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1952-06-19 第13回国会 参議院 農林委員会 第54号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十九日(木曜日)    午前十時五十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            加賀  操君            山崎  恒君    委員           池田宇右衞門君            瀧井治三郎君            宮本 邦彦君            飯島連次郎君            片柳 眞吉君            島村 軍次君            三浦 辰雄君            三橋八次郎君            小林 亦治君            松永 義雄君   衆議院議員            井上 良二君   政府委員    農林省農地局長 平川  守君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   —————————————  本日の会議に付した事件 ○飼料需給調整法案衆議院送付) ○農地法案内閣送付) ○農地法施行法案内閣送付)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。  本日は先ず最初に飼料需給調整法案について提案者から提案理由説明を求めることにいたします。本法案衆議院議員井上良二君外九十五名の発議でありますが、提案者を代表して井上議員から提案理由説明を願うことにいたします。
  3. 井上良二

    衆議院議員井上良二君) それでは私から提案者を代表いたしまして只今予備審査をお願いすることになりました井上良二外九十五名提出飼料需給調整法案につきまして提案理由を御説明いたします。  只今議題と相成りました井上良二外九十五名提出飼料需給調整法案につきまして提案理由を御説明いたします。  御承知通り畜産振興農業有畜化は戦後新らしい農業政策の一環として大きく取上げられて参りましたが、特に食糧政策上、或いは国民食生活改善の見地から、家畜増殖有畜農家維持創設が重要な問題として検討され、その計画も漸く軌道に乗り始めましたことは誠に喜こばしいことと思うのであります。然るに最近の飼料需給とその価格事情は極めて不安定でありまして関係当局の懸命の努力も、又当局から関係業者に対して発せられました再三の自粛価格要望も、遺憾ながら殆んどその効なく、万一このまま放置いたしますならば、有畜農家飼料購入難を通じて、折角家畜増殖計画も行詰まるのほかなき事態に立至りますことは、火を見るよりも明らかなことと存ずるのであります。  申上げますまでもなく、この飼料需給の不安定と価格の高騰は、年々増殖されます家畜の頭数に比較し、飼料の絶対量が不足しておりますことが根本的な原因でありまして、自給飼料購入飼料積極的増産飼料輸入の増加によつてその根本的な解決を図らねばなりませんが、何と申しましてもそれらの政策が完全に実施され、飼料の供給が充分になりますまでにはなお相当な時日を要することであり、当面する有畜農家飼料難を除去いたしますためには、どうしても国の手によりまして飼料需給を調整し、価格の安定を図る方途を講ずる必要があるのであります。又特に「ふすま」等につきましては、麦類輸入又は政府管理に際して莫大な補給金が支出され、それらはすべて国民租税負担によつて賄なわれているわけでありますから、政府の手から売り渡された麦類について生ずる「ふすま」は、当然安定した価格飼料消費者の手に渡ることとしなければならないと存じますので、これらの諸点を勘案いたしまして、当分の間、国が飼料需給調整を行うことが最も妥当な方途であると存じ、ここに飼料需給調整のための立法措置を講ずることといたしたのであります。内容の主な点につきまして御説明申上げますと、第一に、政府農林大臣が定める特定飼料需給調整計画に基きまして一定量の飼料買入、保管及び売渡を行い、買入及び売渡し農林大臣が定める標準価格によつて行うこととし、買入及び売渡しの時期、数量、種類等については需給計画で定めることといたしたのであります。  第二に、飼料売渡しにつきましては、原則として入札の方法により一定価格以内で売渡規定を設け、又売渡しに当つて政府が必要な条件を附することができることとし需給の円滑を期することといたしております。  第三には、農林大臣が必要に応じて飼料の製造、販売、輸送、保管及び消費等に関する報告を徴し得ることとし、第四に、以上の諸項目を最も適正に実施し、且つ関係者の意見を十分尊重するため飼料需給調整審議会を設けることといたしたのであります。  以上がこの法案の目的及び内容の概略でありますが、畜産振興の上からも、又農業政策全般からみましても飼料の問題は極めて重要であると存じますので、何とぞ慎重御審議上速かに御可決下さいますようお願い申上げる次第であります。
  4. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 本案につきましては質疑を後日に譲ります。
  5. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 昨日に引続いて農地法及び同施行法案について質疑を続行することにいたします。
  6. 松永義雄

    松永義雄君 昨日に引続きまして第二十四条の解釈についてこれを明らかにしておきたいと思うのであります。第二十四条を読下して参りますと、主作物価額の一割五分以下の小作料を納めた小作農減額請求はできるのかどうかという点をお伺いいたします。
  7. 平川守

    政府委員平川守君) 小作料の額の原則につきましては、これは定額金納一定市町村農業委員会が定めた額を超えない範囲の一定の制限があるわけであります。従いまして一般には一割五分を超えるというようなことはないわけでありますが、たまたま非常なデフレーシヨンでありますとか、或いは災害等関係で主作物生産額そのもの通常生産よりも非常に滅殖をした、或いはその価額が非常に下つたというような場合には、小作料のほうが収穫の額に比べて割合が高くなつておる、相対的に高くなつて来る。そういう場合にその一割五分の程度までは減額請求することができると、こういうわけでありまして、普通の小作料は当然一割五分以内のところに法定されておるわけであります。従つて質問のような場合は一般的には起らない、そういう特殊の場合に起つて参るわけであります。
  8. 松永義雄

    松永義雄君 只今答弁によりますと、私の質問する場合は特殊の場合であつて一般的でないと、こういうお話のように聞いておつたのですが、例えば「ごぼう」なら「ごぼう」を例にとつてみればいいと思う。東京の市場へ持つて来て運賃その他の費用を加算すると、一つには商売にならない、合わない、で、収入はあるけれども収益にはならない、利益にはならない。そういう場合においてもなお且つその売上金額というもののうち一割五分をどうしても納めなければならんということになるのかどうか。
  9. 平川守

    政府委員平川守君) つまり小作料額そのもののほうは、通常その畑において生産される作物、それにその土地で売つた場合の値段、こういうものを掛けますというと、実際この畑一反歩からは年にどのくらいの収入が、収穫があるものだと、こういうことがわかるわけです。それに対して小作料のほうは、それから比べれば一割五分よりはずつと下のところに通常きめられておる。で、例えば具体的に「ごぼう」とか、「なす」とかいうような、そういう作物のどれを栽培するのが有利であるかどうか、市場関係その他でここでそういう作物を植えるのが有利であるかどうか、或いはそういう作物を植えて今の市場価格で引合うかどうかというようなことは、これはいろいろ当該農家において選択をしなければならん問題であると思いますが、ともかくそこで恐らく一番有利と思われるものを植えるわけであると思う。少くとも畑であれば、麦とか、「いも」が植わると、そういう前提小作料というものはさまつて、かなり低いところに統制されておる。で、この一割五分云々というのは、それが通常予想されるよりも非常に値段が下落したとか、或いは非常に災害収穫が落ちたとか、こういう異例の場合においては小作料のほうが一割五分を超過する程度に、小作料のほうは考えておりますから、それを超過する程度にまで減産があつたとか、或いは値段が急に下つたとか、こういう場合にその当該年度について小作料をもう少し引いてもらいたいという要求ができるという、これは臨時的な場合を想定した二十四条というのは規定であるわけです。一般的にお話のようなこの作物を植えて引合うか引合わないかということは一般小作料統制そのもののほうで、この農地については、最高この程度小作料しかとれないというようなことは二十一条の一般規定できめられるわけです。
  10. 松永義雄

    松永義雄君 又あとへ戻つて質問したいのですが、この二十四条の米はまだ統制になつているし、麦は買上価格統制見たいなものになつている。そこでその価格算定法というものは、一応農民生活というものは見られているわけです。そこから二割五分を引いてもなお且つ農民生活は立つし、客観的に言えば再生産費もそこから出るというふうに考えられて、そしてそれから二割五分を引いても差支えないとする。小作人もいいし、地主もいいのだ。ところがこの二行目になりますと、これは自由販売の問題、だから販売価格は保障されておらないのです。おらないのに一再生産費を切るし、或いは通常生活費も切るといつたような非常な低い値に落ちたときでも一割五分の小作料を納めなきやならんのか。只今農地局長答弁だというと、どうも収入というものを対象にして利益ということを頭においておられないような感じがする。どんなに災害をこうむつても、収入があればその一割五分と……。私の言うのは生活なり或いは再生産費を見込んだその一割五分と、こういうふうに価格が算定され、その前提になるのはいいのですけれども、そういうことがないのです。それは収入は上りますよ、どんな不作だつたつて、「ごぼう」の一本や二本は残ります。残る「ごぼう」の一本から一割五分を引いて納めなきやならんのか、こういうことを聞いている。そういうふうにこの規定解釈はなるのじやないかと思う。ならなきやいいのですよ。何もならなきや構わない。そういうふうになるのじやないかと思う。それから一般の場合とおつしやるが、これはデフレということは農林省の歴史をひもといて見ればすぐわかる通り農産物の下落ということは一時的の現象でなくて、常時起り得る現象であるということはすでによくわかつていることなんです。これあるがために問題が起きたということは、しばしばここで私が言うておることなんで、いい加減に言うておるのじやない。終戦後土地減つたからとか、人口が殖えたから決して農産物は下がらんのだと、そういう考えで言われているらしいが、それに対しては、私だつて又それに対する理論に対してはこつちも反駁の理論は持つております。そういうこの問題の直接、埓外のことは別にして、問題は、私の聞いているのは、生産者利益の如何に、有無にかかわらず、その収入に対して一割五分というものをとられるのかどうかという、一割五分以下には下げられないのかどうかということを聞いておる。ただそれだけです。
  11. 平川守

    政府委員平川守君) 御質問の点が、多少私の答弁食違つているかも知れませんが、つまりこの法律案建前というものは、小作料というものはすべて定額金納に定めるということになつておるわけです。従つてこれはむしろ逆に耕作者を保護する意味において、昔のような物納小作料というものは非常に小作者に不利であるということで定額金納ということで納める。而も金額は非常に低いところに押えているわけです。大体申せば総収入の五%ぐらいのところに押えている。ところがこれはそういう原則でありますから、この原則を貫きます以上は、今度は耕作農民において、その年の収穫が多かつたか、少かつたか、或いは価格上つたか、下つたかというような危険は耕作農民が負担するというのが建前であります。原則としてはその危険は耕作者が負担するのだ。併しお話のようにデフレーシヨンがずつと来て、例えば農産物価格一般的に半分に下落した、こういうようにデフレーシヨンが続いたような場合には、この二十一条のほうで小作料基準を動かします。従いまして一般的にその場合には全国的な小作基準というものが今度は下つて参りますから、やはり総収入に対する五%とか、何%というような割合というものは大体において維持されるわけです。ただ当該年度において急な理由によつて、何か例えば非常に災害収入が激減したという、或いは非常な作物についての値下りがあつた、こういうようなことで基準を変更するに間に合わない。併し小作料建前から言えば定額金納でありますから、反六百円なら六百円という小作料はその収穫の多少或いは収穫物価格の変化にかかわりなく、とにかく納めなきやならんという契約であるわけです。併しそういう契約でありますけれども、その六百円の小作料生産物の激減、非常な減収或いは価格のほうの非常な値下りによつて、これが米なら二割五分或いは畑作物なら一割五分を更に上廻るくらいに収穫のほうが減つて来た、収入のほうが減つて来たという場合においては、この小作料を六百円を四百円にしてくれとか、三百円にしてくれとかいうその割合は、収穫された作物の一割五分なり、二割五分の限度までは要求ができますが、本来はそういう要求ができないというのが原則でありまして、定額金納で低いところに定めてあるわけです。それは収穫なり、収入の危険というものは農民自身が負担するのだという建前の下に小作料体系でできておるところへ、臨時的な例外としてその年度突発事情による減収の場合にはこの程度までは下げられる。従いまして、こういう二十四条が適用されるような場合におきましては、それで以て農家経営が立派に成立つというようなものではなかろうと思います。勿論それはそうでなかろうと思いますけれども、これはやはり定額金納小作料建前でもありまするから、その場合には耕作者自身も或る程度の損害を負担する。これに対する救済策は別問題としまして、小作料関係の問題といたしましては、一応定額契約しておるわけでありますから、減額請求権としてはこの程度までは請求できるというところにまあ押えたと、こういう考えであるわけです。
  12. 松永義雄

    松永義雄君 只今答弁の中から一、二拾つて、それに対して質問して行きたいと思うのです。いずれ基準をきめるときもあるのだと、こういう話ですが、これは過去の実験に徴して、デフレが始まつて来て再生産費が得られない、田圃を捨てて都会へ出るとか、畑を捨てて労働者になるといつた例が過去において見られた。基準を定めると言つて農林省が定める基準は百姓は参つちやつているのです。とてもそれは、もう二年くらいたつているのでしよう。一年ぐらいそこそこでやられるかどうか知らないが、一年であれば、その年にやるということですから、そんなことじやとても過去の例、過去の実験に徴して只今答弁はふさわしくないということ。それからとにかく小作農生産者であるから、自分の損益は自分が一切負担し、自分が獲得するのだと、こういうお話でしようけれども、併しこれはいつも言うことで地主は不労所得ですよ、働かないのですよ。賃借人は働くのですよ。働かないで以て所得しようと、片方は一生懸命働いているのです。働いてもなお且つ再生産費を残すことのできないような小作料をとられるのです。これはひとり小作人だけの問題でないのです。農産物生産そのものに問題がある。その意味で一割五分を収入の、儲かつても儲からなくても一般的に価格できめてその一割五分をとる。それじや農民がとても立ちつこはないのです。それから昔はこんな窮屈な規定はないのです。それから借地借家についても御承知通りに何割何分というような規定はないのです。縛つている規定はない。相当入口は広いのであつて、幅が広く法律ができている。調停へ行つても、裁判へ行つても、そのときの事情によつて、何も小作人だけの利益ということでなく公平に定められて来ている。それでもなお且つ問題が起きて農村が、すぐそこで同じようなことを言うのですが、モラトリアムの運動が起つて来て、そして大きな問題にまで発展した。これが起つているのです。問題が起きてから基準を立てるとか、問題が、危機が来てからいろいろなことを考えるということでは、すでに過去の経験によつて我々は知つているのだから、そういうことでは駄目なんです。あらかじめ我々は予防しなければいかんのだ、予防をして行かなければいかんのだ。それをだから縛つて、そういう危機のあるときには、単に一般的な事情によつて客観的にきめて行つて主観的の事情はちつとも考慮しない。そういうものの考え方は或る時期にはこの法律が行われないときがある。実際問題として、こういう点は一般的に守つて行こうという気持がなければ駄目なんです。この法律縛つてつて、そのために農民がもうやり切れんということにまで追い込むということは、それは法律の精神に合わないのであります。そこで変転闊達な幅の広い規定にしておかなければならん。儲かつても儲からなくても客観的にこれは定めるのだから、その一割五分を納めろ、金がなくても納めろということになる。余り議論しておつても私の議論とあなたの議論は出会わないから、この辺でやめておきますが、もう一遍一つあなたの考えを聞いておきたい。
  13. 平川守

    政府委員平川守君) 只今お話は結局非常に大きい問題でありまして、つまり農産物価格政策とか、或いはその他の農業政策全体の中でカバーしなければならんようなところにまで触れておるわけなんじやないか。農地法の問題といたしましては、小作料の問題といたしましては、結局通常収穫物に対する小作料の額というものを或る程度のかなりの低額のところに押える。一応の我々の計算といたしましては、小作人がその小作料払つて自分通常収穫の中から必要な経費を、必要な最小限度利潤を得て、その利潤の一部分から小作料を払える程度小作料を抑える。これは計算の仕方はいろいろあろうと思いますけれども、一応そういうところに小作料の額を押える。そして一方農産物価格維持政策とか、そういうことは別にやつてもらつて、その通常収穫と大体の農産物価格とのバランスから見ると、只今申しましたように五%とか、そういうところに押えられる。それを任意の契約に、自由契約に放任していることは危いのでありますから、これを或る程度に押えてそうして大体計算して見ると、まあ総収入の五%とか、そこらに大体押えられて来るわけです。小作料農地法に関する問題としましては、それだけに押えるということで、あと定額金納でそれ以上はとらないのだぞ、収穫が多い場合にもそれ以上はとらないのだ、その代り収穫が少い場合には小作人が負担するのだと、こういう原則をとつておる。併し非常な、異常な災害とか、或いは物価値下り関係でその五%というのが一割五分を超えたと、こういう場合にはその程度まで引下げることを請求できる、こういう考え方にしておるのでありまして、勿論これだけで以て小作人経営が安全であるとか、或いはそれで収入確保が十分であるとかいうような意味では毛頭ありませんけれども、小作料関係といたしましては、この程度減額請求権を認め、この程度小作料調整をやつておくことが適当なんじやないかというふうに考えておるわけであります。
  14. 松永義雄

    松永義雄君 この間も食糧庁長官も同じことを言つたのです。松永さんの言うことは、それは社会政策のことでほかできめる。どこへ行つてもそういうことを言う。農民を一体どこで助けるか。それは一つ答弁逃げ手かも知れないけれども、併しこの法律自体がそういうことを考慮して規定をして置くべきことが然るべきだ。食糧庁長官はほかの場合と言う。皆、農政局長も……。お役所全体がほかのこと、ほかのことと言つている。それじや一体どこへ行つて農民を保護し得るか。それからその次に、小作料をどうして定めておくかということと、減額請求ということと、あたたは二つ一緒にして考えておる。あなたの答弁から言うと、小作料はこの程度がいいのだ、客観的にこうきめておくのだ。静的状態としてそうきめておくのだ。併し減額請求という動く場合はどうかということを私はさつきから聞いているのです。減額請求、動かせる場合はどうか。動かす場合は考えておらないのですか。こういうことを言つておる。どちらに……。統制自由経済静的状態動的状態、あらゆる内容がこの一つの条文の中に入つておる。だから変な文章になつて出て来る。まあいいです。そのくらいにしておきましよう、この点は……。もう一点、第二十五条に関連してリトン・コントラクト文書契約、これは労働者の、団体協約文書を以てするのですね。これは労働者を保護するために文書を以てするので、いいことです。日本農村においても、昔の小作料とか、賃貸借契約とか、むずかしいことは言わないで、政府の実に茫漠たるうちに縄抜けとか、縄抜けでないとか、いろいろあとで問題が起きてから騒ぐ。そしてスポークン・コントラクトとしてフリーに小作人に適用されている。これは入り交えた結果はどうなつているか。何度も言うのでありますが、どういうふうに、日本がどうなつたかということを頭に置いておかなければならない。あなたたちが心配してリトン・コントラクトという文書によつて契約しよう、作らせようとする。ところが契約書内容なんです、問題は……。あなたのほうで農林省のほうで内容を指示されるのかどうか、そういう点を一つ……。
  15. 平川守

    政府委員平川守君) この内容につきましては、農林省のほうで雛型を示しまして、小作人が不利をこうむつたり、不当な何がないように雛型を示して指導しております。
  16. 松永義雄

    松永義雄君 今あるのですか。
  17. 平川守

    政府委員平川守君) 只今つて来ておりませんが、何でございましたらば、資料として差上げます。
  18. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 皆さんに配つて喜頂きたい。
  19. 松永義雄

    松永義雄君 なぜ私がそういうことを言うかというと、あなたも家持ちかも知れないが、長い間借家して来て、借家契約の場合の印刷に刷つた文句がしばしば大審院で問題になつて、それは例文だ、ちやんと文句が書いてあるけれども、その文句は一品には無効だといつた判例がしばしば起つて来ているのです。都会の者においてすら、あの家を借りるときの弱みから、何でも判を押すのです。我々もそうなんです。僕らも追立を食つたことが五度ある。併しそういう契約書によつて追立てられたというわけじやないのですが、併し多くの場合追立てられた場合に、契約書に書いてある文面というものが非常に賃借人に苛酷にできておる。裁判所においては、そういうことはれつきとして書いてあるが、無効だという判決が昔からそういう例がたくさんあるのです。ましてや農民は利口じやないのですよ。これは私露骨に言うが、農村へ行つたつて、お前はばかだと言うのです。もう少ししつかりしなければいかん。そういう農民に対して折角御親切に契約書で以て守つてやろう、農民守つてやろうという御趣旨はよくわかりますよ。わかります。その点について何もとかく言うわけじやない。その内容文句ですよ。例の印刷した賃貸借契約書のようにできて岩つて、いろいろないきさつから感情が爆発して出て行けということになつた場合、実際かわいそうです。そういう点で一遍契約書を、折角二十五条でできた趣旨農民を保護してやろうという考えからですが、それと違つたような若し契約書ができるようになつた場合、事実取交わされたら、あなたがたが出て来て、これは駄目だというくらいの面倒を見てもらいたい。一つ契約書内容提出して頂きたい。私の質問は終ります。
  20. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 二十五条に行きましたから、次の二十六条を一つお聞きしたいのですが、利用権の設定の問題ですが、これはこの第一項の一号の「自家用薪炭とするための原木の採取」以下  で以て、その承認する場合を非常に限定しているわけです。このことは前の農地調整法の何と言いますか、精神と少しも変りないということをたびたび聞いておるのですが、前の農地調整法というと十四条ノ五ですか、昭和二十年十一月二十三日以降にいわゆる契約等を変えたものは、これは慣行とみなすのだといつて限定しているのですね。つまりそれはここで言う利用権の当然の対象になるという意味だと思うのですが、ここではそういうような年限の限定がないで、ただ慣行という言葉が使われているわけですが、それとの関連はどういうふうに考えますか。
  21. 平川守

    政府委員平川守君) これはこの法律案が恒久的な立法として今後長く律せられるわけですが、その場合に、考え方によりますと、只今の二十年何日以後、こういう限定をいたしておりますことが必らずしも適当じやないのではないか。むしろ常識的に従来の慣行というものを、相当の期間の慣行がある、こういうふうに見たほうか、考えたほうがむしろ実際問題として妥当ではないかという考え方で落したのでありまして、別に特にこれを煩に耐えないという、そういう意味はないのであります。
  22. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 これはつまり恒久法の形ですから、今おつしやるような形をとつた、これはわかるのですが、結局例えば今日で言えば、農地調整法の今の二十年の十一月といつたような趣旨だ、つまり慣行というものはなかなか昔からどこまでが慣行であり、どこまで慣行でないかということは、今まであらゆる場合にこの言葉をめぐつて問題がある。ところがその場合においては幸い農地調整法の際にああいうことを調つて、一応慣行というものについてまあ打ち出した線が出ているのですから、あのような趣旨からの延長であるというふうに考えることについては間違いないと思いますが、どうでしよう。
  23. 平川守

    政府委員平川守君) その点はその通りと理解しております。
  24. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そうすると、利用権自家用薪炭についての利用権設定というものはあまり期待できないというように考えられるわけです。こういうことになりますね。
  25. 平川守

    政府委員平川守君) むしろこれは今後は契約によつて行われる場合が多いのではないかというふうに考えております。只今の慣行云々の問題になりますと、これは只今お話のような大体従来の慣行、こういうことで行くわけです。
  26. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 その契約ということになると、第二項の第三号のところにあるこれに関連の契約でございましようか。
  27. 平川守

    政府委員平川守君) つまりこの条項による部分というものは大体従来考えられておつたものであり、若し今後新らしくこういう契約を別にこの条項に頼らない問題としてやつて行けるのではないかというのです。
  28. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 この条項にというのは、今の第二項の三号にある「他の耕作の事業を行う者が」云々というこの号にもよらないで、普通の一般の対等の契約、こういう意味なんですか。
  29. 平川守

    政府委員平川守君) 三号は勿論三号として動くわけであります。三号は三号として動きます。併しこのほかに必らずしもこの条項によらない方法も考えられるわけであります。これはもう一般の方法によるわけです。
  30. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 ついでに第一項の三号、これは「自家用の肥料、飼料又は敷料とするための草又は落葉の採取」、こういうのがありまして、これは家畜を持つ農家としては、当然こういう問題は絶対必要な問題だと思うのですが、これの解釈として乳牛を相当持つている、更に言えば農業協同組合或いは酪農協同組合というようなものが乳牛を数多く飼養している場合等は、三十一条によるというと、この設定を拒否することができるわけなんですか。そう解釈していいのですか。
  31. 平川守

    政府委員平川守君) この限界点はなかなか面倒かと思いますが、一応法律の文から見ますと、農業を営んでいるものであり、農業の一環としての有畜農業でありということで、乳牛を相当飼つているというような場合におきましても、やはり適用はあるというふうに考えております。
  32. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そこで森林法との関連になるのですが、御承知通り森林法のほうは五カ年ごとに森林計画を立てる。そうして植栽等がそれに附随してできる。どうせ地元の採草の苦しいときであるから、個人であるから、これは当然だということで、そごに設定をして、採草等も、それはおとりなさいとやる。ところがだんだん頻度が多くなつて、十年にもなると、折角そこにとらせたくても草が生えないというようなことになつて、山の所有者としては、初めは非常に好意的に、さあおとりなさいといつてつたのたけれども、さて十年経つて自然に草が生えなくなつて来た際に、これはいわゆる慣行があつたのだ、だからこれはもう木が生えないから、折角二、三寸待つて山もよくなつて来たが、伐つて又元の草にして返せという問題が出はしないかなどといつて非常に心配している連中があるのです。それほどであれば、折角とらしてもいい時期のその草を、むしろあとかおつかないから、とらせないというようなことになつたのでは、土地の利用の関係からいつて誠に残念だ、実際に合わないことになるのでありまして、これを何か手続等が、省令でもきまるようでありますが、森林法のいわゆる五カ年のあの計画と何か合わせるような、例えば国有林等における委託林の期間というものを五年ごとに切つている。切つているけれども、差支えない限りは更新また更新してやつて行けるように、何か期限的にやつて行かないほうが実際にお互いに便利じやないかという問題がありますけれども、これについてはどういうふうにお考えになられますか。
  33. 平川守

    政府委員平川守君) 御心配のような点はたしかにあると思うのでありまするが、従つてこれは協議を求める形になつている。これに対して当事者間で只今お話のような点は十分協議をいたして、お互いに支障のないような条件なり、期限なり、そういうことをよく話合つて両方に利用のできるような条件で協議を整える。又更に裁定もいたす、こういうことで運用すべきものだというふうに考えているわけであります。
  34. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 結局裁定の問題になる場合があるかと思うのですが、それはあとで又出ることですから、私は又出して関連して聞きたい点があるので、その点にとどめて、第二号の、耕作の事業を行う者が従来の慣行又は契約により原木の採取をして利用していた土地について、その採取をすることができなくなつた場合というこの場合について、これに代るべき土地利用権を設定することができる、この土地に非常に、一般の山を持つている……、これは農家の人も持つております。御承知通り林業の所有の九四%までは零細な所有者である。農家の七割に近いものは、六割何ぼかは山を持つているというよう書関係がありますから、単に山持とは全然別だ、山の所有者と農家とは全然別だという意味じやなしに私は言うのですが、こういう際にこの土地を勝手に濫伐伐採をして適切な管理を誤まつた、その結果もうそこに木が生えなくなつたというときに、いつでも代地を求め得るのだというようなことは万ないはずであるけれども、これから見ると、そういう心配をしている連中がある。私はそんなような非常に乱暴な管理の下に、伐つてつて伐りまくつた結果、もう草も生えなくなつた。赤肌になつちやつたといつた際に、よしよし、それじや代地をということになるのじやないかと思うのですが、この点一言非常に心配する向きがありますから、お答をお願いしておきます。
  35. 平川守

    政府委員平川守君) この第二号は、主として狙つておりますのは開拓農地を買収いたしました場合に、その買収された山の所有者がこういう権利を持つてつた、その山にこういう権利を持つてつた場合、そのものに対して従来の権利に代るべき権利を他の山に与えることを考えているわけです。お話のような、自分の管理が悪くてその山が使えなくなつたような場合は勿論これは想定しておりませんし、結局協議或いは裁定という場合に、そういうことが材料になつてそれは認められない、こういうことになるのじやなかろうかと考えております。
  36. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 わかりましたが、この一体面積はどういうふうにお考えになつておられますか。私の聞きたいのは、森林法では例の四反歩というふうになつているわけですが、それとの関連はお考えだと思うけれども、その辺はどうですか。
  37. 平川守

    政府委員平川守君) 薪炭林につきましては、森林法の認めている薪炭林程度の面積、それから採草地につきましては、それぞれの農耕地の五割見当というところを予定しております。
  38. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 わかりましたが、次に私は第三章の未墾地等の買収及び売渡の問題についてお尋ねしたいのですが、私も現在のいわゆる開拓農家或いは山附きの零細化された農家というものが、それだけで以ていわゆる農家経営というものが非常に困難だということは十分承知しているのであります。又日本のおかれている立地からいつて、食糧の問題或いは二男、三男の問題等からいつて、やはり人が山に登つて行かなければならないということもこれは当然私は了承をしているものでありますが、そういうようなことは十分私どもとしても適切に発展させなければならないと考えるのですが、いままで一体昭和二十一年から政府が非常な意気込で以て未墾地の買収をされて、又開拓についても大分力を入れて入植等をも奨励し、非常な苦心を払つておられるのでありますが、その結果を先般来頂きました資料から見ても非常に進んでいない。未墾地の買収は二十六年度末で全体で百三十万七千町歩余取得された総計がある。そうして地区計画の済んだものは四十四万一千町歩、三分の一にしか過ぎない。そうして開墾の実績はというと、全体で二十六年度の十二月まで入れると四十六万町歩、そういうことでありますので、開墾したものは、地区計画をしないでぼつぼつ入つおつて、この差の示すごとくそれが百万に近いものがあるかというと、そうではなさそう。けれども、又一面の角度からどのくらい売払つたかということを調べてみると、増産者に売払つたものが十二万であります。これに地区計画の済んだものを四十四万加えても五十六万程度、こういうふうに開墾が進んでいない。その最も雄である北海道に今度は例をとつてみますというと、全体の取得されたいわゆる未墾地関係で奪管所属替民有地の買収、こういうような総計で二十六年を含めて累計は六十六万五千町歩程度、そこへどのくらい開墾の実績があるかというと、三万町歩、売渡してしまつたもの、当瞳どしどしできるだけ売渡すような時期もありましたが、売渡してしまつたものは合計で十八万六千町歩、未済のものが四十七万八千町歩、六十六万町歩何がしのうち四十七万余りはまだ残つている。そうして地区計画は一体どれくらい進んでいるかということになると、十七万一千町歩、あなたのほうの資料でどうも私の要求したような適切な分類をしてくれなかつたわけですが、未払分の土地だけでも二十八万六千町歩、そうして本年開拓が幾らあるかというと、全体のうち二千戸が北海道に割当てられた。まだまだそういつた線に沿つた難は幾らでもある。そこで私は今後どういうふうに開拓を、入植を、特に北海道の場合は入植が進められるか、よほど特に手厚い、今までよりももつと手厚い行き方をして、どしどし入植するのだということが実現をしないならば、そういう仕組がなかつたならば、開拓会社にはなつちやつたために何とも手が付かない。そうして管理者は遠くのほうですから、その経営は森林所有者でない人、勿論他のものであるから、他のものか行つてどしどしストツクを使つているために山自身も伸びて行かない、そういうことをこのままにしておいて、なお且つ私はその開墾を、未墾地買収を進めて行くという考えは私はよほど考えものじやないか、こういうふうに思うのですが、まず総括的にそれについてどういうふうに考えられますか。
  39. 平川守

    政府委員平川守君) この百二十数万町歩の買収をいたしておりますが、これに対して現在何らかの形で手を付けておりますものはかなりの部分を占めているのであります。いわゆる形式的な地区計画或いは売渡しというものは、例えば売渡面積は百二十八万町歩のうち五十万町歩・程度でありますけれども、併しこの売渡未済の土地というものも、これは一つの地区として入植者が一部入つているという場合が相当多いのです。御承知のように開拓の事業でありますから、そごに耕作可能の面積がありましても、これを一年で一挙に全部開墾してしまうということは不可能です。又入植戸数にいたしましても、仮に百戸入るところへ一挙に百戸入るということはこれ又困難であります。従つて地区を開拓いたします際には、先ず計画が立てられ、それから百戸なら百戸のうちの二十戸とか、三十戸とかいうものが初年度に入り、又二十戸、三十戸が入りという式でだんだんと開墾が進んで参るわけです。又一戸の農家にいたしましても、仮に二町歩の農耕地が与えられましても、これの開墾ば三年か、四年、五年とかかつて完了をいたすわけであります。併し地区といたしましては、それだけのものを確保しておかなければならない。併し一方において売渡し等については、そういう入植なり、開墾なりが進んで参るに応じて、一定の測量等をいたしまして、正式に売渡しをいたさなければならんということになりますので、この取得面積と売渡面積との間には相当の開きがございます。又取得面積と開墾面積との間にも相当の開きはございます。併しこれは開墾計画としてはやむを得ない一つの段階でありまして、それだけのものを満たさなければそれだけの戸数を入れるわけにも行かない、こういうことになるわけです。現に百二十数万町歩のうち売渡未済の七、八十万町歩のうちで、すでに売渡未済であるけれども、個々の農家には配分しているというものが三十万町歩以上もあるわけであります。又未配分でありましても、一つの地区の中の一部分が未配分である、こういうものが十七、八万町歩もあるわけであります。一つの地区の大部分が全然手を付けておらない、未配分であるというものは非常に僅かでありまして、十七、八万町歩に過ぎないわけであります。実は開拓の事業を毎年何千戸とやつて参りますためには、先ずその戸数がきまりますときには、すでに適地の調査が終り、地区の計画が或る程度つておりませんことには、当該年度に入植せしめることができないわけであります。従つて開拓事業というものをスムーズに運行して参りますためには、或る程度のランニング・ストツクというものが当然必要である。そういう意味におきまして、この百数十万町歩の土地というものは一見非常に厖大なものを抱えているようでありますけれども、併し大部分はすでにとにかく手の付いた土地である、完了しておらないけれども、手の付いた土地であるということでこれだけのストツクを持つておりませんと、例えば本年七千戸入れるにいたしましても、このストツクの中から大部分を埋めて参る、入植にしてもいろいろと国家的な非常な援助が必要であるということは勿論私どももその通り考えておりますけれども、未墾地のストツクといたしましては、この程度のものがありませんと、年々七千戸なり、一万戸なりというものを入れて参るには困る、それで本年度においても新たに未墾地をやはり三万町歩くらいは借入れたい、かように考えているわけであります。
  40. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 もうちよつとそれについて……。私はだから、雛型を北海道にとります。北海道の、あなたのほうで以て配分の済んだ面積を出して下さい、そうしてなお私はそういつたことではなかなか了承できないのは、例えば昭和二十六年度の北海道の入植者の実績がここに表があります。岩手、一宮城という比較的気候の近いものが行つた釧路、根室、網走、宗谷、胆振、これに本年度の割当は百戸です。受入戸数が五十四戸、脱落が六、定着は四十八、打切戸数五、これは来ないのです。こんな例が随分ある。山形の人が割当てられた地区で申しましよう。これは十勝、釧路、根室、網走、宗谷、留萌、そうしてこれは割当戸数が百七十五、入地したものが百八、脱落が二十四、定着が九十七で打切が九十八、これは北海道の開拓というものは、あなたはよく御存じでしよう。これで当初は非常に脱落が多くて問題にならなかつたものが、その後昭和二十五年からあなたがたが入植についていろいろと吟味したものを入れた結果、大分いい成績を示して来ている。けれどもだんだんあとになればなるほど悪いものだから、二十六年の実績はこうです。読み上げれば幾らでもある。これは皆二十六年の実績です。御覧になりたかつたらここにありますが、こういう状況です。それについてなお且つ私は今の配分計画を見なければわかりませんが、ストツク、ストツクといつてそうそう何十年と、極端に言えば何十年、十年を超えますよ。計算して御覧なさい。それを抱え込みながら、なお且つそういうものをやるということは、私は土地の利用、集約を願う意味からいつて非常に残念です。私は入るべくして入るなら結構です。私は山の関係だからというて山が少くなるなどとは毛頭思つていない。けれども、ただ開拓財産になつてしまつて、そうして三すくみになつてしまつて、誰もこの土地を利用、集約ができないような姿に行くことは、これはあなたのほうだつて残念だと思う。この点について一つ数字についてお答えが頂ければ、一つあとでお答えを願います。これで打切ります。
  41. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩    —————・—————    午後二時二十分開会
  42. 羽生三七

    委員長羽生三七君) これより委員会を開会いたします。
  43. 小林亦治

    ○小林亦治君 従来から私が主張しておつたところの案件なんでありますが、この農地法案の第一条、第四十四条、第六十四条、第八十条、これについて修正を希望して参つたのであります。なぜかと申しますると、農村居住者には、三反歩以上の農耕地を持たん者でも、希望があればそれらの者に未懇地の場合には配分、任意取引のできる場合には譲受ができるという規定にしてもらいたい。将来農政もそこに基本を置いてもらいたい、そういつた希望をなして参つたので、その希望がかなえられますならば、今申上げたところの第一条、第四十四条、第六十四条、第八十条というものを修正願わなければならないことになつてしまう。第一条は、第一項の末尾の「耕作者」の次に、「及び農村居住者」というものを入れてもらいたい。四十四条の第一項の「又は自作農の経営」の次に、「及び農村居住者」というものを加えてもらいたい。第六十四条第一項の、自作農として農業を営みとあるのを、これを削除して、当該耕作というふうに改めてもらいたい。それから八十条の二項は、これは全部削除する。こういう結論になるのでありますが、政府側では、将来この点は考えましよう。で、本法律のままでも成るべく純粋入植というものを殖やすことによつて希望を充たして上げましよう。そういう御回答があるようであります。それから八十条の二項を削るということについては、これはもう耕地整理組合、或いは土地区画整理組合、これらの主要な点について若干困難性があるので、この点については行政の面で実地調査なり、地方官公庁に対するところの適当な指令によつて、非理想的な現象は是正しよう、こういうようなお答えがありますので、実は改正試案というものを一応お手許に出してあるのですが、これは正式に案として出さずに、当局の誠意あるところの御回答を信用して、まあ出さないことにしようかと考えるのですが、それにつきましてもう一遍政府のお考えを聞きたいと思います。
  44. 平川守

    政府委員平川守君) 未懇地の開拓につきましては、政府といたしましては極力これを進めて、過小農に対する増反及び新規入植を推進して行くという方針であるわけであります。本農地法案におきましても、その当該土地が、開拓に適する土地であるかどうかということについては厳密に調査をいたしまして、各方面の専門的見地から開拓適地であるという結論を得ました場合におきましては、それらの土地はできるだけこれを獲得しまして、そうしてこれに対して新らしく面積の過小な農家に増反をせしめるとか、或いは定時入植をせしめてもいいということを推進して参りたいという方針でおりますから、只今の御疑念の点は、本法案によりましても、十分達成できると、かように考えている次第であります。
  45. 小林亦治

    ○小林亦治君 それから本法案の第八十条の第二項ができるであろうことを予想して、大きな地主というものは関係官公署にいろいろな策動を用いてすでに買収されたところの毛上の、つまり山林の場合でありますと杉とか松ですね。これらを伐採せずして温存している部面が非常に多いのであります。そういうものについては、本法の施行前に何らか本省として手を打つて頂けるかどうかです。
  46. 平川守

    政府委員平川守君) 現地の状況をよく調べまして開拓の不適地であるものについては、八十条の二項によつて返還をいたしたいと思いますが、適地であるものについては、これを飽くまでも確保して行くという方針であるわけでありまして、具体的に特に何かそういう適地であるにかかわらず、なかなか入植しておらんというような所がありますれば、至急にそういう所を調査いたしまして、適地であれば開拓の用に供して行く、こういうことを進めて参りたいと思います。
  47. 小林亦治

    ○小林亦治君 よくわかりましたが、もう一つ、つまり毛上の杉とか松とかを県開拓課と結託して、伐らないで、本法の出るのを待つている地主に対して、何らか本法施行前に、監督官庁として手を打つて頂けるかどうかですね。
  48. 平川守

    政府委員平川守君) 結局、その伐らないという問題は、つまり開拓の適地であるということの決定が遅れているということから来るわけでありまして、適地であるという決定さえできますれば、自然その次の手続として入植毛上の伐採という順序になるわけであります。先ず適地であるかどうかを調査することを進めて参りますれば、自然そういう順序になると考えております。
  49. 小林亦治

    ○小林亦治君 それから六十七条の第二項ですが、つまりこの場合は開拓者がすでに将来譲受けるところの開拓地として、現にそれを耕やしているのがあるのであります。売渡価格が本法によつて大幅に差が出て参る、その場合に元の価格売渡を受けるのか、本法によつて新たに増額せられたところの新価格によつて譲受けるのか。希望としては前のほうの価格でこれは譲渡してもらいたいと思うが、その運用はどういうふうになるのですか。
  50. 平川守

    政府委員平川守君) 原則といたしましては、本法によつて価格は改正せられるわけでありますが、只今経過的に入植開墾が進んでいるわけであります。現在すでに入植或いは開墾を了している、ただ売渡の手続が遅れているというようなものにつきましては、旧価格売渡すことが適当であろう。さような経過的措置を講じて参りたい、かように考えております。
  51. 小林亦治

    ○小林亦治君 そこで委員長に申上げますが、本法案に対する修正の試案というものを、これは正式にまだ出さないのでありますが、さような考えを持つているということを申上げておいたのですが、只今当局の誠意ある御答弁によりまして、根本的な改正ということを次に延ばしまして、私の考えはまあ一応留保ということで、今国会は見合わせますから、御了承を願いたいと思います。
  52. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは小林さん、これで御質問はよろしうございますか。……三浦さんからの御質問が午前に続いておりますので、どうぞ。
  53. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 午前中は、開拓農地をどしどし買つて来たけれども、実際開拓というものが進んでいないのじやないか。殊に北海道にとれば、ああいつた予備面積と考えられるようなものがあるのじやないか。そこで狭くなつた日本事情から言えば、土地を無駄に遊ばしておくことは残念です。成るほど或る程度の受入れすべき予備面積というものは、これは当然持つておらなければならないでありましようが、二十六年度のいわゆる北海道へ入植計画を立てたものの実績というものは、先ほど申上げたような通りでありまして、そこで一体政府のほうとしてはどういうふうにせられるか。つまりそれだけであれば、そうして而も開拓のほうが思うように入植が進まないのであるならば、それらの受入と買収等に要する努力と経費を入植のほうに振向けて、そうしてそれを待つている農耕適地というものを早く開拓するほうに行つたらいいのじやないか、こういうふうにも思うのですが、その点どう考えるかというところでお答えをお待ちしていたわけであります。
  54. 平川守

    政府委員平川守君) 全般につきましては午前中にお答え申上げましたが、特に北海道について特殊事情を申上げますと、北海道におきましては百数十万町歩を一括買収し、特に国有地の移管を受けました部分におきまして相当に条件の悪い所があるわけであります。そのために今回の新法案によりましても、民有地につきましては或る程度の返還をいたすというようなことの対象に考えているわけであります。取得面積六十六万町歩のうち売渡済が十八万町歩、その他実際には入植いたしておりまして配分済のものが十三万町歩、その他に地区の一部分が未配分というのが十五万町歩くらいございますことは、資料で差上げている通りであります。実際地区の大部分が未配分で見込かはつきりしないというものが十三万町歩くらいあるわけであります。これが比較的条件の悪い地帯でありまして、政府の方針といたしましては、非常にはつきりと不適地であるというものは、原所有者に売渡をいたしますし、又新たなる別に適地もまだあるわけでありまするから、新らしい入植用地としては別にもつと適当な所を、面積は小規模でありますけれども買収を進めて行くという、いわば一方に非常な不適地を売渡をすると共に、一方においては更に適地であるものの買収を進めるということによつて、実際に入植に適するようにいたしたい、こういうように考えております。なお不適地でありましても、実際に開墾をいたすまでは立木を収去するというようなことはさせないようにいたしておりまするので、その土地自体の利用としては、買収をいたしたために急に利用度が低くなつたというようなことがないように努めているわけであります。
  55. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 それは今までの方針はそうであつたのでしようが、例えば二十六年度の厳選された入植摘格者が入つたところの結果が、先ほど申上げたような数字だと、こういうような状況、事実なんだよ。その事実に対してどうなさるのかということを私は聞いているのだ。というのは、その法案で私は未墾地の買収の問題については、一時休むというようなことを臨時的に考えたらどうかとさえ考えるので、まして私をして言わしめれば、今までの臨時立法が今度恒久法になる、そうしておいてもなお且つ他の法令、他の法律というものを排除している。それも大した問題でない。法律を排除するならば、或いはということもありましようけれども、この目的というものは日本の増産を目指し、或いは農家の安定というものを図るのだというその大目的であるその目的を逆に阻害する虞れもあるような、森林法によつて保安林になつて、それぞれ指定を受けている山林等については、これを排除して進むのだ、こういうことになつている。それが恒久立法だ。私はだからしてそういうような予備地として非常に多くもうすでに獲得してあるような地方については、買うことを控え、又この法律の目的であるものを阻害する、一方から言えば崩して行く虞れの非常に多い保安林等に対する排除というものをやめるというようなことはどうかということも言いたいわけなんです。
  56. 平川守

    政府委員平川守君) 北海道の現地については、先ほども申しましたように条件の悪い所は、確かに内地に比して既買収地において多いわけであります。従つてその数字においても、十数万町歩のものがまだ未配分の状態に置かれているということは事実でありますけれども、例えば二十七年度におきましても、入植戸数七千戸のうち二千戸は北海道に期待をしている。二千戸の入植を期待をいたしますると、北海道において仮に十町歩といたしましても、二万町歩のものは必要であるということになるわけであります。これに対して更に附帯地、薪炭適地等をつけますれば、更に数万町歩やはり要るということになるわけなんであります。本年度の買収計画におきましては、北海道においては約一万町歩を予定しているような状況でありまして、決してむやみに買溜めということを考えているわけではないのであります。更に大局的に見ますれば、やはり開拓適地としては北海道、或いは東北という所がやはり開墾可能地でありまして、これを相当費用はかかりますけれども開拓して行くということが、今後の日本に残された開拓政策のやはり重点であろう、こういうふうに考えますので、この買収を休む、或いはやめるということについては、それほどに考えておりません。併し買収の規模につきましては、今申しましたように本年度二千戸の入植を予定しているものに対しまして、一万町歩買収して、従来の残りを使うことにより、新らしい買収としては一万町歩程度にとどめる、こういうふうな調節をいたしておるわけであります。  それから保安林等の関係については、もとより保安林として真に必要なものを伏採してしまう、というようなことは、開拓者自身にとつても非常に不利なことであります。そういうことは毛頭考えておらないのであります。保安林であり且つ開拓者に必要のないものでありますれば、それを返してしまうということも考えられます。又今後の買収におきましても、そういう点は十分考慮して買収をいたしたいと、かように考えております。
  57. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 まあ説明は何とでもつくのですが、それでは今度方面を変えまして、この間もらつた資料に四万七千町歩か、各府県別に一応この第八十条で行ごうとする数字が載つているわけです。それで北海道は二万町歩ぐらいだつたと思うのですが、現に北海道の拓植次長は、只今欠員で、つい先まであつたが……、次長さんは言つているのです。北海道の未墾地のことについては、余りとてつもない数量を北海道に押し付けて来たから、まあ事実七万町歩ぐらいは、実際できやしないのだけれども、まあ未墾地、国有未墾地という銘を打つてある関係から国有林であるから、全部面積を叩き込んで、成るべく初め計画をされた数量に合せるようにしたんですよと言つている。ところがあなたのほうの八十条によつて戻そうというところの数字を見るというと、各府県別に八十条を適用するであろう、あなたのほうで考えている数字は、一体どこから出て来た数字なんでありますか。
  58. 平川守

    政府委員平川守君) これは各府県の担当者から大よその見当を尋ねた数字でありまして、もとより今後具体的な調査をするに従いまして、或る程度の移動はあるはずであります。  それから特に北海道を問題にしておられるようでございますけれども、北海道のこの不用地面積というのは、国有地から移管をいたしました六十万町歩、二十数万町歩、三十数万町歩だつたと思いますが、その中にまとまつてある非常な不適地があるわけであります。この部分は含んでおらないわけであります。返還の対象になるべきような未入地の適地を掲げてあるわけであります。北海道につきましては未配分の土地の中にかなりの、国有地から移管をした不適地というものが、これが恐らく数万町歩或いは十万町歩近くも場合によつてはあるのじやないか、はつきりした見当もまだつきませんが、そういうふうに考えております。
  59. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そうするとこの間もらつた資料、余り資料があるのでわからなくなつたのですが、初めに推測した面積として百二十八万なんぼというのがあり、そうしてそのうち四万七千かを返すというように見えるのですが、そうすると今お話を聞きますと、これはいわゆる民有地を買収されて、そうしてそのうち先ず一応不適だと、見なくたつてわかる大体の概数がこうなん、だ、こういうふうにこれは解釈していい数字なんですか。
  60. 平川守

    政府委員平川守君) これはちよつとおわかりにくかつたかも知れませんが、北海道の国有未開地の部分だけが、只今申しましたようにこれから外れておるわけであります。それ以外においては国有地も若干入つております。入つておりますけれども、不適地として非常に大きな面積を占める北海道の国有未開地だけが、これにかなり固まつているわけであります。それはこの四万七千町歩には入つておりません。それ以外であります。
  61. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そうするとほかの府県のほうは、いわゆる民有、国有その他を通じておよそこのぐらいだ、こういう数字だと、こういうことですか。
  62. 平川守

    政府委員平川守君) その通りでございます。
  63. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 この数字は、府県のほうはどういうふうにして出して来た数字か、勿論監督の局ですから御存じだと思うのですが、而もこの問題というものは昨日今日始まつた問題じやなくて、昨年の三月頃すでに法律を出すといつてつた問題なんですが、どういうふうにしてこの数字というものはお調べになつたのですか。
  64. 平川守

    政府委員平川守君) これは県の農地部開拓課等に命じまして、こちらから大体の基準を、従来いわゆる適地調査基準等で、開拓適地の基準というものは一応示してあります。これに当てはめて、不用と思われるような地帯がどのくらいあるか、これは恐らく現地調査まではやつておらないと思いますが、買収のときの台帳等がございますので、それによつて大体の見当を報告さしたというものであります。
  65. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 この数字は極めて固まらない数字で、土地を無駄なく使うという観点から、行き過ぎたものは改めて行くのだという、非常な今までの役所の関係から言えば、思い切つた制度に出て、同法律の中で、裏のほうでは誠に行き過ぎたから、その誤つて措置した分については、元の所有者に原則として元の値段で返すというのをきめた、そういうような良心的な線で行けば、十分この法などを活かして行くことだとは思うのですけれども、併し上の人はそういうような気持になつても、役人の下のほうはなかなかそうは行かないのです。曽つて開墾の割当面積の取得については、今まで問題の絶えたことはございません。それは事務費等を各府県に分けて行く場合に、ただ一応の目標であるといつて、その面積当りの事務費を分けますというと、その部長なり課長やだんだん下のほうになつた人はこれは割当てなんだと、これは何が何でもこの割当てをやらないとどうも我々の面目にも関係するのだからといつて非常に強行される。我々は地方から割当てという言葉を今度は逆に輸入して本省の有力な幹部に聞くというと、いや、とんでもない、あれは割当てじやないのだと、あれは単なる目標ですよと、こう言つておる。そうして御承知でございましようが、昭和二十三年の暮になつて、当時GHQがございましたが、そこで余り見るに見かねた行き過ぎを何としても直さなければいけないということでNRSの農業部と林業部がまあ盛んにやつておる、その際にこの割当問題が出て、そして今までの目標にかかわらず適切な適地だけを選ぶと言おうとしたその文句についても、随分今までの関係があるからといつてまあ問題が出たようなもので、なかなかお役人さんは自分の責任を重んずると言うと大変よろしいのでありますが、或る意味におきましては自分並びに先輩のその職にあつた者の非を隠す、非を蔽うというようなこと乃至は仕事というものを極めて熱心に、その取扱いする仕事の分量が少くなるということは誠に残念といつたような感覚で、なかなか行かない。この八十条をお出しになつて非常な何と申しますか、賢明な措置に対しては非常に敬意を払うのでありますが、一般としてそういうような過去の実績等から見て、政府はこれを出すけれども、而も見たところ四万や五万の程度ではない。ところが政府は二年間のうちにこの五万円程度のものを完了して、元の人に戻すことを完了してしまうと言つているのだが、極めてお座なりな言訳にしか過ぎないのじやないかという問題を非常に心配しております。今日は私前に質問をされた小林委員がおられないで少し残念なんですけれども、私は改めてよく賢明な事情を知つている皆さんに、林業者というものと農業者というものとが離れておる問題じやない、離れておるのは、離れているかも知れないのはいわゆる大所有者、大森林所有者でしよう。言うまでもなく五町歩未満の森林所有者というものは所有者の九割三分です。面積は四割足らず。まあ粗末な例を挙げると、二十町歩までと考えれば森林所有者の九九%です。面積は六割五分なんです。而し一方統計を見れば、御承知通り農業専業者が極めて多い。六割幾らなんです。だから私は山林を持つておる人が無性に自分の縄張りを心配しているといつたふうにとるということは必ずしも当らない。土地というものを最も有効に、最も無駄なく適地、いわゆる適切に使おうということから出ているこれは問題なんでありますから、是非この八十条というものを活かして使う方法を考えなければならない。だからこれにはあるけれども、こういう法律にあるけれども、今まで御承知通りに衆参の林業関係の議員が集まれば何を言つているか、この実現と同時にこれの請求権というか、この審査請求というようなものまでここにどうしても調つてもらいたい、こういうようなことが出てお困りであることを私は知つております。これは国民の権利として請願だとか陳情なんというものの途があるのだからこれはいいじやないか、その途を出しておけばいいじやないかと、そうも言えましよう。併し請願とか陳情というものは、あらかじめ数千というものが出ることが予想されるような問題については、もうあらかじめその手続というものを明らかにしておくほうが親切な法律でもあり、政治であろうとも思うのであります。そこでこの第八十条に飛びましたが、八十条の一項の「政令で定めるところにより、」というのはどういうふうな扱いをするのか。今朝触れた中にありましたかどうですか。まだ見ませんが、どういうふうにこれを書いて何か手続を一定して請願、陳情を出すのに一つ一つつまらない、そう言つては悪いけれども、政治家などの手を煩わさないで、明らかな手続に従つてたやすく自分の審査というものができるようにするということをやる意思はないか、是非そういうふうにしてもらいたいという問題があるわけです。これについてのお考え
  66. 平川守

    政府委員平川守君) この八十条の運用につきまして、出先の役人が何かセクシヨナツズムと言いますか、そういうことで実際はうまく運用できないような虞れがありはせんかという点でございますが、これは我々としても割当てをして頭から適当ならざる返還のやり方を考えるというようなことは毛頭考えておらないのでありまして、最も公正妥当に、土地利用の見地から見て開拓の不適地であると、むしろこれは山林にしておくほうがよろしいという所を技術的な調査をいたしまして返還をすると、こういうふうに考えておるのであります。三浦委員の言われる土地利用を最も合理的にやると、これは私どもも最も賛成であり、且つこの開拓の仕事の根本精神であります。それであるからこそ、山林で置くよりは農家に利用できる所は開拓をすべきであるということを主張いたしておるのでありまして、その開拓が逆に山を荒すとか、或いは開拓として成功しないとがいうような所を開拓するというようなことは、実は過去に非常に大量に無準備に行いましたときに、そういう弊害が若干あつたことは認めますけれども、少くとも今後においてそういうことはあり得ないというふうに考えておるわけであります。従つて逆に申せば、開拓の不適地はどしどし八十条で返還をいたしますけれども、適地は又どしどし買うのだと、こういう考え方であるわけであります。なおこの返還をいたします手続につきましては、まだはつきりしたことをきめておりません。これは政令、省令等によつてその手続等はきめて参りたいと思います。いずれにいたしましても、所有者等の立場からこの土地は返してもらいたいということを言われることは自由であり、又それはそういう要求に対して十分な調査をいたし、妥当なるものをどしどし返すつもりでおるわけであります。ただ一言三浦委員にも御了解を願いたいことは、山林の所有者の立場から申しますれば、これは何と申しましても手放したくない、ひとり経済的ばかりでなしに、いろいろまあ感情的にも山は、自分の持山は手放したくないという感じが非常に強い。従つて客観的に見て、開拓適地であるものに対しても、むしろその適地として提供することを避けたいという気分が山林所有者にあることはこれ又極めて自然でありまして、そういう一方の立場もあるわけであります。これを公正妥当に土地利用の見地から見まして、三浦さんの言われるように、最も合理的な土地利用をするという見地から、必要なる土地を確保し、不必要なる土地は払下げると、こういうことを公正に運用して行くことを我々としては考えておるのでありまして、いずれの一方に偏しましてもこれはよろしくないと、かように考えておるわけであります。
  67. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私はそういうようなこの法律の狙つていること、そのことに反対していない態度であるということは初めから言つた点なんです。そんなあなたの言つているようなことは私は聞かなくてもわかつているけれども、先ほど申上げたように、あなたみたいな幹部はわかつていても、いよいよ下のほうへ行くとわからない。例えば昨年の五月の初めにこういう法律考えているから、予備地等の問題は成るべく知らさないようにしろという通牒を出した、その出した通牒を開拓関係の人で、部長さんの机の中にあつて、そのことを知らさなかつたということを私は知つているのだというような例を知つている。非常に熱心な余りです、あなたの部下はそういうようなこともあるのだから。ところがその被害を受ける国民は堪らないのだから、私は省令等で簡単な手続の下に自分の所を審査して見てくれないかというものがやれるような方法をやつてもらいたいのだが、それにはどうお考えになつているかということを聞いている。
  68. 平川守

    政府委員平川守君) これは勿論調査につきましては、役所のほうの予算なり、技術員なりの問題があるわけでありますから、おのずからそのつ制約は受けるわけでありますけれども、大体の見当としては二十七年度には三万町歩ぐらい、二十八年度には二万町歩ぐらいを返還する対象に、返還できるような程度の調査をなし得る予算を得ておるわけでありまして、従いましてその予算の範囲において、地元からの要求があればそれによつて調査をいたし、又要求がなくてもこちらとしてあすこは不適地だろうと思えば、それは調査をいたすということになるわけであります。それらの手続につきましては省令、政令等で措置をして行きたいと、かように考えております。
  69. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そうすると、やかましく言えば、審査の請求権ということになるのでしようが、そういうように非常なあれでなくても、一々陳情書乃至は請願書というものを出さなくても、自分が見に行つてどうもこの八十条に当りそうだといつた場合において、これを一つ調べてくれないかといういわゆる途をあけることは考えていると、こういうことですか。
  70. 平川守

    政府委員平川守君) これはもう当然そういう要求がなくてもやるくらいでありますから、むしろ陳情などというのは一番簡単な方式であつて法律上の手続などというやかましいことがなくても、電話一本だけでもそれはやります。こういうわけであります。
  71. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 はつきりお聞きできました。それから、話が関連して先に進んでしまつたのですが、又四十四条のところに戻りまして、前からも問題になつておりましたが、第四十四条は、自作農を創設し、又は自作農の経営を安定させるため必要なときと、こうあるのです。そこで先般来過小農家というものを解消しなければならんという説と、もう一つは、農村にある者は農村生活からいつて、そこになくてはならないものは農家でなくても、何でも欲すれば農地というものは与えて行くようにしなければならないじやないか。戦争中のいわゆる家庭菜園的なものまで考えなければいかんのじやないかということで、今後の農家というものを、農業というものの基本的な考え方として、それをどうするかというのは、この席でも先般問題になつたわけです。そういうような観点から大方針がどういうふうになるかがきまらないというと、この法律に示しているように、農村生活上必要なものはいわゆる未墾地買収でできた土地というものを取得する途が開かれている。つまりこの問題はなかなかむずかしいのですが、一つは過小になることを恐れると同時に、一方においては、この法律というものは、そういうような新たなる狭隘農家と言いますか、小さい面積を耕す人に途をあけているわけです。六十四条ですか、六十四条等を見ますと、又これらの山付の農村経営の非常な困難な点を見るというと、今まで未墾地に関連のない普通の既設長家の人がやつぱり一反歩でも何畝歩でも増反をして、増反を含めたこの農家経営を安定させるために、いろいろと附帯地というような問題が点て来るのではなかろうかという問題があるのです。私はいずれ狭い意味農業というものと林政というものとの接触点として、その問題は大きく出なければならん、又出るだろうということは想像しているのですが、今まで承わつているというと、そういつたことは書いてあるけれども、既往農家の僅かな増反、それに関連の附帯地というものは原則として考えないのです。こういうように答えた。これについては、この法律の現段階では、第四十四条で以て自作農の経営を安定させるためと書いてあるけれども、既設農家に関連するところの問題、僅かの増反に関連しての問題については、こういつた未墾地買収の第四十四条の各号は適用しないつもりであると了解していいでしようか。どうでしようか。
  72. 平川守

    政府委員平川守君) この未墾地の開発につきましては、やはり一般原則考えておるのでありまして、新らしい入植によつて現実の自作農になり得るものはもとよりその対象でありますし、増反することによつて堅実なる自作農になり得るということも考えておりますが、この場合においても、三反歩以下の農家というものにつきましては、堅実な自作農となり得るものと認めない、こういう考え方で六反歩、七反歩持つている、併し耕作面積が足りないという者のために増反をする。或いは新規入植者としては、これは全然新らしい選考の問題になりますから、その人自体が堅実なる自作農になり得るかどうかということは、新規入植者については判定される。農家の次、三男というものは当然その対象になり得るわけであります。増反について非常な兼業農家のようなもの、三反歩以下のようなものを排除するということは一般の場合と同様に考えております。それから附帯地の問題につきましては、これは六十二条のほうの土地配分計画によつて、この買収しました土地を配分するわけであります。この計画の中において採草地のようなものについては、地元の人で採草地がない場合に採草地を与えるということは考えておりますが、薪炭林等については、地元増反については考えないというふうに現在のところ考えております。
  73. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 もう少しですから、聞いておきたいのですが、この四十四条の二項の政令ですね、政令で定める基準というのは、今ある基準をやはり適用して行こう、こういうのでしようか。もう少し、いわゆる今までの実績等に鑑みて更に具体的にもう少し尺度を細かくして行きたいということが実際にあるのじやないかと思いますが、その点はどうでしよう。
  74. 平川守

    政府委員平川守君) 只今いろいろ研究をしておりますが、只今のところでは、一応現在の基準をそのまま適用したい、かように考えております。併し、なお更に研究は続けたいと思います。
  75. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 この代地買収の問題ですが、今まで代地買収というものは、殆んど少いようなんですけれども、これもさつき営農の安定という点から見ると、相当にこれは又問題はあるだろうと思うのです。これについての実際上運用される考え方をお聞きしたいわけなんです。
  76. 平川守

    政府委員平川守君) これは現在までも実際問題としては極めて少い事例でございまして、今後も極く止むを得ない場合に限られる。大体申せばそういう代地買収をやるくらいならば、その元のほうを、代地を直接買つたほうがいいくらいなものであります。止むを得ない地形上どうしても開墾地として必要である。代地が隣りにあるという止むを得ない場合に限られるわけであります。これは今日といえども恐らく経費は非常に少いだろうと思われます。
  77. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 七十二条のところの問題なんですが、実は開墾をどしどしさせて行かなければならんことは幾度も言ように必要だ。それにはいろいろと条件というものをよくして入植者を入れなければならない。入れるからには成功させたい、そうして早くこの目的とするところに効果を現わさなければならんわけですけれども、そうなれば、従つて入れるときの条件として完了すべき時期というものを六十七條できめるわけなんです。だからそれはその地方の気候だとか、土地の条件だとか、いろいろとあらゆる問題を考えて、完了すべき時期を御指定になるわけですね。御指定になつて、その指定の期間が来れば検査をするわけだ、そういうふうにして成るべく計画通りの入植を、開拓を進ませてやりたいということはわかつているのですが、ここに不可解なことは七十二条で、ここで但書がある。「六十七条第一項第六号の時期到来後三年を経過したときは、この限りでない。」、これはいわゆる条件違反をした場合に、国の買うときの条件なんです、その期限というものは。最大の条件、その最大の期限の条件というものを何かあまく見ているようなここに但書が書いてある。私はこの問題は今まで乱雑に開拓を入れて、そうしてろくに期限も附さないで、やつたものに対する経過的な苦肉の策というふうに想像しているのですが、その点はどうですか。
  78. 平川守

    政府委員平川守君) 従来の開拓者の中で見込のない者については、すでに或る程度の整理ができている。今度の新規開拓者に対しましては、六十七条によりまして、期限を附してその時期までに開墾を完了するということを重大な条件にいたしているわけです。従つてその時期が到来しますと、国が直ちに検査をいたしますが、検査をいたしまして、不合格であつたという場合には、直ちに七十二条によつて買収いたすべきが当然であるわけです。従つてそういう場合には必ず国はすぐに買収をするのであつて、そういう検査をしてもいつまでも拠つて置くということはあり得ないわけです。一方開拓者の立場から見ますというと、検査は済んだ。併し何年たつても、いつ又政府に買上げられるかわからないといつたような不安な状態に置かれることは困るわけであつて従つてこれは一種の時効のような性質のものでありまして、これだけの間に国は必ずそういう不合格のものは国がもう一遍買戻すのであるという、併しこれは国が直ちにやる、それをいつまでも不安定な状態には置かないということで、開拓者をして安心してその耕作をさせる必要上、時効のような意味でこれが出ておるわけです。只今の御趣旨のようなわけではございません。
  79. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そういうことではおかしいのじやないか。そういう解釈ではおかしいのじやないか。六十九条で以てこの供給食糧の増産なり、人工肥料なり、そういう営農の安定という線でこれを進めて行くこと、こうやつてこの期限等をもやかましく六十七条できめて、そのきめるときには何も画一に二年とか三年ときめるのではないでしよう。やれるところの、いわゆる或る程度の危険率を見てきめるのでしよう。そういうような実際に合うような期限をきめて置きながら、そうしてこの七十一条によつては期限が到来後遅滞なくこの状態を検査しなければならないです、ときめておる。そうしておいておきながら、次の条項に来ると、買い戻しのときには、三年間を経過したものはこの限りではない、ということは、何だか検査というものがやつてもやらなくとも同じようなものに……、逆に言えば、だらだらその開墾するのでもなければしないのでもない。こういうようなことになつて、今まで開拓に対して非常な意気込みで一連、一貫してあられるのに対して、あなたのほうとしては揮を外してしまつていることになつているように見える。私はどうしても先ほど質問したように、今まで乱雑に、猫も杓子も入れて、期限も付かなかつたものに対する暫定的な、苦し紛れの答弁としか考えられないのですが、あなたはどうですか、思い違いではないですか。
  80. 平川守

    政府委員平川守君) これは決して思い違いではないのでありまして、つまり期限をきめて、今度は七十一条によつて、期限到来後遅滞なく検査しなけれ、はならないということを、はつきりさしておるわけです。その遅滞なく検査をいたしますと、すぐにこの七十二条の各号に該当するかどうかわかるわけです。そこでそのとき役所としては直ちにこれを買戻すなら買戻すという措置をとるわけです。ただ一方開拓者の立場になつて見ますと、七十二条によつて買戻しをされるかもわからないという状態にいつまでも放置されることは、これは非常に困るわけです。そこで検査をしたならば、必ず直ちに買うか買わないかはつきりさせて、買うものは買うと、こういうことにするのであると、それを役所が三年も怠つて買収をしなかつた場合には、もうこの七十二条によつて買収はしませんということをはつきりいたしまして、開拓者を安心させる。又一方から言えば、そういう事態になる虞れがあるので、役人のほうも遅滞なく検査を済ませたら、遅滞なく買収するかしないかをはつきりさせる、こういう意味規定であるわけでありまして、決して三浦さんが御心配になるような意味ではございません。
  81. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 どうも聞けばますますおかしいのだけれども、七十一条で遅滞なくやつて、検査をして、七十二条で以て買収するものをきめると、こう言つておる。そうして、そのときに成功をしているいわゆる期限内に開拓の目的を達しているものは、これはちつとも不安心がない買わされないのですから。買収がされないのですから、不安心なものは、開拓をしない。その開拓民はふわふわだからして、何にもするのでなし、しないでもないという開拓民を救助するための一つのこれは但書だと私は解釈するほかない。それは私はおかしいと思う。公企労法の中でそういうことをやるのはおかしい。
  82. 平川守

    政府委員平川守君) この期限を付しまして、その間に完了するということが飽くまでも原則であります。原則でありますけれども、併し実際の場合にはいろいろなケースがあるわけです。そこで七十二条は買収することができるという規定であつて一定の何月何日に調べて、そうしてその面積を測つて見て足らなければ当然買収になるというような規定ではないのであつて、やはりその事情を調べて、国が買収しようと思えばできるという規定を七十二条には置いておるわけです。従いまして、七十一条で遅滞なく検査をし、その検査の結果開墾の面積が若干足りなかつたとか、いろいろなケースがあるだろう。そのときにこれは大体開拓について不熱心なものである。これは買収して他の開拓者に与えたほうがよろしいと、よいと判定すればすぐに国が買収してしまう。又多少余裕を見てやるほうがよろしいと思えば、これは必ずしもすぐに買収しなければならないというわけではない。併しそういう場合において、検査をしたあといつまでたつてもはつきりしたことは言つてくれないということでは困るので、三年間経過したものならばこれはもはや買収しないことにきめるし、併し国としてはその間において状況を見て、はつきりと買収をするかしないかをきめるべきだと、こういう意味規定であるわけです。
  83. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私はこの法律でいう、することができるという言葉の解釈を今更聞こうとは思わないですよ。けれども特に、但し云々と書いてあることは、一連、一貫としての開拓を促進したい。開拓を促進するためにできるだけの好条件を今よりももつと増して、その目的を達成したいという非常な熱心なあれに対して、ここのところに但書があるということは、全く木に竹を継いだというか、蛇足というか、或いは開拓農民をして何か迷わせて、期限はあるけれども、まあせんでもいずれ三年たてばわしの物になるのだというようなことで、大きな目的を達し胆ないようなことの材料に使われては全く残念だと、こういう意味で私は言つているので、この但書というのは、そういう意味であるというのなら私はどうも了解がつかない。まあ私は一先ず以上で打切ります。他のかたが待つておられるようですから……。
  84. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 関連して伺いますが、只今三浦さんの七十一条、七十二条の関連の応答を聞いておりますと、私も多少七十二条の規定は、農地局長の答弁趣旨はわかりますが、方法としては必ずしも適当ではないのじやないかという実は感じを持つたわけです。要するに、七十一条で遅滞なく検査をして、而も三年間或いは国から又買収されるかも知れない、或いはされないかも知れないということを検査をして、三年間宙ぶらりんでおることは、局長の答弁趣旨とはむしろ合わんじやないか、検査したならばその結果を遅滞なく、むしろ通知をしたほうが私はいいんじやないか、これは買います、これは大体よろしいから買わないというふうに、むしろ検査の結果を当事者にすぐ書面等で知らせたほうが、今言つた三年間はわからないのですから、国から或いは買い戻しをされるか、その三年間というのは、必ずしも当事者にとつてはどうも短い期間ではないと思うので、検査をした結果、買うか買わないかということをすぐ通知をしたらどんなものでしようか。局長の趣旨はわかるのですが、方法論としてはどうも三浦さんの御意見を聞いておると、買収することができるという選択権がありまするから、確かにそれは不安心になる。ですからむしろ通知をすぐしたらどうかという感じを持ちますが、どんなものでしようかこれは。
  85. 平川守

    政府委員平川守君) これは検査をしまして、開墾の完了しておる場合は問題ないわけです。その場合にこれはもう成功したと、こういう通知をして、これはもう七十二条の買上げはやりませんと、こういう通知をすることは勿論結構であります。ただ期限が切れましたけれども、例えば病人が出たとか、或いは何か特別の事情によつていわゆる期限までに開墾は完了しておらない、併しまだ一年なり二年の余裕を持たせればこれは立派に開拓者として成功する見込もあり得る、こういう場合もあり得るわけです。そういう場合には、今の検査後の何年間は待つてやろうと、その間において、もう一遍三年なら三年の間の適当な時期において完成すればよろしいし、完成しなければ買上げを行なつてしまう。その外に何か憂慮すべき事由がなくて開墾を了しておらないという場合には、すぐ直ちに買上げをしてしまう。憂慮すべき事情のあるものは若干期間を待つてやる。そういう方法で以て三年間なら三年間の期限において鳧をすつかりつけるという趣旨であるわけです。これは実情を申上げますと、法制局のほうの意見もございまして、やはりここは一種の時効のような意味で期限を明確にして置いたほう、かよろしいという、こういう意見が法制局のほうにもございまして入れたわけでございます。実情から申しますと、只今の若干の猶予期間というものを見てやつて、その間にはつきり鳧をつけるという、こういうことで我々としては十分なわけであります。
  86. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 非常に温情的な措置であることはわかるのですが、ただ三年間検査に来られて、開墾は努力したけれども、病人等があつてどうしても完了しておらない。そうしてその検査官は帰つて来て、三年間はこれは或いは買戻しをされるかも知れないということになれば、開墾にもこれは熱が入らんでしようし、むしろ開墾を完了できないという事情は、過去の事実で、むしろその当否を判断してよろしいのであつて、或いは病人があつて、普通ならばできる所ができなかつたのだ、そういうところは又買戻しをしませんと、こういうふうにはつきり言つてつたほうが私はいいのじやないか。ですから、或いはこれを時効という意味で置くにしても、少くとも政府当局ではできるだけ早くどつちかにきめてやつたほうが……、三年間とにかく熱が入らんだろうと思う。とにかく開墾が完了しておりませんと、場合によつては国が又買戻しをする。これでは開墾に精を出す馬鹿はないと思うのであつて、これは或いは又修正案というものが出ますれば又申上げるかも知れませんが、それだけ申上げておきます。
  87. 平川守

    政府委員平川守君) 只今の点は誠に御尤もでございますので、開墾を完了しておらないけれども、憂慮すべき事由があるという場合には、一つ本人に、例えば期限を切つて通知をしまして、何年間にこれだけやらなければ買収しますよというようなことを通知するというような手続をとりたいと思います。
  88. 山崎恒

    ○山崎恒君 私はこの農地法案の今回改正されようとする趣旨は十分わかるのでありますが、とにかく今回の法案が従来の三つの法案を一括して出されたというような点からいたしまして、その内容等につきまして、従来の農地調整法というような面から見ますというと非常に町村農業委員会或いは県の団体の農業委員会というものが現に軽視されてはいはせんか、いずれも知事の許可制をとつておりまして、ただ農業委員会等の意見を聞くという程度のものが多く織込まれているのですか、こういうような点から見まして、この法案審議に当りまして、局長の説明答弁等聞いておりましても、どうも民主化ということが十分織込まれております。というようなことを、むしろ農地改革そのものが基本的に民主化である。而も日本農地改革が世界的に非常に高く評価されているというゆえんのものは、それは一つの基本になつているという点からいたしまして、一応この現在の段階には、第一の段階といたしまして、農地改革が成功されたと、こういわれておりますけれども、この三つの法案の今回の一括した法案を見まするというと、これを盛り上げようとするところの、締りをしまするところの、而も相談役になるところの農業委員会そのものが非常に軽視されてはいやしないか。かように思うのですが、さような点の見解は如何であるか、その点を一つお伺いいたしたいと思いますが、如何でしようか。
  89. 平川守

    政府委員平川守君) 委員会の従来の法律、政令で持つておりました権限の中で、比較的変つておりますのは、いわゆる買収計画とか或いは売渡し計画とか、こういうことについて、そういう制度を今回は大体やめたわけであります。先般申上げましたように、自作農創設特別措置法によりましての、いわゆる一括買収式の大面積を各村で買収をして、大面積を配分する、こういう式の買収売渡し方式をやめまして、今後は、今後新たに発生する不在地主とかというようなものが発生しました場合に、その土地を適当な自作農たるべきものに強制譲渡せしめるという方式に変りましたのであります。そのために従来の一括買収方式では、先ず買収の計画を立てまして、今度又売渡し計画を立てるということを農業委員会等でやらしておつたわけであります。その根本の方法が変りましたために、その部分はなくなつているのであります。併し農地調整法等の各種の小作関係の調整等に対する権限その他は特別変つておらない。ただ強いて申上げますれば、未墾地の買収について先般申上げましたように、農業委員の、県農業委員の人々を開拓審議会と統合して、いずれも県知事が会長である諮問機関でありますが、これを統合しようということにいたした点が変つているわけであります。  そのほかの関係におきましては、特に農地調整法等の関係等は全然変つておりませんし、自作農創設特別措置法の関係は先ほど申しましたように、計画売渡しの点が全然なくなつた、制度そのものがなくなつたということでありまして、特にその委員会の権限を弱めたということはないわけであります。衆議院のほうで県農業委員会の意見を聞くということに修正案が可決されましたが、あの部分は現行法にもないことでありますから、むしろそれだけプラスのことでありまして、法案におきましても、それ以外には特別のことはないわけであります。
  90. 山崎恒

    ○山崎恒君 この農業委員会の今後の活動面といたしましては、本法案に十分これを織込まれているものをどういう工合に研究して行くかという点が相当多いのであろうと思うのですが、殊にこの法律案には交換分合の問題が殆んど見えないのですが、そうした面についてはどう考えておりますか。一つこれからの一応零細されたところの、分断されたところの耕作そのものに対しましては、交換分合等の問題が非常に強くこれから出て来やせんかと、かように思うのですが、その点は如何でございますか。
  91. 平川守

    政府委員平川守君) 交換分合の問題は、これは土地改良法のほうの規定に入つております。その規定によつて農業委員会がこれにタツチして行なつて行くということはできるわけであります。
  92. 山崎恒

    ○山崎恒君 次に、その法律によりまして今後零細農家のいよいよ深刻になつて来る農村状態から見て、特にこれを譲渡とか或いは小作の問題とか、或いはそれに伴いますところのいろいろの問題等に関しまして、今後農村の苦境がいよいよ深刻になつて来る点がありまして、現にすでにもう東北地方におきましては、人身売買すら非常に多く行われているというような点は、如何に土地を持つておりましても、その土地が単に生産するのみのものであつて土地そのものに対しましては何らの金融上の裏付がない。こういうような状況からいたしまして、いわゆる提案理由説明におきましても、今後残されている問題は担保金融の問題が残されている、こういうようなことも説明せられているのでありますが、昨日も委員長からの発言では、再び地主的に戻ることを恐れるために十分この資金の面を考えなければならんというような意見が出たのでありますが、この担保金融の問題等について現に農村の実情を見て参りましても、単に営農的の、この再生産のために肥料の購入だとか或いは農機具の購入というふうなもののための資金というものは、これは或る程度農業協同組合なり或いは農村、漁村の金融融資の方法の途も開かれているのでありますが、それ以外に現在では中くらいの農村において資金の必要が起るというような場合に、現在の農家においては何ら土地を持つてつても、実際上におきまして信用状態からいつてそれだけの信用がついていない。こういう点はこれは実際上の問題からいつて事実である。例えば金融業の銀行等から見ましても、農村が、辰家そのものは殆んど相手にされないというような実情にあるのですが、こうした点から見て局長の昨日あたりの説明によりますというと、実際問題としては、公共の福祉のためにこれはそうした点が強く考えられているので、そうした点は特に担保等の問題については考えておらないような説明であつたのでありますが、この社会的に信用を得るのにはやはり財産であつて、その財産そのものは持つてつても何だか無価値に等しいところの実情であるからというところから考えますれば、これは担保金融というものは途が開かれておらなかつたならば実際問題として社会的に信用がつかない、かように思われるのですが、そういう点についての見解は如何でございますか。
  93. 平川守

    政府委員平川守君) 農家の必要とする資金はいろいろあると思うのでありますけれども、大体の私どもの考え方としましては、長期金融につきましては長期特別会計の制度を大いに利用して行く。それから短期の資金については農業手形の制度を拡充強化して行く。その他のこれに盛込まれない不時の出費でありますとか、相続の場合でありますとかいうような場合について農地担保金融ということが考えられるのじやなかろうか、つまり農家の所要資金をできる限りいわゆる政府資金的な金融機構で以て土地を担保にすることなしに借りられるようにすることがいいのじやないか、土地の担保というものはもう最後の手段であります。農民としてはもうどうしてもほかに方法がないというときにこれを出すことでないと、下手をすると、いろいろな生産上の金融にすぐに土地を担保にとられてしまうという虞れもあるのじやないか。特に農地を担保にするという問題について非常に深く考えなければならんと思いますのは、農地と申しましても担保力を殖やそうといたしますと結局最後には耕作を手放すところまで担保に入れる、つまり耕作権も含めた農地を担保にするということでありませんと担保力として非常に低いわけであります。一方において小作料というものを抑え、小作料統制しております限りは、単に小作地としての、つまり下地権と申しますか、耕作権を除いた地主としての土地所有権というものはどうしてもこれは小作料から還元された価格以上に出ることはできないわけであります。従つて担保としてもこれ以上の担保価値は発生することはできないわけであります。現在農地が普通に売買されておるのが三万円とか五万円と申しますけれども、これは全部自作地の価格であります。自作地としていわゆる農地価格以外に耕作権を含めた価格であると我々は解釈しておるのであります。これはうつかり担保に入れられない性質のものではないかと考えております。現在の制度としてはこれは担保に入れることは認めております。この農地法案でも認めておるのでありますけれども、併し仮に担保に入れて抵当権を設定実施させる、これを誰かが競落しなければならんという場合において、その競落人を非常に制約しております。つまり堅実な自作農として耕作をし得る者でなければその競落人になれないということに、非常に制約をしておりますために、従つて又その法律上抵当に入れることができましてもこの抵当価値がやはり低い、こういう悩みがあるわけであります。一方から申せばできるだけ土地を担保にした場合には農家としては余計金が借りられるような制度が欲しい、併しその場合には最後的には耕作自体を手放さなければならん、経営面積を縮小するという危険までも冒さなければならん。こういうまあ悩みがあるわけであります。そこで現在の私どものこの農地法案考え方といたしましては政府が強制譲渡方式で、最後の場合においてもその耕作者をその耕作地から立ち退かせない、耕作権だけは飽くまでも確保してやる、こういう前提政府が一応土地を買い、又払下げてやる、或いは政府小作人になる、それで耕作は常にその人間がやつぱり続けてできるということを前提にいたしましてこの強制譲渡方式を考えておりますために、担保力がどうしても少いわけであります。どうもそこのところが非常にむずかしい問題であります。私どもなお今後研究してみたいと思つておりますが、成るべく耕作権は手放させたくない、そういう立場には追い込みたくないという要求と、一方農地の担保力はできるだけつけたいという矛盾する要求がありますために非常に悩んでおるわけであります。この問題についてはなお今後とも研究して参りたいと考えております。
  94. 山崎恒

    ○山崎恒君 痛し痒しという御説明はよくわかるのですが、ただ私どもとして非常に心配されるのは農家が何ら現在持つておる土地が担保能力もなし、又一般社会から見て社会通念としての農村が殆んど経済的に信頼がおかれないと、これはもう自作農家といたしましても七反歩八反歩持つてつても何ら経済的にはいざ資金の必要があるという場合に、そうした農業協同組合等から借入れる場合には借入れもできますが、社会から見た場合に農家の持つておるところの土地というものは宝の持ち腐れだというような社会通念になつてつて農村の信用というものが殆んど認められない経済上の信用というものは……。これを何とか裏付ける方法がなかつたならば自作農を折角創設されて、とにかく完全に現在の状況から行きまして自作農家が、説明されておりますように四百二十万戸もできたとういうようなことから鑑みましても、その四百二十万戸の自作の農家が何ら経済的に信用がつかないということではこれはもう非常に私どもは心配されると、こういうような点から又担保制度を作りましても売買という点はもうすでにこの法律によつて十分抑えられておるので、これはもうその点は心配ないので、そうした面によつて農家の社会的の信頼の信用状態というものがつくというような点等を考え併せますというと、やはり担保金融という途が開かれて然るべきじやないかと、かように私は思うのですが……。
  95. 平川守

    政府委員平川守君) その点が非常な悩みであるわけでありまして、確かにほかに金融を得べき基礎がありませんので、結局土地というものに頼るということとになると思うのでありまして、ただその土地というのが一方から言うと、これを手放したが最後経営の規模が縮小してしまうという非常にむずかしい大事なものだものですから、そこで現在ではまだそこまで踏み切れずにおる。併しこれは法案一般の抵当に入れることを禁止してはおりません。法案におきましても禁止してはおりません。従つて若し貸手があれば耕作権も含めた価格一ぱいの途が開けておるわけでありまして、併しそれが先ほど申しましたように競落人を制限しておるというような関係で、おのずからそこに又制約もある。その競落入の制限をはずすということになりますとこれは農地改革の根本に触れて来る問題で、つ誰でも金のある者は買える、こういうことにすればよほど担保価値は出るかと思いますけれども、それでは農地改革の根本精神が没却されるというところに非常な悩みがあるわけであります。
  96. 山崎恒

    ○山崎恒君 昨日あたりから局長の説明をお聞きしておりますというと、社会公共の福祉の点を非常に強張されておりますが、現在零細農家自分で耕作をして自分で食べるという程度農家が非常に多いと思うのですが、そういう点では社会的に何ら物質的の貢献をしておる面が見られないと、こう思うのですが、そういう点は如何でございますか。
  97. 平川守

    政府委員平川守君) ちよつと御質問の点を私或いは聞き違えたかも知れませんが、零細農で、まあいわゆる飯米農家程度のものは余り公共的に寄与していないじやないかと、こういうことですか。
  98. 山崎恒

    ○山崎恒君 そうです。
  99. 平川守

    政府委員平川守君) これはおのずからその程度においてやはり公共の福祉に貢献しておる、つまり配給を受けないでも自分で耕作をして食つておるというのでありますから、その程度においては勿論それは貢献しておると思いますけれども、農地法の期待するところはもう少し高い程度において農地を活用するということを期待しておるわけであつて従つていわゆる専業的に、兼業であつて農業を主としてやつておるという者が生産力も高いのでありますし、又農家の安定という点から見ても重要な要素である。そういう意味において農地法としてはそれらの飯米農家程度のものは第二の順位として考えておる、まあこういうわけであります。
  100. 山崎恒

    ○山崎恒君 そこでこの農地法趣旨から申しますというと、やはり説明されております社会公共の福祉の点を考え併せますと、ただ自分の飯米農家程度農家では何らその趣旨に合わないというような点で、これをもつと何とか殖やす方法を考えているかどうかと……。
  101. 平川守

    政府委員平川守君) これはまあできることならばそういう人々にもすべて堅実な農家になり得る程度土地を与えたいわけでありますけれども、併し非常に限られた農地でありますために結局この六百数十万戸の農家の中でどういう農家に先ずこの限られた狭い農地を与えるかというその順位の問題にまあなると思うのであります。そういう問題として考えますと、いわゆる飯米農家程度農家というものはこれを更にこれに新らしい土地を与えて一町歩程度の自作農にするということはなかなか望み得ない、実際問題として。そこで狭い農地を分配するには専業であるけれども農地が足りないという者に先ず優先せしめて、三反歩以下の農家というものは場合によつては他のほうに転業するということも止むを得ないのじやないかというふうな、つまり第二の順位に考えておるというまあ考え方であります。
  102. 島村軍次

    ○島村軍次君 御馳走が出ましたので眠け覚ましになりましたから少し質問を申上げてみたいと思います。私の承わりたいと考えまする点は、今回の農地法第十二条によりまして政府が買上げる場合の価格が五千円を予定されておるようであります。ところが、これはいわゆる強制譲渡でありまして、双方の意が調わない場合に政府が買上げるということだと思うのでありますが、併し一旦自作農の創設ができたときでも、只今山崎さんのお話のように金融上の措置とが「その他で止むを得ず売買するというようなことがつまり耕作者間で、或いは土地を耕作したいというような者との間に出て来るということはこれは自然の勢いと思うのであります。その結果、資料で示されておりまするように、勧銀の調べによると、売買が事実上二万九千とか、三万、或いは高いのになるというと五万、十万と、こういうことになつておるようでありまして、従つて国の買上げるものは五千円であり、その他のものは価格が高く取引されるという結果になると思うのであります。そこで問題はもとの自作農創設特別措置法等によりますというと、賃貸価格の何倍ということが何条かに規定されておつたと思うのでありますが、それは土地台帳が廃止になつて土地の評価をやる途端に外れて、結局他の法律関係統制価格というものが外れたということになるのでありますが、これらに関しまして一般の、つまり政府の買上げるものと然らざるものとの間の価格の均衡上に関してはどういうお考えをお持ちになつておりますか。
  103. 平川守

    政府委員平川守君) 一般の自作地の売買が行われます場合には、これは単に農地の所有権というだけでなしに、そこで耕作し得るというまあ権利がついておるわけであります。政府が買上げます場合には小作地を買うわけでありまして、或いは十六条で申出によつて買いまする場合にも、これは政府は単に一応いわゆる地主的な立場に立つわけであります。要するに政府の買上げる価格というものは土地そのもののまあ価格である、一般の自作地の売買はそれに自作地としての耕作権というものがついておる、そこでその間に実質上開きはありますけれども、これは差支えないと、かように考えております。
  104. 島村軍次

    ○島村軍次君 それは例えば従来富山、石川或いは香等において、いわゆる上地権というような事実上の耕作権に相当するものを今の説明によりまするというと、事実上政府が認めたことになると思うのでありますが、その意味価格が高くついてもいいという理窟が成立つということはちよつとおかしいと思うのですが、その点は如何ですか。
  105. 平川守

    政府委員平川守君) これは耕作権というものが理論的にまだはつきりいたしておりませんからなかなか面倒な理論になるかと思いますが、実際問題として例えば富裕税の評価等におきましては、小作地の場合と自作地の場合と、小作人と自作農と地主とそれぞれ評価を変えておるわけであります。これが実際問題としての価格を経済的に見ました場合に、今のように分析して考えられるということでありまして、理論的には政府の買収価格小作料から逆算をした価格と、こういうことにきめておるわけであります。
  106. 島村軍次

    ○島村軍次君 これは現実の事実をあとから肯定したというような議論になると思うのでありますが、いやしくも今回の農地法を自作農創設従来の三法令を根本的に改正するという場合においては、先般来他の同僚からお話になつたように、第一条において大きな目的を持つ将来の安定を期するという大きな見地から見ますときに、昨年の土地台帳の廃止に伴う価格の点を統制をせなかつたということに対する農地局長の見解をこの際承わりたい。
  107. 平川守

    政府委員平川守君) 農地価格全体の統制の問題につきましては、これは実際問題としてもただ徒らに統制をいたしましても守られない虞れもありまするし、一方農地改革の実質的に調整を図る意味におきましては、農地の買受人というものを限定をいたしておる、昔のように金さえあれば誰でも自由に買えるということでなしに、一定の自作農としての資格のあるものでなければ買えないという制限をいたしておりますことによつて、おのずからその価格農業収益を基準にして採算のとれる範囲に定まるであろうという見解で価格は外しておるわけであります。ただ政府の買収価格といたしましては先ほど申しましたように、主として小作地を買収するわけでありまするから、いわゆる小作料統制額から換算をいたしまして五千円という価格規定を置いておる、こういうわけであります。
  108. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで第三条によつてどういう制限を行い、而して政府の買上げる場合には十二条によつて価格の制限を行う、然らざる場合は価格については何らの制限を置かないと、こういうことが従来の取り来つた例から行きますと、是非の論は別として矛盾したような感じがいたすと思うのでありますが、それに対しては何か御研究というか立法上の際に問題に取上げるへき筋合ではなかつたか思うのでありますが、只今説明では現実がそうであるからというだけでは不十分と思うのでありますが、何かはかにあるかないか。
  109. 平川守

    政府委員平川守君) 結局只今申しました政府買上価格というものは小作料から換算した価格に定める、これは小作料というものは飽くまでも統制をいたすということから来ておるわけであります。併し自作地につきましては別に自作農としての据置価格でおのずから定まることであるから、これを統制しないと、こういう立場をとつておるわけであります。これについてはもとよりいろいろ議論はあろうかと思いますけれども、一応そういう従来のやり方を踏襲いたしておるわけであります。
  110. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで農地委員会が事実問題として、第三条によつて小作地や耕作を甲から乙にこの第三条の範囲内において移動すると、こういう場合が今後は沢山出て来ると思うのでありますが、そういう場合に対する価格については全く野放しで、府県の農地委員会等に対しての権限が非常にまちまちになるということが出て来ると思うのでありますが、それに対しては何か特別の措置を講ぜられるというような考えをお持ちになつているかどうか。
  111. 平川守

    政府委員平川守君) この農地の移転につきましては、知事が許可をいたしますので、大体において私どもは先ほど申しましたように、売買の相手方というものが非常に限定をされておるという関係上、而もそれは自作農に限ると、こういうことに限定されておりますから、おのずから農業収益の関係で法外の価格というものは出て来ないだろうというふうに想定をいたしておりますが、若し仮に何かの事情で非常に法外な値段であつて、これは適当でないという場合がありますれば、法制的には知事が許可の条件としてそれを制約することもでき得るわけであります。法制的にはでき得るわけであります。ただ実際問題としては恐らくそういう価格は出て来ないだろう。何となれば相手が自作農であり、その農地自分農業に利用しなければならないのであるから、その採算を無視した法外な値段は出て来ないだろうと、かように考えておるわけであります。
  112. 島村軍次

    ○島村軍次君 知事の許可の場合に、法制上ということが許可権限の範囲であつて、別に価格が高いからというので不許可にするというようなことは、これは他の条件が適つておればできないという筋合いのものではないかと思うのでありますが、只今の前段の議論によりますると、価格については統制を外した、従つて五万円であろうが十万円であろうが、それは農地法にいわゆる第三条による移動の制限であつて、許可事項の範囲外に属するものと考えられるのですが、そうは考えられませんか。
  113. 平川守

    政府委員平川守君) この点につきましては法制局とも相談をいたしておつたのでありますが、法制局の解釈といたしましては、この条件ということで売買を許可しないというのではないけれども、許可する条件としてこの価格はこの程度まで下げなさいということを附することができると、こういう解釈になつております。
  114. 島村軍次

    ○島村軍次君 その場合に、まあ農地委員会においては価格は適当であると認める、併しその適当ということはおのずから常識もあると思うのでありますが、最後の決定は農地委員会と府県知事との間の見解が非常に違つた場合には、最後の決定が知事の許可範囲であるから意見の相違が出るというような場合が想像し得ると思うのでありますが、そういうような場合に対する措置は別途何か事務的に処理するような考えを持つておるであろうかどうか。それから併せてもう一つ承わつておきたいと思いますのは、農家が先ほどもお話になつたように非常に借銭をした、そしてそれは事実上担保に入つている、そこで債権者のほうから言えば、耕作権をそのままにしておいても所有権を甲から乙に移しておつて、それが或いは五万円か八万円の価格に事実上売買される、そして所有権の移動が行われるというようなことも想像せなくちやならんと思うのでありますが、この場合には農家自身は、借入をした農家から言えば高いことを望む、而して債権者が若し他の高利貸等の場合におきましては、これはともかくも第三者的に非常に高い価格でその値段を釣上げて、そうしてまあ耕作権だけを残すというようなことで、農家が非常な惨な姿になるということも予想せられんことではないと思うのでありますが、そういう場合においては、折角この農地法においてそのものの制限を行なつて而して価格については制限をせないということはどうも矛盾をするような感じもするのでありますが、只今説明によつて許可の場合にこれをやるということでありますが、それだけではどうも不十分なような感じがいたすのでありますが、その点に対して更に一つ御意見を承わつてみたいと思います。
  115. 平川守

    政府委員平川守君) 価格の問題につきましては、農業委員会は意見を申しますけれども決定は知事であります。知事が判断をしてきめるわけでございます。それから勿論これに対しては訴願訴訟等ができるわけであります。それから担保に提供いたしました場合に、非常に高利貸その他が高く、これを耕作はせしめておきながら高く引取ることがありはしないかというような御心配でございますが、この農地の所得につきましては、すべて堅実な自作農たるもの以外は買えないことになつておりますから、従つて高利貸が堅実な自作農でない限りは、本人が堅実な自作農でない限りはこれを買うことはできませんし、又その他のみずから耕作せざるものがこれを競落することもできませんし、そういう移転が行われる心配は一応ないことと考えております。
  116. 島村軍次

    ○島村軍次君 一応これで質問を打切りまして明日継続するということで本日御散会を願います。
  117. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 明日継続をいたします。  それでは本日はこの程度で散会をいたします。    午後四時十八分散会