を増して参つておりますので、閉会後も引続いて調査を行いたいと思いますから、御了承をお願いいたします。  なお閉会中の継続調査につきましては、本院規則第五十三條により要求書を提出しなければなりませんので、この件につきましても会期の点等により、手続、内容及びその取扱を委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 御異議ないと認め、さよう取計らうことにいたします。  それでは本日はこれで散会いたします。    午後三時五十分散会