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政府委員(間嶋大治郎君) 詳細なる
資料はございませんので、詳しいことは申上げられませんが、スイスの観光活動につきましては、例えば資金の面から申上げますると、最近におきまするスイスの中央観光局の経費は四百五十万スイス・フランでございます。そのうち三百万スイス・フランが
政府、残りの百五十万スイス・フランが民間から醵出されておる。約四スイス・フランが一ドルになります。そうしてスイス中央観光局は、先ほど申上げました
通り、対外宣伝の面をも担当いたしておりまするので、国外に目下のところ十六の宣伝
事務所を持
つて活動しておるのであります。そうして今申上げました
通り、対外観光宣伝活動以外に、
政府の各
行政機関に対する
建議、或いは又それらの諮問に応ずる
というような
仕事をし、又各州、各カントンにありまする観光協会
というようなもの、或いはその他の観光団体に対しまする
指導的な役割を果しておるのでございます。
それから日本の観光
行政の
実情でございまするが、観光
行政というものを広く解釈いたしまして、観光に
関係のある
行政というふうに考えますと、これは又非常に広い範囲に亘るのでありまして、
運輸省以外にも、国立公園を主管しておりまする
厚生省、或いは道路を主管しておりまする
建設省、或いは又名勝とか史跡
というようなものを保存いたします
文部省というように、広い範囲に亘るのであります。
運輸省で所管しておりまするいわゆる観光
行政というふうなものを御
説明申上げますと、現在観光部の中に三課ございまして、計画課、業務課、整備課、こういうふうに区分いたしております。計画課におきましては、観光事業全般に関しまする
企画をいたしまするほかに、観光
関係の法規の
事務、或いは観光
関係の法人団体の
指導その他の業務、それから資金の斡旋、それに更に税務
関係の業務
というようなことをいたしております。
関係の
法律といたしましては、国際観光事業の助成に関する
法律というものがございまして、この
法律に基きまして、観光
関係の
機関に補助金を支出することにな
つております。それから業務課におきましては、主たる
仕事は観光宣伝の
企画及びこれが実施に関する
指導監督でございます。それから観光観念の普及
というような
仕事、或いは又観光
関係の
資料の編纂
というような
仕事をいたしております。
資料の編纂のうち一番現在や
つておりまする大きな
仕事は、戦前
政府の手によりまして、オフイシヤル・ガイド・ブツク
というものを発行いたしておりましたが、これがその後中止いたしておりましたのを、約三百万円の
予算で二年ばかり前から着手いたしまして、近くこれが発刊の運びに相成ることにな
つております。業務課の
仕事は、海外宣伝の
企画指導、観光観念の普及、或いは特殊な観光
資料の編纂、又士産品の
指導改善
という
仕事もいたしておるのであります。それからちよつと申し遅れましたが、業務課におきまして、更に通訳案内業、いわゆるガイドの
指導監督、旅行斡旋業の
指導監督
という
仕事もいたしております。
関係法律といたしましては、通訳案内業法
というものがございまして、ガイドを試験
制度にいたしております。国家試験にしております。その試験の実施
事務も業務課でいたしております。又旅行斡旋業
というものが非常に大きな役割を果しておるのでありますが、これにつきましても、絶えず
指導助長の方策を講じておるのでありますが、これに関しましては、今国会に旅行斡旋業法
というものが、現在議員提案によりまして、参議院に提出され、
審議を受けております。最後に整備課におきましては、主として施設
関係の
仕事でございますが、ホテル或いは旅館等の設備の改善、或いは又業務の
指導、サービスの向上
というようなことに関しまする
仕事をいたしておるのであります。又観光
関係のその他の施設例えば道路、港湾、鉄道
というようなものにつきましては、観光施設を整備する
というふうな見地から、独自の計画を立てまして
関係方面にこれを要請する、或いは又
関係方面から
意見を求められました場合には、観光事業の見地から
意見を述べる
というような
仕事をいたしておるのであります。
関係の
法律といたしましては、国際観光ホテル整備法
というものがございまして、その
法律に定めました一定の施設基準に合致いたしましたものを、運輸
大臣が申請に基きまして登録いたすわけであります。審査の上登録いたしましたならば、これに対しまして或る程度法人税或いは地方税の軽減が行われることにな
つております。又或る程度資金の斡旋を運輸
大臣がやらなければならん
というふうなことにも相成
つておるのであります。これが大体非常に大雑把に申上げますと、
運輸省におきまする観光
行政の
実情でございます。
今後の方策
といたしまして、講和條約の発効を機
といたしまして、非常に外客の往来が繁くな
つて参ります。
昭和二十六年におきましては、入国者数が約五万六千人に相成りました。又その消費額も一千四百八十万ドル程度まで上
つたのでございます。尤も戦前の最盛期におきましては、
昭和十一年におきましては、消費額が当時の金で一億七百万円、ドルに換算いたしまして約三千万ドル
ということでございましたので、当時に比べますると、まだその規模は半分にも満たないわけであります。併し幸い一番隘路でありました宿泊施設も逐次解除を受けましたので、受入態勢がかなり整備して参りましたので、今後は相当多数の外客の来訪が予想されるのであります。これに対しまして先ず第一に現在考えておりまするのは、海外宣伝の強化であります。これにつきましては、従来先ほど申上げました観光事業の助成に関する
法律で、日本交通公社と全日本観光連盟に補助金を若干支出してお
つたのでありますが、これを
昭和二十七年度におきましてはかなり増額いたしまして、海外宣伝を強化いたしますその
一つの方策
といたしまして、戦前設置いたしておりまして、戦時中は勿論廃止しておりました海外の宣伝
事務所の復活でございます。その手始めとして、この七月一日にニヨーヨークに日本の海外宣伝
事務所を日本の交通公社に取りあえず委託して開かせることにいたしました。なおこの業績如何によりましては、来年度におきましては、
アメリカの西海岸にも海外
事務所を開きたいと考えておるような次第でございます。又海外宣伝の
内容におきましても、従来は受入態勢もさほど整備をいたしておりませんし、或いは又資金の都合もございまして、規模が非常に小さか
つたのであります。
昭和二十七年度以降におきましては、或る程度資金が殖えましたので、その規模を拡大し、又宣伝の方法に関しましても、あらゆる団体を使
つてできるだけ効果的にやりたいと考えておるのでございます。又一方受入態勢の問題につきましても、海外宣伝と相呼応して大いに
仕事をいたしたいと考えております。先ず受入態勢
といたしましては、従来戦争中或いは戦後を通じて、
国民の観光事業に対する認識
というようなものもかなり変
つたものにな
つておりまするので、この際正しい観光観念の普及、或いは又国土の美化、国土の清掃
というようなことも必要であると存じますので、この点に対しても大いに力を入れたい。その
一つの方策
といたしましては、国内で全国の観光
機関の総合団体でありまする全日本観光連盟
というものがございますので、これも先ほどの
法律で補助金を受けておる。これに対する補助金も或る程度増額いたしまして、こうい
つた民間団体を総動員いたしまして、今申上げましたような啓蒙運動を先ず強化いたすつもりでございます。又施設の面の受入態勢におきましては、ホテル等は若干接収解除によりまして充実して参
つた次第であります。併し地域的に見ますと、まだ必ずしも十分でない点があるのであります。そういうような場所につきましては、更に開発銀行その他の融資の方法によりまして、できるだけ早く整備の方策をとりたいと考えております。又サービスの面におきましても、戦争中及び戦後を通じまして、実際のサービス
というものが殆どなか
つたわけであります。この点かなり外客からも指摘を受げまして、戦争前におきましては、日本のホテルのサービス
というものは、世界的に見ても非常に立派なものであ
つたが、現在はそうでない
という批判もかなりあるようであります。この点につきましては、従業員の再
教育というようなことに強い関心を持ちまして、ホテル協会等と十分協力いたしまして、いろいろの方法で再
教育をいたしたい、こういうように考えております。それからもう
一つ非常に大きな問題は、いよいよ観光事業に大いに力こぶを入れるにつきまして大きな隘路とな
つておりますのは、日本における旅行経費の問題であります。これが戦前に比べましてかなり日本の観光事業にと
つて大きなハンデイキヤツプにな
つております。非常に諸外国、特に欧州方面に比べまして割高にな
つておるのであります。これには勿論いろいろな原因がありまして、根本的には為替相場の問題があるのでありますが、それ以外にも、やはり戦後におきまするいろいろな施設をいたしまする場合の資金が非常に高利で、而も短期なものをたくさん使
つておる
というようなこともあります。或いは又ホテルの絶対数が非常に少いために、或る程度独占的な価格と思われるような高い料金を取
つている所もある
ということもあります。いろいろの原因はあるのでありますが、いずれにいたしましても現在の日本の、例えばホテル料金だけに例をと
つて見ましても、
アメリカの一流ホテルに匹適するような料金を取
つている。ヨーロツパに比べて見ますると、三割或いは四割がた高い
という結果に相成るのであります。これを何とか早く国際水準にまで引下げ、一方において設備を国際水準にまで引上げますると共に、旅行経費を国際水準程度まで早く下げる
ということが必要である。これにつきましては根本的な為替レートを、特殊なツーリストだけに適用する為替レートの問題も前から各方面から言われておりますが、簡單にはこれはなかなか実現しそうもありませんので、私ども
といたしましては、いろいろの方面からできるだけ早く旅行経費が安くなるように努力いたしているのであります。例えば税の問題につきまして、日本のように従来のごとく二十%
というふうな高い遊興飲食税
というものを課している国は殆んどございません。滞在税
という
制度は各国にございますけれども、これもかか
つても三%或いは五%程度でございます。こういう問題につきましても、これは四月一日から
地方自治庁におきまして、先ほど申上げました
法律によ
つて登録いたしましたホテルに宿泊する外客の遊興飲食税は普通の税額の半額になる
というふうな方策を実施いたしております。或いは又日本において買いまする土産品の問題につきましても、大蔵省と交渉いたしておりまして、英国はすでに実施いたしておりますが、英国に来た外人が買いまして、確実に外国へ持
つて行く物には輸出品に準じて物品税を免除しているのであります。これも現在大蔵省の大体了承を得ております。ただ実施方法をどうするか
という問題があるので現在
研究中でございます。英国等におきましては、買いました場合に直接渡さずに飛行場或いは船に届ける
といろ方法で、それを外国に持
つて行き、国内に闇に流れない
ということを確保いたしているわけであります。そうい
つた方策の問題だけが残
つているのであります。こうい
つたことも或る程度旅行経費を引下げることに役立つのじやないかと思います。今英国の例だけを申しましたが、諸外国でや
つておりますようないろいろな対策も勘案いたしまして、できるだけ早く日本の旅行経費を引下げる。又業者に対してもこの点十分協力を求めまして、需要があるから
ということでなしに、やはり国際的なレベル
ということも考えて、或る程度旅行経費の引下げに協力してもらうように交渉いたしたい。こういうように考えているような次第であります。
いずれにいたしましても、講和條約によりまして客観情勢が非常によくな
つた、対外的にも十分な活動ができまするし、又対内的にも従来隘路でありました施設面がかなり緩和されましたので、我々
といたしましてはこの機に日本の観光事業を一刻も早く戦前の水準以上に引上げたいと考えて努力いたしているような次第であります。