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1952-04-14 第13回国会 参議院 内閣委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十四日(月曜日)    午後二時九分開会   —————————————   委員の異動 四月四日委員大山郁夫君辞任につき、 その補欠として西園寺公一君を議長に おいて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     河井 彌八君    理事            鈴木 直人君            山田 佐一君            山花 秀雄君    委員            小串 清一君            横尾  龍君            楠見 義男君            竹下 豐次君            上條 愛一君   国務大臣    運 輸 大 臣 村上 義一君   政府委員    内閣官房長官 菅野 義丸君    内閣総理大臣官    房監査課長   栗山 廉平君    行政管理庁次長 大野木克彦君    海上保安庁長官 柳沢 米吉君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公職に関する就職禁止退職等に関  する勅命等廃止に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○海上保安庁法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣委員会を開会いたします。  公職に関する就職禁止退職等に関する勅令等廃止に関する法律案議題といたします。  先ず政府から提案理由説明を請います。
  3. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 只今議題となりました公職に関する就職禁止退職等に関する勅令等廃止に関する法律案提案理由を御説明申上げます。  公職に関する就職禁止退職等に関する勅令、即ち昭和二十二年勅令第一号は、昭和二十一年一月四日付連合国最高司令官日本政府宛覚書公務従事に適せざる者の公職よりの除去に関する件に規定された諸條項を実施するために制定されたものであります。この覚書ポツダム宣言の第六項を実行するため、軍国主義的国家主義及び侵略の活溌なる主唱者並びに極端なる国家主義的団体暴力主義的団体等有力分子等と認められる一切の者を公職より罷免し、官職から排除することを命じ、且つ以後においてもなお一層制限的なる要件を設ける場合のあることを明らかにし、指令の厳格なる履行を要求したものでありました。  政府におきましては、この連合国最高司令官の厳格なる指令及びその後の具体的なる指示従つてこれが迅速且つ適正なる実施に努め、昭和二十三年五月までに約二十万名に対する指定を終り一応所期の目的を達したものでありますが、更にその後におきましても連合国最高司令官指示等により必要な補足措置を講じて来たのであります。  他方、この勅令規定する諸制限解除しても我が国ポツダム宣言條項目的を達成する上に支障を来たすことがないと認められる覚書該当者につきましては、政府訴願その他の措置により再三これが指定解除に努め、現在におきましても、先に制定公布されました公職に関する就職禁止退職等に関する勅令規定による覚書該当者指定解除に関する法律に基きまして公職資格訴願審査会を設置して訴願者指定解除に鋭意努力致しておるのであります。  然るところ、御承知のごとく昨年九月サンフランシスコの平和会議において我が国との平和條約の調印を見まして、国会の御承認を経て我が国はすでに批准書の寄託を終えており、調印各国においても批准手続が急がれておりますので、平和條約の効力発生の日も近いものと予測されるに至りました。而してポツダム宣言第十二項において、同宣言に掲げる諸目的が達成せられた場合連合国占領軍の撤収せらるべきことが規定され、又平和條約第六條において、同條約の効力発生後には連合国占領軍が撤退される旨規定されていることよりいたしまして、平和條約の発効は、我が国においてポツダム宣言に掲げる諾目的が達成された旨連合国により認められたことを意味するものと存ずる次第でありまして、前述昭和二十一年一月四日付日本政府宛覚書の第六項におきましてもいわゆる追放ポツダム宣言の第六項が日本において完全に履行せられるまでの間継続することを明記いたしておるのであります。  以上申述べました点に鑑みまして、政府平和條約の発効を期していわゆる公職追放措置を撤廃することが妥当なる措置考え、ここに公職に関する就職禁止退職等に関する勅令及びこれが関連事項規定いたしました諸命令並びに前述公職に関する就職禁止退職等に関する勅令規定による覚書該当者指定解除に関する法律廃止し、これ等諸法令廃止に伴う関係法律の一部改正その他所要の措置を講ずるため本法律案を提出いたした次第であります。  何とぞ愼重御審議の上、速かに御賛同あらんことをお願いする次第であります。
  4. 河井彌八

    委員長河井彌八君) なおこの際政府からこの法案の内容について御説明を願いたいと思います。
  5. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) それでは只今説明になりました公職に関する就職禁止退職等に関する勅令等廃止に関する法律案につきまして御説明申上げます。  本文におきましては、「左に掲げる法令は、廃止する。」といたしまして、九つの法令が出ております。  最初の第一番目にありまする公職に関する就職禁止退職等に関する勅令、これは昭和二十二年の勅令第一号として公布されましたいわゆる追放令でございます。その次にございますものは、最初昭和二十一年に出ました勅令第百九号、二十一年の勅令第一号の基になる勅令でございますが、その勅令の出る前に衆議院議員立候補者に対して仮に資格確認をするという方途をとる必要上出しました内務省令でございまして、そのとき限りのものでございますが、現在まで廃止手続をとりませんかつたものですから残つておりました省令でございます。それから第三番目には、これもやはり昭和二十二年度に選挙関係資格審査するためにそのとき限りの資格確認手続上の勅令を設けた令でございます。第四番目の昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く昭和二十二年勅令第一号第八條に対する特例に関する命令、これはやはり同様の趣旨でございまして、閣令内務省令として出たものでございますが、やはり選挙に際しまする確認を求める手続上を簡素化するためのそのとき限りの閣令内務省令でございます。現在においては実質上は生きておらない省令でございます。第五番目の昭和二十二年勅令第一号の規定による覚書該当者等地方農業調整委員会市町村農業調整委員会及び地区農業調整委員会委員への就職禁止に関する命令、これはそのとき新たにここに掲げました地方農業調整委員会等ができまして、これに対しまして就職する場合には、この勅令第一号によつて資格確認を受けた者でなければ就職はできないというものをここに規定したものでございます。第六番目には、内閣総理大臣から覚書に掲げる條項に該当する者でない旨の確認を受けていない者の立候補特例に関する命令でございますが、これは昭和二十三年に選挙がありました際に、非常に時期が切迫しておりました関係上、資格確認を求める期間が足りません場合に、確認を求めなくても直ちに立候補ができる。但し立候補したあとで、資格確認を行うという手続上の特例を設けた総理庁令でございます。  その次に、第七番目、昭和二十二年勅令第一号の規定による覚書該当者等農業協同組合農業協同組合連合会及び水産業協同組合役員等への就職禁止に関する命令、これは第五番目と同様の趣旨に基く資格確認者のみにこの地位に対する就職を認めるという総理庁令農林省令でございます。第八番目の昭和二十二年勅令第一号の規定による覚書該当者等土地改良区及び土地改良連合役員等への就職禁止に関する命令、これも右と同様な趣旨に基いたものでございます。第九番目に掲げてございまする、公職に関する就職禁止退職等に関する勅令規定による覚書該当者指定解除に関する法律、これは昨年国会通りました法律でございまして、現在行われておりまするところの訴願に基く追放者指定解除をきめておる法律でございます。  それから附則に入りまして、附則の第一項、この法律は、日本国との平和條約の最初効力発生の日から施行する、という趣旨でございます。第二項におきましては、これは公私の恩給年金その他の手当又は利益を受ける権利又は資格を取得する日がこの施行の日、即ち平和條最初効力発生の目からであるということを明確に規定したものでございます。他の法令に別段の定のある場合を除くの外、とございまするが、これは、例えば軍人恩給等のごとく、まだ停止せられておる場合を除くという意味でございます。この場合に必要な事項は、手続等につきましては政令で定めさしてもらいたいと存じておる次第であります。第三項におきましては、ほかの法律、こういう法律廃止する場合を同様に、この法律施行前にした行為に対する罰則適用については、なお従前の例による、旨でございまして、ほかの法律と同じような建前をとつたわけであります。  第四項におきましては、総理府設置法改正でございまするが、これは、総理府設置法の中に昭和二十二年勅令第一号等所管が書いてございまするものを今後削る、第十五條というものは創る、削除する意味でございます。そうしまして、第十五條第一項の表、これは附属機関の表でございまするが、この中から公職資格訴願審査会という表を削るのでございます。この訴願法律廃止になると共に、この審査会廃止になることをここにはつきりいたしたわけでございます。第五項におきましては、法務設置法の一部  改正でございますが、法務設置法の第一條第三項、即ち所管事項の中から、ここにありますように、公職に関する就職禁止退職等に関する勅令規定による覚書該当者観察等に関する事項、というものを削除いたしたのでございます。第七條第三項第三号、これも同様の趣旨でございます。第六一項といたしまして、公職選挙法の一部改正でございまするが、第百九十九條第三号は、これは、追放指定を受けておる者が寄附をする場合に、それを禁止しておる條項でございます。追放令がなくなりますのでこの條文は削除いたすことにいたすわけでございます。第二百四十八條第二項、これはそれに対する罰則でございます。それから第二百五十條はその罰則を引用しておる條文でございまして、二百四十八條の第二項が削られますので、二百四十八條第一項とあるものを二百四十八條というように一項だけになりますので、その項を削る技術的な問題でございます。  以上を以ちまして説明を終ります。
  6. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 本案につきまして御質問がありますればこの際お願いいたします。
  7. 楠見義男

    ○楠見義男君 二点伺いたいのですが、一点は、現在追放解除についての昨年の法律従つて最後審査をやつておられますね、これで非常に急いでやつておられるのですが、こういう追放解除勅令効力を失うということになると、審査要求をした人と、しない人とは結論においては同じことになると思うのですが、その点は法律上はどういう区別があるのでしようか、その点を先ずお伺いしたいと思います。
  8. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 御質問の御趣旨誠に御尤もでございまして、結局におきまして、平和條約が効力を発生いたしましたときには、この法律が通過しておりますれば、全部公職追放ということがなくなつてしまうのでございまするから、現在資格審査委員会訴願と言いますか、解除申請をしておるということが非常に無意味のようにとれるのでございまするが、これは先ず第一には、一日でも早く追放解除になりますると、恩給その他の権利がそれだけ早く回復するという実質的な効果がございます。又もう一つは、解除申請によりまして、委員会で以て解除ということになりますると、占領期間中に解除なつたということが言えるのでございまするが、この元になるポツダム政令がなくなることによつてその効果が全然なくなつたというのは、一応占領期間がもつと続いたならば、その期間中は追放という事実があつたというようなことになるのでございまして、多少そこに、実質的には違いませんが、形式的に違うように思われるのでございます。併しながら、お説のごとく、実質的には殆んど、殊に今後解除指定をいたす向きに対しましては、時日の違いと言いましても、僅か数日とか、或いはそれに近いものでございまして、殆んど差がないように考えられる次第でございます。
  9. 楠見義男

    ○楠見義男君 ついでにお伺いしたいのですが、現在解除申請を出しておる人で、この法律に基いて従来から申請を出した人で、又その審査未了のもの、未了の人の数と、それから審査請求をしたけれども、依然として軍国主義的或いは国家主義とか、そういうようなことで審査の結果、解除されなかつた件数、これを一つ参考のために伺いたいと思います。
  10. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 今回の法律によりますると、解除申請をやりまして、これを拒否する場合、この場合には、必ず本人か、或いはその利益代表者を呼んで意見を聞かなければならないことになつておるのでございまして、只今のところ、この委員会は一人でも多く理由のあるものを解除することに全力を盡しておる次第でございまして、毎週二回以上も開いて鋭意努力してこの申請による審査をして、そして解除手続をとつておる次第でございます。そこで御質問は何人くらい申請したものに対してこれを解除しないという決定をしたかというお話でございまするが、その手続はまだやつておらないのでございます。それでできるものからどんどんと進めておるのでございまして、まだ解除しない、はつきり法律手続によつて決定したものはないのでございます。  なお御参考までにどのくらいの数が今までに解除され、現在どのくらい未了であるかということを申上げますると、訴願審査会を開始いたしましたときに追放者の総数は一万五千人ほどであつたのでございまするが、そのうちで解除申請をいたして参つたものが九千八百七十九人現在までにございます。それで現在までに解除をいたしたものの数は七千百六十六人という数字になつております。それで現在手続未了なものは約千五百人でございまするが、この数字ちよつと合いませんのは、いろいろダブつた資格で以て申請等がございますので、この合計が必ずしも申請数とは合いませんけれども、一応とにかく現在まだ鋭意やつておりまするが、その手続が終らないものが千五百人ございます次第でございます。これは平和條約の効力発生までに一人でも多く審査をいたしまして解除をいたしたい、こういうつもりで以て審議会人たちも御努力を願つておる次第でございます。
  11. 楠見義男

    ○楠見義男君 今の御説明で大体千五百人くらいが残つておるというようなお話ですが、そうしますと、平和條約の最初効力発生の日というのは、伝えられるところによると、当初は今月の中旬ということが少し延びて二十日とか、或いは今月中とかいうようなふうに伝えられておるのですが、その場合に仮に今月中というようなことになつた場合に、今のお話のごとく一人でも多くということで御努力になつてつて、その残りの千五百人が、殆んどすべての人が解決つくのかどうか。そこで問題は先ほどもお話がありましたが、この法律ができて、そして効力が自然消滅したのと、そうでないのとの違いは、占領期間中に解除されたということに相当の重点を置かれておるようなんですが、單に事務的の都合で、残つた人は実は政府のそういうふうなお考えとは違つた印象を受けるのじやないかと思うのです。即ち超国家主義、或いはその他の追放の最もひどい條項に該当したものとして占領期間中はどうしてもできなかつたのだ、こういうような印象を受ける虞れがありはしないかと思うのですが、千五百人の人々ができるだけ一人でも多くという場合に、その審査の順序と言いますか、段階と言いますか、そこら辺はどういうふうにお考えになつておるのでしようか。
  12. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 実はこの千五百人のうちに戰犯目下刑を受けておりますものが約千四百人近く、千三百八十三人という数になるのでございます。あと残りのものは僅か百二、三十人でございまするが、これにつきましては成るべく、ここ一週間くらいの間に解除手続を済ませたいというつもりで鋭意やつておる次第でございまして、少くともこの人は解除申請があるにかかわらず解除をしないのだという決定法律規定に基いてやる前には一人でも多く解除のほうに努力してやりたい、かように考えておる次第でございます。それから先ほど私が申しました占領期間中に解除なつたというものと、それから自然になつたというものと非常に区別をして、政府は前者に重きを置いてよるようなふうにとれたかも知れませんが、政府は決して、そういうふうに非常に重きを置いておるという意味ではないのでございまして、とにかく一日も早くこういう公職追放というような事実から解放して差上げたい、こういう気持で以て進んでおる次第でございます。実際の効果におきまして恩給受給権のごときはこの附則にございますように平和條効力発生の日に受けるのでございますから、実際の効果余り違いはないのでございますが、とにかくできるだけ早く元になる法律がありますうちに解除をして差上げたい、こういう気持でございます。
  13. 楠見義男

    ○楠見義男君 もう一点、附則の第二項なんですが、他の法令に別段の定のある場合、云々とありまして、先ほどの御説明に、旧軍人恩給等を指摘されたのですが、それ以外に何かありますか。
  14. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) これは別に法律案を出しておりまして、軍人等恩給特例につきましては一年間延期ということになつておりますが、それの附則にもございますように、連合軍最高司令官命令によつて逮捕されたり、或いは刑に処せられたるものの恩給年金等につきましてもやはり軍人と同様の取扱をしておりますので、そういう人たちがやはり特別の規定の中に入ります。
  15. 鈴木直人

    鈴木直人君 先ほどの御説明によりますと、この法律施行されると同時に、曾つてポツダム勅令指定された者は当然親の勅令がなくなるから、放追されるという事実がなくなつて来るから解除されるという結果になるということでしたが、一般犯罪などはその法律があつた場合に犯罪を犯して刑に処せられれば、その親の法律がなくなつてもそれは残つて行くということになりますが、この條項の中には全然そういう規定はない。曾つてこの廃止される勅令によつて適用を受けた者は当然そのときから解除されるのだというような規定は特段に規定されていないのですが、そういうことをしなくても今のような解釈で行けるという方針で行つておられるわけですか。
  16. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) お答え申し上げます。一般犯罪等につきましては、その法律がなくなりましても、その過去の行為につきましては従前の例によるのが普通の例でございます。その効果が存続するということは当然でございますが、この公職追放は、御承知通り連合国最高司令官命令によつてあとから或る人の行為について或る法令を定めて当てはめた法律上の効果でございまして、ちよつと普通の犯罪のように或る一定條項がありまして、或る人の行為がすでにできております法令條項に当てはまつたために犯罪、刑罰というような効果が生まれたものとは少し違うように思うのでございます。従いましてこの法律におきましてもこの追放令罰則に触れたもの、過去の行為におきまして罰則に触れたものにつきましてはこの勅令はなお存続すると同様に取扱いまして従前の例によると、こういう一般の原則によつておる次第でございまして、占領期間中の司令官命令によつて作られたこの種の制度というものは占領期間が終了すると同時に当然廃止すべきものではないかというふうに政府考えておる次第でございます。
  17. 鈴木直人

    鈴木直人君 次に独立した後においてこれに類似したような考え方で以て公職に就くことを禁止するとか制限するとかいうような日本独自の考え方から行く法律というようなものをこえておるかどうかという点ですね、例えば徳田球一その他の人も追放から解除されることは当然だと思うわけですが、勿論具体的にその人を言うわけではないのですが、いわゆる極左とか極右というものについての個人について何らかの公職から排除するというような、独自の占領政策でなく日本独自の見解からそういう案を出そうとしておるものかどうか、そういうことをお聞きしておきたいんです。
  18. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) お答え申上げます。この公職追放勅令に代るべきものとして、つまりこれと同じような、同様又はこれに類似の効果占領後も実現するために日本政府といたしまして法令改正等をする気持は全然ございません。ただ例えば公務員になる資格であるとか、或いはその他公職に就く資格等につきまして将来必要ならばそういうような法律によつて或る種の制限が行われるということはあり得るかも知れませんが、目下のところではそれは全然考えておらないのでございます。いわんや公職追放目的のように過去の事実に基きまして一定公職に就くことを禁止するというようなことは独立後は考えない次第でございます。
  19. 鈴木直人

    鈴木直人君 それから例えば戰争犯罪人のごときかたは犯罪は残つているわけですが、併しながら公職追放令はまあなくなつてしまう、こういう結論になるわけですが、そういう人たち公職に就く場合には一般公務員法なり、そういうものを適用するということになるわけですね。
  20. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 平和條約にございますように戰犯の刑の執行その他は日本政府に任せられることになるのでございまして、その刑の執行が終りました後は一般法律によるのでございまして、特に戰争犯罪者として特別の扱いをするというようなことはございません。
  21. 竹下豐次

    竹下豐次君 この法案に直接の関係じやありませんが、軍人恩給に関する件についてちよつとお尋ねしたいと思いますが、軍人恩給復活については新たに恩給法特別審議会というようなものができてどの程度復活するかというような件をこれから御研究になり、大方一年くらい後からそれを法律として恩給を支給するというような御計画だと、こういうふうにも承わつておるのでございまするが、追放がまあ解除になります、そうすると結局軍人はやはり文官追放解除になつたのと同じように、自分たちもすぐにでも恩給復活するのじやないかというふうに一応期待するのが普通だと思うのであります。そこに審議会ができて愼重に御審議になるのでございましようけれども、一年延びるということになるとその間一年分が、つまり生活に困つておる人があるわけでありますから非常な不安を伴う、或いは又一年後に遡つて新らしい復活法律適用されるというようなことになるのかも知れないけれども、それにしてもその一年間というものは苦しいという人がたくさんあるだろうと思いますが、その点をどうして救済される政府のお考えでありますか、一応伺いたいと思います。
  22. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) お答え申上げます。只今の御質問誠に御尤もでございまして、政府といたしましても事柄の本筋といたしましては旧軍人人たち恩給は当然これは復活すべきでございまして、それを仮に一年なり半年なり延ばすということは誠に忍びないところでございます。併しながらこの軍人恩給復活すると申しましても、御承知通り非常に軍人恩給にはいろいろの特典、その他軍人特有のいろいろな制度がございまして、これと一般文官との関係、それからそういういろいろな特典制度いうものをどういうふうに変えるかというような程度問題等もございまして、一方又国家財政の上に與える影響も相当大きうございますので、これは簡単に独立を間近に控えた早々の間に政府限りで以て案を作りましては却つて禍いを後に残しはしないかということを非常に考えまして誠に忍びないところでございまするが、占領期間中ずつと恩給その他のあれは停止されておりまするので、それをもう少し我慢して頂きましてこれは早急に案を作りまして、そうして必ずしも一年間と言わず、できれば成るべく早く復活いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。これは御承知通り平和條約の効力発生までは当然とめられておりまするので、来年の三月三十一日ということに期限はなつておりまするが、必ずしも一年という期間ではございませんし、又三月三十一日までにはすつかり勿論案を作りまして、できればその前にでも実現いたしたい、こういうように考えておる次第でございまして、この点についてはあとでいろいろ支障のないように十分各方面の有識者のかたに集まつて頂いて立派な案を作つて国会のほうに提出いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  23. 竹下豐次

    竹下豐次君 私のお尋ねしたいのは、できるだけお急ぎであろうと思つておりますけれども、それが一年の予定が半年に繰上るというようなことも一応予想されるわけであります。それにしても半年のブランクというものができる。その間の措置をどうしてなさるつもりであるか、その点を重ねて伺いたいと思います。
  24. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) お答え申上げるのを忘れまして失礼いたしましたが、そういうわけで以て一般的に軍人恩給とか年金を停止いたしまするので、どうしてもその間に何らかの手を打たなければならないと思われるかたがたは遺族の人、それから傷痍軍人のかたがたでございます。そこで今回別に法律案を出しまして、遺族のかたがたとか或いは傷痍軍人人たちに対しましては一応現在の財政の許す限りの救済をすることにいたしたのでございまして、これは軍人恩給一般的に何らかの形で以て復活いたしました場合には、或いはこれに吸収されるものと思われまして、一時的なものでございます。そういう意味合いにおきまして取りあえず国民といたしましても、政府といたしましてもどうしても放つて置けない遺族と、それから傷痍軍人に対しましては別の法律案で以て一応の救済措置を講じたような次第でございまするが、その他老齢の軍人のかたがた等労働力を失つた人たちに対しては、誠にお気の毒でございまするが、これ又普通恩給復活ということになりますると、その他の恩給との振合いが相当むずかしくなりまして、それだけを復活いたしますると、それが又あとの禍根になるというようなことがあつてはいけませんので、誠にお気の毒でございまするが、普通恩給のほうは高齢者に対しましても復活することはできなかつたような次第でございます。
  25. 竹下豐次

    竹下豐次君 今のお話のこういう軍人であるとか、遺家族の関係とかいうようなことは御尤もなことでそれは結構ですが、それ以外の者で文官のを復活するというものと権衡をとるという意味においても、追放解除なつたときから早速支給すべきものじやないか。それが、非常に多数の者で、又元気にはしておる、老齢でもないというような者は、そのブランクになつている間は支給されないのだというようなことになりましては不権衡な問題が残るのじやないか。それで審議会でおきめになるのでありまするから審議会でどういう案ができるのかわかりませんけれども、その追放解除のときに遡つてというようなことをおきめになることも私はできることじやないか。かように思つておるわけでありますが、そういう点は政府のほうではお見込みにならないのですか。
  26. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) この点は財政のほうの問題とも絡み合いましてここで以て必ずしも遡及して平和條発効の日からというふうにお約束するわけには参らないのでありまするが、審議会で以てどういうふうな案になりまするか、それと、それから国家財政から許される財源の額等から睨み合せまして適当な案を作りたいと考えておる次第でございます。なおこの文官との振合いでございまするが、先ほども申しました通り軍人に対する恩給復活ということは非常に複雑ないろいろな調整が必要でございまして、或いはそれが及して文官のほうにも及ぶのではないかというふうなことも私どもは考えております。いずれにいたしましても暫らくかすに時日を以てして頂きまして、成るべく公平に又完全な案を出したい、かように考えておる次第でございます。
  27. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  28. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて下さい。  では本案については御質疑が盡きたものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。  それでは討論に入ります。この際御意見のあるかたは御意見をお述べ願います。……御意見もないと認めまするから採決をいたします。  公職に関する就職禁止退職等に関する勅令等廃止に関する法律案を問題といたします。本案に賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  30. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 全会一致と認めます。では本案は可決すべきものと議決せられました。つきましては賛成者の諸君の御署名を願います。   多数意見者署名     山花 秀雄  横尾  龍     山田 佐一  上條 愛一     楠見 義男  竹下 豐次     小串 清一
  31. 河井彌八

    委員長河井彌八君) なお委員長の報告は委員長に御一任を願いたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議なしと認めてさように取計らいます。   —————————————
  33. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは次に海上保安庁法の一部を改正する法律案議題といたします。本案につきましてはすでに地方行政委員会との連合委員会は一応解除になつております。そこで本日は委員諸君から本案について政府に対する御質疑をお願いいたします。
  34. 竹下豐次

    竹下豐次君 この前開かれました地方行政委員会との連合委員会におきましてここに提案されておりまする海上保安庁の組織の一部になつておる海上警備隊がついこの間開かれた閣議で決定されて、そうして予備隊と並んで新らしくできる保安庁の仕事の一部になるということにきめられたということを伺つたのであります。そうしますというとこういうふうに一応この案ができる前の考え方と、その後の閣議の決定とが違つているということになるから、新らしくできるこの機構の法案につきまして幾らか変つているのじやないかというような疑問が起るわけであります。そうするというと若し今私が想像するように一部でも変る、或いは根本的な考え方が違つて行くのだというようなことにでもなるならば今この案の審議を急いでやるということが無意味じやないかというふうにも疑問を持つわけでございますが併し何か特にこの際急いでやらなければならない政府の立場としては止むを得ない事情があるということでありましたならば、これはもう当然進めて行かなければならないことだと思いますが、その辺の事情はどういうことになつておりますか、御説明願いたいと思います。
  35. 柳沢米吉

    政府委員(柳沢米吉君) 只今の御質問の第一は、今回御審議つております海上警備隊というものが、先般閣議決定に相成つたと言われております。保安庁に入りましたときの性格の相違ですか、私ども事務的に考えました場合に現在の海上保安庁におきます警備隊は、海上保安庁の現在やつております業務に対しましても非常事態ができますときに出動を命じますものでございまして、相当頻繁に出動をするものと考えられるわけであります。先般委員会におきまして村上運輸大臣が保安庁に入りましたときに多少変るのではないかというお話でございましたが、その辺の空気は、現在御審議つております警備隊は長官命令を以ちまして出動いたすのでございます。相当頻繁に出動ができるものと考えております。今回できます保宏庁の新らしい機構というものに参りましたときの出動命令系統がどうなるかということはまだ明確にはなつておりませんが、大体一部は総理大臣の命令ということによつて出動することがあり得る、又海上保安庁長官というものの命によつて出動することがあり得るという二つの場合があると考えられるわけであります。このことを、命令権者の位置或いは所掌の範囲内という点におきまして海上保安庁、現在の海上保安庁長官が出動命令を遂に下すということと、総理大臣乃至は担当大臣が出動命令を下すという点において多少差があるのではないかという点が、先般運輸大臣が申上げました差があるのではないかという点であろうと考えられる次第であります。設立の趣旨、或いは使用の性質等におきましては、先般大橋国務大臣から御説明のありました通り、何らそこに変化はないのだというふうに考えられる次第であります。  なお第二の御質問でございまするが、これはなぜそれでは急いでやらなければならないかというお話でございますが、我々事務当局といたしましては、予算が成立いたしましてここに直ちにこれが整備にかかりたいというふうに考えておるわけでございますが、御承知通り募集をいたしますのに最低約一カ月の募集期間を必要とするのでございます。なお御承知通り船艇に乗ります職員としてこれを陸上で教育或いはその他の技術を習得せしめるために、大体最小限におきまして一カ月半以上を必要とするわけでございます。合せまして少くともニヵ月半くらい、或いは三カ月というものは、船に乗せますまでにどうしても最小限必要な期間であります。でき得るならば我々といたしましては、米国からの貸與船が講和発効と共に参りますとすれば、これに直ちに乗せたいというふうに考えている次第であります。併しながらこれを、本法案をできるだけ早く通過させて頂きますれば、その通過いたしました日に直ちに募集にかかりましてこれによつて一日も早くその船艇に乗込ませたいというふうに考える次第であります。又一面におきまして、新らしい機構というのは七月一日発効というふうに聞いておりますが、その間におきましてすでに船艇が或る程度来るということも予想せらるるのであります。この予想の間に、この来ました船艇を如何に保管するか、これが人員を如何に組み入れるかという点につきまして、事務当局としては非常に苦心を拂つている次第であります。できればその間におきまして、募集人員のうちから、そういうものに慣れた人を早く募集して乗組員その他にしたいというふうに考えているわけでありまするが、こういう場合に七月一日まで待つておりまして、七月一日以降におきまして募集いたしましてこれを乗せ得るようにするということに相成りますると、秋になるわけであります。従いまして我々が考えておりますいろいろの事業、例えば漁船の保護その他の問題もできる限り早くこれを有効に使いたいということを考えているわけでございまして、本法案を一日も早く御審議願い、早くやりたいというふうに考えている次第であります。
  36. 楠見義男

    ○楠見義男君 私は先般地方行政その他の委員会との連合委員会における質疑応答の状況を伺つておりまして、多少疑問になつている点を二、三伺いたいと思うのでありますが、実はまだその整理が十分できておりませんので、極く概略のことだけを伺つて、いずれ又整理をした後改めてお伺いすることにいたしたいと思うのであります。先般の連合委員会における状況を伺つていますと、いろいろ意見がございましたが、どうもはつきりしない点は、実は運輸大臣の御答弁になるところとかねて予算委員会等における大橋国務大臣の御答弁になるところに、多少そこに行違いがと申しますか、必ずしも完全に一致したとは言えない節があつたのではないかというふうに察知されるのであります。事実予算委員会における戦力問題を中心にした小委員会における質疑応答の状況を伺つてつてもそうでありますが、私自身はその小委員会委員長をやつてまして終始政府側の説明なり答弁を伺つてつて、そうして先般の運輸大臣の御答弁を伺いまして、私も同様な実は疑問と言いますか、明瞭ならざる点を持つているのであります。それはどういうことかと申しますと、運輸大臣の終始変らざる御説明は、海上警備隊、この新設の海上警備隊は海上保安庁の任務の範囲内でやつて行くのだということを強調されておりました。そこで連合委員会でも、海上警備隊の出動命令に関する発議とか、或いはその編成の方式等がどうなるかというようなことまで、そういつた具体的の問題にまで質疑が続けて行かれたわけでありますが、大橋国務大臣は防衛とかいうような点を相当強調されたように私は記憶しているのであります。即ち大規模な密輸とか、或いは海上漁業の保護とか、そういうような場合に、特に相手方が組織的に武力を持つておるようなときに、この海上警備隊の任務というものが相当高く評価されるようなふうに受取れる意味説明があつたのであります。従つて、そういう場合にこちらが停船命令を出したりなんかして大砲で威嚇したときに、それが発端となつて現場における大砲の打合いのようなことが起りはせんが。それが憲法九條に引つかかりはせんかとか、或いはそのこと自体が国際紛争を捲き起す原因になりはせんかというふうに、そういう点が中心になつて発展をして、議論が戦力問題に大きな問題を提供したわけなのであります。ところが、先ほども申上げたように、運輸大臣は飽くまでこれは海上保安庁の任務の範囲内であると、そこで、必ずしもそれははつきりそう申されたとは思いませんけれども、この海上警備隊が、保安部と言いましようか、保安機構に移る場合には、目的が或る程度変るようなふうな意味に受取れる御説明もあつたように思われまするし、同時に又移る場合には一体となつてつたほうがいいというふうな御説明もあつたように記憶するのであります。そこで、折角運輸大臣がこういうふうに主管大臣として御説明になつておる説明の途中に、保安機構の、一般の行政機構改革に関連して、保安機構への移管の問題が登場して来ており、従つて、そういうことであれば、何も急いで、そうして運輸大臣がまあしんから主管大臣としてお考えになつておるようなことと、多少とも目的の違つた機構に、すでに目前に移り変るとすれば、何も急いでこれをやらずに、その受入れられる側の大臣から、この新設海上警備隊の性格なり、或いは憲法との関連なり、或いは自衛力漸増問題との関連なり、そういつたことを伺つたほうが、むしろ我々としては、審議の正確を期する上において適当じやないかと、こういうふうにすら思われるのであります。そこで、只今竹下さんからその点についてお伺いになつたふうに私も了解するのでありますが、この点、もう一度当面の主管大臣である運輸大臣から御答弁を煩わしたいと思います。
  37. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 私本日衆参両院の運輸委員会のほうに出ておりまして、大変遅刻しまして相済まんと思つております。先ずお詫びを申上げます。  只今楠見先生からの御質問であります。今海上保安庁に警備隊を新たに設けるという趣旨は、以前から縷々申述べております通り、全く巡視船は一万マイルの沿岸線及びその海面を巡視警戒するのに、僅かに百六十隻程度しかないのであります。自然一隻の巡視船の受持区域は約七十マイルに及んでおる次第であります。で、この一隻が何らかそこに密輸の船らしいものを発見した、或いは又密入国らしき船を発見したとしましても、相手が極めて単純なものでありますれば、十分それに対して取締をなし得るのであります。ちよつと手強いものになると、どうしても巡視船一杯では手の下しようがない。又相手が一杯でありましても、ときには武器も持つておるという場合があるのであります。又、船そのもののスピードから申しましても、遥かに相手のほうが力が勝つておるというような場合が少くないのであります。で、そういう場合に、ただ旗によつて信号を、停船命令を出しましても、何らの効果が得られないというようなことも、事実再々出つくわしておるような次第であります。又天災地変等に際会しまして、少数のパトロール船では誠に結果から見て遺憾の点が少くないのであります。地震或いは台風その他の天災に際会しまして手の施しようがない、みすみす沈船その他が生じておるのを手が及ばないというような場合も過去において苦い経験を持つておるのであります。どうしても或るまとまつた機動部隊が必要である、そうして、五杯なり七杯なり船が隊を組んでそれぞれそういう必要に応じて直ちに出動するという体制を平時において整えておることが必要である。従つて、そう多くの隊は必要でないでありましようが、少くとも数カ所にそういう隊を設けて平素編隊として訓練をして、必要な場合に直ちに出動して所期の効果を全うする、海上保安庁の使命を全うするということが必要であると信じまして、この警備隊の編成を保安庁法改正法律案として提案しておるような次第であります。従いまして連合委員会の節にも述べましたごとく、この海上保安庁の警備隊、只今審議を願つておる海上保安庁法改正法律案に設けます警備隊というものは、現在の警視庁の予備隊若しくは機動隊というものに丁度適応するものであると信じておるのであります。要するに、そういう使命の下に警備隊を置いて、海上保安庁の設置目的を全うしたいという考から起つておる次第であります。従いまして、これらの警備隊が出動するという命令は全く海上保安庁長官命令によつてただ出動するということで、それよりも上の機関の命令で初めて動くんだという性質のものではないのであります。従いまして、只今疑問が生ずると言つて御指摘になりましたこの海上保安庁法改正法律案審議されつある際に、機構の改正案が、いわゆる各省設置法が提出されるということに相成つて来たという御指摘であります。全く御指摘の通りであります。今陸上の警察予備隊とそういう性質の海上保安庁の警備隊が一つになるという場合には、何らかそこに現在の海上保安庁の警備隊という性質にアルフアーがプラスされるのじやないか、これは私この前にも申述べたと思います。そういうふうに考えておつたのであります。その後大橋国務大臣から聞きますと、別にアルフアーが加わるとは考えておらんというお説でありました。この点は前説を一つ修正しておきたいと思うのでありますので、この機会に御了承置き願いたいと思います。要するに、然らば何故に急いでこの海上保安庁法改正法律案を御審議願わんならんかということにつきましては、恐らく長官からも説明をお聞き取り下さつたと思いますが、今いろいろの理由はありまするが、急いでこの警備隊員を募集して訓練をせんならん、教養をせんならんという点であるのでありまして、すでにお聞き及びと信じまするが、米国から借受けることに議を進めておりまする船につきまして、千五百トン級が十杯、二百五十トン級が五十杯、大体米国の承諾を受けまして、順次到着するであろうと期待いたしておるのであります。而も現在の海上保安庁にはこれを受取る人間がいないという、次第であります。そうためには、どうしても急いで警備隊員を募集し、受入体制を整える法律が公布されましてから、直ちに募集に従事するとしましても、なお三月、四月の期間を経んければ乗組員ができ上らないというような実情でありますので、急いで本法律案の御審議を願い御可決を煩わしたいと念願しておる次第なんであります。
  38. 楠見義男

    ○楠見義男君 運輸大臣は先般の連合委員会にお分ると同様に、海上警備隊の任務の主たるものは、天災或いは海難の場合における警備等を主として力説されておるように拝聴したのでありますが、そこでこの海上警備隊の出動命令に関する発議、或いは稟申の方式等において、この前も論議が重ねられたし、その際における長官の御答弁で私まだはつきりしない点があるので、この点は長官からお伺いしたいと思うのでありますが、この前の御答弁は、いろいろの機会にいろいろの質問にお答えになつたのでありますが、要するに、結論としては、直接長官命令するのか、或いは現在の警備救難部ですか、次長なり或いは部長が補佐してやるのかどうかという問題についての御答弁は、法律的には疑問はあるが、実際問題として、実際上は次長が警備救難監の補佐を受けて発動するというような趣旨のお答えがあつたように思うのであります。そこで、その点が実ははつきりしない点なんですが、今も大臣からお述べになつたように、現在の海上保安庁の任務の範囲内で海上警備隊ができるということであれば、通常の常識から言えば、その長官の、保安庁の仕事を分掌して警備救難部というものがあるから、その警備救難部の仕事として実際部隊組織によるこういう隊ができるのでありますから、その命令はその補佐に従つてやるとか何とかいうことよりも、むしろその中心は、事務的に言えば、警備救難部が事務的にその中心となつて動くべきじやないか。従つて発議の稟申等も警備救難部がやるんだということになれば、この警備隊が保安庁の一部である、而もその範囲内であるという点が明瞭になるように思いますが、その点がどうも直結はするけれども、実際問題としては側から補佐するのだろう、こういうような、むしろ消極的な、海上救難部の補佐の仕事は消極的のように受取れるものですから、そこに非常に疑問が、出て来るのですが、その点はどうなんでしようか。
  39. 柳沢米吉

    政府委員(柳沢米吉君) 御質問の点は、私の答え方が少しこの前悪かつたかと思いますが、今度設けます海上警備隊と従来の警備救難部と申すのも二つの関連と思います。これの考え方といたしまして、両方のオペレーシヨン的の考え方は、警備救難監が両方するのである。この警備救難監というものが、自分は命令権は持たれませんが、長官の分身として全部やる、而もこれが実際上はその人が稟申して長官命令が出るのではないか、こう申上げたわけであります。御承知通り、海上保安庁の業務は種々ありますですが、普通の場合におきましては、警備救難部の船舶が巡視警戒をやつておりまして、これによつて、何らかの非常事態が起きましたときに、その要請によりまして、警備救難監は警備救難部の船舶で間に合わないというときに要請がありまして、長官から警備隊の船舶を出すということに相成つております。但し又逆に非常事態が起きまして、海難その他が起きたという情報が入りましたときには、直ちに警備救難でなく、警備隊の船舶を先ず出す、そういたしましたときに、警備隊の船舶でなお足りないという場合には、これは警備救難監がそこを何しまして、警備隊のほうから稟請がありまして警備救難部におきまして、巡視船のほうに応援をやらせる、こういう格好に相成る、こういうふうに考えております。
  40. 楠見義男

    ○楠見義男君 海上警備隊の実際の行動の問題に関連してお伺いしたいのですが、それは法律規定によつても緊急の場合に通報するというふうになつておるのですが、ところが先ほどもちよつと大橋国務大臣の言として申上げたのですが、海上漁業の保護の問題で、御承知のように海上漁業について義とかいろいろの問題があることは御承知通りであります。従つてこれが現実の問題として、而も極めてしばしば行われておるもので、その保護についてはむしろ常時が実は緊急の場合のようにも該当するようにすら思われる場合もあると思うのであります。そういう場合における実際の出動はこれはどういうふうになるのか、例えば拿捕されそうであるとか、何とかいうことがそれは仮に緊急であつても、そのときに出動するということでは実際問題としては間に合わない、従つて常時、これは昔の駆逐艦が護衛したというようなまでは行かないにしても、それに近いような保護の仕方でないと安んじて海上漁業に従事することが困難なような面もあるのじやないかと思うのですが、実際のそういう場合の出動の状況はどういうふうになるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  41. 柳沢米吉

    政府委員(柳沢米吉君) 大体今お話の東支那海等における拿捕船の問題でございまするが、この拿捕船につきましては我々のほうで統計をとつて見ますると、六、七、八という漁群が比較的沿岸に近く寄つた場合には拿捕船は殆んどないのであります。但し魚群の位置によりまして出動する船舶が航行がきまつて来るとき、それが大体六月以前及び九月以降というものに拿捕船の数が殖えて来る状態になつております。而もこれらの拿捕船の出動する範囲というものは魚群の位置によつて大体見当がついておるわけであります。従いましてこれらに対する巡視警戒というものは一応今までの統計で行きまして、拿捕の状況が少い場合には巡視船の巡視計画を立てまして、独立ができますれば以後は巡視船の行動半径が相当大きくなり、一般の巡視船によつてそれが警戒に当り得る、而も今までの実績及び状況によりまして、やや危いというときにはこの警備隊に出動命令を出しましてやらせる、かように考えておる次第であります。
  42. 楠見義男

    ○楠見義男君 これは運輸大臣に伺うのですが、極めて常識的な見方からすれば、警察予備隊は御承知のように国内に集団的な、そして又大規模な騒擾その他国内の治安を紊し、或いは日本国の平和を紊すというような場合に出動する機関として相当の武器を備えた部隊組織としてあるわけなんですが、それを包含した保安機構に伝えられるところによると海上警備隊も入つている。そこで海上警備隊のほうは再々お述べになりますように、海上保安庁本来の現在の任務の範囲内であり、而も天災、海難等の救難が大きな任務であるというようなことになつて来れば、常識的に考えますと、何か水と油の相違ではありませんけれども、相当そこに違つた性格のもののように思われるのであります。真意が、政府はどう考えておられるかはこれは別でありますが、表面上御説明になるところに従えば、極めて常識的に言えば目的なり、又内容が甚だしく違つたもののように思われるのでありますが、それが一つの保安機構の中に入り込む、そうしてそれぞれ幕僚長とか、物々しい軍隊組織のようないかめしい組織の中に包括されるということについてどうも率直に言つてはつきりしないと思いますが、それについて運輸大臣としてどういうようにお考えになつておるのか、而もその場合に先般の御説明では海上保安庁は一体となつて行われて行くほうがいいんだというようなお説もあつたのでありますが、どうも先般の証明を聞いておりましても、いつの目にか警察予備隊はその性格を変えるであろうし、又海上警備隊もそうなるであろうが、今のところは海上警備隊は警視庁の予備隊のようなものである、こういうことを繰返してお述べになりましたが、そのいつの日にかというのは機構の上からだけ見ますと、如何にも近く御説明になつている足下からいつの目かが出て来たように思われるし、それから根本的にはさつき申上げましたように、どうも余りに違い過ぎた性格のものが一つの保安機構に入つておる、従つていよいよこれは軍備のなんであるとか、いろいろああだとか、こうだとかいう疑問なり、懸念なりが出し来るように思われるのですが、一体運輸大臣としてはどういうふうにお考えになつておるのか、新らしい機構の問題について……、これはまだ国会に出ておりませんし、政府部内でもおきまりになつたかどうかわかりませんが、ついでといつては甚だ恐縮でありますけれども、新らしい機構についての運輸大臣のお考えについてもお尋ねできれば仕合せだと思います。
  43. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 只今御指摘のように今海上保安庁法改正法律案で設置を期待されておりまする警備隊というもの、それから現在あります警察予備隊というものの間に水と油ということはないけれども、相当の性格上の食い違いがあるように考えられるという御指摘でございました。それは全くそうだと私も思つております。そういう御疑問と同じ疑問を私その点については持つておるのであります。で、海上保安庁の現在御審議を願つております警備隊は縷々繰返して申上げておる通り、警察のただ單に機動的の任務を持つたものであり、命令系統その他についてもそういう考え方で起案いたした次第であります。で警察、又はその装備におきましてもただ千五百トン級の船十杯にだけ恐らく口径三インチかそこらの小さい大砲を二門或いは一門備えるだけでありまして、勿論レーダーその他通信機関は備えることは当然であります。そういう僅かな微々たる武器しか持たないのであります。而もそれらの武器は多くは号砲をする、停止命令を旗によつてした場合に応じない、そうすれば先ず第一発は船尾の相当離れた海上を目当に撃つ、更に応じない場合には艦首難路に向つて前方に一弾を撃つ、更に応じない場合には側壁の海面を目がけて撃つというのが号砲のやり方だそうでありまするが、この国際的なやり方に応じて停船命令をするということに用いるのが先ず平常考えられておるところであります。従いまして装備と言い、又その装備の用法と言い、今日の陸上の警察予備隊のそれらとは少しばかりギヤツプがあるように私も感じておるのであります。そういう点から先般本質は変らないが、プラス・アルフアーになるのじやないかということを連合委員会の席で申したような次第であつたのでありました。これについて楠見先生疑問をお持ちになるということは、これは御尤もだと実は思つておる次第であります。
  44. 楠見義男

    ○楠見義男君 今の保安機構はまだおきまりになつておらないようですが……。
  45. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) その点申し残しましたが、保安庁の機構は大体は閣議においても議に上り、又大体の決定はいたしておりまするが、併しながら性格付けられることはその組織法にあると思うのであります。この組織法目体はまだ決定しておらない、近く決定されるだろうと思つております。
  46. 楠見義男

    ○楠見義男君 それではいずれその組織法が提案される際に改めてお伺いすることにいたしますが、次にこれは法文の解釈なり字句の問題ですから主として長官からお伺いしたいと思いますが、それはこの二十五條の二十九で、第十六條の規定をまあ準用しておるのですが、例の協力命令の場合の規定でありますが、この協力に従わないといつた場合には一体どういう措置が講じられるのですか。この問題に関連して協力義務に応じた場合の補償の問題が先般も連合委員会で論議をされて、政府としてはその必要を認めるけれども予算の関係その他でむずかしいようなお話があつたのでありますが、そうなりますると具体的に協力命令を拒否した場合と言いますか、従わなかつた場合の措置はどういうふうになるのか、この点を先ずお伺いしたい。
  47. 柳沢米吉

    政府委員(柳沢米吉君) 法規的には何らそれに対する罰則その他がございません。
  48. 楠見義男

    ○楠見義男君 それからもう一つは新らしい法律の二十五條の八なんですが、その海上警備隊の隊員となる資格に関する欠格條件でありますが、この四号に日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体云々とありますが、具体的に言うとこれははつきり申上げる共産党はこの政党に入るのか入らんのか、それから共産党というような具体的な政党をまあのかして一体どういう政党を予想しておられるのか、その点をお伺いたしたい。
  49. 柳沢米吉

    政府委員(柳沢米吉君) これは誠に何ですが、現在のところそういうものはないわけでございます。而もこの條文は大体国家公務員法の文字そのままを持つて来ているのであります。こういうものは現にはないのでございますが、予想して書いたという状態でございます。
  50. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうしますと、共産党員なる故を以て隊員の欠格條件としないというふうに了解していいのですか。
  51. 柳沢米吉

    政府委員(柳沢米吉君) 共産党員であるからという理由で以て欠格になることはないのであります。
  52. 楠見義男

    ○楠見義男君 それからもう一つ、警備隊の配置計画についても種々連合委員会で質疑応答が交されたのを拝承をしたのでありますが、結論としては長官の御答弁は商船とか漁港とかそういうものの作業を邪魔しないということ、それから又一方では新設は経費を要するということからして、旧軍港というものが狙われるのだけれども、併し旧軍港も商港転換の計画等もあつてなかなかむずかしい。そこで各地といろいろ折衝中であるが、最初は横須賀一カ所になるだろうというような趣旨の御答弁があつたようでありますが、ところが天災とか海難とかいうようなもの、或いは密入国というようなものになつて来ますと、これは、而もこの海上警備隊の任務が緊急の場合に出動するというようになれば、横須賀というのでは、例えば北のほうだとか、日本海だとか、西のほうとか、そういうところには実際緊急の場合が出てもそこにたむろしていたのでは間に合わないのではないか、こういうふうに思われるのですが、そういうことから考えて見ると、初めから海上警備隊を置く以上は、各所に配置して置かなければ、実は海上警備隊を置いた意味がないように思うのですが、その点はどういうふうになつておるのですか。
  53. 柳沢米吉

    政府委員(柳沢米吉君) お説の通りだと思いますが、現在のところ横須賀は幸いにしてすぐに基地の話がまとまつて、我々の持つている出先がそのまま使えるという状態でございまして、ここは決定しておると考えております。なおそのほかにおきまして、現在交渉してやや大丈夫と思われているものは佐世保があります。なおそのほか舞鶴の方面も相当に話が進んでおります。そのほか北のほうにつきましても適当な地域がありそうに思つておるのであります。現在我々のほうとしましては、先ほど申上げました通り講和條約が発効いたしますると、逐次解除される船舶が参る、この参る状態に比例しまして人間を乗せて行く、そうして而もそれを訓練して行く、そうしてそれを配備して行く、こういう状態になつております。できるものからやつて行くということにいたしまして、できるだけ早くそういう基地ができましたらその基地で訓練をしておいて、船が入つたらすぐ乗れる、こういう状態にしておいて、少くともこの夏までには何とか一応海上監視その他の仕事ができるようにしたい。それをしないと、講和條約発効後すぐに我々の手で、海の治安を守るというようなことを我々の手でやるということができない。これは発効したら直ちにやりたいというふうに考えておりますが、訓練その他の関係で多少一二カ月遅れるかも知れない。それにしましても早急にやらないと、それまでやはりほかかも力を借りてやらなければならないということは、我々がとるべき筋ではないのであろうという考えの下に、できるだけ早くそういう訓練をして、基地を見付けて逐次それに合せて訓練をしたい、お説の通り各地に配備したいというふうに考えております。
  54. 楠見義男

    ○楠見義男君 大変くどいようなんですが、一点ずつ長官と大臣に確かめておきしたいのですが、先ず長官のほうから確かめたいと思うのですが、それは先ほどの隊員の欠格條件について共産党員たるの故を以て云々しないと、こういう御明言なんですが、実は官庁としては一昨々年、一昨年来レッド・パージの問題でこれははつきりとその点は私は明らかにされたんじやないかと思つておるのです。特に警察予備隊に至つては、これも常識的に言えば日米安全保障條約が結ばれて、そうしてどこから侵入される虞れがあるのか、そうしてその国と相呼応して国内に騒擾が起るとする場合にはどういう団体があるかということは、これは常識的にやはり見れば、皆が考えておるようなことであろうと思うのです。その警察予備隊とは先ほども申上げたように、相当のギャップはあるにしても同じような性格に近い組織体で、共産党員は、これは拒まない、たるの故を以ては拒まないということをはつきりおつしやることによつてつて問題はどうかというふうな、これはきわめて常識的な見方なんですが、それはそういうふうに解釈していいでしようかどうか、その点を確かめておきたい。
  55. 柳沢米吉

    政府委員(柳沢米吉君) 現在の状態におきましては共産党員であるから採用しないというようなことはない。併しながら例えば二十五條の十二でございますか、その意に反して、降級又は免職される、この以外のものは免職されることはない、こういうことでございますが、逆に勤務成績がよくない場合があるというようなときは免職され得る。それから心身の故障のため、職務遂行に支障があり、又はこれに堪えないというような場合にも免職され得る、第三に前二号の規定のほか、その職務に必要な適格性を欠く場合にもやはりこれは免職し得る。第四條に組織若しくは定員の改廃又は予算の減少により、階級若しくは等級の廃止又は過員を生じたる場合、こういう場合に退職させられることはあり得るわけであります。大体そういう規定になつておるわけであります。
  56. 楠見義男

    ○楠見義男君 私は実はそういうことを伺うのは、先般のレッド・パージでも、今お引きになつたような第二十五條の十二勤務成績とか、その他実は勤務成績は他の人よりもいい、それから体も丈夫だ、熱心だという人がレッド・パージに実は引掛つてやめさせられた。私は別に共産党には何の関係もありませんけれども、事柄がやはりはつきりしておいたほうがいいと思つてつたのですが、これはこの程度にしておきます  大臣に確かめておきたいと思いますことは、これはまあまだ未確定の状態ですから、或いははつきりした御答弁が得られないかもわかりませんが、新らしくする場合には一体となつてつたほうがいいということをかねてお述べになつておられたのでありますが、新らしい保安機構に海上警備隊が移行するという際に、それ以外の、いわば親元の海上保安庁、現在の海上保安庁それ自体一体となつて行くのであるか、或いはそうでない場合には、運輸大臣としては新機構については御反対であるのか、この点を一つつておきたいと思います。
  57. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) ちよつとお尋ねいたしますが、新機構に対しては賛成か反対か……。
  58. 楠見義男

    ○楠見義男君 いや、新機構に移る場合に海上警備隊だけが移るということについては、この前のお話では保安庁が一体となつてつたほうがいいというようなお話があつたんです、その点を……。
  59. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 私はこの海上警備隊だけが移るということも一つ考え方だと思つております。併しながら一方におきまして、連合委員会のときにも申述べましたごとく、現在の海上保安庁の仕事につきまして、特に警備救難部の仕事につきましては、或いは大蔵大臣、農林大臣、法務総裁、外務大臣等の命令監督を受けておるという面が仕事自体についてあることは御承知通りであります。非常に複雑な内容を警備救難部というものは持つております。従つてそういう関係上警備救難部の現在の仕事に機動的にできるものだけでなしに、本家のものも同時に移るということがこの際は適当じやないかというふうに考えたのであります。総理府にできます保安庁と申しますか、その名前もまだ確定しておりませんが、この内容、陸と海との間に相当の開きがあることは申上げた通りでありまして、自然受入れのほうでどうかというふうにも考えられるのでありますが、そのほうの所管の大橋国務大臣は差支えないという考えを持つておられます。閣議の意見に私も従つたような次第であります。
  60. 楠見義男

    ○楠見義男君 ちよつと聞き漏らしたのですが、大橋国務大臣が差支えないという意味は、一体として持つて行くことに差支えない、こういう意味ですか。
  61. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 最初は私と同じように、私が一番最初一つの方法だと申上げましたごとく今回附置する警備隊だけを移すということに大体大橋国務大臣も考えてはおつたように、これは忖度でありますが、見受けておつたのであります。その後いろいろの意見も出まして、考えが変つて来たと思うのであります。で、差支えないという意見についての内容でありますが陸と海との間に性質の違いがあつても差支えないというふうの考えを持たれたのだと思います。
  62. 楠見義男

    ○楠見義男君 実はその点をくどくお伺いする理由は、海上警備隊というものの一部だけを移すということについて、それもよかろうというような意見があるということになつて、それがその通りになるのだとすれば、実はほかのかたはどうか知りませんが、私は正直に大臣の説明を伺つているものだから、海上保安庁の任務の一部を海上警備隊が取扱うのだと、こういうことになつておるにかかわらず、本体がこちらに残つて、子供だけが、子供というか、その一部の仕事をやつているものだけがこつちに移るという場合に、この海上警備隊の性格は、本体と、先ほど大臣がおつしやつたプラス・アルフアーというか、性格の違つたようなものになるように思われるのです。そうすればその機構改革がもう近くなつて来たのだから、先ほどのお話があつたように、アメリカから借りる船の受入体制というようなお話もありますけれども、性格が違うものがもうすぐ出て来るということであるならば、そのときに海上警備隊の機構問題は審議をしたほうがいいのじやないか、こういうような審議の、我々のこれは質問というよりも、我々の態度を明らかにと言いますか、態度を決する一つ参考のために伺つたようなわけなんです。その点は別に御答弁は要りません。
  63. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) この御審議についてのお心がまえ云々というお話がありましたが、これについて今とやかく申すのではありません。ただ海上、或いは前提となつておる点に事実と違う点があるかも知れんと思うから  一言申述べておきたいと思うのです。海上保安庁としての本家だけが残つて、一部だけが向うへ移るんじやないかというお話であります。むしろそれは逆になるのじやないかと思うのであります。海上保安庁の現在の仕事のうちで、海事検査部というのがある、この海事検査部は船舶の検査を行い、或いは修繕を命ずる、又海員の試験をするというような仕事であるのですが、このほうの仕事、それから乗組員の試験の仕事、これらはそれぞれ運輸省の現在の海運局と船員局、船舶局方面にそれぞれ溶け込んでしまうことに相成ります。そうして燈台部というのがあります。水路部というのがあります。燈台部、水路部というのは、それぞれ附属機関として運輸省に所属せられるということに相成るはずであります。で、今回設置せられます警備隊、警備救難部、それから水雷その他掃海の仕事をやつておりまする航路啓開部、こういうものは内閣のほうべ移るはずであるのであります。現在の海上保安庁というそのものは地方の海上保安庁本部と共に内閣のほうへ移るというはずであるのであります。その点若し誤解でなければ結構でありますが、念のために申上げておきます。
  64. 竹下豐次

    竹下豐次君 私はこの間の地方行政委員会との連合委員会での大臣の、お二人の御説明によりまして、了承したところによりますと、今度新らしくできる保安庁で所管すべき事項というものは、閣議でもうすでにはつきりきまつたように了承しておつたのですが、只今お二人の質疑応答を聞いておりますと、何だかまだはつきりきまつていないような筋もあるようにも疑いが起つたのであります。それではどうなんでしようか、念のためもう一遍……。
  65. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 只今申述べましたような振り割りによつて、機構は閣議としては決定いたしておるのであります。この前地方行政委員会との連合委員会のあの朝決定いたしたのであります。併しながら前刻も申述べました通りこれを作文しますことはまだできておらないのでありまして、この作文の如何によつて性格もおのずから決定して来ると思いますので、この点を前刻楠見先生に申述べたのであります。
  66. 竹下豐次

    竹下豐次君 先ほど水と油というようなお話が出ましたのですが、ちよつと私の意見になつて恐縮でございますが、私は簡単に申しますならば、少くとも海上警備隊に関する限りは、この保安庁のうちの他の一翼である予備隊と比較いたしまして、水と油とほど違つておるものではないと思います。非常に似た部分があるのであります。大臣は予算委員会その他で何と御説明なつたか知りませんけれども、私の印象は非常に似通つたものがあると思います。というので今度それが一体になる、保安庁の一翼になるというようなこともそう不自然であるとは感じないわけであります。で、これを一緒にするほうがいいか、或いはこの案のように運輸省で所管されるほうがいいかということにつきましては、いろいろの見方もあり、異論もあると思いますが、それはそれにいたしまして、一緒になるということがもうすでにきまりました以上、我々考えて行かなければならないことは、この原案を早急に審議して、一応きめて、又これを変えるというようなことがあつては甚だまずいことになるわけです。実は大臣がお見えになる前に長官にお伺いしましたら、先ほどお話通りに向うから来る船の使用の関係、或いは海員の補充というような関係で大変急ぐからということで、その点は私もわがるのですが、ただ今の御答弁によりますというと、閣議ではすでに新保安庁の所管すべき事項はきまつておるのだ。ただ作文ができていないのだということでしたら、この新らしい保安庁の設置法をここに提案されるまでには、そう長い期間かからないと思います。恐らくほかの行政機構と一緒になさるということはなさらないで、それだけ切離して特別に早くなさるのじやないかと思います。又今の日本の情勢としては、私はそれが必要じやないかとまで考えているわけでございます。まあその私の見込が当るならば、これは勝手なことを申しますけれども、そうするというと、これを今審議してきめるというところで幾日か日の開きがありますけれども、大した違いはないのではないか。そうすると海員の補充とか、船と使うとかいうような点についても幾らかそれが不自由が起つて来るわけですけれども、大したことじやないというふうに考えるわけです。それから先ほどこれはもう一つ承わつたところによりまするというと、保安庁のほうに移つてつても実は変らないだろうということでありますが、それはそのままに承わるといたしまして、若し仮に今度この案が近いうちに通過して、法律ができた、すぐそれに追つかけて保安庁の組織法ができたそのときに、海上警備隊のその他に関して、移管される部分について又少しもじつてほかのものが出た、違つた條文が出て来たというような場合には、我々委員としてはそのときになつて、この間作つた法律を又引繰り返すということは、これはできないことだ、で、若し政府のほうでその心配が絶対にないというお考えでありましたら、言い換えれば我々が違つた法律を又新たに作るというようなことをしないでもいいという確信があるならば、今これを進めて行くというようなことの上で、ただそれをすつかりそのまま移して行くものですから、多少それがそのままいじられるということになつたら、我々はすぐそれを又変えてこれに入れるということは、これは委員会としてはできかねることだと思います。議会としてはですね。若しそういう危険があるならば、又この際余りお急ぎになるということは政府としても危険があると思うのです。こういう心配を私はしておるわけであります。これは立入つたことを私は申上げ過ぎるのかも知れませんけれども、本当に私はそういう気持がするのでございますが、その点大臣如何でございますか。
  67. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 今のお説一応御尤もに拝承いたします。この行政機構の改正は実は七月一日を目途としてやつております。で、新たに設置される総理府内の保安庁はこれより遅れても早くなることはないと思います。それで七月一日、若しくはその以後になると思います。今では同時にやるということに閣議では決定いたしておりますが、いろいろの情勢から判断しますと或いは遅れる虞れがないこともないというふうに思うのであります。それからなおこれはまあ是非急いで御審議願いたいことは、先刻もお願いしました通りでありまするが、なお数日前に、この金曜日の日、閣議のあとで大橋国務大臣は、名前は警察予備隊を保安隊というようなふうに変えるかも知れないが、その設置の目的であるとかその他一切今のままの考えである。で海上保安庁についても同様であるからして、先だつて私が連合委員会の節若干性格がプラスされる点があるのじやないかということを申したときに、自分が賛成しなかつたのはそのままの文句で行きたいと考えていると、こういうお話がありましたので一つ参考までに申述べておきます。
  68. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 諸君にお諮りいたしますが、本日はこの程度委員会を閉じようと思いますが、如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。それではさようにいたします。  散会の前に申上げておきたいのですが、明日は行政機関職員定員法の一部を改正する法律案、これは各省別に審査をすることになつて途中まで来ておりますから、前回に引続いてこれを続行したいと思いますので、それを御承知願います。では本日はこれを以て散会をいたします。    午後四時十四分散会