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1952-03-06 第13回国会 参議院 農林委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月六日(木曜日)    午後一時五十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            山崎  恒君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            瀧井治三郎君            宮本 邦彦君            飯島連次郎君            加賀  操君            三浦 辰雄君            三橋八次郎君            松永 義雄君   政府委員    警察予備隊本部    本部次長    江口見登留君    警察予備隊本部    経理局長    窪谷 直光君    特別調達庁管理    部長      長岡 伊八君    農林省農地局長 平川  守君    林野庁長官   横川 信夫君   事務局側    常任委員会專門    員       安楽城敏男君    常任委員会專門    員       中田 吉雄君   説明員    外務省国際協力    局次長     小沢 武夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (河川法改正の件)  (道路法改正の件)  (特需木材の件)  (農地及び開拓地接收或は使用の  件)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。  北海道の需災の件に関して当委員会の名前で北海道知事に見舞の電報を発して置きましたので、御了承をお願いいたします。  本日の議事日程を若干変更いたしまして、最初河川法及び道路法改正の件を議題といたしたいと思います。今回建設省において河川法及び道路法改正を企図し、目下政府部内において検討中とのことでありますが、大分すると、これら改正法律案、特に河川法改正農業に重大な影響を及ぼす問題のようでありますから、この際農林事務当局から右改正法律案内容並びに右改正に関して農林省立場から見た見解等を、更に必要によつては当委員会としてとるべき処置等について御協議を煩わしたいと思うわけであります。最初政府からこの件に関して見解を聽取した上、必要に応じて御質疑お願いしたいと思います。最初農地局長から見解を承わることにいたします。
  3. 平川守

    政府委員平川守君) 建設省のほうから、先に河川法改正につきまして意見を求められまして、検討をいたしておるわけでありますが、この改正法條文要綱につきましては、お手許に御配付申上げてあるわけであります。その要点だけをかいつまんで申上げますと、第一に、河川種類を従来河川法適用河川準用河川というふうになつておりますが、今回これを国民経済上の重要性という見地から、河川の一本一本につきまして、第一種河川、第二種河川、第三種河川というような種類分けにいたすことにいたしております。そうしてその管理につきましては、第一種河川建設大臣、それから第二種河川都道府県、第三種河川市町村ということに区分けをいたしまして、第一種は相当大きな規模のものや、県を跨がるようなものを基準にいたしておるようであります。第二種は、大体県で管理をするに適当な程度のものというように考えております。そうしてこれらの河川につきましては、先ず河川計画というものを河川治水利水に関する総合的な計画を立てる。その立てるのは、第一種河川につきましては建設大臣、第二種河川につきましては都道府県が、それぞれこの法律に基き設けることになつておりますところの河川審議会というものに諮問をして計画を立てる。これは治水及び利水、そのうちには灌漑排水或いは発電というようなものも載つておるわけであります。そういう利水について総合的に最も有効に使うという見地から建設大臣においてこの計画を立てる。そうしてその後の管理なり、或いはその一面としての河川工事につきましては、この計画沿つて行われる、又河川使用につきましては、これを許可制度にいたしておるのでありますが、これにつきましても、この河川計画の線に沿つて認めて参る。我々のほうで申しますと、灌漑排水等施設をいたすというような場合におきましては、第一種河川については建設大臣、第二種河川については都道府県知事許可を受けるということになるわけであります。而してその利用する規模によりまして、一千町歩以上の程度ものは建設大臣が直接に許可をいたし、又三百町歩以上の程度のものについては都道府県知事許可をいたす場合においても、建設大臣の承認を要するといつたような仕分けになつておるのであります。要しまするに、河川を運送に利用するために各種の施設をするというような場合においては、すべて建設大臣の立てました、或いは都道府県知事の立てましたこの河川計画の線に沿つて、その管理者許可を受けて行わなければならんということになるわけであります。この点につきましては、従来の河川法に比較いたしまして、先ず河川計画という総合的な一つ計画をいたすということがあるわけでありましてこれは事柄自体趣旨においては非常に結構と思うのでありますけれども、これを河川についての治水利水を含めた総合的な計画を立てるということについては、現在の建設省といつたような機構では不適当ではないか、農業見地もあり、又発電見地もあるわけでありまするから、もつと総合的な機構においてこの計画を立てるということであればよろしいけれども、現在の建設省というのは治水主眼にした河川取扱をいたしておるわけでありまして、そこで農業のことも発電のこともすべて考慮に入れた総合計画を立てるということは不適当ではないかというふうに、私ども主張をいたしておるわけであります。又その計画の線に沿つて管理におきましても、従来一々許可を受けないでいいような面までも全面的に河川を第一種、第三種、第三種といたしまして、これについていやしくも灌漑排水の設備をする場合においては、すべてそれらの管理者許可を受けなければならんということにもなります。要するに非常に河川利用についての統制が強化され、而もその統制建設大臣の定むる河川計画沿つて行われるということになりまするので、その点について我我といたしましては、先ず計画を総合的な機構で扱うべきであるということ、又管理の面におきましても、大きな水の利用及び治水という問題については、総合的な機構において運用すべきものではなかろうかということを主張いたしておるわけであります。法律細目につきましては、そのほかいろいろ費用の問題とか、補償の問題とか、いろいろ細かい点がございましたけれども、最も大きな問題として以上の点が考えられまするので、現在はまだ細目について建設省と折衝する段階に至つておりませんので、先ずその大方針について当方としての意見を差出しまして、これについて一つ検討して取上げてもらおうではないかということを話をしておるのであります。一応その程度に御説明申上げまして、これについて御質問がありますれば、お答えいたします。  なお道路法についての御改正法案がやはり建設省から出ておりまして、これは道路に関する管理機構を整備することを主眼といたしておるのでありますが、この中に新たに特設道という項目を設けまして、これは農道、林道のごとき特殊の道路をこの範疇に入れまして、そうしてこれが一般国道市町村道等と接触をいたします場合については、国道市町村道管理者協議を申込まなければいかん、その建設等について協議をしてもらいたいという條文が入つてつたのでありまして、これは土地改良法等によつて行われておる農道等建設をするときに際して、一々その接触する道路管理者と相談をするということは、その煩に堪えないということで、反対をいたしておりましたが、その後建設省のほうにおきましては、この項目農林省の要望を容れまして削除をいたしましたので、現在におきましては、私どものほうといたしましては問題がないことになりました。問題は解決をいたしたわけであります。
  4. 山崎恒

    山崎恒君 今、局長の御説明の中にですね、河川審議会という問題で出たのですが、従来とつてつたところの河川審議会というのは、どういう形でとられておつたか。その点を一つ説明願いたい。
  5. 平川守

    政府委員平川守君) 河川審議会と申しますのは、只今ちよつと申しましたように、この河川法で新らしく設けることに立案されておるわけであります。従来はございませんでした。この河川認定種類認定とか、或いは河川計画とかいうような重要事項を調査審議するための建設大臣及び都道府県知事諮問機関というようなものであります。
  6. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ほかに御質疑ございませんか。
  7. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 少し遅れて来たのですけれども、この一つ河川を、つまり一種の河川というのは、まあ建設大臣がやられる。一方においてその諮問機関である審議会というものがあるけれども、まあ農業関係の用水にしても、その他の林業関係にしても、その一本の河川が指定されております関係から総合計画を立てる。総合計画というものを立てる場合において、農林省というものはどのくらいなつまりいわゆる重さとあれがあつてつて行けるか。この点はなかなか面倒な問題だ思うのですが、その点ちよつとお答え願いたい。
  8. 平川守

    政府委員平川守君) 只今河川法案におきましては、例えば農林、灌漑、排水関係等については農林大臣意見を聞く、又河川審議会意見を聞きますが、その審議会には関係の專門家が参加する、こういうことによつてその意見を反映するという程度になつております。
  9. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そうすれば、昨年この国会でも審議した例の森林法などは、当然その示すところによつて保安林その他の取扱内容というものが適正であれば、恐らく適正に作られているのだと思うのですが、そのまま指定された河川というものの総合計画の中に取入れられるというふうに考えていいものかどうか、この点伺いたい。
  10. 平川守

    政府委員平川守君) 只今のような具体的なそれぞれの山林なり或いは農業なりの立場からの意見建設大臣が聞くということになつておるわけでありますけれども法律的に申しますれば、河川計画河川計画として建設大臣が立てるわけでありますから、実際問題としては特別支障のない限り大体聞かれることと思いますけれども、法制的には別の計画も成立ち得るということになつております。
  11. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そこで私は先走つてそう心配するには及ばんと言われればそれまでですけれども、とかく役所のいわゆるセクシヨナリズムというようなものはなかなか拂拭するわけには行かないから、今の開拓の問題とか、山林の問題とか、そういうものを総合計画で、河川一つの統一された計画の中に入れる際に、よほど農林省側では、農林省立場から大いに主張してもらえる余地を作つて置くように、今後の政令或いは省令等で御奮闘をお願いしたいと思うのです。その不安のないようにということをお願いして、私はこれで終ります。
  12. 平川守

    政府委員平川守君) そういう問題がありますので、只今申上げましたように、河川計画を立てるにいたしましても、又河川管理についても、大きな管理の実施の問題につきましては、ひとり建設省とか、或いは農林省とかいう片寄つたものでなしに、何か新らしい総合的な機構によつてこれを運用すべきじやないか、それを或る一部で決定権を持つということになると、お説のような弊害が起るのじやないかという意味において、先ほど申上げましたような根本的な、この河川計画そのものについて、例えば現存の機構で言えば、安定本部とかいうような総合計画立場におるところで決定すべきものであると、こういう主張法律そのものについていたしておるわけであります。
  13. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ほかに御質問ございませんか……。それではこの件につきましては、まだ別段成規の提案になつたわけではないので、事前に問題を提起して御検討願つたわけでありますが、一番の問題は果して建設省所管なつた場合に、治水見地からならとにかく、利水見地から、農林政策影響がないかどうかということが問題の重点だと考えておるわけでありますが、幸い農林省当局ではその点に十分な認識を持つておられるようでありますので、この問題は本日は政府見解を聞くにとどめまして、他の問題に移りたいと思います。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  14. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 速記を始めて……。引続いて特需木材の件について審議いたしたいと思いますが、この件につきましては、先般三浦委員から御発言がありまして、本日この問題に関し検討することになつたわけであります。最初にこの前三浦委員から御発言がありましたけれども、重ねてもう一回趣旨を簡單に述べて頂いて、それから政府の答弁を求めたいと思います。
  15. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 国際協力局のほうからはどなたがお見えになつておられましようか。
  16. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 協力局次長小沢さんがお見えになつております。
  17. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そこでこれは林野との関係もありますけれども、主として外務省関係お願いをし、且つ御質問申上げたいのでありますが、御承知通りに、従来の木材に関しますところのいわゆる特需と申しましようか、そういうものは、一は特別調達庁を経て来るものであり、一は直接いわゆるJLCとして八軍のほうから発注をせられるものがありまして、この二つのほうから出て来ることは、非常にこれを納めるほうの側からいつて條件等が違います。又殊に八軍からのほうではいわゆる軍のオフイサーがやるような関係がありまして、戰時中におきますところの日本軍がとりましたように、やつぱり何でもかでもこういう條件のものをこういう時までこの値段で出せという、それでは、これじやそんなものは受けかねるのだといつてしまえば、それまででありますけれども、実際問題としてはなかなかそうは行かない。そうして又日本人の一つの特性でもありましようか、長いものには巻かれろというような、木材界関係が金融で非常に困つておるものでありますから、泣く泣くそれを引受けて、結局自繩自縛になつてまあ納めていたというのが今までの大体の傾向でございます。ところが十二月の初めになりましてからは、従来の検査官のほかにスペシアル・インヴエステイゲーシヨンという一つ特別監察官のようなものができて、そうして同じ八重関係検査員産地或いは生産の工場で、合格、不合格をきめて、合格なつたものをそれぞれの貯蔵所、いわゆるデポに持つて参りますと、そのデポでは今度は更にいわゆるスペシアル・インヴエステイゲーシヨン関係で非常な嚴格な検査をして、同じ八軍の検査官によつて、よしと合格したものを遠慮なくどしどし撥ねられる、そういつた結果非常なトラブルが起きたのであります。そこでその業界の団体としては随分八軍にも折衝をしたのでありまするけれども、結局お前たちは規格通りのものを納めてないではないか、だから我々は契約値段は拂えないということで、具体的な数字もありますが、大体一割から二割の範囲で値引きをされて、その業界で扱つておりまする十五万石のものを、平均いたしますと一割六分ばかりの値引きをして、そうしてこれでいいのならば拂つてやるということを言われたために、業界としては非常な問題で、その緩和方を随分やつたようでありますけれども、結局金をくれないのでありますから何とも仕方がないというので、向うの申出にサインをして契約を変更して現に納めた、まだ併し契約は続いているのでありまして、現に横浜その他の相模、いわゆる八重デポに持つて来ているけれども、その規格検査がやかましいために宙ぶらりんになつているというのが約二十万石という大きいものがありまして、これは額で言いますというと、十億以上の金になるわけであります。私はこの問題を考えて見ます場合に、日本商社業者としては大いに反省をしなければならない点が多々ある。その中の大きい点は、いわゆる長いものに巻かれろ、それからうまく立ち廻れば自分のほうのいわゆる儲けが多いといつたような意味で、検査官にいわゆるあらゆる理解を深める方法をとつて、それで検査規格通りに行かないでも今まで合格していたという実情に馴れて、そうしてやつて来たところが、そうはいかん、余り規格通りでないというようなことが八軍によつて指摘されて、特別の検査官を特に置いたという経過にあるだろうと思うのであります。けれども今日の森林資源から言いましてそういつた宙ぶらりんのもの、特に八重規格というもので作つてあるものでありまするので、よそへ向けようという場合においては相当にその採材を仕直すとか、或いは寸法を一部犠牲にするといつたようなことでなければ一般には向けない、そういうことを考えるというと、ありもしない資源を非常にその点無駄に取扱つているという点で、誠に見逃すことができない。今度の行政協定にもはつきりしていますように、今後は八軍、軍で以て調達する部分が相当に多いことが想像されるのであります。そういつた場合に、こういうトラブルの起るような方式をやつていたのでは資源的に見ても非常に損害であります。そこで私はこの問題について林野庁においてはもつと更に力を入れて日本木材に合うような規格というものを八軍自身に認めさせるように作らせる、例えば水分を二〇%以下だというならば、日本木材ではなかなか特別の乾燥をしなければ、普通の針葉樹二〇%というものは持てない、又闊葉樹乾燥材等につきましては、水分一〇%以下とあるのでありますけれども、それはすでに国自身が非常な骨折りをして作つた時代であつても、いわゆる金に糸目を付けないで乾燥室を作り、それで人工乾燥をあらゆる工夫をした結果でも一〇%以下に、乾燥室の中では勿論なりますけれども、外へ出せば日本の濃度の関係からいたしまして、一五、六%というものに戻るのはもうこれは実情なのであります。それを針葉樹は二〇%、闊葉樹は一〇%以下の水分でなければならんという規格などをそのまま認めさせる点であるとか、或いは米国のように大きな天然林切つて、いわゆる米材のような太い木からとつわ、而も節のないいいものを標準としたような頭で規格を作つている、節の数などは非常にやかましい節の制限をしておるようであります。これなどは日本の今日の木材事情資源から言えば、当然もつと日本実情に合うようにさせなければならない。そうしてとるほうも、使うほうの八重のほうも、納めるところの業者のものも、そこに何ら錯誤なくして正常の取引のできるように仕向けることが、むしろ産地のほうの価格を安定させ、更に植林等についても支障のないようにして行く方法なのでありますけれども、それをやつていない、だから私は一つは根本問題としてこの問題を林野庁が主になつて外務省協力局方面と十分提携しながら八軍の了解を深めるということが根本だと思うのでありますが、これについての意見一つと、それから協力局のかたにお願いし、且つお答えを願いたいのは、今約二十万石というものがそういつた嚴正な規格からいつて当嵌らないということで非常にもめております。そうしてこれは八軍の作戰或いは使います方面における都合等関係もあるかも知れないが、或る部隊のごときは作つておる工場に直接やつて来て、これでいいのだから早く送れといつている、ところがデポではそのものを送つたのでは問題にしない、こういうようになつて非常に混乱が起きております。この混乱からして産地のほうも非常な打撃を受けておるのでありますので、この問題になつているのを規格通り行かないなら行かないで、或る程度値引きをするのも止むを得んでしよう、速かにとるものはとり、そうしてとらないものならとらないで、何とか活用のできるようなふうに束縛を放してやる。業者の連中は行くというと、何のかの軍で言われて結局何ら手も足も出ないというようなことだそうであります。私は今後いわゆる独立の国家としてやつて行く上から言つても、或いは米軍に対しますところの感情の上から言つても、つまらない面からそういうような混乱があるということは全く残念でありますから、資源的に見ても誠に惜しいことなのでありますので、この問題になつております部分を速かに御斡旋の上に加減してやり、値引きするものは妥当なそこに斡旋の力を加えて解決をしてやる、こういうことを是非お願いをしたいと思うのであります。これに対する御意見、御用意のほどを承わりたい。これは木材ばかりではありませんで、石炭についても、或いはいわゆる繊維品についてもあることは恐らく御承知のことと存じます。そこでその次の問題としては、今の規格の問題も去ることでありますが、と同時に、今後は何とか言葉の通じない八軍の面接調達に対し、或いはアメリカ契約をして日本工事をしようとする外国商社のいろいろな建設に対して、協力局が間に入つて、そういつたつまらないトラブルの起きないようにしてもらいたいということと、値段をやたら切つて切つて切りまくられておるわけであります。例えば今、公入札ではございません。その上一応あると思われる何十人かに見積りをとつてそうして一番安いのが仮に五十セントだといたしますると、そのところに例えばもつと負けろ負けろと言つて、四十八セントなら四十八セントにまで叩く。これ以上負けませんと言うと、Bの者を呼んで、おいAは四十八セントまで負けたぞ、きさまが欲しければ四十五セントにしろと言つて叩くわけであります。そこで私は業者のほうには、あなたがたはそういうことに応じて内国に金がない、そうして産地のほうを低額な入札価格というものにさせておいて、そうして金がないから無理をしてやる。そのために国としては非常に損をしておる。御承知のように、アメリカのこちらの予算は非常に余つておる。材料費が非常に余つておる。これはそういうような非常な、いわば━━と言いますか、非常に━━━な態度でやつておるからでありまして、これを是非そういつたことのないように協力局としては御斡旋を願いたい。それから特調と八軍から出る発注の行き方というものを統一してそうして協力局が中に入つてもらおうじやないかと、まあこの辺のところを是非一つお聞かせ願いたいと、こういうふうに思うわけであります。
  18. 小沢武夫

    説明員小沢武夫君) 只今質問のありました点につきましては、我々どももいろいろ従来耳にいたしますし、又二、三聞いた例もございます。それにつきまして、我々どもは何とかいたしたいという気持で司令部当局と折衝したこともございます。併しながら現在の特需関係の問題は、結局日本側の官庁が入らないで、軍と業者との直接取引という恰好になつておりますもので、表向き日本政府が、或いは日本政府機関がその間に入つて斡旋するという問題がなかなかできにくい状態なんでございます。従いまして現在までのところは、いろいろと司令部に対して申入れはしておりますが、その効が向上らないという現状でございます。併しながら今後こういう問題が引続き起りまして、徒らに日米間の感情を阻害し、或いは不必要な摩擦を起すのも如何かと存じまして、今後とも十分その点は注意して行くつもりでございます。幸い今回の行政協定の明文にもあります通り、今後これは和議発効後のあれで、米軍業者との間の直接取引によつて生じまする紛争につきましては、十八條七項の規定によりまして合同委員会がこれを斡旋する。合同委員会でもまとまらない場合には、最後に民事調停民事裁判という恰好に出ることになつておりまして、これに対する救済の手段はまあ盡されておるのじやないかと思います。且つ今後一般的にいろいろ日本経済の実用と背馳するようなやり方或いは先ほど申されましたような規格の問題、或いはその他日米商習慣の相違か来るいろいろな問題、或いは日本側にとつて稀少物資であるものの調達、こういう一般的な問題につきましても、これは行政協定の第二十六條第一項の規定で、すべての事項に関しては合同委員会でいろいろ話をするということになつておりまして、この点につきましても、できるだけこういう機関を使いまして、又我々外務省のほうといたしましても、できるだけこれに協力いたしまして、遺憾ないように処して行きたいと思つております。
  19. 横川信夫

    政府委員(横川信夫君) 主として規格の問題につきまして申上げます。具体的に申しまして、只今のJLCの規格は十二フイートに対する材面の群生する生節が一級品は十二になつております。なかなか一級品の十二というのは、特に日本の林材では生産をすることが困難な実情にあるのでありまして、これを二十ぐらいの程度まで引下げて頂きたいという意向で、関係業者のかたがたから話がございまして、それについて私ども共鳴しまして、協力をいたしておつたのでありますが、只今お話のように、私ども政府関係者がJLCの関係者と直接交渉するということはなかなか困難の状態にあるのであります。従来この問題につきまして関係業界のかたがたの陳情なども受けておつたのでありますが、協力することが困難の状態であつた只今伺いますと、今後は相当私どもも協力し得るような体制になるのでありますが、できるだけ今後は業界のかたがたと協力して、日本木材規格によりまして納入ができるような途を一日も早く開くように努力をして参りたいと思います。何分JLCの規格はフイート、インチ建、私ども国内の規格は尺、寸になつておりますので、その間若干のズレがあり、そのズレによつて値引きを強いられることが従来たびたびあつたのであります。できるだけさようなことのないように努力をして参りたいと考えております。
  20. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 今外務省それから農林省のほうから、この問題については、まあ今後大いに一つ無理のないようにする途も開かれるし、自分たちも努力しようというお話をお聞きしまして、是非そういうふうにお願いをしたいと思うのでありますが、とにかくああいつた自然の産物でありますし、マル公などはないのでありますからして、結局それで納められるものだと思つて産地に手配をしたところが、おつとそうはいかんということになつたので、金を拂わない。産地に金を拂わないということで、産地の者までに非常な迷惑をかけておるので、私ども業者のために言つておるのではない。業者の人たちには、君たちは妙なやり方をやつてつたから酬いられないことになるのではないかと盛んに言つておるのですが、何ら儲けに参與しなかつた産地の者までがそういう支拂停止によつて損害を受けておるということは、私どものほうでは見逃せない問題であると思うのでここに持出したわけです。行政協定、いわゆる講和が発効しなくても、日米間の問題については、かなりこの行政協定にある趣旨によつて動いておる面も相当にあるわけであります。そこで願くば私はこの山林の振興のためにも、先ず発効してからだと言わないで、協力局のほうでは、今現に起きつつあるこの二重の、どうにもならないこの問題を推進して頂くように、特段の御配慮をお願いしておきたいと、こう思います。よろしく……。
  21. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 外務省と林野庁と両方にお伺いしたいと思いますが、この報告書を見ると、今の三浦委員から、こういうことにならないようにどうかしてもらいたいというお話があり、外務省のほうでも、林野庁のほうでも、成るべくそういうことのないようにしたいというお話がありましたが、報告書を見ると、まるで何と言いますか、朝鮮に持つてつて建てた建物が材料が不適格であつたために破壊をして怪我人が出た、こう書いてある。そんなばかげたことを言つておるようでは困る。それから次の問題は、全部三等に格下げすれば通るだろうというようなことは常識を外れておる、言うこと自体が……。そういうことを聞いておつては困るので、それで多数の特需業者が非常にお困りのようですが、これは林野庁のほうでなくて外務省のほうで、例えば代金の支拂いが非常に四十日もかかる。それでなくても困つておる日本ですから、余り一つみじめな恰好にならないで話をしてもらわんと、この書き方から行けば私はこの交渉はうまく行かんと思う。だからその言分に成るほどという言分があれば、これは当然なんです。日本木材検査も、そんなに今までやつてつた検査が弱くて、建つた家が材質も惡くて破壊をして怪我人が出たということではそんなものは検査になりません。これを見ると、これにも劣るように書いてあるもんですから、実に我々は残念ですが、今のお話のような、できるだけ協力するという態度では解決がつかんと思う。ここで一か八か止むを得ませんから、三浦さんのおつしやるように……。講和も成立する矢先になつて余りにもひどい。殊に講和を結ぶ前以上にひどくなることを心配いたしております。これは全くそうだと思いますから、一つしつかりしたお構えで、主として外務省が、林野庁のほうでは非常に困難でしようから、やつてもらいませんと、私は決して今の心配はなくなるとは思いませんから、どうかお願いいたします。
  22. 小沢武夫

    説明員小沢武夫君) 只今の御要望につきまして、私のほうとしましては、従来とも、何といいますか、特に総司令部のほうとはいろいろの国民の要望なり、その他も機会あるごとに伝えて参つたわけでございまして、この問題につきましても、今後ともなお強く向うに連絡して遺憾ないように処理して行きたいと考えております。なお合同委員会につきましては、その組織その他はまだはつきりいたしませんが、いずれにいたしましても、国内の関係各庁のかたがたに関係して頂きまして、これの運営につきましては、万遺憾なきようにやつて、十分連合軍側とも連絡をとり、万全の方策を講じたいと考えております。
  23. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今度は林野庁の長官にお願いをしておきたいと思いますが、御承知のように、そうでなくても日本木材資源は非常に乏しいので、なかなか国外見返りの要望や、国内に現在以上の特需の要望に応じられるほどの余裕を持つておりません。併しながら今の特需業者が是非納入をさしてもらいたいといつて申しているのか、向うのほうでこれこれのものは納入しろ、こう言われているのか、お伺いしたいと思います。
  24. 横川信夫

    政府委員(横川信夫君) JLCのほうで公告をいたしまして、これは皆が競つて入札をして、公入札で入札をしておつたのでありまして、昨年十月以前はいわゆる特需業者というのは大変殷賑を極めたものでありまして、十月以後、先ほど三浦委員のお話のございましたように、急に規格が非常に厳重になりまして、かようなトラブルが起きて参つておるのであります。朝鮮戦線の状況から、昨年の六月を最高といたしまして、只今では特需の量も半分ほどに減少いたしております。従つて規格も本当に文字通りに嚴格に行われておりまする結果、かようなことが出て参つているのだという私ども見解を持つております。又三浦委員から御指摘のございましたように、業界のかたがた自身ももう少し反省をして頂かなければならんと考えております。直接には業界のかたがたにそういうお話もいたしておるのであります。両々相待つてこの問題は円満に解決するように努力すべきものだというふうに考えております。
  25. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 これは林野庁のほうから協議会ですか、そちらのほうへ、どうも日本の商人は、木材業者に限りませんが、儲けようということになるというと、どうも先走り過ぎてこういうことになつて困る。これは実際に木材が不足で非常に欲しいというときならまだもう少し楽に行くと思う。そこで私はよくわかりませんが、この状態を見るというと、余りに欲しくてならんという状態になつているものだから、こういう結果になつていると思いますがどうか一つ協議会のほうには余りに殺到したような形で入札に行つたりするようなことのないように、それでやつたことは泣き言を言わんようにしてもらわんと非常にいけませんからその点よろしく願いたいと思います。
  26. 横川信夫

    政府委員(横川信夫君) お話の点は十分業界のほうにも伝え、反省して頂くように処置いたします。
  27. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこの件はこの程度にいたしまして次の問題に移ります。   —————————————
  28. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 次の案件は農農地及び開拓地の接収或いは使用に関する件でありますが、この件について、かねて政府に要求しておきました資料が提出せられましたので、今日は取りあえずこの資料について関係各省の事務当局から説明を聞き、後日、できれば現地調査等も行い、その後重ねて委員会において審議をしたいと存じます。最初農地局長から御説明を求めます。
  29. 平川守

    政府委員平川守君) 過日御要求を受けました資料につきまして、早速特別調達庁、警察予備隊、大蔵省等、農林省へ参集いたしまして、各項目別につきまして、それぞれ分担を定めて編成をいたしましたわけであります。農林省は幹事役として編成をいたしたのでありますが、その各項目につきましては、それぞれ調達庁調とか、警察予備隊調とか、肩書をして出所を明らかにして置きました。それぞれの係りのかたから御説明を願つたほうがいいと思います。ただ補償の金額の問題につきまして、農林省から資料を出しておりますので、その点だけ申上げます。別冊Dというのに適正な補償を算出するための支沸の範囲並びに基準というのを差上げております。農林省といたしましては、従来の調達庁或いは予備隊はまだ実際には余り調べておりませんが、補償の金額が少いということで、我々といたしましては農業関係において水没地の農家に対する補償その他の実例も多いのでございますので、大体こういう程度項目について、こういう考え方の基準で補償をして頂ければよろしかろうという案を提出いたしてお話合いいたしておるわけであります。これにつきましては、大体予備隊も特別調達庁のほうも考え方としては御賛成でありまして、この線に沿つてきめて参るように今後運びたい、かように考えておるわけであります。簡單に申上げますると、その第一は土地の対価でございますが、これは現在の状況等できまつておりますので、その価格をとる。それから離作補償につきましては、大体現在の実際の例等を参酌いたしまして、大体農業所得の五カ年分ぐらいの基準で拂つてもらいたい。ただ新開墾地等におきましては、まだ生産力が一〇〇%のところまで達しておりませんので、六カ年分を見て頂きたい。立毛につきましては、その土地の粗收入相当額を考えて頂きたい。果樹等につきましては富裕税の評価額に……。立木につきましては時価によるのでありますが、幼齢林寺の場合には、その生長した場合の時価から逆算をいたしまして、現在の価格を評価するむずかしい算出の方式があるわけであります。それから建物工作物等につきましては、移転が可能な場合にはその移転の実際の費用を出す。移転不能の場合につきましては、大体同程度のものの再建築に要する経費を補償する。それからなお建物内の動産物等につきましては、運搬費とかその他の費用を出してもらう。それから新開墾地等におきましては、未墾土地を農地化するためにいろいろ費用を出しておるわけでありまするから、その費用を見てもらいたい。それから共同施設につきましては、農道、作業場その他の共同施設がありますが、これはそれぞれ一般の建物工作物に準じた補償をしてもらいたいということであります。それからその他各種の入会権或いは特別の産物或いは兼業等に対してもそれぞれ補償して頂きたい。その他移転旅費、経過的な負担の補償、墓地の補償等と、なおそのほかに通常生ずべき損失があれば補償する必要があるものは補償してもらいたい。なおそのほかに農業以外の営業に対する補償、これは一般の営業権の補償の上に準じてやつて頂きたいという考え方でありまして、これはこういう基準で算出をいたしますると、個々の農家々々において皆非常に違つて来るわけでございますが、今までの実際の例その他から勘案いたしまして、およその見当を申上げますと、一戸当り百数十万円わら二百数十万円のところに亘る場合が多いのでございます。一戸の普通自作農が耕作しているという場合を考えますと、百数十万円から二百数十万円くらいのところまでというように考えております。補償について農林省の要望しておりますところだけを御説明いたしました。他はそれぞれのかたから御説明いたします。  なおちよつとこの前御要求のありました災害に関しての資料の御要求がございましたので、本日これをお配りいたしておきます。なお御質問等がございますれば、別の機会に御説明申上げるようにいたしたいと思います。
  30. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 続いて特別調達庁の長岡管理部長から調達庁側の意見を御開陳願いたいと思います。
  31. 長岡伊八

    政府委員(長岡伊八君) お手許に提出いたしました資料のうち、特別調達庁関係のものは第一項、第二項、第五項、第六項でございます。一項につきましては、詳細別冊にして表に掲げてございますので、これによりまして御覧を願いたいと存ずる次第でございます。それから第二項につきましては、この麦押状況を示せという御要求でございますが、ここに詳細書き記してございます。実は特調関係使用料、補償料が非常に安いという御非難と、支拂が非常に遅れるという御非難はこれまでたびたび指摘されおるのでございます。実は終戰直後接収されます当初は果して地代が拂われるかどうか、家賃が拂われるかどうかということもわからんような状態にありました。而もその当時の国家財政が非常に逼迫しておつた関係もありまして、その当時買つてしまえばよかつたものも買えん状態にあつて、これを一々借上げの形をとつてつたのであります。さような関係から今日から見ますると、他の官庁でお取扱になつておりますものと歩調が揃わない点があるのであります。この点につきましては、この第五項、第六項でございますが、只今農地局長からもお話がございました通り、今後の補償、使用料というものにつきましては、十分予算の許します限り樹迷惑を成るべくかけないような措置をとりたいと考えておるのであります。従来の支拂の遅延いたしました理由は、この支拂が借賃、それから接收されましたときに離作料とか、立毛料とか、移転料といつたものを別に支拂つておりますが、月々支拂います借料につきましては比較的順調に行われております。但し昨年実際の面積と帳簿に載つております面積との差異を再調査しろという軍の命令がございまして、この期間に非常に支拂が遅れたのでございます。これは單に農地につきましてばかりでございません。家屋につきましても同様でございます。と申しますのは、その当時値上げを要求いたしましたその関係から、軍のほうで再調査をして正確化した上で抑えというようなきつい命令が参りましたために、その間支拂が停止されたのでございます。只今では少いといつて御非難は受けながらも、借料のほうは比較的順調にお拂いしておる次第であります。  それから補償料のほうにつきましては、ここに書いてございます通り、率直に申上げまして支拂済額よりも未支拂額のほうが多くなつておるのでありますが、これは問題になりました土地につきまして、当初農林は地方だけで取扱つておりましたものを、途中で特調に代りまして、正式のPDと申しまして、向うの要求が出て参りましたものについてのみ支拂いを許可したというようなことになりまして、そのPDなるものがなかなか軍のほうの都合でできませんでした。それから占領財産と民有地の誤認の問題もございまして、これを是正いたしますために手間取りました、それから売渡令書の交付が遅れておる、こういうような関係から支拂いがなかなかできない、それから拂下移転登記がまだできていなかつたというような関係から、或いは又いろいろ法規等の関係もありまして、この支拂いますことについてなかなか軍の承認が得られなかつたのであります。我々としても鋭意交渉いたしておる次第であります。近く相当なものが拂われる予定でございます。甚だ簡單でございますが、二項はそのくらいにして、更に御質問によりましてお答えをすることにいたします。  五項は只今ちよつと触れました通り関係庁と十分協議いたしまして検討いたしました上、公正妥当なものにいたしたいと考えておる次第であります。それから第六項でございますが、ここにも書いてございます通り、この終戰処理費の予算と申しますか、特庁の仕事と他の役所の仕事は違いまして、特調のほうでその年度の計画を立ててその予算を計上するという形にこれはなつていないのであります。総括的に計上され、いろいろ要求が出ましたときに借上料、補償金は軍の承認いたします料率によりまして支拂うという予算措置をいたしておるという状態でございます。その支拂支出額等につきましては、ここに別表に掲げておきましたので御覧願いたいと存ずる次第でございます。
  32. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 引続いて警察予備隊関係の御説明窪谷経理局長お願いします。
  33. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 警察予備隊関係の資料につきまして御説明申上げます。  第一項につきましては、別に不動産の調書を提出してございますので、それで御覧願いたいと思います。只今までのところ、ここに掲げましたものが現在予備隊が恒久的に使つておるものでございます。そのうち予備隊自体で購入をいたしましたものが今日までで二十九万四千坪ということに相成つております。そのうち宅地が二十四万坪でありまして、農地を買いましたものが四万七千坪ということに相成つております。それから更に公共団体所有の土地を使わして頂いておるものがございますが、それはその下のほうに書いておるものでございまして、三十二万五千坪、そのうち宅地が九万二千坪で、曾つて農地でありましたものが二十三万三千坪というふうなことに相成つております。それからそのほかに演習等で随時地元のかたの御承諾を求めて使つておるのがあるのでございますが、これが私どものところではまだ全国的に調査が行届いておりません。現在取急ぎ調査をいたしておる状況でございます。  それから第二項につきましては、金額の多額に上りますものは地方からの申請によりまして、中央でそれを審査をして地方に予算を配付して、それで支拂つておるという状況でございます。金額の多額に上りませんものは、各部隊にあらかじめ配付をいたしました資金の中から、その使用料を安排つておるという状況に相成つております。ただこの支拂の状況が必ずしも円滑に行つていないということを各方面から最近になりまして聞いておるのであります。これらの実情につきましても、目下調査を取急いでおります。できるだけ早い機会にその処理をいたしたいというふうな考えでおります。  三項につきましては、現在予備隊で使用しております土地が、先ほど申上げましたように買收をいたしまして使つておりますものは営舎があります。その敷地及びそれに附属いたします構内と申しますか、営舎構内というのが殆んど全部でございます。これらにつきましては、返還という問題は恐らく起らないと思うのでありますがそのほかに随時地元の御承諮を求めて使用いたしております土地で、御迷惑をかけておるものにつきましては、何かはかに適当な土地がございますれば、それとのやり繰りということは是非とも考えて行きたいというふうに考えております。  それから第四項の今後の使用の問題でございますが、警察予備隊だけのことを考えて一応私どもの希望的なことを申しますと、警察予備隊は相当機械化された部隊でございますので、相当大きな訓練場と申しますか、演習場と申しますか、そういうものが必要なわけでございます。現在七万五千の配置を四つの管区に分けておりますが、それぞれの管区に大きな訓練場として一カ所千二百万坪程度のものが一カ所ずつ欲しいということであります。ですから一管区内に二百五十万坪乃至三百万坪程度のものを三、四カ所欲しいということであります。それから更に営舎の附近に二十五万坪乃至三十万坪程度のものが必要であるということになつております。それから更に営舎の構内と申しますか、或いはそれに附属した土地といたしまして、これは極く初歩の基本的な教練をやる場所でありますが、むしろ構内というふうに考えて頂いたほうが適当だと思われるものでありますが、これが各営舎ごとに三万坪乃至六万坪程度のものが、訓練を理想的にやつて行きますためには必要なわけであります。ところがこの日本の狭い国土ではなかなかこれだけの訓練場を入手するということは非常に困難と申しますか、不可能に近いような問題とも考えられるのでありまして、差当り二十七年度予算におきましては、北海道地方に、これは大部分が原野であつて、別に農林経営について先ず大した支障はないんではなかろうかと思われる候補地を選びまして、それを一カ所購入をいたしたいという計画を予算に計上いたしております。それから更に一番小さい三万坪乃至六万坪と申しましたものにつきましても、これは是非とも最小限度のものでございますので、これの入手の予算を二十七年度予算に計上いたしております。それ以外の地方におきまする大きな訓練場の問題、更に中訓練場、それから営舎の附近の二十五万互至三十万坪というふうなものにつきましては、もう少し事情を調査した上で処理をいたしたいというふうに考えておりまして、予備隊費の予算の計上にはこれを差控えておるような状況でございます。これらの点につきましては、現在連合軍が使用いたしております訓練場の共同使用ということも考えられますし、又そのうち或いは日本側に返還になるようなものもあるかも知れません。まだそれらの状況がはつきりいたしませんので、そういう状況をはつきりさせました上で各方面のことを考え、適当な対策を立てたいというふうには考えておるのでありますが、目下のところ各種の状況が判明いたしませんために、二十七年度予算には極く最小限度のものだけを計上いたしたわけであります。従来この入手いたしましたものにつきましても、先ず国有地の利用ということを私どもとしては第一に考えておるわけであります。それから公共団体等で提供できるような土地、更に山林、原野、山林と申しましても原野に近いような山林のものを先ず物色と申しますか、調査をする。農地開拓地等につきましては、できるだけこれを避ける方針はとつておるのでありますが、中にはこういう土地も或いは御割愛を願わなければならんような事態も起つて来るのではなかろうかというふうに考えておる次第であります。併しながら方針といたしましては、できるだけこれを避けて行きたい方針は従来ともとつておるわけであります。将来といえどもこの方針は変えないという考えでございます。  それから次の第五項の使用料及び補償金額の基準と申しますか、という問題でございますが、これは私どもが過去におきまして入手をいたしました経験から申しまして必ずしも全国的に適用できる算定基準ができるであろうか、どうかということを若干危ぶんでおります。入手をいたします場合には、その地の農業委員会等の意見も十分に聞いて処置をいたして参つたのでありますが、各地の慣行と申しますか、慣例と申しますか、そういうものが若干の開きがあるようでございます。例えば自作農等につきましても、二年、三年というふうな地方もありまするし、やや長い地方もあるようでありまして、必ずしも全国的に一律の慣行でもないようであります。併しながらこれらに何か全国的な一つの目安になる基準があれば、私どもが仕事につきます上についても、又その土地を使用さして頂くかたがたにとつても両方に便利なものでございますので、農林省、大蔵省、又同様の事情にあります特別調達庁と相談をいたしまして、適正な算定の基準を至急に作りたいというふうに考えておる次第であります。それからこの使用料等の補償金の予算的な措置でございますが、二十六年度につきましては、この状況が予算編成当時におきましては必ずしもはつきりいたしておりませんでしたので、極く僅かの金だけしか計上はいたしてござざいませんけれども、適正な補償金なり、使用料なりは他の費目からの流用を、大蔵省の承認を求めまして処置をいたして行きたいというふうに考えております。二十七年度につきましては、これもまだ状況が必ずしも明確になつておりませんが、今日までに集められました資料等を基礎といたしましてその補償金等の予算を計上いたしておるのでありまして先ずこの程度の計上をいたして置きますれば、差当りの需要は賄えて行けるのではなかろうかというふうに考えております。若しそれによつて予算が不足いたします場合には、或いは又他の費目からの流用なり、更に大蔵省に対して予算的な措置をお願いした上で適正な処置をいたして参りたいというふうに考えております。  大体警察予備隊関係の資料の御説明は以上の通りでございます。
  34. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 農林省並びに特別調達庁、警察予備隊関係、それぞれ一応の御説明があつたわけでありますが、以上の政府説明について質疑がございましたら、御開陳を願います。
  35. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 先ほど農地局長の言われた補償の一戸あたり平均額というやつをもう度……。さつき数字をちよつと聞きそこなつたんですが。
  36. 平川守

    政府委員平川守君) これは先ほども申上げましたように、一つの基準案でありまして、これを具体的な農家に当嵌めました場合においては千差万別になるわけであります。ただ普通の中庸の自作農というようなものをつかまえまして、それも地所片々によつて非常に違うわけでありますが、非常に大ざつばな話を申上げましたので、百数十方円乃至二百数十万円というような非常に幅のある数字を申上げました。そこでこれは勿論具体的に非常に千差万別になるわけであります。
  37. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  38. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 速記を始めて下さい。
  39. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 私まあいろいろ煎じ詰めて行けば、こまかい問題はたくさんありますが、これは又進行してからに申上げるのがいいんじやないかと思う。そこで一つだけちよつと御注意申上げて置きたいというようなことに結論はなるんじやないかと思うのでございますが、これは戰前もそうだつたんですが、今後恐らく機械化部隊になりますと、戰前の演習地以上に、今お話になられたような実彈射撃や、そういうものが行われる、又陣地構築の演習地とか、そういうものが行われるんじやないかと思うのですが、戰前、実は私ども演習地を見て参つたときにどこの演習地も必ず荒れているんです。そのためにその直ぐ末流にあるところの農村の農地の被害というものは相当大きかつたんです。ところがこれが大河川でございますというと、荒廃地復旧とか、或いは河川改修とか、いろいろな問題で扱われるのですが、演習地というものは、大体平坦な山麓の突きつめが演習地であつて、その演習地の直ぐ下が耕地なんであります。その演習地の荒廃は、実は戰前も大分あつたんですが、御承知のような情努なもんだから、うつかり軍のほうへ言つて行くと叱り飛ばされて、ほうほうのていで農民は従つて来たという実情が多かつたんです。それで今回もどうせ演習地となれば、そういつた同じような地形のところが撰択されるにきまつておるんでございます。これは丁度農地局長もおられますし、各関係の皆さんがおられる御一緒のところだから、特に私からお願い申上げて置きたいことは、必ず演習地にはそういつた対策を御考慮になつて頂きたいということなんです。これはとかく軍だとか、警察だとかいうものは、日本人は非常に何と言いますか、事大的な観念がまだ抜け切らないで、戰前にそういう目にあつておりますから、そういうものに対しては農民個人はなかなかどこへも言つて行けないのが実情なのです。そうしてこの被害が割合大きいのでございます。はつきり申上げますと……。これは私そういつた実例を諸方で実は戰前見て参つたのです。この被害は私今後ますますひどくなるのじやないかということを感じますもので、この際丁度各関係のかたがたがお揃いでございますから、是非そういう御考慮をお願やしたい。できれば私、軍にもそういうことの知識に明るいかたを一人くらい置いて頂いてそうして対策を立てておいて頂きたいというような気がいたすわけでございます。若しもすでにお考えがあるならば、どのような御構想を持つておいでになるか、承わればなお結構なのでございます。一言お伺いいたします。
  40. 長岡伊八

    政府委員(長岡伊八君) これまでの軍関係のそういつた損害につきましては、実は接收いたしております地区は、原則として皆出て行けというのが原則でございます。併し実際問題といたしましては、現地部隊の承認によりまして耕作を続けて行くというのが大分ございます。今宮本さんのお話は接收地外の問題に及んで来ると思うのでございます。この点につきましては、今後お話の通りに非常に考慮しなければならん問題があるように……同感でございますが、従来はこの点につきましては、進駐軍の行為に基きまして発生いたしました損害については、特調が一切タツチいたしておりません。タツチできなかつだのでございます。これに対しましては、御承知の厚生省の関係で見舞金が出ておるのでございます。横田基地に墜ちました飛行機の問題でやかましくなりましたあの見舞金があれを契機といたしまして、多少増額されまして、現在のところではあのほかには救済の途が実はございません。今後の問題といたしましては、この見舞金の問題と併せて考慮されるべきものではないかと、かように考えております。
  41. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 この開拓地接收問題について、これは衆議院の当該委員会等でもすでに活溌に論議されたところでありますが、私は参議院の農林委員会ではまだ……この問題について詳細な資料要求をしておつたのでございますが、漸く本日手に入れたので詳しいところがまだわかりませんが、総括的な問題について二、三お尋ねして行きたいと思います。それは主として開拓地ばかりがなぜ接收されるかということ、これを第一に伺いたいと思います。それは先ず開拓地を目指して接収をされておる今までの事実から、どういうわけで開拓地だけを主としてお選びになつているのか、その点を一つお聞きしたいと思います。
  42. 長岡伊八

    政府委員(長岡伊八君) 御承知通りに軍で開拓地接收されたものがございますが、これは特に開拓地を目がけて接收されたものだとは思われません。ただ旧軍用地でありましたものが、もう不要であろうというので開拓地使用されたのでございます。ところが軍のほうでは、もと軍が使つてつたのだからこれは占領財産である、従つてこれを接収するといつたような問題が起つたの承知いたしております。例えて申しますと、今問題になつております鳥取県の美穗に旧軍が買收いたしました土地があつたのであります。これを大蔵省から農林省に引継がれて、農林省でこれを開拓地として分割されまして、入植地とせられたのであります。軍のほうではこれは国有地で、元の占領地であるからこれは接收すると、こういう通知が参つたのであります。この問題につきましては、幸いに大部分接收を恐らく免かれ得るという見込みが付きましたので、一同安心いたしておるのでありまするが、特調といたしましては、どこを接收する、どこを目当にするということなしに、軍の指令に基いておるのでございますが、軍も開拓地なるが故にということではなくて、只今申上げましたような関係から開拓地が選ばれた場合が多いのではないかと想像いたします。
  43. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 結果は、殆んど大部分接收されておるので、アメリカの目標は開拓地を無視して旧軍用地であつたということであつても、結果は開拓地であつた場合が大部分なんです。これは表の通りです。そうすると、つまり開拓者というものはその大部分が戰災者であるとか、或いは旧軍人であるとか、或いは満州からの引揚開拓者であるとかこういつた人たちです。いわば裸一貫の人たちです。そうすると、結果は現在においては弱い著いじめになつておる。こういうことになつてつて、而もこの表で拜見いたしましても、借地料にしても、特にその他の補償料のごときは問題にならない少額しか出ておらないということなんだから、一番弱い者に目を付けて、そうして而も何らの同情仮借なしに土地は取上げて、演習は勝手にする、ひどいものは家屋敷を置いてさつさと出て行けという措置をやらして置いて、そうして而も補償に至つては、いや、それはアメリカがやつたので、日本は知らないのだ、こういつて見ても、それは余りに酷だと思います。ですから私は予筆のいろいろな観点もあると思うのですが、只今の御説明によると、方針としては今後新たに開拓地接收はしない、努めて避ける、こういう御方針のようですが、今度は例の行政協定による予備作業班もいよいよ実際の実務に着手するようですが、今日までの段階における国の大きな建前からの方針は、新たに開拓地に向つて接收しない、こういうことをここではつきり了承して間違いありませんか。
  44. 長岡伊八

    政府委員(長岡伊八君) この問題につきましては、今後作業班で相談いたしまして、合同委員会にかけてきまる問題だと思います。これまでの経過を見ますと、軍のほうにおきましても、これは前回の委員会でもすでに申上げたかと思いまするが、相当こういつた接収地につきまして、盡力をいたしまして、問題の起らないように、場合によりましたら接收地域を、先ほど申上げまして美穗の問題でも縮めて行く、ほかの地区につきましても起るであろうという危険を考えた上で接收するといつたような態度に出ておりまするので、條約発効後におきましては、一層こういう点が考慮せられるものであろうと、こう考えております。この希望は我々といたしましては、合同委員会にこれを十分伝えまして、ここで調整して行くようにいたしたい、かように考えております。
  45. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それから次はその補償の問題ですが、借地料に関して、只今管理部長の御説明では、借地料は極めて安いが比較的順調に安排つておる、まあこういうお話であります。成るほど資料を拜見して見ると、これは常識外れに安いことがはつきりわかる。併しこの表で拜見いたしましても、民有地の宅地の場合には、これは概算すると一反歩について千八百円、田畑に至つては実に四百十二円という値段である。到底これでは問題にならないので、これは管理部長も安いということを自認しておいでになるのですから、これは一体値上げをする用意があるか、上るとすれば幾らになるのであるか、それを一つお聞かせ願いたい。
  46. 長岡伊八

    政府委員(長岡伊八君) 軍関係の借地料が安いこの地代が安いと申されますのですが、これは実は今日までの土地は    〔委員長退席、理事岡村文四郎委員長席に着く〕  全部接收と申上げまするのは、買上げておるのではございません。これは或る時期に返されるであろう、返還ということを前提にいたしております。ただこれが今日まで、終戰後思いがけなくも今日まで延びたのでありますが、この補償は従い従いまして年々借りられます借賃と、それから接收されましたときに離作料とか、立毛料とかいうものを抑つております。今後土地によりましては相当長く使われるであろう、又土地の最も変形しており、而もこれを返しましても元の土地にするためには非常な金がかかる。こういうものは現在でも買い上げる方針をとりまして、改めてこれには地代を拂い、地価を抑うことにいたしております。借料につきましては、固定資産価額を基準にいたしまして、これはきまつておりますので、この表に基きまして現在は補償いたしておる次第であります。今後の問題につきましては、先ほど農地局長からも御説明がありました通りに、案を十分練りまして公正妥当のものにでつち上げたい、かように考えております。
  47. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それからその次は、そうすると、さつき農地局長説明されたこの別冊(D)というこの算定基準ですが、これは單に農林省案ということでなしになさつたのですか。その点をお伺いしたい。
  48. 平川守

    政府委員平川守君) これは、この案文にもありまするように、まだ政府として確定したわけではございません。ただ農林省といたしましては、いろいろの慣例も勘案いたしまして、大体こういうような基準であれば妥当であるとかいうことで要望をいたしまして、而もこれについては大体の考え方としては、委員会においても特別調達庁においても妥当ではないかということで、今後一致してこういう方向に努力をしようということで考えております。
  49. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それでは次に、これは警察予備隊関係になるかと思うのですが、さつきの御説明で予算がどう足りない、足りない場合には予算を流用するというお話でありましたが、一体予算を流用するというなら、どういうところから財源を求めるのか、これについての一つ数字的な見通しを承わりたい。
  50. 平川守

    政府委員平川守君) 二十六年度は、先ほど申上げましたように、この関係の計上の予算が非常に少く、あと足りない部分につきましては、只今のところでは大体何と申しますか、役務費と申しますか、借料、損料の系統、それから輸送費、これは若干アメリカから貸與を受けております武器の輸送費を日本側で負担しなければなるまいということで見ておつたものが若干ございます。そういうものから流用することによつて、二十六年度は措置ができるようになるかと思います。それから二十七年度につきましては先ずこの程度であれば大体やつて行けるであろうというふうに考えております。若し万一足りない場合には、他の費目で節約のできるものがありますれば、先ずその節約を考える。それからどうしても節約ができないという場合には、大蔵省に予備費の支出を要求して、それによつて措置をする、或いは又国会等が開かれておりますれば、補正予算を提出するということになろうかと思います。
  51. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今の予算の流用と関係して来ると思うのですが、補償金のうちで未拂済額というのが、さつきの資料によりますと、五十一件で一億千万余あることになつておりますが、これは一体いつ頃までに拂える見込ですか。
  52. 長岡伊八

    政府委員(長岡伊八君) このうち十四件ばかり、六千七百万円余でございますが、これはすでに軍に要求いたしております。クレームとして要求いたしておりますので、これは最近に承認を得られるのではないかと思います。それからその他の問題につきましては、いろいろ先ほど申上げました不備な点がありますので、軍の承認を得られず今日まで懸案になつて参りましたのでありますが、これもそれぞれ手続をいたしまして、二十七年度になりましたならば支拂ができるだろうと存じます。    〔理事岡村文四郎君退席、委員長着席〕
  53. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 只今の未拂済額については、成るべく速かに拂つてくれるように一つ重ねて促進方をお願いいたしておきたい。それから最後にお尋ねしたいことは、やはりこの補償の問題についてでありますが、先ほど平川局長が、離作農家一戸当りの補償としては百数十万円から二百数十万円という極めて大ざつばな目標をお示しになりましたが、これはどういうところから彈き出されておるのか、その胸算用をお聞かせ願いたいと思います。
  54. 平川守

    政府委員平川守君) 大体現在までに我々のほうの関係で、土地改良のためのダムの水沒地の農家に対する補償の実例がございます。それも大体こういうような基準でやつておるわけでありますが、その実例がその辺のようになつておる。それよりやや内輪でありますけれども、これはまあ多少インフレの傾きもありますので、古い実例がどういうふうになつておるか、その点も加味して考えますと、およそそういう点になるというのであります。
  55. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 只今大体の算定の基準については、農林省案を中心にして各関係機関で大体御了解を得られつつ進めておいでのようですから、私は成るべく速かな機会に、やはりこういつた算定の基礎を確立して頂くことを強く要望いたすのでありますが、そういうものが決定した場合に、これは今までにすでに接收されておる農地で借地料その他の形で支拂済の農家に遡及できるかどうか。若し遡及できるとすれば、借地料或いはその他どういうものにこれが遡及適用できるか、その点を一つ
  56. 長岡伊八

    政府委員長(長岡伊八君) 先ほど申上げました通りに、現地接收されておりますものを買上げるということになりますときには、相当の地代を今日でも拂うことにいたしておりますが、そういつたものが結局今度の、仮に大蔵省とも相談いたしまして、適用できるかと思うのであります。今日まで借賃として拂いました、立退料として拂いました、離作料として拂つたというようなものを更に又遡りまして、計算し直して拂うということは、これは恐らく不可能であろうと考えております。
  57. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 先ほど懇談の時間にお話がありましたが、開拓地接收をされて、或いは軍或いは警察予備隊等が使われる場合には、例えば実包の射撃をされるという場合には、これは時期の如何を問わない、例えば種蒔きの最中に三日間使用禁止、こうやられればその前後合せて五日乃至一週間も種蒔きの時期が遅れれば、そのことによつてつて来る有形上の損害は、これは秋の收穫の時期に行つてかなり大きな損害を與えて来ることは、これはもう皆さん御承知通りであります。種を蒔くには適期というものがあつて、その時期を外せば品質も惡くなるし、收量も少くなるということは、これはもう農業の常なんですから、そういう有形上の損害があるわけですが、これはなかなか計算には入らない。こういつたような有形上の損害が一つ。もう一つは、さつき山林の例を出されましたが、これはひとり山林に限らず、自分の開拓地が半永久的に、又は期限の定めなしに演習地その他に使われるということでは、一体ここを墳基の地として鋤、鍬をとつてつた開拓者の人たちが、果してここに永住できるのか、どうか。この年間を通じて、或いはもつと誇張すれば夢寐の間も安心がならないわけですから、従つて家業に打込めないという、こういう精神上の損害というものは、これは莫大だと思う。お互いが毎日こうやつて、我々は歳費、皆さんは国から給料というものを保証されてそうしてその仕事に全力を盡しておるのとは違つて、朝出ても、名方帰つても、とにかく常に不安が付きまとつているということは、これは家業に精が出せないということは当然ですから、従つてそのことによつてつて来る家庭上の、或いは精神上の悩みなり、或いは農業経営の上に及ぼして来る無形の損害というものは、これはもう測り知るべからざるものがあると思う。従つてこの問題をもつと突詰めて来ると、私も曾つて被害者の一人であつたのですから、はつきり申上げるのですが、これじやとてもやりきれない、ここを捨てて一体業を変えようかと、こういう岐路に迷つている開拓者も私は少くないと思う、本当にここを一生の住家として考えたのだが、これではとてもたまらない、ここを捨てて何とか職を更に転ずる、土地を求められれば換地を求めて更に移住をしたい。こういうことで物心両面で非常に迷つている開拓者というのが少くない実情だと思うのです。そういう人に対して、なお且つ国では補償その他の問題に関してはとるに足りない額しかこれは與えておらないし、現在もなおそこがまだこれを安心せしめるに足るだけの補償料というか、裏付けがはつきりしないということですから、これは開拓地全体に及ぼす影響は実にこれは莫大だと思うのです。自分の入つている土地が現在までは被害地ではないけれども、これからそういう指定をされれば同様の運命になるということを考えて日本全体の開拓者に及ぼしておるこの問題の影響力というものは、これは私は見逃し得ないと思うのでどうかそこのところを十分一つお考え頂いて、そうしてせめて今まで接收をされておる開拓地については、もうここは買上げるのだ、ここは数年後には返すのだ、そこのところを先ず成るべく早く、合同委員会のこれは議を経ることでしようが、早くこいつを先ずきめて頂きたいと思います。返すのか、買上げるのか、これを成るべく早くきめて頂くということが先決だと思うのです。その際に、できるだけ返すという方針の下にそういう作業を進めて頂きたいということ。それから第二には、これを買上げるなり、或いは返すなりということに、それぞれのこの一覧表に載つている土地について作業が取進められて行くと思いますが、買うか、返すか、いずれかに決定した場合には、それに間に合うように速かに補償算定の基準を一つきめて頂いて、そうして昭和二十七年度の予算等では、差当りはこれは間に合うと思うというお話ですから、一つすぐ予算をこれに裏付けして頂くと同時に、若し足りなくなる危險があれば、臨時国会を待つて、予算の補正ではなかなか間に合いますまいから、その場合にはどうするということまで関係機関でお考え頂いて、そしての算定基準がきまつたら支拂を後日に遅延しないように、流用の財源等についても今から一つお考え置きを願いたい。これをさつき申しましたような、全体の大きな生存権を脅やかしておる、この大きな精神的の動揺と不安を成るべく一掃して頂くように、せめて国の立場においてこの方針だけでも闡明して頂くことを私は要望して止まない次第であります。どうかこれは一つ参議院の農林委員会としても、国会の問題としても、資料で拝見いたしますと、土地の面積にしてもかれこれ一方町歩に及んでおりますし、戸数にしても八千戸以上にこれは関係する大きな問題でありますだけに、この点については農林省初め、特別調達庁や或いは警察予備隊等の関係機関でそういう方針をきめて頂いたら、成るべく速かにそういう大きな方針を責任のある立場で、これは開拓民或いは全国民に親しめるような措置をとつて頂けるか、どうか、これを一つ最後にお尋ねして私の質問を終りたいと思います。
  58. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 警察予備隊関係についてお答え申上げます。警察予備隊関係の演習場などの問題につきましては、訓練の度合が昨年の秋頃から急に進ん募りまして、いろいろ開拓地問題などに関連した非常に面白くない問題を引起しておるのでありまして、いろいろ農林省方面或いは今まで進駐軍の関係の仕事をやつておられた特調方面ともいろいろ御相談しておりますので、その基準がきまりますれば、遷延しております事態もばたばたと片付く、従いましてその先例ができれば、二十七年度早々くらいからは、そう引延ばしして迷惑をかけずに、只今お話のありましたような線に沿つて適切な手を早急に打つて参りたい、このことは十分に念頭に置きまして、今後の作業を進めて行きたいと思います。
  59. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 農地局長にお尋ねをいたしますが、先ほど局長が、買收した土地に対する大ざつぱな、これは千差万別なかなかきちつときまらないと思いますが、百何十万或いは二百何十万というような話をされたのでありますが、飯島さんの御質問のお答えに、どういうものを基準にして考えたかということでありましたが、大体旧来やつたいろいろなダムとか、或いはその他の工事に買收したものを基準にして見たというお話であります。これは感覚を全然変えてお考えになつておかんといかんと思いますが、いろいろお話を聞いて見ますると、日本の旧軍隊当時の演習その他のときと違つて大分坪数が大きくなつておることであります。そこで今買收しようとしておる先ず目標は旧軍用地が多いと思います。そこで旧軍用地の大部分は、今度入植にお入りになつて粒々辛苦して、殆んど全部開拓できましたが、六分か、九分になつたものもありましようが、それを買收する時分に、昔買牧したその感覚で価格をおきめになることは非常な間違いだと思うのですが、局長はどう考えておりますか。
  60. 平川守

    政府委員平川守君) 昔の買收した価格というのがどういう意味か明確でありませんが、要するに私どもの補償の考え方といたしましては、粒々辛苦して漸く営農安定の緒についた農家でありますから、これを接収するにつきましては、ただ單にその財産が一般の市価で幾らであるというようなことだけでなしに、引続いて他の開拓地に移るなり、何なりして安定した生活を維持できると、その基礎を與え得るということを目標にいたしまして、この補償の額は算定すべきものというふうに考えておるわけでありまして、ただ單に畑の公定価格が幾らであるとか、或いはその他の建物の償却を計算して引いて見ると幾らになると、そういう意味の補償だけではいけないと思う。そういう意味において、離作料その他家屋の移転料とか、或いは新らしくそれに似たものを作る場合の価格を補償する。いろいろ考えておりますることは、要するに象抽的に申せば、同じような農業経営をもう一度再現することができる。そういう生活を続けて行き得る、その基盤を再び作り得るというところを目標にいたしましてやつておるのでありますから、考えておるのでありますから、まあ昔のという意味は、恐らく国の威力で相当叩いたというようなお話かと思いますが、そういう考えは毛頭持つておらんわけであります。
  61. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 それでは方向を変えてお聞きをしておきまするが、確かに移転をしなければならん農家ができて来ると思うのです。それでそれをどこの新開地へやろうという計画は立てておると思うのです。それを先ずお聞きしたいと思う。
  62. 平川守

    政府委員平川守君) これは一応補償の問題とは切り離して考えてはおりますけれども農林省におきましても、新らしい農地の助成開拓でありますとか、或いは干拓開拓でありますとかいうことを一面において行なつておるわけであります。そういう新らしい適地を、そういうことのために離作しなければならんような人々に優先的に與えるというようなことについては十分斡旋いたしたいと、かように考えております。
  63. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今まで敗戰前の日本農業の姿と、敗戰後の今日とば御承知のように実に打つてつた線になつております。どこそこへ行きたいと思つて値段がよいと思つて買おうと思つても家がなかなかないというのが現在の状態でありますから、その買收をする価格というものは、今お話のあるようなそんな程度の考え方では当然私は不可能だと思う。そこで買收しようという土地は恐らく五反百姓はありません。それが五反百姓しかないような所には恐らく演習地も、又その買收するようなものを建てる場所もないと思う。そこでそういう今頃の百何十万や二百何十万を基準にして考えておつたのでは、買收されて行く人の迷惑は当然なんです。そこで私はお尋ねいたしましたのは、準備があるかということは、例えば北海道の開発を利用して、そうして買收された農家のかたが安住の地として行き得る所ができます。これは買收された人をやる所だと、こういうことで優先的でなくて準備して、そして土地改良も施す。例えばトラツクを入れて起して、そして家まで建つて、そしてあてがうということになると、そう面倒なくできると思うのですが、今までのような、まるで無計画、無軌道で、金は甚だ低調で百何十万、二百何十万では甚だ迷惑はきまつておる。それでどうぞそうでなく、今言つたようにちやんと一定の場所がありましたら、北海道の今やろうとしております岩見沢附近は、これは誰でも行きたい。最も市に近くて、北海道の中央で、石狩原野の真中で、ああいう所で、何千町歩もないのでありますから、そういう場所をとつておいて、そういう所を行き場所にきめてやれば、そうすれば余り不服はなくて行けると思うのです。そういう準備がなくて、漫然とこういうふうで没收するということであれば、百何十万、二百何十万でどこか行けるであろうと、安心して行くというのには、今お話のあつたような金では行けません。そこで国民全体がどうなると言うじやないのでございますから、迷惑をこうむる人のほうを負担するので、国家負担があるのに何も苦痛はないと思うのです。そこで憲法第九條ができた分に、あれで日本の国民は一安心をし持て、戰争は放棄するということで、一切考えたことはない。ところが甘い考えを持つてつたものですから、こういうことになつて、又繰返すことになると思う。その代りに国民全体が迷惑をこうむる。迷惑をこうむる人を殆んど出さないようにすることが初めですから、非常に国民に意思の動搖をさせない手段でありますから、そんな甘い計算じや駄目なんです。これは予備隊のほうもみんなそう考えてもらわなければならんと思うのですが、万更組んで見ても、そんなに何百億の金も要らんと思うのです。そういうつもりで潔よく、止むを得ない、演習の必要なら立つて行くと、その代りここへ行くんだということを急速にする必要があると思うのだがそういう意思があるかないか、一つ……。
  64. 平川守

    政府委員平川守君) 岡村さんのお説誠にその通り御同感でありまして、これはたまたま国のために必要な仕事によつて或るかたが犠牲をこうむるわけであります。これに対しては精神的の損害までは補償できないにいたしましても、少くとも経済的な不利をこうむることはないようにするのが当然だというふうに私どもも思うわけであります。ただお話の計画的にという点が、まあ演習地なり、或いは予備隊の要求そのものがまだ必ずしも、そういう年次計画を立ててどうこうということになつておりませんわけで、又一方農地の造成のほうは必ずしもそう右から左にはできないという状態にありまするために、現在具体的に何戸を移して何戸をどこへ入れるというところまで行つておりませんけれども、併し農林省のほうで年々開拓なり、或いは干拓なりの事業をやつておりまして、年々或る程度その面積は完成をいたすわけでありますから、それとこれとを睨み合せましてできる限りこれに結び付ける、その結び付け方といたしましては、できる限り優先的にこれらの人々を今のような造成地に入れて行くというところで、今後具体的なことに……、米軍のほうは今後の折衝は具体的に起るわけでありますし、又予備隊のほうも同様であると思いまするので、具体的な地域々々の折衝と同時に、そこの影響を受ける戸数も出て参ります。それによつて農林省の造成地と睨み合せて、具体的な結び付きを考えて行きたい、こういうように考えております。
  65. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 農地局長のお話も一応わかりますから、今度は警察予備隊のほうにお話をいたしますがどうもこんな無軌道な計画でなくて、ちやんと計画を立てて、そうしてやるのが本当だと思うのですが、実は去年のいつ頃でしたか、北海道の沿岸の予備隊の演習地或いは兵舎の回收の問題について法務総裁を私は呼んで聞いたところが、人を集めればおるところがないでもかまわないじやないか、人さえ集めれば……、自分はおこつてみたのですが、まるで無計画です。今日びになつたら、もう少しはつきりした計画を立ててそれでなければあなたがたその役目はやれません。そういうことでなければ迷惑するのはみんな国民ばかりです。ですから警察予備隊にしろ、何にしろ、要るものは要るとわかつておる、計画を立ててもらう、立ててもらわんとできません。若しそうでなければ、国会のほうでそんな無軌道なことは駄目だ。それ以上の計画は受けない、こうお願いしたいと思うのです。そういうことを今注文してみると、農地局長は大変お話も尤もだが、どうも予備隊のほうからもしつかりしたことがわかりませんからできませんというお話なんです。そんなことでは駄目だ。そんなことで人を集めてごちやごちややるから国民は迷惑をこうむる。そうでなくて、ちやんとゆとりをとつてやるように準備すればスムーズに行くと思います。北海道開拓地におります人は非常に山奥なのです。ところが四十年前から自分の心魂籠めた新開地でありますから、何ぼ山奥でもやはり開いたところに非常に何かしら持つていて、今のところ出て行くことは非常に無理が行くし、困難であるし、計画的にちやんとやらないで、突発的にできるものじやないのですから、もう様子も報告を聞いてわかつておりましようから、それを示してやるようでなければいかんと思う。それを国民の迷惑もかまわないで、上から言うのを待つておるんでは駄目です。そんなことなら誰でもできる、部長も局長も要らないわけです。ですから、そうでなければ、しつかりしたものがなければやめてもらう。国民の多数の迷惑もかまわないでやるということは国賊なんです。しつかりした計画がないといかんと思うから、その点お願いしておるわけです。
  66. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 御承知だと思いますが、当初は予備隊といたしまして七万五千の隊員を急遽集めるということが唯一の目的であつたわけであります。従いまして沿岸の例もそうでございますが、何か利用できる建物、主として国有財産或いは公有財産、勿論会社の工場ども買収したものもありますが、そういうできるだけ御迷惑のかからない建物を至急に選んで修理して、そのほうに入るということが第一段階であつたのであります。ところがその後だんだん訓練計画が進んで参りまして、貸與の武器なんかもだんだんはつきりして参りましたし、それによつて訓練するという場合に、これは演習場の問題がだんだんと具体的な問題になつてつたのであります。いろいろ地方で、どの附近に演習場を作ろうかということで調査中でありまするので、その結果いろいろと御迷惑を附近のかたにかけておると思いまするが、できるだけこれは速かに、どこの土地だけを……、決してそれ以外はもう手を付けないのだという方針を速かに決定したいものだと考えております。一面におきましては、狭い国土でありますので、現在の進駐軍が使用しております演習場も予備隊として共用さしてもらいたいという線を申入れをいたしておりますので、この線も固まれば、他のほうの農地は手を付けなくて済むということもあろうかと思いますし、両々相待つて至急に計画を確立するように目下努力中でございますので、もう暫らくお待ちを願いたい。
  67. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今度は平川局長にお伺いをしておきたいと思うのですが、結局そこで今から開発局長と御相談なさつて、そうしてこういうことになると思いますから、これを急速に土地改良をやつて、そうして入植がいつでもできるようにやつてくれ、こういう御相談をして頂きたいと思う。そこで予備隊のほうではまだきまつておらんようだが、きつとそうなるのは間違いないと思うのです。今からそうならんようにあなたのほうの頭の置きよう、使い方によつて、決して国民に迷惑するようになりません。その点は十分遺憾のない措置を講じてもらいませんと、国内がうまく治まるのも治まらんようにするのはそこなんです。だから非常にいろいろな反対の声がございますが、これは国を守るためには止むを得んと我々は考えておる。併しながら、準備をする必要があるけれども、準備をしないで、そういう声をもたらすことは甚だ遺憾と思いますから、我々国会に籍を置いておる者は、今後は遺憾のないように、きつとそういう計画ができますから、これから雪がとけたら早々にやりますから、開発局長に相談して、予備隊或いはその他の買收に対する意見をする、農家を入れる所を一つ準備してくれ、こういうことをやつてもらいたいということを希望いたします。
  68. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 私、細かいことは後日と申しましたのですが、今岡村先生の御質問がありましたので、関連してちよつとお尋ねしたいのですが、私は実は今度の開拓地の問題については、北海道から開拓庁の人たちあたりがよく私どものところへ来るのです。いろいろ様子を聞いて見ますと、予備隊のほうでも非常にそういうところはよく関心を拂われて、そうしてできるだけ農地を避けるというような御考慮を拂つておられることはよくわかります。そういう点について私ども非常によくわかつて、そうして御苦労の点もよく呑み込めるのですが、ただ全国的にこの演習地の予定というような意味で御調査なさつておられる所が、大体従来戰前の演習地であつた所が殆んど基準になつておるような気がされるのでございますが、何か私構想がちよつと昔のものに余りとらわれ過ぎておられはせんかなという気がするのであります。と申しますことは、私これはいろいろ專門的な見方から、それが條件的にそうなつて来るのじやないかと私思うのでございますが、ここで一つお尋ねしておきたいことは、この大体農耕地として私ども利用し得る範囲内というものは、この立地條件できまつておるのです。まあ東北ならば大体標高七百メートル以下、七百メートル以上はもう殆んど農耕地としては利用価値がない。又北海道に行けばこれ又違いますけれども、南のほうに下つて行けば又違う。そういうようなことを考えて参りますと、又従来の構想を変えれば、立派な演習地がこの狭い国土内でもまだ発見できるのじやないか、例えば日本アルプスの穂高あたりに参りますと、あの穗高の裾野あたりは農耕地には絶対にならん所です。ああいう所にまだ二千町歩や三千町歩のところがあるのです。はつきり申せば……。ああいう所にも大きな演習地なら或る程度獲得できるのじやないか、けれども演習地を探しておられるかたがたの構想がああいうところにちつとも構想が行つていないように思う。今度承われば、合同委員会というものができるそうですが、私、合同委員会というものが、そういつた技術的な面から何から皆総合されて御選考になられる委員会だと、こういうふうに承わつておりますが、そういうふうに承わつてよろしうございますか、どうですか。それからその合同委員会には、そういつた面の專門のかたがたも入られるか、どうかということを承わりたい、これが一点でございます。それからもう一点は、岡村さんがお話になられたことに関係が深いのでございますが、実はお話の通り世間で再軍備だと、こう言つておる。警察予備隊や或いはこういつたところの演習地の必要なのはわかります。そうして必要なものは、これはできればえらい不自由な形で以て整備されるべきじやないのじやないか、むしろ必要なものは国として考えて、最もよい演習地を、而も合理的に、先ほどお話になられたような消極的な考え方ばかりでなく、やはり考えられる必要があるのじやないか。それがお話のように、十分な準備もなくて今日スタートされたなら、これは止むを得ないと思うのですが、私は日本農業という立場から考えて、今後御計画のような演習地が必要になつて来れば、必然的に日本農業の構想というものが大分私変つて来るのじやないかと思うのです。そういつた大きな面からもやはり御考慮を抑つて頂かなければならない地のじやないか。ところが先ほど農地局長が、予算をとつて、そうして適当な土改良或いは開拓などをやつて、その代償地を見付け、そこに適当に移住又は入植をさせて、そういつたかたがたの今後の問題を考えるということは、これは一人一人の問題じやない思うのです。日本農業の大きな構想というものは、これは大きく変革して来るのじやないか、毎年三万五千町歩の潰れ地がある。そのうち五千町歩が大体において災害関係の潰れ地でございます。それ以外に三万町歩というものが現に潰れつつあるのです。それを補つて行くということは、日本農業政策の大きな構想の中にちやんと計画されておるのじやないかと思うのです。そういつたときに、年々とつておるところの予算、それで以て賄えるものではないと私は思う。はつきり申上げれば……。そうして又実際問題として農地局で以て、或いは農林省予算として警察予備隊の、或いは将来拡充されるところの駐留軍の演習地などの分まで予算が来年からとれると私考えられません。はつきり申上げて……。そういつた場合に、私は日本農業自体から考えた問題として、局長の御答弁だけではちよつと無理じやないかと思う。こういつた場合に私は常に考えるのですが、日本の官庁のあり方として、警察予備隊の予算は警察予備隊の予算だ、農林省の予算は農林省の予算である。警察予備隊の予算ではその関係者の補償があれば、それで終れりという考え方、これが私困るのじやないかと思うのです。はつきり申上げると……。それでさつきの合同委員会において私はそこまで考えて頂きたい。そこまで考えて頂けるところの、程度の高い合同委員会にして頂きたいと私は思うのです。で一例を申上げれば、農民は先ほどもどなたかお話になられたのですが、農民は補償費をもらえば、補償の金をもらえばそれでいいんじやないのでございます。はつきり申上げれば……。これは農民というものは、さつき農地局長が大体一戸当り百数十万円なり、二百数十万円要るとはつきりおつしやつたです。その程度が補償額だ。私はこの補償金が農民の問題ではないと思うのです。これは農民だと思うのです。農民というものはやはり農業という一つの備わつた産業を行なつて行くところのその補償でなければ、本当の補償じや私ないと思うのです。国家が演習地が必要ならば、これは当然適当なところに設けられるべきです。又設けられることは事実だと思うのです。そうなりますというと、当然そういつた不幸なかたがたといいますか、そういう場面に犠牲者として甘受しなければならない人たちが出ます。この人たちを金銭で補償するということは、私は不可能じやないかと思うのです。で、できれば私はこのかたがたに立派な農家として、農業を営む国民としてはつきりした補償の計画を立ててあげるということじやないかと思うのです。そういつた場合に、今申上げましたように日本の大きな土地改良なり、或いは農地改良なり、開拓なりの発達の過程を、その計画を満たさずに、その目的を達成し得るような方向を考えて頂きたいということなのです。そこで以てお尋ね申上げたいと思うことは、そういう考え方からしますれば、当然それだけのふくらんだ予算を、農地局で或いは農林省で要求し、それが達成できるものと私は考えられませんので、この補償をです、警察予備隊の予算でおとりになつて、そうしてそれを事業に振向けることができるか、できないか、そういうような御努力を拂つて頂ければです。私は日本開拓事業が少しも遅滯せずに新らしいものができて行くんじやないか。これは全体から見れば、或いは事業的に見れば開拓事業の促進にもなるんでございます。で、農地局長のお話になるように、一戸当り大体百数十万円から二百数十方円ということになりますというと、大体私は新らしいところの、今後計画しつつあるところの干拓だとか、或いはそういつた演習地に直接関係のないところの新らしい事業ができ得る額だと私は思つております。で、そういうような土地が予算的に御考慮になることが技術的にできるか、どうか、又でき得るとすればですね、そういうようなお考えが予備隊のかたがたの中にもおありかどうかということを承わりたいわけなんです。
  69. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 只今お尋ねの初めのほうでありますが、確かに予備隊の演習場をいろいろと物色いたしますので、やはりどうしても最初に考え出すものは旧日本軍の演習場はどうなつておるかということであります。事実各方面で調べて見ますと、進駐軍に接收されておるものが非常に多うございます。残りの部分がどうなつておるかということについて調査したところが、一部はまだ未開墾であるが、一部はすでにもう開墾されておる所も使わせてもらわないと演習場としては狭いというようなことで、いろいろと地元のかたと話して見ますと、いろいろな点で支障がある。従つてそこは諦めて適当な耕地でないような所、公有地というような所はないかというようなことで、それも探しております。確かにお説のように、最初は昔の軍の演習場を探したものでありますから、或いは視野が狭かつたのかも知れません。併しそういう困難にぶつかることに視野を拡げて参りまして、適当なそれ以外のところで使える所はないかということで目下物色中でございます。なお予算の点は農林省のほうからの御回答に廻したいと思います。
  70. 平川守

    政府委員平川守君) 只今のお話の演習地の設定の問題につきましては、私どももまさにその通りと考えておるわけでありまして、我々が農業見地から見ましても、なお且つ今後開拓可能と思われるのは全国に七、八十万町歩はあるのであります。いわんや農業には不可能だけれども、或る程度まとまつた山林原野で演習場には適すると  いうものは必ずや相当あるに違いない。ただ問題は、それを演習地にするには恐らく相当の施設費がかかるであろう、或いは演習場の便宜という点から見るならば、従来の演習地、或いは更に言えば成るべく耕地に近いようなところが便利だというようなことはあるかも知れません。併し農業の必要性なり、食糧増産の必要性という見地、又開拓者の安定というような見地から考えれば、でき得る限り或る程度の不便を忍ぶ、又或る程度の経費のかかることは覚悟しても、できる限り既耕地をとらずに、新らしい演習地を求めて頂きたい。それにつきましては、私どものほうも開拓適地の調査等で或る程度の調査がありまするから、これも御提供しましよう、その中から一つ然るべきところを選んで下さいというので、私のほうからも積極的に資料を提供して御協力をいたしまして、できる限りそういう方法でやつて頂きたいということを申上げておるわけであります。この点につきましては、予備隊のほうでも大いに協力してやろうということをお話合をいたしておるわけであります。米軍の演習地につきましても、そういう方法でできるだけやつてもらうように意見を申上げたいと、かように考えております。但し経過的な問題といたしましては、いろいろ急ぐ関係があつて、なかなかそこまで全部そういうわけには行かないという場合もあろうかと思います。その場合には先ほど申上げましたように、移転農家に対しては新たなる開拓地等の提供を考えておる、こういうことで参りたいと考えております。補償の関係につきましては、先ほど申上げました補償は、お話のごとく一応各農家が再び安定した経営を開拓地等において営むまでの経過的な補償であるわけでありまして、根本的に農地を造成する、例えば干拓なら干拓において初めからやるという全額を計上しておるわけではございません。その分は現在の農林省の予算でやつておりますところの干拓なら干拓の費用の上においてそれが載つて、そこへ農家ができ上る、こういう今は構想になつておるわけでありまするけれども、考え方といたしましては、私ども一応の干拓なり、開拓の予算を計上しております。考え方は食糧増産の必要性というものを根幹に置き、更には農村における新たなる次三男の問題等も非常にあるわけであります。又箇所の問題もありまするので、そういう点から考えて必要な数量の干拓なり、開拓の予算を計上しておるわけであります。ここに現在農耕に従事しておる者が、新たなる耕地を求めなければならんという問題が入り込んで来ることは、実は我々の計画といたしましては、それだけ齟齬をいたすことになるわけであります。これは予算の計上としてはいずれに計上するのがいいかテクニツクの問題と存じまするけれども、併し考え方としては、むしろこれは予備隊なり、軍なりのための費用である、そのために新たなる農地を造成する必要が出て来たのであるから、そういう意味においてこれは計上すべきだというお説のようでありまするが、そういうお考えも誠に御尤もと私どもは思うわけであります。予算上のテクニツクもございますので、そういう点については、なお今後いろいろ研究をいたしまして、進めて参ることにいたしたいと思います。
  71. 羽生三七

    委員長羽生三七君) この問題はなかなか広汎で、且つ深刻である。なお且つ検討を要する問題がたくさんあると思うのであります。例えば先ほどからお話のあつた問題の中に、この予算上の直接、間接の補償等を補正予算という形をとらざる限り可能か不可能かという問題もありますが、併しこの警察予備隊の経費或いはその他これに類する経費の中で、正確に補償料或いはそういう関係の費目として計上されておらない場合には、何らかこの二十七年度予算の中で差繰りの余地があるのじやないかとも考えられるのであります。従つてこれらの点はなお検討の上、その他の問題とも併せまして、只今委員各位からの御発言を一応取りまとめて、最後的に関係大臣等の出席を求めて、本問題の処理をしたいと思いますが、そういう意味で本日はこの程度で終りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 ちよつと一言伺つておきたいのですが、委員長の今の御方針には異議は勿論ありませんが、本日配付された参考資料の中に、さつき懇談のときにもお話が出ておつた演習地の死亡者が、拝見すると二名あります。習志野地区とそれから王城寺、こういう問題には緊急の措置を必要とすると思うのですが、これはそれぞれ手当しておられますか。
  73. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) その資料と申しますか、そういう事実があつたといろ報告は、私ども開拓者連盟のほうからもらつておりますが、それによつて調査いたしましたところ、習志野において演習中死亡者が出た事情は、進駐軍が演習しております時分に、昭和二十三年でありましたか、それ彈が一般の民家に当つてそういう災害が起つたということは聞いております。勿論習志野の進駐軍の射撃場を只今予備隊でも使わせてもらつておりますが、その射撃場の関係で多少それ彈が出るということも聞いておりますので、予備隊に関する限りは、できるだけその射撃の方向を変えるとか、或いは飛びそうな曳光彈のようなものをできるだけ使わせないようにするというような方法で、その被害を最小限度に食いとめるように努力中でありますが、その死亡者の点は予備隊よりか進駐軍の関係だと思います。王城寺でもそういう事例があつたというお話でありますが、予備隊があすこをたまに使わせてもらつておるのでありますが、たまにと申しましても、一度か、二度船岡の部隊が使つているように聞いておりますけれども、予備隊が使用いたしまして、演習の最中にそういう死亡者を出したということは、予備隊としてはそういうことは承知いたしておりません。或いは進駐軍の関係でそういう事故があつたのではないかと思つております。
  74. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 資料を頂いたのですが、補償を離作料六年というような、ちよつと具体的にはなりておりますけれども、大ざつぱなものでなくて、もら少し詳しい基準を当然お立てになられると思います。例えば自作農で他に転業する者はどういうような補償をするとか或いは転業しない者は、次の開拓地に移るまでに一年かかるとか、いろいろなフアクターで以て相当具体的な基準がおきめになられるのじやないかと思うのですが、そういうような基準をお立てになられましたならば、その資料をこの委員会に頂きたいと思うのでございますが、それだけを御要求申上げます。委員長一つお願いします。
  75. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは資料の御提出をお願いします。  それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後四時四十分散会