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1952-04-15 第13回国会 参議院 農林委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十五日(火曜日)    午後一時四十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            加賀  操君            山崎  恒君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            瀧井治三郎君            宮本 邦彦君            片柳 眞吉君            三浦 辰雄君            小林 孝平君            三橋八次郎君            小林 亦治君            松永 義雄君   政府委員    農林政務次官  野原 正勝君    農林省農地局長 平川  守君    林野庁長官   横川 信夫君   事務局側    常任委員会專門    員       安楽城敏男君    常任委員会專門    員       中田 吉雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○森林法等の一部を改正する法律案  (衆議院提出) ○農地法案内閣送付) ○農地法施行法案内閣送付) ○農林政策に関する調査の件  (農地及び開拓地使用又は接收に  関する件)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。  森林法等の一部を改正する法律案につきまして、昨日に引続いて審議を続行いたします。ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止
  3. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 速記を始めて下さい。他に御発言がなければ、質疑は終了したものと認めて討論に入りたいと思いますが、如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより森林法等の一部を改正する法律案について討論に入りたいと思います。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  5. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 御異議もないようでありますから、討論は終結したものと認めて本案の採決を行いたいと思います。森林法等の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御起立を願います。    〔賛成者起立
  6. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 全会一致でございます。従つて本案は原案通り可決することに決定いたしました。  なお本会議における委員長報告等につきましては、前例によることをお許しを願います。なお多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     西山 龜七  加賀  操     山崎  恒  岡村文四郎    池田宇右衞門  瀧井治三郎     宮本 邦彦  片柳 眞吉     三浦 辰雄  小林 孝平     三橋八次郎  松永 義雄   —————————————
  7. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 次に農地法案及び農地法施行法案について農地局長から大要について説明を求めたいと思います。前回は提案理由だけを聞いたのみでありますので、本日はなお大要、大綱のうち極めて重要なと思われる部分だけを御説明願つて逐條審議というような点については、後日又日を改めてお願いすることにいたします。
  8. 平川守

    政府委員平川守君) 今回の農地法案提案理由の御説明にもありましたたように、従来の農地調整法自作農創設特別措置法及びいわゆるポツダム政令の三者を合一いたしまして、法文をわかりやすく配列をいたしましたのが主眼でございます。従いまして内容的に非常に大きな変更はないわけでございまして、大体において三法の規定いたしておりましたところを踏襲いたしておるわけでございます。特に注目すべき改正点の一、二を御説明申上げますと、従来の自作農創設特別措置法におきましては、いわゆる一括買收政府買上規定をいたしておつたのでありますけれども、今後この恒久法たる農地法におきましては、一定の場合におきまして農地を所有できない、例えば不在地主状態が起つた場合或いは小作地規定以上に多くの面積を持つに至つた場合等におきまして、その者をしてこの土地を他の適格者売渡さしめるという形を恒久的に立てることにいたしまして、政府一括買收という形はとらない、そういう場合において適当なる買手を見付けて売渡をいたさなかつた場合におきまして、初めて一定手続によつて政府がこれを買上げ適格者売渡すという方法をとるということにいたしたのであります。それからかねて問題になつておりました未墾地政府買收地の中におきまして開拓適地と思われるものにつきましては、これを旧所有者に返還をいたすという規定を設けました。これは農地法案の附則の八十條にあるのでありますが、調査をいたしまして、開拓に不必要な土地であるということが判明いたした場合におきましては、これを旧所有者売渡すということを法律に明記いたしました。これにつきましては、二十七年度、二十八年度くらいで大体の売渡を完了いたしたい、かように考えております。二十七年度におきましては、約三万町歩を売戻す予定を以て予算等を計上いたしております。これらの点がかなり大きい問題でありまして、その他はいろいろ細目につきまして、字句修正或いは手続改正等をいたしておりますが、大体において先ほど申上げましたように旧三法を統一したということでございます。  この條文につきまして極く概略説明を申上げますと、第一章におきましては、法律目的及び定義をいたしております。これも若干の字句修正がありまするだけで、大体旧法の趣旨を踏襲いたしております。それから第二章におきましては、いわゆる既墾地農地及び採草放牧地関係規定いたしております。その第一節は、旧農地調正法規定せられておりましたところの農地に関する権利移転制限都道府県知事許可を受けなければ農地売買或いはこれに対する権利設定等をさせないという規定、それからその許可につきましては、一定の場合以外は許可をしない、主として自作農を創設する、維持するという考え方からいたしまして、小作地売買につきまして、その現在小作をしておる小作人以外の者には売渡さないというような規定を置いておるわけであります。それからなお第四條、第五條におきましては、農地のいわゆる改廃制限いたしまして、農地を他の目的に転用する場合におきましては、知事或いは農林大臣許可を受けなければならん。その改廃目的とする権利移転についても同様の許可を要するということでございます。これも農地調整法によりました規定であります。それから第二節は自作農創設特別措置法或いはポツダム政令において規定せられておつた條項でございまして、いわゆる不在地主を認めない、或いは一定面積以上の小作地を認めないということ、それからこれらに該当するに至りました土地に対しましては、先ほど申上げましたように一定手続によつて適格者売渡をしなければならんという規定を置いたわけであります。第八條以下におきましては、その手続規定いたしておるのであります。その一定適格者売渡さなかつた場合には国が買上げるということにいたしまして、その手続を第八條以下に規定をいたしておるわけであります。なおこの買收の問題に関係いたしまして、第十六條に売渡を希望する者に対しましては、政府買上げることができることを規定いたしておりますが、これは本来の農地売渡しのほかに、この規定の運用によりまして、政府実質自作農維持融資をするという目的を果しておる條項でございまして、つまり災害とか、或いは疾病とかというような事情によりまして、農地を手放さなければならんというような事情の起りました自作農が、その土地政府に一遍売りまして、そうして又直ちに政府から拂下を受けて、年賦償還でこれを償還するという手続によりまして、実質自作農維持政府融資目的を達しており、これは昨年から実施をいたしておりまして、二十七年度におきましては、約八億五千万円ほどの資金予算に計上いたしておるのであります。それから第三節は、これは旧農地調整法規定でございまして、主として耕作権の保護に関する規定、それからいわゆる薪炭或いは採草等利用権に関する規定等であります。即ち農地賃借権の効力を物件的に強める、又賃貸借の更新或いは解約等につきまして許可制度をとるということ、或いは小作料についての制限限度をきめるということ、又その小作料は金納で定額でなければならん、或いは小作契約については文書によるというような、従来主として農地調整法にありました規定を踏襲をいたしておるのであります。それから利用権につきましては、二十六條以下に土地又は立木についての主として薪炭或いは採草等目的を以てする利用権設定規定を、これも農地調整法にありましたものを踏襲いたしておるわけであります。それから第四節は、これは競売に関する特例でありまして、ポツダム政令規定されておるところでありますが、農地等権利移転について制約をいたしております関係上、競売公売等の場合におきまして適切なる競落人が出ない場合があるわけです。そういう場合に農林大臣一定価額を以てこれを買取る、その価額と申しますのは、おおむね田において五千円という程度価額でございますが、農林大臣がこの価額によつていつでも買取るということがいわゆる自作農維持資金融通役目を果しております。先ほどの十六條の規定と結び付きまして、或る程度において農地担保力を保持するために必要な役目を果しておるわけであります。それから第五節は、いろいろな制限によりまして国が買上げ農地採草放牧地売渡規定でございまして、これは自作農創設特別措置法に従来規定せられておりましたところを踏襲いたしておるのであります。即ち原則としてはいわゆる熟地であります場合におきましては、その農地であり、小作地である場合には、その小作人が優先的な権利を持つ、その次にはその他の自作農として精進する見込みがあると認められるものに売渡すという順位をきめておるわけであります。それからなお放牧採草地等につきましては、地方公共団体或いは農業協同組合のような団体売渡しまして、共同利用をせしむるという途も開いておるわけであります。第三十七條以下におきましては、この売渡しについての手続規定しておるわけであります。  第三章は未墾地に関する規定でございまして、その第一節買收の問題であります。この対象につきましては、従来の規定整理いたしまして、できる限り必要なる限度にとどめて無用の買收をいたさないように整理をいたしております。要するに農地とすることが適当な土地及びそこで農業を営むのに必要なる土地或いは耕作物或いは権利というような限度に限定をいたすということにいたしておるのであります。なおこの買收をいたします場合につきまして、従来次官通牒等で行なつおりました適地調査その他の手続法律に明記いたしまして、この買收さる土地農耕に真に適する、自然條件におきまして傾斜度或いは土性、気候その他の自然條件から見まして、山林原野として置くよりも、開拓して農地とすることがより適切である、こういうものに限る。而もそれにつきましては一定專門技術者調査等を十分にいたし、又その集まりであるところの開拓審議会知事から諮問をいたしまして、その意見を十分に聞いて、適地であるか否かをきめて参る、そういう手続を明記いたしたのであります。その他はこの買收手続問題等でありまして、大体において従来の手続を簡素化して踏襲いたしております。それからなお漁業権等につきましては、従来これをやはり買收対象にいたしておりましたが、これは土地收用法の他の建前からいたしましても、これは融通し得る権利でありませんので、一定手続によつて買收実質的には似たようなことでありますけれども、消滅せしめるということに変更をいたしました。又開拓地上にある、予定地上にあるいろいろな物件の收去等につきましても規定いたしましたが、これは従来はやや行き過ぎで、こういうものまでも全部買上げてしまうといつたようなことになつておりましたのを、この收去で事が済む場合はできるだけ收去の程度にとどめる。又使用で済むものはできるだけ使用で行くというようなことで、買收範囲を余り不必要に拡大せんように考慮をいたしました。その他は買收手続関係する規定でございます。第二節は売渡の問題でございまして、これは前の節によりまして、買收をいたしました土地をどういう者に売渡すかということでございますが、土地配分計画、或いはその計画されました土地に対して、先ず開拓入植したいという者が買受予約申込をするというようなところを法律に明らかにいたしまして、従来事実上運用いたしておりましたところを法文に明らかにいたしました。六十二條から四條あたりまでは新らしい規定でございます。これはこういう手続によりまして、いわゆる入植の適格者知事選定をいたしまして、その選定を受けた者が買受予約をいたし、知事のほうから売渡予約をいたしまして、その以後において正式に買受申込売渡手続を進めて参るということにいたしておるわけであります。この辺は従来の土地法にありましたことを踏襲いたしております。なお六十九條の第一の売渡等につきましても、従来の考え方を踏襲いたしておりますが、できる限り無駄なことのないように、無用なことのないように範囲を限定いなしております。それから第七十一條以降の売渡後の検査というのは新らしい規定でございますが、入植いたしまして、一定期限内に開墾を完了するということにいたしております。その期限が到来いたしました後におきまして、知事成功検査をいたしまして、その成功をしておりません場合には、更に場合によつて七十二條によりまして、それを国が買戻してしまうということもあり得るということにいたしたのであります。それからその他の規定は、従来ありました自作農創設特別措置法或いは調整法にありますことを踏襲いたしましたのでございます。  雑則のほうでは特に申上げることもございませんが、先ほど申しました第八十條が一つの重要な規定でございまして、従来買收いたしておりました十地のうちにおいて、開拓不用地と認められるものを売り拂つて参るという規定でございます。まあ特に御説明申上げる必要はそのほかの雑則について仕ございませんかと存じます。罰則も大体において従来の規定を踏襲いたしております。多少整理をいたしておりすすが、大体において従来の調整法及び措置法を踏襲いたしております。  それから農地法施行法のほうでございますが、これは従来の三法令から農地法に移ります経過的の時期におきまして、従来進行いたしておりますところの手続きの或るものは従来の法律によつてそのまま行う。或るものは農地法の新らしい法律に基いて措置をするというような技術的の規定でございます。大体において従来の法律の内容がそのまま農地法案に載つておりますので、従来の手続をほぼそのまま円滑に新らしい法律に乘り移つて進行して参ることができるわけであります。  それからなお施行法の十四條は、従来のポツダム政令にありました規定でありまして、売渡を受けましてから十年内に他に売渡したような場合におきましては、その差額を一年につき十分の一ずつ徴收するという従来ポツダム政令にありました規定であります。十五條以下は、この農地法伴つて農地法が新らしくできるに伴いまして関連する他の法律において字句等整理しなければならんものの整理でございます。  極く概略でございます。
  9. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 本法律案は御承知のように極めて広汎な部分に亘つておりますので、詳細については御検討をお願いいたすことにいたしまして、本格的な質疑は後日に譲りたいと思いますので御了承をお願いいたします。  なおこの機会に農地又は開拓地連合軍又は警察予備隊による接收又は使用に関する問題のその後の経過について、農林事務当局から説明を聞くことにいたしたいと存じます。この問題についてはかねて当委員会において重大な関心を拂い、すでに両三日に亘つて政府の方針を質し、善処を促がして参つたのでありまして、当委員会としてはまだ結論を得たわけではありませんが、併し従来の経過に鑑みますと、一、農地又は開拓地原則とし軍用或いは警察予備隊用として接收又は使用することを避けること。二に、すでに接收又は使用せられているものは速かにこれを解除又は返還するの処置を講ずると兵に、今後における接收又は使用を防止するため確固たる対策を確立すること。三に、万一真に止むを得ない事情によつて接收又は使用せられた場合、これはすでに接收又は使用せられているものをも含めて適正な対価及び補償金遅滞なく支拂うと共に、その支拂金に対する免税及び適当な替地の提供等必要な措置をとることとなし、これに必要な経費予算を確保すること。四に、接收地或いは使用地において演習を行う等、その使用伴つて誘発せられるあらゆる被害、いわゆる間接被害に対し、適正な賠償その他必要な措置遅滞なく行うこととなし、これに必要な経費予算を確保すること等が差当つて緊急を要するものとして要望せられておるわけであります。これらの問題については、かねて御了承を得ておりますように、近く関係者大臣出席を求めて政府の真意を質し、対策の速かなる実施を推進する予定でありますが、併し先に当委員会において政府関係当局から説明を聞いてから今日まで、その間予備作業班作業等によつて大分様子変つて参つたようでありますから、近く関係者大臣出席を求める場合の準備として、本日はあらかじめ農林事務当局から本問題に関するその後の経過等について説明を聞きたいと思いますので、御了承をお願いいたします。
  10. 平川守

    政府委員平川守君) 只今の御趣旨に副いまして、駐留軍関係につきましては、正式の発効に備えまして予備作業班が編成され、私もその日本側代表の一人といたしまして加わつておるわけであります。予備作業班におきましては、一応原則的に考えられることを両国合意いたしましたのでありますが、そのうち演習地等の問題につきましては、農民或いは漁民の立場というものを十分に考えて、その利益を擁護するというように考えるという趣旨決定があるのであります。この線に沿いまして、予備作業班演習場に関する分科会におきまして、只今具体的に演習場等決定をいたして行く段階にあるわけであります。現在のところはまだ資料を集めておる段階でございまして、我々といたしましては、各現地農民或いは村の幹部等意見までも十分に取入れまして、そうして向うに反映をいたすようにいたしたい、かように考えておりますので、具体的な一つ一つ演習場計画につきまして、現地に出向き、或いは現地代表を呼び寄せまして、実情只今聞取つておるという段階でございます。米軍のほうの考え方等につきまして、私どもの推測、交渉の過程において感じられますところでは、米軍側も非常にこの点は注意を拂つておるという感じを持ちました。勿論演習等関係で必要があるわけでありまするから、ただ單にこちらの立場ばかりを押し通すことも困難かと思いますけれども、併し米軍側においても、農地或いは農民に関するところの利害につきましては非常に愼重に事を考えて、でき得る限りそういう場所を避ける工夫をしたいということを考えておるようであります。なお万一農地を取られる場合の補償の問題につきましては、これは純粋に日本側の問題ということになつております。対大蔵省関係にもつぱらなるわけであります。私どもといたしましては、先般も申上げましたような補償基準の一案を以ちまして、大蔵当局折衝中でございます。要するに現在例えば我々のほうの土地改良事業で、水没地が生ずる場合の水没農家に対する補償とかいうような、現にそういうものが行われておるわけでありまするし、実例もあるわけでありまするから、そういう線に沿つて十分な補償をしてもらいたいということを要求いたしておるのであります。これにつきましては、まだ結論を得ませんけれども折衝はそういう方向で折衝いたしておるわけであります。大蔵省のほうも逐次理解を深めつつあるように考えております。  それから予備隊の問題につきましては、只今そういう事態で米軍のほうの関係を急いでおりますので、予備隊のほうは一応一般的に先般来のお申入れによりまして、ともかく勝手に演習地を取る、或いは演習をするようなことはやめてもらいたい。具体的に一つ一つの地区について演習の要求がある場合には、こちらに相談をしてもらいたいということを申しておるわけであります。その後新らしく大きな問題は発生しておりませんようであります。従来の案件につきましては、一つできるだけ速かに解決いたしたいと思いまするが、米軍関係の問題が一つのその基準と申しますか、前例になるわけであります。こちらのほうで基準をきめましたならば、その基準則つて補償等をきめて参る。又他の適地に、できるだけ農地を避けた適地に移つてもらうということも具体的に話をして参りたい、新らしいものについては相談なしにやることはいかん、こういうことで一応折衝をいたしておるというわけであります。大体その程度であります。
  11. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  12. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 速記を始めて下さい。
  13. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 私は実はこの間自然休会の間に、宮城県の矢本の飛行場と、それから問題の王城寺ケ原行つて見て来たのです。ちよつと私心配になることは、この現地実情というものは、局長の仰せには、やはりちよつと飛行機を降りられて見て来たそうですが、詳細に現地実情を聞いて見ると、この現地実情というのは、もつと細かいのですね、はつきり申上げれば……。それで中央で以て幹部同士が協議し合つてそれで了解ができたというようなことじや解決が付かん問題が大部分なんです。私その問題が非常にむしろ心配されるのじやないか。王城寺ケ原で一例を申上げれば、これは元の部落へ盛んに流弾が飛んで来る。ところがこれは日本軍演習をしておつた時代には、やはり流弾は飛んだことがあるそうです。けれどもその時は言葉がわかるものだから、附近の人がちよつと飛んで行けばそれでぴたつととまつたそうです。ところが今度は飛んで行つて言葉がわからんから手を振つてもてんで問題にしない。それからしようがないから渉外の係のほうの、あすこ英語のできる巡査が一人おるんだそうです。それが色麻村にいるそうですが、この巡査の駐在しておる所は、私は今言つている流弾のよく飛んで来るのは大衝という村ですが、大衝村から色麻村に行きまして、英語のわかる巡査の所に飛んで行くのにどうしても半日ぐらいかかる。そうすると渉外巡査が、これは下手な英語だそうですが、行つて交渉して漸く解決の付いた頃にはその日は一日終つてしまう。こういうような状態なんですけれども、ところがそういうようなことが、これが部隊の変るたびに起る。それからもう一つは最近の、御存じのように焼夷小銃弾でも、何と言いますか、焼夷小銃弾と言いますか、あれがやはり実弾の中に入つているのですね。それが飛んで来るとすぐ山火事になる。田野という部落は周囲が山林だものですから、それが落ちるとみんな村が焼かれる。村の人たち皆山火事を消しに飛んで行く。弾は射たれるし、山火事は消さなければならない。それでたまらんから、何とかしてあすこ特設電話を引いてくれ、そうして渉外巡査のほうと早く連絡のとれるようにしてくれということを一年前から請願をしているのだそうです。これが一向実現されない。最近聞きますというと、その流弾農家にもう何発もあたつているのですね。家に七、八発以上もあたつている。その農耕地が二十七町歩くらいある。その附近まではしよつちゆう飛んで来る。実はそこらの部落人たちはかんかんになつておるのですね。そういつた問題、それからもう一つは、用水路をやたらとめるのですね。あの王城寺ケ原の真ん中には御存じのように大きな水路、三百町歩くらい灌漑している用水路がある。ところがアメリカの軍隊は日本のイリゲーシヨンということが頭にないから、しよつちゆう水はとめてしまう。そういうことを幾ら説明行つてもわからないのですね。それからこれは農業経営形態が違うのですね。日本軍当時は話せば、演習場のうちを軍の了解で以て演習中でも危くない限りは通らした。今は絶対に演習中は入場禁止で、入れば処罰される。今度は行政協定でもできて処罰が嚴重になるというと、あれは大きな問題になつ来るのじやないかと私は心配するのですが、そういつたように個々のケースが非常に複雑しておる。矢本のほうへ参りますと、これは又完全にケースが変つてつて、あれは再接收になりましてから、海軍の飛行場が四十二町歩拡張して接收された。その接收当時の離作料もまだ拂つていない。請求しておるけれども、拂うと言つても離作料はまだ拂つていない。中にも四十二町歩というのは完全にいい耕地なんです。矢本の町の真ん中に海軍の飛行場がある。換地がないものですから、皆最近日雇いなんかをやつているらしいのです。そうしてあすこにアメリカの飛行隊が一千人ばかりいるのですが、そこへ使つてもらいたいと思つて行くのです。ところがアメリカのほうの人はそういうような特別の人を使うというような関係はちつともないらしいのです。これは使うときには一般の失業者を使う。特にそういうものを使つてくれと言つて町から行つてもそういう考慮は一切拂わない。仕事のあるときは使う。ないときは明日から来なくてもよい。こうしたことをやられるらしいのです。従つて四十二町歩取られた農家の中でも、今日では食えなくなつて町で以て少し扶助を出しているような農家もあるらしいのですね。ところがそこが今度は又話を聞くというと、これはどういう程度の話か知りませんが、五十町歩ばかり拡張されるのだそうです。矢本の町というのは非常に複雑な事情があつて、これは宮城県の海岸地帶のほうから……元の海軍の飛行場の所です。松島飛行場と言つておる所です。これは恐らく農林省のほうへはそういつた事情が知れていないのじやないかと思います。というのは、矢本の町としてはそれは余り言いたくないらしい。というのは、近くに岡があるとか、或いは海岸のほうに林があるとかで、そこへ警察予備隊を招致するという、一部分に町に運動があるのです。そのために農民のほうのそういつたことは成るべく中央に聞こえないようにというので、僕らが行つても町としては、いいえ、大したことはありませんと、こう言う。農民に聞くというと、実はこういうわけだ、こういうわけだという具体的な困る事情がある。私は恐らくこの演習場の問題については、中央で以て御折衝になつて大体解決が付いたと考えられるような、こんな原則的な問題では解決が付かんのが本当だと私は思つておる。局長が一地区ごとにやられるという方針はよいと思う。これは一地区ごとに農林省は直接出かけて行つて、そうして対策を立てるという行き方はいいと思うのですが、ただ現地はそれほど時間的な余裕が恐らくないのじやないかということを私は心配するのです。例えば王城寺の第二地区あたりは、あれは耕作はしてもよろしい。けれども演習には使う。だから演習中は一切入つてはいけないと、こういう制限があつて、従つて演習計画がどういう計画ということがわからなければ、農業経営計画というものが完全に立たないということなんです。まあこういつた実に複雑な実情があるので、これはむしろ県あたりに聞いて見るというと、県はただ農林省のほうで今度やつてくれろ、自分たちは農林省から通知があれば、その程度調査をやるという、非常に消極的になつちやつているのですね。だからもう少し県あたりを積極的に使つて、そして早く私は対策を立てる必要があるのじやないか。そんなふうに考えられて来たわけです。なお私細かいことも調査して参りました。で、農林省としては、その準備作業班というものの権限とか、或いは仕事の内容とか、それと農林省の行政的な対策としてどんなふうに今後やつておいでになる方針か。現在やつておいでになる内容がどの程度のものか、それを私はここで承わりたいと思うわけです。
  14. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでちよつと農地局長にお尋ねしたいのですが、どうでしようか、個々のケースについて何か具体的に問題を判定して行くのか、一応の何か大綱というようなものが予備作業班の中で立てられて、その大綱に照らして個々のケースの問題を考えて行くのか、そのどちらかと思うのですが、ここで今お尋ねした、近日農林大臣出席を求めて、前回当委員会から申入れたことに関する最後的なお答えを得たいと思うけれども、そういう答えを得られるようなふうに進行しておるのか、或いは今申上げたように、個々のケースを一つずつ勘案して行くというと非常な時間がかかることになるようにも思われるのですね。その辺見通しはどうですか。
  15. 平川守

    政府委員平川守君) 今の原則としましては、結局そこにありますような、さつき申上げたような、できるだけ農地は避けるとかいうのが原則であるわけですね。それでそれ以上細かく入るというと、ちよつと抽象的に書き並べることがなかなかむずかしいわけなんです。そこで全体といたしまして、恐らく米軍関係で、農業関係で問題になる演習地というものは、そう数は多くないと思うのです。勿論細かいのはいろいろあります。例えばラジオのポールを立てるとか、こういうようなものは非常に細かい問題がありますけれども、併し大きな問題になるような、今の王城寺のような相当な面積演習場としてとるという考え、これはそう数が多くないのです、全国で……。ですからこれはしらみ潰しに、今のお話のように微妙な問題があるわけです。そこで丹念に現地の人も呼びまして、ただ單にお話のように農林省と向うだけがやるとか、或いは県の役人とやるというのでなしに、現地代表、村長とか、開拓団の代表とか、そういうものを呼びまして、そして今のお話のような点を向うにも直接に話してもらいまして、よく聞いてもらつて、お話のような例えば弾が飛んで来ないはずのところへ飛んで来るというようなことも、案外実は向うの中央も知らないでおるのですね。私のほうとしましては、演習のやり方から、どういう演習をやるか、いつやるかというようなことを丹念に聞きまして、そしてこれで限られるなら、ここは支障があるとかないとか、これなら接收せんでいいじやないかという判定を一地区々々々についてやつて行きたい、かように考えておるわけでございます。王城寺の問題ではありませんでしたけれども、やはり流れ弾が飛んで来るというほかに地区がありまして、聞いて見ると、向うの兵隊さんがやはり人間や家畜が見えれば射たんそうですけれども、山のようなところを目がけて射つらしいのですね。それが正式の標的があつてそれをちやんと狙つてつているのでなしに、自動小銃か何かでぱらぱらとやる。それが流れて附近部落に行くというケースが相当あるらしい。こつちのほうに向けては絶対に射たん、こつちのほうだけ向けて射つというようなことをきちんとしまして、そうして向うに着弾の場所というものをはつきりとして、ここには立入を禁止する。これははつきりと不発弾などもあることもありますから、そういう地区は限定されますが、それをきちつとはつきりして誰も入らないことにする、そうでない普通の演習ですね、こういうことについては、先ほど申上げましたように、場合によつては時間をきめて採草ぐらいやるということはよいと思う。こういうように單に通行だけの目的がある、これは道路だけ使えばいいじやないか、道路だけ使うことにして、その附近土地は一切接收しない、従つてそこには立入らない、こういうようなことを向うの演習の具体的やり方に応じまして、きちんときめて行きたい、それについては今お話のような現地のいろいろな実情がありますから、現地で今体験した細かい話を全部やつてもらいまして、最初からやつてもらつて、この問題は今後こういうふうにしないことにする、それじやこういう危険があるから接收から解除するとか、こういう結論を一地区一地区について具体的に出してということにしたいと思つております。
  16. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それで、これはどういうふうになるのですか、警察予備隊関係は今お話のように、農林省例としては大蔵省のほうへ補助方を折衝するわけですね、予備隊はそれでもわかるのですが、駐留軍関係は、これは安全保障諸費になるのですが、非常に部隊が……。
  17. 平川守

    政府委員平川守君) その内訳は私もよくわからないのですが、あの費用から大蔵省のほうで出す。日本側として出す。
  18. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 日本側として……。
  19. 平川守

    政府委員平川守君) 日本側として出す。向うにはただ土地を提供する。その提供することに必要な費用は、あの費用がどちら側に属するのか私もよくわからないのですが、あの費用の中から大蔵省が出すのだ、こういうことです。
  20. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それで費目の出所は、多分その費目から出るにきまつておるのだけれども土地は提供して日本側が経費の負担をするということになると思うのです。そこがはつきりしないと責任の所在ということが明確でないということは、予算的な処置がどういうふうになつているのか、この前の委員会でお尋ねした点なんです。ですから例えば或る一定の枠がきまつてつて、要求する坪数はどんどん殖えて来る。そうすると、單価が下つてしまうわけですが、そういう形になるのか。要求する坪数が殖えれば、それに従つて予算というものが伸縮性を持ち得られる性質になつて来るのか、その点も一つ御検討の上、この次大臣に皆さんから御質問のあつた場合お答え願えるようにしておいて頂きたいと思うのですが。
  21. 平川守

    政府委員平川守君) 私の今了解しているのでは、かなり伸縮性もあり、場合によつては必要があれば追加ということも考えましようが、私のほうの折衝としては、とにかくこちらで必要なものだけは要求する。ただ大蔵省としては値切ることは予算のことですから値切りますけれども、あの財源から出してもらえる。非常な大きな予算ですから、あの中でこちらが何しましても、そう大きなものにはならんと思つております。というのは、極力避ける方針で行きますから……。それから予備隊のほうが特に困るのですが、今ちよつとお話のあつたような誘致運動がありまして、これで非常に参つておるのです。実は私のほうは、予備隊が新らしい土地をきめるについては、よくこちらと相談してやつてくれ、勝手にやらないということで、大体今の米軍について考えておるような考え方で、できるだけ農地は避ける。それから或る程度米軍のほうに申入れているのは予備隊と共用してくれ、演習地等ですね。同じような大きなものを両方で使わず、地盤をきめて共用するようにしてくれということを、予備隊のほうがむしろどうも問題としては実質的には大きいのじやないか。分量も多いし、それからそういう誘致運動もありまして、問題としてはむしろ予備隊のほうが非常に大きいのではないかというふうに思つております。これは純粋な国内問題ですから……。
  22. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 私は軍隊の経験もあるし、それからアメリカの今日の演習の仕方も実は行つて聞いて来たのです。それから日本の過去の陸軍というものは、これは非常に規律の嚴格なものなです。実弾なんというものを射つようなことは、これは特定な所に特定な数しか射つていないものだから、実にすつきりした線で以て取締ができるのですね。ところが今のアメリカの兵隊の演習の仕方を見ると余り嚴格ではないようですね。これは予備作業班の責任者をやつておられる局長あたり、その点は従来の日本の陸軍の演習場という頭で考えられちや困るということですね。その点は特に私局長にも一つ予備作業班の責任者であるから、御忠告を申上げておきたいと思います。行つて私も実は驚いて来た。そういう問題から考えますと、私は局長現地で、あの山の上を取上げろと、こう言われたと思つて、実はあの山の上ぐらいは取上げたほうがいいのじやないかと思つて来たんです。その点をよほどすつきりさせて、そうして予備作業班の責任者として一つ折衝を願いたいと僕は希望します。そうしないと非常に実は危険な問題なんです。
  23. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 我々はこれは十分知らんけれども宮本さんのお話と、局長のお話を聞いても、米軍演習というのは実包射撃をどこで以ても皆やつておる。北海道にはそういうことはない。ちやんとその予告があつて、実弾射撃のときには、どこどこに行つてはいかんということを言つておるが、何ぼアメリカは物資がたくさんあるからと言つて、どこにでも何ら文句なしに行くとは驚いたね。
  24. 平川守

    政府委員平川守君) 殊にあの砲撃演習は着弾地をきちんときめまして、それで、やつておるのです。このほうは割合にすつきりしている。それから自動小銃とか、ああいうものですね。それが演習地の中ですと、何かあまり標的がはつきりしないで射つ人があるらしいのですね。勿論山やなんかに向つて射つのです。それが流れて部落なんかに行つてたりしておる例があるのですよ。これはこの間向うの係りの人に聞いたのでは、実はアメリカ側でも兵隊さんというのはやつぱり勢いがいいんで、ときどきとめても、とめることになつてもぱんぱんとやることがあるという例があるだろうということを実は言つておりましたが、そういうこともあるのだろうと思いますが、それで今度はそういう点は案外中来のほうで知つておらない部面もありますので、現地の今までの実績を具体的に明らかにしまして、こういうことのないようにきちんと方向なり、目標なりというものをはつきりさせて、その代りにこつちは立入らないということで場所を限定しまして、はつきりさせてもらうようにしてもらいたい、かように考えております。どうもちよちよいそういうことが実際にはあるらしい。
  25. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 それはそういうことかも知れないが、我々は考えられないことだと思う。十分注意をしてもらわんと、いつ何時そういう誤解が生じても困る。それは演習場だけではないですよ。ところが演習行つて目標に向つて射つんだが、それがそれて附近に飛んで行くことが多い。それはよく注意をしてすれば、そういうことにならんと思う。万全の措置をしてもらわんといかんから……。その次に予備隊のことですが、それは成るほど農地局長の言うように、誘致運動があつて全く困るらしいんです。そこで例えば町に戸数百戸ある、百戸でなくても、とにかく農家の戸数が多くて商売している人が少ない。商売をしている人が金が欲しくて誘致運動を起す、こういう結果になると思うのです。これはよく今までやつておつたような闇取引をしないで、今局長の言うように、上でやはり検討して、これならよかろうというようなことに必ずしてもらうように、これはこつちのことですから、どんなことでもできますから、特に手を打つてもらうようにお願いします。
  26. 平川守

    政府委員平川守君) これは先ほども申上げましたように、米軍以上に大きな問題だと思うのです。その代り一面から言えば、純粋な国内問題ですから、はつきり何をいたしまして、抑えて行けるかと思います。
  27. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 矢本の飛行場の問題なんですが、それにちよつと関連があるのですが、あすこなんか完全に気候的にも二毛作ができるところである。そして非常に肥決なところです。あすこで少し改良事業をやれば二毛作ができると、こういつているわけです。それでこれを補償事業として地元負担なしでやつてもらえるならば、五十町歩くらいならば、拡張は町としてもそれは考えていいというような御意見が出ているということは非常に好意的だということなんですね。というのは、町あたりでは予備隊の誘致運動が半面にあるのだから、農民の声ばかり抑えちやつて、取上げちやつて誘致運動の歓迎をしては困るのだから、まあそういうような代案まで考えているんです。そういうのは農林省としては補償事業というふうなふうにして考える余地がありますか、どうですか。
  28. 平川守

    政府委員平川守君) まあ今のところではちよつとむずかしいかと思いますが、今のままではやはり制度をきちんと作つて行きませんと、補償事業として要求するというわけに行かない。事実上の話合いで何か向うがまあ好意的に、こういうこともしてやるから拡張を認めてくれというような話合いでもできれば別ですが、結局その費用を出してもらつて、何かの形で村なり、或いは改良区なりでやつて行くということになると思うのですがね。向うもちよつと出しにくいのじやないかと思うのですがね。
  29. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 私から局長にお尋ねいたしますが、この間の常任委員長懇談会で、今後予定提出法律案について官房副長官から説明があつたわけです。そのときに農林水産業損失補償法案とか、何とかいう仮称ですがね、そういうものを出す、それはこれに関係あることですか。
  30. 平川守

    政府委員平川守君) これは今の接收以外に、その演習地外にそれ弾が飛んで行つたり、何かして被害を受ける場合がある。そういうものについて損失を補償する一つ法律がないといかんということを考えたわけですが、最近の話では法務府のほうで一般的にそういう法律を作る、それで農林省関係としては水産だけにしまして、あとはその法務府の一般の法律に乘つたらば運用ができるのじやないかということになつております。
  31. 野原正勝

    政府委員(野原正勝君) 只今のお話に関連があるのですが、実はこの予備隊とか、駐留軍のために、原則的には農耕地を潰してしまいたくないという我々反対の立場をとつておりますけれども、又止むを得ず、或る程度やはり犠牲になる場合もあり得るわけですから、それと同時に、それに対する完全な別個な対策を考えておかなくちやならない。で、実は予備隊、駐留軍のものだけでなしに、現在建設省関係でダムなどを作つておる。そのダムの犠牲になる農家が相当ある。それも事情を聞いて見ると、さつぱり建設省関係移転農家に対する具体的な計画を持つていない。それから電源開発なんかも大分やられております。これが又進んで行くに従つて犠牲になる農家が相当出来る、その他又いろいろな面で相当数の犠牲農家が発生すると考えられております。こういう犠牲農家に対しましての受入態勢というものに対しまして、これは進んで建設省の責任だから建設省が行う、或いは電源開発の問題でやれと、個々ばらばらで農林省がそれに対して主張する、農民保護という立場から農林省が主張をするというふうな程度で行つたんでは、なかなか理想的に行かないのじやないか。この際一つ農林省が進んでそういつた問題の解決に根本的に当るという考え方を持つて進んだほうがよかろうという考え方から、実は先日来大臣と私いろいろ相談したのですが、その構想はまだ具体的に行つていませんが、実は現在干拓事業等も予算がないためになかなか進まない。これらに対して予算を十分出すなら干拓も相当仕事が進む、或いは開拓事業等も折角未墾地買收をしておるけれども予算関係等で新規に入植できないでいるとか、非常に開拓ができずにおる、金さえあれば相当できるというふうな部分も相当ありますが、これらのものについて干拓或いは開拓等を促進し、それに伴つて道路を作る、或いは又住宅も勿論作る、道路を作り、学校も作る、或いは電気も引張つてやるというような形にしまして、そうして受入態勢を強化する、これに対してはもとより農林関係の今までの與えられた予算範囲でこれをやれと言われても無理ですから、これに対しては取りあえず防衛諸費の中から、それに必要なできるだけ多くの予算を割いてもらう、同時に又できるだけ早い機会に一つ補正予算で以て要求してやつたらどうか。これは今日どれだけの然らば犠牲農家が本当に移転するのがあるかということは、まだ調査中ではつきりわかつておりません。又建設省関係で電源開発等で犠牲になる農家が相当発生することを予想いたしまして、できるだけ多くそういつた建設事業をやつておく、そうして受入態勢を整備しておいて、若し仮に犠牲農家がそれほど多くなかつた、あらかじめ準備しておいたよりも内輪であつたというならば、それこそ余つた場合には、農村の次三男が非常に困つておりますから、農村の次三男を入れてもいいだろうし、この際一つそういつた面を考えて、一つできるだけ多く受入態勢を作るという面を農林省が大いに強く主張いたしまして、そうして建設省の関係或いは通産省の関係、或いは又予備隊、駐留軍の方面とも折衝しまして、それらの方面からも十分一つ協力して頂いて、これを予算化すというふうなことにして行くことが、これが根本的な問題じやないか。ただどうしてくれるのだということで、何らの受入態勢を作らないところに非常に不安と動揺があり、又政府の施策に対して反対をするというようなことは、これは当然だと思うのです。ですからそういう面を一つ十分根本的に考えて行かなければ、本当の対策ではないという点で、先日来大臣といろいろ話しまして、是非この問題を具体的に進めて見ようというふうな話合を実はしておるわけです。近いうちに具体的な案をできるだけ早くまとめたいと思つておりますから、まとまりましたら、一つ又御協力を頂きまして、こういつた問題を取上げて行きたいと思つておる次第であります。
  32. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今政務次官から非常にいい話を聞いたのですが、実は三号委員室で、この前調達庁の局長と、それから予備隊と来たときに、そういう話をしておる。ですから受入態勢をしておかなければ駄目なんです。そこへ行けというなら文句を言いながらも行きます。ところがどこに行くやらわからんで、接收ばかりやつてはいかん、そういう話をしたのでありますが、今の政府次官のお話はいいことで、そうしなければいかんと思う。これは話は違いますが、今度高知に六千キロの発電所を作る、そうすると、村がなくなる、大野木村という村がなくなるのです。それに協力しろということを知事も言つておりましたが、八百戸くらいなくなる。それは大変なんで、そこにダムができるなら、その移転ができなかつたら、ダムはできませんよということを言つておりますが、干拓事業とかいろいろやつておりますが、そういうわけで、そういう工事の先に農耕地接收すれば、その行く先をきめておかないでは大変なことです。大変いい計画ですから、極力進めてもらつて、そうして万遺憾なきを期してもらいたいと思います。
  33. 野原正勝

    政府委員(野原正勝君) 岡村さんのおつしやるように、若し電源開発とか、ほかの工事というものを先行して、これらの施策は本当はやるべきかと思う。ところが後手を打つている上げなんですが、今からでも私は遅くない、せめて今のうちにこれに対する強力な手を打つて進めたい。これに対しましては、この作業をやるという問題になりますというと、一般の入植者を募集してそれに充てるというふうなことをしますと、あとの受入態勢に困りますから……。むしろこれは最近各地の農村青年なんかのいろいろな建設的な運動も活発に起りつつあるわけです。これらの農村の次三男対策として、これらの盛り上つておる農村の青年運動というふうなものとぴつたり結び付けて、これらの運動を促進するということになるなら、これは非常に効果があるのじやないか。これは作つておいても余つたということはない、幾らでも作る。この機会だからできるだけ大量にそういつた建設をいたしまして、そうしてそれに対して、この犠牲になるかたたちが随時自分の好む所に入る、選択をする。自分は北海道に行つて見たいということなら、北海道でも結構です。或いは内地の中でやりたい、或いは家に近い干拓のあの地帶で自分はやりたいといつたような、それぞれの選択の自由を與える意味においても、成るべく全国至る所に、余り小さい建設はどうかと思いますが、まあ例えば三十戸でも、五十戸でも受入れられるような態勢のある所ならば、これを全国至る所に成るべく数多く私はそういう建設をするということにするなら、これは非常にこういう問題を処理するのにいいのではないか。これは相当予算はかかりますけれども、併し又振返つて見れば、このことが国民の思想に及ぼす影響ということから見れば、予備隊或いは駐留軍等の問題で全国の耕作農民がいろいろ感情的にどうも面白くない感じを持つているというようなことに対して、單に多少の涙金をやるとか、或いは損害賠償をするというようなことでなしに、そこまで親切な考え方から、これを徹底することが、いろいろな意味において私は非常に効果があるのではないか、そういう点を考えまして、この問題は是非強力に取上げたいと思うわけであります。
  34. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 今政務次官のお話しになりました構想というものは、僕は飛躍的な発展をもたらす対策として非常に敬意を表するのですが、ただこの前予算委員会で以て御答弁になりました演習地の問題に対して、行政協定の取極によりますというと、最後は日本側で責任を負わなければならんというとになつておるわけなんですが、そのときに現在の土地收用法で扱えない面ができて来るわけですね。そのときにそれに対処する法律を考えるということを言明されておられるのですが、その法律と今の問題と関係があるのでございますか。
  35. 野原正勝

    政府委員(野原正勝君) 実は農地保護のために政府が一応考えておりましたのは、農耕地を他の目的の用に供する必要が起つた場合には、新たに農耕地を造成するだけの十分な補助をした上で、これを許すというような一つ立法措置をしようじやないかというような案を実は一応持つております。それも勿論関係があるわけなんですが、そういつた單なる消極的な行き方だけでは、これは問題の解決にならないじやないかといつた点から、そういつたものも含めて、まあもう少し大きく考えたところに今申上げたような構想が出て来たわけなんですが、この構想を十分生かすためには当然何らかの立法的措置をしなければならないと思います。成るべく早くそういつた問題を検討しまして、一つお諮りしたいと思つておるのですが、よろしくお願いします。
  36. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 今の問題と違うのですが、だんだん時間が経つと思いますので、先に出ました農地法関係の資料を二つだけあらかじめこの際お願いしておきたいと思うのですが、いいですか……。それは開墾の進行程度審議したいために、民有地についてはいしゆる市町村農地委員会がやつた。つまり小団地と府県のやつた大団地とにこれは当然分れると思いますが、又国有地につきましては、いわゆる旧軍用地から所属替になつたもの、それから国有林とか、或いは物納等で以ていわゆる国に属したもの、その他それから北海道なんかは例の未墾地、国有未開地、あれがあると思いますが、そういうふうに分けて、そうして更に増反用と、それから入植用に分けて、そうして地区計画の進行をそこに現わして、それから入植面積を現わして、それから開拓の実際の面積を現わして、それだけの要素を府県別に、年度別に一つ工夫して表を作つて頂きたいということが一つと、それからもう一つは、先ほど説明の中にありましたが、二十七年度には、未墾地のいわゆる目的に副わないと認められると考えられるものが二十七年度は三万強と一応見ておるというお話がありましたが、これを府県別にどういうふうにその三万というものが配置になるか。更にその全体の二十八年度の二カ年にやりたいという御計画のようですが、全体の数量については府県別にどういうふうな配置になるか、配置と言いますか、内訳になりますか。この二つのやつを表で一つ頂きたい。それからもう一つ政令、省令に讓つている点がたくさんあり言す。それでおよそ中に盛るべき事項というものは、これは法律を読めばわかるのであつて、事項ではなくて、事項のみならず、政令或いは省令の大体原因とも見らるべきものを頂きたい。
  37. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは時間の関係もありますので、本日はこの程度にいたしたいと思いますが、先ほどの農地又は開拓地関係の問題は近い機会に農林大臣出席を求めたいと思いますので、その際一応の結論の得られるように一つ御配慮をお願いします。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時十六分散会