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1952-02-14 第13回国会 参議院 農林委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十四日(木曜日)    午後一時四十五分開会   —————————————   委員の異動 二月十三日委員清澤俊英君辞任につ き、その補欠として、小林孝平君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            山崎  恒君    委員           池田宇右衞門君            瀧井治三郎君            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            飯島連次郎君            加賀  操君            島村 軍次君            三浦 辰雄君            小林 孝平君            小林 亦治君            松永 義雄君   委員外議員            中田 吉雄君            楠見 義男君   政府委員    警察予備隊本部    次長      江口見登留君    特別調達庁長官 根道 広吉君    特別調達庁次長 堀井 啓治君    特別調達庁管理    部長      長岡 伊八君    外務省国際協力    局長      伊関佑二郎君    国税庁長官   高橋  衛君    農林省農地局長 平川  守君    食糧庁長官   東畑 四郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (開拓地接収に関する件)  (昭和二十六年度産米の供出状況及  び食糧需給に関する件)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより委員会を開会いたします。  本日の日程の最初は、食糧需給関係についてでありましたが、予定を若干変更いたしまして、只今皆さんも御承知通り問題になつておりまする開拓地接収に関する件を議題としたいと思うのであります。開拓農民の今日までの努力によつて成果を挙げて来ました開拓地が、警察予備隊用地、又は軍用地として接収せられ、開拓者生活を脅かし、食糧増産を阻害するというので、これが反対について、かねて関係者から請願があつたわけであります。前議会でこれが取上げられております。当委員会といたしましても、これを採択しておりますので、この問題は農業問題、経済問題及び社会問題として極めて重要なことは勿論でありますが、更に又、最近日米安全保障条約に基く日米行政協定に関連して重大な意義を持つておりますので、当委員会としてもかねがねこの問題を議題としたいと考えておつたわけであります。いろいろな都合で今日まで延引いたしておりましたが、本日は丁度その機会を得たので、これからこの問題について審議を始めたいと思います。出席されておる政府委員を先に申上げておきますが、外務省国際協力局長伊関さん、特別調達庁次長堀井さん、同管理部長長岡さん、農林省平川農地局長、それから特認の根道長官が今出席されまして、間もなく警察予備隊次長の江口さんも見えられるはずであります。審議に入る前に御了解を得たいと思いますが、中田議員から委員外発言を求められておりますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 結構であるが、委員発言後に一つお願いします。
  4. 楠見義男

    委員外議員(楠見義男君) 私も都合によつて発言を許して頂きます。
  5. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 楠見議員同様委員外発言を求められておりますので、これも同様御了承をお願いいたします。  それでは最初農地局長からこの問題に関しまする最近の事情を聴取いたしまして、その後委員各位の御質疑を願うことにいたします。
  6. 平川守

    政府委員平川守君) 従来農地及び開拓地に対しまして、米軍関係演習用その他の関係接収されましたものは、既存農地で約七百町歩余り開拓地で五千六百町歩余りございまして関係いたします農家といたしまては、既存農地において約千七百戸、開拓農家において約五千九百戸、ほどございます。このほか最近問題になつておりまして、はつきりいたしませんが、調達されるのではないかということで問題になつておりますのが、農地において約八百六十町歩開拓地において約八千四百町歩関係農家といたしましては既存農地において二百数戸、開拓地におきまして約千二百戸余りというような状況でございます。従来はこれらの関係は一時使用という形で主としていわる接収といいますか、されておるのでありまして、大部分は家をそのまま立ち退かなければならんというような状態まで立ち至らない、耕地の一部分使用されるという場合が大部分のようであります。これに対しまして従来補償等も出ておりますが、大体それは貨幣価値が変つて参りましたので、前には反当一万円にもならない、二十五年ぐらいのときは五千円以下というような状態でありました。二十六年には田畑それぞれ一万五、六千円から二万五、六千円くらいの補償を得ておつたというような状況でございます。  それから予備隊関係のことを申上げますが、予備隊関係は比較的最近に起つてつたのでございまして、昨年の半ば頃から主として問題になつておる、現在まで予備隊使用しておりまするものは大体五千町歩弱でございます。関係農家は二千九百戸くらいであります。大体三十九カ所くらいで使用をされておるのであります。これにつきましてはまだ極く最近の事柄でございまして、補償というようなことがまだ実際に行われておりません。農林省といたしましては、これらの農地及び開拓地につきましてはそれぞれ国も非常なる資金を投じ、又農家資金を投じて農地又は開拓地といたしておるわけであり、且つは農家経営にも非常に大きな、経営の根底に影響のある問題であり、食糧増産上の見地からも非常に困つた問題でありまするので、予備隊及び調達庁方面とも御相談いたしまして、でき得る限り農地及び開拓地を避けて頂く、演習地等については我々のほうでも積極的に未墾地、殊に林野、原野等におきまして、そういう適地が見付かるならば、我々のほうでも積極的に御協力をいたす、その代りに開拓地農地等はできるだけ避けて頂きたいという申入をいたしておるのでありまして、その趣旨につきましては両者とも御賛成を願つておるわけであります。それから万止むを得ずして接収をするという場合におきまして、これに対しては相当なる補償をしてもらいたい、この補償につきましてはいろいろ農業上の各種施設、或いは建設省等各種施設等関係いたしまして、やはり農地開拓地の改廃をしなければならん、農家移転しなければならんといつたような場合も起つておりまするので、そういう例等にも鑑みまして、農林省としても或る程度の基準というものを一つ作成をいたしますから、それに御相談の上でこれに準拠した一つ基準に則つた適正なる補償をして頂きたい。なおこういう事柄は実際問題として出先の開拓地、或いは農家等々と直接折衝されますといろいろ間違いが起りやすいので、これらについては本省とも十分あらかじめ予定がある場合はお打合せを願いまして、両者了解の上で行うように願いたいというような趣旨のことを申入れしておりまして、その趣旨につきましては大体御了承を得ておるようなわけであります。現在までの経過は大体そういうことになつております。
  7. 松永義雄

    松永義雄君 只今の御説明の中に五千町歩と二千八百戸、三十九カ所とお話になりましたが、それは予備隊だけですか。
  8. 平川守

    政府委員平川守君) 予備隊だけです。
  9. 松永義雄

    松永義雄君 開拓地も入つておりますか。
  10. 平川守

    政府委員平川守君) これは殆んど実際問題としては開拓地であります。
  11. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 只今農地局長リお話がありましたが、関係調達庁或いは外務省から来ておられますので、直接お尋ねしたいことは、接収された耕地が先に事変の際に飛行場であつた分、或いは演習地であつたか、或いは事変後新たにそれぞれ耕作地に向けられた土地であつたか、先ずこの点をお尋ねし、次に開拓地ではあるが、新らしく原野を開拓したものであるかどうかということを先ず第二にお聞きいたします。  第三に更にお尋ねいたしますことは、これらの土地接収は勿論だが、若しここに予備隊なり或いは兵舎なりが設置される場合には、そこに行くところの道路等相当接収されるということも考えなければならん。更に演習をするというようなことになりまするならば、演習の際においては附近農家耕作上いろいろ危險を感ずるということも考えなければなりません。こういう見地に立ちまして、それぞれの原野、山林及び農地接収に対しまして如何なるところの手を打つて交渉なさつておるか、これらにつきまして補償それから不安を取除くことに対しまして、外務省並びに調達庁はどういう構想でこの不安を取除く安全保障方法を考究されておるか、この点を審かにされたい。かように要求します。
  12. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 政府委員答弁を聞く前にちよつとお断りしておきますが、外務省国際協力局長は時間の都合があるそうですから、この問題に関する御質疑を成るべく先にして頂くようにお願いいたしておきます。
  13. 平川守

    政府委員平川守君) 開拓地に関しましては、従来の軍用地に入植したものも相当ございまして、今回のこの接収関係等についてはこれがかなりな部分を占めておるように存じます。不毛の土地を開拓したというものも若干あります。それから道路その他の必要地接収も勿論関係があるわけであります。その他は他のかたから御説明いたします。
  14. 根道広吉

    政府委員根道広吉君) 只今のお尋ねの点でありますが、現在におきまして、開拓地関係等において問題になつておりますのは、鳥取の美穂及び佐世保だけであります。その他に元の海軍飛行場でありました霞ケ浦航空隊の近傍の若栗と申しますか、あの方面飛行場、その方面のことが問題になつておるわけであります。そのうち美穂の問題につきましては、すでに接収されております。問題としてはこれは補償の問題であります。佐世保につきましては、最初軍側予定相当広い予定でありまして、我々といたしましてこれをできるだけ小さくするように懇請いたしまして、大分縮小される傾向にあります。但し最後の接収にまでは現在は至つておらんような状況であります。霞ケ浦につきましては、先般来地元より陳情がありまして、軍のほうにできるだけやめるように、開拓農地はできるだけ避けるようにということを懇請いたしまして、目下のところまだ決定しておらん。若しありとしても関拓農地はできるだけ避けるようにしたい、万止むを得ず接収することがあつても、これはできるだけ必要最小限度にとどめる意向である。軍としては民生に惡影響を与えないように十分に考慮を払うであろうこういうようなことを言つて参つたほどであります。
  15. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 それに対する補償は……。
  16. 根道広吉

    政府委員根道広吉君) それはまだ現実の問題になつておりません。現在補償に対しましては、我々といたしましてはできるだけ犠牲者に報いたいと考えていろいろ考えておりまするが、何分にも財政関係やいろいろな問題がございます。又現在或る種のものにつきましては、軍側承認を経なければ出せない部分もございますので、なかなか思う通りに行きません。併し今後におきまして、農林当局及び大蔵当局とも十分に連絡をとり、又外務当局にもあらかじめ折衝をしまして、できるだけ開拓地を避ける、その他の民有関係不動産等接収はできるだけ避けるように、又最小限度にするように、こういうふうにしばしば懇請いたしておるわけでございます。
  17. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 今のお話補償すると言つたが、農地局長お話にも相当数農家及び開拓者が他に居住しなければならん、この居住に当りまして、他の居住地に安定する、居住地を見つけて移転させるというような方法を講ずるのかどうか、又農民として耕作していた者が、他の職業に転換するには、やつぱり生活補償をつけてやらなければならない、こういう件につきまして農地局並び調達庁はどういう方法をおとりになつておるかどうか、この点を先ずお尋ねする。  それから先ほど演習その他によつてその地方の農民の蒙る今後の見通しについてはどういう安全保障をとるか、その点も一つ外務省なり調達庁なりから明らかに見通しだけでもいいからこの際説明を聞きたい。
  18. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 演習等によりまして損害が起きました場合は、今度の行政協定の本文におきまして、そういう損害は完全に迅速に補償するということがきめられるようになつております。  それから先ほどの問題でございますが、演習地接収します場合に成るべく狭くしたいということになりますと、附近のほうにも損害が及ぶ。それが損害が及ばないようにするために十分とりますと、今度は接収地域が広くなるというような矛盾がございまして、その間になかなかどちらがいいかという問題はございますが、とにかく損害が起きましたならば、これは迅速に完全に補償するということは行政協定できめられる予定でございます。
  19. 池田宇右衞門

  20. 平川守

    政府委員平川守君) 現在までのところは、農家移転という問題まで行つておる部分が極めて少いようでございますが、今後仮にすつかり農地を取られるという関係移転しなければならぬというようなことにつきましては、これに対する十分な補償をもらうということは勿論でありますし、なお例えば農家として他の適当なる農地を得なければならぬというような面につきましては、開拓地その他できるだけ農民に対して斡旋をいたしたい、かように考えております。
  21. 小林亦治

    小林亦治君 平川局長にお尋ねしたいのですが、先ほどの補償田畑の一万五六千というのは、これは今度の予定ですか。
  22. 平川守

    政府委員平川守君) これは今までの二十六年度の実績を申上げたのであります。
  23. 小林亦治

    小林亦治君 この問題に関しましては、私は去る第十二国会、十一月九日ですが、又本国会におきましては二月四日、いずれも政府に対して質問をした結果、大体御答弁只今平川局長根道長官御両人の御答弁を集約せられたような御答弁をせられておつたのですが、それから相当日数がたつておるのに、未だ具体的なものが何ら出て参らない。而もこの補償額等については何ら確たる数字さえ示されないということでは、これは不誠意極まることなんであります。もうすでに今日では二十七年度予算の全貌が案として提案されている今日においては、かかるものについての補償具体策はとうに決定せられておらなければならぬ、こう思うのであります。これが一点と、それから成るべく開拓地を避ける、霞ケ浦のごときは現に避けるように交渉中である、こういうふうに伺つたのでありますが、私ども調査によりますと、政府のやつておるところの接収状況というものは、甚だ何と申しますか、公然たるものではなくて、闇において行われておるものが非常に多い。御承知通り農地の譲渡ということには、農地法にもあります通り農林大臣の許可がなければならないのであります。而も正式にそれでやつておるものは只今のところでは二カ所しかない。あとは現地交渉、いわば闇でやつておるというような状態なんであります。かようなことはやめてもらいたい。御答弁におつしやるように成るべく避ける、万止むを得ざる場合には成るべくこの損害のある所は補償を与えたい、これは当然のことなんであります。かかる抽象的なことでなくして、これにはこれだけの具体策を持つておるということを今日もうすでに示されなければならない段階になつておるのであります。只今その成案がなしとするならば、急速にこれを御発表願いたいと思うのであります。なおそれに関しまして御答弁によつて二、三又質問したいと思います。
  24. 長岡伊八

    政府委員長岡伊八君) お答え申上げます。農地接収に対しましては、現在補償はいたしております。ただこの問題は終戦直後アメリカ側から土地なり家を接収されまして、何物もこれに報いられるところがなく、取上げられるのではないかというような不安も実は持つたのでありまするが、アメリカはこれに対しまして、日本政府において契約の形で接収をしろということになつておりまするので、現在まで各所有者契約の形でこれを接収いたしております。勿論終戦直後ポツダム政令土地構作物使用令なる政令が出ておりますが、これは当初から余り法律の力によつて無理やりに取上げるんだといつたような形を避けたいというような考えからこの政令を適用した事例は今日までございません。皆随意契約の形をとつておる次第でございます。ただ接収されました農民諸君から申しますと、何分にも進駐軍占領行為に基くものでございます関係上、無理やりに取られたという感じを与えておる次第でございます。これに対しまする補償接収要綱を作りまして、それに基いて補償いたしておるのでありまするが、この額が少いということがしばしば問題になりまして、御不満を買つておる次第でございます。この接収と申しますことは、実は土地収用法などと違いまして、当初から買上げるという措置をとつておりません。借上げておる次第でございまして、年々これに対しましては地代は支払つておるのでございます。  それから立退きます場合には、立毛なり離作料なりはそれぞれ計算をして現に払つておるのでございます。当初この問題はなかなか決定いたさなかつたのでありまするが、軍のほうの承認を得まして現に実行いたしておる次第でございます。何分我々といたしましては、成るべく多くの補償をいたしたいのが我々の念願でございます。折角軍用地であつたものを開拓いたしまして、漸く稔るようになつたそのとたんに又接収されるというようなことを聞きますときに、我々も実際に涙なくしてこれは聞けない状態があるのであります。何分これは進駐軍都合によつて接収されるものでありまするので、でき得る限り御満足の行くようにということは努めておるのであります。予算面の制約と軍の承認が要る問題でございまするので、なかなか農民各位満足の行くだけの補償ができんことを非常に遺憾に存じておるのであります。行政協定が成立いたしまして、条約が発効いたしました暁は、自然この問題も又別途の考えから関係方面とも十分折衝いたしまして、でき得る限りの補償をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。  それから先ほど長官が申上げました霞ケ浦の問題につきましては、我々のほうから交渉いたしました結果、将来のことはともかくもといたしまして、現在では接収はしないということをはつきり返事を得た次第でございます。なお進駐軍といたしましては、この問題につきましては、非常に現地事情と申しますか、人情に留意いたしまして、我々に対しましても現地で問題を起すことのないように、場合によつて日米委員会のようなものを作つて所有者とよく懇談をしてこの問題を円満に解決するということを申しております。なお先ほど長官からも申上げましたように、そういう心組でおつてくれます関係か、若栗の問題のごとき交渉によりまして、当初の予定を変更して縮小されました。そういうような状態に今日ある次第でございます。
  25. 小林亦治

    小林亦治君 現在の田畑補償の一万五、六千円というのはこれは年間ですか、或いはどういうんでしようか。
  26. 長岡伊八

    政府委員長岡伊八君) 先ほど申上げましたように、接収の当初には、立毛離作、その他接収によつて通常生じまする損害を払うのでありまするが、只今数字は恐らく年々払います地代とそういうものをひつくるめてのことではないか、これが接収代価というふうになるのではないか、さように思います。
  27. 小林亦治

    小林亦治君 予算がないから払えないというのではこれは逆の話なんであります。補償の足らざる部分は結局政府官憲による没収ということになるので、かようなことのないように、予算がないから払えない、なくてもどうでもやはり正式に損害の賠償ということになれば国家が支払義務があるのでありますから、一般の財政行政とは異なつ考えを持たなければならんであろう、土地の取上げになるわけでありますから、この点について何か成案があれば、将来の見通しとか、具体策がありましたら伺つておきたいと思います。
  28. 根道広吉

    政府委員根道広吉君) 只今管理部長から申上げましたように、進駐軍関係において使つておる土地はただ借上げでございます。中には将来返してもらつても到底役に立たんような場所もございます。例えば飛行場を延長する、延長してそこに滑走路を作るというような場合にに、厚さ一メートルにも及ぶような鉄筋コンクリートの滑走路ができまして、それを返してもらつても又元の農地にするような方法は殆んどございません。むしろ土地代価よりは高いものにつくというようなこともあるわけでございます。そういうようなものにつきましては、これを買上げることのほうが至当であるということにだんだんに話合いが進んでおるようなわけでございます。恐らく将来長く使われるものについてはそういうような措置を講じなければならんものがだんだんと明らかになつて来るのではなかろうかと考えております。又農地をそういう場合に買上げるその値段につきましては、これは農林当局のきめる適正な価格というものに基きまして、今後措置いたしたいとこう考えます。
  29. 小林亦治

    小林亦治君 その補償金に対する免税、税金の関係です。こういう点についてはどういうふうに考えておられますか。
  30. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 国税庁高橋長官が見えられておりますので…。
  31. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 土地その他が収用されました際におけるところのその補償費の点に対する税につきましては、たしかこの前の国会において御審議願つたと思うのでありますが、土地収用等に関する場合においては、その土地収用対象になりました土地の原価を再評価の基準によるところの限度額まで認めまして、その差額を所得として考えるというようなふうな建前で以て税の決定をして行きたいというように考えております。
  32. 小林亦治

    小林亦治君 先ほど平川局長からも御説明があつたんでありまするが、その数字と私ども調査によるところの数字とは大分開きがあるのであります。私どものほうの調べによりますると、接収対象になつておるところの田畑の面積、これはやはり同じ開拓地、それが一万四千町歩、戸数にしましては約五千戸ほどになつておる。只今の御答弁状態によりますと、すでに政府側のほうにおきましても相当に具体的に進んでおられるように受取られるのです。当農林委員会でも本日最初に問題になつたんであります。衆議院ではすでに問題化しておる。それから本会議におきましても、過去二回に亘つて私は同様な質問政府に展開しておるのであります。そこで政府のほうで総合的に外務省或いは予備隊関係、大蔵省、農林省、そういうものの表を全部お作りになつてこ農林委員会に出してもらいたいと思うのです。なお希望としましては、その損害見通し、額、部分といつたようなものを備考欄に設けて頂いて、そうして仔細な御審議を願いたいと思うのであります。これは予備隊関係或いは司令部関係でありまして、いわば日本権力の上にほかの権力の要求が加わつて、止むを得ずしてやるんだといつたような状態になつておるのが今日の情勢なんでありますが、講和が発効すれば私どもは何らの遠慮も要らないのであります。又いろいろ関係当局を鞭撻して関係国に要求するいろいろな政策面も出て参る。これは非常に重要な事項であろうと思いますから、是非それらのものをお手許にあるものを一つ表作つて出して頂きたいと思います。
  33. 長岡伊八

    政府委員長岡伊八君) 接収地の問題につきましては、でき得る限り資料を整備いたしまして、御希望に副うようにいたしたいと思います。
  34. 松永義雄

    松永義雄君 私はただ一点簡單に聞きたいのでございますけれども補償の性格について、一応補償の話が出ましたから伺つておきたいんです。それは開拓者資金融通法という法律で昭和二十六年度までに七十八億円の多額の金が融通されておるのであります。そこで只今お話がありましたように、土地は所有権の収用の場合でなくて借上げが多かつた。併し借上げの場合でも期間が長くなると結果において土地の所有権を収用したと同じことになる。それから接収の面積によつては実際そこで耕地がとまつて経済が成り立たんというような面がある。そこで今まで離作料ということも考えておつたという話も今あつたんです。そうするとこの開拓地については相当政府も骨折つて金を出しておるわけです。殊に資金融通法から見ると、これは恐らく回収することになると思う。そこで買収或いは離作料、所有権たると賃借たるとを問わず、その額の如何によつて農民のほうへ入る金が非常に少くなるんじやないかという懸念も生じて来るのです。然らば土地を離れたものに対する補償というものは、ただ單に生じたる損害を賠償するにとどまるのか、それ以上に生活ということを考えて上げるのか、その標準の如何によつて補償の意義を定めるか、補償以外の言葉を使つて行くかということになるだろうと思うのでありますが、一体この補償ということはどういう意味かということを伺いたい、その一点だけ……。
  35. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今松永委員の御質問に対する御答弁はちよつと後廻しにして頂いて、先ほど申上げたように伊関局長都合上退席されますので、もう時間が十分ぐらいしかございませんので、この際この問題に関連して……。
  36. 中田吉雄

    委員外議員中田吉雄君) 現在占領下ですから、超憲的な、憲法を超越したような形でいろいろ農地接収されまして、実際憲法の第二十九条の財産権はこれを侵してはならないというこの規定が事実上侵されておるように、いろいろな御説明にもかかわらずそうなるのですが、講和条約が発効いたしまして、日本国憲法が完全に適用される、併し今そういう農地接収その他に対する所有権制限が公共の福祉というようなことでいろいろ制限されるような規定が国会にもまだ諮られていないしいたしますが、若しそういうふうに講和条約が発効してしまつた場合には、それぞれ借上げられておる土地所有者は占領軍の現在使用されておるものの返還を要求することができるかどうかというような、その空間をできないような措置をとられるのかどうか、講和条約が発効して、完全にこの日本国憲法が適用される、それにもかかわらず国会において財産権をいろいろ制約されるような立法措置がとられないと空間ができると思うわけですが、それをどういうふうになされるか。更に行政協定に関しまして、これが一体日本国憲法とどういうふうに調整されるような協定になりつつありますか、特に土地接収、収用その他に対するアメリカ当局との折衝の経過、そうしてこの憲法との関係というようなことをどういうふうにやつておられるかという問題と、それからもう一つは最近警察予備隊接収ではなかなか困難であるから、アメリカの軍事基地としての形でどんどん接収してしまう、そうしてそれを警察予備隊と共同使用というような形で、地方住民が所有権の擁護をひつ下げて政府その他に要請するのを防ぐというようなことが占領下で相当急速にやられるということがいろいろ伝えられておりますが、そういうことはないわけでありますか。最近この占領軍当局で農地の八百六十一町歩開拓地で八千百町歩接収されるというような噂がありますが、それはそういうものに該当するものであるかどうかというような、主として外務省のほうで総司令部と折衝されたその間の事情一つ説明願いたい。
  37. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) この行政協定の結果といたしまして、所要の立法が要るものにつきましては、恐らく近く法案が議会に提出されることになろうと思つております。で、所要の立法ができませんうちは、その箇所に関しましては収用の実施はできないということになろうと思います。法律ができないといううちはその箇所は効力を発生しない、こういうことになるわけであります。それで政府としましては恐らく関係の法案を早く議会に提出するということになろうかと思います。  それから憲法との関係は、ですから立法をするというにとになつて解決できるのじやないかと思います。
  38. 中田吉雄

    委員外議員中田吉雄君) そういたしますと、その措置が若しできないとすれば、占領軍は一時使用を停止するわけですか。
  39. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 講和条約が発効しますと、三月間というものは後始末のための期間をとつてあるのでございますから、その三月の間に何とかしなければならんということになるわけであります。
  40. 中田吉雄

    委員外議員中田吉雄君) その間は講和条約は発効しても、三カ月以内に外国軍使用のものはすべて返還するという第六条の後段の規定があるわけなのですが、それはそういう形で憲法に優越して、それは財産権の項に優越してやはり適用できるものと思われますか。
  41. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 私はそういうふうに思つておりますけれども、ちよつと自信がございませんが、私はそう聞いております。
  42. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは時間の関係外務省関係に対する御質問はこの程度に願いまして、先ほどの松永委員の御質問に対する御答弁をお願いいたします。
  43. 平川守

    政府委員平川守君) 補償につきましての考え方の御質問でございますが、要するに家をすつかりどかなれけばならんといつたような状態になりました場合において、この補償としましては、やはり従来のような生活なり、農業経営を営むに足るだけの補償をするということであるべきだと当然考えておるわけであります。従つてただ單にその耕地が幾らで売れるだらうと、だからその値段を補償するという考え方だけではなしに、例えば開拓地で申しますれば、その開拓者が又新たなる開拓地にその代りとして入る。そこで何年かの開拓をいたしまして、従来と同じような農家になり得る基盤を与える、その基礎を作るまでの間に必要なる資金補償として出してもらいたいというのが私ども考え方でありまして、従いまして開拓者資金融通等によつて融通をいたしました資金、それの回収に、それを再び開拓春から回収し得るだけに新らしい開拓地なら開拓地において経営を確立して来るまでの必要な資金というものは当然含まれるもの、こういうふうに考えておるわけであります。そういう考え方で予備隊その他と折衝を申上げておるわけであります。
  44. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 警察予備隊の江口次長も出席されましたので、お含み願います。
  45. 松永義雄

    松永義雄君 簡單に聞きたいのですが、その土地を離れてしまつた人で、新たに他の開拓地へ入植するか、或いは又換地をもらう、そういつた人でない場合において、この開拓者資金融通法ですか、そういうものの始末はどうなさるか、そういうものの回収を図られるということになると、折角もらつた金がなくなつちやつて生活そのものが脅かされるということになるのですが、そういう心配はないですか。
  46. 平川守

    政府委員平川守君) そういう心配のない程度に、補償のほうで、それを返しましても十分あとの何をやつて行けるということは補償のほうで考えるべきだ、こういうふうに考えております。
  47. 松永義雄

    松永義雄君 それから補償の程度なんですが、開拓地というのはまあ相当骨が折れまして、まあ「そば」をやり、或いは芋をやつて、これから麦にでもなるかというところなんですが、現在のままのそれが実損というふうに見られましておるのですが、この人たちは何十年辛抱してそこに居据りたい、そして将来農民になりたいという希望で農耕しておるのですから、将来その土地が必らずよくなるという見通しの下に損害というものも算定されるのでしようか。
  48. 平川守

    政府委員平川守君) その損害と申しますか、その補償の中には、何年間かの努力によつてそこまで築き上げた、それに対する補償、或いはそこで今後何年間かでこの程度になり得るという状態にまで持つて来た、そこのところを十分考慮に入れて補償すべきである。例えば現在は或る程度基本的な施設相当金を注ぎ込んでいる。併しまだ増産の効果としては完全に達しておらない、そういう状態のことをお考えになつておると思うので、従来基本施設として投下されました資金がありますれば、これは十分その補償の中に考えるべきであるというふうに考えて、いろいろお話合いをしておるわけであります。
  49. 松永義雄

    松永義雄君 じや最後に結論として……。それじやその補償という意味は、ただ單に損害、狭義の損害ということの補償を意味するばかりでなく、その人の家庭の生活まで補償する、そのために換地を作るとか、いろいろの方法をとる、或いは金額もそういうふうに考えるというふうに聞いておいていいわけですね。
  50. 平川守

    政府委員平川守君) 少くとも私どもの要求としてはそういう形で要求をいたしておるわけであります。
  51. 松永義雄

    松永義雄君 補償の話が出ましたから、質問しただけです。
  52. 小林亦治

    小林亦治君 この既耕地開拓地というのは将来成るべく避けて参りたい、これは再三に亘つて御言明があつたのでありまするが、かようなこの一つ行政方針をその都度そういつた方針を用いるというよりも、むしろこれは命令なり何かなり、法規的な一つの原則をきめてもらいたいと思うのですが、その点について政府はどういうふうにお考えになつておるか。
  53. 平川守

    政府委員平川守君) 現在法制的という特別の法制というものは考えておりませんが、差当り農地関係法令によつて、先ほどお話のような許可の問題もございましようし、又事実上予備隊、或いは調達庁のほうに一つ一つのケースについて具体的に農林省と直接に御相談を願う、こういうことに話合いをいたしておりまして、これができますれば、実行されますれば、法制的ではありませんけれども、間違いはないことになるのじやないかというふうに考えております。
  54. 小林亦治

    小林亦治君 それからこの無断使用とか、或いは農林大臣の認可のない土地借上げ、つまり賃貸借になりましようか、法律上では……。これはいわば民事上の合意契約であつても大臣の認可がなければこれは無効なものである。そこでこの対象となる農民が司法裁判に出訴すれば、これは政府といえども敗訴せざるを得ない。ところが農民は実際上はそれまでやるというのは、これはなかなか余ほど鼻つぱしの強い農民でなければやらないので、この泣き寝入りの状態に対しまして盛んにこれが行われておるので、これに対してどう考えておられるか。法的にいえばこれは直ちに返還しなければならないと思うのでありますが、どういうふうにお考えになつておるか、この点を先ずお聞きしたいと思います。
  55. 平川守

    政府委員平川守君) まあお話のような問題もあろうかと思うのでありますけれども、実際問題といたしまして私どもといたしましては開拓農家なりが立ち行くということに結末を持つて行くことが一番大切なことである、一面予備隊なり或いは軍の必要性というものもあるわけでありまするから、両者の調整を図りまして開拓者としても十分に成り立つというだけの補償なり又他の適当なる換地を斡旋するような、そういう手段によつて開拓者自身の成り立つようなことを具体的に考えて参るということのほうが必要ではなかろうかと考えまして、そういう意味においてお話合いをいたしておりまして、この点については調達庁なり或いは警察予備隊のほうにおいても御賛成を願つております。一つ一つのケースをそういう方向で片付けて行きたい、そういうふうに考えております。
  56. 中田吉雄

    委員外議員中田吉雄君) 只今平川局長の再三の言明で、十分そういう土地を取上げられた、接収されたものに補償措置をとると言われましたが、二十七年度予算ではそれはどういう項目にすでに計上になつておるのか。或いは安全保障諸費というものの五百六十億ですか、あの中で出すのであるか、或いは警察予備隊予算の中にあるのか、予備費の中にあるのですか、或いは臨時国会における追加予算で補正されるのであるか、そういう点と、それからこれまで接収されて十分補償されていないものに対しても遡及して十分補償をされますか。そういう点を先ずお伺いしたいと思います。  それからもう一つですね、大体いろいろ農地の収益率によつても違うのですが、普通の水田或いは畑地等を接収されたものは大体どれくらいな保障をしたら妥当であると思つておられますか、そういう点を一つお伺いいたしたいと思います。
  57. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 警察予備隊におきまして、演習地の獲得等に必要といたしまする土地の収用或いは購入等に関しましては、二十七年度予算の五百四十億の警察予備隊施設費の中に多少計上してございます。併しこれは具体的にどのくらいの広さの土地ということがまだはつきりいたしておりませんので、この金額は或いは問題が起りました際に大蔵省との話合いによりまして、その項目に他の費目から流用して使うということも考えられると思うのであります。
  58. 長岡伊八

    政府委員長岡伊八君) 来年度の補償の問題につきましては、実は先ほど来お話が出ました通りに、現在の接収いたしております土地借上げておりますけれども、これは進駐軍に対するサービスとして日本政府に課せられたものでありますから、条約が発効いたしますと、この根拠が変つて参りますから、恐らく別途の観点から考えらるべきものだと思うのであります。従いまして先ほど御指摘に相成りました通りに、新らしい措置と現在の借り上げの条項との時間的ずれの問題が起つて参ります。この点につきましては、御指摘の通りに非常に心配いたしておるのでございます。何分にもまだ行政協定がはつきりいたしませんので、心組みは持つておりまするけれども、来年度の措置につきまして法律案を提出する運びにはまだ相成つておりません。一応我々の了解いたしておりますところでは、そういう費用は善後処理費の中から出されるようになるものと考えております。
  59. 平川守

    政府委員平川守君) 補償の額につきましては、これは具体的の個々のケースによつて違うわけでありますけれども、例えば今私のほうで土地改良の関係で水没地等ができるという場合に同様のケースが起るわけでございます。こういう場合の補償の実績を見まするというと、極く達観して申しまして、一町歩前後の自作地で以て百万円以上という金額が出ておるのが実際の状況でございます。大体こういうのが一つ基準であろうというふうに考えております。
  60. 瀧井治三郎

    瀧井治三郎君 京都府下の長田野が丁度今予備隊演習地になつておるのですが、現在約開拓地で乾田の農耕をやつておりますのが三百三十町歩、戸数は四十五戸ほど入殖しております。ところが最近予備隊が実弾演習を盛んに行われますので、先ず安心して農耕もできない、のみならずその影響を受けまして乳牛が乳の出が非常に激減する、又鶏はそういうような影響で卵を生まないというような実際面に遭遇しておるのですが、そういうような問題についても補償をお考えになつておりますか。又そのほかそれに関連しまして予備隊としてどういうふうなお考えか、承わりたいと思います。
  61. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 長田野の問題も承知しております。当初はどういうふうな演習方法でどういう実害が起るかというようなことが余りはつきりわかりませんでしたので、大体土地の御了解を得て演習をやつて見たのであります。数回繰返しておりまする間にこういう実害が出て来たということが詳細にわかつて参りまして、その開拓農民のほうから損害の賠償の要求が出ております。それにつきまして現地の部隊の係官が相談中でありまして、大体の計算ができますれば、農林当局などの專門的な御意見を加えまして、妥当の金額で或いは本年度中に補償いたしたいと、かように考えております。
  62. 中田吉雄

    委員外議員中田吉雄君) その五百四十億ですか、警察予備隊のあの費用の中でと言われたのですが、大体およそ接収される予定の額はあるわけなんですか、ただ想像で、大蔵大臣が言われるように想像的な予算を組まれたのですか、例えば建設省が河川の改修をやるために接収する農地農林省只今平川局長の申されたような関係接収する場合の補償というふうに大体基準があるわけなんですが、そういう目安も大体組まずにおられるのですか。その辺の消息をもう少しお知らせ願いたいと思います。
  63. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 予備隊演習地といたしまして、理想的に申しまするといろいろ考えられるのでございます。その理想案を若し予算化するといたしますれば数十億の金になりますと思います。併し我々といたしましては、できるだけそういう農耕地或いは開拓地をつぶさないように、又予備隊として必要な演習地もできるだけ現在米軍が使つておりまする演習地を共用さしてもらいたいということを強く主張しておるのであります。従いまして、どの程度二十七年度に演習場を予備隊自体として獲得しなければならないかという計数を目下算定中でございます。そのためには全国十数カ所に亘りまして、この土地演習地に或いは使わしてもらえやせんだろうかというような調査をほうぼうでやつておりますので、それが確定しません間は明確に全国で演習地として何町歩であるというような計算は実ははつきり出て参りません。ただ一応の目安として二十七年度予算には土地購入費とか或いは移転補償費とかいうような予算が一応組んであるわけでございまして、その内訳を詳細に私はお手許にお配りするようなまだその段階に至つておりません。
  64. 中田吉雄

    委員外議員中田吉雄君) まあそういう見通しがつきませんで、およそ額はきまらんですが、ただ接収されたものに対して生活を大体保証できる無理のない程度の補償をされるような用意はあるのですか。これまでの軍用地その他では、例えば鳥取県なんかも美保航空隊、大篠津航空隊というようなものが実に多くの問題を残して、そうしてそのことがあの地帯に共産党が非常に跋扈する大きな理由になつて、民生の非常に安定を欠いているのですが、見通しはわからんにいたしましても、大体生活を保証して社会一般の通念から妥当だと思われるような額を早急に補償される用意がありますか。そういう点を一つ
  65. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 昔の軍は半強制的に農地などを取上げたということでございますが、予備隊といたしましては絶対にそういうことは考えておりません。農林当局とも御相談いたしまして、できるだけ農民の立場に立つて物事を考えて妥当だと思われる線線の数字補償して行きたいということを十分に考えております。
  66. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 只今次長から予備隊演習地は実際に演習を行なつて見てその農民に対する不安を取除く補償方法について考究しておるということですが、これをもう少しく政治的に解釈するとしたならば、今後予備隊の拡張、米軍の基地等、附近におきますところの演習はますます頻繁に行われると仮定しなければなりません。演習して見てその賠償をするということは、甚だ当を得ない。農林当局とも十分に折衝し、及び地元関係をよく睨み合わせ下さいまして、演習地及びその附近においては、若し滝井委員の言う通り、実弾が飛ぶようなことになるならば、今日行われておる日本の少い資材の演習はいいが、多量な演習に実弾が飛ぶようなことがあるとしたならば、附近におけるところの耕作考及び山林におけるところの薪炭木材の関係業者においては極めて危險ということも考慮しなければならん。こういう点については十分に用意し、考究し、それぞれ前申上げましたような関係者に対して折衝して、先ず不安を取除くという手を打たなければならん。それでなければ、その附近耕作農民は安心して農業に携わることができない。ましてや増産計画のこういう自給度を高める政策に対して違反するような不安極まる問題が今後発生する震れありと我々は考えざるを得ないのでありまして、この点については十分に当事者といたしましてはよく善処されるようなお考えがあるかどうか。又そういう今後措置をおとりになるところの心構えに対参しての御意見を伺いたいと思います。
  67. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) まあ演習地としてこの辺が使えそうだと考えまし々際には、現在でもやはり、代表者と申しますか、或いは地元の市町村長と申しまするか、そういうかたたちの手を通じて、こういう演習をやるのだが、暫らく使わして頂けないだろうかという連絡は十分にとつてつておるつもりであります。ただ土地所有者が非常に多かつたりなどいたしまして、例えば市町村の理事者あたりが、お使いになつて大体差支えございませんでしようということを回答されましたとしましても、その中には一、二、やはり心底別に承諾はしていなかつたのだという事例もたまにはございます。併しながらいきなり市町村当局或いは土地関係者に無警告で演習をするというようなことは絶対にやめさせておりますので、今後は十分連絡の上、万一外れ弾でも出まして損害でも与えましたというような場合には勿論補償いたしますが、そういう危險の起らないように警戒しながら演習をやらせるつもりでおります。
  68. 中田吉雄

    委員外議員中田吉雄君) 平川局長にお尋ねしたいのですが、補償を十分いたしたいというのですが、そういうものが妥当であるかどうかというようなことは、何かそれを審議したりする特別な機関を設けられる用意があるのですか。曽つて農地委員会というものがそういうことのために非常に大きな役割を果したのですが、そういう実際これくらいな値段が妥当であるというようなことは、ただ農林省警察予備隊当局だけできめられるのですか。何かそういうことのために接収される者が訴願をするようないろいろな機関を作るとか、そういう御用意があるでしようか。  それから警察予備隊のかたがおいでになりますが、私先般鳥取に帰る途中、大阪の駅長室に待つていましたら、隊長の何かを持つて来まして、これで大阪から東京に行くまでの特別二等車を一車輌全部明けて上京するのに用意をせい、という強硬な指令が出ていまして、非常に駅長室でどうするか、一般の乗客との関係で困るし、というので苦慮していましたが、農地接収にそういうことのないように、一つ私が先般直接見まして、これはなかなか将来大きな問題を含むのではないかというふうに考えましたので、この目で見た実例を申上げて、農地接収に対してそういうことが万々ありませんように希望いたします。
  69. 平川守

    政府委員平川守君) 補償の額については只今のところ、具体的に何か一定の民間を集めた機構というようなことは、まだ具体的に考えておりませんが、少くとも私どものほうでいろいろ検討いたします際には、民間の御意見等も十分に聞いて、実際関係者の意向等も十分聞きたいと思つております。そうしてなお予備隊のほうと十分連絡しましてきめて参りたい、かように考えております。只今のところ形式的な何か委員会というようなものについてはまだ考えておりませんが、なおよく研究したいと思います。
  70. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 先ほど大阪駅頭で御覧になりました事例をお挙げになりました。若しそういうことがありまして大勢の警察予備隊の幹部が特別二等車一車貸切で手に入れるために非常に不都合な威圧的態度でも加えたようなことがありまするならば、厳重に今後戒めて参りたいと思います。ただ部隊講習会とか部隊移動とかありまして幹部が移動しなければならん、一般の隊員は普通列車で運賃後払というような恰好で参りますけれども、幹部はそれ相当の待遇をいたしておりまするので、特殊の事情で大勢の者が急に立たなければならなかつたというようなことがあつて、そう強談判したのか、おとなしくお願いしたのか存じませんが、そういうふうにお見えになつたのじやないかと思いますから、以後十分注意させます。
  71. 長岡伊八

    政府委員長岡伊八君) 只今委員会のようなものがあるかというお尋ねでございましたが現在まで特調がやつております接収につきましては、長官の諮問機関といたしまして不動産審議会なるものを中央に一つと各局に置いておる次第であります。講和条約発効後の問題につきましては、先ほど申上げました通り行政協定のきまり方如何によりまして善処いたしたいと思います。
  72. 松永義雄

    松永義雄君 今お話の、行政協定の結果どういうことになるかわからん、従来も契約でやつてつた、こういうお話なんです。将来も契約でおやりになるのですか、或いは強制的に収容というか、そういう方法をとられるのですか、その点を。
  73. 羽生三七

    委員長羽生三七君) この点に関して私ちよつと先ほどから感じていることがあるのですが、例えば駐留軍関係、将来は駐留軍、今は占領軍ですがそれに関しては現在では占領治下であるから止むを得ない、将来は行政協定によつてきまつて来る、併し警察予備隊については現在においてもすでに農地調整法に基く運営だけはやらねばならんと考えておるので、その点は若干どうもそこら混線してしまつて一緒に問題が取扱われるという危險が非常にあると思いますので、その辺は区別をして御答弁をお願いしたいと思います。  なおこのことに関しては、実を申しますというと、本日大蔵省主計局の出席を要求したのでありますが、お見えがないのであります。従いまして先ほど小林議員からお話がありましたように、この問題については本会議でも、或いは衆議院でも質疑が行われて、こうしたいという希望だけでなしに、すでに或る程度具体的に、例えばどの程度の補償をするとか、その費目はどの程度どこに計上してあるとか、或いは計上が警察予備隊の費用として組まれておるならば、その予定面積はどの程度であるとか、可なり詳細でなければならんと思うのでありますが、まだ一向そこまで問題が進捗していないし、又大蔵省がどのような査定方針をとられるのか明瞭でありませんので、なおこれ以上政府から詳細答え得る事柄があるなら又別ですが、そうでなければ次回大蔵省の出席を待つてこの問題を討議したいと思いますが、如何でございますか。
  74. 小林亦治

    小林亦治君 この問題、先ほど油井委員からも御質問があつたようなのでありますが、直接の用地でなくて、つまり用地に近接した農地の場合なんです。この場合で、相当な畜産物に関する減産その他の損害というものがあるはずなんです。当局はこの実情を取上げておられるかどうか。これに対する賠償或いは防止対策というようなものがおありになるかどうか伺つておきたいと思うのであります。
  75. 平川守

    政府委員平川守君) 現在まだ各地の状況を詳かにいたしておりませんが、そういうケースが起つた場合においては、直ちに農林関係の当局にも適絡をしてもらいまして、具体的に予備隊なり調達庁と折衝をいたすことにいたしたいと思います。
  76. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 只今の各関係官からの御回答では、私ども極めて不満足でありますので、二、三お伺いしたいと思います。それは開拓地がそれぞれ実に悲惨な状況下に接収されておるのは現実なのでありますが、これに対して行われた補償の内容を今直ぐここで資料をお持ちだつたら伺いたいのですが、それがなかつたら資料によつてこの委員会に提出して頂きたい、(「賛成」と呼ぶ者あり)それからもう一つ警察予備隊関係にお尋ねしたいのですが、昭和二十七年度においてこの関係補償費というものは予算上は三千万計上してあるやに聞いておりますが、間違いありませんか。
  77. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 警察予備隊関係といたしましては、二十七年度にこういう方面の金額として計上してありますものは、不動産購入費という費目があります。土地購入、建物の購入費といたしまして十三億六千八百万円計上してあります。これは併し演習場のための農耕地使用、或いは買収のための補償費のほかに警察予備隊の官衙を建てましたり、営舎を建てましたりする分が含まつた数字でありますが、その詳細はここに載つておりませんが、できるだけ速かに調整いたしたいと思います。
  78. 小林亦治

    小林亦治君 我々も本日は相当の期待を持つて質問申上げたいと思つてつたのであります。二十項目ぐらい私は用意して参つた只今までの御答弁じやとてもこれ以上聞く熱心さというものはないのであります。答弁が不誠意極まる。何ら我々の質問に答えてない。将来安心し得るものは一つもないのであります。やはり先ほど私が発言をし、只今委員長希望を述べられたように、これに対する具体的な政府の項目を挙げた方針書というものをお示し願つて、その上にもう一遍本件の問題を取上げてもらいたい。かかる答弁なら私は何も質問する必要がない。もう少し何かね、政府のポケツトにあるという話なんですが、それらを切り盛りしてやつておられる諸君であるから、もつと内容に触れた具体的なものをお持ちになつておいでだと思つていたところ何もない。無意味なんです。どうか本日はこの問題はこの程度にして頂いて、もう少し具体的な御用意をお持ちになつた上で、我々の質問に答えてもらいたいと思います。我々を侮辱しておる。
  79. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 他に御発言もあろうかと思いますが、他に日程がありますので、本日はこの程度にいたしまして、今各位から御要望のように、日を改めて大蔵省の出席を求めてこの会議を続けたいと思うのであります。特にまあその点、私昨日感じたことは、昨日の本会議で飛行機の墜落事故における損害補償等を大蔵大臣に議員が質したところ、二万円以上の損害については、それを超すものについて半分を補償するというお話がありましたが、二万円程度の損害というものは問題にならないのです。損害があるという場合は非常に大きな損害で、常識的に考えてもそういうことで、それと同様にこの問題が処理されるということになりますと、非常に問題であると思いますので、関係各省におかれては十分大蔵省と御連絡の上、次回御出席願う場合には十分御答弁の用意をお願いしたいと思います。  それから……ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  80. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 速記を始めて下さい。  それでは引続いて昭和二十六年産米の供出状況及び食糧需給に関する件について御審議を願うことにいたします。これは皆様御承知のように、かねて米麦の統制廃止が政府によつて主張せられて、米は若干延びるようでありますが、麦については四月一日から廃止をされるよう食管法の一部を改正する法律案を提出されておるように聞いておりますが、最近の食糧需給関係からいたしまして、種々問題があることと考えますので、二十六年産米の供出事情び食糧需給の現状等を中心として御審議を煩わしたいと思うのであります。需給関係について最初食糧庁長官から事情を承わつてから御質疑に入ることにいたします。
  81. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 食糧需給関係について御説明を申上げますが、当委員会の御要求によりまして主要食糧需給計画、昭和二十七米穀年度表をお手許にお配りいたしておると思います。一番初めに昭和二十六年産米買入状況調という表がございます。その第三頁に載つておりますが、この表を御覧になりますとおわかりになりますが、最後の不足高というところに十六万三千トンという不足を計上いたしておりますが、その上の欄の内地米の欄を御覧願いますと、新米百三十七万九千トンと実は持越をいたしておるのであります。本年の内地米の持越しは供給欄の一番初めのほうにありますように百三万トンであります。相当甲場米を買いましてそれを持越しをする、こういう実は計画になつておるのでありまして、特越しの問題はなかなかそのときの天候その他によりまして早く出る場合もありますし、遅く出る場合もあるのでありますけれども、本年の内地米をどれだけ食つたかと言いますと、大体十月の末までに九十六万石程度実は食つておるのであります。これは過去における非常にたくさん食べた年を申上げますと、二百万石程度を食べた年もあります。我々といたしましては本年の主要食糧、特に米穀の需給というものは普通の年であれば、十六万三千トン程度の穴があくのでありますけれども、この赤というものを何で埋めまして米食率の維持を図るかということにつきまして、一つは超過供出を懇請をいたすということ、もう一つは九月、十月になりまして早場米の百三十七万九千トンという持越しから早食いをするということにいたしまして、米食率の維持というものを図つて行きたいということを実は努力をいたしておるのであります。只今のところ供出状況はこの表に書いてありますように、一月末現在の累計で二王一百十七万八千石となつております。進捗率は九〇・九でございますが、二月の十日現在では二千三百二十九万石程度になつております。減額補正等が若干遅れましたために供出かその後落ちておるようでございますが、西日本、九州、四国、中国等の減額補正が次の表に書いてありますように福岡県を除きまして大体きまりましたので、供出量は減額補正の線までは大体確実に出て来るんじやないかというように考えております。一方超過供出といたしましては一応百二十六万八千石の要請をいたしておるのであります。県によりましてはこれ以上出すという県もありますし県によりましてはなかなかむずかしい県もありますが、追加割当という形をとつておりませんので、飽くまで懇請をしてこれ以上の供出につきましてお願いをするという努力を実はいたしておるのであります。約百万石足らないと言うと、誤解を招くようでありますけれども、普通の食い方をしておれば、十六万三千トンの穴があくのでありますけれども、早場米等の早食いをいたしますと、超過供出をいたしますれば、或る程度赤字は我々の今後の努力と技術的操作によつて吸収し得るんじやないかというように実は考えておる次第であります。  麦類等につきましてはこの表にございますように、別段需給等につきましては不安はないのでございます。
  82. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは御質問はあとに願つて小林さんの先ほど……。
  83. 小林孝平

    小林孝平君 ちよつとこれに関連しまして超過供出要請数量のうち、米一般の二月までの、いわゆる超過供出、それから二月以降の匿名供出の割合はどういうふうになつておりますか。
  84. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 匿名供出制度というものをきめましたのが二月の三日でございます。石二千円という、いわゆる集荷委託費の増をきめましたのが一月の二十八日でございますので、それ以前のものにつきましては石二千円ということをきめない方式ということになると思います。我々のほうといたしまして集荷委託費を実際に交付いたしましたのは一月に至つてからでございますから、それが市町村單位で、どういう形で個々の農家からやつてくれますかは、まあ本省ではなかなかわからないのでありまして、現実に超過供出として出されました数量は極く僅かでございます。二月五日以後は大体において匿名供出という形で出て来るのではないか、こういうように実は考えております。
  85. 小林孝平

    小林孝平君 昨日匿名供出の問題につきまして本会議質問をいたしましたところが、大蔵大臣と農林大臣から御答弁を頂きましたけれども、非常に内容があいまいでございますので二、三お尋ねいたしたいと思います。その前に今ちよつと御質問をいたしたいのは、関連いたすのですが、この表の超過供出要請数量というのは、これは初めに割当てた数量以上に期待をしておる数量でありまして、従つて十二月、一月にもすでに実際上は超過供出として出た数量があるのではないかと思うのですが、その点はそう考えてよろしうございましようか。
  86. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 私就任いたしましたときは一月の十日でございます。当時供米状況は必ずしもよくはなかつたのであります。そこで政府といたしまして、どうして西の減額に対しまして東のほうに超過をお願いするかということについていろいろ検討いたしたのでありますが、各地方の知事とも 石二千円程度の集荷委託費を出してくれという実はお話があつたのでありまして、その折衝等に時日を経過いたしまして、決定いたしましたのが先ほど申上げましたように一月の二十八日でございます。従いまして県として超過供出を正式に取上げ、はつきりと二千円程度の金が出るということをおきめいたしましたのは、少くとも二月になつてからのことであろう、こういうように実は考えている次第であります。
  87. 小林孝平

    小林孝平君 実際の手続からはそうなつておりまするけれども、これから末端ではすでにそれ以上に実際の割当以上に超過してそれを供出している。それを今度はそういうことになりましたから、手続を遅らして超過供出の報奨金二千円をもらえるようなふうにはなると思いますけれども、そこで問題になりますのは、この度匿名供出制度をやつて、そうして二月三百以降ですか、その分は免税の措置をとられるということになりましたら、それ以前のもの、今長官の御説明では非常に少いようなお話でありますけれども、仮に少いとしましても、それ以前の分についても同様に私は免税の措置をとられるのが当然じやないかこういうふうに考えるわけであります。これは昨日の大蔵大臣の答弁を見ますと、非常に政治的の答弁をされまして、一体何をおつしやつているのか速記録を見ましてもわからんのですけれども、結論的に申しますと、超過供出であろうが悟名供出であろうが、結局同じだということをおつしやつております。又そのあとで議論を集約して来ると、結局免税の問題は二千円の超過供出の報奨金の問題に結着して来る、こういうふうな御説明をされておりますので、私たちはこの説明から見ると、匿名であろうが、まだ匿名という制度のなかつた以前の超過供出であろうが、同様な取扱いがされるのが至当であろうと考えるのですが、この点如何ですか。
  88. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 御承知かと存じますが、農業所得に関しましては、各農家で正確な帳簿をつけ、青色申告をしておられるということが極めて少いのでございます。従いましてどうしても所得の調査という面からいたしますると、一つ基準を作りまして基準で以てその人の所得を推定しで行くという方法をとらざるを得ないのが実情でございます。従いまして国税当局といたしましては、大体各市町村別に農業につきましての標準率を設けまして、そうしてその標準率は公開いたしまして、それぞれ御意見を伺い、その標準率に基いて反別並びに収穫石数を推定いたしまして、それによるところの所得額の算定をし、それに基いて申告をして頂いておるのであります。従つてそういうふうな計算の方法で、各反当りの収穫量を定め又、各石当りの所得額というものを見ておりまする関係上、超過供出又は匿名供出がありました場合におきましても、その人は一応は保有米等から供出をしておられると推定するのが妥当であろうというふうに考えておるのであります。従つて実は昨日十三日の目附を以て各末端まで誤解のないようにという趣旨を以ちまして、私の名前で通達を出しておるのでありますが、その通達によりまして匿名供出の事実がありましても、その事実によつて当該農家又は当該市町村の昭和二十六年産米の収量の増加を課税上特に入れ込むことは行わないということをはつきりいたさしておるのであります。その趣旨只今申上げましたように、もともと標準率に基きましてそういうふうな推定の方法をとつておるという建前からいたしまして、所得の算定上、超過供出又は匿名供出等がありました場合においても、算定しないということが当然の措置であろうと思うのであります。  それから第二といたしまして、昭和二十六年産米に対するところの匿名供出等にかかるところの奨励金というものにつきましては、実は従前は超過供出奨励金という名前を以てはつきりと出されておつたのでありますが、今回は集荷委託費という名目を以て支出されることに相成つておるのであります。又その支出の方法等につきましても、必ずしも最近まではつきりしなかつたというふうな実情にあるのであります。従いまして所得税法上の農企業所得におきましては、収穫のあつたときにおけるところの所得という、いわばいわゆる発生主義という建前に基いて所得の算定をいたしておるのでありますが、この集荷委託費が形を変えて実質上奨励金その他のものとして本人の所得として権利が確定するというのは、結局今年に入つてからであるというふうに推定せざるを得ないと思うのであります。従いまして昭和二十六年産米に対するところの超過供出奨励金でありまするが、いろいろ名前はどうなるか存じておりませんが、実質上のそういう奨励金に類するものは結局二十七年度になつて権利が確定したと考えざるを得ない事情にございますが、二十七年度におけるところの所得として考える、言い換えれば二十六年度の所得としては考え得られない性質のものであるということをはつきりさしたわけであります。而してその超過供出奨励金、実質上そういうふうになるかと思うのでありますが、その奨励金の性質自体が従前と異りまして、集荷委託費というふうな名前を持つておりますが、その点今後それが支給の方法等をなお仔細に研究、検討いたしまして、私どもこれに対するところの課税のやり方を研究する必要があろうかと思うのでありますが、とにかく政府といたしましては、行政的な措置でそれがなし得ればそれが行政的な措置、又場合によつては立法的な措置を以て課税対象からこれを除いて行くという方針をきめておる次第であります。
  89. 小林孝平

    小林孝平君 これは私も実際の徴税の事務をよくわかりませんから、私が理解できないかと思うのですけれども、恐らく今長官の御説明を聞かれて、委員長も首をかしげたところを見ると、わからんのじやないか、初めはこれは従来の名目と違つて、集荷委託費として出しておるから、これは税金の対象にならんとはつきりおつしやつていたと思うと、だんだん話しておるうちに今後研究する、それはどうするか、課税の対象にするかしないかをきめる。昨日も大蔵大臣の説明を、僕は頭が惡いかと思いまして、これを早速速記を読みましたが、ほかの人にも同じく読ませますと、誰も理解できない。こういうことで以て国民に臨まれては甚だ迷惑である。今の長官の御説明も、只今申上げた通り、さつぱり理解が行かん。これは所得の対象にしないならしない、するならする、こういうことを先ず最初にお伺いしたい。それが研究中なら研究中、そういうふうにお答え願いたい。
  90. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 只今お話申上げたことが誤解されておると思いますので繰返して申上げますが、匿名供出にかかるところの実質上の超過供出奨励金というものを課税の対象外にするという方針であるという点については、何ら不明確な点はないのであります。ただ課税の対象外にするということの方法といたしまして、それが果して行政措置によつてそういうふうに解釈し得るかどうかという点については、今後検討して見たいと思つております。従つて行政措置によつて課税の対象外になし得ればそれでよいのでありますが、なし得ない場合には、立法的措置によつてしたい、そういうふうに申上げたのであります。
  91. 小林孝平

    小林孝平君 そうしますとこれは匿名供出であろうが匿名供出という名前の付かなかつた時代に供出したものであろうが、これは課税の対象にしないということは先ず明確になつたと思うのであります。それであとに残つたのは、行政上の措置としてこれを取扱う或いは立法……、税制、税法を改正してやるかということは今後の研究に待つこういうつことになつたと思うのでありますが、それでよろしうございますか。
  92. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 只今お話通り行政的な措置によるか、立法的な措置によるかということが今後の研究問題になるかと思うのであります。
  93. 小林孝平

    小林孝平君 この問題で二つの非常に重要な問題があつたのですが、一つの匿名供出と一般の超過供出を区別しないということを明確にお話がありましたので、非常にはつきりいたして喜んでおるわけであります。ところでこれを行政上の措置としてやるか税法改正によつてやるかということでございますが、先般高橋長官は、税法の改正でなくてはこれほ行われないということをお話になりまして、私たちは非常に共感をいたしました、一般の国民も非常に長官の態度を称賛をいたしておつたところ、昨日本会議で、長官と農林大臣と自分、自分というのは大蔵大臣であります。自分と、三人の意見は全く一致したと、こういうことをお話になつたのですが、そうすると従来の態度を変えられまして、長官は税法の改正をしなくとも行政上の措置だけで場合によればできるというように従来と態度を変られたわけですかどうか、お伺いします。
  94. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 只今の御質問の前に先ほどの私の答弁について誤解があるようですから、もう一応念を押しておきたいと思います。政府の方針をきめました範囲は、匿名供出にかかる超過供出奨励金に限るわけでございますので、その点申上げておきます。それからなお只今の御質問に対しましては、今回の超過供出奨励金のやり方が従来のやり方と形式その他がすつかり変つております。従つて常識的に申しますと、従来の取扱等から考えまして法律の改正を要するものと私は考えておりまするが、併し今回は集荷委託費というような費目により分配の方法等も相当今後具体的にだんだんきまつて来るかと思うのでありますが、変つておりますので、或いはこれが今後の研究問題になるわけでありますが、或いは行政的によつても成し得るのじやないかというところで今後研究してみたいということを申上げておきたいと思います。
  95. 小林孝平

    小林孝平君 私は少しも誤解したつもりでなく長官のおつしやつた通りを繰返して申上げたところが誤解しているとこう言う。これはたまたま農林委員会で一問一答をやつておるからこういうことがわかるのですけれども、これは文章にしたり、新聞に声明されたらさつぱりわからない、わからんのでこの間から非常に問題にしている。故意にそういう御発言をなさつたのか、或いは我々が頭が惡くて理解できなかつたのか知らないけれども、私はこういう態度はちよつと長官どうかと思うのです。それでこれは取消されましたので、再びなぜ一般の超過供出の分については免税の措置がとられないかというところをよく御説明願いたいと思います。
  96. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) この免税をするとかしないとかいう問題は、主として立法的な問題になりますので、私の所管外になりまするから私からお答え申上げるのは不適当かと考えます。現政府の方針として決定いたしました範囲は、超過匿名供出にかかるところの超過供出奨励金に限る、こういうふうな方針をとるということが政府として決定された範囲でございます。
  97. 小林孝平

    小林孝平君 それならば食糧庁長官にお尋ねいたしますが、この匿名供出と一般の超過供出という区別は、もう実際問題としてはないのじやないか、うういうふうに思います。そこで匿名供出に免税するならば、農林省としては当然一般の超過供出も免税にするという主張をされるのが当然だと思いすすが、この点如何でございましようか。
  98. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 御承知のように今年は供出割当が若干遅れましたために、供出完遂時期が非常に延びたのであります。その間超過供出奨励金をどうするかという問題等がいろいろ論議を重ねまして、新聞紙上等に洩れたために、各県とも超過供出を出すか出さんかというのが超過供出のいわゆる集荷委託費の二千円と関係をいたしますために、一月の末まで見合つてつたという現実がございますので、今小林さんのおつしやいましたような事例というものは若干はあるかと思いますが、それがどのくらいの具体的に数字になり、数量になるかということが奥は問題かと考えます。大臣等のお話合い等は、二十六年の少くとも課税については、これは全然かけないのだということは高橋さんの今おつしやつた涌りであります。来年の二月の課税につきましては匿名供出による二千円は課税対象外に置くという実質は、これと同じでありますが、そこの差の、現実は一月二十八日にきまつたものですから、その間の僅かの期間における超過供出がどれほどあるかという問題等につきましては、食糧庁といたしまして、個々の農家から上つて来ました数字がどの程度になるかということを一つ突詰めまして検討してみたい、こういうふうに考えております。
  99. 小林孝平

    小林孝平君 どうもくどいようで、私も余り好ましくないのですけれども、出て来た数字を見てから検討するとおつしやいますけれども、現にそれは相当数量ある。ですからその分については免税をすべきかどうかということは、数量を見ないででも当然わかりますので、又その集つた、集計されたものを見てから判断をするのだと言えば、今後再び紛糾するだろう。当然紛糾するだろうと思うから、あらかじめはつきりきめておいたほうがいい、数量を見て……。これは行政措置でやるか、税法を改正してやるかという問題について昨日そういう答弁があつたのでありますけれども、私は数量の問題でなくして現実に相当数量ある。それは理論的には昨日の大臣の答弁は、非常にあいまいであるけれども、よく熟読玩味すれば超過供出であろうが、匿名供出であろうが、同じである、理論的には同じである。問題は二千円の金にどういう態度をとつて臨むかということだけであるということをはつきり言つておるのですから、私は農林省としてこの超過供出についても免税の措置をとられるということを要求されるのは当然だと思うし、又高橋長官も途中からどうもこれは自分の所管ではないというようなことを言われましたけれども、初めは滔々とこの問題を論じておられまして国民が一番知りたがつているところをそういうふうに態度を変えちれることは、折角我々があなたに期待したところと大いに反するので、あなたのもう一度この問題について免税するなら両方について免税するのが至当であるかどうかということを伺いたい。
  100. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 通牒等は全然誤解のない文章に実はなつておるのであります。匿名供出によらずして、匿名供出というような名前を付けると如何にかかわらず、大蔵大臣は二十六年度産米の収量の増力というものは課税に見込ないということを言つておられる。二十七年度の所得の場合の二千円の問題等につきましては来年の二月まで相当期間がございますので、一応この通牒は匿名供出にかかわる超過供出奨励金を課税対象外に置くとなつておるのであります。過去における一月中の問題はこれは今後の数字等をよく固めました上で我々としては判断いたすのでありますけれども、事、重要でありますので、要求するかせんかということは、これは政府内部の問題でありましてきまりましてからお話申上げたい、かように思います。
  101. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 私どももこの米の供出が如何に大切であるかということについては十分理解しておるつもりでございます。従つてこういうふうな超過供出又は匿名供出等の場合に、それが課税上実情に合わないような不都合なことになるということは、絶対に避くべきであるという考えを持つてつておるのであります。而して只今の御質問の点につきましては、先ほどもお話いたしました通り国税庁の立場はどこまでも法律の実行にあるのでありましていわば行政措置の面についてそれが法律に適合するか否かということについては、私のお答えし得る限りでございますが、立法的な面にまで立至るということになりますと、これはおのずから別問題になりますので、ただ先ほど食糧長官お話になりましたように相当長い先のことでございますから、取りあえず一番必要な緊急の問題であるところの只今始まりました匿名供出の問題については、農民のかたがたにおいても御心配のないようにという趣旨を以てその最も必要とする面について取りあえず既定の方針をとつて行きたいと、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  102. 小林孝平

    小林孝平君 先ほどから両長官ともこれは二十六年度の問題でない二十七年度の問題である、これは御説明を待つまでもなく皆よく了解しておるところでございます。従つてその問題については少しも御心配されないで、我々二十七年度の課税がどうなるかということで心配しておるわけであります。まあこれ以上お尋ねしましても確答を得られませんから、ともかくこの超過供出の問題は今後の問題として政府内部において十分研究して頂く、こういうことで次に移りますが、次は昨日の大蔵大臣の答弁によりますと、この匿名供出がどのくらい出るかということを見て行政措置でいいか、税法の改正をしなければいけないかということがきまると、こうおつしやつておると思うのでありまするが、先ほどの長官の御説明とはちよつと違いまするけれども、まあ仮に大蔵大臣の説明によりますれば、長官は一体匿名供出が何万石出れば税法の改正を要し、何方石以下ならば税法の改正を要しないということをお答え願いたい。
  103. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 私昨日実は大蔵大臣の御答弁を伺つておりませんので、どういうお気持でそういうお答えをなされたか承知いたしてないのでありますが、私の解釈するところに従えば、それは数量又は金額の問題ではないということになるのであります。先ほども繰返し申上げております通り本年の出し方が集荷委託費というようなよ名前でありまして、いわば一つの経費であるというような形の名称が用いられております。従つてその実際の配の方法その他を十分検討いたしませんと、それは我々のはつきりしたことを申上げかねるのでありますが、或いはそれらの観点から行政的な法律の正しい解釈という意味から課税対象外に出し得るのではないかという研究すべき点が残つておるという点から御答弁申上げておる次第であります。
  104. 小林孝平

    小林孝平君 私はこういうふうにくどくお尋ねするのは、私は厳粛なる税法を守る必要があるという観点からお尋ねいたしておるのでありまして、先ほどの長官の立場と全く同じであります。そこで今、昨日大臣がどう言われたかおわかりにならんと、こうおつしやいましたので、速記をちよつと御参考までに申上げますが、「会議論の余地ありとすれば、米価七千三十円を九千三十円に売られた二千円について、収穫高は、はつきりしておるけれども、この二千円をどうするかという問題であります。」こういうふうに言われておるのであります。行政措置でやるか、それから税法改正によつてやるかということは、供出数量を見てからやると、こういうふうにおつしやつておるので、只今長官の御説明とちよつと違うのでありまするけれども、私は長官の御説明によりましても、なおこういう重大な問題が行政的な解釈の仕方で税法の改正を要しないという立場は、この厳粛なる税法の施行に当りましてしばしばゆがめられて、今は農民都合のいいように解釈されておるけれども、場合によれば反当収量を今度末端においては重く見る、余計取れたのだろうということで、御都合主義で運用される虞れがある。こういうふうに考えるので、長官が実情に応じて税法の改正をやるとかやらんとかおつしやるのは、長官の立場としてはちよつと不都合だと思うのですがこの点お考えを承わりたい。
  105. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 税法の解釈についての、又税法の執行に対する態度としては、只今小林さんのお話になりましたような考え方で以て私ども税法の執行に当つているつもりでございます。要するに税というものは、これは解釈につきましても完全に法律的解釈に基いて行くべきものでありまして、何らかの妥協的な又は御都合的な考え方に基いてこれを左右するというようなことが起りましては税法の執行上非常に弊害を生じますので、そういうことは現に戒めて行きたいと考えておる次第であります。ただ繰返して申上げますが、今回の供出奨励金というものがもとと費目も違いまするし、やり方も相当つておりますので、それらの点は十分に検討いたしまして、実情に副つたような解釈の仕方をいたしたいということを申上げる次第であります。
  106. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 両長官のお答えを総合して、御答弁の要点をこう考えていいかということを、更にはつきりさしておきたいと思う。それは二十六年度産米について超過供出、匿名供出は農家が保有米を割いて供出しているのであるから、従つて課税外処置をとる、いわゆる課税の対象にならない。ということはこれはあとでどうだか知りませんけれども、現在から想像すれば、行政処置に対する方法だというようなことに相成ることも想像されるのであります。従つて二十六年度の農家の所得の課税対象にならないというようなことが、はつきり出て来るのであります。その理由は申上げるまでもなく、集荷委託費或いは奨励費の意味が十分に含んでいるから、従つて課税対象にならないという二とになつて農家も安心できると思うが、私どもも又課税対象になるべきものでないと、こう判断していいのでありますか。はつきりこの際両長官から御答弁をお願いいたします。
  107. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 只今お話の二十六年度産米に対するところの二十六年度の課税につきましては、匿名供出がありましたことによつて、その人が収量が多かつたというような推定のいたし方はいたしませんということは、はつきり申上げておきます。又二十七年に入りましてから支出されまするところの、匿名供出にかかるところの超過供出奨励金のようなものにつきましては、これは行政的な措置によつて課税外の措置がとれれば、行政措置をとります。又それが法律の解釈上不可能であれば立法的な措置によつて、とにかくいずれかの方法によつて課税対象外にいたすという政府の方針であるということを申上げておきます。
  108. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 食糧庁の理解も全く同じでありますが、匿名供出とか、匿名供出によらない超過供出等を含めまして、昭和二十六年度産米の収量の増加というものは超過供出があつても見込まないということ、それから同様な意味におきまして匿名供出等にかかる奨励金というものも、二十六年度分の收入には算入しない。こういうふうに了解しておりますが、二十七年の超過供出奨励金の所得等につきましては、これは只今高橋国税庁長官と私のほうから出しました通牒の趣旨で、御了承願いたいと思います。
  109. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 現在の過程においては、やはり供出制度が持続するといたしますれば、勿論超過供出や、匿名供出はこれが反当りの収穫の対象にならないのが当然であります。併しながら前には或いは超過供出が、供出反当りの対象なつたような、誠に農民としてはせいぜい増産に努めたのが却つて反当りの増加となり、供出対象となつて、増税されるような惡結果になつた前例もございますから、この点も若し供出制度が持続されるというようなことに相成るといたしましたならば、反当りの増収対象にならんように、又これによつて供出が増加しないようにこの点は食糧庁長官において十分に考慮されたい。
  110. 西山龜七

    ○西山龜七君 食糧庁長官にお尋ねしたいと思います。この御配付になりました二十七年度の計画のうちの輸入食糧は、計画通り確実に輸入ができるという確信があるのかないのか。それからもう一つはドル不足でポンドが過倒しておるという情勢を聞きますが、ポンド地域におきましては、この計画以外にもなお輸入の計画があるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  111. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 昭和二十七会計年度の食糧の輸入量は三百五十一万トンということになつております。昭和二十六会計年度が三百二十万トンという計画を実はいたしております。いずれも到着数量で計上いたしております。昭和二十六会計年度で今のところ到着を見込めますものが三百二十六、七万トンこれはまだはつきりわかりませんが、少くとも三百二十万トン以上は到着をするであろう、こういうふうに考えております。昭和二十七今計年度の三百五十一万トンのうち約百万トンが米になります。米のうちの過半数がタイ、ビルマでございます。その他はカリフオルニア、ブラジル、エジプト、イタリア、それから台湾等を予定しておりまして、タイ、ビルマ川外のものにつきましては大体確保できるのじやないかというように考えております。タィ、ビルマにつきまして仕相当量の輸入を考えておるのであります。タイにつきましては輸出力は相当ございますけれども、詳細に述べますと、政府で割当をする分と政府の割当外で国際競争入札というものがございまして、その国際入札等の米を相当帯確保したいというように考え、これの確保の仕方等につきましては、相当外交上、国際上の問題もありますので、只今私のほうの責任である課長を実は数目前に派遣いたしまして努力をいたしておるのであります。それからビルマにつきましては、約四万五千トン程度はすでに確保をいたしております。我々は二十数万トンの実は輸入を期待していたのであります。これにつきましても、先般向うの厚生次官等が来られまして、我々直接会いまして日本食糧事情等を申上げましたところ、非常によく了解をされまして、向うの無理等にもよく話をする、手紙も出したというようなことでありました。今後セイロン、インド等東南アジアの需要等と競合いたす点はございますけれども、我々は最大の努力をいたしまして十数万トンのビルマ米の輸入を確保したいというふうに考えております。  ここにお配りいたしました資料は二十七米穀年度の資料でございます。大体二十七米穀年度と二十七会計年度との総量においては、さしたる変化はございませんことを御了承願います。
  112. 西山龜七

    ○西山龜七君 麦の統制撤廃につきましては、四月一日から買取加工というようなことをおやりになるようでございますが、麦の全面的の統制撤廃はいつからおやりになるかということをお尋ねしたいと思います。
  113. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 麦の買取加工制度と配給供出制度とはこれは別個に我々のほうは考えております。買取加工等につきましては成るたけ早い機会にこれをやる、実は一月からやるということにもなつてつたのでありますが、いろいろな延納の問題でありますとか、諸般の事情等を十分研究して慎重にやつて参りたいという方針で述べたのでございますが、大体お話のございましたように四月から延納或いは累計等の会計上の問題等も研究を進めまして実施いたしたいというふうに考えております。統制撤廃の問題につきましては、今国会に法律案を出しまして十分御審議を経た上で実施いたしたいという趣旨でございますので、法律案を出しました上でその御審議の模様によりまして決定して参りたい、こういうように実は考えております。
  114. 西山龜七

    ○西山龜七君 次に麦の統制撤廃になりました場合に、その処分方法その他につきまして政府のほうに方針がき主つておりましたならばお伺いしたい’思います。  それからもう一つは四月一日からの加工に対する歩留りでありますが、従来と四月一日からとはどういうように歩留りが違うか、この二つについて伺いたい。
  115. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 麦の統制撤廃をいたしました場合における政府手持の麦の払下げ方法だと思いますが、これらにつきましてはいずれ十分案を練りましたときに詳細御説明を申上げたほうが適当かと思います。歩留り等につきましては、只今のところ委託加三等につきましては内地小麦は七五%程度に考えておりますけれども、統制を仮に撤廃して払下げました場合におきましても、これは各企業の自由になることになるであろう、こういうように考えておりまして、政府が委託加工いたしますものは、成るたけ大衆に向くようなものを、良質なもので、而も大衆が購買するものを持ちたいというように実は考えております。
  116. 西山龜七

    ○西山龜七君 最後の加工の歩留りは現在の歩留りと四月一日からとはどれくらい違いますか。その違いがわかつておればお伺いいたしたい。
  117. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 実は内地小菱は七八%であつたのでございますが、一月から七五%程度の粉を挽いておると記瞬いたしております。四月以後も政府のものにつきましてはそのまま継続をいたしたいというように考えておる次第でございます。
  118. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつと私からお尋ねいたしますが、若し麦の統制撤廃が食管法の一部改正として立法上の措置がとられるとすれば、およそ法案の国会提出はいつごろを予定されておるのでありますか。
  119. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 政府で決定いたし次第早急にお出しすることにたると思いますが、(笑声)まだ政府の決定に至りませんので、この時日等つきましては、しかときまりましたならば、速かに御審議を仰ぎたいと思います。
  120. 羽生三七

    委員長羽生三七君) そうするとこう解釈していいのですか、方針がきまつて食管法一部改正の手続が、手続といいますかその細目の検討が終らないというのじやなしに、方針そのものがまだきまらないということですか。
  121. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 大きな方針はさまつておると思います。その方針に基きますいろいろな細かい点等につきまして、私自身が今慎重に検討いたしておるのであります。細かい点等も十分練つた上でこの方針をきるめべきで、大きな方針がきまりまして準備をたしておるのでありますが、その準備によりまして又根本方針をきめて頂く、こういうふうに考えておりまして、統制撤廃の方向には間違いありません。いつ出しますかはなるたけ近い機会に一つ提案をいたしたいと考えております。
  122. 羽生三七

    委員長羽生三七君) この問題につきましては、先ほど配付されました資料に基いて御検討を願つて、又適当な時期に御審議を煩わしたいと思います。  それでは本日はこの程度で散会をいたします。    午後四時二分散会