○
政府委員(
高橋衛君) 御
承知かと存じますが、農業所得に関しましては、各
農家で正確な帳簿をつけ、青色申告をしておられるということが極めて少いのでございます。従いましてどうしても所得の
調査という面からいたしますると、
一つの
基準を作りまして
基準で以てその人の所得を推定しで行くという
方法をとらざるを得ないのが実情でございます。従いまして国税当局といたしましては、大体各市町村別に農業につきましての標準率を設けまして、そうしてその標準率は公開いたしまして、それぞれ御意見を伺い、その標準率に基いて反別並びに収穫石数を推定いたしまして、それによるところの所得額の算定をし、それに基いて申告をして頂いておるのであります。従
つてそういうふうな計算の
方法で、各反当りの収穫量を定め又、各石当りの所得額というものを見ておりまする
関係上、超過供出又は匿名供出がありました場合におきましても、その人は一応は保有米等から供出をしておられると推定するのが妥当であろうというふうに
考えておるのであります。従
つて実は昨日十三日の目附を以て各末端まで誤解のないようにという
趣旨を以ちまして、私の名前で通達を出しておるのでありますが、その通達によりまして匿名供出の事実がありましても、その事実によ
つて当該
農家又は当該市町村の
昭和二十六年産米の収量の増加を課税上特に入れ込むことは行わないということをはつきりいたさしておるのであります。その
趣旨は
只今申上げましたように、もともと標準率に基きましてそういうふうな推定の
方法をと
つておるという建前からいたしまして、所得の算定上、超過供出又は匿名供出等がありました場合においても、算定しないということが当然の
措置であろうと思うのであります。
それから第二といたしまして、
昭和二十六年産米に対するところの匿名供出等にかかるところの奨励金というものにつきましては、実は従前は超過供出奨励金という名前を以てはつきりと出されてお
つたのでありますが、今回は集荷委託費という名目を以て支出されることに相成
つておるのであります。又その支出の
方法等につきましても、必ずしも最近まではつきりしなか
つたというふうな実情にあるのであります。従いまして所得税法上の農企業所得におきましては、収穫のあ
つたときにおけるところの所得という、いわばいわゆる発生主義という建前に基いて所得の算定をいたしておるのでありますが、この集荷委託費が形を変えて実質上奨励金その他のものとして本人の所得として権利が確定するというのは、結局今年に入
つてからであるというふうに推定せざるを得ないと思うのであります。従いまして
昭和二十六年産米に対するところの超過供出奨励金でありまするが、いろいろ名前はどうなるか存じておりませんが、実質上のそういう奨励金に類するものは結局二十七年度にな
つて権利が確定したと
考えざるを得ない
事情にございますが、二十七年度におけるところの所得として
考える、言い換えれば二十六年度の所得としては
考え得られない性質のものであるということをはつきりさしたわけであります。而してその超過供出奨励金、実質上そういうふうになるかと思うのでありますが、その奨励金の性質自体が従前と異りまして、集荷委託費というふうな名前を持
つておりますが、その点今後それが支給の
方法等をなお仔細に研究、検討いたしまして、私
どもこれに対するところの課税のやり方を研究する必要があろうかと思うのでありますが、とにかく
政府といたしましては、
行政的な
措置でそれがなし得ればそれが
行政的な
措置、又場合によ
つては立法的な
措置を以て課税
対象からこれを除いて行くという方針をきめておる次第であります。