○加賀操君 提案
理由に述べられてありますが、優良品種を生産いたしますには、多くの努力も要りますし、多額の
経費が必要である
関係から、自然種子の価格が高くな
つて参りまして、
農家がこれを買いにくい、こういうことは十分に了解でさますが、併し一面これは普通の種子から
考えますと、種子が高くとも、その種子から生産されたものが高く売れるという確実性があれば、私は少々高くとも
農家はその種子を買うだろうと思うのです。こういうこともよく
考えて置かなければならんと思
つております。三橋さんも
ちよつと言われましたが、私もこの優良種子の生産普及及びその後の処置について欠けておるところがありやせんか、こう思
つておるわけでございます。それはどういうわけかと申しますと、優良な種子をもらいまして、
農家が生産して市場に出す場合に、その生産物が優秀なものであるという確証を誰も與えていないわけです。もとは作
つたが、
あとはぶん投げてある、こういうのが従来の通弊であ
つたと私は
考えておる。ここに滝井さんがおられるので、こういうことは滝井さんは十分に御存じだろうと思いますが、私はそういう点で欠陷があるのじやないか、こう思
つておるわけであります。
従つて政府なり研究者が非常に苦心をして、いい品種を作り、
農家がそれを大切にして生産をして、そのものを売る場合に、この
法律から申しますと、米と麦ですから、米と麦に限定しますが、只今の
現状におきましては、米と麦は国家が管理しておるわけでありまするから、国がきめて、これはいいのだ、こうはつきりしてそれを生産させた以上は、何らか国が管理しておるものですから、規格をはつきりして、そうしてそれの検査を実行するなり、又検査によ
つて格差が十分できるだろうと思う、その格差をつけて国が買いますれば、私はこの
法律は十分に最終の実効を挙げ得るものだとこう
考えておるわけです。それが途中で切れておりますから、三橋さんが言われたように、尻切れとんぼになりまして、従来私もや
つておりましたが、大変に国も金を使
つておるわけでありますが、どうも成果が挙がらん、こういうのが実情でないかとこう
考えておりますので、
政府のほうで折角
法律を実施される場合に、こういう
政府がきめた良い品種を作
つた者については、規格なり或いは格差なりをはつきりきめてそれだけの価値で買
つてやる、こういうようにしなければ私はいかんと思うが、又そうしてやらなければ研究した人に非常に申訳がないとこういう気もいたすわけでございます。この点だけ御
意見を伺いたいと思います。
意見よりも私はそうしなければこの
法律の最後の成果は挙らないでないかとこういうわけでございます。その点をお伺いいたしたいと思うのです。
それから次に、勿論これは只今米麦は国家管理しておりますが、原則としては取引するものであります。で物が市場に出た場合に大切なのはこの品質と量でありますが、品質が幾らよくても或る
程度の量がまとまらなければ、私はその銘柄というものは生れて来ないと思
つておるわけであります。先ほどから話がありましたように、僅かなものでそれは非常にい
いものですが、長い間に少しずつ出て
行つたらこれは本当のいい品種の銘柄というものは生まれにくいと思う、その間
農家は三橋さんが言われたように非常な犠牲を負わなければならない。ですからこの点につきまして私は従来のこの採種計画の欠点はここにあると思
つております。
従つて折角
法律も出され、二十七年度から非常に大きな
予算を組んでおられますので、この際極端な例を
一つとりますれば、
一つの県なら県でその県で使う大部分のものを一カ所なり二カ所なりにまとめて全部その集団的に一部落で作
つてしまう。極端ですが、その県の
農家はその限定された品種以外に蒔かない、これくらいな元気でや
つて頂かなければなかなか要しないと思いますし、又今までの経験から言いますと、小さい所に散在させますと、使いました
経費が私は非常に死んでいるとこういう気がいたします。これは主要食糧でないから言いにくいのですが、ロシアのビートのようなものも徹底した国営農場でや
つておるようです。ビートの種は国営農場以外で作
つていないようでございます。北海道でもビートは会社以外で作
つておりません。そうしてその種以外に使
つておりません。そういうのは極端ですが、まあこれに近いようなもつと大規模なそうして正確な採種計画をおやりになるような意思がありますかどうか、
一つお伺いしたいと思います。
それからもう
一つは少し余談になりますが、これは
政府の特に
意見を聞くというよりもお願いしたいと思いますが、
農業関係の研究の中で農産物の生産とそれから種苗の育成に対しましては、現在
日本の特許法に含まれていないのです。科学的な
方法は含まれておりますが、農産物それ自身とそれから品種そのもの、植物そのものは
日本の特許法に含まれておりません。
従つてこれらのものは逆に言えば非常に作り上げるまでに努力が要るし、長年の時間を要するわけですが、併し
日本の特許法ではそれを認めておりません。ただ種苗法に新らしい品種なり、新らしい系統を作り上げたものは登録をして、或る
程度まで保護する、こういうのがありますが、それ以外にはありませんので、私はこの際農林省で新らしい品種なり、新らしい系統なりというものを作り上げた研究者の人に、何らかの
方法で表彰の途を講ぜられるお
考えがあるかないか。これは研究する人の意欲を非常に向上させるものでありまして、研究者にこれ以上の報奨は私はないと思
つておりますので、非常に研究した人は努力した割合に何ら報いられていないのが
現状であります。そういうお
考えがありましたら
一つお伺しいたいと思う。例えばこの前の
予算で、あれは
農地部の
予算ですか、優良な開拓地の人を何人か選んで、アメリカを見せる、こういうのがありましたが、趣旨は違いますが、私は何らかいい
仕事をした人には、農林省として報奨なり或いはその労に報いる
方法をお
考えにな
つているかどうか、こういう点をお伺いしたいと思う。総体的な
質問は一応それで終ります。