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1952-03-19 第13回国会 参議院 農林委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月十九日(水曜日)    午後一時四十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            片柳 眞吉君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            瀧井治三郎君            宮本 邦彦君            赤澤 與仁君            飯島連次郎君            加賀  操君            小林 孝平君            三橋八次郎君            松永 義雄君   政府委員    農林政務次官  野原 正勝君    農林大臣官房長 渡部 伍良君    農林省農業改良    局長      清井  正君    農林省蚕糸局長 寺内 祥一君   事務局側    常任委員会專門    員       安樂城敏男君    常任委員会專門    員       中田 吉雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林漁業資金融通法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○農地法案内閣送付) ○農地法施行法案内閣送付) ○農業改良助長法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。  昨日に引続きまして、農林漁業資金融通法の一部を改正する法律案について質疑を願います。
  3. 小林孝平

    小林孝平君 昨日三橋委員から乾繭倉庫についても農業倉庫と同様に利子引下げをする意思がないかどうかということを質問しましたのに対しまして、当局から只今のところではやる意思はなく、今後情勢を見てやるという御回答があつたのでありまするけれども、この問題はこの前の前国会におきまして繭糸価格安定法案審議の際に、当委員会から大蔵大臣農林大臣内閣総理大臣宛蚕糸対策に関する申入れを行いまして、その際に特に今後乾繭保管に対しまして資金融通並びにその利子補助について特段の考慮をすべきであるという申入れをいたしましたのに対しまして農林大臣から当委員会に、乾繭保管についてはその資金融通について御趣旨に副うように努力いたしたい。又利子その他の諸経費の補助については今直ちには困難と思われるが、将来の情勢を見て必要に応じ善処いたしたい、こういう回答があつたのであります。こういう回答が参りましたのに鑑みまして、私たちは今回のこの改正法律案の中から農業倉庫利子を、農業倉庫助成に関する資金金利引下げる際に、特に繭の保管を主たる目的としたものを除くというふうに、乾繭倉庫金利引下げを除外しているというのは、この申入れ及び申入れに対する回答から考えまして、どうも納得が行かないとこういうふうに考えているのであります。特に我が党は衆議院においてはこの繭糸価格安定法案に反対いたしたのでありまするけれども、私たちはこの申入れを当委員会においてやり、これに対する政府の誠意ある回答が参りましたので、特にこの法案修正を加えてこれの通過図つたのでありまするので、そういういきさつから考えましても、私たちはどうしても今回この一般農業倉庫と同様に乾繭倉庫金利引下げるべきである。こういう考え方を持つているのであります。従つてたちはこの改正法律案修正いたしまして、乾繭倉庫につきましても金利引下げをするような修正をいたしたいと考えているのでありまするけれども、こういう修正をやりました際に、特に不都合があるかどうかという点を御説明願いたいと思います。
  4. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 実は二百億の金がきまりましたのは、只今お話蚕糸対策に対する申入れの前であつたと思います。これはまあ事務的の問題になりますが、その後こういう申入れに対しまして、農業倉庫利子と同じように四分にするということは、実は事務手続の問題として間に合わなかつたので、農業倉庫だけについて四分にしているのであります。従いまして支障の点と申しますれば、特別会計収支計算乾繭倉庫に予定しておりまする金が、一般農業倉庫の十二億のほかに乾繭倉庫の分として八千万円予定しておりますので、それに対します利子収入は七分五厘で計算しているのを四分で計算しなければならなくなりますと、三分五厘の収入不足ということが起るのではないかというふうに考えるのであります。
  5. 羽生三七

    委員長羽生三七君) その点、その収入不足の分が具体的に予算そのものにどういう関係を持つか、その辺をちよつと明らかにしてもらいたいと思います。
  6. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 利子収入といたしまして、二十七年度の予定額は十二億七千五百九十万円になつているのであります。従いまして八千万円の三分五厘、それを貸付の実際から言つて当初予算全部貸付けますれば二百八十万円くらいの収入減となりますが、順次貸付けて行つて、平均平年の利子収入ということに考えますれば、それの半分つまり百四十万円ばかりの収入不足になる。こういうことになるわけであります。
  7. 小林孝平

    小林孝平君 昨日並びに本日の御回答によりまして、この軌繭倉庫に対しまして利子引下げをいたしましても、特別に支障があると考えられませんので、私たちはこの点を修正いたしまして、乾繭倉庫につきましても金利引下げを行うのは至当であるというふうに考えるものであります。これは質問でありませんから……。
  8. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 只今の私の説明予算関係からでありますが、もう一つは、これはまあ事務取扱の上からの話でありますが、そのほかの費目につきましても、利子引下げが非常に強い要望があるわけであります。まあ乾繭倉庫の分だけでありますれば、お話のような工合で大した金額の減にはならないと思いますが、ほかに波及するとしますれば、これは収拾がつかなくなりますので、その点は事務の運行上困る。こういうことに考えます。
  9. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 小林委員修正案は後ほど全体で決定をするわけでありましようが、その際におきめいたしたいことは、八千万円の融資で、これだけでこの前の繭糸価安定法通過の際に農林大臣回答に対する問題としてこれだけでは極めて一部分にしかならないのであります。そこで農林当局蚕糸局としては、乾繭倉庫融資が八千万円で足りるかどうか。今年は八千万円ときまつておれば、今後はどれぐらいの計画を持つておられるか、八千万円で全部OKというのでは私は余りに少いと思うのである。その要望が一部実現することには私は異議はありませんけれども、蚕糸局のこの前の法律通過の際の政府回答についてどういうような計画を持つておるか、これを第に承わりたいと思います。  それからもう一つは、今官房長から御答弁がありましたが、できれば皆安くして欲しいことは当然であるのですね。そこでやはり他の均衡なり関連の問題が私は当然出て来ると思うのでありますが、そこで乾繭倉庫だけを入れるということについて、何か一応のけじめがありませんと、これは全部要求すれば結局通らないということになります。そこに何らかのけじめをつけないと収拾がつかないということになると思いますが、そこでそれに関連して蚕糸局にお尋ねいたしたいのは、穀物、農業倉庫のほうは農林省としても当初は助成金を強力に要求しておつたのであります。助成金が駄目になつ関係で、次善の策として四分で融資をするということになつたわけですが、この場合に農業倉庫と同様に乾繭倉庫助成金要求をされて、それが結局駄目になつたというような同じ経緯がありますれば、一つの私はけじめもつくと思いますが、全部が安くなるといたしますれば文句はないのでありますが、そうなると全部がつぶれてしまう。そういう意味で今までの経過について聞きたいと思います。以上二点についてお伺いをしたいと思います。
  10. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 蚕糸局長が丁度出席されておりますので、この際蚕糸局側の御意見を承わることにいたします。
  11. 寺内祥一

    政府委員寺内祥一君) 只今の御質問の先ず第一点でありますが、二十七年度の融資八千万円で、これで十分だとは私たちつておらないのでありますが、この前の国会におきまする当委員会からの御要望に対する答弁にも申上げてありました通り乾繭倉庫の増設を図つて行きたいと思つておりまして、いろいろ努力いたしたのであります。そのために二十六年度よりも二十七年度は倍額融資額を殖やすという処置をとつたのであります。なおどのくらいの倉庫を建設するかという計画につきましては、資料があるのでありますが、実は明日蚕糸関係もあると思いまして、今日持つて参りませんので、恐れ入りますが、明日ほかの資料一緒に提出いたしまして御答弁いたしたいと思いますが、御了承願いたいと思います。  それから第二点は、これはやはり農業倉庫と同様でありまして、補助金を出そうと思つたのでありますけれども、協同組合に対する補助金というものが認められませんので、この融資というふうな経過になつております。
  12. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 そうしますると、農業倉庫のほうは大体十三億の融資で一応大体の計画が達成されるというのが昨日の答弁であつたわけでありますが、乾繭倉庫のほうは今蚕糸局長の御答弁で行くと、八千万円ではとても全部は賄い切れないということになると、やはり二十七年度以降においてもこれは考慮しませんと、計画が全部が行かないわけであります。そうなつて来ると、昨日委員長からも御質問をされた点でありまするが、この改正案は二十七年度において貸付を行うものだけであつて、二十八年度以降の問題は触れておらないわけでありますが、そうすると新らしい問題として、本年度は八千万円で止むを得んと思いますが、二十八年度以降の分をどうするかという問題が或る程度はつきりしませんと、昨日のいわゆる穀類倉庫との関係はちぐはぐになると思うのですが、それをどういうふうにしたらいいか。それから乾繭倉庫補助金要求したけれども駄目だつたということはわかりましたが、同じく農業倉庫木炭を入れる木炭倉庫も、これもやはり助成金を要請して駄目になつたかどうか。これも要求しておると又木炭倉庫にも飛び火をするという問題にもなりやせんかと思うのでありますが、林野庁がおいでになるようでありますが、わかつておりますれば、その辺の経過を一応御説明願いたいと思います。
  13. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 御承知のように農業倉庫のものにつきましては、麦の統制撤廃等食糧管理制度の変更というものが相当程度倉庫整備の直接のあれになつておりますので、相当助成金等をやりましたが、木炭等につきましては、資金で行くか補助で行くかという問題はあるにはあつたのでありますが、大蔵省までは出なかつたように記憶しております。
  14. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 前段の質問蚕糸局のほうから一つ……二十七年だけという問題ですと、どういうふうにそれを承知したらよろしいですか。
  15. 寺内祥一

    政府委員寺内祥一君) 蚕糸局といたしましては、乾繭倉庫資金計画といたしまして五カ年計画を立てておるのでありまして、只今のような利子の問題ができますと、これは二十八年度以降も同様に取扱つて行かなければならないと思つております。
  16. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 ちよつとお伺いをしたいと思いますが、農林漁業特別融資の金は大事な金で、役所も借りるほうの団体も愼重に審議をしてその用途を十分にお考えになつておやりになつていることは事実でありますが、どうも安心ができない点があるから、これは気をつけにやならんと思つていたところが、丁度岩手県の和賀郡の黒沢尻で自由党の代議士高田弥市さんが流用をして、二十数カ所の土建製材使つたというので、今九人ほど逮捕されておるようでありますが、やがて官庁までも波及すると、こう書いてあるのですが、どういう点からどうしたのか、伺いたい。
  17. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 先般の新聞で見まして、早速現地の調査をやつておりますが、まだ正確な報告が来ておりませんので、只今申上げるわけに参りません。
  18. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 金を貸すのですから、回収が一番の肝心で、事業計画も大事でありますが、回収をするのでないと、資金の財源も減りますし、非常に困るわけでありますが、農林省の今とつております方針は、事業が主体で、回収余り重きをおいておらんではないかというように考えられる節がありますが、そういうことは……。
  19. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 我々のほうといたしましては、勿論事業の採算、それから従つてそれの回収ということに最重点をおいていろいろ検討しております。併し御承知のように、昨年度特別会計ができまして、まあ申さば、陣容も十分揃わないうちにスタートとしておりますので、非常に遺憾な点があるかも知れません。そこで昨日ちよつと申上げましたが、一応二月で受付はやめまして、問題になつておる点等を現場に行つて或る程度監査した上でやるというようなこともやつております。更に今後の問題としましては、今年百二十億、来年二百億で、三百二十億でありまして、相当の金を扱うのでありますので、実際の事務の運営その他につきまして機構をもつとはつきりしまして、遺憾のないようにしなければいかない。そうしますと、現在役所がこういう貸付仕事をやつたのがいいのか、或いは別にやはりはつきりした基本を作つて行くかというのが問題になつておるのでありまして、まだ結論には達しませんが、これは早急に、やはり金貸しでありますから、金貸しらしい仕事ができるような仕組を作らなければ、累年貸付額が殖えて而も今度回収事務がだんだん殖えて行きますれば、現在のような役所がやることについては、相当私どもも疑問を持つてつて、今先の対策考えております。
  20. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 もう一つ伺いいたしますが、いろいろな用途どれを見ても重要なものばかりで、単なる用途の貸出にこだわつて言うのではありませんが、森林伐採調整資金といいますか、これも審議する人も恐らく困つておるのではないかと思いますが、あれをもう少しずつきりして、申込も妙な、申込書類を見ますると、何だか債券買入ということを書いておるのもあるし、非常に面倒な資金なんですから、もう少し判断が早くつきやすいような規格といいますか、きめたほうがいいのじやないかと思うのですが、どういうものですか。
  21. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 伐採調整の金は算定が非常にむずかしいので、応適齢に達しない森林の何といいますか、年齢といいますか、大きさといいますか、そういうものを標準として、定のその地方の評価額というものをきめまして、それに一定のフアクターをかけて、そうして伐採調整資金借入限度をきめる、こういうふうなことをやつております。お話のようなこれは確か森林組合にそういう査定をやらせてそれを県を通じて検討さして出して来ておるのであります。今年は森林法施行が非常に押迫つて出ましたので、伐採調整の金の申請が出て来出したのは今年に入つてからでありますので、今雑沓して来ておりますが、これの出し方につきましては、更によく検討してみたい、こういうふうに考えます。
  22. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 これは大体官房長御存じと思いますが、課長は御存じと思いますが、実は非常に困つておるものがあります。これは小水力資金融通をいたしておりますが、発電所をこしらえるのでなくして、これは主として北海道のほうでありますが、絶対に今後電気をつけるという農業生産の上の必要があつてもやれないという事情が相当にあるわけでありますが、配電会社から電力供給の契約をして組合作つて送電設備をして電力をやろう。こういうような計画を立てておりますが、それは大きな金になつておりまして、現在農林省が貸しております小水力発電装置から送電装置までやるその金額と大体変らんくらいの金額が必要なようでありますが、これは放つておいてはいつまでたつてもこれは電化されないので、この際何か協議をされて、そういう発電所をこしらえようにも場所がない。止むを得ず送電計画をして送電設備をしようと思うと、今申上げたように小水力発電工事をやるほど金がかる。こういうわけで今ではできないとこう断わるのが一番いい方法でありますが、併し断わつてつていかんですから、これは何か大臣のほうで方針をきめてもらうようにしないと、請願、陳情が幾らあつても今の金ではそういかないような状態にあるし、放つておいては電気がつくわけはないし、農業生産にも支障があるから、何らかこれは小水力発電というような一つ貸してやつてやることがいいのではないかと思つておりますが、何かそれに対してお考えがあるか、どうか。
  23. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 配電設備に対して金を出してくれという要求相当来ておりまして、ただ金額相当大きくなりますので、これをこの中に入れますと、もうすぐ五億や十億は出て来るだろう。実はどうしたものかというので今検討しておるのであります。若しそういうことをやるとしますれば、或いはこの金で農業用と申しますか、農村用というので一般的なこの金でやるのがいいのか、或いはその地帶はやはり今出て来ているのは相当大きいやつなんか出ているので金額が大きくなつているようでありますが、他の金も一緒にして、小水力資金で賄うというようなことも考えなくちやいかんのじやないかというので今検討しておるのであります。金のかさが相当かさばるので、実は閉口しておるような状態であります。できるだけ早い機会に何とか目鼻をつけたい、こういうふうに考えております。
  24. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 ちよつと二つだけ技術的なことですが、お尋ねしたいと思いますが、一つ融資額査定の場合における農業倉庫構造と申しますか、設計等は何か條件をおつけになるお考えがおありかどうか。第二点は補修、改修をいたしました農業倉庫の発行する倉庫証券に対して日銀適格担保たり得るかどうか、この二点をお伺いいたします。
  25. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 倉庫構造について制限は附しません。ただ折角できるのでありますから、できるだけ完備した倉庫を作るような制度をしたいと思つております。従つて倉庫については鉄筋コンクリート、小倉庫では土蔵にして虫害、澤潤等を防ぐことができる、こういうようなものを作りたいと思います。第二の農業倉庫日銀適格手形扱いができるかという、こういう問題でありますが、現在の分、又農業倉庫については日銀適格手形扱いができてないようであります。これは今後政府買上げ以外のものが相当殖えることになりますれば、どうしてもその問題を解決せにやいかんことになると思いますが、現在のところはまだそういう考えはありません。
  26. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 日銀適格担保となり得るように御努力願わなければならんと思うのですが、それに対してのお考え方を、これは現在やつておらないけれども、今後日銀と折衝するお考えがあるかどうか。その点も一つ
  27. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは麦の統制撤廃に絡みまして、資金融資の問題がいろいろ問題になつておりますので、当然それを取上げてやつて行きたいと、こういうふうに考えております。
  28. 羽生三七

    委員長羽生三七君) この法律案につきましては、先ほど小林委員から御発言もありましたように、農業倉庫のほか更に乾繭倉庫も含めるように修正をしたいという御意見も出、各派の委員の皆さんからもそれぞれ賛成の旨の御発言もありましたので、いずれこの問題は成規手続をした上で議題に供することにして、本日は質疑はこの程度で打切りまして、次に次の議題に移りたいと思いますが、よろしくお願いいたします。   —————————————
  29. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 農地法案並びに農地法施行法案提案になりましたので、この際政府から提案理由説明を求めることにいたします。
  30. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 農地法案及び農地法施行法案提案理由説明申上げます。御承知通り我が国農地改革戰後占領政策の重要な一環としてとり上げられ、すでに小作地自作地化は二百万町歩、創設されました自作農は四百二十万戸を数える輝かしい成果を収め、世界的に高い評価を受け、ほぼ所期の目標を達成したわけであります。併しながら、これは自作農を急速且つ広汎に創設するという農地改革の第一段階を終つたということでありまして、この成果維持という極めて困難且つ重要な事業は、なお今後の課題として残されているのであります。この課題を解決して参りますためには、農地はその耕作者みずからが所有することを原則として、而も農家経営零細化を防ぎ、望ましい中堅自作農を育成して参りますことが肝要でありまして、この農地改革原則制度的に従来同様維持して参りますことが第一の方途となるわけであります。このためには、農地所有権の移動を制限いたしまして、小作地自作地化を一層促進し、自作農が再び小作化しないよう措置いたしますと共に、小作関係調整して耕作者の地位の安定を図ることが必要であります。なお、経済的な困難からする自作農の転落については、低利長期農地担保金融制度実現が今後の課題として極めて重要であることは申すまでもないところであります。更に積極的な農地造成といたしまして、未墾地開拓の問題があります。すでに百三十万町歩未墾地を取得いたしまして、四十万町歩の開墾が行われたわけでありますが、この問題は食糧増産の見地からも、又、農家の二、三男対策過少農対策一環といたしましても、重要な意義を持つわけでありまして、農地改革成果維持の方策の一部門として極めて重要な内容をなすものと考えるのであります。以上申上げましたところを実施して参りますためには、これらを経済的に、且つ、法律的に確立いたしますことが必要でありまして、従来農地改革法律的基盤となつておりましたのは、農地調整法自作農創設特別措置法及びいわゆるポツダム政令であります自作農創設特別措置法及び農地調整法の適用を受けるべき土地の譲渡に関する政令の三法令でありますが、御承知通り講和條約の発効により、ポツダム政令国内法に切り替えることとなりましたため、この政令に代る新たな立法措置を必要とすることになつたわけであります。なお、従来の三法令はその構成が錯雑しておりまして、難解な点も多くありましたので、これを機会に、三者の内容を整理統合いたしまして、農地改革成果維持のための基本法として新たな立法措置を講ずることといたしたわけであります。  従いまして、この農地法案は、内容的には従来の三法令のそれと大差ないわけでありますが、その主な内容について御説明申上げますと、第一に、既墾農地につきまして、権利の設定、移転及び転用に許可制をとり、地主の小作地保有制限を課しておりますのは、従来と同様でありますが、この制限に抵触する土地が生じましたときは、一定期間内に譲渡するよう義務ずけ、これを果さない場合にのみ国が買収するという簡易な方式に改めております。  第二に、小作地につきましては、耕作者生産意欲を失いませんように賃借権解除解約制限小作料統制等は継続して行うこととしており、又、採草地薪炭林等につきましても、従前通り利用権設定調整を措置いたしております。先に申上げました農地担保金融は新たな制度として法制化するに至りませんでしたので、今後の実現に委ね、差当つて自作地を国が買収し、直ちにこれを売り戻し、その代金を年賦払とすることにより金融同様の効果を収めるよう措置いたしております。  第三に、未墾地につきましては、従来その買収売渡手続法制化が十分でない点がございましたので、都道府県開拓審議会を全面的に手輿せしめることといたします等、その手続を愼重且つ明瞭にいたしますと共に、売渡し後一定期間までは自由な処分を禁止いたしまして、開拓成果維持を保障することとしております。  第四に、農地改革によつて創設されました農地は、従来その他の農地取扱を異にしておりましたが、これを原則として同一の取扱をいたします等、全般的に諸手続簡素化を図りますと共に、極力理解し易い表現によることに留意いたしたのであります。  第五に、国が現在までに取得いたしました未墾地のうち一部開拓に供し得ないものがありますので、これを旧所有者に返還いたすよう措置することといたしました。  以上がこの農地法案の主な内容でございますが、この法律案施行に伴います経過措置と関係法律の改正を行う必要があるわけでありまして、その内容が多岐に亘りますのでこれを別に農地法施行法案として立案いたしたわけであります。農地法案及び農地法施行法案の概略は概ね以上の通りでございますが、冒頭に申上げました農地改革成果維持のため必要な措置の法制的部面を担当するものでありますので、何とぞ愼重御審議の上速かに御可決下さいますようお願いいたします。
  31. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今提案理由説明を承わつた法案相当広範囲な点に亘つておりますので、質疑等は他日に讓ることにいたします。   —————————————
  32. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 次に、先般提案理由説明を聽取しました農業改良助長法の一部を改正する法律案についてその内容説明を聞くことにしたいと思います。
  33. 清井正

    政府委員(清井正君) 先般政務次官より提案理由について御説明申上げたのでございますが、なお少しく内容に亘りまして御説明申上げたいと思います。  農業改良助長法の今回改正をお願いいたしたい点は、大きく分けまして七つの事項に別れておるのでございます。その第一の点は、資金の交付を受けるところの試験研究機関の数に関しまする制限を創るということであります。只今法律に基きまして、試験研究機関であつて都道府県の試験場以外のものにつきましては、総額の二割を超えてはならないという規定と、それから交付を受ける試験研究機関の数が七十五を越えてはならないという二つの制限があるのでございますが、今回この制限撤廃いたしまして、資金の交付を受ける試験研究機関の数の制限を削りますと共に、交付資金総額の制限をも削りたい、こういうふうに考えておるわけであります。即ち現在資金の交付対象が七十五というふうに考えておりますことは、実際問題といたしまして或る程度不便を感じておるようなわけでありまして、御承知通り新制大学と、その他各種の試験研究機関が増加いたしておるのでありまして、七十五という制限を以ていたしましては非常な不便を感ずるというような次第でありますので、この際この制限をはずしまして、必要なる、而して適当と認める試験研究機関に対しましては、国から必要な資金を交付できるというふうにいたしたい、こういうふうに考えるわけであります。これに関連いたしまして、又その資金の額も現在のごとく総額の二割を超えてはならないという制限がございますが、これをもはずして参りたい。こういうふうに考えるわけであります。  その次は、只今都道府県の農業試験場とそれから国の農業試験場との関係でございますが、現在すでに七つの地域に亘りまして国の地域試験場がありまして、その地域におきまする特殊な応用的な試験研究をいたしますと共に、その地域内の各県の試験場とは常に密接な関連を持ちまして、試験研究の連絡なり調整なりいろいろいたして参りまして、密接な関連を持つているのでありますが、この国の試験場と県の試験場との関連につきまして何ら規定がいたしていないのでございますが、この際この実態に即しまして、県の試験場は農業改良助長のために行う試験研究に関しまして、国立の地域農業試験場に対して必要な助言と努力を求めることができると、こういうふうに新たに規定を挿入いたしたい、こういうように考えているわけでございます。それが第二点でございます。  それからその次の点は、協同農業普及事業、即ち現在普及事業は国と県とが共同いたして実施いたす建前になつておるのでございますが、その内容を拡張いたしたいということでございます。現在は法律に基きまして農業改良普及員なり、生活改良普及員がその本来の活動でありますところの展覧会とか展示会とか、或いは共進会とか展示圃の施設とか、そういつたことについての補助をするという旨の規定をいたしておるのでありますが、それに関連いたしますところの教育施設であるとか、或いは青少年の教育施設であるとか、そういつたこれと裏腹をなすところの施設に対して現在すでに助成をいたしておりながら、法律の規定がありませんために、今回新たにその規定を入れまして、はつきり国が補助する事業であるということを法律上明記いたしたい、こういう趣旨に出ているのでありまして、その内容といたしましては、農業講習施設による改良普及員の養成と研修、それから青少年クラブの指導者その他普及活動に協力してこれを推進する農民育成に関しまして必要な助成をするということといたしたいのであります。又更に農業協同普及事業を遂行するためにいろいろな施設を整備いたす場合においてもこの際補助をいたすという規定を入れたいのであります。現在予算で実行いたしておりますことを法律上裏打ちをいたしたいというような趣旨の規定でございます。  それからその次に考えますことは、專門技術員なり改良普及員がすでに相当の働きをいたして、それぞれその目的を達成いたしつつあるのでございますが、その專門技術員及び改良普及員ということに関しまする例えば農業改良助長法に法律上何らの規定がないのであります。そこで私どもといたしましては、專門技術員なり改良普及員の今後の仕事に力を入れて、ますます農民の信用を博するためにはその裏押しであるところの法律にその地位なり或いは職務に関する規定を明記する必要があるというふうに考える次第でございまして、この際新たに規定を入れまして、專門技術員及び改良普及員について、その身分と任務をはつきりいたすということを考えたいのであります。更に又現在すでに実行いたしておりまするが、專門技術員になりまする場合においても、或いは又改良普及員になりまする場合においても、県において一定の試験をいたしておりまして、その試験で合格をいたした者の中から適当な者を採用いたすということにいたしておるのでございますが、この專門技術員と改良普及員の任用に関する試験に関する規定をも、この際任用規定として一項目明記しておきたい、こういうふうに考えるわけであります。それから最後は、今考えておりまするところの普及事業に対する補助金の交付につきましていろいろの制限がございまして、或いは補助金につきましてはこれを建物の購入とか、建造とか、保全、修理等に使つてはならない、或いは土地の購入とか借入等に使つてはならないというような禁止規定があるのでありますが、すでにいわゆる農業講習施設等につきましては相当の建物の補修なり建設の補助金等も交付いたさなければならんのでありまして、この際この流用禁止規定を緩和いたす必要がある、こういうふうに考えるのであります。その規定を一項挿入したい、こういうふうに考えるのであります。以上申上げましたのが今回お願いいたしました農業敗良助長法の改正に関する趣旨でございます。
  34. 羽生三七

    委員長羽生三七君) なお、これと関連して專門技術員及び改良普及員の任用資格を定める政令案についても説明を願うことにします。
  35. 清井正

    政府委員(清井正君) 只今説明申上げました中に、專門技術員と改良普及員につきましては、現にいたしておることでございまするけれども、政令で定める資格を有する者でなければ專門技術員又は改良普及員に任用されることができないという規定を法律上一項目挿入れたい、こういうふうに考えておるのでございますが、この政令で定める資格と申上げますのは、只今説明申上げましたいわゆる試験のことでございます。その試験に関しまするところの政令案といたしまして、只今私どもが考えておりますことの大要を申上げてみたいと思うのでありますが、その第一は、專門技術員の任用資格の問題でありますが、只今專門技術員は県の試験という建前になつておるのであります。実際は大体数ブロツクに分れまして、県と国が協力いたしてやつておるのでございますが、御承知のように專門技術員は相当高級な技術を要することでありますし、それぞれの試験場に駐在いたしまして、国と改良普及員との連絡機関のような重要な仕事に当つておりまするので、この際県の試験ということでなしに、大臣の行う試験というふうにこれを訂正いたしたいと考えております。無論内容に差があるわけではございませんが、この際県の試験というよりも、むしろ国全体の一つの目で以て專門技術員というものを試験する必要がある、こういう建前からいたしまして、国の試験ということに変更いたしたい、こういうふうに考えるわけであります。そうして只今のところば全部專門技術員になりますためには資格試験に合格しなければならんということになつておりまして、何らのいわゆる例外がないのであります。一人残らず必ず試験に合格しなければならないということになつておるのでありますが、実情を見ますと、必ずしもさようなことではないのでありまして、非常に学識経験等、相当有能な者と認めましても、試験を受けないために、惜しい人物を任用できないということがございまするので、この際一つ試験を受けなくても適当な資格を持つておる人は資格試験を受ける必要がないということをはつきり認定いたしまして、そういう者をも試験を経ずして專門技術員に任用いたしたいというふうに、新たに試験によらざるところの任用制度を開きたい、こういうふうに考えておるわけであります。そこでどういう者を一体任用するかということにつきましては、只今のところでは旧制の大学なり新制大学において農業又は家政に関する学科を修めまして、それから卒業後最近において七年以上一定の試験研究機関、又は学校において試験研究又は教員に従事した者ということを第一に挙げまして、学校を出てから七年以上国の試験なり或いは県の試験研究なり、或いは民間の大学等におきまして、試験研究機関の組織の中におきまして、研究なり教育に従事した者を先ず挙げたい。七年以上と考えましたのは、これは大体学校を出まして七年くらい勤務いたした者が現在の專門技術員の大体の経歴の中頃程度にありますので、この程度の者を以て資格にしたらば適当かと考えまして、七年以上といたしたのであります。それからその次は、仮に大学を出まして、直ぐに県の行政を担当する課に参つたというような者がある、こういう例えば同じ学校を出ながら片一方は試験研究機関に行きました者、片一方は県の農業改良課、農務課に勤務した者、こういう者もあるわけでありまして、そういうふうに県の農業改良課なり農務課あたりに勤務いたしまして、技術に関する仕事ですが、同時に行政に関する仕事にタツチしておる、こういうふうな人たちもこの際適当と認める者は任用しなければなりませんので、併しそういう人には七年という制限を十年というふうに少し上げまして、そういう者をも資格試験を受ける必要のない者といたしたい、こういうふうに考えます。なお又この七年と十年が相互にコンビいたしまして、或いは研究機関に三年、県庁の課に七年とか、そういうようなコンビをするような場合、その他いろいろな場合が考えられますので、こういうふうに同等以上の学歴及び経験を有するものと農林大臣が認めた者はこれも又よろしい、こういうふうに規定をいたしまして結局一定の資格を持つておる適任者はどしどし專門技術員に抜擢したい、こういう趣旨に出ておるわけであります。その次は改良普及員のほうでありますが、これは御承知通り直接農民と接触いたしまして、改良の普及に従事いたしますときの普及員でございますが、このほうは大体現在通り各県で行なつておりまするところの改良普及員の資格試験に合格した者ということを條件といたすのであります。但しこれにつきましても、只今申上げました通りのような、いわゆる資格試験を受けなくても資格のある者と認めた場合は例外的に認めようというように考えておるのでありまして、その第一といたしましては、旧制大学或いは新制大学又は旧制の專門学校におきまして、農業又は家政に関する課程を修めまして、最近三年以上一定の試験研究機関又は学校において試験研究又は教育に従事した者というふうに考えておるのであります。このほうは三年以上というふうに考えておるのであります。それから更に先ほど説明したのと同様の趣旨から卒業後すぐに県庁の農業改良課、農務課あたりに行つた者につきましては、五年以上、その両方のコンビを考えまして、同等以上の学歴及び経験を有するものと農林大臣が認めた者はよろしい、こういうような趣旨に出ておるのであります。尤もこの点は現行法においても規定があるのでありますが、現在よりも若干きつめになつております。と申しますのは、現在も試験を受けなくても試験を受けた者とみなし得る制度をとつておりますが、それは中等学校を出た者を応よろしいことにしておりますけれども、今回は中等学校はやめまして、少くとも專門学校を出た者というふうに制限をいたしたい、こういうふうに考えております。と申しますのは、本年までは大体改良普及員の充員のほうに重点がございましたが、大体充員もできましたし、今後は更に更に質の向上について考えたいと思つておりますので、若干その試験以外の任用において制限をいたしたい、こういう趣旨から出ておるわけであります。  それからあとは経過規定といたしまして、この政令施行する際に現に任用される資格を持つておる者はこの政令によつた資格を持つておる者と認めるというふうに考えるということと、先ほど申上げた專門技術員試験を今度は国の試験にいたしますので、昭和二十七年度において府県知事の行うところの專門技術員の資格試験に合格した者はその資格を有するものというような経過規定をここに驚きまして、万全を期したい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  36. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは本案につきまして、御質問がございましたらお願いいたします。
  37. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 極めて細かい点についてでありますが、この改正法案の第十六條の規定を拝見しますると、補助金の割当期日がここにきめられておりますが、原則としては三月三十一日、ところが但書で予算成立の遅延のためできない場合には予算の成立後一カ月以内にこれを決定しろ、こうなつておりますが、これは一つ落ちておるのじやないかと思いますが、年度の途中で補正予算等で新らしく補助金が殖えるとかという場合においては、やはり補正予算の成立後一カ月というふうにこれは入らんと、何か予算の成立の遅延ではなくて年度の途中における補正予算の場合はどうなるのですか、極めて細かいことになりますが、ちよつとそういう感じを持つのであります。
  38. 清井正

    政府委員(清井正君) 只今の御質問でございますが、誠にその通りなんでございます。この十六條は補助金の割当の期日といたしまして通常の予算をきめる場合を規定いたしておりまして、三月三十一日というふうに考えておるのでございまして、本日まで実はこれで実行いたして参つたのでございます。補正予算等のこともあつたのでありますが、その際は補正予算のきまつた日をとりまして、この規定の趣旨に準じまして実行いたしておる、こういう状況でございます。
  39. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 これはあとで又御相談いたしまして、場合によつて修正案を出すかも知れませんが、むしろはつきりしたほうがよろしいのではないかと思います。  それから第二條の交付金の対象になる試験研究機関の数の制限撤廃いたしました説明がございましたが、現在のところどのくらいの予定になつておりますか。この補助の対象になるべき試験研究機関の数でございますね。
  40. 清井正

    政府委員(清井正君) この七十五場というふうにきめましたのは、これは試験研究機関の全部を含めて七十五ということでございますが、本年度即ち昭和二十六年度予算で支出いたしました対象は都道府県の試験場が四十六、それから民間団体、これに極く僅かでございますが、それにいわゆる各種大学等を入れまして、実際は四十三交付いたしておるのであります。四十六と四十三との合計八十九を対象にいたして補助金を交付いたしておるわけであります。併し法律上七十五というふうに制限をいたしておりますので、数機関を一つにまとめまして交付いたしておる、実行いたしておるわけであります。
  41. 小林孝平

    小林孝平君 私は專門技術員及び改良普及員の身分及び地位の確立について一つお尋ねをいたしたいと思います。この農業改良助長法が制定されておりまして、而も同法の第十四條に規定する協同農業普及事業補助金の大部分が專門技術員とそれから改良普及員の給與の補助に充てられておる現状にかかわらず、これらの技術員及び普及員の身分及び地位の確立に関しては従来法律上何らの規定もなかつたのであります。これは甚だ遺憾に思つてつたのでありますが、今回の改正によつて專門技術員及び改良普及員の身分が法律上確立せられることに至つたことは遅蒔きながら非常に適当な措置と思つておるのでありますが、併し身分は一応確立いたしましたけれども、地位の確立についてはまだ考慮が払われておらないように思われるのでありまして、地位を確立するためにはいろいろな措置が講ぜられなければなりませんが、そのうちでこれらの給與に対しまして、それら專門技術員及び改良普及員の給與に対して、その三分の二なら三分の二を国庫から補助することを法律の規定によつて明確にすることが必要でないかと思うのであります。それで政府は今回の法律の改正の趣旨は、従来行なつて来たことを法律の規定において明確にするためであると述べているにかかわらず、專門技術員及び改良普及員の給與の国庫補助に対する国の約束を法律の規定において明確にする措置をとつておられないのでありまして、これはなぜとられなかつたか。そこで私はこれは今回の改正の際に是非これを明確にする必要があるのではないかと思いまして、仮にこの改正法律案修正するとすれば、何か具体的に支障があるかどうか。若しあるならばその事情を明確に一つ説明して頂きたい。
  42. 清井正

    政府委員(清井正君) 只今の御質問の点でありますが、誠に御質問通りで実はございまして、大体協同農業普及事業によりますところの補助金のうち、その大部分は專門技術員なり改良普及員に対する給與の三分の二の助成金額であるのであります。ただ今回の改正にこれを入れませんでした趣旨は、別に特段の理由はないのでございますが、ただ従来もこの三分の二の補助率によりまして、專門技術員なり改良普及員なりに助成をいたして参つておりますし、それらの点については現行法におきましても何らの規定がないということの現実と、それからこれは事務的に申しましても、私どもにおきましても、大蔵省におきましても、この根幹であるところの給與の補助金につきましては何らの疑問を持たずに今後もこのまま進行するというふうに考えておりました点と、更に、今回普及員なり專門技術員についての職務等につきまして、規定を新たに入れましたというようなこともございまして、まあ当然のことというような考え方からいたしまして今回の改正案にそれを入れなかつたのでございます、併しながらこれを改正するについて何か問題があるかというようなお尋ねでございますが、まあ私ども実際の考え方といたしましては、お考えの趣旨はむしろこの法律を強化する方向でございますので、仮に修正するという問題に関しましては、私どもといたしましては別段の意見はございません。従来の経過只今申上げた通り経過でございます。
  43. 小林孝平

    小林孝平君 近く地方公務員の整理が行われると伝えられておるのであります。その際にこの專門技術員及び改良普及員も整理されるというようなことが地方で言われておりまして、相当のセンセーシヨンを起しまして、平素この指導を受けております農民から当委員会に対しまして、整理反対の陳情が来ているのでありますが、こういう事実があるのかどうかという点をお尋ねいたします。
  44. 清井正

    政府委員(清井正君) 整理の問題でございますが、この点につきましては私どものほうにもいろいろ地元から参つておるのであります。御承知通り專門技術員は各県の大体試験場に駐在いたしまして重要な役目を果しておりますし、改良普及員につきましても、農業改良につきましてはやつと一市町村一人程度の、約一万人の定員をまあ確保いたしておりまして、なおこれは地区駐在制度を採用いたしておりまして、一人が一町村に駐在するという制度はとつておらないのでありまして、そういうような観点からいたしまして、熱心な市町村から是非自分の所に一人置いてくれというような陳情がしばしばございまして、私どもといたしましてはまだまだ改良普及員の増員をする必要があるというふうにさえ考えておるのでございますが、今回はむしろ内容の充実というようなことに重点を置きたいというふうに考えておるような次第であるのであります。又生活改良のほうにつきましては、これ又僅かに二十七年度の予算でやつと千名程度になりまして、現在八百名程度しかいないのでございまして、もつともつとこれは増員をいたしまして一般要望に応えなければならんというような状況にあるのでありまして、これを整理するというようなことにつきましては、私どもといたしましては絶対に相成らんことだと考えておるのでございます。地方自治庁関係においてもこの問題はまだはつきりしてないようでありまするが、私どもといたしましては、事務当局間におきましては、緊密な連絡をとりまして、絶対にこれは整理はしないようにということをたびたび嚴重に申入をいたしておるような現状であるのでありまして、地方自治庁におきましてもその趣旨は十分了解して頂けておるものというふうに私どもは了解しておるような次第でございます。
  45. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 質疑の途中でありますが、先ほどの農林漁業資金融通法の一部改正法律案質疑の際、蚕糸局長発言で若干訂正される部分があるそうでありますので、この際発言を許すことにいたします。
  46. 寺内祥一

    政府委員寺内祥一君) 先ほど片柳委員お話の中に二十七年度においても乾繭倉庫補助金要求したかというお話でありましたが、私思い違いで大変失礼いたしましたが、二十七年度におきましては、もうすでに補助金は出せないということがきまつておりましたので、補助金要求はいたしておりませんので、従つて木炭倉庫乾繭倉庫においては補助要求がなかつた農業倉庫については特殊の事情があつて……というような事情でございまして、誠に申訳ありませんでした。
  47. 小林孝平

    小林孝平君 只今の改良局長の御説明で十分わかりましたが、本制度の趣旨に鑑みまして、将来ますます拡大を図るべきでありますので、いやしくも縮小されるような事態の起らないようにあらかじめ十分善処されんことを希望しておきます。  なお、最近地方公務員の職階制の制定に伴つて、この改良普及員並びに專門技術員の職階が不利に定められるように伝えられているのでありまするけれども、そういう事実があるのかないのか。これは又こういうような制度の本質に鑑みまして、極力これらの人々の待遇を改善しまして、人材を確保して、真に安んじてその地位において最善を盡くされるようにする必要があるのでありまするから、善処をお願いしたい次第でありますが、この際お尋ねいたした職階制の問題について御答弁を願います。
  48. 清井正

    政府委員(清井正君) 只今の職階制の問題でございますが、誠にお話の御趣旨の通りでございまして私どもといたしましても、專門技術員なり改良普及員の職階につきましては深甚なる留意をいたさなければならんと思つているのでございます。仕事が極めて大切でありますし、今後又ますます充実をいたして参らなければならない仕事でございますので、この仕事に当ります專門技術員及び改良普及員につきましては、その職階をできるだけ有利に、これを適切なる地位に置きまして、安んじてその職務に邁進をして頂かなければならんのでありまして、その方向に持つて行くように目下関係方面と十分相談をいたしておる最中でございます。まだ最後的な確定には至つておらないのでありますが、従来私どもといたしましても、これを地方事務所との関連におきましても、地方事務所の下に附属せしむるようなことになりますと、職階上非常に不利ということが考えられますので、その点につきましても、しばしば私どものほうから注意をいたしまして、地方事務所長の下につくということによつて職階上不利を来たさないようにということを留意をいたしておるような次第でありますから、各種職員の職階制が決定いたす方向に向つておる際でありますので、地方職員の職階制の関連の線におきまして、專門技術員及び改良普及員の職階が他の職員に比較して不利にならないように、安心して仕事ができるように適切なる地位を確保いたしたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  49. 小林孝平

    小林孝平君 この專門技術員並びに改良普及員の任用資格を定める政令のうちでありますが、この第一の「一定の試験研究機関」こういう一定の試験研究機関というのをもう少し具体的にお説明願いたいと思います。
  50. 清井正

    政府委員(清井正君) これは要綱でございますので、一定と書きましたのでございますが、これはあらゆる試験研究機関を含めて考えているのでありまして、国の研究機関でも無論いいのでございますが、私立大学或いは民間の研究機関等、すべての試験研究機関又学校等も含めて参りたい、こういうふうに考えておるのであります。この際は要綱でありますために一定と書きましたが、別に制限を設けるという趣旨はこの中には入つていないように考えているのであります。
  51. 小林孝平

    小林孝平君 この一と二の勤務年限でありますが、一の七年以上、二の十年以上というのは、これは余りに長過ぎはしないか。こういう学歴を持つて更に七年も十年もやつている人でなければ該当しないというのはちよつとどうかと思うのです。こういう嚴重な制限のあるのは他にちよつと例がないのじやないかと思うのですがどういうものですか。
  52. 清井正

    政府委員(清井正君) お話の点もあろうかと思うのでありますが、私どもが一応七年、十年と規定をいたしました理由をこの際御説明申上げまして御参考に供したいと思いますが、七年と申しますのは、現在の專門技術員の俸給をずつと調べて見ますと、大体八級職あたりは平均以下であります。細かく申しますと、四百九十三人おりますうち、八級職の者が九十三人、九級職が二百二十七人というふうになつておりまして、九級職が一番多くて十級職がその次、その次に八級職ということになつておりまして、全体の二割程度が八級職ということになつておるのでありますが、その八級職に相当する者が大体学校を出て七年以上になつておるのでありまして、現在の專門技術員の学校を出てからの経歴と、この際試験をせずに資格で以て任用する場合の経歴と、大体ならして考えたほうがいいのじやなかろうか、こういう考え方から七年というふうに考えたのでございます。それからその次の十年と申しますのは、これは先ほども申しました通り、十年のほうは試験研究機関に従事するのではなくて、県の農務課なり農業改良課に勤務いたした者を指すのでありまして、七年よりも若干長いほうがよろしかろうというので十年といたした、こういうわけでございます。
  53. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 この改良普及事業は戰後の農業の三制度の重要な改革の一つでありまして、世間から注目され、又今後の日本の農業の発展の上から考えましても極めて重要な問題であるのでございます。只今局長お話伺いますと量より質で行くというようなお話でございますが、これは量、質ともに進まなければならん問題であると思うのでございます。まず改良普及員の問題でございますが、これは現在北海道の各町村は一カ町村に四名ずつ、内地におきましては各町村一名ずつというようなことに勘定してみますると現在一万一千七百十五名、今の計画で行きますとそれだけ設置しなければならんのに、一万七百九十三名が現在員でありましてここに九百二十二名の不足があるようでございますが、丁度今行政整理の段階でありますけれども、これを是非とも押し切つてこの九百二十二名というようなものは増員なさつて頂かなければ、いわゆる改良普及事業全般から見ました充実ということはできないと思うのでございますが、これを真劍に一つ増設なさるという御決心があるかどうか、伺いたいと思います。
  54. 清井正

    政府委員(清井正君) 只今の一万一千七百十五名という人数につきましては十分承知をいたさないのでございますが、まあ仮に一市に四人設置いたしまして各町村に一人ずつということになりますと、お話のような数字になろうかと思うのでありますが、まあ理想といたしましては一応そういう案も立ち得るのでございますが、私どもといたしましては、先ほども申上げたのでございますが、無論現在の員数で十分だとは決して考えておるのではございませんけれども、予算関係もございますし、今直ぐにこの農業改良普及員を更に、更に増員をするということは暫く中止いたしまして、むしろ質の向上或いは活動費の増ということを考えて行きたいということを、端的な気持を申上げたのでありまして、無論私どもといたしましては生活改良普及員の増員と共に農業改良のほうもできますれば更に増員をいたしたいということを考えているのでありますが、何しろ実際問題といたしまてなかなか予算もとりにくいものでありますので、二十七年度におきましては数はそのままで質を向上いたしたいということに御了解願いたいのでありまして二十八年度以降につきましてはできますれば人員増加の点につきましても考えてみたいと思いますけれども、これ又質のほうの問題もおろそかにできませんので、私共といたしまして端的な気持を申上げれば、まず数をとるか質をとるかということでありますれば、この一、二年はやはり質のほうを十分充実したいという端的な気持は持つておるわけであります。併しながら無論数の点におきましても、おつしやいます通り決して満足をいたしておるというのではないのでありまして、機会を得まして員数の増員につきましては今後努力をいたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  55. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 良質少数のもので行くというようなことでありますれば、やはりその活動というものの点につきましては更に考えて行かなければ、問題がたくさんあると思うのでございます。町村の状態を見ましていかに良質の者でも数カ村を受持つている場合に、地下たびでこつこつ歩いておつたのでは、その良質の技術なりその普及員の真の普及能率というものは上らんと私は思うのでございます。そういうわけで早急に数を増加することはできない、こういうような段階でありますれば、普及員の活動を促進する施設方面に対しまして更にもつと力を入れて頂かなければならんと思うのでございます。たとえてみますると、巡回指導の方面につきましては一人でたくさんの農家を相手にして指導しようとしたならば、やはり足が必要でございます。平坦地におきましてはスクーターとかオートバイ、或いは病虫害駆除その他の仕事に応じまして資材を運ばなければならんというような場合におきましてはオート三輪などの設備というものは、少数の普及員をもつて能率的に効果をあげて行こうとするならば、そういうような施設が必要であると思うのでありますが、局長はどう考えますか。
  56. 清井正

    政府委員(清井正君) お話の点御尤もな点でございますが、なるほど現在一市町村一人という現実の配置になつておりませんので、大体一人の普及員が数カ町村を受持つということになりますので、勢い相当能率的に立ち働かなければならないということが要請されるわけであります。それに対しまして必要な予算を確保できれば誠に結構なんでありますが、残念ながら巡回指導の施設といたしましては、二十七年度におきましては僅かに自転車の更新の費用とそれから補修費が若干認められている程度でございまして、残念ながら甚だこれは不十分と実際問題としては言わざるを得ないのであります。この自転車につきましても普通の自転車でございまして、單価も大体一万円程度におさえておりますので、スクーターその他オートバイというようなもつともつと自転車よりも能率的なものに対する補助金としては不足をいたしておるわけであります。無論県によりましては、若干の経費をやりくりいたしましてそれぞれ適当なものをあてがう場合もあろうかと思いますけれども、国から助成する予算がかくのごとき基礎でございましては県といたしましてもやりにくいわけでございます。私どもといたしましてもこの点十分に考えまして、予算折衝の際もいろいろもつと高級な能率的な施設を考えたのでございますが、思う通りに行かなかつたことは甚だ残念でございますが、国の予算といたしましては今後予算折衝の間機会をとらえましてできるだけこの巡回指導の施設の金額を増加いたしまして、要望に応えたいというふうに考えておるのでございます。まあ県につきましても相当働きかけまして、相当のこのほうに対する予算も廻してもらうように今後折衝いたそうと思いますし、まあ二十七年度に当りましては、必要な地区に限りましては或る程度の手当はできるかと思いますが、全体の問題といたしましては、今後の予算折衝を待つよりいたし方がないというような状況にあるのであります。お話の点御尤もでありますので、今後できるだけこの方面につきましては努力いたして参りたい、かように考えております。
  57. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今は広い所を活動する問題でございましたが、今度個々の指導技術の問題でございますが、これもやはり今までの私の農家指導の経験から申しますると、やはり農家は口先だけではなかなかできないのでございまして、実際に物を見せまして指導をする。それには指導手段といたしましていろいろ普及の機具、器材そういうものがかかると思うのでございますが、今普及員に渡されているものを見ますと、比重器、寒暖計、或いは酸度の検定器というようなものばかりでございますが、更に顕微鏡でございますとか、或いは作物の栄養の検定器、或いは農機器の修理をする機具類など、こういうものの整備というようなものなども実際にこの普及事業の効果を挙げて行きますには極めて重要なものど思うのでございます。先ほどもお話のありましたように、普及員の数を充実してできないとしたならば、こういう方面にいま少しく経費をかけまして本当に改良普及事業の効果を短期に挙げて行くような方法をとらなければ、恐らくこの普及事業というものは中途半ぱな形になりまして世間から非常な批判を受けるというようなことになるのではなかろうかと思うのでございます。これは私もそういう目に会つたのでありまして、これは中途半ぱではいかんというので愛媛県ではいち早く各町村一人ずつの普及員を配置いたしまして、成るほど普及事業というようなものは、今までの指導方法よりも非常にいいものだというようなことをはつきり認めてもらつたのでございまして、中途半ぱにしておくということは、その事業に対する批判を買うもとになり、又それに対する農家の協力というものも非常に低下して来るというようなことになるのでございますから、人数で充足されないとしたならば、極力こういう方面に一つ重点をおきまして充実整備を図つて行くことが必要だと思うわけでございます。なお又普及員並びに專門技術員の旅費でございますが、これも非常に少くて、全く旅費というものに人の仕事が拘束されているのでございまして、仕事をするためにこの組まれました旅費はむしろ人の仕事制限しているというような関係にあるのでございまして、旅費なども勿論予算は一人頭なんぼとありますけれども、活動するものにはたくさんやれるように増額して行きまして、やはり一人当り普及員に三万円ぐらい、それから專門技術員では八万円ぐらいが実際から見まして必要だと思うのでありますが、こういう方面の充実につきましての御見解を伺いたいと思います。
  58. 清井正

    政府委員(清井正君) 只今三橋委員の御経験に徴しての非常に有益なる御意見を承り御鞭撻を受けたのでありますが、成るほど実際問題といたしまして、普及事業についての諸般の施設が不十分なためにそれが中途で以て挫折するようなことになつては非常に悪影響を與えるということはお説の通りでありまして、私どもといたしましては、活動をいたす場合の自転車等の施設のほかに、更に農民に普及事業を徹底する際に必要ないろいろな器具材料等を充実しなければならんということはお話通りでありまして、ただ残念ながら従来の実績に徴しますとごく僅かなことでございまして基だ残念なんでございますし、二十七年度におきましても僅かに自転車のほかは映写機と幻燈のスライド、或いは技術映画等でございましてなかなか思うように行かないのであります。お話のような顯微鏡の問題とか或いはその他いろいろの機械を設備いたすということも誠に結構なことでありまして、私どもといたしましても今後その方面に十分協力をいたさなければならんと思つているのであります。無論従前におきましてもいろいろ努力をいたしたのでございますが、努力不十分なためになかなか思うように行かなかつたことは甚だ残念でございますが、今後お話の趣旨に副いまして普及に要する器具機械の充実ということにつきまして、更に一段の努力をいたしたいと考えておるわけでございます。それから更に旅費の点につきましてもお話がございましたが、御指摘のごとく旅費につきましては前年即ち二十六年度は大体一万円程度の旅費でございましたが、今回三十七年度予算におきましては、專門技術員につきましては二万四千円、それから改良普及員にづきましては一万二千円という旅費が計上されておるのであります。專門技術員につきましては、只今お話によりますと、八万円程度、改良普及員につきましては三万円程度が必要であるというお話を承つたのでございますが、残念ながら二万四千円と一万二千円という程度の旅費しか計上をいたされていないのであります。無論これも十分な旅費とは申せないのでありまして甚だこれは遺憾でございますが、今後只今お話の器具機械の設備の充実と共に、いわゆる旅費等の充実につきましても、努力をいたして参りたいというふうに考えておるわけでございます。
  59. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 普及員の活動を促進いたしまするにはいろいろな方途がございましようけれども、先ず第一には待遇問題と身分保障の問題がこれは極めて重要な問題だと思うのであります。この受験をいたしまして合格をいたします相当な人があるにもかかわらず、なお各県に相当な欠員があるということは、これは恐らくいろいろなことがあるでしようけれども、その最も大きなことは待遇問題であろうと思うのであります。私も課長をしておりましたときにいつもこの待遇問題では頭を悩ました一人でございますが、先ほど小林委員からもお話のありましたように職階制のできます場合におきましては、極力この普及員なり專門技術員というものの職階制を別に確立して頂きまして、待遇の改善に努力をして頂きたいと思うのでございます。又この普及員、並びに專門技術員もそうでありますが、主として普及員でございますけれども、これの質の向上と、良質の者を以て普及事業を遂行して行こうというような局長さんの御方針でございますが、そうなりますると、結局又それに伴うていろいろなこの施設が必要になると思うのでございます。農業技術は余り進歩せぬとこう言うておるのでありますが、近頃の農業技術の進展というものは他の科学技術よりもむしろ著しいのでありまして、そういうような意味におきましては普及員を常に長期研修会でありますとか或いは内地留学によつて資質の向上を図つて、立派な普及員の質を以て農村を指導して行くと、こういう方向に向わなければいかんと思うのでございますが、長期の研修施設の整備又内地留学の確立というようなことにつきましてのお考えは如何でございますか。
  60. 清井正

    政府委員(清井正君) 只今お話の職階制につきましては先ほども小林委員の御質問に対してお答えを申上げました通りでありまして、御趣旨の通り今後職階制の確立に当りましては改良普及員なり、專門技術員が安んじてその職につき得るようにその方向に従つて努力をいたして参りたいというふうに考えておるわけであります。なおそれに伴いまする人件費等につきましても大体一応予算金額は組んでおりまするけれども、なかなか実際問題といたしましては県等に相当の面倒を見ているというような実はわけでありまして、不十分であることは私どもも十分認識しているのであります。この点も又次の来るべき問題といたしまして常に待遇の問題は職階制の問題とからめましてこの職務を遂行するという上におきまして、今後努力をして参りたいと思うのであります。又研修会の問題につきましていろいろお話があつたのでございますが、現在も改良普及員の研修につきましては若干の予算を計上しておりまして研修施設を考えておりますけれども、まだまだこれでは不十分でありましてこの点につきまして研修が必要であるということは今更申すまでもないのでありまして、この予算につきまして考えられますところの改良普及事業の問題、或いは更にいわゆる長期にしつくり落着いた研修施設の拡充ということにつきまして今後ますます考えて行かなければならんというふうに考えておるわけでございます。
  61. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 その次はこの改良普及事業の一部分でありますところの青少年クラブの活動でございますが、これは今までの農事指導でありました研究会とか何とかいうものと非常に趣きが違いまして、農村全般の文化の向上でありますとか、或いは生活の改善でありますとかいうような方向におきまして青少年クラブの活動というものは非常に顯著なものがあるのでございます。恐らく今の青少年クラブの連中が一家を持つて農業経営をやつて行くというような時代になりますると非常な進歩的な農業経営が期待されるのでございます。併しこれは今までの青年団とかああいう式のものとよく混同されまして、これを本当に地につきました農業改良普及事業の一部分として育成強化して行きますには、やはり彼らの指導者の養成というようなことが非常に必要だと思うのでございます。これも油断をしておりますると全く昔の青年団のようなかつこうになつてしまうというようなこともなきにしもあらずでありまして、本当に四Hクラブの形式を持つたものに仕立上げますには立派な指導者を春成するということが必要であります。と同時に又一方におきましてはクラブの活動を促進するための経費などにつきましても更に一つ重点的に考えて頂きまして、この指導者の養成、それからクラブ活動の費用というようなものにつきましては特段の御配慮をお願い申上げたいと思うのでございます。なおその次には農業講習所、それから経営伝習所の問題でございますが、この二つもやはり改良普及事業仕事一環といたしまして極めて重要な任務のある機関であるわけであります。併しこの施設の全国的の傾向を見ますると全くその施設は貧弱でありまして、本当に将来の農村を指導して行くだけの、或いは農村の中心人物となり得るだけの人を養成するには極めて貧弱であるというような傾向があるのでございますが、これらのものに対しましても更に国といたしまして十分注意を向けられると同時に経費の裏付けをして頂きまして、これらのものの拡充、整備を図つて頂きたいと思うのでございますが、こういう方面に対する国としての力の入れ方がどういうような状態になつておりますか、御見解を承わりたいと思います。
  62. 清井正

    政府委員(清井正君) 只今お話がございました最初の青少年の問題でございますが、これ又お話の御趣旨の通り青少年のいわゆる活動を育成助長いたしますということは、今後の農村の健全な発達のために極めて有効であることはお話通りでございます。殊に專門技術員なり農業改良普及員の優秀化等を図りましても、受入態勢のほうの側が不十分でありましてはせつかくの技術の普及も何にもならないことは申すまでもないのでございまして、私共としてはいわゆる普及側のほうの賀茂び数の整備をいたしますと共に、受入側のほうの十分な一つ指導育成をいたさなければならんというように考えておるのであります。併し残念ながら青少年を中心といたします活動に対しましては、殆んど国家予算は計上をいたされてないような状況でありまして、この点も甚だ残念なのでございます。現に昨日まで東京におきまして第一回の青少年のクラブ員の発表大会が現に開催いたしているのでありますが、これ又国庫予算によらず県又は民間の予算によつてこれが開催されているような状況でありまして、私共としても甚だ残念に思うのでありまして、今後この点については更に重点を置きまして、必要なる施設の拡充に努めて参らなければならんと考えているわけであります。  更に各府県に設置しておりますところの農業講習所或いは経営伝習所の問題でございますが、この点につきましては只今申上げたような趣旨から私共といたしましても重視をいたしておるのであります。二十七年度予算におきましては二十六年度と比較いたしますと、いずれも或る程度金額の増加を見ているのでありますが、さてその内容は殆んどが営繕費の増でありまして、教育施設の具体的な内容の増加にはなかなかやつて頂けないのは残念であります。それで営繕費を増加して相当腐朽した施設を更新し、或いは施設を拡充することができたことはせめてありがたいことだと考えているわけでありますが、今後この施設の内容の強化等につきましても推進して行かなければならんというように考えているわけであります。
  63. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今いろいろお話伺いますと改良普及事業というようなものは全く助長法というような姿だけで魂は一向入つておらないような実情のように思うのであります。これは甚だ遺憾なことでありまして、国の財政というものにも関係があるのでしようけれども、食糧の自給度を高め本当の独立を確保して行くというような観点から考えますならば、更に魂となるべき予算の裏打ちというものにつきましても、御当局におきましては一段と御配意をお願いいたしまして、一日も早く完備した姿におきまして農村を指導し得るような普及事業が確立せられますようにお願い申上げたいと思うのであります。  更に第二條の問題でありますが、これを今度改正する、この改正案はそれで非常によくなつたと思うのでありますが、先ほどのお話によりますと八十九カ所要請をいたしていると言われますが、その金額は一体幾らくらいになつているでしようか。
  64. 清井正

    政府委員(清井正君) 只今お話のございました点は、先ほど申上げました数字は二十六年度に実行をいたしました数字を実は申上げたのでありまして、その内容といたしましては、都道府県の試験場四十六カ所に対しまして交付いたしました金額補助金と委託費と合計いたしまして一億四千九百万円でございます。それから大学及び民間等四十三カ所に対しまして交付いたしました金額が一千八百万円程度でございます。これは二十六年度の実績を申上げたのでありまして、二十七年度におきましてはまだはつきりと確定いたしておりませんが、大体前年度の趣旨にそいまして、必要なものはいわゆる交付対象を増加するなり適当な方法を講じて参りたいと思うのでございますが、大体金額といたしましては只今申しました金額に相応するものといたしましては、現在のところ約一億九千七百万円程度の金があるのでありまして、今後この予算を府県の試験場なり或いは大学なり民間施設に適当に研究の委託、補助をいたして参りたいと考えておるわけでございます。
  65. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 改良普及事業の根本をなしますものは、私は試験研究機関だと思うのでございますが、世間の改良普及事業というようなことに対する声に乗りまして、その根本を忘れまして普及事業のほうへは予算は比較的取りやすいが、試験研究機関のほうにはなかなか予算は取りにくい。今まで技術のストツクがありますから、それで改良普及事業というものは今のところではうまく回転し得るでありましようけれども、これからだんだん研究に基礎を置きまして、それを普及に移して行かなければならんというようなことでありますれば、今後の試験研究機関というものに対しましては更に一段と御考慮を願わなければいかんのでありまして、試験研究機関は非常にその性格から地味に見えますから、ややもしますると忘れ勝ちになりまして、試験研究機関がおろそかになりますと、この普及事業というようなものは成立つていかんというようなことになるかと思うのでございます。又私たち地方におつたからそういうことを言うのではございませんが、今まで重要として取上げられて来ました国のいろいろな技術を見ましても、そのヒントは地方の試験研究機関から出たものがかなり多いように思うのでございます。従いましてその地方の技術を全国に紹介するというようなことなどにつきましても、又その地方に生れましたその技術を育成、助長するという意味におきましても、十分に一つ活眼を開いて頂きまして、どの地方にはどういう特色のある技術があるというようなことを御勉強願い、それらのものを助長をして行くというようなふうに、この二條が適用されますようにお願い申上げたいと思うのでございますが、今の二十六年度の実績を見ましても余り大きな金ではないように思うのでございますが、これはとにかく改良普及事業の根本であるというような御認識を願いまして、試験研究機関も十分生い立つて行くように、端的な言葉で申しまするとまま子扱いをしないように一つ特にお願い申上げたいと思うのでございます。
  66. 清井正

    政府委員(清井正君) 只今お話の点でございますが、誠に御尤もな御意見でございますが、殊に県の試験場と国の試験場との関係につきましては、今回法律の改正によりましてまあ必要な助言と協力を求めることができるというような規定を挿入いたしたいと考えておるのでございますが、この点も趣旨といたしましては只今お話しました通り、できるだけ地方におきまして完成いたしました技術なり、試験研究なり、或いは有益なる今後完成されんとするところのいろいろな試験研究につきまして、国においても適当な方法によつてこれを取上げて全国的なものといたして行きたい。こういう趣旨もこの法律の背後には思想としてあると私どもは考えておるのでございます。県の試験研究機関に対する補助金等につきましては、先ほど申上げました金額でございますが、そのほかに応用研究費として約八千万円の費用も計上しておるのでありまして、これは国の予算でございますが、対象はすべて県なり、民間の研究機関に対する研究費でございますので、これの交付につきましてもできるだけ只今お話の御趣旨にそうべく努力をいたしたいと考えております。
  67. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今度は普及事業のほうでございますが、普及員の地区駐在制度をとられるということは、普及事業の機構といたしましては非常によいことと思うでございます。なかんずく人数の少いのに効果を上げて行くという方法につきましては、その方法以外にはないと私は思うのでございます。併しそこで今度問題になつて来ますことは、実際農家の中に入つてその事柄を経営上に応用して行くというような面におきましては、やはり受入態勢というものが確立しておりませんと、幾ら上から鉄管で水を中へやりましても、タンクの整備のできておらん所では無駄でございます。こういうようなことから考え、又私の今までの経験から見まして、普及員もおり、又経営方面、農産物の販売ということに対する方面にタツチできます協同組合の技術員のおります村と、それのおらん村とは非常にこの普及事業の進展の度合というものは違うのでございます。即ち地区制だけで打ち切られて、その下の組織を持つておらないものは、いかに普及員が活動をいたそうといたしましても農家に足が入つておらない。ところがそこには実際農家の中に足が入つております協同組合の技術員がおるというような場合におきましては、この双方の活動によりまして普及員の成果というものは非常によく上つて行くのでございます。その思想から申しますると、これは町村にも地区制でもあれば非常によいのでございましようが、そういうことも望めないのでございますから、これは愛媛県のことを申上げて恐縮ですが、愛媛県におきましてはその折衷の方法をとつております。地区にはおりますがその数は大体各町村一人という割合にとりまして、そうして地区に駐在をさせ、おのおのにはおのおのの村ですつかりと分担をさせている。こういうような折衷の方式でやつているのでございますが、これはまあ尤も普及員の数が多いという関係もありましようが、実績は非常によく上るのでございます。なお又そういうような方面に普及員の数を十分とられぬ場合におきましては、普及事業は地区制といたしましてその下部の本当にもういろいろな農家全般の仕事ができるようなそういう組織とつながつて活動を促進して行くというようなことも一つの方法ではなかろうかと思うのでございますが、将来までも数が多うなつてもどこまでも地区制として農家の中に沒してその仕事をするか、私はもう知らんというようなふうに普及事業が将来進められるのか、数がたくさんになりますると、又農家の中に沒して仕事のできるような町村に駐在するというような方向に進むのか、その点を一つ伺いしたいと思います。
  68. 清井正

    政府委員(清井正君) 改良普及員の地区駐在制に関する御意見でございますが、只今伺いいたしますると、愛媛県におきましては駐地区制で必ず各町村担当の人がそれぞれ一人ずつおつてそれが地区制の下に駐在いたしている、こういうふうなお話でございましたが、誠にその点は両方のいい点だけをとつ制度でありまして誠に結構な制度だと思うのでありますが、申すまでもなく駐地区制をとりましたゆえんは人数が足らないという点もありますと同時に、一人が一個所にかかりきりになりまして町村駐在のようになりますと、却つてその見解がそろわんとか、その待遇等の均衡を失するとか、その他いろいろな影響が起ることを考えまして、やはり広い見地に立つて成る程度融通できるようにしたほうがその人の仕事を円滑にやる上においても、或いは待遇等を将来均衡上考える場合におきましても、適当である。そういうような考え方からして駐地区制をとつておるのであります。無論この点につきましては人数の関係があることは只今申上げた通りでありますが、只今の御質問のごとく、将来十分に改良普及員の人数が採用されて、一町村一人ずつ駐在できる程度の人数になつてもなお且つ現在通りの行き方で行くかという御質問でございますが、その点は非常にむずかしい問題でございまして、無論私ども現在の人数、現在の状況であるから現在の駐地区制をとつているわけであります。この駐地区制を将来いかに條件が変つて維持するということは考えておりません。併しこれ又今直ちにこうするということははつきり申上げかねるところでありまして、この点は将来のこの制度の推移に鑑みまして適当な措置をとつて行かなければならんと思つているのであります。只今お話頂きました制度のごときも極めて有益な材料でありまして私どもこの点は将来そのときの状況に応じて最も普及事業がうまく行く方法はどうかということを中心にいたして考えて参りたい、こう考えております。
  69. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 極めて簡単な問題二、三点お伺いしたい。第一は、この改正法の目的は技術員並びに普及員に関する任務及び身分を明確にするということの目的のために、こういう改正がなされたというふうに承知しておりますが、任務については成るほど條文を見れば第十四條の二において従来よりやや明確になつておりますが、身分に関しては旧法とどれだけ明確になつておるのか、その点を一つ具体的に御説明を願いたい。
  70. 清井正

    政府委員(清井正君) 只今の御質問でございますが、成るほど本法におきましては従来の現行法には全然規定がいたしてなかつたところの專門技術員及び改良普及員について、これを府県に設置するという規定を置きますし、或いは專門技術員は試験研究機関と密接な連絡を保つて專門事項について調査研究をする、そして農業改良普及員を指導するというような趣旨につきましてそれぞれ仕事内容をはつきり明確にいたしたのでございます。又任用につきましても一定の資格を有する者を任用する。こういうことにいたしたのでありますが、その職階制その他これの身分に関する問題につきましては、今回の規定については明らかにはなつていないのでございますが、先ほど皆様の御質問に対して御答弁申上げたような趣旨でこれは運用して参りたいというふうに考えております。従つて本規定には明らかになつていない点は御指摘の通りでございます。
  71. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 先ほど小林委員からもこの点に関してはかなり具体的な指摘がありましたが、私どもとしては、この身分に関してはこれはぜひ明確にする必要があろうと思うのでぜひこの点については身分を明確にする具体的な修正案を我々としては持ちたいとこう思うので、その場合には積極的に一つ御協力を願いたいとこう思います。それから第二には、この第十四條の第二項でありますが、特に昭和二十七年度においては生活普及員が昨年に比してかなり数が増すということでありますが、こうなつて予算が増してもこれが適当な專門技術員なり普及員をいかにして養成若しくは確保されるか、その施設或いはその他の整備計画等についてすでに方針並びに具体案をお持ちのことと思いますからそれをお聞かせを願いたい。
  72. 清井正

    政府委員(清井正君) 只今の御質問の点でありますが、生活改良の普及員につきましては、只今お話にあつた通り相当の員数を増加することができたのでありまして、私どもといたしましては各方面の御要望に従いまして、来年度早々できるだけ速かに所定の増員をして参らなければならんというふうに考えているのでございます。現に生活改良普及員につきましては実際問題として、県におきましてはこちらで配付いたしておりますところ以上の研究費で実施いたしている所もある、こういうような状況であります。そこで私どもといたしましては、生活改良のいわゆる有資格者、その点につきましてはすでに今まで試験をいたしているのでありますが、生活改良につきましては大体今まで生活改良普及員の試験を受けました者が千六百人ございまして、そのうち千二百四十三人が合格をいたしておりまして、八百三人が任用をいたしているのであります。千二百四十三人の有資格者は現におるのでありまして、引続き本年度も試験をいたしておるのでありますから、そういう意味におきましては充員には事かかないと考えているのであります。併しながらこれは御質問の御趣旨にもありました通り、形式的には有資格でありましても、なかなか今後の研修なり養成なり等につきましては努力をいたして参らなければならんことはお話通りでございます。農業改良につきましては、先ほど来御説明申した通り相当の施設をいたしておるのでありますが、生活改良のほうの普及員につきましては、成る程度の施設はいたしておりますけれども、実際問題としてはなかなか思うように行つていないような状況であります。研修の施設につきましては今回新たに予算を計上いたしまして、ごく僅かでございますけれども、相当の成績を挙げた普及員につきまして再教育をいたす施設をも講じたのでございますが、まだまだ実は不十分でありまして、この点につきましては今後更に努力をいたしまして、研修なり或いは普及員の資格の向上なり等につきまして努力をしなければならんというふうに考えております。まあ県におきまする農業講習所なり、或いはその他伝習所等につきましても、先ほど申しました通り相当の施設は考えているのでございますが、まだまだ不十分でございますので、この点も将来の問題といたしまして努力をいたさなければならん、こういうふうに考えております。ただ、只今のところでは相当の有資格者がございますので、任用しようと思えばできるという状況になつているのでございます。先ほど来私が申した通りのような不十分な状況でありますので、いわゆる養成なり研修は今後我々が努力しなければならぬ問題であるということを申上げなければならんというふうに考えます。
  73. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 只今の生活普及員の養成研修について二十七年度の具体計画をお持ちになつているやに聞いておりますが、これは各県の講習所等でなしにやはり中央的な施設或いは指導力を持たなければ、なかなかこれの研修は困難だと考えるのでありますが、それがおありのことと思うのですが、それを一つお聞かせ頂きたい。
  74. 清井正

    政府委員(清井正君) 生活改良についての只今お話補助金の問題でございますが、生活改良の普及員の養成及び研修の補給金といたしまして二十七年度に計上いたしておりますのは金額にしては僅かでございますが二百二十六万円ございます。そのうち研修費の補助金といたしまして四十六万円ございますが、これはそれぞれの県におきまして約三十人程度の人を農業講習所その他適当なところに集めまして講習をいたすところの再教育費でございます。それから百八十万円の別途の養成費をとつておりますが、これはまだ確定いたしてございませんが、三カ所の適当な施設に相当長期に人を集めまして、これで生活改良普及員の再教育をいたしたいという費用を要求いたしているのでございます。この百八十万円のほうは本年度二十七年度の新規事業といたして計上いたしているのであります。いずれにしろ金額も僅かでございますし施設も極く貧弱なのでございまして、今後これを更に拡充をいたして参らなければならんというふうに考えております。
  75. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 これは希望を申上げたいのですが、生活普及員に関してはこれが従来になかつた施設であるだけに、農村或いは農民から受けるつまり歓迎の度合が非常に高いのを私どもは現場でよく認識しておるんですが、数が少いということと、それからもう一つはなかなか指導の内容が広範に亘つているために、一年二年経過して来るともう皆出し盡してしまつで、なかなかもうあとは指導力が続かないという現実がかなり起つていると思うのです。これに対してはどうしても国で相当の経費を支出してでも、こうした再教育を施すなり或いは正規の養成に乗り出すなりをなさることがもう非常に緊急に必要だと考えるので、私は特にこの点を御指摘をして、本年度の養成百八十万それから研修四十六万という予算では本年度は止むを得ないとしても、明年度から相当この点について力を入れて頂く必要がある、こう考えますので、これは希望として申しておきたいと思います。それから次に青少年団体の指導の問題ですが、これは昨日から全国的な大きな催しが持たれているようでありますが、各県なり或いは全国的な状況を私どもは断片的に拜見をすると、なかなか非常に力強い盛り上り方をしているので、この改良助長法で期待している大きな目的に対しては非常に力強さを私どもは感じている一人でありますが、これに対して組織においてやや欠けているところがあるのではないか。というのは一つの村なり或いは一つの部落においては、四Hクラブとか或いは農業研究会とか名前はいろいろありますが、そういう名前で極めて農村の将来を背負つて立つような中核体の青少年が研さんに励んでいるけれども、横の連絡がついておらないということと、例えば一つの例を挙げるとこういう目的でどつか優良な例を視察したいという場合に、県内的には連絡がつくけれどもさて一歩県外なり或いは少し遠隔な地にということになつて来ると、なかなか適切な視察なり或いは旋行計画等についても懇切なブランが直ちに立てられないという現状が私はあるように思う。ところがなかなか非常に知識研究等の慾が旺盛な集りですから県内をあつちこつち見て歩いて、その後にはもう県外へ或いは又かなり遠隔の地にまで出かけて行つて、こういう目的の視察なり研発をしたいという慾があるわけですが、そういう目的にそうためにも又横の連絡を緊密にするためにも、県段階におけるこういう四Hクラブの協議会なり、そういつた恒久的な一つの組織を持つことが必要であると同時に、私はやはり全国的にこれが必要であろうと思うのですが、それに対する指導の方針はどういうふうになつておりますか、その点を一つ
  76. 清井正

    政府委員(清井正君) 只今お話の農村青少年の団体に対する指導の問題でございますが、前段においてお話されました通り、国の補助金は実はこれについては皆無でありまして、專らこれは下からの盛り上る力として今日見るような盛大さを示しているのでありまして、今後四Hクラブ或いは農事研究会等の名称によりまして、農村青少年の研究はもつともつと盛んになつて来るだろうと私どもは考えているわけであります。そこで只今お話のありましたいわゆるこれを縦に系統ずけると申しますか、県の段階でそれを系統ずけ、或いはこれを更に上まで及ぼすというような問題につきましては、私どもといたしましてはこの点はまだはつきり考えておりません。と申しますのは、只今申しました通りこの団体が自然発生的と申しますか下から盛り上る力でできておりますので、これを或る一定のわくにはめるようなかつこうにとりまして、これを県の一つの組織とか或いはその上の組織とかいうふうに組織立てることが果していいか悪いかということに実は問題があるのではないかということを考えているのでございます。そこでその問題につきましては無論何とも結論が今出ておるわけではないのでありまして、どういうふうにしたらばいいかということを目下研究をいたしている最中でございまして、只今の御意見等も十分参考にいたしまして今後考えて参らなければならんことと思つております。又いわゆる只今お話のありました通り、或いは旅行をするとか或いは共同の研究をするとかいう点についていろいろ不便等があるというようなお話でございましたが、只今申した通りこれに対する国家予算も少しも計上されてないという状況なのでありましてこの点は甚だ残念なのでありまして私どもといたしましては今後それを適当に育成するために必要な予算はぜひ来るべき機会には計上しなければならないというふうに考えまして、目下努力をいたしているのでございますが、将来組織の問題につきましてはもう少し時間を與えて頂きまして、どういうふうにこれを持つてつたらばこれらの団体が極めて有効適切になるかということを考えて行かなければならんというふうに考えております。
  77. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 これはぜひ一つ近い機会に研究した成果を持つて頂いてできれば来年からでももう少し、せつかく盛上つて来る力を横から、そうして又上からもそれを助長して頂くことを私は希望するのであります。今年の予算の範囲内で、例えば月刊なり或いは旬刊なりというリーフレツトなり或いは機関紙と申しますか、そういう連絡をつけるような中央的なものはできませんか。
  78. 清井正

    政府委員(清井正君) 私どもの予算が極めて窮屈であることは御承知通りでございまして、私どもといたしましても普及員なり專門技術員なりに対しまして、それぞれ普及員だよりを月に二回発行いたしまして、それぞれそのときの適切な指導方法を連絡いたしております。その他いろいろ印刷物等も発行いたしましてやつているのでありますが、数量等も少いために主として最初は專門技術員なり改良普及員或いは県庁の担当員というふうに限られているのでありまして、これをいわゆる農村の団体、青少年団体全部に対して適当な或る一定のあれをして当局からこれを出すなり、或いは県に適当に金を補助するなりということは、現在のところちよつといたしかねるというふうに私ども考えておりますけれども、なおよく研究いたしましてできる余地がありますればいたしたいと思いますけれども、只今のところではちよつとこれは不可能かと思うので将来の問題といたしたいと思います。
  79. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今の当面の問題については私には若干の私案があるんです。これは後刻御協力を申上げるという意味で懇談等持ちたいと思いますが、これは一応希望だけにとどめておくとして、最後に、この今度の改正法で第十四條の二その他によつて專門技術員或いは改良普及員の任務が確定して参りましたが、この農村における当面の大きな問題の一つとして、農村計画の樹立という問題があり、これを各村では御承知の農業委員会がそれぞれこういう問題と取組みつつありますけれども、なかなか経験等の足りないために一つの村ごとに農村計画なり農業計画を策定するということは事実上極めて困難、でこれに対してはせつかくこういう国の指導もあり助成もある專門技術員なり普及員なりというものに積極的な協力をして頂くということを非常に要望されている現状でもありますので、こういうためにはこれは一つ地区の改良普及員だけでなかなか知識が足りないという問題がありますので、專門技術員等も状況によつては積極的に応援して頂く必要があるかと考えますが、この任務をこれで明確にすることによつて農業委員会等との混線を避ける意図が若干これで私どもに看取できるのですが、そういうことは運用の上でして差支えないと思うのですが、そういう農業委員会に対する側面というか間接の協力というか指導と申しますか、そういう点を村の段階にねいて、或いは郡の段階において、或いは例えば県の単位でいえば、県の農業地帯つまりアグラリアン・ゾーンの策定であるとか、そういつた場合にはぜひとも專門技術員なり、或いは全国的のそういつた高度の技術を有する人たちの参加協力を得なければ私は農村計画というものはもう画にかいた「もちで少しも前進しないと考えますが、これらの問題について積極的に参加することの必要を私は痛感するのですが、局長はそれについてはどういうお考えをお持ちになつているか。
  80. 清井正

    政府委員(清井正君) 只今お話がございましたそれぞれの地区におきまする農村計画の樹立に当つて、專門技術員及び改良普及員、特に專門技術員についての知識を有効に使うためには、これを援助させる意思はないかというお話でございましたが、これは誠に結構なことでございます。私どもといたしましては專門技術員がその知識を導入いたしまして、かかる有益なる計画に参加いたしまして、その能力を発揮させるということは結構なことだと存じております。
  81. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ではこの法案に対する質疑は本日はこの程度にいたして、散会をしたいと思います。    午後四時五分散会