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1952-05-20 第13回国会 参議院 農林委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十日(火曜日)    午後二時六分開会   —————————————   委員の異動 五月十九日委員北村一男君辞任につ き、その補欠として白波瀬米吉君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            加賀  操君            山崎  恒君    委員           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            瀧井治三郎君            赤澤 與仁君            飯島連次郎君            三浦 辰雄君            三橋八次郎君            小林 亦治君            松永 義雄君   政府委員    農林政務次官  野原 正勝君    農林省農政局長 小倉 武一君    農林省畜産局長 長谷川 清君   事務局側    常任委員会專門    員       安樂城敏男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農業災害補償法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○農業災害補償法臨時特例法案(内送  付) ○農業共済基金法案内閣送付)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。  農業災害補償法の一部を改正する法律案農業災害補償法臨時特例法案農業共済基金法案、以上三法案につきまして、昨日に引続いて質疑を願います。  最初に昨日の三橋委員の御質問に対して畜産局長から御答弁を願いますが、もう一度重ねて三橋委員からの御発言を願います。
  3. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 開くところによりますと、政府において本年度から実施することとなつております、家畜導入資金利子補給によるこの有畜農家創設事業によつて新たに導入せられる家畜死亡廃用共済料金が、他のものよりも引上げられるというようなことを昨日農政局長からお話があつたのでありまするが、これが果して事実でありますか、又どういう理由によつてこれが料率を上げなければならんのか、その理由を承わりたいと思います。
  4. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 今度政府考えております有畜農家創設に伴いまする家畜導入につきまする共済掛金の率の問題でございまするが、私たちも一面ああいう仕事をやつております以上この際掛金率を少しでも上げるということが面白くないという点についてはそういうふうに考えるのでありまするが、ただ実際問題といたしますると、従来の実績等に鑑みてみましても、新たに家畜導入いたします場合の危険率は通常、普通の場合よりも高いのでございまして、そのために共済団体が財政的に迷惑をこうむるということでありましては、国の制度に支障を及ぼすことに相成るのであります。この問題につきましては実は御承知のように開拓農業協同組合等が新たに家畜を入れます場合等につきましては、この共済組合引受拒否と申しますか、一年間は延期をするというような処置を従来とつておるのであります。又従来乳牛等保険金額が法定で考えておりまする八割引受が実際問題とすると全国的に行われておるというわけでありませんで、それより少い保険金額が行われておるというのがまあ実情であるようであります。私たちいろいろ考えまして、この際有畜農家創設事業を進めて行きます場合に、これに基く家畜導入につきましては必ず家畜共済組合加入せしむると同時に、その保険金額もできるだけ高率にしてもらいたいということを考えまして、従つてこの際それによりまして通常考えられておりまするよりも若干危険率が高いということでありますれば、その一部分を新たに加入をいたしまする新会員から負担することも、共済組合全体の立場から考えれば又止むを得ないのではないだろうかというふうに考えまして、いろいろ農政局方面とも御相談を申上げ、更に家畜共済審議会の御意見等もいろいろお伺いいたしまして、一応この際は最高一割程度を限度にして引上げることを認めるということにいたしたいというふうに考えた次第でございます。
  5. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 折角有畜農業の必要を認め、又国民の食糧確保という点から見ましても欠くべからざる有畜農業普及国家財政を支出してまでも、この有畜農家をふやそうという今日におきまして、新らしく家畜導入する場合におきましてその危険率が非常に高い、だから国としましても料率を上げなければならんというような、そういうことでありますると、新たに家畜導入します農家としましては二の足を踏まざるを得ないと思うのでございます。まして利子補給をして漸く家畜を求めたというような状態におきます農家に対しまして、料率一般のものよりも高く取られるというようなことになりますると、折角この事業の成果、普及性というものにも重大な関係があると思うのでございます。勿論新らしく家畜を買う農家につきましては危険率は高まつて来ると思うのでございます。又よそから家畜買つて来ますると気候風土関係死亡廃用が多くなつて来るとは思うのでございますが、それらの点は極力、いわゆる技術指導によりましてその危険率を低めるということが必要だと思うのでございます。指導によつて危険率が低まらん、だから料率を高くしなければならん、こういうことでありますると、その指導陣の実力の水準が問題になると思うのでございますが、こういうようなことから考えましても、やはり利子補給までして導入した農家、その農家経済状態というものを考えます場合におきましては、むしろ料率が高くなつて保険政策の上に支障を来たすならば、国が料率の高くなつただけを補助しまして、そうして一方では保険の成立ということを容易ならしめ、他方におきましては新たに家畜導入いたしまして有畜農業をやろうというような農家の利便を図るということが非常に必要だと思うのでございますが、この点政府はどのようにお考えでありますか。
  6. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) お話の御趣旨はよく分るのでございます。私たちといたしましても、こういうことによりまして、一面に利子補給をするものに対して負担を増加するというような措置を取りたくは実はないのでございますが、従いまして新しく導入いたしまするものについての技術指導等による危険率の低下につきましては、これは我々のほうの技術陣営を動員することは勿論、共済組合担当獣医等活動等にもよりまして、その点は更に十分に成績をあげるように指導いたしたいと考えるのでございまするが、遺憾ながら従来の実績によりますると、乳牛にいたしましても一割四分或いは一般の牛にいたしましてもその危険率におきまして五割程度殖えるというような資料もある現状でありますので、むしろこれを認めないことによりまして共済組合におきまして加入拒否等がむしろ行われるということになりますると、折角考えておりまする有畜農家創設もできないということになりますのでこの辺をあれこれ勘案いたしまして、この際一応一割程度の線を認めまして、その代りと申しまするか、新たに導入いたしまするものにつきましても、一般のものと同じような料金で而も引受拒否等のないように指導をする、その建前といたしましてもはつきりいたしまして、この仕事を円滑にやつて行く上においてよろしいのではないか、そういうふうに考えた次第でありまして、なお農家負担を少しでも軽くするという意味におきまして、将来その危険率が若し相当高いというようなことでございますれば、財政的にこれを援助するというようなことにつきましても、更に努力をいたしたいというふうに考える次第であります。
  7. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今の問題は局長お話でよくわかりましたのでありますが、是非とも一つ今の御趣旨に副いまして、料率が高くなつて新たに導入する農家に対しまして経済的な迷惑のかからんように、一方的に保険がうまく行き、他方におきましては有畜農業が進展して行くというような方向に御配意願いたいと思うのであります。  その次に、政府において有畜農家創設事業実施が発表せられましてか、ら家畜価格が非常に高騰したのであります。これは一部家畜業者の策動による不当なつり上げの結果であると考えておるのでありますが、政府はこれに対しましてこの値上りの事実をどういうように見ておりますか、御意見を伺いたいと存じます。
  8. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 今回の有畜農家創設事業が公表をいたされましてから、家畜値段一般的に騰貴をいたしまして、ものによりましては二割或いは三割も今上つておるということはその通りでございます、併しその原因をいろいろ調べてみますると、御承知のように、全国的に特に乳牛等につきましては、これを導入したいという気分がほうはいとしておりまして、そこに持つて来て政府が今回有畜農業創設をやる、それに対して奨金を出すということが発表されましたので、誰も彼も牛が手に入るものだと、又それに対して国家利子補給をもらえるのだというような気持になりまして、相当大きな家畜移動が行われるであろうというような見解が一部に持たれまして、それにその間の事情に通ずる者が思惑的に家畜引上げたということがその主なる原因ではないかというふうに考えるのであります。実はその後この事業実施状況を各都道府県とたびたび会合いたしまして打合せました。その状況、例えば各府県希望は大体百億近いものがあつたのでございまするが、我々の計画といたしましては家畜資源関係等からいたしましてその四分の一程度にこれを否定しておるというようなことが如実に末端にわかるに従いまして、これは何も投機的な家畜移動考えておるのでなしに立地條件に即応したところの地道に家畜を入れろというものに対しても、僅かに家畜導入利子補給を伴つて行われるということが漸次末端にもわかるようになりまして、その結果最近では家畜値段相当落着きを見せて参りまして、非常に上つておりましたものも最近では相当値下りを見つつあるのが現状でございます。私たちこの問題につきましては、根本の原因農家が非常に希望が大きいのに対しまして国内家畜資源は非常に少いというところに原因があるのでございまするので、特に乳牛等につきましてはこの際できるだけ外国からでも入れたいということを考えて、すでに濠洲及びニユージーランド方面から入れることにして具体的に努力をいたしておるような状況でございまするし、なおこの事業が将来一年限りの仕事でなしに数年間に亘りまして地道に行われるということが一般に認識せられまするにつれましてこの家畜値上りの問題は自然に落着いて参るのではないか、又そういうふうに持つて行かなければならないのではないかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  9. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 有畜農家創設事業の初年度計画を達成するために国内家畜を以てどれくらい補給でき、又国内家畜では足らんで外国から何頭くらい輸入しなければならんかという御計画がありましたら承わりたい。
  10. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 今の三橋委員の御質問に関連してでありますが、今局長からお話のあつた濠洲或いはニユージーランド等からの牛の輸入の場合、その頭数なり、それからどういう、例えば搾乳を目的なのか、役牛なのか、或いはその両方兼用なのか、そういうような点も合せてちよつと具体的な点をこの際お話願えればいいと思います。
  11. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 現在考えておりまする各府県割当頭数は全部国内資源を以つて充当するという建前でございます。乳牛について申上げますると、大体一万頭でございます。併し、特に乳牛でございまするが各府県の要望は先ほども申上げましたように五万頭近いものがあるのでございまするので、この際できるだけ外国から乳牛を入れたいというふうに考えていろいろ調査をいたしたのでございまするが、先ず第一にドル地域でございますと、ドル資金が少いというような関係でなかなか輸入が困難だというような問題がございますので、取りあえずポンド地域でありますところの濠洲ニユージーランドから入れるのが最も手近いと同時にボンド資金の問題を解決する一助にもなるというようなことを考えまして現在のところは主として濠洲ニユージーランド中心に具体的に調査を進めておるのでありまして、実は来月早々畜産局係官関係商社の者、合計三名が濠州、ニユージーランドに参りまして、実地に実情調査すると共に乳牛を購買して帰るということをやりたいというふうに考えております。現在のところの見通しといたしましては大体ホルスタイン中心でございまして、大体濠州におきまする市場価格をつり上げることなしに自然的に搬出することができると考えられます量が大体一千頭程度じやないだろうか、ニユージーランド市場ははつきりいたしませんけれども、大体一千頭程度ではないかというふうに考えております。ホルスタイン以外のジヤジイ、イラワラシヨートホーンという種類になりますと、もう少し輸出余力があるようでありますが、内地農家希望は今のところ殆んどそういうものではございませんで、全部ホルスタインということでございますので、現在のところはそういう状況で進めております。将来他の品種のものでもいいということでありますれば濠洲、二ユージーランドの輸出力は更に殖えるのではないか、こういうふうに考えております。なおその他にアメリカ資源或いはヨーロツパの資源等につきましてもたまたま畜産局係官種牡牛種牡馬外国に購買に近日中に参りますので、その際によくその地方の実情調査してもらいまして、もし優秀なるものでわりかた安いものが手に入るということでありますれば、それも将来考えたいということで調査してもらうことにいたした次第でございます。
  12. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 今の点でもうつお尋ねしたいことは、仮に濠洲或いはニユージーランドから牛が入つて来る場合に、現在内地で売買されておる同種類価格と比較してどういう差異がありますか、余り大差ないのか、その辺ちよつと承りたい。
  13. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 内地の牛で子をはらんでおりますものは大体場所によつて違いますけれども十万円程度考えられますのに対しまして、実は現在ニユージーランドから十五頭、それから一週間以後におきましては濠州から十五頭見本の牛が横浜に入ることになつております。その値段は実は入札で売るということになつておりまして、はつきりここで申上げるのはどうかと思いますが、向うの商社希望は十五万円以上を希望しておるようですが、併しこちらのほうの考え方は無論そんな高いものじやいかん。これをもつと下げるように考えておるようでございますので、うまく参りますればそう大した差はないのではないか、又そういうふうに是非なりたいというふうに考えております。もう少しその辺の様子を調べてみたいというふうに考えておる次第であります。
  14. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 日本畜産業というものは日本内地農業経営の上から考えましても非常にむずかしいものだと私は思うのでありますが、一体政府では日本畜産業というものを畜産事業といたしましてやつて行くのか、又は耕地争議農業中心にしたところの畜産というようなことでこれを助長して行くのか、どちらでございますか。
  15. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) ちよつと甚だ恐れ入りますが、わかりませんでしたので……。
  16. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 簡單に申しますが、それなら畜産一つ事業として発達させるのか、どこまでも農業中心とした有畜農業ということで進めて行くのか。
  17. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 従来の畜産が、とかく畜産中心としたいわゆる畜産業だというようなきらいがあつたように考えるのでありますが、私たち今後の畜産というものを考えます場合におきまして、どうしても農業に結び付いた農業と一体を成す畜産でなければならない、そういうふうな行き方で考える必要がある。今度の有畜農家創設事業というのも、そういう観点から主として農業経営家畜を入れることが必要である、農家家畜を持たせるという方向考えて参りたい、というふうに考えておる次第であります。
  18. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 それは最も適当な育成の方法だと思うのでございますが、そうなつて来ますると乳牛にいたしましてもホルスタインのみを輸入するというようなことになりますると、これは今お聞きいたしました趣旨と反するものと思うのであります。シンメンタールでありますとか、或いはブラウンスウイスというような、いわゆる農家生活に溶けこませるようた牛の種類というものなども考慮に入れなければならんと思うのでありまするが、お話によりますると、成るべく乳量の多いホルスタインに重点をおかれるようでありまするけれども、そうなつて来ますると、やはり乳を生産する、いわゆる何と申しますか、製乳業者というようなふうに畜産農業というものから漸次離れて行く、一方におきましては乳製品を造つておる会社などの原料提供者になりまして、仕事を始めるときは牛乳一升なんぼする、だんだん仕事が始まつて来ましてどこでも取り手がなくなつて来ますと二束三文で結局牛乳が買われるというようなことになるのでありまして、愛媛県におきましても去年の夏の状況を申上げますと、朝暗いうちに起きて草を刈つて牛を飼いながら搾乳をし、それをかんに詰めて一里もある停車場まで運んで売る値段が一合が三円でございます。それを町に持つて来まして小さなびんに分けて窓口まで配達いたしますと、その同じ乳が一合十三円というような値段になつておるのでございます。こういうような状況では如何に有畜農業を奨励いたしましても、恐らく採算の合わんことは農家はやらないと思うのでございます。国家財政を投資いたしまして有畜農家創設をやつてみたところで、実際農家赤字経営をしているというようなことでは、これは折角のことも普及せずにむしろ農家に損害をかけるというようなことになると思うのでございます。そういう意味から考えますると、やはりホルスタイン一点張でなくて、実際局長お話にもありますように、農業中心とした畜産ということになりますと、同じ乳牛にしましてもやはりもつと日本の地勢、日本農家飼養管理に適当したような種類の牛を入れるというようなことなども極めて重要だと思うのでございます。  この点を一つお伺いすると同時に、もう一つは成るほど牛を買つて来るのも、今の日本家畜事情から申しますと仕方がないと思うのでございますが、いつまでも海外に依存をしておるというような政策は極めてまずいと思うのでございます。幸いに畜産技術方面には優秀な人がたくさんおられるわけでございますから、種牛、種家畜の飛切り立派なものを金を惜しまずに買つて頂きまして、幸いに人工受精ということが普及しておるのでございますから、くだらんものを頭数をたくさん入れるよりも、本当にこれならば日本の将来の畜産業の基盤をなす家畜が得られるというような優秀なものを買つて来まして、人工受精などで大いに普及内地家畜を生産するというようなこういうようなお考えがあるかどうか、これもお伺いしたいと思います。
  19. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 農畜一体と申しますか、農家に飛込んだ畜産を奨励いたしますという見方からいたしますと、ホルスタインというのは少し立派過ぎると申しますか、上品過ぎるじやないかという気持お話通りたちも持つのでございます。ただ従来の経過を御承知のように明治以降大正の初め、相当いろいろな種類乳牛外国から入つて参つたのでありまするが、結局乳牛として残りましたのが現在のところまあホルスタインということになつておりまして、何と申しまするか、農家一般的な好みというようなものがどうもやはりホルスタインでなければならないというような気持が非常に強いようでございます。先ほどもちよつと申上げましたように、今回濠洲その他から入れますにつきまして各府県希望もとつたのでありまするが、我々が相当ほかの種類を慫慂いたしましてもどうもやはりホルスタインでなければ困るというような空気が非常に強いのであります。この点は実は私たちといたしましてもどうであろうか、やはり日本農家に溶け込んだ畜産という意味からいたしますれば、或る程度使役にも耐え、又肉量も豊富であるし、而も又相当のお乳が出るというようなものがございますれば、これが非常に結構なものではないかというふうに考え、従来から家畜試験場畜産試験場等におきまして御承知ホルスタイン日本の新乳牛などについてもいろいろ研究は進められておるのでございますが、何分これは年限が相当要するものでございますので、これを果して奨励していいかどうかというところの段階までその研究がまだ進んでおらないのでございます。終戦後も御承知のようにアメリカの援助によりましてブラウンスウイスというような小柄た牛も入つて来たのでございますが、これにつきましても試験場等におきまして農家にこれを持たせますことについて研究はしておるのでありまするが、現在のところまだこれが一般的に普及をするという段階に至つておらないことを残念に思うのであります。将来の問題といたしますと、どうしても畜産試験場なり或いは種畜牧場等におきましていろいろな品種をかけ合わせた新しい日本農家経営ぴつたりする家畜が生れないものだろうかというようなことをいろいろ頭の中で考えておるわけであります。更に各方面の御意見を聞きましてできるだけこれを実現するようにいたしたいというふうに考える次第であります。  なお日本家畜を改良増殖するために外国から優秀なる種牡牛種牡馬輸入し、これを人工授精によつて普及を図るようにしたらどうかという御意見に対しては私たちも全くその通り考えておるのでございまして、本年度種牡牛或いは種牡馬或いは種牡豚をそれぞれ若干ずつ外国から入れることにいたしておりますし、なお人工授精設備等につきましても、その内容を充実するように先般の予算で御決定を頂きましたので、これを活用いたしまして御趣旨に副うようにいたしたいというふうに考えます。  なお豚等につきましては、実は現在でも沖縄、台湾その他に相当優秀な種畜であるという評判の下に相当の数字が出ているような状況でございます。できますれば将来は日本一つ種畜国になるというような意気込畜産考えて見たらどうかというようなことも考えておる次第でございます。
  20. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 ほかの品種を入れましてもやはり農家ホルスタインを欲するというようなことは、恐らくこれまでの畜産というものを、牛でありましたならば牛乳屋というような、いわゆる畜産事業というようなことで農業経営ということと余り緊密な結び方でないところの畜産の奨励というものの弊害が私は残つておるものだと思うのでございます。実際農家家畜を飼いましても、にわとりを飼いましてもそうですが、にわとりを飼いますともう明日から卵を出荷させるということばかり考えまして、農家にこれを消費させ、食生活を改善させるというようなことは第二段目に考える。家畜を飼うのはお前らがたんぼで施す肥が取れるからというので、全く日本畜産というものは農村から考えました場合におきましては、蛋白質や脂肪の給源ではなくて糞を製造する糞畜の傾向が非常に濃厚なのでございます。家畜なければ農業なしというような言葉は私は一面から申しますると農家を非常にばかにした言葉だと思うのでございます。家畜というものは單に農業経営をする上に必要なものでなくて、人の生活というものに重要なものでありまして、むしろ家畜なければ生活なしというなら本当であつて農家はできました堆肥はかごに入れて売りには出ません、できました堆肥は必ず自分の畠に還元し、多少なりとも金肥を節約するということは十分心得ておることでございます。従つて農家家畜を飼うのは澱粉ばかり製造しておる日本農業には食生活の上において非常に必要なことである、できた肉や卵或いは乳というものは都会の人に喰わせて農家は糞だけを取ればよろしいのであるというふうな、こういうような考え畜産であつたならば農村のほうから私は御免をこうむると思うのでございます。どこまでも農家農業経営というものを中心にしてただ澱粉ばかりを製造する日本農家家畜というもののからを脱して、これを蛋白質に変え脂肪に変えて、生活して行く上においては家畜というものはなければならんものであるというようなこういう観念で畜産というものを推し進めました場合におきましては、私は單にホルスタイン或いはサラブレツドというようなああいうものを欲するというようなことにはならないと思うのであります。そういう点は是非今後の日本畜産はどこまでも農業経営というものと緊密に結び付いて国民の生活というものと固く結合したところの畜産でなければならんと思うのでございます。そういうようなことから考えました場合におきましては、日本のこの畜産というようなものにつきましての農村のかような認識を得ました場合におきましては、まだまだ進歩する余裕はあるだろうと思うのでございます。どこまでも畜産をやるといたしましても将来の目標というものはやはり土地から乳を生産する、土地から肉を生産するというような方向に持つて行かなければならんと思うのであります。外国からえさを輸入いたしまして家畜という機械を通してこれを肉に製造して売るというような畜産などということは本当の意味畜産ではないと思うのであります。ただ機械は金でできておるか、動物であるかという違いだけでありましてこういう畜産ならば私は長続きしないと思うのであります。そういうことから考えます場合におきましては、やはり国内の飼料資源の開発というようなことから考えて、ただ家畜に補給金を出して飼料を高いのを買つてやるという種類畜産ではこれは駄目だと思うのであります。やはり家畜を飼うには飼料というものは要るのでございますから、牧野或いは牧場その他の飼料資源の開発というものに対しまして更にもつと国家投資が行われて、そのがつちりした基盤の上に立つて日本畜産業というものは発達して行かなければならんと思うのであります。その点は政府のほうではどのように考えておられますか。
  21. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) お話になりました点全く私もその通り考えておるのでございます。特に将来家畜を殖やして行きます根本的な問題は、御指摘のように自給飼料を充実するということに帰着するのではないかというふうに考えるのでございまして、将来畜産を進めて参りますためにはどうしても牧野なり或いは一般耕地に対しまする飼料作物の間混作を積極的に奨励をするということでなけらねばならないというふうに考えるのであります。今度の有畜農家創設の場合におきましても、従つて自給飼料の自給率が少くとも六〇%乃至七〇%以上ある地域でなけらねば家畜導入を認めないというようなことを考えておるのもその趣旨でございますが、同時にこれらに対しまする国家の施設が終戦後特に非常に手薄でありましたことは御指摘の通りでございまして、今後我々といたしましては思い切つてこの面に財政投資をして頂くように努力をいたしたいと考える次第であります。本年はその手始めと申しまするか、初年度でほんの僅かではございますけれども牧野改良或いは飼料作物の原種圃の拡充或いは採種圃の新設等若干の経費をお認め願つたのもその考えから出でたものでございまして、将来この線を更に積極的に進めて参りたいと考える次第でございます。
  22. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 有畜農家創設事業として家畜導入資金を出してやるということも極めて重要な問題でございますので、これを静かに日本農業事情から考えます場合におきましては、これは枝葉末節の問題でありまして、もつと本当に有畜農家創設しようとしたならば、今局長からもお話がありましたように飼料資源の開発という方面に更にもつとたくさんの予算をとつて頂きこのほうの充実をして行きませんと、家畜頭数が殖えましても飼料がない、高い飼料を買つて来てやるといたしたならば、畜産というものは成り立たん。折角殖えましても頭数もそのことによつて又減つて来るというようなこういう事情に立ち至ると思うのでございます。勿論日本の飼料資源の開発と申しましても、外国のそれのごとくに簡單には参らないと思うのでございます。大部分の耕地はいわゆる農地として使われ、農地として使われない部分に対しては今度は牧野ということになりますから、これは外国の例などにならつたり、又特に広い県のこを対象にいたしまして予算をお取りになりましたのでは恐らく不足を生ずると思うのでございます。よく日本の耕地となる所は耕地とし、耕地以外の所の飼料資源を求めるというようなことになりますると意外な予算がかかると思うのでございますが、この点も十分御留意を頂きまして、日本畜産業の基盤を農業中心におきまして、がつちりと発達するように特に御考慮を願いたいと思います。 なお又前の問題に戻りますが、政府はこの創設事業実施前におきましてこういうことをやつたら家畜値上りするだろうというような予測がつかなかつたでございましようか、どうでございましようか。
  23. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 実はこの事業を始めます場合に、関係方面のいろいろの御意見ではもつとこの規模を大きくして、その頭数のごときも少くとも政府の原案の倍以上にする必要があるのじやないかというような意見もあつたのでございまするが、私たち考えといたしましては残念ながら日本の現在の家畜資源状況から考えまして、余りたくさんの家畜を新たなる農家に入れるというようなことをいたしますると、却つて御指摘のような家畜値段引上げるという結果になると考えましたので、今度の計画は、従来自然的に流れておりました頭数は、その飼料の自然のままに流す、而して特に新たに家畜を持つということが必要であり、女持たせたいと考え農家にだけ、而も家畜資源の許す限度においてこの事業の枠の中に取入れるということを考えました結果、最初申上げました各方面の御希望に比しては非常に小さい計画なつたのでございまするが、この小さい計画でさえ先ほどお話がありましたように、多少考え違いを持たれたかたもありまして、家畜相当値上りをしておる、こういう状況でございまして、私はこれが先ほども申上げましたように、もう少し時間がたちまして、政府考えておりますことがそんなに現状を無視した飛び離れた計画ではない、むしろ地道に、而もこれは長い間に、而も先ほど来お話のありました農家経営に直接結び付いた有畜一体の農家を作るという気持から、ゆつくりそういう基礎のできました農家に地道に導入をして行くというふうにやつて行きますならば、将来この家畜値上りという問題はそう心配をする必要はないのではないかというふうに考えておる次第であります。
  24. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今度の出されます資金の利子補給も、実を言いますると家畜値上り農家のほうは殆んどその恩恵をこうむつておらん、中間業者が儲けておるというような、こういうような実情にありますことは誠に遺憾に思うのでございます。この値上りの防止対策につきましては、先ほど局長からお伺いいたしましたからいいといたしまして、かようにこの家畜値上りによつて政府計画しております有畜農家創設事業の効果が大いに批判せられております際に、更にこの事業によつて新たに導入せられる家畜の死亡、廃用、共済料率が引上がることになりますると、政府におけるこの有畜農家創設事業は、有畜農家創設のために有害無益と言わなければならん結果を生むと思うのでございまして、政府はこの事実をどういうように御覧になつておるか。先ほども申上げましたように、新らしく家畜を買うというような者に対してその指導よろしきを得ますると、古くから家畜買つてつておる者よりもむしろ家畜を大事にいたしまして、一面から申しますると飼養管理というものが行届き、むしろこれが死亡率というものが減つて来るというような情勢に至らなければならないものだと思うのでございますが、こういうようなことを考えました場合に、先ほどもこれはお願いしたのでございますが、何とかしてこの料率引上げというようなことは絶対に避けなければならないことと思うのでございます。この料率引上げではなくて、これを下げるというようなことにつきまして十分なる対策を講じて頂きたいと思うのでございます。その対策が成るべく早い間に対策を講じて頂きまして、本委員会でこの共済方面の法律の審議をしておる間にその対策を委員会に御報告を願いたいと思うのでございますが、如何でございますか。
  25. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 共済掛金率の引上げの点につきましては先ほど申上げた通りでございまするが、端的に申上げますると、従来家畜の共済に関しましては、或いは引受の遅延とか、或いは又共済掛金の低減と申しまするか、低いとかいうような問題が一方にございまするし、他方有畜農家創設事業をやるにつきましては、共済に入るということを前提にいたしまして資金の融通をいたそうということを考えております点等を考慮いたしまして、この際有畜農家創設事業によりますものにつきましては、共済の引受拒否乃至遅延というものをなくする、と同時に保險金額のごときにつきましても一般のものと同じに取扱うてもらう、その趣旨を生かしたいということから特に普通言われております新らしく導入いたしますことによる危険率の増大をこの際一割程度に我慢をしてもらおうということで、一応こういう結果を見た次第でございますが、併し問題は御指摘のように一般家畜につきましてもそうでありまするし、特に新らしく導入いたします家畜につきまする技術的な災害防止、危険防止の指導を積極的に進めることがより重要であることは勿論でありまするので、この点につきましても先ほど申上げましたように我々の配下にあります技術陣営を動員し、更に又家畜保険の配下にありまする技術者の積極的な御協力の下に特に注意をいたしまして、この危険率の増大することのないようにいたしたい、その結果一般的にこの危険率が下るということになりますると、一般的の掛金率がこの次の時期には更に低減されるように改訂をせられるということになろうかと考えるのであります。我々はそういうことになりまするように今後もできるだけ努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  26. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 政務次官がおいでになつたので、この際私は建物共済をめぐる農業共済組合農業協同組合の確執の問題について若干の質問をしたいと思います。かねて建物共済の事業の取得をめぐつて同じ農家から組織されておる農業共済団体農業協同組合との間に競合が行われておることは御承知通りであります。ところが最近両者の確執がだんだん激化をして参りまして農家をして帰趨に迷わしめ、なお不利を招かしめておる事態がありますが、農業関係の陣営内部の問題であるだけに識者をして非常に憂慮せしめておるのであります。而も確執はだんだんその深刻の度を加えて参りまして、すでに建物共済の問題を越えてそれぞれお互いに誹謗しあつたり、なお農業の維持育成のために重大な支障を招来ぜんとしておるのでありまして、問題は一日も放任しておくことを許さないものがあると考えられるのでありますが、政府はかかる事態を如何に認識しておられるか。そこでお伺いしたい第一点は、政府においては速かにかかる確執を除去し、両者の業務を調整して両機関の健全な育成発達を図り、農業振興に寄与せしめる責任があると思いますが政府の所見は如何でございましようか。
  27. 野原正勝

    政府委員(野原正勝君) 任意共済の建物共済をめぐりまして、共済団体一般農業協同組合との間においていろいろと問題があることは伺つております。もともと建物の共済事業というものの農業経営の安定化のために危険をわかち合うという共済の精神を活かして行くものでありますが、これは米麦等のようないわゆる当然加入というか強制的に加入するものと内容は全く違いまして、飽くまでも任意に、好むところに入つてつてよろしいわけでありますけれども、共済組合のほうが先に米麦等の共済の仕事をしておりました関係上、末端における機構が比較的充実整備されておつたというようなことのために、任意共済ではあるが建物共済の分はやはり共済団体のほうが多く扱うような傾向があるというようなことであり、従つて農業協同組合が当然扱つて差支えのない又扱うべきであるところの建物共済の仕事の大部分が、農協のほうで扱えないような事態になつておるというふうなことが生じましていろいろとお互いに問題があるように伺つておるのであります。もとより共済制度といい農業協同組合といい、ともに農村の振興のために最も重要な機関として私どもは共済事業の円満なる発達を願うと同時に、又農民の自主的団体であるところの協同組合の育成強化に大いに期待いたしまして、日本の農村の振興発展、農民生活の安定と向上を期待しておるわけであります。これらの共済団体と農協とがそういつた建物共済をめぐつていろいろと確執をするというふうなことは誠にどうも遺憾千万でありまして、一日も早くこれらの確執等が解消されて、真に農村のために健全な発達をして、それが相共に農村の民主化と農村の振興に役立つようにあつて欲しいものであるというふうに考えておるのであります。  それで御質問の両機関がそれぞれ健全に発達して行くことに対して政府はどんなふうな考え方かというお尋ねでありますが、政府としましても共済団体共済団体として、やはり今日の段階においては共済組合事業というものの農業共済補償制度というものが存在します限りにおいては、やはり共済事業というものを健全なものとしてどこまでも発達をさせたい。それでそれらの共済事業の一面として建物共済のごとき仕事がございますれば、それらは今の段階においては共済団体がやつておるわけでありますがやつてやれないことはない、当然共済団体仕事としてやることは差支えないと思うのでありますが、農業協同組合が非常に強化されて来ました場合におきましては、或いは建物共済その他の、まだ今日では余りやつておりませんが例えば生命保険事業といつたようなものまでこれは協同組合の強化されたことによつてせられますれば、そういう面までも協同組合というものが全国団体として扱うような段階に将来なることも私どもは予想しておるわけであります。今日の段階におきましては、協同組合も再建整備の段階と申しますか、まだ十分その仕事を完全に果すというようなところまで行つていない協同組合も相当ございまするので、事実上の問題としては、建物共済を全面的に協同組合だけで扱つて行くというようなことも困難であろうかと思うのであります。この辺は漸次調整をして行きたい。これらの問題は共済団体農業協同組合というようなものは現在の段階において一つにするというふうなことはなかなか困難なものである。又必ずしも一つにすべきものではないと思うのでありますが、同じ目的に向つて正しくこれが運営さるべきものであり、又それが正しく運営されて初めて農村の真の安定と発展が期待できるという点におきまして非常に密接な関係もありまするので、将来とも十分愼重に考慮しまして、これらの団体の育成と強化、そうして又事業面における調整を図るように努力をいたしたいとこう思うのであります。
  28. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 只今のお答えではあなたがどういう意図をお述べになつておるのか全然判断に苦しむ。(笑声)そこで、それではもう少し問題を赤裸々に申上げますが、昭和二十六年二月二十七日の農政局長の通牒が出ておる。この農政局長通牒は末端においてそれぞれ実施されておるかどうか、どういうふうに御判断になるか、この点を一つ伺いたい。
  29. 野原正勝

    政府委員(野原正勝君) 細部の点は農政局長からお答えいたします。
  30. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 お持ちにならなければこれを御覧下さい。
  31. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 今お話の昭和二十六年二月二十七日の局長通牒の趣旨が現実にどういうふうに実施されておるかということでございますが、この点につきましてはこの趣旨が十分実施されておるかどうかということにつきまして累次検討を加えております。この通り必ずしも、実施されておるわけでは私どもないと思います。そのためにまあ御指摘のような問題もだんだんとむずかしい問題になつて来ておるように思うのであります。どうしてもこれは行政府指導方針によつて参りまして、法制的な根拠を以て両関係の団体の分野を明確にするということはできませんので、さような遺憾な点が若干あるように考えるのであります。
  32. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 只今の農政局長の御回答によりますと、やはり私が指摘しましたような事業上の混乱については是認をしておいでになるようであります。ところが農政局長の通牒に明かなように、全国の農業協同組合連合会の設立認可に当つて、恐らく農林省の所管当局としては今日のような事態が起るであろうことを予想せられたに違いない。そういうことを予想されたが故にこういう通牒をお出しになつた。その結果は果して予期されたがごとき混乱を惹き起こしてだんだんとそれ激化されて今日に至つておる。従つて今の段階におきましては、政府はこの事態に対してどういう作業の下にどういう方針で事業の調整をなさろうとするか。これは政務次官のおつしやつたように、ただ單に事業の調整をするとおつしやつてもよつて起る原因というものが極めて明瞭なのでありまして、法制上の措置をしなければこの事業調整というものは簡單に適当にやれと言つてもできない。一片の通牒だけでそんなに簡單に私は片付かないと思うのでありますが、その点についての所見を一つこれは農政局長に伺いたいと思います。
  33. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 建物其の他の任意共済制度についてでありまするが、農業団体相互の問題につきましては、お話のように行政的指導ということでは十分解決しにくい問題であるということについては私もさように考えます。従つてお話のように、でき得ますならば制度的にも考え直して措置をするということが或いは必要ではないかと、それでは如何ように改正するかということになりますと、これはやはりなかなかむずかしい問題でありますので、ここで私からこうこうがいいということは直ちには明答できないのでありますけれども、御承知のように制度の問題として解決をするということがやはり解決を図る一つの大きな手段になるということはたしかであると存ずるのであります。
  34. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 農政局長の御答弁では、やはりこれは制度上の欠陷であるから何らかこれに対する措置を講じなければならないということを是認しておいでになるようであります。そう簡單にはこれはなかなかできにくいというふうな御意図のようでありますが、幸い政務次官がおいでになるわけですから、この問題については私が指摘するまでもなく、もう現状に放任をしておけば農業団体の中になかなかおおうことのできない大きな支障を惹き起すであろうということが極めて明瞭なのでありますので、この際政府としては断固とした方針、方策を確立されてこういう混乱競合を一日も速かに除去して頂くべき時期に到達しておると私どもは考えるのであります。そこでこのそういうふうな見地からいたしまして、政府の御当局では何かそういう意図の下に作業をお進めになつておるかどうか、或いはそういう下準備をされておるかどうか、この辺を一つつておきたい。
  35. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 今の問題につきまして、政府としてという言葉が多少語弊がございますが、農政局におきましてはいろいろ研究をいたしております。尤も研究だけでは困るということになりますが、この問題は非常に政治的な問題にも相関連しておるように私ども事務的な面から見ると見ておりますので、愼重に取扱いたいと思いますのでさように申上げたのでありますが、一つは制度の問題にもこれは勿論関係しますが、事業の分野をここで明確にしたらどうかということが一点であります。その場合に建物が一番問題でございますが、建物と申しましても団体の建物と農家の建物とはおのずから違いましようがそういう区分は一体できないかどうか。もう一つは共済制度は如何なる団体が営む場合であつても、即ち任意共済を如何なる団体が営む場合であつてもその共済事業は、これは補償制度として補償法で以て規制をする。そうして任意共済を営み得る団体というものは或る程度自由にする、自由にすると申しましても共済組合と協同組合がありますが、いずれの法規によりましても同じく事業の規制を受けて、それと合せまして共済組合、協同組合を通じまして再保險のための連合会といつたものが当然必要でございますが、そういう再保險のための連合会というものがこれは一元化するということが非常に事務的に考えた場合の制度の問題としての措置の一つではないかというふうにひそかに考えておるのであります。併しそれがいいかどうかということについては、これは御批判も受けなくてはなりませんし、又私どもも事務的に研究をすべき点があるように考えておるのであります。
  36. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 研究を遂げられておるようで、私どもとしてはそこに一つの期待を繋ぎ得ると考えるのでありますが、重ねてこれは希望を申上げておきえいのでありますが、とにかく現在の段階で放任することは百害あつて一利ないということは明瞭であります。この際更にこういう確執、少くとも農業協同組合と農業共済組合末端に行けばこれを受ける農家、組合員というものは全く一つであります。その辺の受ける直接間接の迷惑、被害それからなおその中間に位する団体間の確執或いは競合或いは誹謗、そういうふうなことを考えると、どうしてもこの際断を下すべき時期に来ておると私どもは考えますので、政務次官は詳しいことを御承知ないかも知れませんが、これはもう明らかなる事実でありますので、この際農政局当局でいろいろ研究して腹案もお持ちのことと思いますので、どうか確執を速かに除去して農業の世界の中の問題をすつきりするという、そういう方針を、一つ御決定を願つて、できればこの問題、共済に関する三つの法律案が上程審議されております期間中に当農林委員会に大綱方針でも是非お示しを頂ければ、私どもとしてはそこに一つの明るさを見出すであろうと考えるのでありますが、そういうことをこれは最後に一つ希望として私の質問を終ります。
  37. 野原正勝

    政府委員(野原正勝君) 飯島さんの御発言に対しましては政府も速かに愼重に検討いたしまして、成るべく早い機会にこの問題についてはつきりした方針を立てることにいたしまして当委員会に御報告申上げたいと思います。
  38. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 臨時特別法案についての質問でございますが、この法案は従来の一筆單位を経営單位にすることを前提として経営單位とする場合の計数資料を得るために行うことを主眼とするものであり俵すか。それとも先ず以て一筆單位とするか、或いは経営單位とするか、その根本方針というものを決定するために行うことを主眼としておるか、これはどちらでございますかということが一つ。  それから今回はこれは後者の場合と考えますが、果してこれがどうか、若し前者の場合であるとしたならばこの法案の取扱い方をお考えなさらなければならないと思うのでありますが如何でございますか。
  39. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 特例法を実施したいという考えの目的でございますが、それはもうすでに農家單位にやつたほうがよろしい。ただ計数がそろわないからその資料を得るためにこの実験をやるのだというのではないのであります。勿論農家單位をやつたほうがいいか一筆單位がいいかということにつきましては、どうも理論的に考えると農家單位がよさそうだと私ども考えておるのでありますが、併しそれをやるとした場合に今まで考えられなかつたいろいろなことが起こつて来るに違いない、そうして又そのためにいろいろの措置を必要とするであろう。従いましてどうも理窟はよさそうでありますが、果してやつたほうがいいかどうかということについてはまだ疑問の点があるのであります。従いまして今度この特例法をやる意味は、やるという当然の前提と申しまするよりは、やるとして一体どういう條件が要るか、或いは実験の結果理論上考えられた農家單位の予算というものが果して確保できるかどうかという検討をいたすのでありまして、さような趣旨で立案したのであります。
  40. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 本日はこの程度で散会いたします。    午後三時二十七分散会