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1952-03-04 第13回国会 参議院 農林委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月四日(火曜日)    午後一時四十七分開会   —————————————   委員の異動 二月二十九日委員小林孝平君辞任につ き、その補欠として清澤俊英君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            片柳 眞吉君            山崎  恒君    委員           池田宇右衞門君            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            赤澤 與仁君            飯島連次郎君            加賀  操君            三浦 辰雄君            三橋八次郎君            小林 亦治君            松永 義雄君   委員外議員            小林 孝平君            森 八三一君   政府委員    警察予備隊本部    次長      江口見登留君    特別調達庁管理    部長      長岡 伊八君    大蔵省日本專売    公社監理官   久米 武文君    大蔵省主税局調    査課長     亀徳 正之君    国税庁長官   高橋  衛君    農林政務次官  野原 正勝君    農林大臣官房長 渡部 伍良君    農林省農政局長 小倉 武一君    農林省農地局長 平川  守君    食糧庁長官   東畑 四郎君   事務局側    常任委員会專門    員       安楽城敏男君    常任委員会專門    員       中田 吉雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林業振興基本政策確立に関する件 ○農地開拓地接收及び使用に関す  る件 ○農林政策に関する調査の件  (行政機構改革の件)  (昭和二十六年産米超過供出及び匿  名供出免税措置等に関する件)  (いも及びでん粉業維持育成の件)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。  今週の議事日程只今手許へお配りいたしたような順序で進めたいと思いますので、御了承をお願いいたします。  なお、先に当院で本会議のとき議決されました農林業振興基本政策確立に関しては、政府から、皆様のお手許にお配りいたしましたような回答がありましたので御了承をお願いいたします。なおこの件につきましては問題が極めて重要でありますので、政府報告書をあらかじめ御検討願つて、日を改めて委員会において審議したいと思いますので御了承をお願いいたします。  それから次に農地、或いは開拓地接收或いは使用に関する件でありますが、この問題は特に日米安全保障條約及びこれに伴う日米行政協定に関連して重大な意義を持つものと考えて、当委員会におきましてはこの問題に対して大きな関心を拂い、去る二月十四日、外務省国際協力局長特別調達庁長官警察予備隊次長農林省農地局長等出席の下に、この問題について委員会を開き、政府方針、及びその具体策について説明を求めましたが、まだ十分納得するに至らないわけであります。特にこの問題の核心をなす具体的な対策、及びその予算的措置につきましては甚しくあいまいでありますので、問題を後日に残して、政府から詳細な資料提出を得て改めて審議を行うことといたして、去る二月二十日付を以て二月末までに資料提出方を申入れましたところ、二月二十七日、農林省政府委員から、問題が重要であるので、各省間の連絡をとつた上で御報告をしたいから、提出期間を一週間延期してもらいたいという申出がありましたので、これに対しまして当委員会としては、問題が問題であり、場合が場合でありますので、審議を急いでおる関係上、三月五日の午前中に提出を願いたい旨を回答したわけであります。かような次第で、当委員会としてはまだ結論を得たわけではありませんが、併し従来の経過に鑑みまして、農耕地或いは開拓地は原則として軍用或いは警察予備隊用として接收或いは使用することを避けること、二に、すでに接收或いは使用せられているものは、速かにこれを解除或いは返還するの措置を講ずると共に、今後における接收或いは使用を防止するため断乎たる対策を確立すること、三に、万一、真に止むを得ない事情によつて接收或いは使用せられる場合、これはすでに接收或いは使用せられているものを含めて適正な対価及び補償金遅滞なく支拂うと共に、その支拂金に対する免税及び換地の提供等必要な措置をとることとなし、これに必要な予算を確保すること、四、接收地或いは使用地において演習等を行う等、その使用に伴つて誘発せられるあらゆる被害に対して適正な賠償、その他必要な処置遅滞なく行うこととなし、これに必要な予算を確保することが差当つて緊急を要するものと要請せられているわけであります。この問題は、要求してあります資料提出を受けましたあとにおいて改めて委員会を開いて十分検討審議を行う計画でありますが、提出される資料について閣議が行われる場合は、農林大臣におかれましても、只今申上げました事情を十分お含みの上、遺憾のないよう御処置を願いたいわけであります。なお委員の皆さんにおかれましても、右のような事情によつてこの問題の審議政府から資料提出せられましたあとにおいて行うこととして、本日はこの問題については政府当局に要望するにとどめたいと考えますので、この点御了承をお願いいたします。  引続いてちよつと順序を変更いたしますが、行政機構改革の件について検討いたしたいと思いますが、行政機構改革については政府方針がすでに固まりつつあるように伝えられておりますので、これに関連して、この際農林省機構改革について農林行政立場にあるところの農林大臣、本日は農林大臣は御出席ありませんので、野原政務次官からその所信を伺いたいわけであります。御承知のように林野庁を農林省から分離して国土省に移管せんとする問題がこの問題の中心を成しておるわけでありますので、この問題について御検討を願うことにいたします。
  3. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 新聞等で報じられていますこの農林省機構改革に当つて只今委員長が言われた林野関係をこの際建設省を主体としてできるやに伝えられる国土省なるものに持つて行くという案があるやに聞いているわけであります。そこでそのことは山林というものが一面から見れば国土保全に非常な大きな役割を果しておる。国土の六割七分というものが日本としては山林であり、それが非常に荒廃その極に達したと言つてもいいほどの姿であつて、單に林産物関係需給が大変であるばかりでなくて、毎年の風水害は一千億以上のものが損失を招来しておる。こういうようなことだから若し国土省というのが仮にできたとするならば、六割七分を持つているそういつた山林というものを入れないで国土省と言うのもどうかというようなことも考えられると思うのでありますけれども、これをもう一度観点を変えてみるというと、ただ單に山林というものを抽象的に引き抜いて、そうしてそれを維持、培養、振興を図つて行く。そうして国土の安全と保全に非常に役立たせるというようなことは考えられるのではあるけれども、実際問題として、その山林というものをよくやつて行くものは誰だということになりますれば、結局農山村民でなければならない。その農山村民は、今日は御承知通り開拓等からして非常に農家が山のほうに上つて行く。或いは畜産等におきましても開拓との関係から更に新らしく放牧地採草地等を求めている。現にこの畜産関係では、自分たちの、農民の持つておられる山野を使うばかりでなしに、或いは公共団体の持つておる持ち山や、国有林関係の持つている山等で、五十万町歩に近いものがすでにその用に供されているというようなことであります。それらを考えてみるというと、私は何としても山林というものを国土省に持つて行くということでは、山林自身というものの本当振興を期待することができないのじやないか。それと同時にこれからますます加わるであろうと考えられる農山村の窮状というものを総合的に加をつけて行く上からいつて非常な障害になるのじやなかろうか。私はこういうような点を非常に心配するのであります。でありますので、この山林というものを当然農林省の中にやはり置いておかなければならないと考えるのでありますが、その点が一つと、それからもう一つは、ああいうふうにともかく新聞に、一般紙に大々的に報ぜられた一つの案が、若し当局があの案で考えているのだとするならば、もう一つの妥協の線として、従来からやかましく言われている二千五百万町歩日本山林のうちの、現に非常に荒廃しておる、直ちには、植栽ができない、そこに簡單事業ではあるけれども砂防工事等をしてから、先ずその砂防工事をして土砂流出等を防いで、そうしてそのあと目的の植林で生産基盤にしようという、その非常に荒廃された約二十九万町歩、二千五百万町歩のうちの二十九万町歩といつたような、現にこの砂防をしなければならない土地だけをそれでは持つて行こうかという問題になるのではなかろうか。この問題はすでに昔の、大正の初めからいわゆる内務省農林省がこの問題を盛んに論議されていた問題であります。私はこの問題についてはそういつた特定土地山林場所だけを所管を異にして行くということはますますナンセンスだ。今現在立派な山林でも一たびその処理を、扱いを過ちますれば直ちにそういつた特別の事業を施さなければ、その土砂を防ぐわけには行かないような状態になるし、逆に今そういつた工事を必要とするような場所であつても、適切な砂防簡單仕事をそこに加えますると、十年ならずしていわゆる目的の杉であるとか、或いは檜、松といつたようなものをも生産する基盤になる。つまり山林はやつぱり生きているのであるから、そういつた特定の観念的な、現在のただ土砂を崩壊して困るという場所だけをつかまえて、いわゆる国土省のようなものに持つて行くということはますますおかしい。でありますから、結論的に言うとやつぱり山林は一くくりにして農林省に置いて、そうして今後農政の面と林野の面といろいろ接触する点に問題がありまするその点を適切に処理して、そうして農山村の本当の安定というものの基盤に立つた林業振興を図るべきだろう。そういうことが国土保全を期待する最もいい途であり本筋だと考えるのでありますが、この点について率直な意見を聞きたいわけであります。
  4. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 三浦委員の御質問御尤もでございまして、今回の行政機構改革に関しましての質問でありまするが、この点はまだ正式に閣議上つたこともないのでありまして、政府内部におきまして如何にすれば行政機構を簡素化し、これを又能率のよいどういう機構に改めるかという問題について真劍に今検討を加えておる最中でございます。そろそろ結論の出る時期に到達して参つたと思つておるのであります。然るにその政府の一部におきましての考え方の中に、御指摘のような農林行政の中から、特に山林行政を切離してこれを国土省に、いわゆる現在の建設省、これと一緒にいたしまして国土省にしたらよいではないかという意見がかなり活撥に行われ、又有力な意見として新聞等にも伝えられておるわけであります。只今指摘のごとく山林行政農林行政から切離すということは、あらゆる角度から見ましてこれは非常な過ちであるという御意見に対しましては、全く同感でございまして、現在の日本国土林業農業、すべてのいわゆる土地の上から生産されるべき、いわゆる産業としてこれを見ましたときにおきまして、これを切離すことがあらゆる面から見まして非常な矛盾であり、間違いであることは、これはもう議論の余地がないと考えております。特に我々は現在の山林現状等から考えましても、この山林を所有しておりますところの非常にたくさんの山林所有者、このかたたちが單に山林だけを経営しておるのではないのでありまして、この人たちは当然農業をやつておるかたたち山林事業を兼ねてやつておるのでありまして、農業一体になつてつておるのでありまして、別に林業という特殊の産業が極く僅かに山奧に見られますけれども、大部分の林業という仕事農業とは切離すことはできないわけでありまして、又これは畜産と切離すことのできない性格のものであるという点につきましては全く同感でありまして、私どもはあらゆる角度から考えまして、現在の山林行政を切離すというようなことは、農林省としましては絶対に避けたいと考えておるのでありまして、農林省見解につきましては、すでにはつきりとこの立場を主張いたしまして、政府内部におきましても十分農林当局意見というものは尊重されておるのであります。恐らく今度の行政機構の問題に関しましても、山林行政農林行政から切離すというふうなことは、結論としては絶対に出て来ないと私どもは確信をしております。  又第二の点で指摘を頂きました、山林の中で特に荒廃しておる山林、これに対する砂防工事その他の分野を、これは砂防事業というような仕事であるから、特に土木的な仕事であるという観点だけから見まして、山林砂防仕事国土省に持つて行くというふうな、そのことも同じ山の仕事でありながら、一部を国土省に持つて行くというふうなことは、これ又論ずるに足りない、非常に誤つたことであることは今更申すまでもないことでありまして、單なる森林砂防行政なるものは單なるこの砂防的、土木的な事業ではないのでありまして、すでに御承知のごとく荒れている山林を我々が砂防工事によつてこれを立派な森林に回復をして、そのための前提としての砂防工事である。従いまして砂防工事をしたあとには必ずこれに対して、或いは造林をしなければならない、山を育てなければならんというようないわゆる一つの関連の仕事になるのであります。砂防工事をやりましたところが、今日におきまして立派な山林になりまして、治山治水の面から荒廃した山林や山が安定し、土砂流出が防止できまして、そうして水源林としての非常な大きな国土保全の大きな役割を果しているということは、全国至るところに見受けるのでありまして、この問題は過去に遡れば相当歴史的な関係もありまして、常に当時の昔の内務省のいわゆる河川行政との間に多少の論議を来したことは事実でございまするけれども、今日おのずから山林砂防行政は、これは当然山林行政の一環として農林省が担当するということが最も効果的であるということで、今日でもそれをやつておるわけであります。さような点から見ましても特に林野行政の中での砂防なるものを取上げまして、これを又生木を裂くような形で分離するというようなことは、これは絶対に考えられることではないのでありましてこれはその点に対しましてもはつきりと農林省としてその見解を明らかにいたしまして、今度の行政機構にはさような点が結論として誤りのないことを期待しておるわけであります。  なお、この機会に申上げますれば、この水の管理に関しましてはむしろ我我本当に水を活かすという面からこれを見るときにおきましては、これはむしろ将来農林行政の中に取入れるのが正しいことであるというふうにさえ考えておるのでありまして申すまでもなくアメリカにおける例えばテネシーバレーのいわゆるTVAのあの荒廃した山林年々のあの大洪水というものからあの水流を調整し、ダムを作つてそうして年々の災害を防ぐのみならず、広大な地域の灌漑用水にこれを用いまして、そうして立派に沃田、沃野と化すといういうな、非常な大規模な開発計画この水を活かすためにTVAが非常な成功を改めておる。それに伴いまして当然電源開発となり、その電源によつて幾多産業が勃興したという点で、又水を治めることの行政は、大きく考えればこれを農林省一体でなければ本当に水を活かすということが不可能であるとさえ考えておるのであります。我々は農林省から山林行政を、国土省に持つて行くというようなことが云々されることさえも、実に滑稽千万と考えておるものでありまするが、でき得べくんば真に日本治山治水の面から、或いは又日本国土における河川の姿から見まして、これを本当に一日も早く河川を開発しこれを活かす、そうしてこの狭い国土を、耕地をより一層広げる、或いはその生産性を高めるというような観点からするならば、将来むしろ河川行政についての、農林省は特にこの問題に対して一段と検討を加えなければならん、かように考えておる次第でございます。
  5. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 只今野原政務次官から大変もののおわかりのいい話を聞き、更に適当な機会には水利も、最も関係の深い農林省自身所管すべきだという積極的な意見まで聞いたのでありまして、この点同感であります。併し私は野原政務次官は、新聞でこの機構について今の問題について反対をすでに表明している廣川大臣、このお二人におかれてはそういつた点で反対をするらしいこともわかつているのでありまするけれども、併し従来の例から見まするというと、所管大臣、或いは政務次官等が頻りに反対をし、これについて然らざるゆえんをやつても、何か今の政府はどこからかこうしなければならんのだと言われてしまうというと、その一言の前に誰がこれに対して抗弁をするものがあるのかないのか、誠にその一言通りになつてしまうというようなことが考えられるのであります。私は今日は政務次官から話を聞いたのですが、又大臣が出ても恐らく新聞等から想像すると大臣は今野原政務次官が言われたようなお答えになるだろうと思うけれども、要は私は今後の農山村のために、又更に日本本当の復興のために農林省の中に林野がなければならんというふうに確信するものなんでありまして、どうか一つ明日大臣が来られる際に当りましては、よく吉田総理と御相談の上に確たる答弁所管大臣である農林大臣というよりは政府を代表した意味から確実な御答弁をお願いをしたいことをこの際に附加えたいのであります。  それからもう一つの問題は、食糧事務所とそれから統計事務所とを一つにするかのような話も巷間伝わつておるのであります。けれどもこのことは或いは今の政府から見まするというと、やがて主食の統制というものを外したいのだしするから、もうそういつたようなことを勘定に入れて一つにしてもいいじやないかといつたような簡單な考えから、若しそのことが考えられるとするならば、そういう簡單な点から出ているのかと思いますけれども、私は非常にこれは大きな間違いである、御承知通りに今の統計事務所は殆んど農山村におけるいわゆる調査所の姿なんです。而も今後漸く細分された自作農の創設が維持され、そうして自発的に自分の持つている耕作地に対して最も経営のいい安定のした営農をさして行くための、いろいろの指針を作りつつあるのは、御承知通りであります。それであるからして前回でありましたか、統計調査部の非常な縮小に対して農山村の人は勿論でありますけれども本当に国を憂うる人たちはその非を糾弾して、そうして漸くその非を政府がお認めになつたというのは、つい昨日のことであつた。私はこの点について又同様に非常に心配をしているのでありますが、この点についてのお聞きのことがあればこの際政務次官からお聞きをしたい。又その問題についてどう考えられるかということもお聞きしたい。
  6. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 食糧事務所統計事務所を合併するような行政機構案があるかどうか、或いは又それに対する見解如何ということでありますが、この問題に関する見解としまして農林省立場といたしましては、御指摘のごとく食糧事務所にいたしましても、統計事務所にいたしましてもそれぞれ全く違つた性格があるのでありまして、特に統計事務所のごときは御指摘のごとく日本農業進歩発展の上にその基礎となるべき統計の作成をし、整理をする。従来甚だしく粗雑であり、信ずるに足りなかつた統計を漸次整備いたしまして本当はつきりした統計の上に立つて、的確な基礎の上に日本農業を高めて行く。その科学技術の面から日本農業を飛躍的に生産性を高めて行くために、我々は今よるべき材料を、確信するに足るところの統計というものを我々は求めております。そのために統計調査部が設けられ、その調査をしておるわけでございます。あらゆる面に亘つて農山村各般に亘つて統計が着々整備されつつあり、新らしい時代に対応するところの作業を進め非常な効果を挙げようとしておる矢先でございまして、統計調査仕事は今後もますます日本農業進歩発展の上に絶対不可欠な重要な使命役割を持つておるものと私どもはさように考えております。一面におきまして食糧事務所は御指摘のごとく今日におきましては米麦の割当に対する供出事務或いは又食糧の配給、需給調整その他の仕事中心といたしましていろいろやつておるのでありますが、これは統計調査と全然別な性格を持つた仕事でありまして、今日の段階におきましては食糧事務所も非常に重要な使命を持つておるのでありまして、万一これが今日のような食糧統制がいつの時代にか統制方式が変るとか、或いは又統制がやめになるというような段階になりました場合におきましても、現在政府の考えております食糧問題に関しての考え方としましては、すでに幾度か政府がらその見解を明らかにいたしましたように、決して野放しに自由放任をやろうとするのではないのでありまして、国内における食糧需給調整、或いは価格問題等から考えましても、当然重要なる食糧管理仕事というものは、幾ら直接的な統制をやめましても、それは残るのであります。而も御承知のごとく政府方針としましては、今日生産者の保護のため、少くも再生産を可能ならしめる、その生産費を償うにたるだけの最低の価格保障をする、それによつて希望に応じてはそれを買い上げるというような方式を行なつた上で、十分なる事前事後対策を持ちつつ統制をはずすというようなことを愼重に考えておるような段階でございます。さような点におきましても、食糧事務所の存在というものにつきましては、まだまだ必要なときである、かように考えておるのであります。特に最近におきましては、單なる量さえ出ればよいということでなしに、食糧生産或いは消費という点に関連いたしまして、その質の向上と申しますか、食糧検査法の制定に伴いましての国営検査を行い、或いは又單に米麦だけでなしに、他に重要な食糧その他の物資までも、これは国営検査の点でその必要とするところのものにつきましては、検査の業務を積極的に今後やつて行こうというような仕事でございまして、食糧事務所統計調査所仕事というものは、全然性格も違つております。従いまして若し仮にこれを一緒にするというようなことになりますと、あたかも木に竹をついだようなことでありまして、これが非常に不自然な形で一緒になるわけでございます。性格の違つたものが不自然に一緒になつたところで、これはむしろ能率が劣るというのは、過去における誤つた行政簡素化の事例が示しておるのであります。我々は行政簡素化の美名の下に木に竹をつぐような不自然な矛盾したことはやりたくない。さような観点から農林省といたしましては、この問題に関しましてもはつきりとさような考え方は持つておらんということを明らかにいたしまして、関係方面とも目下誤つた行政簡素化はしてもらいたくないということで進めておるわけであります。
  7. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 大体この行政機構の問題は、只今の御答弁で大体了解しますが、統計調査事務所と、食糧事務所との関係につきましては、すでに事務当局からいろいろお話があつたのでありまして、私は蛇尾を加える必要はこれ以上ないのでありまするが、ただ昔からの一応沿革を申上げまして、特にこれは今岡の問題の参考に供せられたいというふうに存ずるのであります。と申しますのは、御承知と思いまするが、昔は米なり麦の生産統計は、府県庁を通じてやつてつたわけでありますが、それではどうしても正確な統計が把握がしがたいということで、当初やりましたのは、食種検査員が米等につきましては、大体生産数量の少くとも半分以上はこれが検査に出て来るわけでありまするから、検査員が検査の業務を通じて全体の生産高を推定することが一番実態が把握できるのではないだろうかということで、当初その次の生産調査食糧検査員を通じて、実は全体の生産高を調査をしてもらつたのであります。ところがこれが検査員が同時に供出関係にも関連をしておりまするし、又生産高の全部を検査するわけではないわけでありまするから、どうしてもその間に非常な歪曲された調査が出て参るということで、そういうことで現行のように食糧事務所とは全然無関係に現在の統計調査事務所ができたのでありまして、こういう過去の沿革から見て参りましても、お話のように全く片方は現業であり、片方は非常に科学的な調査統計をやつておりまするし、或いは会計の点から見て参りましても、統計調査は一般会計から、食糧事務所は特別会計から、そういうことで、これを單に機材的に一緒にすることが、私はむしろ非常な弊害があるということを過去の沿革から私は指摘できると思うのであります。大体その点は農林省へは私がもうこれ以上言う必要はないわけなのでありますが、只今申上げました過去の米麦生産統計の沿革は、若しもこれを一緒にしますれば、又もとの惡い時代に逆戻りするわけでありまして、これだけを一つ申上げまして、特段の御配慮をお願いしたいと思います。
  8. 羽生三七

    委員長羽生三七君) この問題について他に御発言はございませんか。それでは他の案件に移りますが、先ほど来三浦片柳委員から御発言がありましたように、農林省の意向は大体わかつたわけでありますけれども、問題はやはり農林省機構改革について、今伝えられておる機構改革について必ずしも同意するものではないということが明らかになつたわけでありますが、問題はやはり政府原案にそういうものが出て来ることを我々としては考慮しなければならないので、その辺について明日農林大臣出席される際、十分御用意の上御答弁を希望して置くわけであります。これは野原政務次官に御依頼をいたします。   —————————————
  9. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは引続いて先般当委員会でしばしば検討いたしました昭和二十六年産米超過供出及び匿名供出免税の件に関してでありますが、これは回を重ねてしばしば質疑が行われて、問題の最終的段階に至つておるのであります。本日は農林大臣、大蔵大臣大臣出席を求めて最後的な解釈を得ようとしましたが、両大臣ともそれぞれ御都合が惡くありますので、野原政務次官国税庁長官並びに大蔵省主税局調査課長がお見えになつておりますので、これらの出席政府委員との間に問題解決の所在を確かめたいと思うわけであります。なおこの機会に御了承願いたいと思いますが、小林孝平議員が委員外発言を求められておりますので、御了承をお願いいたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではさよう決定いたします。
  11. 小林孝平

    委員外議員小林孝平君) 本問題については、本会議並びに当委員会で三回に亘つて検討いたしておりまして、大体論議を盡すべき点は盡したのでありまして、最後に残つておる問題は、農林大臣並びに大蔵大臣でなければ御返答頂けないということになつておるのでございます。それで本日この機会農林政務次官農林省の御所見を承わり、明日の農林大臣の御出席の際にその確答を得たいと思つておるのであります。  この問題は、先般国税庁長官の各国税局長宛の通牒、並びに食糧庁長官から知事宛の通じる通牒によりまして、この超過供出並びに匿名供出免税措置に関して通牒があつたのでありまするけれども、非常に御苦心されまして通牒が書かれておるようでございまするけれども、受取るほうは非常に疑義があり、その内容が判然としないというので弱つておるのであります。そこで、この機会にこれをもう少しはつきりと誰にでもわかるようにして頂きたいと、こういうことで検討いたしたのであります。その最後に残りました点は、この取扱を行政措置でやるか、税法の改正によつてやるかという問題でありますが、これは国税庁長官のお考えによりますと、この二千円の奨励金は、奨励金であり、而もそれは会計上では集荷委託費から出される、こういう点その他の点も考慮されまして、行政措置でやれるのではないか、こういう御見解なのであります。そこでこの点についてもまだ議論が残つておりまするけれども、その点は除きまして、仮にこれが集荷委託費として奨励金という形で出されるから、匿名供出の二千円分については免税措置がなされる、こういうことであれば、全く同様な関係にある匿名にあらざる超過供出についてもこの考えが適用されるのではないか。匿名供出と一般の超過供出にはこの二千円分の免税措置をするという理由については少しも違つたところはない、こういうふうに我々は考えておるのであります。従つて、これは一般の超過供出分についても免税措置がされるのが当然ではないか、こういうふうに思うのであります。もう一つは、そういうふうな考え方のある一方、この匿名供出と一般の超過供出の違いでありますが、匿名供出のほうは、いわば農林大臣免税にするから超過供出をしてくれというので出されるわけでありますが、超過供出のほうはそういうことがなくて出した。従つてこの点から考えましても、道義上から考えても、進んで出したものには税金をかけ、免税措置をするからと言つて出したものには免税をするということは、非常に片手落ではないかと、こういうふうに考えるわけであります。従つて、以上の二点から考えまして、当然免税措置は、一般の超過供出の奨励金にも及ぶべきものであると、こういうふうに考えるのでありまして、これについて先般から論議をいたしておりまするけれども結論に到達しない。そこで私は、以上のような理由から当然誰が考えても理屈上はそうなるのであるから、いわゆる政治力のある農林大臣を戴き、農村の事情に精通しておられる野原政務次官のおられる農林省は、当然これを大蔵省に主張されるはずであろうと、こういうふうに思うのでありまして、農林省はそういうことはしないで、いやあれは匿名だけだとこういうことでやつたのだからそれでたくさんだと、こういうふうにお考えになるのか。或いは本当に大蔵省に交渉される意思があるかどうかということをこの際はつきりお尋ねしておきたいと思います。
  12. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 小林議員の匿名供出及び追加供出に対しましての免税の御意見につきましては、私も全く同感でございます。御承知通り生産実収高の調査によりまして、事後割当制によりましてどれだけを供出してもらいたいということでお願いいたしまして、そのお願いした分の供出が済んでしまつたという農家に対しまして、なお進んで現下の食糧事情等からいたしまして、なお御供出を頂きたいということで実は懇請申上げておるわけであります。従いまして、最初の割当の数量までは、これは実牧高を基礎としまして、そうして自家保有米等の最小必要限度は除いたあとの分を供出を頂くということなのでありますが、そのあと供出の分は、結局自己の飯米に充てておつた分から、特に政府食糧政策に対しまして進んで協力を願うという形で飯米を割いて供出をいたしたいという建前であるのであります。従いまして、その飯米を割いてまで出してもらうという追加供出或いは匿名供出につきましては、これはその分は別に税の対象にすでになつておるわけでありますから、その分に対しては税をかけないのがこれは当然な話なのであります。これは今更論議の余地のないことであると考えておるのであります。ただ、先般のごの匿名供出に対しましての閣議の了解事項と申しますか、決定は、いわゆる匿名供出によつて出したものについては免税をするということに閣議のときにはつきりと話のあつた関係で、匿名の分ということで新聞発表等があつたわけでございまするが、併し匿名であろうが、なかろうが、追加供出した分は全く同じケースのものであるという点につきましては、御指摘通りであります。その間に甲乙のつけらるべきものではないのでありまして、ましてや幾分かでも供出をしようとして、集荷委託費等のそういう條件はともかくとして、進んで出したものに対しては税金がかかると、あとから集荷委託費が二千円だと、それならまあ間に合うということで出すことは、これはむしろ趣きが違うわけであります。理屈から申しましても、小林議員のお話の点は全く我々は正しいことであると考えておるのであります。その点に関しましては、農林省では、單に匿名供出の分のみならず、追加供出の分も同様その恩典に浴せしめることが供出農家に対する、いわゆる生産農家に対する我々の正しい立場である、その労に報ゆるの措置でなければならんと、かように考えまして、大蔵省に対しましては、当然同じような扱いにして頂きたいということをお願いを申上げて交渉しておるわけでございます。匿名供出という問題が、一応閣議等で特に匿名というようなことが出たために、その点がむしろまだはつきりしないようでありまするが、今日は大臣もお二人とも大蔵大臣農林大臣とも出ておりませんので、はつきりしたことは申上げかねますけれども、早速にも十分話合いを頂きまして、必ずこの問題が近く何ら不安のない状態に発表いたすことができますことを私は念願しておる次第でございます。
  13. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 この匿名供出制度を布く前の超過供出でありますが、これは私は全体の数量は大した数量ではないとこういうふうに思うのですが、問題がここまで来ておりますれば、大体の数量はもうおわかりになつておると思うのであつて、ですからこの何か問題を大蔵当局も特に大した金額でもないと思うのでありまして、従つて現在のところこの匿名供出制度も布く以前の超過供出数量がおわかりだと思いますが、わかつておりますれば、一つこれをお知らせ頂きたい。これは是非とも御調査をされて、大したことではないのではないか、これは私の経験からしても、こういう問題は必ず一緒にしなければ極めて小さなところで大きな損をすると思うのでありまして、而も二千円ということになれば、丁度国際価格と国内価格との開きぐらいに当るのであつて、それだけ出れば、それだけ大きく言えば輸入食糧も減らし得るという理屈も立つわけであつて、どうもこの問題にそう拘泥することがむしろ私はおかしいという感じがするのであつて、ですから今言つた超過供出数量はおわかりになつておると思うのですが、これは一つ報告を頂きたいと思います。
  14. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 超過供出数量高の匿名分、匿名に非ざる分ということでありますが、二月二日に政府が匿名供出制度ができてから以後においても、なお超過供出というものが匿名に非らずしてあることは想像してよいものであります。それがどの程度であるか二月二日以前の、匿名供出に非らざる超過供出がどれくらいあるかという数量を只今調べておりまして、二月二日以前でありますものはもう暫くお待ち頂きたいと思います。匿名供出ができてから以後、その制度によらずして超過供出した分はなかなかつかみにくいのじやないか、もう暫く供出が済むまでお待ち願いたいと思います。
  15. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 希望としてなるべく早きデータが揃えば、そう私は閣議で争うだけの問題でもないのであつて、その点至急御調査を頂きたいと思います。
  16. 羽生三七

    委員長羽生三七君) これはできる限り速やかに統計等御提出願いたいと思います。なお小林片柳両君の御質疑に関連して、野原政務次官から御回答があつたわけでありますから、只今野原政務次官の御回答に対して大蔵省がどういうふうに考えておるかということをこの機会に一応承わつて置きたいと思います。
  17. 高橋衛

    政府委員(高橋衛君) 只今政務次官からもお答えがありましたが、現在までの段階において政府としてきまつております方針は、匿名供出分に対しては課税の対象外にするという程度であります。従つてその余の問題につきましては別個の問題といたしまして、私どもも十分研究いたしたいそういうふうに考えております。
  18. 羽生三七

    委員長羽生三七君) どうも大蔵省のほうの御答弁は依然として前の段階にあるようでありますので、明日御出席願う場合に事前に一つ大蔵、農林両当局で御検討願つて、明日はやはり最後的な御回答が得られるように一つ御準備願いたいと思います。
  19. 山崎恒

    ○山崎恒君 政務次官にこの際追加してお聞きしておきたいのですが、只今食糧庁長官のお話では匿名供出に限つてはもう方針はきまつておる。なお超過供出の問題については疑義があるというような点が濃厚に窺われるのでありまするが、この前の委員会でもそうした見解が示されておるのでありますので、この際処理として要はこの集荷技術の問題であつて政府は買入技術の問題に過ぎないのであるので、これは全部超過は匿名として処理してしまうということになれば、問題は簡單に片付いてしまうので、そういう方法で買入技術というものを簡單に持つて来れば、問題に解消すると思うのです。その点は一つ政務次官に特にそうした方針を断行するための方針をとつてもらえば、この問題は解決すると思うのですが如何ですか、その点について御見解一つ……。
  20. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 只今山崎委員からお話がありました通り食糧庁長官からお話がありまして、まだ調べてないというか、わからないというような状態にありますれば、農林省がその処置をされれば、今山崎さんの言われる通り大蔵省とそんなにせり合わなくても話はつくはずだ。わからないということは非常にいいと思つたのです。わからないところに扱いいい、都合がいい、わかつたということだと大蔵省に対しても誠に工合が惡いということになるわけです。わからないということはないかも知れないということになるわけであります。地方からその報告を然るべく、農林省において、まあ打合せてやつた言つてもまずいのでありますが、そういうことにしてやつて頂くということにしましてここで余り争つてしまいますと却つてそこにまずいことができるのじやないかと考えたのでございます。どうかそこは政治的に然るべくうまくやつて頂きたい。これをお願いして置きます。
  21. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) いろいろ御意見の点は十分尊重いたしまして、すでに先ほどの食糧庁長官からも申上げましたように、まだ二月二日以降の分は数字もはつきりしていないそうであります。恐らくはつきりは最後までしないかと思いますが、その点は十分含みまして善処いたしたいと考えております。
  22. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今の御発言は大分含みのある御発言で、適当に御解決あることと思いますが、なお念のためやはり正式に速記をつけての委員会での御発言でなくてもよろしいのですが、およその見通しというものをやはり委員会で確約されんと、ただ含みがあるからということで後日に持越すこともどうかと思いますので、明日はこの問題について公式非公式を問わず適正な御回答が得られるよう御配慮を願いたいと思います。  それではこの問題はこの程度にいたします。   —————————————
  23. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 次には、やはり先般まだ最後の結論を得ることができなかつた問題としていも作及び澱粉業維持育成の件がございます。この点につきまして更に本日未解決と思われる問題について御検討を願うわけであります。この際森議員から委員外発言を求められておりますので御承認を得たいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ではさよう決定をいたします。  それでは、その前に先般の政府から当委員会宛にありました回答に基いて委員各位から御発言がありますので、この問題を先にいたしたいと思います。
  25. 山崎恒

    ○山崎恒君 只今委員長から発言されましたように、いも作及び澱粉業の維持育成の問題につきましては、当委員会は昨年来から本問題と取つ組みまして執拗にこの澱粉対策或いは、水飴、葡萄糖等の問題等につきまして政府当局に懇請し、或いは意見も具申しておつたのでありますが、最後に二月の十二日附に当委員会におきましてはいも作及び澱粉業の維持育成に関する委員会の決議といたしまして、政府に対しまして申入れをしたのであります。その際にその申入れに対しまして二月の二十日附を以ちまして、農林大臣、大蔵大臣及び経済安定本部長官、五名の連記を以て、政府方針について当委員会報告をせられたのでありますが、政府のその報告に対しまする誠意或いはその努力は、非常に多とするところがあるのでございまするが、併しながらその政府の回答におきまして、その誠意と努力にかかわらず、これが内容につきましては遺憾ながら私どもが考えておるような点に触れていない点があるのであります。その点につきまして重ねて私どもはこの際一つ的確なるところの政府の御意見をお聞きいたしたいと、かように思うのであります。  その第一といたしましては、政府の回答に、政府の所有砂糖の市場放出に関する考慮、それから砂糖輸入のための外貨割当に関する考慮、この問題が二ついずれも回答されておるのでございまするが、去る二月の二十九日に、新聞紙上で見ましても、政府閣議を以ちまして砂糖の統制を四月一日からこれを撤廃するという方針が決定されております。而して政府は現在この所有砂糖は恐らく十万トンくらいの砂糖を持つておる、かようなことでありまして、この十万トンの政府の所有の砂糖を市場に放出する際には、これを愼重に取扱つて、而も市場を混乱させないように、或いは異常な暴騰のないように、或いは暴落のないように、適正な方法でこの十万トンの砂糖の処理をいたしたいというようなことが書いてあるのでございまするが、この字句でありまするけれども、これを愼重に取扱うという点について、如何なる方法によつて愼重に取扱う点ができるのか、その辺の内容を具体的に一つお聞きいたしたいと、かように思うのであります。又輸入砂糖のための外貨の割当に関する考慮というような問題でありまするが、この四月以降においても、国内市場において供給過剰となつたり、或いは砂糖価格の急落を生ずるような事態を可及的防止するために、いも作及び澱粉業への影響をも考慮して関係機関と連絡の上、砂糖輸入のための外貨の割当等について、愼重に処置すると、こういう方針であるというようなことが書かれておるのでありまするが、この外貨の割当等について愼重に処置するというような問題についても、然らばその愼重に処理する方法について、具体的な処置の方法はどういう点であるかというような点を一つお聞きいたしておきたい、かように思うのであります。  次に最後の問題でありまするが、金融対策の問題といたしまして、澱粉、水飴は食糧需給関係の改善、特に砂糖の出廻り増加に伴つて販路が制限されて来る傾向にあるから、品質改善、新版路の開拓の努力等と見合つて、適宜弾力性ある金融対策を講ずるよう関係機関を指導して行きたい、こういうような回答があるのであります。問題はこの金融対策でありまするが、金融問題につきましては、政府が従来とつて来た方針等と逆行いたしまして、澱粉は日に日に下落の一途を辿つておる。而も今日では、本年度の澱粉は、大体全国平均十貫当り二千五百円ぐらいで売ればそれによつて漸くバランスがとれるというような澱粉事情であるのでありまするが、現在における只今価格そのものは、もう二千円を台割れするというような状況にまで入つておるのであります。この問題は、現在なお全国的に見て手持澱粉、市場に消費されない澱粉というものは五千万貫ぐらい恐らくあるのじやないかというようなこと等を考えますると、特にこの金融問題に触れまするが、いわゆる澱粉資金として日本銀行から農林中央金庫を通じまして商工中央金庫の手を経て出ておる金がある。この金は二月中には返済されなければならん。恐らく二月は経過いたしましたが、これは初期の返済期日通り返済されておらないだろうと思いまするが、この問題を少くも五月末頃まで延期の方法をとつてもらいたいというのが業者の大勢の意見であります。而もこの業者というのは、農業協同組合系統の製造業者と、又業者関係のいわゆる澱粉業者との二本になつておりまして、いずれも昨年の十月砂糖の一部の入札制度を断行して頂いて以来、入札制度によるところの砂糖の放出によりまして、逐次澱粉が非常に売行きが惡くなつておるというような関係がありましたが、従来我我政府等に要望いたしまして、漸くこの価格は二千三百円或いは二千二百円くらいを、恐らく政府の御配慮もありましたろうが、維持して参つてつた。ところが最近の事情というものは二千円を割るというような事情になつて来ておりまして、この金融上の問題につきましても、直ちに返済するということになりますと、非常に業者は困つてしまうというようなために、金融の返済延期という問題を政府において何とか考慮してもらいたいというようなことを当委員会から申入れてあるのでありまするが、それに対しましては政府からは何らはつきりした回答に接しておらない。こういうような点がありますので、この点をはつきり然らばこういう方法をとるというような具体的な方針一つ示してもらいたいというのが我々の希望であります。以上、恒久問題にはいずれ他の委員からも触れまするが、以上の問題について政府の回答に対して、なお以上のような疑義がありますので、その疑義についていずれも只今申上げたような点を一つ解明して頂きたい、かように思うのであります。
  26. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 只今指摘の問題に関しまして、第三の市場放出に関する考慮の、愼重に取扱うということでありまするが、これは四月以降砂糖が自由になりましたときにおいて、政府の持つております十万トンの砂糖を一挙に出すようなことをいたしますというと、いろいろと需給状況に変化化を来たし、変動を来たすという点でこれは愼重を期さなければならないということでありますが、これをなお具体的に申上げますというと、結局需給の状況等を見合いましてできるだけ平均的に出すようにしようということなんであります。これは第四の砂糖輸入のための外貨割当に関する考慮という点にも関係があるのでありますが、御承知通り四月以降は外貨の割当によりまして輸入をするわけでありますが、その点に関しましても一度にどつと入れるというようなことにいたしましては、これは又困るのでありまして、国内の需給の状況と見合いまして外貨の割当については愼重にこれを行う。と同時に又政府手持の砂糖につきましての放出も、できるだけ急激にやらずに平均に流すようにいたしまして、そうして外貨の割当と同時にこれを操作いたしまして、国内における需給状況等に極端な変動のないように考えて、それによつて澱粉或いはいも類その他の食糧に対しましての影響をできるだけ避けたいと考えております。  次に金融対策でありますが、これに対しましては御指摘のごとく今まで金融しておりましたものに対しまして、すぐに返還せしめるというようなことは、今日の事情から行きまして非常に影響するところも大きいし、非常に打撃を與えることにもなるということを慮りまして、そうしてこれはいつまでということははつきり申上げられませんが、延納の措置をとるということの方針でございます。できるだけ御希望に副うようなことにいたしたいと考えております。
  27. 山崎恒

    ○山崎恒君 只今政務次官から愼重にこの砂糖の問題を考慮するというのは十万トンの砂糖の放出を市場と見合わして逐次小出しに出すというようなことであろうと思うのでありますが、ここで特にお考え願いたいのは、いずれも我々委員会関係ありますところの肥料の問題にいたしましても、油脂事業の問題にいたしましても、昨年一昨年いずれも統制を解いたのでありますが、その統制を解除いたしました後におけるところの肥料状態にいたしましても、或いは油の状態にいたしましても、油のごときは政府が当初考えた問題より以上の経済異変が生じまして、油の業者というものは逐次現在倒産しておるというような現状はこれは政務次官も御承知通りであります。この砂糖の問題は一般消費者の問題でありまするが、ここで澱粉業者と砂糖との問題はこれはもう相当密接な問題でありまするし、又澱粉といもとは切離すことのできない問題でありますが、ここで澱粉業者を只今壊滅せしめるということは、延いては来るべきいも作農家の問題に大きな関係が生ずるというような点からいたしまして、かかつて砂糖の操作に澱粉の死活はあろうかと思うのであります。かような点等から考えまして砂糖の統制を四月一日から解除いたすことになつておりましても、ここ二、三カ月間準備不能という、準備ができないということで延期することができないかどうか。そうした問題をお尋ねしたいのであります。同時にいま一つは、現在五千万貫に上るところの手持澱粉というものに対しまして、政府は、先般来陳情等を申上げましても、或いは回答にも輸入澱粉はこれを買わないということははつきり回答に出ておりますが、手持澱粉を他の第三国にこれを逆に輸出するという問題等についても、或いは澱粉を特別会計といたしまして政府自体がこれを買上げて他の国に輸出する輸出加工農産物としての取扱を考えられないものかどうか。そうした点について一つもう少し掘り不げた点で政府の所見を一つお伺いしたい、かように思います。
  28. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 澱粉の問題に関しましての山崎さんの只今の御指摘でありますが、御承知のごとくいもの生産に関しましては、国内食糧需給調整、或いは又一旦不測の事態があつた場合における国民の生命を維持する重大な関係もございまして、如何なる方途を講じましてもいもの生産に対しましてはこれを守るという政策をとらなければならんと考えておるのでありまして、これがひとり砂糖の問題だけを以て、いもの問題すべてを満足することはなかなか困難でございます。御承知通り物品税等の問題もまだ今後の問題でございまして、我々は何とかして解決しなければならないと考えておりますし、又その他幾多の、あらゆる角度から見ましていもの生産者を守るという、最低の生産価額がどうやら満足できるような点に価格維持という問題をも併せて考えなければならないのであります。その点につきましてはあらゆる面から関連の深い砂糖につきましては、特にこれは重大なる関心を持つておるわけであります。この点に関しまして現在手持ちの澱粉をどうするかという問題につきましては、まだ今後の問題としてこれは愼重に考えてできるだけの措置を講じなければならんわけでありますが、民間が持つておりますでん粉を政府が買上げるというようなことを、現在のところその点はまだ具体的に考えておりませんけれども、それらの問題も将来十分研究して善処いたしたいと考えております。なお、数字に亘る問題とかその他のことにつきましては食糧庁長官から補足的な説明をいたさせます。
  29. 山崎恒

    ○山崎恒君 あとは飯島委員質問がありますから、私の質問は打切ります。
  30. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 只今の澱粉の輸出の問題について私も若干附加えて……。これは次官の御回答を得ましたので、むしろ食糧庁長官からお伺いしたほうが適当ではないかと思います。この前の御回答では、澱粉の輸出に関しては、これが促進についていろいろ積極的に考慮するという御回答を得たのでありますが、御回答を頂いてから日時も経過しておることでありますから、積極的に考慮されて具体化されつつあるかと判断をいたしますが、その地域、それから如何なる数量、どういう価格でお考え頂いておるか、その中身を一つ御披露を願います。
  31. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 実は、澱粉の所管只今のところ農政局長になつております。
  32. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 では農政局長から……。
  33. 小倉武一

    政府委員(小倉武君) 輸出の問題でございますが、御承知通り、澱粉の輸出は若干ございますけれども、さほどまだ大した実績は示しておらない次第でございます。御参考に申上げますというと、二十六年度におきましては百四十四トンになつておるわけです。本年度に入りましてからは二百六十トンほどになりまして、まだ本年になりましてから極く日は浅いのでありますが、約二百六十トンほど輸出をしておるわけであります。仕向地は、韓国、台湾、沖縄といつたようなところでございますので、今後そういつたところに若干でも輸出ができまして、現在の澱粉の問題の解決に少しでも資することができはしないかと考えておりまして、業界のかたにもそういう点でどの程度の可能性があるかというようなことにつきまして、いろいろ打合せをしておるのであります。価格は、地方によつて、仕向地によつて若干違つておるようでありますが、四十五キロ十ドル見当と記憶しております。
  34. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 これは重ねて希望申上げたいと思うのですが、従来の澱粉の輸出は極めて実績が少いので、実績から判断をすると、本年もそう大きな期待をかけるのは若干無理かと考えますが、又一方、その輸出先を見ると、朝鮮、台湾或いは沖縄等が従来の輸出先であるようであります。特に朝鮮に関しては、御承知通り、飴の消費は日本よりもむしろまさつても劣らないくらい莫大な消費をしておるところであります。なお朝鮮には、又別な観点からして、肥料の輸出が目論まれておることも我々承知しておりますので、是非一つこういうものと関連して、まあ抱合せと言つては言葉が不適当かも知れませんが、どうしてもそういう必要がありとすれば、我々としては、実は肥料の輸出に関しては好まないところでありますが、そういう好まないものをあえていろいろな角度からお出しになるとすれば、澱粉もこれにつれて輸出するということも考えて然るべきかと考えておりますが、特にこの点に関しては希望として申上げて置きたいと思います。  それから、今度は澱粉の輸入の問題についてであります。澱粉の輸入については、御回答では、原則として外貨の割当を行わない、これが輸入を制限するという御回答を頂いております。この方針は、極めてこれは妥当で、我々も満足しておりますが、これと関連をして、葡萄糖の輸入についても、これが制限をすることが必要であろう。現在までは葡萄糖は輸入されておりますが、この輸入葡萄糖についても、これは是非輸入を制限するなり、或いは外貨の割当を行わないということをこの際一つ併せて措置されることをお願いを申したいと思いますが、政府立場で現在の状況は如何ですか。
  35. 小倉武一

    政府委員(小倉武君) 葡萄糖の輸入につきましても、御趣旨のようなことで措置いたしたいと存じております。
  36. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 先ほど澱粉の輸出に関しまして、肥料の輸出と併せてというお話でございます。この点は一つとくと研究いたしまして、でき得ればさような方法を講じたいと考えております。
  37. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それから、その次は水飴と葡萄糖の物品税の廃止の問題について、これは多少細かな話になりますので、政務次官、若しくは所管の局長からお伺いするのが適当かと考えますが、水飴と葡萄糖の物品税の廃止の問題については、かねて就任をされた廣川農林大臣がその撤廃の決意を言明しておられたにもかかわらず、今回三大臣連名の回答によりますと、これが困難であるという全く反対の回答を我我は得たので、極めてこの点は意外に感じているのであります。今回の報告によりますと、物品税を廃止することの困難な理由として、その第一が砂糖、サツカリン及びズルチンなどの甘味品相互間の不権衡を生ずる、これが第一の理由になつております。第二の理由は、水飴等の物品課税率が最低に属する、これが第二の理由、それから、我々は従来考えていたところでは、物品税を廃止することの困難な理由は、国の財政に及ぼす影響から困難であるというふうに承知しておつたのでありますが、今回の報告によりますと、その点は財政上心配はない、心配する必要がないというふうに了解ができましたので、撤廃を困難とする一番大きな理由がなくなつたことを私どもは感じまして、その点は極めてこの問題に関しては安心を実はしているわけであります。そこで水飴、葡萄糖の物品税の権衡論が、従来は、或いは紙であるとか、或いはラジオであるとか等々のものと、つまり種類、性質、用途等が全く異なつたものとの比較において、この物品税の廃止は不適当であるという議論がなされておつたのでありますが、これは全く無意味のことであつて、若し権衡論を以てこの問題を論ずるとすれば、当然同種類のものである砂糖、サツカリン、ズルチン等とこれは比較対照すべきものと考えるのであります。従つて、先ず第一に砂糖との関連においてこれを考えますと、今回の水飴、葡萄糖の物品税の廃止の必要が特に強調されるに至つたゆえんは、砂糖の価格が甚しく低落をするために出発をいたしたものでありますから、水飴などの物品税を廃止すること、それ自体が物品税、相互間の不権衡を是正して、権衡を得せしめるということになると考えるのであります。従つて、この第一の砂糖との関連の問題は、先ずこれではつきり割切つて、事が解決がついていると私どもは判断をしております。それから、第二のサツカリン、ズルチン等の権衡論については、これは、すでにアメリカ等においても行われているように、戦前の措置に取扱を復活して然るべきものと考えますので、この点についてもこれはもうすでに時代的に問題はないと判断されるのであります。  次にこの農産食料品のうちで物品税が残つておるのは、つまり物品税が現在課されておるのは、ただ水飴と葡萄糖だけであるということを私ども承知しておりますが、これは極めて非大衆的な課税であるということを我々は感ずるのであります。少くとも他の農産物に関して例えば一例を挙げますとバターであるとか、チーズのごときまで物品税がすでになくなつておるにもかかわらず、葡萄糖であるとか、飴であるとか、こういう大衆の消費物資に物品税を残存しておるということは、これは非常に不当のことであると断ぜざるを得ないのでありまして、こういう権衡論からいたしまして、この際水飴葡萄糖の物品税については、これは是非速かに撤廃をしてもらいたいということを要望するのであります。  ただ最後にこの物品税の問題については先ほど冒頭に申上げましたように、ほかの物品との権衡においてなかなか全廃することが困難であるかに聞き及んでおるのでありますが、その他の物品との相互間の権衡に関しては、その判断を国会に委してもらいたい。そうして水飴葡萄糖等の物品税の廃止に関する法律案が議員提出という形で提案された場合には、これは農林大臣の言明通り速かに成立方について政府の積極的なる御協力を煩わしたいと考えるのでありますが、この点についてこれは折角農林次官にはこの問題については初めてでありますので、所見をここで伺つておきたい。
  38. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 ちよつと質問に関連して……。これは大体今飯島さんからの質問で盡きておりますが、この緊急対策の回答の一審最後でありますか、物品税の問題はどうもこの文書を読みましても、問いに答えるに問いを以つてするような感じがいたすのでありまして、砂糖等の甘味品との不権衡が生ずるから困難であるというわけでありますが、我々の言つておるのは、むしろ物品税を加えられておると砂糖との間に不権衡が生ずるというところから議論が出ておるのであつて、何か問いに答えるに問いを以てするようなことである。いもの最低生産費から割出して行つて、物品税を課すれば砂糖との関係で非常に割高になる。ですからこれを調整する意味で権衡を得る意味から物品税を廃止して欲しい。こういうところにそれは不権衡を生ずるということは何ら回答になつておらんじやないかと思うのです。物品税を外してもどうやらこうやら消費税を上げてでも、それでもいもはなかなか生産費がカバーできない。ですからこれは回答にならんということでありますのでそれに対しても一つ重ねてお答えを頂きたいと思います。
  39. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 只今飯島さん、片柳さんから物品税の問題に関しましてのいろいろ見解を伺いまして農林省といたしましては実は依然としてこれらの物品税はできるだけやめるようにいたしたいという希望をまだ捨ててはいないのであります。御回答に大蔵大臣、安本長官との五名の連名でございますので、廃止は困難な事情であるという率直な事情を申上げたのでございますが、まさしく現在のいもに対する増産対策というような点から水飴、或いは葡萄糖等の物品税に関しましては何とかしてできるならばやめたい、又やめても我々が農林省としてこれをみれば、非常に農業生産の上に効果のあつて、他にさほどの影響がなくて済むのではないかと我々は考えて、その点を実は主張して参つておりますが、その点がまだ将来の問題としてはつきりここに廃止するということが申上げかねておる段階でございますので、甚だ遺憾でございますが、今後も農林省としましても、この問題に関しましてはできるだけ物品税をやめるような方向に努力をいたしたいと考えております。
  40. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 只今の問題についてこれは折角大蔵省からもお見えですから御意見があつた一つ私の申上げた物品税に関することについて何か承わりたい。
  41. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) 只今の御質問に対してお答えいたします。今回当委員会にお答えいたしました点でなお若干不十分、意を盡しておらない点もございますので、補足しつつ現在の我々の考え方を御説明申上げたいと思います。他の甘味品にも現在課税されておりましてそれとの権衡の問題もあるし、税率も物品税の中では大体最低に属するものであるということは、まさにここに書いてある通りでありますが、ただもう一つの問題は今回の税制改正の基本方針といたしまして直接税につきましては約千億の減税を断行いたしたのでありまして、できるだけこの基本線を飽くまで堅持して行く、こういう建前に立ちましたもので、間接税につきましては今回原則として改正しない。特に最近はできるだけ直接税の負担を軽減いたしまして、むしろ間接税を増徴すべきではないか、こういうような議論も非常に強いような状況であります。併しながら間接税の税率の引上げということも酒税その他につきまして相当税率が高いものになつておりますので、この上更に税率を引上げるということは困難である。併しながら税率の引下げということは原則として行わない。こういう実は考え方を基本方針の前提といたして今回の改正に着手いたしました。その関係からむしろ物品税の中で水飴、葡萄糖に対する課税の適否ということはまさに御意見通り最も問題の存するところであります。恐らく物品税の改正その他を或る程度考慮し得るという段階に立至りました場合には、実は真先に議題となるものであるとこう思うのでありますが、ただ先ほど申上げましたように原則として間接税については動かさない。こういう建前をとつたということを、ここに書上げてありますほかに、附加えておきたい一点であります。それからいろいろ理由の中に「属するものであること等」というような言葉であとはあいまいになつておりまして、財政面につきましては大体見通しがついたから、その点については心配がなくなつたんだ。こういうふうに了解するというお話でございましたが、これは別にそごまでの気持が出ておるわけでありませんので、やはり水飴の物品税の課税を廃止することにいたしますならば、水飴のその分だけやはり現在の予算面から一応歳入欠陷を生ずるということは言わざるを得ないのではないか。それで二十七年度の水飴等から期待いたしております税収は約十五億でございまして、若しもこれを廃止いたしますとするならば、なんらかの代り財源をやはり求めなければならないという問題は依然として存在いたしております。なお、甘味品との課税の権衡、或いはバターその他との権衡の問題という点がございますが、その点は先ほど申上げました間接税を今回は原則としていじらないということのほうが、むしろ理由としては重いのでありますが、なお参考のために今回の砂糖の負担とそれから飴等の負担がどの程度になつておるかということを申上げますと、現在砂糖につきましては百斤につきまして千円、白砂糖につきましては千円の税率をかけておるのでありますが、これを砂糖消費税につきましては七百円上げまして千七百円、それから関税の関係で粗糖が一〇%を二〇%、精製糖二〇%を三五%に引上るのでありますが、粗糖の精製糖換算によります関税を百斤当りでどのくらいの負担が殖えるかという点をあらかた計算いたしますと、約六百六十円になるのであります。従いまして現在百斤当り千円の負担が二千三百円と倍額以上殖えまして、改正後の負担率は約二一・二%になるのであります。飴は最近価格が若干低落いたしましたので、従価に換算いたしました負担率は若干殖えたようでありまして、約九%程度の負担になるのではないかとこう考えます。
  42. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 只今の説明を聞きますと、ちよつとこういう感じがいたすわけでありますが、間接税は原則的にはいじらない。こういう方針についても、意見はあるかと思ますか、ただ物品税は据置いておりますが、関税であるとか、或いは砂糖の消費税は相当上げるということです。でありまするからこの関税の引上げ、消費税の引上げ、それから物品税の免除、或いは税率の引下げ、これもやはり有機的に一連的に考えて行きませんと、結局飴のほうが割が合わないということになるのじやないか。恐らくこの関税の引上げなり、消費税の引上げをいろいろ立案されたときには、まだ現在ほど砂糖の値が下つておらなかつたのでありますので、或いは大体これでなんとか均衡がとれるというようなお考え方であつたのではないかと思うのでありますが、そこで関税一本でも対外的な関係もありましようから、関税だけでこれを調整することが困難であるとしますれば、或いは消費税についていま少し高率にするとか、或いは物品税でするとかいうふうにこの三者を一体的に考えませんと、要するに結論は物品税を免除してもらつてもなお別途関税を上げ、消費税を上げても、なお砂糖と飴とは不均衡である。こういうところに問題が出ておるのである。ですから私はこの問題は、大きくいえば、これはやつぱり日本のいもを作る農業が、外国の農業とぶつかつて来ておる問題だと思います。ですから関税をこれ以上げることは、これは対外的にむずかしいのかどうか。物品税がどうしてもむずかしければ他の消費税などで考慮するというように全体で考えてもらいませんと、いもを作る農家はなくなるという危険があるのでそこのところを併せて一連的にお考えを願いたいと思うのです。その辺はどうでしようか。
  43. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) 現在関税の税率は最高が五〇%になつておりますので、砂糖につきましての関税率を三五%、精製糖は三五%に上げたわけでありますが、これ以上に上げることは困難ではないか、なおこれは砂糖の価格の引上に伴いまして、一方では菓子業者その他から非常にやかましい声も出ておりますので、砂糖の税率の引上に合わせまして、菓子につきましては四〇%に税率を引上げておる状況であります。で関税の税率をこれ以上に引上げるということは困難ではないかと考えております。従いましてあとは砂糖消費税の税率の引上、七百円を更に引上げ得るかどうか、こういう問題になつて来るわけであります。その前に先ほど間接税については全然いじらないという原則に立ちながら、砂糖などについてはいじつておるではないかというお話でございますが、これは逆に申しますと、引下を原則として行わないということで、引上も大体例えば酒につきましてももうこれ以上税率を引上げるということは(笑声)とてもこれは皆さんも御反対なさるでございましようし、ただ砂糖につきましては、今言つた皆さんからの強い御主張がございますように、いも、澱粉或いは北海道の甜菜等、こういつたものに対する影響もございますし、先ほど御指摘になりましたように、去年の六月頃一ポンド七セントくらいの価格が、我々算定いたしましたときは五セントに下つた。更に今はもう少し下つておる。こういう状況で、価格が相当に下る。従つて或る程度税率の引上をしても、消費者に対する負担がこの程度であれば大体いいのじやないか。又戦前ひと頃相当砂糖の君率の負担率というものも高い状況にございましたので、この程度の引上ならば、或る程度いも、水飴に対する考慮もし、それから又一般の消費者の負担も、現在配給価格六十八円が我々の算定では今度八十円程度になるのじやないかと思いますが、自由価格は百十円前後でもありますから、この程度ならば大体妥当な線ではないかということで、一応ここに結論を出したわけでございます。ただ問題は、水飴は單なる物品税だけの問題ではない、砂糖その他を一連として考えなければならないじやないか、こういう御意見も一応筋は立つと思うのでありますが、ただ砂糖の税率をこれだけ引上げておりますから、或る程度引上と引下と両方やれば、一層その価格はつきまして非常にいいことは間違いないのですが、砂糖のほうをこれだけ思い切つて引上げておりますから、或る程度十分とは言えないにしても、或る程度の役割は果しておるのじやないか、かように考える次第でございます。
  44. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 ですから私はやはりこの砂糖の問題は、国民一般の生活にも関係がありますから、そこで今度の案のように、関税なり消費税をこれ以上上げることは困難であろう、これ以上は困難であつて、結局物品税でやはりバランスをとる以外にない。こういうことであつて、この辺が折角ここまでやつても中途半端であつて、財政収支は合いましようけれども、関税なり消費税で財政収支は合うけれども、飴との問題は依然として中途半端な解決にしかならないのですから、上げるところと下げるところと両方で調整をとつて頂きたい、こういう次第であります。これは意見として……。
  45. 山崎恒

    ○山崎恒君 これに関連して、精製糖を今度三五%、粗糖が二〇%でありますが、この精製糖で輸入する目標がおよそ六十万トンにしてどれくらいあるか、粗糖がどれくらいあるか、この割合の見込みをお聞きいたしたいと思います。
  46. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 食糧庁といたしましては、大体精製糖は二割程度を考えております。粗糖は八割程度であります。
  47. 山崎恒

    ○山崎恒君 只今二割と八割というような目標といたしますと、粗糖をもう少し上げるべきじやないか、と同時に最近の製糖界の情勢を見ると、特に製糖会社そのものの最近の業界の状況は誠にパルプ事業と同じような状態にあるということを聞いておる。内部保留が二十数億を持つておる会社もないではない。こういうような状況で粗糖が八割来るということになりますというと、むしろ精製糖というものの三五%と粗糖の二〇%では釣合がとれないじやないか、かように思われるんですが、その辺は大蔵省でどうお考えですか。
  48. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) 粗糖と精製糖との関税率の差が一五%は少し幅が広過ぎるではないかという御質問でございますが、この点につきましては我々も要するに精製糖業者の加工費が大体どの程度になるかと、こういうことでありまして、我々のほうで直接算定するのも非常に困難なので、農林省のほうの御意見をいろいろ聞きまして、およそこの辺でいいのではないかということで、この格差を付けたわけであります。ただこの問題と離れてやはりできるだけ外貨の節約、こういうような見地から言えば、やはり粗糖を余計入れたほうがいいんじやないか、こう考えるのでありますが、ただ格差の点については相当技術的な細かい点もありますので、農林省の御意見を伺つた上で大体およそこの辺でいいのではないかということで、きめた次第であります。
  49. 西山龜七

    ○西山龜七君 私は政務次官農政局長、食糧庁長官に御意見を伺いたいと思うのでありますが、十数年戦争以来食糧の欠乏と甘味がないためにいも作が非常な発達をいたしまして、それに俘つて澱粉、それから飴工業が非常な増産発達をしたことは御承知だと思います。砂糖が自由に輸入できるようになりましたがために、どうも十数年間ずつと来たけれども、政策を変えざるを得ないような環境に押込められて来た。つきましてはどうも先ほどの政務次官のお話を聞きましてもいも作というものに対しましては、どうしても減産をしない、これはどうしても将来大いに増産をしなければいけない、こういうような気持は聞きますが、併し澱粉業と飴に対しましては言明はなされませんけれども、どうもこれは大勢止むを得んじやなかろうかというようなものが農林省全部にありはすまいかと、かように私は想像せられます。併し私はこの澱粉業は農村工業の一環といたしまして、どうしても現在の澱粉業の維持育成をして行かなければどうしてもいけない、かような信念を持つのであります。従つて澱粉工業を維持いたして行きますには、どうしても飴というものがそれに関連をして来るのでありますからして、私は澱粉工業が衰微いたしましたならば、必ずやいも作が衰微して来る、かように思うのであります。故に私は是非ともこの澱粉工業は現在の工場を永久に維持して行くという基本的の方策を立てて頂かなければ、結局いも作の減産になると思います。どうもずつと澱粉と飴の問題につきまして現在までいろいろこの論議を交されますときに、何か知らん私はそうは言明をいたしませんけれども、これは大勢止むを得んというようなものがありはすまいかというように思われますので、この機会政務次官なり農政局長、又食糧長官といたしまして、この澱粉工業と飴工業に対しまして、どういうお考えを持つておるか。その点をお伺いしたいと思います。
  50. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) いもの問題に関連いたしまして澱粉工業を活かさなければならんという点につきましては、これは決してこの際澱粉工業はもう止むを得ないものであるというようなふうには考えておりません。先ほど申上げましたように、何とかして澱粉及び、その二次加工の製品が或る程度の価格維持ができ、或いは又消費が伴つて、いわゆる需要供給が調整され、農村工業としての健実な地歩を保つて行くようにいたしたいと考えて、あらゆる施策を講じたいと考えておるのであります。従いまして水飴、澱粉その他の問題につきましては、今後とも農林省としましてはあらゆる努力を拂う考えでございます。なおここに附加えて申上げますが、これは甘藷に対しましての増産と、国民食糧としての甘藷の問題に関しましても順次甘藷を日常の食糧として食べる率が少くなつて来ておる。又二次加工によつて作ります水飴等に対しましても砂糖の輸入等が順次順調になるに従つて、水飴に対する需要が全然減るというようなことで、今日順次価格も低落して参つておるわけでありまするが、農林省としましては、これはひとり水飴等にのみ頼ることは、これは危険であろうと思うのであります。或いは又澱粉という形によつて、国内の消費と或いは又国外への輸出等によつても、これを澱粉加工するということのみを以ては、これはなかなか容易でなかろうと考えております。ましてや相当の、少くも十五億万貫というような非常に大量のいもを生産しますためにも、これはどうしてもやはり大いにこれを煮て食べるとか、或いは又これを家畜の飼料その他の方面にもより一層積極的にこれを利用する途を考えなければならんと思うのでありまして、これを煮て食べるということに対しまして、漸次食糧事情の好転によつて米を食べる、或いはうどんを食べるということにだんだん変つてしまい、消費量が減つて来るというようなことで、その代替としまして澱粉加工にのみ依存するというふうなことは、これはいもの問題を根本的に解決する途ではないのであります。政府で現在水飴等の対策としましていろいろと苦心をしておりますが、その点だけを以て、いものすべての問題が解決されない。要は国内におけるいもの消費をより一層殖やす、又いもの増産によつて畜産振興され、或いは酪農が大いに盛んになる。それによつて乳製品その他によるところの問題が解決をされて行くといつたような、あらゆる角度から考えてみなければ、今日いもの問題は根本的には解決はつかないと考えておりますが、まあ当面の問題といたしましては、何とかして澱粉工業等については、できるだけの措置をいたしまして、この工業が立つようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  51. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 澱粉の食糧という観点から問題を私は省きまして、私ども所管関係のことだけ申上げますけれども只今政務次官から詳しく御説明がありました通りで、私が附加える必要がないようでありますが、一、二申上げますと、一つは澱粉工業が存在し発達するということがいも作を発展させ、又維持する主因であるということは申すまでもないことであると思います。もう一つは澱粉工業というものは農村工業として重要なウエイトを占めており、又協同組合として重要な位置を占めておりますので、そういう工業を育成しまして農村工業乃至協同組合の発展を図るという観点から、私どもは澱粉工業の維持育成ということについても重大な関心を持つておるのであります。その点につきましては、これはいろいろ澱粉乃至その加工品といつた問題に関しまするいろいろな経済條件を、或いは金融なり或いは税制なり、そういつた面について澱粉工業が十分成立つように図つて行くといつたような点に、当面の施策の重点があるのではないかというふうに考えております。
  52. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 食糧庁といたしましては、主要食糧が非常に需給が逼迫いたしました場合に、甘藷、馬鈴薯その澱粉等が相当国民食糧に役立ち、又家庭におきまして澱粉業等が相当発展をいたしましたために、一時主要食糧等の需給が緩和いたしまして、いもの統制を撤廃いたしました際に、比較的混乱なく済みましたことと存じまして、我々は実は安心をいたしておつたのであります。砂糖等の需給が緩和いたしました場合に、やはりいもは相当澱粉の需要があり、水飴等の、澱粉の需要から成立つてつた産業が、砂糖等に置代つたという場合におきましては、我々としましても相当これは国内の今後のいも作、澱粉業、水飴業という観点におきまして問題になることは承々実は承知いたしております。この問題は砂糖価格、そういうものと澱粉価格とを比べてどうなるかという問題につきまして、いろいろ検討をなされておる面におきまして我々も砂糖を所管いたしておるものといたしまして、愼重を期して行きたいと実は考えております。水飴は何から作るかということにつきましては、絶えず、澱粉価格と砂糖価格、澱粉の原料でありますいも価格関係等につきましては、日本の国産である澱粉業及び甘藷、馬鈴薯の価格の安定されることを念といたしまして考えて行きたい、こういうように思つております。
  53. 加賀操

    ○加賀操君 政府から御回答になつたこの対策の緊急の分につきましても、輸出を除くのほかは殆んど消極的で、積極的なものがないわけです。只今も次官からお話がありましたから、その点につきまして具体的にお尋ねして見たいと思いますが、先ほど山崎さんが五千万貫くらいの澱粉が残つておる、こういうお話がありましたが、これを処理することが最も緊急対策だと私は存じております。その点につきまして日本が過去において経験をしているやり方をもう一遍やることががいいか惡いか、こういうことをお尋ねして見たいと思いますが、戦時中、戦後に小麦粉に二割程度の澱粉を入れたわけです。それを今概算ですからわかりませんが、大体入れますとなんぼ少く見ましても二千万貫ぐらいは小麦粉の中に入れられると思うのです。それは高級なパンだとかには入れませんで、うどんだとか或いはお菓子の原料だとか、そういうものを入れましても最低二千万貫ぐらいは使えるのじやないか、こう考えておるわけです。そうするとそれを、輸入から考えますると、小麦粉がそれに相当するだけの量が減るわけであります。従つて補給金も減ると思うわけであります。そういうのを勘案しまして、小麦粉の中へ澱粉を入れることを政府のほうでお考えになつておるかどうか。これは経済的にも現在の澱粉の緊急対策としても両方からお考えになつておるかどうか。又これができるかどうか。できるなれば非常に仕合せですから私はやつて頂きたい、こういう希望を持つております。  それから次にこれは戦時中、戦後事情が変りましたから何とも申せませんが、私たちが経験しておる戰前におきましては、澱粉の大きな用途は繊維用の糊だつたわけです。それがいろいろな理由で変りまして食糧になり、或いは砂糖の代用品に変つた。次官から只今回答を頂きました中に輸入をやめる、こういうことがありますので、そうすると繊維用の糊もおやめになるかならんかははつきり書いてありませんからわかりませんが、特定の高級な糊以外のものは私はもう輸入しなくてもいいだろうと思います。只今の澱粉で糊になるという見当はついております。従つて政府のほうでは早急に何らかの方法をお考えになりまして、澱粉を糊のほうに使う、こういうことをお考えになつておるかどうか。これも是非各省間で業者のほうへ使つてくれるように御勧奨願いたいと思います。この二つは、私は積極的に考えて頂いて、今の五千万貫の澱粉の滞貨を処理するのに役立つのじやないか、こう考えているわけです。  それから今度は積極策のほうでありますが、これは私の考えが言い過ぎかも知れませんが、只今次官が、おつしやいましたから申上げますが、今までいもは生で食えばいいのだ、こういう考えがかなり強いのじやないかとこう思つております。従つてこのいもの利用に関しまして国としての研究が非常に遅れているのじやないか、こういう気がするわけです。従つていもの産地におきましては県がみずからいもの研究所を作りまして研究をやつているわけです。こういう点を見れば国のほうが遅れておりますし、只今西山さんからお話がありましたが、私が見ますと、日本の澱粉の工場というものは非常に規模が小さいからかも知れませんが、全く農村工業の中では一番幼稚なものではないか、こういう気もするわけです。で、こういう点を考えていまするし、又いろいろ政府のかたがたとも話合つて見るのですが、何かこの利用法につきまして失敗もあつたと思いますが、先入観念が強いような気もいたしますので政府のほうでも一つこういう考えをとつて頂いて、新らしい角度一ついもの利用を御研究願いたいと思う。一例をとつて見ますが、長崎県でいも米を研究されているので、これは周知の事実なんです。これを科学的に見ますと、長崎のいも米の機械は、私から見ますれば二つのところに特徴がある。一つの特徴は、いもを摺つてその汁に石灰を入れる、こういうわけです。これは石灰自身が漂白作用を持つているし、又酸化酵素も殺し、樹脂のような粘りつくものを固形化いたしますから、次の遠心分離機を使う場合に非常に能率が上がるわけです。こういうことは余り余計やつていないのでありますが、こういう点は非常に今後の澱粉の工業に対して役立つものだと私は考えております。又一例をとつて見ますれば、北海道で新らしい遠心分離機を使つておりますが石灰を入れないために、遠心分離機の中へ布を入れてあるわけです。そこで樹脂のようなものをとつているというわけです。とろがそれを石灰で固めますとそういうものは一つも要らん、こういうことになつて来るわけであります。それからもう一つの特徴は、その米の形になつたやわらかいいも米を二秒か二秒半熱をかけているわけです。これが非常なこつでありまして、そうしますといも米の表面がアルフア澱粉に変つて膜を作るわけです。中は依然として普通のベーターの澱粉です。ですからこれを乾燥しておけば、アルフア澱粉の薄い膜ができておりますから水分を吸收しませんし、いろいろな虫にも食われないわけです。それを炊く場合には、中がぺーターの澱粉ですから直ぐやわらかくなる。こういうような非常な特徴を持つておりますので、これはいろいろな点において私は今後のいもの利用に対して大きな貢献をしている、こう考えているわけであります。これを経済的に見ますと、例えば、長崎県は、これは特徴がありますので全国的には言えませんが、これが対馬のような所へこのいも米を持つて行くということは非常にいいことであります。それから私の最も自信のあるのは、米及び小麦粉を使つている製菓業者の人にこのいも米なり、或いはいも米を粉にしたような物を使つて頂ければ、これは繊維が入つておりますから、十分膨脹いたしますから、これだけでも明らかに米と小麦を助けることになる。こう考えておりますので、私はこういう点を考えて見まして、一つ政府のほうで考え方を変えられまして、こういう基礎的な将来の研究の基礎になり、それによつていろいろな研究が導かれるような研究を是非次官のところでお考え願つて育成して頂きたいと、かように考えます。その点どういうふうにお考えになつているか。一つお導ねすると同時に希望を強く申述べて置く次第であります。
  54. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今の加賀委員の御質問に関連して私からちよつと希望を申述べたいのでありますが、その一つは先ほどのこの物品税の廃止について、大蔵省当局からはこれは直接税を軽減するという基本方針で、間接税は減額をしないという、そういう一種の税体系といいますか、税制体系で進みたいというお話がありました。私はこれは非常に異論があるので、この前にも昨年のたしか当委員会でこの問題が検討されたときに私見を開陳して置きましたが、直接税の場合は、現下の日本の税金の條件から言えば、成るべく下げなければなりませんが、それは下げることには異論がないのでございます。下げなければならないけれども、直接税の場合にはその所得に応じて問題が決定するわけでありますが、間接税の場合は、勢いこれは大衆課税になるので、曾つて昭和十年頃大衆課税反対の非常に大きな国民運動が出たことがありますが、今種々なる財政上の理由から間接税に重点が移行するということは非常に大きな問題だと思うのであります。特にこの葡萄糖とか水飴等の消費階級は、むしろ大衆的な階級であるし、又この問題に限定しなくとも、大体この間接税というものは大衆課税の性格を持つので、税制体系全般として私は非常に議論があるのであります。併しこれは当委員会というよりもむしろ大蔵委員会或いは予算委員会で論議することでございましよう。私は深くは今日は申上げませんが、つまり直接税よりも間接税増徴に重点を置くというこの税制体系というものはもう一度十分御検討願わなければならないと思うのであります。  それからその第二は今加賀委員からお話になりましたこの澱粉、澱粉といいますか、いもの第二次加工の用途等についてでありますが、これは特に当農林委員会で何回も前に申上げた通り甘藷米、甘藷による代用米であります。この工業化を徹底的に政府が考えるならば、このいも作問題の解決なんか何でもないことだと思う。私は農林次官と同様にこの澱粉問題だけでいも作の問題が解決できるという考え方をしておつたならば、必ず過日又ほかの條件が出て来たときに、もつと更に困難なる地位に追込まれると思いますので、できるならばやはりいも作全体を安定させるような大きな方途が行われなければならない。そうするとやはり日本で年間千数百億円も外国食糧を輸入しておる際でありますので、できるだけこの甘藷から代用米を作るというような工業を積極的に政府が援助せにやならんと思うのであります。幸い長崎県では県庁がこの問題について計画を立てて、今農村工業の一環として政府に何らかの助成方を申請しておるようでありますが、とにかく手数百億の食糧を輸入することを思えば、三億や五億の研究費なり助成費を出して或いはもつと多ければもつと結構でありますが、出して積極的なそういういも作農業の育成のみならず、日本食糧問題全体の解決という根本的な問題も併て政府は考えて欲しいと思うのであります。併し当面のそういう恒久的な対策のみならず、当面の問題として先ほど申上げましたように、物品税の全免等に十分の配慮が要るわけでありますが、恒久的な問題として以上申上げた、加賀委員からもお話のあつたような点を十分政府一つ検討願いたいと思います。なお、いも米はすでに代用というような考え方から遥かに発展いたしまして相当立派な農村工業として進展する段階になつておりますので、政府が本腰を入れるならば、十分問題の解決に役立つと、こう考えるわけであります。先だつて農林大臣、大蔵大臣、安本長官等に私個人としては若干の意見を申述べておきましたが、できる限り政府食糧庁長官農政局長等もおいでになりますので、そういう関係部局におかれてももつと熱意を入れて一つ検討を願うならば、この問題全体の解決に非常に役立つのではないかと、こういうことを希望として申上げておくわけであります。
  55. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 只今加賀さん及び委員長からいもの問題に関しましての高邁なる御識見を伺いまして、甚だ欣快に存ずるのであります。澱粉の利用の問題につきまして先ほど加賀さんから小麦粉に混入することによつて、現在の滞貨しておる千万貫のうち相当数量を消化し得るのでないかというお話でございまして、この点に関しましても早速検討いたしまして、できるならばこの方法を採用いたしたいと考えております。それから輸入の糊の問題でございますが、仰せのごとく万止むを得ない高級のものはいざ知らず、できるだけこの国内における澱粉を使用するということにいたすことが我々の念願でございます。さようにいたしたいと考えております。  それから我々は子供の当時から大いにいもを食つてつて来たわけでありますけれども、なお積極的に加工した形でいもを大いに食べるという問題が何としても一番いもの消費についての根本的な解決であろうと思うのでありますが、只今指摘のような、例えば長崎県におけるいも米の問題でございまするが、我々は前からこの問題はいろいろと聞いております。これは国内における現在の輸入食糧に非常に依存しておるという事情等を考えますときに、何とかして輸入を少しでも減らすようにしなければならん。そのためのあらゆる政府の施策を凝らして、食糧増産のための土地改良、或いは又農業のためのさまざまな施策をやつておるわけであります。最も身近なその問題の解決に大きな力を持ついもの問題について従来やや積極性を欠いておつたということに対しましては、政府といたしましてはこの際大いに反省をせざるを得ないと考えております。御指摘のように何とかしていも米の研究等に対しましてもできるだけ助成その他の方途を講ずるように直ちに研究を進めることにいたしますと同時に、ひとりいも米のみならず、現在貴重なる米を潰して酒を造つたりしておりますが、單なる食糧としてのみならず、いろいろな工業原料等にも使つておる澱粉でありまするので、多少の困難はあろうと思いまするけれども、成るべく澱粉等によつてそうした酒その他の消費の方面も解決がつくならば、この際積極的にそういつた研究或いは助成等をも考えなければならんのじやないかと考えております。いずれにいたしましてもいもは我が国における食糧問題中最も重要な問題でありまして、真にいもの問題が解決するならば、およそ日本における食糧問題は一気に解決ができると、実は参議院の河井先生などからもしばしば私は伺つておるのでありまして、非常に実は共鳴をしておるわけでありますし、いもに関しまして今後一つ特段の力を注いで行きたいと考えております。
  56. 山崎恒

    ○山崎恒君 政務次官から非常に力強いお言葉がありまして非常に意を強うするのでありますが、いもの問題は只今政務次官のお話で十分この問題を取上げて研究したいというようなお話でありますので、この際希望として申上げておきたいのでありまするが、もういもの要重性は申上げるまでもないのでありますが、三百万戸の農家、而も六十万町歩の面積を耕作しております現状でありますから、いもに限つての研究所があつても差支えないだろうと思う。而も現在いもの処理が各般に亘つての工業面にも使用されておるというような点から行きまして、国内資源のよりよき今後の向上と、農家の経済等とを考えて、このいもの処理研究所というものが一つぐらいあつても差支えないじやないかと、かように思いますので、只今政務次官のお話は、軍に委員会での答弁として処理せずに、一つみのるように、ここで確乎たる方針を立てて欲しいと思います。而もこれは農業政策上、このいもの耕作農家をマイナスしては、日本農業は現存では立ち行かない。又直ちに転作する何ものもない。南京豆を作つたくらいでは、これは一部分でありますので、一つ、この問題を重要税して立案して頂きたい澱粉の恒久対策としても、又当面の緊急対策としても、この問題を一つ……只今重要な、力強い御答弁があつたのでありますが、この問題を沢く委員会において省内で一つまとめた案を御発表願いたいと、かように思いますので、その点を希望を附しておきます。
  57. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) いもの研究について政府が積極的に進めることにして欲しいという御見解でございまして、先ほど来申上げましたように、いもの問題はまさしく当面の最も重大な問題であろうと思います。従いましてこの委員会において先ほど申上げたことは決して思いつきでも何でもないのでありまして、政府が特にいもに重大なる関心を持ち、今後必ずいもに対する対策を十分練りまして、いずれ時期を改めまして委員会にお諮りいたし、御協力を頂きたいと思うのであります。
  58. 森八三一

    委員外議員(森八三一君) 山崎委員その他から詳細な御質問もあり、農林行政には特別に御精通になつておられます政務次官から非常に詳細な御説明までありましたし、貴重な時間でもありまするので、二、三の点について希望を述べて政務次官の御所見をお伺いしておきたいと思います。  最初に現在の食糧事情、更に非常時を考えますることはどうかと思いますが、そういうような場合を考える場合に、いもの持つ役割は非常に大切だからこのいもの生産増強については全力を挙げて善処をしたい。その一つとしていもの価格については、十分生産が可能であるがごとき姿にこれを対処して行きたいという御見解の表明がありまして、甚だ意を強くし、感謝をいたしておるのでありまするが、そこで一体現在の経済事情下におきまして、次官のおつしやる価格の面からいもの生産維持、増殖して行くという方針を具体化する場合に、いもの価格一体どうお考えになつているかということを一つ先ずお伺いいたしたいのであります。我々が聞いておるところでは、対米価比率からこれを求めますると、現在の七千三百円の米価に対しましては、おおむね一貫目のですの価格で、甘藷で申しますれば二十八、九円程度になると承つております。これを本年度の予算に、政府の示されておりまする明年度の農業パリテイー指数二五五というものにおいて考えますれば、三十円強というような価格になるのではないか。恐らく次官のおつしやいまする芋生産維持増進して行くために、価格的に十分考えて行こうとする狙いは、この程度の価格基礎として考慮されておるというように私は理解いたしまするが、そういうことであるのかどうかという点が先ず第一であります。仮に三十円前後に芋の価格を置いて、これを維持いたしますることによつて、芋の生産を更に増殖確保するということを考えまする場合に、お話にありましたように、砂糖の問題だけを考えるということだけでは、到底この問題の解決はできんと思います。思いまするが、砂糖の関連が重要な部面を占めておるということは否みがたい問題であろうと思います。それがために、農林委員会におきましては全会一致を以ちまして、過日三大臣に申入れをされ、その回答が出て参つたわけであります。そこでその回答を中心に先刻からいろいろ御質疑があつたのでありまするが、それに対しまして、政府所有の砂糖は、これを市価に急激な変化を與えないように平均出荷をして行くのだ。更に海外から今後入つて来るであろう輸入砂糖六十万トンに対しましては、極力外貨の割当等考慮いたしまして、これは又急激に厖大な数字が国内に搬入せられまして、砂糖価格に影響をし、それが延いて水飴、澱粉等に惡影響を持たしめないように善処すると、こういうお話でありまして、この点よく理解はできます。できまするが、政府手持の砂糖の放出を澱粉なりいも価格が、水飴の価格維持せられるようにまでお考えを願い、輸入する砂糖の数量についてもそういうお考えを持ち来たせる程度にまでお考えを願うということになりますれば……。今日の経済新聞産業経済の報ずるところでは、ニユーヨークの砂糖市況が百七十一ドルということでありまするので、それから計算をいたしますると、相当の多額な利益を輸入のことに関連を持ちまする特別の商社と申しまするか、或る一定の業者だけが利得をするという結果にならざるを得ないと思うのでございます。そういうことは社会政策的に考えましても好ましい姿ではないと思います。といつてそれが自由に放任されますれば、安い砂糖が入つて来て困るということで、我々がお願いを申上げており、希望をしておる澱粉なり水飴の価格に惡影響があり、延いていもに及ぼすと、こういうことでありますので、この辺の調整をうまくやつてもらわなければならんと思うのであります。それがためにこれは変な質問になるかも知れませんが、次官の属しておられまする自由党では、すでにこういうことを十分御研究になりまして、我々が最も好ましいと思われるような対策をして、砂糖の統制を廃止するということはよろしかろう。併し統制が外れても特別会計を存置して、その運営によつて価格調整維持をするのだということを決定をせられておるのでありまして、若しそういうような方途が講ぜられるといたしますれば、今申しましたように水飴価格に好影響を結果するようなことが行われつつ、特別な利得が特別な方面に與えられないという結果が生じ、それが一つの財源となつてしばしば皆様がらも御質問があり、すでに廣川農林大臣も確言をせられており、水飴の物品税等が財源の問題で困難であるとすれば、そういう問題をも解決し得るという結果が生まれるのであつて、いわゆる一石二鳥の効果を狙うことになると思いますが、そういう点について一体どうお考えになるかという点を第二にお伺いをして見たいと思うのであります。  第一の点は、いもの価格一体どこに考えておやりになつておるか。第二の点は、いろいろ御心配願つておりますることは全く理解できます。できまするが、御心配になつていることを端的に行なつて行くといたしますれば、そこに経済事情としては変な関係が巻起つて来はせんか。そういうことでは困るので、それをうまく防いで行くためには、かねてお考になつているようなことを具現して頂くことは非常にいいことではないか。もつと端的に申しますれば、実質的には或る程度の統制を保つということになるかも知れません。形式的には統制を廃止するというような対策がとられて然るべきではないかというように思いますが、そういう点についてどういうようにお考えになつておりまするか。その点を一つお伺いをいたしたいと思います。  それから現在の手持の澱粉約五千万貫というものをこの際処理するのは、当面の対策としては非常に好ましいというお話が皆様からございました。それで一つの方策として小麦粉に混入するような方法を一つ考えて見たらどうか。そして次官は、非常に結構な話であるので、十分研究して善処したいということでありますが、現在の澱粉の価格から申しまして、そういうことが可能であるかどうか。私も十分研究は済んでおりませんが、焼酎原料等に使うということになりますれば、その際現在でも我々の要求する澱粉二千五百円程度を維持するということにおいて、その工業は十分成立つて行くとこう思うのでございます。而も焼酎はその要求する面というのは澱粉を要求するのでございますから、澱粉を当てがうということは非常に好ましい姿だと思います。ただ併し澱粉アルコール工業だけを真直く見て行けば、加工したものを使うよりは生のものを使つたほうが採算はいいに違いありません。違いありませんが、引合わんということになりますれば、又この際相当な勧奨を願いますれば、引合つておる焼酎製造等に一千万貫程度のものを消費せしめるということは、採算上も不可能の問題ではない。殊に酒類の醸造は免許制度でもあるわけでありますが、政府の勧奨は相当威力を発揮し得るのではないかと、こう思いますので、そういう点について御善処が願いたいという点を第三にお伺いしたい。  第四は、先ほど金融問題で切実な問題があり、今後は善処するというお話がありましたが、この問題は二月七日に廣川農林大臣にお会いいたして、時間的に非常に切迫しものであります。というのは、現在澱粉は大部分でき上つてつて、この澱粉を金に換えなければならん段階に入つておる。そのときに山崎委員からもお話がありましたように、農林中央金庫から日銀の斡旋によつて商工中央金庫に五億八千万円の金が融資されておる。その五億八千万円の金がもう遠からず回収の時期に入つている。その相当部分は、二月末で回収期限になつているのであります。若しこの商工中央金庫から業者に融資されておる金の返済が順調に行かんということになりますれば、明年の澱粉製造に非常な支障を来たすということになりまするので、商工中央金庫としては是が非でも農林中央金庫に返済しなければならん。返済しなければならんものは、商工中金の現在の実力をもつて回收をしなければならんというはめに追い込まれておるというために、結局業者から回収するということを非常に強く追られておる。そうなりますると、我々は政府の施策の推進を期待しつつ、この際できるだけ我々業者自体において投げ売りをして、みずから価格を崩壊せしめていくというような愚はとりたくないというようなことで、平均売りを奨め、関係農業協同組合におきましても、工業協同組合におきましても、そういう気持で対処願つておるのでありますが、資金の引合いで非常に急になりますると、そういうような我々の民間においてでき得る力でやろうとしておる価格対策というものは、おのずから壊れて来るという結果になり、現にそういう兆候が見えつつあるのであります。そこで農林大臣は今日にも日本銀行へ行つてすぐ一つ話をして、君の言うことは尤もだから、一応対処をしようというような、これは私的会見でありますがお話がありまして、私はその点を非常に心強く期待もし心待ちをいたしておつたのでありまするが、今日まで具体的なそういうような現われがちつとも出ておらんということを非常に遺憾に存ずるのであります。この問題は今後研究してどうこうという問題でなしにもう時間の問題でございまして、これは急速に一つ解決をしてもらわなければならんと思いますが、どういうふうに一つ具体的にお取運びが願えまするか、その点をお伺いいたしたい。  第五には、先刻糊の問題でございましたが、実際糊用として現在かなり相当数量が輸入をされておるのでございます。而もそれが糊に使われておるならばこれは一応問題はありませんので、そのために外貨を使うことはよかろうと思いますが、糊と称して輸入をしてそれが綿布製造の工場から逆に水飴工場に流れて、それが国内における澱粉を圧迫しておるという事実が存在していることは、はつきり申上げていいと思うのです。ただどこの工場でどうこうということはここでは差控えますが、そういう事実のあることを申上げまして御善処を願うと同時に、今後むしろ糊用として輸入するがごときは、絶対に禁止をするということまで強くお考え願つていいのじやないかと思いますので、それに対する御所見をお伺いいたしたいと思います。  それから最後に、物品税の問題で、これはまあ十分論議は盡きておるので下ございますが、消費税を現在は最終価格のうちに二〇%くらい含むという計算になる。でこれ以上に上げることは如何かと思うというようなお話でございましたが、私どもの計算によりますると、戦前における砂糖の最終価格のうちに占めておつた税の額は消費税だけで三〇%以上に相成つてつたと思います。今大蔵当局のお話は消費税と今度値上げになる関税とを含めて、二一%ということでありました。戦前のそれに比しますれば、なお相当低位にあるということでありますので、戦前のそれと今日を比較しますのはどうかと思いますが、戦前と対比いたしますれば、なおこういう方面で加重いたしましてもそれは不当なものではないのではないか。それが及んで水飴、澱粉の価格維持に面接貢献を及ぼすということであれば、具体的に御考慮を願つてもいいんじやないか。それが財源となつて一方に要求される水飴物品税が廃止されるということが、一応この問題を解決する好ましい姿であると思いますが、こんな点はどうお考えになりますか。以上六点につきましてお伺いをいたしたいと思います。
  59. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) いもの価格でございますが、この点に関しましては、いろいろと検討を加えておるわけでありますが、できるだけ高く生産者の納得の行くような価格に安定さしたいと考えておるわけでありますが、目下のところどうしてもこれは余り高くはできないようであります。御指摘のように大体三十円程度の生いもが、三十円程度というところが……、それ以下にはさせないという考えで進めておるわけであります。まあいもの価格が三十円では引合わないという又御議論もあろうかと思いますけれども、御承知のようにいもにつきましては、できるだけ生産コストを引下げ、いもの栽培技術等によりましては反当千貫も困難ではないと言われておるわけでありますが、現在全国的に見ますというと、存外生産は低いのであります。できるだけ生産を引上げるような技術の向上、又同時にいもを穫つたあとのいわゆるいもの蔓でありますが、あのいもの蔓に対する利用という面も、酪農でもやつております農家にとりましては、何より貴重な、家畜飼料としては非常に価値が高くこれは利用されておるわけでありますが、それらにつきましても、長く貯蔵するためには当然サイロ等の設備によつて、いものいも蔓の利用がより合理的に集約的に利用せられるようでなければならん、そういつたようないわゆる日本における営農形態を合理化し、これを高めて行くといつたような問題まで関連しなければ、胆にいもがどうこうというだけではこれはいけないと思うのでありまして、我々としましてはできるだけいもの値段は或る程度のところでこれを価格維持するように努力をいたしたいと考えておる次第でございます。  それから二番日の砂糖につきまして、特別会計によつて価格調整を図り或いは又輸入業者等の不当な利得等が若しあるとすれば、これはむしろ特定のものに不当な利得を出すべきではない。むしろ政府が特別会計によつてこれを賄つたらいいじやないかという御議論でございました。これはいろいろと目下検討中でございまして、できるだけこの問題については合理的な方法を採用するように努力をいたしたいと考えております。  それから手持の澱粉の処理に関しましての問題でございますが、先ほど来いろいろと麦に混入する等の問題もお話ございまして、これは検討したいと思いますが、現在の価格の面で果してそれがどうかという問題につきましてもこれは十分一つ検討いたしまして、手持澱粉を大いに処理するというようにいたしたいと思いますが、特に焼酎等につきましてはこれは早速一つ具体的に考えて、できるならば御指摘のような点で、澱粉を少しでも処理するように努力をいたしたいと考えております。  それから商工中央金庫から融資しておりますところの五億数千万円の資金に関しましては、先般いろいろと交渉いたしました結果、差当つて二月一ぱいで返せという分につきまして、これを延納してよろしい、延納についての了解が成立いたしまして、大体これはそういつまでも返さんでも困るということで、五月ぐらいというようなお話のようでありますが、これらはいろいろと事情を申上げまして連絡をとるつもりでおりますが、一応差当つての延納は了解済みであるという点を御了承頂きたいと思います。  それから糊の輸入につきまして、これは国内でたくさんあり余つているものを何も輸入する必要はないわけでありましてそれが輸入されておるものがあべこべに糊に使われずに水飴の業者べ廻つて来ておるというような事実がありまして、甚だ遺憾でありまして、さようなことであるならば、早速通産省の当局と連絡をとりまして、糊としての輸入は一つやめるようにという点で早速一つ連絡或いは検討をいたしたいと思つております。  それから税金の問題等につきましては、先ほど来申上げましたようなわけで、できるだけ水飴澱粉等に対する負担を軽減すると同時に、砂糖との値段のまあ調整を図るように努力をいたしたいと思う。御指摘のような点につきましては十分検討いたしまして、御希望に副うように善処いたしたいと考えております。
  60. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 亀徳調査課長から補足説明があるそうでございますから……。
  61. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) 先ほどの負担率の二一・二%と申上げましたのは物品税の関連におきまして申上げましたので、砂糖消費税だけを含めました場合の負担率を申上げましたのでございますが、関税を含めますと、関税のほうから八・二%で、関税の分をこめまして総計いたしますと、二九・五%となつております。それから戦前は今御発言がございましたように、たしか三〇%前後の負担率になつております。但しその頃は台湾からの砂糖でありまして、その場合関税はかけておりません。大体その頃の負担は二九・五%でございますから、同じ程度という考え方じやなく、先ほどの二一・二%のほかに関税が入つております。関税を入れました場合に二九・五%になる。その点補足説明しておきます。
  62. 森八三一

    委員外議員(森八三一君) 只今次官のお話で大体了解いたしましたが、私が第二に申上げました水飴澱粉等に惡影響を及ぱさないように非常に誠意を以て放出なり、輸入に対処願う、その結果生ずるであろう欠陷を是正するために、お考えになつておりますようなことを急速に実現して頂きたいという希望を申上げるのでありますが、この点につきましては十分研究をして今後対処しようというお話で、そのお気持の点は十分理解できるのでありますが、すでに四月一日から砂糖の統制を全面的に廃止するということが新聞に出ておりますし、大体そういうような心がまえで一般も考えておるようでありますので、一旦自由になりまして、あなたの心配しておるような具体的な経済事象が現われた上に研究が進んで対処願うということになると、非常に経済的の混乱を生じまするし、気分の上でもそぐわんものを生みますわけでありますから、でき得ますならばそういうことについて諸般の対策はつきり立てまして、大丈夫というときに砂糖の統制を本格的に廃止して頂くということが、過去の我々の体験いたしました肥料なり、或いは油脂について統制廃止後におけるいろいろ問題を考えますと、この際特に愼重にやつて頂きたいという希望を持たざるを得ないのであります。そこで四月一日の統制廃止という点につきまして申上げましたところの欠陷をどうして防ぎ得るかという見極めの確定いたすまで、必ずしも四月一日ということをそう強行しないでもいいのではないかという感じを持ちますので、そういう点につきましては山崎委員からも御質問があつたわけであります。諸般の準備を本当に考慮して何ら問題が起らないという見極めをつけた上で、砂糖の廃止という問題に対処して頂きますよう重ねてお願いを申上げます。
  63. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 御指摘のように愼重を期したいと考えております。
  64. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 大分時間も経過いたしましたのでこの問題はこの程度にいたしたいと思います。いろいろ検討しておる過程に感じたことは、やはり恒久対策とは別に、当面の問題はやはり過剰澱粉の対策、滞貨処理の問題が中心のように考えられますので、先ほど来各委員からそれぞれ用途別に過剰澱粉処理の御意見が開陳になりましたが、政府としてこれだけの大量の過剰澱粉を何か積極的に他に転換ずるような方策ありや、一つ真劍に御検討願いたいと思いますので、私からも希望を申述べておきます。  それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後四時四十四分散会