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1952-06-03 第13回国会 参議院 内閣委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月三日(火曜日)    午後二時二十四分開会   —————————————   委員の異動 六月二日委員赤松常子君辞任につき、 その補欠として波多野鼎君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     河井 彌八君    理事            中川 幸平君            鈴木 直人君            成瀬 幡治君    委員            楠見 義男君            竹下 豐次君            和田 博雄君            上條 愛一君            栗栖 赳夫君            松原 一彦君   国務大臣    建 設 大 臣 野田 卯一君   政府委員    行政管理政務次    官       山口六郎次君    行政管理庁次長 大野木克彦君    文部大臣官房総    務課長     相良 惟一君    運輸大臣官房長 壺井 玄剛君    運輸大臣官房観    光部長     間嶋大治郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   説明員    運輸大臣官房文    書課長     谷  伍平君   —————————————   本日の会議に付した事件文部省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○運輸省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣委員会を開会いたします。文部省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。先ず以て政府委員からこの案の内容について御説明を願いたいと思います。
  3. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 先般文部大臣提案理由説明申上げたわけでございますが、今回の改正案によります文部省機構改革二つ趣旨に基いておると思いますので、それを申上げて置きます。  第一は、行政簡素化趣旨に則りまして、文部省内部組織簡素化いたしました。その内容は各省内部部局部制を廃止するとい一般的な方針に則りまして、文部省管理局にございます教育施設部の部を廃止いたしまして、その部がやつておりました仕事管理局において処理するということにいたしました。  簡素化の第二点は、大臣官房事務を人事、総務、会計の官房本来の事務限つて、それ以外現在大臣官房で処理しております事務は、それぞれ関連のある局のほうへ移したわけであります。  第三は、従来の機構のうち不合理或いは不便な点を改めまして、独立後の新事態に即するよな所要の調整を加えたという点でございます。文部省設置法の大部分を全面改正をいたしまして、内容的には或る局でやつておりました仕事を他の局に持つて行くというよなことでございます。それから調査普及局という局の名称を調査局と改正いたしました。  なお個々の点、細かな点につきましては御質問があればそれに応じてお答えいたしたいと思いますが、大体において以上申上げました三つの点に今回の改正が盛られておるわけでございます。
  4. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 本案につきまして御質問がありますれば御発言願います。
  5. 竹下豐次

    竹下豐次君 一つ簡單にお伺いします。この管理局教育施設部を廃止して管理局で処理するといことになつた。これはなんですか、やはりもと分れておつた課のままで、そのままに官房長というのがあるのですか、文部省に……。
  6. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 文部省には官房長とい制度はございません。それから教育施設部の下に二課二室現在ございます。それらにつきましてはどういう分課規程……文部省令では文部省組織規程で以てどういう課を設けるかということを今後研究をしたいと思つております。一応今案を練つております。
  7. 竹下豐次

    竹下豐次君 この合理化の点ですが、その点を具体的な例を示してもう少し詳しく御説明を願いたいと思います。
  8. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 合理化……従来どういう点が不合理不便であつたといことを申上げますと、戦前文部省が非常に強大な権力を持つていて、教育の軍国主義化とうようなことに非常にあずかつて力があつたとい司令部方面の意向で以て、昭和二十四年に文部省設置法が制定されました際に……文部省の権限を努めて文部省自体、或いは文部省一つの局或いは課が独断専行する、或いは非常に強大な権力を持つというようなことのないように、いわゆる英語で申しますとチエつツク・アンド・バランスと申しますか、お互い相互牽制お互いの局が、或いは課がお互い牽制をして、そしてバランスをとつて行く、一つのことを、一つ行政を実施する場合に、一つの局だけで以てそれができないで、他の局にも関與させる、お互い牽制さして独断専行を防ぐという、これはアメリカ行政組織では非常にこういうことが多いのだそうでございますけれども、そういう方式をとらせたいと思います。それで例えば大学認可に一例をとりますと、従来は、戦争前におきましては、一つの局で大学認可に関する事務をやつていたわけでありますが、そういうように認可であるとか、許可であるとか、そういうようなことは管理局という局でやつておりました。それを管理局が行うためには、ほかの大学学術局というようなところが勧告をする、レコメンデーシヨンをする。それで一つの局だけでは認可行為ができない、こういうような組織になつていたわけでございます。そういう例は非常に文部省に多いのでございまして、教科書行政につきましても教科書検定に関する事務管理局、それから教科書内容に関する事務初等中等教育局教育書の刊行、これをいたしますものといたしましては調査普及局、こういうふうに一つ行政三つの局で分れてやるわけであります。例えば地方教育行政につきましても、地方行政即ち教育委員会運営に関する指導であるとかいうような事務調査普及局においてやる。それから財政につきましては初等中等教育局のほうでやる。結局一つの局でやれないで、ほかの局と一緒でなければできない。別の言葉で申しますと、管理行政というものと指導行政助長行政というもの、こういうものが各々別の局でやる。そういうような建前で局を分けているわけでございます。これは一つの局の独断専行を防ぐといことにおいて確かに長所はあるのでございますけれども“実際やつてみますと、行政を受けるほうの立場から申しますと、二つの局の方針が合わない。即ち政令二途に出るというようなことがありますし、それから手数がかかる。こういうようなことが昭和二十四年から只今までいろいろ実績体験によりまして、こういうやり方は改めてもいいのではなかろうか。殊に現在文部省組織規程というようなもの、これは政府において自由にきめることができるわけでございますので、即ち関係方面の示唆とか或いは勧告というようなものも現在は勿論ないわけでございますので、如何に行政がうまく行くか、そういう点の従来の不合理不便というものを改めて、行政の一元化ということを考えているわけでございます。
  9. 松原一彦

    松原一彦君 野田長官にこの間うちお願いしておきました官房長を置く省と置かない省との比較表、その所管事務等に関する比較表をお願いしておいたのですが、その資料を頂けますでしようか。
  10. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 事務当局に申し付けてありますので、私もお手許にお届けしたかと思つておりましたが、若しお届けがなかつたならば早速お届けすることにいたします。内容は、新らしい機構におきまして官房長を置かないのは文部省厚生省労働省の三省であろうと思います。文部省につきましては、只今お話がありましたように、官房仕事が少し減るというようなことでございますが、現在大臣官房仕事を他に移して、他の部局に移しておやりになるというわけで、実質的に少し官房仕事が減ることになります。それから厚生省労働省も大体現状維持だと思いますが、この間松原先生からお聞きしたのですが、厚生省のほうは統計仕事官房に移したというようなことになつているかと思いますが、それにつきましては一応統計調査課というものを設けて、それに仕事を取扱わすことにいたしまして、仕事が殖えましても又そこに官房長という必要もない、こういうふうに考えております。労働省につきましては大体同じことだと思います。現状と変らないと思います。従つて官房長も現在ありませんので、そのままにしておきます。ただ一つ私の所管しております建設省におきまして官房長ができますので、その点について御質問がありましたが、建設省官房は今までの仕事に加えまして、建設機械に関する仕事、いわゆる建設機械一つの課でやつております。それから建設業に関する管理、これも建設業課というのでやつております。その仕事二つ新らしく加わつて来る。それから監察公共企業に関するいろいろな汚職事件その他問題が多いのでありますので、政府方針としてそれを嚴重に監察して行くとい意味で、法令監察官というものを明定することにいたしまして、それがやはり官房の中にある。こういうようないろいろな関係からいたしまして、官房長を置くということにいたしておる次第であります。
  11. 松原一彦

    松原一彦君 もう一つお尋ねしますが、私は官房がある以上は官房長があるというのが大体の建前で、ないのが異例かと思うのでありますけれども、従来は五局以下には官房長を置かん、六局以上には官房長を置くというような標準があるかに聞いておつた。よく私は知らないのでありますが……その点につきまして行政機構建前から何か官房長を置く置かんということに対する標準がおありになるでしようか。あつたら承わりたいと思います。
  12. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 別に私は五局以上を置くとか置かんとい標準があつたということは、今まで聞いておりませんです。大体事務実情に応じまして今まで置いて来たものと考えております。今度の改正についての考え方は、大体従前通りと考えているのでありますが、建設省につきましては、今申しましたように三つばかり課に相当するような仕事が殖えましたので、今度官房長を置くことになつた、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  13. 松原一彦

    松原一彦君 承わるだけにしておきますけれども、まあ官房長は、あるのが本式であつて、ないのが異例であると私はまあ思つてつたのでありますが、併しいろいろ聞いてみまするというと、ないところが三つだけで、今まで四つあつたのが、今度は建設省のほうに官房長を置かれるというので、実は気がついたようなわけです。ほかには置いておかんでも済む代り、事務分量等によつておきめになるのであるとすれば了解するのであります。そういう意味から申しましても、厚生省の今度の機構は非常に大きいのであります。外局も内局になりまするし、附属機関も御承知の通りに病院、療養所試験所研究所等が非常に大きい。その最も鬼大組織機構を持つている厚生省専任大臣がない、これはまあ当分のことでありましようけれども、官房長もない、そうして次長等も創られるということになると、運営の面から見て私は心配に堪えないのであります。さような意味から標準があれば承わつておくし、標準はなく、事務分量によつて適宜に裁定する問題とするならば、私は修正の意見も出したい、かような希望を持つて承わつたわけであります。一つ資料を頂きとうございます。
  14. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 教育施設部、それを廃止してどうなるのですか。管理局事務はやるというわけですか、それを例えば課に落すとかというようなことでやつて行くわけですか。
  15. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 現在のこの設置法改正前でございます。現在の機構について申上げますと、管理局の中に教育施設部というのがございまして、教育施設部に属する課が二課二室ございます。それで今度の改正案によりますと、ただ局部課となつております。その中間の部がなくなる。それだけのことでありまして、その二課二室というものは、やはりその事務その機構管理局にそのまま置かれる、こういうことになつております。要するにもう少し具体的に申しますと部長が一人減るということだけであります。
  16. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると施設課なら施設課はそのまま、ただ田中部長がいなくなる。そういうわけですか。
  17. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 具体的に人の点から申しますと部長が一名整理される、こういうことであります。
  18. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 部長がおつても結局何の役にも立たんのだ、だからやめさせたとい結論になつてしまうのですが、何かうまい説明はないのですか。ただここで言うと、今まで要らんものを設けておつたけれども、こういうことになつてしまつて、実際運営の上に非常にいいところが……、部長がいないほうがいいのだという理窟はないのですか、どうですか。
  19. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 従来管理局教育施設部では文教施設に関する事務をやつてつたわけであります。それは管理局のほかの課とは仕事の上で多少一室でございますので、教育施設部という部の中でやることが非常に仕事の実際の運営にあたりましても好都合でありますし、即ち局長まで煩わすことなく部長限りで以て仕事ができたというたしか利点があるわけでございますが、今般先ほど申上げました通り、各省の部というものを全部廃止するとい方針が樹立されたので、部が廃止になりますということはけだし止むを得ないものと考えております。
  20. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は校舎建築の問題ですが、それから新設の問題もあるでしよう、古くなつたものを、或いは修改というようなものについて非常に大きな問題で、一体PTAと言いますか、そうしたところの負担も非常に多くやつておられるときに、文部省のほうの態度としてまあ部長さんというものを一人欲しい、まあ輿論としてですよ、私は輿論としては相当各県も市町村もそうであろうと思いますが、そういうものに対して大体やつて行ける自信はあるのですか。
  21. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 仕事の量におきましては改正後と雖も実質的には関係ないわけでございます。ただ機構が局、部、課となつてつたのが局と課その二本だけとなつた、それだけでございます。実質的には今後仕事運営に当つて支障のないようにやつて行きたいと考えております。
  22. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) ちよつと補足的に申上げておきますが、教育施設部学校営繕をやつておりましたが、この点につきましては文部省のほうで新らしい機構の下でも十分やつて行かれると思いますが、若しそれが十分に行かない場合には建設省営繕局で十分調査して、実行上支障のないようにするという大体の方針であります。
  23. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうした建設省関係があるのでありますが、これは私は今初めて承わつたのでありますが、実際今まで通りぐらいではこれは迚も悪くて、相当仕事予算を取つてつて頂かなければ、実際PTA負担は多くてやつて行けないだろうと思います。だからそうした面において納得の行かない、本当に画一的なものでやられてしまうということでありますから、その点については私は最も今言つたように十分文部省が充実してやつて行かれれば、その仕事と言いますか、実際片一方で学校ができないのに対し、文部省予算が取れないからしようがない、金を出してくれなかつたからしようがないということで投げてしまうというようなことではしようがないのでありますから、そういうことのないようにお願いいたします。  もう一つ教科書の問題なんですが、これは何かこういうことをやつて行かれることについて、中央教育審議会などの関連も、何か一連の教科書統制というようなものをやられるお含みではないだろうかというような疑いがありますが、そういう点に対してはどうでしようか。
  24. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 教科書に関する統制というようなことは全然考えておりません。要するに先ほど申上げました通り教科書行政三つの局でやつていた。教科書を先ず業者が文部省検定を申請する、それが管理局に行き、それで教科書内容誤りがあるかないか、文部省検定した教科書について内容に多少の誤りを発見した、そういうものに対する措置は、それは初等中等教育局、それから教科書の配給がうまく行かない、末端まで間に合わない、末端まで行つていない、そういうような問題については調査普及局というように、同じ教科書行政でありながら三つの局でそれぞれ所管しているということは、施策の一環としても、責任の所在も明瞭ではない、今回一つの局でそれをやるということにしたわけでございまして、全くほかの意図はございません。
  25. 中川幸平

    中川幸平君 文部省のほかにまだ設置法一つ議題にするのじやなかつたのですか、それも一緒にしてもらつたら……
  26. 河井彌八

    委員長河井彌八君) この次に運輸省を考えておりますが……。
  27. 中川幸平

    中川幸平君 政府委員見えておらんですか。
  28. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御質疑があればもう少し文部省をやります。
  29. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 教育会委員制度に対しまして、初等中等教育局企画とか指導ということをやられるのですが、実際どんなことをやられるのか。
  30. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 現在教育委員会主管課といたしましては、調査課普及局地方連絡課というものがございまして、そこでやつておるわけでございますが、そこでやつております仕事をそのまま初等中等教育局に持つて行こうというわけでございます。教育委員会制度に関する企画とか指導とか、指導につきましては教育委員会とい制度がうまく行くように指導をする、それ以外のことはございません。企画につきましては、現在私どもが当面しておる問題といたしましては、市町村教育委員会をどうするか、どのようにして行くかというようなこと、即ち教育委員会法に関する問題でございますが、こういうことにつきましては教育委員会制度全般に関する問題に取組むというわけでございます。
  31. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 教刷か何かで結論出ていなかつたのですか、教育委員会制度の……。
  32. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 教育委員会制度は、教育刷新審議会が第一次のアメリカ教育使節団報告書によつて、日本の実情に合うような案を考えまして政府答申いたしまして、その答申に基いて昭和二十三年に教育委員会法というものが制定されたわけでございますが、その教育委員会法制定以降、即ち昭和二十三年以降におきましては、別に教育刷審議会では何らの答申或いは建議もしておりません。ただ教育委員会制度をどういうふうにして行くかということにつきましては、教育刷新審議会以外のいろいろな委員会協議会というようなものが多少の結論を出しております。文部省が昨年文部省内に教育委員会制度協議会という、これは別に法令の根拠を持つておりませんですが、文部大臣諮問機関といたしまして、教育委員会制度協議会というものを設けまして、教育委員会仕事と実際に携つておられる人々とか、或いは市町村長或いは知事とか、或いは民間の学識経験者地方自治庁関係者、こういうようなかたがた委員をお願いいたしまして、一応の教育委員会制度に対する答申をして頂きました。それから別に内閣に設けられておりました政令改正諮問委員会でも教育委員会制度について一応の答申内閣総理大臣にしているのであります。そのほかに、内閣に設けました地方行政調査委員会、これでも教育委員会制度に関して若干の勧告政府にしておられるのでございます。都合三つ教育委員会制度に関する答申、或いは建議というようなものがあるのでありますが、この三つは余り一致しておりません。文部省としては先ほどここで御審議を頂きました第一次の文部省改正法によつて中央教育審議会というものも最近発足いたしますので、この審議会にも教育委員会制度の問題について何らかの意見を求めることも実は考えております。
  33. 楠見義男

    ○楠見義男君 私少し遅刻して参りましたから、或いは他の委員から御質問になつたかもわかりませんが、若し重複しておりますれば御答弁はよろしうございます。あとで伺いますから……。それは今度の改正法律案の第二十六條の中央教育審議会でありますが、中央教育審議会は、つい十日ほど前にこの委員会審議を了しました。文部省設置法改正法律で新たに設けられたのでありますが、今回出たこの法案によりますと、教育のほかに学術又は文化に関する基本的な重要施策を調査審議すると、こうなつて、まあ皮肉な言い方ですが、十日間も、一月ほどの間に学術又は文化に関する基本的な重要施策文部大臣はこういう機関に諮問しなければならん特別の事情が生じたようにも取れるのですが、そこでこの前大臣から伺つた説明によりますと、教育については、終戦後我が国に新たに入つた六三制の問題、或いは国立大学の整備の問題等、世人から見ても成るほどと思われるような現在懸案事項があると思うのであります。そういうことについて成るほどあの人がきめたならばというような人格高潔、又教育に関して広い高い識見を持つている人で委員会を構成し、そうしてその委員会委員かたがた意見を徴して重要施策をきめて行くと、こういうお話で御尤もだと思つたわけでありますが、ここに新たに学術又は文化に関する基本的な重要施策というものが入つて、而も学術、或いは文化についてのこの設置法の定義を見ますと、例えば学術については「人文科学及び自然科学、並びにそれらの応用の研究をいう。」と、「文化」とは、芸術及び国民娯楽文化財保護法に規定する文化財、出版及び著作権並びにこれらに関する国民文化的生活向上のための活動をいう。」、こうなつておりますが、今文部省としてここに定義されているような学術或いは文化についてどういう客観事情の下において、どういう方法で基本的な重要施策をこの際作る必要を感ぜられているのか、その間の事情を御説明を願いたいと思います。
  34. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) ここに今回学術又は文化というような、そういう文字が加わりました。これは本来第一次文部省設置法改正案の中にこれは盛るべきであつたと思うのであります。今回加わりましたことについては、本来文部大臣教育学術文化についての文化行政に関する主管大臣である。こういうような考えで殊に学術及び文化について例えば何をしなければならない。それを直ぐ中央教育審議会にかけなければならない、こういう問題を持ち合しているというわけではござざいません。
  35. 楠見義男

    ○楠見義男君 聞き洩したのですが、現在は差当りその教育学術又は文化についてやらなければならんような問題はないと、こういうような御答弁だと思いましたが、そうですが。
  36. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) これは一つは従来の文部省設置法の、先ほど申上げました通り、大半を改正をいたしましたので、従来は教育という文句に従来の文部省設置法学術及び文化を含むと、こういうふうに入つておりましたが、教育だけでなく従来の中央教育審議会所掌事項であるところの教育というものには当然文部省設置法の規定によつて学術文化が入つていません、今回はそれを抜き出したと、そういうように御了解願いたいと思います。
  37. 楠見義男

    ○楠見義男君 これは今の御答弁は甚だ失礼ですが、如何にもごまかしの御答弁のように取れるのですが、ということはこの前の中央教育審議会については文部並びに内閣委員会連合委員会でお聞きのように、随分これは白熱的に論議された問題であるわけであります。そこで例えば二十人とい委員の数も教育、特に六三制なり、国立学校の問題とか、そういうことを中心で大臣もその線を一歩も出でられずに進められて、而も題名は教育であり、教育審議会であり、内容教育文化とか、或いは学術という、而も人文科学自然科学或いは国民娯楽に及ぶまで、こういうようなことについては御説明はなかつたと思うのであります。    〔委員長退席理事中川幸平委員長席に着く〕  そこで恐らくこれは新たにそういう必要が加わつたのではないかと思つたのですが、そういう必要が今のところはないということであるとすれば、強いてこの際これを加えなくてもいいんじやないかという気もすると同時に、逆に言えば教育のほかに学術又は文化というような広範なものになつて行きますと、先般の文部省設置法の際に伺つた説明によると、教育だけでも二十人くらいの委員が必要だというのは、こういうふうに学術とか、文化というような広くなつて来ますと、委員それ自体も二十人では足りないのじやないかという新らしい疑問が出て来たのですが、その点はどうなんでしようか。
  38. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) このお手許に今御覧だと思いますが、文部省設置法の一部を改正する法律案に関する新旧対照表の第二頁の上のほうが現行法でございますが、この法律で軍に教育という場合には学術文化を含むものとする、こういうことがございまして、従来の中央教育審議会教育に関するというものの中には学術文化が当然入つていたわけであります。今度はこの改正案のほうには、教育という中には文化学術という文句が入りませんので、こういうふうに特に中央教育審議会審議事項の中に入れて来たと、こういうわけでございます。
  39. 中川幸平

    理事中川幸平君) それでは文部省設置法の一部を改正する法律案の質疑はこの程度にして、又後日にやることにいたしまして、運輸省設置法案の説明を聞くことにいたします。   —————————————
  40. 中川幸平

    理事中川幸平君) それでは運輸省設置法の一部を改正する法律案について説明の大要を聞きます。運輸省の文書課長
  41. 谷伍平

    説明員(谷伍平君) 先般運輸大臣から細かい法律案提案理由並びに要旨について御説明申上げた次第でありますが、この法案の内容につきまして逐條的に順を追いまして簡單に御説明申上げたいと思います。  その前にちよつとお断りいたしておきたいことは、この法律案は今国会にやはり提出されております航空法案で、航空法案の附則におきまして、運輸省設置法改正しておりますので、これが今国会を通過成立することを予想いたしまして、それを受けてこの法律案が立案されておりますことをあらかじめお含み頂きたいと思います。  先ず目次でございますが、地方支分部局の公共船員職業安定所が今回行政簡素化趣旨によりまして海運局に統合されましたので、これを削りまして、又外局の海上保安庁が総理府の保安庁に移管されることになりましたので、これを削除いたしましたと同時に、只今外局でありますところの航空庁を権限の明確化というような趣旨から内局に移しますので、これを外局から削除してございます。従いまして内局は従来の海運局、船舶局、船員局、港湾局、鉄道監督局、及び自動車局に航空局が加わりまして、七局となるわけでございます。又外局は、最近これも今国会において成立をみましたところの、法律によりまして設置されました捕獲審検再審査委員会を併せまして、従来の船員労働委員会及び海難審判庁、併せまして三つになるわけでございます。  それから第四條の権限のところへ参りまして第十四号の二から第十四号の四までは、経済安定本部廃止に伴いまして運輸省に移管される事務につきまして規定したわけでございます。  それから第十四号の五から第十四号の十までは、外国為替及び外国貿易管理法、輸出品取締法、外資に関する法律、中小企業等協同組合法及び工業標準化法というような法律に基きます権限を明確に規定したわけでございます。  それから第十四号の十一から第十四号の十三までは、現在の大臣官房観光部の所掌事務でございますが、官房所掌事項は現在順序は不同になつておりますので、その関係で順を追つて配列する意味におきましてこの位置を前に移して来ただけの規定でございます。  それからその他変つております権限のところは、先ほど申上げましたように、海上保安庁の警備救難関係が総理府に参りまして、その他の保安庁の海事検査部の仕事、それから水路部、燈台部の所掌事務運輸省に移管されることになつておりますので、海事検査部の事務がそれぞれ海運局、船舶局それから船員局にそれぞれ分属させ、又水路部、燈台部はそれぞれ附属機関として運輸省に入つて参りますので、その関係の権限を受けてこちらで規定したことになつております。  それから少し先へ参りまして、第三十一号は国有鉄道調停委員会という現在名称になつておるのが、これが電気通信公社が設立されることに予定されておりますので、公共企業体の調停委員会が一本にまとまつて公共企業体労働関係法の改正で、公共企業体調停委員会という名称に改められましたので、これに伴いまして改正したわけでございます。  それから第四十四号の二から四十四号の九までは、これは先ほど申上げましたような航空法の附則で直りましたところの航空庁の権限を、内局として、航空局の権限としてこちらへ受けて規定したわけでございます。  それからそれに続きまして第四十五号から四十八号までは、やはり今国会においてすでに成立しました気象業務法の関係で、気象台の所掌事務所掌事項が表現が相当変りましたので、それを受けて規定しておるわけでございまして、それから第四條第二項の臨時の権限がそこに規定してありますが、臨時物資需給調整法が失効いたしまして、新たに国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律が制定公布されましたので、これに合せまして整備をしたわけでございます。  次に第二十一條の特別の職について御説明申上げたいと存じます。従来大臣官房に観光部、それから海運局に海運調整部、鉄道監督局に国有鉄道部及び民営鉄道部、それから自動車局に業務部及び整備部の六つの部が置かれてありましたが、これらの部は中間段階的な機構であるという考え方から、行政簡素化趣旨に則りましてすべて廃止することになつたわけでございます。併しながら事務分量から申しまして、一挙に部を廃止しつ放しでも困りますので、事務の特殊性及び分量から考えまして、大臣官房に観光監を置き、又鉄道監督局、自動車局、及び航空局にそれぞれ次長一人を置くことにいたしまして、それぞれの長を助けまして、事務運営に遺憾なきを期したわけであります。  それから第二十二條に大臣官房事務がそこに掲げられてございますが、大体におきまして第四條の運輸省の権限のところで追加になりました事項をそこで加えているわけでございます。  第二十三條の海運局の所掌事務につきましては、海上保安庁は、先ほど申上げましたように、海上保安庁の中の相当部分の事務がこちらに参りまして、海運局その他の局に分属になることになりますので、その関係事務をここに追加いたしているわけでございます。以下船舶局、船員局についても同様でございまして、更に鉄道監督局、自動車局につきましても、第四條の関係で追加になりました権限事項に対処する各局の所掌事務を追加し、或いは他の法律で変りましたのに伴いますところの権限を追加しているわけでございます。  二十八條の二は、先ほど申上げましたように航空局が内局となりまして、ここに位置を変えて規定してあるわけであります。  それから二十九條の附属機関でございますが、海上保安庁の水路部及び燈台部が海上保安庁から運輸省に移管されまして、こちらの附属機関になるわけでございます。名称は現在のところ水路部、燈台部という、どちらも部という名前を用いておりますが、古くから燈台につきましては、海上保安庁になる前々から燈台局という名称が親しまれておりますので、別に格上げというような考え方ではなく、親しまれた名前を使おうということで、燈台のみにつきましては燈台局という名称になつております。又現在ありますところの海員養成所につきましては、前々から海員養成所というのはどうも徒弟教育的なにおいが強く、学校という名前にしてもらつたほうが性格がはつきりするということでありまして、それを今回海員学校という名称に変更をしたわけでございます。  それから現在航空庁の中の機関でありますところの航空保安事務所、航空標識所、これらは航空庁が内局となりました関係で、本省の附属機関となつて来るわけでございます。なお航空機等の試験、研究が従来禁止されておりますのでありますが、これはポ命令で、航空機等に関する措置に関する件というポ命令がございまして、これは別途提案されております航空機製造法案の附則で廃止されることになつておりますので、廃止されたことを前提といたしまして、第三十一條の運輸技術研究所の試験、研究の項目に航空機及び航空保安施設に関する事項を追加いたしたわけでございます。  それから三十二條と三十三條の関係でございますが、水路部、燈台局が運輸省附属機関となつたわけでございますが、その地方機関があるわけでございまして、その地方機関の位置、名称は運輸省令で定めることといたしておりますが、地方自治法の百五十六條の規定によりまして、水路官署につきましては国会の承認を要しないことが第五項ではつきり規定してございますが、燈台局の地方機関につきましては、国会の承認を必要とすることになりますので、別途燈台管理部の設置につきましての御承認をお願いする案件を提出してございます。  第三十入條の、その他の附属機関につきまして変りましたところを申上げますと、従来海上保安庁の附属機関でありましたところの海上保安審議会と水先審議会をこちらへ、運輸省に移管されます事務に応じまして、運輸省附属機関に移して運輸大臣諮問機関といたしたわけでございますが、海上保安審議会につきましては、従来と多少性格が変つて参りますので、運輸省におきましては、海上における交通に関する安全の面を審議するとい意味におきまして、名称を海上安全審議会というふうに変更いたしたわけでございます。  第四節以下の地方支分局につきましては、地方海運局及び陸運局の所掌事務につきまして、本省各局の所掌事務が今御説明申上げました通りいろいろと変つて参りますので、それに対応して必要な整理をいたしております。  最後に附則でございますが、附則で関係法律改正いたしておりますが、これについて簡單に御説明申上げますと、船員保険法ほか十件ございますが、いずれも今度の機構改正に伴う單なる整理でございまして、特別に取上げて御説明するまでもないのでありますが、ただ多少機構的に変つて参りますのは、海難審判法の改正についてでございます。で、海難審判法の改正の要点は、現在理事官の海難審判の事務が、海難審判理事官の事務が海上保安庁にあるわけでございますが、これが運輸省に移管されることになるわけでございます。運輸本省の附属機関とせずに、海難審判庁のいわば附属機関というふうな恰好で、海難審判法にこれを謳いまして、海難審判に関する審判の請求面と、それから審判の面と相協力いたしまして、海難原因の探究に遺憾なきを期したいとい趣旨改正を行なつたわけでございます。  大体以上申述ぺましたところがこの法律の大要でございます。
  42. 竹下豐次

    竹下豐次君 只今詳しく御説明を承わり、大体わかつたようでありますけれども、ほかの官庁との移管の問題等殊に複雑しておりますので、甚だ御迷惑ですけれども、今お話のことをあとで謄写板に刷つて配付して頂いたら、この後の審査に非常に便利だと思います。なかなかこの法案、見にくうございますから……。
  43. 中川幸平

    理事中川幸平君) 只今説明された文書課長のほかに、運輸大臣官房長の壷井君と、それから間嶋観光部長が見えておりますので、御質問のあるかたはお述べを願います。
  44. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 私は細かい質問はあとにして、この法の体裁についてちよつとお尋ねしたいのですが、非常に乱雑なように思うのです。例えてみますと、三ページの一行目の十四の二と、十二ページの十六の二とどう違うでしようか。それから三ページの十四の三と、それから十二ページの十六の三と、特にこういうようにされた理由はどこにあるかということです。例えば十三ページの最後には「企画立案」という言葉が使つてあるけれども、十六の二の「計画を樹立する、」それから今度三ページには「企画立案」という言葉が使つてありますが、この意味の相違はどうでしようか。
  45. 谷伍平

    説明員(谷伍平君) 只今の三ページの十四の二と、それから十二ページの十六の二との関係でございますが、これは四條のほうは大体の運輸省の権限の大枠が書いてございまして、それを受けましてこの十二ページのところの官房の各課でこの仕事をやるということを具体的に所掌事務として掲げられてあるわけでございます。ここで多少こちらの二十二條のほうはニユアンスとしまして具体的な事務が書いてありますので、多少具体性をこちらでは帯びておりますし、それから前の四條のところでは、表現が割合大まかだと、こういう差異があるわけでございます。
  46. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 それは実におかしい話ですが、そうすると、もう少し法文を慎重にこういうものを作つてもらわんと、私はいつも文句を言つておるのですが、その前は大臣の権限を列挙してあり、それから二十二條のほうは官房としての内部的な権限とか、或いは所管事務が書いてあることはわかつているのですけれども、字句を特にこういうふうに変えられたことは、ニユアンスとか何とか言うが、あなたには通じても皆には通じないことなんですが、一体これでもかまいませんけれども、最近は実に乱暴が多いのです。字句が、十四の二は「基本的な」と書き、十六の二は「基本的」と、これはどういうふうに違いますか。
  47. 谷伍平

    説明員(谷伍平君) これは字句の細かい点につきましては、大体政府のほうとしましては、法制局の審議を経まして字句を整理したわけでございまして、多少細かい点におきましては、言葉の使い方でそれぞれ好みがありますので、多少前と後が違うというようなことがあり得るのでございますが、まあ余り褒めたことではございませんが、別にそれによりまして内容的にひどい差異が出て来るというふうなことはないと存じております。
  48. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 いや私は、そう差異のないものならどうして同じ言葉が使えないかということを言うのです。そこで野田大臣にお願いいたしますが、これは私どものやつた時代にもこういうことがありますが、最近は特に多いのです。この間の農林省設置法といい、これといい、少くとも同じ法律においては用語は統一しないというと、別意を生じたり何なりしていかんと思うのです。従つてあらかじめ若し差があるならば差があるということを話してもらいますし、説明をしてもらいますし、ないならば同じようにするようにして頂きたいと、こう私は希望いたします。
  49. 楠見義男

    ○楠見義男君 二、三点だけ伺いたいのですが、先ず第一点は、海上保安庁の事務が一部新らしくできる保安庁に移行するのに伴つて関係でありますが、どういう基準で一部のものは運輸省へ残し、それから一部のものは保安庁に行つておるか、この点についての大体の構想をお伺いしたいのです。と申しますことは、例えば海難救助の問題ですが、新らしくできる保安庁の任務においては、「海上における警備救難の事務」をその任務の一つとしております。    〔理事中川幸平君退席、委員長着席〕  そして警備隊のほかに、新たに又設けられる海上公安局においては、「海難の際の人命、積荷及び船舶の救助に関すること。」、勿論括弧して「運輸省の所掌に属するものを除く。」とこうありますが、海難救助の仕事を海上公安局でやり、警備隊も今申上げたように、その任務としてやつております。同時にその基本的なと言いましようか、海難救助の制度の調査及び企画立案については、これは運輸省の海運局でやつております。ということで、従来の警察予備隊の関係は、大体すつきりとそのまま新らしく設けられた保安庁の中の第一幕僚監部の下における保安隊というものに包攝されておるのでありますが、海上保安庁関係だけは警備隊に行つたり、公安局に所管したり、或いは運輸省の海運局に所管せられたり、どうもはつきりしないのであります。従つてそういう点から先ほど申上げた基準、どういう基準でやつておるかということを先ず伺い、具体的には海難救助の問題について、なぜこういうふうに具体的に三つになつておるか、この点を先ずお伺いしたいと思います。
  50. 壺井玄剛

    政府委員(壺井玄剛君) その点は仰せの通り大変困難でございましたのでありますが、大体の基本観念といたしましては、運輸及び直接航路の安全に関する仕事運輸省において原則として扱う、そうして海上における安全の実施に関する面は海上公安局において取扱うというふうな基本観念で分けたのでございますが、やはり依然としてその間に明確を欠く点があるのではないかと思うのでございます。そこで一つ一つの事項につきまして、これは運輸省、これは海上公安局、これは警備隊というふうに分けたような次第でございまして、今御指摘の救難業務につきましては、救難業者の監督に類するようなことは海運局で取扱う、航路を閉塞いたしておりまして、どうしてもそれを撤去しなければならないというようなものは公安局で取扱うというふうな考え方で分けたような恰好になつておるわけでございます。私どもといたしましてはできるだけこういつたあいまいな点を残さないように努力したいと考えておるのでございますが、今後の運用によりましてこの結論を出すようにお願いしたいと思つておる次第でございます。
  51. 楠見義男

    ○楠見義男君 今の海運局の新らしく改正せられる第二十三條の一項八号に、「海難救助の制度の調査及び企画立案」とありますから、さつき申上げましたような疑問も生じたのですが、ここにあるのは、今の御説明によると、海難救助に関する業者の監督と、こういうものを指すのですか。
  52. 壺井玄剛

    政府委員(壺井玄剛君) 海難救助の制度の調査及び企画立案に関しますことは、原則として航海安全の最も枢要な部分でございまして、船員行政も、それから海運行政も、すべて運輸省の海運行政の中心になつております機構が、海難を如何にすれば軽減できるか、而して海難が起つた場合にそれを最小限度に食い止める、或いは救助するというようなことは如何にすれば一番経済的で有効であるかということについての事項が海運行政、いわゆる海運政策の相当中心的な部分を占めておりますので、海運局においてそれを所管をするというふうに一応考えたのでございます。
  53. 楠見義男

    ○楠見義男君 先ほどの大きな分類における最初の運輸省に所管される基本方針としての基準はちよつと聞き洩しましたが、運輸省及び航海安全の基本に関する事項と言いますか、こういうものは運輸省だと、こういうことでしたか。
  54. 壺井玄剛

    政府委員(壺井玄剛君) その通りでございます。
  55. 楠見義男

    ○楠見義男君 そこでその基本的なことは運輸省企画立案し、そうしてその航海安全の基本計画に従う海上安全の実施は公安局だと、こういうことでありましたが、そうすればなぜ海上公安局を運輸省附属機関と言いますか、或いは外局とか、そういうふうにせずに、保安庁に移したのでしようか。
  56. 壺井玄剛

    政府委員(壺井玄剛君) 私どももそれが一番いいかと思つたのでございますが、公安局に所属しております船の数が相当多数に上つておりまして、その実施行為自体で直接海上警備隊の警備活動と共用に使うということが最も経済的に有利であるということと、同時に一部、海上公安局におきまして関税逋脱の防止に伴ういわゆるロー・エンフオースメントと言われております仕事、それから漁業に関するロー・エンフオースメントの仕事も併せて行つておりますので、そういう海上におけるロー・エンフオースメントに関する実力行使のいろいろな行政機能を、一元的に船を持つておる所に集中いたしまして実施するのが非常に有利ではないかとい意見差当り結論的に考えられましたが、取りあえず運輸省に置かないで、海上警備隊の所属しております保安庁の中に置くということになつたわけでございます。
  57. 楠見義男

    ○楠見義男君 海上公安局を運輸省に属せしめずに、保安庁に属せしむることについては、その一つの理由として、警備事務に関して共同に使用される場合があるというようなことの御説明でありましたが、実は変なたとえでありますが、ひさしを貸して母屋を取られたような感じがするのではないか。これは別に所管争いとか何とか、そういう意味ではなしに、というのは、この前海上保安庁の増員をした場合に、警備救難ですか、これを一つ組織にして警備隊を作る。これは海上救難に当つて機動的に動く必要があるので、従つてそれを機動的に動かす、そういう機関を特別に作るのだと、こういうことで、むしろ海上安全の実施或いは海難救助と言いますか、こういうことに主力があるような運輸大臣の御説明であつたのであります。従つて毎上保安庁の点につきましては、航海安全ということ、又海難救助ということの基本的な問題が運輸省においてきめられるとすれぼ、それに従来通り属せしめるのが適当かと思うのでありますが、併しこれば私の意見であると同時に、この問題については運輸大臣及び海上保安庁長官の従来の言明との関係もありますから、それらのかたがたが御出席の際に私は改めて質問することにいたして、この点についてはこの程度にいたしておきます。  それからもう一点お伺いしたいのは、観光部の廃止に伴う観光監の設置でありますが、部の問題につきましては、これは野田大臣もここにおられますが、各省における部制度の廃止に関連して、再々ここで論議されましたから、一般的な問題については省略いたしますが、私はこれも多少意見になりますが、同時に意見をまじえて恐縮ながら質問いたしたいのでありますが、観光事業というものはこれからの我が国の、特に運輸省における仕事の面から言えば、ひとり運輸省のみならず、外貨獲得の観点から申しても、非常に重要視しなければならん問題だと思うのであります。従つて部を廃止しても監を設けて、必ずしも縮小ということを意味しないというような御答弁があるかもわかりませんが、どうしてもそういうような感を抱かざるを得ないのであります。なぜこの機構改革に当つて合理化をすると同時に機能を挙げる必要からいつて運輸省としては部を観光局というふうに、昔ありましたように、むしろ積極的に拡大強化するの措置をとられなかつた、その事情についてお伺いいたしたいと思います。
  58. 竹下豐次

    竹下豐次君 関連しまして。観光事業というのは将来の日本として非常に大きな関係のあることだと思つておりますが、スイツツルの観光客による収入というものは、あの国としては相当に大きな収入になつておるように聞いておるのであります。つきましては、観光地として特に世界的にすぐれておるスイツツルの観光に関する行政組織というようなものがどういうことになつておるのですか。この機会に楠見委員質問に対するお答えのあとでも前でも結構でございますが、承わりたいと思います。
  59. 壺井玄剛

    政府委員(壺井玄剛君) 楠見先生の御質問に先ずお答え申上げまして、観光部長がおられますから、スイスの問題はあとで御答弁申上げます。私どもも観光が極めて今後の外貨バランスの改善に非常に日本にとつては重要である。従つて機構もこれに応じますように、強力にして充実した組織を作るべきであるという確信を持つております。今回は政府の大方針として機構簡素化する。そこで何かほかに簡素化する局はないかということで、随分行政管理庁のほうとも御協議を頂きまして、いろいろ研究したのでございますが、どうもうまく簡素化するところもできないでおりました関係もあり、簡素化趣旨から言いまして、今一局運輸省で殖やすということは極めて困難であるというところが正直なお話でございまして、そこに至らなかつたようなわけであります。今後運輸行政もいろいろ変転して参ることと存じますので、早急の機会に観光が大いにクローズ・アツプせられるように関係の方面にお願いいたしまして、実施いたしたいと考えておる次第であります。
  60. 間嶋大治郎

    政府委員(間嶋大治郎君) 只今スイスの観光についての御質問でございましたが、スイスの観光機関といたしましては、一九三九年に法律でできましたスイス中央観光局というのがございます。これはスイス連邦の郵政鉄道大臣の監督下にありまする特別な機関でございます。性格といたしましては、完全な政府機関ではない、何と申しますか、特殊な性格を帯びた機関でございます。政府が資金を出しますと同時に、民間からもこの活動に対する資金を集めるというような組織になつております。行いまする業務は、対内、対外の観光宣伝、それから観光事業全般に関しまする政府に対する建議、或いは又政府からの諮問機関というふうな役割を果しているようであります。外国の観光機関の模様を見ますと、その国の国情或いは沿革によりまして、大分それぞれ趣きを異にしております。政府部内に非常に大きな観光機関を持つておりまするところ、それから又今申しましたスイスのように、特殊な性格を持ちました、純粋の政府機関でもなし、民間機関でもなし、又日本のような公益法人というような形でもございませんで、法律に基いて特殊な機関を設立して観光事業をやらしておるという所も若干ございます。スイスは今申上げます通り、そういつた特殊な性格を持ちましたスイス中央観光局というものが法律でできております。
  61. 中川幸平

    中川幸平君 これまであつた観光部をそのままで局に直すと、相当経費もかかるのですか。いま一つ交通公社、あれは純然たる民間会社でありますか。その点を一つ伺いたいと思います。
  62. 壺井玄剛

    政府委員(壺井玄剛君) 予算は殖えないで行けると思うのでございます。交通公社は公益法人、社団法人であります。
  63. 竹下豐次

    竹下豐次君 只今の御説明でその機構はわかりました。どのくらいの規模でやつておりますかという点と、それからもう一つは、現在日本で取扱つておるところは、運輸省厚生省建設省で、我々から見るというと、一本にしたほうがよさそうなものが三つに分れております。これがために観光の関係支障を来すというふうなことがありやしないかと考えておるのでありますが、スイツツルではそういう点が統一されておるのか、まちまちになつておるのか、その点を併せてお話承わつておきたいと思います。
  64. 楠見義男

    ○楠見義男君 関連して私から……。ついでに観光事業行政といいますか、言葉は適当でありませんが、その観光行政現状と並びに将来の方針といいますか、そういうものについても、併せて一つ説明を頂きたいと思います。
  65. 間嶋大治郎

    政府委員(間嶋大治郎君) 詳細なる資料はございませんので、詳しいことは申上げられませんが、スイスの観光活動につきましては、例えば資金の面から申上げますると、最近におきまするスイスの中央観光局の経費は四百五十万スイス・フランでございます。そのうち三百万スイス・フランが政府、残りの百五十万スイス・フランが民間から醵出されておる。約四スイス・フランが一ドルになります。そうしてスイス中央観光局は、先ほど申上げました通り、対外宣伝の面をも担当いたしておりまするので、国外に目下のところ十六の宣伝事務所を持つて活動しておるのであります。そうして今申上げました通り、対外観光宣伝活動以外に、政府の各行政機関に対する建議、或いは又それらの諮問に応ずるというような仕事をし、又各州、各カントンにありまする観光協会というようなもの、或いはその他の観光団体に対しまする指導的な役割を果しておるのでございます。  それから日本の観光行政実情でございまするが、観光行政というものを広く解釈いたしまして、観光に関係のある行政というふうに考えますと、これは又非常に広い範囲に亘るのでありまして、運輸省以外にも、国立公園を主管しておりまする厚生省、或いは道路を主管しておりまする建設省、或いは又名勝とか史跡というようなものを保存いたします文部省というように、広い範囲に亘るのであります。運輸省で所管しておりまするいわゆる観光行政というふうなものを御説明申上げますと、現在観光部の中に三課ございまして、計画課、業務課、整備課、こういうふうに区分いたしております。計画課におきましては、観光事業全般に関しまする企画をいたしまするほかに、観光関係の法規の事務、或いは観光関係の法人団体の指導その他の業務、それから資金の斡旋、それに更に税務関係の業務というようなことをいたしております。関係法律といたしましては、国際観光事業の助成に関する法律というものがございまして、この法律に基きまして、観光関係機関に補助金を支出することになつております。それから業務課におきましては、主たる仕事は観光宣伝の企画及びこれが実施に関する指導監督でございます。それから観光観念の普及というような仕事、或いは又観光関係資料の編纂というような仕事をいたしております。資料の編纂のうち一番現在やつておりまする大きな仕事は、戦前政府の手によりまして、オフイシヤル・ガイド・ブツクというものを発行いたしておりましたが、これがその後中止いたしておりましたのを、約三百万円の予算で二年ばかり前から着手いたしまして、近くこれが発刊の運びに相成ることになつております。業務課の仕事は、海外宣伝の企画指導、観光観念の普及、或いは特殊な観光資料の編纂、又士産品の指導改善とい仕事もいたしておるのであります。それからちよつと申し遅れましたが、業務課におきまして、更に通訳案内業、いわゆるガイドの指導監督、旅行斡旋業の指導監督とい仕事もいたしております。関係法律といたしましては、通訳案内業法というものがございまして、ガイドを試験制度にいたしております。国家試験にしております。その試験の実施事務も業務課でいたしております。又旅行斡旋業というものが非常に大きな役割を果しておるのでありますが、これにつきましても、絶えず指導助長の方策を講じておるのでありますが、これに関しましては、今国会に旅行斡旋業法というものが、現在議員提案によりまして、参議院に提出され、審議を受けております。最後に整備課におきましては、主として施設関係仕事でございますが、ホテル或いは旅館等の設備の改善、或いは又業務の指導、サービスの向上というようなことに関しまする仕事をいたしておるのであります。又観光関係のその他の施設例えば道路、港湾、鉄道というようなものにつきましては、観光施設を整備するというふうな見地から、独自の計画を立てまして関係方面にこれを要請する、或いは又関係方面から意見を求められました場合には、観光事業の見地から意見を述べるというような仕事をいたしておるのであります。関係法律といたしましては、国際観光ホテル整備法というものがございまして、その法律に定めました一定の施設基準に合致いたしましたものを、運輸大臣が申請に基きまして登録いたすわけであります。審査の上登録いたしましたならば、これに対しまして或る程度法人税或いは地方税の軽減が行われることになつております。又或る程度資金の斡旋を運輸大臣がやらなければならんというふうなことにも相成つておるのであります。これが大体非常に大雑把に申上げますと、運輸省におきまする観光行政実情でございます。  今後の方策といたしまして、講和條約の発効を機といたしまして、非常に外客の往来が繁くなつて参ります。昭和二十六年におきましては、入国者数が約五万六千人に相成りました。又その消費額も一千四百八十万ドル程度まで上つたのでございます。尤も戦前の最盛期におきましては、昭和十一年におきましては、消費額が当時の金で一億七百万円、ドルに換算いたしまして約三千万ドルということでございましたので、当時に比べますると、まだその規模は半分にも満たないわけであります。併し幸い一番隘路でありました宿泊施設も逐次解除を受けましたので、受入態勢がかなり整備して参りましたので、今後は相当多数の外客の来訪が予想されるのであります。これに対しまして先ず第一に現在考えておりまするのは、海外宣伝の強化であります。これにつきましては、従来先ほど申上げました観光事業の助成に関する法律で、日本交通公社と全日本観光連盟に補助金を若干支出しておつたのでありますが、これを昭和二十七年度におきましてはかなり増額いたしまして、海外宣伝を強化いたしますその一つの方策といたしまして、戦前設置いたしておりまして、戦時中は勿論廃止しておりました海外の宣伝事務所の復活でございます。その手始めとして、この七月一日にニヨーヨークに日本の海外宣伝事務所を日本の交通公社に取りあえず委託して開かせることにいたしました。なおこの業績如何によりましては、来年度におきましては、アメリカの西海岸にも海外事務所を開きたいと考えておるような次第でございます。又海外宣伝の内容におきましても、従来は受入態勢もさほど整備をいたしておりませんし、或いは又資金の都合もございまして、規模が非常に小さかつたのであります。昭和二十七年度以降におきましては、或る程度資金が殖えましたので、その規模を拡大し、又宣伝の方法に関しましても、あらゆる団体を使つてできるだけ効果的にやりたいと考えておるのでございます。又一方受入態勢の問題につきましても、海外宣伝と相呼応して大いに仕事をいたしたいと考えております。先ず受入態勢といたしましては、従来戦争中或いは戦後を通じて、国民の観光事業に対する認識というようなものもかなり変つたものになつておりまするので、この際正しい観光観念の普及、或いは又国土の美化、国土の清掃というようなことも必要であると存じますので、この点に対しても大いに力を入れたい。その一つの方策といたしましては、国内で全国の観光機関の総合団体でありまする全日本観光連盟というものがございますので、これも先ほどの法律で補助金を受けておる。これに対する補助金も或る程度増額いたしまして、こういつた民間団体を総動員いたしまして、今申上げましたような啓蒙運動を先ず強化いたすつもりでございます。又施設の面の受入態勢におきましては、ホテル等は若干接収解除によりまして充実して参つた次第であります。併し地域的に見ますと、まだ必ずしも十分でない点があるのであります。そういうような場所につきましては、更に開発銀行その他の融資の方法によりまして、できるだけ早く整備の方策をとりたいと考えております。又サービスの面におきましても、戦争中及び戦後を通じまして、実際のサービスというものが殆どなかつたわけであります。この点かなり外客からも指摘を受げまして、戦争前におきましては、日本のホテルのサービスというものは、世界的に見ても非常に立派なものであつたが、現在はそうでないという批判もかなりあるようであります。この点につきましては、従業員の再教育というようなことに強い関心を持ちまして、ホテル協会等と十分協力いたしまして、いろいろの方法で再教育をいたしたい、こういうように考えております。それからもう一つ非常に大きな問題は、いよいよ観光事業に大いに力こぶを入れるにつきまして大きな隘路となつておりますのは、日本における旅行経費の問題であります。これが戦前に比べましてかなり日本の観光事業にとつて大きなハンデイキヤツプになつております。非常に諸外国、特に欧州方面に比べまして割高になつておるのであります。これには勿論いろいろな原因がありまして、根本的には為替相場の問題があるのでありますが、それ以外にも、やはり戦後におきまするいろいろな施設をいたしまする場合の資金が非常に高利で、而も短期なものをたくさん使つておるというようなこともあります。或いは又ホテルの絶対数が非常に少いために、或る程度独占的な価格と思われるような高い料金を取つている所もあるということもあります。いろいろの原因はあるのでありますが、いずれにいたしましても現在の日本の、例えばホテル料金だけに例をとつて見ましても、アメリカの一流ホテルに匹適するような料金を取つている。ヨーロツパに比べて見ますると、三割或いは四割がた高いという結果に相成るのであります。これを何とか早く国際水準にまで引下げ、一方において設備を国際水準にまで引上げますると共に、旅行経費を国際水準程度まで早く下げるということが必要である。これにつきましては根本的な為替レートを、特殊なツーリストだけに適用する為替レートの問題も前から各方面から言われておりますが、簡單にはこれはなかなか実現しそうもありませんので、私どもといたしましては、いろいろの方面からできるだけ早く旅行経費が安くなるように努力いたしているのであります。例えば税の問題につきまして、日本のように従来のごとく二十%というふうな高い遊興飲食税というものを課している国は殆んどございません。滞在税とい制度は各国にございますけれども、これもかかつても三%或いは五%程度でございます。こういう問題につきましても、これは四月一日から地方自治庁におきまして、先ほど申上げました法律によつて登録いたしましたホテルに宿泊する外客の遊興飲食税は普通の税額の半額になるというふうな方策を実施いたしております。或いは又日本において買いまする土産品の問題につきましても、大蔵省と交渉いたしておりまして、英国はすでに実施いたしておりますが、英国に来た外人が買いまして、確実に外国へ持つて行く物には輸出品に準じて物品税を免除しているのであります。これも現在大蔵省の大体了承を得ております。ただ実施方法をどうするかという問題があるので現在研究中でございます。英国等におきましては、買いました場合に直接渡さずに飛行場或いは船に届けるといろ方法で、それを外国に持つて行き、国内に闇に流れないということを確保いたしているわけであります。そういつた方策の問題だけが残つているのであります。こういつたことも或る程度旅行経費を引下げることに役立つのじやないかと思います。今英国の例だけを申しましたが、諸外国でやつておりますようないろいろな対策も勘案いたしまして、できるだけ早く日本の旅行経費を引下げる。又業者に対してもこの点十分協力を求めまして、需要があるからということでなしに、やはり国際的なレベルということも考えて、或る程度旅行経費の引下げに協力してもらうように交渉いたしたい。こういうように考えているような次第であります。  いずれにいたしましても、講和條約によりまして客観情勢が非常によくなつた、対外的にも十分な活動ができまするし、又対内的にも従来隘路でありました施設面がかなり緩和されましたので、我々といたしましてはこの機に日本の観光事業を一刻も早く戦前の水準以上に引上げたいと考えて努力いたしているような次第であります。
  66. 楠見義男

    ○楠見義男君 野田管理庁長官に伺いたいと思つておりましたが、中座をされましたから大野木次長に伺いますが、今回の行政機構改革の狙いは、政府説明せられるところによりますと、講和発効後の近代日本にふさわしい機構改革ということが一つ。と同時に簡素能率化を図ることができるような機構にすること。こういう條件で機構改革をやつておられますね。そこで観光部というものを仮に局にした場合に、経費は一向変らないということは先ほども運輸省から御説明があつた通りでありますが、そうなつて来た場合、今の行政機構の改革方針に反するかどうか、どういうふうにお考えになつておるか、その点お伺いいたします。
  67. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) やはり組織といたしまして、局のほうが部より上級の組織になりまするので、今度の機犠の改正では成るべく簡素にするということが狙いでございましたので、実は先ほど官房長のほうからもお話がございましたように、随分問題になつた点もあつたのでございますが、今回のところは局に昇格するというような措置がとられなかつたのであります。
  68. 楠見義男

    ○楠見義男君 私の伺つているのは、部が局になつて昇格したとか、或いは局が部になつて格が下つたとかという、いわゆる従来の官庁観念のことでなしに、新時代にふさわしい立法ということと、簡素能率化ということを言つた場合に、観光部が廃せられて観光監というものができる、こういう場合に観光局というものになつた場合と、それから観光部になつた場合と、三つのことを考えて見ますと、その組織体としては余り変らないと思うのですね。ただ変る点は、これからの観光事業を伸ばし、大いに活躍して行かなければならんという点においては一つの要件である新時代に即応した機構になる、だからもう一つの條件は変らずに、新らしい條件、一つの條件だけは変る。こういうことになると、むしろ機構改革の点から行くと、部をやめるよりも部を局にしたほうが、そうして従来の官庁観念で言えば、その昇格ということのほうが機構改革に即応すると思うのだけれども、そういうふうにお思いになりませんかということなんですよ。
  69. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) やはり部が局になりますということは、機構が大きくなる。
  70. 楠見義男

    ○楠見義男君 経費も何も変らないというのだから……。
  71. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 併し局とすれば大きくなりますので……。
  72. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 実は楠見委員が考えたような疑問から質問して見たいと思うのですがね、この観光とい事務運輸省から見るというと、運輸省の本来の事務とは少し違つて、まあ非常にその方面には近いけれども、国際観光というようなことを中心として内外に宣伝をし、又はその設備をいたして行くというような先ほど竹下手負から言われたように、各省にも跨つて考えられるような特殊の事務のように思われるのですが、今楠見委員から質問があつたのですが、部というものと監と局とどつちかという点は別として、局は別として部と監ということを考えた場合に、部ということになると、対外的にも何とか部長、対内的な仕事を執行する、分掌するところの一つ仕事のようにも思われるのです。仮に監というような今までないところのものをここに作つて、そうして部長でなくて監、それは局長級にしてもいいだろうし、特別任用制にして権威ある人を採用するようにしてもいいと思いますが、局長とか部長とかという内部機構一つでなく、大蔵省の曾ての財務監というものがあつたように、そういうふうな権威ある新らしい名前をそこに作つて、そうして権威ある人をそこに置いて、先ほど説明されたような広汎な仕事をやるというような考え方を積極的に持つて見るということも非常にいいことじやないかと思うのですが、ただ今度の行政機構改革によつて部を置いてはいけなくなつたから止むを得ず監というものでごまかしたんだというような消極的な考え方でなくて、勿論局ということにするのもいいだろうが、特殊的な一つの外国から見ても権威あるものを持つて行ける、こういうような監というものがいいか、ほかのほうがいいか知らんけれども、そういうものを置くというのも一つの方法ではないかということが考えられるのですが、部と監、その監の性格をそういうふうに見た場合にどつちがいいか、部長さん白紙になつて一つ意見をお聞きしたいと思う。部長という対内的な、下からだんだん上つて局長行くというような形において観光というものをやるべきものであるか、特殊的な地位を與えた監と言いますか、そういう権威あるものでやつたほうがいいかですね、そういう考え方について一つ……。
  73. 壺井玄剛

    政府委員(壺井玄剛君) 御指摘のように実は国際観光会議なんかにも観光部長の名で加盟しておつたわけですが、そこで部でなくなりますと、監ということになりますと、翻訳でデイレクターとかチーフということも言えませんので、その辺でもいろいろ困る点がございます。
  74. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 英語で何と言いますか。
  75. 壺井玄剛

    政府委員(壺井玄剛君) これは日本の都合でございますから、監は翻訳すればデイレクターだ、デイレクターよりもつと上のチーフだというふうに言つてもいいわけでございますが、何としてもやはり国際的にもいい名前、いい地位を発見しなければ、終戦と同時に世界の経済会議に加盟して大いに日本の産業発展、国際的会議をしようという時流れに合いませんので、その辺を非常に苦心したわけでございますが、いろいろな名前が出ましたのでございますが、結局監ということしか落ちて行くところがないじやないかということで困つておるわけでございますが、国際的には先ほど申上げましたようにデイレクターの少し飾りを付けたものだというふうに言うよりしようがないのじやないか。そうして運輸省の内部の組織規定では、現在先ほど部長説明しました三課をそのまま残して行く、それを監督する部長に監を置き換える、こういうことに落ちて行つたわけでございます。何か名案がございましたならば、非常に結構だと思います。
  76. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 ここで申上げるのはどうも……。今のかたが一番適任だと思いますけれども、そういうことを全然考えないで、そういう方面にいつまでもそれをやつて行く、こういうような考え方の下に監というものを置いた場合に、観光事業の発展のためにいいものかどうか、或いは民間人でもよろしいし、いつまでも権威あるものをそこに置いておくという人事のやり方についてどうでしようか。
  77. 壺井玄剛

    政府委員(壺井玄剛君) 運輸省の人事の担当官といたしまして、私からフランクに申上げますというと、やはり局長というような名前が今の役人仲間では一番いいんじやないか、併し監という名前でも民間あたりから呼べばいいのが来るんじやないかという点は、必ずしもそうじやないと思うのでございますが、現在のところ運輸省及び関係各省の中の仲間をいろいろ見渡しましたところ、現在の部長が一番適任であると私どもは考えておる次第でございます。
  78. 竹下豐次

    竹下豐次君 極く簡單に又スイスのことをお尋ねいたしますが、もとより私は日本とスイスを比べまして、スイスはヨーロツパの中心で、交通もよい、景色も非常によい所で、すぐにスイスの真似ができようとは思つておりませんけれども、併し非常にやはり真似していい点が多い所だと思つていますので、くどくお尋ねするわけですが、先ほど向うの機構として四百五十万フラン使つておるということでしたが、観光部の予算は幾らになつておりますか。
  79. 間嶋大治郎

    政府委員(間嶋大治郎君) 日本の観光関係予算は実はお恥しい次第ですが、現在のところ観光部自体の行政関係の経費といたしましては、約二千万円でございます。それからこれ以外に昭和二十七年度は、先ほど申上げました対外宣伝、或いは国内の啓蒙運動、或いは施設整備という名目で出しまする補助金が六千五百万円ございます。これが私どもの計算でございます。
  80. 竹下豐次

    竹下豐次君 それからスイスの観光客の一年の受入れ数ですね、おわかりですか、どのくらいですか。それからそれによつてスイスに落ちる金がどのくらいありますか。これは細かい数字でなくても極く大掴みで結構です。
  81. 間嶋大治郎

    政府委員(間嶋大治郎君) 詳しい資料を持つて来ておりませんので、何でしたらあとで差上げますが、私の記憶いたしておりまするところでは、大体短年百五十万人くらいの観光客がスイスに入つております。それから観光客の消費額は、これは取り方によりまして非常に違いますので、ちよつとはつきりしたことを申上げられないのでございまするが、恐らくドルにいたしまして数億ドルになつておると思います。
  82. 竹下豐次

    竹下豐次君 日本では一億幾らとか言いましたね。
  83. 間嶋大治郎

    政府委員(間嶋大治郎君) 先ほど申上げました約千五百万ドル足らずです。  それから先ほど官房長が申上げましたことにちよつと敷衍して御説明申上げますと、監の名前でいいかどうかという御質問がございましたが、名前は私はどうでもいいと思うのでございますが、今度の観光関係機構改正で一番大きな問題は、一つ行政の單位でありまする部というものがなくなつて機関としては結局官房の中に課が三つ並列するということになるわけです。観光監というのは恐らく職名であろうと思います。そういう職名を持つた者が三つの課の業務を統轄する、こういうことになるのでありますので、対外的には何と申しますか、観光の行政機関としては三つの課がそれぞれ別に活動する、こういうふうな恰好に一応相成るわけです。事務としては勿論統轄いたしまして、そういうふうにばらばらになることはないようにいたしますが、外に出る場合には、機関としては三つの課が別々に離れる、こういうことになります。先ほどちよつと国際関係のことがございましたが、各国の政府の観光機関が寄りまして、官設観光機関国際同盟というものがございまして、これに閣議の決定によりまして、この二月に日本も正式加盟いたしました。これも運輸省観光部ということで加盟を承認されております。これも今度の機構改正がございますると、観光監というような職名では入れませんので、まあ三つの課のどこかが入る。或いは運輸省というものに改まるというような問題もございまして、そういう点もどうしたものかと実は研究いたしております。
  84. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 大臣もおいでになりましたが、なお大野木さんのほうへさつきの楠見委員からの継続だと思いますが、お尋ねしたい。大臣一つ聞いておつて頂きたい。私はこの内閣に国際観光に関する審議会があると思うのでございますが、これは今後どうなるおつもりでございましようか。
  85. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 国際観光に関する審議会でありますが、審議会全体といたしましては今回の行政機構改革には余り手を触れませんでした。この次の行政機構改革において審議機関を十分に審議いたしたいと思つておるのでありますが、国際観光に関する事柄は只今いろいろと説明もありましたし、御質問もありましたように、極めて現在の日本としては重要事項でありますから、それに関する審議会が廃止をされるということはなかろうと私は今のところそう考えております。
  86. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 野田大臣と私は同感でありますが、実はこの審議会は片山内閣から芦田内閣へ連続のときに置かれたものでございます。実は内閣に置かれた事情は私は關與したので知つているのでございます。私は実は運輸省へ行つたらいいということを主張したものであります。ところが外務省関係でも国際渉外部関係というようなことで主張が出まして、それから国立公園というような関係厚生省からも出まして、とうとうそのときは止むを得ずと言つたらいいか、内閣に置いて、これをいずれの省にも属さないで、将来の問題に残すというのであつたと思うのであります。外務省に置くということも、講和も確立した今日においては必要はないと思います。厚生省の問題、それから運輸省の問題も、今回だんだん新らしい日本に対するふさわしいものができるということならば私はむしろ閣議における大部分の賛成者は運輸省に置いで従来の経験を生かすということであつたと思うのですが、これを併せてお考えになる必要はないのかどうか、むしろこの際さような必要があるのじやないかと思うのでありますが、なお観光事業は、御承知のように貿易外収入になるわけでありますが、これは大きな、殊に貿易の不振の今日においては、国内の施設の改善その他をしなければなりませんが、又宣伝を大いにやつて、むしろ貿易外收入のリソースとしてこれを大きくして行くへべきではないかと思うのです。先ほど大野木さんからも部を局に上げたらどうかといお話がありましたが、私はこの際審議会とこれとを合せて局になさるという御意思はないか。むしろこの前の閣議の模様から言いまして英断を以ておやりになるのが新らしい情勢に合い、又今度の趣意に合うのじやないかと思つていたのでございますが、その辺の大臣の御意見を承わりたいと思います。
  87. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 栗栖委員のおつしやいました、国際観光審議会内閣に設置されましたときは、私も関係しておりまして、よく承知しておるのでありますが、なかなかいろいろな議論がありまして、結局内閣になつたのでありますが、今度の観光監ということを考えた際にもやはりそういう問題があるのでありまして、先ほど官房長はその一部分といいますか、一部分を話されたのでありますが、大きく見ますと、観光監というものをどこに置くか、どういう形で置くか。作るにいたしましても、それについていろいろ検討すべき点が残つているのであります。特に共管事項の整理というような事柄はこの次の第二の行政機構の改革においてやろうとい政府方針をきめていますので、それと関連した事項といたしまして、今度観光監をどこに置くか、又置く場所にしても仮に内局にして置くか或いは附属機関にして置く或いは内閣に置くか、いろいろな問題があるわけであります、そういう点を検討いたしまして、ことの重要性は十分認識しているのであります。そういう認識の下に機構の点等もよく考えて行きたい。こういうわけでそういうふうになつた、こういうことも併せて御了承願いたい。
  88. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 私は或いはむしろ両方合せて、事務が今別々になつておりますが、両方を合せて或いは運輸省に置かれるか、或いは内閣の中に置かれるか、それは私は存じませんが、この際は是非両方合せて局というところまで持つて行くことが必要ではないか。浜口内閣のときの緊縮政策というものは、これは徳川時代の天保の改革と同じだつたと思うのですが、而もなお観光局というものができて、そうしてそれによつてこの戦前の日本に相当の寄與をいたしたと思うでありますが、この際外貨獲得という面と、その他から見ても是非監というようなあいまいなところへ落着けないで、将来の発展に備えて、何か英断で以ておやりになる必要があるのじやないかと思います。これは私の意見を一部述べましたが、それを私は希望してやまん次第であります。
  89. 上條愛一

    ○上條愛一君 第三十九條の地方支分部局の中から公共船員職業安定所を削つたのですが、この理由と、この仕事は海運局でやられるのか、どこでやることになるのですか、承わりたい。
  90. 壺井玄剛

    政府委員(壺井玄剛君) 船員の労働関係は全部運輸省只今取扱つております。そこで本省に船員局というのがございます。地方に十の海運局がありまして、それぞれその中に船員部というのがございまして、船員の労働三法その他それに同じようないろいろな労働関係を扱つておるわけでございますが、公共船員職業安定所は独立して各地にあつたのでありますが、この際海運局の中にそれを入れまして、船員部の一翼としてやつたほうが諸般の点において好都合であるということから削つたようなわけであります。
  91. 上條愛一

    ○上條愛一君 もう一点、第四條の第一項なんですが、十四の十四ですが、旅行斡旋業を登録するということ、これは政府提出の原案にあつたのですが、これを衆議院で削除したようですが、その削除した理由は何ですか。
  92. 谷伍平

    説明員(谷伍平君) これは旅行斡旋業法が参議院先議で只今参議院の運輸委員会において審議されておりまして、目下審議中でございますので、この設置法改正法案が衆議院を通過いたします際にはまだ見通しがはつきりいたしておりません状態でありましたので、一応削除したわけであります。
  93. 上條愛一

    ○上條愛一君 そうすると、この問題は斡旋業法が通らないと又違うわけですか。通るという見通しの下にこれを削除したということですか。
  94. 谷伍平

    説明員(谷伍平君) 向うの旅行斡旋業法のほうで附則で運輸省設置法改正するようにできておりますが、いずれにしましても、斡旋業法が通過いたしました際には、設置法の中に上つて来るわけであります。時期の前後の関係でこれからは一応落してあるというだけのことであります。
  95. 上條愛一

    ○上條愛一君 そうすると、斡旋業法が通らない場合にはこれを存置するとい意味ですか。
  96. 谷伍平

    説明員(谷伍平君) 向うが不幸にして成立しませんければ、設置法の中には現われて来ないというわけになるわけであります。
  97. 上條愛一

    ○上條愛一君 そうすると、これは生きるということですか、生きないということなのですか。
  98. 谷伍平

    説明員(谷伍平君) まあ審議が早く進めば、この中には上つて来ないということになるわけであります。仮にこの法案の審議が手間取りまして、斡旋業法が衆議院へ参りまして成立いたしますれば、こちらが成立前に修正をして頂かなければならないということになると思います。
  99. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 これは細かい問題ですが、関連して一つお伺いいたします。三ページの十四の七というのを見て頂きたいと思います。ここの「所掌事務に関し」はずつと終りの「届出を受理すること。」までにかかつておりますか。
  100. 谷伍平

    説明員(谷伍平君) これは全部かかつております。
  101. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 そうすると、「関し」がありますが、かかつておるわけですか。
  102. 谷伍平

    説明員(谷伍平君) はあ。
  103. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 そうしますと、この「外国投資家の株式等」の「等」は何を意味しているのですか。
  104. 谷伍平

    説明員(谷伍平君) これは外資に関する法律によりまして社債等が入つております。
  105. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 社債……。一般借入金も入りますか。
  106. 谷伍平

    説明員(谷伍平君) これは借入金はございません。
  107. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 「等」というのは場合によると入る必要があるのじやありませんか。借入金の場合はそうするとどこで許可を與えましようか。
  108. 谷伍平

    説明員(谷伍平君) これは外資に関する法律の第二章に規定してある事柄だけを考えておりますので、差当りのところこの法律によつたわけであります。
  109. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 いや、例えば株式、社債というようなもので、そういう有価証券であつた場合はよろしうございますが、例えば前貸しであるとか、或いはそれの引当てのために金を入れるとか、或いは物資を一時入れて、そうしてその返す金を一時積立ておくとか、こういうような場合も含むと解されないと工合が悪いのじやないですか。外資法の不備もあるかも知れませんが、実際はそうなつて来るわけですか。
  110. 壺井玄剛

    政府委員(壺井玄剛君) ここに書きましたのは、全部基礎法規がございまして、それにコレスポンドして掲げただけでございまして、只今の外資等の借入金に関する法律の内部では余りはつきりわかつておりませんのでございますが、大ざつぱに私どもが判断いたしましたのは、株式、社債が差当りの問題であつて、借入金については入らないと、かように了解しております。
  111. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 いや、実体法に、外資法によるわけなんですから、外資法においてそれが入ればそれも含むとい意味であるならば、私も差支えないと思うのですが……。
  112. 壺井玄剛

    政府委員(壺井玄剛君) さようでございます。
  113. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 そうしてこの「許可を與え、又は届出を受理する」ということは、無論そのほかに内部手続その他があつて、この外資に関する主管官庁との連絡がつけられることと思うのですが、例えば十四の五にもいろいろございますね、そういうものとの関係をつけられることと思つておりますが、そこはどうですか。
  114. 壺井玄剛

    政府委員(壺井玄剛君) すべて実体法によりましてその細部は動くわけでありまして、御指摘の通りであります。
  115. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 もう一つお尋ねしたいのですが、さつきの公益法人としてのツーリスト・ビユーロー、それの取得した外貨その他というものはどういうような監督を加えられ、どういうような処理になつて来るのですか。
  116. 壺井玄剛

    政府委員(壺井玄剛君) 交通公社の扱つております主要な仕事は国鉄の切符の販売、それから国際航空のいろいろな飛行機会社の切符の販売、船会社の切符の販売等でございまして、仮に外貨の運賃の収入がございましても、それは全部外国のそれぞれ飛行機会社、船会社等に参るわけでございまして、それ以外に外貨をたくさん借りて事業を始めるとか、大きな施設を持つというようなことは今までございませんので、只今までのところはそういうケースもございませんが、若しありますといたしましたならば、一般の外資に関する法律に従いまして処理されることと思います。
  117. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 いや、私は先ほど部長さんからのお話では、ニユーヨークにもこの事務所を設けていろいろ宣伝その他切符の販売もされることになると思うのです。その場合に今後はまあ大いに外貨を取つてもらいたいと思うのでございまして、その外貨というものが公社の関係となつておりますから、どういうようにして例えば報告を取られるのか、或いは組織をどこに入れるようにされるのか、日本の銀行に入れるようにされるのか、そういうようなものが何か監督官庁としてきまらなければいかんのじやないかと、こう考えるのですが、その点をお伺いしたいと思います。
  118. 間嶋大治郎

    政府委員(間嶋大治郎君) 交通公社の宣伝事務所を出しましてやりまする活動につきましては、実はいわゆる切符を売るというようなブツキングの仕事は全然やらない方針でございます。これはどうしてかと申しますと、アメリカにおきまするいわゆるトラベル・工ージエントというのが非常に強力でございまして、若しそういつた日本の宣伝事務所がそこで切符を売る仕事をいたしますと、自分たちとの競争になるわけでありまして、なかなか協力をしないというようなことがございまして、諸外国が宣伝事務所を出します場合なども原則としてブツキングをやらない、宣伝活動だけをするというのが普通でございます。それともう一つは向うで現実に商売をいたしますと、まあいろいろ税金の関係もございまするし、むしろ日本側といたしましては、日本にできるだけアメリカのツーリストを引付けるという宣伝活動をいたしまして、そうして一応ブツキングの仕事は向うの業者にやらせる。その代りにこちらへ来ましたときの仕事は全部日本交通公社が引受けるというような形にいたしたいと思うのでございまして、戦前も実はそういう形でやつております。そうして宣伝活動等は主として政府の補助金に基いてやるのでありますので、原則としてこれも無料配付にいたしております。そういう関係でございまするので、収入というものは先ずないと考えていいのであります。但し政府の補助金を相当使いまするので、これが経理監督につきましては、先ほど申上げました通り運輸大臣が国際観光事業の助成に関する法律に基きまして経理上の監督をいたします。帳簿その他につきましても、この法律に基く省令等で一切様式その他がきめてございまして、会計監督等も厳重にいたしまして、又月間の報告も取り、又経理の状態につきましても月別にその報告を取りまして、厳重に監督をいすことになつております。
  119. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 それはブツキングの仕事と私は言うのじやありません。これは戦前にもニユーヨークにありまして、それもやつておりますが、内地における通弊運輸と同じく向うで切符を売りまして、そうすると、日本の部分だけのものは日本にそれが来るわけです。それから或いは世界一周のクーポンならクーポンを出しまして、日本に滞在し日本を利用した部分については来るわけです。その計算はこれは外貨で入るのです。これをどうなさるかとい意味で、切符を窓口でどんどん売りなさいとかどうとかいう意味ではないのであります。あなたは外貨の獲得とおつしやいますけれども、徹底しておらないのじやないか、先ほどの説明を聞いて……。それで細かい問題であるが、掘下げて言つておるのです。それはどうなりますか。
  120. 間嶋大治郎

    政府委員(間嶋大治郎君) 私ちよつと誤解しておりましたが、その点は勿論ございます。向うで向うの業者が切符を売る、或いは又団体募集をいたしまして、そのうちの日本における旅行を日本交通公社に頼む場合が多いのでございます。そういう場合に、日本国円における帳行経費と言いまするものは、向うが一応コンミツシヨンを差引きまして、交通公社のほうにドルで拂込むわけであります。それで交通公社はそれを円に換えまして、そうして一応コンミツシヨンを自分のほうで差引きまして、その他の経費を今度はホテルなり或いは鉄道等に円で支拂うと、こういう形になるわけであります。それで交通公社の取得いたしました外貨は、優先外貨の取扱いを受けております。
  121. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 そうすると、だんだんはつきりして来たのですが、私はその面で観光部でやるか……、私は監は将来不適当だと思います。その部分を大いにやつて頂きたいと思うのです。それがためにはこの案によると、監の下に三つの課があるということでしたが、この三つのうちのどの課がこの部分を扱うことになるのですか、どうですか。
  122. 間嶋大治郎

    政府委員(間嶋大治郎君) こういつた仕事の監督は、この三つの課のうちの業務課というところでやつております。まあどういうふうなそれでは監督をしておるかということでございまするが、仕事の実態といたしましては、勿論交通公社が計画を立てて実施をいたすわけでありますが、併し斡旋の内容、或いは又具体的な旅行の問題につきましても、コンプレイントもいろいろ来ますし、地方からの要望などもございますし、又我々自身が考えましても、適当な旅行計画を立ててもらわなければならんと思いますので、そういう問題につきましては常時連絡を取り、或いは又斡旋内容に適当でないもの、或いは又不当なものがありますれば、これを直ちに改めさせる、こういうふうなことをいたしております。又業務の実態につきましては、定例の報告を取り、或いは又事前に翌月のこういつた外客の日本旅行に関する報告を取りまして、又一つ一つ計画変更がありますれば、その都度報告を受けまして、いつでも今後の予定というようなものが把握できるようにいたしております。そうして適時実は交通公社だけでは手が廻りかねる、殊に春、秋の季節には手が廻りかねますので、私どものところでは実態調査を兼ねまして職員を参加させまして、実際斡旋にも参加させております。又フランス関係の人が来ますと、交通公社の人たちだけでは手が足りませんので、私どものそういつたフランス語関係の者を参加させまして、手伝いをさせると同時に実態を把握するようにいたしております。
  123. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 私はそこが一番この際外貨獲得の中心だと思うのであります。そういうようなことは、将来に向つて戰前まで回復し、更に戰前以上に持つて行かなければならん、そういうスタートのときに、大臣おいでになりますので率直に申して頂きたいのは、事務をこういう監というようなことにして、これで大丈夫ですかどうですか。
  124. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) ちよつと私申上げたいのでありますが、その点につきまて今の政府の考え方なんでありますが、今の旅行業なのでございますが、旅行業はむしろ私は政府はやらんほうがいいのではないか。監督と申しましても、余り深い監督はしないで、日本交通公社という立派な機関がございますので、それが自分でしつかりやつて行く、そちらのほうに任して行く。専売公社にしましても、鉄道にしましても、僅か数人の人が監督してやつておるのでありますから、そういう意味合いにおきまして、余り仕事の中に立入つて交通公社のやるようなことをお手伝いするようなことは、余り役所が入りますと、これは業務をやつておるのか本当の行政をやつておるのかわからんようなことになりますから、成るべく簡素な形で、大綱を押えるようにして、あとは船舶会社にやらせるとか、鉄道会社にやらせるとかいうようにいたしたいと考えております。
  125. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 まあ大臣の御意見はそうでしようが、私は業務に入ると、僅かの人で以て、あの定員で業務へなどは入れんと思います。併しながら指導と監督しませんというと、なかなか不十分じやないかと思うのです。私はその点業務にタツチして、国鉄の事業、或いは公社の事業と同じようなことをおやり下さいということを決して言うのではありませんが、併し監督と指導ということについては、そこに非常に必要があるのではないか。それを監というものは、いずれ最後の締括りのときに大臣にもお尋ねしたいと思うのでありますが“極めてあいまいであつて、一体三つの課がどういうふうに連結されるかということもはつきりしないし、結局これが観光事業が萎靡沈滞するままになつてしまうのじやないか、或いは場合によれば外国の観光業者というものに押されてしまうのではないかと、こういうように私は慮れるわけでございます。
  126. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 多少意見に亘るようなことになりますが、まあ行政機構の改革でいつも問題になる点でありまするが、例えば今の問題でありますと、日本交通公社とい機関があるわけでございます。あれに対して政府は補助金まで出しておるわけでございます。特別な機関といたしまして、一種の政府の外郭団体として助成をしておるわけでございます。そこには大臣級の人がずらつと並んでおつて、優秀な機関を持つておるわけで、それを監督するだけの人員をこちらで備えるということはむずかしいのではないか。むしろこちらより偉い人が揃つておられるのですから、こちらのほうは業務面に余りタツチしないで、向うはパーマネント・スタツフで優秀な人が数多くいるのですから、どうしても向うから企画が出て来ることが多いのではないか。それより優つたものを観光監のほうでやるということは、実際問題としてむずかしいのではないか。一種の旅行斡旋の業務でありますから、やはりそのほうに重点を置いて、あとは行政事務の必要な最小限度にとどめるということで、交通公社は特殊の機関でありますから、これにうんと働いてもらうほうがよいのではないかというような大体の考え方を持つておるわけでありますから、この点は御了承願いたいと思います。
  127. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 今の大臣お話によつても、監というものに又別な性質があるということがはつきりして来るわけです。これはいずれ結論のときに申上げます。観光監には別な或る性質が出て来ておるというように私は考えるということで、今日はこの程度にして、監のことは全体を通じての議論のときにしたいと思います。
  128. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 海員養成所を海員学校というふうに改めたようですが、何か養成所を学校に改めたほうがよりベターであるという理由がありましたのですか、或いは内容的に違つたのですか、それをお聞きしたいと思います。
  129. 壺井玄剛

    政府委員(壺井玄剛君) 只今ここにあります海員養成所、即ち国営でやつております海員養成所は普通船員の、昔で言いますと高等小学校を出たような連中を六カ月乃至一年養成する所でございまして、やや普通の徒弟学校のようなものと性質が違いますので、相当給費制度も考えて実施したこともございまするようなわけでございまするので、名前をよくするために海員学校を変えて頂きたいと思つておる次第でございます。
  130. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 内容は同じですか。養成所という名前よりも学校という名前にしたほうが優秀な人がたくさん希望するという現実からそういうふうにしたわけですか。
  131. 壺井玄剛

    政府委員(壺井玄剛君) さようでございます。
  132. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 今のは資格という点については全然違つて来たということはないのですね、養成所を出ても、今度の学校を出ても、與えられる資格十帆……。
  133. 壺井玄剛

    政府委員(壺井玄剛君) 資格その他は全然変りございません。
  134. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 本日はこの程度にとどめておいて散会しようと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。さようにいたします。  本日はこれを以つて散会いたします。    午後四時五十二分散会