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1952-07-11 第13回国会 参議院 内閣委員会 第54号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年七月十一日(金曜日)    午前十一時二十八分開会   —————————————   委員の異動 七月九日委員和田博雄君及び楠瀬常猪 君辞任につき、その補欠として佐多忠 隆君及び大島定吉君を議長において指 名した。 本日委員佐多忠隆君及び大島定吉君辞 任につき、その補欠として江田三郎君 及び岡田信次君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     河井 彌八君    理事            鈴木 直人君            中川 幸平君    委員            岡田 信次君            郡  祐一君            横尾  龍君            楠見 義男君            竹下 豐次君            江田 三郎君            上條 愛一君            栗栖 赳夫君            松原 一彦君            三好  始君   国務大臣    外 務 大 臣 岡崎 勝男君    国 務 大 臣 大橋 武夫君   政府委員    警察予備隊本部    次長      江口見登留君    警察予備隊本部    人事局長長官    官房長     加藤 陽三君    警察予備隊本部    長官官房文書課    長       麻生  茂君    行政管理庁次長 大野木克彦君    行政管理庁管理    部長      中川  融君    法制意見長官  佐藤 達夫君    大蔵大臣官房長 森永貞一郎君    大蔵大臣官房文    書課長     村上  一君    海上保安庁長官 柳沢 米吉君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○保安庁法案内閣提出衆議院送付) ○海上公安局法案内閣提出衆議院  送付) ○大蔵省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○大蔵省設置法の一部を改正する法律  等の施行に伴う関係法令整理等に  関する法律案内閣提出衆議院送  付)   —————————————
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣委員会を開会いたします。  保安庁法案及び海上公安局法案を議題といたします。この際質疑の残つておられるかたの御発言を求めます。
  3. 三好始

    三好始君 新聞で報ぜられておりますように、アメリカ日本に対する艦艇貸与法はすでに大統領の署名も終りまして、アメリカ国内法手続は全部完了したわけでありますが、この内容警備隊装備の問題として非常に重大な関係のある問題でありますので、その内容はどうなつておるかということを我々としては是非とも正確に知る必要があると思います。この内容が今日の段階でわかつておれば御説明を頂きたいと思います。
  4. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 実は私まだその詳しい内容承知いたしておりませんが、只今聞くところによりますと、最終的な案であるかどうかわかりませんが、情報として外務大臣が多少御存じのようであります。外務大臣から大体お話があるかと存じます。
  5. 三好始

    三好始君 それでは今の艦艇貸与法の問題は留保しておくことにしまして、もう一つお伺いいたしたいのでありますが、それは現在の警察予備隊編成につきましては、これは恐らく秘密を要する事項というほどではないと思うのでありますが、今まで秘密会内容を大体承わりました。これは私たち記録しようと思つて、或る程度の記録はいたしたのでありますけれども、全部正確に記録することができなかつたわけであります。これは資料としてお出し頂ける性質のものであるかどうか、ちつよつと承わつておきたいのです。
  6. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) まだ最後的に確定案というものができ上つておるわけではございませんので、この前から大臣お話申上げましたのは一応今こういう構想編成をやつてみたいという程度のものでございます。勿論アメリカ顧問団からもいろいろ示唆を受けておりますので、それらとの兼ね合いの問題もございますので、それについても十分相談をいたしました上で、差支えない範囲内でお示しをできる場合にはお示しをいたしたいと、かように考えております。
  7. 三好始

    三好始君 編成の問題で、十一万に増員された後の今後の編成は今お話のようなことで了承いたしていいと思うのでありますが、現在の実情がどうなつておるかということはこれは御説明願えるのではないかと思うのですが、この点は如何でしよう。
  8. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 七万五千の分の編成でございますか……。それにつきましては、できるだけ御承知頂く意味におきまして資料作つてみたいと、かように考えております。
  9. 松原一彦

    松原一彦君 大橋国務大臣一つ伺いますが、六月二十六日の毎日新聞によりますると、今度「観測てい察連絡のため本年度中に米国から百機程度の軽飛行機貸与される予定で、隊員中の飛行経験者から選抜した乗員の訓練は八月頃から開始する。飛行機は主として保安庁第一幕僚監部、方面管区総監部連絡および中口径砲(十五榴)を持つ特科連隊の射弾観測用として配属の予定である。」云々ということがありますが、どうもこういうことは我々一向伺つたことがないのですが、こういう御計画があるならば一つ示し願いたい。
  10. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 実は航空機につきましては、海上警備隊におきましては、海上警備のため及び連絡のために航空機を持つ必要があるというので、早くからその計画はあるようでございます。併しながら、警察予備隊におきましては今までなかつたのでございますが、併しやはり全国に関係部隊がおりまするので、その間の連絡を保つ上から申しまして、航空機の整備ということも必要だと考えておるわけであります。併し、御承知のごとく航空機の生産は今日国内では行われておりませんし、又非常に経費も多額を要するのでございまして、米軍予備隊の必要な装備といたしまして車両等と同様に航空機についても貸与するというような方法がとれないだろうかということで、いろいろお話合いをいたしたことはございます。併し、これもまだいつまでにどのくらい貸すということはきまつておりません。望みなきにあらずだろうという程度の話を聞いておる程度でございまして、はつきり借りられるという状況にはなつておりません。併し、御承知のように航空機パイロットというものは相当訓練に長期間を要しまするので、いよいよ貸してくれるということになりましたときから訓練を始めるといいますと、少くとも一年くらいしなければパイロットとしての能力を付けることはできかねますので、望みなきにあらずということならば、そろそろ訓練をすることがよかろうかと思つておりますが、併しその訓練といたしましても、日本政府自体航空機を持つておりません。従いまして、訓練を受けることも米軍援助を得なければならんわけでございまして、その点につきまして、只今話合いをいたしておるわけでございます。
  11. 松原一彦

    松原一彦君 私二、三日止むを得んことで欠席いたしましたので、すでにどなたかからお聞きになつたことかと思いますけれども、今度の保安庁法案を見ましても施設とかその他のことはすべて、隊の編成等も併せてこれは政令になつてつて、我々あずかり知らないのです。今までのいろいろお話を承わつてみたところでは、我々頗る納得が行かない。限界がどこまでであるのか、どういう年次計画を持つのやら、どういう漸増予定が立つておるのやら、一向にとらえどころがないのでありますが、だんだんこうして我々の知らないうちに、国会国民の何もあずかり知らないうちに、中口径砲(十五榴)を持つ特科連隊の射弾観測用として飛行機が使われると、こうなつて来ると、今までのあなたがたの御説明がどうも私は違つて来たように思う。頗る腑に落ちないのでありますが、一体どういう御計画をお持ちになつておるのか。今三好君からもお聞きしておつたようでありますが、一体どこまで伸びるものやら、警察予備隊というものの限界が全く我々にはわからなくなつて来る。警察隊と称するものの限界は、大体警察隊でありますから想像はつくと思つてつたのでありますが、想像を絶したものがこうして現われて来るのでありますがこれは一体どういう御計画なのでありましようか。その点につきましては、先般来憲法論に対しては、全くつかめないままに強引に一方的なお答えがあつておりますけれども、こういう具体的な問題につきましては、艦艇貸与といい、飛行機、その他恐らく十五榴弾砲と称するものもこれは借りたものでなくては日本にはないはずでありますが、そういうものに対する貸借関係、殊に将来艦艇に対しましては、御承知のように、五年経過した後には元の装備にして戻すということでありますからその間に対する損傷の補償もしなければなりますまいし、財政法の上から見ても国会の承認か要ることは当然だと思うのですが、今度の飛行機及びこういうふうな装備のある特科連隊武器などにつきましては、一体どういう手続をおやりになるのでありますか、承わつておきたい。
  12. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 保安隊部隊編成につきましては、先般秘密会において大体の構想を申上げた通りでございます。無論これは編成が決定いたしました際におきましては、当然報告さるべきものと考えております。  それから年次計画というお話でございますが、年次計画につきましては、たびたび申上げておりまする通り、増員についての年次計画というものは持つておりません。それから装備の問題でございますが、装備につきましては、現在警察予備隊の持つておりまする武器の種類及び数量につきましては、先般御説明申上げた通りでございます。その後における装備の問題は、これはいろいろ警察予備としてどの程度までの装備を持つことが必要であるか、並びにそれについて米国側からどの程度援助が期待され得るかという問題につきまして、なお下話をしている程度でございまして、無論決定いたしたものはございません。航空機につきましても、只今申上げた通りなお下話程度でございまして、具体的な話は全然できていないわけでございます。
  13. 松原一彦

    松原一彦君 その下話と言われるものは一体誰がおやりになつているのですか。どこでそういう御計画をお立てになつているんですか。すでに十五榴弾砲はもう使つておいでになるのですか。これからお借りになろうというのですか。どうも私どもから見るというと、奇々怪々の感じがしてならない。
  14. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 十五榴というのは何のことかあれですが、火砲につきましては、迫撃砲を使つております。又迫撃砲についても現在ありますもの以上に口径の大きなものが必要ではなからうか、特に米軍が使つております四・二ィンチの迫撃砲というものを予備隊においても装備してはどうだろうかというお話もございまして、これにつきましては果して借りられるものかどうか、只今相談をいたしているわけでございます。それ以上の口径のものにつきましては、まだ具体的な話はいたしておりません。
  15. 松原一彦

    松原一彦君 これは速記をとめたほうがよくはないのですか、私はちつとも差支えないけれども政府のほうでどうですか。
  16. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 只今のところは速記は別に……。
  17. 河井彌八

    委員長河井彌八君) よろしうございますか。
  18. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) ええ。
  19. 松原一彦

    松原一彦君 どうもですね。あなたがたは非常に借りられるものかどうかとおつしやるが、借りられるものかどうかということに対しては一般の基準があつて、これだけの装備が要る。だからそれが貸してくれられるかこういうふうに私どもはあなたがたの御説明からはとられるけれどもが、その限界がいつもいつもだんだん上つて行く、将来の計画はないこれが限度だバズーカが限度だというふうに我々は拝聴している。お出しになつ資料もそうなつているにもかかわらず、だんだんだんだんそういうふうに上つて行く。先般私は非公式に伺つたのですけれどもが、群馬あたりで大砲と飛行機の連合の演習があるということを、あるそうだということをば伺いました、そういうことは断じてないというお話であつたにもかかわらず、一方にはすでに十五榴弾砲を持つ特科隊射撃観測用として飛行機が必要であるということになつて参る。どうも我々見当がつかない。そして一方においては戦力は持たない、再軍備はせんと重ねてのお話でありますけれどもが、これなんかもどう見ても再軍備であり戦力というものが続々とこうして発生して参つている。それを持つことが今の日本に必要であるかないかという必要論よりも、法治国であり、憲法という基本を持つている日本の国で以て、その憲法を批判する点は別としましても、その憲法下においてこれが許されないということを先般来三好君は再三再四法理論的に念を入れてお尋ねしているのでありますが、事実は毎日こうして拡大されて行くという感じを持つのです。如何にもその感じをば我々が受けているところから申しますと、忌憚なく申せば、日本にその計画がなくして、如何にもどこかに、他のところに計画本部があつて行われているのではないか、私この間も伺いましたが、皆さんのほうでは船を六十艘借りるはずだつたと言われますけれどもが、アメリカ側はこれは六十八艘となつている。日本計画というものと食い違つたアメリカ貸与法案が一方に成立しつつある。日本はこれを受入れねばならん。そうすると乗組員が何千人か急に募集しなければならない。忽ち予算にこれが響いて来る。どうして断わるか、どうも日本の再軍備計画なるものが、いや再軍備計画という言葉は私は今日とられないと思うのでありますが、いわゆる保安隊に基く計画がこういうふうに国民の、又国会の関知しない間に着々進んで行くということに対する私は政府の態度に不審を、不安を持つのです。これでは一体国会が黙つて見ておられる性質のものではない。この点につきましては大橋国務大臣は、いや自分は知らないが、外務省で似てやつているだろうといつたような今の御返事でありましたけれどもが一体その保安庁計画外務省がやるのかどうか。主管国務大臣が関知しない間に外務省が六十八隻の艦艇の取引をせられるとは私には思われない。こういう点につきましては一体どういうお考なんでしようか、私どもの常識ではわかりかねる。
  20. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私はこの問題について、外務省がやつているだろうということは申上げたわけではございませんので、外務大臣からお話があるであろうということは、この間配付になりました資料、これについて先ほど三好委員からの御質問でありましたので、これについての情報海上保安庁を通じて私のほうへはまだ受取つていないが、聞くところによると、外務省には情報が入つているそうであるから、その情報について外務大臣からお話があるであろうと、こういうことを申上げたわけであります。あれはこのアメリカの通過したと称せられる法案のことなのであります。それについての情報限つて外務大臣からと、こういうことを申上げたわけであります。予備隊装備の問題、又増強の問題、こうした問題は無論予備隊本部において主管としてやつているわけでありまして、それについては私が担当をいたしているわけでございます。従いまして、下話は無論私どものほうで直接先方といろいろやつております。これが国際的な問題でございまするから、結果については無論外務省連絡をし、又外務大臣所管として或る取極めをするということになれば、これは外務省に移してそのお手許で最後の決裁をつけることになりますが、併し飽くまでも増強問題それ自体、或いは装備の問題それ自体は、予備隊の問題として進行をいたしているわけでございます。
  21. 松原一彦

    松原一彦君 その点は了承いたしますが、併し計画責任者警察予備隊所管大臣である大橋国務大臣がこれを御責任をお負いになると今お話がありましたから、そこで私どもが怪訝に堪えないと申しますのは、六十隻の構想をしたということはわかつております。下話をしておる。然るに先方では六十八隻でこれをやつておる。日本の要請によるということになつておる。この陸上の装備に対しましても、御提出になりました資料と、それからだんだんこうして拡大せられて行くものとの間に大きな隔りがある。その計画をどうお立てになつておるのでありますか。そうしてどういうふうに先方にはお申出になつて、御交渉になつておるのでありますか。それをお聞きいたしたいということを私は申しておるのであります。
  22. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 予備隊といたしましては、予備隊の拡充並びに装備につきましては、予備隊計画立てるわけでございます。そうしてその計画立てるに際しまして、米国から借りられるもの、借りられないものを区別して、借りられるものについてはできるだけ貸してくれるようにお願いをしておるわけであります。それから借りられないものについては自己調達をしなければなりません。現在までの実際のやり方といたしましては、武器につきましては大体全部借りております。車両につきましては、一部借りられるという話もありますが、今までのところは借りたものがなく、殆んどこちらで、国内調達をするというやり方をいたしておるわけでございます。今後の武器につきましても、予備隊のほうで国内の治安の状況から見まて、或る程度必要なものを想定しまして、これにつきましては、借りられるならばそれを借りて装備をして行きたいと、こう考えておるわけでございます。これはやはり車両と同様に、どうしても予備隊として必要なものであり、而してアメリカ側が貸す用意がないといたしますならば、当方として自己調達をしても装備しなければならんと思うのでございます。幸いにして今まで武器のところは大体こちらの希望通り借りられておるし、又今後もそうであろうことと考えております。
  23. 松原一彦

    松原一彦君 今あなたのお話の隊のほうから計画立てて隊のほうでそういう交渉をするというお言葉は、どう受取つたらいいのでしようか。隊というものは独立してそういうことをやるのでしようか。その所管大臣である国務大臣がその計画立てて、隊に命じて行わせるのでしようか、どうなんでございますか、その点は……。
  24. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 隊と申しますのは、予備隊本部及び総隊総監部を申すのでございまして、これは予備隊長官長官でありまして、長官事務を処理するということになつておりますが、併し内閣総理大臣指揮によつて事務をやつて行くわけであります。その仕事につきましては、すべて国務大臣としては内閣総理大臣が直接に責任をとつておるわけでございます。而して国務大臣総理大臣の代理として、内閣総理大臣命令によりましてその限りで事務を代行し、そうして政治的責任をとつておるわけでございます。
  25. 松原一彦

    松原一彦君 従つて今の計画は、あなたは、自分はよく知らないわ、といつたようなふうに響くお話があるのですけれども、あなたがお立てになつているものと見ていいでしようか。
  26. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 予備隊計画はすべて政府計画でありまして、政府といたしましては、内閣総理大臣命令によりまして私が責任を持つておるわけでございますから、私の関知せざる計画ということは予備隊にはあり得ない、こういうことになるわけであります。
  27. 松原一彦

    松原一彦君 先般来私が懸念しますのに、どうも責任大臣が回避しておられるような感じがする。武器はどうなつておるか、艦艇はどうなつておるかということに対しましても、いや、船に対しては運輸大臣のほうで交渉しておる。運輸大臣に聞きますと、それは閣議できめたのだ、あなたは閣議できめたというお話はなかつた。そういうことも聞いておるといつたようお話、殊に外務大臣はつきりそういうことを言つておられる。私は、この隊というものが単なる形式上の国務大臣所管であつて武器計画貸与交渉計画まで仮にやるということになると、ここにミリタリズムの発生がある。文官、いわゆるシビリヤン・コントロールというものがミリタリズムか否かの私は岐れ目だと思う。一切の計画がシビリヤンによつて行われる。でありますから、仮に百万の軍隊ができましても、ミリタリズムの再興ではないと私は思う。併したとい少数であろうとも、幕僚以下がこれを決定し、そうしてその交渉に当る、船と称してこれで軍艦を運輸大臣の手を経て交渉するといつたようなことになりますると、私はたとい形は小さくとも即ちミリタリズムになる。いわゆる軍人独裁となるのです。そこに許されないものがある。数の多少ではない、武器の強弱ではない、すべてが軍組織のシステムの下において行われるものであつて、いわゆる昔の軍人政治に干与し、更に軍隊政治をば左右するときにあの悲惨なミリタリズムが起つて国民を惑わしたのでありますから、これを私どもは憂えるのであります。アメリカのほうは大統領が一切の指揮をしておられる、而も文官組織である。これは国会に当然相談をしてやつておいでになる。日本もこういうような重大な自己保存のために、自衛のために方途を構ずるといつたようなことは、そういうふうなあいまいなことがあつてはいかんと思う、議論になりますけれどもが……。そこで私は執拗にお尋ねするのですけれども、お尋ねするたびにだんだんわからなくなつて来る。どういう計画を包蔵しておらるるのやら、所管大臣お話はどうも顧みて他を言うように聞えるのです。これは私の偏見ではないと思います。そこでどういう漸増計画があるのか、漸増することはもうきまつた私は問題だろうと思う。すでに行政協定吉田首相はその取極をしておいでになる。漸増せられるものと我々は考えている。やがてはアメリカ軍隊に帰つてもらうものと心得ている。それならば財政面から見ましても、国民の心構えから申しましても、憲法の改正というものは当然出て来るし、又年次計画というものが出て来なければ、ただ行き当りばつたりのものであつてはならん。而もその計画総理大臣自身の方針から出たものではなくして、他力的なものであつたときに、私は日本の独立はないと思う。そういう点から私の所見を加えまして重ねてお伺いして参つたのでありますが、もう今日はこれだけにしておきます。それで一つ計画がありましたならば、虚心担懐国民の納得するように一つ示しを願いたいのであります。
  28. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 予備隊或いは警備隊についての責任の問題についての御所見について私ども全く同感に存じております。この保安庁機構におきましても、その点は特に留意をいたしまして機構を考えたわけでございますが、只今ここで私が申上げておりまする答弁は、すべて現在の機構のもとにおける私の立場に基いての答弁であるということを先ず以て御理解を願いたいと存ずるのでございます。即ち現在の制度におきましては、海上保安庁運輸大臣所管事項でございますので、その点に関しまして私が知つておることは申上げまするが、知らないことについては特に運輸大臣からお聞きを願いたい、と申すのは、これは私現在の制度でありまする限り当然のことであろうと思うのであつて、例えば御質問になりました船舶の問題、その交渉はどうなつておるか、こうした問題についての御質問につきまして、私といたしましては運輸大臣からお答えを願うというふうに扱つておりますのは、これは主管大臣範囲を超えた質問でございまするから、現在の制度では当然であろうと思います。これに反しまして、警察予備隊に関しましては私の責任に相成つておりまするからこの限りにおいて答弁を回避いたしたということはないつもりでございます。ただ海の点は立場運輸大臣から御答弁を願うことが至当であると認めたことは運輸大臣から御答弁を願うようにいたしたこともあります。それは決して私の責任を回避するという意味ではなく、現在の制度という建前からそうすることが適当だと判断いたしたわけでございます。で、この予備隊において行うということは、これは先ほど来申上げましたごとく、予備隊というのは即ち政府の機関であり、政府責任において事務を処理するのでございますから、これは政府責任で行われる、従つて私の責任において行なつておるという意味を申しておることでございます。  漸増計画についての御質問でございますが、漸増計画についてはたびたび申上げておりまする通り、具体的な漸増計画というものを立てる段階になつておらないというのが実情でございます。この点は御了承を願いたいと存じます。
  29. 松原一彦

    松原一彦君 申さないつもりでしたけれども、今の御答弁がありましたから……。私は誤解しておらんと思う。只今海上保安庁はこれは運輸大臣が持つておられることにきまつておりますが、すでにここにお立てになつておる御計画は数カ月前の御計画で、この保安庁法案が出て全部を吸収するということになつておる。運輸省のほうにおいては水路、燈台、海上救難等の責任がある。従つて船の要ることは必要でありますが、これには大砲は要らんと言つておる、運輸大臣は。而も海上保安庁は運輸省におるべき性格のものであるということを我々は信じております。なかつたら運輸省は困る。従つて運輸省の必要なる範囲は、かような三インチ半の大砲を積んだ船ではない。これは当然新保安庁の組織の中に含まれておる政府一連の責任ある御計画のもとにあるのだ。ただ所管が違うからというそういう形式的な逃げ言葉をお使いになることに対して私は非常な不満を持つておる。どうして運輸大臣が軍艦を十何隻、五十隻の艦艇を借りる必要がありましようか。そんなことは形式上の問題であつて、形式的な議論です。実際においてはすでに私は正確なる御計画があるものと認め、その計画の実現が刻々としてこういうふうな保安庁となつて現われつつある。私はそのことを申したのですけれども、そういう御答弁であるならば、私は誠意のない御答弁だと思いますから、私はこれから上は質問しません。討論のときに申します。
  30. 三好始

    三好始君 警察予備隊貸与を受けておる装備について、貸与条件はどうなつておるかということは非常に不明確で、未定の状態にある、目下交渉中の状態にあるというわけでありますが、私は予備隊貸与を受けておる装備貸与条件というものは、今度アメリカで立法化されました艦艇貸与法一つの標準になるだらうと思うのであります。ところが只今資料として配付を受けました艦艇貸与法内容を一読してみますと、相当我々として注目すべき規定がなされておるのであります。つまり返還の条件についての規定がなされておるのであります。こういうことは警察予備隊装備にも適用されるものとすれば、私たちは目下未定の状態にある予備隊装備従つて今後の保安隊装備についても艦艇貸与法内容一つの基準にして考えて行つていろいろ質さなければいけない問題も生じて来るのであります。ところでこの艦艇貸与法内容は先ほどのお話で、外務大臣のほうから御説明があるように了解いたしておりますので、一応この御説明を承わつてからこれに基いた大橋国務大臣へのお尋ねを更にいたしたいと思うのであります。  それからもう一つ条文に基いて一点残つてつた点をお尋ねいたしたいと思うのでありますが、第六十八条に「保安隊及び警備隊は、その任務の遂行に必要な武器を保有することができる。」、こういう規定がありますが、任務の遂行に必要な武器というのは如何なる範囲のものであるかということが限定されておりません。ところが六十九条以下には武器の使用等について警察官等職務執行法が援用される旨の規定がなされております。ところが警察官等職務執行法は申すまでもなく普通の一般警察官の問題を規定しておるのでありまして、その警察官が使用するところの武器もせいぜいピストルの程度を出ないものを予想して規定されておると思うのであります。ところが保安隊及び警備隊は現にライフル銃なり或いはバズーカ砲なり、中口径迫撃砲なり、将来の予想としては航空機、戦車、大口径の砲までが考えられておる。つまり六十八条に規定しておるところの任務に必要な武器というのは非常に近代化された高度な装備が予想される、こういうわけなんでありますが、そういう高度に近代化された武器を使用する場合に、果して警察官等職務執行法を援用するということでやつて行けるのかどうか、この援用したところのお考え方を承わりたいのであります。
  31. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 最初に外務大臣から説明があると申した点でございますが、只今資料が配られております。恐らく外務大臣としては説明に代えて資料を配付されたものと思います。  それから警察官等職務執行法によつて武器を使用するというのは第六十九条の第一項でございまするが、これも武器使用の一つの場合でございまして、第七十条には「第六十一条第一項の規定により出動を命ぜられた保安隊の保安官又は警備隊の警備官は、前条の規定により武器を使用する場合の外、左の各号の一に該当すると認める相当の理由があるときは、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度武器を使用することができる。」一、二と、こう各号に規定をいたしております。従いまして、警察官等職務執行法だけではないのでありまして、なおほかに第七十乗の規定によつて使用する場合があるということを御了承を願いたいと思います。
  32. 三好始

    三好始君 私、艦艇貸与法内容について一応説明があるものとしてお尋ねするのを留保いたしておつたのでありますが、外務大臣は特別に御説明がなくて、ただこの英文の資料説明に替えて配付をしたというようなお話でありますので、これに基いてお尋ねいたしたいと思うのでありますが、正確を期する上から申しまして目下翻訳中だそうでありますから、それを待つてからお尋ねしたいと思います。
  33. 上條愛一

    ○上條愛一君 私二、三の点について御質問したいと思います。或いは休みましたので重複する点があるかと思いますが、御了承願いたいと思います。  新聞紙上によりますとアメリカから飛行機貸与される見通しがついたということが新聞に伝えられておりますが、どのくらいな量をいつ頃貸与されることになつていますか、御説明を願いたいと思います。
  34. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 実はその見通しはまだついておりませんので、いつどのくらいという話まで行つておりません。併し先ほどちよつと申上げましたように、航空機の乗員というものが今こちらにございませんので、パイロットの養成をしておかなければ急には飛行機の機体だけ参りましても実用になりませんので、飛行機の乗員養成をいたしたいと考えております。これも数十名程度のものを差当り養成したい、それについて日本側には飛行機も持つておりませんので、アメリカのこちらにありまする航空部隊において飛行機の乗員の養成を引受けてくれるかどうか、それを只今先方に確め中でございます。
  35. 上條愛一

    ○上條愛一君 それでは次にお尋ねしたいのは、これも新聞紙上で伝えられるところでありますが、七月の上旬に警察予備隊の隊員を三十名ほどアメリカへ留学させることが出ておつたのですが、さような御計画がおありでございますか。
  36. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) アメリカに留学させることはまだ決定しておりません。ただアメリカとしては留学するようならば世話をしようというふうな意向はあるようでありますが、併しアメリカへ参るにつきましては、先ず、英語の準備とか相当準備をしなければ、これ又いざというときに直ぐやるわけに行きませんので、そういうことがあるとすれば、そのときに備えまして、若干の者に英語を勉強するようにということを申渡しておりますが、まだ具体的にアメリカへ留学するという計画までは行つておりません。
  37. 上條愛一

    ○上條愛一君 若しやるとすれば、それは警察制度に関する目的の留学ですか、アメリカ軍隊制度の規則を学ぶための目的ですか。
  38. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 警察予備隊の運用上必要な教育を受けるという趣旨なのです。
  39. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつと諸君に申上げますが、外務大臣が出席されたのでありますが、一時頃までですか、一時頃までに又はかに用事があるというのですが、この際外務大臣への御質疑を願いたいと思います。
  40. 三好始

    三好始君 実は英文で艦艇貸与法資料を配付頂いたわけでありますが、目下翻訳中だそうでありまして翻訳ができてからお尋ねをするほうが正確を期する上から言つて適当だとさつき申上げたのでありますが、今外務大臣お見えになりましたから、一応艦艇貸与法内容についての資料に基いての御説明を先ずお尋ねいたしたいと思います。
  41. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) これは実はお断わりしてあります通り法律なつたものではなくて、法律案として提出されたものなのでありまして、正確なるものはまだ入手しておらないようでありますが、併し大体の趣旨はこれと同じものと考えております。で、ここにもあります通り日本政府に対して船を、いわゆるフリゲートと称するものを十八、それからその他の船を五十貸す権能を大統領に与えておることが一点、それから大統領はこれを渡す前に日本政府と協定を結ぶのであるということが第二点、そしてその協定の中には貸したときとほぼ同様の状態で船を返してもらうのだ、ほぼと言いますか、実績的にと言いますか、同様の状態で船を返してもらうのだ、こういう三点の法律案であります。
  42. 三好始

    三好始君 今配付頂いておる資料が、外務省として入手しておるところのアメリカ法律化された最終案であるかどうかはつきりしないようなお話でありますが、そういたしますると、性格のはつきりしたものを承わらないと我々は困るのであります。正確な情報を得た上でその内容についての御説明を頂かなければならんだろうと思うのであります。すでに大統領は署名を終つてアメリカ国内法としての手続は完了しておるわけでありますから、私は正確な成立した法律案内容を知る上に技術的に不可能な問題は残つておらないと思うのであります。なお新聞紙上なんかを通じて知る範囲では、この法律案が修正されたということは聞いておりません。ただ下院では相当この法律案内容について論戦が行われたということが報道されております。そういたしまするというと、論戦というと一体どういうところに問題があつたのだろうか、若しこれが単純にアメリカ国内の問題として我々にそう大きな関係のないことであればいいのですけれども警備隊の性格にも触れるような問題についてアメリカ国内にも相当の疑義があるとすれば保安庁法案の審議に当つて関係が生じて参るわけでありまして、正確な法律内容と同時に、若しこれに附帯決議とか希望条件が附いておるとすれば、そういうことも知る必要がある。なお非常に問題があつたとすれば、それはどういうところに問題があつたのかこういうことも知らして頂ければ幸いだと思つております。
  43. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) これは法律になりますと、法律を出しますが、その法律の何と言いますか、本文と申しますのは、やはり飛行便で取り寄せるよりほか仕方がないのであります。それがまだ来ておらないという状況であります。併し内容については私は今申した案と変らないと信じております。ただ法律的に申しますと、ときどき字句が変更されたりなんかすることがあり得るのであります。併し内容的にはこれと同じものだと私は信じております。なお米国の議会でもいろいろ議論は無論ありますが、これについては特に御報告するような種類の議論はなかつた思つております。なお仮にいろいろの意見がありとしましても、日本政府日本政府の建前をとつておりますので、この法律がこうなつたから、或いは下院の議論がこうなつたから日本政府の態度が変らざるを得ないだろうというものではないのであります。日本政府日本政府としての建前から、借り得るような状況であるものならば借りまするし、又それが困難な状況ならば借りることができないという状況にはなりましようけれども、一々アメリカ法律なり議会の討論なりを見まして、日本政府立場というものは変更するわけのものではないのであります。
  44. 三好始

    三好始君 只今の御説明の中に、アメリカの議会で議論があつたことはあつたのだが、特に報告するような内容のものではなかつた思つているという説明が出たのでありまするが、そういたしますると、アメリカの議会における審議の状況については在外公館からときどき報告があつたものと了解していいのでしようか。
  45. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) これはいろいろの問題によりまして、ある場合もあり、ない場合もあります。御承知のようにアメリカの議会における法律案だけでも積重ねればこんなに高くなるのでありまして、法案の審議の状況を一々在外公館から報告するというのは、結局速記録等ができまして、それを持つて来ることになります。特に重要なもの以外に一々報告するということはないのであります。なお、アメリカ国会におきましても、どこの国会でも同じでありますが、与党野党の論戦は当然あるのであります。今度の問題につきましても、特に御報告を必要とするようなものは私はまだ聞いておらないのでありますが、これは無論正確に調べて見なければはつきり言うことができないと思います。
  46. 三好始

    三好始君 それにしても、特別に飽くまで明らかにしなければならないというほどの問題じやないのでありまして、簡単に打切りますが、ただ私は特に報告申上げるような問題はなかつた思つているということは、報告を受けたけれども内容委員会に報告するほどの問題ではなかつたというふうに受取つたのでありますが、若し外務大臣の意図がそういうことではなくて、報告するような内容自体がなかつた、こういうことであれば重ねてそれをお尋ねすることもできないわけでありますが、そのあとの意味であるとすれば、この問題はそれ以上はお尋ねいたさないことにして、内容について少しお伺いしたいのですが、それは報告を受けたけれども内容が報告に値いしないということではなくて、内容に亙つてこういう状況つたという状況の報告に接していない、こういうことなんでしようか。
  47. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) これは何と申しますか、普通の政府与党と野党との間に通例取交わされる論争以上に内容を持つたものではないという御報告のように私は了解しております。
  48. 三好始

    三好始君 特に他のことと違つて日本に対する艦艇貸与法律で論争があつたとすれば、それは外務大臣は主観的に国会に殊更報告するほどの問題でなかつたとお考えになるかもわかりませんが、我々としてはその内容の報告が外務省に来ておるとすれば、是非ともお伺いいたしたい気持がいたすのであります。これは今直ちにでなくても、御報告して頂ければ非常に結構だと思うのであります。  それで内容について一、二お伺いいたしたいのでありますが、この法律の末尾には五年経つて貸与された艦艇を返還するときには、借りたときと同じコンデイシヨンで、同じ状態の下で返なさければいけないということになつておるのでありますが、これは若し貸与を受けている期間中に、艦艇が沈没するとか損傷を受けるとか、こういうことになつた場合、それは損傷を受けた場合には修理して、借りたときと同じ状態で返す、沈没させたときにはそれ相当の対価を以てこれに代える。こういうふうに解釈上考えなければいけないものかどうか。この点を先ずお伺いいたしたいと思います。
  49. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 我々はこの法律によりまして、この法律の解釈を我々のほうできめてこれはこういうものだという立場にないのであります。この法律アメリカ政府が解釈しまして、そうしてその結果今三好君のおつしやるように直したり、或いは損害賠償みたいなことをして返すものであるのか、それともサブスタンシャリイという全然いわゆる同じような状態のという、自然の減耗、そういうものは別問題、或いは不可抗力による損耗は別問題であるとかというような話合い先方がこの法律を解釈して、日本政府に話をするものであるか、先方の考え方によるのでありまして、日本政府としてはまだ正式に私どもに話が来ているわけではありませんけれどもアメリカ政府がこの法律をどう解釈し、どういう意味日本政府と返すことの交渉をやり、それが具体的に下交渉でなく、正式な話合いになる場合は恐らく私一人じやきめられませんけれども、恐らくこの担当の大橋国務大臣その他の関係官がお考えになつて、これなら借りてもいいという考えになれば、借りる契約を結びましようけれども、そうでなければ借りる契約を結ばないということになるのじやないかと、私は考えております。
  50. 三好始

    三好始君 私はセイム・コンデイシヨンという字句からして、今お尋ねしたような点を当然に考えなければいけないのではないかと、こう思つている次第でありますが、それについては更に米国側交渉しなければ明らかにならない問題だと、こういうことのようでありますが、そういたしますというと、艦艇貸与を受けることによつて起るところの日本の財政負担、或いは財政負担の可能性という問題はまだはつきりしない。こういうことになつて来るだろうと思うのであります。  それでもう一つお尋ねいたしたいのでありますが、この同じ状態の下で返還するというような内容を含めて協定を締結しなければいけないということになつておるのでありますが、この協定はたとえ同じ状態で返すというだけで、それ以上には使用料なりその他の債務は負つておらない、いわゆる無償貸与である。こういうことにいたしましても、返済するということ自体はやはり債務であります。そうしますというと、協定の内容日本が債権なり債務を負うところの、つまり権利義務の内容を規定するところの協定だということになりますというと、憲法の明文に基いて条約としての手続を必要とするものであり、このアグリーメントというものは憲法で言う条約であるというところから、国会の承認を得なければ、日本国内法としての手続は完了しない。こういうふうに解釈するのでありますが、その点についての外務大臣の御見解をお尋ねいたしたいと思うのであります。
  51. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 今三好君が言われましたけれども、サブスタンシヤリイ・ザセイム・コンデイシヨンというサブスタンシヤリイの解釈によるわけであります。これは私は抽象論しか言えないのでありますが、実際の担当は大橋大臣でありますから、大橋大臣の意見が正確と思いますが、原則論的に申しますれば、日本が将来米国に対して義務を負うような内容の約束であるならば、いわゆる条約の範疇に入る、従つて国会の承認も受ける必要があるでしようが、特に義務を負わないとか、或いは何ら費用を必要としないとかいう場合には条約という形をとらなくてもいいわけじやないかと思つておりますが、これはほんの抽象論でありまして、具体的の事実を見てみないとはつきりしたことは申上げられない、こう考えております。
  52. 三好始

    三好始君 大橋国務大臣は先般私がこの問題についてお尋ねいたした際に、文書による国際合意であればこれは条約として国会の承認を求めるのは当然であるというような御答弁をしておるわけでありますが、現に艦艇貸与法内容はこうした印刷物によつて明瞭になつたわけでありますが、これによりますというと、文書による合意を必要とすることが条件になつておるわけであります。そうして同じ状態の下で返還しなければいけないという形ではありますけれども、こういう形の債務を伴つておるわけであります。そうするというと、この前お答え頂いた通り、条約として国会の承認を必要とする、こういうことになると思うのでありますが、大橋国務大臣のお考えを改めてお伺いいたしたいと思います。
  53. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私は文書による合意はすべて条約だと申した覚えはございません。国際的な権利、義務に関係ある文書による合意ならば、これは条約として当然国会の承認を得べきである、こう申上げたつもりでございます。それで御質問内容を分析いたして参りまするというと、この法案に基いて日本側と米国側とで話合いを進めて参る場合に、第一にこの取極めを文書によるかどうかということがまだきまつておらないと思います。文書による場合はそこで文書という条件を満されると思います。それからその次に如何なる権利義務が規定されるか、その点がまだ具体的に明らかになつておりません。従つてその国際的な権利義務というものがこの文書の中に約束されることになれば、これは当然条約として国会の御承認を得べきものであると、こう考える次第でございます。
  54. 三好始

    三好始君 私は、権利義務の内容が具体的に明らかにならなければ条約として国会の承認を求むべきものであるかどうかはつきりしないということは言えないと思うのでありまして、具体的に明らかにならなくても国会の承認を求むべきであるかどうかはそれ以前に決定されることのできる問題だと思うのであります。この問題は単に政府側からだけ御見解を承わるだけでなくして、相当技術的にも明らかにしておかなければならない問題だと思いますので、後ほど奥野法制局長の御出席を願つて、法制局長としての立場からの見解も述べて頂くように機会を作つて頂きたいと思うのであります。
  55. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 三好君に申上げますが、佐藤法制意見長官は見えております。奥野局長でなければいけませんか。
  56. 三好始

    三好始君 私奥野局長からも参議院の法制局長としての立場からの意見を承わりたいのでありますが、佐藤法制意見長官お見えになつていますから、法制意見長官としての御見解をこの際承われば結構だと思います。
  57. 松原一彦

    松原一彦君 外務大臣に伺いますが、今武器貸与に関する交渉責任には外務大臣がお当りになつていると承わつておるのですが、そうでございましようか。
  58. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 私はまか交渉をいたしておりません。私の知る範囲では予備隊に関する限りは予備隊の当事者がやつており、海上保安隊に関する限りは海上保安庁の当事者がやつてつて従つてそれは下交渉と言いますか、下打合せの範囲をまだ出ていないのだと考えております。
  59. 松原一彦

    松原一彦君 そうすると、この艦艇貸与運輸大臣海上保安庁関係として交渉に当つておいでになるものと心得ていいのですか。
  60. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 私はこれは正確でないかも知れませんが、私の知る範囲では運輸大臣もまだやつていないのではないかと思います。海上保安庁の当事者がやつている程度で、まだそれ以上に進んでいないのではないかと思つています。
  61. 松原一彦

    松原一彦君 私はそれを非常に不思議に思うのです。海上保安庁の当事者が、外国に対する権利義務を生ずる虞れのある船の貸借を運輸大臣主管大臣も知らないうちに下交渉するなんてことは私は誠に腑に落ちない、のみならず誰が計画をお立てになつているかということをさつきから大橋国務大臣にも伺つているのですけれども、伺いまするところによるというと、船を貸してもらうのであつて、軍艦を貸してもらうのではない。而もこちらはフリゲート艦十隻、あとは上陸用舟艇、こうなる。ところが先方は十八隻、又一方に武器としての今後拡張して借入れるものには飛行機百機がある。或いはその他榴弾砲等いろいろ砲の種類もある。そういうものがあとからあとからと現われて来る。そういう計画アメリカにしても武器貸与法というやかましい法律がある。どの国でも貸していいというわけではない。そこで日本のような警察国家、警察のみを持つ国家に、武器貸与法による武器が貸されるものかどうか、相当向うにも論戦はあつたのだろうと思う。その交渉の任に当つておられるどうも私は責任大臣がわからん、計画者がわからん。すべて日本警察隊にしても、今変形しつつあるところのかような一つ戦力と見るべきものにしましても、そのコントロールが文官である総理大臣その他関係大臣の手で行われるならば我々は安心するが、部隊の人がさようなことをやるということになるというと、これは国民は非常な不安に陥る。これは外務大臣私の意見のようになりますけれども、私は九州に行つて夕べ帰つて来たのですが、今騒いでいるのは例の燈火管制の問題です。私の村に帰つて見ると、私の村に今度実弾射撃場ができる。それによつて牧場が潰れる。簀竹というものの主産地ですが、それが潰れる。村は大騒ぎをやつている。非常な不安、もう戦争の足音が近付いたというので、一方は燈火管制がある。一方には実弾射撃場ができて、而も村の極く一部の僻陬地ですが、そこに二カ所できている。大騒ぎをやつて村の者はこぞつて上京しようというので、私が抑えて来た、僕が交渉に当るから出て来んでもいいと言つているのですが、さような非常に国民は不安に陥つている。現に群馬県では飛行機と重砲との連合演習が始まるじやないかということまで聞えております。我々は何にも知らないうちに新聞ではこうしてどんどんといろいろなものがあとからあとから出て来る。一体武器貸与なんてことは重大な問題です。日本憲法にはそういうことは許してない。にもかかわらず再軍備はしない固い信念を持つておられる首相の下にこういう計画が出て来るということになるというと、一体誰がこの交渉の任に当るか、誰がその計画立てておるのか、その責任の所在が極めて不明であるという不安を我々は持つのである。国会も知らん。国民も知らん。現にかようなものができて、外務大臣にもお聞きすると、いや自分交渉の点に責任者じやないということになる。今外務大臣はこの点についてどういう一体責任の地位におありになるのですか。
  62. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) それは少しあなたの誤解もあると思いますが、海上保安庁におきましては、もうすでに前から海難救済及び日本の漁船の保護、その他海上の保安の確保という意味で相当の艦船艦艇を持たなければならないということで新造計画、それから古い船の改修等につきまして具体的な案を持つておる。そこで今度は問題はそれを予算でどうやつて船を作つて行くか、それとも手軽に借り得るもの渡ら、その範囲のものは借り得るところは借りて埋めて行くかという問題になつて来ているので、その借り得るかどうかという下話海上保安庁等でいたしているものと私は了解いたしております。そうしてこれは何も知らないうちに再軍備とか何とかいうものじやなくて、海上保安庁としての任務を達成するに必要な範囲がこれだけのものであるというので、ただ予算の制約があつてそれがすぐできないのだ、仮だやつても一年なり何なり時日がかかるという両方の方面からの問題であろうと思つております。
  63. 松原一彦

    松原一彦君 そういうことも承わつております。けれども海上保安庁は今度は運輸大臣の手から離れて大橋国務大臣所管と思われる保安庁に移ることは御承知通りであります。ところが運輸大臣のほうでは水路、燈台、海難救済等のために船が欲しい。併しその船は大砲を積んでいる船ではない。現に新造計画も大砲を積んだ船ではない。これを持つて行かれちや困るという意見が運輸省内においては満ち満ちておる。併し船は全部根こそぎ運輸省の手から離れる。水路の開拓、燈台の巡視、挙げて海上保安庁が今までやつておられたものは今度は保安庁に移つてしまう。運輸省は非常に困つておる。これはもうお調べになればすぐわかります。不具になつてしまう。そうして運輸省が欲しがつている船とは違う、これは三インチかの大砲三門というのはすでに公表をせられております。そうなつて来ると、そういうようなあなたがたの苦しい逃げ口上ではすまないものが出て来る。この問題に関しまして、先般来ここで私どもが苦しみ抜いて質問している。何とかそこにはつきりした憲法においても許容せられ、国内法においても許容せられ、財政法においても保障がつく外国との取引がどうして行われるかについてのどうもはつきりしたものが出て来ない。それで私は責任を追及しておりますけれども、どなたも責任をおとりにならん。だから外務大臣の地位は一体この問題に関する限り、船の貸与に関する限りどういう地位にありますかということをお尋ねしている。
  64. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) これは海上保安庁関係のことでありますから、集質的には外務大臣は殆んど関与しないわけであります。ただこれがアメリカとの間の協定なり、或いは何かそういう形をとる場合にはこれは外務大臣が当然関与するし、又これが国際的にどういう影響を及ぼすとかいうような問題になりて来れば、我々は当然関与すべきものと考えております。ただ海上の警備とか海難の救済とかにこれこれの船が必要であるという内容については私は関与すべきものではないと考えております。
  65. 松原一彦

    松原一彦君 そうすると下交渉というものが今行われておるのであつて、何を幾ら貸してくれというようなことをば要求しておるかどうかということに対しては全然外務大臣は御関知になつておらんわけですね。
  66. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) その通りであります。
  67. 松原一彦

    松原一彦君 それでは閣議においても、一遍もこの問題に関しては閣議というものにはかかつておらんものですか。
  68. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 私の記憶では閣議において先ず運輸大臣から海上保安庁としてはこれだけの船舶が必要で、これだけの装備を持つたものが必要であるという説明がありまして、それからかなり後になりまして、この中で若しアメリカ政府から借り得るものがあつたら借りる交渉をいたそうと思つておるという説明があつたと記憶しておりますが、これはもつとよく調べてみなければ或いは記憶の違うということもあり得ますが、そう今のところ私は記憶しております。
  69. 松原一彦

    松原一彦君 あなたの御関係になつている閣議でおきめになつたという範囲内では、単にこの海上警備船舶だけであつて飛行機その他大砲とかいつたよう武器に関しましては、まだ一回も閣議にはかかつておらんというのですか。
  70. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) この運輸省の初めの計画には、今の持つている船の改造なり、新らしい新造なりした船に一定の武装をするというので、その中には砲も必要であるという説明も聞いております。
  71. 松原一彦

    松原一彦君 いや、閣議においてです。そうするというと、まだ大橋国務大臣のほうから計画的な船の貸与に関する条件が関議には一度もかかつたことはないと、かように承知してよろしうございますか。
  72. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) その通りであります。
  73. 松原一彦

    松原一彦君 重ねて伺いますが、そうすると今日本には飛行機が百機も近いうちに来る、その訓練も今始めて現におられる。或いは砲もすでに演習に使おうとしている、これも始つている。そういうような各種各様の武器が、或いは飛行機が非常に入つて来るといつたようなことに対して閣議の御承知を得ない行動が警察予備隊の隊で行われている。さつきあなたの御説明によるというと、運輸大臣は知らんけれどもが、隊のほうでやつている、庁のほうでやつている。庁の責任運輸大臣がおとりになるものと私は心得ているが、そういうようなことではどうもこれはいよいよ我疑念が増すばかりである。これはそういうふうにいい加減なものではなくして、日本が今後憲法の下にどう伸びて行くか、どうして自己を保全するか、これは世界に対する独立国の義務でありますから、いろいろな苦労が要ると思うのでありますが、その苦労の要ることは国民が皆な納得した上で行かなければならない。国民が何も知らないうちにかような問題が続々発展して行くということに対しては、閣議もお知りにならないし、当面の責任長官も御承知がない、聞いたことがあるといつたよう程度で以てこれが進められていいでしようか。
  74. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) それは先ほどから申すように少し誤解があるのです。要するに閣議では先ず日本憲法にも無論差支えない、又日本の財政においてできるであろうというので、この程度の船を装備して新らしく作る、又古いものを直して海上保安を充実したいという運輸大臣説明がありまして、その方針は了承しているのであります。併しながらそれを実際に行うに当つて、仮に簡単に米国から船舶の貸与ということが行われるならば、早くできるし、能率も上るからそれについて下交渉をすることも了承いたしている。従つて閣議が知らないことじやない、ただ下交渉程度にしかものが進んでおらないからそう申しているだけであります。方針については無論閣議で了承してやつております。
  75. 松原一彦

    松原一彦君 そこで私の伺うのは、下交渉というものに対して閣議が了承せられたというが、その範囲艦艇だけでありますか。飛行機やその他の武器にまで及んでおりますかと言つているのです。
  76. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) それは初めから運輸省の計画武器を積んだ船なのであります。その計画に入るような船を借りるという話をしております。尤も飛行機のことは聞いておりません。ただ運輸大臣としてはヘリコプターを欲しいということを言う考えであるということを一度聞いたことがありますが、それはなかなかできそうもないという御説明であります。
  77. 松原一彦

    松原一彦君 あなたの言われるのは、私の質問とあなたのお答えが食い違つておる。というのは、大橋国務大臣のほうから、警察予備隊の必要とする武器貸与、これに対するところの計画貸与計画等について、閣議というものでお聞きになつておることがございますか、こう言つておるのです。
  78. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) それは、大橋国務大臣がここにおられるのですから、私から言わなくても……。
  79. 松原一彦

    松原一彦君 私は、この前も運輸大臣のおられんときには、あなたは、閣議で余り聞いたことがないというようなお話でした。ところが運輸大臣閣議でその話をして、承認を得ておるのだと言う。だんだん話が違つて来る。又大橋国務大臣は、そういう計画はしておらんと言われる。けれども一方にはどんどん船が、飛行機が来るし、火器が動く。だから私どもから申せば、誠に奇々怪々と申すか、誰が一体その計画をしたのか……。
  80. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) ちよつと誤解があるようでございますから、申上げておきます。
  81. 松原一彦

    松原一彦君 どうも誤解はないようですが……。
  82. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 航空機、大砲等のことは、今相当具体化し、且つその演習が行われつつあるようなお話でございますが、そういう事実はございません。先ほども申上げましたごとく、警察予備隊においては、現在非常に口径の小さい迫撃砲装備いたしておりまするが、これだけではどうも予備隊の本来の治安維持の使命から見て、不十分であろうというので、更に現在持つておるものよりは多少大きな小口径の砲を装備してはどうだろうかという話でございまして、事務当局からその話も私聞いております。それでそれについて向うと話合いを進めるということでございますから、目下私の責任において、下交渉をいたしております。で、この下交渉の結果はまだ見通しが立つておりませんので、閣議に御報告をする段階にはなつておらないのでありますし、いわんやこれを外務省に移牒して、正式の取極めを願う段階には至つておらないわけです。航空機についても同様でございます。
  83. 松原一彦

    松原一彦君 私はそれをさつきから申しておるのです。一体国防……これは日本の自衛のための一つの施設であります。この日本の自衛のための施設というものの限界範囲等につきまして、これは当然重大な問題でありますから、閣議決定が先である。その計画によつて下が動かなければならん。総理大臣がシビリアン統制としてやつておいでになる。その計画の下にすべての機関が動くのである。逆になるのである。下から話が出て来て、そうして所管国務大臣相談を受けておるとかいつたよう程度で、そうして閣議にもまだ持出さないうちに、早くも外国との武器交渉が行われておるというところに我々の不安がある。而も多少口径の大きいようなものといわれる。多少がわからない。何です、多少とは一体。十五榴弾砲ならば、一体それを多少というのかどうか、それがどう拡がつて行くのか。私どもはそこに不安があつて、なぜこれをば閣議で以て一つの方針を決定して、その計画の中から一つづつなし崩しに、この程度は借りてよろしい、この程度は話を進めるということにならねばならないものであるものを、どうしてそういうふうに皆さんは責任を忌避しておいでになるか。いや、事実閣議で御決定にならないものが、かくのごとく動くことになるならば、我々はこれに対しては非常な不満を持つている。承認することはできない。これは意見になりますけれどもが、これは討論のときに申上げますが、私は、そういう点におきまして、日本の国の自衛というものを、国民総納得の下において行わないで、こそこそするようなことは断じていけないということを私は信ずるのであります。これじや愛国心も何も沸いて来やしません。一番大切な国民自衛の問題が内緒で動いておるということは、大きな世界観とか、無装備とかいつたようなことについては、私別な所論を持つておりますけれども、こういうような状態で進むということが独立国家としてあるべきものじやないという私の所見から、皆様のおやりになることに対しましては非常な疑惑と不満を持つのであります。今日はそれだけ申上げて、私用事がありますから、退席いたします。
  84. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) ちよつとお待ち下さい。只今松原委員の御意向、閣議においてどれだけの装備が必要であるということを決定し、そうしてそれに基いて事務当局が交渉をするのが建前じやないか。私これには全く同感でございます。閣議におきましては、すでに警察予備隊の目的というものを決定いたしておりますが、国内治安の確保という目的を決定いたしております。その決定の範囲内におきまして、具体的に如何なる武器を如何に装備するかということは、これはやはり大きな意味において、閣議において承認した範囲内においてのみやれることなんでございます。で、政府の行政機関といたしましては、無論主管大臣責任において閣議の方針によつてやられることでございますが、その事柄は一々大小逐一閣議にかけなきやならんというものではないのでございまして、閣議全体で了承しておる方針の範囲内において、個々の具体的な措置というものは、これは主管大臣に任されることが一般でございまして、それで予備隊武器の問題につきましては、主管大臣において、警察予備隊の目的の範囲内において、できるだけ充実をするために努力しようというのは、これは当然の事柄でございます。それでありまするから、私といたしましては、当局の補佐を得まして、これについていろいろと計画立てようと努力をいたしておるのでございますが、まだその計画立てるにつきましては、御承知のように、我が国では国内武器の生産ができないような状況でございまするから、予備隊武器装備計画するにつきまして、入手可能であるということについての或る程度の目途を立てるということが、計画を決定するに必要なところと考えておるのでございます。無論理論的に言えば、これだけのものが必要だということを頭において、それに応じて、それでは具体的に入手可能なりや否やということを判断するのが、考え方としてはそういうことになるのじやないか、併しながらこの場合におきましては、日本の特殊事情といたしまして、国内において生産のないところの武器装備するということになりますと、日本として入手可能というようなものであるかどうかということを考え、それを念頭においてのみ初めてこの計画が立ち得ると思うのでございまして、只今の階段は、この予備隊装備について計画立てまするために、入手可能なりや否やということをアメリカに対して打診をいたしておるという段階であると御了承を願いたいのでございます。この打診に基いて、或る程度の見通しがつきまするならば、無論計画立て閣議において決定をいたしまして、その方針に従つて着々準備を進めて行く、こういうことにいたしたいと、私としては考えておるわけでございます。
  85. 松原一彦

    松原一彦君 その打診の基準を我々に一応納得させておいて頂かなければ、あとでお困りになる問題ができて来るであろうと私は案じまして、お尋ねしておつたのであります。それならばまあ打診をしておいでになるものと心得ます。但し打診で済むものであるかどうか、国民の中には、打診ではない、計画日本政府は立たんのは当然だと言つておる。それは、計画立てるのは日本じやないという1説がある。これは私は断言はいたしません。想像であります。けれどもが、十艘貸してくれと言えば予算にない十八艘が来る。恐らく飛行機は百が二百機になりましよう。大砲はどんな大きいものが来るか存じませんけれども、そういう計画日本独自の計画から割出されるものであるならば、私は安心いたします。併しそうでないようならば、想像の行われるようなことのないように、私は政治の信を失わないようにお気をつけ頂きたいということだけを申上げます。あとは又次の機会にします。
  86. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 ちよつと……両大臣法制意見長官只今おいでになりますので、この審議が事実の責任と権限その他の法律的の問題とこんがらがつて、却つて長引くと思いますので、それを短縮する意味において、権限その他の問題をはつきりお尋ねしたいと思います。今日日本に対する武器貸与法の法案が手に入つたのでありますがこの法案通りが設けられたものかどうかということはわかりませんが、暫くこの法案についてお尋ねいたしますので、この法案に基いてお答えを願いたいと思います。それはこの法案でもはつきりするように、これは米国政府日本政府との間のものであるということは間違いないと思います。それからこの中に、はつきりアグリーメントとありますから、協定或いは契約或いは約束というものであることは間違いないと思います。こう認められるのでありますが、その点は、法制意見長官は同様にお考えになるかどうか、一つお答えを願いたいと思います。
  87. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 前々回でございましたが、このような法律のできることを予測されましての同様な御質問がございまして、この文字に捉われない趣旨でお尋ねがあり、又お答えをしたのでございます。そのときに私のお答え申しましたのは、司法上の契約である場合には必ずしも条約を要しない。例えば日本の大使館の敷地として向うの国有地を借りるような場合に一々条約を要しないことは当然であるというような趣旨を申上げたのでございます。そこで只今のこの法律そのものについての字句の問題についてでございますけれども、これが果してこの契約という、私法的の意味での契約であるかどうかということについては、いずれにいたしましても、実体から考えまして私法的のものであると言い得ると思うのであります。従いましてその字句がどういう形式を要求しているのか、国際条約というものを要求しているのかどうかというような問題が最後の問題になりますけれども、ここに現われました文字のみでは、それだけの意味は私は出て来ないのではないかというような別個の判断の問題になるように考えております。
  88. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 私がその次の次ぐらいにお尋ねしようと思つたのを先にお答えになりました。今のお答えであると、私二日も三日もお尋ねしなければなりませんので、質問は待ちます。もう今日はこれでやめましよう。
  89. 上條愛一

    ○上條愛一君 今のに関連した質問ですが、海上保安庁の設置の場合に、海上警備隊を作るという提案がなされたときに、海上警備隊を作るという前提として、千五百トン級を十隻、二百五十トン級を五十隻アメリカから借入れる、そうしてそのために千五百トン級には百八十人の乗組員が要る。それから二百五十トン級には約六十三名の人員が要るということで、これは定員法も改められたと考えられるのですが、そういう前提条件であつたかどうかということを御質問したいのです。
  90. 柳沢米吉

    政府委員(柳沢米吉君) 最初に、海上保安庁設置法の一部改正のときに、船舶の貸与という問題が起きたわけであります。勿論そのときにおきましても、海上保安庁の目的に沿う船舶という目的で借りるということでありました。
  91. 上條愛一

    ○上條愛一君 そうだとすると、私どもは、すでに海上保安庁設置の法律案が出されたときに、船は借りられるということが確定して、それは正式に契約をしたかどうかということは別問題としてすでに借りられるということが或る点まで確実になつた上で、これは海上保安庁法案というものは出されたものだ、今日いろいろ承わつているというと、殊に外務大臣お話を聞いているというと、この契約に日本が満足すれば借りるし、不満足であれば借りないというようなお言葉がありましたけれども、そうするというと、若しアメリカがこれらの船を貸せないということになりまするならば、海上保安庁並びに海上警備隊の案というものは御破算になるという性質のものでありますかどうか、承わつておきます。
  92. 柳沢米吉

    政府委員(柳沢米吉君) 現在事務当局としまして、先ほどお話になりました通り閣議の決定の線に沿いまして交渉をして来たわけであります。本件におきましては、海上保安庁法一部改正のときにすでに向うの気持といたしましても、我々の出す条件をそのままで貸して頂けるということが大体確定しておつたと思うのであります。ただこれに対して法規的の裏付けを必要とするということがあつただけでございます。その法規的の裏付けが現在論議されているという状態にあるものだと考えております。そうすると、今日はこの問題は問題にならんと思います。ということは、我々は海上保安庁も、案が出されたときに、もはや十隻、と五十隻は貸りられるものという確定の上に立たなければあの法律案は出て来ないと思う。我々は若しそういう確定があると思えばこそ、あの問題を討議したと思うのです。それならば、今日においてもはや十隻と五十隻はすでに如何なる条件の下においても借りるということにならざるを得ないと考える。ただそれを法文化すか化さんということだけが今日残された問題だと考える。併し先ほどから十八橋国務大臣外務大臣の話を聞いているとすこぶるその点が不明確であると我々は考える。そのような不明確なもので法律案が出されるべき性質のものではないと我々は考えているんですが、その点は如何ですか。
  93. 柳沢米吉

    政府委員(柳沢米吉君) 本件につきましては、事務局としましては、我々の要求の通り大体貸して頂けるものと確信いたしているわけでございます。但し先ほどから議論がありました通り、細かい点につきまして、或る程度の開きが出るかも知れないし、そういう開きもそんな大きな開きはないと思います。この開きの如何によりまして、先ほどから議論のありました通り、条約になるか、或いは私的のものになるかということに引つかかつて来ると思います。問題は非常に極限されたところに議論が来ているのではないかと考えます。
  94. 上條愛一

    ○上條愛一君 実はこの前も承わつたのでありますが、このような問題から、すでに閣議の承認を得て、国家として確定したものとして、この問題は海上保安庁の当局が取扱つているものと我々は考えておつた。ところが今日承われば、この点が非常に不明確である。閣議で決定したやら、出たという話があるけれども、それはまだ運輸大臣話合いつたというようなすこぶるあいまいなことですが、このような重大な問題が閣議の決定を経て確立しないうちに、海上保安庁の当局者が話を進めたものか、国家としては、閣議を経た決定の上で海上保安庁関係の当事者が話を進めたものか、その点を明確にして頂かんというと、極めて不明確なものになると考えるのですが、その点は如何ですか。
  95. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) これは閣議の正式な決定というのではなくして、閣議において、かような方針の下に下話を進めたいという話が運輸大臣からございまして、閣僚がこれを承認をいたしたわけでございます。従いまして、閣僚はこの問題について全部承知はいたしておりまするし、連帯して責任を負うべき立場にあることは無論申すまでもないのでございますが、併し文書によつて閣議決定を経たという事柄ではございません。
  96. 上條愛一

    ○上條愛一君 そうしますれば、この問題は、もはやアメリカ政府において決定を見たのですから、その条件もおよそやはり下打合せがあつて、これはやられたものと我々は考える以外にないと思うのです。そこで今日において、もはやこの問題は法文化すか法文化さないかという、極めてあいまいなものじやないのではないかと我々は考えるのです。従つてもはや借りるということを日本政府閣議で了承して、そうしてアメリカ政府に正式な交渉をしたからこそ、アメリカ政府もこのような決定を見られたと我々は解釈をして、従つてこのアメリカの決定を見たものを、又これを交渉の余地があつて、借りないでも借りてもいいというような、そのようなものではないと我々は考えるのですが、その点は如何ですか。
  97. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 実は米国内の事情につきましては、私ども詳細を知りませんから、その点は想像或いは仮定の事柄になると思いますが、このことにつきましては、当初より日本側においては、船舶の借受けを無償で以て借受けたいと、こういう考えで話を進めているわけでございます。それで恐らく米国関係者といたしましても、事実上無償になるであろうということは十分に考えておられるようでございますが、併し無償であるということを文書で約束するかどうかという点について、なお話合いを今進めておるわけでございまして、向うは、船舶使用の対価については迫つて協議をしようと、こういうふうな書き方をしたのであります。こちらとしては、その条項は無償であるからして、外して貰いたいというような話合いになつて、そのまままだ向うから何も言つて来ないと、こういう状況でございます。然るところに、かような法案米国において可決せられておるという点から考えまするというと、恐らくこれは当方の希望通り無償であるということが了解され、そうしてこの法案となつたのじやなかろうかと、仮にその想像が当つておるといたしまするならば、先方としては、当方の希望した条件によつて貸付けてくれるということを進んで想像することができますから、それで恐らくこの相談は成立つことになるのじやなかろうかと、こう推測することができるわけでございます。
  98. 上條愛一

    ○上條愛一君 これ以上は議論になりますから申上げませんが、私どもは、少くとも法律として議会に提出して参りまする根底をなす海上警備隊の要素である船を借りるというようなことがあいまいなことで、これを提出されるということは、我々は承認できないと思います。だからして恐らくあのときに、十隻と五十隻を借りるとの前提の下に立つて海上警備隊法案提出されたもので、我々は、すでにそのときにこの問題は日本政府としては解決がついておらなければならん問題だと考えます。それを今になつていろいろあいまいな点が出て来るということは、我々としては実は心外だと思わざるを得ないわけです。まあこれ以上は議論になりますから……。
  99. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) これはたびたび申上げておりまするように、あいまいな点はないわけでございまして、日本側は無償を前提として話を進めておるわけであります。米国といたしましては、この法案を出す以上は、日本側がそれを借受けて、そうして海上警備隊を組織するというのをきめてくれなければ、向うとしては法案の審議ができないとこういう立場にあるだろうと思うわけでございます。従いましてこちらとしては、海上警備隊を創設するという意思決定をする。それに基いて向うでは船舶を貸すという意思決定をする。これは、双方法律意味においては確定はいたしておりませんが、併し実質的な話合いとしては、すでにきまつておる状態にまで進んでおるだろう、あとは、これは双方国内法上に法的な準備をし、それに基いて正式な意思決定をするという手続が残されておりのであると考えておるわけでございます。
  100. 上條愛一

    ○上條愛一君 もう一点だけお聞きしておきますが、その条件として、無償ということを日本側は希望したということは今わかつたのですが、ここにありまするもう一つの重要な条件でありまする、貸与のときと同一の条件において右船舶を返還する、こういうことがありますが、こういうことは、そのときに日本側としては何ら問題にしなかつたのか、したのか、その辺のことを承わりたい。
  101. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 普通船舶を借受けます場合におきましては、通常の使用によつて生ずる損耗については、これは現状のまま引渡しをするということが船舶の貸借についての通常のやり方でございまして、ただ滅失をいたしました場合に、その補償ということは、これは一般の船舶の貸借において問題になる点だと思うのでございます。従いまして日本側といたしましては、無償であるということは、同時に通常の使用によつて損耗した場合においては、その返すときの現状において引渡せばよろしいというように、これを了解をいたしておるわけでございます。但し滅失をいたしました場合については、日本側といたしましても、必要があつて借りた船舶でございまするから、滅失いたしました場合におきましては、その後警備隊の業務を運営する上から言いましても、代船を必要とするわけでございます。従つて改めて必要のものを借りるか、或いは建造するかということになるわけでございますが、その返還をいたしまする場合においては、一応当方として向うに話しておりまするのは、不可抗力等による損失の場合においては、然るべく考慮をしてもらいたい。つまり終始無償主義でお願いをしたいという意味話合いをしておるわけでございます。恐らくそうした方向で決定されるものと固く信じておる次第でございます。
  102. 三好始

    三好始君 先ほど大橋国務大臣の上條委員への答弁の中に、アメリカとしては、日本の法的な手続が終るのを条件にしておるような意味お話があつたと思うのでありますが、それは目下審議中の保安庁法案の成立を意味するのかどうか、その点ちよつとお伺いしたいと思います。
  103. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 先ほど申しましたのは、私は先方に事情を確めたわけでなく、ただ普通の場合の常識を以ちまして想像をした点でございまして、船舶というものが警備隊の基礎になりますから、警備隊を組織するについては、船舶の問題が解決しなければ、最終的に決定しなければ、警備隊法案の審議はできないということは、日本側において考えられることでございますが、これを逆の立場から言えば、船舶を貸すかどうかということは、日本が果して警備隊を作るかどうかということが確定しなければ、貸すほうも法案を出せないという考え方もあり得るわけでございまして、従つて双方とも法的な手続の前に、或る程度の実質上の下交渉をすることは当然であり、その下交渉について見込みがあるということになつて、双方がそれぞれの国内手続を取運ぶべきものだろうと、こういうふうな一般の常識的な見解を披瀝しただけでございまして、どの法案をどうこうという意味ではございません。併し現実に申上げますると、日本において海上警備隊を作る場合に、この船舶をすでに予定いたしておりまするから、強いて言えば、日本側としては、一応海上警備隊の創設ということの法的手続を終つておりますから、ですから、それに対してアメリカ側が正式に船舶の貸与という法案提出した、こういうことが言い得ると思うのでございます。
  104. 三好始

    三好始君 そういたしますと、アメリカ側としては、日本に対して保安庁法というような新たな法律制定を必要とするという事情は認めておらない。現行法を前提にして艦艇貸与するという立場をとり得る。こういうふうに了解していいのでしようか。
  105. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 船舶貸与の問題は、保安庁法とは私は関係ない問題でありまして、これはすでに国内的には一応海上保安庁法の一部修正の法案、即ち海上警察隊創設ということにおいて終つた問題であると考えております。
  106. 三好始

    三好始君 率直に申しますというと、私は違つた見解を持つておるのであります。警察予備隊或いは現在の海上保安庁では、アメリカは分けに日本に対して武器貸与することがアメリカ国内法の建前からいつてできない。そういう点において、保安庁法の成立がアメリカとしては一つの條件になつておるのではなかろうか。つまり警察予備隊保安隊とは性格を異にしておる。今日の海上警備隊保安庁法にある警備隊とも性格を異にしておる。こういう見解の上にアメリカは立つておるのではなかろうか、私個人としてはそういう一応の考え方をしておるわけでありますが、これは私個人の見解でありますから、別にお尋ねいたすわけではありません。ただ今お答え頂いたものと多少違つておるのではないかという感じがすることだけを申上げたわけでありますが、この法律案の審議は、率直に申しまして私は現在の段階でこういうことを申上げるのは早いかと思いますけれども、純粋に言えば、保安庁法案の審議は、違憲論その他の立場を別にしても、これは審議未了に付するのが恐らく適当だろうと思うのです。若しこの会期中に艦艇貸与なり、武器貸与の条件が極めて明確になつて保安隊警備隊設置の具体的な前提が明らかになれば、これは賛否は別として、決定をすることは委員会として当然だと思うのでありますけれども保安隊警備隊の実力の本体をなすところの装備そのものが非常に不確定な条件の下に置かれておる。現に今日提出された資料によるところの艦艇貸与法にいたしましても、これを借りる場合には、借りた時と同一の条件において返還する条項を含む協定を締結することが条件になつております。ところがこの協定の内容は明らかでないというのが今日政府側によつて明確にされたところでありましてどの程度の財政負担を含むのか、場合によつて先方の条件が厳しければ、借りられないかもわからないということさえ言われておる。こういう不確定な状態の下で保安隊警備隊が設けられようとしておるわけであります。少くともこういうアメリカ側との協定が明確になるまでは、果して法律作つていいかどうか、良心的に言つて、非常に疑問に思うのであります。併しまだ会期のあることでありますから、私は会期がある間はこういうことを本日申すべきではないと思うのでありますが、そういう点について、政府はもつとはつきりした、納得のできるような御答弁をするようにお考えを頂きたいと思うのであります。先ほど栗栖委員は、憤然として席を蹴つて立ちましたけれども、法制意見局長官が、この艦艇貸与法によるところの協定は、私法上の契約だろうというような断定を下すような考え方では、憤慨するのは恐らく栗栖委員一人ではないだろうと思うのであります。私はこういう点で、政府がもつと真剣に誠意のある態度で御答弁をして頂きたいし、又答弁の準備もされたいことを希望するものであります。
  107. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは保安庁法案ほか一件につきまして大体御質疑は尽きたものと認めましてよろしうございますか。
  108. 三好始

    三好始君 それは、この午前中の委員会においては、今の段階においては一応……。
  109. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 今のお話は又別の機会に残る、今のは。ですから」応はこの辺でとめようと思うのです。
  110. 三好始

    三好始君 なお奥野法制局長も、後ほど研究した上で御出席になるような模様でありますから、お答え頂く機会を作つて頂きたいと思います。
  111. 河井彌八

    委員長河井彌八君) じや承知しました。三時まで休憩いたします。    午後一時二十九分休憩    —————・—————    午後三時五十一分開会
  112. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣委員会を休憩前に引続いて開会いたします。  都合によりまして大蔵省設置法の一部を改正する法律案大蔵省設置法の一部を改正する法律案等の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案、この両案を議題といたします。  なお御質疑が残つておりまするから、これを議題といたしたわけでありますから、これにつきまして御質疑のあるかたは御発言を請います。
  113. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 ちよつと官房長にお尋ねしたいのですが、この前もロンドン、ニユーヨークの財務官及び外貨の手当その他についてお尋ねしたのでありますが、もう一度申しますと、従来は、中国の財務官は別といたしますが、ロンドンとニューヨークには財務官事務所がございまして、そうしてその上に日銀の監督役が駐在しておられたと思つております。そうして国庫の金は日銀が更に正金銀行を代理店といたしまして、そうしてその代理店たる正金銀行においてこの国に関する外資の支払その他の外貨資金などの保管その他について当つてつたと思うのであります。そうして日露戦争以来在外正貨というものを置いて、いわばこれは為替平衡資金のような性質のものの代りをするものだと思うのでありますが取扱つてつたのであります。今回昔の財務官というようなものは、外務省のほうへ移されているのでありますが、さうしますというと、丁度本日も津島さんその他がお立ちになつたということであります。外貨の処理、外貨債の処理だけでも大変だと思うのでありますが、一々、津島さんは別としまして、このニューヨーク、ロンドンで取扱われるものは、外務省を経由して大蔵省に連絡が伝わるものであると、こう解せざるを得ないと思います。出先の機関を外務省に統一するということは、軍部のはなやかなりし時代の弊害その他を考えられたことだと思いますけれども、この金融財政というような関係で、ニューヨーク、ロンドンは重要なる問題がございます。殊に外貨債の処理などで、今は非常な問題があると思うのであります。一々外務省へ入つて、それから大蔵省に転送される、こういうようなことでは、この機密が渡れたり遅れたりして用をなさん、こう思つております。併しこれは一々そういうように外務省を経由して転送されるというような形になるものかどうか、指揮も大蔵大臣から外務大臣そうして出先に行くものかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  114. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 戦前の大蔵省の財務官、これは詳しくは海外駐剳財務官という名前で、明治四十三年に置かれまして、その後終戦後までずつと引続いてあつたわけでございます。規定の上では、現在の設置法が公布されますまで残つておりましたが、事実上は、昭和二十年八月の終戦と同時に海外における財務がなくなりましたので、事実上消滅いたしました。現在の設置法が制定されますときには、まだ表向きの外交というようなものがなかつたわけでございますが、今回の機構改革に際しましては、外交再開後の事態として、できるだけ海外における外交事務は一元的に処理するほうがいいという政府の方針に則りまして、財務官という長い伝統の制度も復活することなく、大使館で処理されるような恰好に一応なつておるわけでございます。  尤も財務と申しますと、非常に専門的複雑な事務でございますので、通常の交渉事或いは情報の処理等についても、外務省の本来の職員を以ていたしましては処理し切れない分野がございますので、事実上の問題といたしましては、大蔵省の職員を外務省に派遣いたしまして、外務省の職員として在外公館に勤務させる、さような形態で一元的に処理されることになつておるわけでございます。ところが今までは仕事が実質上なかつたので、余り問題がなかつたのでございますが、御質問にもございましたように、例えば外債の処理、これは普通の外交と違いまして、国が相手ではございません。私人的な立場で、債務者としての日本が債権者に交渉するというような問題になつて参りますと、在外公館の国を相手としての外交交渉という問題と、法律的にも多少性格を異にしますし、専門的知識を要することは勿論でございますが、さような観点から、大使館の職員乃至は外務省系統の職員を以てしては、法律上処理ができないというような法律的な問題もございまして、今回の外債の処理に際しまして、津島顧問が行かれますに際しましては、政府代表としての、外務省の職員としての資格のほかに、大蔵省顧問というような資格も併せ持ちまして、債権者との交渉という部面につきましては、大蔵大臣から特別に権限の委任を受けてお出掛けになる、そういつたような処置を必要としたような次第でございます。そのほかに、例えば国際通貨基金に加入するにつきまして、金の現送をいたします。現送をしました金を受取り、或いは改鑄したり、保管するといつたような、そういう仕事も最近加わつて参りましたがこれも国内におきましては、大蔵大臣の仕事でございます。大蔵大臣がそれを自分の部下でない外務省の官吏に委任することは如何かと思われる点も出て参りまして、結局外交一元化という観点から、外交交渉はできるだけ大使館に一元化して行かなければならないのでございますが、そういう個々的の事務の処理に際しましては、大蔵省の身分を持つた人を特派するなり、或いは大使館の職員の一部を大蔵省の兼任にして頂きまして、大蔵大臣の部下としての資格で、その事務の処理に当ることが必要である。こういう事態が起つて参りまして、現に兼務の発令もいたしまして、兼務によつて何とかつないで行こうというような考え方をいたしております。お示しのございました在外正貨、これは、今日は外国為替特別会計の所有外貨でございまして、外国においてというよりは、むしろ日本における外国銀行を相手といたしまして、そこに大部分は無利子で預託してあると、こういうことでございますが、今後の問題といたしましては、日本側の銀行も海外に店舗を持つようになりまするし、外国銀行よりも、むしろ本邦の外国における支店銀行にその保管、運用を移管するということによつて有利に運用させるということにしなくちやならんと思いますが、その場合には、国庫大臣といたしまして、そういつた銀行の監督というような問題も起つて参ります。それでこの問題も、本来の大使館の仕事と性格を大分異にいたしますし、法理論的にもいろいろ問題がございまして、やはりそれを処理するのには差当りは兼務というようなことででも処理しなければならないのではないか、さような法律上の問題があるという事態に相成つておるような次第であります。
  115. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 今事情を詳しくお話になりましたが、私は、今後外貨債の処理が、殆んど長い間元利払いもしないで、借換えができればよろしうございますが、そういうような外貨債の処理というようなものについても、事務が非常に大きくなつておりますので、多少意見に亙りますけれども、私は財務官事務所というようなものが当然置かれなければならないものだと、こういう意見を持つておるものでございます。意見でございますから、お答えは要りませんけれども、それにはやはり法律でこれを定めなければできないのじやないかというような考えを持つておりますので、この設置法のところで考える要があるかないかというので、お越しを願つたような次第ですが、法律によらなければできないかということを一応お伺いいたします。
  116. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 差当りは兼務で処理して、何とかやれるかと思つておるのでございますが、津島さんが参られまして、外債の利払いが開かれるということになつて参りますと、日本の所有の外貨資金の管理運用のほかに、利払のフイスカル・エイジエント、これもできるだけ日本の銀行にいたしたいと思つておりますが、その監督といつたような業務も出て参りますし、だんだん事務の分量も増加いたして参りますと、将来の問題としては、或いは大使館の中で処理し切れない、昔のような制度を設けることが必要になるというような事態も起つて来ようかと思うのでありまして、そうい事態に備えまして、いろいろ検討もし、又準備もして行かなければならないと思うのでございます。なおそういつた駐在機関を外国に設けることについて法律の規定が要るかどうかという問題でございますが、これは現在の設置法の建前では、常駐的にそういう機関ができるということになるといたしますれば、やはり法律に何らかの規定がなければならないのじやないかと存じます。
  117. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 それからさつきも国庫代理店という関係日本銀行を指定して、そこに外貨の保管その他の運用、或いは日本の外貨債の元利払というようなフイスカル・エイジエントの仕事をやらせる、こういうことは私は非常に結構だと思うのであります。ただ表面的な公平主義で、今為替銀行が十二もあると思うのでありますが、それがためニューヨーク、ロンドンに店を並べて、用もないのに必要以上に支店を作るということもないと思いますが、ただお役所として、万遍主義に開きさえすればどこでも扱わせるというようなことにお考えになると、これは延いては日本に対する海外の信用にも関係することでありますから、一つ適当な銀行、それは数は多くなくてもよいが、公平に御判断になつて扱わせるようにして頂くとよいと思うのです。くだらない競争をして、醜態を海外にさらすということは私はよくないことだと思つております。
  118. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 只今の点は、全く同感でございまして、殊に外債の処理に関連しましてシンキング・フアンドの操作をやるということになつて参りますると、数多くのものが操作に当るということになりますと、これは操作の実をなさないのであつて、できるだけ少数の信用のある確実なものに限定するという必要があろうかと思いますが、それに関連しまして、為替銀行を将来どう育成し、整理して行くかというような問題もございますが、これは根本問題でございまして、大蔵省といたしましても、まだ結論は持つておりませんですが、方向といたしましては、只今御指摘の通りと存じます。
  119. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 私はもうこれで……。
  120. 河井彌八

    委員長河井彌八君) よろしうございますか。大蔵省に対して御質疑はありませんか……。それではよろしうございます。では大蔵省関係はこれで済んだことにいたします。  諸君にお諮りいたします。最近連日懇談会におきまして、各法案につきまして、相当コンクリートな結論が出て参つております。そこでこれを一つの表に作りまして、お手許に差上げるつもりであります。そうしてこれを全体を見渡しまして、適当な調整を加える必要があるかと思います。それ故にこの際懇談会を開きたいと思います。やはり前回と同様秘密会といたしまして、御懇談を願うのであります。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ではさように決します。それではどうぞ事務関係のある職員のほかは御退場を願います。    午後四時七分懇談会に移る    —————・—————    午後六時三十一分懇談会を終る
  122. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは懇談会はこれにて散会いたします。    午後六時三十二分散会