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1952-06-19 第13回国会 参議院 内閣委員会 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十九日(木曜日)    午前十時三十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     河井 彌八君    理事            鈴木 直人君            中川 幸平君            成瀬 幡治君    委員            草葉 隆圓君            楠瀬 常猪君            横尾  龍君            楠見 義男君            竹下 豐次君            和田 博雄君            上條 愛一君            栗栖 赳夫君            松原 一彦君            三好  始君   委員外議員            矢嶋 三義君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君    建 設 大 臣 野田 卯一君    国 務 大 臣 大橋 武夫君    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    警察予備隊本部    次長      江口見登留君    警察予備隊本部    長官官房文書課    長       麻生  茂君    警察予備隊本部    人事局長長官    官房長     加藤 陽三君    行政管理庁次長 大野木克彦君    行政管理庁管理    部長      中川  融君    地方自治政務次    官       藤野 繁雄君    地方自治庁次長 鈴木 俊一君    地方自治庁連絡    課長      松村 清之君    文部大臣官房総    務課長     相良 惟一君    海上保安庁長官 柳沢 米吉君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○文部省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○自治庁設置法案内閣提出衆議院  送付) ○自治庁設置法施行に伴う関係法律  の整理に関する法律案内閣提出  衆議院送付) ○参考人の出頭に関する件 ○本委員会の運営に関する件 ○保安庁法案内閣提出衆議院送付) ○海上公安局法案内閣提出衆議院  送付)   —————————————
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣委員会を開会いたします。  文部省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。諸君にお諮りをいたしますが、文部委員矢嶋君から本案について質疑の発言の御要求がありましたが、許可して差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。さように取計らいます。
  4. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) 当委員会審議案件が山積して時間的に非常に制約されておることと存じますが、文部委員会としては連合委員会を開催しなかつたのでございます。私個人としましても私の会派に内閣委員がおりませんので、適当な時間を割かして頂きまして若干質疑さして頂きたいと思います。従つて委員会に付託されておる全般について若干質したい点もあるのでございますけれども、本日は主として文部省関係に限定いたしましてお伺いいたしたいと思います。  先ず当委員会委員としては耳にたこができるほどお聞きになつておることと思いますが、私も初めてでありますので、一応大臣に今度の行政機構改革目標狙いというものを一応伺いたいと思います。簡単でよろしうございます。
  5. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 行政簡素化ということでございます。
  6. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) では次にお伺いいたしますが、この法律案の前に、文部省設置法の一部を改正する法律案、まあ内容審議会整備統合並びに一部設置、これらを含むところの法律案を出された。更に外局でありますが、大臣所管に属するところの文化財保護法の一部を改正する法律案、これが提案されてあるわけでございますが、こういうものをどうして一貫して出されずに、個々にばらばらに提案されたのでございますか。それともう一点は、この文化財保護法の一部を改正する法律案は、これはこのたびの行政機構改革一環としてなされるのである。そのときの文化財保護委員長答弁では、このたびの行政機構改革狙いというものは、行政簡素化によるところの行政能率向上と、更に大きな目標は官吏の減員によるところの財政負担軽減にあるのだ、そういう立場から文化財保護法の一部改正行政機構改革一環として提案されたのである。こういう答弁を頂いておるのでございますが、その点大臣のお考えを伺いたいと思います。
  7. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 第一点につきまして私から御答弁申上げます。最初の文部省設置法改正は、昭和二十七年度の予算に伴う内部部局の新設であるとか、例えば国立近代美術館設置であるとか、或いは中央教育審議会設置であるとか、或いは講和条約の発効に伴う措置例えば適格審査制度廃止であるとか、そういうものを織込んで第一次の文部省設置法改正案国会に提出いたしまして、これはすでに両院を通過いたしたのでありますが、たまたまその立番に、各省を通ずる行政機構全般簡素化の議が起りまして、それに基きまして第二次の設置法改正を試み、それに関する法律案審議国会にお願いしたというわけでございまして、前のとは施行期日も違いますし、第二次のほうは、各省と同じように、七月一日施行ということになつております。  第二の点は御質問がはつきりしなかつたのでございますが……。
  8. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) 第二点は外局である文化財保護委員会根拠法である文化財保護法改正案提案されておりますね。この法律案提案の場合に、まあ行政機構改革一環として提案されておるという説明がされておるわけです。而もこの法律案は、衆参とも文部委員会に付託されておるわけなんですね。どういうわけでこの行政機構改革一環としてあるならば、どうして同時に出されなかつたかということが一つと、それ以上に伺いたい点は、この一環として提案された保護法の一部改正では、行政簡素化とか、或いは財政負担軽減ということが多く謳われておるわけであります。その具体的のものとして文化財保護委員の五人を三人に減らすことによつて行政簡素化能率向上ができるのかどうかという点と、それから第二の今度の行政機構改革狙いというものは、財政負担というものは入つていないのだという答弁をされて、行政簡素化だけを挙げられたので、その点を私は重ねてお伺いしておるわけです。これは大臣から答弁を求めます。
  9. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 只今お尋ねの問題の一部について私からお答えいたしますが、今度の行政機構改革に関連する法案は全部で三十六あります。三十六でありますが、その全部がこの委員会にかかつておるわけではなくて、そのうちの例えば人事院を国家人事委員会にするということは、これは人事委員会にかかつております。日本電信電話公社設置法、或いは国際電信電話会社設置法、こういうようなものにつきましては電気通信委員会にかかつておる。それから独占禁止法の一部の改正、これは公正取引委員会の一部改正でありますが、そういうようなものは経済安定委員会にかかつております。それから消防庁に関するものは地方行政委員会にかかつておる、文化財保護法の一部改正文部委員会にかかつておる。それから退職手当に関する問題は大蔵委員会にかかつておる。その他そういうふうに数個の法案はそれぞれの関係の深い委員会にかかつておる、こういう実情になつております。
  10. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) この文化財保護委員会改正のことは、これは国会のほうで以て文部委員会のほうにかけるということをおきめになつたと思います。
  11. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) その点はわかりました。第二のほうです。
  12. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君 )私は行政簡素化と言えば予算の縮小というようなことはおのずからそこに伴うと思うから特に申さなかつたのであります。
  13. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) 財政負担軽減も含まれておるというふうに御答弁なさればそれで私了承いたしまして、お伺いするのですが、この外局である文化財保護委員会を含むところの今度の文部省設置法の一部を改正する法律案行政機構改革一環としてのこの内容は私おつき合い的な性格があるのじやないか、こういうように考え理解ができない点がある。従つて私は大臣に端的にお伺いいたしますが、文化財保護法の一部改正についての発言をここに許して頂きたいと思います。これは行政機構改革一環として、今主管の野田国務大臣からも申された通りなのであります。この改正において財政負担軽減から委員を五人を三人にする、そうするとそれが行政簡素化による能率向上だ、こういう見解は私はおかしいと思うのです。実際文化財保護委員の五人によつて、この五人のかたがたが或いは経済界、或いは学界、或いは官界とか或いは民間等から五人出て丁度バランスがとれるように構成して、そうして行政委員会としての使命を全うしつつある。発足して今漸く軌道に乗りかけているときなのです。そのときにこの行政能率向上という立場から、更には大臣をして言わしめるならば、経費の節減というものを織込んで五人を三人にするというような点は、どうも余りに形式にとらわれ過ぎているのじやないかという点理解ができないのですが、その点について大臣答弁を望みます。
  14. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) お考えも確かに私は一理あると思いますけれども、五人でやつていたことを三人でやれないかというと、専門審議会というものを幾らでも設けられるのですから三人でやれると思うのです。三人でやれる場合には私は行政簡素化の線に沿うて、政府全体の政策に文部省も一緒にやつて行くという意味から五人を三人にするということは意味があると思つて了承したわけであります。
  15. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) 大臣言葉を以てすれば、これは五人が二人でもやれる、一人でもやれるということを私は主張されると思うのです。この行政簡素化を日本が独立した機会にやる。大きな狙いは、この占領政治から自主政治に転換した、従つてそれによつて出て来る部分が多分にある。その点から出て来るならば私は了承できるのですが、文化財保護委員会のごときはそういう関係は全くないし、五人の委員仕事を始めて、やつと今始まつたばかりというときに、やれ専門審議会があるから、だから五人を三人でもやれるんだというのは、これは余りにも私は政府減員という基本線沿つて形式にとらわれ過ぎた私は詭弁に類するものだと思うのですが、大臣はそれで何ですか、自信を持つて答弁されておるんでしようか。
  16. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私はこれまでの文化財保護委員会諸君のなさつて来たところを見て、今五人でなさつておることは三人でもやれるというように自分は思いました。
  17. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) その点はそれで一応とどめまして、それでは文部省設置法の一部を改正する法律案定員が若干減少するのでございますが、更には予算的な面において若干の減額ということになるのでございますか。その数的なものを、大臣でなければ政府委員でよろしうございます。
  18. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 今般の文部省設置法改正文部省機構の変更を生じますのは教育施設部廃止だけでございますので、部長一名の定員が落ちる、それだけのことでございます。
  19. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) そこで私はお伺いいたしたいのですが、教育施設を落しているようですが、次長制はここには布かれると書いてないのですが、完全に落したままで行こうというわけですか。
  20. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) さようでございます。
  21. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) どうもこの文部省関係のを見ますと、何とかいじらなくてはならんからいじつたという印象を受けていたし方ないのです。若干整理をされておるわけなんですが、或る課を甲の局から乙の局に動かすというようなことは、文部省でやつておる仕事というものは、各都道府県に影響するところ大きいだけに非常に私は迷惑をするのじやないかと思う。是が非でもこういじらざるを得なかつたというようなその根拠は、どうも薄弱な感じがしてならないのです。それで更に私はお伺いいたしますが、この部局廃止を今度の機構改革では三十四とかやられたそうです。その中に部を廃し局を廃した代りに次長制というものを二十二、三設けられたというふうに私は承わつておるのですが、文化財保護委員会においても事務局総務部保存部廃止して、そうして次長というものを置かれているということは、やはり総務部保存部というものが必要だということを認められているのじやないかと思うのです。ただその部をなくして、そうして次長というものを代つて置いてある。ところが教育施設の場合は、廃しただけで次長らしきものを置かない、そうしてやつて行くつもりだという御発言ですが、それではここは個々に絞つてお伺いしますが、教育施設部文化財保護委員会次長制を設けたような形で次長を置かなくても十分やつて行けるというお考えに立たれていると思うのですが、今まで教育施設部のやられた主なる仕事と、更に他の部を廃した場合に次長を置いてカバーしているわけなんですが、そういうことをしなくてもやれるというお見通しを立てられた根拠について御説明願いたいと思います。
  22. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 今般の機構改革におきまして、各省の内局の部をすべて廃止するという一般的な原則が打出されましたので、従つて文部省教育施設部廃止するということも止むを得ないと思いまして、その通り措置をしたわけでございます。現在教育施設部の中にありますところの課はそのまますべて存置するという考えでおりまするし、部がなくなつて仕事支障を直ちに来たすというようなことはないと考えております。
  23. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) それでは文化財保護委員会総務部保存部をなくしてどうして次長というものを置いたのですか。
  24. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) これこそ機構簡素化でございまして、二部の二人の部長廃止いたしまして一人の次長に変えたという点で、それもさほど支障を来たさないように考えております。
  25. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) 二人の部長廃止して、一人に減らすという意味でやつたわけですね、そうですが。
  26. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) さようでございます。
  27. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) それでは教育施設部についてお伺いいたしますが、あなたの発言を承わつていますと、今まで教育施設部部長なんか要らんものだつた、なくてもやれるものだつたというように私耳に入るのですが、そうなんですか。
  28. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) これは少し一般論になると思いますが、今のような例がたくさんあるのでありまして、それは今まで要らなかつたというよりも、行政簡素化の精神に照しましてそういうものを廃した場合には、その人の仕事をやつていた部分幾分局長がやらなければならない、幾分課長がやらなければならない。而も課長局長というのは自分仕事をできるだけ今後も工夫して能率化して分担して十分成績を挙げてもらう、こういう意味合いで解釈して頂きたい。
  29. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) 私はこの教育施設部廃止についてはどうしても了承できません。更にお伺いいたしますが、従来の文部省管理局というのは、確かにその管理名前にふさわしく相当管理的な業務があつたと思いますが、このたびの事務の再配分によりますと、管理局名前にふさわしい仕事は私は非常に少くなつていると思う。私をして言わしめますならば、この管理局という名前施設厚生局といつたような名前にしたほうがぴつたり来て、何をしている局かということが国民にすぐわかるではないか。そのくらいに私は見ているわけなんですが、この中における教育施設部仕事というものは、これは私がここで申上げるまでもないと思うのです。例えば、若干例を申上げなければわかりませんが、まあ大臣は小学校、中学校の義務教育の推進を考えられ、その建築につきましても現在のいわゆる〇・七坪というものを一応完了したならば、これを引上げたいという構想を持たれておりますし、更に都市向きモデル・スクール或いは農村漁村向きモデル建築というものを教育施設部あたりで今まで着々と計画して来られた。更に大学の例をとつてすれば、七十二の国立大学を設けてその設備並びに施設が如何なる状況かということはここで私が申上げるまでもありません。而もこのいわゆる蛸の足大学を統合したいということを大臣はよく言われております。その整備をするのには予算を五百億要すると文部省は発表されている。これは教育施設部で数字を出されている。それに対して本年度の予算割当は僅かに十三億しか認められていないわけなんです。こういう段階に教育施設部の一人の部長を減らすために教育施設部を落すというようなことは一体どうしても了承できないのです。一円を惜しんで百円を失うような愚かな部類にこれは入つていやしないかと思うのですね。我が国の文教施設の今後の問題というものは私は随分と大きな問題があると思うのですが、ここに総合的に更に計画的にゆつくり構想を練つて対処されるところの部があり、部長一人ぐらいがあるということは、私は公正な立場から考えても当然だと思うのですが、現在の六三とか、或いは大学施設現状から、更に大臣がよく言われる将来の構想、そういう立場からこの教育施設部を落すことについての大臣見解を私は承わりたい。
  30. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) この教育施設部については、こういう施設はすべて一つところにまとめてしまつて文部省のそういう仕事もなくしたほうがよいのだという論もあるぐらいでございますけれども、私どもは今矢嶋委員のおつしやつたような趣旨から、これはどうしても文部省管理して行くことが必要だという趣意で文部省にその仕事は依然として持つて行くわけでございますけれども、一方において部長とか、部とかいうことは廃止するということが全体の線でございますから、その線に副うて私どもはそれに協力して而も仕事内容文部省がどこまでもやつて行こう、こういう趣旨でございます。
  31. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) 大臣の申されることは、閣僚として非常に立派ですけれども、私は冒頭ちよつと申上げたのですが、非常におつき合い的な性格が出て来ているのじやないかと思うのですね。こうしておつき合いして、而も十分やつて行こうと思う、行けると思う。これは言葉の上ではそういうことが申されると思うのですけれども、併しながら現在の、さつき私は若干くどくど申上げましたが、そういう実情から今強化こそすれ、教育施設部廃止というようなことは、私は今後の問題の解決処理ということを考えるときにどうも納得できないのですが、これを一つ野田国務相から承わりたいのですが、無理やりにおつき合いさしたのじやございませんか。
  32. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 無理やりにおつき合いさしたのではありませんので、只今天野文部大臣からお答えになつた通りであります。今後十分政府としては教育施設の拡充というか、強化充実については十分考えて行きたいと考えております。なお具体的に末端といいますか、実行的な部分につきましては建設省で主管する。建設省もたくさんの技術者も擁しておりまするしすることでございまするから、私ども末端で引受けられることは十分引受けてお手伝いいたします。
  33. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) この点は長くなると気の毒ですから、長く続けませんが、只今野田建設相から建設省のほうにも技術云々というような御発言がございましたが、私はここで強調しておきたい点は、常に建築についての建設省立場、或いは六三建築における起債、そういう問題のときに、それは地方財政委員会あたりで処理されておりますが、どうも教育的見地というものが足りない場合が多いのですね。それで私はこの教育的立場からやはり文部省教育施設部というようなものは、やはり強化こそすれ現状というものは維持して行かなければならない現実だと、こういうふうに私はまあ考えております。従つて内閣委員皆さんにおかれましてこの点については更に慎重に御検討頂くように、内閣委員皆さんがたにお願いいたしましてこの点に関する質問は一応打切ります。  次にお伺いいたしますが、これは恐らく政府委員で御答弁願えると思うのでございますが、この提案理由の第二に不合理不便な点を改めと書いてあります。そうして若干のこれに対しての改正をされているわけですが、どうしてこういうあなたがたがみずから認められる不合理、不便な点が生まれて来たのですか。  更に今度所管をここに局を右から左に動かしておりますが、これほど動かさなくても、動かす根拠はどこにあるのだろうかと、私了解に苦しむものがたくさんあるのですが、それを動かすことによつて都道府県教育委員会、或いは一般国民も今度は何課は何局に行つたということがなかなか頭に入らないで、皆様は行政能率向上というかも知れないが、実際においては馴れるまでは、能率の低下というものは甚だしいと思います。それを是が非でもここにやらなければならないということは根拠のはつきりしているものならいいが、余りにいじらんがためにいじつたという点が私は相当あると思いますが、具体的に挙げると時間が長くかかりますからやめますが、そういう感じが強いと思います。この点に対する答弁をして頂きたい。
  34. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 提案理由にも書いておりますように、従来現在の機構では、文部省部内の局の分け方が指導行政を扱う局と管理行政を扱う局とが載然と区別されているのでございましたが、この分け方は全くこれはアメリカ式の分け方でありまして、許可、認可事項であるとか、或いは検定であるとか、或いは補助金を出すとか、そういうような管理部門を担当する局を管理局として、そこにそういうような仕事を全部集める。それは確かに一つ考え方なんでございますが、過去三年間の経験によつて見ますと一つ仕事を二つの局で行う。こういう分け方をなぜアメリカが勧奨したかというと、一つの局の権限を不当に大きくならしめない、常にお互いにチエツクして、お互いに牽制してそこでバランスをとる。つまりチエツク・アンド・バランスですが、現在の文部省機構司令部の強力なる指示によつて作つたのであります。併し確かにこれはいい面もありますが、私ども経験によりますと不便なところもあり、政令も二途に出るということもございましたし、それから責任の所在が明確で、ない。こういう点に徴しまして、一つのことは一つの局でやるという分け方を、指導行政管理行政の分け方を今回大体においてやめたということであります。
  35. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) これは相当私は基本的な面に触れるのじやないかと思うのでありますが、行政民主化というようなことを考えた場合には、協調性があれば私はこの指導行政管理行政の二並立というものが私はいいのじやないかと、こう考えるのです。それを数カ年の経験によつて否定されるということは、この際私は文部省だけ申上げますが、文部省内におけるところの局とか、或いは課の割拠主義というもの、或いは非協調性、これはお互いの共通の問題だと思いますが、そういう欠陥がこの指導行政管理行政のよさというものを十分発揮し得ないのじやないか。そういう点に先ずメスを入れたならば、指導行政とこの管理行政の二並立の妙というものを発揮できる、名実において発揮できるところの途があるのじやないか。従つて現在直ちにこれは不合理不便であると断定するのは少しく私は軽卒であり、尚早じやないか、こういう見解を持つのであります。これに対する見解をお願いいたします。
  36. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 確かにそういう御見解もあると思いますが、例えば例を挙げますと、教科書行政についてはこれは一つの局でその刊行に関しても、その教科書内容についても、又その検定についても一つの局で所管するということが、私たちの経験から言うならば非常に好ましいのじやないか。例えば国会で、教科書の出廻りが非常に遅いから子供の手に着くのが非常に遅い。それに対する対策如何という御質問がありましたときに、この刊行の問題は今日においては調査普及局長答弁に当ることになり、検定の問題になるとこれは管理局所管し、内容の問題だと初等中等教育局というふうに、一つのことをほうぼうの局でやつているということは、どう考えても合理的でないというような例に徴しましても、今度のやり方がいいのじやなかろうかと考えている次第であります。
  37. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) お互に割拠せず協調的であつたならば、私は却つてこのほうがいいと思うのです。私はそういう信念を持つのです。まあ議論になるからこれ以上続けませんが、私はこの際要望しなければならんのですが、例えば教科書の問題が出ましたが、教科書は今までは管理局或いは初等中等教育局、或いは調査局ですか、三局にまたがつてつたのですが、これから初中局一本になるとなりますと、それは便利な面もありますよ。その代りに吏道が、公僕精神というようなものが確立されているときはいいのですけれども、若しもこれは吏道が頽廃したような場合に、最近さんずい扁景気というようなことが言われておりますが、そういうものが払拭されない時代においては、そういう面からの危険性というものは私は増大して来ると思うのです。従つてこういうように再編成された暁においては、これは文部大臣としてはその行政能率向上という立場からも、それから公正を期するという立場からもその監督、指導というものは、今まで以上に私は意を払われないというと、改正して却つて問題を起すというようなことが起つて来るのじやないかということを、老婆心ながらも懸念しているものでありますから、その点については大臣に特に私は老婆心ながら要望いたしておきます。  次にお伺いいたしたい点は、このたびの改正では初等中等教育局というところに、非常にこの文部省仕事の大きな部分が私はここに集中されるように考えるのですが、そうお考えになりませんか。
  38. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 見ようによつては多少そういう感もないではないのでございますが、従来の初等中等教育局の事務に加わりましたものは、従来調査普及局でやつておりました地方教育行政に関する即ち教育委員会制度に関する企画であるとか、調査であるとか、そういうふうな仕事と、教科書行政教科書検定、それから刊行に関する事務、それだけでございます。
  39. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) その中で私一番問題なのは、地方教育行政に関する諸制度、特に教育委員会制度の企画、指導等の事務をこの初等中等教育局へ持つて行かれておりますが、これはあなたのほうのこの提案理由にでも肯定されておりますけれども、社会教育の面というものは非常に大きいわけなんですね。これを初中局へ持つて行かれておりますが、どうもその点却つて今度調査局に改称された元の調査普及局、そこに置かれるほうが却つて私はよろしいのじやないかと考える。こういうことはこの調査局のほうにおけるところの提案理由の中にも、調査局は調査企画局とも称すべき性格を持つて来た。そうしてその調査局は準官房的な局として云々というように、調査局に相当期待をかけたような提案理由を書かれてあるのですが、そういうような立場考えた場合に、今まで調査局にあつたものと社会教育局との関連も起つて来るでありましようのに、あえて初中局に持つて行かれたという点が私は納得できない。而もそれを移すことによつて都道府県教育委員会が、これからそれを呑み込むまでの行政能率の低下ということをあえて考えるときに、是が非でも移さなくちやならんという根拠が薄弱で、いじらんがためにいじつたという感なきを得ないのですが、納得できるように一つ……。
  40. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 初等中等教育局に教育委員会制度に関する事務を移管いたしました大きな理由は、従来からここで以て教育財政に関する事務を処理しております。で、行、財政というのはもとより裏腹の関係にありますが、従来は地方教育行政については調査普及局、地方財政については初中教育局というような二つの局にまたがつていたものを、一つにしたほうがいいという、そういう基本的な考え方から初等中等教育局に移したわけでございます。で、こういうふうにいたしました大きな理由は、以上の理由でございますけれども、そのほか教育委員会の非常に大きな要望があつたということをここで附加えて申上げておきたいと思います。  なお、初等中等教育局は読んで字のごとく学校教育に関する主管局でございまするので、教育委員会に関する事務というのは学校教育のみならず社会教育へ来るのは当然でありますけれども、地方教育行財政の大きな問題と申しますのは、社会教育であるより学校教育でありますので、社会教育局に地方教育行財政の仕事をやらせるよりもより関連の深い学校教育を主管するところの初等中等局でやつたほうが適当であろうと考えておるわけでございます。
  41. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) どうもそれだけでは十分私納得できないのですけれども、水かけ論をすると時間が延びますから次にお伺いいたしますが、運動、スポーツですね、これは全国的な規模に亘るところの競技、運動は社会教育局の窓口でやるようにということですが、恐らく初中局においても学校スポーツのことを扱われるだろう思います。それから大学学術局では又大学関係のスポーツ関係のことを扱われるだろうと思うのです。それから学校スポーツと社会スポーツとは無関係だということもこれは考えられないと思うのです。これらの統合した扱いというものはどういうふうにお考えになつていらつしやるわけですか。
  42. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 曾つて文部省に体育局という局がございましたときには、こういう点は非常にうまく行つたのでありますけれども、そういう局がなくなりまして、運動競技であるとか或いは体育行政については、もとより学校体育と社会体育と両方あるわけでありますが、社会教育局で特にオリンピックとか、或いは全国的な規模において行われるような運動競技を窓口にしたというわけではございません。そこで調整をとろうと、こういうような考え方でございます。
  43. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) それから社会教育局が主になつて初中局と関連を持つて行く、こういうわけですか。
  44. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 大体においてさようでございますが、主として調整を図つてというところに狙いを置いたわけでございます。
  45. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) それではそういう問題についての要望などは先ず社会教育局のほうに重点を持つて行けば文部省で処理できるようになつておる、こういうわけですか。
  46. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) その提案理由にございますように、「国際的又は全国的規模において行われる運動競技」、これが学校教育であつても、その窓口は社会教育である、こういうわけでございます。
  47. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) それで大体わかりましたが、その社会教育局と初中局の運動厚生課あたりとの連絡調整というものが十分緊密に行くように特に意を払つて頂きたいと思います。  それからもうすぐ終りますが、次にお伺いいたしたい点は、管理という名前は随分おかしくなつたのじやございませんか。管理局管理行政というものは今度随分とられましたね。大学設置認可に関する事務、著作権に関する事務教科書検定に関する事務、そういう管理事務というものは殆んど持つて行かれてしまつて、私立学校に関する法人関係のことが残つて、あとは殆んど物に関連する厚生と施設だけになつているようですが、どうもその管理局という名前がおかしくなつたと思うのですが、そういう感じはお持ちになりませんか。
  48. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) これは省内にもそういう意見もございました。併し私は何とか変えないで済むときには名前をできるだけ変えないほうがいい。そういう考え方から、今お考えのようなことも一理ございますけれども、まだ管理局プロパーの仕事も重大なものですから、これはこれなりでこのままに置いておいたほうがよいだろうと私は考えた次第であります。
  49. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) 大臣がお考えになると同様に、私はさつきから申上げたように、仕事を強いて持つて行かなくてもいいのに持つて行く、いじらんがためにいじつたような感じが深いのですが、局長とか、課長とか、そういう人間を中心に考えられたのか、仕事を中心に考えられたのか、いずれですか。
  50. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) それは私は長年中へ入つて仕事をしておる人の体験というものは非常に重要視しなければならないと思います。それで文部省の局、課長考え方が大体こういうほうが仕事がやりやすいというのです。これは私は大学のことを管理局などに持つて来て非常に今までも意外なことであつて、このほうが体験を積んだ人がやりやすいと言うのだから、そのほうがいいのだと考えております。
  51. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) もう一つお伺いいたしますが、少し具体的になつて内閣委員のかたにお気の毒でございますが、これでおしまいでございますので御勘弁願いたいと思います。官房にあつた渉外事務を調査局に持つて行くとか、或いは宗教法人関係を調査局に持つて行くとか、そういうのはどういう自信があつてつて行かれたのか。むしろ渉外事務なんというのは私は官房に置いておいたほうが仕事がうまく行くのじやないかと思いますが、それをちよつと説明して頂きたい。
  52. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 現在占領下でございませんので、各省を通じて渉外事務というものは全部廃止されておりますので、官房に特に渉外の事務を残すという必要はなくなつたわけでございます。なお従来の調査普及局と調査局が性格を変えましたので、そこで従来の渉外ユネスコ課の性格も変更いたしまして、国際文化課というような、これは仮称でございますけれども、そういうようなユネスコ関係につきましては国内ユネスコ事務局というのができるのでございますが、それに見合う課を国際文化課といたしまして調査局に持つて行こうというわけでございます。なお、宗教行政に関する事務を官房から同じく調査局に移しましたことは、宗教行政について官房のなすことというのは宗教に関する監督であるとか、或いは統制であるとか、そういうことではなく、宗教行政に関する宗教に関する情報の収集であるとか、或いは調査であるとか、そういうような仕事が主でございますので、調査局に持つて行くことが非常にふさわしいと考えて、これは国会関係の御意見も十分伺いましてそういう措置をとつたわけでございます。
  53. 矢嶋三義

    委員外議員矢嶋三義君) 只今のことに対する答弁は明快で私も十分納得いたしました。これで終りたいと思いますが、文部省に要望いたしておきます点は、これだけの局課の再編成をやられますというと、文部省に非常に関連の深い都道府県教育委員会方面では相当に私は混乱するのではないかと思いますので、この改正せられた趣旨が十分徹底されるように意を払われることと、それからもう一点は、こことは直接関係ないわけでございますが、文化財保護委員会の法の一部改正に伴う今後の文化財の保護行政については、今後いよいよ推進こそすれ、これが沈滞することのないように特に意を払つて頂きたいと思います。この二点を要望いたしておきます。  それから当内閣委員皆さんに対しましては、私の質疑は意を尽しませんが、教育施設部の存置につきましては是非慎重に御検討下さいまして、現在の大学から義務教育に至るまでの各層における教育の施設並びにその設備の現実からして、いよいよ監並びに指導行政が強力に推進されなければならないと考えまするので、教育施設部廃止につきましては、是非とも慎重に御検討、御善処を頂きたいように内閣委員皆さんがたに特にお願い申上げまして私の質問を打切りたいと思います。
  54. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 文部省設置法につきまして、本案につきましてなお御質疑がありますればこの際お願いいたしたいと思います。
  55. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 文部省のほうに資料を頂戴したいと思うのですが、結局私どもはこの教育施設部を存置するかどうかというような大きい問題だと思うのでありまして、そうしてこの改正法によると、十二条の十三号に出ております「公私立の文教施設の復旧整備」ということがありますが、これがどのくらい復旧整備されており、なおどのくらい残つているかという極く大体でもよろしいから資料を何か頂きたい。  それから十四は、今度の私立をのけて、「公立の文教施設の復旧整備」というのですが、このために補助が従来どのくらい出て、なおどのくらい要するかということを一つお願いしたいと思います。  それから十五に「国立の文教施設の復旧整備に関する」云々とありますが、その「施設の復旧整備」はどのくらいしておつて、どのくらいまだ残つているか、こういう仕事量を一つお出しを願いたいと思います。  なお、都市などでは、この東京都などでは二部教授が残つておりますが、それが終戦以来どのくらいなくなつてつて、どのくらいまだ残つているか。こういうことを一つお出しを願いたいと思います。  それからなおもう一つは、私立の学校において設備の復旧整備ができないために、或いは寄附金を募集している、その他のこともあると思いますが、その募集するような場合には、いずれ文部省に直接或いは間接に認可を要求するとか、その他のことがあつたのではないかと思うのですが、これに関する終戦以来の統計があるのならば、大体の統計を出して頂きたいと思います。それで施設部の仕事量を判断したいと思います。これだけであります。
  56. 三好始

    ○三好始君 私は大臣に教育の機会均等に関して一応お考えを承わつておきたいのでありますが、いつの時代にも教育を受けようとする熱心な気持を持ちながら、主として家庭の経済的な事情のために教育が受けられないという者が多いと思うのでありますが、特に最近のような経済状態でありますと、そういう点が十分に考えられねばならんと思うのであります。そういう事情を考慮に入れて、文部省としては教育の機会均等という立場から、予算の面でも、或いは機構の面でも、具体的な事務の面でも考えて行く必要が大きいものと私は考えております。この具体的な現われがどういう点に認められるかということは、私としてもいろいろのことを考えられると思つておりますけれども、一応教育の機会均等についての基本的な考え方と、それからこれを具体化する一、二の例としての、例えば通信教育に対して大臣はどういう考えをお持ちであるか。大学教育なり或いはその他の高等学校団体でも通信教育が行われておりますけれども、この現状等につきましては政府委員から承わつて結構でありますが、将来の構想等お持ちでしたら大臣から承わりたいのであります。  それと、通信教育のほかに、学校教育と通信教育との或いは中間的な性格を持つているかと思いますが、定時制教育の制度が戦後取入れられたわけでありますが、諸外国ではこれを大学教育にまで及ぼしている例が相当あることを私聞いております。こういう定時制教育等につきましても一応の構想を承わることができれば幸いだと思うのであります。
  57. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 教育の機会均等ということは民主主義の教育の根幹だと考えております。だから第一にこの義務教育というようなものに関しても、全国的に非常な不平均が起つちやつて、現に非常な不平均が起りつつあるのです。だからそういうものは是非義務教育費の国庫負担というような制度によつて、全国の子供が同じような教育が受けられるというようなことを先ず根幹として考えているわけでございますが、その上のほうに進みまして、義務教育から高等学校、大学というようなことになりますと、私は経済力がなくとも、その進む能力があつた子供は是非学校にやりたい、これは私の熱願でございます。だから私は文部大臣になりました際に三つの目標を立てました。第一は、義務教育の実施でありますが、即ちこれは義務教育による教育の機会均等を徹底する。第二は、育英制度の充実でございます。これは今でもまだ非常に不十分でございまして、高等学校などは全国の高等学校生の三%くらいしかおりませんが、是非これは五%にしたいと非常に思つたのですけれども、今年度の予算においてはそれを実現することはできませんでしたが、私は少くとも五%にしなければならんと考えております。それから又大学に関しましては、現在二〇%は大学生が育英資金を受けることになつております。その金額は十分とは申せませんけれども、とにかく受けることになつております。予算も二十五年九億が十五億になり、十五億が二十四億になり、今度は二十九億になつております。物価騰貴がありますから十分ではありませんが、そういうようにして育英制度というものをもつと大幅に充実しなければならん。併し現在でも例えば東大を例にとりますならば、その半数以上は育英資金をもらつております。二千百円と思いますが、そういう金を皆がもらつております。一般的に全国的に言いますと、二〇%がもらつています。一番社会で残念なことは、能力がありながら経済事情のために進めないという子供がおるという、こういうことほど残念なことはありません。これは将来においても皆さんのお力によつてもつと育英制度を充実したい。このことによつて教育の機会均等に貢献しようと思つておるわけです。義務教育を終つてそれでやめてしまう人が六〇%くらいありはしないかと思いますが、もう少し少くなるかも知れませんが、そういう子供に対しては定時制の高等学校とか、又通信教育とかいうことによつてその要求に応えたい。是非大学もということでございましたが、私は大学の教育につきましては、大学のエクステンシヨンということをいつも大学諸君に薦めており、自分のことを申しては誠に恐縮でございますが、京都大学の教授をしているときに毎週一回講義を作つて、そうして誰にでもそれを聞かせたのです。非常にそれが要求に応じて人が聞いた。現在でも京都大学では続いておりますが、そういうような大学のエクステンシヨンというようなことによつて、そういう要求に、大学のいわゆる定時制の教育というようなものに応じて行きたいと思います。  大体私の構想はかようなことでございます。
  58. 三好始

    ○三好始君 文部大臣が教育の機会均等について育英制度その他の通信教育、定時制教育等について熱意を持つておられるということは了解いたしましたが、それを今後機構或いは予算、こういう方面から是非とも大きく具体化されるように一層の熱意を傾けられることを希望いたしておく次第であります。  なお、大学の通信教育の現状について政府委員から御説明を承わりたいと思うのであります。
  59. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 大学の通信教育の現況につきましては、現在学校教育法の規定に基いて大学の通信教育を行なつておるのでございますが、慶応、法政、日本大学等私立大学が六つ通信教育をやつでおります。それで今年の三月には初めて慶応と法政から通信教育によるところの卒業生が出たわけでございます。なおこのほかに国立の大学、これは現在約五十二校でありますが、五十二の国立大学で約十七万人に対しまして教職科目だけについて現職教育としての通信教育を行なつておる、こういう現況でございます。
  60. 三好始

    ○三好始君 次に教職員の内地留学制度が戦後採入れられまして、最近では相当行われておるように承わつておるわけでありますが、内地留学制度は相当効果の多いものだと考えられますので、これを将来拡充して行くべきだと私は考えておるのでありますが、これについての文部大臣の御所見を承わりたいと思います。
  61. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私も全く同感なんです。現に長野県などは教員を年々東京に出して留学させているのです。ただ遺憾なことですが受入態勢がないのです。だからどうしても折角県が非常な犠牲を払つて費用を出してやつても、その受入態勢がないから、十分な効果を挙げることができない。それで私は、時間を取ると恐縮ですからちよつと簡単に申上げますが、私は従来の旧帝大というふうなものはあれはカレッジになるべきものではない。元来あそこは大学院になる、そうして本当に学問研究ということをやつて、従来の高等学校とか専門学校がカレッジになる。そうしてそういうところが本当に全国の内地留学生を受入れる受入態勢を作るべきだというのが私の持論でございます。恐縮ですがちよつと附加えさして頂くと、私は各所でいろいろな講習会をやつておられる。けれどもそういう講習会というものは非常に不完全である。例えば哲学なら哲学でございますが、私も頼まれて行くことがございますが、哲学をそういう講習で十分やるということは意義がないこともないのですが、それを若しも大学院なら大学院にそういう受入態勢を充実したそういうものを持つて、全国の人たちをそこで教育するということになれば、非常に効果が上ることは私は三好委員のおつしやることに全く同感であるが、ただ現在は受入態勢が不十分な現状をどうか直して行ぎたい、こういう考えを持つております。
  62. 三好始

    ○三好始君 その受入態勢につきまして、必要があれば、文部省のほうで予算を計上するなり、或いはその他の適当な具体案をお考え頂くのがいいのではないかと思いますので、非常にこの点考慮頂きたいと思う次第でございます。
  63. 楠見義男

    ○楠見義男君 大臣に簡単にお伺いしたいのですか、私は自分のことを申して非常に恐縮なんですが、昨年アメリカへ参りまして、農政のほうの勉強のために参つたのですが、ところが実際はその農政のほうで得た収穫よりもアメリカの民主主義とアメリカの教育との関連性における収穫のほうが実は非常に大きく、又感銘を深くして帰つたのですが、そこで勿論日本の民主主義というものは今後完全にその花が咲くまでには相当の年数も要ると思うのでありますが、併し教育ということが充実と申しますか、それが民主主義達成の一番近道だと思つておるのであります。勿論教育と申しても、家庭教育から学校教育、社会教育、職場教育とか、いろいろの面の教育が充実しなければならんと思いますが、なかんずく学校教育の重要性ということは特に考えなければならん問題だと思つておるのです。そこで今回の機構改革で折角進駐軍が勧告し、又強く指示された制度を改められて、まあ長年の経験に基いて、それよりも今回のほうがいいというのでまあ改められておるわけでありますが、こういう機会に学校教育、特に一番その基礎である初等教育において、今申した民主主義育成の基盤を幼い子供たちに植付けるという観点からした教育方針、従来と異つた、或いはそれを目標に推進めて行く教育方針としてどういうようなことをお考えになつているのか。或いは文部省として現在何らかの御構想をお持ちになつているのか。特に私はその問題の御答弁をお伺いすると同時に併せてお尋ねしたいことは、教養問題に対します……学制が改革されて新らしい制度が採入れられましたけれども、民主主義の中心であると言つても過言ではないと思いますが、教養を身につけるということについての教育が初等教育から大学教育に至るまで殆んどないと言つても、これは言い過ぎではないと思うのであります。これは勿論教員自体が教養がないという面の現状もこれは見逃しがたいと思うのでありますが、従つてそういう教員に教養を教えさせる教養をしなければならん面があると同時に、教育の面においても、その教養ということを相当重要視しなければならんと思うのでありますが、その点についてどういうようにお考えになつているか。これらの点について御説明頂きたいと思います。
  64. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私はこの民主主義の一番の根本になるものはやはり個人の自覚、自分でものを判断して、その判断してやつたことに対しては責任を持つて行く、これが民主主義の根本だと思うのです。ところが日本の社会というのは、西洋で言う近代文明というものを十分消化することがまだしてないのに、さまざまなことが起つて来て、全体主義的な方向にそれを押して行くものがあつて、そういう個人の自覚の確立という点が足らないというところに、日本の民主主義の根本の欠陥があると思うのです。それはどういうことかと申すと、長くなつて誠に恐縮ですが、ちよつと申しますと、日本では家というものが非常に発達しておる。而も又国というのも、国家観念というようなものも大体において発達しておる。けれども、その言わば家の外にあつて国の中にある狭い意味における社会生活というものが全く発達していない。それだからして家庭ではちやんとしている子供でも、社会、学校、遠足とか、電車に乗つたとかいうと、家で全くおとなしい子供でも、礼儀も何もなくなつてしまう。そういう社会生活というものの慣習というものが足りない。これは日本人に素質がないというのじやなくて、私はその教育がまだそこまで徹底しないということだと思うのです。だから大きな目当てとしては、教養といわず何といわず、ひつくるめて個人が自己というものをしつかり自覚して、何事に対しても自分が判断をして、その判断に基いてやつたことに対してはどこまでも自分が責任を負う。こういう精神を一貫してやつて行かなくちやならない。ところが日本の社会では大学生といえども大体それは悪い例だと思う。本当に自分で判断して従つてそういう自覚に立てば、発言の勇気というものも出て来て自分が反対のことに対しては遠慮なく発言をする。ところか日本の社会では教員の諸君でも幹部のやることに対してでもみんな陰ではぶつぶつ言つておる、学生でも然りだ。そういう点を個人の自覚という点をもつと深めて行かなくてはならない。そういう主義では私は小学校の教育でもアメリカのやることは非常に長所がある。銘々考えさせて行くという点で長所がありますが、併しアメリカと日本ではいろいろ違う点がありますから、そういう点をよく考えて行こう。けれどもむやみに今きまつていることを変えてはいけない、できるだけそういう方法をもつとよく矯めて、そして変えるのは徐々に変えて行つたらいいという考え方をもつて行こうと私は思うのです。それから教養ということにつきましては、私は先ほどの大学のエキステンシヨンということもそういうことは非常に必要だ。大学には名誉教授という碩学がおられるのでありますが、例えば夜間に自然科学なり、人文科学の二つの講座を開いて、パリの大学でやつているように、誰が来てもいつでも聞ける、どういう人でも、碩学から憲法の話も聞ければ、自然科学の話も聞ける。そういうことに幾らでも又やる手が残されていると私は考えているものでございます。そういう意味で全体の教養を高めない限り日本の社会はよくならない。その根本になるのは教育である。だから教育にはもつと政府の……、私が政府に属していてこういうことを言うことは甚だ不穏当ですが、社会の本当の意味の教育にもつと力を注がなくちやいけない。一般のことを犠牲にしてでも教育をやるべきだ。すぐ効果は現れませんけれども、私はそれが一番国を盛んにするものじやなかろうかというふうに考えております。
  65. 楠見義男

    ○楠見義男君 今の文部大臣のお考えよく了承いたしましたが、そのお考えをこういう機構改革の際にどういうふうに実際の教育の面において織込んでおられるか。若しそういうものがありますればお伺いしたいというのが私の質問趣旨なのであります。
  66. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 機構改革に際しましては、これは私は文部省の先ほど申しました官僚諸君が多年の体験によつてやりやすいようにすると言われる、そういう点に重きを置いた機構改革でございまして、それは仕事がやりにくければ到底やれないのでありますから、今の機構改革というものはそういう段階にとどまつているということを申上げておきます。
  67. 楠見義男

    ○楠見義男君 大学のエキステンシヨンの問題についてお話がございましたが、私も全く大臣と同感で、是非これは拡大して行くべきものだと思つております。そこでサイエンスとプラクテイスの問題なんですが、特に初等教育においてもその必要があると思いますけれども、なかんずくだんだん上つて参るに従つて、高等学校あたりにおいては特にサイエンスとそれからプラクテイスということは、実際の学校教育の場合においても十二分に取入れて然るべきじやないか。こう思うのでありますが、それはまあ実際はどちらかと言えば、画一的な高等学校制度になつてつてなかなかそれがうまく行かない。そこで現在の普通科高等学校における教育の場合に、今のプラクテイスとサイエンスの採り方はどういうふうにお考えになつているのかということが一つと、それからもう一つは特別教育と言いますか、特殊教育学校と申しますか、専門的な学校がたくさんございますが、こういうものの設置方針ですね。これはどういうふうにお考えになつているのか。その二点簡単でございますがお伺いいたします。
  68. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) ちよつと失礼いたしましたが、サイエンス、プラクテイスということをどういうふうに……。
  69. 楠見義男

    ○楠見義男君 具体的に申しますると、教室における教育が大部分を占めているのがまあ実際における、例えば農業なら農業で言いますと圃場における教育とか、或いは課外教育と申しますか、工業で言えば工場の実地講習と申しますか、こういうような関係のことが、これは私恐縮ですがアメリカの例で申しますと、例えば農村で言えば中学校ですね、中学校で簡単な農機具を直すことも教えれば、或いは木工することもすれば、そういうように実際に即したことをやつている。例えば中学校を出てもすぐ勤めができるように小学校の上級あたりから中学校の初等あたりでタイプライターを教えている。それは日本ではなかなか困難でしようが、そういうふうに教育と実際の教育という面を非常に重視してやつているわけですね。こういう意味からこれは特に日本においてもそういうことは必要じやないか。
  70. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 今度の新学制の精神と申しますのは、一般に教養を高めるということが新学制の精神であります。これは大学でもすべて教養ということに重きを置こう。だから文科の者にも理科の大体の考えがわかるようにする、理科をやられるかたにも歴史とか憲法とかそういうようなものでもわかるようにしようというような一般教養を重んずるというのが新学制の精神であります。それで例えば中等学校のお話がございましたが、中等学校でも従来の中等学校は、一方には大学を将来目指して行く、高等学校を目指す生徒と、他方には中等の工業学校か商業学校でやめてしまう生徒、こういう二種類が、従来の日本の生徒にはございますけれども、これは非常に私は欠点がある。若いときにもう子供を二種類に分けてしまつて、一方の生徒は将来帝大に進むのだという非常に希望を持つのに対して、一方の生徒は、もう自分たちはここでおしまいなんだ。こういうことはいけないから、それでそういう袋小路をとつてしまつて、そうして全部の学生に、行きたければいつでも大学へ行ける。けれども同時にその土地の特殊性に従つて、農業を主にする中学、工業を主にする中学というようなものはあつてもいい。高等学校についても同じであります。そういうような特殊性を持たせよう、又どちらでも皆上に行ける。同時にそういう特殊のものでも、一般的な教養ということを重んじて行きたい。ここで楠見さんと私の考えがいかがかと思うのでありますが、私は子供のときにそういうプラクテイスということを教え込むのは結構なんですが、子供をただの道具のようにしてしまつては困る。例えば中学を出た、そうして銀行へ勤めた。ただ銀行の事務さへやれればいいんだ、こういう人間にしては困る。工場へ勤めた、ただ工場の道具の片になるというのでは困る。中学校を出た子供が銀行へ勤めながらも日曜日には漱石も読むとか、又音楽に対して興味を持つているとか、要するにそういう人間を作りたい。そういう観点からプラクテイスということにも余りに偏せず、どこまでも人間を作つて行きたい。こういう趣意で考えているわけでございます。昨今私の考えが、非常に一部には誤解されて、私がえらく漢学でもやらせるようなことまで言います。が、決してそうじやないので、高等学校を出て銀行に勤めた、会社に勤めた、その人たちが何にも日本のものは読めない、漱石はおろか武者小路さへも読めぬ、こういう人間になつてしまつては困るから、私は何か読める程度のことは高等学校でやつてくれんか、こういう趣意であるということを附加えることをお許し頂きたいと思います。
  71. 楠見義男

    ○楠見義男君 最後に一つだけ、これは政府委員で結構だと思いますが、調査局の新らしい所管事項になつております十号の、公費又は私費による在外研究を援助する。これは従来もどこかほかの局の、大学学術局の所管事項になつてつたようでありますが、先ほども育英制度のお話もありましたが、私費による在外研究という場合の必要を随分感じておられる向きもあると思うのでありますが、具体的にこの私費による在外研究を援助するということについて、どういうことを今までやつておられるのか、又今後やられようとしているのか、この点について御説明をお願いしたい。
  72. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 従来在外研究員と申しますと、殆んどすべて公費によるもので、これは昭和二十七年度には千四百万円の予算を計上しておりますが、私費によるものにつきましては、その中にはいろいろのものがあるわけでありますが、海外の大学などに、ヘロシツプによつて滞在費を必要としない、渡航費だけを自分で工面をしなければならない、こういうようなものもあるわけでございまして、渡航費の補助というようなことも考えているわけでございます。これにつきましてはアメリカと日本との間の文化機関と申しますか、フルブライト委員会というものがありまして、これは渡航費だけを援助するというような仕組になつております。現在では予算措置が余り十分ではございませんけれども、渡航費を援助するというような方法などによりまして自費の研究制度を助長して参りたいと考えております。
  73. 楠見義男

    ○楠見義男君 私これをお伺いした趣旨は、今お述べになりましたように、官費だとか或いは公費による人は相当恵まれておるわけでありますが、自費による人、特に芸術家においてこの必要が随分あるのじやないか。具体的に申しますと、例えば画家、外国のように画商というものが非常に発達しておりまして将来性のある若い人を、将来を楽しみに育てて行くということで非常に、勿論公私の援助が尽くされているわけなんで、日本では有名にならないと、その人たちは食つて行けない。有名になれば落款と箱書だけでどんどん売れて行くけれども、伸びる間の育てるという人が殆んどいない。従つて特に自費による在外研究という言葉が表われているから、実は私従来のことを知らないものですから、従来も或いはやつておられたのじやないか。若しやつておられたとすれば、将来は更に拡大してもらいたいという希望を申したい緒口に質問をいたしたのでありますが、実際は今殆んどやつておられない。この点は従つて希望になりますが、是非こういう点は文部省としては取上げて大いにやつて頂きたいということだけ申上げておきます。
  74. 三好始

    ○三好始君 ちよつと先ほどの質疑を補充させて頂きたいと思うのですが、大学のエクステンシヨンを拡充して行きたい。或いは内地留学の受入態勢を作つて行かなければいけない。これらの結論はすべて大臣も私も同じであります。育英制度についても同じであります。ところで育英制度につきましては先ほど予算に触れた御見解が述べられたのでありますが、大学のエクステンシヨンにしましても内地留学の受入態勢を整えて行くにいたしましても、これを具体化して行くには現実的にはやはり文部省予算措置を講じて行くという必要があるのじやないかと思うのであります。そこで次の予算編成の機会に文部大臣としてこういう方面の考慮をされる意図をお持ちであるかどうか。又現在まだそこまで具体的なお考えがまとまつておらないとすれば、早急に関係者に命じてこういうことを研究されるお考えをお持ちになるかどうか。この点を念のためにお伺いいたしたいのであります。
  75. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 現在も受入態勢が全くないと私は言うわけでもございません。又エクステンシヨンの企てもないというわけではございませんが、不十分だということを申上げたのでありますから、誤解のないようにお願いいたしたい。更にこれが拡充されるように是非予算的な措置もいたしたいと思つております。
  76. 松原一彦

    ○松原一彦君 一つお伺いします。たくさんお伺いしたいのでありますが、これは場所が違いますから省きまして、文相が非常に御苦心なさつていらつしやる大学教育のエクステンシヨンは非常に結構で、通信教育によつて、向学心に燃える地方の青年、若い人々に機会を与えることは非常にいいことですが、あの中に面接教育という期間が区切つてつて、夏などになりますと小学校の先生、県庁の若い吏員、その他のものが二カ月間東京に来て非常な苦労をするのです。その費用も又厖大です。全国のものが東京の最も非衛生的な狭いところに押込んで来て、机の上に寝るとか廊下まで寝てやつておる。これは私は非常に気の毒に堪えない。何とかこれは大臣は、機関を通してでしようが、助言と援助とをお与えになることができるのでありますから、何かお考えないでしようか。地方の学校でやらせるとか、何かいい方法はないものでしようか。
  77. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 松原さんのお尋ねは通信教育のスクーリングの点でありますが、これは例えば慶応などの場合には育英会でその補助をいたしております。私はそれでかなりの補助をいたしておるつもりでございますが、併しよく調べまして、それも不十分のようでしたら、何か措置を講ずるようにいたします。
  78. 松原一彦

    ○松原一彦君 そういう意味ではないのです。通信教育だけではあの教育が完成しない。一年に六十日間の面接教育という課程が入るのですが、これも碩学に面接して教育を受けるということは、それは知識を広めるばかりじや、ないからよいと思いますが、これが六十日間というふうに限られておるために、真夏の暑い中を金も使い、苦労もして東京に殺到する、居るところもない、寝るところもない。私は何かこれは地方の国立の大学の講堂でも貸すとか何とかいうことをして、私立の人々がやるにしましても、私立大学が出張してでもやるといつたような将来御工夫を願つて……。あれで見ておりますと、県庁の役人など非常に多い。資格も取らなくちやならないし、教員が非常に多い。過渡期でありますが、何か今後御工夫を願いたいという希望を申上げておるわけであります。
  79. 上條愛一

    ○上條愛一君 簡単に私大臣一つと、政府当局に一点だけ御質問申上げたいのですが、今の教育の問題に関連いたしまして、育英資金や通信教育その他いろいろ教育が行われているのですが、今最も日本の中で教育に恵まれない人々は勤労者があると思われるわけであります。それで勤労者の教育については労働省が主として主管されておると思いまするが、文部省にも社会教育局があつて一般の国民の社会教育に尽力されておるわけでありますが、専修大学などには中央労働学園があつて労働者を中心とした教育を進められておりますが、イギリスなどにはラスキン・カレツヂなどがあつて、相当高い教育が勤労者にも与えられているわけでありますが、日本にはまだそういう施設というものは少いと思いますが、文部大臣といたしましてもこの大学教育その他を開放して労働講座或いは夜間講座などによつて、勤労者にも教育施設をして行くというようなお考えがありますかどうか、その点を伺いたい。
  80. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私はそれは非常に必要だと思いまして、今大学の学部を殖やすとかそういうことは是非したくないのですけれども、例えば大学で夜間大学を設ける、夜間の短期大学を設けるというような場合には、私どもはその線を非常に緩めて、そうして作ることにいたしております。それから又義務教育を終えることだけで、農村におるものとかそういう人たちのための施設というようなものは実に不十分である。私は社会局長にこの間も申したのですが、自分らは教育というと、何か大学の教育とかそういうことばかりが頭に出て来るけれども義務教育を終つた者の教育というようなことは今後は非常に重大だから、お互い一つ大いに力を注いで行こうと、この間も申したわけであります。
  81. 上條愛一

    ○上條愛一君 それでは一つ政府当局にでございますが、一点お伺いしたいのですが、それは改正案の第八条の第三号ですが、ここに「地方公務員たる教育関係職員の任免、給与その他の身分取扱に関する制度について企画し、並びにこれらの制度の運営に関し、指導、助言及び勧告を与えること。」こう新らしく一項入つておりますが、これは主として従来教育委員会の扱いの関連の事項が含まれておると思いまするが、ここへこういう一項を入れて勧告もする、こういうことになつておりますが、そういう一項を入れる必要性について御説明を願いたいと思います。
  82. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 公務員であつて、教育行政、或いは直接教育に従事しております職員を、法制上の用語といたしまして、教育公務員と称しております。教育公務員につきましては、国家公務員法と地方公務員法の特例たる規定の教育公務員特例法という法律がございまして、この法律昭和二十四年に制定されましたが、この法律は、要するに教育公務員がその職務と責任において非常な特殊性を持つている。それ故にこういう法律を制定したわけなのでございます。で、その法律の運用、その法律内容はそこに書いてありますように、これは「地方公務員たる教育関係職員の任免、給与その他の身分取扱に関する」ものがその内容でございます。この法律の運用等について、地方教育当局等に勧告をするようなことをここではつきり根拠づけたというわけでございます。
  83. 上條愛一

    ○上條愛一君 「勧告」ということの内容がどのような勧告に従うというような意味において、勧告という意味がどの程度の強いものを持つ七いるか、伺いたい。
  84. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 御承知の通り文部省地方教行政当局、主として教育委員会でございますが……、しは上下命令、監督の関係がございませんので、助言並びに指導であるとか、殊に給与その他の問題について文部少のほうが勧告をするというようなことは、具体的に従来もございましたし、今後もしばしば起るであろうということが考えられるわけでございます。
  85. 上條愛一

    ○上條愛一君 これは主として旧法の第十一条の三号と多少関連しておると思いまするが、これをこういうふうに第八条の第三号に持つて参りましたのに対して、御質問する趣旨は、何かこれを見るというと、教育行政に対して中央がやはり権限というものを強めて、官僚行政の色彩を強める結果になりはしないかという懸念がいたしまするので、今御質問申上げたのですが、そういうことにはならんわけですか。
  86. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 今までこういうような規定がはつきりしなかつたのを、今度置いたということにおいて、かような御懸念が生ずることも考えられるのでありますが、例えば国会等から教員の給与の問題等につきまして、常にその措置をこの国会等で求められるのは文部大臣でございます。で文部大臣は権限がなくて責任を問われるというよう結果にも従来しばしばなつていたわけでございますので、こういうところを文部大臣も、教員の、教育関係職員の給与、或いは身分取扱い等について、少くとも勧告はできるのだということをここではつきり謳つたわけでございます。
  87. 上條愛一

    ○上條愛一君 なお大臣にお願い申上げたいのでございまするが、先ほど私が御質問申上げた趣旨は、労働者教育に関しても、文部省は将来そういう施設なり、途を講ずるためにご配慮を願いたいということをお願いいたしておきます。
  88. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは文部省設置法の一部を改正する法律案は、御異議がなければこの程度にとどめま関して、一時まで休憩したいと思いますが、御異議ありませんが。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ではさように決します。一時に開会いたします。では休憩します。    午後零時五分休憩    —————・—————    午後二時一分開会
  90. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 休憩前に引続いて内閣委員会を開会いたします。自治庁設置法案及び自治庁設置法施行に伴う関係法律整理に関する法律案を議題といたします。
  91. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 お尋ねいたしますが、私はこう思うのですが、国家財政と地方財政、それから私の財政ですね、これが均衡を得ないと経済の再建もできねばいわゆる安定はできんと思うのです。中央の財政が非常にラフに考慮されると地方の財政は浮いてしまう。又地方の財政が非常に乱脈になるとその整理は金融或いは私の財政のほうに行つてしまつて動きが取れなくなる、そういう面において中央の財政を扱う大蔵省と地方の財政を扱われるこの地財委及び自治庁、この従来の関係を見ましても機能的に見て地財委と自治庁関係というものは非常に地方まで根が届いておらん。内務省時代の財務局とかああいうもののように下まで届いておらん。いつも私は敗北をなさると思う、敗北と申して差支えないと思うのです。それじや併し国は成立つて行かんのであります。この機会に是非自治庁と地財委の関係とを強固のものにして行く、十分中央の財政と相対で話ができるようにしたいと思うのですが、それには財源或いは税源その他の公平な再分配ということもあろうと思うのです。併しこの点は別に問題として、自治庁と、それから今度審議会ができますね、地方財政審議会、この権限は先ず一番にこれでいいのですか、私はあなたがた自身にお尋ねしたいのですが、如何ですか。
  92. 松村清之

    政府委員(松村清之君) 従来は地方財政委員会という独立の行政委員会がございまして、ここで地方財政の問題を扱つてつたのでございまするが、地方財政に関しまする一番問題は国から出しまする平衡交付金の問題であろうと思いまするが、これの総額の確保につきまして、成るほど地方財政委員会では内閣とか国会とか勧告はできるのでございまするが、直接に閣内にある大臣が全責任を背負つて発言いたしまするほうが、財政平衡交付金の総額の確保につきましてもよりいいのではないだろうか。現在の日本の議院内閣制度の建前から行きますとそのほうが強力な発言の機会を得るのではなかろうか。こういうふうに考えまして、今後は地方自治庁長官である大臣が地方財政についての直接の責任を担当するように改正いたしたのでございます。
  93. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 私はその趣意はわかるのですけれども、実を伴わなければならんのと、権限その他について私は非常に中央の財政のほうからの圧迫を受けていると思うのですが、一体先ずこの地方財政審議会は諮問機関でしようけれども、これで少し決議機関的な性質を加えたほうがいいと思うのです。そうしてその代り大臣を束縛するというような法律論が出て来やせんかと、こう思うのですけれども、併しこの尊重しなければならんというのであればこれはいいんじやないか。或いは国務大臣がむしろ決議機関的のものにすれば会長になると思う。諮問機関にすると自分自分に諮問をするということはあり得ないと思うのですから、そうしてやはり補強工作をする必要はないかとお考えにならんかと、こういうことをお尋ねしたい。もう一度申しますよ。今の点で、大臣発言できるようになるのは確かに非常にいいことです。私の申すことは、大臣は不賛成じやないと思うのですが、直接ですね、地方の財政について責任を負い権限を持つて、閣議その他国会に対しても発言ができるようにしなければならんという点は、大臣どうお考えになるか。今までの御経験によりましてもどうお考えになりますか。
  94. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 私過去二カ年を地方財政を担当しているという形におきまして事務を見ておりましたのですが、あの建前としましては、私は悪くないと思つております、只今までの財政委員会。ところが理想に過ぎているのじやないかということを感じましたことは、あの委員会というものが、独立して政府の制肘も及ばんと、ですから非常に強力なるものであつて地方財政の擁護には持つてこいの機関である。そこで強力ということがどこにゆえんしているかと申しますと、独立して、内閣並びに内閣を通じて国会に意見を出すということが最も強力なゆえんなのであります。ところが施行しました実際を見ますと結局国家財政というものが一つございまして、国家財政から仮に申しますれば平衡交付金を出すというような場合にやはり予算にいろいろ制肘を受けます。これはもう御承知の通り地方の一般が非常に困りまして、そうしてこうしなきやいかんとか、財政委員会は意見を出せと申しますけれども、さて中央地方を通じまして出る金はやはり国民の納税から出ているものですから、その納税によつて出て来たところの資金というものは、やはり血税を払つている納税者の意思によく副うように、国家が中心となつて或る程度の犠牲をしていかなければならん。こういうことになりまして、私も取次をしまして「閣内において地方財政委員会の要求をできるだけ満すように努力して来たわけでございますけれども、併しそれがどうもうまく行かない。それでうまく行かないからと言うので、今度は委員会が独自の立場を以て国家に意見書を出して、そうして制度としましては二重予算の形において国会の御判断を願うということになるのでありますが、併し考えてみますと、第一の政府は大体において多数党がこれを組織することになります。そうしますると、一つ政府考え方というものは多数党の意思が反映しているものと考えます。それから又国会において多数党の意思が大体において国会の意思ということになるようなわけでございますから、形の上では独立してやつているようでございますけれども、内閣を通じて議会に意見書を出すという効果が甚だ薄くなる。  それからもう一つは若しこれが自分自身の本当の責任であるということでございますと、閣内において有力に意見を主張し又職を賭してでもやれると、こういうことになりますが、只今の立場では職を賭してもこれは何にもならないことでありまして、財政委員会からの取次をしたということだけでございまして、どうも私が不熱心……それは熱心にやつているつもりでも不熱心に見られます。併し非常に一生懸命にやろうと思いましても、自分自身の責任においてやれるということと、人様のお取次をしてそうして閣内においてやるということには、おのずから私は人情上差があるのじやないか、こう考えます。でございますから、若しできますことならば今の財政委員会のいいところは捨てないで、そして責任は自治庁長官か背負つてそうして閣議で有力に発言する。即ち間接方法を取らないで、国会に意見をぶつつけて裁断させると言いますよりは、そこまで行かないうちに我々が責任を負つて、十分なることを地方財政のために尽してやる、こう考える次第でございます。今回の制度の改革もそういう趣旨を織込んでやつておる次第でございます。
  95. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 私は大臣がこの地方財政確立のために非常に努力され、而もいろいろ今の責任と権限のない点において苦労しておられることは私よく知つておりますので、それで申すのですが、私の意見にもなりますけれども、これは大体平衡交付金制度とか、そのもつと根本を遡れば財源というか税源というものをもう少し再分配しなければこれはいかんことだと思うのです。併しこれは根本問題であつて非常にむずかしい問題も控えておりますので、それならば平衡交付金を主として、それから又政府資金の運用部の資金を主として地方、中央の配分をなさるということでやるならば、これは私はどうしても従来安本がいたしておつた経験もあるのであります、私もその経験がありますが、今度で言うならば経済審議庁というようなものが大体の中央、地方を通じての、地方財政、中央財政の編成の仕方の基本的なところを大体定めて、それによつて中央のほうは大蔵省で中央の財政、予算を作る、地方のほうは地方自治庁で作る、こういうようにして平衡交付金の配分の率あたりもその基本の点においてきまるということになつたならば、非常に公平に行くのじやないか。これは私の意見ですが、考えておるわけであります。それで而もこの自治庁の今度は長官たる大臣がやはり責任を負うし、従つて権限も与えられることになつた、これは非常にいいことであります。ただその裏付をするために地方財政の審議会というものがあるわけであります。これは地財委とは非常に意味が違つて来ておりまして諮問機関になつておりますが、これは或る場合には相当の決議機関というところを若干持たすというようなことはできないものかどうか、こう考えておる次第でございます。
  96. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。これについても今回の改正案を出しますときにいろいろ研究をしてみたのでございます。この議決機関にしたほうが内閣と申しますか政党政治の弊を矯める点において非常にいいことではないかというような議論もございました。併し私ども考えといたしましては、これは成るほど政党政治が非常に腐敗してしまうと自治庁長官が勝手気儘に平衡交付金の増額の見積りとか配分とかいうことを不公正にやるということは考えられないでもございません。けれども私の考えといたしましては、そういうようなことをする大臣は、これは世間から指弾を受けて到底職にとどまることのできないことになるし、又これがもう少しひどくなれば内閣全体の責任といたしまして総辞職しなければいかん。そこまで行かなくても民主政治であちらこちらから御批評のある世論の政治に変つて来ておるのでございますから、いわゆる独裁じやないのでございますからそういうことは杞憂に属するのじやないかということと、それからもう一つは私の考えますのには、若し大臣をして責任をとらせるならば、その中に自分自身がどうしても意思を反映することができない議決をほかの人にせられて、ただこれを自分自身が実行して行く義務だけを実はやらなきやならない。こういうことになりますと、やはり今の地方財政委員会と同じように、何か自分の責任ある職責を全うするのには少し足りないような感じがございまして、できるならば、その審議会はその過半数が地方公共団体から選任されましたところの委員によつてできておるのでございますから、その過半数が地方の意見を十分主張しまして、そしてこういうふうにやらなきやならんということで、道義的の責任を長官に負わせてそうして諮問機関によつておる、そういたしますと私の立場から申しますと責任逃れをすることはできないのであります。若し議決機関でありますならば、その五人ほどの委員が、何か特殊のこともございますまいけれども自分自身でお考えになつたことがいいと思つて、そして或る意見を決議してしまつて、そうして大臣はそれをそのまま、う呑みにしなきやならんということになりますと、長官としての判断に一つの制肘を加えられる。同時に自分自身が主張する根拠を不確かなものにする、こういう感じがしますから、責任を明確にするという意味におきましては、やはり議決機関というものでなくて、諮問機関にしておきたいのです。又部内の統制をとりまするにつきましても、大臣の下に大臣を制肘するところの議決機関があるということは、私は仕事の運営上いろいろな支障が今後出て来るのじやないか。こう考えまして、諮問機関とし道義的責任を負わす、そして十分これを尊重しなきやならんというような建前にしまして、大臣の善処を望む、こういう建前で今回の改正案を出した次第でございます。
  97. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 無論国務大臣を離れて他の者が国会に責任を負うものではないが、それほどに国務大臣の権限を制肘するというようなことの意味において私どもこの審議会の性質を議論しておるのではないのです。或いは行き過ぎとか、或いは国務大臣の行き方が十分進まない場合におきましては、或る種のこの国務大臣をエンカレージをやらすような決議的な性質を合せて持たすということはどうかと、こう私は考えるのでございます。結局それでないとなかなか、つまりもつとくだけて言いますと、私は昔の内務省を復活しなさい、して頂きたいということを言うのじやありませんけれども、昔の内務省は各都道府県からして内務省に直結しておつて、そうして初めは財務課です、後には財務局です、こういうものがあつて、一団の下に地方財政を把握することができたわけです。この地方自治という観念から、そういう昔のようなやり口を私は決して言うわけじやありませんけれども、今においては把握力が非常に弱いと思います。そこでこの地方財政のほうは財務まで把握するように地方の局などもできておる。更に各県にも亘つておりますので、その県の知事その他はすぐ把握できる。これは中央のほうじやその把握ができないと思うのです。その把握力の弱さがいろいろの主張の点においても現われて来る、議論の上においても現われて来る、こう私は事実上思つておるのです。その意味においてこの審議会というものを見れば、審議会はいずれこの地方自治団体の代表者が相当来ておられるでしよう。それを地方自治という建前から申しまして、この指揮系統とか或いは行政組織の系統において直接につかまえることが書いてない、委員を通じてもつかみ得るような方法は自治的にできないものか、こう私は考えておる次第でございます。そういう意味においてこれに大体においては諮問機関であるけれども、或る種の場合においては決議機関的な性質を合せ加えるということができないものかどうか、こういうことをお尋ねした次第であります。
  98. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) これは私もよくその何を存じませんのですが、いろいろ書き方があるのだそうです。そういう審議会のようなものには「議に付する」とか、「議に付して、これを尊重しなければならない」とか、これは議決するとかというようなことになりますが、只今とつておりますのは議決ほどの強いところではないけれども、議に付してこれを尊重しなければならないことで、そして議に付することは最も重要なることを特に項目に挙げておきまして、これはどうしても議に付してその意見を十分自治庁長官は尊重しなければならんということになつておりますから、相当強い諮問機関になる、こういう形をとつております。繰返して申しますけれども、これが若し議決機関であつて、どうしても大臣の思う通りに決定を下すことができない、又説得することができないということになりますと、私は今の制度と余り変らなくて、府県一本化ということになり得ないのじやないか。これはまあ御疑問至極御尤もでございますから、見方の相違のような感じがいたします。
  99. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 この会のお答えの中に、十七条ですか、「地方財政審議会の議に付し、その意見を尊重しなければ」ならん、これは単純なる諮問機関というよりも少し技術上において強い、或いは政治的において強い審議機関だ、こういうお答えを得たわけでありますが、じやこれはそのくらいにして、次の点に移りたいと思います。  或いは事務のかたにお答えを願つてもよろしいと思いますが、さつき大臣にお尋ねしたのですが、昔の財務局はそういうような点は実に各地の財政その他を直ぐ把握が内務省でできておつた。ところが今度はなかなかその把握は間接的になつてできないのじやないか思うのですが、たまたま自治庁というものを設置されるにつきましては、地方の財政、ことに都道府県との連絡を地方自治という精神の上に立脚しながらどういうようにやつていくつもりか、技術上或いは制度上やつて行かれるつもりか、御意見を承わりたいと思います。
  100. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 新しい地方自治制度が憲法施行後生れましてからの中央政府都道府県或いは市町村というものとの関係でございますが、これにつきましては、只今お言葉にもございましたように、自治という一つの基本的な線を守りつつ中央と地方との間の関連を考えていくということでありまして、従来のいわゆる指揮監督というようなさような形で国と地方公共団体との間の関係考えられない、根本の建前になつておるわけであります。要するに国と地方公共団体は、いわば或る対等の立場で相互に共同して国全体の発展を図つていく、こういうような立場にあると思うのであります。で、地方自治行政についての、或いは地方自治財政についての中央における任務、役割というものは、今日この平衡交付金の総額の決定、或いはその配分、或いは地方税につきましての各種の技術上の指導というような問題になるわけでありますが、これらの点につきましては古い中央政府機構としては内務省があり、内務省の省内に財政課というようなものがございまして、財政関係はそこで一元的に処理いたしておつたわけでありますが、併し今日の中央と地方との関係においては非常に複雑多岐な、いわば関係になつてきておるわけでございまして、従来のごときさような組織ではなかなか全体の調整を計るということは困難でございます。  そこで、今回地方財政委員会なり或いは地方自治庁なりが合体いたしまして、自治庁というものを設けようという政府の案でございますが、これによりまして然らば如何なる形で都道府県、市町村とつながるかということでございますがをこれはまあ地方自治庁としては、府県なり市町村の財務について検閲をする、或いは監査をするというような権限が地方自治法上与えられておるわけであります。かような考え方の限度において可能になりましたところの地方財政の運営の合理化改善というものを図つていくということが、自治庁に与えられた任務の一つになると思うのであります。
  101. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 もう少し突つ込んでお尋ねしますが、或いは自治庁側でなしに都道府県全体を代表する都道府県側において連絡事務所のようなものを東京へ作るとか、或いは都道府県だけで一つそれから市で一つとか、或いは町村で一つというようにおのおの作つて、そうして自治庁と連絡させる。それはそれでいいわけですが、そういうようなことが考えられているかどうか。
  102. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今御指摘のような都道府県の連絡事務所を東京に置く、或いは五大都市等におきましても同様な連絡事務所を置いているわけでございますが、さような地方団体の側から一つの常駐的な連絡機関を東京に置いて、自治庁なり或いはその他の関係政府機関との連絡に当るというのも、これは一つの慣行といたしまして終戦後実際の実情からさようなものが生れて今日に至つたと思うのであります。ごく近辺の県を除きましては殆んどすべての県がさような施設を作つておるようであります。これは書面の授受、或いは比較的重要でない、要するに事務的な問題についての中央政府との連絡というような点においては相当の効果はあると思うのでございますが、かような連絡の方式が果して今日のままで適当であるかどうか。これについてはなお相当研究を要する問題があろうと思うのでありますが、今日平衡交付金のいろいろの計算或いは起債の配分といつたような問題につきましては、いろいろの地方団体からの資料その他を非常に必要とするわけでございまして、さようなものの連絡のために各都道府県がさような連絡機関を設けておると思うのでございます。政府といたしましては、必ずしもさような連絡機関が一がいに不適当であるとは考えませんのですが、なるべくさような機関がなしに済み得るようにできるだけ制度上考えて行くべきではないか。平衡交付金等もだんだんと軽減をして参り更にこれに改善を加えで参りまするならば、さような中央との関係につきまして複雑な手続を要することが少くなつて参ると思うのでありまして、そういう全体の財政制度その他を改善をして参りませんと、さような常駐的な連絡機関は実際上の必要で規定できないと思うのでありまして、これは逐次行政簡素化と申しますか、合理化と申しますか、そういうことでできるだけ手続を簡単にするような方向に進んで行くべきであるというふうに考えているわけであります。
  103. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 いま少しお尋ねしますが、この中央の財政を扱つております大蔵省は、すぐ数字的把握が地方の状況においてもできるのでありますが、今はよほどお馴れになつたろうと思いますが、私どもが若干関係しておりました二十二年、二十三年におきましては、殆んど数字的把握ができなくて、その数字の把握ができんために主張すべきものも主張が遅れるためにできない、或いは災害とかその他の場合に非常にあつたのです。これはこの制度において何か今度は自治庁の中でなしに、或いは別の所において何かその連絡を、つまりこの自治庁の機能を完全ならしむるための裏付けのほうの今度は都道府県側の設備として何かできるのではないかと思つたのでありますが、これがないのでありますが、これは十分お考えなさらんと人形を作つて魂が入らんということになつて、やはり依然として中央側の把握の早い数字のためにいつも地方財政が損をするということのないように私は希望してやみません。これはこの制度自体にはないのでありますがお考えを願いたい。技術上でもよい、更に制度化されればなおよいと思います。  それから第三の点は十五ページでありますが、ここに「地方債の発行」ということがありますが、この資金運用部資金を都道府県が借入れる場合におきましては、いわゆる起債という言葉が使われておりますが、起債というのは単純な借入金の場合であるのと、それから債券の発行を伴うような場合とあるのですが、これは単純な借入金の場合も含むのであるかどうかをお尋ねいたしたいと思います。
  104. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは御指摘のいずれをも含むわけでございます。
  105. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 そうしますと、あれは昔は一年以内の短期債の借入は起債の形をとらなかつたこともあるのでありますが、今はどうなつておりますか。
  106. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 年度内の問題といたしまして、一時借入をいたしますものはここに申しまする地方債の中に入らないわけでありまして、発行の許可を必要としないのでありますが、二年度以上にまたがりますものにつきましての問題を本号できめておるわけでございます。
  107. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 たとえばいわゆる短期借入の年度内の場合ですが、これはたしか五月末日までに返せばいい、今もそうじやないかと思いますが、そういう場合において何かこれは自由に借入を許されるかどうか。余りにそれが厖大であつて返済ができんような場合においては、何かそれに注意を与えるとか差とめるという権限がどこかありますでしようか。
  108. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 一時借入には結局年度内の予算の執行の上におきまして、支出に対して歳入がこれに伴わないということのために暫定的に一時借入をいたすわけでございまして、現在の地方自治法なり或いは地方財政法の建前といたしましては、かような一時借入に対してこれをチェックするという方法は一般的にはないわけでございますが、ただ資金運用部資金のいわゆる短期融資というようなことで、将来は長期債に切替えられることを予定しつつ年度内償還という意図で資金運用部資金を貸付けるということがあるわけでございますが、かような場合におきましては、大蔵省等との話合におきまして或る程度の調整ができるわけでございます。
  109. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 そうするとそれで大体わかりますが、昔と余り変つておらんと思うのですが、今度は政府資金運用部とかいうようなものの資金でこの地方債の引受をしてもらうのじやなしに、公募ということが最近問題になりつつあると思うのですが、つまり市場においてこれを募集するということでありますが、その場合におきましてはやはりこの五の規定にはまるのでしようか、どうでございましようか。
  110. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) いわゆる一般市場で募集いたしまする公募債でございますが、これにつきましてもやはりこの五に該当するわけでございます。
  111. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 そうしますと、この公募の場合には市場資金というものは一定の量でありまして、国債も出るようになりましようし、地方債も出るようになりましようし、社債も出るようになる、株式の募集もある、今の証券信託の投資証券も出る、こういうようになつてひとしく貯蓄の増強でありますが、非常に輻輳する場合があると思うのであります。そこで昔はこの地方債を公募なさるとかいうような場合にはことさらのこと大蔵省に相談なさる、大蔵省では地方債課というものがあります、そうしてそこで連絡し更に日銀とも相談をしてきめられる。東京市債であるとか大阪市債であるとかそういう大きなものについては殊にそれが必要であつたのであります。それが殊に円満に発行し地方の財政を豊かにするという手段に用いられたのであります。これは許可ということになつてということでありますと、単独で大蔵省に相談しないで許可するのか、或いは大蔵省に相談するというと語弊があるかも知れませんが大蔵省と協議をなさる、国債のほうについても自治庁のほうに相談してもらわなければならん、又自治庁側のほうでも大蔵省に相談しなければならん場合もある、そういうような連絡をなさる予定の下にこの規定があるのかどうかお尋ねしたい。
  112. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 御指摘のようにいわゆる公募債につきましては、従来いろいろ司令部との関係におきまして、これが非常に要望されましたのにかかわらず、実際問題といたしまして実現を見なかつたのでございますが、今年度からはいよいよ公募債ということにつきまして実施できるような段階になつたわけであります。これにつきましては、只今御指摘のごとく勿論金融一般に関係をいたしまする大蔵省にも協議いたしますし、又日本銀行等にも連絡をいたしまして、発行条件、発行価格等につきましてそれぞれ打合せをいたしました上で実際の処置をいたすことになるわけでございまして、これは勿論第五号の許可というものを自治庁長官が行います場合におきまして、さような関係方面との連絡、関係機関との協議ということもなし、円滑に運用いたす考えでおるわけでございます。
  113. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 実は今、日銀では昔の資金調整法というようなものはありませんけれども、事実上のこういう証券の発行については規正をいたしておるわけであります。大体申出をして、或いは大蔵省を経て、或いは直接に会社、銀行が申出をして大体資金の集積高と睨み合せてこういうことをやつているわけです。これは大臣は非常にお詳しいと思います。私よりもつとお詳しいと思いますが、そういうことをすると思います。そうすると今度この制度ができてしまえばそういうことをなさるわけであるかどうか、そうでないと我々が又考えなければならん点があるのですが、そういうことをやつた上で許可を与えるとか、或いは許可を与えない、こういうことをするということであれば非常に結構だと思うのです。どつちですか。
  114. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは御心配のようなことがありませんように十分発行についての具体的な方針その他につきまして協議をいたしまして、円滑に市場においても吸収して頂けますような事前の措置を十分講じました上で許可する、こういうことになると思います。
  115. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 そうすると、或いは内規とか規定などにそういうようなものをお定めになるのでしようかどうでしようか。
  116. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはできるだけ実際の運用におきましてさようなことにいたしたいと考えておりますし、具体的に今年度におきましてもさような具体的協議を大蔵省とも日本銀行とも十分進めておるわけでございます。
  117. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 いや私どもは外資導入外資導入ということを言われますけれども併し東京都であるとか大阪市であるとか横浜市、名古屋市というものはすでに実績を持つておるのです。財政状態においてはこのほうがむしろ早いのではないかと考えておるのです。そういうような場合もこの規定によつて認許可をなさるわけですから、いろいろ場合に応じて内規その他ができて、大体の起債が円満に行くようにお考えを願うということにして頂きたいと思います。  これで質問を打切ります。
  118. 鈴木直人

    鈴木直人君 この地方財政審議会事務は自治庁の職員をして行わしめることができるということになつておりますが、自治庁の職員以外の職員は審議会にはおるのですか。
  119. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは地方財政審議会は自治庁に附置いたしまする機関であるわけでございまして、特に地方財政審議会自体の任命をいたしまする職員は予定をいたしておりません。自治庁の職員の中から自治庁長官の定めるところによつて審議会事務に携わしめまする者をきめるわけでございます。
  120. 鈴木直人

    鈴木直人君 地方自治庁の財務部長その他課長階級というようなものが、この自治庁にできるわけですが、それがそのまま審議会の職員としての事務をやるようになるのですか。或いはその間の特定の人数が財政部以外にはみ出してその事務を別に専門的にやるようになりますか、それをお答え願います。
  121. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点は長官の定めるところに任しておるわけでございますが、主としては地方財政審議会でございまするから、財政部或いは税務部関係の職員がこの運営に関する事務に携わることになるというふうに考えるわけでございます。
  122. 鈴木直人

    鈴木直人君 その事務の運営に携わるときの内部の組織ですけれども、例えば自治庁の職員の十人とか二十人というものが全然別の部屋を構成して、そうしていずれも審議会事務局のような形においてやるのですか。或いは地方自治庁の財務部その他の機構をそのままにしておいて、要するに審議会の運営の組織とそれから自治庁長官の下にある組織とが同じような組織になるのですか、どういうふうになるのですか。
  123. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点は扱いまする対象、資料というものは、結局同一の組織から出ております。即ち都道府県なり市町村から出て参りまする資料を基礎といたしまして仕事をするわけでございますので、成るべく組織は簡単にいたし、従つて今の財務部なり税務部なりの本来の行政事務を執行する部局の職員が、同時に地方自治庁の運営に関する事務に携わるという形にいたすほうがより合理的な運営ができるというふうに考えておるわけでございます。
  124. 鈴木直人

    鈴木直人君 そういたしますと一つの組織が長官の、まあ下部組織といいますか、長官の命令を受けて自治庁のする仕事もやり、その仕事はそのまま審議会の何といいますか事務としての効果を発生する、こういう形において事務が行われ、そうしてそれが自治庁長官の前に行く前に、一応審議会にかけられてそうして審議会にかけられたものが長官のところに行く、こういうふうになるのでありますか。そこの事務をとる方法を御説明願いたいと思います。
  125. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは自治庁長官が地方財政に関しまして第十七条に列記してございまするような仕事を処理いたします場合に、必ずこの地方財政審議会の議に付してその意見を聞いてこれをきめる、こういうことになるわけでございまして、従いまして自治庁長官のいわばこれを補佐いたしまする機関としてありまする部局が、それぞれ審議会に付議いたしまする原案を用意いたし、そうして審議会においてこれを審議いたして意見を聞く、こういうことになるわけでございます。
  126. 鈴木直人

    鈴木直人君 大体その行きかたはわかりましたが、そこで平素自治庁長官の補佐として下部機構仕事をする際に、自治庁長官の命令はいつも受けるわけですが、審議会委員の運営上におけるところの命令といいますか、そういうものは受けるところの義務はありますか。いわゆる自治庁長官の命令によつてそれぞれの下部機構が平素運営しておるその間においては、五人の委員はまあつんぼのようにじつとしておる、そうして大体成案ができてからその審議会に付議してその五人の委員が検討をするという形になるのであるか、その関係はどういうふうになりますか。
  127. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは地方財政審議会の運営に関しまする事務に従事いたしまする者として、自治庁長官が一定の職員を指定をいたしましたならばその十人、二十人なりの職員というものは地方財政審議会の運営に関する事務に当然に携わることになるわけでございます。従つて審議会委員からこういう点を調査せよ、こういう資料を出せと、こういうことになりますれば、その命令に従つて審議会が必要といたしまする各種の事務を行うことになるわけでございます。さような関係にまあ考えておるわけでございます。
  128. 鈴木直人

    鈴木直人君 まあ現在の組織は審議会委員長がまあ自治庁長官と同じような地位にあるわけですが、ところが先ほどの説明によりますると、例にとつてみれば財務部長課長、係長、係員というものがある。それは自治庁長官の補佐機関としてあるわけですが、それをそのまま五人の委員の補佐機関として組織されるということになる場合には、そこに頭が二つあるような関係になる。それをどういうふうに調整するかということをまあ憂慮するわけですが、今の説明によりますとそうでなくして、審議会事務局のようなものが別にできて、そうして何人かの事務局員が専門に委員の命を受けて、審議上必要とするところの仕事を平素やる。そうしてそれが必要なところの資料を自治庁の職員から任命してとる、そういうふうな組織にされるような説明もあつたのですが、そういうふうな審議会としての特別の専任事務局設置してやるのか、それとも地方自治庁の組織をそのまま運営して行くのかということをもう一度はつきり説明して頂きたい。
  129. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 先ほどの御答弁で若干明確でなかつたようでございますが、自治庁長官が定めました職員として例えば財政部長でありますとか、或いは財政課長でありますとか、或いは財政課に勤務いたしまする特定の職員、こういうものは地方財政審議会事務の運営に従事せしめる、こういうことになりまするならば、それらの人たちは一方において財政部長なり或いは財務課長としての仕事をいたしますると共に、又審議会の命ずるところに従つてその事務を掌るということになると思うのであります。併し必ずさようないわゆる一人二役的な形にのみ限りませんで、実際の必要に応じましては、これは専従いたしまする職員というものがあつてもいいわけでございます。この点は自治庁長官が実際の運用の状況を考慮されまして適当に定められるところであろうというふうに思うのであります。
  130. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 地方財政審議会の問題につきましてお尋ねいたしたいのでありますが、私遅れて参りましたのでもうすでにほかの委員から御質問があつてお答えのあつた点がありましたらそのことをおつしやつて頂きますればほかの問題についてお聞きします。  十五条のあの六項に「委員は、非常勤をする。」と書いてありますが、現在は常勤になつておると思いますが、これはどういう事情か。現在の仕事関係と比較しまして御説明下さいまして、非常勤にしていいという理由をお示し願いたい。
  131. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この現在の地方財政委員会行政委員会といたしまして単にこの執行によるいろいろの事項を決定するだけでございませんで、それ自体が行政の執行機関であるわけでございまして、さような建前から常時行政執行の責任を持つておるわけであります。そういう考え方から委員は常勤ということになつておるわけでございますが、今回のこの政府案におきましては、地方財政審議会は、かように常時行政執行の責任を持ちまする地方自治庁長官が、一定の財政に関しまする事項を定めまする場合に、そのたびにその意見を聞くと、かような建前にいたしたわけでございます。そういう意味では付議機関と申しますか、という形のものになつてつたわけでございます。かような性格上の変化に伴いましてこれをそれで非常勤といたしたわけでございます。
  132. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 現在常勤の人たちの出勤状況はどうですか。毎日五人ですか、毎日出勤していらつしやいますか。
  133. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは私財政委員会のほうの仕事をしておりませんのでよくわかりませんが、原則として御出席になつていると思います。
  134. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 これは私などは札を起して出欠がはつきりわかることになつておりますが、この委員はどういうことになつておりますか。
  135. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 定例的に会合いたしますその日などをおきめになつていると思いますが、そのほかにもやはり常時御出席になつておられると考えております。
  136. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 委員会はそうすると一週間に何遍とか、定例日があるということですか。
  137. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 二回定例日を定めておられます。
  138. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 二回。二回のときの出席は如何でございますか。大抵皆さん御出席になりますか。
  139. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 皆御出席になつておられるようであります。
  140. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 するとあとのことはわからない……。あとで結構ですから、お調べの上御提出願いたいと思います。できるだけはつきりしたことをお調べ下さいまして、結局今日非常勤にされますにつきまして、どんな違いがあるかということを私は想像したいわけであります。別に出席率が悪かつたからそれをとがめるとかいう意味でお尋ねしているわけではございません。  それから委員会を今度おやめになりまして、内部関係委員審議会ができるわけでありまするが、その決議は相当もとより尊重されることであろうと思いまするが、その尊重の程度につきましてどういうふうにお考えになつておりますか。
  141. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それは先刻出ましたから……。
  142. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 ではそれはあとで……。
  143. 鈴木直人

    鈴木直人君 先ほどのに関連しておるのですが、第十七条のやり方ですが、平素自治庁長官は責任を持つておりますから、第十七条に規定しておる事項については、自治庁長官までいわば決裁を経て、そうしていよいよそれが決定するという際に、この審議会にかけるというような運びになるとすれば、非常勤の五人の委員というものは、原則的にそのときに召集を受けて、平素殆んど事務に当らないというような形にあるこの五人が、その決定した書類を見せられて、そうしていろいろな意見もあるでしようけれども、併しながら完璧な調査の上に立つた意見としてはそれはあり得ないかも知れませんが、そういうような意味になればその審議会委員というものは、実は殆んど有名無実のようなものになりはしないかということを憂うるのでありますが、従いましてそういうような方法をとるのであるかどうか。或いはもつと平素の事務のとり方について、この委員というものに対して常時連絡をとるという方法をとるのかどうか。若しそうすれば頭が二つあるようなふうにも考えられるのでありますし、そこの調整をどういうふうになさるのか聞きたい。
  144. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。私はその点におきまして、執行機関である行政委員会というものに少し疑念を持つておる次第でございます。と申しますことは、今までそう地方財政委員会が独立した立場をとつておりましても、やはり委員のほうからずつと命令されて下がそれを以て何か案を立てるということではなくて、実はその部下におりますところの職員がすべての仕事をしまして、そうして結論が出ましたのを委員会にお目にかけてそうして委員会で御意見を伺う、こういうことに事実上はなつておるのであります。でありますから今後諮問機関にいたしましても、その出来工合は全く同じことになるわけでございます。若しこの法が通りますれば、自治庁長官自分の部下として使つておる者がいろいろの材料を集め同時にその結論を出して、一応自治庁長官の意見を尋ねて、そうしてこんな案になりそうだという場合に、その案の固まらないうちにやはり審議会にお諮りして審議会に御意見を伺う、こういうことになるわけでございます。現状と将来と余り変らんことになる、こう私は考えております。
  145. 鈴木直人

    鈴木直人君 私はこの案についての結論的な意見から今質問しようとしているのではありませんが、曾つて地方財政委員会ができるときに、行政機関であるところの委員会は、会長が国務大臣でもないということにいい点もありますけれども、閣議に出席して答申するということもできませんし、国会において責任を負うというようなこともできないのであるから、その調整をする意味において、地方財政委員会という行政機構の中に国務大臣を入れて、そうして国務大臣を会長にして行つたほうが非常にいいのではないかと、これは前の木村国務大臣にも何回も話したことがありますけれども、遂にそれが実現されなかつたのでありますが、委員会をそのままにしておいた場合に国務大臣をその中の一人に入れてそうして国務大臣がその委員会委員長になるというやり方によつて今の調整がとれるようにも思うのですが、その点についてはどういうふうな御見解ですか。
  146. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お説至極御尤もでそれも一つの行き方でございます。でございますから今の委員会というものを存置しておきまして、そして委員長国務大臣にしてそうして閣内に入れて地方財政の擁護をさせる、こういうことはいいことだと思います。ただいろいろ考えましたあげく、又地方の行政簡素化とか、若しくは中央の機構簡素化というものを考えますと、やはり一本にして実際の効果がありますれば、お説の行き方も一つの行き方、又今回改正案として出しました行き方も一つの行き方だと考えますが、ただ行政機構を成るべく簡素なものにし、責任の明確化をするということにつきましては、今回の案のほうが明快ではないかとこう考えて提出した次第であります。
  147. 鈴木直人

    鈴木直人君 成るべく簡素化するという点から見て、すべての行政機構にそういう行き方が盛られておるわけなんですが、ただそういう場合に財政審議会というものの機構が全く、何と申しましようか、殆んど成案ができた場合に招集されてそうしてそれにかけられて、会長は国務大臣でない会長のようですけれども、そういう五人の委員会がそこで案を擬せられてそうしてまあそれで終りというような形になるようでありまするから、どうせ審議会のようなものを置くのであるならば、私が申したような委員会にして、そのうちの一人を国務大臣が担当してその会長をして行くというようなことが、命令系統なり事務を執行する上においても明確になつて都合がいいのではないかという見解もあるわけですから一応御意見をお聞きしたわけです。
  148. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 ダブつた一つ委員長のほうから御注意を願います。  大臣のお話を承わつておりますと、政党政治であるから大臣が責任を負うてやるのが妥当であるというような考え方だと私は承わりました、これは一つの妥当な考え方だと思います。併しこれはまあ選挙戦に現われたことで、誠に私も申しにくいことだと思いますが、率直に申上げますと、我々は、この人を今度県知事にしてくれるなら今度平衡交付金をふやすというようなことを相当やつておられるようなふうなのです。この点につきまして、非常に政党政治を謳歌される委員長としての大臣として、こういうことは私はそこにやつぱり弊害があろうとは思います。それについて一つ地方財政委員会をなくするということにからみまして御見解を承わりたいと思います。
  149. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。そういう点が非常に弊害だと思いますが、併し御承知の通りに平衡交付金法と申しますものはまだ実施後日が浅うございまして十分に完成はしておりませんけれども、あれはそういうふうないわゆる請託によつてその方面にたくさん行くというようなことがありましたならば、たとえ財政委員会がありましても五人のひとにこれを請託して来ればやれるわけでありますので、その弊害を防ぐために平衡交付金法には相当厳格な規則を設けまして、そうして客観情勢によつて何人がどういうふうに議論をして来ても、ちやんと公正妥当なる分配方法というものを詳しくきめておる次第でございまするから、それを動かして、自由党の知事だから、今自由党の内閣だから持つて行けばうんともらえるというようなことは今ではもうできないような制度になつております。それから又委員会の規則は今までのところでは実際についてよくわかりませんものでしたから、財政委員会そのものが自分で作つた規則によつて、分配方法即ち単位費用であるとか補正係数であるとかいうふうなものを作らしておつたのでございますけれども、これは実施事情がわかるまでの間ということになりまして二年間延ばしておりました。そうして今回平衡交付金法の一部を改正いたしまして、今まで委員五人で相談して、そういうものの基礎を作つてつた規則、いつでも変えられる規則を法律でなければ変えられないということにして法定しまして、又今まで研究の余地がありまして又どのくらいの程度にきめたらよかろうかというような二、三わからない点がありますが、それは当分のうち財政委員会が規則によつてやるということになつております。私はこの平衡交付金法というものが完全にある以上は、若しそういうことをすればすぐそれで自治庁長官というものは平衡交付金法違反ということになりまして相当の非難を受けることと思います。が、御心配のようなことはないだろうと思います。或いは選挙のときにそういうことを言つてつた所もあるかないか存じませんが、そんな噂も聞きましたが、併し平衡交付金はそういうようなものではないのであります。
  150. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 その点と先ほどの御答弁を聞いておりますと、その地方財政委員会の勧告というようなものをただ国会と総理大臣にする、それでは非常に権限が弱いのだから、一人の大臣が閣内におつてそれを大いに主張しなければそれは通らないのじやないかという御見解と、それから今言つたような平衡交付金制度によつて算定されるところの金額を閣議においてそれを認めるか認めないかということを、何と言いますか、あなたが代弁をしてやられるというそのことと、平衡交付金制度というものとは、少しあなたの言われるところと矛盾があるのじやないかと思います。と申しますことは、平衡交付金制度に基くところの勧告ならば、それは当然私は閣議においてあなたが主張されなくとも尊重されなければならないと思うのです。ですからむしろ言えば、今まではどうも内閣の枠のちつと外にそういう第三者的といいますか自立的な制度があつて、内閣がどうも邪魔になるから、そうして地方財政が利用されてお困りになつたのだから、これを閣議に入れて一つ抑えつけて行こうというようなふうにもとれるような気がするのです。ですから私はもう一度お尋ねしたい要点は、今度これを改正してあなたが閣議にそれを出て主張されるという点と、それから交付金制度が持つておる性格から閣議で尊重すればやれます、あなたがそれを閣議に持つて出なくても閣議において尊重されなければならない、その辺に矛盾があるような気がするのですがどうでしようか。
  151. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お説至極御尤もでございます。先ず第一に分けて申上げなければなりませんが、先ほど申上げましたような配分の方法でございます。配分の方法と今年どのくらい平衡交付金が要るかという総額を見積ることと二つに分けなければならんと思います。その前段の配分のことは只今申上げましたように平衡交付金法で厳格な規定を法律によつて作りますから、くちばしをいれて、請託を入れてそうして自由自在にするということは、もう殆んど掣肘されてできないということを御了承願いたいと思います。  そこで総額をきめます場合に、その総額をきめることが全く自分の周知することのできない独立の立場にあられる地方財政委員会というものがこれをお調べになつたのでは、隅々まで自分が説明がつかないこともございます。そこで取次はいたしますけれどもいろいろな非難を受けます。と申しますことは、我々は地方にそんなに失費があるとは思いません。けれども知事が交際費を幾ら使つておるか、退職したときに退職慰労金を幾ら使つておるか、そんなに無駄な費用を使つておきながらこんなに平衡交付金を国家財政から持つて行くのはけしからんじやないか、そういうことがほかの大臣などにやはり耳に入ります。そうしますと、その実情自分が責任を持つて調べておかなければ閣内においてそれを打破することはできません。今まで過去二年間におきましていつでも合理的であると私は信じ、同時に地方財政委員会のお調べを最も公正妥当なお調べだと思つて閣議に持ち出しますけれども、そういうような一つ二つの世論といいますか噂といいますか、本当をつきつめた責任ある調べ方をしない者がそういうことを言つて、十三対一とか十四対一とかいうような閣議の決議で、私は地方公共団体に対しても又国家に対しても相すまん立場をとり続けて来たわけでございます。でございますから私自身といたしましては、成るほど意見書を国会へお出しになり国会で裁断されて行く、併しそのときにはもうすでに予算がきまつてしまつておることですからもう動かしようがないのでございます。それを事前に私が責任を以て十分調べまして、そして国会に意見書が出るまでもなくその前に、閣議において立派に初めからしまいまで責任を持つて強く主張することのほうが、あとで意見書を国会に出すよりは非常に有効なことだと私は考えている次第でございます。
  152. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 只今の成瀬委員質問に関連いたしておりますが、大臣の今の御答弁のうちに、平衡交付金の分配の問題についてはもう規則ではつきりきまつているから心配なことはないのだ、まあそうであることは大変結構なことなんです。併し事実大分地方からもお頼みに行つているのだと思います。全く動かせないものに何しにお頼みに来るのかという疑問を起すのですが、規則も知らないでただ無駄足をふんでいるのか、ああいうことを言つて来るところを見ると、私は頼みに行つたことはありませんけれども、私自身は何人かに頼まれたことがあります。大臣が言われるようにはつきりしているのならお頼みに来ることはないと思います。そこに大臣のお気付きにならない部分が、幾らか手加減ができるのじやないかという疑問が残つているのではないかと思いますので、私はこういうことをお尋ねしますけれども、今の委員会でやつたら弊害はないが内閣でおやりになると弊害が起るとか、或いは今は悪いから内閣でやつたら弊害がないのだとか、そんなことを考えているのではありません。ただ事務的に何かやつぱりそこに多少融通のきくゆとりがあつて各地方から歎願に来るのではないか。私の聞いておりますところでは、やつぱり強い方面からの歎願では地方などでは大分損をしておりますよ、特に遠いところのものは損をしておりますよということを、相当そのことに詳しい人から聞いたこともあります。先ほどの御答弁非常にはつきりしているお言葉で、まあそうあつて欲しいと思うのですけれども、その点もう一遍御説明願いたいと思います。
  153. 楠見義男

    ○楠見義男君 御答弁の前にちよつと関連しまして。私も今竹下さんと同じような疑問を持つて従つて地方財政委員会の独立性というものの必要性をひそかに考えておつたものでありますが、只今御答弁を承わつて答弁通りであるとすれば疑問が氷解したわけなのでありますが、同時になお今竹下さんがおつしやつたと同じような疑問を持つわけでありますが、若し今大臣がおつしやるように、それほど平衡交付金法で厳格にきまつておるのならば、今度の改正案でも実は地方財政審議会の付議事項の二番目に、従つて重要な事項として、地方財政平衡交付金の配分額の決定又は変更ということがあるのですが、こういうものは付議事項にする必要がなくて法律で当然すらすらと動くものと思うのですが、それと合せて竹下さんの御質問に関連して御答弁願います。
  154. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。それが平衡交付金法がまだ完全にでき上つていない結果でございます。と申しますことは、御承知の通りに、川の幅が幾らとか、川の長さが幾ら、それから田地田畑の大きさがどのくらい、人口がどう、就学児童が幾ら、それから生活保護法を要する被保護者が幾らということは、どうも数字といたしまして一万何百の公共団体でありますからつい古いものが出て来るのであります。そういたしますと新しく合併しましたり、又合併しなくても大きなところでございますと計算違いなんか出て来まして、それは昭和二十五年度の調査をしてやつて配分しておつたのでございます。成るほどそんな事実があるのかなということになれば成るべくその点において余計にやらなければならんことが出て来るかも知れません。併しそれは殆んど少額にとどまるのであります。大した影響はない。今大きく動いておりますことは総額を決定しましたときに、その総額を決定しましたのは、一万何百ある団体を大量観察をしてやるものでございますから、これが実情に合わなくなることがあるのです。その実情に合わないことを都道府県知事とか市長会とか何とかいうものが実情はこうだと、政府で見ておるのはそうかも知れんけれどもいかんから平衡交付金の総額を増せとこれが一つの要求。もう一つは先ほど申上げましたように統計数字がまだ完備しない点にいろいろ齟齬がある。もう一つはこれは多少の手心が要るわけでございますが、特別平衡交付金というものが一割とつてございます。これは災害がありましたとか、今年は税収が百万円あるとふんでおりましたところが火事があつてそしてその半分しかとれなくなつた、そこで五十万円をどうしても平衡交付金で見てもらわなければならん。そういたしますと、先ず一応陳情も聞かなければなりませんし、実地にこちらから行つて調べなければなりませんから、その平衡交付金の査定にやはり差が出て来るということはございます。ございますから、普通の状態でございましたら規則によつてちやんときまつておる。併しその規則を運営して行きますのが一万何百の団体で、何千何百という行政費目を一々小当りに当つて算出したものでございませんから正確は期し得られません。正確を期せなければ、やはりもらいたいものはたくさんもらいたいからいろいろの数字を持つて来る、その数字が果していいか悪いかということを判定して手心を加えなければなりません、こういうことでございます。
  155. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 委員会仕事、いろいろむずかしい仕事、大事な仕事、お取扱になつているわけですが、まあ事務量から申しましても、それから委員としてまあ面倒な仕事というのは何かというとこの平衡交付金の分配の問題である、これが仕事の大部分であるということを聞いておりますが、それはその通りなんでしようか。
  156. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 平衡交付金の配分というのは、御指摘のように非常に事務分量の多くを占めておりますが、同時に例えば地方税法に基きまして固定資産のうちいわゆる大規模の固定資産といわれますものが、或いは二市町村以上にまたがつて存在しておりまする鉄道であるとか、或いは移動性の船舶でございますとか、そういうような固定資産の価格を関係の市町村に配分をいたす作業がございます。それから更に固定資産税につきましては固定資産の評価基準というのをやはり年年地方財政委員会で定めて技術的な指導を毎年いたしますが、これらの仕事はやはり全国の土地なり家屋なり固定資産全体につきましていろいろの評価基準をあらゆる方法によつて定めまして、そしてそれをまあ地方に勧告をいたすわけであります。これらの税関係仕事もなかなかこれは重要なむずかしい仕事であります。
  157. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 そのあとで御説明になりました税関係のこととかいうようなこと、これもやはり陳情とか、歎願というものがあるのでございますか。
  158. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これも何分固定資産の価格の配分ということは新らしいことでございますので、例えば発電施設があります町村で非常に固定資産税がたくさん入つて来る、財政需要を補つて余りがあるというような場合には、これを隣接の市町村に、即ち発電施設の河水の流れて参ります沿岸でございますとか、或いはその施設の影響しております所というような、いわゆる近隣の市町村に一定の基準によつて配分をいたすのでありますが、それらの配分を入手いたします場合には、いろいろな過程におきまして甲案、乙案、丙案いろいろ案が出て来るのであります。そういうようなものについても現地の意見を徴したりいたしますので、さような関係でやはり実際地方での関連はあろうと思いますが、併しこれもだんだんと固まつて参りまして、固定資産の評価基準にいたしましても本年の一つの全体のものができ上るようになつたのでありまするが、そういうものが一つでき上りますとあとはそれを準用いたして参るということでだんだん板について来ると思うのであります。
  159. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 大臣政府委員とお二人の御答弁を総合して、つずめて申しますと、平衡交付金の分配については細かい規則もあるのだけれども、それを運営する場合においてやはりいろいろと問題が起つて来る。そうしてその事務量も委員会としては相当多くて委員の全体の仕事のうちの相当大きな部分を占めているのだと、こういうふうに了解していると思うのですが。
  160. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 大体地方財政委員会が発足いたしました当時は実は一番仕事がむずかしかつたわけであります。要するに今までの約二年間でございますか、その間のいわゆるシヤウプの財政改革以後の一番困難な時期におきまする地方財政委員会の奮斗努力というものは大変なものであつたと思うのでありますが、これがだんだん今日に至りますれば、先ほど大臣からの御説明がございましたように、逐次従来委員会規則で定めておりましたようなものを法律化いたしますとか、固定資産の評価その他につきましてもだんだん一つ経験を積み重ねて参つて来ております今日におきましては、逐次一つの客観的なものさしでおのずから行政が行われるような段階にだんだん近付いて来たというように考えているのであります。
  161. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 そうしますと今のお話でちよつとお伺いしたいのですが、委員会設立当初と比べると現在は大分事務的ないろいろなことが整備できたというようなことも先ほども御説明があつたのかも知れませんが、国の今度機構を縮小しても差支えないという理由に入れておられるわけですか。
  162. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 逐次地方財政に関する事務が、新らしい改革が漸く板について来て整備されて来ているということは申上げられると思うのであります。従いまして従来よりはだんだん事務の処理が円滑に行くようになつて来ているということは申上げられると思うのであります。
  163. 中川幸平

    中川幸平君 この地方財政審議会についてのいろいろ御質疑がありまして大臣からも御答弁がございましたが、およそ諮問機関のあれを見ますと殆ど抽象的に書いてあるのが例でありますけれども、この地方財政審議会、むろん諮問機関でありまするが、十五項目のそれぞれは必ずこの諮問委員会の議に付さなければならんということがはつきりと書いてある。而もその意見を尊重せなければならん。尊重せなければならんというと、諮問機関には違いないのでしようけれども、かようにはつきりと項目を挙げてやるということは殆ど議決機関の機能が発揮でき得るというように我々も解釈するので大臣から再三お答えを聞いたのでありますが、藤野政務次官の御見解をこの際御発表願いたい。殆ど議決機関のような機能を発揮でき得るかどうかという御見解を。
  164. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 私からお答え申上げます。この点は私は今までのように財政委員会が独自の立場を以て政府の言うことも聞かず、それから国会がどうであろうとも、自分自身でこの通りの意見だと言うてただ振り廻しているという立場ほどの力には私はならんと思います。併しながら先ほども申上げましたように、ただ議に付して諮問をしろ参ということではなくて、議に付してよく尊重しなければならないということを法文上明らかにしました以上は、自治庁長官といたしましてはこれは当然この意見に対して聴取しなければならない道徳上の責任がございます。と同時に先ほども成瀬さんの御質問にお答え申上げましたように、いろいろなことが大体過去二年間の経験によりまして法定してやつて行けるということになりますから、自由裁量の余地が非常に少くなつております。でございますから、これをこういうふうに審議会に切替えましても弊害もなく、むしろ仕事が、責任が明確になり同時に非常に早く簡素になり、同時に予算を作るときに私自身といたしまして仕事がやりやすいということになつて、地方財政の擁護ができやしないかというふうに考えております。
  165. 鈴木直人

    鈴木直人君 先ほど竹下委員質問に対して御意見がありましたが、現在の地方財政委員会仕事の主なるものは、この法律の第十二条に掲げられているところの平衡交付金の配分或いは地方債の発行或いは固定資産税の配分というようなことが中心のように答弁されておりましたけれども、やはり今までの地方財政委員会の五〇%以上に重要なものはやはり十二条の第二号の平衡交付金の総額の見積ということであつたと思うのです。大体その配分の公正を期するという上からのみこの地方財政委員会の中立性を主張しておりますけれども、やはり大臣が言われたように地方財政平衡交付金の総額、全国の県、市町村の財政の収入或いは支出というものを見積つて、そうしてそのバランスからどの程度の平衡交付金が必要であるかというその見積をとるということが、やはり今までの地方財政委員会の重要な役割であつたと思うのです。その点についてはまあ返事がなかつたようですけれども従つて今度この案に盛られたところのものは、その総額の見積については地方財政委員会委員長というものは閣議にも列席することもできないので、岡野国務大臣が出ていてもその責任者でなし、調査することもできない。むしろ勧告を受けるという地位にあるので、一方の大蔵大臣は国の財政と地方財政との間のバランス考えて平衡交付金の金額を独自の見解から決定するけれども、而も閣議においては岡野国務大臣は手足のない関係でいつも三対一で以て大蔵大臣の案に負けてしまつて来ているという現状であつた。こういうことからしておそらく今度の改正におい  てはこの第二号の総額の見積ということは国務大臣の地方自治庁長官を中心とした地方自治庁において行うなり、そうしてそのほかの配分なり或いは地方債の発行ということについては公正を期さなければならないから、この審議会の議を経てそれを尊重して実行するという建前であるということですが、従つてこの法律の建前については従来の欠陥を是正し、そうしてこの委員会をなくするという政府の方針に従つたという案のように考えられますけれども、併しながら一方地方財政委員会委員としての都道府県知事の代表とか、市の代表とか、町村長の代表とかいう委員というのは従来の行政委員会委員のときと違つて非常に力が弱くなる。こういうような関係からむしろそれを調整する上においては従来の委員会委員長国務大臣にして行くというような形も一案であるであろう、こういうことをまあ考えてみたのですけれども、この総額の見積の決定には審議会の議を経る必要がないということになつているんですね。どういうふうになつていますか、平衡交付金の総額の見積については審議会の議を経る必要がないというふうになつているように見えるのですが、それはどういうふうな点からそういうふうになつているんですか。
  166. 松村清之

    政府委員(松村清之君) 十八条によりまして意見を申述べることになつております。
  167. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 現在の委員会委員国会の承認を得て任命するということになつているんですが、今度はそうなつていないようですが、先ほどから承わつておりますと、まあ事務的の整理ども大分ついて来たからというようなお考えがあるのかも知れませんが、これは自分の意見がましいことを申して恐縮ですけれども、やつぱり現在通り国会の議を経るということになさるほうが賢明じやないかという気持がしますけれども、その必要があると思うのです。現にいろいろやつぱり当るか当らないかは別として、委員の人選等がどうなるだろうかというようなことにつきましても、世間でいろんなうわさをしている人もありますが、もとより公平な人選を内閣でなさるだろうと思つておりますけれども国会の承認を経るということになりましたならばそれが本当に公平であるということを世間にも国会で証明するということにもなるのじやないか、やはり従来そうなつていることでもありますし、このほうも続けてそうなさるほうがいいんじやないかと思いまするが、その点大臣如何でございますか。
  168. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。これもやはり一つ考え方でございます。おもおもしくして、そうしてその審議会を尊重するという意味におきましてはお説の通りだと思います。私はちよつとこの点についてこういう考えを持つております。自治庁は、私は、将来、今でもそうでございますが、やはり地方の公共団体の味方であつて、閣内においてやはり地方行政、財政というものを擁護する立場にいるのだ、そして成るべく地方行政、財政というものに何を持たすか、これは御承知の通りに自治の本旨といたしまして、自主性を持たすことが一番大事だということになつております。そこで而もこれが全員が内閣総理大臣の任命ということになつておりますれば、これは国会にかけるということが公正を保つということだと思いますけれども、私の考えといたしましては、絶対過半数であるところの三人は地方公共団体に推薦させまして、国会が承認してもしなくても私は地方公共団体の推薦を突き通させたほうがいい、そこで今総理大臣は地方公共団体の推薦した者を拒否するものではない、必ずそれを任命するということに我々はきめております。そういたしますと、そういうことは私は国会になかろうと思います。地方自治団体が推薦までしたものを国会で拒否して取替えてくれというようなことはないと思いますけれども、理論上はそれがあり得る。そう考えますと、地方自治団体を擁護する自治庁の諮問機関の委員には地方公共団体がこれが一番よろしい、我々の利益を擁護してくれる人だということをきめたらそれを最終決定にして総理大臣が任命して行つたほうが、どうも地方の自主性を発揮する上において工合がいいという考え方で、今までの財政委員会委員とは形を変えてやつた次第であります。
  169. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 この三人の分について御意見よくわかります。あと二人については今の御説明通つておらないわけですね。それからそれと関連しましてお尋ねするわけですが、これは現在がやはり五人ということになつて、地方の代表者が三人、あと二人ということになつております。そのままでありますけれども、私ちよつと疑問持ちましたのは、この三人はひも付である、ひも付という言葉は甚だ悪い言葉でありますけれども、世間で申しますからその言葉を使う次第ですが、あと二人はそうでない。ところがきめるということになれば三対二だ。若し反対が二人のときはいつでもこの三人の代表者の意見が通る。その利害関係は大体一致するということになるのです。併し相談なさる事項の内容が私はよくわかりませんので断定的に私の意見を申上げるわけに行きませんが、そういうことのために甚だ困つたなとか、必ずしも公平でないなあという問題が起りやしないか。全くそういうようなことが起り得ないことだつたら問題ないけれども、あり得ることだつたらこのあとの二人をもう二人、三対四というくらいにするということが一つ考え方じやないかと思います。その点は実質上から一つ御説明下さいましたら、自然と私の疑問は解けて行くことになるのじやないかと思います。
  170. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。いろいろ御懸念の点もございましようと存じますが、三人は私は地方公共団体の自主性を尊重して、誰がどう言おうとやはりそれを任命して委員についてもらう。三人をそうしたとしますると、二人を政府が任命するからといつてこれだけは国会の承認を得なければならんということにいたしますと、如何にも政府が何か国会に信任がないような感じがいたしますものですから、まあ公平にやつて行く。  もう一つ申上げたいことは、これは財政審議会というものでそういうふうな力強いものをしてございますが、そのほかに自治庁参与というものを作つております。これは現職の知事、市長、議長なんかの代表でございます。これをやはりこの間もちよつと申上げたのでございますが、今までは自治委員会というふうなものでやつております。これもやはり自治庁の附属の一つの局でございましたけれども、今までは丁度応接間でいろいろお話を願つているような形でございますけれども、今後はやはり自治庁と地方公共団体は一心同体になるようにという意味におきまして、参与ということにおきまして庁務に従いまして連絡してもらうというような内輪の人としました。そうして意見を十分聞くと、それもお聞きして現職におけるところの知事、市長、議長、いろいろの六団体の代表者を我々のほうで御意見を拝聴する機会を得て、いろいろな庁務をやつて行きたい。それと併せて財政審議会の意見と両方やりますものですから、私は地方自治団体の擁護としてはこれで不足はないものと、こう考えている次第でございます。今度は仕事の点は事務当局からお答え申上げたいと思います。
  171. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 現在は五人とも国会の承認を得る。
  172. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) さようでございます。
  173. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 それも現在やつていることですからね、あなたの理窟も一応ありますけれども、実際やつていることですから今更同じようにおやりになりましても、あとの二人だけを特別に扱うのを侮辱するようなものだというようなふうに考えないでもいいんじやないでしようか。それで殊に国会の承認を得てということは名誉にこそなれ決して侮辱にはならないわけでしてね、これはそうなすつたほうが、これは意見の違いでしようけれども、私どもはそういうふうに思います。まあ、その点よろしうございます。
  174. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 先ほどの質問の続きなんですが、この配分の方法は、平衡交付金制度によつてやられると非常に公平に行われて行くのですが、ただ今度機構改革では総額をたくさんとるために機構改革をして、’長官がその中におつて大いに奮闘する、こういうのが主点であろう、こういうふうに私は承わるわけです。そうするとその自治庁の権限もそれはどこに入るわけですか。  もう一度申上げますと、あなたは今度の機構改革の主点は長官が閣議において総額の決定の場合に職を賭してでも頑張る、今まではそういうことができ得なかつたのだから、今度そのために機構改革をされたやに承わるわけです。そうすると自治庁のそれがどこに謳つてあるか。
  175. 松村清之

    政府委員(松村清之君) この法案の五ページ二十二「地方財政平衡交付金の総額を見積ること。」
  176. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 「総額を見積ること。」、そのこととそれからこちらの地方財政審議会に付託されると申しますか、その意見を「地方財政審議会の議に付し、その意見を尊重しなければならない。」というそのことと、一乃至は二などと関連いたしましてどういう関連があるのですか、これは。
  177. 松村清之

    政府委員(松村清之君) この「総額を見積ること。」と付議事項の一と二とは一応関係はございません。むしろ「総額を見積ること。」と十八条の「自治庁長官に意見を申し出ることができる。」これと関連すると思います。
  178. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると予算の問題と申しますか、平衡交付金の総額の算定というようなことも、やはりこの今度できる地方財政審議会事務局といつたようなものか、或いは自治庁といつたような……、とにかくそういう事務当局、そこでやられることになるのですか。
  179. 松村清之

    政府委員(松村清之君) そういうことになると思います。
  180. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 もう一点。この地方自治と申しますか、今度の民主化のために地方自治を確立するという点とからみ合つて、地方税とか或いは平衡交付金制度ができたものだと思います。それの関係と今度中央集権的といつてはいけないかも知れませんけれども一つの自治庁においてそういう総額を握つてしまうというその考え方とは、私は少しずれやしないかという点を心配するのですが、これに対して長官はどんな御見解を持つておられますか。
  181. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) もう一度、御質問趣旨を把握しかねましたから。
  182. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 平衡交付金制度とか或いは地方税というものができてそうしてやるわけなんですが、そこにおいてはただ単に比率などは私は問題じやないと思うのです。それよりかも総額がやつぱり問題になつて来ると思うのです。片一方民主化の線に沿うところの地方自治の確立ということは大きな問題だと思うのです。それと並行して平衡交付金の総額を一つの所で握つてしまう、いわゆる何と申しますか握つてしまうというような点、中央集権的に私はそういうものが一応疑われるようなことになりはしないかと思うのです。そういう問題と地方自治の民主化というものとは、やはり矛盾がありはしないかと思つております。それに対しての御見解を承わりたい。
  183. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。中央集権化になつたような御疑念がわきますことは、自治庁に独立しておつたところの財政委員会というものを併合したということでございますが、併し自治の只今のあり方と申しますものは、御承知の通り都道府県、市町村というものが全く中央政府から独立しておるものでございます。それで今まででございましても財政委員会が総額を見積りますのはどういうことかと申しますれば、大体においてこれは法律できまつておる基準でございますが、その法律できまつておる基準によりまして地方公共団体から計数を取り寄せまして、その計数によつて大量観察をしてこれを総額にするのでございますから、私は今までのやり方とちつとも変りませんから、地方の自治を中央政府に取上げたということにはならないと、こう私は考えております。と申しますことは、中央でお前のほうの財政をこうせいとか、これだけ減らせとか、あれだけ殖やせという指導権は全くないのでありまして、客観情勢におきまして税法にきまつておるところの税を都道府県がとります。それから又いろいろな自治法或るいは各省から出ておりますところの国家委任事務というような事務を委任します法律によりまして、都道府県事務を持つておりますが、その事務をずつと集計しまして国の仕事をするためにはこれだけの金が要る、それから固有の事務をするのにはこれだけの金が要る、これもやはりちやんとそのものさしができておりましてそのものさし通りやりまして、そのものさしで今年度は都道府県はどのくらいな財政需要があるか、それから今度は税法によりましてとります、その税法よつて算出しました数字が幾らくらいになるか、そういたしますると、その財政需要額と、財政収入額がこれは客観的に出て来る数字でございますから、その数字を差引しまして、その足りない不足分というものを平衡交付金で渡す。こういうことになりますから、ただ問題はそういうような集計をすることが立場を変えただけのことでございますから、中央集権ということにならんと私は考えております。
  184. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 もう一点。この自治庁の権限の第二十二号の問題ですね、これは今まではこういう権限はなかつたわけですか、前の自治庁には。
  185. 松村清之

    政府委員(松村清之君) 前の自治庁にはございません。
  186. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうするとこういうような権限的なものは今まではどこにも全然なかつた、ただ地財委にあつたわけでありますか。
  187. 松村清之

    政府委員(松村清之君) そうでございます。
  188. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 この参与の問題につきましては質問出たでしようか、まだですか。
  189. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 大臣から少し説明があつただけです。
  190. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 第八条に「参与は、重要な庁務に関して、自治庁長官に対し意見を申し述べる。」そうして十人以内ということになつておるのですね。これも説明があればわかるのかも知れませんが、ちよつと私の頭に浮びましたのは、ここに審議会委員が五人、参与が十人以内、こういうことになつてどつちもおえらい方がおそろいになるわけなんです。もとよりこの地方財政審議会の分担の事項というものはずつと並べてあります。仕事の範囲は幾らか違うことがありましようけれども、重要なる問題については諮問もする、それから又参与の意見も述べるということになるわけであります。その数はむしろ参与のほうが多いのだ、倍になる、そうしますとどつちがウエイトが大きいかという問題があつたり、重複したり、一方のほうが浮いてしまうというようなことが起りはしないかという疑問が起りますが、その点はどういうふうに按配されますか。
  191. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。この参与は御承知の通り今度の自治庁では選挙の問題などの仕事をすることになつております。それから従来六人は地方公共団体から出しております。それからあと学識経験者が二人、選挙の関係の人が二人、こういうことになりますから、事務がたくさんございまして、それでは数が多いということになりまして、而もこれは自治庁の内部に入りまして自治庁の仕事に現職として六団体の人が加わり、あとの人は現職じやございませんが学識経験者が入る、これは自治庁の庁務をよく見てもらつていろいろ実施して行く、そういうことになつております。ですから参与と財政審議会性格が違いまして、財政審議会は地方財政の独立性というものを保護するために財政だけに対して重要な役割を果す。あとは広範なる仕事にすべてアドヴアイスをして行く、こういうことであります。
  192. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 それで先ほど申上げたように仕事の範囲は違いますけれども、財政審議会関係のことについても参与は意見を述べたりすることになるのじやありませんか。
  193. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 勿論庁の参与でございますから、御自由に御助言を頂くことになつておりますけれども、財政に関する限りは財政審議会の意見によりまして参与には別に指導権は与えないことになつております。と申しますことは、みた都道府県の仮に知事会議の会長といたしまするとこれは現職の知事がなつております。そういたしますと、現職の知事がなつておりまして全体の会議を代表して意見は言うかも知れませんけれども、どうしても外から見ますと、仮に東京都の知事が全国知事会の会長をしておりまして参与になつてつておりますが、そういう人の言うことはえてしてそういうことはございませんけれども、東京都のことばかり考えていはせんかという嫉視もございましようし、或いは又潜在的にそういう意見が出るかも知れませんけれども、そういう現職のかたが財政的にえこひいきになるようなことの起らないように財政審議会にはそういう人を入れない、現職でない人を推薦して財政審議会には入れる。併しそれかと申しても代表が財政審議会におりましてもこれは本当の行政とは離れておる人です、代表とは申しながら離れております。併し実際の実情を聞きますには現職の知事のほうがよろしうございますから、実際上のことはそういう方面から解決をする、こういうふうに二つに分けてやつております。
  194. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 御存じの通り例えば運輸省関係の、何ですか、鉄道の関係の運輸審議会ですかね、あれは非常に権威を認められておりまして、そうしてあそこの審議会で決議されたことはそのままに実際今日までの例を見ますと尊重されております。そういうふうなお取扱になれるならば私の言つたような心配はもう抜けるのです。併し審議会の意見がまだ尊重されるわけでありますけれども、参与の申し述べる範囲が広くなつたりしますと、参与のほうは、現職の知事、むしろこの委員の人よりも少くとも詳しいのだということになると、どつちのほうがいいか、運輸審議会のほうがいいのじやないか、度合にすればそういうふうなことになつて非常に権威のない審議会になつてしまいはしないか、こういうことが気ずかわれるわけであります。尊重の程度につきましてはさつき質問が出たそうですから私途中で打切りましたけれども、この点の心配はもう重ねてさつき御答弁になつたことを繰返して御答弁下さる必要はありませんが、やはり運輸審議会みたように強く尊重するお考えであるかどうか、イエス、ノーだけ言つて頂けば結構であります。
  195. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。運輸審議会はあれは議決機関でございますから、これはもう議決を尊重せざるを得ません。
  196. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 諮問機関ですよ、どなたからでも結構ですからよく御存じのかたから一つ
  197. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 十七条におきまして「地方財政審議会の議に付し、その意見を尊重しなければならない。」という性格規定がございますが、これは運輸審議会の書き方と全く同じでございます。で当然考え方といたしましては、只今仰せになりましたような運輸審議会の実際の運用の状況も私どもも十分拝聴したわけでありまして、さような考え方で運用をせらるべきものであるというふうに考えておるわけであります。
  198. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 まあ政府委員のおつしやいますことは総理大臣の御発言と同じに尊重しなければなりませんけれども、幸いに大臣もお出ででございますから念を押しますけれども、今の政府委員答弁通りやつぱり同じ御意見でございましようか。
  199. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 同意見でございまして、十分尊重して、私はこの点におきまして余り御意見の相違は出て来ないことになるだろうと思います。と申しますことは私どもといたしましては地方公共団体のことを思う一念でございまして精神は一致しております。そうしてその代り十分詳しく調べまして、正確でそうしてどこから突かれても間違いのない議論の上に立ちました結論を出し、そうして議にかけた後閣議に出したいと、こう思つております。
  200. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 実は「尊重しなければならない」という文句があるせいかも知れませんが、それは書いてないのがあります。同じ書いてあつてもその軽重の取扱があるのですね、事実。で、私たちの知つた範囲においては運輸審議会というものは大変尊重されているということを聞いております。又事実知つておりますのでそれを例に出しまして、又それと同じだという御答弁でしたからそれで了解します。それから先ほど御質問いたしました中に、いわゆるひいきの関係で何か弊害の生じたような実例はありませんでしたかということをお尋ねいたしましたが、御答弁ありませんでしたが、それはありませんか、片びいきな自分たちの都合のいい……。
  201. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 地方公共団体の全国的な連合組織から推薦されました五人の委員の中の三人の委員についてのお尋ねかと存じますが、これは先ほど大臣からもちよつとお話がございましたが、現職の団体長であります自治会長、市町村会長というような方でございますとやはり至公至平の考え方で事に当られましても、やはり例に御引用になることは自分の直接関係しておる地方団体のことというようなことが出て来るのは、これは人情として実際上止むを得ないことかと思うのであります。そこでさような連合の組織の長を直接に委員会の構成員にいたしませんで、さような者が推薦する者、いわば間接的な利益代表のような形になつておるわけでありまして、かような仕組を考えておりますことは、主張におきましては直接代表よりも弱いかも知れませんけれども、併し公正の度合といたしましては却つてこのほうが公正な運営ができろのではないか。実際の運用におきましても府県から推薦された者、或いは市から推薦された者、或いは町村から推薦された者というようなことをできるだけ殺して、やはり全体の地方自治財政のために図るというような実際の活動をせられておるように、私ども体験しておるのでございまして、さような同じ推薦の方式をとつておりまするので、地方財政審議会になりましてもこの点につきましては同様な結果が期待できると、そういうように考えておる次第であります。
  202. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 そうしますと私の心配しておるような心配は要らないというふうに承わつてよろしうございますね。
  203. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) さように御了承願います。
  204. 楠見義男

    ○楠見義男君 私は地方自治庁設置法案に関して総括的なことと、内容的に入つた逐条的なことと両方についてお伺いしたいと思うのでございますが、先ず最初に総括的な点でありますが、これは先般の地方行政委員会内閣委員会との連合委員会で、たしか吉川委員であつたかと思うのでありますが、提案理由を指して政府は日本の民主化の基盤は地方自治の拡充強化と公職選挙の普及徹底にあるということを述べておられる。ところが今回の機構改革において自治庁の設置せられることは、成るほどこの自治の拡充強化という点においては中央は漸次形を整備せられておるけれども、むしろ地方自治強化狙いは地方にあるのであつて、同じ努力をするならば地方の自治の強化、拡大に努力すべきでないか、中央にこういうことをするのは旧内務省の復活を企図するものではないかと、こういうような御意見の御発表があつたのでありますが、その御意見の当否はこれはいろいろ見る人によつて違うでありましようし別といたしまして、中央においてこういうふうに自治庁の改組といいますか、こういうことによつてその目的の一つを達しようという場合に同時に地方自治団体の拡充強化、ひいて地方自治の拡充強化に資すべき点については、今日のこの機構改革と合せてどういうふうなことをお考えになつているのか、この点を大臣からお伺いしたいと思います。
  205. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。地方の拡充強化をいたしますためにはいろいろ案を練つてつたのでございますが、併しながら御承知の通りに地方自治はまだ新制度ができましてから四、五年しかになりません。その間に自治法とか地方税法とか或いは平衡交付金法であるとかいろいろな雑多な地方自治に関する法律が時を異にしてばらばらに実は出ているわけでありまして、これを総合的に見まして、そうしてでこぼこを調整し、同時にもつと立派なしつかりした自治団体を作つて行きたい。殊に一番問題になりますのは財政の問題でございます。もうすでに十分御承知でもありましようが、この一、二年私が大臣になりましてからというものは地方財政の窮乏を訴えられまして非常に苦労しているわけであります。そういう点などこれはもう少し検討しまして立派なものに仕上げなければならないという必要に迫つているのでありますのでございますが、併し広汎な仕事でございますものですから、若し我々独自の見解でこの案を立てますると却つてうまく行くか行かんかわからん。こう考えまして今回提案をいたしております地方制度調査会というものをもう一つ作りまして、そうして今申上げましたような措置の確立のために、いろいろな法律で出ておりまするところのでこぼこの地方行政、財政というものを総括して一貫した完全なものにしたい。そういう研究を地方制度調査会でいたしたいと思つております。  それからもう一つは、只今参議院で御審議になつておりますところの地方自治法の一部改正案でございます。これは地方自治の拡充もいたしますし、又行政簡素化もいたしますし、国力に相応したような自治行政、と申しますのは、いくらかでも財政の助けにもなりましよう、事務簡素化、合理化ということもできましよう、と思いましてこの自治法の改正案をこの国会提案いたしているような次第であります。いずれにいたしましても地方における自治というものを完全な釣合のとれたものにして行きたい。他に財政を救う方法というものは、今回できまするところの地方制度調査会において抜本塞源的に研究させたい。こう考えております。
  206. 楠見義男

    ○楠見義男君 只今お述べになつたお話の中の、今回提案された地方自治法の改正案が、地方自治の拡充強化であるとか或いは官治統制の拡大強化であるとか疑問の点もありますし、これはまあ地方行政委員会でやつておりますが、その是非は避けますが、今お話の中の地方制度調査会というものは現在法律として出ているというお話ですが、それは内閣委員会にかかるのですか。
  207. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 地方制度調査会は衆議院を通りまして、そうして参議院の地方行政委員会にかかるわけでございまして、今日にも提案理由を出してくれというお話でございましたが、こちらのほうへ来ましたもので出ませんで、衆議院のほうは通つております。
  208. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  209. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて下さい。
  210. 楠見義男

    ○楠見義男君 それでは続いて内容の点で、字句の問題でありますから鈴木次長からお答えを頂きたいのですが、この法律の第四条なんですが、十三号で「内閣が国会に対して行う地方財政の状況に関する報告の原案を作成すること。」これは通常の場合はこういうことはないのですが、こういう規定がある場合には大体所管官庁にいろいろ権限争議のような場合があつて、こういう規定を入れている事例があるのですが、そうでなしにこれはもう当然地方自治庁の専管事項だと思うのですが、特にこういうありふれた条文が入つているのはどういう理由なんですか。  それが一つと、それから地方財政の状況ですから客観的に実状報告だと思うのですが、その原案が国会に提出された場合に修正されることが予想されるのかどうか、この二点をお伺いしたい。
  211. 松村清之

    政府委員(松村清之君) これは今回地方財政委員会廃止されるに伴いまして、従来地方財政委員会が地方財政の状況というようなものを一般に公開しておつたのでございますが、それを内閣が国会に対して報告するようにこれは自治庁設置法施行に伴う関係法律整理に関する法律案のほうに入つておりますが、地方財政法を改正しましてそういう条文を入れまして、その内閣がやりまする報告の原案を自治庁長官が作成する、その自治庁長官が作成するに当つて地方財政審議会の意見を尊重する、こういう趣旨にしたわけでございます。それで原案の作成でございまするので、内閣に出ました場合に原案でございまするから場合によつては修正されるということが考えられるような気もいたします。
  212. 楠見義男

    ○楠見義男君 ですから私の聞いておるのは、従来であるとこういう法律の原案作成官庁が地財委であるか、或いは地方自治庁であるかということについて疑義があるが、そういう点はここでどつかで明らかにするという必要があつたのだが、今度はそういう行政機関がなくなつたのだから、そうして又大蔵省か又はほかの官庁がこういう法律の原案を作成をするということは考えられない。そうするとその場合に、ここに入つておる理由がわからない。こういうあつてもなくても、むしろなくてもいいのじやないかということで、これはむしろ積極的にどうこうというのじやありませんが、それよりも重点は二番目の今あなたのお答えになつた法律の原案が変更されることがあるかもわからんという点が実は問題なんですが、その懸念がありましたからお伺いしたわけなんですが、地方財政の状況の客観的な実状報告を訂正するということは国会に虚偽の報告を出すようなことになるのだが、そういうことを考えるのはおかしいのじやないかと、こう思いますがどうですか。
  213. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) これはちよつと誤解があるようでございます。原案ということは……成案でないというのが原案でございます……でありますから訂正は無論できません、地方自治庁長官が認めましたこれは客観情勢でございますから。
  214. 楠見義男

    ○楠見義男君 次にお伺いしますが、この四条にやはりあちらこちらに援助とか助言とか、技術援助とか、技術的助言とかいうような言葉があるのですが、例えば十二号においては助言、それから十五号においては技術的助言、それから三十二号においては技術的援助及び助言とありますが、技術的援助及び助言の区別をお伺いしたい。
  215. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今御指摘になりました表現はそれぞれ地方税法でございますとか、地方公務員法でございますとか、皆実体法を受けて書いておるわけでございまして、ここで新しくかような権限をここに書き替えたものではないのであります。従つてそれぞれの法律内容の問題として御了承を頂きたいと思うのであります。
  216. 楠見義男

    ○楠見義男君 それでは次に……大体同じでしようね。
  217. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) そうです。
  218. 楠見義男

    ○楠見義男君 次の十六号の「町村職員恩給組合の模範規約例を定め」云々とありますが、こういうことも特に書く必要はないと思いますが、ここに書いたのは模範規約例というものが法律上、或いはその他のほうにおいて特別の効果を発生せしめるという意味でこういう事項が入つておるのかどうか。
  219. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これも現在地方公務員法に自治庁が模範規約例を定めて町村職員恩給組合にこれを示すと、こういう規定があるのでございます。ただそういうそれぞれの実体法にございました規定をこれは拾つたわけでございます。
  220. 楠見義男

    ○楠見義男君 次に二十二号の先ほどもちよつと質問が出ました「地方財政平衡交付金の総額を見積ること」この点でありますが、これは予算との関係ですね、どういうことになるでしようか。例えばここで地方財政平衡交付金の総額として仮に二千億なら二千億と見積ると、併し予算予算で別だと、こういう程度の見積ですか。
  221. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはこの地方財政平衡交付金法の六条に、平衡交付金の総額の算定の方法が書いてあるのでございます。これは都道府県、市町村から資料を取りまして、その資料を積み重ねまして平衡交付金の総額というものを見積るのでございますが、その見積られました平衡交付金の総額を基礎として毎年交付される平衡交付金の額、即ち予算に計上される額がきまるのであります。ですから地方団体から出て参りましたなまの資料によりまして基準財政収入額と基準財政支出額との差額、即ち歳入をこえる支出の額というものを出すわけであります。併しそれはなまの数字でございましてそれを基礎にして総額を見積るわけでございます。その見積つた意見を自治庁から内閣に出しまして、内閣がそれを最終的に予算に計上する額をきめるわけでございます。
  222. 楠見義男

    ○楠見義男君 ですからその見積の総額と予算とは無関係だと見ていいわけですね。
  223. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その通りでございます。無関係ではございませんがとにかくこの見積られた通りの額にはならないわけであります。法律上さようになつております。
  224. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 ちよつと今の言葉は要求額という意味じやありませんか。
  225. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは単なる各省のいろいろな予算についての要求額とやはり違いまして、地方団体から出して参りました資料に基いて一定の算定方式によつて算定をいたしますとさような数字になるのでございまして、その算出方法自体が法律なりによつてきまつているわけであります。
  226. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 もう一つはつきりさせるために。それはそうだけれども、地方財政平衡交付金というと予算面の金額と違うということを言わんと、ちよつとおかしいじやないかと思うのですが。
  227. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 地方財政平衡交付金の総額、即ち予算に計上されました総額が、如何なる形で算出されたかということから申上げますると、その予算に計上されました平衡交付金の総額というものが、現在は地方財政委員会によつて地方から出て参りました資料を基礎にして総額が見積られまして、事務的にはこれが大蔵省に行きましてそこでそれを最終的に内閣におきまして調整せられて、平衡交付金の予算に計上せられるべき総額がきまるわけでございますが、その平衡交付金の予算に計上すべき額を決定いたしまする場合にどのくらい総額がなるであろうかということを見積るわけであります。見積つた結果一つの額が出て参りますがこれは予算に計上される額ではないわけであります。
  228. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 もう一つはつきり。ですから予算上自治庁が地方財政平衡交付金として要求される金額の総額をここで見積られるという意味であつて、地方財政平衡交付金自体じやない、それは予算自体じやないんですね。まあこれは私はよろしうございます。ただ字をこうされると非常に予算面の金額を見積るという意味で以て変にとれるというだけの気持ですが、私は余り言つちやいけませんから、これでやめますが。
  229. 楠見義男

    ○楠見義男君 次に参与とそれから地方財政審議会との関係でありますが、先ほども竹下さんからもいろいろ御質疑がございましたが、これはその現在の地方財政委員会ですか、参与の前身といいますか、いわゆる地財委のほうは常勤である、ところが参与は非常勤である、こういう場合に今度の地方財政審議会と比べて参与を特別に区別した意味があつたのではないかと思うのでありますが、今回は両方とも非常勤である、地方財政審議会委員も非常勤であるということについては可否はのちほど又お伺いしたいと思いますが、その前に従来と違つて両方とも非常勤である。そこで例えば従来の地財委の場合には常勤であるから地方のこの団体の長も直接にはそれに参画できない。又その他の理由もあつてそれらの人々の共同推薦した人が委員になりそうしてそれが常勤になる、こういうことで或る程度の意味があつたと思うのでありますが、今度は両方とも非常勤であり、而もいずれも地方行政の運営の上から行けば一方は重要な庁務である、一方は財政に関してのこれ又中心的な仕事であるというようなことであるとすれば、一方では行政簡素化というので局課の統合があつたり、或いは委員会の統合をやつたり何かせられている際でもあるでありますからして、この枢要な諮問機関である参与会と地方財政審議会というものを一本にして代表参与会とか、或いは地方行政委員会とかそういうようなことにせられてもいいんじやないかと思うし、又それが行政機構改革における簡素化能率化ということを謳つておられることに相当するのではないか。こういうふうな疑問を持つのでありますが、その点について先ほども竹下さんに対するお答えがあつたようでありますけれども、今申上げた観点からする質疑に対して御答弁を煩したい。
  230. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今楠見委員の仰せになりましたことは、ひとしく非常勤の職員であるから地方財政審議会と参与というものを統一した一つ審議機関を考えたらどうかという点でございますが、この点も確かに行政簡素化という見地から参りますと一つの御意見だと存じまするが、ただ先般来いろいろ御議論がございましたように、地方財政に関しましては現在地方財政委員会という独立の行政委員会を設けまして、その財政確立のためにできるだけ努力せしめようという建前になつているわけでございまして、殊にこの平衡交付金或いは起債或いは税関係につきましては、地方自治庁といたしましても最も重要な部面であるわけでありまして、さような直接配分その他の問題に関しまして現職の地方公共団体の長が直接にその審議にタッチするということになりますると、全体の代表という立場において関係はいたすのでありますけれども、やはり直接その審議の部面に関係しております者と、そういう代表を出していない地方団体との間におきましては、どうもうまくない空気がかもされるようでございます。さような点から財政の問題についてはそういう直接利益関係の現職の代表者をむしろ排除いたしまして、やはり経済的な利益擁護の方法によつて至公至正な立場から事を決定するということがいいのではないか。まあ財政というものの性質がやはりさような形で処理されるのがいいのではないかというふうに考えたのであります。  最後の問題につきましては、やはりこの地方公共団体との直接の繋がりによつて日常の業務の処理について直接地方団体の連合組織の代表との間に血の通うような組織を持つことが必要じやないかということで、この点につきましてもやはりこれを存置することによりまして、先ほど御心配になりましたような例えば古い内務省というような形のようなものにならないように一つの保障をこれによつて与えるといつたような、やはり別途の理由があるように思うのであります。
  231. 楠見義男

    ○楠見義男君 その点は御説明で了承いたしました。そこでその参与の選びかたなんですが、これはただ内閣総理大臣が一方的にアツト・ランダムというと語弊がありますが、地方公共団体の長或いは都議会、地方議会の代表者というものを一方的に選ぶという恰好になるんでしようか。それとも何らかそこに地方公共団体側の意向が反映させられるような審議会のような場合に近いようなことが行われるんですか。その手続の問題はどうですか。
  232. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは全国的な連合組織の代表者並びに学識経験者の中から総理大臣が任命するというふうにいたしてございますが、これは知事会なり、市町会なり、町村長会なりの代表者、即ち会長の位置にありますものを参与に任命するようにいたしたいというように考えております。
  233. 楠見義男

    ○楠見義男君 次に地方財政審議会の点なんですが、先ほど問題になりました非常勤の問題ですが、先ほどの鈴木次長の御説明によりますと、現在は常時行政執行機関としての責任を持つている。而も今回の改正案ではそれは大臣が行うことになるということでありまするが、大臣が常時執行させる地方自治行政事務のその基礎を作るのはやはりこの地方財政審議会ではないかと思うのであります。それはここに列挙してある数多いこの諮問事項から見てもそうだと思うのでありますが、そういう観点からと、もう一つは先ほども御説明の中にもありましたが、例えば地方財政平衡交付金の配分にしても、これは常時それらの委員の方は地方財政の状況についてはよく御勉強になつておらなければなかなか最後的な決定はむずかしいと思うのでありますが、それ以外の事柄についても現在常勤制度にしているものはいろいろとこれは設けられた当初の事情は知りませんが想像するに、恐らく常勤とした理由は常時それらの委員の方々が地方財政のありかた、又実情というものについて目を光らせ又勉強しておつてその判断に基いて公正な判断をする普通の審議会のごとく事務当局がその場で提案されたものをその審議会で決定する、こういうような性質のものではないのではないかということからいたしまして、むしろこれは付議される事項それ自体が常時執行的な業務であるとすれば、この審議会委員も当然に常勤にせられるべきではないかというふうに思うのでありますが、その点についての御説明をお伺いしたい。
  234. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 先ほど申上げましたのは、委員会性格から審議会性格に変つたから常勤を非常勤と、こう申上げたわけでございます。審議会といたしましたけれどもこの地方財政審議会に付議いたします事項というものは、現在地方財政委員会所管しております事項の殆んどそのままでございます。かような意味から申しますれば事務分量は委員会に対しまする限りさほどに変らないわけであります。  ただそれから只今御指摘のような常時その任にあつて地方財政の状況をつまびらかにするというような見地からいたしますならばこれを常勤にするということも確かに一つ考えかたであると存じますが、この審議会性格からいたしまして結局これは自治庁の附属機関と申しますか、というような形になるわけでございまして、さような法制上の性格から申しまして、これは非常勤とすべきものであるというような結論に到達したわけでございます。
  235. 楠見義男

    ○楠見義男君 私はこれは行政管理庁のほうに伺つたほうがいいのかも知れませんが、いろいろなことをおきめになるときに、一つの約束事ですね、前提というものをおきめになつているのではないかと思うのです。例えば行政機関である委員会委員は常勤だと、併し諮問機関である委員会委員は非常勤でなければならんと、こういう一つの前提といいますか約束事を先ず頭にきめて、そうして一律的にやつておられるのではないかと思うのですが、そういうことにとらわれる必要はないと思いますが、何かそういうことにとらわれる必要があるのでしようか、どうでしようか。
  236. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 大体審議会の場合はいわゆる諮問機関でありますので非常勤の場合が多いのであります。ただ運輸審議会なんかはまあ特別職でございますけれども従つて常勤的な扱いにされておるような特例はあります。
  237. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうしますと、私の今申上げたああいつた約束事というものはないわけですね。
  238. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 別にはつきりしたそういう約束があるというわけではございません。
  239. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうしますと、この常勤、非常勤の問題はこれ以上は意見に亘りますから、私は常勤にしたほうがいいと思いますが、これは意見に亘りますから省略いたします。  次に十七条の問題でありますが、これも竹下さんから御質疑があり又はかの委員からも御質疑があつたのでありますが、私は実はこの条文を見てこういう気持を持つておるのですが、政府が諮問機関を附置した場合にその意見を尊重しないということを初めからきめておるような諮問委員会というものはないと思うのです。それをことさらに「その意見を尊重しなければならない」ということを書いておるゆえんのものは、恐らく一方では決議機関にすべきであるというような議論もあり、それにニユーアンスとしてできるだけ近いような気持でやつておられるのではないかというふうに感じておつたのでありますが、先ほど大臣の御答弁の中に、これは成瀬委員に対する御答弁であつたと思いますが、聴従という言葉をお使いになつたのであります。聴き従うという字だろうと思いますが、そういうことになつて来ますと、これは決議機関としても一向差支えないのではないかとこういうふうにわざとらしいといいますか、今申上げたような誠に奇異の念に打たれるような言葉使いをするよりは、むしろ「その意見に聴従しなければならない」というほうがはつきりするのではないかと、こういうふうに思うのですが、その点はどうでしようか。そういうふうに修正をして非常にお困りになりますことがありますかどうか。
  240. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) できますならば原案で一つ御承認を願いたいと思います。
  241. 楠見義男

    ○楠見義男君 政府としては原案をお出しになつたのですから原案が通ることを希望せられることは今お述べになつた通りでありますが、聴従ということにして非常にお困りになることがあるかどうか、それだけをお伺いすればいいのです。
  242. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 私さつき大臣答弁を傍で傍聴しておつたのでありますが、大臣は道徳的に聴従しなければならないという義務があるというふうに言われたように思うのでありますが、法律の上に聴従という言葉を書きますことは、聴従という言葉に非常に倫理的と申しますか特殊な意味が含まれるようでありまして、やや法律語といたしましてはさようなむしろ含蓄のない平の言葉のほうがいいように思うのでございます。
  243. 鈴木直人

    鈴木直人君 実は今までの地方財政委員会の例を見ますと、委員会の中においては市町村から推薦されたところの委員と、或いは県側から推薦された委員と、或いは町村から代表された委員というような、委員の間に相当利益代表的な発言のいわゆる議論が戦わされて来ているように聞いておるのですが、それで平衡交付金の配分の算定基礎なんかを作る場合に、前には非常に町村側に比較的やつてみたところがよい結果が出て来たと、そこでその次には、県側にやや有利なものになつて来たということで以て、その後非常に変更を来してだんだんよくなつ来ておるというような段階にあるようですが、従つて委員の中で非常に強い委員があつた場合にそれに引ずられるということがまあなきにしもあらずということが考えられるのですが、それを決議機関としてそのまま今まではやつて来たのですけれども、或る程度までそれを尊重して、市から見ても、町村から見ても、或いは県から見ても公平に考える中立的な立場にある長官がもう一度これを見直すという必要は、従来の経験から見てあるのですか、ないのですか、それをお聞きしたいのです。
  244. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今の御質問趣旨は、地方財政審議会審議の結果について余りにも強く一方の利益代表的な考えが支配をしまして、その結果審議の結果というものを若干でも調整するような必要を生じやしないかというような意味のお尋ねのように拝聴したのでありますが、御指摘のように府県と市町村との間に意見が対立することは確かにあるわけでございます。そういう意味から府県の代表或いは市町村の代表として推薦せられ委員になられたかたの間にやはり若干の意見の応酬ということはあるわけでありますけれども、併し同時に政府の任命する二人の委員がおるわけでありまして、いずれの側にいたしましても、二人の政府の任命したいわば中立的な公益的な立場に立つ委員の同調を得られなければ事柄が決定しないわけでございまして、そういう意味におきましては、やはり原則的に申しますると、審議会における意見はおおむね公平なところに落ち着くのではないか、その故に議に付してその意見を長官としては尊重すると、こういうことが言い得ると思うのでございます。
  245. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 先ほど私運輸審議会の問題につきましてお尋ねしましたけれども、運輸審議会と同じようになるというお答えだつたのですが、これは大臣は決議機関と思つていらしたくらい実際もう同じなんです。そうすると、先ほど聴従という言葉で楠見君からお話が出ましたけれども、決議機関にするということも一つの方法なんです、実質的に変りがないのですから。併し又細かく考えると、この地方財政審議会で扱つておられる仕事の中で、配分が一番問題になるのじやないか。これとほかの分を分けて配分に関する限りにおいては決議の力を持つている、ほかのほうは諮問にするということも一つ考え方だろうと思うのです。ところがまあ私はよくわかりませんのですが、一つの機関で諮問機関兼決議機関ということになるわけなんですね。その事例を知りませんが、大野木さんそんな事例がありますか。……もう一遍申しましよう、お聞きにならなかつたようですから。この地方財政審議会でいろいろな仕事を負担される。そのうちで交付金の配分の問題は今世間でも非常に注目している大事な問題である、この分だけを引抜いて決議の効力を持たせる、そのほかは諮問ということにして。ほかの言葉で言うならば一つの機関が諮問機関と決議機関と、つまり両頭になるというような前例がありますか。
  246. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) どうもちよつとそういう例はあまりないようでございますが、まあ議決的の、例えば同意を必要とするとか、議決によらなければならんとかいうようなことになつておりまして、両方というのはないと思います。
  247. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 いやそれがわかりませんので。先ほど運輸審議会と同じようにやるのだということを承わつて、まあと思いまして、又そのお話を繰返されましたので念のためにお伺いしているのです。  それから常勤、非常勤の問題ですが、実は私も楠見委員と同じような気持を持つてつたのですけれども今日はそれを言わなかつたのです。と申しまするのは、今は常勤ということになつておるのだが、この人たちの出勤が悪くて事実は非常動と変らないのだということであるならば、今度も非常動にしてもいいのじやないかというのですね。併し従来は本当に常勤しておられるのだ、それを非常勤にするということに変えるならば、これはこの仕事政府のほうで軽く御覧になる、従来よりも軽く扱おうとするお考えがそこに無論あるのじやないか、こういう疑問を持つておるのです。それで初めから嫌なことの質問で、出勤しておるのですかどうですかということを申上げたのですが、実はそういう狙いがあつて一応お話を聞いた上でこつちから申上げようと思つたのですが、そつちから出されましたもので私も質問したわけであります。これは併し又あとで続けて御返事をお願いいたします。
  248. 楠見義男

    ○楠見義男君 今の決議機関か諮問機関かの問題で竹下さんから、地方財政平衡交付金の配分については決定機関に、あとは諮問機関というような御意見がありましたが、私はこの列記された項目を見ると、異議申立の採決とかいろいろの決定機関的な事項が随分多いものだから、私は全体としてそういうことでは聴従でもいいのじやないかと思つたのですが、これは緑風会内で竹下さんと別の機会にやることにいたしましよう。  それから十五条の非常勤の問題は、これも竹下さんから提出の御要求になりました現在の委員の勤務状況のこの資料を見て改めて又伺うことにしたいと思いますが、ただこの際一つだけ大野木次長にお伺いしておきたいのは、非常動という言葉を使つていますね、これを常勤とする場合には、委員は常勤とするというようなことを書かずに、この項を落すだけで常勤になるかどうかそれが一つです。  それからその場合には一般職か特別職かという場合には、それが何かどつかの所へそういうことを入れなければそれが明らかにならんわけですね。これはどこへ入れればよいのか。これは別に今修正するつもりでも何でもありませんが、そのときの用意に伺つておきたいのですが。
  249. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 特別職の場合は、原則として両院の同意を要するということであれば当然これは特別職になるわけであります。それから只今の場合は特別職でございませんから、非常勤と書かなければ常勤ということになります。
  250. 楠見義男

    ○楠見義男君 いや私の伺つているのは、常勤と書かなければならんわけですね。
  251. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) いや非常勤と書かず常勤と……。
  252. 楠見義男

    ○楠見義男君 その場合に、一般職か特別職かということはどつかで現わさなければ……それはどうなりますか。それは特別職になりますか。
  253. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 何にも書いてなければ一般職であります。
  254. 楠見義男

    ○楠見義男君 そこで特別職としようと思つたならばどこへ書けばいいわけですか。
  255. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) この場合だつたら、任命につきまして両院の同意が条件になるということを書けば特別職になるわけです。
  256. 楠見義男

    ○楠見義男君 その場合に、両院の同意を要するという手続をしないのですよ。せずに、つまりここの十五条の二項の「内閣総理大臣が任命する」という言葉だけをそのまま残しておいて、特に今あなたが言われるような両院の同意を得るというような手続きをとらない場合はどうなんですか。
  257. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) それは特別職にはなりません。
  258. 楠見義男

    ○楠見義男君 一般職ですか。
  259. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) はあ、ただ一般職ではありますけれども、この委員の場合は人事院のほうの関係だと思いますが、普通の公務員よりか特別の扱いをされることはあります。例えば行政管理庁にある監察委員会は総理大臣の任命であつて、両院の同意を経ておりませんので特別職ではありません、一般職でありますけれども、併し普通の公務員とは違つた扱いをしております。
  260. 楠見義男

    ○楠見義男君 そこで具体的に伺いたいのは、私は国家公務員法の中で修正をして、これは中にこの委員は特別職だということを入れなければいけないのかどうかということなんです、端的に言えば。ほかの法律がどうか。
  261. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) これは「両院の同意を要する」ということを書けば公務員法で当然なります。それからそう書かなければやはり公務員法に一本入れなければならんと思います。
  262. 楠見義男

    ○楠見義男君 ああ公務員法の改正……わかりました。
  263. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 今のはそれでいいでしよう。それでなしに、どうも今のこの楠見委員質問は、国家公務員法に書かなくても、この法律の中において国家公務員法を改正をすればできるのじやないかという意味が含まれておるのじやないかと思うのですが、それはできるでしよう、この附則に入れさえすれは。
  264. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 附則でもつて国家公務員法を改正されればですね、それはできるのだろうと思います。
  265. 楠見義男

    ○楠見義男君 それでは最後に一点。中央選挙管理委員の点についてお伺いしたいのですが、これは非常に細かいことなんですが、この機構の簡素という説明を、これはほかの法案の際にも申上げたことなんですが、いろいろ変つた名称を用いられるので実は戸惑うわけなんですが、この中央選挙管理委員というものは会議体なんですね。会議体の場合に中央選挙管理委員という名称を使い、その会議体の構成分子である委員は又委員とこういうのです。行政機構簡素化とか何とかということを言つておられる際にどうしてこういうまぎらわしい名称を使われるのか、懸念に堪えないのですが、どうでしようか。
  266. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは現在の国家行政組織法の建前の関連から申しまして、委員会という形になりますると、独立の委員会、地方財政委員会というような形のものになるわけでございますが、これを自治庁に附置する機関といたしました関係で、自治庁自体が総理府の外局であるわけでございまして、外局の又外局というような考え方か困難でありまするので、中央選挙管理委員という表現でまあやや抽象的な表現でございますがその意味では御指摘のごとくやや明確でございませんけれども一つの新しい行き方でありますのでさようにいたしたわけでございます。
  267. 楠見義男

    ○楠見義男君 これは行政機関ですか諮問機関ですか。
  268. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 全国の選挙管理に関する限りにおきましては公職選挙法で定められた事項については、これは行政機関という性格を持つております。
  269. 楠見義男

    ○楠見義男君 この自治庁設置法施行に伴う関係法律整理に関する法律案、これの第五条の二なんですが、これがさつき申上げたように「中央選挙管理委員は、委員五人をもつて組織する。」それで一つの会議体で手足頭というものを構成分子にする場合はいいんだけれどもこういう僕は日本語は使われないほうがいいんじやないかと思  うのですが、これはまあ意見ですけれども、そこでこの委員は五人を以て組織して、その委員長は十二項で委員の中から互選する、そうして委員の半数以上の出席がなければ開かれないが、議決は出席委員の過半数で決する。そこで三人出席すればこの委員会は構成するわけなんです。そうしますと五条の二の三項で政党所属の問題なんですが、実は破防法にもこういう問題がありまして、この破防法のほうは公安審査委員会委員の数を増加いたしましたからその問題は自然消滅したわけでありますけれども、この場合においては三人でもつて委員が構成される、そうしてそのうち委員長が一人であと二人、ところが二人までは同一政党に所属してもいいということになりますを、問題は選挙とかいろいろなことに関連して参りますと、その観点からして又こういうふうに政党所属の制限規定が設けられたのだと思うのですが、如何にもおかしく感ずるのですがその点はどうです。
  270. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 現在の全国選挙管理委員会におきましては、これは国会における政党の実勢力によつて数をきめるようになつておるわけでございます。従つて国会の両院を通じての構成の結果に従つて委員の数が定まるようになつておりまして、全国選挙管理委員会自体に国会の多数に属する党派の者が現在の七人の委員のうちたしか三人おられると思うのであります。さようなものが今回二人減じまして五人の委員になるのでございまして、そこで五人の委員の過半数を制するということになりましてはこれは適当でないということで二人まではいいが三人から上になつてはいけない、こういうような第三項の規定を置いた次第でございます。
  271. 楠見義男

    ○楠見義男君 私はその御説明ではよくわからないのですが。というのは二項で国会議員以外のものから委員を選ぶことになつておる。国会議員の中から委員を選ぶとなれば国会における政党の勢力分野というものを反映することも意味があると思うのですが、そうじやなしにただ国会でやるのは指名をするだけの話で、委員自体は国会議員以外の者から而もできれば政党人でないものがこれは恐らく一番いいであろうと思う。併しそうも行かないから政党所属の人もよかろう、ただし三人以上は同一政党に所属しちやいかん、こういう制限であろうと思う。従つて国会の現実の政党の分野というものをこの委員会に反映するという趣旨ではないと思う。私はそう思うのですが、その点はどうですか。
  272. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 現在全国選挙管理委員会設置法におきましては、今申上げましたように国会の実務力を反映するという規定がございましてそういう形で選任されておるわけでございます。併しこの中央選挙管理委員に関しまする改正案におきましては、さような国会の実勢力を反映するという意味ではありませんで、この二人まではいいがそれ以上こえて過半数を制するというようなことになつてはいけないという、さようなむしろ配慮からかような一つの方式を規定いたしたわけでございまして、実勢力反映という必ずしも意味ではなく、仮に実勢力といたしましては三人の実勢が得られるようでありましてもそれを認めないとこういうような考え方であります。
  273. 楠見義男

    ○楠見義男君 そこでその五人の中の三人は過半数なんですが、私はその点を重要視するのじやなしに、むしろ実際の会の運営の点から三人の問題を、先ほども申上げたように三人そろえばこの会議が開かれて、そうしてそのうちの二人が同意すれば一つの案ができる。その運営の面から見てこの三人以上というのは多過ぎやせんか、むしろ二人以上にするということがこの立法の精神に副うものではないか、こういう疑問を持つたのでありますがこれ以上は申上げません。
  274. 楠瀬常猪

    ○楠瀬常猪君 簡単に二つのことをちよつと確める意味でお伺いしておきたいのです。  一つはこの地方自治庁と経済審議庁との関係であります。今日この地方の立場、市町村とか都府県の立場から見ますと、地方財政という見地から見まして何と申しましても地方財政平衡交付金と起債の問題、    〔委員長退席、理事中川幸平君委員長席に着く〕  大きな問題は、殊にこの地方財政平衡交付金の先ほどもお話ありましたが、配分の問題も重要な問題でありますが、それにも増してというと語弊がありますが何と申しましても切実な地方側の望みというものは、地方財政の状況から見ましてでき得る限り一つ平衡交付金を多く確保したいというところが一番切実な望みだろうと思うのです。それで勿論地方側としましてはいろいろ要望を出して参りますけれども、最終にきまりましたのはこういうふうに参りませんが、とにかく地方財政平衡交付金をきめますにつきましてもまあ地方財政委員会がいろいろ資料を積んで又見積りなされて勧告されたりし、又閣議で岡野国務大臣大いに御奮闘頂いておるわけでありますが、問題は地方財政平衡交付金の見積という点でなくて実際予算上において地方財政平衡交付金を具体的、現実的に確保するということが一つの大きな問題であります。この点につきまして岡野国務大臣も随分御奮闘になつておられるわけでありますが、事、予算の問題、財政の問題でありまするからこれは勢い大蔵大臣と岡野さんとが相対立していろいろおやりになるというわけであります。ところが一方がまあ財布の口を握つておるわけですから、幾ら基準がきまつておると申しながらその基準の条件の認定の仕方がいろいろ違うものですから、結果において地方財政平衡交付金も、岡野さんが御主張になつたり、地方財政委員会で勧告したような額には現実的に予算の上にきまつて来ない。これが全く一つの大きな悩みなんであります。そこで地方自治の趣旨からいえば、岡野さんは地方側のために大いに奮闘して下され所管国務大臣として大いに多としておるわけでありますが、実際においてはなかなかそれはむずかしい問題でありますので、何とかしてこの財政委員会考えておりますことが予算の上に実現いたしますように岡野さんが閣議で以て奮闘して、できる限りその要望が具体化するようにしなければならんということは、これは又地方側としましても非常に熱望しておるところなんです。    〔理事中川幸平君退席、委員長着席〕  そこで問題は今度地方財政審議会で見積等もきめます地方財政平衡交付金に関する意見は上申されたりするでありましようが、岡野国務大臣が閣議でいよいよがんばられるというときに、これは実際問題としてなかなかそう強く結局においてがんばれんじやないか。そこで私はやはりこういつた大きな基本的な問題については岡野さんが閣議でいろいろおやりにな前に、今回の経済審議庁で以て基本的な政策問題として国の財政と地方財政と両方勘案して、来年度の地方財政平衡交付金はこの程度を以てやるべしということをしつかりと一つ総合調整をして頂かなければ、大蔵省は出すまいとする、岡野さんのほうはできるだけ通そうとする、又地方のほうはもつと大きく要求するというわけでありますから、大事な総合調整というところもそこにあるのじやないかと思うのであります。それは基準がきまつておるといいながら、基準の見方から非常に違つておりますから、そういう関係から申しますと、閣議でいろいろ最後的にきまつて結局予算になりますときに、やはり経済審議庁でこのような大きな問題は是非お取扱になるものだと私は思うのです。総合調整をされるものですから、私はこのことを確める意味大臣にお聞きするわけでありますが、これはそうでもされんと如何に岡野さん有能であるとはいいながら、やはり諸般の財政の見地から見て大蔵大臣と渡り合われるというようなことについてもやはり経済審議庁の国務大臣と共にがんばらなければならんわけで、これは単に地方財政平衡交付金の問題ばかりでなしに、いろいろな各省の案について各省大臣は経済審議庁の国務大臣と大蔵大臣と渡り合わなければ私はやはり財政的にうまく行かないのじやないか。そこにまあ総合調整の大きな意味を持つわけでありますが、この地方財政平衡交付金の総額を具体的に予算の上に決定する場合に、いわゆる経済審議庁という面において総合調整をされるという必要があると思います。又同時にこの起債の枠についても同じであります。起債の枠についても私は経済審議庁で総合調整する必要があると思うのでありますが、私はこの点についても確める意味で御質問申上げるわけであります。それが一つであります。  もう一つは、この地方財政審議会が今度できるわけでありますが、これはなかなか配分といつたような問題につきましても重要な問題であります。又地方財政平衡交付金についても毎年内閣に上申するということになつておりまするが、仮にこれが決議機関といつたような意味を持つて参ります場合には、やはり最終的には予算の上において決定して行くわけであります。決議機関としたような場合には政府を拘束する基準がきまつてつても基準のとり方でいろいろ額が違つて参りますから、やはり決議機関ということは、政府が拘束されてそこで非常に大きな機関としての矛盾が実際上あとで現われて来やしないか。これは鉄道の線路をきめたりなんかする問題と違つて、私は一国の財政と地方財政との調整といつたような問題で、ここに私は大きな問題が出て来るのじやないかと思うのですが、地方財政審議会の機関の性質からいつて決議機関としたらいいかどうかということについてもう一度確かめておきたいと思います。この二点だけです。
  275. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お説は安本のようなものがありましてそうして国の施策というものを一応そこできめて、そしてそれに要る財政資金というものはそのきめたところの工合によつて初めから予算を分けて行く。こういうことにしたら平衡交付金をとるのに非常に都合がいいのじやないかというお説のように先ず第一点は承わりました。ところで私は安本の存在がいかんとは言いませんが、とにかく平衡交付金と申しますものは国家財政の如何にかかわらず建前といたしましては地方で要るだけのものはほしいということでございますから、税収を仮に七千三百億としまして、それを各省予算にはこれだけにし、地方財政平衡交付金にはこれだけにするという初めから割当てられてしまうと、今度地方で入用がそれ以上に弾き出されると全くどうにも行かんということになる。これは私ども考え方としては、これは十三対一とか十四対一になりますけれども、併し地方財政というものは国家の財政と相匹敵すべき性質を持つておるものであります。同時にそれが現実的には地方税によつて部分が賄わるべき原則になつておるのでございますが、それは時によると足りない、又当然足りない、又いつもやらなければならん、こういうことになりまして、必ず必要の金は地方財政に或る程度のものがきまつておるわけでございます。でございますから私自身といたしましては、国家財政の都合によつて地方の財政にはこれだけしか割当てられんでは地方の財政は持つて行きませんから、その意味におきまして十分検討しまして、できるだけそれに近い数字に国家財政をひきずつて行くということにしなければ私はいかんものだと、こう考えております。御意見と相違があるかとも思いますけれども初めから割当ててそうしてやつて行くということは、趣旨は我々地方公共団体を擁護して行く意味からは首肯しかねるわけであります。  それからその次は、私はこの点につきまして決議機関ということにいたしますと自治庁長官が十分なる責任が持てないと思います。と同時に、私自身の諮問機関としましてそうして自身の所に附置しておるのでございますから、而もその従事しておりますところの研究題目は皆自分の部下がやつておるわけでございますから、意見の相違が出て来ないでうまく調整ができて行くということでございますから、尊重すると書いてございますが、これは当然尊重してその委員会と意見が一致することになるだろうという実際上の運営を狙つておるわけでございます。これはいくらどうこう申しましても結局出て来る数字は生の数字が基礎をなすことになります。その生の数字を如何にこれを判断して決定するかということは、委員会長官とが協同して検討すべき問題だと思いまして、私は議決機関にして、つい変な数字で決定してしまつてこれでなければいけないぞということを自治庁長官に強制されるということになりますと、事実としては私は明確を欠くのではないかと、こう考えております。
  276. 楠瀬常猪

    ○楠瀬常猪君 私は議論をするわけではありませんので一応確めておく意味で御質問申上げておるのでありますが、私の第一点の質問は、つまり地方財政平衡交付金に関しては今回設けられんとしている経済審議庁において総合調整をせらるることがあるかどうか、又必要なことではないか、又総合調整をすべき非常に大きな項目であるのじやないか。そのおつもりでおられるかどうかを先ず確かめたのです。それは行政管理長官からでもようございますが。
  277. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 途中からですから或いは間違つた答えをするかも知れませんが、只今申されましたような総合調整の仕事をするのが自治庁の仕事です。今度の行政機構改革におきまして、例えば経済審議庁とか自治庁とか行政管理庁、法制局いろいろできましたが、いずれもそれぞれのつかさどる事柄につきまして総合調整機能を持つことになると思います。
  278. 楠瀬常猪

    ○楠瀬常猪君 今の御答弁ですと、地方財政平衡交付金のつまり根本の方針等の総合調整についても経済審議庁で扱うというふうに私は受取つたのですが、そういうふうにしていいのですか。
  279. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 私は経済審議庁で取扱うよりもそれはむしろ自治庁でやるべきだ、自治庁がそういうために設けられておる、こういうふうに答えたのです。
  280. 楠瀬常猪

    ○楠瀬常猪君 勿論権限としては地方財政平衡交付金は自治庁のものでありますが、これを終局において閣議において決定をして予算の上に具体化されるわけでありますが、そのときにこれは一国の財政政策、それから地方の財政といつたようなものの調整、それから平衡交付金の基礎になるいろいろ条件があります。それの認定の仕方がいろいろ違うわけでしよう。違うから地方財政平衡交付金の額が違つて来るわけです。地方もそれから国もみんな見るところが同じであり、条件が同じであれば問題は起らんわけですが、地方がいろいろ条件を法規に従つて揃えて出しても、その条件の認定が違うものですから、結局において地方財政平衡交付金の最後の決定というものが国と自治庁との間でも、大蔵省と自治庁との間でも違いましようし、地方と国との間でも違うわけです。ですからそういうところの調整をおやりになるのは閣議においておやりになるだろうと思うのです、予算がきまるときに。併しその前にやはりこの大きな問題として経済審議庁をお設けになつておるのならそこでお扱いになつて、むしろ私は地方のために地方自治庁が経済審議庁あたりを利用する、というとおかしいのでありますが経済審議庁を煩わして共に大蔵省あたりと闘うというと語弊がありますが、大いに要求するために一つそこで経済審議庁あたりで総合調整をやつてもらう、又やつてもらうのが当然じやないかというふうに私は思うのです。
  281. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 私はそういう任務を負わせるのは経済審議庁は適当ではないと思います。これはあくまで自治庁が中心になる、そうして又一体地方財政の中で何が一番大きな負担になるかというと教育費なんです。文部省の教育費というものが地方財政の最大のものであることはおわかりでしよう。その次には災害土木費とかいうようなものになるところもある。こういうわけで教育費が全般的に申しまして一番大きな負担になる。それから今の災害土木費が特に大きくひつかかつて来る。そういうことで地方財政は一番苦しむわけで、或いは給与ベースというようなものから詰る。内閣にもその所管の役所がありますから、そういう所で相当強く発言し、或いは我々例えば私なら私が災害土木の問題について一番強く発言する、一番よく知つておるのですから。教育費の問題ならば文部省がやはり一番よく知つておるからそういう所から強く発言する、そうして最後的には閣議で最終決定する、こういうふうに思つております。
  282. 楠瀬常猪

    ○楠瀬常猪君 私は議論はやめますが、結局運用においてはやはりこの地方財政平衡交付金の問題は地方自治庁が主になつておやりになるけれども、やはり経済審議庁あたりが大いにつつかえ棒をかつて一つ大いに地方のためにやつて頂かなくちやならん事態になるのじやないか、こういうふうに実際上思うのであります。そのことを私は予見をいたしまして質問を打切ります。
  283. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 明日日銀総裁の一万田君、帝銀の社長の佐藤君、それから経済安定本部顧問の向井君、三人が特に参考人として内閣委員会に出席して意見を陳述するということになりました。これはこの委員会で正式に決定しようと思いますけれども、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  284. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。さように決します。  そこで特にこの参考人の側から希望がありまして、非常に忙がしいのであるから十時定刻に出るから必ず来てくれという希望がありまして、これは特によろしくお願いいたします。それから今日は九時頃まで委員会を続行したいと思います。一つどうぞ……。    〔「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり〕 大分いろいろな事情が切迫して来ておりますから。  もう一つそれで申上げますが、今日常任委員長懇談会がありまして、各常任委員長と共に私は出席をいたしました。そうしてここの委員会審議の状況を報告いたしまして、それでどういうふうにきまるか知れませんが、会期延長という問題ならばとにかく相当の期間を延長をしてもらわないと審議が未了になる虞れがある。少くとも十日間は必要だということを申しておきました。これは議院運営委員会で決定する事項であります。私は内閣委員会のこの審議の状況と見比べまして少くともそれは必要だ、こういうことを申しました。そうしてなぜ十日と言つたかと申しますと、実は少し無理なんですが、この付託されておる法律案は皆七月一日から施行すると、こう書いてあるのですが、実は六月三十日にやつた政府は困るだろうと思いますが、併し少くとも私としては六月一杯までは、十日間は是非欲しい、こういうことを言つておきましたからこれらは諸君に御了承を願いたいのであります。  そうして然らばどういうふうに運営するかと申しますれば、実は昨日ですか大体懇談会で以て御了解を得ましたように、できるならば土曜日一杯かかつてもこの質疑は終了したい。併しそれでやれなければ日曜にみつしりやりましようということまで申上げておいたのです。大体そういう考えに基いてどうかということを申入れたのであります。それでもう一つ、そういうことを言いました理由は、私にはわかりませんが、委員諸君から多数の案、相当な分量の修正もあるかも知れん、そういう場合を考えますると、修正を何といいますか遺漏なく間違いなく各案について十分周密に検討してかかる必要があるのと、それからもう一つは衆議院と両院協議会を開かなければならんことも考え得られますから、さような発言をいたしたのでありますから、このことを御了承願つておきたいと思います。それでどうしますか、今休憩しますか。速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  285. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて下さい。
  286. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 先ほどの問題ですが、中央管理委員の問題ですが、これを最後に固めたほうがいいと思うのですが、これはあなたがたのお気持であつて委員といつて委員会といつてもこれは外局外局であることは間違いないことです。まあ私でも、よく但書の但書は作らんものとか、外局外局は作らんものというのがお役所では通つておるのですけれども、併し戦争中でもこの外局外局ができた例はいくらもあるのです。  それと、これはどうせこうお作りになるのなら、委員会とされたほうがいいのじやないかと思うのですが、この問題を早う解決するために。
  287. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) この委員性格でございますが、これは性格におきましては先ほど御説明になつたように外局的のものではございますけれども、形の上ではやはり八条の機関でございます。従つて委員会ではございませんので委員会という名前をつけますことはちよつと困りますので、こういう委員という名を使つておるわけでございます。
  288. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 ちよつと速記をとめてもらいましようか。そういうことでお考えになるなら一時間でも二時間でも言わんならん。そんなことなら。
  289. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  290. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて下さい。  それでは自治庁設置法案及び自治庁設置法施行に伴う関係法律整理に関する法律案の質疑はこの程度にとどめておきます。大体終了したものと認めます。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  291. 河井彌八

    委員長河井彌八君) では七時まで休憩いたします。    午後五時三十六分休憩    —————・—————    午後七時三十二分開会
  292. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣委員会を休憩前に引続きまして開会いたします。  保安庁法案及び海上公安局法案を議題といたします。
  293. 松原一彦

    ○松原一彦君 大橋国務大臣に今日は一つ余り長く時間を取りませんから、納得の行くように懇談的に一つお答えを頂きたいのであります。昨日三好委員が米国から軍艦を借りること等につきましての質問をいたしましたときに、そういうことはこちらはまだ何も聞いていないといつたようなお話があつたのでありますが、十八日の夕刊の朝日を読みますと、米国下院の軍事委員会は、十七日に日本にフリゲート艦十八隻、小型上陸用舟艇五十隻を貸与する法律を可決した。そうしてこれを上院に送つたとあるのであります。このことに対しましてエンライト海軍大佐は海軍を代表して証言をしたとありますが、その証言の内容というものを念のために申上げますと、日本は東京附近の海軍基地に現在ある米国のフリゲート艦十隻の貸与方を要請して来たが、米海軍は、日本がより多くの艦艇を必要とする場合を考慮して八隻を余分に貸与することにした。まあこういうような記事がありますが、これに関しまして果してあなたのほうでは要請したというようなことがないというようなお考えでしようか、その事実を伺いたいのであります。
  294. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 日本政府といたしましては、海上警備隊の所要船舶といたしましてフリゲート艦十隻、それから小型船舶五十隻、計六十隻を警備隊の所要の船舶として貸与方を極東海軍に申入れてあるのは事実でございます。
  295. 三好始

    ○三好始君 昨日の私の質疑に対して大橋国務大臣はそういう事実を知らないというような内容の御答弁をされたと思いますが、それと只今の御答弁との間には食違いがあると思いますので、その釈明を求めたいと思います。
  296. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 昨日は三好委員の御質問でございましたと存じますが、米国下院における委員会法律案の問題について御質問がございましたが、私どもはさような法案がワシントンにおいて提案され研究されておるという事実については何ら情報を得ておりませんので、その点については存じておらんということを申したわけでございます。その内容となつておりまする船舶の借受の問題につきましては、かねてから申上げておりまする通り、極東海軍との間にフリゲート型十隻その他の小型船舶五十隻、計六十隻の問題が相談として進行しておるということはしばしば申上げておることでございまして、或いは矛盾のようにお取りになつたかも知れませんが、私の申上げたのは、船舶の借受の交渉を否認したのではないのでございまして、今の御質問になりました法案内容について全然承知いたしておらないということを申上げたつもりであるわけでございます。
  297. 松原一彦

    ○松原一彦君 この中にある米国の海軍大佐エンライト氏の証言に、日本が将来より多くの艦艇を必要とする場合を考慮して八隻余分に、貸与することとしたと、こうありますが、これは先方の独断でしようか。こういう了解をお与えになつておるのでしようか、一方的の意思で言つておるものか、日本も了解してのことでしようが、このことを一つ納得の行くようにお話を願います。
  298. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 私どもの話合いをいたしておりまする船舶の数は、只今六十隻以上には出ておりません。その後の問題につきましては、アメリカ側が独自の判断に基いて処置せられたものと考えられる次第でございます。
  299. 松原一彦

    ○松原一彦君 今朝の読売新聞を見ますというと、そのために日本のほうでは警備隊員を二千人増加しなければならんことになつたと、フリゲート艦一隻に対しては乗組員百八十六人、上陸用舟艇については六十三人、従つて八隻の増加によつて警備隊員の約二千人を増さねばならんといつたような記事がありますが、これは事実どうなんでしようか。
  300. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) フリゲート型一隻につきまして百八十数名、それから小型艇一隻で六十三名という計算は、私ども大体見込にして六千人の増員を要求いたしました基礎に適合いたしております。併しながら先ほど来申上げましたるごとく、フリゲート型については十隻以上のことは現在日本側としては考慮いたしておりませんので、従いまして直ちに法案において八隻余分に貸せられるような規定がありましようとも、それについて直ちに増員の計画をするというようなことの段階にはなつておりません。恐らくは新聞社の諸君におかれまして、この基礎数字から弾かれまして、十八隻を常備するということになれば、当然それだけの増員が必要であろうということを計算されて、記事とされたんだろうと存じます。我々のほうの側においては、計画としては全然ございませんし、又準備としてもございません。
  301. 松原一彦

    ○松原一彦君 昨日首相が声を励まして、独立後における自衛は日本の国の、独立国としての性格からいつても自主的にこれを行うのであつて、如何なる国からも余計なお世話を受けないといつたようなお答えがあつたのでありますが、併しかように日本が要請したという艦艇以上のものを先方から、まあ御好意かも存じませんが、押付けられると、非常な向うでは好意であろうと思うのでありますけれどもが、受ける側かち見ては或いは迷惑かとも思うのであります。貧乏な日本で今再軍備はできないと、首相もたびたび言つておいでなさる。その手前から言つてもこういうふうな八隻が余分に来る、そこで新聞は直ちに警備隊員二千人を増加する補正予算を要求すると、こういうふうに書立てるところを見まするというと、日本でも受けられるような意思があるかのように私は推定しますが、只今の大橋さんのお答えでは、そういうような用意もなければ必要もないということでありますならば、この八隻はお断わりになるのでしようか、どうでしようか。
  302. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 十隻の貸与については相談が進んでおりまするが、それ以上のことについてはまだ何の申出も受けておりませんし、只今のところこちらとして申出をするという考えもいたしておりません。従いまして断わるということもまだその時期でないと思います。
  303. 松原一彦

    ○松原一彦君 こういうふうに日本の自衛計画というものが自主的でなく、アメリカの一方的な意思で押付けられるような印象が我々に強く起つて来ておる。これは日本国民誰でも読んだ者はそう思うのですね。そこに我々の如何にも腑に落ちないものがある。如何に先方は好意であろうとも、何か一方的にきめて、そうしてそれをば押付けて来るというような様子がだんだんとこういう面に現われて来ますときに、私はどうも腑に落ちないものを感じますので、本当に日本の計画によつての要求であるならば、これは余分に寄越すなどというような大外れたことを一つ言わないようにと私は思うのです。これは大変大きな誤解を生ずると思う。如何にも属国扱いをせられておる。これだけやるから然るべく動かせといつたようなことでは、独立国の体面から申しましても、我々頗る腑に落ちないのでありますが、この点はどうお考えになりましようか。
  304. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) アメリカにおきまして日本の自衛力の急速なる漸増ということについて或る程度の期待を持つておるということにつきましては、すでに安全保障条約の条章等から見て十分に察し得るところでございます。従いましてさような意図があるだろうということを見受けられるような話もいろいろあるわけでございまするが、日本側といたしましては、常に日本の国内の治安並びに日本の財政という見地から自主的なる判断の下に如何なる時期において如何なる増強を行うかどいうことを決定いたしておるわけでございます。従いまして今年度における警察予備隊の増員につきましても十一万以上の増員はいたさないということはしばしば総理からも申上げた通りであります。この点はひとり陸上部隊のみでなく、海上における部隊につきましても同様の方針、同様のやり方で進むべきものと心得ておるわけでございます。ところで問題の十八隻と十隻の食違いでございますが、これは今なおアメリカの国内的手続の段階でございまして、私どもといたしましては、その法案提案しようという意図の下に十八隻を使用して増強を図るようにというような申出は、現在まで全然受けておらんわけでございます。又如何なる時期においてそういう申出があるかということについても、我々としては未だあずかり知らないところでございまするので、この際この問題につきまして政府といたしましては、何らアメリカ側の我が国に対する意思表示がない時期におきましてこれについて見解を述べるということはその時機でないと、かように存ずる次第でございます。
  305. 松原一彦

    ○松原一彦君 私どもがくどいように政府にお尋ねしておる点はですね。私はもう実はわかつておる気なんです、と申すのは、吉田首相が共同防衛協定やその他行政協定等においてかねてアメリカと日本の間には話がついて、自衛、防衛力の漸増ということをばもう約束をしておいでになるのですから、せなければ国際信義に背くのであります。するのが当然であります。併し日本の憲法の下においてはできないのであります。そこに大変大きな矛盾がある、それを申しておるのであります。これが多いか少いかという問題ではなくして、かねて首相がもう再三再四言われる通りに再軍備はせぬと、できぬと、国民がまだ戦争に対するところの反感が強くして、今は言われぬと立派なお答えがありながら、その実は刻々に進んでおり、且つアメリカとのかねての約束でありますために、先方では当然日本がその公約を果すために国防力を漸増するものと認めて、好意を以て先方からは融通のつく限りを日本に貸与すると、こういうふうに言つて来ておるのであろうと私は想像するが、国防力の漸増というこの約束に対しまして、先般来陸上部隊も海上部隊も増員はせんと言い切つておいでになりますが、本当にせないで済むでしようか。せなくちやならんのじやないでしようか。如何がなんでしようか。その点を一つ納得の行くようにお話を願いたい。よそ行きの話でなくして国民の納得の行くようにお話の頂けることを希望するのです。
  306. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 現在の段階におきましては、すでに昭和二十七年度予算において申上げた以上の漸増計画というものは全然ございません。この点は昨日当委員会におきまして総理大臣からもはつきり申上げたごとくでございます。併しながらこれには一つの条件があるわけでございまして、治安の必要が差迫つた場合、又は財政がこれを許す場合においては、将来必要に応じて増強の計画を立てる時期もないとは言えないと思うわけであります。併し現在においては、政府は今年度内においてこれ以上の増員をやるつもりはございません。
  307. 松原一彦

    ○松原一彦君 そうなりますと、アメリカとの間に日本が協定した国防力の漸増ということに対して日本は非常に不忠実になる。漸増しなければならないところの両国間の協約があるにかかわらず、できないというて済むかどうかですね。今のお話の中にも、本年度内においてはすでに予算がきまつておるから補正予算は出さないと、こういうことでありますから、一応了解しますが、併し今八艘をここに送つて来て見るというと、これを突返すのかどうか。新聞でも二千人の増員を必要であると記しておるのであります。でどうしても防衛力を増強しなければならないということであるならば、道を踏んで、国民の納得の上に防衛力を増強するということが私は政治の正道だと思う。  この点につきましては、まあこれから以上お尋ねしましてもお答えは同じだろうと思いますから、次に進みますが、その米国から今武器を借りておる。更にこれはもう当然戦争の兵力となるべき軍艦まで借りると、この武器、軍艦等を貸してくれる一体貸手は誰になるのでしようか。又借手は誰なんでしようか。その貸し借りの間に如何なる契約がどう結ばれておるのでしようか。この点現在の予備隊の借りておる武器、それからその貸手、その借手、誰が借りたのか、それからその契約はどういう契約であつて、公式のものか私的なものか、こういう点につきまして一応伺いたい。
  308. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 警察予備隊の武器につきましては、しばしば申上げておりまする通り、貸借は米国国内法によりまして、武器の管理をいたしておりまする顧問将校から、直接武器をあずかる部隊の隊員が借受けろという形でやつておるわけでございます。このやり方につきましては、双方ともこのやり方が適当でないという考えを持つておるのでございまして、このやり方を変えるようにいたしたい。変えた場合におきましては、占領軍に代つた現在の駐留軍から借受けることになりまするが、その場合には、駐留軍の武器保管の関係機関から警察予備隊の中央機関が一括して引渡しを受けまして、その責任においてこれを管理し、隊員に使用させる、こういうことにいたしたいと存じまして、只今話合いを進めておるところでございます。
  309. 松原一彦

    ○松原一彦君 まあ日本では闇取引ということは極力行なつてはならないのでありますが、この大きな武器といつたようなものが、如何にも今までは闇取引のような形、これは当然米国の所有するものであつて、米国政府が持つておるものと私は思う。それを出先の武官が個人の名を以て一体貸し借りができるのでしようか。どうなんでしよう。
  310. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 米国の国内法につきましては、私はよく研究いたしておりません。
  311. 松原一彦

    ○松原一彦君 よそ行きのことで一つお答え下さらないで、私はできないわけがあると思うのです。昨日三好さんも触れましたけれども、ヴアンデンバークの決議によりましても、警察隊に武器を貸すということはアメリカでは許されない。自衛の装備を持つておる相手方にのみ相互の相互援助の基礎を固めるという条件がつかなければこれは貸されないことになつておるのは、大橋さんとつくに御承知の通りであります。そこで今まではまあそういうふうにして、武器が誰かの個人の名を以て闇取引的に貸与せられておるとしましても、今後この大きな軍艦が何十隻と貸されるということになりますというと、これはまあ闇取引もできまいと思う。個人のものじやないのでありますから、誰かが借りておつて、それを又貸しにするという性質のものでもなかろうと思うのでありますが、今後この軍艦を借りるといつたような場合における貸手が誰で、借手が誰であつて、そうしてどういうふうな契約によつて、これは損害の補償もせなければなりますまいが、一体どういうふうにお取引をなさるつもりであるか、一つ聞かして頂きたい。
  312. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 船舶につきましては現在まだ引渡しを受ける段階に至つておりません。これに対しまする日本政府の態度といたしましては、政府から米国に対しまして正式に貸与を申入れたわけでございます。而してこれに対しましてアメリカとしては、国内法上適法に日本側に貸与すべき法的根拠を必要とするものとみえまして、それについて目下研究をいたしておるということがワシントンから情報として伝えられておつたわけでございます。そこにたまたま今回新聞電報によりますると、関係法案国会において取上げられつつあるということを聞きましたので、恐らくこの法案が成立いたしました後に、米国としては正式に態度を決定して、日本側に手続等について打合せのあるものと考えられまするので、日本側といたしましては、その際の米国の申出に対しまして当方の扱いをきめて、そして正式にこれを貸与を受けるということにいたしたいと存じております。
  313. 松原一彦

    ○松原一彦君 如何にもそうなくてはならん、両国間の大きなこれは取引でありますから、そういうふうになくてはならんと思うのでありますが、それにしましてもアメリカのほうで日本に軍艦を貸すといつたような場合には、日本が受入態勢を持たなくちやならん。ただ何でもなく猫の子をば貸すといつたようなものではなくして、こういうふうな大きな戦力を貸すのでありますから、それにつきましては、日本が自衛のための戦力を持たなければならんと思うのです。これは当然の帰結であります。日本は、相互に自衛の戦力を持つという条件がなくては、アメリカから軍艦が来るはずはないのであります。その点につきまして私は、今審議しつつある保安庁法案による保安隊、警備隊は、たとえその形が小さくあろうとも戦力であるものと先般来たびたび私が申上げておる、こういうことをば戦力と申すというのでありますが、これでもなお大橋長官や吉田首相は戦力でないとおつしやるんでしようか。この点納得の行く言葉で教えて頂きたいのです。
  314. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 只今御質問のうちで、米国として艦艇を日本に貸す以上は、日本側が受入態勢として戦力を持つことが条件であると、こういうふうにお述べになつたのでございまするが、日本側といたしましては、憲法に従いまして戦力を持つという考えは全然ないわけでございますから、日本側が戦力を持つことが条件になつてこの貸与の申入れがありました場合には、日本側といたしましてはこれを受取るということは不可能になるわけでございます。我々は飽くまでもこれらの船舶は、戦力にあらざる日本の海上警備隊の機能のために使用し得るということが前提となつて貸与されるものと了解をいたしておる次第でございます。
  315. 松原一彦

    ○松原一彦君 私はそういう一体論理はないと思うのです。自衛の戦力が双方にあつて、たとえそれは提燈と釣鐘ほどの差があろうとも、その自衛の戦力のある二つの国が協約をして、そうして一方の多く持つておるほうが少く持つておるほうに貸してやると、何を貸してやつたかといえば、戦力を貸してやつた。戦力でない軍艦などというものはあるはずはありません。軍艦が一体戦力でないとあなたはお認めになるのでしようか、どうでしようか。軍艦が戦力ではないんでしようか。
  316. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 海上警備隊といたしましては、フリゲート型船舶並びに小型船舶、これは軍艦として受取るつもりはないのでございまして、海上警備隊の所要船舶として受取りたいと思つております。
  317. 松原一彦

    ○松原一彦君 それは軍艦ではあるけれども、軍艦でないとして受取るといつたようなことは、どうしてもまあ常識では考えられないのであります。この今度受取るところの一千五百トンのフリゲート艦は五千五百馬力あつて、速力は十八ノット、武器は三インチ五〇口径砲三門、四十ミリ機関銃二門を備えておる。三インチ五〇の口径砲三門も備えておる。これが軍艦でないと言うても、私は小型軍艦であると思うのですが、これは軍艦でないという何か定義があるものでしようか。
  318. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 私どもは小型の警察船であると考えております。小型の軍艦とは考えておりません。
  319. 松原一彦

    ○松原一彦君 それはアメリカでもそう言つておるのでしようか。海軍が一体そういう警察の警邏隊のようなものをば持つておるのでしようか。向うでは明らかにフリゲート艦とあつて、軍艦とは書いてありませんけれども、これは海軍の所管であります。間違いなく海軍の所管従つてエンライト海軍大佐が海軍を代表して証言しておる。海軍の軍力を割いて日本に貸そうというのですから、これは戦力でないと言うに至つてはですね、誠に子供をだましてもだまされまいと思う。第一子供を連れて行つて見せたらよろしい。横須賀に連れて行つて、おい、あすこにあるのは何だと言つたら、皆軍艦だと言う。大人ならだまされるかも知れませんけれども、子供はだまされません。私は、黒白烏鷺の変ということを昔から言いますけれども、それは鷺を烏と言いくるめても鷺は鷺であります。これは軍艦だと思う。三インチ半の口径砲をば三門備え、なおそのほかに四十ミリ機銃を備えておるものが軍艦でないと言うのは、これはおかしいのでありますが、私はこの点において今度借受けるものは、米国海軍の持つておる軍艦だと信じて、話を先を伺います。  さて……、委員長続けて行きます。この今度貸してくれます軍艦は、改装しなければならんとあるのでありますが、どういうふうに改装するのか、砲でも下すのかどうか知りませんけれども、改装費がフリゲート艦で三百五十万ドル要るとある、上陸用舟艇で一千五百万ドルを要する、これを私は換算して見ましたが、日本の貨幣にするというと六千六百六十億円にあたります、六千六百六十億円といえば、およそ日本の一年間の国の総経費の八割に当るのでありますが、こういうその巨額なもの、これは改装費だけであります。これに原価を入れるというと大変なものであろうと思う。こういうその非常な高価なたくさんなものを一体借り受けてどう処理するのか、勿論この記事のおしまいには、日本は払う必要はないというふうに書いてあります。日本は払う必要はないと言われましても、日本に対するところの、過去の援助費はやはりあとから払えということになつたのです。初めただもらえると思つてつたものが、しまいには払えということになつて、今じや皆あきれておるのでありますが、何かその払わんでもいいという、無償で以て交付するというのか、貸与するというのか、管理を委託するというのか知りませんが、何かそういうところに条件がありそうなものでありますが、それはないのでしようか、あるのでしようか。
  320. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 支払についての条件はないものと考えております。
  321. 松原一彦

    ○松原一彦君 併しこれは大変高いものであります。まあ支払う今必要がないというならいいのでありますが、若しこれが後で以て支払う必要ができたというときには一体どうなさるおつもりでしようか、その責任は誰がおとりになるか、如何なる金から出すのか、予算はどこにあるのか、国会はいつ承認したか、私はこういうことを考えるというと非常に暗い気持になるのです。この点についてお答えを頂きたい。
  322. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) アメリカが船舶を貸してくれますのは、海上警備隊にどうしてもこの種の船舶が必要である。而してそれは日本としては到底自分で買うこともできなければ払うこともできないという前提の下に、好意的に無償で貸してくれるということになつておるものと考えます。従いましてこれが将来払うことになるというようなことは、我々は全然あり得ないと思つておるのでございます。成るほど占領中に米国から送られました援助資金、これがサンフランシスコの講和条約によりまして、講和条約の際の話合いによりまして、我々は今まで支払わないでいい、こういうふうに思い込んでおつたのが、払わなければならんということになつたということも、或いはそういうことが言えるかも知れませんが、これは占領を脱しまして独立をする際に、講和条約の一部としてそういう話合いがされたのでございまして、今や日本は独立国たる地位を取得いたしておるのでございまするから、日本政府の意思に基かずして外国に対して金の支払ということはあり得ないわけでございまして、この船舶の問題については将来支払が要求されるという場合には、そのときに日本政府の支払に対する応諾によつて支払義務が初めて発生すべきものであると、かように考えております。而してその際において必要があれば、無論国内法上の必要な手続はとられるべきものと存じますが、現在我々はこれは最後まで無償で貸与されるものと、かように考えておりまするから、そうした問題を考える必要がないと、こう申さざるを得ないわけでございます。
  323. 松原一彦

    ○松原一彦君 私は非常に不安を感じます。私はこの今協定を結んだ以上、私は反対しましたけれどもが、その決定に従つて、決してアメリカを敵とも思わなければソ連に親しむとも思いはいたしません。併しですね。今あなたのおつしやるような単なる一人ぎめで以てこれは無償であろうと、請求することはなかろうといつたようなことで以てこういうたくさんなものを背負い込むといつたようなことは、私は非常に危険だと思う。何となれば、この七年間のアメリカの心変りを見ておつて私はわかるのですよ。我々がアメリカの示唆によつてあの憲法を作つたのです。その当時のマッカーサ元帥は、我々にもう日本は永久武装はするなと、真に平和の一つの中立国としてスイスのごとくになれと、日本国民は一切軍備を持つちやいかん。刀も取上げたのです。ピストルは勿論です。伝家の刀まで取上げられました。私のところもたくたんありましたが、みんな取上げられました。そうして如何にも日本は戦争をしない、無軍備の理想的な国であるというつもりで実は私どもは今日まで参つてつて、僅か六年か七年の間に非常な大きな心変りがして、一方的に日本に又軍艦を只で貸してやるから軍事施設を、戦力を持てなどということに、私は非常に不満を感じるのです。独立国であるならば余計な御厄介にならんでやりますよ。それは、生きておる生命を持つものは、本能としても自己を守ります。だからしてこういうようにしてアメリカが数年の間に示したるたくさんな心変り、殊に占領治下において日本にしてくれた援助の費用を、独立すると同時にこの貧乏な日本からそれを取立てる。あれは日本が要請したわけではない。あの当時日本は独立国じやありませんから、アメリカ支配の下にあつてアメリカが好意を持つて貸してくれたと思う金までも独立の条件として取上げるというこの過去の事実に顧みて、今ここに六十八隻の船を、軍艦を日本に無償で貸してやるとまあ何か書いたものでもあればいざ知らず、政府も今のお答えのように、まあ只であろうと、そういうふうなことをおつしやつておかれて、この政府が一体いつまで永続きするか知れませんけれども、あとの内閣の責任を持つ者はこれは非常な迷惑であり、のみならず日本全国民の負担になるのであります。そういう一体危いことが現憲法下において行われるのかということを私はしみじみと思うのです。あの心変りの激しい、そうして而も日本のためのように言われますけれども、私は日本が今日かような武器などを、役にも立たんと言つては悪いけれどもが、近代的戦力でも何でもないようなものを振廻すところに却つて火を呼ぶ危険を常に私は感じておるのであります。これは吉田さんもかねてから、私個人的にもいろいろお聞きしましたが、何とかして軍備は持ちたくないとしみじみ言つておられるのです。それが一方的にかように注文しないものまでも押付けられるといつたような、而も非常な高価なものであつて、とても日本が払い切れるほどのものでないものをば背負い込まれる政府の御用意が、私にはわからんし、国会がわからなければ国民は一層わからないので、恐らく私は今日本の国民に、警察予備隊の持つておる武器は全部司令部の、駐留軍の司令部ですか、司令部の或る将校が個人的に貸付けておるのだと言つたらば、私は呆気に取られると思うのです。知らんからいいようなものの、アメリカから貸してもらつておるものとばかり思つてつたのですが、そうでないということになると、これは如何にも余りにも白々しい闇取引が過ぎると思うのです。併し恐らく私は、今度の軍艦をあなた方が政府として要請せられたのでありますから、要請せられるにつきましては、先方が闇でなく公式に貸されるような条件をおとりにならねばならん破目に今は陥つておるのじやないかと思う。だから国内に向つてはこれは予備隊だ、警察隊だと再三再四言われますけれども、これでは武器を貸してもらう要件になりませんから、私どもは警察予備隊の拡充ならばいい、まだ申訳が立つと思つておるのでありますが、今回如何にも軍隊組織のような保安隊、警備隊というものを作られて、これをばこちらの面から、国内の国民には警備隊だ、警察隊だと、こう思わせ、こちらのアメリカから見るときには、如何にも軍隊組織であつて、戦力の漸増、国防力の漸増という形をとらなければアメリカとの軍艦や武器の取引が公式にできないという、矛盾したる二面が今歴々とここに現われておるのだと私は思うのですが、これは思違いでしようか、如何でしようか。
  324. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) このアメリカから船舶が貸付けられるということは、日本が海軍を新たに持とう、それに対して必要な軍鑑を貸すということはアメリカ考えているはずはないわけであります。若しそういうことでありまするならば、特に今回の日本に対する船舶の貸付けに対して特別な立法措置アメリカにおいて国内上必要であるわけもないわけであります。それならば、いわゆる武器貸与法に基いて当然貸せられるものと思うのであります。然るに日本側は憲法上軍備をしない。従つて軍備として借受けるのではなく、これは海上の警察力の増強のために借受けるのである。こういうことでありまするから、アメリカとしては特別な立法によつてそういう日本の警察予備隊の実体というものを了承して、而もこれに貸付ける、こういうことになつたものと思うのでございます。而してこれに対する対価が将来要求されやしないかということでございますが、日本側は無償で借受けるということを前提としてこの話を進めておるわけでございまして、これはいずれにしましても正式に日本とアメリカとの間に取極を行なつて、その取極に基いて引渡されるものでありまするからして、その際には無償であるという点は取極自体に確定しなければ、日本側といたしましても引受けることはできないわけであります。若しそれが有償であるということならばこれを引受けないか、それでもどうしてもこれを引受けなければならんということならば、先ほど御指摘になりましたような予算措置或いは取極についての当然の憲法上の手続によつてやるべきことはもとよりでございます。今私どもが無償であろうと思うと、こう言つておりまするのは、この取極がまだ確定して申上げる段階になつておりませんので、そこで今までの話合いの経過から見て無償であると確信しておる。又そういう条件でなければ取極をする意思はないと、こういうことを申上げておるわけでございます。正式な取極がありましたならは……。
  325. 松原一彦

    ○松原一彦君 いや、あなたはそういうふうなお話でお済ましになるかも知れませんけれども国民としても、又我々国会に責任を持つ者としても、そういうふうな一遍のお話合いで、だろうで片付く問題ではないので、要請したと言われますと、その要請は文書でおやりになつたので、どういう文面になつておるのでしようか。その中に無償を御要請になつておるのでしようか。一つこれははつきりと、この保安庁を設置することを審議する条件の上にお示しを頂かなくちやならんのです。保安庁を我々が承認すれば、ここに十一万人の保安隊が必要であり、又海軍にひとしいかような……新聞によるというと東洋一の海軍と謳つておる。トン数から申しましてもこれを合計するというと相当のトン数になるのであります。そこで東洋一の海軍ができたと新聞は謳つておるのでありますが、そういうようなものができますことに対して、国会も知らんし、国民も知らんし、どういうような条件で今談判をしておいでになるか、これは一つお示しになる必要があると思うのですが、如何でしようか。
  326. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 東洋一の海軍ができるということは政府も知らないわけでございまして、私どもは飽くまでも海上警備隊に必要な所要の船舶を借受けたいという申出をいたしておるわけでございます。でこれについての貸付けに伴う条件というものは、いずれアメリカが国内法上その準備ができました後に日本側と話合うということになるものと考えられるのであります。私どもはその時期になりましたならば、我々の先ほど来申上げておりまする線に従つてこの取極を行いたいと、かように思つております。
  327. 松原一彦

    ○松原一彦君 まあそれじやそれを了承しまして、先に伺いますが、あなたは現に今保安庁を作つて、その責任を持つて国防力漸増のスタートをお切りになつたのでありますが、さつきもお話になつたように今年はこれだけにしかしないけれどもが、国力の増加に従つて自然に増大するというお話がありましたが、その限界は、自衛力の増大、漸増の年次計画とか或いは限界とかいつたようなものがおありになるのですか、どうですか。あるべきものだと私は思う。この点如何なんでしようか。
  328. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 漸増の年次計画というようなものはないということは、昨日総理からもはつきり申上げた通りでございます。そして現在の段階においてはこれ以上の増加は今年度内においてはしない。明年度の問題につきましては、予算編成期に際しまして明年度の国内情勢というものを予想して、その必要に応じて措置をすべきものと考えております。
  329. 松原一彦

    ○松原一彦君 これもまあ理窟でなくして常識で考えて、独立国としては不名誉極まる、外国の軍隊に来てもらうというような状態になつておる。来てもらつたのだが押しかけて来たのだか知りませんが、とにかく外国の軍隊を国内に入れて、これに治外法権的な措置までしなければならないような、まあ独立国としてもあるまじきことをやつておるのでありますが、この兵力が幾らあるのか私は知りません。併しアメリカがいつ撤退するかといえば、日本に国防力が漸増して、アメリカの安心ができたときに撤退するというのでありますから、これは一方的であります。アメリカが安心できなければ、いつまででもおるのでありましようか。こういうところにも我々の誠に納得の行かないものがあるし、あなたは今まあ今年はこれで打切るが、来年は予算の許す範囲においてと、こう言われますのは、これはもう明々白々、当然こうしなくちやならないので、しなければいつまでたつてアメリカは日本から撤退してくれやしないのであります。恐らく日本の特殊の職業をする婦人か何かでない限り、アメリカの兵隊におつてもらいたいという者は一人もおらないと思うのでありますが、そういうような点に明白なる一つの問題がある。アメリカが今安心のできる軍隊を駐留さしておる。これを帰つてもらうためには、日本はこれに代るところの戦力を持たなければならぬ。あれは戦力なんですから、それを何とかかとかあなたがたはいろいろ苦労をなさつていらつしやることは私は十二分にお察し申上げる。こういうことは明々白々国民のそう納得の行く程度においてやらなければ、私は形の上でごまかしごまかしやつてつたのでは、これは日本民族の不信を招く以外の何物でもないということを憂えるのであります。況んやその借り物の武器で、大手を振つて我こそ国防の第一線に立つものだというような誇りもないような兵隊を作つて行くということに、私は非常なる不満を持つ。併しこれは私のまあ不満であつて、そんな必要はないとおつしやればそれはそれだけの水掛論でありますが、ここまで来ましたから私のほうはこれで、こういうことだけを申上げて、保安庁審議に対する私の質問の第一段階を今晩はやめておきます。と申しますのは、この経過から見ましても、現に動きつつあるところの方向から見ましても、いずれにしても、日本は国内的には警察予備隊の成長したものという条件附の保安隊を作つておるけれども、対米関係においては、国防力を漸増するスタートを切つておるのであつて、これは明らかに戦力、軍備である。憲法がどの程度にまで日本にこの種のものを許容するかということになりますというと、先般京都から来られた——。
  330. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 只今のお言葉は少し不当だと思いますから……。
  331. 松原一彦

    ○松原一彦君 どうぞ削除して下さい。
  332. 河井彌八

    委員長河井彌八君) さようにいたします。
  333. 松原一彦

    ○松原一彦君 こういうような限度は警察予備隊までであつて、統帥権が飛び出したり、或いは幕僚長が出て来て、旧軍隊組織と同じ階級がとられて、そうして軍艦を持ち大砲を持つて廻るということになりますというと、これは私は明らかに現憲法下においては許されない存在だと思う。必要であるかないかは別個の問題、少くとも現憲法下においては許されない存在であつて、これは到底許容することはできないと、私はリミットを、制限を警察予備隊までだという田中一郎氏の証言に私は賛成するものでありまして、どうかそうありたいと思うのです。本当に警察予備隊で以てとどめておきたいが、併しながら矢は弦を放れてしまつたのであります。ここまで来たのでありますから、ついこれを審議せざるを得ないことになりましたので、これから私は最後の結論をつける資料として今更に突込んで伺いたいと思いますが、私の質問は今夜はこれだけにいたしておきます。若し私の申した中に、委員長支障のある点がありましたら、御遠慮なく御削除をお願いいたします。
  334. 三好始

    ○三好始君 大分時間がたちましたので、松原委員から質疑の出ました武器の点についてだけ大橋国務大臣にお尋ねいたしたいと思います。日本がフリゲート艦或いは上陸用舟艇の貸与方を申入れたのに対して、アメリカとしてはアメリカ国内法の手続が必要であるということであつたと、こういうことでありますが、これは民主国家として極めて当然なことと言わねばなりません。ところがそれはアメリカにおいて要請される問題だけでなくして、借る側の日本においても同様でなければなりません。アメリカにおいてだけ国内法の手続が必要であつて、借りる側の日本においては国民も知らない、国会も知らないということでは、日本は民主国家と言うことはできないと思うのであります。ところで日本国内法自体はそういうことを全然許しておるのかというと、日本も未熟であると言いましても民主国家でありますから、国内法にはちやんと規定がございます。例えば会計法十一条によりますというと、契約等は「法令又は予算の定めるところに従い、これをしなければならない。」とはつきり規定いたしております。これは国内における場合のみでなく、対外的の場合も当然に含んでおると思うのでありますが、こういう明白な会計法上の規定があるにかかわらず、政府はこれを法的な手続を経ることなく、政府だけの考えアメリカと貸与の契約を結ぶお考えなのかどうか、これをお聞きいたしたいのであります。
  335. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 船舶の借受けにつきまして、アメリカ側が国内法上の手続をいたすと同様に、日本側においても国内法上の手続を必要とすることは申すまでもないのでございます。而してその国内法上の手続といたしまして、予算を要する場合においては、これは予算について国会の御承認を得なければなりませんし、又その他国内法上政府限りでできない事柄がありまするから、それはそれぞれ所定の手続を経て、そうして正式の契約をとるべきものと、こう考えております。
  336. 三好始

    ○三好始君 そういたしますと、今回のアメリカ海軍が所有しておつた艦艇の貸与を受けるに際して国内法の手続はとつておるというお考えなんですか。
  337. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) これはたびたび申上げております通り、只今準備的話合いを進めておるのでございまして、まだ取極ができておりません。従いまして如何なる内容の取極になるかということにつきまして御質問がございましたので、大体無償でやろうというような断片的な事柄を予想として申上げた程度でございます。でこれがいよいよ話合いが進みまして、正式の取極をするということになりますれば、そのとき国内法上必要なる手続は政府とじては当然とる考えであります。
  338. 三好始

    ○三好始君 それで契約の内容が一応の話合いができれば、政府としては国内法上の手続をとるということでありますから、その限りにおいては了承いたしますが、若しアメリカがすでに国内法の手続が相当進んでおるわけでありますから、アメリカの手続が完了するのはそう遠い将来ではないと思いますが、日本としてどういう国内法上の手続をとる御予定でありますか。
  339. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) これは取極の内容によるわけでございまして、内容によつて予算が必要であれば国会において必要な予算措置しなければならないと思います。又それが条約というような形になれば、これ又国会の御承認を得るという手続が必要になるわけでございますが、何分にもまだ先方からまあこちらの要請を了承されたばかりでございまして、これに対して如何なる申出もまだない状態でございまするから、具体的に話合いの結果がどういう内容になり、従つて具体的にどういう手続が必要であるかということはまだ申上げかねる状況でございます。
  340. 三好始

    ○三好始君 大体政府のお考えはわかつて来たのでありますが、若し無償で貸与されるということが明らかになつた場合、国内法上の手続は必要ないと考えるのですか。それでもやはり国内法上の手続はしなければいけないというお考えでしようか。
  341. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 無償にもよりますと思います。無償で、そうして如何なる意味においても政府が将来財政上アメリカに対して支出の義務を負わずに済むというような、こういうような場合は、これは行政的に措置できるかも知れませんが、政府として米国に対して義務を負うというような内容になりまするならば、当然これは国会の御承認を受けなければならん事柄を含むと思いますので、そういう場合には所定の手続をとるべきものと考えております。
  342. 三好始

    ○三好始君 仮に貸与される艦艇そのものが無償であつても、これにはどうしても人件費なり或いは運航のための費用もこれに伴つて必要でありますから、それらの全部をアメリカに期待するということは常識上到底考えられませんから、そういう費用を要する場合にもやはり国内的な手続は必要であると、こういうふうに私は考えるのでありますが、この点についてのお考えは如何ですか。
  343. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 人件費の支出、運航費の支出については法令に基かなければなりません。この関係法令といたしましては、保安庁法なり或いはすでに御承認を得ました海上保安庁法一部改正案なりにあるわけでございまして、その範囲で賄える程度、又財政支出といたしましても、すでにこれらの人件費その他所要経費の一部につきましては二十七年度予算として協賛を得ておりますので、これらで賄える範囲ならともかくでございますが、これ以上の財政支出を必要とする、それ以上の特別の法的根拠を必要とするという場合には、それぞれの所定手続とる必要があるというように考えるのでございます。
  344. 三好始

    ○三好始君 只今のお考えには私多少の疑義があるのでありますが、更に詳細に目下提案中の法律案を調査して具体的にお尋ねいたしたいと思いますが、それを一応別にして考えましても、今回の艦艇の貸与は国家間の合意という形をとると思うのであります。アメリカと日本の国と、国との間の国際合意として、いわゆる条約という定義に入る状態だと思うのであります。たとえそれが無償であろうとも有償であろうとも、その点についての法律関係は同じだと思うのであります。そうしますというと、条約は国会の承認を得なければいけないという憲法の原則に従つて、経費の負担がたとえ零であつたとしても、私はそういう面から国会の承認を必要とする、こういうふうに思うのでありますが、その点如何ですか。
  345. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 条約と申しますのは、国際法上国家間の権利義務に関係あるものはすべて条約になるのでありますが、そしてそれは文書によることが必要であるというのが憲法の規定であります。この条約に該当するものでありましたならば、当然憲法上所定の手続を経べきものと考えます。
  346. 三好始

    ○三好始君 只今の大橋国務大臣のお答えによりますというと、文書でなければ国会の承認の必要がないような印象を受ける言葉があつたのでありますが、これは相当重要な問題だと思いますからはつきり質しておきたいのであります。今回の艦艇貸与に関する契約は、口頭によつてなされ得る可能性があるのですか。政府はそういうお考えをお持ちなんですか。
  347. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) これにつきましては今後の話合いによるものと思つております。今文書が作成されるか或いは口頭で行われるかということについては、どちらとも考え、どちらになるということについてははつきりした見通しを立てておりません。
  348. 三好始

    ○三好始君 私は国家間のこういう相当重要な合意について、文書によらずして口頭で行われることもあり得るというようなお気持を持つておられることは非常に遺憾だと思うのでありまして、当然に文書による契約でなければならない。吉田内閣いつまで続くかもわからないわけでありまして、当然にこういう問題ははつきりした手続をとつて、文書による契約とすべきだと考えるのでありまして、これは当然な常識だろうと思うのであります。そういうことになりますと、大橋国務大臣もすでに申されたように、条約として当然に国会の承認を得なければいけない。私は口頭であれば条約でないんであつて従つて国会の承認は必要でないというようなお考えを持たれておるとすれば、これも非常に遺憾なことだと思うのであります。いずれにいたしましても、すでに大臣もしばしば明らかにせられたように両国間の考え方がはつきりして来れば、正式の契約として日本の国内法上の手続に従つて措置する。国会の承認を求める方法を講ずる、こういうことだと了解してこの点は了承いたしたいと思うのでありますが、そういうふうに考えて差支えないわけですか。
  349. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 国内法によつて必要な措置は必ずとるつもりでございます。
  350. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 この保安庁の問題を、海上保安庁などの問題をはつきりするために関連してちよつとお尋ねするのでありますが、そういうような武器貸与契約を交渉される、主管とせられる大臣はどちらになりますでございましようか。
  351. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) これは内容によると存じます。将来これが正式に条約として取極められる場合は、当然外務大臣……。
  352. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 それでさつきの、ただ我々はこの問題を早く明らかにしたいという意味でお尋ねするだけですが、三好氏の質問にちよつと一つ加えると、例えば武器貸与をしましても、損傷などが起きて、これが不可抗力による損傷ならば又別でありましようが、或いはこちらの過失とかその他によつて損傷が起きたと、こういうような場合に、仮に損害の負担を日本がするというような場合が仮に起つたような、これは若干まだ内容がわからんから、予想でございますが、そういうような場合にはこの負担、人件費とか或いは輸送費というものでなしに、物自体にくつついたものでございますが、国家の財政を縛る、殊に債務を縛ることになるのですから、そういう場合においてはやはり国会の承認がなければ、財政法その他の関係でできないと思うのでありますが、これをついでに明らかにして頂きたいと思います。
  353. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) これは損害のありました場合の補償の問題でございますが、これにつきましてはまだ何ら具体的な相談をいたしておりません。従いましてそういうことによりまして国内法上手続が必要になるということになれば、当然政府といたしましては適法に処置すべきものと考えております。
  354. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 もう一つ、そう場合において損害が生じたときに国会の承認を得るというのでなしに、そういう場合に損害の賠償の債務を負うという契約ができる場合には国会の承認を得るようになさると、こう私は解したいと思うのでありますが、それで間違いないのでございましようか。
  355. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 条約についての原則論として先ほど申上げました通り文書による合意であつて、その内容が国家間の権利義務に関連いたしますものは当然条約として承認を経べきものと考えております。その範囲に属する事柄でありますならば、そういうふうに処置すべきものと存じます。
  356. 松原一彦

    ○松原一彦君 さつきお尋ねを申したときに一つ落ちておりましたが、今警察予備隊が借りております武器の表がここにありますが、量はわかりませんけれども、武器の性能等に対する表が出ておりますが、十四種ほどあります。これはこの先般司令部の好意によつて借りておるというお話でありましたが、もうすでに司令部はなくなつておりますし、その後どういう契約でお借りになつておるのか、これ一つ聞かして頂きたい。
  357. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) この警察予備隊の借りておる武器につきましては、まだ正式の契約をする段階になつておりません。引続き駐留軍の好意によつて只今借りておるのであります。これにつきましても恐らく米国といたしましては、国内法上適法に処置をするということのために、どういうふうにすべきかということをなお研究しておる段階だと考えます。
  358. 松原一彦

    ○松原一彦君 ただ口頭で貸せ、貸すといつただけではなかなかそう簡単にも行きますまいが、大量のものでありますが、これは一体この借手は誰でございますか。警察予備隊が私的に借りたというわけでもありますまいし、日本政府が借りたものでしようか。
  359. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) これは米国対日本国の政府間の正式の話合いということにはまだなかなかならないと思います。そこで駐留軍がこちらにおいて保管しておる武器を便宜日本側に使わせるという形で当分行くことになると思うのであります。その方式といたしまして、従来は占領軍の顧問将校が米国国内法上その責任において保管をいたしておる、それを事実上予備隊の隊員に使わせると、こういう形であつたのでございますが、このやり方では米国国内法上、損失のありました場合に顧問将校個人が責任を負わなければならんことになつております。現に一昨年の暮でありました。福岡県の或る部隊において機関銃が二挺ほど紛失いたしたことがございます。これは全く日本側が使用中のものが盗難によつて紛失したのでございましたが、それについても責任者たる顧問将校が賠償をしなければならん、米国政府に対して弁償をしなければならんという問題が起つたわけでございます。こういう方式が今なお続いておるわけでありまして、これについては駐留軍としましても、顧問将校が現実に支配していない物件について、国内法上の賠償責任だけを負うということは甚だ酷であるからして、そこで日本側の関係機関に一括して引渡したい。それで引渡しの受取りを持つてさえおれば、それで顧問将校の米国国内法上の保管の責任は果しつつあるものという取扱いにしたい。そのためには日本側で一括して受取りを出して欲しいと、こういうことを申しております。それについて今話合いを進めておるわけでございます。
  360. 松原一彦

    ○松原一彦君 その一括して借受けたという、まあ保管転換かも知れませんが、借受けたという書き物をもうお出しになつたのでしようか。まだお出しになつておらないのでしようか。
  361. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) まだ出しておりません。
  362. 松原一彦

    ○松原一彦君 そうするとそれは誰がお出しになる責任者ですか。あなたですか、総理大臣ですか、日本の政府なんですか。
  363. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 誰が一括してこれを預るかということも話合いの中に入つておりまして、まだ未決でございます。
  364. 松原一彦

    ○松原一彦君 まさかこの保安隊の隊長とかいつたようなことにはならないのでございましようね。
  365. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) それは警察予備隊本部、或いは保安庁が成立した後には保安庁の中央の責任者が受取りを出すことになろうかと思いますが、併しその点についての話合いはまだ決定いたしておりません。
  366. 松原一彦

    ○松原一彦君 もう私は質問を打切つたもんですけれども、疑問百出でありますが、幸いにしてアメリカを今の内閣のように絶対的に御信頼になつておれば、これはまあこれでも通つて行きますが、若し所を変えてソ連の大使館から武器を日本の何かに貸すといつたようなことができたら、私は大変だと思うのですよ。国会の知らん間に武器が闇取引で、個人の名で保管転換的に貸されるといつたようなことで、而もそれが部隊の手に、部隊の隊長等が借受けたといつたことになつたら、これは誠に困つたことになるのであります。こういうことは誠に重大極まる問題であります。ピストル一挺なくしても警察官はまあ大変な処分を受ける。我々が一つつてつても大きな問題になるのであります。でありますからこの保安庁法案審議にも、我々は念を入れねばならんのでありますが、大きなところに闇が行われており、何かわからん取引をやつておる。私はしみじみと今日警察予備隊の幹部その他隊員のかたに御同情するのです。非常に大切な仕事の任務についておいでになりながら、何とかこの晴れ晴れとした天気を見ない。晴れたる日章旗の下で活動しておる、国防の第一線に立つ者という誇りがおじおじと果されつつあるというような、非常にお気の毒なことを思うのです。同情に堪えない。私は政府を責めるのじやないんで、必要があるならば、必要のあるように正々堂々合法的な手続を経て、こういうことは国民全体の運命に関することでありますから、やつて欲しいのでありますが、それがかような陰欝なる私的取引のような、国会も知らん、国民も知らんというところで行われておるが、まさか今回の海軍のはそうでもあるまいと思いますので、今夜は念を入れてお尋ねしたわけであります。これは私の所感になります。お聞き捨て願つておきます。
  367. 三好始

    ○三好始君 今の問題にちよつと関連して質しておかなければいけないと思う点が一つありますから、九時までちよつと時間がありますのでお聞きいたしたいと思います。  現在警察予備隊が貸与を受けておる武器については、契約がなされておらないというようなお話が出たと思うんでありますが、そういうことなんでございましようか。
  368. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) そういうことでございます。
  369. 三好始

    ○三好始君 契約は必ずしも文書によつてはつきり取交さないと契約でないとは言えないのでありまして、これは先ほど大橋国務大臣が文書によるものでなければ条約でないといつたものとは多少事情が違つておると思うのであります。申込と承諾の意思の合致さえあればこれは契約なんであります。こういうふうに思うのであります。この点如何ですか。
  370. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 私の申上げましたのは、そうしたことについて書面もありませんし、又正式の契約というようなものはないということを申上げたわけでございます。これは問題を、松原委員も申されたように、間違いなくはつきりした形で納得の行くような状態にしないと大変なことになると思うのです。こういう状態をたとえ暫くの間でも続けるということは非常に遺憾なことだと思うのです。契約でないということは、非常に理論的に申しますというとおかしいのであります。これは明白に契約なんであります。ただ契約書というはつきりした文書が取交されておらないということだけの話なんでありまして、こういうことで問題をいわばごまかすような形にしておるということは非常に遺憾だと思うんであります。私は時間がありませんから今晩はこれ以上質疑いたすことはやめたいと思いますが、最後に一つ、是非とも十分に考えて頂きたいと思うのであります。  現在の日本の政治不安の底流をなしておるものは、国民の世界観の面から見るというと、自衛論と平和論の明瞭な対立の問題だと思うんであります。日本人が同じような国民として、同じ民族として永い歴史を共に歩んで来た者が、今に至つて袂を分たんとするものでない限り、今日のような国論の分裂状態は速かに克服しなければなりません。それには、殊に政治家が真に良心と誠実を以て国民に真実を語り真実を訴えなければならないと思うんであります。政治的方便のために一時を糊塗するような愚民政治を行なつてはなりません。そういうことが、国内でやられるならば、民族の前途は誠に憂慮すべきものがあると思うのであります。私は、今まで承わつた政府考え方には非常に遺憾である、遺憾なものがあるということを特に強調いたしたいんであります。
  371. 河井彌八

    委員長河井彌八君) この際委員長として一言いたしておきたいことがあります。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  372. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて下さい。
  373. 中川幸平

    中川幸平君 この保安庁法案審議に当つて保安隊、海上警備隊の性格、運営についてですね、大橋国務大臣から詳細に答弁されて今日まで参つております。又昨日吉田総理からかような明快な答弁があつたので、我々も非常に喜んでおります。然るに今日松原委員、三好委員からこの点についてくどくどと質問が繰返され、而も非常に不満なようなふうに私ども見受ける。これ全く見解の相違から来ておる事柄であると私は思つておる。かような見解の相違を以てする質疑を徒らに繰返しても、何ら益のたいことであると考えますから、どうか委員長において然るべくお取計い願つて、もう少し議事の進行するようにお取計いを願いたいと思います。
  374. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつと中川君に申します。松原君、三好君の御意見は、どこにこの問題を、この保安庁関係のことをどういうふうに考えてござるかということは、これはどうも両君の、委員諸君のお考え次第でありまして、何もこの保安庁法案をどうしようというような意味考えるわけではありません。従いまして委員会審議は、それらの点についてやはり相当に自由に御意見をお述べになることは、委員長としてはこれをとめることはできない、かように考えております。
  375. 三好始

    ○三好始君 中川委員から、与党の立場として或いは当然かと思いますけれども審議の進行に関する御発言がありましたが、私は発言内容については反対であります。この問題はしばしば私が指摘しましたように、内容から申しまして非常に重要なものであります。審議は殊更引延しのためにやることは勿論よくないことでありますけれども、誰にいたしましても、恐らく内閣委員会は今までそんなつもりでやつてつた人は私はないと思つております。すでに問題が全く明瞭になつたかというと、決してそうでありません。私はつきり申しますが、違憲の問題についても論理的に明らかにしなければいけない問題を相当残しております。これは単なる意見の相違であるからこれ以上聞いても仕方がないという、そういうところまで行つてしまつたんではないのであります。まだ論理的に明らかにしなければいけない点が残つておるのであります。武器貸与の問題なんかにつきましても、今晩交わされた質疑応答は、恐らく新しい事態としてかなり重要な内容のものであつて、有意義な質疑応答であつたと私は考えております。個人的な立場から申しますと、私も早く国会を終つて帰りたい気持で一ぱいでありますけれども、これは国家のためにどうしても十分に明らかにしなければいけないというつもりで一生懸命にやつておるのでありまして、別に殊更議事を引延ばすために無用の質疑応答をしておるのではないということをはつきり申上げたいのであります。
  376. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 諸君にお諮りいたします。本日はこの程度で散会しようと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  377. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。  これを以て散会いたします。    午後九時五分散会